JP2020531451A - 新規のアシル化インスリン類似体およびそれらの使用 - Google Patents

新規のアシル化インスリン類似体およびそれらの使用 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、アシル化インスリン類似体などの新規のインスリン類似体およびそれらの誘導体、ならびに特に糖尿病、肥満、および循環器疾患に関連する医学的病態の治療または予防におけるそれらの薬学的使用に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、アシル化インスリン類似体などの新規のインスリン類似体およびそれらの誘導体、ならびに具体的には、糖尿病、肥満、および循環器疾患に関連する医学的病態の治療または予防におけるそれらの薬学的使用に関する。
参照による配列表の組み込み
「SEQUENCE LISTING」と題する配列表は、8,00KBであり、2018年7月13日に作成され、参照により本明細書に組み込まれる。
糖尿病は、グルコースを利用する能力が部分的または完全に失われる代謝障害である。世界人口の5%超が糖尿病を抱えており、さらに数百万人がこの疾患を発症するリスクがある。
現在の治療法では、糖尿病を有する人々の約50%が、依然として循環器疾患で死亡しており、糖尿病を有する人々はまた、微小血管合併症(腎障害、網膜症、および神経障害など)を発症するリスクもあるため、改善された治療のための新たな薬物の開発に対する継続した必要性が存在している。特に2型糖尿病の場合、これらの患者は、高血糖症に加えて、多くの場合、現在のインスリン療法が有する有益な効果が限定的でしかない、代謝機能障害(例えば、脂質異常症、肥満、および循環器合併症など)を患っているため。
肝臓では、インスリンは、糖新生およびグリコーゲン分解を抑制し、グリコーゲン合成を増加させ、これは、肝臓からのグルコース出力の減少をもたらす。これらのプロセスは、肝細胞インスリン抵抗性によって著しく障害され、これは、メタボリックシンドロームにおける空腹時高血糖症の主要な原因である。グルコース代謝に対する効果に加えて、インスリンはまた、転写因子SREBP−1cの活性化を通して肝臓内の脂肪酸およびトリグリセリドの合成も増加させ、これが転じて、アセチル補酵素Aカルボキシラーゼおよび脂肪酸シンターゼ(FAS)を含む脂質生成酵素の遺伝子の転写を増加させる。しかしながら、グリコーゲン合成およびグルコース産生に対する効果とは対照的に、2型糖尿病のインスリン抵抗性げっ歯類モデル、および脂肪萎縮症または細胞内インスリンシグナリング経路内の特定の節に影響を与える変異によって引き起こされる糖尿病を患うヒトでは、脂質合成のインスリン誘発性増加には全く影響がないか、または少なくとも障害の程度がより少ない。したがって、メタボリックシンドロームに関連する高インスリン血症は、肝脂質合成の増加を直接引き起こし、それによりトリグリセリドの循環レベルの増加を悪化させる可能性がある。これは、肝インスリン抵抗性が、2型糖尿病を有する人々において観察される、ヒト脂質異常症、脂肪肝、循環器血管機能障害、および腎機能低減にさえ寄与することをいくつかの研究が示している理由である可能性が非常に高い。これと一致して、血糖値を低下させるための高濃度のインスリンを有するインスリン抵抗性の対象の治療は、例えば、新規脂質生成に関与する非抵抗性経路の過剰刺激をもたらす可能性がある。非抵抗性経路(例えば、脂質生成経路)を過剰刺激することなく血糖値を低下させるために、グルコース低下経路を選択的に活性化するインスリン類似体へのアクセスを有することが望ましい。そのような機能的に選択的なインスリン類似体は、血糖値を低下させるだけでなく、脂質異常症、脂肪肝、アテローム動脈硬化症、および循環器疾患(CVD)に対する改善された効果も呈する。
WO2005/054291は、申し立てによると、B28Kアシル化を有する単鎖インスリンについて記載している。WO2009/112583は、申し立てによると、B28Kを含むプロテアーゼ安定化インスリン類似体について記載している。WO90/07511、WO96/15804、WO2000/43034、US2012/241356、WO2012/015692、およびWO97/31022は、申し立てによると、B28Kを含むインスリン類似体を開示しており、これらの一部はまた、申し立てによると、同じ位置でのアシル化も開示している。
多種多様なインスリン類似体および誘導体が報告されている。しかしながら、それらは全て、全く同じ方法でインスリン受容体を活性化し、すなわち、活性化が高親和性類似体への結合から生じるか、低親和性類似体への結合から生じるかに関わらず、インスリン受容体活性化の下流効果は比較的類似しており、効力のみが異なる。
したがって、抵抗性および非抵抗性経路、例えば、糖新生および脂質代謝経路に対して機能的に選択的な特性を有するインスリン類似体および誘導体に対する必要性が依然として存在する。
第1の態様では、本発明は、インスリン誘導体に関し、該インスリン誘導体は、B5Yと、アシル基を含む置換基とを含む。
第2の態様では、本発明は、インスリン誘導体に関し、該インスリン誘導体は、B5Fと、アシル基を含む置換基とを含む。
別の態様では、本発明は、インスリン誘導体に関し、該インスリン誘導体は、B5YおよびB26GまたはB26Aと、B28K、B26K、またはB29Kに結合いているアシル基を含む置換基とを含む。
別の態様では、本発明は、インスリン誘導体に関し、該インスリン誘導体は、B5FおよびB26GまたはB26Aと、B28K、B26K、またはB29Kに結合いているアシル基を含む置換基とを含む。
別の態様では、本発明は、本発明のインスリン誘導体と、1つ以上の薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、薬学的組成物を提供する。
さらなる態様では、本発明は、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖症、脂質異常症、肥満、メタボリックシンドローム(メタボリックシンドロームX、インスリン抵抗性症候群)、高血圧症、認知障害、アテローム動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中、循環器障害、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、低血圧症、または胃潰瘍の治療または予防のための薬物を製造するための、本発明によるインスリン誘導体の使用に関する。
同様に、または代替的に第2の態様では、本発明は、肥満、脂質異常症、循環器合併症に関連するプロセスに対する改善された効果(より低い体重増加、より低い体脂肪量増加、より低い肝トリグリセリド増加、または内皮機能の改善など)を有するインスリン誘導体を提供する。
一態様では、本発明のインスリン誘導体は、脂質代謝に悪影響を与えることなく血糖を低下させることができる。
別の態様では、本発明のインスリン誘導体は、準最大のインスリン受容体リン酸化を誘発し、選択的なシグナリング、および故に選択的な細胞応答を誘発し、すなわち、ヒトインスリンと比較した場合、グルコース低下経路に対してよりも脂質代謝経路に対して低い最大応答をもたらす。
さらに別の態様では、本発明のインスリン誘導体はまた、グルコース低下の他に、特により低い体脂肪量増加による、より低い体重増加を有する。
一態様では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、特に肝トリグリセリド低下の増加による、肝脂質異常症、脂肪肝、または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に関連するプロセスに対する改善された効果を有するインスリン誘導体を提供する。
別の態様では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、循環器障害に関連するプロセスに対する改善された効果(内皮機能の改善など)を有するインスリン誘導体を提供する。
さらに別の態様では、本発明のインスリン誘導体は、糖尿病を有する患者における循環器の有害事象のより低い発生率を提供する。
一態様では、本発明は、製剤中で改善された安定性を有するインスリン誘導体を提供する。
本発明はまた、例示的な実施形態の開示から明らかとなる、さらなる問題を解決することができる。
