本発明は、特に、開口部を示す容器自体、および蓋などの容器のこの開口部を閉じるために使用される閉鎖システムの2つの部分から構成される医薬品容器の、漏れ試験による容器閉鎖完全性試験のための装置および方法、ならびに品質管理におけるそれらの応用を開示する。
本発明は品質管理の分野に属する。より正確には、本発明は医薬品の品質管理の分野に属する。本発明は、特に医薬品容器の容器閉鎖完全性試験のための装置および方法に関する。
Alejandra NietoらのPDA J Pharm Sci Technol、2016年、70、120〜133は、修正されたヘリウム漏れ試験を使用する、凍結条件における物理的方法(pCCI)によるCCI(容器閉鎖完全性)の直接評価のための新規の方法(ThermCCI)の開発を開示している。
Alejandra NietoらのPDA J Pharm Sci Technol、2018年3月15日、doi:10.5731/pdajpst.2017.008391は、凍結貯蔵条件下の医薬品CCS(容器閉鎖システム)用のゴム栓の密閉挙動を調査するために適用される有限要素(FE)シミュレーションを開示している。
本発明の意味において、医薬品容器は、2つの部分、すなわち2つの装置、開口部を示す容器自体、および蓋などの容器のこの開口部を閉じるために使用される閉鎖システムから構成される。容器閉鎖完全性試験は、容器を閉じるこの閉鎖システムの動作を試験するために使用される。
容器閉鎖完全性試験は、特にガラスバイアル/ゴム型の閉鎖システムの場合、医薬品製造の重要な部分である。封入された組成物の無菌性は大きな懸念事項である。そのため、閉鎖システムが微生物に対する効果的なバリアを提供するか否かを判断することが重要である。
1つの効果的な試験方法は、微生物効能試験である。この試験は効果的であるが、非常に労働集約的であり、多数のサンプルを必要とし、結果が評価され得るまでに長い遅延時間がかかる。
閉鎖システムの完全性を試験する代替方法は漏れ試験である。これらの試験システムでは、閉鎖システムを有する容器は、検出可能な試験ガス、通常はヘリウムを使用して試験される。簡単なシステムでは、試験ガスが閉鎖システムから漏れているか否かが試験される。
図1Aおよび図1Bは、ヘリウム漏れ試験装置の一般的な原理を示している。簡単に言うと、試験される容器(6)は、出口(2)、および通常はOリングである密閉手段(3)を備える試験チャンバ(1)に挿入される。密閉手段により、閉鎖システムが配置され得るチャンバ(1)を外気から分離することが可能になる。出口および閉鎖システムを備えるチャンバ(1)は、容器が挿入されると、密閉手段または上流部分の上の装置の上部と呼ばれ、密閉手段の反対側の装置の部分は、密閉手段または下流部分の下の装置の下部と呼ばれる。
いくつかの方法では、容器はヘリウムまたは他の検出可能なガスを含む。他の方法では、容器は、試験の目的で、密閉手段の下に開口部(6.4)が設けられており、それは、容器(6)の内側から閉鎖システム(12)がヘリウムと接触するために、定義された圧力のヘリウムまたは別の検出可能なガスが容器に入ることを可能にする。出口は、通常、ヘリウム検出器、通常は質量分光検出器に接続される。
次いで、チャンバ(1)は排気され、容器内部とチャンバとの間に圧力差が生じる。ヘリウムまたは他の検出可能なガスが漏れ始め、それによって検出される圧力が特定される。ガスが事前定義されたしきい値を下回る圧力でのみ検出された場合、容器は密閉されていると見なされる。
本発明者らは、本方法がまだ気付かれていない欠点を備えることを見出した。方法は排気を伴うので、このようにして生成された圧力差が容器をチャンバ壁に押し付けるか、または吸い込む可能性がある(図1B参照)。言い換えれば、容器は真空によってチャンバに吸い込まれる可能性がある。これはまた、容器を誤ってチャンバの内側に配置し、閉鎖システムをチャンバ壁に接触させることによってすでに起こる可能性がある。本発明者らは、特に閉鎖システムが装置の壁と接触する場合に、漏れ試験の結果に影響を与える可能性があるいくつかの要因が存在することを見つけた。これにより、閉鎖システム上に、誤検出および検出漏れをもたらす可能性がある新しい圧力源が追加される。
一般的に使用される閉鎖システムが図2Aおよび図2Bに描かれている。一般的な医薬品閉鎖システムは、バイアルなどの容器上にあり、圧着キャップ(19)によって定位置に保持されているゴム栓(18)を備えてよい。加えて(図2B)、閉鎖システムは、別の保護または装飾用の蓋(20)を備えてよい。ゴム栓はバイアル上に効果的に圧縮され(図3A参照)、バイアルを密閉するためにバイアルに力(21、22)を加えるかまたは力を働かせる。この力は残留シール力(RSF)として定義され、ゴム栓の表面およびバイアルの開口部の内側の表面に依存する。サイズに応じて、残留シール力は通常25〜75 Nである。
効果的に、圧縮されたゴム栓(18)は圧縮されたばねのように動作する。残留シール力は、ゴム栓によってかけられた圧縮力を間接的な測定で決定され得る。
測定原理は、図3Aおよび図3Bに描かれている抗力に基づく。第1の力ベクトルである圧縮されたゴム栓の圧縮力(22)は、上向きである(図3A、図3B)。第2の力ベクトル(21)である、RSFを試験するときに加えられる力は下向きである(図3A、図3B)。RSFは、キャップ付きバイアルの上部に一定の圧縮力を加える通常の応力−ひずみ計器で試験されてよい。キャップ付きバイアルのRSFは、両方の力ベクトル(21、22)が等しい値をもつポイントである(図3B)。計器によって加えられた力がゴム栓の圧縮力を超えると、圧着キャップのスカートが下向きに動き始め、バイアルフランジから離れる(黒い円(23)、図3C)。計器は、キャップ付きバイアルに加えられた圧縮力対距離の関数を記録し、この関数からRSFを計算する。
要約すると、RSF試験により、バイアルにキャップをかぶせるために使用されたキャッピング機器とは無関係に、キャップ付きバイアルのシール力の計算が可能になる。異なる閉鎖システムおよび閉鎖システムと容器の異なる組合せは、異なる許容可能なRSF範囲を有し、異なるキャッピング機器設定を要求する可能性がある。
図2Aによる閉鎖システムを有するバイアルについての残留シール力のサンプル計算は、以下の特定された残留シール力をもたらす。
ゴム栓(18)に加わるバイアル圧力(22):
a)PAIR=1atm=101kPa=101kN/m2=10.1N/cm2=10N/cm2
b)バイアルのネックの内径が0.88cmで、バイアルのこのネックのそれぞれの面積がA2の50mlバイアルの場合、RSF NSEALは以下のように計算される。
NSEAL=A2*PAIR=(0.88cm)2*3.14*PAIR=2.43cm2*10N/cm2=24.3N
ゴム栓が容器閉鎖完全性試験装置のチャンバ壁(図3D)に載っている場合、ゴム栓にかかる圧力とそれに伴う残留シール力が大幅に増加する。
栓に加わるバイアル圧力は、
a)PAIR=1atm=101kPa=101kN/m2=10.1N/cm2=10N/cm2
b)内径が2.125cmの50mlバイアルの場合:
NSEAL=A1−A2*Pair=((2.125cm)2*3.14−(0.88cm)2*3.14)*Pair=(14.18cm2−2.43cm2)*10N/cm2=117.5N
である。
Alejandra NietoらのPDA J Pharm Sci Technol、2016年、70、120〜133
Alejandra NietoらのPDA J Pharm Sci Technol、2018年3月15日、doi:10.5731/pdajpst.2017.008391
そのため、従来技術の欠点を取り除く装置および方法が必要である。
閉鎖システムの装置の壁との接触を回避する装置は、従来技術の問題を克服することが分かった。そのため、本発明は、閉鎖システムの装置の壁との接触を防止する装置に関する。
装置に加えて、本発明はさらに、前記装置を使用することにより容器の閉鎖システムの完全性を試験するための方法、および無菌組成物用の医薬品容器の閉鎖システムの閉鎖完全性を試験するための前記装置または前記方法の使用に関する。
従来技術による容器閉鎖完全性試験装置の概略図である。
従来技術の特定の欠点を示す概略図である。
一般的な閉鎖システムの概略図である。
一般的な閉鎖システムの概略図である。
残留シール力の特定の図である。
残留シール力の特定の図である。
残留シール力の特定の図である。
容器の閉鎖システムが容器閉鎖完全性試験装置の壁と接触したときに残留シール力の変化の図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
特定の実施形態の写真である。
特定の実施形態の写真である。
特定の実施形態の写真である。
特定の実施形態の写真である。
位置決め手段の実施形態の写真である。
本発明による方法における使用に適した第2の筐体をさらに備える、本発明による装置の図である。
装置(13)と容器(6)との間の隙間(24)に温度制御された液体(25)を加えた、本発明による装置の概略図である。
外部温度制御装置DEVCOOL(30)に挿入された、本発明による装置(13)の概略図である。
例示的な実施形態の写真である。
容器用の例示的な温度センサ挿入の概略図である。
容器用の例示的な温度センサ挿入の概略図である。
例示的な実施形態の写真である。
温度センサを利用する本発明の装置の例示的な実施形態の概略図である。
温度センサを利用する本発明の装置の例示的な実施形態の概略図である。
外部温度制御装置内の温度センサを使用する、本発明による装置の概略図である。
例示的な実施形態の写真である。
密閉されたバイアルの測定結果を示す図である。測定は、+20℃〜−80℃の温度範囲で実行された。黒い点:それぞれの温度でのヘリウム漏出率。灰色の線:選択されたしきい値。
特定の実施形態の写真である。
特定の実施形態の写真である。
特定の実施形態の写真である。
特定の実施形態の写真である。
本発明は、閉鎖完全性についての一般的なヘリウムベースの漏れ試験が、試験中の容器の位置決めまたは容器に加えられた圧力のために、誤った結果を生じる可能性があるという研究結果に基づいている。
本発明は、非加圧容器に特に適している。
本発明は、容器(6)の閉鎖システム(12)の完全性を試験するための装置(13)に関し、前記容器は主開口部(6.2)を備える上部(6.1)と、底部(6.3)とを有し、主開口部(6.2)は閉鎖システム(12)によって閉鎖され、前記装置(13)は、
(a)容器(6)の少なくとも上部(6.1)が挿入可能なチャンバ(1)を形成する壁(15)を有する筐体(14)と、
(b)容器またはその上部(6.1)が挿入される場合、容器(6)に対してチャンバ(1)の少なくとも一部を密閉するように構成された密閉手段(3)であって、
密閉手段が、装置およびチャンバ(1)を、密閉手段の上にあり、上部(6.1)が配置された上流部分、および密閉手段の下にあり、底部(6.3)が配置された下流部分に分割する密閉手段(3)と、
(c)チャンバ(1)の上流部分からのガスの流出を可能にするための、チャンバ(1)の上流部分の筐体(14)の壁(15)内の出口(2)と、
を備え、
容器(6)の上部(6.1)が装置(13)のチャンバ(1)に挿入されるときに、閉鎖システム(12)と装置(13)の壁(15)との間の接触を防止するための位置決め手段(4、5)を、装置(13)が備えることを特徴とする。
本発明の好ましい実施形態では、前記容器は非加圧容器である。
チャンバ(1)の上流部分は、密閉手段の上流のチャンバの一部であり、チャンバ(1)の密閉可能な部分である。
チャンバ(1)の上流部分に出口(2)を配置することにより、出口はチャンバの密閉可能な部分に配置される。
容器は、主開口部(6.2)に加えて開口部(6.4)を備えることができ、好ましくは、開口部(6.4)は底部(6.3)に位置する。
本発明のいくつかの実施形態では、密閉手段(3)または壁(15)の一部は、位置決め手段(4、5)として機能するように構成される。
本発明の好ましい実施形態では、前記位置決め手段および密閉手段は2つの別個の手段である。
好ましい実施形態では、位置決め手段は装置の一体部分である。
いくつかの実施形態では、位置決め手段は、装置から取り外し可能であり、容器に配置され得る部分である。
位置決め手段により、容器、特にその閉鎖システムが、容器閉鎖完全性試験中に装置の壁と接触しないことが保証される。適切な位置決め手段は当業者には明らかであろう。
装置および位置決め手段の非限定的な例が、図4A〜図4Iの概略図に見出され得る。
図4Aおよび図4Bは装置を示し、位置決め手段(4)は密閉手段(3)の上方に配置される。この場合、位置決め手段は、容器が位置決め手段を乗り越えて動くのを防止する。位置決め手段は、容器のネックを円周方向に囲むか、容器の肩の上に静止し、閉鎖システムを囲む停止リングであってよい(図4N)。
図4Cおよび図4Dは、同様の実施形態を示す。この実施形態では、位置決め手段(4)はストッパであり、これは、容器がさらに挿入されること、またはストッパを通過することを防止する。
図4Eおよび図4Fは装置を示し、密閉手段(3)は、同時に位置決め手段(4)として働くように構成されている。
図4Gおよび図4Hは、位置決め手段(5)として働くように統合された手段を備える装置を示す。この場合、位置決め手段は壁(15)の内側のリムであり得る。
図4Iは装置を示し、位置決め手段(4)は筐体(14)とは別個であり、例えばリングの形状で、容器(6)の上に配置され得る。図4J〜図4Mは、容器の特定の実施形態の写真を示す。
