JP2020196378A - ハイブリッド車両及びハイブリッド車両の制御方法 - Google Patents

ハイブリッド車両及びハイブリッド車両の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】EV走行中にエンジンを駆動させたときに、エンジンの動力を有効利用するとともに、モータの電費の悪化を抑制することを目的とする。【解決手段】ハイブリッド車両100では、コントローラ50は、エンジン1の動力のみで走行するエンジン走行モードと、エンジン1とMG4の動力で走行するHEVモードと、MG4の動力のみで走行するEVモードと、のいずれかを選択して車両を走行させる。コントローラ50は、車両100がEVモードで走行中、要求されるMG4の出力がMG4の最大出力Wmaxから所定範囲W1内にある場合には、エンジン1を始動し、前進クラッチ6aを解放した状態に維持するとともに、エンジン1の動力によってSG16を駆動して発電させる。【選択図】図2

Description

本発明は、ハイブリッド車両及びハイブリッド車両の制御方法に関する。
特許文献1には、内燃エンジンと、駆動輪を電動駆動するための電動手段と、内燃エンジン及び電動手段の目標トルクを決定するためのマップを有し、該マップに基づいて内燃エンジン及び電動手段を指令制御するための制御手段と、を備えたハイブリッド車両が開示されている。上記マップでは、少なくとも車両速度及びバッテリ充電状態の関数として電動手段が供給可能な上限トルクを画定する最大トルク線と、該最大トルク線よりも所定のマージン低いマージントルク線とが定義されている。
このように構成された特許文献1に記載のハイブリッド車両では、アクセル開度、車両速度及びバッテリ充電状態を検出し、検出されたアクセル開度、車両速度及びバッテリ充電状態によって定まるマップ上の位置がマージントルク線より下のトルク位置にあるとき、電動手段による電動走行を行い、マップ上の位置がマージントルク線以上のトルク位置となったとき、ハイブリッド走行に移行するためエンジンの始動処理を開始している。
さらに、特許文献1に記載のハイブリッド車両では、エンジンの始動処理を開始した後、エンジンのアイドリング回転速度と変速手段の入力シャフト速度とが所定の範囲内に近づいたとき、クラッチ要素を締結させている。
国際公開第2009/69637号
特許文献1に記載のハイブリッド車両では、電動走行(EV走行)からハイブリッド走行(HEV走行)へスムーズに移行することができる。しかしながら、エンジンを始動させた後、エンジンを単に待機状態で駆動させているだけであるので、エネルギーを無駄に消費してしまう。
さらに、特許文献1に記載のハイブリッド車両では、クラッチ要素を締結しているので、エンジンが電動手段(モータ)の駆動の抵抗となり、電力をその分余計に消費してしまっていた。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、EV走行中にエンジンを駆動させたときに、エンジンの動力を有効利用するとともに、モータの電費の悪化を抑制することを目的とする。
本発明のある態様のハイブリッド車両は、エンジンと、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路におけるエンジンの下流に設けられた無段変速機構と、動力伝達経路におけるエンジンと無段変速機構との間に設けられた摩擦締結機構と、無段変速機構の入力軸に接続されたモータと、エンジンの動力によって駆動され、モータを駆動するための電力を発電する発電モータと、エンジン、無段変速機構、摩擦締結機構、モータ、及び発電モータの動作を制御し、エンジンの動力のみで走行するエンジン走行モードと、エンジンとモータの動力で走行するHEVモードと、モータの動力のみで走行するEVモードと、のいずれかを選択して車両を走行させる制御装置と、を備え、制御装置は、車両がEVモードで走行中、要求されるモータの出力がモータの最大出力から所定範囲内にある場合には、エンジンを始動し、摩擦締結機構を解放した状態に維持するエンジン待機モードを実行するとともに、エンジンの動力によって発電モータを駆動して発電させることを特徴とする。
本発明の別の態様によれば、上記態様のハイブリッド車両の制御方法が提供される。
これらの態様によれば、EV走行中にエンジンを駆動させたときに、エンジンの動力を用いて発電を行うことで、エネルギーを有効活用することができる。また、エEV走行中にエンジンを駆動させたときに、摩擦締結機構を解放した状態にしているので、モータがエンジンを連れ回してしまうことを防止できる。これにより、電費が悪化することを防止できる。
