JP2021000926A - ハイブリッド車両及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高電圧バッテリに異常が生じて低電圧バッテリに接続された回転電機でエンジンを始動する場合に瞬低による影響を抑える。【解決手段】ハイブリッド車両100は、低電圧バッテリ1と、高電圧バッテリ2と、低電圧バッテリ1から供給される電力によって動作し、エンジン3を始動可能なスタータモータ5と、高電圧バッテリ2から供給される電力によって動作し、エンジン3を始動可能なスタータジェネレータ6と、コントローラ20とを備える。コントローラ20は、エンジン3が停止しており、かつ、車両100が走行しているときに、高電圧バッテリ2に異常が発生すると、車両100の走行状態に基づきスタータモータ5によるエンジン3の始動を許可するか判断し、スタータモータ5によるエンジン3の始動が許可された場合にスタータモータ5を動作させてエンジン3を始動する。【選択図】図1
Description
本発明は、高電圧バッテリ、低電圧バッテリそれぞれにエンジンを始動可能な回転電機を接続したハイブリッド車両に関する。
特許文献1には、出力電圧の異なる高電圧バッテリと低電圧バッテリとを備え、高電圧バッテリには車両の駆動及び減速時の回生に用いられるモータジェネレータを接続し、低電圧バッテリにエンジンの始動及び回生に用いられるスタータジェネレータとエンジンの始動に用いられるスタータモータとを接続したハイブリッド車両が開示されている。
当該構成によれば、エンジンをスタータジェネレータ、スタータモータのいずれを用いてもエンジンを始動することができるので、一方を用いたエンジン始動が失敗した場合には他方を用いてエンジンを始動するようにすることで、エンジン始動に関し冗長性を持たせることができる。
スタータジェネレータを高電圧バッテリに接続してもよく、この構成でも上記冗長性は確保される。高電圧バッテリに異常が生じた場合はスタータジェネレータでエンジンを始動することができないが、スタータモータを用いてエンジンを始動することが可能である。
しかしながら、スタータモータを用いてエンジンを始動する場合、低電圧バッテリの電圧の殆どがスタータモータの駆動に使われるため、電圧が瞬間的に低下する現象(以下、「瞬低」)が発生する。瞬低が発生すると、スタータモータ以外の低電圧バッテリによって駆動される電装品に影響を及ぼす可能性がある。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、高電圧バッテリ、低電圧バッテリそれぞれにエンジンを始動可能な回転電機を接続したハイブリッド車両において、高電圧バッテリに異常が生じて低電圧バッテリに接続された回転電機でエンジンを始動する場合に瞬低による影響を抑えることを目的とする。
本発明のある態様によれば、エンジンと、第1バッテリと、前記第1バッテリよりも出力電圧が高い第2バッテリと、前記第1バッテリから供給される電力によって動作し、前記エンジンを始動可能な第1回転電機と、前記第2バッテリから供給される電力によって動作し、前記エンジンを始動可能な第2回転電機と、前記エンジンが停止しており、かつ、車両が走行しているときに、前記第2バッテリに異常が発生すると、前記車両の走行状態に基づき前記第1回転電機による前記エンジンの始動を許可するか判断し、前記第1回転電機による前記エンジンの始動が許可された場合に前記第1回転電機を動作させて前記エンジンを始動する制御手段と、を備えたハイブリッド車両が提供される。
本発明の別の態様によれば、これに対応するハイブリッド車両の制御方法が提供される。
上記態様によれば、高電圧バッテリに異常が発生し第1回転電機を用いてエンジンを始動する場合であっても、走行状態を選んで第1回転電機を用いてエンジンを始動することができ、瞬低の影響を抑えることができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両100(以下、「車両100」という。)の概略構成である。車両100は、第1バッテリとしての低電圧バッテリ1と、第2バッテリとしての高電圧バッテリ2と、走行用駆動源としてのエンジン3及びモータジェネレータ4(以下、「MG4」という。)と、エンジン3の始動に用いられる第1回転電機としてのスタータモータ5(以下、「SM5」という。)と、発電とエンジン3のアシスト及び始動とに用いられる第2回転電機としてのスタータジェネレータ6(以下、「SG6」という。)と、DC−DCコンバータ7と、インバータ81〜83と、油圧発生源としてのメカオイルポンプ9及び電動オイルポンプ10と、変速機を構成するトルクコンバータ11、前後進切替機構12及び無段変速機構13(以下、「CVT13」という。)と、ディファレンシャル機構14と、駆動輪18と、コントローラ20とを備える。
