JP2021009400A - 画像形成装置用シート状部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐ローラー癖性及び耐クラック性に優れ、所望の半導電性を有する高耐久性のエンドレスベルト等の画像形成装置用シート状部材を提供する。【解決手段】画像形成装置に用いられるエンドレスベルト等のシート状部材であって、ポリエーテルエーテルケトン樹脂と19重量%未満の導電性フィラーとを含み、以下のDSC測定で測定される降温結晶化ピーク温度Tcが299.0℃未満である画像形成装置用シート状部材。<示差走査熱量の測定>シート状部材を昇温速度10℃/minで400℃まで昇温させ、その後、10℃/minで23℃まで冷却させる過程での降温結晶化ピーク温度Tcを測定する。【選択図】図1

Description

本発明は、耐ローラー癖性及び耐クラック性に優れた、高耐久性のエンドレスベルト(無端ベルト)や用紙分離爪等の半導電性画像形成装置用シート状部材と、その押出成形方法に関する。
従来、OA機器等などの画像形成装置として、感光体、トナーを用いた電子写真方式やインクを用いた画像形成装置が考案され上市されている。これらの装置には、感光体ベルト、中間転写ベルト、紙搬送転写ベルト、転写分離ベルト、帯電チューブ、現像スリーブ、定着用ベルト等の、導電性、半導電性、又は絶縁性の各種電気抵抗に制御した、継ぎ目あり(シームありベルト)又は継ぎ目なし(シームレスベルト)のエンドレスベルトが用いられている。
例えば、電子写真方式に用いられる中間転写装置は、中間転写体上にトナー像を一旦形成し、次に紙等へトナーを転写させるように構成されている。この中間転写体の表層におけるトナーへの帯電、除電のためにシームレスベルトよりなるエンドレスベルトが用いられている。このエンドレスベルトは、マシーンの機種毎に異なった表面電気抵抗や厚み方向電気抵抗(以下「体積電気抵抗」という)に設定され、導電、半導電、又は絶縁性に調整されている。
また、紙搬送転写装置は、紙を一旦搬送転写体上に保持した上で感光体からのトナーを搬送転写体上に保持した紙上へ転写させ、更に除電により紙を搬送転写体より離すように構成されている。この搬送転写体表層においては紙への帯電、除電のためにシーム有り、無しのエンドレスベルトが用いられている。このエンドレスベルトは、上記中間転写ベルトと同様にマシーン機種毎に異なった表面電気抵抗や体積電気抵抗に設定されている。
また、感光体、転写、定着機構においては、用紙の定着ローラー、転写ベルト、感光体ドラム等への紙の巻き込みを防止するために、用紙が巻きつかないように分離するための用紙分離爪と称される半導電性のフィルム状部材が用いられている。
ところで、電子写真式複写機、プリンタ等の画像形成装置に用いられる導電性エンドレスベルトの場合には、機能上2本以上のロールにより高張力で高電圧にて長時間駆動されるため、十分な機械的耐久性が要求される。
特に、中間転写装置等に使用される中間転写ベルトの場合は、ベルト上でトナーによる画像を形成して紙へ転写するため、駆動中にベルトが弛んだり、伸びたり、蛇行したりすると、画像ズレの原因となるため、高寸法精度(ベルト幅方向の周長差が少ないことと厚みが均一であること)、高弾性率(ベルト周方向の引張弾性率が高いこと)、高耐屈曲性(割れにくいこと)といった機械特性に優れたものが望まれている。
また、近年カラーレーザプリンタやカラーLEDプリンタ等の電子写真式画像形成装置は、低価格なインクジェット方式の画像形成装置との競争が一層激しくなっている。そのため、電子写真式画像形成装置は、高速での印刷技術でインクジェット方式との差異化を狙い、感光体を4つ並べたタンデム型の紙搬送転写、中間転写方式により高速で印刷する画像形成装置が商品化されてきた。このため、画像形成装置用エンドレスベルトには、より一層の耐久性の向上と耐摩耗性の向上といった耐久性にも優れたものが必要となっている。
さらに、高画質化への要求も高まってきており、特に、広範囲な温度湿度環境において、高画質な画像が得られること、カラープリンタ用の特殊な紙だけではなく、上質紙、再生紙、裏紙、OHPフィルムといった様々な用紙においても高画質を得ることが必要となっている。
また、最近では益々小型化しているカラープリンタ、複写機は、転写ベルトと定着熱源との配置位置が近く、このため、転写ベルトはローラーに張架された状態で定着熱源の高熱にさらされやすいため、転写ベルト表面にローラーの跡が残り、画像へ悪影響を起こしやすいことから、エンドレスベルト素材の耐熱性を向上させる必要がある。
さらに、画像形成装置に用いられるエンドレスベルトの中でも特に、中間転写装置等に使用される転写ベルトの場合は、高画質画像に対するエンドレスベルトへの要求は高く、感光体上のトナーを静電気力にて直接転写ベルト上に転写(一次転写)し、転写ベルト上でカラー画像を合成した後トナーを紙へ静電力で転写(二次転写)させるため、転写ベルトの表面方向の表面電気抵抗や厚み方向の体積電気抵抗特性といった電気抵抗特性が重要であると共に、表面物理特性、表面化学特性、耐摩耗性の何れにおいても性能向上への要求が益々高くなってきている。
一方、用紙分離爪についても、カラープリンタ用の特殊な用紙だけでなく、上質紙、凹凸の大きいラフ紙などに対する耐摺擦性、耐摩耗性がますます重要となっている。
画像形成装置用エンドレスベルト、用紙分離爪等のシート状部材の耐摩耗性の要求に対して、これらの部材の構成材料としてポリーテーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂を用いる提案が種々なされている。
例えば、特許文献1には、導電性フィラーを含有するPEEK樹脂を主成分とする材料をチューブ状に押出してなる、体積電気抵抗値が10〜1017Ωcmの範囲のシームレス状半導電性ベルトが開示されている。
特許文献2には、PEEK樹脂を押出成形してなる単層の中間転写ベルトであって、外周面における樹脂の結晶化度が内周面よりも高く、外側よりも内側の硬度を低くしたベルトが開示され、具体的には外周面の結晶化度が18%以上、内周面の結晶化度が12%以下で、外周面の硬度が0.25GPa以上、内周面の硬度が0.20GPa以下である中間転写ベルトが開示されている。
特許文献3には、熱可塑性樹脂に対し19〜30質量%のアセチレンブラックを含み、体積抵抗率が1×10〜1×1012Ωcmの範囲のシームレス状半導電性ベルトが開示され、熱可塑性樹脂がPEEK樹脂であることが記載されている。
特許文献4には、PEEK100重量部と導電性フィラー5〜25重量部とを含有し、厚みの平均値が30〜250μmの範囲内で、JIS P−8115に規定されているMIT形試験機による耐折れ強さ試験法にて測定した往復折り曲げ回数が5000回以上である半導電性フィルムが開示されている。
特開平6−254941号公報 特開2009−63902号公報 特開2012−133220号公報 特開2005−112942号公報
特許文献1の半導性ベルトは、PEEK樹脂に導電性フィラーを配合して(実施例ではアセチレンブラックを14重量%配合)、単に環状ダイスから押出成形したものであり、サイジング部の冷却温度を0〜90℃、好ましくは20〜60℃に設定しているため、製膜中にPEEK樹脂の結晶化が起こりにくい。このため、得られたベルトを、60℃の高温下にローラーに張架した状態で放置した場合、ローラーによる癖跡が発生しやすく、このため、画像異常を引き起こしやすい問題があった。
