JP5880554B2 - 長尺状偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、長尺状偏光板及び当該長尺状偏光板が具備された液晶表示装置に関する。
液晶表示装置のコスト削減が求められている。その方法として、偏光板のロスを減らす方法がある。液晶表示装置には、視認側とバックライト側に直交した二枚の偏光板が必要となる。表示装置、特にテレビやモニターなどは画面の縦横で長さが異なる。そのため、通常使用されている長手方向に吸収軸を有する長尺偏光板からそれらを切り出そうとすると、片面は偏光板の幅手の長さにサイズが限定されてしまい、大型化に対応できなかった。また、取り効率も悪かった。
上記問題を改善する方法として、通常の長手方向に吸収軸を有する偏光板に加え、もう一枚幅手方向に吸収軸を有する偏光板を作製し、それぞれから視認側用とバックライト側用の直交する偏光板を切り出す方法が考えられている。幅手方向に吸収軸を有する偏光板の作製例としては、特許文献1に開示されている技術がある。ここでは、幅手方向に吸収軸を有する偏光板を作製する際に問題となる、原反幅方向の両端部における偏光度のバラツキを改善し、液晶パネルに使用した場合に優れた光学特性を得る光学フィルムが開示されている。
しかし、上記特許文献1では、偏光板としての光学性能は評価されていたが、実際にパネル上で使用された際の評価については言及されていない。
一方、昨今の液晶パネルの正面コントラスト向上により、今まで問題とならなかった小さな黒表示時の輝度ムラが目立つようになっており、上記特許文献1で開示されている技術でも改善できない輝度ムラが問題となっている。
また、コスト削減のためにセルへの偏光板の貼合を失敗した場合、液晶セルを再利用するためにセルから偏光板をはがすリワークが必要となるが、偏光板に使用されている光学補償フィルムが薄いと、偏光板が裂けたり割れたりしてセル上に剥離残りが生じリワークがしづらいという問題も発生している。
特開2010−26112号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、幅手方向に吸収軸を有し、リワークしやすい長尺状偏光板を提供することである。さらに、黒表示時の輝度ムラの改善された液晶表示装置を提供することである。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.長尺状の、少なくとも、透明保護フィルム、偏光子、及び光学補償フィルムがこの順に積層されて成る長尺状偏光板であって、前記偏光子が幅手方向に吸収軸を有し、当該偏光子のNz係数が1.05〜1.20の範囲内にあり、かつ前記光学補償フィルムの膜厚dが下記式(1)を満たす範囲内にあることを特徴とする長尺状偏光板。
式(1):10μm<d<40μm
2.少なくとも、バックライトと、液晶セルと、当該液晶セルの視認側及びバックライト側に一枚ずつ偏光板を有する液晶表示装置であって、前記1に記載の長尺状偏光板を断裁して得た偏光板が具備されており、かつ下記要件(a)〜(c)を満たしていることを特徴とする液晶表示装置。
(a)前記液晶セルのバックライト側の偏光板(以下「偏光板1」という。)として、前記1に記載の長尺状偏光板を断裁して得た偏光板の光学補償フィルム(以下「光学補償フィルム1」という。)が前記液晶セル側になるように配置されている。
(b)前記液晶セルの視認側の偏光板(以下「偏光板2」という。)は、透明保護フィルム、偏光子、及び光学補償フィルム(以下「光学補償フィルム2」という。)がこの順に積層されてなる偏光板であって、当該光学補償フィルム2が当該液晶セル側になるように配置されている。
(c)前記偏光板1と前記偏光板2の吸収軸が直交するように配置されている。
3.前記液晶セルが垂直配向型液晶セルであり、前記光学補償フィルム2が、平均アシル基置換度が2.0〜2.6の範囲内にあるセルロースエステルを含有しており、かつ、下記式(2)〜式(5)で表される関係が満たされていることを特徴とする前記2に記載の液晶表示装置。
式(2):Ro(1)≦5nm
式(3):−10nm≦Rt(1)<20nm
式(4):60nm≦Ro(2)≦80nm
式(5):190nm≦Rt(2)≦260nm
〔ただし、前記光学補償フィルム1及び前記光学補償フィルム2の、23℃・55%RHにおいて測定波長589nmで測定した、面内位相差値Roを、それぞれ、Ro(1)、Ro(2)とし、かつ厚さ方向位相差値Rtを、それぞれ、Rt(1)、Rt(2)とする。また、Ro及びRtは、下記式で定義される。
式(I):Ro=(n−n)×d(nm)
式(II):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
上記式中、Roは光学補償フィルム(位相差フィルムともいう。)内の面内位相差値を表し、Rtはフィルム内の厚さ方向の位相差を表す。また、dは光学補償フィルムの厚さを表し、nは光学補償フィルムの面内の最大(遅相軸方向)の屈折率を表す。nは光学補償フィルム面内で遅相軸に直角な方向(進相軸方向)の屈折率を表し、nは厚さ方向における光学補償フィルムの屈折率を表す。なお、測定条件は、上記と同じである。〕
4.反射型輝度向上フィルムが、前記バックライトと前記偏光板1の間に具備され、かつ当該反射型輝度向上フィルムの透過軸と前記偏光板1の偏光子の吸収軸が直交するように配置されていることを特徴とする前記2又は前記3に記載の液晶表示装置。
本発明の上記手段により、幅手方向に吸収軸を有し、リワークしやすい長尺状偏光板を提供することができる。さらに、黒表示時の輝度ムラの改善された液晶表示装置を提供することができる。
本発明の上記手段によれば、偏光子の吸収軸を幅手方向とした場合でも、偏光子のNz係数を1.05〜1.20の範囲内とすることで偏光子中のポリマーの絡み合いが維持され、偏光子の膜強度が上がり、積層された光学補償フィルムが薄膜の場合でもリワーク時に偏光板に亀裂が入らず、剥離残りが発生しない。
また、バックライト側偏光板の偏光子のNz係数を1.05〜1.20の範囲内とすることで垂直配向型液晶表示装置に組み込んだ際にコントラストは実用の範囲内にありながら輝度ムラを改善することができる。
本発明の液晶表示装置の一例を示す概念図
本発明の長尺状偏光板は、長尺状の、少なくとも、透明保護フィルム、偏光子、及び光学補償フィルムがこの順に積層されて成る長尺状偏光板であって、前記偏光子が幅手方向に吸収軸を有し、当該偏光子のNz係数が1.05〜1.20の範囲内にあり、かつ前記光学補償フィルムの膜厚dが、式(1):10μm<d<40μm を満たす範囲内にあることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項4までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の長尺状偏光板は、液晶表示装置に好適に用いることができる。特に、少なくとも、バックライトと、液晶セルと、当該液晶セルの視認側及びバックライト側に一枚ずつ偏光板を有する液晶表示装置であって、本発明の長尺状偏光板を断裁して得た偏光板が具備されており、かつ前記要件(a)〜(c)を満たしている態様の液晶表示装置に好適に用いることができる。この場合、前記液晶セルが垂直配向型液晶セルであり、前記光学補償フィルム2が、平均アシル基置換度が2.0〜2.6の範囲内にあるセルロースエステルを含有しており、かつ、前記式(2)〜式(5)で表される関係が満たされていることが好ましい。さらに、反射型輝度向上フィルムが、前記バックライトと偏光板1の間に具備され、かつ当該反射型輝度向上フィルムの透過軸と前記偏光板1の偏光子の吸収軸が直交するように配置されている態様の液晶表示装置であることが好ましい(図1参照)。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(本発明の長尺状偏光板の概要)
本発明の長尺状偏光板は、長尺状の、少なくとも、透明保護フィルム、偏光子、及び光学補償フィルムがこの順に積層されて成る長尺状偏光板であって、前記偏光子が幅手方向に吸収軸を有し、当該偏光子のNz係数が1.05〜1.20の範囲内にあり、かつ前記光学補償フィルムの膜厚dが下記式(1)を満たす範囲内にあることを特徴とする。
式(1):10μm<d<40μm
なお、本願において、「長尺状」とは、500m以上の長さを有するフィルム形状をいう。また、当該長尺状偏光板のロールから所定寸法の四角形に切断されたものを「枚葉状偏光板」と呼ぶこととする。
〔偏光子〕
本発明に係る長尺状偏光子は、下記式(i)で定義されるNz係数が1.05<Nz<1.20であることが好ましく、更に好ましくは1.05<Nz<1.15である。1.05以下ではリワーク性に劣り、1.20以上ではパネル上で使用した場合の黒表示の光漏れが大きすぎて黒として表示できなくなる。
式(i) Nz=(n−n)/(n−n
(式中、nはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nはフィルムの厚さ方向の屈折率である。)
なお、本願において、「偏光子(「偏光膜」ともいう。)」とは、特定の振動方向を有する直線偏光のみを透過する機能を有する膜(フィルム)をいう。
偏光子の屈折率n、n、nは、自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、KOBRA−WX100/IR(王子計測機器株式会社製)を用いて、温度23℃、湿度55%RHの環境下で、波長が1000nmで求めることができる。
偏光子としては、目的に応じて任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは、特に制限されないが、5〜80μm程度であることが好ましい。
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いし、ヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗しても良い。
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することで、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
〔偏光板〕
本願において、「偏光板」とは、透明保護フィルム、偏光子、及び光学補償フィルムがこの順に積層されて成る光学フィルムをいう。なお、場合によっては、長尺状(ロール状)偏光板や枚葉状偏光板を含む意味で使うこともある。
本発明の偏光板は、一般的な方法で作製することができる。透明保護フィルム及び光学補償フィルムで、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面を挟む形貼り合わせることが好ましい。貼り合わせのための接着剤としては、PVA系の接着剤やウレタン系の接着剤、UV硬化性の接着剤などを挙げることができる。