低電圧バッテリ1は、出力電圧がDC12Vの鉛酸バッテリである。低電圧バッテリ1は、SM5、12Vで動作する電装品15(自動運転用カメラ15a及びセンサ15b、ナビゲーションシステム15c、オーディオ15d、エアコン用ブロア15e等)とともに低電圧回路16に接続される。低電圧バッテリ1は出力電圧が12Vのリチウムイオン電池であってもよい。
高電圧バッテリ2は、低電圧バッテリ1よりも出力電圧が高いDC48Vのリチウムイオンバッテリである。高電圧バッテリ2の出力電圧はこれよりも低くても高くてもよく、例えば30Vや100Vであってもよい。高電圧バッテリ2は、MG4、SG6、インバータ81〜83、電動オイルポンプ10等とともに高電圧回路17に接続される。
低電圧回路16と高電圧回路17とは、DC−DCコンバータ7を介して接続される。DC−DCコンバータ7は、低電圧回路16の12Vを48Vに昇圧して高電圧回路17に48Vを出力する昇圧機能と高電圧回路17の48Vを12Vに降圧して低電圧回路16に12Vを出力する降圧機能とを有している。これにより、DC−DCコンバータ7は、エンジン3が運転中か停止中かに関わらず、低電圧回路16に12Vの電圧を出力することができる。また、高電圧バッテリ2の残容量が少なくなった場合は低電圧回路16の12Vを48Vに昇圧して高電圧回路17に出力し、高電圧バッテリ2を充電することができる。
エンジン3は、ガソリン、軽油等を燃料とする内燃機関であり、コントローラ20からの指令に基づいて回転速度、トルク等が制御される。
トルクコンバータ11は、エンジン3と前後進切替機構12との間の動力伝達経路上に設けられ、流体を介して動力を伝達する。また、トルクコンバータ11は、車両100が所定のロックアップ車速以上で走行している場合にロックアップクラッチ11aを締結することで、エンジン3からの駆動力の動力伝達効率を高めることができる。
前後進切替機構12は、トルクコンバータ11とCVT13との間の動力伝達経路上に設けられ、遊星歯車機構12aと、前進クラッチ12b及び後退ブレーキ12cで構成される。前進クラッチ12bが締結され後退ブレーキ12cが解放されると、トルクコンバータ11を介して前後進切替機構12に入力されるエンジン3の回転が、回転方向を維持したまま前後進切替機構12からCVT13に出力される。逆に、前進クラッチ12bが解放され後退ブレーキ12cが締結されると、トルクコンバータ11を介して前後進切替機構12に入力されるエンジン3の回転が、回転方向を反転させて前後進切替機構12からCVT13に出力される。前後進切替機構12で必要とされる油圧は、メカオイルポンプ9又は電動オイルポンプ10が発生した油圧を元圧として図示しない油圧回路によって生成される。
CVT13は、前後進切替機構12とディファレンシャル機構14との間の動力伝達経路上に配置され、車速やアクセルペダルの操作量であるアクセル開度等に応じて変速比を無段階に変更する。CVT13は、プライマリプーリ13aと、セカンダリプーリ13bと、両プーリに巻き掛けられたベルト13cと、を備える。CVT13は、プライマリプーリ13aとセカンダリプーリ13bの溝幅を油圧によって変更し、プーリ13a、13bとベルト13cとの接触半径を変化させることで、変速比を無段階に変更することができる。CVT13で必要とされる油圧は、メカオイルポンプ9又は電動オイルポンプ10が発生した油圧を元圧として図示しない油圧回路によって生成される。