図1は、可溶化IR−Aによる競合結合アッセイからの、ヒトインスリン(●)および実施例15の化合物(▲)の代表的な受容体結合曲線を示す(CPM=カウント毎分)。 図2は、IR−Aを過剰発現するCHO−hIR細胞内でのIRpY1158リン酸化アッセイからの、ヒトインスリン(●)および実施例15の化合物(▲)の代表的な用量応答曲線を示す。 図3は、IR−Aを過剰発現するCHO−hIR細胞内でのAKTリン酸化アッセイ(セリン残基番号473のリン酸化)からの、ヒトインスリン(●)および実施例15の化合物(▲)の代表的な用量応答曲線を示す。 図4は、IR−Aを過剰発現するCHO−hIR細胞内でのERKリン酸化アッセイからの、ヒトインスリン(●)および実施例15の化合物(▲)の代表的な用量応答曲線を示す。 図5は、初代ラット脂肪細胞内での脂質生成アッセイからの、ヒトインスリン(●)および実施例15の化合物(▲)の代表的な用量応答曲線を示す(DPM=壊変毎分)。 図6は、初代ラット肝細胞内でのグリコーゲン合成アッセイからの、ヒトインスリン(●)および実施例15の化合物(▲)の代表的な用量応答曲線を示す。 図7は、初代ラット肝細胞から単離したcDNAに対して実行した、fasnの定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)アッセイからの、ヒトインスリン(●)および実施例15の化合物(▲)の代表的な用量応答曲線を示す。 図8は、初代ラット肝細胞から単離したcDNAに対して実行した、g6pcの定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)アッセイからの、ヒトインスリン(●)および実施例15の化合物(▲)の代表的な用量応答曲線を示す。 図9は、初代ラット肝細胞内での新規脂質生成アッセイからの、ヒトインスリン(●)および実施例15の化合物(▲)の代表的な用量応答曲線を示す(CPM=カウント毎分)。 図10は、ビヒクル、PK対照薬(対照薬番号5)、および実施例15の化合物を6週間にわたって1日2回皮下に投薬した糖尿病のSTZ−DIOマウスにおける、亜慢性インビボ研究からのHbA1cレベルの代表的な曲線を示す。 図11は、ビヒクル、PK対照薬(対照薬番号5)、および実施例15の化合物を6週間にわたって1日2回皮下に投薬した糖尿病のSTZ−DIOマウスにおける、亜慢性インビボ研究からの体重の代表的な曲線を示す。 図12は、ビヒクル、PK対照薬(対照薬番号5)、および実施例15の化合物を6週間にわたって1日2回皮下に投薬した糖尿病のSTZ−DIOマウスにおける、亜慢性インビボ研究からの体脂肪量の代表的な曲線を示す。 図13は、ビヒクル、PK対照薬(対照薬番号5)、および実施例15の化合物を6週間にわたって1日2回皮下に投薬した糖尿病のSTZ−DIOマウスにおける、亜慢性インビボ研究からの肝TGの代表的な曲線を示す。 図14は、ビヒクル、PK対照薬(対照薬番号5)、および実施例15の化合物を6週間にわたって1日2回皮下に投薬した糖尿病のSTZ−DIOマウスにおける、亜慢性インビボ研究からの腸間膜動脈のACh刺激血管弛緩の代表的な曲線を示す。 図15は、0.6mMの対照薬化合物、すなわち、3Zn/6ins、30mMのフェノール、1.6%のグリセロール、および7mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む、対照薬9(pH7.6)の製剤の代表的なSECデータを示す(黒色線)。ヒトアルブミンと、Co(III)インスリンヘキサマーと、モノマーインスリン類似体(B9Asp、B27Glu)とのSEC基準混合物が含まれる(灰色線)。 図16は、実施例3の化合物に類似した製剤の代表的なSECデータを示す(黒色線)。 図17は、実施例11の化合物に類似した製剤の代表的なSECデータを示す(黒色線)。 図18は、実施例12の化合物に類似した製剤の代表的なSECデータを示す(黒色線)。 図19は、実施例15の化合物に類似した製剤の代表的なSECデータを示す(黒色線)。
本発明は、アシル化されており、糖新生および脂質代謝に関与する経路に対して機能的に選択的な特性を示す、ヒトインスリンの新規の類似体を提供する。
本発明は、B5YまたはB5Fと、アシル基を含む置換基とを含む、インスリン誘導体に広く関する。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンと比較した場合、およそ65%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する。
一実施形態では、インスリン誘導体は、アシル基を含む置換基を含む。
一実施形態では、置換基は、B28K、B26K、またはB29Kに結合している。
一実施形態では、置換基は、B28Kに結合している。
一実施形態では、置換基は、B26Kに結合している。
一実施形態では、置換基は、B29Kに結合している。
別の実施形態では、インスリン誘導体は、B26GまたはB26Aを含む。
別の実施形態では、インスリン誘導体は、A14Eを含む。
別の実施形態では、インスリン誘導体は、desB30、desB29−30、またはdesB27−30を含む。
別の実施形態では、インスリン誘導体は、desB30を含む。
別の実施形態では、インスリン誘導体は、desB29−30を含む。
別の実施形態では、インスリン誘導体は、desB27−30を含む。
別の実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、実施例1〜46の化合物からなる群から選択される。
本発明は、糖尿病の治療または予防のための薬物を製造するための、本発明によるインスリン誘導体の使用に関する。
動物モデルでは、驚くべきことに、本発明のインスリン誘導体が、脂質代謝または内皮機能障害に対するより少ない悪影響をもって、血糖を低下させることができることが見出されている。これは、より低い発生率の循環器の有害事象をもたらすと考えられ、これらの動物実験はまた、従来のインスリン治療と比較した場合、グルコース低下が、特により低い体脂肪量増加による、より低い体重増加を伴うことも示している。
これらの動物実験はまた、従来のインスリン治療と比較した場合、グルコース低下が、肝トリグリセリド低下の増加を伴うことも示しているため、これは、肝疾患発症または進行に対して有益な効果をもたらす可能性が高い。
さらに、インビトロでの下流シグナリングを検査すると、本発明のインスリン誘導体は、準最大のインスリン受容体リン酸化を誘発すること、ならびに選択的なシグナリング、および故に選択的な細胞応答を誘発を誘発すること、すなわち、ヒトインスリンと比較した場合、グルコース低下経路に対してよりも脂質代謝経路に対して低い最大応答をもたらすことを示している。
最後に、本発明のインスリン誘導体はまた、所望の選択的なシグナリングおよび製剤中での改善された安定性も有する。
インスリン
本明細書で使用される場合、「ヒトインスリン」という用語は、その構造および特性が周知のヒトインスリンホルモンを意味する。ヒトインスリンは、A鎖およびB鎖と称される2つのポリペプチド鎖を有する。A鎖は、21個のアミノ酸のペプチドであり、B鎖は、30個のアミノ酸のペプチドであり、2つの鎖は、ジスルフィド架橋によって接続され、第1の架橋は、A鎖の7位のシステインとB鎖の7位のシステインとの間であり、第2の架橋は、A鎖の20位のシステインとB鎖の19位のシステインとの間である。第3の架橋は、A鎖の6位のシステインとA鎖の11位のシステインとの間に存在する。
ヒトインスリンA鎖は、以下の配列、GIVEQCCTSICSLYQLENYCN(配列番号1)を有する一方、B鎖は、以下の配列、FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKT(配列番号2)を有する。
ヒトの体内では、このホルモンは、24個のアミノ酸のプレペプチドからなる単鎖前駆体プロインスリン(プレプロインスリン)の後に、プレペプチド−B−Arg Arg−C−Lys Arg−A(式中、Cは、31個のアミノ酸の接続ペプチドである)の構成にある86個のアミノ酸を含有するプロインスリンが続いたものとして合成される。Arg−ArgおよびLys−Argは、A鎖およびB鎖からの接続ペプチドの切断のための切断部位である。
本発明による「インスリン」は、本明細書では、ヒトインスリンまたは別の種に由来するインスリン(ブタまたはウシインスリンなど)として理解される。
本明細書で使用する場合、「インスリンペプチド」という用語は、ヒトインスリン、またはインスリン活性を有するその類似体もしくは誘導体のいずれかであるペプチドを意味する。
インスリン類似体
本明細書で使用される場合、「インスリン類似体」という用語は、インスリンの1つ以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基によって置換されている、かつ/または1つ以上のアミノ酸残基がインスリンから欠失している、かつ/または1つ以上のアミノ酸残基がインスリンに付加および/もしくは挿入されている、単一修飾ヒトインスリン分子を意味する。
一実施形態では、インスリン類似体は、ヒトインスリンと比較して、10個未満のアミノ酸修飾(置換、欠失、付加(挿入を含む)、およびこれらの任意の組み合わせ)、代替的にはヒトインスリンと比較して、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個未満の修飾を含む。
インスリン分子内の修飾は、鎖(AまたはB)、位置、および天然アミノ酸残基を置換するアミノ酸残基の1文字または3文字のコードを述べることで表わされる。
「接続ペプチド」または「C−ペプチド」は、単鎖プロインスリン分子のB−C−Aポリペプチド配列の接続部分「C」を意味する。ヒトインスリン鎖では、C−ペプチドは、B鎖の30位およびA鎖の1位を接続し、35個のアミノ酸の残基長である。接続ペプチドは、2つの末端二塩基性アミノ酸配列、例えば、Arg−ArgおよびLys−Argを含み、これらは、A鎖およびB鎖から接続ペプチドを切断して、二本鎖インスリン分子を形成するための切断部位として機能する。
「desB30」または「B(1−29)」は、天然インスリンB鎖、またはB30アミノ酸を欠くその類似体を意味し、「A(1−21)」は、天然インスリンA鎖を意味する。したがって、例えば、B5Y、B28K、desB29−desB30ヒトインスリンは、B鎖の5位のアミノ酸がチロシン(TyrまたはY)で置換され、B鎖の28位のアミノ酸がリジン(LysまたはK)で置換され、かつB鎖の29位および30位のアミノ酸が欠失している、ヒトインスリンの類似体である。
本明細書では、A1、A2、およびA3などの用語は、(N末端から数えて)インスリンのA鎖のそれぞれ1位、2位、および3位などのアミノ酸を示す。同様に、B1、B2、およびB3などの用語は、(N末端から数えて)インスリンのB鎖のそれぞれ1位、2位、および3位などのアミノ酸を示す。
