JP2021011078A - 化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法 - Google Patents

化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法 Download PDF

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篤之 中尾
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Abstract

【課題】 高い不燃性能と好ましい印刷適性による高い意匠性とを両立させ、かつ適度な剛性を持ち、効率的に生産することが可能な化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法を提供する。【解決手段】 本発明の化粧シートは、ガラス繊維を含む層と、ヒートシール層と、ポリエステル系樹脂層と、表面意匠層と、がこの順に積層されてなり、ガラス繊維を含む層は、シート状のガラス繊維に対し塩化ビニル系樹脂を含浸させたものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、高い不燃性能と高い意匠性を両立させ、かつ軽量な化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法に関するものである。
東日本大震災などでの天井落下による被害拡大を受けて、内装用天井材として軽量な膜天井材の需要が高まっている。内装用天井材として使用するためには、軽量かつ不燃性能を持つことが必須であり、さらに近年では木目絵柄などのような高い意匠性も求められている。
不燃性能を得るために、ガラス繊維や塩化ビニルシートを使用した製品が提案されている。
例えば特許文献1においては、ガラス繊維の両面に着色された塩化ビニル層を配置し、該塩化ビニル層をガラス繊維表面の粗面を平滑化して印刷適性を向上せしめる平滑化層として利用し、当該層の表面にグラビア印刷法により意匠層を形成した天井用などに使用可能な化粧シートが提案されている。
また特許文献2においては、ガラスクロスの一方の面に、接着剤層を介して、プライマー層、ポリエステル系樹脂フィルム、印刷インキ層、アクリル系樹脂塗料から形成される表面保護層がこの順に積層された化粧シートを貼り付けられた不燃シートが提案されている。
特開2014−117850号公報 特開2017−170785号公報
特許文献1においては、塩化ビニル層に対しグラビア印刷法により印刷層を形成している。塩化ビニル系樹脂はその特性上溶剤に弱いためグラビア印刷法はあまり適さず、また、印刷時にタルミや縮みなどが発生しやすいため、意匠性を向上させるための着色ベタ層をグラビア印刷で形成することや、表面保護層を形成するためのクリア層を塗布することが困難であるという問題がある。
また特許文献2においては、ポリエステル系樹脂フィルムに対し印刷インキ層を形成するため、上記特許文献1における塩化ビニル層の印刷適性があまり良くない問題は生じない。
しかしながら、特許文献2の不燃シートは、塩化ビニル系樹脂フィルムの代わりにポリエステル系樹脂フィルムを使用しているため、ガラスクロスとの積層に関し、塩化ビニル系樹脂フィルムにおいて従来行われている熱によるラミネートをポリエステル系樹脂フィルムに適用することは困難である。
さらに特許文献2の不燃シートは、物理的強度に係る主な層構成として、ガラスクロスとポリエステル系樹脂フィルムとからなるシートであるため、いわゆるコシ(剛性)がない。そのため、取り扱い難く、また膜天井として設置した後も安定感がなく膜天井材として適さないといった問題がある。
また、かかる膜天井材における燃焼試験での不燃性能獲得には、下記2つの項目を満たす必要があるが、ポリエステル系樹脂は塩化ビニル系樹脂に比べて、樹脂自体の不燃性能が低いため、膜天井材の形態でかかる不燃性能を確保するために、ポリエステル系樹脂を薄膜化せざるを得ない。その結果、膜天井のコシが無くなる傾向となり、膜天井のコシと不燃性能との両立は困難となる。
ア.発熱速度200kW/m2超過時間(10s以内)
イ.総発熱量8MJ/m2以内
以上から、本発明の目的は、高い不燃性能と好ましい印刷適性とによる高い意匠性を両立させ、かつ適度な剛性を持ち、効率的に生産することが可能な化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法を提供することである。
本発明の化粧シートは、ガラス繊維を含む層と、ヒートシール層と、ポリエステル系樹脂層と、表面意匠層と、がこの順に積層されてなり、ガラス繊維を含む層は、シート状のガラス繊維に対し塩化ビニル系樹脂を含浸させたものである化粧シートである。
上記化粧シートにおいて、表面意匠層のポリエステル系樹脂層とは反対の面側に表面保護層を有していてもよい。
上記化粧シートにおいて、ガラス繊維を含む層のヒートシール層とは反対の面側に裏面樹脂層を有していてもよい。
上記化粧シートにおいて、裏面樹脂層のガラス繊維を含む層とは反対の面側に裏面意匠層を有していてもよい。
上記化粧シートにおいて、裏面意匠層の裏面樹脂層とは反対の面側に裏面保護層を有していてもよい。
上記化粧シートは、ISO5660−1に準拠した発熱性試験において、200kW/m2超過時間が10秒以下であり、総発熱量が8MJ/m2以下であってもよい。
本発明の建築物内装材は、上記化粧シートを有する建築物内装材である。
本発明の化粧シートの製造方法は、ポリエステル系樹脂層の一方の面側に表面意匠層が形成され、他方の面側にヒートシール層が形成された意匠付きポリエステル系樹脂シートを準備する工程と、該意匠付きポリエステル系樹脂シートの他方の面側と、ガラス繊維を含む層とを熱ラミネートする工程とを有し、該ガラス繊維を含む層は、シート状のガラス繊維に対し塩化ビニル系樹脂を含浸させたものである化粧シートの製造方法である。
上記化粧シートの製造方法において、意匠付きポリエステル系樹脂シートは、表面意匠層のポリエステル系樹脂層とは反対の面側に表面保護層を有していてもよい。
上記化粧シートの製造方法において、ガラス繊維を含む層のヒートシール層とは反対の面側に裏面樹脂層を有していてもよい。
上記化粧シートの製造方法において、裏面樹脂層のガラス繊維を含む層とは反対の面側に裏面意匠層を有していてもよい。
上記化粧シートの製造方法において、裏面意匠層の裏面樹脂層とは反対の面側に裏面保護層を有していてもよい。
本発明によれば、高い不燃性能と好ましい印刷適性による高い意匠性とを両立させ、かつ適度な剛性を持ち、効率的に生産することが可能な化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態の層構成の概略を示す概略断面図 本発明の第2実施形態の層構成の概略を示す概略断面図 本発明の第3実施形態の層構成の概略を示す概略断面図 本発明の第4実施形態の層構成の概略を示す概略断面図 本発明の第5実施形態の層構成の概略を示す概略断面図 本発明の第6実施形態の層構成の概略を示す概略断面図 本発明の第7実施形態の層構成の概略を示す概略断面図 本発明の第8実施形態の層構成の概略を示す概略断面図
〔化粧シート〕
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図1を参照して説明する。なお、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状、装飾などは理解を容易にするため適宜誇張、単純化などしている。また説明に直接的な関係しない構成などについては適宜省略している。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
図1に本発明の第1実施形態に係る化粧シート1を示す。
第1実施形態に係る化粧シート1は、図1における下側から、ガラス繊維を含む層21と、ヒートシール層13と、ポリエステル系樹脂層11と、表面意匠層12と、がこの順に積層されている。そしてガラス繊維を含む層21は、シート状のガラス繊維に対し塩化ビニル系樹脂を含浸させ、ガラス繊維を含む層21を構成するガラス繊維間の空隙に塩化ビニル系樹脂を充填させて、ガラス繊維と塩化ビニル系樹脂とを複合一体化させたものである。なお上記積層順を乱さず、本発明の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けても良い。また化粧シートのうち、ポリエステル系樹脂層11の一方の面側に表面意匠層12が積層され、ポリエステル系樹脂層11の他方の面側にヒートシール層13が積層された状態のシート、すなわち図1における下側から、ヒートシール層13と、ポリエステル系樹脂層11と、表面意匠層12とがこの順に積層されているシート、を意匠付きポリエステル系樹脂シート10と呼ぶ場合がある。
以下、本発明の化粧シート1における各構成について詳細に説明する。