MG4は、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型回転電機である。MG4は、MG4の軸に設けられたスプロケットとプライマリプーリ13aの軸に設けられたスプロケットとの間に巻きつけられるチェーン21を介してプライマリプーリ13aの軸に接続される。MG4は、コントローラ20からの指令に基づいてインバータ81により作り出された三相交流を印加することにより制御される。MG4は、高電圧バッテリ2からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作する。また、MG4は、ロータがエンジン3や駆動輪18から回転エネルギーを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、高電圧バッテリ2を充電することができる。
MG4の軸に設けられたスプロケットとプライマリプーリ13aの軸に設けられたスプロケットは、後者の歯数が多くなるように構成され(例えば、歯数=1:3)、MG3の出力回転が減速してプライマリプーリ13aに伝達されるようにする。これにより、MG4に要求されるトルクを下げてMG4を小型化し、MG4の配置自由度を向上させる。なお、チェーン21に代えてギヤ列を用いてもよい。
SM5は、直流モータであり、エンジン3のフライホイール3aの外周ギヤ3bにピニオンギヤ5aを噛み合わせ可能に配置される。エンジン3を冷機状態から初めて始動(以下、「初回始動」という。)する場合は、低電圧バッテリ1からSM5に電力が供給され、ピニオンギヤ5aが外周ギヤ3bに噛み合わされ、フライホイール3a、さらにはクランク軸が回転される。エンジン3を初回始動するときにSM5を用いるのは、低電圧バッテリ1が鉛酸バッテリであるので、極低温時であっても低電圧バッテリ1からSM5に電力を安定して供給することができ、エンジン3を初回始動するのに必要なトルク、出力をSM5によって発生できるからである。
なお、エンジン3を始動するのに必要なトルク、出力は、初回始動時が一番大きく、暖機状態からの始動、すなわち、再始動時は初回始動時よりも小さくなる。これは、初回始動時はエンジンオイルの温度が低く、エンジンオイルの粘度が高いのに対し、初回起動後はエンジンオイルの温度が上昇し、エンジンオイルの粘度が低下するためである。
SG6は、同期型回転電機であり、Vベルト22を介してエンジン3のクランク軸に接続され、エンジン3から回転エネルギーを受ける場合には発電機として機能する。このようにして発電された電力は、インバータ82を通じて高電圧バッテリ2に充電される。また、SG6は、高電圧バッテリ2からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作し、エンジン3の駆動力をアシストする。さらに、SG6は、アイドリングストップ状態からエンジン3を再始動するときに、エンジン3のクランク軸を回転駆動してエンジン3を再始動するために用いられる。
メカオイルポンプ9は、エンジン3の回転がチェーン23を介して伝達されることによって動作するオイルポンプである。メカオイルポンプ9は、オイルパンに貯留される作動油を吸い上げ、図示しない油圧回路を介してロックアップクラッチ11a、前後進切替機構12及びCVT13に油を供給する。
電動オイルポンプ10は、高電圧バッテリ2から供給される電力によって動作するオイルポンプである。電動オイルポンプ10は、EVモード、アイドルストップ状態等、エンジン3が停止しておりエンジン3でメカオイルポンプ9を駆動できない場合に動作し、メカオイルポンプ9と同様にオイルパンに貯留される作動油を吸い上げ、図示しない油圧回路を介してロックアップクラッチ11a、前後進切替機構12及びCVT13に油を供給する。特に、CVT13で必要な油圧を確保することで、ベルト13cの滑りを抑制する。
コントローラ20は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えた1又は複数のマイクロコンピュータで構成される。コントローラ20は、制御手段に対応し、ROM又はRAMに格納されたプログラムをCPUによって実行することで、エンジン3、インバータ81〜83(MG4、SG6、電動オイルポンプ10)、DC−DCコンバータ7、SM5、ロックアップクラッチ11a、前後進切替機構12、CVT13等を統合的に制御する。
コントローラ20は、車両100の運転モードとして、高電圧バッテリ2から供給される電力によってMG4を駆動し、MG4のみの駆動力によって走行するEVモードと、エンジン3のみの駆動力によって走行するエンジン走行モードと、エンジン3の駆動力とMG4の駆動力によって走行するHEVモードと、を切り換える。