本発明に係る透明保護フィルム及び光学補償フィルムを偏光子に貼り合わせる場合、その前に当該フィルムの表面に易接着処理として、親水化処理やコロナ処理を施すことが好ましい。親水化処理としては、ケン化処理、プラズマ処理、火炎処理、及び紫外線照射処理が挙げられる。また、ケン化処理には、酸ケン化処理及びアルカリケン化処理が含まれるが、本発明においては、アルカリケン化処理が好ましく用いられる。
アルカリケン化処理は、当該フィルムをケン化液の槽に直接浸漬する方法又はケン化液をセルロースアシレートフィルム塗布する方法で実施することが好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリケン化処理塗布液の溶媒は、ケン化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、またケン化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリケン化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。ケン化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリケン化時の反応条件は、室温で1秒〜5分が好ましく、5秒〜5分がさらに好ましく、20秒〜3分が特に好ましい。アルカリケン化反応後、ケン化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。
本発明においては、保護フィルム又は光学補償フィルムの個別の要求特性に応じて偏光子と貼り合わせる前にフィルム表面を加工して性能を向上させることができる。このような表面処理としては、例えば表面反射を防ぎ液晶パネルの視認性を向上させる処理としてアンチグレア処理、ノングレア処理又は反射防止処理;表面の汚れ付着を低減させるためのアンチスタティック処理又は防汚染処理;機械特性を向上させ表面硬度を高くし且つ耐溶剤性と耐化学薬品性とを向上させるハードコート処理;所望の色相を付与するための着色処理等が挙げられる。これらの処理は目的に応じて公知の方法で実施することができる。数種の表面処理を重畳的に実施してもよい。
[光学補償フィルム1]
本発明の長尺状偏光板は、長尺状の、透明保護フィルム、偏光子、及び光学補償フィルムがこの順に積層されて成る長尺状偏光板であって、前記光学補償フィルムの膜厚dが下記式(1)を満たす範囲内にあることを特徴とする。
式(1):10μm<d<40μm
当該光学補償フィルムの、23℃・55%RHにおいて測定波長589nmで測定した、面内位相差値Roは、0〜10nmの範囲内であり、かつ厚さ方向位相差値Rtは、−20〜45nmの範囲内であることが好ましい。
また、当該光学補償フィルムを、例えば、バックライトと、液晶セルと、当該液晶セルの視認側及びバックライト側に一枚ずつ偏光板を有する液晶表示装置に用いる場合、前記液晶セルのバックライト側の偏光板(以下「偏光板1」という。)として、前記長尺状偏光板を断裁して得た偏光板の光学補償フィルム(以下「光学補償フィルム1」という。)が前記液晶セル側になるように配置されている態様であることが好ましい。
また、当該光学補償フィルム1の、23℃・55%RHにおいて測定波長589nmで測定した、面内位相差値RoをRo(1)とし、かつ厚さ方向位相差値RtをRt(1)とした場合、下記式(2)及び(3)を満たすことが好ましい。
式(2):Ro(1)≦5nm
式(3):−10nm≦Rt(1)<20nm
なお、Ro及びRtは、下記式で定義される。
式(I):Ro=(n−n)×d(nm)
式(II):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
上記式中、Roは光学補償フィルム内の面内位相差値を表し、Rtはフィルム内の厚さ方向の位相差を表す。また、dは光学補償フィルムの厚さを表し、nは光学補償フィルムの面内の最大(遅相軸方向)の屈折率を表す。nは光学補償フィルム面内で遅相軸に直角な方向(進相軸方向)の屈折率を表し、nは厚さ方向における光学補償フィルムの屈折率を表す。なお、測定条件は、上記と同じである。
光学補償フィルム1に用いられる樹脂としては、セルロースエステル樹脂、アクリル樹脂、シクロオレフィン系樹脂などが挙げられる。中でも、アクリル樹脂を含有することが好ましい。
当該光学補償フィルムに用いることができるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、あるいは二種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
アクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、本発明においては、アクリル樹脂として、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂を使用することもできる。当該ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
また、アクリル樹脂を他の樹脂とブレンドすることもよい。他の樹脂として、セルロースエステル樹脂を併用することが、物性・耐熱性が向上の観点から、好ましい。例えば、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を95:5〜30:70の質量比で含有することが好ましい。好ましくはアクリル樹脂(A)が50質量%以上である。また、当該セルロースエステル樹脂の平均アシル基置換度が2.00〜3.00、アセチル基置換度(ac)が0〜1.89、アセチル基以外のアシル基の炭素数が3〜7であり、重量平均分子量(Mw)が75000〜280000である態様が好ましい。
[光学補償フィルム2]
本発明の前記長尺状偏光板を断裁して得た偏光板を液晶表示装置に用いる場合、例えば、バックライトと、液晶セルと、当該液晶セルの視認側及びバックライト側に一枚ずつ偏光板を有する態様の液晶表示装置に用いる場合、前記液晶セルの視認側の偏光板(以下「偏光板2」という。)は、透明保護フィルム、偏光子、及び光学補償フィルム(以下「光学補償フィルム2」という。)がこの順に積層されてなる偏光板であって、当該光学補償フィルム2が当該液晶セル側になるように配置されていることが好ましい。
また、前記光学補償フィルム2が、セルロースエステルを含有していることが好ましい。当該光学補償フィルム2に用いられるセルロースエステルとしては、位相差発現性、耐湿性等の観点から、平均アシル基置換度、が1.00〜2.80が好ましく、更に好ましくは2.0〜2.6である。
なお、本発明に係るセルロースエステルは、多数のβ−グルコース分子がβ−1,4−グリコシド結合により直鎖状に重合した樹脂である。当該β−1,4−グリコシド結合でセルロースを構成しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離のヒドロキシ基(水酸基)を有している。したがって、本発明に係るセルロースエステル樹脂は、これらのヒドロキシ基(水酸基)の一部又は全部をアシル基によりエステル化した重合体(樹脂)である。
「アシル基置換度」とは、繰り返し単位のグルコースの2位、3位及び6位について、ヒドロキシ基(水酸基)がエステル化されている割合の合計を表す。具体的には、セルロースの2位、3位及び6位のそれぞれのヒドロキシ基(水酸基)が100%エステル化した場合をそれぞれ置換度1とする。したがって、セルロースの2位、3位及び6位の全てが100%エステル化した場合、置換度は最大の3となる。
本願において、「平均アシル基置換度」とは、セルロースエステルを構成する複数のグルコース単位のアシル基置換度を、一単位当たりの平均値として表現したアシル基置換度をいう。なお、本願においては、特定のアシル基、例えば、アセチル基、プロピオニル基等の置換度の平均値をそれぞれ、「アセチル基置換度」、「プロピオニル基置換度」等のように、「平均」を略して表現することとする。
アシル基置換度の測定方法は、ASTM−D817−96に準じて測定することができる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。
これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基(アシル基が炭素原子数2〜4である場合)であり、より特に好ましくはアセチル基である。
なお、脂肪族アシル基の場合、炭素数は、セルロース合成の生産性、コストの観点から、2〜6が好ましく、2〜4が更に好ましい。また、アシル基で置換されていない部分は通常ヒドロキシ基(水酸基)として存在していることが好ましい。
本発明においては、当該光学補償フィルム2は、位相差値Roが60〜80nmであり、Rtが190〜260nmであることが、特に垂直配向型液晶表示装置の視野角を拡大する上で好ましい。すなわち、下記式(4)及び(5)で表される関係が満たされていることが好ましい。
式(4):60nm≦Ro(2)≦80nm
式(5):190nm≦Rt(2)≦260nm
〔ただし、光学補償フィルム2の、23℃・55%RHにおいて測定波長589nmで測定した、面内位相差値RoをRo(2)とし、かつ厚さ方向位相差値RtをRt(2)とする。また、Ro及びRtは、前記式(I)及び(II)で定義される。
膜厚dは、特に制限はないが、好ましくは50〜80μmである。
また、光学補償フィルム2は、後述のグルコース化合物を含有することが好ましい。
本発明で目標とする位相差値(リターデーション値)Ro、Rtを得るには、光学補償フィルムが本発明の構成をとり、更に搬送張力の制御、延伸操作により屈折率制御を行うことが好ましい。
例えば、長手方向の張力を低く又は高くすることで位相差値(リターデーション値)を変動させることが可能となる。
また、フィルムの長手方向(製膜方向)及びそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次又は同時に2軸延伸若しくは1軸延伸することができる。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。
また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
本発明に係る光学補償フィルムの遅相軸又は進相軸がフィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましい。
このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことができる。θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制又は防止することに寄与でき、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与できる。