図4Nは、リングの形状の位置決め手段の実施形態の写真を示す。
位置決め手段を除いて、本発明による装置は、従来技術で知られている試験装置に基づいてよい。一実施形態では、前記装置は、試験されるべき容器に配置されるアダプタであり、一般的な漏れ検出システムと互換性がある。特に、装置はフランジまたはリングであってよい。あるいは、本発明による装置は、閉鎖完全性を試験するのに適した装置の一部であってよい。
容器閉鎖完全性試験における漏れ検出のための装置は当業者には公知である。一般に、これらの装置は質量分光ヘリウム検出に基づく。
位置決め手段の他に、本発明の第2の重要な特徴は、位置決め手段としても実行するように構成されてよい密閉手段である。本発明の一実施形態では、密閉手段は少なくとも1つのOリングを備える。
したがって、一実施形態では、本発明は装置に関し、密閉手段は少なくとも1つのOリングを備える。
位置決め手段として機能することもできる密閉手段は、可撓性材料から作られることが好ましい。好ましくは、前記可撓性材料は、容器を保持し、チャンバを密閉することができ、チャンバの排気を可能にする。好ましい実施形態では、前記密閉手段は、ゴム、ラテックス、またはシリコーンなどのエラストマから選択された材料から作られる。しかしながら、チャンバの密閉を可能にするいかなる材料も適している。
したがって、一実施形態では、本発明は装置に関し、密閉手段は弾性材料から作られる。
弾性材料は、ゴム、ラテックス、またはシリコーンに基づくものとすることができる。
上述のように、密閉手段は、位置決め手段としても働くように構成および/または配置されてよい。位置決め手段として働くように構成された密閉手段の一例は、図4Eおよび図4Fに見ることができる。1つの非限定的な実施形態では、前記組み合わされた位置決め手段および密閉手段はOリングを備え、Oリングは、閉鎖システムを有する容器の上部が通り抜けることを可能にするが、容器全体が通ることを可能にしない。
これは、閉鎖システムの直径よりも大きいが、容器の最大直径よりも小さい直径を有するOリングで実現されてよい。当業者は、別の適切な実施形態に容易に気付くであろう。
本発明の代替の実施形態では、位置決め手段は密閉手段から独立している。位置決め手段は、追加のOリング、または単に閉鎖システムが装置の壁と接触しないように防止する装置内のストッパであってよい。
したがって、本発明の一実施形態では、位置決め手段はOリングを備える。
したがって、好ましい実施形態では、本発明は装置に関し、前記密閉手段は前記位置決め手段として機能するように適合されたOリングを備える。
本発明の一実施形態では、位置決め手段は少なくとも1つのストッパを備える。本発明の意味の範囲内のストッパは、例えば、装置の壁から延在し(図4Cまたは図4Dを参照)、容器が規定された位置を乗り越えないように防止する、単純な突起であってよい。
前記栓は、容器が通過しないように防止する装置の壁に配置され得るか、または装置の壁、好ましくは装置の壁の上部から延在して、停止点を提供することができる。好ましくは、位置決め手段は、装置内の容器の閉鎖システムを中心に置くことを可能にする。
好ましい実施形態では、位置決め手段は、閉鎖システムが装置の壁と接触しない規定された位置に容器を保持するように構成される。位置決め手段はまた、容器の正しい向きを確保するように構成され得る。好ましくは、位置決め手段は、チャンバ内への容器の移動を防止する。
好ましい実施形態では、位置決め手段はストッパであり、このストッパは装置の壁と一体である。
特定の実施形態では、装置の壁は、位置決め手段として機能するような形状であり、閉鎖システムが装置の壁と接触しないように挿入された容器を保持する。
言い換えれば、位置決め手段は、閉鎖システムが装置と接触しないように防止するべきである。したがって、位置決め手段が配置された容器を保持するのに適していることが重要である。位置決め手段を持たない従来技術の装置では、例えば、装置またはチャンバの下流部分と上流部分との間の圧力差のために、容器が動く可能性がある。したがって、位置決め手段は、圧力差が加えられたときでも、容器の再配置を防止するべきである。
位置決め手段は、密閉手段と同じ材料であっても、異なる材料であってもよい。
本発明の一実施形態では、位置決め手段は密閉手段と同じ材料から作られる。
別の好ましい実施形態では、前記材料は、例えばゴム、ラテックス、またはシリコーンから選択されたエラストマなどの可撓性材料である。
別の実施形態では、位置決め手段は、プラスチック、金属、または剛性複合材料などの剛性材料から作られる。
対照的に、位置決め手段が装置の不可欠な部分である場合、例えば、壁が位置決め手段として働くように形作られている場合、容器を損傷しないように位置決め手段が配置および配列されることが好ましい。
位置決め手段は、装置の壁と同じ材料または異なる材料から作られてよい。位置決め手段が装置と一体である場合、位置決め手段は装置と同じ材料から作られていることが好ましい。
装置および特に筐体は、任意の適切な材料から作られてよい。特に適切な材料には、金属、合金、またはプラスチックが含まれるが、それらに限定されない。
本発明の一実施形態では、筐体は、プラスチック、金属、または合金から作られる。
好ましい実施形態では、筐体の少なくとも一部は、鋼、アルミニウム、またはプラスチックから作られる。
より好ましくは、筐体は、大部分が鋼、アルミニウム、またはプラスチックから作られる。
装置は、その寸法によって規定される特定のタイプの容器に構成および/または大きさが調整されてよい。あるいは、位置決め手段および/または密閉手段は、容器の異なる大きさまたは形状への装置の適合を可能にするために交換可能であってよい。装置が異なる大きさの容器または異なる容器形状に適合可能である場合、交換可能な密閉手段および/または位置決め手段は同じ材料から作られていることが好ましい。好ましくは、この場合、密閉手段は、位置決め手段として機能するように構成される。
本発明の一実施形態は、容器の閉鎖システムの完全性を試験するように構成された装置であり、閉鎖システムの直径は容器の最大直径よりも小さい。一実施形態では、位置決め手段は、閉鎖システムで閉鎖された容器の挿入中に閉鎖システムの移動を可能にするが、容器の移動を可能にせず、むしろ閉鎖システムがチャンバ(1)の壁(15)と接触する前に容器の挿入を停止する。
装置は、チャンバを形成する、壁を有する筐体を備える。密閉手段は、容器が挿入される場合、前記チャンバの少なくとも一部が容器に対して密閉されるように配置される。上述したように、筐体は、プラスチック、金属、または合金から作られることが好ましい。より好ましくは、前記筐体は、鋼、アルミニウム、またはプラスチックから作られる。
試験条件が適用されるときに、チャンバの密閉された内部と外部環境との間の圧力差に筐体が耐えることが可能であることが不可欠である。
一実施形態では、装置は試験されるべき閉鎖システムを囲む容器の上部に配置されるように構成されるので、容器の底部は装置の外側にある。別の実施形態では、装置は試験されるべき閉鎖システムを備える容器を完全に包むように構成される。別の実施形態では、本発明の複数の装置を備える装置が提供される。
装置は、密閉可能なチャンバ内、または排気され得るチャンバの密閉可能な部分に少なくとも1つの出口を備える。前記出口は、試験ガス用の検出器を有する装置などの別の装置に出口を接続する手段を備えてよい。
したがって、本発明の好ましい実施形態では、装置は検出器に接続される。
好ましくは、検出器は質量分光計である。
試験ガス用の前記検出器は、任意の適切な試験ガスを検出してよい。好ましくは、前記試験ガスはヘリウムである。より好ましくは、試験ガスはヘリウムであり、検出器は質量分光ヘリウム検出器である。
出口は、別または代替の目的に役立ってよい。好ましくは、チャンバは排気され得る。排気は、試験ガスを検出するための装置にも接続された同じ出口、または別の出口を介して実行されてよい。好ましくは、チャンバは同じ出口を使用して排気される。
装置は、2つの筐体、容器(6)または容器の上部(6.1)が挿入される第1の筐体、および第1の筐体に接続され得る第2の筐体(8)を備えてよい。
図5は、2つの筐体を有する装置の実施形態を示す。
前記第2の筐体は、試験ガス用の入口を備えることが好ましい。第2の筐体は、試験ガスの圧力を制御するために使用され得る出口を備えることができる。
試験ガスは、密閉手段または閉鎖システムと相互作用してはならない。好ましくは、試験ガスは、ヘリウムまたは別の検出可能な不活性ガスである。好ましくは、試験ガスは、密閉手段または閉鎖システムを通って拡散可能なものであってはならない。
第2の筐体は、第1の筐体から分離可能であることが好ましい。第2の筐体は、追加の位置決め手段または密閉手段を備えてよい。好ましい実施形態では、第2の筐体は、挿入された容器を定位置に保持するための手段を備える。
全ての密閉手段および位置決め手段は、容器、特に容器の材料に適合されるべきである。好ましくは、容器は、圧力差に耐えることができる安定した材料から作られる。好ましくは、容器は、ガラス、プラスチック、または金属から作られる。誤解を避けるために、容器および閉鎖システムは、本発明の装置の一部ではない。
本発明の特定の実施形態では、本発明による装置は、温度制御のための手段、特に冷却手段および/または加熱手段を備えるか、またはそれに接続可能である。
好ましい実施形態では、装置は、コンピューティング装置に接続されるべき手段を備える。
特定の実施形態では、本発明による装置は、冷却手段をさらに備え、かつ/または冷却手段に接続可能である。
特定の実施形態では、装置は冷却手段に接続可能であり、装置および冷却手段はコンピューティング手段に接続可能である。異なる好ましい実施形態では、装置は、冷却手段およびコンピューティング装置に接続する手段をさらに備える。
本発明の好ましい実施形態では、冷却手段は、少なくとも容器(6)の閉鎖システム(12)の冷却を可能にし、より好ましくは、冷却手段は、少なくとも閉鎖システムを備える容器の冷却を可能にし、さらにより好ましくは、冷却手段は、チャンバ(1)または特に好ましくは装置の冷却を可能にする。
好ましい実施形態では、冷却手段は、装置、チャンバ(1)、容器(6)、および/または閉鎖システム(12)の順次的な、好ましくは連続的な冷却を可能にする。
好ましい実施形態では、冷却手段は、少なくとも−20℃以下、好ましくは少なくとも−50℃以下、より好ましくは少なくとも−80℃以下、特に好ましくは−100℃以下、より詳細には−196℃(77K)以下の温度への冷却を可能にする。
本発明はさらに、本発明による温度制御のための装置および手段を制御するように構成されたコンピューティングシステムに関する。
試験されるべき閉鎖システムは、任意の適切な閉鎖システムであってよい。閉鎖システムの非限定的な例は、閉鎖される必要がある容器の開口部の実際の閉鎖または密閉に関与するエラストマ部分を備える。例として、エラストマ部分の材料はゴムまたはシリコーンである。エラストマ部分の形状は、プラグまたは蓋であり得る。閉鎖システムは、エラストマ部分を容器の開口部に固定するための手段も備えることができ、エラストマ部分を容器の開口部に固定するためのそのような手段の例は、金属クリンプである。好ましくは、閉鎖システムは、ゴムシーリングシステムと金属クリンプの組合せを備える。しかしながら、いかなる閉鎖システムも、本発明によるそれぞれ構成された装置を用いて試験されてよい。
次に、本発明の特定の非限定的な実施形態が、図を参照して説明される。
図1Aは、従来技術による容器閉鎖完全性試験装置(13)の概略断面図を示す。明確にするために、装置は、主開口部(6.2)および底部(6.3)を有する上部(6.1)を備える挿入された容器(6)とともに示されている。容器は閉鎖システム(12)によって閉鎖される。装置自体は、容器(6)が挿入された場合、チャンバ(1)の形成を可能にする壁(15)、出口(2)、および密閉手段を備える固体筐体(14)から作られる。密閉手段(3)は、容器(6)と接触するように配置および装着され、チャンバ(1)が装置の残りから分離されることを可能にする。図1Bは、従来技術による装置の主な欠点を示し、容器(6)は、偶然またはおそらく圧力差のためにチャンバ(1)の奥まで配置され、壁(15)と接触し、追加の圧力(16)が閉鎖システム(12)に加わる結果になり得る。
図4A〜図4Iは、本発明による装置(13)の様々な実施形態の概略断面図を示す。視覚化を改善するために、閉鎖システム(12)を備える容器(6)の有無にかかわらず、装置(13)が示されている。従来技術による装置と同様に、本発明による装置は、壁(15)、出口(2)、および容器(6)が挿入される場合にチャンバ(1)の形成を可能にする密閉手段を備える、固体筐体(14)を備える。密閉手段(3)は、容器(6)と接触するように配置および装着され、チャンバ(1)が装置の残りから分離されることを可能にする。密閉手段(3)に加えて、装置は、容器(6)が壁(15)または筐体(14)の他の部分と接触しないように防止する位置決め手段(4、5)を備える。
位置決め手段(4)は、別のOリング(図4A、4B)の形状であり得るか、またはストッパ(図4C、図4D)もしくは壁(5、15)と一体化した部分(図4G、図4H)として設計されている。特定の実施形態では、位置決め手段(4)および密閉手段(3)は、より大きなOリングに組み合わされる(図4E、図4F)。いくつかの実施形態では、位置決め手段は、容器に接続されるべき独立した部分である(図4I)。