EVモードでは、車両100は、前進クラッチ12b及び後退ブレーキ12cを解放した状態で、高電圧バッテリ2からの電力によってMG4のみを駆動して走行する(以下、この状態を「EV走行」という。)。EVモードは、車両100の要求出力が低い時であって、高電圧バッテリ2の残容量が充分にあるときに選択される。
エンジン走行モードでは、車両100は、前進クラッチ12b及び後退ブレーキ12cのいずれかを締結した状態で、エンジン3のみを駆動して走行する。エンジン走行モードは、車両100の要求出力が比較的高い時に選択される。
HEVモードでは、車両100は、前進クラッチ12b及び後退ブレーキ12cのいずれかを締結した状態で、エンジン3とMG4とを駆動して走行する。HEVモードは、車両100の要求出力が高い時、具体的には、車両100の要求出力がエンジン3による出力のみでは補えないときに選択される。
コントローラ20は、アクセル開度と、ブレーキペダルの踏力と、車速に基づき、図示しない走行モード選択マップを参酌して走行モードを選択し、選択された走行モードが実現されるようエンジン3及びMG4を駆動する。
ところで、EV走行中に高電圧バッテリ2に異常が発生すると、MG4で駆動力を発生することができないので、エンジン3を始動する必要がある。
しかしながら、SM5でエンジン3を始動すると、低電圧回路16の電圧が瞬間的に低下する瞬低が発生し、低電圧回路16に接続されている電装品15の動作に影響を及ぼす可能性がある。
そこで、コントローラ20は、以下に説明する高電圧バッテリ異常時のエンジン始動制御を実行することで、瞬低による影響を抑える。
図2は、高電圧バッテリ異常時のエンジン始動制御の内容を示しており、コントローラ20によって実行される。以下、図2を参照しながら高電圧バッテリ異常時のエンジン始動制御について説明する。
これによると、コントローラ20は、EV走行中、高電圧バッテリ2の状態(電圧、温度等)を読み込み(ステップS11)、読み込んだ状態に基づき高電圧バッテリ2が正常か否かの判断を常時行う(ステップS12)。高電圧バッテリ2が正常とは、高電圧バッテリ2によって高電圧回路17に接続されたMG4、SG6、電動オイルポンプ10を動作させることができる状態を意味する。逆に高電圧バッテリ2が異常とは、高電圧バッテリ2によって高電圧回路17に接続されたMG4、SG6、電動オイルポンプ10を動作させることができない状態を意味する。
高電圧バッテリ2が正常と判断された場合は処理がステップS13に進み、EV走行が維持される。
これに対し、高電圧バッテリ2が異常と判断された場合は、EV走行を継続することができないので、処理がステップS14以降に進み、コントローラ20は、エンジン3を始動するための処理を行う。
ステップS14では、コントローラ20は、車速が閾値を超えているか判断する。閾値は後述するステップS15以降の処理でエンジン3の押し掛け(駆動輪18から入力される回転によってエンジン3をクランキングし、エンジン3を始動させる始動方法)が可能な車速であり、例えば、10km/hである。
車速が閾値を超えている場合は処理がステップS15に進む。ステップS15〜S19はエンジン3を押し掛けするための処理である。
ステップS15では、コントローラ20は、DC−DCコンバータ7を昇圧モードに変更し、低電圧バッテリ1の12Vを48Vに昇圧して、低電圧バッテリ1から供給される電力で電動オイルポンプ10を動作可能な状態にする。
ステップS16では、コントローラ20は、電動オイルポンプ10を動作させる。これにより、駆動輪18から入力されるトルクをエンジン3に伝達するためにCVT13で必要な油圧、及び、前進クラッチ12bを締結するために必要な油圧を確保する。
ステップS17では、コントローラ20は、前進クラッチ12bを徐々に締結して、駆動輪18からCVT、前進クラッチ12bを介して伝達されるトルクをエンジン3に伝達してエンジン3をクランキングするとともに、燃料供給、火花点火を再開することで、エンジン3を始動する。
ステップS18では、コントローラ20は、エンジン3の回転速度が規定回転で安定して回転を開始したことを確認した後に、高電圧バッテリ2に依存しない高電圧バッテリ異常時駆動制御に移行する。高電圧バッテリ異常時駆動制御では、例えば、前進クラッチ12bあるいは後退ブレーキ12cを締結し、エンジン3のみの駆動力で走行するエンジン走行モードと、前進クラッチ12b及び後退ブレーキ12cを解放し、SG6が発電した電力をMG4に供給してMG4のみの駆動力で走行するEVモードとを切り替えることができる。