[透明保護フィルム1]
本願において、「透明保護フィルム」とは、偏光板の構成部材であり、偏光子に貼合されて偏光子の寸法変化や物性変化を抑制する役割を担うフィルムをいう。例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の樹脂フィルムが一般的に使用される。本発明において用いることができる樹脂基材の詳細については後述する。
なお、透明保護フィルムとして、例えば、市販の光学フィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC8UE、KC4UE、KC4FR−3、KC4FR−4、KC4HR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、以上コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)製)等も好ましく用いられる。
透明保護フィルム1に用いられるセルロースエステル樹脂としては、温度が上昇してもフィルムが収縮しづらくムラ発生を抑制できる観点から、平均アシル基置換度が2.70〜3.00であるセルロースエステル樹脂である場合に効果が顕著である。これは、この範囲のアシル基置換度のセルロースエステル樹脂はもともと耐湿性に優れるため、顕著な効果が認められるものと推定される。
透明保護フィルム1の膜厚は、特に制限はないが、10〜40μmであることが好ましい。
[透明保護フィルム2]
透明保護フィルム2に用いられるセルロースエステル樹脂としては、前述のとおりであり、保護機能を有するために、平均アシル基置換度が、好ましくは2.70〜3.00である。
透明保護フィルムの膜厚は、特に制限はないが、40〜80μmであることが好ましい。
[セルロースエステル]
本発明に係る透明保護フィルム及び光学補償フィルムに使用することができるセルロースエステルとしては、公知の光学フィルムに使用することができる、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースエステルプロピオネート等が挙げられる。
セルロースエステルの数平均分子量(Mn)は、30000〜300000の範囲が得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。更に50000〜200000のものが好ましく用いられる。
セルロースエステルの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnの値は、1.4〜3.0であることが好ましい。
セルロースエステルの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
測定条件は以下のとおりである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。
本発明に係るセルロースエステルは、公知の方法により製造することができる。具体的には特開平10−45804号公報、特開2009−161701号公報などに記載の方法を参考にして合成することができる。
[グルコース化合物]
本発明に係る光学補償フィルム、特に前記光学補償フィルム2は、グルコース化合物を含有していることが好ましい。光学補償フィルムにグルコース化合物を添加することで、当該グルコース化合物は水分調整剤として働き、フィルムをより収縮しやすくさせることができる。
本発明においては、グルコース化合物として、下記一般式(I)で表される化合物を含有していることが好ましい。
Figure 0005880554
(式中、R11、R12は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基、又は炭素原子数2〜10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する一個のCH基又は隣接していない二個以上のCH基は酸素原子(O)に置換されていてもよい。Lは、−OCO−*、−OCH−*(*側でBと結合)、又は単結合を表し、A、Bは、それぞれ独立に、置換されていてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基、又は1,4−フェニレン基を表し、R13、R14は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアシル基を表す。)
11、R12としては、好ましくは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基又は炭素原子数2〜10のアルケニル基である。より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基である。更に好ましくは、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基若しくはアリル基であり、最も好ましくはメトキシ基である。これらR11及びR12は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
は、−OCO−*、−OCH−*(*側でBと結合)又は単結合を表し、好ましくは−OCO−*又は−OCH−*である。
A、Bは、それぞれ独立に、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、又は1,4−フェニレン基を表す。好ましくは、1,4−フェニレン基である。A、Bは、置換されていてもよく、その際の置換基としては、メチル基、エチル基、メトキシ基などが好ましい例として挙げられるが、メチル基で置換されているか無置換であることがより好ましい。
13、R14は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアシル基であり、好ましくは、水素原子、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基であり、最も好ましくは水素原子若しくはアセチル基である。これらR13、R14は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(I)で表される化合物のうち、下記一般式(II)で表されるグルコース化合物が好ましい。
Figure 0005880554
(式中、R15、R16は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表す。これらの基中に存在する一個のCH基又は隣接していない二個以上のCH基はOに置換されていてもよい。Lは、−OCO−*、−OCH−*(*側でフェニレン基と結合)を表す。R17、R18は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアシル基を表す。R19、R20は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はメトキシ基を表す)
以下に一般式(I)又は(II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は、以下の具体例によって何ら限定されることはない。なお、本願において、Acはアセチル基を表す。
Figure 0005880554
Figure 0005880554
Figure 0005880554
本発明に係る一般式(I)で表される化合物は、下記スキームに従い(D)−グルコースから合成可能である。例えば、J.Am.Chem.Soc.,2000,124(33),pp9756−9767には(D)−グルコースからアセタール交換、アシル化、1位ヒドロキ基の選択的脱アシル化を経て中間体Bを合成する方法が記載されている。続く中間体Bからグルコース化合物Aへと誘導する方法としては、任意のエステル化反応を用いることができ、例えば対応する酸ハロゲン化物や縮合剤を用いる方法などが挙げられる。グルコース化合物Bを得る方法としては、Carbohyd.Res.1985,135,203.、又はAngew.Chem.,Int.Ed.Engl.1986,25,212.に記載されている方法に従い中間体Cに誘導後、対応するアルコールとグリコシル化する方法などが挙げられる。ただし、本発明に係る化合物の合成法はこの例に限定されない。
Figure 0005880554
本発明に係るセルロース組成物における、一般式(I)又は(II)で表される化合物の含有量は、セルロース化合物に対して0.1〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。
前記の一般式(I)又は(II)で表される化合物は、光学フィルム用リターデーション上昇剤(制御剤)として用いることができ、特に延伸によるリターデーション発現性に優れたフィルムを得るためのリターデーション上昇剤として好適に用いることができる。
<カルボン酸糖エステル>
本発明に係る光学補償フィルム又は透明保護フィルムには、必要に応じてカルボン酸糖エステルを添加することが好ましい。
ここで、「カルボン酸糖エステル」とは、糖類のヒドロキシ基(OH基:「水酸基」ともいう。)とカルボン酸のカルボキシ基から導かれるエステル結合を有する化合物をいう。但し、本願においては、セルロースエステルは当該カルボン酸糖エステルに含まれないこととする。
当該カルボン酸糖エステルは、例えば、ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1個以上12個以下有しその構造のヒドロキシ基の一部がエステル化されたエステル化合物を好ましく用いることができる。エステル化の割合は、70%以上であることが好ましい。
本発明においては、カルボン酸糖エステルとして、下記一般式(1)で表される化合物を好適に用いることができる。
Figure 0005880554
本発明において、一般式(1)で表される化合物の置換度とは、一般式(1)に含まれる8つのヒドロキシ基(水酸基)のうち、水素以外の置換基で置換されている数を表し、すなわち、一般式(1)のR〜Rのうち、水素以外の基を含む数を表す。したがって、R〜Rが全て水素以外の置換基により置換された場合に、置換度は最大値の8.0となり、R〜Rが全て水素原子である場合には、0.0となる。
本発明においては、一般式(1)で表される化合物の置換度は、リターデーション、透過率、揮発性、機械強度等の観点から、2.8〜6.0であることが好ましい。また、2.8〜5.2が更に好ましい。
一般式(1)で表される化合物の置換度としては、平均置換度を用いることが適当であり、下記の方法により高速液体クロマトグラフィーによって置換度分布を示すチャートの面積比から平均置換度を測定することができる。
