JP2021001513A - 建具 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで例えば、特許文献1に記載の固定窓と前述した片引き窓などとを並設する場合には、互いに窓枠の枠材形状が異なるので窓枠に統一感のない外観となるおそれがある。また、固定窓の窓枠は、片引き窓の窓枠とは異なる専用枠材なので、片引き窓の窓枠とは別個に固定窓用の窓枠を製造しなければならず、コスト削減を図り難い。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図3において、本実施形態に係る建具である固定窓1B(FIX窓、嵌め殺し窓)は、建物躯体の開口部に設置されて室内外を仕切るものであり、後述する片引き窓1(図4から図22参照)の窓枠2(枠体)を用いて面材31Bが窓枠2に嵌め殺しされている。
以下の説明において、固定窓1Bおよび片引き窓1の左右方向をX軸方向とし、固定窓1Bおよび片引き窓1の上下方向をY軸方向とし、固定窓1Bおよび片引き窓1の見込み方向(面外方向)をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向はそれぞれ互いに直交する。
まず、窓枠2が固定窓1Bに利用される片引き窓1について説明する。
図4から図12において、片引き窓1は、窓枠2(枠体)と、図1において左側に構成される固定窓3と、窓枠2内に左右方向にスライド可能に配置された障子4と、障子4のスライド移動において当該障子4を見込み方向に移動させるガイド機構5(図8,図9等参照)とを備えている。窓枠2内のうち固定窓3よりも室外側の部分には、図5,6に示すように網戸6が左右方向にスライド可能に配置される。
上枠21、下枠22、縦枠24および縦骨25は、枠本体32A〜32Dと、枠本体32A〜32Dに取り付けられた室外受け部としての金属押縁33A〜33Dおよび室内受け部としての樹脂押縁34A〜34D(押縁)とをそれぞれ備えている。閉鎖部30において、金属押縁33A〜33Dは面材31の室外面を受けており、樹脂押縁34A〜34Dは面材31の室内面を受けている。
室内形材322Aには下方に延出したレール形成片213が形成されており、レール形成片213は、室内形材322Aに取り付けられた樹脂枠材181に形成されたレール形成片182と組み合わされることで、前述した上レール211を中空形状に形成している。
室内形材322Bには、X軸方向に沿った一枚板状の下レール221と、下レール221よりも室内側において上方に立ち上げられた室内見付け片部223とが形成されている。下レール221はZ軸方向において樹脂押縁34B,35Bおよび室内見付け片部223の間に配置されている。
第一枠カバー36は、カバー本体片部361と、カバー本体片部361の室内縁部に形成された鉤状の係合部362と、カバー本体片部361の室外縁部に下方に突出して形成された当接部363とを有している。ここで、室内形材322Bには係合部362が係合する鉤状の被係合部224が形成されており、第一枠カバー36は、係合部362が被係合部224に係合した状態で当接部363が室外形材321Bに当接している。このように設置される第一枠カバー36は、室外形材321Bおよび室内形材322B間の断熱材323を上方から覆っている。
このように構成された第一枠カバー36によれば、例えば下枠22との係合箇所が室外縁部および室内縁部の双方に形成されるカバーと比べて、係合箇所を一箇所(係合部362だけ)とすることで、係合箇所の加工を少なくできてコスト削減できる。また、下枠22には図示しない室外側への排水経路が形成されているが、例えば樹脂押縁34B,35Bおよび下レール221の間の空間に水が浸入して水嵩が増した場合には、下枠22と係合されていない当接部363が浮力によって上方に浮き上がることで、室外側への排水を促進できる。
樹脂押縁34A,34Bは、図5に示すように、枠本体32A,32Bにネジ止めされた取付片部341を有しており、樹脂押縁34Aは取付片部341よりも室内側において枠本体32Aに形成された鉤状の枠係合部325に係合した係合見込み部342を更に有し、樹脂押縁34Bは取付片部341よりも室内側において枠本体32Bに当接した室内見付け片部349を更に有している。樹脂押縁34A,34Bにはビード38が装着されており、各ビード38によって面材31の室内面を押えている。
樹脂押縁34Cは、図6に示すように、枠本体32Cに形成された鉤状の枠係合部324に係合した係合見込み部344を有しており、係合見込み部344よりも室内側部分で枠本体32Cにネジ止めされている。樹脂押縁34Cにはビード38が装着されており、このビード38によって面材31の室内面を押えている。