図5は、壁(15)、出口(2)、および密閉手段(3)を備える第1の筐体(14)を備える、本発明による装置(13)の断面を示し、密閉手段(3)は、容器(6)が挿入されている場合、チャンバ(1)の密閉を可能にする。密閉手段(3)は、容器(6)と接触するように配置および装着され、チャンバ(1)が装置の下流部分から密閉されることを可能にする。密閉手段(3)に加えて、装置は、閉鎖システム(12)の壁(15)または筐体(14)の他の部分との接触を防止する位置決め手段(4)を備える。出口(2)は検出器に接続される。第1の筐体(14)は第2の筐体(8)に接続され、試験ガス用の入口(9)および第2のチャンバ(17)内の圧力制御用の出口(10)を備える第2のチャンバ(17)を形成する。図では、挿入された容器(6)が示され、容器は、閉鎖システム(12)および試験ガスが容器に入ることを可能にする追加の開口部(6.4)を備える。
第2の筐体は、試験ガス用の貯蔵槽として使用されてよく、第2のチャンバおよび容器の内部は試験ガス雰囲気で満たされている。本発明の好ましい実施形態では、前記雰囲気は、試験ガスの少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、特別に少なくとも80%、より特別に少なくとも85%、さらにより特別に少なくとも90%、特に少なくとも95%を備え、%は雰囲気の総体積に基づく体積%である。
本発明の別の主題は、容器(6)を閉鎖する閉鎖システム(12)の完全性を試験するための方法であって、
(a)容器閉鎖完全性試験装置(13)のチャンバ(1)に容器(6)の閉鎖システム(12)を配置するステップであって、チャンバ(1)の密閉壁(15)が容器(6)と対向し、
容器(6)が閉鎖システム(12)で閉鎖され、
容器が、試験ガスで試験用に満たされているか、または満たされることができ、
閉鎖システム(12)が、チャンバ(1)の壁(15)との接触を防止されているステップと、
(b)容器(6)の内部と密閉されたチャンバ(1)の内部との間に圧力差を発生させるステップと、
(c)閉鎖システム(12)を通る試験ガスを検出するステップと、
を備える。
好ましくは、閉鎖システム(12)で閉鎖された容器(6)が提供され、容器は試験ガスで試験用に満たされるか、または満たされ得る。
容器の内部とチャンバ(1)の内部との間の圧力差は、例えば、チャンバ(1)の内部を排気することにより、容器の内部を加圧することにより、または両方の手段により、好ましくはチャンバ(1)の内部を排気することによって生成され得る。
本発明の好ましい実施形態では、容器は非加圧容器である。
好ましくは、前記容器閉鎖完全性試験装置は、上述の装置である。
本発明の一実施形態では、閉鎖システムは、位置決め手段(4)によって試験装置の壁との接触が防止される(図4A〜図4Iを参照)。
方法の一実施形態では、閉鎖システムの直径は容器の最大直径よりも小さい。
しかしながら、閉鎖システムの試験装置の壁との接触を防止するように構成されたいかなる試験装置も適切であり得る。
本方法は、破壊的または非破壊的な方法であってよい。非破壊的な方法では、試験されるべき閉鎖システムを有する容器は、閉鎖システムで容器が閉鎖される前に試験ガスで満たされる。破壊的な方法では、閉鎖システムを有する容器は、試験装置の密閉手段の下に配置された別の開口部を備える。
好ましくは、検出装置による試験ガスの検出は、試験ガスの濃度、流量または量の形態、より好ましくは流量の形態で行われる。
本発明のいくつかの実施形態では、試験装置の内部が排気され、容器から検出された試験ガスが検出される。これらの場合、試験ガスの量、濃度、または流量が事前定義されたしきい値を下回る場合、容器は密閉されていると見なされてよい。好ましくは、試験ガスの流量が検出される。許容可能なしきい値は、容器、閉鎖システム、および使用目的に基づいて定義される。
好ましくは、試験装置の内部、すなわち密閉されたチャンバ(1)内の圧力は、100mbar未満、より好ましくは50mbar未満、さらにより好ましくは25mbar未満、特別に20mbar未満、より特別に10mbar未満、さらにより特別に5mbar未満、特に1mbar未満である。
本発明の異なる実施形態では、好ましくは、試験装置の内部、すなわち密閉されたチャンバ(1)内に真空引きすることにより、圧力差が生成される。好ましくは、そのような実施形態では、容器の内部の試験ガスの圧力が一定に維持されている間、試験装置の内部の真空度は連続的に減少する。
試験は、試験ガスが検出され得る圧力または圧力差を特定する。試験ガスが検出される圧力が事前定義されたしきい値を下回る場合、閉鎖システムは十分であると見なされる。前記しきい値は、容器の要件および内部に含まれる潜在的な組成物に応じて定義されるべきである。いくつかの実施形態では、試験ガスが10−6mbarのしきい値未満で検出され得る場合、閉鎖完全性は十分であると見なされる。
本発明の特に好ましい実施形態では、容器は上述された装置に挿入され、容器は追加の開口部(6.4)を備え、好ましくは、追加の開口部は別のチャンバに配置され、好ましくは、前記別のチャンバでは、試験ガスの一定の圧力が維持される。追加の開口部(6.4)により、試験中に試験ガスが容器内を通ることができる。好ましくは、別のチャンバの内部は、規定量もしくは規定濃度の試験ガスで、または規定濃度の試験ガスを含む試験ガス雰囲気で満たされる。
好ましい実施形態では、一定の圧力は大気圧である。
好ましくは、容器は、試験ガスの少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、特別に少なくとも80%、より特別に少なくとも85%、さらにより特別に少なくとも90%、特に少なくとも95%を含む試験ガス雰囲気で満たされ、%は容器および/またはチャンバの内部雰囲気の総体積に基づく体積%である。
本発明のより好ましい実施形態では、試験ガスはヘリウムであり、また本明細書に記載された試験ガスとしてのヘリウムの量の全ての可能な実施形態を有する。
本発明による方法は、温度に依存せずに実行されるのに適している。
一実施形態では、方法において温度は制御される。
特に、方法は、一定の温度または変化する温度で実行されてよい。特に、方法は、典型的な保管温度で閉鎖システムの完全性を試験するのに適している。
好ましくは、温度は、チャンバ(1)の、筐体(14)の、壁(15)の、または装置(13)全体の温度を指し、容器(6)の、閉鎖システム(12)の周囲の、またはそれらの組合せの温度が制御される。
本明細書において言及される温度は、少なくとも閉鎖システムの温度および/または閉鎖システムの周囲の温度を指すことが好ましい。
特定の実施形態では、筐体(14)および壁(15)は温度制御されている。
いくつかの実施形態では、本方法は室温で実行される。特定の実施形態では、本方法は、18〜27℃、好ましくは20〜26℃、より好ましくは22〜25℃、さらにより好ましくは約24〜25℃で実行される。
本方法は、室温よりも高いかまたは低い温度で実行されてよい。特に、本方法は、室温よりも低い温度で実行されてよい。いくつかの実施形態では、本方法は20℃以下で、他の実施形態では15℃以下で、別の実施形態では10℃以下で実行される。
本発明の特定の実施形態では、本方法は、0℃〜10℃、好ましくは2℃〜8℃、より好ましくは3℃〜6℃、特に好ましくは4℃〜5℃で実行される。特定の実施形態では、本方法は4℃で実行される。
本発明のいくつかの実施形態では、方法は凍結温度未満で実行される。いくつかの実施形態では、本方法は0℃以下で実行される。特定の実施形態では、本方法は、−4℃、−5℃、−6℃、−7℃、−8℃、−9℃、−10℃以下で実行される。いくつかの実施形態では、本方法は、−15℃以下、特に−20℃以下で実行される。
本方法は、さらに低い温度で実行されてよい。本発明のいくつかの実施形態において、本方法は、−30℃、−40℃、−50℃、−60℃、−70℃、−80℃、−90℃、−100℃以下で実行される。特定の実施形態では、本方法は、−70℃〜−90℃、好ましくは−75℃〜−85℃の温度で実行され、より好ましくは、本方法は−80℃で実行される。
冷却がドライアイスおよびイソプロピルアルコールの混合物に基づく場合、本方法は約−77℃で実行されてよい。
冷却が液体窒素に基づく場合、本方法は約−196℃で実行されてよい。
いずれの場合も、温度は、現在では、当業者には公知の適切な冷却手段の使用により、多かれ少なかれ任意の特定の選択された温度に調整され得る。
本方法はまた、異なる保管条件および使用条件に対する閉鎖システムの適合性を判断するために、様々な温度で実行されてよい。そのような実施形態では、本方法は、温度を変更するステップをさらに含む。
特定の実施形態では、本発明は、容器(6)を閉鎖する閉鎖システム(12)の完全性の温度依存性を試験するための方法に関し、
(a)容器閉鎖完全性試験装置(13)のチャンバ(1)に容器(6)の閉鎖システム(12)を配置し、チャンバ(1)の容器(6)と対向する壁(15)を密封し、
容器(6)が閉鎖システム(12)で閉鎖され、
容器が、試験ガスで試験用に満たされているか、または満たされることができ、
閉鎖システム(12)が、チャンバ(1)の壁(15)との接触を防止されている、ステップと、
(b)容器(6)の内部と密閉されたチャンバ(1)の内部との間に圧力差を発生させるステップと、
(c)閉鎖システム(12)を通過する試験ガスを検出するステップと、
を備え、いかなる時点においても温度は制御される。
好ましくは、閉鎖システム(12)で閉鎖された容器(6)が提供され、容器は試験ガスで試験用に満たされるか、または満たされ得る。
好ましくは、チャンバ(1)の、筐体(14)の、壁(15)の、装置(13)全体の、容器(6)の、閉鎖システム(12)の周囲の、またはそれらの組合せの温度が制御される。
本方法における温度は上昇しても低下してもよい。いくつかの実施形態では、温度は低下する。
本発明のいくつかの実施形態では、温度は順次変化する。他の実施形態では、温度は連続的に変化する。好ましい実施形態では、温度は線形に変化しながら連続的に変化する。特定の実施形態では、温度は線形速度で連続的に低下する。
冷却または加熱の速度は、閉鎖システムを通過する試験ガスの量の変化を監視するのに適しているべきである。そのため、冷却または加熱の速度が速すぎてはならず、そうでなければ、温度と試験ガスの漏れ検出が正しく相関しない可能性がある。
特に、本方法は、閉鎖システムの完全性に影響を与えることなく、容器の取扱いおよび保管に安全な温度を識別することを可能にする。
特に、本方法は、閉鎖システムがもはや安全でなくなる温度を識別することを可能にする。
これは、例えば、閉鎖システムを通過する試験ガスの量を測定し、特定のしきい値の検出された、通過するガスの温度を特定することによって行われ得る。
一実施形態では、方法は制御された温度で行われ、温度は、本明細書ではLIQUTEMPと呼ばれる規定の温度を有する液体によって制御される。LIQUTEMPは、熱の担体または冷却媒体として使用されることができ、冷却装置および/または加熱装置、好ましくは冷却装置に使用され得る任意の液体であってよい。適切なLIQUTEMPは、当業者には公知である、水、イソプロパノール、Novec(TM)7200などのNovec(TM)(3M(Schweiz)GmbH、8803 リュシュリコン、スイス)、Dowtherm(TM)(Dow Europe GmbH、8810 ホルゲン、スイス)などである。
容器(6)が装置(13)に挿入されると、好ましくは、筐体(14)と容器(6)との間に位置し、閉鎖システム(12)の反対側にある密閉手段(3)の側面に位置する隙間(24)が形成される。
LIQUTEMPによる温度の制御は、好ましくは、筐体(14)、壁(15)、装置(13)全体、隙間(24)、またはそれらの組合せにLIQUTEMPを通すことによって行われる。
一実施形態では、装置(13)は、温度制御のための手段を備えるか、またはこれに接続することができる。
好ましくは、温度制御のための前記手段は、それらの全ての実施形態と共に、本明細書に記載された温度制御を実行するように構成される。
本発明はさらに、その全ての実施形態と共に本明細書で定義された装置(13)に関し、装置(13)は温度制御のための手段を備える。
温度制御のための前記手段は、装置(13)を冷却するため、筐体(14)を冷却するため、および/または壁(15)を冷却するための手段であり得る。好ましくは、温度制御のための前記手段は、LIQUTEMPの使用による温度制御のための手段である。
より好ましくは、温度制御のための前記手段は、筐体(14)、壁(15)、装置(13)全体、隙間(24)、またはそれらの組合せにLIQUTEMPを通すための手段である。
本発明のいくつかの実施形態では、LIQUTEMP(25)は、装置(13)の前記隙間(24)に満たされる。例えば、図6、図8E、および図8Fを参照されたい。LIQUTEMPは、隙間(24)を通過することなく、隙間(24)にのみ満たされ得る。これは、例えば、壁(15)からバイアル(6)の壁への温度の伝達を促進するために行われてよい。
いくつかの実施形態では、装置(13)、筐体(14)、壁(15)、またはそれらの組合せと接触しているチューブまたはパイプなどの、温度制御のための前記手段は、装置(13)の外部冷却のため、筐体(14)を冷却するため、もしくは壁(15)を冷却するため、またはそれらの組合せのための手段によっても実現され得る。
