JP2021011915A - 保持器付きころおよびころ軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも厳しい潤滑環境にあっても、潤滑性が損なわれない保持器付きころを提供すること。【解決手段】保持器付きころの保持器(13)は、一対の環状部(20)と、一対の環状部を連結する複数の柱部(30)と、隣り合う前記柱部の間に形成されたポケットとを備える。環状部は、柱部の径方向内方または外方に突出して延びる鍔部(21)と、鍔部から連続し、鍔部の軸方向外方に折り返されることにより形成される折返し部(23)とを有する。折返し部と鍔部との間には、潤滑油を溜めるための隙間(27)が設けられている。【選択図】図5
Description
本発明は、保持器付きころおよびころ軸受に関する。
従来の保持器付きころとして、たとえば特開2012−177433号公報(特許文献1)に記載の構造が知られている。特許文献1には、アキシャル荷重による保持器の損傷を防止するために、保持器の円環部の内周側を軸方向外方へと折り曲げ加工して、円環状の補強部を形成することが開示されている。
昨今においては、自動車の省燃費化のために、変速機で使用される潤滑油が少量化するとともに、動粘度の低い潤滑油を使用する傾向にもある。この場合、保持器付きころに供給される潤滑油の量が少なくなり、油膜が形成されにくくなるため、保持器ところが油膜を介することなく直接接触し、保持器ところが互いに摩耗したり、案内となる保持器外径が摩耗するおそれがある。
特に、自動車変速機に採用される遊星歯車機構では、遊星歯車が公転することから、遠心力が潤滑油に作用し、潤滑環境が一層厳しくなる。
また、特許文献1の保持器は、円環部の内周側と補強部とが折り曲げ加工により密着するように形成されているだけで、潤滑油の通油性については一切考慮されていない。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、従来よりも厳しい潤滑環境にあっても、潤滑性が損なわれない保持器付きころおよびころ軸受を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る保持器付きころは、ころと、ころを保持する保持器と、を備える保持器付きころにおいて、保持器は、一対の環状部と、一対の環状部を連結する複数の柱部と、隣り合う柱部の間に形成されたポケットとを備え、環状部は、柱部の径方向内方または外方に突出して延びる鍔部と、鍔部から連続し、鍔部の軸方向外方に折り返されることにより形成される折返し部とを有し、折返し部と鍔部との間には、潤滑油を溜めるための隙間が設けられている。
好ましくは、隙間の軸方向の間隔は、折返し部と鍔部との境界部に向かって小さくなっている。
好ましくは、隙間は、周方向全周に亘って設けられる。
好ましくは、隙間は、少なくとも周方向の一部に設けられる。
好ましくは、隙間の軸方向の最大間隔は、0.2mm以上0.7mm以下である。
本発明の一態様に係るころ軸受は、保持器付きころと、保持器の中心穴に挿通されて、ころの内側軌道面を構成する軸とを備える。
本発明によれば、従来よりも厳しい潤滑環境にあっても、潤滑性が損なわれない保持器付きころおよびころ軸受を提供することができる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
(遊星歯車機構の概要)
はじめに、図1および図2を参照して、本実施の形態の保持器付きころが用いられる遊星歯車機構の概要について説明する。図1は、遊星歯車機構を示す正面図である。図2は、遊星歯車を支持する針状ころ軸受を示す縦断面図である。
はじめに、図1および図2を参照して、本実施の形態の保持器付きころが用いられる遊星歯車機構の概要について説明する。図1は、遊星歯車機構を示す正面図である。図2は、遊星歯車を支持する針状ころ軸受を示す縦断面図である。
遊星歯車機構100は、内歯を有し外周を取り囲む内歯歯車(リングギア)101と、外歯を有し内歯歯車101の中心に配置される太陽歯車(サンギア)102と、外歯を有し内歯歯車101と太陽歯車102の間に配置される複数の遊星歯車(ピニオン)103とを備える。
複数の遊星歯車103は、1個の内歯歯車101および1個の太陽歯車102と噛合する。各遊星歯車103の中心孔にはシャフト状のピニオン軸である軸105が通される。中心孔の孔壁面は、遊星歯車103の内周面を構成する。遊星歯車103の内周面とピニオン軸105の外周面で区画される環状空間には、保持器付きころ10が配置される。