本明細書では、「アミノ酸残基」という用語は、形式上、ヒドロキシ基がカルボキシ基から除去されている、かつ/または形式上、水素原子がアミノ基から除去されている、アミノ酸である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、2〜10個の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、2〜6個の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、2〜3個の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、2個の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、3個の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、4個の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、5個の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、6個の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、7個の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、8個の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、9個の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、10個の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、10個未満の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、7個未満の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、5個未満の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、4個未満の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、3個未満の変異を含むヒトインスリンの類似体である。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Yを含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Fを含む。
一実施形態では、インスリン誘導体は、B26AまたはB26Gを含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B26Aを含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B26Gを含む。
別の実施形態では、インスリン類似体は、A14Eを含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5YおよびB26Aを含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5YおよびB26Gを含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5FおよびB26Aを含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5FおよびB26Gを含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B28K、B26K、またはB29Kを含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B28Kを含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B26Kを含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B29Kを含む。
別の実施形態では、インスリン類似体は、B26GまたはB26Aを含む。
別の実施形態では、インスリン類似体は、desB30、desB29−30、またはdesB27−30を含む。
別の実施形態では、インスリン類似体は、desB30を含む。
別の実施形態では、インスリン類似体は、desB29−30を含む。
別の実施形態では、インスリン類似体は、desB27−30を含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Yに加えて、最大10個の置換をさらに含み得る。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Yに加えて、最大5個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Yに加えて、2個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Yに加えて、3個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Yに加えて、4個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Yに加えて、5個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Yに加えて、6個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Yに加えて、7個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Yに加えて、8個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Yに加えて、9個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Fに加えて、最大10個の置換をさらに含み得る。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Fに加えて、最大5個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Fに加えて、2個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Fに加えて、3個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Fに加えて、4個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Fに加えて、5個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Fに加えて、6個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Fに加えて、7個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Fに加えて、8個の置換をさらに含む。
一実施形態では、インスリン類似体は、B5Fに加えて、9個の置換をさらに含む。
本発明のインスリン類似体の非限定的な例には、以下が含まれる。
A14E、B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および4)
A14E、B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および5)
B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および7)
B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および8)
B5Y、B28K、desB29−30(配列番号1および9)
A14E、B5F、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および10)
B5F、B28K、desB29−30(配列番号1および11)
B5Y、B26K、desB27−desB30(配列番号1および12)
B5Y、desB30(配列番号1および13)
B5Y、B26G、desB30(配列番号1および14)
B5Y、B26A、desB30(配列番号1および15)
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、以下を含む。
A14E、B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および4)
A14E、B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および5)
B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および7)
B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および8)
B5Y、B28K、desB29−30(配列番号1および9)