樹脂押縁34Dは、図13に示すように、中空部を有した押縁本体部345と、押縁本体部345からX軸方向に延出した押縁取付片部346および押縁係合片部347とを有しており、押縁本体部345にはビード38が装着されており、このビード38によって面材31の室内面を押えている。押縁係合片部347は、押縁取付片部346に対してZ軸方向において室外側に間隔を隔てて配置されており、その先端にはZ軸方向に折曲された係合見込み部348が形成されている。ここで、枠本体32Dには、その見込み面329から戸尻側に向かってX軸方向に延出した枠取付片部326と、枠取付片部326に対してZ軸方向において室外側に間隔を隔てて配置された鉤状の枠係合部327とを有しており、枠係合部327にはZ軸方向に沿った係合見込み部328が形成されている。
この樹脂押縁34Dは、係合見込み部348が係合見込み部328に対してZ軸方向の係合代L1をもって係合されると共に、押縁取付片部346が枠取付片部326の室内側に重ね合わされた状態で連結具としてのZ軸方向に沿ったネジ13によって当該枠取付片部326にネジ止めされる。ネジ13は、Y軸方向に沿った複数箇所において押縁取付片部346を枠取付片部326に対してネジ止めしている。このように樹脂押縁34Dが取り付けられた状態では、ネジ13の先端131は押縁係合片部347の室内面347Aに対向して配置され、ネジ13の先端131および押縁係合片部347の室内面347Aの間の隙間寸法L2は、係合代L1よりも小さい寸法とされている。
このように樹脂押縁34Dは、前述した隙間寸法L2が係合代L1よりも小さい寸法とされているので、面材31に風圧が加わることで樹脂押縁34Dが見込み方向に押圧されて撓んだりしても、ネジ13の先端131が押縁係合片部347に当接することで、押縁係合片部347が枠係合部327から外れないように係合見込み部348,328同士の係合代L1を残すことができ、これにより、樹脂押縁34Dの取付強度を向上できる。上枠21、下枠22および左右の縦枠23,24よりも見込み寸法が小さく、且つ、窓枠2のうち最も縦長に形成される縦骨25が、風圧等の影響を大きく受けやすいが、この縦骨25に対して前述したように樹脂押縁34Dを取り付けることで、樹脂押縁34Dが外れることなく面材31を押さえることができる。
また、例えば樹脂押縁34Dが劣化、破損した場合には、ネジ13を外して押縁取付片部346を枠取付片部326から取り外し、押縁係合片部347を枠係合部327から外すことで、樹脂押縁34Dを枠本体32Dから取り外すことができ、新たな樹脂押縁34Dに容易に交換できる。
更に、樹脂押縁24Dの押縁係合片部347が、枠本体32Dの長手方向(Y軸方向)に沿った複数箇所で枠取付片部326に取り付けられているので、温度変化等による枠本体32Dに対する樹脂押縁24Dの熱伸縮差を低減できる。
なお、縦骨25に樹脂押縁34Dを取り付けているが、上枠21、下枠22および左右の縦枠23,24に対しても、樹脂押縁34A〜34Cに代えて、前述したように隙間寸法L2が係合代L1よりも小さい寸法とされて枠本体32A〜32Cに取り付けられる樹脂押縁を取り付けてもよい。この場合、枠本体32A〜32Cには、前記樹脂押縁に応じて枠係合部や取付片部が適宜形成される。
また、枠本体32A〜32Dを金属製(断熱材323を備えるものも含む)として十分な強度を確保しつつ大きな建具開口20を形成する大型の片引き窓1を構成する場合でも、固定窓3の面材31の室内面を押える押縁として樹脂押縁34A〜34Dを採用することで断熱性を向上できる。
上枠21の樹脂押縁35Aには、図10に示すように気密材10Aが障子4に対向して装着されており、下枠22の樹脂押縁35Bには、図11に示すように気密材10Bが障子4に対向して装着されている。気密材10A,10BはX軸方向に沿っている。
縦枠23には、図6に示すようにX軸方向に沿った装着片部201が形成されており、装着片部201には気密材10Cが障子4に対向して装着されており、縦骨25の室内見付け片部251のうち煙返し片部252よりも戸先側(建具開口20側)の部分には気密材10Dが障子4に対向して装着されている。気密材10C,10DはY軸方向に沿っている。ここで、気密材10Dは気密材10Cよりも長く形成されており、気密材10A,10Bの戸尻側における端面が密接している。また、気密材10Cの上下の端面は気密材10A,10Bに密接している。このように気密材10A〜10Dが突き合わされた状態で障子4に圧接することで気密性を発揮する。
このように形成された気密材10Dは、係合爪部112が縦骨25の室内見付け片部251に形成された係合凹溝254に係合される。このとき、突部113は気密材当接部12に対して煙返し片部252側に配置される。