ステップS19では、コントローラ20は、DC−DCコンバータ7を降圧モードに戻す。
ステップS20では、コントローラ20は、高電圧バッテリ2が異常のため利用できないので、EV走行(含むアイドリングストップ)、MG4及びSG6を用いたトルクアシスト及び回生を禁止する。
このように、高電圧バッテリ2が異常と判断されたときの車速が閾値を超えている場合はエンジン3を押し掛けで始動し、エンジン3が始動した後は高電圧バッテリ2に依存しない駆動制御に移行する。
一方、ステップS14で車速が閾値以下と判断された場合は、処理がステップS21に進む。ステップS21〜S25は車両100が実質的に停車してからSM5を用いてエンジン3を始動するための処理である。
ステップS21、S22では、車両100の車速が所定車速以下になり、車両が停車しているとみなせる状態になるまでエンジン3が停止状態のまま惰性走行を継続する。所定車速は、例えば、数km/hに設定される。車両100の車速が所定車速以下になったと判断された場合は処理がステップS23に進む。
ステップS23では、コントローラ20は、シフトレバーのレンジ位置の判断をDレンジ又はRレンジからNレンジに変更する。これは、車両100が惰性走行したま停車するとシフトレバーのレンジ位置の判断はDレンジ又はRレンジとなっており、Dレンジ又はRレンジのままではエンジン3の始動が許可されないためである。
また、高電圧バッテリ異常時は電動オイルポンプ10を動作させることができず、油が供給されない前進クラッチ12bは解放されているが、シフトレバーのレンジ位置の判断をDレンジ又はRレンジからNレンジに変更することにより、シフトレバーのレンジ位置の判断を実際に実現されているレンジに一致させることができる。
ステップS24では、コントローラ20は、運転者によるエンジン3の始動操作(キーON動作、プッシュスタートスイッチ押下等)とは関係なくSM5を動作させてエンジン3をクランキングするとともに、燃料供給、火花点火を再開することで、エンジン3を始動する。
ステップS25では、コントローラ20は、シフトレバーのレンジ位置の判断を元のDレンジ又はRレンジに戻し、高電圧バッテリ異常時停車時制御に移行する。高電圧バッテリ異常時停車時制御では、エンジン3をアイドル回転速度で動作させ、トルクコンバータ11によって常時クリープ力を発生させる。
なお、トルクコンバータ11に代えて発進クラッチのみが設けられている場合は、高電圧バッテリ異常時停車時制御では、アクセルペダルが踏み込まれたときに、発進クラッチをスリップさせつつ締結する発進制御を行うようにする。トルクコンバータ11も発進クラッチも備えおらず、SG6で発電した電力をMG4に供給してMG4のみで発進する場合は、高電圧バッテリ異常時停車時制御では、ブレーキペダルから足が離されたときに、MG4によりクリープ力相当のトルクを発生させるようにする。
このように、高電圧バッテリ2が異常と判断されたときの車速が閾値以下の場合は、車両100の車速が所定車速以下となって車両100が停車しているとみなせる状態になってからSM5を用いてエンジン3を始動する。SM5の動作時に低電圧回路16の電圧が瞬間的に低下する瞬低が発生し、電装品15が一時的に停止する、あるいは、再起動する等の動作不良を起こす可能性があるが、車両100が停車あるいは実質的に停車しているので、瞬低が安全性に影響を及ぼすことはない。
高電圧バッテリ2が異常と判断されたときの車速が閾値を超えている場合は上記の通りエンジン3を押し掛けで始動するので瞬低はそもそも生じないので、本実施形態によれば高電圧バッテリ2が異常と判断されたときの車速がどのような車速であっても瞬低による影響を抑制することができる。
図3は、高電圧バッテリ異常時のエンジン始動制御の別の例を示しており、コントローラ20によって実行される。この例は、車両100が走行中であっても車両100の周辺に障害物、人、他の車両がない場合は直ちにSM5を動作させてエンジン3を始動するようにした点が図2に示した例と相違する。以下、図3を参照しながら高電圧バッテリ異常時のエンジン始動制御の別の例について説明する。