A14E、B5F、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および10)
B5F、B28K、desB29−30(配列番号1および11)
B5Y、B26K、desB27−desB30(配列番号1および12)
B5Y、desB30(配列番号1および13)
B5Y、B26G、desB30(配列番号1および14)
B5Y、B26A、desB30(配列番号1および15)
B5F、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および6)
B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および4)
B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および5)
B5F、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および10)
A14E、B5F、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および6)
A14E、B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および7)
A14E、B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および8)
A14E、B5Y、B28K、desB29−30(配列番号3および9)
A14E、B5F、B28K、desB29−30(配列番号3および11)
A14E、B5Y、B26K、desB27−desB30(配列番号3および12)
A14E、B5Y、desB30(配列番号3および13)
A14E、B5Y、B26G、desB30(配列番号3および14)、ならびに
A14E、B5Y、B26A、desB30(配列番号3および15)。
インスリン誘導体
本明細書で使用される場合、「インスリン誘導体」という用語は、1つ以上の側鎖がペプチドに共有結合している、化学修飾された親インスリンまたはその類似体を意味する。本明細書で使用される場合、「側鎖」という用語はまた、「置換基」または「アルブミン結合部分」とも称され得る。側鎖の非限定的な例には、アミド、炭水化物、アルキル基、アシル基、エステル、およびペグ化などが含まれ、これらは、リンカーをさらに含み得る。
本明細書で使用される場合、「アルブミン結合部分」という用語は、アルブミンに非共有結合することができ、すなわち、アルブミン結合親和性を有する、任意の化学基を指す。いくつかの実施形態では、アルブミン結合部分は、アシル基を含む。
別の特定の実施形態では、側鎖は、アルブミン結合、およびそれにより突出に特に関連する部分を含み、したがって、この部分は、「突出部分」または「突出体」または「アシル基」と称され得る。突出部分は、ペプチドへのその結合点に対して、アルブミン結合部分の末端(または遠位端、または遊離端)の近く、および好ましくはその末端にあってもよい。
本発明による「置換基」、「側鎖」、または「アルブミン結合部分」は、以下の式(I)を有する。
Acy−L1−L2−L3
式中、
・Acyが、アシル基であり、リトコール酸によって表されるか、以下の式の官能基によって表されるか、
化学式 1:−CO−(CH−COOH、もしくは
化学式 2:−CO−(CH−テトラゾリル、
(式中、xが、12〜20の範囲内の整数を表し、テトラゾリル基が、1H−テトラゾル−5−イルである)
または以下の式の脂肪酸によって表され、
化学式 3:−CO−(CH−CH
(式中、xが、8〜16の範囲内の整数を表す)
・L1が、不在であるか、またはOEG、gGlu、DgGlu、もしくはスルホンイミドC−4を表し、
・L2が、不在であるか、またはOEG、gGlu、DgGlu、もしくはスルホンイミドC−4を表し、
・L3が、不在であるか、またはOEG、gGlu、DgGlu、もしくはスルホンイミドC−4を表し、
・OEGが、[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルまたはアミノ酸残基8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸−NH(CHO(CHOCHCO−を表し、以下の構造によって表され、
・gGluが、以下の構造によって表されるガンマグルタミン酸残基を表し、
(式中、構造図の右側のカルボキシル基が、隣接するアミノ基への結合を形成する、ガンマ−カルボキシ基である)
・DgGluが、以下の構造によって表されるガンマグルタミン酸残基を表し、
(式中、構造図の右側のカルボキシル基が、隣接するアミノ基への結合を形成する、ガンマ−カルボキシ基である)
・スルホンイミドC−4が、以下の構造によって表される。
一実施形態では、式(I)のL1−L2−L3は、以下によって独立して表される。
・なし
・gGlu
・OEG
・2xgGlu
・gGlu−OEG
・gGlu−2xOEG
・スルホンイミド−C4
・2xスルホンイミド−C4
・DgGlu
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy−L1−L2−L3を有し、以下によって独立して表される。
・リトコール酸
・リトコール酸−gGlu
・C14
・C16二酸
・C16二酸−gGlu
・C18二酸
・C18二酸−gGlu
・C18二酸−2xgGlu
・C18二酸−DgGlu
・C18二酸−gGlu−OEG
・C18二酸−gGlu−2xOEG
・C18二酸−OEG
・C18二酸−スルホンイミド−C4
・C20二酸
・C20二酸−gGlu
・C20二酸−gGlu−OEG
・C20二酸−gGlu−2xOEG
・テトラゾール−C16
・テトラゾール−C16−gGlu−OEG
・テトラゾール−C16−gGlu−2xOEG
・テトラゾール−C16−2xスルホンイミド−C4
・テトラゾール−C17
・テトラゾール−C17−スルホンイミド−C4
・テトラゾール−C18、
・テトラゾール−C18−スルホンイミド−C4
・テトラゾール−C18−2xスルホンイミド−C4
一実施形態では、置換基は、実施例15の化合物の置換基であり、Acy−L1−L2−L3は、C18二酸−gGlu−OEGによって、および以下の構造によって表される。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、実施例1〜46の化合物からなる群から選択される。
さらに別の実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、実施例1〜36の化合物からなる群から選択される。
さらに別の実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、実施例10〜34の化合物からなる群から選択される。
さらに別の実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、実施例3、4、12〜16、18〜20、22、23、25、26、28〜30の化合物からなる群から選択される。
さらに別の実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、実施例14〜16、18、20、および26の化合物からなる群から選択される。
さらに別の実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、実施例37〜39または46の化合物からなる群から選択される。
さらに別の実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、実施例40〜45の化合物からなる群から選択される。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、実施例15の化合物、N{エプシロン−B28}−[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリンである。
アシル基
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、アシル基を含む。したがって、アシル基を含むインスリン誘導体は、「アシル化インスリン類似体」と称され得る。
好ましい実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、アシル基(Acy)を含み、このアシル基は、リトコール酸を表すか、または以下の式の官能基を表し、
・化学式1:−CO−(CH−COOH、もしくは
・化学式2:−−CO−(CH−テトラゾリル−
(式中、xが、12〜20の範囲内の整数を表し、テトラゾリル基が、1H−テトラゾル−5−イルである)
または以下の式の脂肪酸を表す。
・化学式3:−CO−(CH−CH
(式中、xが、8〜16の範囲内の整数を表す)。
一実施形態では、Acyは、リトコール酸、1,16−ヘキサデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,20−エイコサン二酸、テトラゾール−C16、テトラゾール−C17、テトラゾールC18、およびテトラデカン酸からなる群から選択される。
一実施形態では、インスリン誘導体は、ジカルボン酸を含むアシル基を含む。
一実施形態では、インスリン誘導体は、化学式1の式のアシル基を含み、式中、xが、12〜20の範囲内の整数を表す。
一実施形態では、インスリン誘導体は、化学式1の式の式のアシル基を含み、式中、xが、12〜18の範囲内の整数を表す。