超低置換度のセルロースエステルは、残存ヒドロキシ基(水酸基)が多いため、既存の置換度の高いセルロースエステルよりも耐水性が懸念点である。それを改善させるためには、可塑剤を加えればよいが、相溶性が合っていないと、揮発してしまう。この点を踏まえて、セルロースエステルと構造が似ており、置換度が低い、カルボン酸糖エステルを添加することで、本発明の効果を一層増加させることができる。
また、超低置換度のセルロースエステルは、水分の影響を受けやすいため、偏光板にしたときの耐久時の収縮が問題となる。そこで、カルボン酸糖エステルの置換度をより小さくし、ヒドロキシ基(水酸基)を多く残し、低置換度のセルロースエステルとカルボン酸糖エステルとの水素結合をちょうど良く軟化させることで、偏光板での収縮の影響を小さくできる。
一般式(1)において、R〜Rは、水素原子、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、あるいは、置換又は無置換のアリールカルボニル基、すなわちアシル基を表し、R〜Rは、同じであっても、異なっていてもよい(以下、水素原子以外のR〜Rをアシル基ともいう)。
本発明に係るカルボン酸糖エステルの合成原料の糖の例としては、例えば、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストース挙げられる。
この他、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
その中でも、特にスクロースが相溶性と揮発性の観点で好ましい。
本発明に係るカルボン酸糖エステルの合成時に用いられるモノカルボン酸としては、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は一種類でもよいし二種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環に1〜5個のアルキル基若しくはアルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を二個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物の具体例の一部を以下に示すが、下表におけるRは、一般式(1)における、R〜Rで表されるアシル基のいずれかを表していることとする。
Figure 0005880554
Figure 0005880554
Figure 0005880554
本発明に係るカルボン酸糖エステルは、糖エステルに、アシル化剤(エステル化剤ともいう、例えば、アセチルクロライドの酸ハロゲン化物、無水酢酸等の無水物)を反応させることによって製造することが可能であり、エステル化率の分布は、アシル化剤の量、添加タイミング、エステル化反応時間の調節によって成されるが、エステル化率違いのカルボン酸糖エステルの混合、あるいは純粋に単離したエステル化率違いの化合物を混合することにより、目的のカルボン酸糖エステルを作製することができる。
[マット剤]
本発明に係る光学補償フィルム及び透明保護フィルムには、作製されたフィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり、搬送性が悪化したりすることを防止するために、マット剤として、微粒子を添加することも好ましい。
微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜400nmが好ましく、更に好ましいのは10〜300nmである。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径80〜400nmの粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。フィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成の光学補償フィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
樹脂の例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが光学補償フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明に係る光学補償フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
また、マット剤がフィルム全体に均等に分散してもよいし、表層にのみ局在してもよい。
(光学補償フィルム及び透明保護フィルムの製造方法)
本発明に係る光学補償フィルム及び透明保護フィルムの製造する方法としては、通常のインフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から流延法による溶液流延法、及び溶融流延法が好ましい。
以下、本発明に係る光学補償フィルムを作製する場合の製造方法について詳述する。なお、本発明に係る透明保護フィルムは、従来公知の一般的方法により製造できるが、例えば、下記の光学補償フィルムの製造方法に準じた方法により製造することができる。
<溶液流延法による光学補償フィルムの製造方法>
《有機溶媒》
本発明に係る光学補償フィルムを溶液流延法で製造する場合、ドープを形成するのに有用な有機溶媒は、セルロースエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、乳酸エチル、乳酸、ジアセトンアルコール等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、乳酸エチル等を好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させてもよい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系での熱可塑性樹脂の溶解を促進する役割もある。
特に、メチレンクロライド、及び炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、熱可塑性樹脂は、少なくとも計10〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
以下、本発明に係る光学補償フィルム(以下、単に「フィルム」ともいう。)の好ましい製膜方法について説明する。
1)溶解工程
熱可塑性樹脂に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で熱可塑性樹脂、その他の添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程である。
熱可塑性樹脂の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
返材とは、フィルムを細かく粉砕した物で、フィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでスペックアウトしたフィルム原反のことをいい、これも再使用される。
2)流延工程
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に二基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
3)溶媒蒸発工程
ウェブ(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブと呼ぶ)を流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法の乾燥効率が良く好ましい。又、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを40〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜120秒以内で該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃であり、さらに好ましくは11〜30℃である。
なお、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により50〜120質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損ね、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易いため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。
ウェブの残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mであるが、剥離の際に皺が入り易い場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましく、さらには、剥離できる最低張力〜166.6N/m、次いで、最低張力〜137.2N/mで剥離することが好ましいが、特に好ましくは最低張力〜100N/mで剥離することである。
本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
5)乾燥及び延伸工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置、及び/又はクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター延伸装置を用いて、ウェブを乾燥する。
乾燥手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。余り急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通し、乾燥は概ね40〜250℃で行われる。特に40〜160℃で乾燥させることが好ましい。
テンター延伸装置を用いる場合は、テンターの左右把持手段によってフィルムの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できる装置を用いることが好ましい。また、テンター工程において、平面性を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。
また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
なお、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することも好ましい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。
この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