本発明の化粧シート1において、ガラス繊維を含む層21は、ガラス織布あるいはガラス不織布などのようなシート状のガラス繊維に対し塩化ビニル系樹脂を含浸させ複合一体化させたものである。厚さは50μm以上1500μm以下が好ましい。化粧シート1として形成された際の厚さ、強度、重量などを加味し適当なものを選択すればよく、一例として100μmである。
ガラス繊維は、ガラス、好ましくは石英ガラスなどの無アルカリガラスを融解、牽引して繊維状にしたものである。
ガラス繊維としては、シラン化合物で表面処理されたものを使用することが好ましい。表面処理剤としてのシラン化合物としては、カップリング剤や、その重合物からなるポリシロキサンが使用できる。このようなシラン系カップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシランの他、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン等を挙げることが出来る。ガラス繊維に表面処理を行う方法は、例えば、シラン化合物を含有する溶液をガラス繊維表面に塗布、乾燥して行うことが出来る。シラン化合物の付着量は、通常、ガラス繊維100質量部に対して0.05〜5質量部程度である。なお、ここで、「(メタ)アクリル」とは「アクリルまたはメタクリル」を意味する。以下も同様である。
ガラス繊維を含む層21は、ガラス織布を有する層であることが好ましい。ガラス織布とは、ガラス繊維の束を糸として、経糸と緯糸から製織したものである。製織する前に、二つ以上のガラス繊維の束を予め合撚してもよい。経糸の織り密度を20〜75本/25mm、緯糸の織り密度を20〜75本/25mmとなるように平織りで形成されたものであることが好ましく、織り密度の一例としては、経糸、緯糸とも32本/25mmである。ガラス織布は、高い不燃性能を有し、シート状のガラス繊維として容易に入手することができ、またガラス不織布より引張強度に優れるからである。
ガラス繊維を含む層21は、ガラス不織布を有する層であってもよい。ガラス不織布は例えば、ガラス繊維を水中に分散させ、抄紙機で抄造する湿式法で製造され、アクリル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂等のバインダーを用いて、ガラス繊維同士を結着させたものである。ガラス不織布は、高い不燃性能を有し、シート状のガラス繊維として容易に入手することができ、かつガラス織布より安価である。
ガラス繊維を含む層21は、シート状のガラス繊維に対し塩化ビニル系樹脂を含浸させたものである。
なお、塩化ビニル系樹脂とは、以下のいずれかの形態の樹脂を意味する総称である。
(1)塩化ビニル単量体(monomer)の単独重合体、すなわち狭義のポリ塩化ビニル。
(2)塩素化ポリ塩化ビニル。
(3)塩化ビニル単量体に塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体を共重合させた塩化ビニル共重合体、ここで他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、エチレン、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、アクリロニトリル、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等が挙げられる。
(4)前記(1)のポリ塩化ビニル、前記(2)の塩素化ポリ塩化ビニル、前記(3)の塩化ビニル共重合体のいずれか2種または3種の混合物。
(5)前記(1)のポリ塩化ビニル、前記(2)の塩素化ポリ塩化ビニル、前記(3)の塩化ビニル共重合体のいずれか1種または2種以上、あるいは(4)の混合物に、さらに、他の樹脂を混合した混合物。ここで他の樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
なお、前記(1)から(5)に列記の各種塩化ビニル系樹脂には、必要に応じて、各種添加剤を添加する。該添加剤としては、可塑剤、熱安定剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤等)、紫外線吸収剤(UVA)、界面活性剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤等が挙げられる。
これら添加剤のうち、可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート(略称DOP)、ジイソノニルフタレート(略称DINP)等のフタル酸エステル系可塑剤、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート(略称TOTM)、トリ−n−オクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤等が挙げられる。
紫有機系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のヒドロキフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等のトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
無機系紫外線吸収剤としては、例えば、平均粒径200nm以下の酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄等の金屬酸化物粒子等が挙げられる。
一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
なお、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
上述の通り、ガラス繊維を含む層21は、シート状のガラス繊維に対し塩化ビニル系樹脂を含浸させ複合一体化させたものである。このようなガラス繊維を含む層21であれば、塩化ビニル系樹脂とヒートシール層13とが接触するため、ガラス繊維を含む層21と、意匠付きポリエステル系樹脂シート10(に含まれるヒートシール層13)とを、従来の塩化ビニル系樹脂フィルムと同様に、熱ラミネートにより強固かつ効率的に接着することができる。また、後述する裏面樹脂層31が存在しない場合には、ガラス繊維を含む層21が化粧シート1の裏面として機能することになるが、樹脂が含浸していることにより、化粧シート1の裏面としての機能を向上させることができる。
また、ガラス繊維を含む層21の繊維間に塩化ビニル系樹脂を含浸することによって、これとポリエステル系樹脂層とを積層してなる本発明の化粧シートに適度なコシ(剛性)を付与することができる。しかも、含浸する塩化ビニル系樹脂に可塑剤を適量添加することにより、塩化ビニル系樹脂、更には、本発明の化粧シートのコシ(剛性)の程度を個々の用途に応じて適宜加減して最適化することができる。
塩化ビニル系樹脂は、ポリエステル系樹脂と比べて、樹脂自体の不燃性能に優れるため、化粧シート1を構成する樹脂の比率を高めても、化粧シート1の不燃性能を維持しつつ化粧シートに適度なコシ(剛性)を付与し、かつガラス繊維を含む層21とヒートシール層13とのヒートシール性、すなわち、加熱熔融により接着性を発現させ、しかる後冷却により接着状態を固定維持する性能を向上することができる。
ポリエステル系樹脂層11は、ポリエステル系樹脂により形成された層である。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(略称PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体、各種ポリエステル系熱化塑性エラストマー等を挙げることができる。これらは、1種単独であるいは2種以上を適宜質量比で混合した混合物の形で用いることができる。
また、ポリエステル系樹脂層11の厚さは20〜100μmであることが好ましい。表面意匠層12を形成する印刷工程においてポリエステル系樹脂層11は被印刷物となるが、その厚さが20μmを下回る場合には、伸びやたるみなど印刷工程におけるハンドリング性が悪く、表面意匠層12を好適に形成することが困難となる。また100μmを上回る場合には化粧シート1全体としてのしなやかさが損なわれたり、有機質量が大きくなることにより不燃性能が損なわれ、膜天井材として適さなくなったりするからである。ポリエステル系樹脂層11の一例としては、厚さ50μmのPETフィルムである。
また、かかるポリエステル系樹脂層11は、化粧シート1に所望のコシ(剛性)、機械的強度等の諸物性に応じて、1軸延伸または2軸延伸を施す。通常は、2軸延伸したものが使用される。
そしてポリエステル系樹脂層11は着色されていることが好ましい。化粧シート1を表面意匠層12側から観察した際に、ガラス繊維を含む層21を視覚的に隠蔽する効果を高めることができ、また表面意匠層12の見かけ上の色を補うことにより、濃度の濃い深みのある色を表現することが可能となるからである。