特許文献2の中間転写ベルトでは、外周面の結晶化度を高めるため、外部加熱装置で加熱しており、外周面の硬度が高く、耐傷付性は改良されるが、表面結晶化の進行で剛性が高くなり、耐クラック性が低下する問題があった。
特許文献3では、PEEK樹脂に19〜30質量%のアセチレンブラックを配合しており、アセチレンブラックの配合量が多すぎるために耐クラック性が悪い問題があった。
特許文献4の半導性フィルムでは、耐クラック性を高めるために、環状ダイから押出した溶融状態のフィルムを好ましくは80〜90℃(実施例では85℃)に急冷して製膜することで結晶化を低減させている。このため、前掲の特許文献1と同様に、環状ダイスから得られたベルトを、60℃の高温下にローラーに張架した状態で放置した場合、ローラーによる癖跡が発生しやすく、このため、画像異常を引き起こしやすい問題がある。さらには、リップクリアランスを小さくすることにより、溶融状態のフィルムの変形を小さくして厚みや体積抵抗率のムラを小さくするとあり、実施例では、0.5mmの小さなクリアランスでせん断をかけながら押出しているため、高速で押出す際に、メルトフラクチャーといわれる外観荒れが発生しやすい問題もあった。
上述のように、従来、画像形成装置用のエンドレスベルトや用紙分離爪等のシート状部材としてPEEK樹脂を用いたものが提案されているものの、いずれも耐クラック性(耐折れ性)と耐熱性(耐ローラー癖性)を共に満足できるものはなかった。
これは、PEEK樹脂にカーブンブラック等の導電性フィラーを配合した従来のエンドレスベルトでは、機械的耐久性を重視するあまり溶融押出成形時に急冷して製膜するため、結晶化不十分でローラー癖跡がつきやすいことによる。
即ち、従来技術では、剛性が高く耐熱性に優れた結晶化ピーク温度の高いPEEK樹脂を用い、これを溶融押出成形して製膜する際に急冷することで耐クラック性を改良しようとしているが、このような従来法では耐クラック性を十分に高めることはできず、耐ローラー癖性と耐クラック性とに共に優れたエンドレスベルトとすることはできなかった。
具体的に、前掲の特許文献1〜4のうち、PEEK樹脂の製品名の記載のある特許文献2〜4に記載されたPEEK樹脂をそれぞれ400℃でプレス成形して得られたシート状部材について、本発明で規定されるDSC測定で測定して求めた降温結晶化ピーク温度Tは以下の通りであり、いずれも300.0℃以上の高い降温結晶化ピーク温度Tを有し、従来において降温結晶化ピーク温度Tが低いものを用いるという技術思想は存在しない。
ビクトレックス社製PEEK「450G」:T=300.5℃
ビクトレックス社製PEEK「381G」:T=301.1℃
ビクトレックス社製PEEK「151G」:T=304.7℃
ビクトレックス社製PEEK「90G」:T=307.2℃
このように、従来のPEEK系ベルトにおいては、耐クラック性と耐ローラー癖性を両立させることが難しく、更には、耐摩耗性、半導電性等の画像形成装置に要求される特性を十分に満足した上で、生産性にも優れる画像形成装置用エンドレスベルトは提供されていないのが実状である。
本発明は上記課題を解決したものであり、その目的は、耐ローラー癖性に優れると共に耐クラック性に優れ、所望の半導電性を有する高耐久性の画像形成装置用シート状部材を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討する過程において、PEEK樹脂の冷却時の結晶化ピーク温度に着目し、高分子量成分が多い材料を高結晶化させた方が、高分子量成分が少ない材料を低結晶化させた材料よりも、耐クラック性と耐ローラー癖性を両立できるのではないかと推定した。
即ち、結晶化ピーク温度が低ければ、耐熱性が低下するが、溶融時から冷却する際の分子運動性を妨げるため結晶化しにくくなり高分子量成分が多い材料と推定できるため、耐クラック性には有利に働くのではないかと考えた。
一方、結晶化ピーク温度が高ければ、PEEK樹脂の低分子量成分が結晶核となり結晶化度が大きくなる傾向にあり、耐熱性は高いが、ミクロな領域での剛性も高くなり耐クラック性が低下するのではないかと考えた。
このような考えを基に、結晶化ピーク温度の高い材料、つまり剛性が高く耐熱性のあるPEEK樹脂を使用し、製膜過程で急冷して耐クラック性を改良する従来法とは逆に、結晶化ピーク温度の低い材料、つまり耐クラック性に優れたPEEK樹脂を選択し、製膜過程で除冷し、後結晶化をさせることにより耐ローラー癖性を改良した方が、耐クラック性と耐ローラー癖性を有利に両立させることができることを突き止め、本発明に至った。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とするものである。
[1] 画像形成装置に用いられるシート状部材であって、ポリエーテルエーテルケトン樹脂と19重量%未満の導電性フィラーとを含み、以下の示差走査熱量測定で測定される降温結晶化ピーク温度Tが299.0℃未満であることを特徴とする画像形成装置用シート状部材。
<示差走査熱量の測定>
シート状部材を昇温速度10℃/minで400℃まで昇温させ、その後、10℃/minで23℃まで冷却させる過程での降温結晶化ピーク温度Tを測定する。
[2] [1]において、以下の耐折回数の測定で測定される、R=0.38mmでの耐折回数が5000回以上、2万回未満で、R=2mmでの耐折回数が50万回以上であることを特徴とする画像形成装置用シート状部材。
<耐折回数の測定>
JIS P−8115(2001年)に準拠し、シート状部材から幅15mm、長さ100mmの大きさの試験片を切断し、この試験片に対して、MIT試験機にて折り曲げ速度175回/分、回転角度135°左右、引張荷重1.0kgfの条件にて、先端部の曲率半径R=0.38mmと2mmの折り曲げ治具を用い、それぞれの破壊に至る折り曲げ回数を測定する。3点の測定値の平均値を耐折回数とする。
[3] [1]又は[2]において、以下のローラー癖復元率の測定で求められるローラー癖復元率が70%以上であることを特徴とする画像形成装置用シート状部材。
<ローラー癖復元率の測定>
温度23℃、湿度50%の条件で24時間以上状態調整したシート状部材を15mm幅、44mm長さに切り取り、この試験片を、直径14mmのローラーに、試験片長さ方向がローラーの周方向となるように固定し、温度60℃、湿度95%の恒温恒湿層に2時間放置後、温度23℃、湿度50%の環境下に24時間放置した後、試験片をローラーから開放し、温度23℃、湿度50%で2時間放置した際に、ローラーにより断面略C字形に癖付けされた試験片の開口部の幅Lから、以下の式でローラー癖復元率(%)を算出する。
ローラー癖復元率(%)={開口幅L(mm)/試験片長44(mm)}×100
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、エンドレスベルト又は用紙分離爪であることを特徴とする画像形成装置用シート状部材。