気密材10A〜10Cも気密材10Dと同様に形成されている。気密材10A〜10Dは、建具開口20の周囲において突部113が気密材当接部12よりも外周側に位置するようにそれぞれ配置されている。気密材10A〜10Dは戸尻側で縦勝ちとされ且つ戸先側で横勝ちとされている。このため、気密材当接部12が外周側に弾性変形して、各気密材10の端部間にピンホールなどの隙間が形成されることが抑制される。また、X軸方向に沿った気密材10A,10Bは、障子4のX軸方向におけるスライド移動によってX軸方向に引きずられるおそれがあるが、前述したように気密材10Dに気密材10A,10Bの戸尻側の端面が突き当てられるように当該気密材10を長く形成して縦勝ちとしているので、気密材10A〜10D間にピンホールなどの隙間が形成されることを抑制でき、安定した水密性、気密性を得ることができる。なお、四周連続した高価な気密材を採用せずに、気密材10A〜10Dを突き合せてタイトラインを形成することで、コストを抑えることができる。
縦骨25の下端部256には、縦骨25を戸先側に向かってX軸方向に位置調整する調整部材7が取り付けられている。調整部材7は、図16(A)および図16(B)に示すように、板状本体73と、板状本体73の裏面73Bに形成された当接縦部74と、当接縦部74からX軸方向に延びて板状本体73の裏面73Bに形成された当接横部75とを有している。板状本体73には、Y軸方向に沿った長孔76が形成されている。調整部材7は、長孔76に挿通される軸ネジ77(図15参照)が挿通されて縦骨25の室内見付け片部251に螺合することによって、当該縦骨25にY軸方向に移動可能に取り付けられている。板状本体73のうち図15における左側部分(点線で示す部分)は室内見付け片部251および煙返し片部252の間に配置されてY軸方向に移動案内される配置となっている。当接縦部74および当接横部75は、図16(B)に示すように左右一対設けられている。一対の当接縦部74は、板状本体73の左右略中央位置においてY軸方向に沿ってリブ形状に形成されており、板状本体73の下端縁から下方に突出している。一対の当接横部75は当接縦部74からX軸方向に沿って溝形状に形成されている。一対の当接縦部74のうち図15において右側に位置する当接縦部74の第二溝側面226に対する当接面741は、樹脂押縁34D側における縦骨25の見込み面329よりも縦枠24側(戸先からX軸方向に離れる側)に配置されている。
このように下端部256に調整部材7が取り付けられた縦骨25は、図17(A)から図17(B)に示す手順で位置調整されて下枠22に取り付けられる。
まず、図17(A)に示すように、縦骨25の下端部256を溝部228の上方に配置する。縦骨25の戸先側の見込み面330にはシーラー331が設けられている。
次に、図14(B)に示すように、縦骨25の下端部256を溝部228に差し込む。このとき、シーラー331が樹脂押縁35Bなどに引っ掛かって外れないように、第一溝側面225と縦骨25の見込み面330との間に隙間が形成され、調整部材7は樹脂押縁34Bよりも上方に位置する。このため、縦骨25の下端部256を溝部228に容易に差し込むことができ、シーラー331が外れないように第一溝側面225と縦骨25の見込み面330との間に隙間を形成できる。
次に、図17(C)に示すように、縦骨25を第一溝側面225側に押し当て、調整部材7を下降させて、当接縦部74の当接面741を第二溝側面226に当接させることで、縦骨25を戸先側に位置調整する。これにより、縦骨25が第一溝側面225に押し当てられた状態が維持され、シーラー331が樹脂押縁35Bや枠カバー17の端面に対して密着され、図15に示す気密材10Dも気密材10Bの端面に密着される。また、当接横部75は室内見付け片部349の横縁349Aに当接して水密性を高めており、板状本体73は、樹脂押縁34Bの端部を室内側から覆い隠して外観意匠を向上させている。なお、図17(C)に示すように調整部材7を下降させた状態では、当接縦部74のうち下方に突出した部分は溝底面227に設置したシーラーに形成された穴に配置される。
最後に縦骨25の下端部256を下枠22にネジ止めする。このようにして縦骨25を下枠22に取り付ける。
このようにして縦骨25の上端部257を調整部材7によって位置調整して上枠21に取り付けることで、縦骨25の下端部256を下枠22に取り付ける場合と同様の作用効果を発揮できる。
また、調整部材7は、左右一対の当接縦部74や左右一対の当接横部75を有しているので、調整部材7を上下反転させても同様に縦骨25の位置調整に用いることができる。このため、縦骨25の上端部257および下端部256にそれぞれ取り付けられる調整部材7を共通化できる。