温度制御のための前記手段は、別個の装置DEVCOOL(30)によっても実現することができ、このDEVCOOLは冷却され、かつ、例えば装置(13)をDEVCOOLに挿入することにより、装置(13)を冷却するために使用される。
いくつかの実施形態では、DEVCOOLは二重壁装置である。二重壁は、例えば、所望の温度で二重壁にLIQUTEMPを通すことにより、または二重壁によって構築された空間を隔離として使用することにより、温度制御を実行するために使用され得る。いくつかの実施形態では、装置(13)はDEVCOOLに挿入され得る。冷却効果は、装置(13)の壁をDEVCOOLの二重壁と接触させることにより、または当業者には公知の他の適切な手段により、DEVCOOLから装置(13)に伝達され得る。装置(13)の壁とDEVCOOLの二重壁との間の前記接触は、直接接触または媒介接触であってよく、例えば、媒介接触は、LIQUTEMPの使用によって媒介されることができる。
DEVCOOL(30)に挿入された本明細書で定義される装置(13)の概略図は、図7Aに見ることができる。図7Bは、例示的な実施形態の写真を示す。
一実施形態では、装置(13)は、1つ以上の温度センサ(26)を備えるか、または装置(13)に1つ以上の温度センサを配置するための手段を有する。
一実施形態では、1つ以上の温度センサは、容器(6)または装置(13)または両方に配置され得るか、または位置する。
本発明はさらに、その全ての実施形態と共に、本明細書で定義された装置(13)と共に使用するための温度センサに関する。
一実施形態では、装置(13)は、容器(6)内に1つ以上の温度センサ(26)を保持するための装置DEVTEMP(27)を備えるか、またはこれと共に使用される。
好ましくは、DEVTEMPは、容器(6)に配置され得るか、または位置する。
本発明はさらに、その全ての実施形態と共に、本明細書で定義された装置(13)と共に使用するためのDEVTEMPに関する。
DEVTEMP(27)の概略的な例が図8Aに見ることができる。概して、本発明によるDEVTEMP(27)は、温度センサ(26)の挿入を可能にする少なくとも1つの開口部(28)を備える。いくつかの実施形態では、DEVTEMPは複数の開口部を有する。いくつかの実施形態では、DEVTEMPは、少なくとも1つの温度センサを備えるか、または少なくとも1つの温度センサをDEVTEMPに配置するための手段を有する。
したがって、本発明の別の主題は、特定の型式の容器(6)に適合させた装置DEVTEMP(27)であり、DEVTEMP(27)は、その温度を測定するための手段を備え、また、試験ガスを前記容器(6)に通すための少なくとも1つの手段を備える。
いくつかの実施形態では、前記開口部(28)は、正確な温度測定を可能にするためにLIQUTEMP(25)で満たすことができ、例えば、開口部(28)にLIQUTEMP(25)が満たされたとき、次いで、DEVTEMPから開口部(28)に挿入された温度センサへの温度の伝達をLIQUTEMPが媒介する。
DEVTEMPは、任意の適切な材料から作られてよいが、金属製であることが好ましい。
好ましい実施形態では、DEVTEMPは特定の形式の容器(6)に適合される。
当業者には、DEVTEMPを容器に装着するためのDEVTEMPへの可能な構成が公知である。
いくつかの実施形態では、DEVTEMPは容器に挿入されるように構成される(例えば、図8Cまたは図8Dを参照)。
DEVTEMPはまた、試験ガスが容器を通過することを可能にするように構成され得る。したがって、DEVTEMPは、試験ガスを容器に通すための手段を備えることが好ましい。
いくつかの実施形態では、試験ガスを容器に通すための前記手段は、試験ガスが容器を通るための所定の隙間(29)または入口(29)が残るようにDEVTEMPを成形することによって実現される。特定の実施形態では、前記入口(29)はDEVTEMP内の穴である。
本発明の別の主題は、特定のタイプの容器(6)に適合されるDEVTEMPであり、DEVTEMPは、温度センサの挿入を可能にする少なくとも1つの開口部(28)を備え、試験ガスを容器に通すための少なくとも1つの手段を備える。
DEVTEMPはまた、温度制御のための装置を備えてよいか、またはそれに接続され得る。いくつかの実施形態では、DEVTEMPはDEVCOOLと接続されてよい。例えば、図8Eおよび図8Fを参照されたい。いくつかの実施形態では、DEVTEMPは少なくとも1つの温度センサを備え、前記温度センサはDEVCOOLと接続される。
本発明はさらに、その全ての実施形態と共に本明細書に記載された装置(13)に、それらの全ての実施形態と共に本明細書に記載された方法のいずれかを実行させる命令を備えるコンピュータプログラムに関する。
好ましくは、コンピュータプログラムは、本発明の全ての実施形態と共に本明細書で定義された温度制御のための温度制御手段を備える装置(13)に、それらの全ての実施形態と共に本明細書に記載された方法のいずれかを実行させる命令を備える。
好ましくは、その全ての実施形態と共に本明細書に記載された装置(13)は、試験ガス用の検出器を有する装置に接続され、コンピュータプログラムは、装置(13)および試験ガス用の検出器を有する装置に、それらの全ての実施形態とともに本明細書に記載された方法のいずれかを実行させる命令を備える。
好ましくは、その全ての実施形態と共に本明細書に記載された装置(13)は、試験ガス用の検出器を有する装置および温度制御のための装置DEVCOOLに接続され、コンピュータプログラムは、装置(13)、試験ガス用の検出器を有する装置、およびDEVCOOLに、それらの全ての実施形態と共に本明細書に記載された方法のいずれかを実行させる命令を備える。
本発明はさらに、その全ての実施形態と共に本明細書で定義されたコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体に関する。
本発明の別の主題は、滅菌組成物用の医薬品容器の閉鎖システムの閉鎖完全性を試験するために、上記で定義された方法または装置の使用である。
本発明の別の実施形態では、好ましくはCCIの試験中に、容器内の試験ガスの存在、例えば、濃度が検出される。これは、例えば、CCIの試験中に実際に試験ガスが容器内に存在することを検証または確認するために行うことができる。容器内の試験ガスのこの検出はまた、コンピュータプログラムの指示に含めることができる。
(実施例)
実施例1
閉鎖システムを有する異なる容器の容器閉鎖完全性の分析
ヘリウム漏れ測定を実行するために、ASM340質量分光ヘリウム漏れ検出器(Pfeifer Vacuum、アスラー、ドイツ)が使用された。
バイアルは、シリコーンコーティングを施した20mmのゴム栓で密閉されたDIN ISO8362と同様の50mL標準チューブガラスバイアルであった。ゴム栓は、突出しているプラスチック製のフリップオフボタンを有する20mmのアルミニウム製圧着キャップによって定位置に保持された。バイアルの公称外径は42.5mm、総高さは73mmであった。バイアルの開口部の内径は12.6mm、外径は20mmであった。
手短に言えば、密閉された50mLの試験バイアルは、底部をダイヤモンドブレードで切り開かれた。次いで、試験バイアルは密閉された丸いフランジを有する社内製造の試験装置に配置され、フランジとバイアルの壁との間にシールが作成され、それにより、バイアルの閉鎖システムおよびヘリウム漏れ検出器がガス接続されたが、外部から密閉された。このガス接続は、真空ポンプによって排気され、ヘリウムガスがバイアルの底面に散布された。この試験設定では、バイアルの底部から検出器へのヘリウムガスの唯一の経路は、バイアルの閉鎖システムの漏れ、すなわち、バイアル開口部の密閉領域にあるか、またはバイアルヘッドの肩部にあるガラスの割れ目を通る。
閉鎖システムに人為的な漏れを発生させるために、定義されたサイズの銅線が使用された。
容器閉鎖完全性は、位置決め手段無しと位置決め手段有りの両方で、デフォルトシステムを使用して測定された。位置決め手段は、バイアル上に配置されたリング形(図4N)で、閉鎖システムの上部を囲み、その上に広がる(図4J〜図4Mを参照)。したがって、ある場合には閉鎖システムがチャンバ壁と接触することが可能であったが、位置決め手段がある場合、閉鎖システムの壁との接触はリングによって防止された。
サンプルバイアルの分析結果が以下の表1〜表3に示されている。
AVGは平均を意味し、STDは標準偏差を意味する。
本発明を使用しない10μmのワイヤ人工漏出を伴う10個の試験された50mLバイアルの平均ヘリウム漏出率は、7.76−10−6mbar*L/秒であった(表3を参照)。対照的に、本発明を使用する10マイクロメートルのワイヤ人工漏出を伴う10個の試験された50mLバイアルの平均ヘリウム漏出率は、1.00・10−5mbar*L/秒であった。閉鎖システムがフランジに押し付けられた結果、閉鎖システムの操作、すなわち高いゴム栓の圧縮が生じるので、本発明を使用しない測定の場合のヘリウム漏出率は小さかった。
米国薬局方第1207章(USP<1207>、Package Integrity Evaluation−Sterile Products.pp1700〜1707)は、6−10−6mbar*L/秒の許容基準を提案している。ヘリウム漏出率が6−10−6mbar*L/秒未満の閉鎖システムは緊密と見なされ、微生物の侵入を防止することができる。表3では、バイアル6の場合、本発明を使用しない場合のヘリウム漏出率は5.90−10−6mbar*L/秒であり、本発明を使用する場合は1.5−10−5mbar*L/秒であった。言い換えれば、バイアルは、本発明を使用しないUSP勧告に準拠しており、位置決め手段を使用する場合と同様に測定されたときに準拠していないように試験された。
概して、方法は、位置決め手段を使用する測定と比較して、ほぼ全てのバイアルのヘリウム漏出率が低いことを示しており、測定が閉鎖システムの装置の壁との接触によって影響を受けることを示し、接触は、装置の壁に対する閉鎖システムを有するバイアルを吸引した真空圧によって引き起こされた。
実施例2
温度制御された容器閉鎖システムの完全性分析
別の実験では、温度が容器閉鎖完全性システムに与える影響が分析された。実施例1に記載された密閉バイアルが使用された。
バイアルは、実施例1に記載されたように調製されたが、人工漏出の導入はなかった。実施例1に記載されたように測定が実行されたが、さらに、温度制御装置DEVTEMPを使用して閉鎖システムの周囲の温度が制御された。図7を参照されたい。図8A、図8C〜図8Gに示された装置を使用して温度が特定された。
上述されたように、隙間(24)は、筐体(14)とバイアルであった容器(6)との間に位置し、容器(6)は、閉鎖システム(12)の反対側にあった密閉手段(3)の側に位置し、壁(15)からバイアル(6)の壁に、そこからDEVTEMP(27)への温度の伝達を促進するために、NOVEC(TM)7200で満たされた。
DEVTEMP(27)は2つの開口部(28)を有し、各開口部に1つの温度センサ(26)が挿入された。2つの開口部(28)の内の1つの残りの空間はNOVEC(TM)7200で満たされ、もう1つの開口部(28)の残りの空間は水で満たされた。
DEVCOOL(30)は、装置(13)が挿入された二重壁の装置であった。
実験は、装置(13)、温度制御用の装置DEVCOOL(30)、すなわち二重壁装置、装置DEVTEMP(27)および温度センサ、ならびに試験ガスとしてのヘリウムを検出するための検出器を制御する命令を含むコンピュータプログラムを使用して行われた。
この実験で使用された特定の実施形態は、図7B、図8Cおよび図8G、図10A〜図10Dに示されている。
測定は+20℃〜−80℃の温度範囲で実行され、冷却速度は約−2.3℃/分であった。
この実施例で生成されたデータ値が図9にグラフで示されている。温度がヘリウム漏出率(黒点)に影響を与え、したがって閉鎖完全性にも影響を与えることがはっきりと見えるが、正しく密閉されたバイアルでは、漏出率は所定のしきい値(灰色の線)を下回る。
実施例で生成されたデータ値が表4に列挙されている。
本発明は、特に、開口部を示す容器自体、および蓋などの容器のこの開口部を閉じるために使用される閉鎖システムの2つの部分から構成される医薬品容器の、漏れ試験による容器閉鎖完全性試験のための装置および方法、ならびに品質管理におけるそれらの応用を開示する。
異なる分野のための試験装置は従来技術に記載されている。特に、米国特許第6,018,987号明細書は、プラスチックまたはガラスの容器および容器閉鎖部材を、閉鎖部材を通して漏出する周囲のガスの測定用の固定位置に保持するための固定具を開示している。第1のクランプは、閉鎖部材の上に閉鎖カバーを配置し、第2のクランプは、ボトルネックの周りにスライド可能なヨークを配置する。第1のクランプおよび第2のクランプは、密閉可能に一緒に固定される。閉鎖カバーは、2つのクランプによって形成されたガス室チャンバをパージし、閉鎖部材を通って漏れるガスを集めるためのガス通路を有する。
国際公開第2012/020543号は、密閉容器のための密閉検査装置および、そのための密閉検査方法を開示している。密閉検査デバイスは、容器本体が挿入される開口部を有するストッパ部材、フランジの一部が取り付けられた密閉部材および、チャンバを形成し、密閉部材で支持部材を覆う形状を有する閉鎖部材が設けられている。この装置は、加圧手段と、加圧されたチャンバの圧力を検出し、所定時間経過後の圧力降下の変化に応じて密閉容器10からの漏出の有無を判定する漏出判定手段とをさらに備える。