図1は、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図である。 図2は、本発明の実施形態に係るエンジン待機制御の一例を示すフローチャートである。 図3は、本発明の実施形態に係るモータの出力特性を示す図である。 図4は、比較例に係るフローチャートである。 図5は、比較例に係るフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、ハイブリッド車両100の概略構成図である。ハイブリッド車両100(以下、単に「車両100」ともいう。)は、エンジン1と、自動変速機2と、モータとしてのモータジェネレータ(以下、MGという。)4と、駆動輪8と、インバータ9と、高電圧バッテリ10と、低電圧バッテリ11と、DC−DCコンバータ14と、スタータモータ15(以下、「SM15」という。)と、発電モータとしてのスタータジェネレータ16(以下、「SG16」という。)と、電動オイルポンプ17と、制御装置としての統合コントローラ50(以下、単に「コントローラ50」という。)と、を備える。
エンジン1は、ガソリン、軽油等を燃料とする内燃機関であり、走行用駆動源として機能する。エンジン1は、コントローラ50からの指令に基づいて、回転速度、トルク等が制御される。
高電圧バッテリ10は、低電圧バッテリ11よりも出力電圧が高いDC48Vのリチウムイオンバッテリである。高電圧バッテリ10の出力電圧はこれよりも低くても高くてもよく、例えばDC30VやDC100Vであってもよい。高電圧バッテリ10は、MG4、SG16、インバータ9、電動オイルポンプ17等とともに高電圧回路に接続される。
低電圧バッテリ11は、出力電圧がDC12Vの鉛酸バッテリである。低電圧バッテリ11は、SM15、及びDC12Vで動作する電装品(図示せず)とともに低電圧回路に接続される。低電圧バッテリ11は出力電圧がDC12Vのリチウムイオン電池であってもよい。
低電圧回路と高電圧回路とは、DC−DCコンバータ14を介して接続される。DC−DCコンバータ14は、低電圧回路のDC12VをDC48Vに昇圧して高電圧回路にDC48Vを出力する昇圧機能と高電圧回路のDC48VをDC12Vに降圧して低電圧回路にDC12Vを出力する降圧機能とを有している。これにより、DC−DCコンバータ14は、エンジン1が運転中か停止中かに関わらず、低電圧回路にDC12Vの電圧を出力することができる。また、高電圧バッテリ10の残容量が少なくなった場合は低電圧回路のDC12VをDC48Vに昇圧して高電圧回路に出力し、高電圧バッテリ10を充電することができる。
自動変速機2は、ロックアップクラッチ3aを有するトルクコンバータ3と、オイルポンプ5と、摩擦締結機構6と、無段変速機構(以下、「CVT」という。)7と、油圧コントロールバルブユニット20と、作動油を貯留するオイルパン30と、を備える。
トルクコンバータ3は、エンジン1と駆動輪8との間の動力伝達経路上に設けられる。トルクコンバータ3は、流体を介してエンジン1からの動力を増幅して伝達することができる。また、トルクコンバータ3は、ロックアップクラッチ3aを締結することで、エンジン1からの動力伝達効率を高めることができる。
摩擦締結機構6は、トルクコンバータ3とCVT7との間の動力伝達経路上に配置される。摩擦締結機構6は、前進クラッチ6a及び後進ブレーキ6bを有する。摩擦締結機構6は、コントローラ50からの指令に基づき、オイルポンプ5の吐出圧を元圧として油圧コントロールバルブユニット20によって調圧されたオイルによって制御される。前進クラッチ6a及び後進ブレーキ6bとしては、例えば、湿式多板クラッチが用いられる。
前進クラッチ6aが締結され後進ブレーキ6bが解放されると、トルクコンバータ3を介して摩擦締結機構6に入力されるエンジン1の回転が、回転方向を維持したまま摩擦締結機構6からCVT7に出力される。逆に、前進クラッチ6aが解放され後進ブレーキ6bが締結されると、トルクコンバータ3を介して摩擦締結機構6に入力されるエンジン1の回転が、減速かつ回転方向を反転されて摩擦締結機構6からCVT7に出力される。