縦框43は、図6に示すように、室外見付け片部431、見込み片部432,433および室内見付け片部434を有しており、室外見付け片部431、見込み片部432および室内見付け片部434によって縦溝部435が形成されている。室外見付け片部431には引手8が設けられており、室内見付け片部434には操作ハンドル9が設けられており、縦溝部435には、縦枠23の錠受け72と係合可能な錠部材71(ここではグレモン錠)が設けられており、錠部材71および錠受け72によって錠装置が構成されている。錠部材71は、図示しない連動機構によって操作ハンドル9と連結されており、操作ハンドル9の操作によって錠受け72と係合し、また、係合解除する構成とされている。縦框43の室外見付け片部431は、建具開口20の全閉状態では、図6に示すように縦枠23の装着片部201に対してZ軸方向に対向して配置され、且つ、装着片部201に装着された気密材10Cに当接する。
縦框44は、概ね中空矩形状に形成されており、その室外面441には縦骨25の煙返し片部252に係合する断面略コ字状の係合部材442が形成されている。係合部材442は、障子4の開放移動によって煙返し片部252から外れ、障子4の閉鎖移動によって煙返し片部252に係合する。
上框41は、図10に示すように、室外見付け片部411、上下の見込み片部412,413および室内見付け片部414を有しており、室外見付け片部411、見込み片部412および室内見付け片部414によって上方に開口した上溝部415が形成されている。上溝部415には上枠21の上レール211が配置されている。
下框42は、図11に示すように、室外見付け片部421(障子見付け片部)、上下の見込み片部422,423および室内見付け片部424を有しており、下方側の見込み片部423には可傾戸車46が配置された戸車用の孔(図示省略)が形成されている。可傾戸車46は、下レール221に載せられている。ここで、可傾戸車46は、X軸方向に沿った仮想軸を中心としてY軸方向に沿った直立状態から室外側に傾いた傾斜状態まで傾動可能に配置されている。また、可傾戸車46には、障子4の面材45等の自重に基づいて傾斜状態から直立状態へ復帰する方向の力が与えられている。このため、障子4が開放移動されてガイド機構5による室外側への引き寄せが解除されることで、傾斜状態から直立状態へ自動復帰する。これにより、障子4はその開放移動に伴って閉鎖状態における見込み位置から室内側へ移動するようになっている。
なお、見込み片部423に段部423Cを形成して室内側への水の流れ込みを抑制しているが、これに限らない。例えば見込み片部423の上面を室外側が室内側よりも低くなるようにZ軸方向に対して傾斜させることで、室内側への水の流れ込みを抑制してもよく、この場合、段部423Cは省略してもよい。
上枠21の上レール211の下面には、前述した当接ローラ482が当接するブレーキガイド215A,215Bが取り付けられている。ブレーキガイド215Aは上レール211の戸先側縦枠23側の位置にあり、ブレーキガイド215Bは上レール211の戸尻側縦枠24側の位置にある。
ブレーキガイド215Aは、X軸方向に対して戸尻側から戸先側に向かうに連れて下方に傾斜した傾斜ガイド面216Aを有した傾斜ガイド部材216と、X軸方向に沿ったフラットなガイド面217A,218Aを有したガイド部材217,218とを備えており、図18において右側から傾斜ガイド部材216、ガイド部材217、ガイド部材218の順で組み合わされている。
このブレーキガイド215Aでは、障子4が戸先側に向かってX軸方向にスライド移動することで、傾斜ガイド部材216の傾斜ガイド面216Aにブレーキダンパ48Aの当接ローラ482が当接し、傾斜ガイド面216Aに沿って当接ローラ482が戸先側に移動することで、当接ローラ482を下方に押し下げる。これにより、上方に弾性付勢される当接体483の当接ローラ482と傾斜ガイド面216Aとの当接圧が漸次増大し、障子4の戸先側に向かうスライド移動に対する制動力が生じることで、障子4の縦枠23に対する衝突を防止できる。当接ローラ482がガイド部材217,218のガイド面217A,218Aに当接した状態となると、当接ローラ482とガイド面217A,218Aとの当接圧は一定となる。なお、傾斜ガイド部材216のX軸方向における位置は、例えばガイド部材217を取り外し、ガイド部材218の隣に傾斜ガイド部材216を配置することで戸先側の位置に変更でき、また、ガイド部材217と同様に形成されたガイド部材を追加することで、傾斜ガイド部材216を戸尻側の位置に変更できる。
ここで、ブレーキガイド215Aおよび当接ローラ482は、ガイド機構5によって障子4がZ軸方向に進退移動しても互いに外れない見込み幅をもってそれぞれ形成されている。