各軸105の端部は、共通するキャリア104に固定される。これにより複数の遊星歯車103は、1個のキャリア104に支持される。また各遊星歯車103は、保持器付きころ10によって回転可能とされる。各軸105の両端部はそれぞれ、ワッシャ107に通される。ワッシャ107は、保持器付きころ10の端部とキャリア104の間に配置される。なお、図2では、便宜上、ワッシャ107は遊星歯車103に当接しているが、実際はワッシャ107と遊星歯車103との間には微小隙間があり、当該隙間から潤滑油が供給されることがある。
たとえば、内歯歯車101が回転を停止したまま、太陽歯車102が図1の矢印で示すように時計回りに回転する場合、各遊星歯車103は反時計回りに自転するとともに、太陽歯車102の外周を時計回りに公転し、キャリア104が時計回りに回転する。
遊星歯車機構100は、たとえば多段化が進む自動車の自動変速機などに用いられる。遊星歯車機構100における遊星歯車103を回転可能に支持するために、保持器付きころ10が使用されている。すなわち、本実施の形態に係る保持器付きころ10は、自動車用保持器付き針状ころである。
図2を参照して、各遊星歯車103は、本実施の形態に係る保持器付きころ10を介して、軸105上に回転自在に支持されている。つまり、保持器付きころ10は、遊星歯車103を軸105に回転可能に支持するころ軸受である。
各遊星歯車103は、本実施の形態に係る保持器付きころ10を介して、保持器13の中心穴に挿通される軸105上に回転自在に支持されている。つまり、保持器付きころ10は、遊星歯車103を軸105に回転可能に支持する軸受である。また、遊星歯車支持構造は、遊星歯車103と、軸105と、保持器付きころ10とを備える。なお、図2において、保持器付きころ10の軸線をOで示している。
保持器付きころ10は、複数のころ12と1個の保持器13とで構成される。保持器13は各ころ12を保持する複数のポケット40を有する。ころ12および保持器13は金属製である。本実施の形態の保持器13は、帯鋼を丸めて端部同士を溶接した溶接保持器である。軸105の外周面は、転動体であるころ12が転動する内側軌道面である。遊星歯車103の内周面は、ころ12が転動する外側軌道面103sを含む。なお、遊星歯車103の内周面の両端部は、軸方向外側へ向かうほど拡径するテーパ面103tにされる。保持器13は、いわゆる外輪案内形式であり、外側軌道面103sと摺接することで案内される。また、本実施の形態のころ軸受は、保持器付きころ10と軸105とを備える。
軸105の内部には、潤滑油を供給するための通油孔106が形成されている。軸105の内部に形成した通油孔106を通じて潤滑油を軸105の外周面に導くことにより、ころ12の潤滑を行っている。具体的には、通油孔106は、図2の紙面上の右方から軸方向に延在する第1通油孔106aと、軸105の軸方向中央付近で外周面と連通する第2通油孔106bとを含む。軸105の通油孔106a,106bから保持器付きころ10に供給された潤滑油は、図2に矢印faで示すように、保持器13の軸方向両側に向かって、保持器13の内周面と軸105の外周面との間を通過して保持器付きころ10の軸方向外側へ流れる。次に潤滑油は、図2に矢印fcで示すように、ころ12端部と環状部20との隙間を通過して、保持器付きころ10の径方向外側へ流れる。
また、軸105の通油孔106a,106bから保持器付きころ10に供給された潤滑油は、保持器13のポケット40を通り抜け、図2に矢印fbで示すように、保持器13の外周面と遊星歯車103の内周面を潤滑する。これにより、保持器13の内周面と、軸105の外周面と、ポケット40と、保持器13の外周面と、遊星歯車103の内周面と、ころ12外周の転動面が潤滑される。
自動車の変速機において、自動車の更なる燃費向上を意図して、低粘度の潤滑油が保持器付きころ10へ供給されたり、潤滑油の攪拌抵抗を低下させるべく保持器付きころ10へと供給される潤滑油量が少量化する等の事情がある。このような自動車の燃費向上のために用いられる潤滑油の動粘度は、たとえば、100℃で2センチストークス(cSt)〜8センチストークス(cSt)である。
(実施の形態1)
次に、図3〜図5を参照して、実施の形態1に係る保持器付きころ10について説明する。図3は、保持器付きころ10を示す斜視図であり、ころ12を取り除いて保持器13だけを示している。図4は、保持器13の一部を示す断面図であり、図5は、図4に示す保持器13の環状部20を拡大して示す断面図である。