一実施形態では、インスリン誘導体は、化学式1の式の式のアシル基を含み、式中、xが、12〜16の範囲内の整数を表す。
一実施形態では、インスリン誘導体は、化学式1の式の式のアシル基を含み、式中、xが、12〜14の範囲内の整数を表す。
一実施形態では、インスリン誘導体は、化学式1の式の式のアシル基を含み、式中、xが、整数14、16、または18(すなわち、それぞれ脂肪二酸基1,16−ヘキサデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、および1,20−エイコサン二酸)を表す。
一実施形態では、インスリン誘導体は、式、−CO−(CH12−COOHのアシル基を含み、以下の構造によって表される。
一実施形態では、インスリン誘導体は、1,16−ヘキサデカン二酸とも称される、式、−CO−(CH14−COOHのアシル基を含み、以下の構造によって表される。
一実施形態では、インスリン誘導体は、1,18−オクタデカン二酸とも称される、式、−CO−(CH16−COOHのアシル基を含み、以下の構造によって表される。
一実施形態では、インスリン誘導体は、1,20−エイコサン二酸とも称される、式−CO−(CH18−COOHのアシル基を含み、以下の構造によって表される。
一実施形態では、インスリン誘導体は、式、−CO−(CH20−COOHのアシル基を含み、以下の構造によって表される。
一実施形態では、インスリン誘導体は、リトコール酸を含むアシル基を含み、以下の構造によって表される。
一実施形態では、インスリン誘導体は、式、−CO−(CH12−CHの脂肪酸を含むアシル基を含み、以下の構造によって表される。
別の実施形態では、インスリン誘導体は、少なくとも1つの官能基を含むアシル基を含む。
一実施形態では、インスリン誘導体は、カルボン酸およびテトラゾール部分からなる群から選択される官能基を含むアシル基を含む。
一実施形態では、インスリン誘導体は、以下の式から選択される官能基を含むアシル基を含む。
化学式1:−CO−(CH−COOH、もしくは
化学式2:−−CO−(CH−テトラゾリル−
(式中、xが、12〜20の範囲内の整数を表し、テトラゾリル基が、1H−テトラゾル−5−イルである)。
一実施形態では、インスリン誘導体は、テトラゾール−C16、テトラゾール−C17、およびテトラゾールC18からなる群から選択されるテトラゾール部分を含む官能基を含む。
一実施形態では、インスリン誘導体は、以下の構造によって表されるテトラゾール−C16である官能基を含む。
一実施形態では、インスリン誘導体は、以下の構造によって表されるテトラゾール−C17である官能基を含む。
一実施形態では、インスリン誘導体は、以下の構造によって表されるテトラゾール−C18である官能基を含む。
一実施形態では、インスリン誘導体は、脂肪酸を含む。
一実施形態では、インスリン誘導体は、以下の式の脂肪酸を含む。
化学式3:−CO−(CH−CH
(式中、xが、8〜16の範囲内の整数を表す)。
リンカー
本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、アシル基などの部分をインスリンまたはインスリン類似体に接合することができる好適な側鎖を含む。したがって、リンカーおよびアシル基は、ともに側鎖となる。リンカーに接合される部分は、任意の好適な部分であり得る。例には、アルブミン結合部分が含まれる。
リンカーは、その部分(例えば、アルブミン結合部分)の結合効果に寄与すること、および/またはそれを増強することができ、例えば、gGluを含むリンカーは、インスリンまたはインスリン類似体のアルブミン結合効果を増強することができる。
一実施形態では、側鎖は、アシル基と、インスリンまたはインスリン類似体への結合点との間の部分を含み、この部分は、「リンカー」、「リンカー部分」、「リンカー基」、「結合基」、または「スペーサー」などと称され得る。リンカーは、任意であってもよく、故に側鎖は、アシル基と同一であってもよい。
アシル基またはリンカーは、アシル化によって、すなわち、その(アシル基、アルブミン結合部分、突出部分、またはリンカーの)カルボン酸基と、N末端のリジン残基またはアミノ酸残基のアミノ基との間に形成されたアミド結合を介して、インスリンペプチドのリジン残基に共有結合することができる。追加的または代替的な共役化学には、アルキル化、エステル形成、アミド形成、またはシステイン残基へのカップリング(マレイミドまたはハロアセトアミド(ブロモ−/フルオロ−/ヨード−など)カップリングによるものなど)が含まれる。
好ましい実施形態では、好ましくは突出部分およびリンカーを含む、アシル基の活性エステルは、上記に説明されるアミド結合の形成下で、リジン残基のアミノ基、好ましくはそのイプシロンアミノ基に共有結合している。
別の実施形態では、リンカー基は、不在であり、共有結合を表す。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、式、−L1−L2−L3のリンカー基を含む。[式中、
・L1が、不在であるか、またはOEG、gGlu、DgGlu、もしくはスルホンイミドC−4を表し、
・L2が、不在であるか、またはOEG、gGlu、DgGlu、もしくはスルホンイミドC−4を表し、
・L3が、不在であるか、またはOEG、gGlu、DgGlu、もしくはスルホンイミドC−4を表し、
・gGluが、以下の構造によって表されるガンマグルタミン酸残基を表し、
(式中、構造図の右側のカルボキシル基が、隣接するアミノ基への結合を形成する、ガンマ−カルボキシ基である)
・DgGluが、以下の構造によって表されるガンマグルタミン酸残基を表し、
(式中、構造図の右側のカルボキシル基が、隣接するアミノ基への結合を形成する、ガンマ−カルボキシ基である)
・OEGが、[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルを表し、以下の構造によって表され、
・スルホンイミドC−4が、以下の構造によって表され、
・2xスルホンイミド−C4またはスルホンイミド−C4−スルホンイミド−C4が、以下の構造によって表される。
一実施形態では、本発明のインスリンペプチドは、DgGlu、gGlu、gGlu−gGlu、gGlu−OEG、gGlu−OEG−OEG、OEG、スルホンイミド−C4、および2xスルホンイミド−C4から選択される二価結合基を表すリンカー基を含み、
・gGluが、ガンマグルタミン酸残基を表し、
・OEGが、基または残基、−NH−(CH−O−(CH−O−CH−CO−([2−(2−アミノ−エトキシ)エトキシ]アセチルとも指定される)に対応する式、NH−(CH−O−(CH−O−CH−COOHを有するアミノ酸を表し、
・スルホンイミド−C4が、以下の構造によって表され、
・以下の構造によって表される、2xスルホンイミド−C4またはスルホンイミド−C4−スルホンイミド−C4。
リンカーの非限定的な例は、以下からなる一覧から選択される。DgGlu、gGlu、gGlu−gGlu、gGlu−OEG、gGlu−OEG−OEG、OEG、スルホンイミド−C4、2xスルホンイミド−C4。
一実施形態では、結合基は、不在である。
一実施形態では、結合基は、DgGluである。
一実施形態では、結合基は、gGluである。
一実施形態では、結合基は、gGlu−gGluである。
一実施形態では、結合基は、gGlu−OEGである。
一実施形態では、結合基は、gGlu−OEG−OEGである。
一実施形態では、結合基は、OEGである。
一実施形態では、結合基は、スルホンイミド−C4である。
一実施形態では、結合基は、スルホンイミド−C4−スルホンイミド−C4または2xスルホンイミドC−4である。
中間生成物
本発明はさらに、本発明の置換基への結合時に本発明のインスリン誘導体ペプチドをもたらす、新規の骨格の形態の中間生成物に関する。
本発明はまた、
i.A14E、B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および4)
ii.A14E、B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および5)
iii.B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および7)
iv.B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および8)
v.B5Y、B28K、desB29−30(配列番号1および9)
vi.A14E、B5F、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および10)
vii.B5F、B28K、desB29−30(配列番号1および11)
viii.B5Y、B26K、desB27−desB30(配列番号1および12)
ix.B5Y、desB30(配列番号1および13)
x.B5Y、B26G、desB30(配列番号1および14)
xi.B5Y、B26A、desB30(配列番号1および15)
xii.B5F、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および6)
xiii.B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および4)
xiv.B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および5)
xv.B5F、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および10)