なお、ブレーキガイド215Bは、ブレーキガイド215Aと同様に構成されて左右逆向きに設置されており、障子4が戸尻側縦枠24に向かってスライド移動し、建具開口20を全開にする手前で当該障子4のスライド移動に対する制動力を生じる。
一方、縦框43には、図18に示すように突部材237および受け部材238が取り付けられており、突部材237はスイッチ片234に当接可能な高さ位置に配置され、受け部材238は突張り軸体232の先端に当接可能な位置に配置されている。
この指挟み防止具231は、障子4が戸尻側に向かってスライド移動し、突部材237がスイッチ片234を押すことで、突張り軸体232が直立状態から回動可能な状態となる。そして、障子4が戸尻側にスライド移動すると、突張り軸体232が倒れ位置まで回動して図18に点線で示す倒れ状態(図20に示す倒れ状態)となる。この状態では、障子4が戸尻側にスライド移動すると、突張り軸体232の先端に受け部材238が当たるので、障子4が建具開口20を全閉する直前で停止する。これにより、縦枠24および縦框43間における指挟みを防止できる。
ここで、受け部材238が突張り軸体232の先端に当たる図21に示す位置では、ブレーキダンパ48Aの当接ローラ482は、ガイド部材218のガイド面218Aに圧接しているので、突張り軸体232に受け部材238が当たることによる障子4の持ち上がりを抑制できる。
戸先側引寄せ機構90は、錠部材71の先端部に形成された引寄せ面91によって構成されている。引寄せ面91は、その戸先側縁部が戸尻側縁部よりも室外側に位置するようにX軸方向に対して傾斜しており、障子4の閉鎖移動において引寄せ面91が錠受け72の先端部に摺接しながら縦框43を室外側に移動させて気密材10Cに密着させる。
戸尻側引寄せ機構95は、縦框44の係合部材442の先端部に形成された引寄せ面96によって構成されている。引寄せ面96は、その戸先側縁部が戸尻側縁部よりも室外側に位置するようにX軸方向に対して傾斜しており、障子4の閉鎖移動において引寄せ面96が煙返し片部252の先端部に摺接しながら縦框44を室外側に移動させて気密材10Dに密着させる。
摺動部材61は、下框42の室外見付け片部421の長手方向における中央部分に形成された切欠き部分に嵌め込まれている。摺動部材61は室外見付け片部421から室内側へ突出した突出部611を有している。
引寄せ部材64は、図21(A)に示すように、取付基部641と、取付基部641から見込み方向に突出した突出部642と、突出部642の下部から室外見付け片部421に向かってZ軸方向に延出した引寄せ見込み片部643と、図8に示すように下枠22の室外形材321Bに係合可能に引寄せ見込み片部643の先端縁部に形成された先端係合部644とを有している。図21(B)は図21(A)のC−C線に沿った断面を示しており、引寄せ部材64の下レール221への取付けに関する。取付基部641は、Y軸方向に沿って下方に延びた取付突部645と、取付突部645に対して左右両側に配置されたレール当接部646,647とを有している。
このように構成された引寄せ部材64は、下レール221に形成された取付部19に取り付けられる。図8および図21(B)に示すように、下レール221は、X軸方向に沿ったレール本体221Aと、レール本体221Aから室外見付け片部421側に突出してレール本体221Aとの間に上方で開口した取付溝18を形成した取付部19とを有している。取付部19は、レール本体221AからZ軸方向に延出した左右の延出片部191と、左右の延出片部191に連続した先端連続部192とを有している。左右の延出片部191はレール本体221Aから先端連続部192に向かうに連れてX軸方向に対して傾斜している。
この引寄せ部材64は、取付突部645が取付溝18に上方から挿入されることによって下レール221に取り付けられる。このとき、レール当接部646,647はレール本体221Aの室外面に当接し、先端係合部644は下枠22の室外形材321Bに係合する。
この下ガイド機構60では、障子4のスライド移動によって摺動部材61が引寄せ部材64に対してX軸方向に移動する。障子4が全閉位置から戸尻側に所定距離離れた位置で移動する場合には、摺動部材61の突出部611は引寄せ部材64と非当接状態となっており、このため、下ガイド機構60は障子4を室外側に引き寄せ案内しない。また、障子4が前記離れた位置よりも戸先側の位置で移動する場合には、摺動部材61の突出部611は引寄せ部材64と当接状態となり、突出部611が突出部642に当接していくにつれ、障子4を室外側に引き寄せ案内する。