コントローラ20は、EV走行中、高電圧バッテリ2の状態(電圧、温度等)を読み込み(ステップS31)、読み込んだ状態に基づき高電圧バッテリ2が正常か否かの判断を常時行う(ステップS32)。
高電圧バッテリ2が正常と判断された場合は処理がステップS33に進み、EV走行が維持される。
これに対し、高電圧バッテリ2が異常と判断された場合は、EV走行を継続することができないので、処理がステップS34以降に進み、コントローラ20は、エンジン3を始動するための処理を行う。
まず、ステップS34では、コントローラ20は、カメラ15aで撮像された車両100の周辺の画像を解析するとともに、センサ15bによって計測される車両100の周辺の障害物、車両100までの距離に基づき、車両100の周辺(特に、前方)に障害物、人、他の車両がないか判断する。車両100の周辺に障害物、人、他の車両がないと判断された場合は、処理がステップS35に進み、SM5を用いてエンジン3を直ちに始動する。
具体的には、ステップS35では、コントローラ20は、シフトレバーのレンジ位置の判断をDレンジ又はRレンジからNレンジに変更する。
ステップS36では、コントローラ20は、SM5を動作させてエンジン3をクランキングするとともに、燃料供給、火花点火を再開することで、エンジン3を始動する。
ステップS37では、エンジン3の回転速度が規定回転で安定して回転を開始したことを確認した後に、高電圧バッテリ2に依存しない高電圧バッテリ異常時駆動制御に移行する。高電圧バッテリ異常時駆動制御は図2のステップS18の制御と同じであるのでここでは説明を省略する。
ステップS38では、コントローラ20は、高電圧バッテリ2が異常のため利用できないので、EV走行(含むアイドリングストップ)、MG4及びSG6を用いたトルクアシスト及び回生を禁止する。
このように、高電圧バッテリ2が異常と判断されたときに、車両100の周辺に障害物、人、他の車両が存在しない場合は、SM5を用いてエンジン3が直ちに始動されるが、車両周辺の安全性が確認されているので瞬低が生じてもこれが安全上問題になることはない。
これに対し、ステップS34で障害物、人、他の車両があると判断された場合は、処理がステップS39に進む。
ステップS39、S40では、車両100の車速が所定車速以下になり、車両が停車しているとみなせる状態になるまでエンジン3が停止状態のまま惰性走行を継続する。所定車速は、例えば、数km/hに設定される。車両100の車速が所定車速以下になったと判断された場合は処理がステップS35に進む。
ステップS35以降では、上記したとおり、SM5を用いてエンジン3が始動される。車両100は停車しているとみなせる状態であるので、ステップS37では高電圧異常時停車時制御が実行される。高電圧バッテリ異常時停車時制御は図2のステップS25の制御と同じであるのでここでは説明を省略する。
このように、高電圧バッテリ異常時のエンジン始動制御の別の例によれば、車両走行中であっても、車両100の周辺に障害物、人、他の車両がなく、車両100の安全性が確保できており、瞬低が発生しても安全上問題がない状況であれば直ちにSM5を用いてエンジン3が始動される。これに対し、車両100の周辺に障害物、人、他の車両がある場合は、車両100が停車しているとみなせる状態になってからエンジン3が始動される。
いずれの状況であっても瞬低が安全上問題になることはく、したがって、この別の例によっても瞬低による影響を抑制することができる。
なお、本発明が適用可能なハイブリッド車両の構成は図1に示した構成に限定されず、他の構成であってもよい。
図4は、本発明が適用可能なハイブリッド車両の別の例を示しており、電動オイルポンプ10を設ける代わりにメカオイルポンプ9を電動モータ31によっても動作可能にした点が図1に示した構成と相違する。以下、図1に示した構成と共通の構成については同じ符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
この例では、メカオイルポンプ9の駆動用の電動モータ31が高電圧回路17に接続されている。また、エンジン3の出力軸にワンウェイクラッチ32を介して二重スプロケット33が接続されている。二重スプロケット33は、軸方向に配置される一対のスプロケットを備え、一方のスプロケットにはメカオイルポンプ9との間で回転を伝達するチェーン34が巻き付けられ、他方のスプロケットには電動モータ31ととの間で回転を伝達するチェーン35が巻き付けられている。