xvi.A14E、B5F、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および6)
xvii.A14E、B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および7)
xviii.A14E、B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および8)
xix.A14E、B5Y、B28K、desB29−30(配列番号3および9)
xx.A14E、B5F、B28K、desB29−30(配列番号3および11)
xxi.A14E、B5Y、B26K、desB27−desB30(配列番号3および12)
xxii.A14E、B5Y、desB30(配列番号3および13)
xxiii.A14E、B5Y、B26G、desB30(配列番号3および14)
xxiv.A14E、B5Y、B26A、desB30(配列番号3および15)からなる群から選択される、本発明のインスリンペプチドの新規の骨格の形態の中間生成物、
またはその薬学的に許容される塩、アミド、もしくはエステルにも関する。
薬学的に許容される塩、アミド、またはエステル
本発明の中間生成物、類似体、および誘導体は、薬学的に許容される塩、アミド、またはエステルの形態であってもよい。
塩は、例えば、塩基と酸との間の化学反応、例えば、2 NH+HSO→(NHSOによって形成される。
塩は塩基性塩、酸性塩であってもよく、またはそれはどちらでもなくてもよい(すなわち、中性塩)。塩基性塩は水中で水酸化イオンを生成し、酸性塩はヒドロニウムイオンを生成する。
本発明の誘導体の塩は、それぞれアニオン性基またはカチオン性基と反応する追加のカチオンまたはアニオンとともに形成されてもよい。これらの基は、ペプチド部分内、および/または本発明の誘導体の側鎖内に位置することができる。
本発明の誘導体のアニオン性基の非限定的な例には、存在する場合、側鎖内、およびペプチド部分内の遊離カルボキシル基が含まれる。ペプチド部分は、多くの場合、C末端に遊離カルボン酸基を含み、それはまた、AspおよびGluなどの内部酸アミノ酸残基における遊離カルボキシル基も含み得る。
ペプチド部分内のカチオン性基の非限定的な例には、存在する場合、N末端の遊離アミノ基、ならびにHis、Arg、およびLysなどの内部塩基性アミノ酸残基の任意の遊離アミノ基が含まれる。
本発明の誘導体のエステルは、例えば、遊離カルボン酸基とアルコールまたはフェノールとの反応によって形成されてもよく、これは、アルコキシまたはアリールオキシ基による少なくとも1つのヒドロキシル基の置換をもたらす。
エステル形成は、ペプチドのC末端における遊離カルボキシル基、および/または側鎖内の任意の遊離カルボキシル基に関与し得る。
本発明の誘導体のアミドは、例えば、活性化形態の遊離カルボン酸基とアミンまたは置換アミンとの反応によって、または遊離もしくは置換アミノ基と活性化形態のカルボン酸との反応によって形成され得る。
アミド形成は、ペプチドのC末端の遊離カルボキシル基、側鎖内の任意の遊離カルボキシル基、ペプチドのN末端の遊離アミノ基、ならびに/またはペプチド内および/もしくは側鎖内のペプチドの任意の遊離もしくは置換アミノ基に関与し得る。
特定の実施形態では、ペプチドまたは誘導体は、薬学的に許容される塩の形態である。別の特定の実施形態では、誘導体は、好ましくはアミド基がペプチドのC末端にある、薬学的に許容されるアミドの形態である。依然さらなる特定の実施形態では、ペプチドまたは誘導体は、薬学的に許容されるエステルの形態である。
安定性
インスリン誘導体の安定性は、三次元構造を維持する能力(物理的安定性)、および構造内で共有結合的変化に耐える能力(化学的安定性)として定義される。有利な安定性は、インスリン誘導体単独の固有の特性によるもの、またはインスリン誘導体とビヒクルに含有される1つ以上の成分との間の有利な相互作用の結果によるものであり得る。
インスリン誘導体の良好な安定性は、インスリンアスパルトに相当するか、またはそれよりも良好な安定性として定義される。
一態様では、本発明は、製剤中で良好な安定性を有するインスリン誘導体を提供する。
一態様では、本発明は、製剤中で改善された安定性を有するインスリン誘導体を提供する。
本発明者らは、本発明によるインスリン誘導体が、製剤中で良好な安定性を有することを見出した。本発明者らは、驚くべきことに、本発明によるヒトインスリン誘導体が、良好な安定性を有し、インスリン受容体の部分的活性化も保持することを見出した。
安定性は、従来の方法および当業者に既知の様々な標準的方法によって決定することができる。
インスリン誘導体は、例えば、亜鉛およびフェノールを含む製剤中での安定性についてスクリーニングすることができる。一実施形態では、この目的は、保管中または温度上昇時に変化しない単一のインスリン自己会合状態(例えば、六量体状態)を含む製剤を得ることである。
安定性を測定する方法の一例は、示差走査熱量測定(DSC)であり、これは、典型的にはアンフォールディングの開始温度(T開始)の評価によって、またはより頻繁にはインスリン誘導体自己会合時の熱アンフォールディングの中間点(T)によって、タンパク質安定性を評価するための一般的方法である。インスリンの(DSCによる)熱アンフォールディングが、いかに亜鉛−六量体の安定性に相関するか、およびそれをもって、いかにインスリンの製剤安定性に相関するかは、文献(Huus et al,Biochemistry(2005)44,11171−11177)に記載されている(Huus et al,Pharm Res(2006)23(11),2611−20)。低い開始温度は、インスリン解離と見なされる可能性がある一方で、より高い開始温度は、アンフォールディング温度まで安定したインスリン誘導体複合体を示す。良好な安定性は、薬学的製剤に類似した条件で、インスリンアスパルト(B28Dヒトインスリン)のおよそのT開始およびTまたはそれを超える、T開始およびTで得られる。
そのような方法の別の例は、フェノールを添加し、イオン強度を低く保って、製剤条件に類似した溶離液を使用する、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるインスリン自己会合の評価である。広範囲のピークおよび尾を引くピークは、クロマトグラフィー中に変化するいくつかの自己会合状態の兆候である一方で、単一の鋭いピークは、安定した自己会合状態を示す。
一実施形態では、本発明によるインスリン誘導体は、インスリンアスパルトと比較して、良好な化学的および/または物理的安定性を有する。
別の実施形態では、本発明によるインスリン誘導体は、B5YまたはB5F変異を有しない対応するインスリン誘導体と比較して、良好な化学的および/または物理的安定性を有する。
別段本明細書に示されない限り、単数形で提示される用語はまた、複数の状況も含む。
インビトロ生物学
インスリン結合および受容体活性化/リン酸化
インスリン受容体の活性化は、受容体の活性化、すなわち、受容体上のいくつかの残基のリン酸化をもたらし、この活性化が、血漿グルコース濃度を低下に寄与する細胞プロセス、脂質代謝を調節する細胞プロセス、ならびに細胞成長および増殖を促進する細胞プロセスを含む、細胞応答のカスケードをもたらす。
本発明のインスリン誘導体は、インスリン受容体からヒトインスリンを完全に置換することができるが、それらは実際には、インスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する。したがって、本発明のインスリン誘導体は、インスリン受容体リン酸化に関して部分アゴニストと見なすことができ、それらは、「部分インスリン誘導体」と称され得る。
本発明の文脈では、「部分インスリン誘導体」は、インスリン受容体リン酸化を誘発するが、得られる最大応答、すなわち、最大インスリン受容体リン酸化レベルがヒトインスリンによって誘発される最大応答未満である、すなわち、ヒトインスリンによって誘発される最大応答の65%未満である、インスリン類似体として定義される。
準最大の応答または準最大の効果は、ヒトインスリンによって誘発される最大応答よりも低い、本発明の部分インスリン誘導体によって誘発される最大応答として定義することができる。インスリン誘導体が準最大の効果を有するかどうかを決定するためには、該誘導体の最大応答をアッセイで決定し、ヒトインスリンの最大応答と比較しなくてはならない。インスリン誘導体の最大応答は、増加する量のインスリン誘導体の存在下での応答を測定して、用量応答曲線を得ることによって決定することができる。最大応答(最上部)は、用量応答曲線から計算し、ヒトインスリンによって誘発される最大応答と比較することができる。