仏国特許出願公開第1.441.963号明細書は、圧力下のガスを含む容器、特にエアゾール缶の気密性をチェックするための方法および装置を開示している。カバー(ベル)は、エアゾールが挿入可能な筐体シリンダを有する。シリンダの上部ネックは、Oリングに作用する4つのU字型クランプ要素用の支持体を形成する。要素は、試験中にエアゾール缶を保持するのに役立つ。
米国特許第9,097,609号明細書は、試験対象の特定の物体の寸法に適合するカスタムまたは特別に製造された試験チャンバを作成する必要無しに、漏れについて密封された容器および装置を試験するための多用途気密シール漏れ検出装置を開示している。試験チャンバのサイズは、ベローズの使用によって機械的に調整されてよい。この装置は、漏れについて試験中の密封された物体の特定の部分を隔離および試験するように適合されてよい。
仏国特許出願公開第2768224号明細書は、圧力下のガスを含む機器要素上のいかなるガス漏れも検出するための方法および装置を開示している。一実施形態によれば、本装置は2つの異なるゾーンを覆う2つの筐体を備える。上部筐体の下縁は、同じ直径を有する表面に載るシールを備えてよい。
本発明は品質管理の分野に属する。より正確には、本発明は医薬品の品質管理の分野に属する。本発明は、特に医薬品容器の容器閉鎖完全性試験のための装置および方法に関する。
Alejandra NietoらのPDA J Pharm Sci Technol、2016年、70、120〜133は、修正されたヘリウム漏れ試験を使用する、凍結条件における物理的方法(pCCI)によるCCI(容器閉鎖完全性)の直接評価のための新規の方法(ThermCCI)の開発を開示している。
Alejandra NietoらのPDA J Pharm Sci Technol、2018年3月15日、doi:10.5731/pdajpst.2017.008391は、凍結貯蔵条件下の医薬品CCS(容器閉鎖システム)用のゴム栓の密閉挙動を調査するために適用される有限要素(FE)シミュレーションを開示している。
本発明の意味において、医薬品容器は、2つの部分、すなわち2つの装置、開口部を示す容器自体、および蓋などの容器のこの開口部を閉じるために使用される閉鎖システムから構成される。容器閉鎖完全性試験は、容器を閉じるこの閉鎖システムの動作を試験するために使用される。
容器閉鎖完全性試験は、特にガラスバイアル/ゴム型の閉鎖システムの場合、医薬品製造の重要な部分である。封入された組成物の無菌性は大きな懸念事項である。そのため、閉鎖システムが微生物に対する効果的なバリアを提供するか否かを判断することが重要である。
1つの効果的な試験方法は、微生物効能試験である。この試験は効果的であるが、非常に労働集約的であり、多数のサンプルを必要とし、結果が評価され得るまでに長い遅延時間がかかる。
閉鎖システムの完全性を試験する代替方法は漏れ試験である。これらの試験システムでは、閉鎖システムを有する容器は、検出可能な試験ガス、通常はヘリウムを使用して試験される。簡単なシステムでは、試験ガスが閉鎖システムから漏れているか否かが試験される。
図1Aおよび図1Bは、ヘリウム漏れ試験装置の一般的な原理を示している。簡単に言うと、試験される容器(6)は、出口(2)、および通常はOリングである密閉手段(3)を備える試験チャンバ(1)に挿入される。密閉手段により、閉鎖システムが配置され得るチャンバ(1)を外気から分離することが可能になる。出口および閉鎖システムを備えるチャンバ(1)は、容器が挿入されると、密閉手段または上流部分の上の装置の上部と呼ばれ、密閉手段の反対側の装置の部分は、密閉手段または下流部分の下の装置の下部と呼ばれる。
いくつかの方法では、容器はヘリウムまたは他の検出可能なガスを含む。他の方法では、容器は、試験の目的で、密閉手段の下に開口部(6.4)が設けられており、それは、容器(6)の内側から閉鎖システム(12)がヘリウムと接触するために、定義された圧力のヘリウムまたは別の検出可能なガスが容器に入ることを可能にする。出口は、通常、ヘリウム検出器、通常は質量分光検出器に接続される。
次いで、チャンバ(1)は排気され、容器内部とチャンバとの間に圧力差が生じる。ヘリウムまたは他の検出可能なガスが漏れ始め、それによって検出される圧力が特定される。ガスが事前定義されたしきい値を下回る圧力でのみ検出された場合、容器は密閉されていると見なされる。
本発明者らは、本方法がまだ気付かれていない欠点を備えることを見出した。方法は排気を伴うので、このようにして生成された圧力差が容器をチャンバ壁に押し付けるか、または吸い込む可能性がある(図1B参照)。言い換えれば、容器は真空によってチャンバに吸い込まれる可能性がある。これはまた、容器を誤ってチャンバの内側に配置し、閉鎖システムをチャンバ壁に接触させることによってすでに起こる可能性がある。本発明者らは、特に閉鎖システムが装置の壁と接触する場合に、漏れ試験の結果に影響を与える可能性があるいくつかの要因が存在することを見つけた。これにより、閉鎖システム上に、誤検出および検出漏れをもたらす可能性がある新しい圧力源が追加される。
一般的に使用される閉鎖システムが図2Aおよび図2Bに描かれている。一般的な医薬品閉鎖システムは、バイアルなどの容器上にあり、圧着キャップ(19)によって定位置に保持されているゴム栓(18)を備えてよい。加えて(図2B)、閉鎖システムは、別の保護または装飾用の蓋(20)を備えてよい。ゴム栓はバイアル上に効果的に圧縮され(図3A参照)、バイアルを密閉するためにバイアルに力(21、22)を加えるかまたは力を働かせる。この力は残留シール力(RSF)として定義され、ゴム栓の表面およびバイアルの開口部の内側の表面に依存する。サイズに応じて、残留シール力は通常25〜75 Nである。
効果的に、圧縮されたゴム栓(18)は圧縮されたばねのように動作する。残留シール力は、ゴム栓によってかけられた圧縮力を間接的な測定で決定され得る。
測定原理は、図3Aおよび図3Bに描かれている抗力に基づく。第1の力ベクトルである圧縮されたゴム栓の圧縮力(22)は、上向きである(図3A、図3B)。第2の力ベクトル(21)である、RSFを試験するときに加えられる力は下向きである(図3A、図3B)。RSFは、キャップ付きバイアルの上部に一定の圧縮力を加える通常の応力−ひずみ計器で試験されてよい。キャップ付きバイアルのRSFは、両方の力ベクトル(21、22)が等しい値をもつポイントである(図3B)。計器によって加えられた力がゴム栓の圧縮力を超えると、圧着キャップのスカートが下向きに動き始め、バイアルフランジから離れる(黒い円(23)、図3C)。計器は、キャップ付きバイアルに加えられた圧縮力対距離の関数を記録し、この関数からRSFを計算する。
要約すると、RSF試験により、バイアルにキャップをかぶせるために使用されたキャッピング機器とは無関係に、キャップ付きバイアルのシール力の計算が可能になる。異なる閉鎖システムおよび閉鎖システムと容器の異なる組合せは、異なる許容可能なRSF範囲を有し、異なるキャッピング機器設定を要求する可能性がある。
図2Aによる閉鎖システムを有するバイアルについての残留シール力のサンプル計算は、以下の特定された残留シール力をもたらす。
ゴム栓(18)に加わるバイアル圧力(22):
a)PAIR=1atm=101kPa=101kN/m2=10.1N/cm2=10N/cm2
b)バイアルのネックの内径が0.88cmで、バイアルのこのネックのそれぞれの面積がA2の50mlバイアルの場合、RSF NSEALは以下のように計算される。
NSEAL=A2*PAIR=(0.88cm)2*3.14*PAIR=2.43cm2*10N/cm2=24.3N
ゴム栓が容器閉鎖完全性試験装置のチャンバ壁(図3D)に載っている場合、ゴム栓にかかる圧力とそれに伴う残留シール力が大幅に増加する。
栓に加わるバイアル圧力は、
a)PAIR=1atm=101kPa=101kN/m2=10.1N/cm2=10N/cm2
b)内径が2.125cmの50mlバイアルの場合:
NSEAL=A1−A2*Pair=((2.125cm)2*3.14−(0.88cm)2*3.14)*Pair=(14.18cm2−2.43cm2)*10N/cm2=117.5N
である。
米国特許第6,018,987号明細書
国際公開第2012/020543号
仏国特許出願公開第1.441.963号明細書
米国特許第9,097,609号明細書
仏国特許出願公開第2768224号明細書
Alejandra NietoらのPDA J Pharm Sci Technol、2016年、70、120〜133
Alejandra NietoらのPDA J Pharm Sci Technol、2018年3月15日、doi:10.5731/pdajpst.2017.008391
そのため、従来技術の欠点を取り除く装置および方法が必要である。
閉鎖システムの装置の壁との接触を回避する装置は、従来技術の問題を克服することが分かった。そのため、本発明は、閉鎖システムの装置の壁との接触を防止する装置に関する。
装置に加えて、本発明はさらに、前記装置を使用することにより容器の閉鎖システムの完全性を試験するための方法、および無菌組成物用の医薬品容器の閉鎖システムの閉鎖完全性を試験するための前記装置または前記方法の使用に関する。
従来技術による容器閉鎖完全性試験装置の概略図である。
従来技術の特定の欠点を示す概略図である。
一般的な閉鎖システムの概略図である。
一般的な閉鎖システムの概略図である。
残留シール力の特定の図である。
残留シール力の特定の図である。
残留シール力の特定の図である。
容器の閉鎖システムが容器閉鎖完全性試験装置の壁と接触したときに残留シール力の変化の図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の他の実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の他の実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
本発明の様々な実施形態による装置の様々な概略図である。
特定の実施形態の写真である。
特定の実施形態の写真である。
特定の実施形態の写真である。
特定の実施形態の写真である。
位置決め手段の実施形態の写真である。
本発明による方法における使用に適した第2の筐体をさらに備える、本発明による装置の図である。
装置(13)と容器(6)との間の隙間(24)に温度制御された液体(25)を加えた、本発明による装置の概略図である。
外部温度制御装置DEVCOOL(30)に挿入された、本発明による装置(13)の概略図である。
例示的な実施形態の写真である。
容器用の例示的な温度センサ挿入の概略図である。
容器用の例示的な温度センサ挿入の概略図である。
例示的な実施形態の写真である。
温度センサを利用する本発明の装置の例示的な実施形態の概略図である。
温度センサを利用する本発明の装置の例示的な実施形態の概略図である。
外部温度制御装置内の温度センサを使用する、本発明による装置の概略図である。
例示的な実施形態の写真である。
密閉されたバイアルの測定結果を示す図である。測定は、+20℃〜−80℃の温度範囲で実行された。黒い点:それぞれの温度でのヘリウム漏出率。灰色の線:選択されたしきい値。
特定の実施形態の写真である。
特定の実施形態の写真である。
特定の実施形態の写真である。
特定の実施形態の写真である。
本発明は、閉鎖完全性についての一般的なヘリウムベースの漏れ試験が、試験中の容器の位置決めまたは容器に加えられた圧力のために、誤った結果を生じる可能性があるという研究結果に基づいている。
本発明は、非加圧容器に特に適している。
本発明は、容器(6)の閉鎖システム(12)の完全性を試験するための装置(13)に関し、前記容器は主開口部(6.2)を備える上部(6.1)と、底部(6.3)とを有し、主開口部(6.2)は閉鎖システム(12)によって閉鎖され、前記装置(13)は、
(a)容器(6)の少なくとも上部(6.1)が挿入可能なチャンバ(1)を形成する壁(15)を有する筐体(14)と、
(b)容器またはその上部(6.1)が挿入される場合、容器(6)に対してチャンバ(1)の少なくとも一部を密閉するように構成された密閉手段(3)であって、
密閉手段が、装置およびチャンバ(1)を、密閉手段の上にあり、上部(6.1)が配置された上流部分、および密閉手段の下にあり、底部(6.3)が配置された下流部分に分割する密閉手段(3)と、
(c)チャンバ(1)の上流部分からのガスの流出を可能にするための、チャンバ(1)の上流部分の筐体(14)の壁(15)内の出口(2)と、
を備え、
容器(6)の上部(6.1)がデバイス(13)のチャンバ(1)に挿入されるときに、閉鎖システム(12)の上端部とデバイス(13)の壁(15)の上部との間の接触を防止するための位置決め手段(4、5)を、デバイス(13)が備えることを特徴とし、前記位置決め手段および密閉手段は2つの別個の手段であり、位置決め手段(4、5)はチャンバ(1)の上流部分に位置する。
本発明の好ましい実施形態では、前記容器は非加圧容器である。
チャンバ(1)の上流部分は、密閉手段の上流のチャンバの一部であり、チャンバ(1)の密閉可能な部分である。
チャンバ(1)の上流部分に出口(2)を配置することにより、出口はチャンバの密閉可能な部分に配置される。