[5] ポリエーテルエーテルケトン樹脂と導電性フィラーとを含む樹脂組成物を、環状ダイを介してチューブ状に溶融押出し、該チューブ状の押出物の内面を冷却マンドレルに接触させて冷却固化する内部冷却マンドレル方式で画像形成装置用シート状部材を連続溶融押出成形する方法において、該環状ダイの溶融樹脂出口部と該冷却マンドレルとの間において、該押出物のフロストラインを形成させることを特徴とする画像形成装置用シート状部材の押出成形方法。
本発明によれば、耐ローラー癖性に優れると共に耐クラック性に優れ、所望の半導電性を有する高耐久性の画像形成装置用シート状部材を提供することができる。
本発明の画像形成装置用シート状部材の押出成形方法の実施の形態の一例を示すものであり、溶融押出成形工程を示す模式的な断面図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本発明において、「主成分」とは複数の成分を配合してなる材料において、当該配合材料中で最も多く含まれている成分をさす。また、「シート状部材」は「フィルム状部材」を包含する広義の意味で用いられる。
[画像形成装置用シート状部材]
本発明の画像形成装置用シート状部材は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂と19重量%未満の導電性フィラーとを含み、以下の示差走査熱量(DSC)測定で測定される降温結晶化ピーク温度T(以下、単に「降温結晶化ピーク温度T」と称す場合がある。)が299.0℃未満であることを特徴とする。
<示差走査熱量の測定>
シート状部材を昇温速度10℃/minで400℃まで昇温させ、その後、10℃/minで23℃まで冷却させる過程での降温結晶化ピーク温度Tを測定する。
この降温結晶化ピーク温度Tが低ければ、耐熱性は低くなるが、高分子量成分が多く、耐クラック性には有利に働くと考えられる。
降温結晶化ピーク温度Tが高い方が、低分子量成分が結晶核となり結晶化度が大きくなる傾向にあるとも考えられ、耐熱性は高く、ミクロな領域での剛性も高くなり、耐クラック性が低下する。
本発明において、降温結晶化ピーク温度Tの高い材料、つまり剛性が高く耐熱性のあるPEEK樹脂を使用し製膜条件で急冷することで耐クラック性を改良する従来法とは逆に、降温結晶化ピーク温度Tの低いPEEK樹脂、つまり耐クラック性に優れたPEEK樹脂を選択し、製膜条件で除冷化して後結晶化をさせることにより耐ローラー癖性を改良することで、耐クラック性と耐ローラー癖性を両立させる。
<降温結晶化ピーク温度T
本発明の画像形成装置用シート状部材は、降温結晶化ピーク温度Tが299.0℃未満であることを特徴とする。
降温結晶化ピーク温度Tが低いということは、結晶化速度が低く分子量が大きい樹脂になり得るものであり、耐クラック性をその高分子量で補い、除冷による製膜方法を採用することにより耐ローラー癖性を改善することができ、耐クラック性と耐ローラー癖性を両立させることが可能となる。
本発明の画像形成装置用シート状部材の好ましい降温結晶化ピーク温度Tは、297.5℃以下であり、297.0℃以下が特に好ましい。ただし、降温結晶化ピーク温度Tが過度に低いものは耐熱性(耐ローラー癖性)の点において好ましくなく、また、PEEK樹脂の降温結晶化ピーク温度Tは通常292.0℃以上であることから、本発明の画像形成装置用シート状部材の降温結晶化ピーク温度Tは292.0℃以上であることが好ましく、292.5℃以上であることがより好ましく、特に293.0℃以上であることが好ましい。
<PEEK樹脂>
本発明で用いるPEEK樹脂は、上記の降温結晶化ピーク温度Tを実現する上で、それ自体の降温結晶化ピーク温度Tが300.0℃未満であり、特に298.0℃以下、とりわけ297.5℃以下で292.0℃以上であることが好ましい。
本発明の画像形成装置用シート状部材の降温結晶化ピーク温度Tを実現するための、本発明で用いるPEEK樹脂の降温結晶化ピーク温度Tが、本発明の画像形成装置用シート状部材の降温結晶化ピーク温度Tと必ずしも一致しない理由は以下の通りである。
即ち、シート状部材は、カーボンブラック等の導電性フィラーが配合され、また加熱混練、溶融押出等の工程を経て製膜される。このとき、カーボンブラック等の導電性フィラー自体が結晶化への核剤として作用すること(結晶化しやすくなる)、加熱混練、溶融押出によりPEEK樹脂が架橋(分子量が大きくなる)又は劣化(分子量が小さくなる)することなどから、得られるシート状部材の降温結晶化ピーク温度Tは、配合成分、製膜方法、製造条件等により変化し、必ずしも原料として用いたPEEK樹脂の降温結晶化ピーク温度Tと同じとはならない。
本発明の画像形成装置用シート状部材は、PEEK樹脂を用いることによる耐摩耗性、耐クラック性、耐ローラー癖性の効果を有効に発揮させるために、PEEK樹脂を主成分として70重量%以上、特に80重量%以上含むことが好ましい。
<熱可塑性樹脂>
本発明の画像形成装置用シート状部材において、本発明の目的を損なわない範囲で、主成分のPEEK樹脂に対し、アロイ材として耐熱性を有する熱可塑性樹脂を配合してもよい。
熱可塑性樹脂としては、熱可塑性結晶性樹脂であっても熱可塑性非晶性樹脂であってもよく、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリアセタール(POM)、ポリアリレート(Par)、ポリカーボネート(PC)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフェニレンオキシド(PPE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリオキシベンジレン(POB)、液晶性ポリエステル、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニルスルフォン(PPSU)、ポリビスアミドトリアゾール、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、アクリル、ポリフッ素化ビニリデン(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリウレタン共重合体等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いてもよい。
これらのうち、PAI、PI、PES、PPSU、PEI、PPSは、PEEK樹脂とのアロイ化に耐え得る耐熱性があり好ましく、その中でも、PES、PPSU、PEIが特に好ましい。
<導電性フィラー>
本発明で用いる導電性フィラーとしては、用途に要求される性能を満たすものであれば特に制限はなく、各種のものを用いることができ、具体的には、カーボンブラックやカーボンファイバー、グラファイトなどのカーボン系フィラー、金属系導電性フィラー、金属酸化物系導電性フィラーなどの導電性金属系フィラーを用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いてもよい。