インスリン結合および受容体リン酸化は、従来の方法および当業者に既知の様々な標準的アッセイによって決定することができる。インビトロ決定のためのそのような標準的アッセイには、インスリン誘導体の相対的親和性が、例えば、細胞全体上、細胞膜画分上、または精製された受容体上のインスリン受容体に特異的に結合した標識化125I−インスリンの50%を置換するのに必要とされるインスリン対インスリン誘導体の比率として定義される、動脈内インスリン放射受容体アッセイ、およびインスリン誘導体がインスリン受容体を活性化する能力が、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)またはウェスタンブロット技術を使用して、例えば、インスリン受容体上のチロシン残基のリン酸化を測定することによって決定される、インスリン受容体リン酸化アッセイが含まれる。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンと比較した場合、およそ65%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンと比較した場合、およそ60%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンと比較した場合、およそ50%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンと比較した場合、およそ40%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンと比較した場合、およそ30%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンと比較した場合、およそ20%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンと比較した場合、およそ15%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンと比較した場合、およそ12%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンと比較した場合、およそ1%またはそれを超えるインスリン受容体のリン酸化を誘発する。
一実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、インスリン受容体のリン酸化を誘発することができる。
インスリン受容体シグナリング
インスリン受容体の活性化は、MAPキナーゼ(MAPK)としても知られる細胞外調節キナーゼ(ERK)、およびタンパク質キナーゼB(PKB)としても知られるAKTを含む、様々な細胞内タンパク質上の残基のリン酸化、および様々な細胞内タンパク質の活性化などの細胞内応答のカスケードを開始する。AKTの活性化は、血糖濃度の低下に寄与する細胞プロセスの誘発にとって重要である一方で、ERKの活性化は、細胞成長および成長する細胞の増殖の促進に寄与する細胞プロセスの誘発にとって重要である。
AKTシグナリング経路は、グルコース低下経路にとって重要なシグナル伝導経路の一例である一方で、AKTは、重要なタンパク質である。2型糖尿病を有する人々では、AKTシグナリング経路の活性化が大幅に障害されており、これが、例えば、骨格筋および脂肪組織へのグルコース取り込みの減少をもたらす。しかしながら、ERKシグナリング経路は、依然としてインスリンに対して反応性であり、治療中に過剰刺激され得る非抵抗性経路の一例である。インスリンによるERK経路の活性化はまた、VSMCの遊走および増殖ならびにコラーゲン合成も促進し、これらは、アテローム硬化性の病変の進行にとって重要なステップである。好ましい実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、ERKシグナリング経路に対する準最大の効果を誘発する。
インスリン活性化シグナリング、例えば、インビトロでERKおよびAKTなどのシグナリング分子をリン酸化する能力を測定するためのアッセイは、当業者に既知であり、それらには、動脈内ウェスタンブロット技術、Surefire、および/またはELISA技術が含まれる。
本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンの効果と比較した場合、AKT活性化(リン酸化)に対してよりもERK活性化(リン酸化)に対して低い準最大の効果を有する。
驚くべきことに、我々は、試験化合物が誘発することができる最大インスリン受容体リン酸化(すなわち、インスリン受容体の局部性の程度)と、それが非抵抗性経路を過剰刺激することなくグルコース低下経路を活性化する能力との間には、相関性が存在することを見出した。例えば、本発明の化合物は、ヒトインスリンと比較した場合、AKT活性化(リン酸化)に対してよりもERK活性化(リン酸化)に対して低い準最大の効果を有し、それらは、血糖値を低減することができるが、例えば、脂質代謝に関連するプロセスに対する改善された効果(より少ない体重増加、より少ない体脂肪量増加、および肝TG低下の増加、ならびに/または内皮機能の改善など)を有する。
局部性は、試験化合物の最大インスリン受容体リン酸化/ヒトインスリンの最大インスリン受容体リン酸化の比率が1未満であるものとして定義される。
一実施形態では、本発明は、インスリン受容体局部性を測定するための方法であって、以下、
a)試験化合物によって誘発される最大インスリン受容体リン酸化を測定するステップと、
b)ヒトインスリンによって誘発される最大インスリン受容体リン酸化を測定するステップとを含み、
a)/b)の比率が、1未満である、を含む、方法に関する。
一実施形態では、該インスリン受容体の局部性は、0.65未満である。
一実施形態では、該インスリン受容体の局部性は、0.6未満である。
一実施形態では、該インスリン受容体の局部性は、0.5未満である。
一実施形態では、該インスリン受容体の局部性は、0.4未満である。
一実施形態では、該インスリン受容体の局部性は、0.3未満である。
一実施形態では、該インスリン受容体の局部性は、0.2未満である。
一実施形態では、該インスリン受容体の局部性は、0.15未満である。
一実施形態では、該インスリン受容体の局部性は、0.12未満である。
選択性は、試験化合物が非抵抗性経路を過剰刺激することなくグルコース低下経路を活性化する能力として定義され、この比率は、1未満である。
一実施形態では、本発明は、選択性を測定するための方法に関し、この方法は、ヒトインスリンと比較した、グルコース低下経路および非抵抗性経路の最大リン酸化を独立して測定することと、グルコース低下経路/非抵抗性経路の間の比率が1未満であるかどうかを決定することとを含む。
一実施形態では、本発明は、選択性を測定するための方法に関し、この方法は、ヒトインスリンと比較した、ERKおよびAKTの最大リン酸化を独立して測定することと、ERK/AKTの間の比率が1未満であるかどうかを決定することとを含む。
一実施形態では、該比率は、0.8未満である。
一実施形態では、該比率は、0.7未満である。
一実施形態では、該比率は、0.6未満である。
一実施形態では、該比率は、0.5未満である。
一実施形態では、該比率は、0.4未満である。
脂質代謝/非抵抗性経路
本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンと比較した場合、非抵抗性経路を過剰刺激することなく血糖値を低下させることができ、例えば、脂質代謝経路に対する準最大の効果を示す。
上述のように、インスリン受容体を介してインスリンによって開始されるシグナリングカスケードは、脂質代謝経路に対する効果を含む広範囲の細胞効果をもたらす。本明細書で定義されるように、「脂質代謝経路」という用語は、インスリンによって誘発または阻害される生物学的作用を網羅し、この作用は、例えば、肝臓内のトリグリセリドの合成に影響を与える。非抵抗性経路の一例は、ERKシグナリング経路である。
好ましい実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンの効果と比較して、初代肝細胞内での新規脂質合成(DNL)に関連する代謝経路に対する準最大の効果を誘発する。肝臓内での脂肪酸合成に対する効果を測定するための標準的アッセイは、当業者に既知であり、それらには、初代肝細胞内での有機抽出可能材料(すなわち、脂質)への14C標識化酢酸塩の変換を測定することによる、新規脂質生成に対する効果を動脈内決定することが含まれる。
インスリン受容体を介してインスリンによって開始されるシグナリングカスケードは、脂質代謝の調節に必要な酵素の誘発をもたらす。そのような酵素の例は、脂肪酸シンターゼ(FAS)である。FASは、脂質合成を調節するように機能する細胞プロセスにおける重要な酵素である。
本発明のインスリン誘導体はまた、ヒトインスリンと比較した場合、脂質合成に関与する因子をコードするmRNA、例えば、初代肝細胞内では本発明のインスリン誘導体によって準最大にしか誘発されないFASに対する、準最大の効果も有する。
インスリンならびにその類似体および誘導体が、脂質代謝経路に関与する遺伝子のmRNA発現を誘発または阻害する能力を測定するための標準的アッセイは、当業者に既知であり、それらには、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を使用してmRNA発現を動脈内測定することが含まれる。
グルコース低下経路
本発明のインスリン誘導体は、脂質代謝などの非抵抗性経路に関連する経路に対してより低い準最大の効果を呈する一方で、それらは、グルコース低下経路に対してヒトインスリンと同じ最大応答を誘発することができる。
本発明の文脈では、「グルコース低下経路」という用語は、インスリンが解糖およびグリコーゲン生成を促進する酵素を活性化し、糖新生に関与する酵素を抑制する(脂肪細胞内での脂質へのグルコース組み込みの促進、および例えば、筋肉内でのグルコース取り込みの増加など)場合の、血漿グルコース濃度の低下を引き起こす、インスリンによって誘発される生物学的作用(肝臓内でのグルコース貯蔵の促進など)を網羅する。
上述のように、インスリン受容体を介してインスリンによって開始されるシグナリングカスケードは、グルコース低下経路に対する効果を含む広範囲の細胞効果をもたらす。血漿グルコース濃度を低下させるように機能するインスリン刺激細胞プロセスの例は、筋肉、脂肪、およびいくつかの他の組織へのグルコースの進入を促進すること、ならびにグリコーゲンの形態でグルコースを貯蔵するように肝臓を刺激することである。AKTシグナリング経路は、グルコース低下経路にとって重要なシグナル伝導経路の一例である一方で、AKTは、重要なタンパク質である。