このようなポリエステル系樹脂層11は、製造時においてポリエステル系樹脂粉末に着色剤を配合して調製したコンパウンドを作り、そのコンパウンドを種々の加工機械に供給し、加工成形して成膜することで得ることができる。着色剤は顔料、染料のいずれでも構わないが、顔料が用いられることが多く、白色に着色する場合には、例えば、チタン白(二酸化チタン)、シリカ、亜鉛華(酸化亜鉛)、アンチモン白(酸化アンチモン)等の粒子からなる顔料を1種単独で、あるいは2種以上混合したものなどが用いられる。これらのように、無機顔料で白色化されたものは、紫外線の反射率が上がるため、耐久性が向上する。
ポリエステル系樹脂層11は、その一方の表面上に表面意匠層12を印刷形成するため、その印刷面(図1においてはポリエステル系樹脂層11の上側の面)の表面粗さは小さいことが好ましい。該印刷面の表面粗さとしては、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:1994の算術平均粗さRaが、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.1μm以下とする。
本発明の第1実施形態においては、表面意匠層12は、ポリエステル系樹脂層11の図1における上面側に形成されるものである。
なお、ポリエステル系樹脂層11が不透明の場合は、図1のごとく、表面意匠層12は、専ら、化粧シート1におけるガラス繊維を含む層21に面する側とは反対側の面の表面側に形成される。これは、仮に表面意匠層12を化粧シート1におけるガラス繊維を含む層21に面する側に形成すると、表面意匠層12が不可視となるためである。
一方、ポリエステル系樹脂層11が透明の場合は、表面意匠層12を図1に示すごとく形成しても良いし、あるいは、図示は略すが、ポリエステル系樹脂層11におけるガラス繊維を含む層21に面する側(図1におけるポリエステル系樹脂層11の下側の面)に形成してもよい。
なお、ここで「透明」の語は、無色透明、着色透明の両方を包含する概念として用いる。
表面意匠層12の絵柄としては、例えば木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様柄、単色ベタ柄、単色グラデーション等を挙げることができる。その形成方法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法、オフセット印刷法等の有版印刷法、インクジェット印刷法、各種転写印刷法等の無版印刷法等の各種印刷方法が適用可能であるが、グラビア印刷法あるいはインクジェット印刷法が好ましく、とりわけグラビア印刷法が好ましい。高精細かつ階調表現の豊かな、すなわち高い意匠性を有する印刷が可能であり、また大量生産する場合には高速な印刷が可能であるため費用面で有利である。一方、インクジェット印刷法の場合には、表面意匠層12を形成しようとする面の平滑性が比較的悪くても適用でき、高精細な印刷が可能である。また段取り時間が短く機動性の高い印刷が可能であるため、少量生産に適している。
本発明における表面意匠層12は、ガラス繊維を含む層21に積層(熱ラミネートや接着)される前に、ポリエステル系樹脂層11の一方の面側に形成(通常は印刷)される。ポリエステル系樹脂層11表面の平滑性に関し、ガラス繊維を含む層21に積層される前後を比較すると、積層前の平滑性の方が高いため、本発明においては、表面意匠層12をグラビア印刷法により好適に形成することができ、すなわち高い意匠性を有する化粧シート1とすることができる。
表面意匠層12の形成(通常は印刷)に用いるインキは、公知の着色剤(染料又は顔料)を樹脂、すなわちバインダー樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得ることができる。着色剤として、無機顔料、有機顔料、金属粉顔料、真珠光沢顔料、蛍光顔料、夜光顔料等が挙げられる。例えば、無機顔料としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、黄鉛、カドミウムレッド等を、有機顔料としては、アゾメチンアゾ系黒顔料、ペリレン系黒顔料、各種色相の有彩色アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ニッケル−アゾ錯体、ジオキサジン顔料等を、金属粉顔料としては、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の鱗片状箔片を、真珠光沢顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の鱗片状箔片を挙げることができる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用したり、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに使用したりしてもよい。
表面意匠層12に使用する樹脂(バインダー樹脂)としては、各種ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体のアクリル系樹脂、ポリオール化合物を主剤としイソシアネート化合物を硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン等を使用することもできる。上記樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記樹脂には架橋剤、重合開始剤、または、重合促進剤を添加して、塗膜強度、および耐久性を向上させることが好ましく、上記樹脂のなかでは アクリル系樹脂またはアクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物が好ましい。アクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物の場合、混合の質量比は、[アクリル系樹脂の質量]/[塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の質量]は2/8〜8/2の範囲とすることが、表面意匠層12のポリエステル系樹脂層11への印刷適性と密着性、並びに耐候性、耐擦傷性等の耐久性の点で好ましい。
表面意匠層12の厚さは、通常は1μm以上49μm以下であり、好ましくは2μm以上25μm以下である。
ヒートシール層13は、加熱熔融により接着性を発現させ、しかる後冷却により接着状態を固定維持する形態で接着する接着剤、すなわち、ヒートシール型接着剤(単にヒートシールとも略称する)からなる層である。ヒートシール型接着剤は、2液硬化型接着剤に比べて、冷却のみにより短時間で高い初期接着力を得ることができ、紫外線または電子線硬化型接着剤に比べて、接着のための付帯設備が簡便安価である利点を持つ。
意匠付きポリエステル系樹脂シート10とガラス繊維を含む層21とを接着するために、意匠付きポリエステル系樹脂シート10に含まれるポリエステル系樹脂層11と、ガラス繊維を含む層21との間に形成される層である。ヒートシール層13の組成としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂などの塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系共重合樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂等を挙げることができ、中でも塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。具体的には、低Tg(ガラス転移点50℃程度)のアクリル系樹脂、アクリルポリオールとウレタンとの混合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリルと塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の混合樹脂、ウレタン樹脂などを挙げることができる。ポリエステル系樹脂層11と、ガラス繊維を含む層21とは、ヒートシール層13を介して熱ラミネートにより積層されることが好ましい。
また、ポリエステル系樹脂層11と同色とした着色ポリエステル系樹脂組成物からなるヒートシール層13をコーティングして、別途、該成膜済みのポリエステル系樹脂層11とガラス繊維を含む層21とを熱ラミネートしたような場合には、化粧シート1において、ポリエステル系樹脂層11とヒートシール層13との両層が存在しているにも関わらず、両層(11と13)が異なる層として識別できないこともあり得る。
また、ヒートシール層13の厚さは0.5〜50μmであることが好ましい。0.5μmを下回る場合にはヒートシール性が損なわれガラス繊維を含む層21との接着が困難となり、50μmを上回る場合には有機質量が大きくなることにより不燃性能が損なわれ、膜天井材として適さなくなったりするからである。