CVT7は、動力伝達経路におけるトルクコンバータ3の下流であって、摩擦締結機構6と駆動輪8との間に配置される。CVT7は、車速やアクセル開度等に応じて変速比を無段階に変更する。CVT7は、プライマリプーリ71と、セカンダリプーリ72と、両プーリ71,72に巻き掛けられたベルト73と、を備える。プーリ圧によりプライマリプーリ71の可動プーリとセカンダリプーリ72の可動プーリとを軸方向に動かし、ベルト73のプーリ接触半径を変化させることで、変速比を無段階に変更する。なお、プライマリプーリ71に作用するプーリ圧とセカンダリプーリ72に作用するプーリ圧は、オイルポンプ5からの吐出圧を元圧として油圧コントロールバルブユニット20によって調圧される。
CVT7のセカンダリプーリ72の出力軸には、図示しない終減速ギヤ機構を介してディファレンシャル12が接続される。ディファレンシャル12には、ドライブシャフト13を介して駆動輪8が接続される。
MG4は、プライマリプーリ71の回転軸71aに対して動力伝達可能に接続される。具体的には、プライマリプーリ71の回転とMG4の回転とは、プライマリプーリ71の回転軸71aに取り付けられた第1プーリ41と、MG4の回転軸4aに取り付けられた第2プーリ42と、第1プーリ41と第2プーリ42とに巻き掛けられたベルト43と、によって伝達される。
MG4は、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型回転電機である。MG4は、コントローラ50からの指令に基づいて、インバータ9により作り出された三相交流を印加することにより制御される。MG4は、高電圧バッテリ10からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作し、走行用駆動源として機能する。また、MG4は、ロータがエンジン1や駆動輪8から回転エネルギーを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、高電圧バッテリ10を充電することができる。
オイルポンプ5は、エンジン1の回転がベルトを介して伝達されることによって動作するベーンポンプである。オイルポンプ5は、CVT7のオイルパン30に貯留される作動油を吸い上げ、油圧コントロールバルブユニット20にオイルを供給する。
スタータモータ15は、エンジン1を始動するときに、低電圧バッテリ11からの電力の供給を受けてエンジン1のクランク軸を回転駆動させてエンジン1を始動させる。
SG16は、エンジン1から回転エネルギーを受ける場合には発電機として機能する。このようにして発電された電力は、インバータ9を通じて高電圧バッテリ10に充電される。また、SG16は、高電圧バッテリ10からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作し、エンジン1の動力をアシストするモータ補助駆動源として機能する。さらに、SG16は、アイドリングストップ制御中にエンジン1を再始動するときに、エンジン1のクランク軸を回転駆動してエンジン1を再始動させる機能も有する。
コントローラ50は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ50は、エンジン1を制御するECU、自動変速機2を制御する制御装置としてのATCU、シフトレンジを制御するSCU、エンジン1及びMG4のハイブリッド制御を行うHCM等によって構成される。なお、コントローラ50は、複数のマイクロコンピュータで構成する場合に限らず、1つのマイクロコンピュータによって構成することも可能である。
コントローラ50には、エンジン1の出力軸の回転速度Neを検出する第1回転速度センサ51、トルクコンバータ3の出力軸の回転速度(摩擦締結機構6の入力軸の回転速度Ncin)を検出する第2回転速度センサ52、摩擦締結機構6の出力軸の回転速度Ncout(プライマリプーリ71の回転速度Npri)を検出する第3回転速度センサ53、MG4の回転速度を検出する第4回転速度センサ54と、CVT7の出力軸の回転速度を検出する第5回転速度センサ55、車速Vを検出する車速センサ56と、自動変速機2のセレクトレンジ(前進、後進、ニュートラル及びパーキングを切り換えるセレクトレバー又はセレクトスイッチの状態)を検出するインヒビタスイッチ57、アクセル開度Apを検出するアクセル開度センサ58、ブレーキの踏力を検出する踏力センサ59、からの信号が入力される。コントローラ50は、入力されるこれら信号に基づき、エンジン1、自動変速機2、MG4(インバータ9)の各種動作を制御する。なお、MG4の回転速度は、第4回転速度センサ54を用いることなく、インバータ9の周波数から計算によって求めてもよい。