以上の下ガイド機構60では、引寄せ部材64の取付突部645を下レール221の取付溝18に上方から挿入することで、当該引寄せ部材64を下レール221に簡単に取り付けることができ、例えば下レール221に形成された貫通孔に対してビスを見込み方向に通して引寄せ部材をビス止めするような手間を要しない。このように引き寄せ部材64を取り付けることで、障子4のスライド移動において摺動部材61が引寄せ部材64に当接しながら移動することで障子4をX軸方向(面外方向)に引き寄せることができる。また、引寄せ部材64を上方に引き抜くことで簡単に取り外すことができ、清掃作業性を向上できる。
取付溝18に挿入された取付突部645に対して左右両側に配置された左右のレール当接部646,647がレール本体221Aに当接することで、引寄せ部材64が下レール221に対して、より強固に取り付けられる。また、引寄せ部材64が取り付けられる取付部19をZ軸方向に突出して形成することで、引寄せ部材64が取付部19によって補強されることとなり、引寄せ部材64の強度を向上できる。
取付部19の左右の延出片部191が前述したように傾斜しているので、例えば左右の延出片部がZ軸方向に真っ直ぐ延びて形成されるものと比べて、引寄せ部材64が摺動部材61と圧接してZ軸方向の力が加えられても引寄せ部材64を強固に保持できる。
取付突部645を取付溝18に挿入し且つ先端係合部644を下枠22に係合することで、引寄せ部材64の取付強度を更に向上できる。また、引寄せ見込み片部643によって第一枠カバー36を上方から押さえることができる。
引寄せ部材64は下枠見込み部222ではなく下レール221に取り付けられるので、下枠22の断熱材323に対して上方に配置することができる。
この上ガイド機構50では、障子4のスライド移動によって上部摺動片49A,49B左右の窪み部材55に対してX軸方向に移動する。障子4が全閉位置から戸尻側に所定距離離れた位置で移動する場合には、上部摺動片49A,49Bの突出部496は上レール211に摺接して障子4をX軸方向に案内する。また、障子4が前記離れた位置よりも戸先側の位置で移動する場合には、上部摺動片49A,49Bの突出部496は左右の窪み部材55の窪み部551に入り込む。これにより、前述した引寄せ機構による障子4の室外側への引き寄せが可能な状態となる。
建具開口20の図7に示す全開状態では縦骨25に対して戸先側の縦框43がZ軸方向に対向して配置される。このとき、障子4はガイド機構5によって室内側に引き離されており、気密材10A〜10Dは障子4と非当接状態である。
まず、障子4を戸尻側に開放移動することにより、下ガイド機構60の摺動部材61は引寄せ部材64からX軸方向に外れて下レール221に摺動可能に当接し、上ガイド機構50の上部摺動片49A,49Bの突出部496は窪み部材55の窪み部551からX軸方向に外れて上レール211に摺動可能に当接し、係合部材442は煙返し片部252から外れる。このとき、可傾戸車46は、障子4の自重によって傾斜状態から直立状態へ復帰する。このように開放移動することで引き寄せ機構による室外側への引寄せは解除されて障子4は室内側へ移動し、気密材10A〜10Dから離れる。続けて障子4を開放移動すると、障子4は図4に示す全開位置に配置され、戸先側の縦框43が縦骨25とZ軸方向に対向して配置される。なお、全開直前の位置ではブレーキダンパ48Bが作動して障子4の閉鎖移動に対する制動力を生じ、障子4が窓枠2に勢いよく衝突することを防いでいる。
まず、障子4を戸先側へ閉鎖移動することにより、ガイド機構5によって障子4が室外側へ引き寄せられる。具体的には、上ガイド機構50の上部摺動片49A,49Bの突出部496が窪み部材55の窪み部551に入り込むことで、障子4が室外側へ移動可能な状態となる一方、下ガイド機構60の摺動部材61が引寄せ部材64に当接し、錠部材71の先端部に形成された戸先側引寄せ機構90の引寄せ面91が錠受け72の先端部に当接し、且つ、係合部材442の先端部に形成された戸尻側引寄せ機構95の引寄せ面96が煙返し片部252の先端部に当接する。この状態で障子4が閉鎖移動することで、障子4は、下ガイド機構60、戸先側引寄せ機構90および戸尻側引寄せ機構95によって室外側へ移動される。このとき、可傾戸車46は直立状態から傾斜状態となり、上框41、下框42および左右の縦框43,44は気密材10A〜10Dに押し当てられて密着する。このようにして、障子4は図6に示す全閉位置に配置され、建具開口20は閉鎖される。
前記実施形態では、引寄せ部材64は、引寄せ見込み片部643および先端係合部644を有しているが、これらの構成を省略してもよい。また、引寄せ部材64は、取付突部645が取付溝18に挿入された状態でレール当接部646,647がレール本体221Aに当接しているが、若干隙間をもって配置されていてもよい。
前記実施形態では、取付部19を構成する左右の延出片部191はX軸方向に傾斜しているが、これに限らず、Z軸方向と平行に延出していてもよい。