容器は、主開口部(6.2)に加えて開口部(6.4)を備えることができ、好ましくは、開口部(6.4)は底部(6.3)に位置する。
本発明のいくつかの実施形態では、壁(15)の一部は、位置決め手段(4、5)として機能するように構成される。
本発明によれば、前記位置決め手段および密閉手段は2つの別個の手段である。
好ましい実施形態では、位置決め手段は装置の一体部分である。
いくつかの実施形態では、位置決め手段は、装置から取り外し可能であり、容器に配置され得る部分である。
位置決め手段により、容器、特にその閉鎖システムが、容器閉鎖完全性試験中に装置の壁と接触しないことが保証される。適切な位置決め手段は当業者には明らかであろう。
装置および位置決め手段の非限定的な例が、図4A〜図4Iの概略図に見出され得る。
図4Aおよび図4Bは装置を示し、位置決め手段(4)は密閉手段(3)の上方に配置される。この場合、位置決め手段は、容器が位置決め手段を乗り越えて動くのを防止する。位置決め手段は、容器のネックを円周方向に囲むか、容器の肩の上に静止し、閉鎖システムを囲む停止リングであってよい(図4N)。
図4Cおよび図4Dは、同様の実施形態を示す。この実施形態では、位置決め手段(4)はストッパであり、これは、容器がさらに挿入されること、またはストッパを通過することを防止する。
図4Eおよび図4Fは装置(本発明の一部ではない)を示し、密閉手段(3)は、同時に位置決め手段(4)として働くように構成されている。
図4Gおよび図4Hは、位置決め手段(5)として働くように統合された手段を備える装置を示す。この場合、位置決め手段は壁(15)の内側のリムであり得る。
図4Iは装置を示し、位置決め手段(4)は筐体(14)とは別個であり、例えばリングの形状で、容器(6)の上に配置され得る。図4J〜図4Mは、容器の特定の実施形態の写真を示す。
図4Nは、リングの形状の位置決め手段の実施形態の写真を示す。
位置決め手段を除いて、本発明による装置は、従来技術で知られている試験装置に基づいてよい。一実施形態では、前記装置は、試験されるべき容器に配置されるアダプタであり、一般的な漏れ検出システムと互換性がある。特に、装置はフランジまたはリングであってよい。あるいは、本発明による装置は、閉鎖完全性を試験するのに適した装置の一部であってよい。
容器閉鎖完全性試験における漏れ検出のための装置は当業者には公知である。一般に、これらの装置は質量分光ヘリウム検出に基づく。
位置決め手段の他に、本発明の第2の重要な特徴は、位置決め手段としても実行するように構成されてよい密閉手段である。本発明の一実施形態では、密閉手段は少なくとも1つのOリングを備える。
したがって、一実施形態では、本発明は装置に関し、密閉手段は少なくとも1つのOリングを備える。
密閉手段は、可撓性材料から作られることが好ましい。好ましくは、前記可撓性材料は、容器を保持し、チャンバを密閉することができ、チャンバの排気を可能にする。好ましい実施形態では、前記密閉手段は、ゴム、ラテックス、またはシリコーンなどのエラストマから選択された材料から作られる。しかしながら、チャンバの密閉を可能にするいかなる材料も適している。
したがって、一実施形態では、本発明は装置に関し、密閉手段は弾性材料から作られる。
弾性材料は、ゴム、ラテックス、またはシリコーンに基づくものとすることができる。
位置決め手段として働くように構成された密閉手段の一例は、図4Eおよび図4Fに見ることができる。1つの非限定的な実施形態では、前記組み合わされた位置決め手段および密閉手段はOリングを備え、Oリングは、閉鎖システムを有する容器の上部が通り抜けることを可能にするが、容器全体が通ることを可能にしない。
これは、閉鎖システムの直径よりも大きいが、容器の最大直径よりも小さい直径を有するOリングで実現されてよい。当業者は、別の適切な実施形態に容易に気付くであろう。
本発明では、位置決め手段は密閉手段から独立している。位置決め手段は、追加のOリング、または単に閉鎖システムが装置の壁と接触しないように防止する装置内のストッパであってよい。
したがって、本発明の一実施形態では、位置決め手段はOリングを備える。
本発明の一実施形態では、位置決め手段は少なくとも1つのストッパを備える。本発明の意味の範囲内のストッパは、例えば、装置の壁から延在し(図4Cまたは図4Dを参照)、容器が規定された位置を乗り越えないように防止する、単純な突起であってよい。
前記栓は、容器が通過しないように防止する装置の壁に配置され得るか、または装置の壁、好ましくは装置の壁の上部から延在して、停止点を提供することができる。好ましくは、位置決め手段は、装置内の容器の閉鎖システムを中心に置くことを可能にする。
好ましい実施形態では、位置決め手段は、閉鎖システムが装置の壁と接触しない規定された位置に容器を保持するように構成される。位置決め手段はまた、容器の正しい向きを確保するように構成され得る。好ましくは、位置決め手段は、チャンバ内への容器の移動を防止する。
好ましい実施形態では、位置決め手段はストッパであり、このストッパは装置の壁と一体である。
特定の実施形態では、装置の壁は、位置決め手段として機能するような形状であり、閉鎖システムが装置の壁と接触しないように挿入された容器を保持する。
言い換えれば、位置決め手段は、閉鎖システムが装置と接触しないように防止するべきである。したがって、位置決め手段が配置された容器を保持するのに適していることが重要である。位置決め手段を持たない従来技術の装置では、例えば、装置またはチャンバの下流部分と上流部分との間の圧力差のために、容器が動く可能性がある。したがって、位置決め手段は、圧力差が加えられたときでも、容器の再配置を防止するべきである。
位置決め手段は、密閉手段と同じ材料であっても、異なる材料であってもよい。
本発明の一実施形態では、位置決め手段は密閉手段と同じ材料から作られる。
別の好ましい実施形態では、前記材料は、例えばゴム、ラテックス、またはシリコーンから選択されたエラストマなどの可撓性材料である。
別の実施形態では、位置決め手段は、プラスチック、金属、または剛性複合材料などの剛性材料から作られる。
対照的に、位置決め手段が装置の不可欠な部分である場合、例えば、壁が位置決め手段として働くように形作られている場合、容器を損傷しないように位置決め手段が配置および配列されることが好ましい。
位置決め手段は、装置の壁と同じ材料または異なる材料から作られてよい。位置決め手段が装置と一体である場合、位置決め手段は装置と同じ材料から作られていることが好ましい。
装置および特に筐体は、任意の適切な材料から作られてよい。特に適切な材料には、金属、合金、またはプラスチックが含まれるが、それらに限定されない。
本発明の一実施形態では、筐体は、プラスチック、金属、または合金から作られる。
好ましい実施形態では、筐体の少なくとも一部は、鋼、アルミニウム、またはプラスチックから作られる。
より好ましくは、筐体は、大部分が鋼、アルミニウム、またはプラスチックから作られる。
装置は、その寸法によって規定される特定のタイプの容器に構成および/または大きさが調整されてよい。あるいは、位置決め手段および/または密閉手段は、容器の異なる大きさまたは形状への装置の適合を可能にするために交換可能であってよい。装置が異なる大きさの容器または異なる容器形状に適合可能である場合、交換可能な密閉手段および/または位置決め手段は同じ材料から作られていることが好ましい。好ましくは、この場合、密閉手段は、位置決め手段として機能するように構成される。
本発明の一実施形態は、容器の閉鎖システムの完全性を試験するように構成された装置であり、閉鎖システムの直径は容器の最大直径よりも小さい。一実施形態では、位置決め手段は、閉鎖システムで閉鎖された容器の挿入中に閉鎖システムの移動を可能にするが、容器の移動を可能にせず、むしろ閉鎖システムがチャンバ(1)の壁(15)と接触する前に容器の挿入を停止する。
装置は、チャンバを形成する、壁を有する筐体を備える。密閉手段は、容器が挿入される場合、前記チャンバの少なくとも一部が容器に対して密閉されるように配置される。上述したように、筐体は、プラスチック、金属、または合金から作られることが好ましい。より好ましくは、前記筐体は、鋼、アルミニウム、またはプラスチックから作られる。
試験条件が適用されるときに、チャンバの密閉された内部と外部環境との間の圧力差に筐体が耐えることが可能であることが不可欠である。
一実施形態では、装置は試験されるべき閉鎖システムを囲む容器の上部に配置されるように構成されるので、容器の底部は装置の外側にある。別の実施形態では、装置は試験されるべき閉鎖システムを備える容器を完全に包むように構成される。別の実施形態では、本発明の複数の装置を備える装置が提供される。
装置は、密閉可能なチャンバ内、または排気され得るチャンバの密閉可能な部分に少なくとも1つの出口を備える。前記出口は、試験ガス用の検出器を有する装置などの別の装置に出口を接続する手段を備えてよい。
したがって、本発明の好ましい実施形態では、装置は検出器に接続される。
好ましくは、検出器は質量分光計である。
試験ガス用の前記検出器は、任意の適切な試験ガスを検出してよい。好ましくは、前記試験ガスはヘリウムである。より好ましくは、試験ガスはヘリウムであり、検出器は質量分光ヘリウム検出器である。
出口は、別または代替の目的に役立ってよい。好ましくは、チャンバは排気され得る。排気は、試験ガスを検出するための装置にも接続された同じ出口、または別の出口を介して実行されてよい。好ましくは、チャンバは同じ出口を使用して排気される。
装置は、2つの筐体、容器(6)または容器の上部(6.1)が挿入される第1の筐体、および第1の筐体に接続され得る第2の筐体(8)を備えてよい。
図5は、2つの筐体を有する装置の実施形態を示す。
前記第2の筐体は、試験ガス用の入口を備えることが好ましい。第2の筐体は、試験ガスの圧力を制御するために使用され得る出口を備えることができる。
試験ガスは、密閉手段または閉鎖システムと相互作用してはならない。好ましくは、試験ガスは、ヘリウムまたは別の検出可能な不活性ガスである。好ましくは、試験ガスは、密閉手段または閉鎖システムを通って拡散可能なものであってはならない。
第2の筐体は、第1の筐体から分離可能であることが好ましい。第2の筐体は、追加の位置決め手段または密閉手段を備えてよい。好ましい実施形態では、第2の筐体は、挿入された容器を定位置に保持するための手段を備える。
全ての密閉手段および位置決め手段は、容器、特に容器の材料に適合されるべきである。好ましくは、容器は、圧力差に耐えることができる安定した材料から作られる。好ましくは、容器は、ガラス、プラスチック、または金属から作られる。誤解を避けるために、容器および閉鎖システムは、本発明の装置の一部ではない。
本発明の特定の実施形態では、本発明による装置は、温度制御のための手段、特に冷却手段および/または加熱手段を備えるか、またはそれに接続可能である。
好ましい実施形態では、装置は、コンピューティング装置に接続されるべき手段を備える。
特定の実施形態では、本発明による装置は、冷却手段をさらに備え、かつ/または冷却手段に接続可能である。
特定の実施形態では、装置は冷却手段に接続可能であり、装置および冷却手段はコンピューティング手段に接続可能である。異なる好ましい実施形態では、装置は、冷却手段およびコンピューティング装置に接続する手段をさらに備える。
本発明の好ましい実施形態では、冷却手段は、少なくとも容器(6)の閉鎖システム(12)の冷却を可能にし、より好ましくは、冷却手段は、少なくとも閉鎖システムを備える容器の冷却を可能にし、さらにより好ましくは、冷却手段は、チャンバ(1)または特に好ましくは装置の冷却を可能にする。
好ましい実施形態では、冷却手段は、装置、チャンバ(1)、容器(6)、および/または閉鎖システム(12)の順次的な、好ましくは連続的な冷却を可能にする。
好ましい実施形態では、冷却手段は、少なくとも−20℃以下、好ましくは少なくとも−50℃以下、より好ましくは少なくとも−80℃以下、特に好ましくは−100℃以下、より詳細には−196℃(77K)以下の温度への冷却を可能にする。
本発明はさらに、本発明による温度制御のための装置および手段を制御するように構成されたコンピューティングシステムに関する。
試験されるべき閉鎖システムは、任意の適切な閉鎖システムであってよい。閉鎖システムの非限定的な例は、閉鎖される必要がある容器の開口部の実際の閉鎖または密閉に関与するエラストマ部分を備える。例として、エラストマ部分の材料はゴムまたはシリコーンである。エラストマ部分の形状は、プラグまたは蓋であり得る。閉鎖システムは、エラストマ部分を容器の開口部に固定するための手段も備えることができ、エラストマ部分を容器の開口部に固定するためのそのような手段の例は、金属クリンプである。好ましくは、閉鎖システムは、ゴムシーリングシステムと金属クリンプの組合せを備える。しかしながら、いかなる閉鎖システムも、本発明によるそれぞれ構成された装置を用いて試験されてよい。
次に、本発明の特定の非限定的な実施形態が、図を参照して説明される。
