JP6877885B2 - 断熱サッシ - Google Patents
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Description
このような引違い式の断熱サッシにおいて、上枠の室外側部材の外案内レールと室内側部材の内案内レールとの間に亘って樹脂製のカバー部材で覆うと共に、内案内レールの室外側に遮蔽部材を設けることにより、内案内レールに直接外気等があたるのを防止して断熱性能を向上させた断熱サッシは知られていた。
そのため、室外より室外側部材に伝達された冷熱は室外側部材の外案内レールの室内面より輻射熱として障子上面と上枠内周面との間の空間の空気に伝達され、さらに、障子と枠体との間の空間における空気の対流により室内に伝達されてしまう可能性があった。
また、障子の建て込み作業時においても、障子の当接に応じて可動片が上方に回動するので、建て込みの邪魔になることがなく、障子上面に対してより近接させることができるので、上枠の飲み込み量を大きくする必要が無く、上枠の見付け幅を抑えることができる。
(全体の構成)
本発明の実施形態に係る断熱サッシは、建物開口部に設置され、図1,2に示すように、上枠11、下枠12及び左、右縦枠13,14を四周に組んでなる枠体1と、上框21,31、下框22,32、左縦框23,33及び右縦框24,34を四周に組んでその内周にパネル体が嵌め込まれてなる内、外障子2,3とからなり、枠体1に形成された内、外案内レールに沿って内、外障子2,3を左右方向に移動可能に支持することにより、引き違いサッシとして構成されている。
なお、本発明の断熱サッシは、引き違いサッシに限るものではなく、片引き窓など、窓枠に対して障子を横にスライドさせて開閉するものであれば、どのような方式のサッシであってもよい。
図1に示すように、枠体1を構成する上枠11は、アルミニウム等の金属材料により形成された室外側上部材111及び室内側上部材112と、室外側上部材111と室内側上部材112とを連結する樹脂等の断熱材からなる連結部材113と、室内側上部材112の下面内周に配置固定される樹脂製の樹脂上部材114とにより構成されている。
室外側上部材111の室外寄りの下面には、外障子3を案内する外案内レール111aが垂下されるとともに、室内側上部材112の室外側端部の下面には、内障子2を案内する内案内レール112aが垂下されている。
そして、樹脂上部材114は、室内側上部材112の内周に配置された状態で、上壁部114b及び室内側上部材112を貫通するネジ等の固定手段(図示はない。)により内周側から複数箇所固定することで、建物の開口部に強固に取付けられている。
上カバー部材51は、上枠11の略半分の長さを備えた略矩形長尺形状の板状部材として構成されており、図3に示すように、少なくとも上枠11の召合部上方位置に設置された風止板dと左縦枠13との間に取り付けられ、内、外障子2,3の閉鎖時において外障子3の室内側に露出される室外側上部材111の下面から冷熱が室内に直接伝達されることを防止している。
そして、上カバー部材51には、下方に延びる片状の可動片6が設けられており、外障子3の閉鎖時における外障子3の上框31の外周面と上枠11の内周面との空間を分離している。
樹脂下部材124は、室内側下部材122の上面を覆う底壁部124aと、底壁部124aの室内側端が上方に延設してなる室内壁部124bと、室内壁部124bの上端が室内側に延設されてなる額部124dとから形成されており、室内側下部材122が直接室内空間に露出することを防止している。
そして、外案内レール121aと内案内レール122aの間には、室外側下部材121の上面を覆う樹脂製の下カバー部材52が配置されている。
下カバー部材52は、下枠12の略半分の長さを備えた略矩形長尺形状の板状部材として構成されており、少なくとも下枠12の召合せ部下方位置に設置された召合せブロック(図示しない)と左縦枠13との間に取り付けられ、内、外障子2,3の閉鎖時において室内に露出される室外側下部材121の上面から冷熱が室内に直接伝達されることを防止している。
樹脂左部材132は、本体部材131に係合され左縦枠13の室内側内周面を覆う本体部132aと、本体部132aの室内側に延設する額部132bとにより構成されており、本体部132aの室外側面には、外障子3の戸先框33の室内側面に近接するように突出部83が設けられるとともに、外障子3の戸先框33の外周に当接する気密材93が設けられており、外障子3の戸先框33の外周面と左縦枠13の内周面の間の空間を室内空間と分離して、冷熱が伝達された空気が該空間を通って室内に流れ込むことを抑制している。
なお、取付凹部132cは、樹脂左部材132の長手方向(上下方向)に連続する溝部として構成してもよい。
樹脂右部材142は、本体部材141に係合される取付部142aと、取付部142aの室内側端より内周方向へ延びる室内壁部142bと、室内壁部142bの内周側端より室内側へ延設する額部142cにより構成され、取付部142aを本体部材141に係合させた状態で、両者を貫通するネジ等の固定手段bで内周側から複数箇所固定することにより、建物の開口部に強固に取付けられている。
本実施形態に係る引き違いサッシにおいては、内、外障子においてその構成は概ね同じであるので、以下、障子の構成について、主に内障子2を用いて説明する。