コントローラ50は、車両100の運転モードとして、高電圧バッテリ10からの電力に基づいてMG4を駆動し、MG4のみの動力によって走行するEVモード(モータ走行モード)と、エンジン1のみの動力によって走行するエンジン走行モードと、エンジン1の動力とMG4の動力によって走行するHEVモード(ハイブリッド走行モード)と、を切り換える。
EVモードでは、車両100は、摩擦締結機構6(前進クラッチ6a及び後進ブレーキ6b)を解放した状態で、高電圧バッテリ10からの電力によってMG4のみを駆動して走行する。EVモードは、車両100の要求出力が低い時であって、高電圧バッテリ10の残容量が充分にあるときに選択される。
エンジン走行モードでは、車両100は、摩擦締結機構6(前進クラッチ6aまたは後進ブレーキ6b)を締結した状態で、エンジン1のみを駆動して走行する。エンジン走行モードは、車両100の要求出力が比較的高い時に選択される。
HEVモードでは、車両100は、摩擦締結機構6(前進クラッチ6aまたは後進ブレーキ6b)を締結した状態で、エンジン1とMG4とを駆動して走行する。HEVモードは、車両100の要求出力が高い時、具体的には、車両100の要求出力がエンジン1による出力のみでは補えないときに選択される。
コントローラ50は、車速センサ56によって検出された車速Vと、アクセル開度センサ58によって検出されたアクセル開度Apと、踏力センサ59によって検出されたブレーキペダルの踏力と、図示しない走行モード選択マップと、に基づいて、走行モードを切り換える。
このように構成された車両100では、車両100がEVモードで走行中に、ドライバーの加速要求によってEVモードからHEVモードに移行する状況がある。コントローラ50は、HEVモードに移行する必要があると判断すると、エンジン1を始動し、前進クラッチ6aを締結することでHEVモードに移行させる。
しかしながら、例えば、EV走行中、MG4の出力がMG4の最大出力近傍である場合に、ドライバーから加速要求があると、コントローラ50は、EVモードからHEVモードに移行しようとする。そこで、上述のように、エンジン1を始動し、前進クラッチ6aを締結することになる。しかしながら、前進クラッチ6aを締結するまでの間は、エンジン1からの動力が付与されず、加速することができない。この間、MG4によって加速することも考えられるが、MG4の出力はすでに最大出力近傍であるため、これ以上MG4の出力を上げることができない。つまり、エンジン1からの動力が付与されるまでの間、車両100を加速することができない。
そこで、車両100がEVモードで走行中、要求される出力(要求出力Wr)が所定範囲W1内にある場合に、エンジン1を始動させて待機させておくことが考えられる。しかしながら、単にエンジン1を始動させただけでは、エネルギーを無駄に消費してしまい、燃費が悪化するおそれがある。
そこで、本実施形態では、車両100がEVモードで走行中、要求出力Wrが所定範囲W1内にある場合には、コントローラ50は、エンジン1を始動し、前進クラッチ6aを解放した状態に維持するエンジン待機モードを実行するとともに、エンジン1の動力によってSG16に発電させる。以下に、図2に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態におけるエンジン待機モードに関する制御を具体的に説明する。
ステップS11では、EV走行中か否かを判定する。車両100がEV走行中であればステップS12に進み、車両100がEV走行中でなければRETURNに進む。
ステップS12では、要求出力Wrが所定範囲W1内にあるか否かを判定する。具体的には、コントローラ50は、アクセル開度Ap、車速V等に基づいて、必要とする出力(要求出力Wr)を求め、この要求出力Wrが、あらかじめ設定された所定範囲W1(図3のハッチング部分参照)内にあるか否かを判定する。所定範囲W1は、例えば、図3に示すように、MG4の各車速V及び加速度αにおける最大出力Wmaxを結んだ最大出力線Lmaxと、MG4の各車速V及び加速度αにおける最大出力の90%の出力を結んだ出力線L1との間の領域に設定される。なお、最大出力線Lmaxは、EVモード領域とHEVモード領域を区画する。
ステップS12において、要求出力Wrが所定範囲W1内にあると判定されれば、ステップS13に進み、要求出力Wrが所定範囲W1内でないと判定されれば、RETURNに進む。