本発明においては、ガラス繊維を含む層21は、シート状のガラス繊維に対し塩化ビニル系樹脂を含浸させたものである。そのため上述の通り、ガラス繊維を含む層21と、意匠付きポリエステル系樹脂シート10に含まれる層もしくはヒートシール層13とを、従来の塩化ビニル系樹脂フィルムと同様に、熱ラミネートにより強固かつ効率的に接着することができる。また、後述する裏面樹脂層31が存在しない場合には、ガラス繊維を含む層21が化粧シート1の裏面として機能することになるが、樹脂が含浸していることにより、化粧シート1の裏面としての機能を向上させることができる。
また本発明においては、ポリエステル系樹脂層11に対し表面意匠層12を形成している。そのため、塩化ビニル系樹脂に対して表面意匠層12を形成しようとする場合に懸念される、塩化ビニル系樹脂が特性上溶剤に弱く、また印刷時にタルミや縮みなどが発生しやすいため、意匠性を向上させるための着色ベタ層をグラビア印刷で形成することや、表面保護層を形成するためのクリア層を塗布することが困難である、という問題を回避することができる。すなわち本発明においては、表面意匠層12を形成する対象の原反(被印刷物)がポリエステル系樹脂層11であるためグラビア印刷法を好適に適用することができ、また意匠性を向上させるための着色ベタ層や、表面保護層を形成するためのクリア層をグラビア印刷で好適に形成することが可能であるという利点を有する。
このように本発明の化粧シート1は、塩化ビニル系樹脂を含浸させたガラス繊維を含む層21、やはり塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂などから形成されるヒートシール層13、およびポリエステル系樹脂層11を主体としているため、高い不燃性能を有する。そして、それからなる比較的簡単な層構成からなり、またポリエステル系樹脂層11は塩化ビニル系樹脂シートより寸法安定性に優れグラビア印刷に適しているため、より剥膜のフィルムを使用できる。そのため、本発明に係る化粧シート1は塩化ビニル系樹脂シートを使用した場合のものに比べ軽量なものとなっており、膜天井材として好適に使用することができる。
仮に、ポリエステル系樹脂層11とガラス繊維を含む層21とをヒートシール層13を介して熱ラミネートされたシートに対し、表面意匠層12をグラビア印刷法などの印刷方法により形成しようとする場合には、該熱ラミネートされたシートにおける表面意匠層12の形成対象面であるポリエステル系樹脂層11の表面は、ガラス繊維を含む層21の影響により凹凸が大きい。そのため、特にグラビア印刷法においては、版胴と該熱ラミネートされたシートとの接触が断続的となり満足な印刷ができない。
また、ポリエステル系樹脂層11、ガラス繊維を含む層21、およびヒートシール層13を含む該熱ラミネートされたシートは、ポリエステル系樹脂層11と比較してコストが高い。グラビア印刷法では、印刷開始時・終了時の利用不能部分、色合わせ、見当合わせ等に相応のロスが発生するため、コストの高い原反を使用することは望ましくない。インクジェット印刷法でも厳密に意匠を再現する場合、同様に色合わせによるロスが発生する。
一方、本発明においては、単層の(すなわち、ガラス繊維を含む層21が未積層の状態において、)ポリエステル系樹脂層11に対し表面意匠層12を形成するものである。そのため本発明においては、ポリエステル系樹脂層11上に表面意匠層12を形成する際に、ガラス繊維を含む層21表面に起因する凹凸の影響を受けることがない。そのため、グラビア印刷法やインクジェット印刷法による、多色かつ高精細な印刷が可能となり、高い意匠性を有する化粧シートを得ることができる。また、ロスの発生量が多い見当合わせや色合わせの段階で、ラミネート品全体ではなくコストの安いポリエステル系樹脂シートのみを使用するため、すなわち化粧シート製造全体のコストを低減することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について、図2を参照して説明する。第2実施形態における化粧シート101は図2に示す通り、図1に示す第1実施形態における化粧シート1と比較して、表面意匠層12のポリエステル系樹脂層11とは反対の面側(図1、図2における上面側)に表面保護層15を有している点が異なっている。
すなわち図2に示す第2実施形態に係る化粧シート101は、図2における下側から順に、ガラス繊維を含む層21と、ヒートシール層13と、ポリエステル系樹脂層11と、表面意匠層12と、表面保護層15と、がこの順に積層されている。なお上記積層順を乱さず、本発明の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けても良い。また、表面保護層15を有する形態においては、ヒートシール層13と、ポリエステル系樹脂層11と、表面意匠層12と、に加えさらに表面保護層15と、がこの順に積層されているシート、を意匠付きポリエステル系樹脂シート10と呼ぶ場合がある。
表面保護層15は、上記の通り、表面意匠層12の観察面側(ポリエステル系樹脂層11が積層される面側とは反対の面側)に積層され、表面意匠層12を保護する役目を担っている。表面保護層15の主成分は、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、ポリ4フッ化エチテン等のフッ素系樹脂、シリコン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、上記で説明したポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体等のアクリル系樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂などを挙げることができる。表面保護層15は、上記主成分からなる樹脂を、グラビア印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法などの各種印刷方法、あるいは塗装などにより形成することができる。あるいは上記主成分からなる樹脂フィルムを、意匠付きポリエステル系樹脂シート10の表面意匠層12側の面に積層することで形成することもできる。好ましくはウレタン樹脂系のインキをグラビア印刷することで形成される。これらの表面保護層には紫外線吸収剤・光安定剤等の耐候性、艶調整剤、難燃剤、防カビ剤等の添加剤を添加してもよい。
また、厚さは0.5〜100μmであることが好ましい。0.5μmを下回る場合には一様に形成することが困難となり、また保護効果が少なく、100μmを上回る場合には化粧シート101全体としてのしなやかさが損なわれたり、重量が大きくなることにより、不燃性能を満たさなくなったりするからである。
第2実施形態に係る化粧シート101においては、第1実施形態における化粧シート1の効果に加え以下の効果を得ることができる。
表面保護層15が形成されることにより表面意匠層12を保護することができる。表面意匠層12を物理的(機械的)に保護するのみでなく、表面保護層15に紫外線吸収などの機能を待たせることにより、例えば表面意匠層12の褪色を軽減することができる。また表面保護層15により、耐薬品性、耐傷性、防汚染性等の表面性能を付与することができる。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について、図3を参照して説明する。第3実施形態における化粧シート201は図3に示す通り、図1に示す第1実施形態における化粧シート1と比較して、ガラス繊維を含む層21のヒートシール層13とは反対の面側(図1、図3における下面側)に裏面樹脂層31を有している点が異なっている。
すなわち図3に示す第3実施形態に係る化粧シート201は、図3における下側から順に、裏面樹脂層31と、ガラス繊維を含む層21と、ヒートシール層13と、ポリエステル系樹脂層11と、表面意匠層12と、がこの順に積層されている。なお上記積層順を乱さず、本発明の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けても良い。
裏面樹脂層31は、上記の通り、ガラス繊維を含む層21の図3における下面側(ヒートシール層13が積層される面側とは反対の面側)に積層される。裏面樹脂層31は樹脂フィルムであることが好ましく、その主成分は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体、ポリエステル系熱化塑性エラストマー等のポリエステル系樹脂、上記で説明した塩化ビニル系樹脂、上記で例示したアクリル系樹脂などを挙げることができる。このようなシート状の裏面樹脂層31をガラス繊維を含む層21の裏面側に熱ラミネートあるいは接着剤などを用いて積層する。
また、厚さは20〜250μmであることが好ましい。20μmを下回る場合には、積層することによって得られるコシ(剛性)の効果に乏しく、また施工時のハンドリング性が悪い。また250μmを上回る場合には化粧シート1全体としてのしなやかさが損なわれ、また、有機質量が大きくなることにより不燃性能が悪化する。裏面樹脂層31の一例としては、厚さ50μmのPETフィルムである。
第3実施形態に係る化粧シート201においては、第1実施形態における化粧シート1の効果に加え以下の効果を得ることができる。