本発明における導電性フィラーの選択は、得られるシート状部材の機械特性、電気特性、寸法特性、化学特性を考慮する必要があり、この点から、導電性フィラーとしては、カーボンブラックの粉体品、もしくは粒状品を主成分としたものが好ましい。この場合、カーボンブラックを主成分とし、後述の帯電防止剤等の非導電性フィラー系のものを副成分として併用してもよいし、導電性金属系フィラーとの複合であってもかまわない。ただし、表面エネルギーが高いものであることが好ましいことから、導電性成分としてはカーボンブラックのみを用いることが好ましい。
カーボンブラック等の導電性フィラーを配合すると、シート状部材に表面凹凸が形成されてしまうが、耐ブロッキング性の面で適度な凹凸があるほうが好ましい場合もある。
導電性フィラーの配合量は用いる導電性フィラーの種類によっても異なるが、本発明の画像形成装置用シート状部材中の含有量として19重量%以下の範囲で、所望の半導電性の程度に応じて適宜調整することが好ましい。導電性フィラーの含有量が19重量%を超えると、耐クラック性が低下するため好ましくない。導電性フィラーの含有量が少な過ぎると、導電性が発現されなかったり、導電性フィラーの分散状態が粗くなり電気抵抗率がばらつきやすくなり、また、接触抵抗が大きく環境に左右されるようになり、例えば、画像形成装置にエンドレスベルトとして搭載した場合、環境によっては画像異常を発生させる場合がある。このため、シート状部材中の導電性フィラーの含有量は10重量%以上、特に12〜18重量%とすることが好ましい。
導電性フィラーとして好適に用いられるカーボンブラックの種類としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが好適に使用でき、この中でもカリウム、カルシウム、ナトリウムなどの灰分とよばれる不純物が少なく外観不良を発生しにくいアセチレンブラックが特に好適に使用でき、その平均一次粒子径は25〜45nm程度であることが好ましい。また、樹脂を被覆したカーボンブラックや、加熱処理したカーボンブラックや黒鉛化処理したカーボンブラック等の公知の後処理を施したカーボンブラックを、本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
更に、分散性を向上させる目的、ガス発生を抑制させる目的でシラン系、アルミネート系、チタネート系、及びジルコネート系等のカップリング剤で処理したカーボンブラックを用いてもよい。
カーボンブラック系以外の導電性フィラーとしては、例えば、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄などの粉末やアルミドープ酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化スズ、リンドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム等の所謂導電性金属酸化物フィラーの粒状、繊維状、フレーク状のものが好適に用いられる。
これらのカーボンブラック以外の導電性フィラーの中でも、アルミドープ酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化スズ、リンドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウムといった所謂導電性金属酸化物フィラーであって粒状のものが好ましく、平均粒子径として5μm以下のものが、形成されるシート状部材の表面平滑性が維持できるため好ましい。
<付加的配合材;任意成分>
本発明の画像形成装置用シート状部材には、各種目的に応じて任意の配合成分を配合することができる。
具体的には、酸化防止剤、熱安定剤、各種可塑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、着色剤、難燃剤、分散剤、ワックス等の各種添加剤を添加することができる。
また、導電性フィラー以外の導電性成分として、ポリエーテルエステルアミドといった高分子ポリマータイプの帯電防止剤や、イオン導電性物質、例えば四級アンモニウム塩等を併用してもよい。
更に、画像形成装置用シート状部材の構成材料には、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、第3,第4成分として前述の各種熱可塑性樹脂以外に、各種エラストマー、熱硬化性樹脂、導電性フィラー以外のフィラー等の配合材を配合することができる。
[画像形成装置用シート状部材の製造方法]
以下に本発明の画像形成装置用シート状部材の製造方法について説明する。
本発明のシート状部材の製造方法には特に制限はなく、常法に従って製造することも可能であるが、PEEK樹脂と導電性フィラーとを含む樹脂組成物を、環状ダイを介してチューブ状に溶融押出し、該チューブ状の押出物の内面を冷却マンドレルに接触させて冷却固化する内部冷却マンドレル方式で画像形成装置用シート状部材を連続溶融押出成形する押出成形工程で、環状ダイの溶融樹脂出口部と冷却マンドレルとの間において、押出物のフロストラインを形成させる本発明の画像形成装置用シート状部材の押出成形方法により製造することが、耐クラック性に優れた降温結晶化ピーク温度Tの低いPEEK樹脂を用いた上で、徐冷による後結晶化で耐ローラー癖性を改良し、耐クラック性と耐ローラー癖性とをより確実に両立させる上で好ましい。
<成形材料の加熱混練>
成形に先立って、まず、PEEK樹脂、導電性フィラー等を加熱混練する。この加熱混練手段には特に制限はなく、公知の技術を用いることができる。例えば、PEEK樹脂、導電性フィラー、及び必要に応じて配合されるその他の添加成分を加熱混練して樹脂組成物とするのであれば、一軸押出機、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダーなどを用いることができる。特に、これらを二軸混練押出機により混合し、ペレット化した後に成形する手法が好ましく用いられる。
なお、製造されたペレットを溶融押出成形に供する場合、押出安定性を得るために、ペレット表面にステアリン酸カルシウム等の滑剤をドライブレンド等の方法により添着させることによりペレットの流動性を向上させることが望ましい。この場合、添着させる滑剤の量は、好ましくはペレット重量100重量部に対し、0.01以上0.5重量部であり、より好ましくは0.02以上0.3重量部である。
<成形方法>
本発明において、成形方法については特に限定されるものではなく、連続溶融押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、或いはインフレーション成形法、遠心成形法、ゴム押出成形法等の公知の方法を採用して得ることができるが、特に好ましい方法は、連続溶融押出成形法である。特に、環状ダイよりチューブ状に押出した押出物(溶融チューブ)を、冷却又は冷却固化しつつ引き取る押出成形法が好ましく、とりわけチューブの内径を高精度で制御可能な下方押出方式の内部冷却マンドレル方式或いはバキュームサイジング方式が好ましい。特に、内部冷却マンドレル方式がシームレスベルトを容易に得ることができるため画像形成装置用ベルトの成形法としては最も好ましい。この場合、環状ダイとしては、その円周方向に複数の温度調節機構が設けられているものが好ましい。また、溶融チューブの冷却は、80〜150℃の範囲に温度調節した金型を、その内側又は外側に接触させて行うことが好ましく、このようにして、溶融チューブを円筒形状を保持したまま引き取ることが好ましい。