図1に示すように、内障子2の上框21は、アルミニウム等の金属材料により形成された室外側上框部211と樹脂等により形成された室内側上框部212とからなる複合框として構成されており、上框21の外周には、上枠11に形成された内案内レール112aにより案内される案内溝21aが形成されている。
案内溝21aの室外側上端及び室内側上端には、内案内レール112aに当接もしくは近接する気密材が取付けられており、上枠11と上框21との間を気密して、上框21の上面と上枠11下面との間を通って外気が直接室内に入り込むことを防止するとともに、上枠11の樹脂上部材114の突出部81と協働して半密閉空間を形成してサッシの断熱性能を向上させている。
案内溝22aの室外側下端には、内案内レール122aに当接する気密材が取付けられており、下枠12と下框22との間を気密して、下框22の下面と下枠12上面との間を通って外気が直接室内に入り込むことを防止するとともに、下枠12の樹脂下部材124の突出部82と協働して半密閉空間を形成してサッシの断熱性能を向上させている。
戸先框24の外周には右縦枠14に形成された引寄せ片141aに当接する引寄せブロックfが設置されているとともに、室外側戸先框部241の外周端には内障子2の閉鎖時に引寄せ片141aに当接する気密材が取付けられており、右縦枠14と戸先框24との間を気密するとともに、右縦枠14の樹脂右部材142に形成された突出部83と協働して密閉空間を形成しており、外気が戸先框24の外周面と右縦枠14の内周面との間を通って直接室内に入り込むことを防止するとともに、密閉空間を形成してサッシの断熱性能を向上させている。
そして、室外側召合框部231の室外側面には煙返し片が形成され、外障子3の召合框34の室内側面に形成された煙返し片と協働して煙返しcを構成している。また、室内側召合框部232の外周面部分の室外側端には、外障子3の召合框34の室内側面に近接するように突出部85が設けられており、外障子3の召合框34と内障子2の召合框23との間の空間を半密閉空間として室内空間と分離して、空気の流入を抑制している。
断熱サッシの上枠部分における断熱構造について、図面を参照して、さらに詳細に説明する。
前述のように、上枠11には、上枠11の室外側上部材111と室内側上部材112とにわたって上カバー部材51が取り付けられており、室外側上部材111から冷熱が直接室内に伝達されることを防止している。上カバー部材51は略矩形長尺状の平板部材により形成されており、図4(b)に示すように、平板部材の室外側端部近傍には、上方に向かって係止爪51aが突設されているとともに、室内側端部には、室内側に向かって係止片51bが突設されている。
また、図4(b)に示すように、ヒンジ受部511の室内側には、断面C字状の開口部分に連続して上方に向かって凹む収納凹部512が形成されており、収納凹部512の外周面には凸部512aが形成されている。
そして、上枠11の内周面に上カバー部材51を取り付けるに際しては、膨出部511aが上枠11の内周面に当接若しくは近接することで、上カバー部材51にかかる下方からの外力を直接上枠に11に伝達することができるので、上カバー部材51が撓んだり、破損したりすることを抑止でき、多少撓んでも凸部512aが上枠11の内周面に当接することで、それ以上に上カバー部材51が大きく変形して破損することを防止できる。
ヒンジ軸部61は、図5(a)に示すように、規制壁511dの上面に支持される下方支持軸611と支持壁511bの上面に支持される上方支持軸612とにより構成され、ヒンジ軸部61が上カバー部材51のヒンジ受部511に対して側方端面より挿入されることで、可動片6は上カバー部材51に対して所定角度の範囲において回動自在に取付けられている。
フラップ部63は、反ヒンジ軸部側が厚肉に形成されており、図5(b)に示すように、その先端下方角部が斜めに面取りされたテーパー面63aとして形成されている。
このとき、断面C字状のヒンジ受部511内に挿入されたヒンジ軸部61は、図5(a)に示すように、下方支持軸611が規制壁511dの上面に支持された状態で、上方支持軸612が支持壁511bの上面に当接されるとともに、連絡部62の室内側面が規制壁511dの先端に当接することにより、フラップ部63の回動が規制されて、上カバー部材51に対して45度未満の角度α(略20度)で傾斜した状態に維持される。そして、フラップ部63は、反ヒンジ軸部側に形成された厚肉部分がおもりとなり、傾斜状態を安定して維持することができる。
フラップ部63の室外側先端部と外障子3の上框31の上面との間隔yを10mm以下とすることで、外障子3の上框31と上枠11との間に半密閉空間s1を形成することができる。
そして、上カバー部材51には、収納凹部512が形成されており、上方に回動した可動片6を収納することができるので、上枠11の室外側上部材111の内周面と上カバー部材51との間に断熱空間Sを形成しながら、けんどんのための障子の飲み込み量を十分にとることができる。
本発明の第2の実施例を、図面を用いて説明する。
第2の実施例は、図6(a)に示すように、可動片6の上カバー部材51に対する取付位置が上カバー部材51の見込み方向で室外寄りである点、それに伴って、フラップ部63が室内側に向かって下方に傾斜している点で、第1の実施例と異なっている。具体的には、上カバー部材51のヒンジ受部511は上カバー部材51の見込み方向で端部寄りである室外側に配置されており、上カバー部材51の室外寄りのヒンジ受部511にヒンジ軸部61が取り付けられた可動片6は、フラップ部63が室内側下方に向かって延び、フラップ部63の室内側先端部が外障子3の上框31の上(外周)面に近接するとともに、内案内レール112aに近接するように配置されている。