前記実施形態では、下レール221に対して引寄せ部材64が取り付けられる箇所に取付部19を形成したが、このほか、クレセントストッパ、障子ストッパ、はずれ止め、風止板、気密材、止水材、枠カバーなどの各種部材が取り付けられる取付部19を形成し、これら各種部材が取り付けられてもよい。また、取付部19は上レール211に形成してもよく、この場合、取付溝18は下方で開口する。更に、上記各取付部19に取り付けられる各種部材には、取付部19に係合する爪部が先端に形成された取付突部645が形成されていてもよい。
前記実施形態では、上枠21および下枠22は、断熱材323を備えた断熱形材として構成されているが、これに限らず、断熱材323を有していなくてもよい。
前記実施形態では、調整部材7には左右一対の当接縦部74および左右一対の当接横部75を有しているが、左右一方だけに当接縦部74および当接横部75を有していてもよく、更に、当接横部75がなくても水密性を保てる場合にはその構成を省略してもよい。
前記実施形態では、調整部材7には、Y軸方向に沿った真っ直ぐな長孔76が形成されているが、例えばY軸方向に対して湾曲して形成されていてもよく、また、Y軸方向に対して傾斜して形成されていてもよい。
前記実施形態では、調整部材7の板状本体73は、樹脂押縁34Bの端部を覆い隠す部分を有しているが、この部分がなくてもよい。
前記実施形態では、樹脂押縁34Dは、固定窓3の面材31の室内面を押えるものとして用いられているが、これに限らず、各種建具の面材31の室内面や室外面を押えるものとして用いられてもよい。
前記実施形態では、樹脂押縁34A〜34Dを枠本体32A〜32Dに取り付けているが、これに代えて、金属製等の押縁を取り付けてもよい。
以上の片引き窓1の窓枠2を用いた本実施形態に係る固定窓1Bは、次の通りに構成される。
図1および図2において、固定窓1Bは、上枠21、下枠22および左右の縦枠23,24を備える窓枠2(枠体)と、上21枠、下枠22および左右の縦枠23,24に固定された面材31Bとを備え、片引き窓1における縦骨25、樹脂押縁35A,35Bおよび枠カバー17の構成は省略され、金属押縁33Aおよび樹脂押縁34A,34Bが左右の縦枠23,24にわたって延びている。縦枠23には、縦枠24と同様に金属押縁33C、樹脂押縁34Cが取り付けられている。下枠22の樹脂押縁34B、下枠見込み部222および室内見付け片部223によって下枠溝部229が形成されており、この下枠溝部229は、アルミ押出形材によって形成された下枠室内カバー100によって覆われている。また、下枠22には、網戸用のアタッチメント16の代わりに、固定窓1Bの専用カバーである下枠室外カバー120が取り付けられている。
下枠室内カバー100は、X軸方向に沿ったカバー本体片部101と、カバー本体片部101の室内縁部から下方に延出した係合片部102と、カバー本体片部101の室外縁部から下方に延出した当接片部103と、Z軸方向における係合片部102および当接片部103間の中間位置で下方に延出したレール係合片部104とを有している。この下枠室内カバー100は、係合片部102が下枠22の室内見付け片部223に係合し、レール係合片部104が下レール221の先端に形成された先端膨大部221Bに係合し、且つ、当接片部103が樹脂押縁34Bの室内見付け片部349に当接することで、下枠22に装着される。下枠溝部229には、下枠室内カバー100の装着によって室内外二つの空間105,106が形成される。下枠室内カバー100の左右両端は左右の樹脂押縁34Cの室内側見込み面に当接している。
下枠室外カバー120は、アルミ押出形材によって形成されており、網戸用のアタッチメント16のように網戸取付用の溝部161が形成されていないフラットな上片部121を有している。下枠室外カバー120は、左右の縦枠23,24の間に配置されている。
また、下枠室外カバー120および縦枠23,24の間には、図2および図3に示すように、X軸方向に沿った溝部126が上面127に形成された小口部材125が配置されている。なお、図3では、説明の便宜上、面材31Bの図示を省略している。
以上の固定窓1Bでは、片引き窓1の窓枠2を採用できるので、例えば固定窓1Bを片引き窓1と並べて設置した場合、窓枠2同士を共通形状に統一できて外観を向上できるうえ、窓枠2を共通化することで、固定窓3専用の窓枠を準備する必要がなくコスト削減を図ることができる。
また、片引き窓1の下枠22には障子4をスライド案内する下レール221が形成されており、この下枠22を固定窓1Bにそのまま採用した場合には、固定窓1Bには不要な下レール221が露出したままとなって外観を損なうおそれがある。固定窓1Bでは、前述した下枠溝部229を下枠室内カバー100で覆うことで下レール221を隠すことができて外観を向上できる。