また、インフレーション成形法により一旦折り目有りのフィルムを作製した後、後加工にて折り目を見かけ状無くした状態でエンドレスベルト状のシート状部材としてもよく、帯状のシートを一旦加工した後、つないでシーム有りのシート状部材としてもよい。
成形方法として、押出成形法は、コストの点で有利ではあるが、一般に電気抵抗値の印加電圧依存性の良好なシート状部材を作製しにくい。しかしながら、用いるPEEK樹脂や導電性フィラーの種類の選定、或いは以下のような成形条件の設定により、電気抵抗値の印加電圧依存性を小さくすることができるため好ましい。
特に、(a)押出成形時の溶融チューブを冷却した後に連続的に引き取る際の引き取り速度を0.5m/min以上、2m/minの中速で引き取り、これにより、厚み方向の全域に導電性フィラーを高配向させるか、又は、(b)シート状部材の厚みをダイス金型のリップクリアランスに対し0.12以下となるようにして、導電性フィラーを分散させた成形材料を極端に低配向で押し出すか、又は(c)シート状部材を120μm以下の薄膜にすることにより表層と中央の配向差を少なくさせたシート状部材であれば、電気抵抗値の印加電圧依存性の小さいシート状部材を容易かつ安価に製造することができる。
<本発明の画像形成装置用シート状部材の押出成形方法>
以下に、本発明の画像形成装置用シート状部材の製造に好適に採用される本発明の画像形成装置用シート状部材の押出成形方法について、図1を参照して説明する。
図1は本発明の画像形成装置用シート状部材の押出成形方法における溶融押出成形工程を示す模式的な断面図である。
図1の方法では、押出機1に、好ましくは前述の滑剤を貼着したペレットを供給して溶融させ、溶融樹脂を環状ダイ2に供給して環状ダイ2の溶融樹脂押出部(ダイスリップ部)3からチューブ状に押出し、チューブ状の押出物(溶融チューブ)4の内面を、環状ダイ2の下方に、環状ダイ2と同軸状に設けられた円筒形の冷却マンドレル(冷却型)5の外周面に接触させて冷却固化させつつ、引取機6で引き取り、更に図示しないカッターで所望の幅に切断することで、シームレスベルト状のシート状部材を製造する。
本発明においては、このような内部冷却マンドレル方式の連続押出成形において、押出物のフロストライン(図1において、破線Fで示す。)が、環状ダイ2のリップ部3と冷却マンドレル5との間に位置するように成形条件を制御する。
ここで、フロストラインFとは、一旦溶融した樹脂が、冷却過程で結晶化するラインである。例えば、溶融状態で透明な樹脂は、結晶化により半透明となることから、フロストラインより上方の溶融チューブは透明であり、フロストラインより下方のチューブは半透明となる。従って、フロストラインは、この透明、半透明の境界線として目視により観察することができる。導電性フィラーを混合した樹脂の場合は、高光沢から低光沢へ変化する境界線として目視により観察することができる。
溶融樹脂を冷却マンドレルで冷却固化させる場合、急冷状態になると結晶化が不十分となり耐ローラー癖性が悪くなるばかりか、耐摩耗性も低下する。従って、本発明では、冷却マンドレル5に溶融チューブ4が接する前に結晶化するように、冷却マンドレル5とダイスリップ部3との間において、フロストラインFが形成されるような条件で押出成形する。そうすることにより、押出物の内面と外面が均等に空冷、除冷され、耐ローラー癖性が向上するとともに、耐クラック性への影響も少なくなり好ましい。
好ましいフロストラインFの位置は、ダイスリップ部3からの距離(図1中のL)が5mm以上60mm以下であり、より好ましい距離は10mm以上40mm以下である。
なお、冷却マンドレル5の位置は、フロストラインFの位置よりも押出方向の下流側であればよいが、フロストラインFの位置よりも離れすぎると、冷却マンドレル5の直径と、結晶化して冷却固化したチューブとの接触時にサイズの違いによる変形が大きくなり、押出物がシワになったり、冷却マンドレル5での冷却ができなくなり、真円性が保てなくなり好ましくない。このため、冷却マンドレル5とフロストラインFとの距離(図1中のL)は、5mm以上100mm以下であることが好ましく、10mm以上60mm以下であることがより好ましい。
このように、フロストラインFをダイスリップ部3と冷却マンドレル5との間に形成するためには、冷却マンドレル5と環状ダイ2との間隔(図1におけるLとLとの合計の距離)を、通常よりも長く、例えば20〜160mm程度とした上で、押出成形条件及び金型条件を例えば以下のように制御する方法が挙げられる。
(1) ダイス温度を、用いたPEEK樹脂の融点より極端に高くない範囲の、360〜410℃程度とし、押出物の引き取り速度を0.7〜2.0m/minとして、冷却マンドレル5に到る前に結晶化を促進する。
(2) ダイスリップ径と冷却マンドレル径の比を0.8以上1.2以下にする。
なお、上記の通り、フロストラインFをダイスリップ部3と冷却マンドレル5との間に形成した上で、冷却マンドレル5における急冷を更に制御して徐冷するために、冷却マンドレル5の外表面の温度は100〜150℃程度と、若干高めに設定することが好ましい。
<熱処理>
上述のようにして成形された画像形成装置用シート状部材は、成形後に熱処理を行ってもよく、これにより、より耐ローラー癖性が向上した画像形成装置用シート状部材とすることが可能となる。
この場合、熱処理条件は用いるPEEK樹脂にもよるが、通常50〜150℃、好ましくは60〜130℃の温度で15分〜5時間であり、好ましくは1時間〜3時間程度である。
熱処理は、エンドレスベルト状のシート状部材を2本以上のローラーに張架させて駆動させながら熱をかけて行ってもよいし、円筒状の型にシート状部材を装着して行ってもよい。更には、円筒状のそのままの状態で熱処理を施してもよい。
[画像形成装置用シート状部材の物性及び特性]
本発明の画像形成装置用シート状部材の好適な物性及び特性を以下に挙げる。
<厚み>
本発明の画像形成装置用シート状部材の厚みは、用途によっても異なるが、弾性率(ここで、弾性率とは後述の「引張弾性率」である。)にも関係し、弾性率3000MPa程度とするために40μm以上、160μm以下が好ましく、50μm以上、150μm以下がより好ましい。厚みが厚すぎると厚み偏差が大きくなるため、例えばエンドレスベルトの場合、ベルトの周速が変わり、画像ズレが起こる可能性があり、また、表層と中央部(厚み方向の中央部分)の配向差が大きくなりすぎ、導電性フィラー等の分散の差が大きく、電気抵抗値の差が大きくなるため好ましくない。シート状部材の好ましい厚みは60〜140μmであり、とりわけ70〜125μmであることが、厚み偏差が少なく、また、チューブ状に押出成形する場合、良好な成形安定性が得られるため好ましい。
<引張弾性率>