裏面樹脂層31が形成されることによりガラス繊維を含む層21の裏面側を物理的(機械的)に保護することができる。また、裏面樹脂層31が形成されない形態の化粧シート1においては、塩化ビニル系樹脂を含浸させたガラス繊維を含む層21、およびポリエステル系樹脂層11を主体としているため、膜天井材としてはいわゆるコシ(剛性)が不足気味であることも考えられる。しかしながら裏面樹脂層31が形成される本実施形態における化粧シート201であれば、膜天井材として、適度なコシ(剛性)を得ることができる。この適度なコシ(剛性)の観点からすれば、裏面樹脂層31は塩化ビニル系樹脂シートからなるものであることが好ましい。また、異種のフィルムの貼合ではそりが発生するリスクがあるため、そりがないことが望ましい用途ではポリエステル系樹脂層11と同種のポリエステル系樹脂が好ましい。
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態について、図4を参照して説明する。第4実施形態における化粧シート301は図4に示す通り、図3に示す第3実施形態における化粧シート201と比較して、裏面樹脂層31のガラス繊維を含む層21とは反対の面側に裏面意匠層32を有している点が異なっている。
すなわち図4に示す第4実施形態に係る化粧シート301は、図4における下側から順に、裏面意匠層32と、裏面樹脂層31と、ガラス繊維を含む層21と、ヒートシール層13と、ポリエステル系樹脂層11と、表面意匠層12と、がこの順に積層されている。なお上記積層順を乱さず、本発明の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けても良い。
裏面意匠層32は、裏面樹脂層31の図4における下面側に形成されるものである。裏面意匠層32の絵柄としては、表面意匠層12と同様に、例えば木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様柄、単色ベタ柄、単色グラデーション等を挙げることができる。表面意匠層12と同種の絵柄であっても良く、異なる種類の絵柄であっても良い。上記絵柄のうち、単色ベタ柄、単色グラデーション等については、ガラス繊維を含む層21の隠蔽や、化粧シートの光透過性の調整を目的としている場合もあるが、この様な場合も裏面意匠層32に含まれるものとする。裏面意匠層32の形成方法としては、表面意匠層12と同様に、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法、オフセット印刷法等の有版印刷法、インクジェット印刷法、各種転写印刷法等の無版印刷法等の各種印刷方法が適用可能であるが、表面意匠層12の印刷方法と同じである必要はない。中でも、グラビア印刷法あるいはインクジェット印刷法が好ましく、とりわけグラビア印刷法が好ましい。高精細かつ階調表現の豊かな、すなわち高い意匠性を有する印刷が可能であり、また大量生産する場合には高速な印刷が可能であるため費用面で有利である。一方、インクジェット印刷法の場合には、裏面意匠層32を形成しようとする面の平滑性が比較的悪くても適用でき、高精細な印刷が可能である。また段取り時間が短く機動性の高い印刷が可能であるため、少量生産に適している。
裏面意匠層32の形成(通常は印刷)に用いるインキは、表面意匠層12の場合と同様に、公知の着色剤(染料又は顔料)を樹脂、すなわちバインダー樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得ることができる。着色剤(染料又は顔料)、およびバインダー樹脂についても表面意匠層12の場合と同様なものを挙げることができる。表面意匠層12の形成に用いるインキと同種のインキである必要はない。
裏面意匠層32の厚さは、通常は1μm以上49μm以下であり、好ましくは2μm以上25μm以下である。
第4実施形態に係る化粧シート301においては、第3実施形態における化粧シート201の効果に加え以下の効果を得ることができる。
本発明における裏面意匠層32は、ガラス繊維を含む層21と接着される前に、裏面樹脂層31の一方の面側に形成(通常は印刷)される。そのため本発明においては、裏面樹脂層31上に裏面意匠層32を形成する際に、ガラス繊維を含む層21表面に起因する凹凸の影響を受けることがない。そのため、グラビア印刷法やインクジェット印刷法による、多色かつ高精細な印刷が可能となり、高い意匠性を有する化粧シートを得ることができる。また、ロスの発生量が多い見当合わせや色合わせの段階で、ラミネート品全体ではなくコストの安い裏面樹脂フィルムのみを使用するため、すなわち化粧シート製造全体のコストを低減することができる。
また裏面樹脂層31がポリエステル系樹脂シートである場合には、上述のように塩化ビニル系樹脂シートである場合に比べてグラビア印刷法を好適に適用できるため、高精細な絵柄の形成が可能である。
本形態の様に裏面意匠層32が形成されている場合は、表面意匠層12と共に、化粧シート301の両面に絵柄が形成されることとなるため、より高い意匠性を持つ化粧シート301とすることが出来る。
(第5実施形態)
以下、本発明の第5実施形態について、図5を参照して説明する。第5実施形態における化粧シート401は図5に示す通り、図4に示す第4実施形態における化粧シート301と比較して、裏面意匠層32の裏面樹脂層31とは反対の面側に裏面保護層35を有している点が異なっている。
すなわち図5に示す第5実施形態に係る化粧シート401は、図5における下側から順に、裏面保護層35と、裏面意匠層32と、裏面樹脂層31と、ガラス繊維を含む層21と、ヒートシール層13と、ポリエステル系樹脂層11と、表面意匠層12と、がこの順に積層されている。なお上記積層順を乱さず、本発明の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けても良い。
裏面保護層35は、上記の通り、裏面意匠層32の裏面樹脂層31が積層される面側とは反対の面側に積層され、裏面意匠層32を保護する役目を担っている。裏面保護層35の主成分、形成方法、および厚さは表面保護層15の例示と同様である。いずれについても表面保護層15と同じであっても良く、異なっていても良い。
第5実施形態に係る化粧シート401においては、第4実施形態における化粧シート301の効果に加え以下の効果を得ることができる。
裏面保護層35が形成されることにより裏面意匠層32を保護することができる。裏面意匠層32を物理的(機械的)に保護するのみでなく、裏面保護層35に紫外線吸収などの機能を待たせることにより、例えば裏面意匠層32の褪色を軽減することができる。また裏面保護層35により、耐薬品性、耐傷性、防汚染性等の表面性能を付与することができる。
(第6実施形態)
以下、本発明の第6実施形態について、図6を参照して説明する。第6実施形態における化粧シート501は図6に示す通り、図3に示す第3実施形態における化粧シート201と比較して、表面意匠層12のポリエステル系樹脂層11とは反対の面側(図3、図6における上面側)に表面保護層15を有している点が異なっている。
すなわち図6に示す第6実施形態に係る化粧シート501は、図6における下側から順に、裏面樹脂層31と、ガラス繊維を含む層21と、ヒートシール層13と、ポリエステル系樹脂層11と、表面意匠層12と、表面保護層15と、がこの順に積層されている。なお上記積層順を乱さず、本発明の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けても良い。
表面保護層15については、上記第2実施形態で説明した通りである。第6実施形態に係る化粧シート501においては、第3実施形態における化粧シート201の効果、および第2実施形態における化粧シート101の効果を共に得ることができる。
(第7実施形態)
以下、本発明の第7実施形態について、図7を参照して説明する。第7実施形態における化粧シート601は図7に示す通り、図4に示す第4実施形態における化粧シート301と比較して、表面意匠層12のポリエステル系樹脂層11とは反対の面側(図4、図7における上面側)に表面保護層15を有している点が異なっている。
すなわち図7に示す第7実施形態に係る化粧シート601は、図7における下側から順に、裏面意匠層32と、裏面樹脂層31と、ガラス繊維を含む層21と、ヒートシール層13と、ポリエステル系樹脂層11と、表面意匠層12と、表面保護層15と、がこの順に積層されている。なお上記積層順を乱さず、本発明の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けても良い。
表面保護層15については、上記第2実施形態で説明した通りである。第7実施形態に係る化粧シート601においては、第4実施形態における化粧シート301の効果、および第2実施形態における化粧シート101の効果を共に得ることができる。
(第8実施形態)