更に、下枠室内カバー100が、下レール221の先端膨大部221Bに係合するレール係合片部104を有するので、下枠22に係合部を別途形成しなくても、下枠室内カバー100を下レール221に係合させることで下枠22に容易に取り付けることができる。
加えて、前述した溝部161のない専用の下枠室外カバー120を装着できるので、片引き窓1と下枠22の外観形状を概ね統一しつつ、前述したような溝部161に塵埃が溜まることのない固定窓1Bを構成できる。
更にまた、下枠室外カバー120および左右の縦枠23,24の間に配置される小口部材125に前述した溝部126が形成されるので、溝部126から下枠室外カバー120の上片部121の下側に六角レンチ等の工具128を差し込むことで下枠室外カバー120を上方に引き上げて簡単に取り外すことができ、メンテナンス性を向上できる。
本発明の建具は、上枠、下枠および左右の縦枠を備える枠体と、前記上枠、前記下枠および前記左右の縦枠に固定された面材とを備える建具であって、前記下枠は、下枠見込み部と、前記下枠見込み部に配置されて前記面材の室外面を受ける室外受け部と、前記下枠見込み部に配置されて前記面材の室内面を受ける室内受け部と、前記室内受け部よりも室内側において前記下枠見込み部から立ち上げられた室内見付け片部と、前記室内受け部および前記室内見付け片部間において前記下枠見込み部から上方に延出した下レールとを有し、前記室内受け部、前記下枠見込み部および前記室内見付け片部によって下枠溝部が形成され、前記下枠には下枠室内カバーが前記下枠溝部を覆って装着されることを特徴とする。
本発明の建具によれば、前述した片引き窓などの建具の枠体を採用して固定窓を構成でき、各枠体を共通形状に統一できて外観を向上でき、且つ、枠体の共通化によってコスト削減を図ることができる。
また、片引き窓の下枠には障子をスライド案内する下レールが形成されており、この下枠を固定窓にそのまま採用した場合には、固定窓には不要な下レールが露出したままとなって外観を損なうおそれがある。本発明では前述した下枠溝部を下枠室内カバーで覆うことで下レールを隠すことができて外観を向上できる。
このような構成によれば、下枠に係合部を別途形成しなくても、下枠室内カバーを下レールに係合させることで下枠に容易に取り付けることができる。
このような構成によれば、例えば片引き窓の下枠などには網戸取付用の溝部が形成されたアタッチメントが取り付けられるが、このようなアタッチメントを、網戸を取り付ける必要のない固定窓にそのまま採用した場合には、溝部に塵埃が溜まるおそれがあるが、前述したアタッチメントではなく、溝部のない専用の下枠室外カバーを装着できるので、片引き窓と下枠の外観形状を概ね統一しつつ、前述したような溝部に塵埃が溜まるおそれをなくし得る。
このような構成によれば、下枠室外カバーおよび左右の縦枠の間に配置される小口部材に前述した溝部が形成されているので、この溝部から下枠室外カバーの上片部の下側に六角レンチ等の工具を差し込むことで下枠室外カバーを簡単に取り外すことができ、メンテナンス性を向上できる。
Claims (4)
- 上枠、下枠および左右の縦枠を備える枠体と、前記上枠、前記下枠および前記左右の縦枠に固定された面材とを備える建具であって、
前記下枠は、下枠見込み部と、前記下枠見込み部に配置されて前記面材の室外面を受ける室外受け部と、前記下枠見込み部に配置されて前記面材の室内面を受ける室内受け部と、前記室内受け部よりも室内側において前記下枠見込み部から立ち上げられた室内見付け片部と、前記室内受け部および前記室内見付け片部間において前記下枠見込み部から上方に延出した下レールとを有し、
前記室内受け部、前記下枠見込み部および前記室内見付け片部によって下枠溝部が形成され、
前記下枠には下枠室内カバーが前記下枠溝部を覆って装着される
ことを特徴とする建具。 - 請求項1に記載の建具において、
前記レールの先端には先端膨大部が形成され、
前記下枠室内カバーは前記先端膨大部に係合可能なレール係合片部を有する
ことを特徴とする建具。 - 請求項1または請求項2に記載の建具において、
前記下枠には、前記室外受け部よりも室外側の位置に下枠室外カバーが装着される
ことを特徴とする建具。 - 請求項3に記載の建具において、
前記下枠室外カバーは、フラットな上片部を有していると共に前記左右の縦枠の間に配置され、
前記下枠室外カバーおよび前記左右の縦枠の間には、前記下枠室外カバーの長手方向に沿った溝部が上面に形成された小口部材が配置される
ことを特徴とする建具。
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