本発明の画像形成装置用シート状部材の引張弾性率は、1500MPa以上、4500MPa以下であることが好ましい。引張弾性率が低いと、例えばエンドレスベルトの場合、ローラー表面に付着したトナーの外添剤やごみ等によりベルトが傷になることがあるため好ましくない。また、例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合に、張力により少し伸びが発生してしまい、色ズレなどの不具合を発生することがある。逆に、引張弾性率が高すぎる場合は、エンドレスベルトを駆動する際にモータ負荷がかかるため、厚み設定を薄くする必要が生じ、一旦ローラーとベルト間にゴミが入り込んだり、感光体との摩擦による傷等が入るとクラックが入り易く、信頼性に問題があるため好ましくない。また、一次転写におけるトナーの転写効率を向上させるためには、ベルトが伸びない程度の引張弾性率が必要であり、かつエンドレスベルトが硬くならない程度の引張弾性率が必要である。シート状部材のより好ましい引張弾性率の範囲は2000MPa以上、3500MPa以下、特に2500MPa以上、3300MPa以下である。
本発明のシート状部材の引張弾性率は、具体的には、後述の実施例の項に示される方法で測定される。
<耐屈曲性(耐折回数)>
本発明の画像形成装置用シート状部材を例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合には、耐屈曲性が悪いとクラックが発生して画像が得られなくなるので耐屈曲性の良好なシート状部材が好ましい。
耐屈曲性の程度は、JIS P−8115(2001年)の耐折回数の測定方法に従うことで定量的に評価でき、耐折回数の大きいエンドレスベルトほどクラックが入りにくく、耐屈曲性に優れていると判断することができる。
具体的な数値としては、治具先端のR=2mmの治具で折り曲げた場合に、破断回数が50万回以上であればエンドレスベルトとして優れた機能を発揮して使用することができるが、実用的には75万回以上が好ましく、100万回以上であれば更に好ましい。高弾性ベルトの場合、JIS規格通りの治具先端R=0.38mmでは、屈曲が強すぎて、正確な耐久性が読み取れないが、エンドレスベルトの耐屈曲性の目安としては、上記耐折回数として5000回以上、特に1万回以上、2万回未満であることが好ましい。
本発明のシート状部材の耐屈曲性(耐折回数)は具体的には、後述の実施例の項に示される方法で測定される。
<表面電気抵抗率・体積電気抵抗率>
印加電圧100V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(100V)、印加電圧1000V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(1000V)、印加電圧100V,10秒にて測定した体積電気抵抗率をVR(100V)と表記した場合、本発明の画像形成装置用シート状部材のSR(100V)は特に制限がないが、中間転写ベルトとしては、1×10〜1×1012Ω/□であることが好ましく、1×10〜1×1011Ω/□であることがより好ましい。また、基材層のSR(1000V)は1×10〜1×1012Ω/□であることが好ましく、1×10Ω〜1×1010Ω/□であることがより好ましい。また、SR(100V)/SR(1000V)の比は100以下であることが好ましく、10以下であることが、印加電圧の振れによる電気抵抗値変化が少なく、感光体から中間転写ベルトへのトナーの転写(一次転写)と中間転写ベルトから紙へのトナーの転写(二次転写)が安定して行われるため好ましい。
なお、本発明において、表面電気抵抗率や体積電気抵抗率は例えばダイヤインスツルメンツ(株)製商品名「ハイレスタUP」のURプローブ又はUR100プローブで計測することが好ましいが、表面電気抵抗率が1×1013Ω以上の場合は、(株)アドバンテスト社製デジタル超高抵抗微少電流計商品名「R8340A」に、JISの電極をつないで測定するなど公知の方法で測定してもよい。
[画像形成装置用シート状部材の用途]
本発明の画像形成装置用シート状部材としては、具体的には、画像形成装置用エンドレスベルト、或いは画像形成装置用用紙分離爪が挙げられる。
このうち画像形成装置用エンドレスベルトの用途に特に制限はないが、寸法精度、耐屈曲性、引張弾性率など要求物性の厳しいOA機器分野、特に機能部材に好適に用いることができる。このエンドレスベルトをシームレスベルト形状とした場合、割れ、伸びなど不具合が少ないので好適である。
本発明の画像形成装置用エンドレスベルトは、電子写真式複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ機等の画像形成装置の、特に中間転写ベルト、搬送転写ベルト、転写定着ベルト、定着ベルト、感光体ベルト、現像スリープ、とりわけ中間転写ベルト、搬送転写ベルト、感光体ベルトなどとして好適に用いることができる。
本発明の画像形成装置用シート状部材よりなるエンドレスベルトはそのままベルトとして使用してもよいし、ドラム或いはロール等に巻き付けて使用してもよい。
また、クリーニング性を向上させる目的で、表面を研磨し平滑にしても良く、また、表面にコート材を塗布した積層エンドレスベルトとしてもよい。
また、端面補強等の目的のために、このエンドレスベルトの外側及び/又は内側に、必要に応じて側縁に沿って耐熱テープ等の補強テープを貼り合わせてもよい。
また、エンドレスベルトの蛇行防止目的で、エンドレスベルトの側縁に、ウレタンゴムやシリコンゴム等のゴム製のシート(蛇行防止ガイド)を接着剤にて張り合わせてもよい。
更には、上記補強テープと組み合わせて、補強テープをエンドレスベルトに貼り合わせた上で蛇行防止ガイドを貼り合わせた方がベルト耐クラック発生防止効果とベルト蛇行防止効果があるため好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
[使用材料]
エンドレスベルトの成形材料としては下記のものを用いた。
<ポリエーテルエーテルケトン樹脂>
ダイセルエボニック社製 PEEK「3300G」(本発明用)
降温結晶化ピーク温度T=294.3℃
ダイセルエボニック社製 PEEK「2000G」(本発明用)
降温結晶化ピーク温度T=298.3℃
ビクトレックス社製 PEEK「650G」(本発明用)
降温結晶化ピーク温度T=294.8℃
ビクトレックス社製 PEEK「381G」(比較例用)
降温結晶化ピーク温度T=301.1℃
ビクトレックス社製 PEEK「450G」(比較例用)
降温結晶化ピーク温度T=300.5℃
尚、降温結晶化ピーク温度Tは、購入した原料を400℃でプレス成形して得られたシート状片について、本発明で規定される方法でDSC測定して求めたものである。
<カーボンブラック>
電気化学(株)製 アセチレンブラック「デンカブラック」
DBP吸油量:180ml/100g
比表面積:65m/g
揮発分:0%
平均一次粒子径:39nm
pH:9
[評価方法]
得られたエンドレスベルトの評価方法は以下の通りである。
<DSC(示差走査熱量)測定>
セイコー電子工業(株)製 商品名「SSC−5200」を使用し、試料を昇温速度10℃/minで400℃まで昇温させ、その後、10℃/minで23℃まで冷却させる過程での降温結晶化ピーク温度Tを測定した。
<表面電気抵抗率・体積電気抵抗率>
ダイヤインスツルメンツ(株)製 商品名「ハイレスタ(URプローブ)」を使用し印加電圧100V,1000V 各10秒の条件にて表面電気抵抗率を測定した。印加電圧100Vのときの表面電気抵抗率を「SR(100V)」、印加電圧1000Vのときの表面電気抵抗率を「SR(1000V)」と記載する。