ワンウェイクラッチ32は、一方向にのみ回転を伝達するクラッチである。ワンウェイクラッチ32は、エンジン3側回転速度がメカオイルポンプ9側回転速度よりも高い場合にのみ締結し、エンジン3の回転がメカオイルポンプ9に伝達される。
この構成により、ワンウェイクラッチ32のメカオイルポンプ9側の回転速度がエンジン3側回転速度よりも高くなるように電動モータ31の回転速度を制御すれば、ワンウェイクラッチ32が締結されてメカオイルポンプ9の駆動源がエンジン3になり、ワンウェイクラッチ32のエンジン3側回転速度よりもメカオイルポンプ9側の回転速度が高くなるように電動モータ31の回転速度を制御すれば、ワンウェイクラッチ32が解放されてメカオイルポンプ9の電動モータ31になる。
このような構成であっても、図2、図3に示した高電圧バッテリ異常時のエンジン始動制御を実行可能である。図2のステップS16では、電動オイルポンプ10を動作させる代わりに電動モータ31を動作させればよい。
続いて上記実施形態の作用効果について説明する。
上記実施形態に係るハイブリッド車両100は、エンジン3と、第1バッテリとしての低電圧バッテリ1と、第1バッテリよりも出力電圧が高い第2バッテリとしての高電圧バッテリ2と、低電圧バッテリ1から供給される電力によって動作し、エンジン3を始動可能な第1回転電機としてのSM5と、高電圧バッテリ2から供給される電力によって動作し、エンジン3を始動可能な第2回転電機としてのSG6と、コントローラ20とを備える。
コントローラ20は、エンジン3が停止しており、かつ、車両100が走行しているときに、高電圧バッテリ2に異常が発生すると、車両100の走行状態に基づきSM5によるエンジン3の始動を許可するか判断し、SM5によるエンジン3の始動が許可された場合にSM5を動作させエンジン3を始動する。
この構成によれば、高電圧バッテリ2に異常が発生しSM5を用いてエンジン3を始動する場合であっても、無条件にSM5を用いてエンジン3を始動するのではなく、走行状態を選んでSM5を用いてエンジン3を始動することができ、瞬低の影響を抑えることができる(請求項1、4に対応する効果)。
また、コントローラ20は、車両100の車速が所定車速以下で車両100が停車しているとみなせる場合にSM5によるエンジン3の始動を許可する。車両100が停車していれば瞬低が発生しても自動運転用のカメラ15a、センサ15b等が一時的に動作を停止しても安全上問題になることはなく、このような走行状態を選んでSM5を用いてエンジン3を始動するようにすることで、瞬低の影響を抑えることができる(請求項2に対応する効果)。所定車速をゼロに設定し、車両100が完全に停止してからSM5によるエンジン3の始動を許可するようにしてもよい。
また、コントローラ20は、車両100の周辺環境に基づきSM5によるエンジン3の始動を許可する。車両100の周辺環境によっては瞬低が発生しても問題にならないため、車両100の周辺環境がそのような周辺環境であるときにSM5を用いてエンジン3を始動するようにすることで、瞬低の影響を抑えることができる(請求項3に対応する効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
また、MG4、SG6は、同期型回転電機に限定されず、同期型回転電機に代えて誘導型回転電機を用いてもよい。
1 :低電圧バッテリ
2 :高電圧バッテリ
3 :エンジン
4 :モータジェネレータ
5 :スタータモータ(第1回転電機)
6 :スタータジェネレータ(第2回転電機)
7 :DC−DCコンバータ
81 :インバータ
82 :インバータ
83 :インバータ
9 :メカオイルポンプ
10 :電動オイルポンプ
12 :前後進切替機構
13 :無段変速機構
15 :電装品
15a :カメラ
15b :センサ
16 :低電圧回路
17 :高電圧回路
18 :駆動輪
20 :コントローラ(制御手段)
31 :電動モータ
100 :ハイブリッド車両
2 :高電圧バッテリ
3 :エンジン
4 :モータジェネレータ
5 :スタータモータ(第1回転電機)
6 :スタータジェネレータ(第2回転電機)
7 :DC−DCコンバータ
81 :インバータ
82 :インバータ
83 :インバータ
9 :メカオイルポンプ
10 :電動オイルポンプ
12 :前後進切替機構
13 :無段変速機構