・幅手方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。同時二軸延伸の好ましい延伸倍率は幅手方向、長手方向ともに×1.01倍〜×1.5倍の範囲でとることができる。
テンターを行う場合のウェブの残留溶媒量は、テンター開始時に20〜100質量%であるのが好ましく、かつウェブの残留溶媒量が10質量%以下になる迄テンターを掛けながら乾燥を行うことが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下である。
テンターを行う場合の乾燥温度は、30〜160℃が好ましく、50〜150℃がさらに好ましく、70〜140℃が最も好ましい。
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、フィルムの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
6)巻き取り工程
ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってからフィルムとして巻き取り機により巻き取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。特に0.00〜0.10質量%で巻き取ることが好ましい。
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
本発明に係るフィルムは、長尺フィルムであることが好ましく、具体的には、100m〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、フィルムの幅は1.3〜4mであることが好ましく、1.4〜2mであることがより好ましい。
本発明に係るフィルムの膜厚に特に制限はないが、20〜200μmであることが好ましい。
<溶融流延製膜法による光学補償フィルムの製造方法>
本発明に係るセルロースエステル樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂フィルム基材を、光学補償フィルムとして、溶融流延製膜法により製造する場合の方法について説明する。
〈溶融ペレット製造工程〉
溶融押出に用いる熱可塑性樹脂フィルムを構成する組成物は、通常あらかじめ混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、乾燥した熱可塑性樹脂と目的に応じて添加剤をフィーダーで押出機に供給し一軸や二軸の押出機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷又は空冷し、カッティングすることでできる。
原材料は、押出する前に乾燥しておくことが原材料の分解を防止する上で重要である。特にセルロースエステルは吸湿しやすいので、除湿熱風乾燥機や真空乾燥機で70〜140℃で3時間以上乾燥し、水分率を200ppm以下、さらに100ppm以下にしておくことが好ましい。
添加剤は、押出機に供給する前に混合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。酸化防止剤等少量の添加剤は、均一に混合するため、押出機に供給する前に混合しておくことが好ましい。
酸化防止剤の混合は、固体同士で混合してもよいし、必要により、酸化防止剤を溶剤に溶解しておき、熱可塑性樹脂に含浸させて混合してもよく、あるいは噴霧して混合してもよい。
真空ナウターミキサーなどが乾燥と混合を同時にできるので好ましい。また、フィーダー部やダイからの出口など空気と触れる場合は、除湿空気や除湿したNガスなどの雰囲気下にすることが好ましい。
押出機は、せん断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、二軸押出機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。ペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出機に供給し、そのままフィルム製膜することも可能である。
〈溶融混合物をダイから冷却ロールへ押し出す工程〉
まず、作製したペレットを一軸や二軸タイプの押出機を用いて、押し出す際の溶融温度Tmを200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどでろ過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に共押出し、冷却ロール上で固化し、弾性タッチロールと押圧しながら流延する。
供給ホッパーから押出機へ導入する際は真空下又は減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。なお、Tmは、押出機のダイ出口部分の温度である。
ダイに傷や可塑剤の凝結物等の異物が付着するとスジ状の欠陥が発生する場合がある。このような欠陥のことをダイラインとも呼ぶが、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、押出機からダイまでの配管には樹脂の滞留部が極力少なくなるような構造にすることが好ましい。ダイの内部やリップにキズ等が極力無いものを用いることが好ましい。
押出機やダイなどの溶融樹脂と接触する内面は、表面粗さを小さくしたり、表面エネルギーの低い材質を用いるなどして、溶融樹脂が付着し難い表面加工が施されていることが好ましい。具体的には、ハードクロムメッキやセラミック溶射したものを表面粗さ0.2S以下となるように研磨したものが挙げられる。
本発明において冷却ロールには特に制限はないが、高剛性の金属ロールで内部に温度制御可能な熱媒体又は冷媒体が流れるような構造を備えるロールであり、大きさは限定されないが、溶融押し出されたフィルムを冷却するのに十分な大きさであればよく、通常冷却ロールの直径は100mmから1m程度である。
冷却ロールの表面材質は、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。さらに表面の硬度を上げたり、樹脂との剥離性を改良するため、ハードクロムメッキや、ニッケルメッキ、非晶質クロムメッキなどや、セラミック溶射等の表面処理を施すことが好ましい。
冷却ロール表面の表面粗さは、算術平均粗さRaで0.1μm以下とすることが好ましく、さらに0.05μm以下とすることが好ましい。ロール表面が平滑であるほど、得られるフィルムの表面も平滑にできるのである。もちろん表面加工した表面はさらに研磨し上述した表面粗さとすることが好ましい。
本発明において、弾性タッチロールとしては、特開平03−124425号、特開平08−224772号、特開平07−100960号、特開平10−272676号、WO97/028950、特開平11−235747号、特開2002−36332号、特開2005−172940号や特開2005−280217号公報に記載されているような表面が薄膜金属スリーブ被覆シリコンゴムロールを使用することができる。
冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
〈延伸工程〉
本発明では、上記のようにして得られたフィルムは冷却ロールに接する工程を通過後、さらに少なくとも1方向に1.01〜3.0倍延伸することもできる。
好ましくは縦(フィルム搬送方向)、横(巾方向)両方向にそれぞれ1.1〜2.0倍延伸することが好ましい。
延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。特に光学補償フィルムが、偏光子保護フィルムを兼ねる場合は、延伸方向を巾方向とすることで偏光フィルムとの積層がロール形態でできるので好ましい。
巾方向に延伸することで光学補償フィルムの遅相軸は巾方向になる。
通常、延伸倍率は1.1〜3.0倍、好ましくは1.2〜2倍であり、延伸温度は、通常、フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+50℃、好ましくはTg〜Tg+50℃の温度範囲で行われる。
延伸は、長手方向若しくは幅手方向で制御された均一な温度分布下で行うことが好ましい。好ましくは±2℃以内、さらに好ましくは±1℃以内、特に好ましくは±0.5℃以内である。
上記の方法で作製したフィルム状樹脂フィルムを光学補償フィルムとして用いる場合、当該光学補償フィルムの位相差(リターデーション)調整や寸法変化率を小さくする目的で、フィルムを長手方向や幅手方向に収縮させてもよい。
長手方向に収縮するには、例えば、巾延伸を一時クリップアウトさせて長手方向に弛緩させる、又は横延伸機の隣り合うクリップの間隔を徐々に狭くすることによりフィルムを収縮させるという方法がある。
遅相軸方向の均一性も重要であり、フィルム巾方向に対して、角度が−5〜+5°であることが好ましく、さらに−1〜+1°の範囲にあることが好ましく、特に−0.5〜+0.5°の範囲にあることが好ましく、特に−0.1〜+0.1°の範囲にあることが好ましい。これらのばらつきは延伸条件を最適化することで達成できる。
本発明に係る光学補償フィルムは、長尺フィルムであることが好ましく、具体的には、100m〜10000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、フィルムの幅は1.3〜4mであることが好ましく、1.4〜2.5mであることがより好ましい。
本発明に係る光学補償フィルムの膜厚に特に制限はなく、目的に応じて変化させることが好ましい。例えば、偏光子保護フィルムに使用する場合は、20〜200μmであることが好ましい。
(液晶表示装置)
本発明の偏光板を液晶表示装置に用いることによって、種々の視認性に優れた本発明に係る液晶表示装置を作製することができる。
本発明の偏光板は、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。好ましくは、IPS(In−Plane−Switching)及びVA(Vertical Alignment)型液晶表示装置である。
本発明においては、特に、バックライトと、液晶セルと、当該液晶セルの視認側及びバックライト側に一枚ずつ偏光板を有する液晶表示装置であって、本発明の長尺状偏光板を断裁して得た偏光板が具備されており、かつ下記要件(a)〜(c)を満たしていることを特徴とする液晶表示装置が、輝度ムラ改善の観点から、好ましい。
(a)前記液晶セルのバックライト側の偏光板(以下「偏光板1」という。)として、請求項1に記載の長尺状偏光板を断裁して得た偏光板の光学補償フィルム(以下「光学補償フィルム1」という。)が前記液晶セル側になるように配置されている。
(b)前記液晶セルの視認側の偏光板(以下「偏光板2」という。)は、透明保護フィルム、偏光子、及び光学補償フィルム(以下「光学補償フィルム2」という。)がこの順に積層されてなる偏光板であって、当該光学補償フィルム2が前記液晶セル側になるように配置されている。