以下、本発明の第8実施形態について、図8を参照して説明する。第8実施形態における化粧シート701は図8に示す通り、図5に示す第5実施形態における化粧シート401と比較して、表面意匠層12のポリエステル系樹脂層11とは反対の面側(図5、図8における上面側)に表面保護層15を有している点が異なっている。
すなわち図8に示す第8実施形態に係る化粧シート701は、図8における下側から順に、裏面保護層35と、裏面意匠層32と、裏面樹脂層31と、ガラス繊維を含む層21と、ヒートシール層13と、ポリエステル系樹脂層11と、表面意匠層12と、表面保護層15と、がこの順に積層されている。なお上記積層順を乱さず、本発明の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けてもよい。
表面保護層15については、上記第2実施形態で説明した通りである。第8実施形態に係る化粧シート701においては、第5実施形態における化粧シート401の効果、および第2実施形態における化粧シート101の効果を共に得ることができる。
〔建築物内装材〕
上記各化粧シート1、101、201、301、401、501、601、701は、主としてその高い不燃性能と高い意匠性から、各化粧シート単体で建築物の天井に施工する事も可能であるが、あるいは各化粧シートと基板、吊り具、枠材、棧、ねじ等他の部材を組み合わせた上で、建築物内装材として使用することもできる。建築物内装材の用途としては、空港、駅、店舗内などの天井材の他、天井からの吊り下げ広告、柱巻きなどの店舗装飾、展示会パネル、ビニールカーテン、簡易間仕切り、養生シート、機械などの各種カバー、破れ補修や生地の補強材などを挙げることができる。上記例における建築物内装材においても、各化粧シートの持つ、高い不燃性能、高い意匠性、軽量であること、耐水性などの特長により、不特定多数が利用する空間や、建築工事現場内などで好適に使用することができる。
〔化粧シートの製造方法〕
(第1実施形態の製造方法)
次に、第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法の一例を説明する。第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法は、ポリエステル系樹脂層11の一方の面側に表面意匠層12が形成され、他方の面側にヒートシール層13が形成された意匠付きポリエステル系樹脂シート10を準備する工程と、意匠付きポリエステル系樹脂シート10の他方の面側と、ガラス繊維を含む層21とを熱ラミネートする(表面側熱ラミネートと呼ぶことがある)工程とを有し、ガラス繊維を含む層21は、シート状のガラス繊維に対し塩化ビニル系樹脂を含浸させたものである化粧シートの製造方法である。
一例として、PETフィルム(ポリエステル系樹脂層11)の両面に、グラビア印刷法あるいは浸漬法により易接着層を形成し、そのPETフィルムの一方の面側に木目模様をグラビア印刷することで表面意匠層12を形成し、意匠付きポリエステル系樹脂シート10を得る。別途、ガラスクロスを塩化ビニルプラスチゾル(塩化ビニル系樹脂)に浸漬し、塩化ビニルプラスチゾルを含浸後、加熱により樹脂を硬化させたガラスクロス(ガラス繊維を含む層21)を準備する。次に該意匠付きポリエステル系樹脂シート10と、該塩化ビニル系樹脂を含浸させたガラスクロスとを熱ラミネート(表面側熱ラミネート)することで化粧シート1を得る。
上記において塩化ビニル系樹脂を含浸させたガラス繊維を含む層21を得る方法は、上記浸漬に限らず、真空状態を利用して含浸させる真空含浸法や、真空後に加圧を行う真空加圧含浸法など他の含浸方法であっても良い。また上記ガラス繊維を含む層21に塩化ビニル系樹脂を含浸させる工程と、上記熱ラミネート(表側面熱ラミネート)する工程とを連続的に行っても良い。
以上の通り、本発明の製造方法においては、意匠付きポリエステル系樹脂シート10の他方の面側と、ガラス繊維を含む層21とを熱ラミネートする(表面側熱ラミネート)工程とを有し、ガラス繊維を含む層21は、シート状のガラス繊維に対し塩化ビニル系樹脂を含浸させたものである。そのため表面側熱ラミネート工程において、従来の塩化ビニル系樹脂フィルムと同様に、両者を熱ラミネートにより強固かつ効率的に接着することができる。また、裏面樹脂層31が存在しない場合には、ガラス繊維を含む層21が化粧シート1の裏面として機能することになるが、樹脂が含浸していることにより、化粧シート1の裏面としての機能を向上させることができる。
また、本発明の製造方法により製造される化粧シート1は、表面意匠層12は、ガラス繊維を含む層21と接着される前に、ポリエステル系樹脂層11の一方の面側に形成(通常は印刷)される。ガラス繊維を含む層21と接着した後にポリエステル系樹脂層11の一方の面側に表面意匠層12を形成する場合を考えると、表面意匠層12の形成対象面であるポリエステル系樹脂層11の表面は、ガラス繊維を含む層21の影響により凹凸が大きい。そのため、特にグラビア印刷法においては、版胴と該熱ラミネートされたシートとの接触が断続的となり満足な印刷ができない。しかし本発明の製造方法に係る表面意匠層12は、ガラス繊維を含む層21と接着される前に、ポリエステル系樹脂層11の一方の面側に形成されるため、該問題は生じにくく、すなわち高精細な絵柄の形成が可能である。
このように本製造方法に係る化粧シート1は、塩化ビニル系樹脂を含浸させたガラス繊維を含む層21、熱可塑性樹脂から形成されるヒートシール層13、およびポリエステル系樹脂層11を主体としているため、高い不燃性能を有する。そして、それからなる比較的簡単な層構成からなり、またポリエステル系樹脂層11は塩化ビニル系樹脂より寸法安定性に優れグラビア印刷に適しているため、より剥膜のフィルムを使用でき、本発明の化粧シート1は軽量なものとすることができる。
(第2実施形態の製造方法)
次に、第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法の一例を説明する。第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法は、第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法において、意匠付きポリエステル系樹脂シート10の表面意匠層12のポリエステル系樹脂層11とは反対の面側に表面保護層15を有するものである。一例として、表面保護層15は、第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法における表面意匠層12形成後に、その表面にウレタン樹脂系のインキをグラビア印刷することで形成する。表面保護層15を有するこのような意匠付きポリエステル系樹脂シート10に対して、以降は第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法と同様にして、化粧シート101を得る。なお上述の通り表面保護層15は、グラビア印刷法の他、オフセット印刷法、インクジェット印刷法などの各種印刷方法、あるいは塗装などにより形成することができる。
第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法においては、上記第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法に係る効果に加え、上記第2実施形態に係る化粧シート101に係る効果を得ることができる。
(第3実施形態の製造方法)
次に、第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法の一例を説明する。第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法は、第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法において、ガラス繊維を含む層21のヒートシール層13とは反対の面側に裏面樹脂層31を有するものである。一例として、第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法によって得られた化粧シート1における、ガラス繊維を含む層21のヒートシール層13とは反対の面側と、易接着処理されたポリエステル系樹脂層11とは別の層であるPETフィルム(裏面樹脂層31)と、を熱ラミネートする(裏面側熱ラミネートと呼ぶことがある)ことで第3実施形態に係る化粧シート201を得る。なお上記例に限らず、上記裏面側熱ラミネート工程は、上記表面側熱ラミネート工程と同時に行われても良く、表面側熱ラミネート工程より先に行われても良い。
第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法においては、上記第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法に係る効果に加え、上記第3実施形態に係る化粧シート201に係る効果を得ることができる。
(第4実施形態の製造方法)