ステップS13では、エンジン1を始動する。
ステップS14では、エンジン1の回転同期を実行する。具体的には、コントローラ50は、エンジン1の回転速度Neとプライマリプーリ71の回転速度Npriとの回転速度差が、所定の範囲内になるように、より具体的には、前進クラッチ6aの入力軸の回転速度Ncinと出力軸の回転速度Ncoutとの回転速度差Dが前進クラッチ6aの締結可能な範囲内になるように、エンジン1の回転速度Neを制御する。これにより、例えば、EVモードからHEVモードに移行する場合に、スムーズに(素早く)前進クラッチ6aを締結することができる。
ステップS15では、SG16の発電を実行する。具体的には、エンジン1の動力によってSG16を駆動して発電させる。このとき、コントローラ50は、高電圧バッテリ10の残容量、及びMG4の出力(消費電力)に基づいて、界磁電流を制御しながら、SG16の出力(発電電力)を制御する。
ステップS16では、要求出力Wrが最大出力Wmax以上であるか否かを判定する。具体的には、コントローラ50は、要求出力Wrを、MG4の出力によって賄うことができるか否かを判定する。要求出力Wrが最大出力Wmax以上である、つまり、要求出力WrをMG4の出力によって賄うことができないと判定されれば、ステップS17に進み、要求出力Wrが最大出力Wmax未満である、つまり、要求出力WrをMG4の出力によって賄うことができると判定されれば、と判定されれば、RETURNに進む。
ステップS17では、前進クラッチ6aを締結する。具体的には、コントローラ50は、EVモードからHEVモードに移行し、前進クラッチ6aに対してスリップ制御を実行する。これにより、前進クラッチ6aが締結され、エンジン1の動力がトルクコンバータ3、前進クラッチ6a、及びCVT7を通じて駆動輪8に付与される。また、このとき、MG4の動力もCVT7を通じて駆動輪8に付与される。よって、エンジン1の動力とMG4の動力によって要求出力Wrを満たすことができる。
このように、本実施形態では、車両100がEVモードで走行中、MG4の出力がMG4の最大出力Wmaxから所定範囲W1内にある場合には、エンジン1を始動し、前進クラッチ6aを解放した状態に維持するエンジン待機モードを実行するとともに、SG16によって発電させる。これにより、EVモードからHEVモードにスムーズに移行できるとともに、エンジン1の動力を有効利用できる。
さらに、エンジン待機モードを実行しているときには、前進クラッチ6aを解放した状態にしているので、MG4とエンジン1が連れ回わることを防止できる。これにより、電費が悪化することを防止できる。
また、本実施形態では、エンジン待機モードを実行しているときに、エンジン1の回転速度Neを引き上げて、プライマリプーリ71の回転速度Npriに同期させている、つまり、前進クラッチ6aの入力軸の回転速度Ncinと出力軸の回転速度Ncoutとを同期させているので、前進クラッチ6aの締結までの時間を短縮できる。
ここで、比較例について説明する。図4は、エンジン待機モードを備えていない制御であり、EVモードからHEVモードに単純に移行する場合である。
ステップS21では、EV走行中か否かを判定する。車両100がEV走行中であればステップS22に進み、車両100がEV走行中でなければRETURNに進む。
ステップS22では、要求出力Wrが最大出力Wmax以上であるか否かを判定する。具体的には、コントローラ50は、要求出力Wrを、MG4の出力によって賄うことができるか否かを判定する。要求出力Wrが最大出力Wmax以上であると判定されれば、ステップS23に進み、要求出力Wrが最大出力Wmax未満であると判定されれば、RETURNに進む。
ステップS23では、エンジン1を始動する。
ステップS24では、エンジン1の回転同期を実行する。具体的には、コントローラ50は、エンジン1の回転速度Neとプライマリプーリ71の回転速度Npriとの回転速度差が、所定の範囲内になるように、より具体的には、前進クラッチ6aの入力軸の回転速度Ncinと出力軸の回転速度Ncoutとの回転速度差Dが前進クラッチ6aの締結可能な範囲内になるように、エンジン1の回転速度Neを制御する。
ステップS25では、前進クラッチ6aを締結する。具体的には、コントローラ50は、前進クラッチ6aに対してスリップ制御を実行する。これにより、前進クラッチ6aが締結され、エンジン1の動力がトルクコンバータ3、前進クラッチ6a、及びCVT7を通じて駆動輪8に付与される。また、このとき、MG4の動力もCVT7を通じて駆動輪8に付与される。よって、エンジン1の動力とMG4の動力によって要求出力Wrを満たすことができる。