(c)偏光板1と偏光板2の吸収軸が直交するように配置されている。
また、前記液晶セルが垂直配向型液晶セルであり、前記光学補償フィルム2が、アシル基置換度が2.0〜2.6の範囲内にあるセルロースエステルを含有しており、かつ、前記式(2)〜式(5)で表される関係が満たされていることが好ましい。
さらに、反射型輝度向上フィルムが、前記バックライトと偏光板1の間に具備され、かつ当該反射型輝度向上フィルムの透過軸と前記偏光板2の偏光子の吸収軸が直交するように配置されている態様の液晶表示装置であることが、黒表示性能維持の観点から、好ましい。
[垂直配向型液晶セル]
本発明の液晶表示装置は、垂直配向型液晶セルを有することが好ましいが、本発明に係る液晶セルとしては、従来公知の種々の液晶セル例えばVA(MVA,PVA)型やVA−IPS、TBA型等を用いることができる。二枚の透明基板で挟持されている液晶の誘電率異方性は正でも負でもよい。
また、本発明はCOA方式にも適用される。当該COA方式は、例えば、特開2011−28207号公報などに記載されているように、カラーフィルタが液晶セルの駆動側基板に直接形成されたカラーフィルタ一体型駆動基板と、対向電極(導電層)を備える対向基板とをスペーサを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成されるものであり、カラーフィルタを反射電極の上に形成し、高精細時に貼り合わせマージンを広くして歩留りや開口率を向上させることができる。
本発明において、当該液晶セルは、一例として上下基板間に、誘電異方性が負で、Δn=0.0815、Δε=−4.5程度のネマチック液晶材料などを用いることができる。
液晶層の厚さdについては特に制限されないが、前記範囲の特性の液晶を用いる場合、例えば3.5μm程度に設定することができる。
なお、垂直配向型(VA型)液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル材の添加は、動的応答特性を劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
また、マルチドメイン構造とする場合には、各ドメイン間の境界領域の液晶分子の配向を調整するのに有利である。
なお、「マルチドメイン構造」とは、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割した構造をいう。例えば、垂直配向型(VA型)液晶表示装置において、白表示時には液晶分子が傾斜しているので、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じるが、マルチドメイン構造にすると、輝度や色調の視野角特性が改善されるので好ましい。
具体的には、画素のそれぞれを液晶分子の初期配向状態が互いに異なる二以上の領域で構成して平均化することで、視野角に依存した輝度や色調の偏りを低減することができる。また、それぞれの画素を、電圧印加状態において液晶分子の配向方向が連続的に変化する互いに異なる二以上の領域から構成しても同様の効果が得られる。
全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割以上とすることで、ほぼ均等な視野角が得られる。
本発明は特に画面が30型以上の大画面の垂直配向型液晶表示装置に適用される際に、黒表示時の輝度ムラに優れた液晶表示装置を得ることができる。
セルに偏光板を貼合する際には、長尺偏光板からあらかじめピースの偏光板を切り抜かず、ロール状のまま貼合するロールtoパネル方式で行ってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
〔偏光子A1の作製〕
膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させ、これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5g、水100gからなる45℃の水溶液に浸漬した後、55℃でテンターによる横延伸を延伸倍率4.5倍で実施した。これを水洗、乾燥し、巻き取りを行い、巻き長1000mの長尺状の偏光子A1を得た。
〔偏光子A2の作製〕
下記工程を有する方法によって、偏光子A2を作製した。
(1)膨潤工程及び延伸工程
重合度2400、ケン化度99.9%の膜厚75μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルム(フィルム幅:300mm)を用意した。前記PVAフィルムの片面を、30℃の温水(膨潤浴)に60秒浸漬し、膨潤し、膨潤前のフィルムの幅に対して、2倍の長さになるように、幅方向にテンター延伸(横延伸)を行った。
(2)染色工程及び延伸工程
前記PVAフィルムを前記膨潤浴から引き上げ、ヨウ素とヨウ化カリウムとを質量比1:7の割合で含む濃度3.2質量%の30℃の水溶液(染色浴)に60秒浸漬し、前記膨潤工程前のPVAフィルムの幅に対して3.5倍の長さになるように、幅方向にテンター延伸(横延伸)を行った。
(3)架橋工程及び延伸工程
前記PVAフィルムを前記染色浴から引き上げ、3質量%のホウ酸と3質量%のヨウ化カリウムとを含む30℃の水溶液(架橋浴)に20秒浸漬した後、前記膨潤工程前のPVAフィルムの幅に対して3.6倍の長さになるように、幅方向にテンター延伸(横延伸)を行った。
(4)延伸工程
前記PVAフィルムを前記架橋浴から引き上げ、4質量%のホウ酸と5質量%のヨウ化カリウムとを含む60℃の水溶液(延伸浴)に60秒浸漬し、前記膨潤工程前のPVAフィルムの幅に対して5.9倍の長さになるように、幅方向にテンター延伸(横延伸)を行った。
(5)調整(ヨウ素イオン含浸処理)・乾燥工程
前記PVAフィルムを前記延伸浴から引き上げ、3質量%のヨウ化カリウムを含む30℃の水溶液(調整浴)に20秒浸漬させた。次いで、このPVAフィルムに60℃で4分間乾燥処理を施して、本実施例の偏光子A2を得た。
得られた偏光子の吸収軸の幅方向軸角度は、原反センターを0°(TD方向)としたときに、原反の右端では−3°、左端では+3°であり、両端部では軸がずれ、ボーイング現象が生じていた。
〔偏光子A3の作製〕
膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させこれをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5g、水100gからなる45℃の水溶液に浸漬し一軸延伸(温度55℃、延伸倍率5倍)した。これを水洗、乾燥し偏光子A3を得た。
〔偏光子A4の作製〕
延伸倍率を3倍にした以外は偏光子A1の作製と同様にして偏光子A4を作製した。
〔偏光子のNz係数評価〕
KOBRA−WX100/IR(王子計測機器株式会社製)を用いて、温度23℃、湿度55%RHの環境下で、波長が1000nmにおいてn、n、nを求め、Nzを算出した。平均屈折率は1.60を使用した。表1に示す。
Figure 0005880554
〔光学補償フィルムC1の作製〕
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R812 日本アエロジル(株)製)
11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液1〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液1 5質量部
下記組成の主ドープを調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにアセチル基置換度2.45のセルロースエステルを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。
〈主ドープの組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースエステル(アセチル基置換度2.45、Mn=60000)
100質量部
糖エステル化合物M 12質量部
微粒子添加液1 1質量部
以上を密閉されている主溶解釜に投入し、攪拌しながら溶解してドープを調製した。
<カルボン酸糖エステル化合物Mの合成>
撹拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸135.6g(0.6モル)、ピリジン284.8g(3.6モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。
次に、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。そして、次にトルエン1L、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液300gを添加し、50℃で30分間撹拌後、静置して、トルエン層を分取した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×10Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4及びA−5等の混合物である糖エステル化合物Mを得た。
得られた混合物を高速液体クロマトグラフィー質量分析(HPLC−MS)で解析したところ、A−1が1.2質量%、A−2が13.2質量%、A−3が14.2質量%、A−4が35.4質量%、A−5等が40.0質量%であった。平均置換度は5.2であった。
Figure 0005880554
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させた。次いで、剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離した光学補償フィルムを、170℃の熱をかけながらテンターを用いて幅方向に35%延伸した。延伸開始時の残留溶媒は15%であった。
次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。以上のようにして、乾燥膜厚38μmの光学補償フィルムC1を得た。光学補償フィルムC1の面内位相差値Roは52nm、厚さ方向位相差値Rtは125nmであった。
〔光学補償フィルムC2の作製〕
<二酸化珪素分散液>
アエロジルR812(日本アエロジル(株)製) 10質量部
(一次粒子の平均径7nm)
エタノール 90質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、二酸化珪素分散希釈液を作製した。微粒子分散希釈液濾過器(アドバンテック東洋(株):ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過した。
<ドープ組成物>
セルローストリアセテート 90質量部