次に、図3〜図5を参照して、実施の形態1に係る保持器付きころ10について説明する。図3は、保持器付きころ10を示す斜視図であり、ころ12を取り除いて保持器13だけを示している。図4は、保持器13の一部を示す断面図であり、図5は、図4に示す保持器13の環状部20を拡大して示す断面図である。
保持器付きころ10は、複数のころ12(図2)と、当該ころ12を保持する金属製の保持器13とを備える。本実施の形態のころ12は、針状ころである。
保持器13は、一対の環状部20と、一対の環状部20を互いに連結する複数の柱部30とを有する。一対の環状部20は、柱部30の軸方向両端部に位置し、柱部30を両側から挟むように設けられる。隣り合う柱部30の間には、ころ12を収容するためのポケット40が設けられている。ポケット40は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。なお、以下の説明では、保持器付きころ10の中心軸(軸線O)に沿った方向を「軸方向」、中心軸に対して直交する方向を「径方向」、中心軸周りの円周方向を「周方向」と呼ぶ。
本実施の形態の柱部30は、その軸方向中央部領域で径方向内方に位置する柱中央部32と、軸方向端部領域で柱中央部32に対して径方向外方に位置する一対の柱端部33と、柱中央部32および一対の柱端部33それぞれの間に位置し、軸方向外方に向かって径方向外方に傾斜する一対の柱傾斜部34とを含む。また、柱部30は、柱端部33の周方向長さよりも細いくびれ部31を含む。くびれ部31は、環状部20と柱端部33とを連結している。柱中央部32、柱端部33、柱傾斜部34およびくびれ部31の径方向の肉厚は、略等しい。また、柱端部33の径方向外方の面とくびれ部31の径方向外方の面31bとは、略面一である。
図4を特に参照して、柱中央部32には、ポケット40を構成する側壁面からポケット40側へと突出するころ止め部35が設けられている。同様に、一対の柱端部33には、ポケット40を構成する側壁面からポケット40側へと突出するころ止め部36が設けられている。ころ止め部35は、ころ12のピッチ円径PCDよりも径方向内方に設けられ、径方向内方へのころ12の脱落を防止する。ころ止め部36は、ころ12のピッチ円径PCDよりも径方向外方に設けられ、径方向外方へのころ12の脱落を防止する。
図5を特に参照して、本実施の形態の環状部20は、柱部30の径方向内方に突出して延びる鍔部21と、鍔部21から連続し、鍔部21の軸方向外方に折り返されることにより形成される折返し部23とを有する。折り返すとは、鍔部21の軸方向外方の面21aと折返し部23の軸方向内方の面23aとが近接して設けられ、鍔部21と折返し部23とが、少なくとも部分的に、軸方向に重なることをいう。なお、軸方向内方とは、環状部20から柱部30を向く方向であり、軸方向外方とは、環状部20から柱部30と反対側を向く方向である。
鍔部21は、柱部30から連続しており、柱部30のくびれ部31に対して略垂直である。鍔部21の外径面22と、くびれ部31の外径面31bとは、略面一である。
折返し部23は、鍔部21の径方向内方の端部から径方向外方に連続して延びた形状であり、折り曲げ加工により形成される。折返し部23は、軸線O方向(図2)から見て、柱部30の軸方向外方に位置するくびれ部31の厚みTと重なる重なり部23bを含む。折返し部23の先端部24は、折返し部23の径方向外方に位置する。先端部24は、折返し部23の径方向端部である。折返し部23の先端部24は、柱部30のくびれ部31の径方向内方の面である内径面31aと径方向外方の面である外径面31bとの間に位置する。つまり、折返し部23の先端部24は、くびれ部31の内径面31aよりも径方向外方に位置し、外径面31bよりも径方向内方に位置する。
折返し部23の先端部24は、くびれ部31の外径面31bよりも径方向内方に位置し、くびれ部31の厚みTと重なる。なお、折返し部23の先端部24とくびれ部31の外径面31bとは、面一であってもよい。
遠心力が作用した場合の保持器13の変形は、環状部20の剛性に大きく依存する。そのため、環状部20の折返し部23が柱部30の軸方向端部と重なる重なり部23bを含むことで、環状部20の剛性を向上させることができ、保持器13に遠心力が作用した場合であっても、保持器13の変形を抑制することが可能となる。
また、折返し部23の先端部24の位置を柱部30の軸方向端部の外径面よりも径方向外方にすると、ころ12ではなく先端部24のみで遊星歯車103(図2)を案内することになり、保持器13が損傷するおそれがある。そのため、折返し部23の先端部24を柱部30の軸方向端部の外径面よりも径方向内方にすることで、確実にころ12で遊星歯車103を案内することが可能となり、保持器13の損傷を防止することができる。