図1Aは、従来技術による容器閉鎖完全性試験装置(13)の概略断面図を示す。明確にするために、装置は、主開口部(6.2)および底部(6.3)を有する上部(6.1)を備える挿入された容器(6)とともに示されている。容器は閉鎖システム(12)によって閉鎖される。装置自体は、容器(6)が挿入された場合、チャンバ(1)の形成を可能にする壁(15)、出口(2)、および密閉手段を備える固体筐体(14)から作られる。密閉手段(3)は、容器(6)と接触するように配置および装着され、チャンバ(1)が装置の残りから分離されることを可能にする。図1Bは、従来技術による装置の主な欠点を示し、容器(6)は、偶然またはおそらく圧力差のためにチャンバ(1)の奥まで配置され、壁(15)と接触し、追加の圧力(16)が閉鎖システム(12)に加わる結果になり得る。
図4A〜図4Dおよび図4G〜図4Iは、本発明による装置(13)の様々な実施形態の概略断面図を示す。視覚化を改善するために、閉鎖システム(12)を備える容器(6)の有無にかかわらず、装置(13)が示されている。従来技術による装置と同様に、本発明による装置は、壁(15)、出口(2)、および容器(6)が挿入される場合にチャンバ(1)の形成を可能にする密閉手段を備える、固体筐体(14)を備える。密閉手段(3)は、容器(6)と接触するように配置および装着され、チャンバ(1)が装置の残りから分離されることを可能にする。密閉手段(3)に加えて、装置は、容器(6)が壁(15)または筐体(14)の他の部分と接触しないように防止する位置決め手段(4、5)を備える。
位置決め手段(4)は、別のOリング(図4A、4B)の形状であり得るか、またはストッパ(図4C、図4D)もしくは壁(5、15)と一体化した部分(図4G、図4H)として設計されている。図4E、図4Fにおいて、位置決め手段(4)および密閉手段(3)は、より大きなOリングに組み合わされる。いくつかの実施形態では、位置決め手段は、容器に接続されるべき独立した部分である(図4I)。
図5は、壁(15)、出口(2)、および密閉手段(3)を備える第1の筐体(14)を備える、本発明による装置(13)の断面を示し、密閉手段(3)は、容器(6)が挿入されている場合、チャンバ(1)の密閉を可能にする。密閉手段(3)は、容器(6)と接触するように配置および装着され、チャンバ(1)が装置の下流部分から密閉されることを可能にする。密閉手段(3)に加えて、装置は、閉鎖システム(12)の壁(15)または筐体(14)の他の部分との接触を防止する位置決め手段(4)を備える。出口(2)は検出器に接続される。第1の筐体(14)は第2の筐体(8)に接続され、試験ガス用の入口(9)および第2のチャンバ(17)内の圧力制御用の出口(10)を備える第2のチャンバ(17)を形成する。図では、挿入された容器(6)が示され、容器は、閉鎖システム(12)および試験ガスが容器に入ることを可能にする追加の開口部(6.4)を備える。
第2の筐体は、試験ガス用の貯蔵槽として使用されてよく、第2のチャンバおよび容器の内部は試験ガス雰囲気で満たされている。本発明の好ましい実施形態では、前記雰囲気は、試験ガスの少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、特別に少なくとも80%、より特別に少なくとも85%、さらにより特別に少なくとも90%、特に少なくとも95%を備え、%は雰囲気の総体積に基づく体積%である。
本発明の別の主題は、容器(6)を閉鎖する閉鎖システム(12)の完全性を試験するための方法である。本方法は、本発明による装置を使用して実行されることを特徴とする。
一実施形態では、本方法は、
閉鎖システム(12)で閉鎖された容器(6)を提供するステップと、
(a)容器閉鎖完全性試験装置(13)のチャンバ(1)に容器(6)の閉鎖システム(12)を配置するステップであって、チャンバ(1)の密閉壁(15)が容器(6)と対向し、かつ、
容器が、試験ガスで試験用に満たされているか、または満たされることができ、
閉鎖システム(12)が、チャンバ(1)の壁(15)との接触を位置決めシステム(4、5)によって防止されているステップと、
(b)容器(6)の内部と密閉されたチャンバ(1)の内部との間に圧力差を発生させるステップと、
(c)閉鎖システム(12)を通る試験ガスを検出するステップと、
を備える。
容器の内部とチャンバ(1)の内部との間の圧力差は、例えば、チャンバ(1)の内部を排気することにより、容器の内部を加圧することにより、または両方の手段により、好ましくはチャンバ(1)の内部を排気することによって生成され得る。
本発明の好ましい実施形態では、容器は非加圧容器である。
好ましくは、前記容器閉鎖完全性試験装置は、上述の装置である。
本発明の一実施形態では、閉鎖システムは、位置決め手段(4)によって試験装置の壁との接触が防止される(図4A〜図4Iを参照)。
方法の一実施形態では、閉鎖システムの直径は容器の最大直径よりも小さい。
しかしながら、閉鎖システムの試験装置の壁との接触を防止するように構成されたいかなる試験装置も適切であり得る。
本方法は、破壊的または非破壊的な方法であってよい。非破壊的な方法では、試験されるべき閉鎖システムを有する容器は、閉鎖システムで容器が閉鎖される前に試験ガスで満たされる。破壊的な方法では、閉鎖システムを有する容器は、試験装置の密閉手段の下に配置された別の開口部を備える。
好ましくは、検出装置による試験ガスの検出は、試験ガスの濃度、流量または量の形態、より好ましくは流量の形態で行われる。
本発明のいくつかの実施形態では、試験装置の内部が排気され、容器から検出された試験ガスが検出される。これらの場合、試験ガスの量、濃度、または流量が事前定義されたしきい値を下回る場合、容器は密閉されていると見なされてよい。好ましくは、試験ガスの流量が検出される。許容可能なしきい値は、容器、閉鎖システム、および使用目的に基づいて定義される。
好ましくは、試験装置の内部、すなわち密閉されたチャンバ(1)内の圧力は、100mbar未満、より好ましくは50mbar未満、さらにより好ましくは25mbar未満、特別に20mbar未満、より特別に10mbar未満、さらにより特別に5mbar未満、特に1mbar未満である。
本発明の異なる実施形態では、好ましくは、試験装置の内部、すなわち密閉されたチャンバ(1)内に真空引きすることにより、圧力差が生成される。好ましくは、そのような実施形態では、容器の内部の試験ガスの圧力が一定に維持されている間、試験装置の内部の真空度は連続的に減少する。
試験は、試験ガスが検出され得る圧力または圧力差を特定する。試験ガスが検出される圧力が事前定義されたしきい値を下回る場合、閉鎖システムは十分であると見なされる。前記しきい値は、容器の要件および内部に含まれる潜在的な組成物に応じて定義されるべきである。いくつかの実施形態では、試験ガスが10−6mbarのしきい値未満で検出され得る場合、閉鎖完全性は十分であると見なされる。
本発明の特に好ましい実施形態では、容器は上述された装置に挿入され、容器は追加の開口部(6.4)を備え、好ましくは、追加の開口部は別のチャンバに配置され、好ましくは、前記別のチャンバでは、試験ガスの一定の圧力が維持される。追加の開口部(6.4)により、試験中に試験ガスが容器内を通ることができる。好ましくは、別のチャンバの内部は、規定量もしくは規定濃度の試験ガスで、または規定濃度の試験ガスを含む試験ガス雰囲気で満たされる。
好ましい実施形態では、一定の圧力は大気圧である。
好ましくは、容器は、試験ガスの少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、特別に少なくとも80%、より特別に少なくとも85%、さらにより特別に少なくとも90%、特に少なくとも95%を含む試験ガス雰囲気で満たされ、%は容器および/またはチャンバの内部雰囲気の総体積に基づく体積%である。
本発明のより好ましい実施形態では、試験ガスはヘリウムであり、また本明細書に記載された試験ガスとしてのヘリウムの量の全ての可能な実施形態を有する。
本発明による方法は、温度に依存せずに実行されるのに適している。
一実施形態では、方法において温度は制御される。
特に、方法は、一定の温度または変化する温度で実行されてよい。特に、方法は、典型的な保管温度で閉鎖システムの完全性を試験するのに適している。
好ましくは、温度は、チャンバ(1)の、筐体(14)の、壁(15)の、または装置(13)全体の温度を指し、容器(6)の、閉鎖システム(12)の周囲の、またはそれらの組合せの温度が制御される。
本明細書において言及される温度は、少なくとも閉鎖システムの温度および/または閉鎖システムの周囲の温度を指すことが好ましい。
特定の実施形態では、筐体(14)および壁(15)は温度制御されている。
いくつかの実施形態では、本方法は室温で実行される。特定の実施形態では、本方法は、18〜27℃、好ましくは20〜26℃、より好ましくは22〜25℃、さらにより好ましくは約24〜25℃で実行される。
本方法は、室温よりも高いかまたは低い温度で実行されてよい。特に、本方法は、室温よりも低い温度で実行されてよい。いくつかの実施形態では、本方法は20℃以下で、他の実施形態では15℃以下で、別の実施形態では10℃以下で実行される。
本発明の特定の実施形態では、本方法は、0℃〜10℃、好ましくは2℃〜8℃、より好ましくは3℃〜6℃、特に好ましくは4℃〜5℃で実行される。特定の実施形態では、本方法は4℃で実行される。
本発明のいくつかの実施形態では、方法は凍結温度未満で実行される。いくつかの実施形態では、本方法は0℃以下で実行される。特定の実施形態では、本方法は、−4℃、−5℃、−6℃、−7℃、−8℃、−9℃、−10℃以下で実行される。いくつかの実施形態では、本方法は、−15℃以下、特に−20℃以下で実行される。
本方法は、さらに低い温度で実行されてよい。本発明のいくつかの実施形態において、本方法は、−30℃、−40℃、−50℃、−60℃、−70℃、−80℃、−90℃、−100℃以下で実行される。特定の実施形態では、本方法は、−70℃〜−90℃、好ましくは−75℃〜−85℃の温度で実行され、より好ましくは、本方法は−80℃で実行される。
冷却がドライアイスおよびイソプロピルアルコールの混合物に基づく場合、本方法は約−77℃で実行されてよい。
冷却が液体窒素に基づく場合、本方法は約−196℃で実行されてよい。
いずれの場合も、温度は、現在では、当業者には公知の適切な冷却手段の使用により、多かれ少なかれ任意の特定の選択された温度に調整され得る。
本方法はまた、異なる保管条件および使用条件に対する閉鎖システムの適合性を判断するために、様々な温度で実行されてよい。そのような実施形態では、本方法は、温度を変更するステップをさらに含む。
特定の実施形態では、本発明は、容器(6)を閉鎖する閉鎖システム(12)の完全性の温度依存性を試験するための方法に関し、
(a)容器閉鎖完全性試験装置(13)のチャンバ(1)に容器(6)の閉鎖システム(12)を配置し、チャンバ(1)の容器(6)と対向する壁(15)を密封し、
容器(6)が閉鎖システム(12)で閉鎖され、
容器が、試験ガスで試験用に満たされているか、または満たされることができ、
閉鎖システム(12)が、チャンバ(1)の壁(15)との接触を防止されている、ステップと、
(b)容器(6)の内部と密閉されたチャンバ(1)の内部との間に圧力差を発生させるステップと、
(c)閉鎖システム(12)を通過する試験ガスを検出するステップと、
を備え、いかなる時点においても温度は制御される。
好ましくは、閉鎖システム(12)で閉鎖された容器(6)が提供され、容器は試験ガスで試験用に満たされるか、または満たされ得る。
好ましくは、チャンバ(1)の、筐体(14)の、壁(15)の、装置(13)全体の、容器(6)の、閉鎖システム(12)の周囲の、またはそれらの組合せの温度が制御される。
本方法における温度は上昇しても低下してもよい。いくつかの実施形態では、温度は低下する。
本発明のいくつかの実施形態では、温度は順次変化する。他の実施形態では、温度は連続的に変化する。好ましい実施形態では、温度は線形に変化しながら連続的に変化する。特定の実施形態では、温度は線形速度で連続的に低下する。
冷却または加熱の速度は、閉鎖システムを通過する試験ガスの量の変化を監視するのに適しているべきである。そのため、冷却または加熱の速度が速すぎてはならず、そうでなければ、温度と試験ガスの漏れ検出が正しく相関しない可能性がある。
特に、本方法は、閉鎖システムの完全性に影響を与えることなく、容器の取扱いおよび保管に安全な温度を識別することを可能にする。
特に、本方法は、閉鎖システムがもはや安全でなくなる温度を識別することを可能にする。
これは、例えば、閉鎖システムを通過する試験ガスの量を測定し、特定のしきい値の検出された、通過するガスの温度を特定することによって行われ得る。
一実施形態では、方法は制御された温度で行われ、温度は、本明細書ではLIQUTEMPと呼ばれる規定の温度を有する液体によって制御される。LIQUTEMPは、熱の担体または冷却媒体として使用されることができ、冷却装置および/または加熱装置、好ましくは冷却装置に使用され得る任意の液体であってよい。適切なLIQUTEMPは、当業者には公知である、水、イソプロパノール、Novec(TM)7200などのNovec(TM)(3M(Schweiz)GmbH、8803 リュシュリコン、スイス)、Dowtherm(TM)(Dow Europe GmbH、8810 ホルゲン、スイス)などである。
容器(6)が装置(13)に挿入されると、好ましくは、筐体(14)と容器(6)との間に位置し、閉鎖システム(12)の反対側にある密閉手段(3)の側面に位置する隙間(24)が形成される。
LIQUTEMPによる温度の制御は、好ましくは、筐体(14)、壁(15)、装置(13)全体、隙間(24)、またはそれらの組合せにLIQUTEMPを通すことによって行われる。