15 :電装品
15a :カメラ
15b :センサ
16 :低電圧回路
17 :高電圧回路
18 :駆動輪
20 :コントローラ(制御手段)
31 :電動モータ
100 :ハイブリッド車両
Claims (4)
- エンジンと、
第1バッテリと、
前記第1バッテリよりも出力電圧が高い第2バッテリと、
前記第1バッテリから供給される電力によって動作し、前記エンジンを始動可能な第1回転電機と、
前記第2バッテリから供給される電力によって動作し、前記エンジンを始動可能な第2回転電機と、
前記エンジンが停止しており、かつ、車両が走行しているときに、前記第2バッテリに異常が発生すると、前記車両の走行状態に基づき前記第1回転電機による前記エンジンの始動を許可するか判断し、前記第1回転電機による前記エンジンの始動が許可された場合に前記第1回転電機を動作させて前記エンジンを始動する制御手段と、
を備えたことを特徴とするハイブリッド車両。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両であって、
前記制御手段は、前記車両の車速が所定車速以下で前記車両が停車しているとみなせる場合に前記第1回転電機による前記エンジンの始動を許可する、
ことを特徴とするハイブリッド車両。 - 請求項1又は2に記載のハイブリッド車両であって、
前記制御手段は、前記車両の周辺環境に基づき前記第1回転電機による前記エンジンの始動を許可する、
ことを特徴とするハイブリッド車両。 - エンジンと、第1バッテリと、前記第1バッテリよりも出力電圧が高い第2バッテリと、前記第1バッテリから供給される電力によって動作し、前記エンジンを始動可能な第1回転電機と、前記第2バッテリから供給される電力によって動作し、前記エンジンを始動可能な第2回転電機と、を備えたハイブリッド車両の制御方法であって、
前記エンジンが停止しており、かつ、車両が走行しているときに、前記第2バッテリに異常が発生すると、前記車両の走行状態に基づき前記第1回転電機による前記エンジンの始動を許可するか判断し、
前記第1回転電機による前記エンジンの始動が許可された場合に前記第1回転電機を動作させて前記エンジンを始動する、
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019115816A JP2021000926A (ja) | 2019-06-21 | 2019-06-21 | ハイブリッド車両及びその制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019115816A JP2021000926A (ja) | 2019-06-21 | 2019-06-21 | ハイブリッド車両及びその制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021000926A true JP2021000926A (ja) | 2021-01-07 |
Family
ID=73994779
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019115816A Pending JP2021000926A (ja) | 2019-06-21 | 2019-06-21 | ハイブリッド車両及びその制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021000926A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113107733A (zh) * | 2021-04-25 | 2021-07-13 | 郑州森鹏电子技术有限公司 | 混动水泥搅拌车及其发动机控制方法、装置 |
-
2019
- 2019-06-21 JP JP2019115816A patent/JP2021000926A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113107733A (zh) * | 2021-04-25 | 2021-07-13 | 郑州森鹏电子技术有限公司 | 混动水泥搅拌车及其发动机控制方法、装置 |
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