上述のように、折返し部23は、鍔部21の径方向内方の端部から連続して延びた形状であり、折り曲げ加工により形成される。そのため、鍔部21の軸方向外方の面21aと折返し部23の軸方向内方の面23aとは、密着していない。すなわち、図5に示すように、折返し部23と鍔部21との間には、隙間27が設けられている。隙間27は、環状部20の周方向全周に亘って設けられる。
具体的には、隙間27は、折返し部23の軸方向内方の面23aと鍔部21の軸方向外方の面21aとの間に形成される。隙間27は、径方向外方に向かって開放する形状であり、縦断面視略V字状である。具体的には、隙間27の軸方向の間隔は、折返し部23と鍔部21との境界部25に向かって小さくなっている。隙間27の軸方向の最大間隔L1は、0.2mm以上0.7mm以下であることが好ましい。具体的には、最大間隔L1は、折返し部23の軸方向内方の面21aと鍔部21の軸方向外方の面21aとの最大間隔である。本実施の形態では、折返し部23の先端部24と軸方向内方の面21aとが交わる角部は、面取りされている。この場合の最大間隔L1は、折返し部23の先端部24と面取り部が交わる点と、先端部24の軸方向の延長線と鍔部21の軸方向外方の面21aとが交わる点との間隔である。
このような形状により、遊星歯車103の回転が停止し、保持器13の動きが停止した場合に、隙間27内に潤滑油を溜めることができる。さらに、遊星歯車103が回転し、保持器13が動き出した場合、隙間27の潤滑油は、その回転によって隙間27内を円周方向に移動しながら、径方向外方に飛ばされ、保持器13の外径面と遊星歯車103(図2)との間に供給される。このように、潤滑油の油量が少なくなった厳しい潤滑環境下においても、環状部20の潤滑性を損なうことがないため、保持器13の損傷を防止することができる。
また、隙間27は、径方向外方に向かって開放する形状であり、隙間27の軸方向の間隔が折返し部23と鍔部21との境界部25に向かって小さくなっているため、潤滑油を隙間27内に溜めやすく、径方向外方に飛ばしやすくなる。
(実施の形態2)
次に、図6,図7を参照して、実施の形態2に係る保持器付きころ10に用いられる保持器13Aについて説明する。図6は、実施の形態2に係る保持器付きころを示す平面図であり、ころを取り除いて保持器の一部だけを示す図である。図7は、図6中のVII−VII線に沿う部分端面図である。実施の形態2の保持器13Aは、基本的には、上述した実施の形態1の保持器13と同一であるが、隙間27Aが形成される点において異なる。
次に、図6,図7を参照して、実施の形態2に係る保持器付きころ10に用いられる保持器13Aについて説明する。図6は、実施の形態2に係る保持器付きころを示す平面図であり、ころを取り除いて保持器の一部だけを示す図である。図7は、図6中のVII−VII線に沿う部分端面図である。実施の形態2の保持器13Aは、基本的には、上述した実施の形態1の保持器13と同一であるが、隙間27Aが形成される点において異なる。
実施の形態1の保持器13の隙間27は、環状部20Aの周方向全周に亘って設けられていたが、本実施の形態の保持器13Aは、隙間27Aの周方向の一部に、本実施の形態の隙間27Aが設けられている。隙間27Aは、周方向において少なくとも一箇所設けられていればよく、周方向において断片的に複数設けられていてもよい。隙間27Aの径方向内方には、密着部26Aが設けられる。密着部26Aは、潤滑油が侵入しない程度に鍔部21と折返し部23とが完全にくっついている。溶接部26Aは、たとえば溶接によって形成することができる。
このような形状により、遊星歯車103が回転し、保持器13が動きだした場合、隙間27Aの潤滑油は、その回転によって隙間27内を円周方向に移動して密着部26Aに衝突し、径方向外方に飛ばされるため、保持器13の外径面と遊星歯車103との間に容易に潤滑油を供給することができる。
(変形例)
次に、図9,図10を参照して、保持器の変形例について説明する。図9は、保持器の変形例を示す断面図であり、図10は、保持器の他の変形例を示す断面図である。
次に、図9,図10を参照して、保持器の変形例について説明する。図9は、保持器の変形例を示す断面図であり、図10は、保持器の他の変形例を示す断面図である。