一実施形態では、装置(13)は、温度制御のための手段を備えるか、またはこれに接続することができる。
好ましくは、温度制御のための前記手段は、それらの全ての実施形態と共に、本明細書に記載された温度制御を実行するように構成される。
本発明はさらに、その全ての実施形態と共に本明細書で定義された装置(13)に関し、装置(13)は温度制御のための手段を備える。
温度制御のための前記手段は、装置(13)を冷却するため、筐体(14)を冷却するため、および/または壁(15)を冷却するための手段であり得る。好ましくは、温度制御のための前記手段は、LIQUTEMPの使用による温度制御のための手段である。
より好ましくは、温度制御のための前記手段は、筐体(14)、壁(15)、装置(13)全体、隙間(24)、またはそれらの組合せにLIQUTEMPを通すための手段である。
本発明のいくつかの実施形態では、LIQUTEMP(25)は、装置(13)の前記隙間(24)に満たされる。例えば、図6、図8E、および図8Fを参照されたい。LIQUTEMPは、隙間(24)を通過することなく、隙間(24)にのみ満たされ得る。これは、例えば、壁(15)からバイアル(6)の壁への温度の伝達を促進するために行われてよい。
いくつかの実施形態では、装置(13)、筐体(14)、壁(15)、またはそれらの組合せと接触しているチューブまたはパイプなどの、温度制御のための前記手段は、装置(13)の外部冷却のため、筐体(14)を冷却するため、もしくは壁(15)を冷却するため、またはそれらの組合せのための手段によっても実現され得る。
温度制御のための前記手段は、別個の装置DEVCOOL(30)によっても実現することができ、このDEVCOOLは冷却され、かつ、例えば装置(13)をDEVCOOLに挿入することにより、装置(13)を冷却するために使用される。
いくつかの実施形態では、DEVCOOLは二重壁装置である。二重壁は、例えば、所望の温度で二重壁にLIQUTEMPを通すことにより、または二重壁によって構築された空間を隔離として使用することにより、温度制御を実行するために使用され得る。いくつかの実施形態では、装置(13)はDEVCOOLに挿入され得る。冷却効果は、装置(13)の壁をDEVCOOLの二重壁と接触させることにより、または当業者には公知の他の適切な手段により、DEVCOOLから装置(13)に伝達され得る。装置(13)の壁とDEVCOOLの二重壁との間の前記接触は、直接接触または媒介接触であってよく、例えば、媒介接触は、LIQUTEMPの使用によって媒介されることができる。
DEVCOOL(30)に挿入された本明細書で定義される装置(13)の概略図は、図7Aに見ることができる。図7Bは、例示的な実施形態の写真を示す。
一実施形態では、装置(13)は、1つ以上の温度センサ(26)を備えるか、または装置(13)に1つ以上の温度センサを配置するための手段を有する。
一実施形態では、1つ以上の温度センサは、容器(6)または装置(13)または両方に配置され得るか、または位置する。
一実施形態では、装置(13)は、容器(6)内に1つ以上の温度センサ(26)を保持するための装置DEVTEMP(27)を備えるか、またはこれと共に使用される。
好ましくは、DEVTEMPは、容器(6)に配置され得るか、または位置する。
DEVTEMP(27)の概略的な例が図8Aに見ることができる。概して、本発明によるDEVTEMP(27)は、温度センサ(26)の挿入を可能にする少なくとも1つの開口部(28)を備える。いくつかの実施形態では、DEVTEMPは複数の開口部を有する。いくつかの実施形態では、DEVTEMPは、少なくとも1つの温度センサを備えるか、または少なくとも1つの温度センサをDEVTEMPに配置するための手段を有する。
したがって、本発明の別の主題は、特定の型式の容器(6)に適合させた装置DEVTEMP(27)であり、DEVTEMP(27)は、その温度を測定するための手段を備え、また、試験ガスを前記容器(6)に通すための少なくとも1つの手段を備える。
いくつかの実施形態では、前記開口部(28)は、正確な温度測定を可能にするためにLIQUTEMP(25)で満たすことができ、例えば、開口部(28)にLIQUTEMP(25)が満たされたとき、次いで、DEVTEMPから開口部(28)に挿入された温度センサへの温度の伝達をLIQUTEMPが媒介する。
DEVTEMPは、任意の適切な材料から作られてよいが、金属製であることが好ましい。
好ましい実施形態では、DEVTEMPは特定の形式の容器(6)に適合される。
当業者には、DEVTEMPを容器に装着するためのDEVTEMPへの可能な構成が公知である。
いくつかの実施形態では、DEVTEMPは容器に挿入されるように構成される(例えば、図8Cまたは図8Dを参照)。
DEVTEMPはまた、試験ガスが容器を通過することを可能にするように構成され得る。したがって、DEVTEMPは、試験ガスを容器に通すための手段を備えることが好ましい。
いくつかの実施形態では、試験ガスを容器に通すための前記手段は、試験ガスが容器を通るための所定の隙間(29)または入口(29)が残るようにDEVTEMPを成形することによって実現される。特定の実施形態では、前記入口(29)はDEVTEMP内の穴である。
本発明の別の主題は、特定のタイプの容器(6)に適合されるDEVTEMPであり、DEVTEMPは、温度センサの挿入を可能にする少なくとも1つの開口部(28)を備え、試験ガスを容器に通すための少なくとも1つの手段を備える。
DEVTEMPはまた、温度制御のための装置を備えてよいか、またはそれに接続され得る。いくつかの実施形態では、DEVTEMPはDEVCOOLと接続されてよい。例えば、図8Eおよび図8Fを参照されたい。いくつかの実施形態では、DEVTEMPは少なくとも1つの温度センサを備え、前記温度センサはDEVCOOLと接続される。
本発明はさらに、その全ての実施形態と共に本明細書に記載された装置(13)に、それらの全ての実施形態と共に本明細書に記載された方法のいずれかを実行させる命令を備えるコンピュータプログラムに関する。
好ましくは、コンピュータプログラムは、本発明の全ての実施形態と共に本明細書で定義された温度制御のための温度制御手段を備える装置(13)に、それらの全ての実施形態と共に本明細書に記載された方法のいずれかを実行させる命令を備える。
好ましくは、その全ての実施形態と共に本明細書に記載された装置(13)は、試験ガス用の検出器を有する装置に接続され、コンピュータプログラムは、装置(13)および試験ガス用の検出器を有する装置に、それらの全ての実施形態とともに本明細書に記載された方法のいずれかを実行させる命令を備える。
好ましくは、その全ての実施形態と共に本明細書に記載された装置(13)は、試験ガス用の検出器を有する装置および温度制御のための装置DEVCOOLに接続され、コンピュータプログラムは、装置(13)、試験ガス用の検出器を有する装置、およびDEVCOOLに、それらの全ての実施形態と共に本明細書に記載された方法のいずれかを実行させる命令を備える。
本発明はさらに、その全ての実施形態と共に本明細書で定義されたコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体に関する。
本発明の別の主題は、滅菌組成物用の医薬品容器の閉鎖システムの閉鎖完全性を試験するために、上記で定義された方法または装置の使用である。
本発明の別の実施形態では、好ましくはCCIの試験中に、容器内の試験ガスの存在、例えば、濃度が検出される。これは、例えば、CCIの試験中に実際に試験ガスが容器内に存在することを検証または確認するために行うことができる。容器内の試験ガスのこの検出はまた、コンピュータプログラムの指示に含めることができる。
(実施例)
実施例1
閉鎖システムを有する異なる容器の容器閉鎖完全性の分析
ヘリウム漏れ測定を実行するために、ASM340質量分光ヘリウム漏れ検出器(Pfeifer Vacuum、アスラー、ドイツ)が使用された。
バイアルは、シリコーンコーティングを施した20mmのゴム栓で密閉されたDIN ISO8362と同様の50mL標準チューブガラスバイアルであった。ゴム栓は、突出しているプラスチック製のフリップオフボタンを有する20mmのアルミニウム製圧着キャップによって定位置に保持された。バイアルの公称外径は42.5mm、総高さは73mmであった。バイアルの開口部の内径は12.6mm、外径は20mmであった。
手短に言えば、密閉された50mLの試験バイアルは、底部をダイヤモンドブレードで切り開かれた。次いで、試験バイアルは密閉された丸いフランジを有する社内製造の試験装置に配置され、フランジとバイアルの壁との間にシールが作成され、それにより、バイアルの閉鎖システムおよびヘリウム漏れ検出器がガス接続されたが、外部から密閉された。このガス接続は、真空ポンプによって排気され、ヘリウムガスがバイアルの底面に散布された。この試験設定では、バイアルの底部から検出器へのヘリウムガスの唯一の経路は、バイアルの閉鎖システムの漏れ、すなわち、バイアル開口部の密閉領域にあるか、またはバイアルヘッドの肩部にあるガラスの割れ目を通る。
閉鎖システムに人為的な漏れを発生させるために、定義されたサイズの銅線が使用された。
容器閉鎖完全性は、位置決め手段無しと位置決め手段有りの両方で、デフォルトシステムを使用して測定された。位置決め手段は、バイアル上に配置されたリング形(図4N)で、閉鎖システムの上部を囲み、その上に広がる(図4J〜図4Mを参照)。したがって、ある場合には閉鎖システムがチャンバ壁と接触することが可能であったが、位置決め手段がある場合、閉鎖システムの壁との接触はリングによって防止された。
サンプルバイアルの分析結果が以下の表1〜表3に示されている。
AVGは平均を意味し、STDは標準偏差を意味する。
本発明を使用しない10μmのワイヤ人工漏出を伴う10個の試験された50mLバイアルの平均ヘリウム漏出率は、7.76−10−6mbar*L/秒であった(表3を参照)。対照的に、本発明を使用する10マイクロメートルのワイヤ人工漏出を伴う10個の試験された50mLバイアルの平均ヘリウム漏出率は、1.00・10−5mbar*L/秒であった。閉鎖システムがフランジに押し付けられた結果、閉鎖システムの操作、すなわち高いゴム栓の圧縮が生じるので、本発明を使用しない測定の場合のヘリウム漏出率は小さかった。
米国薬局方第1207章(USP<1207>、Package Integrity Evaluation−Sterile Products.pp1700〜1707)は、6−10−6mbar*L/秒の許容基準を提案している。ヘリウム漏出率が6−10−6mbar*L/秒未満の閉鎖システムは緊密と見なされ、微生物の侵入を防止することができる。表3では、バイアル6の場合、本発明を使用しない場合のヘリウム漏出率は5.90−10−6mbar*L/秒であり、本発明を使用する場合は1.5−10−5mbar*L/秒であった。言い換えれば、バイアルは、本発明を使用しないUSP勧告に準拠しており、位置決め手段を使用する場合と同様に測定されたときに準拠していないように試験された。
概して、方法は、位置決め手段を使用する測定と比較して、ほぼ全てのバイアルのヘリウム漏出率が低いことを示しており、測定が閉鎖システムの装置の壁との接触によって影響を受けることを示し、接触は、装置の壁に対する閉鎖システムを有するバイアルを吸引した真空圧によって引き起こされた。
実施例2
温度制御された容器閉鎖システムの完全性分析
別の実験では、温度が容器閉鎖完全性システムに与える影響が分析された。実施例1に記載された密閉バイアルが使用された。
バイアルは、実施例1に記載されたように調製されたが、人工漏出の導入はなかった。実施例1に記載されたように測定が実行されたが、さらに、温度制御装置DEVTEMPを使用して閉鎖システムの周囲の温度が制御された。図7を参照されたい。図8A、図8C〜図8Gに示された装置を使用して温度が特定された。
上述されたように、隙間(24)は、筐体(14)とバイアルであった容器(6)との間に位置し、容器(6)は、閉鎖システム(12)の反対側にあった密閉手段(3)の側に位置し、壁(15)からバイアル(6)の壁に、そこからDEVTEMP(27)への温度の伝達を促進するために、NOVEC(TM)7200で満たされた。
DEVTEMP(27)は2つの開口部(28)を有し、各開口部に1つの温度センサ(26)が挿入された。2つの開口部(28)の内の1つの残りの空間はNOVEC(TM)7200で満たされ、もう1つの開口部(28)の残りの空間は水で満たされた。
DEVCOOL(30)は、装置(13)が挿入された二重壁の装置であった。
実験は、装置(13)、温度制御用の装置DEVCOOL(30)、すなわち二重壁装置、装置DEVTEMP(27)および温度センサ、ならびに試験ガスとしてのヘリウムを検出するための検出器を制御する命令を含むコンピュータプログラムを使用して行われた。
この実験で使用された特定の実施形態は、図7B、図8Cおよび図8G、図10A〜図10Dに示されている。
測定は+20℃〜−80℃の温度範囲で実行され、冷却速度は約−2.3℃/分であった。
この実施例で生成されたデータ値が図9にグラフで示されている。温度がヘリウム漏出率(黒点)に影響を与え、したがって閉鎖完全性にも影響を与えることがはっきりと見えるが、正しく密閉されたバイアルでは、漏出率は所定のしきい値(灰色の線)を下回る。
実施例で生成されたデータ値が表4に列挙されている。