次に、第4実施形態に係る化粧シート301の製造方法の一例を説明する。第4実施形態に係る化粧シート301の製造方法は、第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法において、裏面樹脂層31のガラス繊維を含む層21とは反対の面側に裏面意匠層32を有するものである。一例として、第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法において、裏面側熱ラミネートする前のPETフィルム(裏面樹脂層31)に対し、その一方の面側に木目模様をグラビア印刷することで裏面意匠層32を形成する。その後第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法と同様に、裏面側熱ラミネートすることで第4実施形態に係る化粧シート301を得る。なお上記例に限らず、上記裏面側熱ラミネート工程は、上記表面側熱ラミネート工程と同時に行われても良く、表面側熱ラミネート工程より先に行われても良い。
第4実施形態に係る化粧シート301の製造方法においては、上記第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法に係る効果に加え、上記第4実施形態に係る化粧シート301に係る効果を得ることができる。
(第5実施形態の製造方法)
次に、第5実施形態に係る化粧シート401の製造方法の一例を説明する。第5実施形態に係る化粧シート401の製造方法は、第4実施形態に係る化粧シート301の製造方法において、裏面意匠層32の裏面樹脂層31とは反対の面側に裏面保護層35を有するものである。一例として、第4実施形態に係る化粧シート301の製造方法において、裏面側熱ラミネートする前のPETフィルム(裏面樹脂層31)の一方の面側に木目模様をグラビア印刷で裏面意匠層32を形成した後、ウレタン樹脂系のインキをグラビア印刷することで裏面保護層35を形成する。その後第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法と同様に、裏面側熱ラミネートすることで第5実施形態に係る化粧シート401を得る。なお上記例に限らず、上記裏面側熱ラミネート工程は、上記表面側熱ラミネート工程と同時に行われても良く、表面側熱ラミネート工程より先に行われても良い。
第5実施形態に係る化粧シート401の製造方法においては、上記第4実施形態に係る化粧シート301の製造方法に係る効果に加え、上記第5実施形態に係る化粧シート401に係る効果を得ることができる。
(第6実施形態の製造方法)
次に、第6実施形態に係る化粧シート501の製造方法の一例を説明する。第6実施形態に係る化粧シート501の製造方法は、第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法と、第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法とを組み合わせたものである。一例として、第2実施形態に係る製造方法によって得られる化粧シート101のガラス繊維を含む層21に対して、第3実施形態に係る製造方法のごとくPETフィルム(裏面樹脂層31)を裏面側熱ラミネートすることで第6実施形態に係る化粧シート501を得る。なお上記例に限らず、裏面側熱ラミネート工程は、表面側熱ラミネート工程と同時に行われても良く、表面側熱ラミネート工程より先に行われても良い。
第6実施形態に係る化粧シート501の製造方法においては、上記第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法に係る効果に加え、上記第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法に係る効果も得ることができる。
(第7実施形態の製造方法)
次に、第7実施形態に係る化粧シート601の製造方法の一例を説明する。第7実施形態に係る化粧シート601の製造方法は、第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法と、第4実施形態に係る化粧シート301の製造方法とを組み合わせたものである。一例として、第2実施形態に係る製造方法よって得られる化粧シート101のガラス繊維を含む層21に対して、第4実施形態に係る製造方法のごとくPETフィルム(裏面樹脂層31)を裏面側熱ラミネートすることで第7実施形態に係る化粧シート601を得る。なお上記例に限らず、裏面側熱ラミネート工程は、表面側熱ラミネート工程と同時に行われても良く、表面側熱ラミネート工程より先に行われても良い。
第7実施形態に係る化粧シート601の製造方法においては、上記第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法に係る効果に加え、上記第4実施形態に係る化粧シート301の製造方法に係る効果も得ることができる。
(第8実施形態の製造方法)
次に、第8実施形態に係る化粧シート701の製造方法の一例を説明する。第8実施形態に係る化粧シート701の製造方法は、第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法と、第5実施形態に係る化粧シート401の製造方法とを組み合わせたものである。一例として、第2実施形態に係る製造方法よって得られる化粧シート101のガラス繊維を含む層21に対して、第5実施形態に係る製造方法のごとくPETフィルム(裏面樹脂層31)を裏面側熱ラミネートすることで第8実施形態に係る化粧シート701を得る。なお上記例に限らず、裏面側熱ラミネート工程は、表面側熱ラミネート工程と同時に行われても良く、表面側熱ラミネート工程より先に行われても良い。
第8実施形態に係る化粧シート701の製造方法においては、上記第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法に係る効果に加え、上記第5実施形態に係る化粧シート401の製造方法に係る効果も得ることができる。
以下本発明に係る実施例を説明する。以下、第1の実施例から第4の実施例、および比較例1について例示するが、層構成としてはいずれも第6実施形態と同様であり、すなわち図6における下側から順に、裏面樹脂層31と、ガラス繊維を含む層21と、ヒートシール層13と、ポリエステル系樹脂層11と、表面意匠層12と、表面保護層15と、がこの順に積層されたものである。
(第1の実施例)
第1の実施例は、アクリル系樹脂で両面に易接着処理された厚さ50μmの白色PETフィルム(SKC Co., Ltd. Skyrol)(ポリエステル系樹脂層11)を用意した。その一方の表面側に、バインダー樹脂がアクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂との5対5質量比の混合物からなり、着色剤としてキナクリドンレッド、カーボンブラック、シアニンブルー及びイソインドリノンイエローを含むインキを用いて多色刷りのグラビア印刷機にて厚さ5μmで木目模様の意匠層(表面意匠層12)を形成した。その表面にさらにウレタン樹脂系のインキにヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を5質量部添加したオーバープリント(OP)用インキを3μm厚にグラビア印刷し表面保護層15を形成した。このようにして得た表面保護層15を有する意匠付きポリエステル系樹脂シート10の表面保護層15側ではない側の面と、塩化ビニルプラスチゾルを含浸後熱硬化させた、経糸および緯糸の織り密度が32本/25mmであるガラスクロス(ガラス繊維を含む層21)とを180℃で熱ラミネート(表面側熱ラミネート)した。さらに表面側熱ラミネート後のシートのガラスクロス面に対しさらに、両面にアクリル系樹脂で易接着処理された厚さ50μmの白色に着色されたPETフィルム(SKC Co., Ltd. Skyrol)(裏面樹脂層31)を熱ラミネート(裏面側熱ラミネート)し、第1の実施例に係る化粧シートを得た。この実施例においてアクリル系樹脂による易接着層は表面意匠層12とポリエステル系樹脂層11の密着を担保しているのと同時に、熱ラミネートにおけるヒートシール層としても機能している。
(第2の実施例)
第2の実施例は、第1の実施例に係る化粧シートの裏面樹脂層31に相当する層に関し、厚さ50μmの白色に着色されたPETフィルムの代わりに、厚さ150μmの白色に着色された軟質塩化ビニル樹脂シートを用い、それ以外は第1の実施例と同様にして、第2の実施例に係る化粧シートを得た。
(第3の実施例)
第3の実施例は、第1の実施例に係る化粧シートの厚さ50μmの白色に着色されたPETフィルム(ポリエステル系樹脂層11に相当する層)の両面に施された易接着処理上に、厚さ1μmポリウレタン系樹脂からなるヒートシール層13をグラビア印刷により形成し、それ以外は第1の実施例と同様にして、第3の実施例に係る化粧シートを得た。
(第4の実施例)