図9の保持器13Bは、環状部20が上述した実施の形態1の環状部20と同様であったが、柱部30Bの構成において異なっていた。つまり、上記実施の形態の保持器13は、柱部30が柱中央部32と一対の柱端部33と一対の柱傾斜部34とを含んでいる、いわゆるM型保持器であったが、図9に示すように、柱部30Bが柱中央部32と一対の柱傾斜部34とを含んでいない保持器を用いてもよい。
この場合の保持器13Bは、軸方向に離間した一対の環状部20と、軸方向に延在して環状部20同士を連結する複数の柱部30Bとを有する。周方向に沿って隣り合う柱部30B間にポケット40が形成され、そのポケット40に針状ころ12(図示せず)が配置される。
図10の保持器13Cは、いわゆる逆M型保持器であり、一対の環状部20Cと、環状部20Cを連結する柱部30Cとを有する。具体的には、柱部30Cは、その軸方向中央部領域で径方向外方に位置する柱中央部32Cと、軸方向端部領域で柱中央部32Cに対して径方向内方に位置する一対の柱端部33Cと、柱中央部32Cおよび一対の柱端部33Cそれぞれの間に位置し、軸方向外方に向かって径方向内方に傾斜する一対の柱傾斜部34Cと、柱端部33Cと環状部20Cを連結するくびれ部31とを含む。
柱中央部32Cには、径方向外方へのころ12の脱落を防止するころ止め部35Cが設けられている。同様に、一対の柱端部33Cには、径方向内方へのころ12の脱落を防止するころ止め部36Cが設けられている。
環状部20Cは、くびれ部31から連続して径方向外方に延びる鍔部21Cと、鍔部21Cから連続して径方向内方に延びる折返し部23Cとを有する。折返し部23Cの先端部24Cは、柱部30Cのくびれ部31の内径面31aと外径面31bとの間に位置する。具体的には、折返し部23Cの先端部24Cは、柱部30Cのくびれ部31の内径面31aよりも径方向外方に位置する。なお、折返し部23Cの先端部24Cは、くびれ部31の内径面31aよりも径方向内方に延びて設けられていてもよい。また、鍔部21Cと折返し部23Cとの間の隙間27Cは、径方向内方に設けられ、鍔部21Cと折返し部23Cとの境界部25Cは径方向外方に設けられる。
なお、上記実施の形態では、折返し部23,23Cの先端部24,24Cは、柱部30,30Cのくびれ部31の内径面と外径面との間に位置するとして説明した。しかし、保持器付きころ10にくびれ部31が設けられていない場合は、折返し部23,23Cの先端部24,24Cは、柱部30の軸方向端部、つまり、M型保持器および逆M型保持器の場合にあっては、柱端部33,33Cの内径面と外径面との間に位置すればよい。
また、上記実施の形態において、ポケット40に収容するころ12は、針状ころを用いたが、これに限らず、たとえば、円筒ころ、棒状ころなどを用いても構わない。
さらに、上記実施の形態において、保持器付きころ10は、単列の保持器付きころとして説明したが、複列の保持器付きころであってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 保持器付きころ、12 ころ、13,13A,13B,13C 保持器、20,20A,20C 環状部、21,21C 鍔部、23,23C 折返し部、25 境界部、27 隙間、30,30B,30C 柱部、40 ポケット、105 軸。
Claims (6)
- ころと、前記ころを保持する保持器と、を備える保持器付きころにおいて、
前記保持器は、一対の環状部と、前記一対の環状部を連結する複数の柱部と、隣り合う前記柱部の間に形成されたポケットとを備え、
前記環状部は、前記柱部の径方向内方または外方に突出して延びる鍔部と、前記鍔部から連続し、前記鍔部の軸方向外方に折り返されることにより形成される折返し部とを有し、
前記折返し部と前記鍔部との間には、潤滑油を溜めるための隙間が設けられている、保持器付きころ。 - 前記隙間の軸方向の間隔は、前記折返し部と前記鍔部との境界部に向かって小さくなっている、請求項1に記載の保持器好きころ。
- 前記隙間は、周方向全周に亘って設けられる、請求項1または2に記載の保持器付きころ。
- 前記隙間は、少なくとも周方向の一部に設けられる、請求項1または2に記載の保持器付きころ。
- 前記隙間の軸方向の最大間隔は、0.2mm以上0.7mm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の保持器付きころ。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の保持器付きころと、
前記保持器の中心穴に挿通されて、前記ころの内側軌道面を構成する軸とを備える、ころ軸受。
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