この比較例では、上述のように、EV走行中、MG4の出力がMG4の最大出力近傍である場合に、ドライバーから加速要求があってもMG4の出力を上げることができないため、前進クラッチ6aを締結するまでの間は、車両100を加速できず、ドライブフィーリングに不満が生じる。
これに対して、本実施形態では、要求出力Wrが所定範囲W1内にある場合に、エンジン1を始動させるので、上述のような状況において、車両100を加速するまでのタイムラグを短くすることができる。これにより、ドライブフィーリングの悪化を抑制できる。
次に、図5に示す比較例について説明する。図5は、EV走行中に要求出力Wrが所定範囲W1内にある場合にエンジン1を始動させるが、その後、前進クラッチ6aを締結させた状態で待機する場合である。
ステップS31では、EV走行中か否かを判定する。車両100がEV走行中であればステップS32に進み、車両100がEV走行中でなければRETURNに進む。
ステップS32では、要求出力Wrが所定範囲W1内にあるか否かを判定する。判定の具体的な手法については図2のステップS12と同じであるので、説明を省略する。
ステップS33では、エンジン1を始動する。
ステップS34では、エンジン1の回転同期を実行する。具体的には、コントローラ50は、エンジン1の回転速度Neとプライマリプーリ71の回転速度Npriとの回転速度差が、所定の範囲内になるように、より具体的には、前進クラッチ6aの入力軸の回転速度Ncinと出力軸の回転速度Ncoutとの回転速度差Dが前進クラッチ6aの締結可能な範囲内になるように、エンジン1の回転速度Neを制御する。
ステップS35では、前進クラッチ6aを締結する。具体的には、コントローラ50は、前進クラッチ6aに対してスリップ制御を実行する。そして、前進クラッチ6aが完全に締結されると、コントローラ50は、エンジン1の動力が駆動輪8に付与されないようにエンジン1の出力トルクを制御する。
この比較例では、図4の比較例のような車両100が加速されるまでのタイムラグを短くすることができるため、ドライブフィーリングの悪化を抑制できる。しかしながら、前進クラッチ6aが締結されているため、MG4の回転速度が変動するときにエンジン1を連れ回すおそれがある。これにより、MG4の電費が悪化する。
これに対して、本実施形態では、エンジン待機制御を実行する際には、前進クラッチ6aを解放しているので、MG4によってエンジン1が連れ回わしてしまうことを防止できる。これにより、電費が悪化することを防止できる。
以上のように構成された上記実施形態の作用効果をまとめて説明する。
ハイブリッド車両100は、エンジン1と、エンジン1と駆動輪8との間の動力伝達経路におけるエンジン1の下流に設けられた無段変速機構7と、動力伝達経路におけるエンジン1と無段変速機構7との間に設けられた摩擦締結機構6と、無段変速機構7の入力軸に接続されたモータ(MG4)と、エンジン1の動力によって駆動され、モータ(MG4)を駆動するための電力を発電する発電モータ(SG16)と、エンジン1、無段変速機構7、摩擦締結機構6、モータ(MG4)、及び発電モータ(SG16)の動作を制御し、エンジン1の動力のみで走行するエンジン走行モードと、エンジン1とモータ(MG4)の動力で走行するHEVモードと、モータ(MG4)の動力のみで走行するEVモードと、のいずれかを選択して車両100を走行させる制御装置(コントローラ50)と、を備える。
制御装置(コントローラ50)は、車両100がEVモードで走行中、要求されるモータ(MG4)の出力がモータ(MG4)の最大出力Wmaxから所定範囲W1内にある場合には、エンジン1を始動し、摩擦締結機構6(前進クラッチ6a)を解放した状態に維持するエンジン待機モードを実行するとともに、発電モータ(SG16)によって発電させる。
エンジン待機モードでエンジン1を駆動している場合に、エンジン1の動力を用いて発電を行うことで、エネルギーを有効活用することができる。よって、燃費の悪化を抑制できる(請求項1及び3に係る発明の効果)。
また、エンジン待機モードでエンジン1を駆動している場合に、摩擦締結機構6(前進クラッチ6a)を解放した状態にしているので、MG4がエンジン1を連れ回してしまうことを防止できる。これにより、電費が悪化することを防止できる(請求項1及び3に係る発明の効果)。