このため、図6(b)に示すように、第1の実施例と同様に、外障子3の上框31の上面との間隔yを10mm以下とすることで、外障子3の上框31と上枠11との間に半密閉空間s2を形成することができるとともに、内案内レール112aの室外側面との間隔xを10mm以下とすることにより、内案内レール112aの室外側にも可動片6による半密閉空間s3を形成することできるので、上枠からの熱の伝達をさらに抑制することができ、断熱サッシ全体における断熱性能を向上させることができる。
本発明の第3の実施例は、図7(a)に示すように、可動片6の上カバー部材51に対する取付け部分が弾性を有する幅狭部によって構成されている点で、第2の実施例と異なっている。具体的には、図7(b)に示すように、可動片6は、上カバー部材51に対して幅狭の弾性連絡部64を介して一体的に形成されており、弾性連絡部64の弾性によりフラップ部63が上カバー部材51に対して略20度の角度に傾斜して配置するように構成されている。
なお、上カバー部材51及びフラップ部63を成形するに際して、フラップ部63の先端部の厚みや弾性連絡部64に用いる材料の弾性や厚さを適宜調節することで、上カバー部材51を上枠に取り付けた際のフラップ部63を傾斜角度を調節することができるが、フラップ部63の傾斜角度調節は、例えば回動規制手段等を設けるなど適宜の方法で行えばよい。
このように、可動片6を上カバー部材51に一体的に設けることにより、製造コストを下げることができると共に、上カバー部材51に対する可動片6の取付作業を省くことができ、施工を簡単にすることができる。
そして、カバー部材の見込み方向で室内寄り部分もしくは室外側寄り部分から、障子の上面に向かって傾斜して配置される可動片を設けているので、上枠と障子の上面との間の空間を分割することができるので、空間で発生する対流を分断して冷熱の伝達を抑制し、さらに、可動片を障子の上面に近接させることにより分割した空間を半密閉空間として構成することができるので、断熱性能のさらなる向上を図ることができる。
しかも、可動片は、取付状態においてカバー部材に対して上方に向かって回動自在であるので、枠体に対して障子をケンドンにより設置する際に障子の上辺に当接することで上方に回動して逃げることができ、上枠に十分な飲み込み寸法を維持することができ、上枠の見付け幅を小さくすることができ、採光性及び意匠性に優れた断熱サッシを提供することができる。
また、先端と障子の上辺との寸法は、10mm以下程度となるように近接させて半密閉空間を形成することが望ましいが、空間内に可動片が配置されることによりある程度の対流を抑えることができ、断熱性能を向上することができる。
11 :上枠
111 :室外側上部材
111a :外案内レール
111b :突起部
112 :室内側上部材
112a :内案内レール
112b :肩部
113 :連結部材
114 :樹脂上部材
114a :室外壁部
114b :上壁部
114c :室内壁部
114d :額部
12 :下枠
121 :室外側下部材
121a :外案内レール
122 :室内側下部材
122a :内案内レール
123 :連結部材
124 :樹脂下部材
124a :底壁部
124b :室内壁部
124d :額部
13 :左縦枠
131 :本体部材
131a :片
132 :樹脂左部材
132a :本体部
132b :額部
132c :取付凹部
132d :遮蔽部材
14 :右縦枠
141 :本体部材
141a :片
142 :樹脂右部材
142a :取付部
142b :室内壁部
142c :額部
2 :内障子
21 :上框
21a :案内溝
211 :室外側上框部
212 :室内側上框部
22 :下框
22a :案内溝
221 :室外側下框部
222 :室内側下框部
23 :左縦框
231 :室外側召合框部
232 :室内側召合框部
24 :右縦框
241 :室外側戸先框部
242 :室内側戸先框部
3 :外障子
31 :上框
32 :下框
33 :左縦框
34 :右縦框
51 :上カバー部材
51a :係止爪
51b :係止片
511 :ヒンジ受部
511a :膨出部
511b :支持壁
511c :室内側壁
511d :規制壁
512 :収納凹部
512a :凸部
52 :下カバー部材
6 :可動片
61 :ヒンジ軸部
611 :下方支持軸
612 :上方支持軸
62 :連絡部
63 :フラップ部
63a :テーパー面
64 :弾性連絡部
81 :突出部
82 :突出部
83 :突出部
85 :突出部
93 :気密材
Claims (1)
- 上枠、下枠及び左、右縦枠を四周に組んでなる枠体と、枠体に摺動開閉自在に配置される障子と、閉鎖時における前記障子の室内側において上枠の内周面に配置される樹脂製のカバー部材とを備え、
カバー部材には、カバー部材の見込み方向で端部寄りの下面から前記障子の上面に向かって延びるとともに、先端が前記障子の上面に近接する可動片を回動自在に設けた
ことを特徴とする断熱サッシ。
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