第4の実施例は、第1の実施例に係る化粧シートの表面保護層15に相当する層に関し、ウレタン樹脂系のオーバープリント(OP)用インキを3μm厚にグラビア印刷する代わりに、厚さ80μmの透明塩化ビニル樹脂シートをドライラミネートにより積層し、それ以外は第1の実施例と同様にして、第4の実施例に係る化粧シートを得た。
(比較例)
比較例として、第3の実施例に係る化粧シートのポリエステル系樹脂層11に相当する層に関し、厚さ50μmの白色に着色されたPETフィルムの代わりに、厚さ150μmの白色に着色された半硬質塩化ビニル樹脂シートを用い、それ以外は第1の実施例と同様にして、比較例に係る化粧シートを得た。
(評価1:印刷適性評価)
評価(各実施例、比較例)に係る各化粧シートの意匠性に係る評価として、ポリエステル系樹脂層11ないしこれに相当する層に対する印刷適性を評価した。評価に係る各化粧シートを得る際に、ポリエステル系樹脂層11ないしこれに相当する層の表面に対する表面意匠層12に相当する層の形成、および表面意匠層12に相当する層の表面に対する表面保護層15に相当する層の形成は、第4の実施例の表面保護層の場合を除き、上記の通りグラビア印刷にて行われている。印刷適性の評価は、上記表面意匠層12に相当する層を形成するグラビア印刷、および表面保護層15に相当する層を形成するグラビア印刷の各グラビア印刷において、タルミや縮みなどの発生が確認できたものを×、確認できなかったものを○とした。
従って、グラビア印刷を適用しない第4の実施例に表面保護層に対しては、評価1は不実施(評価対象外)とした。
(評価2:密着性評価)
ポリエステル系樹脂層11に相当する層と、ガラス繊維を含む層21に相当する層との密着性を評価するために、評価に係る各化粧シートを25mm幅で短冊状に切出し個片化した。該個片化した各化粧シートにおける、ポリエステル系樹脂層11に相当する層と、ガラス繊維を含む層21に相当する層との界面について、該界面から180°の方向に300mm/minの一定速度で剥離させるのに必要な力をテンシロン万能材料試験機(株式会社エー・アンド・デイ製)で測定した。
(評価3:発熱性試験)
評価に係る各化粧シートに対し、ISO5660−1に準拠したコーンカロリーメーター試験機を用いて、加熱開始後20分間の総発熱量(MJ/m2)、および加熱開始後20分間の最大発熱速度として、200kW/m2を超える時間(以下超過時間ともいう)を秒単位で求め、評価基準は以下の通りとした。総発熱量7.2(MJ/m2)以下、かつ超過時間8秒以下:◎、総発熱量8(MJ/m2)を超える、あるいは超過時間10秒を超える:×、上記◎にも×にも該当しないもの:〇。
評価に係る各化粧シートに対する評価1〜3の結果を表1に示す。
(評価1結果)
印刷適性を評価する評価1の結果は表1の通りである。表面意匠層12に相当する層を形成するグラビア印刷においては、全ての実施例・比較例ともに○であった。一方、表面保護層15に相当する層を形成するグラビア印刷では、第1、第2、および第3の実施例は○、比較例は×であった。なお、第4の実施例は「評価せず」(評価対象外)とした。ここで、×は、具体的には、原反(被印刷物)の縮みが確認されたものである。上記各グラビア印刷において、原反の主要構成要素であるポリエステル系樹脂層11に相当する層は、本発明に係る第1の実施例〜第4の実施例においてはPETフィルムであるのに対し、比較例においては半硬質塩化ビニル樹脂シートである。上述の通り、塩化ビニル系樹脂はその特性上溶剤に弱いため比較例において原反の縮みが発生したものと考えられる。一方、本発明に係る第1の実施例〜第4の実施例においては、PETフィルムであるため上記原反の縮みが発生しなかったものと考えられる。本評価により本発明に係る化粧シートは、グラビア印刷に対する印刷適性は良好であり、すなわちグラビア印刷法による高い意匠性を実現できる化粧シートであることが確認された。
(評価2結果)
密着性を評価する評価2の結果は表1の通りである。破断とあるものは、試験中にクランプしているポリエステル系樹脂層11に相当する層が、剥離のための引張力に耐えられずに破断してしまったもので、すなわち数値測定されたものより高い密着性を有するものである。ポリエステル系樹脂層11に相当する層と、ガラス繊維を含む層21に相当する層との密着力としては、10(N/25mm)以上が好ましいため、評価に係る各化粧シートは、試験中にポリエステル系樹脂層11に相当する層が破断したものを含め、いずれも十分な密着力を持つことが確認された。また第1の実施例〜第4の実施例においては、第3の実施例のみポリエステル系樹脂層11に相当するPETフィルムが破断している。このことから、第1の実施例、第2の実施例、第4の実施例に係るヒートシールに加え、第3の実施例に係るヒートシール性の高い易接着層の樹脂により改めてヒートシール層を形成した方が高い密着力を得ることができることが確認された。また、該評価結果から、易接着処理されたガラス繊維を含む層21に相当する層(塩化ビニルプラスチゾルを含浸させたガラスクロス)との密着性に関し、PETフィルムより半硬質塩化ビニル樹脂シートの方が高いと考えられる。しかし上述の通り、熱可塑性樹脂で表面処理したPETフィルムであっても十分な密着性を有するものであり、仮により高い密着性を得たい場合には、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂等ヒートシール性が高い樹脂でヒートシール層を形成すればよい。
(評価3結果)
発熱性すなわち不燃性能を評価する評価3の結果は表1の通り、第1の実施例〜第4の実施例、比較例のすべてにおいて◎もしくは○であった。該試験により本発明に係る化粧シートは、発熱性試験において、200kW/m2超過時間が10秒以下であり、総発熱量が8MJ/m2以下であること、すなわち膜天井材に要求される高い不燃性能を有することが確認された。
以上、本発明に係る化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明に係る化粧シート、および建築物内装材は、高い不燃性能と高い意匠性を両立させ、かつ適度な剛性を持ち、効率的に生産することが可能なものである。そのため、膜天井用シートや吊り天井用シート、ブラインドなどとして好適に利用することができる。また天井、床、壁面など、あるいは室内の建具や扉、間仕切りなどに被覆して、それらの意匠外観を高めつつ、優れた不燃性能も両立させるような利用をすることも可能である。
1、101、201、301、401、501、601、701 化粧シート
10 意匠付きポリエステル系樹脂シート
11 ポリエステル系樹脂層
12 表面意匠層
13 ヒートシール層
15 表面保護層
21 ガラス繊維を含む層
31 裏面樹脂層
32 裏面意匠層
35 裏面保護層

Claims (12)

  1. ガラス繊維を含む層と、ヒートシール層と、ポリエステル系樹脂層と、表面意匠層と、がこの順に積層されてなり、
    前記ガラス繊維を含む層は、シート状のガラス繊維に対し塩化ビニル系樹脂を含浸させたものである化粧シート。
  2. 前記表面意匠層の前記ポリエステル系樹脂層とは反対の面側に表面保護層を有する請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記ガラス繊維を含む層の前記ヒートシール層とは反対の面側に裏面樹脂層を有する請求項1または請求項2に記載の化粧シート。
  4. 前記裏面樹脂層の前記ガラス繊維を含む層とは反対の面側に裏面意匠層を有する請求項3に記載の化粧シート。
  5. 前記裏面意匠層の前記裏面樹脂層とは反対の面側に裏面保護層を有する請求項4に記載の化粧シート。
  6. ISO5660−1に準拠した発熱性試験において、200kW/m2超過時間が10秒以下であり、総発熱量が8MJ/m2以下である請求項1〜請求項5のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の化粧シートを有する建築物内装材。
  8. ポリエステル系樹脂層の一方の面側に表面意匠層が形成され、他方の面側にヒートシール層が形成された意匠付きポリエステル系樹脂シートを準備する工程と、
    前記意匠付きポリエステル系樹脂シートの他方の面側と、ガラス繊維を含む層とを熱ラミネートする工程とを有し、
    前記ガラス繊維を含む層は、シート状のガラス繊維に対し塩化ビニル系樹脂を含浸させたものである化粧シートの製造方法。
  9. 前記意匠付きポリエステル系樹脂シートにおいて、前記表面意匠層の前記ポリエステル系樹脂層とは反対の面側に表面保護層を有する請求項8に記載の化粧シートの製造方法。
  10. 前記ガラス繊維を含む層の前記ヒートシール層とは反対の面側に裏面樹脂層を有する請求項8または請求項9に記載の化粧シートの製造方法。
  11. 前記裏面樹脂層の前記ガラス繊維を含む層とは反対の面側に裏面意匠層を有する請求項10に記載の化粧シートの製造方法。
  12. 前記裏面意匠層の前記裏面樹脂層とは反対の面側に裏面保護層を有する請求項11に記載の化粧シートの製造方法。
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