体積電気抵抗率は、エンドレスベルトの外表面に対して印加電圧100Vで測定した値を採用した。この体積電気抵抗率を「VR(100V)」と記載する。
<ローラー癖復元率>
エンドレスベルトを例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合には、プリンタ内でローラーに張架された状態で60℃以上程度の高温下にさらされた際に、エンドレスベルトにローラーの跡(ローラー癖)が付くと、画像に影響を及ぼすため好ましくない。エンドレスベルトの耐ローラー癖性は以下の方法で評価した。
温度23℃、湿度50%の条件で24時間以上状態調整したエンドレスベルトを15mm幅、44mm長さに切り取り、この試験片を、直径14mmのローラーに、試験片長さ方向がローラーの周方向となるようにセロハンテープ等で固定し、温度60℃湿度95%の恒温恒湿層に2時間放置後、温度23℃、湿度50%の環境下に24時間放置した後、試験片をローラーから開放し、温度23℃湿度50%で2時間放置した際の試験片の開口幅L(ローラーにより断面略C字形に癖付けされた試験片の開口部の幅)から以下の式で求めた値を、ローラー癖復元率(%)とする。この値は70%以上であることが、耐ローラー癖性に優れ好ましい。
ローラー癖復元率(%)={開口幅L(mm)/試験片長44(mm)}×100
<引張弾性率>
ISO R1184−1970に準拠し、エンドレスベルトから、幅15mm、長さ150mmの大きさの試験片を切り取り、この試験片に対して引張速度1mm/min、つかみ具間距離100mmとして測定した。
<耐屈曲性(耐折回数)>
JIS P−8115(2001年)に準拠し、エンドレスベルトから、幅15mm、長さ100mmの大きさの試験片を切断し、この試験片に対して、MIT試験機にて折り曲げ速度175回/分、回転角度135°左右、引張荷重1.0kgfの条件にて、先端部の曲率半径R=0.38mmと2mmの折り曲げ治具を用い、それぞれの破壊に至る折り曲げ回数を測定した。数値は3点の平均値を用いた。
[実施例及び比較例]
<実施例1>
ダイセルエボニック社製PEEK「3300G」85.5重量部に、アセチレンブラックを14.5重量部を配合し、二軸混練押出機(池貝(株)製「PCM45」)を用いてペレット化した。混練条件は、シリンダー温度380℃を基本とした。
次に上記で得られた成形材料のペレット100重量部にステアリン酸カルシウム0.05重量部をドライブレンドで表面に添着させ、その後150℃で乾燥し、直径φ230mmの6条スパイラル型環状ダイ付き40mmφの押出機により、環状ダイ下方にチューブ状に溶融押出し、押出した溶融チューブを、環状ダイと同一軸線上に支持棒を介して装着した外径231mmの冷却マンドレルの外表面(温度120℃)に接しめて除冷し冷却固化させつつ、次に、溶融チューブの中に設置されている円筒形の中子と外側に設置されている引取機により、シームレスベルト状の膜状物を円筒形を保持した状態で引き取りつつ、長さ300mmに輪切りにした。シリンダー、ダイス温度はいずれも380℃を基本条件とし、ダイス金型条件は、ダイス金型リップクリアランスは2.0mm、引き取り速度は1.0m/minとした。膜状物の平均厚みが80μmとなるよう、押出量と押出温度、冷却温度を調整しつつ、内径230mmのエンドレスベルトを得た。
ダイスリップ部と冷却マンドレルとの距離は55mm(L+L=55mm)で、フロストラインはダイスリップ部から10mm(L=10mm)の位置にあり、ダイスリップ部と冷却マンドレルとの間にあった。
得られたエンドレスベルトの評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、得られたエンドレスベルトの降温結晶化ピーク温度Tは295.6℃であり、厚み80μm、SR(100V)は3.0×10Ωであった。ローラー癖復元率は85%、耐折回数はR=0.38で10780回、R=2mmでは100万回でも破断せず、耐クラック性、耐ローラー癖性ともに良好であった。
<実施例2>
溶融押出成形時の引き取り速度を1.5m/minとした以外は実施例1と同様にエンドレスベルトを得た。
ダイスリップ部と冷却マンドレルとの距離は55mm(L+L=55mm)で、フロストラインはダイスリップ部から15mm(L=15mm)の位置にあり、ダイスリップ部と冷却マンドレルとの間にあった。
得られた積層ベルトの評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、得られたエンドレスベルトの降温結晶化ピーク温度Tは294.3℃であり、厚み80μm、SR(100V)は3.0×10Ωであった。ローラー癖復元率は80%、耐折回数はR=0.38で11100回、R=2mmでは100万回でも破断せず、耐クラック性、耐ローラー癖性ともに良好であった。
<実施例3>
溶融押出成形時の引き取り速度を1.8m/minとした以外は実施例1と同様にエンドレスベルトを得た。
ダイスリップ部と冷却マンドレルとの距離は55mm(L+L=55mm)で、フロストラインとなる結晶化温度は、ダイスリップ部から20mm(L=20mm)の位置にあり、ダイスリップ部と冷却マンドレルとの間にあった。
得られた積層ベルトの評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、得られたエンドレスベルトの降温結晶化ピーク温度Tは293.6℃であり、厚み80μm、SR(100V)は3.0×10Ωであった。ローラー癖復元率は78%、耐折回数はR=0.38で13000回、R=2mmで100万回でも破断せず、耐クラック性、耐ローラー癖性ともに良好であった。
<実施例4>
ダイセルエボニック社製PEEK「3300G」70重量部、ダイセルエボニック社製PEEK「2000G」17重量部に、アセチレンブラックを13重量部を配合し、溶融押出成形時の引き取り速度を1.7m/minとし、厚みを80μmとなるよう押し出し量を調整した以外は実施例2と同様にエンドレスベルトを得た。
ダイスリップ部と冷却マンドレルとの距離は55mm(L+L=55mm)で、フロストラインとなる結晶化温度は、ダイスリップ部から18mm(L=18mm)の位置にあり、ダイスリップ部と冷却マンドレルとの間にあった。
得られた積層ベルトの評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、得られたエンドレスベルトの降温結晶化ピーク温度Tは295.6℃であり、厚み80μm、SR(100V)は4.0×10Ωであった。ローラー癖復元率は78%、耐折回数はR=0.38で17500回、R=2mmで100万回でも破断せず、耐クラック性、耐ローラー癖性ともに良好であった。
<実施例5>
ビクトレックス社製PEEK「650G」84重量部に、アセチレンブラックを16重量部を配合し、溶融押出成形時の引き取り速度を1.0m/minとし、厚みを80μmとなるよう押し出し量を調整した以外は実施例2と同様にエンドレスベルトを得た。