ハイブリッド車両100では、制御装置(コントローラ50)は、EVモードで走行中、エンジン待機モードを実行するときには、摩擦締結機構6(前進クラッチ6a)の入力軸の回転速度Ncinと出力軸の回転速度Ncoutとの回転速度差Dが摩擦締結機構6(前進クラッチ6a)の締結可能な範囲内となるようにエンジン1の回転速度Neを制御する。
エンジン1の回転速度Neを予め、締結可能な範囲まで引き上げておくことで、EVモードからHEVモードに移行する場合に、スムーズに前進クラッチ6aを締結することができる(請求項2に係る発明の効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
所定範囲W1は、最大出力Wmaxの90%としたが、車両100の特性に応じて適宜設定すればよく、90%以上であっても、90%以下であってもよい。
1 エンジン
2 自動変速機
3 トルクコンバータ
4 モータジェネレータ(MG)
6 摩擦締結機構
6a 前進クラッチ
6b 後進ブレーキ
7 無段変速機構(CVT)
8 駆動輪
15 スタータモータ(SM)
16 スタータジェネレータ(SG)
50 統合コントローラ(制御装置)
100 ハイブリッド車両

Claims (3)

  1. エンジンと、
    前記エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路における前記エンジンの下流に設けられた無段変速機構と、
    前記動力伝達経路における前記エンジンと前記無段変速機構との間に設けられた摩擦締結機構と、
    前記無段変速機構の入力軸に接続されたモータと、
    前記エンジンの動力によって駆動され、前記モータを駆動するための電力を発電する発電モータと、
    前記エンジン、前記無段変速機構、前記摩擦締結機構、前記モータ、及び前記発電モータの動作を制御し、前記エンジンの動力のみで走行するエンジン走行モードと、前記エンジンと前記モータの動力で走行するHEVモードと、前記モータの動力のみで走行するEVモードと、のいずれかを選択して車両を走行させる制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記車両が前記EVモードで走行中、要求される前記モータの出力が前記モータの最大出力から所定範囲内にある場合には、前記エンジンを始動し、前記摩擦締結機構を解放した状態に維持するエンジン待機モードを実行するとともに、前記エンジンの動力によって前記発電モータを駆動して発電させる、
    ことを特徴とするハイブリッド車両。
  2. 前記制御装置は、
    前記EVモードで走行中、前記エンジン待機モードを実行するときには、前記摩擦締結機構の入力軸の回転速度と出力軸の回転速度との回転速度差が前記摩擦締結機構の締結可能な範囲内となるように前記エンジンの回転速度を制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載されたハイブリッド車両。
  3. エンジンと、
    前記エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路における前記エンジンの下流に設けられた無段変速機構と、
    前記動力伝達経路における前記エンジンと前記無段変速機構との間に設けられた摩擦締結機構と、
    前記無段変速機構の入力軸に接続されたモータと、
    前記エンジンの動力によって駆動され、前記モータを駆動するための電力を発電する発電モータと、
    前記エンジン、前記無段変速機構、前記摩擦締結機構、前記モータ、及び前記発電モータの動作を制御し、前記エンジンの動力のみで走行するエンジン走行モードと、前記エンジンと前記モータの動力で走行するHEVモードと、前記モータの動力のみで走行するEVモードと、のいずれかを選択して車両を走行させる制御装置と、を備えたハイブリッド車両を制御するハイブリッド車両の制御方法であって、
    前記車両が前記EVモードで走行中、要求される前記モータの出力が前記モータの最大出力から所定範囲内にある場合には、前記エンジンを始動し、前記摩擦締結機構を解放した状態に維持するとともに、前記エンジンの動力によって前記発電モータを駆動して発電させる、
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
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