(リンター綿から合成されたセルローストリアセテート、アセチル基置換度2.88、Mn=140000)
アクリル化合物 10質量部
二酸化珪素分散希釈液 4質量部
メチレンクロライド 432質量部
エタノール 38質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープを調製した。
次に、ベルト流延装置を用い、ステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶剤を蒸発させ、ステンレスバンド持体上から剥離した。セルロースエステルフィルムのウェブを35℃で溶剤を蒸発させ、1.65m幅にスリットし、テンターで幅保持し160℃の乾燥温度(熱処理温度、延伸温度ともいう)で乾燥させた。乾燥を始めたときの残留溶剤量は20%であった。その後、120℃の乾燥装置内を多数のロールで搬送させながら15分間乾燥させた後、フィルム両端に幅15mm、高さ5μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻き取り、膜厚20μmの光学補償フィルムC2を得た。この光学補償フィルムC2の面内位相差値Roは0nm、厚さ方向位相差値Rtは5nmであった。光学補償フィルムC2の残留溶剤量は0.2%であり、巻数は6000mであった。
<アクリル化合物の合成>
攪拌機、2個の滴下ロート、ガス導入管及び温度計の付いたガラスフラスコに、MMA(メタクリル酸メチル)が80、HEA(β−ヒドロキシエチルアクリレート)が20の比率で混合されたモノマー混合液40g、連鎖移動剤のメルカプトプロピオン酸3.0g及びトルエン30gを仕込み、90℃に昇温した。その後、一方の滴下ロートから、上記と同じモノマー混合液60gを3時間かけて滴下すると共に、同時にもう一方のロートからトルエン14gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを3時間かけて滴下した。その後さらに、トルエン56gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを2時間かけて滴下した後、さらに2時間反応を継続させ、アクリル化合物を得た。
<分子量測定>
重量平均分子量の測定は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
測定条件は以下のとおりである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
〔光学補償フィルムC3及びC5の作製〕
下記一般式中、Rは水素原子、R及びRはメチル基であるラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂{共重合モノマー質量比=メタクリル酸メチル/2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル=8/2、ラクトン環化率約100%、ラクトン環構造の含有割合19.4%、重量平均分子量133000、メルトフローレート6.5g/10分(240℃、98N(10kgf)、Tg131℃}90質量部と、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂{トーヨーAS AS20、東洋スチレン社製}10質量部との混合物;Tg127℃]のペレットを二軸押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しして、膜厚43μmのラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂シートを得た。この未延伸シートを、160℃の温度条件下、縦2.0倍、横2.4倍に延伸して膜厚15μmの(メタ)アクリル樹脂フィルムC3を得た。この光学補償フィルムC3の面内位相差値Ro:は0nm、厚さ方向位相差値Rtは0nmであった。
Figure 0005880554
(メタ)アクリル樹脂フィルムの片側に、コロナ放電処理(コロナ放電電子照射量:77W/m/min)を施した。ポリエステルウレタン(第一工業製薬製、商品名:スーパーフレックス210、固形分:33%)16.8g、架橋剤(オキサゾリン含有ポリマー、日本触媒製、商品名:エポクロスWS−700、固形分:25%)4.2g、1質量%のアンモニア水2.0g、コロイダルシリカ(扶桑化学工業製、クォートロンPL−3、固形分:20質量%)0.42g及び純水76.6gを混合し、易接着剤組成物を得た。
得られた易接着剤組成物を、コロナ放電処理を施した(メタ)アクリル樹脂フィルムのコロナ放電処理面に、乾燥後の厚みが350nmとなるように、バーコーター(#6)で塗布した。その後、(メタ)アクリル樹脂フィルムを熱風乾燥機(140℃)に投入し、易接着剤組成物を約5分乾燥させて、易接着層(0.3〜0.5μm)を形成し、光学補償フィルムC3を得た。
溶融押し出し時の膜厚を25μmにする以外は同様にして、膜厚8μmの光学補償フィルムC5を得た。この光学補償フィルムC5の面内位相差値Roは0nm、厚さ方向位相差値Rtは0nmであった。
〔光学補償フィルムC4の作製〕
ノルボルネン系樹脂を含有する高分子フィルム(日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオノア」、膜厚:100μm、フィルム幅:700mm)を、テンター延伸機を用いて、143℃で3倍の横一軸延伸を行い、膜厚35μmの光学補償フィルムC4を得た。得られた光学補償フィルムC4の面内位相差値Roは270nm、厚さ方向位相差値Rtは197nmであった。
〔フィルムの位相差測定〕
作製した光学補償フィルムを、23℃55%RHで調湿後、Axometrcs社製のAxoscanを用いて測定波長590nmで位相差を測定した。Rt算出のための平均屈折率はアッベ屈折計で3方向の屈折率を測定し、それらを平均した値を使用した。
測定結果を表2に示す。
Figure 0005880554
〔透明保護フィルム〕
市販のコニカミノルタアドバンストレイヤー(株)製KC4UA−SW及びKC6UA−SWをそれぞれ透明保護フィルムB1、B2として用いた。
〔偏光板P1、2の作製〕
透明保護フィルムB1と作製した光学補償フィルムを50℃2NのKOH水溶液を用いてアルカリケン化処理を行い、水洗、乾燥させ、以下のように偏光板加工を行った。
作製した、偏光子A1の両側に前記ケン化済みフィルムを、水糊を用いて、両フィルムで偏光子をサンドイッチする形にして圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約10m/分で貼合し、70℃で約2分間、次いで60℃で約2分の乾燥処理を行い、巻取り、偏光板ロールを作製した。剥離加工したポリエチレンテレフタレートフィルムに粘着層を設け、得られた偏光板の、光学補償フィルム側に粘着層の面を貼りつけ、粘着偏光板ロールを作製した。透明保護フィルム・光学補償フィルムとして使用したフィルムと偏光板の対応関係を表3に示す。
〔偏光板P3、P5の作製〕
透明保護フィルムB1を、50℃2NのKOH水溶液を用いてアルカリケン化処理を行い、水洗、乾燥させた。
(接着剤組成物の調製)
アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度:1200、ケン化度:98.5モル%,アセトアセチル基変性度:5モル%)100質量部に対し、メチロールメラミン20質量部を30℃の温度条件下で純水に溶解し、固形分濃度0.5%の水溶液を得た。得られた水溶液を接着剤組成物として、30℃の温度条件下で用いた。
(偏光板の作製)
上記接着剤組成物を調製から30分後に、光学補償フィルムC3又はC5の易接着層側に、乾燥後の厚みが50nmとなるように接着剤組成物を塗布した。同様に、上記のようにアルカリケン化処理済みの透明保護フィルムB1の片側に、接着剤組成物を塗布した。その後、接着剤組成物を介して、偏光子A1の両側それぞれに、透明保護フィルムB1及び光学補償フィルムC3又はC5を、ラミネーターを用いて積層し、熱風乾燥機(70℃)に投入して5分間乾燥させて、偏光板P3、P5を得た。透明保護フィルム・光学補償フィルムとして使用したフィルムと偏光板の対応関係を表3に示す。
〔偏光板P4の作製〕
上記偏光子A2、上記光学補償フィルムC4及び透明保護フィルムB1を、偏光子A2を光学補償フィルムC4と透明保護フィルムB1とで挟むように接着剤で貼り合わせた。接着剤は、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度:1200、ケン化度:98.5モル%、アセトアセチル化度:5モル%)100質量部に対し、メチロールメラミン20質量部を、30℃の条件下に純水に溶解し、固形分濃度3.2質量%に調製した水溶液を用いた。この接着剤を用い、30℃の温度条件下で前記偏光子の両面に前記光学補償フィルムC4と前記透明保護フィルムB1をロール機で貼り合わせた後、60℃で4分間乾燥させて偏光板P4を作製した。
〔リワーク性の評価〕
得られた偏光板P1〜P5を100×100mmサイズに打ち抜き、ガラス基盤に貼合した。四角の一カ所から偏光板をガラス基盤から少し剥離し、剥離した偏光板を掴みガラス基盤を押さえながら対角方向に剥離した。同様の操作を計10枚のサンプルで実施し、以下の基準に従い評価を行った。
○:0〜5枚で剥離残りが生じた
×:6枚以上剥離残りが生じた
上記評価の結果を表3に示す。
Figure 0005880554
表3に示した評価結果から明らかなように、本発明の偏光板においてはリワーク性が改良されていることが分かる。
<実施例2>
〔光学補償フィルムC6の作製〕
(ドープ組成1)
ダイヤナールBR85(三菱レイヨン(株)製) 70質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート;平均アシル基置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、Mw=200000) 30質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
上記組成物を、加熱しながら十分に溶解し、ドープを作製した。
(フィルムの製膜)
上記作製したドープを、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。
剥離したアクリル樹脂のウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に1.1倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は10%であった。
テンターで延伸後、130℃で5分間緩和を行った後、120℃、140℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径15.24cmコアに巻き取り、アクリル樹脂フィルムを得た。
ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.1倍であり、出来上がりフィルムの残留溶剤量は0.1%、膜厚は20μm、面内位相差値Roは0nm、厚さ方向位相差値Rtは0nm、巻長は4000mであった。
(易接着層の形成)
上記作製したフィルムの一方の面に、下記組成の塗布液(1a)をウェット膜厚(wd)が20μmとなるように塗り、さらに100℃で5分間乾燥させて、易接着層を塗設した光学補償フィルムC6を作製した。
<塗布液1aの調製>
セルロースジアセテート(ダイセル化学工業(株)製、商品名:L−50) 0.8質量部
アセトン 7質量部
メチルエチルケトン 7質量部
メタノール 6質量部
〔偏光板P11〜14の作製〕
偏光板P11はP1と、P13はP3と同様にして作製した。ただし、光学補償フィルムC6に関しては易接着処理を行った面がポリビニルアルコール側になるようにして貼合した。透明保護フィルム・光学補償フィルム・偏光子として使用したフィルムと偏光板の対応関係を表4に示す。
Figure 0005880554
〔液晶表示装置の作製〕
IPSモードである東芝社製REGZA42ZS1の偏光板を剥離し、上記において作製した偏光板を表5に記載した組合せでパネルに貼合し、液晶表示装置(1−1〜1−4)を作製し、下記評価を行った。
〔ムラ評価〕
バックライトを点灯させた状態で黒表示を画面で表示させ、目視により下記基準に従って輝度ムラ評価した。
◎:ムラが10人中0〜2人確認できる。
○:ムラが10人中3〜5人確認できる。
×:ムラが10人中6〜10人確認できるほど、はっきりとしたムラ。
上記評価の結果を表5に示す。
Figure 0005880554
表5に示した評価結果から明らかなように、本発明の偏光板を用いた液晶表示装置は、輝度ムラが殆ど確認することができないほど優れていることが分かる。
<実施例3>
〔光学補償フィルムC11の作製〕
延伸倍率を40%にし、膜厚を変更した以外は前記フィルムC1と同様にして、乾燥膜厚70μmの光学補償フィルムC11を得た。この光学補償フィルムC11の面内位相差値Roは70nm、厚さ方向位相差値Rtは240nmであった。
〔光学補償フィルムC12の作製〕
(微粒子分散液の作製)
微粒子(アエロジルR972V(日本アエロジル株式会社製))
11質量部
(1次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散し、微粒子分散液を得た。
〈微粒子添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクにセルロースエステル(平均アセチル基置換度2.23、Mn=140000)を添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。濾過後のセルロースアセテート溶液を充分に攪拌しながら、ここに上記微粒子分散液をゆっくりと添加した。さらに、2次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
(微粒子添加液の組成)
メチレンクロライド 99質量部
セルロースエステル(上記) 4質量部
微粒子分散液 11質量部
下記組成の主ドープを調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に可塑剤を添加、溶解させた。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。
〈主ドープの組成〉
メチレンクロライド 390質量部
エタノール 80質量部
セルロースエステル (平均アシル基置換度2.48、アセチル基置換度1.58、プロピオニル基置換度0.90、Mn=160000)
100質量部
グルコース化合物(〔化3〕の(A−2)) 4質量部
主ドープ100質量部と微粒子添加液5質量部となるように加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、残留溶媒量が110%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体から剥離した。次いで、テンターでウェブ両端部を把持し、幅手方向に185℃で42%延伸し、延伸終了後に幅手を保持したまま4秒間保持し、幅方向の張力を緩和させた後幅保持を解放し、更に125℃に設定された第3乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行い、幅1.49m、かつ端部に幅1cmのナーリングを有する光学補償フィルムC12を巻き長4000mで作製した。この光学補償フィルムC12の膜厚は68μmであった。この光学補償フィルムC11の面内位相差値Roは70nm、厚さ方向位相差値Rtは240nmであった。
〔光学補償フィルムC13の作製〕
熱可塑性樹脂(商品名「ゼオノア1420」、日本ゼオン社製、ノルボルネン樹脂)のペレットを、押出機で溶融させ、押出用のダイに供給し、原反フィルムを成形した。
次いで、原反フィルムをテンター延伸機で、延伸温度170℃、延伸倍率1.01倍で延伸し、膜厚20μmの長尺の光学補償フィルムC13を得た。この光学補償フィルムC11の面内位相差値Roは2nm、厚さ方向位相差値Rtは10nmであった。
〔偏光板P21〜27の作製〕
偏光板P21〜25はP1と、P26と27はP3と、同様にして作製した。ただし、光学補償フィルムC6に関しては易接着処理を行った面がポリビニルアルコール側になるようにして貼合した。保護フィルム・光学補償フィルム・偏光子として使用したフィルムと偏光板の対応関係を表6に示す。
Figure 0005880554
〔液晶表示装置の作製〕
VAモードであるSONY社製BRAVIA KDL−46HX800の偏光板を剥離し、上記において作製した偏光板を図1の構成になるように表7に記載した組合せでパネルに貼合し、液晶表示装置(2−1〜2−9)を作製し、下記評価を行った。この液晶表示装置の液晶セルは、カラーフィルタと駆動用の薄膜トランジスタが透明基板の一方に配置されているCOA型液晶表示装置のセルであり、バックライトユニットには、偏光子1の吸収軸と直交する方向に透過軸を有する反射型輝度向上フィルムが挿入されている。
〔ムラ評価〕
バックライトを点灯させた状態で黒表示を画面で表示させ、目視により下記基準に従って輝度ムラ評価した。
◎:ムラが10人中0〜2人確認できる。
○:ムラが10人中3〜5人確認できる。
×:ムラが10人中6〜10人確認できるほど、はっきりとしたムラ。
上記評価の結果を表7に示す。
Figure 0005880554
表7に示した評価結果から明らかなように、本発明の偏光板を用いた液晶表示装置は、輝度ムラが殆ど確認することができないほど優れていることが分かる。
なお、比較例の液晶表示装置2−9に関しては、ムラ評価を実施する以前に、黒表示時の正面の光漏れが大きすぎ表示装置として機能しなかった。
本発明の長尺状偏光板は、テレビ及びモニターなどの大型の液晶表示装置用の偏光板及び当該長尺状の偏光板を用いた液晶表示装置の製造に用いることができる。
1 反射型輝度向上フィルム1
2 透明保護フィルム1
3 偏光子1
4 光学補償フィルム1
5 液晶セル
6 光学補償フィルム2
7 偏光子2
8 透明保護フィルム2
a 透過軸
b 吸収軸
c 遅相軸
F フロント(視認側)
R リア(バックライト側)

Claims (4)

  1. 長尺状の、少なくとも、透明保護フィルム、偏光子、及び光学補償フィルムがこの順に積層されて成る長尺状偏光板であって、前記偏光子が幅手方向に吸収軸を有し、当該偏光子のNz係数が1.05〜1.20の範囲内にあり、かつ前記光学補償フィルムの膜厚dが下記式(1)を満たす範囲内にあることを特徴とする長尺状偏光板。
    式(1):10μm<d<40μm
  2. 少なくとも、バックライトと、液晶セルと、当該液晶セルの視認側及びバックライト側に一枚ずつ偏光板を有する液晶表示装置であって、請求項1に記載の長尺状偏光板を断裁して得た偏光板が具備されており、かつ下記要件(a)〜(c)を満たしていることを特徴とする液晶表示装置。
    (a)前記液晶セルのバックライト側の偏光板(以下「偏光板1」という。)として、請求項1に記載の長尺状偏光板を断裁して得た偏光板の光学補償フィルム(以下「光学補償フィルム1」という。)が前記液晶セル側になるように配置されている。
    (b)前記液晶セルの視認側の偏光板(以下「偏光板2」という。)は、透明保護フィルム、偏光子、及び光学補償フィルム(以下「光学補償フィルム2」という。)がこの順に積層されてなる偏光板であって、当該光学補償フィルム2が当該液晶セル側になるように配置されている。
    (c)前記偏光板1と前記偏光板2の吸収軸が直交するように配置されている。
  3. 前記液晶セルが垂直配向型液晶セルであり、前記光学補償フィルム2が、平均アシル基置換度が2.0〜2.6の範囲内にあるセルロースエステルを含有しており、かつ、下記式(2)〜式(5)で表される関係が満たされていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
    式(2):Ro(1)≦5nm
    式(3):−10nm≦Rt(1)<20nm
    式(4):60nm≦Ro(2)≦80nm
    式(5):190nm≦Rt(2)≦260nm
    〔ただし、前記光学補償フィルム1及び前記光学補償フィルム2の、23℃・55%RHにおいて測定波長589nmで測定した、面内位相差値Roを、それぞれ、Ro(1)、Ro(2)とし、かつ厚さ方向位相差値Rtを、それぞれ、Rt(1)、Rt(2)とする。また、Ro及びRtは、下記式で定義される。
    式(I):Ro=(n−n)×d(nm)
    式(II):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
    上記式中、Roは光学補償フィルム内の面内位相差値を表し、Rtはフィルム内の厚さ方向の位相差を表す。また、dは光学補償フィルムの厚さを表し、nは光学補償フィルムの面内の最大(遅相軸方向)の屈折率を表す。nは光学補償フィルム面内で遅相軸に直角な方向(進相軸方向)の屈折率を表し、nは厚さ方向における光学補償フィルムの屈折率を表す。なお、測定条件は、上記と同じである。〕
  4. 反射型輝度向上フィルムが、前記バックライトと前記偏光板1の間に具備され、かつ当該反射型輝度向上フィルムの透過軸と前記偏光板1の偏光子の吸収軸が直交するように配置されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液晶表示装置。
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