ダイスリップ部と冷却マンドレルとの距離は55mm(L+L=55mm)で、フロストラインとなる結晶化温度は、ダイスリップ部から10mm(L=10mm)の位置にあり、ダイスリップ部と冷却マンドレルとの間にあった。
得られた積層ベルトの評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、得られたエンドレスベルトの降温結晶化ピーク温度Tcは292.8℃であり、厚み80μm、SR(100V)は3.0×10Ωであった。ローラー癖復元率は80%、耐折回数はR=0.38で16000回、R=2mmで70万回で破断したが使用可能なレベルであり、耐ローラー癖性は良好だった。
<比較例1>
ビクトレックス社製PEEK「381G」84.5重量部に、アセチレンブラックを15.5重量部配合し、二軸混練押出機(池貝(株)製「PCM45」)を用いてペレット化した。混練条件は、シリンダー温度380℃を基本とした。
次に上記で得られた成形材料のペレット100重量部にステアリン酸カルシウム0.05重量部をドライブレンドで表面に添着させ、その後150℃で乾燥し、直径φ230mmの6条スパイラル型環状ダイ付き40mmφの押出機により、環状ダイ下方に溶融チューブ状態で押出し、押出した溶融チューブを、環状ダイと同一軸線上に支持棒を介して装着した外径231mmの冷却マンドレルの外表面(温度90℃)に接しめて除冷し冷却固化させつつ、次に、溶融チューブの中に設置されている円筒形の中子と外側に設置されている引取機により、シームレスベルト状の膜状物を円筒形を保持した状態で引き取りつつ、長さ300mmに輪切りにした。シリンダー、ダイス温度はいずれも380℃を基本条件とし、ダイス金型条件は、ダイス金型リップクリアランスは2.0mm、引き取り速度は1.5m/minとした。膜状物の平均厚みが80μmとなるよう、押出量と押出温度、冷却温度を調整しつつ、内径230mmのエンドレスベルトを得た。
ダイスリップ部と冷却マンドレルとの距離は55mm(L+L=55mm)で、フロストラインはダイスリップ部から15mm(L=15mm)の位置にあり、ダイスリップ部と冷却マンドレルとの間にあった。
得られたエンドレスベルトの評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、得られたエンドレスベルトの降温結晶化ピーク温度Tは303.8℃であり、厚み80μm、SR(100V)は3.0×10Ωであった。ローラー癖復元率は54%、耐折回数は、R=0.38で3000回、R=2mmで75万回の半導電性エンドレスベルトであったため、耐クラック性、耐ローラー癖とも目標に到達しなかった。
<比較例2>
溶融押出成形時の冷却マンドレルの外表面の温度を120℃にした以外は比較例1と同様にエンドレスベルトを得た。
ダイスリップ部と冷却マンドレルとの距離は55mm(L+L=55mm)で、フロストラインはダイスリップ部から15mm(L=15mm)の位置にあり、ダイスリップ部と冷却マンドレルとの間にあった。
得られたエンドレスベルトの評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、得られたエンドレスベルトの降温結晶化ピーク温度Tは303.8℃であり、厚み80μm、SR(100V)は3.0×10Ωであった。ローラー癖復元率は82%であったが、耐折回数はR=0.38で1000回、R=2mmで50万回の半導電性エンドレスベルトであったため、耐クラック性は目標に到達しなかった。
<比較例3>
ビクトレックス社製PEEK「450G」84重量部に、アセチレンブラックを16重量部配合し、溶融押出成形時の冷却マンドレルの外表面の温度を120℃にした以外は比較例1と同様にエンドレスベルトを得た。
ダイスリップ部と冷却マンドレルとの距離は55mm(L+L=55mm)で、フロストラインはダイスリップ部から15mm(L=15mm)の位置にあり、ダイスリップ部と冷却マンドレルとの間にあった。
得られたエンドレスベルトの評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、得られたエンドレスベルトの降温結晶化ピーク温度Tcは300.3℃であり、厚み80μm、SR(100V)は3.0×10Ωであった。ローラー癖復元率は80%であったが、耐折回数はR=0.38で4000回、R=2mmで70万回の半導電性エンドレスベルトであったため、耐クラック性は目標に到達しなかった。
Figure 2021009400
1 押出機
2 環状ダイ
3 ダイスリップ部
4 溶融チューブ
5 冷却マンドレル
6 引取機
F フロストライン

Claims (5)

  1. 画像形成装置に用いられるシート状部材であって、ポリエーテルエーテルケトン樹脂と19重量%未満の導電性フィラーとを含み、以下の示差走査熱量測定で測定される降温結晶化ピーク温度Tが299.0℃未満であることを特徴とする画像形成装置用シート状部材。
    <示差走査熱量の測定>
    シート状部材を昇温速度10℃/minで400℃まで昇温させ、その後、10℃/minで23℃まで冷却させる過程での降温結晶化ピーク温度Tを測定する。
  2. 請求項1において、以下の耐折回数の測定で測定される、R=0.38mmでの耐折回数が5000回以上、2万回未満で、R=2mmでの耐折回数が50万回以上であることを特徴とする画像形成装置用シート状部材。
    <耐折回数の測定>
    JIS P−8115(2001年)に準拠し、シート状部材から幅15mm、長さ100mmの大きさの試験片を切断し、この試験片に対して、MIT試験機にて折り曲げ速度175回/分、回転角度135°左右、引張荷重1.0kgfの条件にて、先端部の曲率半径R=0.38mmと2mmの折り曲げ治具を用い、それぞれの破壊に至る折り曲げ回数を測定する。3点の測定値の平均値を耐折回数とする。
  3. 請求項1又は2において、以下のローラー癖復元率の測定で求められるローラー癖復元率が70%以上であることを特徴とする画像形成装置用シート状部材。
    <ローラー癖復元率の測定>
    温度23℃、湿度50%の条件で24時間以上状態調整したシート状部材を15mm幅、44mm長さに切り取ったものを試験片とし、この試験片を、直径14mmのローラーに、試験片長さ方向がローラーの周方向となるように固定し、温度60℃、湿度95%の恒温恒湿層に2時間放置後、温度23℃、湿度50%の環境下に24時間放置した後、試験片をローラーから開放し、温度23℃、湿度50%で2時間放置した際に、ローラーにより断面略C字形に癖付けされた試験片の開口部の幅Lから、以下の式でローラー癖復元率(%)を算出する。
    ローラー癖復元率(%)={開口幅L(mm)/試験片長44(mm)}×100
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、エンドレスベルト又は用紙分離爪であることを特徴とする画像形成装置用シート状部材。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記導電性フィラーがアセチレンブラックであることを特徴とする画像形成装置用シート状部材。
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