グルコース低下経路に対するヒトインスリンまたはその類似体および誘導体の効果を測定するためのインビトロアッセイは、既知であり、それらには、グリコーゲン蓄積を測定することによってグリコーゲン合成を決定することができる、単離されたラット肝細胞による動脈内アッセイ、および有機抽出可能材料(すなわち、脂質)に変換された[3−H]グルコースの量を測定する、例えば、ラット脂肪細胞によって実行される、脂質生成アッセイが含まれる。
インスリン受容体を介してインスリンによって開始されるシグナリングカスケードはまた、グルコース低下経路の調節に必要な酵素および転写因子の活性化および/または誘発ももたらす。そのような酵素の一例は、グルコース−6−ホスファターゼ(G6Pc)である。G6Pcは、ピルビン酸塩、乳酸塩、グリセロール、グルコース生成アミノ酸、および奇数鎖脂肪酸などの非炭水化物炭素基質からのグルコースの生成をもたらす、糖新生における律速酵素である。
本発明のインスリン誘導体は、肝細胞内および/または筋肉内でのグリコーゲンの形態のグルコースの刺激貯蔵に対して同じ最大効果を呈する。
本発明のインスリン誘導体は、初代ラット肝細胞内での糖新生に関与する因子をコードするmRNAに対してヒトインスリンと同じ最大効果を有する。
ヒトインスリンおよびその類似体または誘導体が、グルコース低下経路アッセイに関与する遺伝子のmRNA発現を誘発または阻害する能力を測定するための標準的アッセイもまた、当業者に既知であり、それらには、すなわち、定量的RT−PCRを使用してmRNA発現を測定することが含まれる。
本発明のインスリン誘導体は、ヒトインスリンの効果と比較した場合、グルコース低下経路に対する完全な(最大)効果(初代細胞、例えば、筋肉、肝細胞、および/または脂肪細胞内での、糖新生に関与する酵素をコードするmRNAの発現、グリコーゲン合成の刺激、脂質へのグルコース組み込みなど)を呈する。
インスリン誘導体は、初代ラット脂肪細胞内での脂質へのグルコースの刺激組み込みに対してヒトインスリンと同じ最大応答を呈する。
インビボ生物学
別の特定の実施形態では、本発明のインスリン誘導体は、インビボで血糖値を低減することができ、脂質代謝に関連するプロセスに対する改善された効果(ヒトインスリンと比較して、より少ない体重増加、より少ない体脂肪量増加、肝トリグリセリド低下の増加、または内皮機能の改善など)を有し、これらは、任意の好適な動物モデルにおいて、および臨床試験において、当該技術分野で既知のように決定することができる。
C57BL/6J食事誘発性肥満(DIO)マウスは、好適な動物モデルの一例であり、そのようなマウスでは、血糖および/または脂質代謝に関連するプロセスに対する効果(より少ない体重増加、より少ない体脂肪量増加、もしくは肝トリグリセリド低下の増加など)は、例えば、アッセイ(II)に記載のように決定することができる。
血管恒常性を維持し、アテローム動脈硬化症を予防するためには、内皮の構造的および機能的統合性が重要である。内皮機能障害は、血管内皮のいくつかの機能的改変を含み、動脈内皮機能の障害動脈内皮機能の障害は、アテローム動脈硬化症の早期事象であり、循環器疾患の主要なリスク因子に相関する。したがって、これらは、アテローム動脈硬化症および/またはCVDに有益な効果を有するため、内皮機能障害を予防または低減するインスリン誘導体を有することが、主要な利点である。
一実施形態では、本発明は、血糖値を低減することができ、従来のインスリン療法と比較して、内皮機能に対する改善された効果を有する、例えば、内皮機能障害を予防または低減する、インスリン誘導体を提供する。
別の実施形態では、本発明は、糖尿病の対象における循環器疾患を予防もしくは低減し、かつ/またはアテローム動脈硬化症の発症を予防もしくは低減する、インスリン誘導体を提供する。
動脈内皮機能は、例えば、アッセイ(II)に記載のように、腸間膜動脈におけるアセチルコリン誘発性血管弛緩に対する効果の測定などの、当業者に既知の方法によって測定することができる。
肝臓の肝代謝は、糖尿病では著しく調節不全となる。通常、肝臓体積の5%未満が脂肪であるが、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を有する患者では、肝臓重量の最大50%〜80%がほぼトリグリセリドの形態の脂肪からなる可能性があり、例えば、Sanyal,A.J.in“AGA technical review on non−alcoholic fatty liver disease”,Gastroenterology2002;123,1705−1725を参照されたい。
好ましい実施形態では、本発明は、血糖値を低減することができるが、従来のインスリン療法と比較して、より低い肝トリグリセリド含有量をもたらす、インスリン誘導体を提供する。
肝トリグリセリド含有量は、例えば、アッセイ(II)に記載のように、当業者に既知の方法(アッセイII)によって測定することができる。
インスリンペプチドの生成
ポリペプチド、例えば、インスリンの生成は、当技術分野で周知である。インスリンは、例えば、古典的なペプチド合成、例えば、t−BocもしくはFmoc化学または他の確立した技術を使用する固相ペプチド合成によって生成することができ、例えば、Greene and Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,John Wiley&Sons,1999を参照されたい。インスリンはまた、類似体をコードするDNA配列を含有し、好適な栄養培地中、インスリンペプチドの発現を許容する条件下で、インスリン類似体を発現することができる宿主細胞を培養することを含む方法によっても生成することができる。ヒトインスリンおよびヒトインスリン類似体の生成では、いくつかの組み換え方法を使用することができる。Escherichia coliおよびSaccharomyces cerevisiaeなどの微生物におけるインスリンの生成に使用することができる方法の例は、例えば、WO2008/034881に開示されている。
典型的には、インスリン類似体は、例えば、EP1246845またはWO2008/034881に開示される周知の技術によって、当該のインスリン類似体またはその前駆体をコードするDNA配列を、好適な宿主細胞内で発現させることによって生成される。
インスリン類似体は、EP1,246,845に開示されるように、N末端伸長部を用いて発現させてもよい。培養培地への分泌および回収後、インスリン前駆体は、可能性のあるN末端伸長配列および接続ペプチドを除去して、インスリン類似体をもたらすために、様々なインビトロ手順に供される。そのような方法には、US4343898またはUS4916212に記載のように、L−スレオニンエステルの存在下で、トリプシンまたはAchromobacter lyticusプロテアーゼによって酵素変換すること、その後、塩基性または酸性加水分解によって、インスリン類似体のスレオニンエステルをインスリン類似体に変換することが含まれる。
本発明に好適な種類のN末端伸長部の例は、US5395922およびEP765395に開示されている。
非天然アミノ酸残基を含むインスリン類似体では、非天然アミノ酸が、例えば、tRNA変異体の使用によって類似体に組み込まれるように、組み換え細胞は、修飾されるべきである。故に、簡潔に述べると、本発明によるインスリンペプチドは、既知のインスリン類似体の調製に類似して調製される。
タンパク質精製
本発明のインスリン誘導体の作製に使用されるインスリン類似体は、細胞培養培地から回収される。本発明のインスリン誘導体の作製に使用されるインスリン類似体は、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、等電点電気泳動、およびサイズ排除)、電気泳動手順(例えば、分取等電点電気泳動(IEF)、示差溶解度(例えば、硫酸アンモニウム沈殿))、または抽出(例えば、Protein Purification,J.−C.Janson and Lars Ryden,editors,VCH Publishers,New York,1989を参照されたい)を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の様々な手順によって精製することができる。好ましくは、それらは、抗「[インスリン/インスリン類似体/インスリン誘導体]」抗体カラム上で親和性クロマトグラフィーによって精製することができる。高性能液体クロマトグラフィーなどの従来の化学精製手段によって、追加的な精製を達成することができる。クエン酸バリウム沈殿を含む他の精製方法が、当該技術分野で既知であり、本明細書に記載の新規の「[インスリン/インスリン類似体/インスリン誘導体]」の精製に適用することができる(例えば、Scopes,R.,Protein Purification,Springer−Verlag,N.Y.,1982を参照されたい)。
薬学的製剤
本発明のインスリン誘導体を含有する注射可能な組成物は、医薬品産業の従来の技術を使用して調製することができ、これらの技術は、必要に応じて成分を溶解させ、混合して、所望の最終生成物をもたらすことを伴う。したがって、1つの手順によると、本発明のインスリン誘導体を、調製される組成物の最終体積よりも幾分少ない量の水中に溶解させる。等張剤、保存剤、および緩衝液を、必要に応じて添加し、必要に応じて酸(塩酸など)または塩基(例えば、水酸化ナトリウム水溶液など)を使用して、必要に応じて溶液のpH値を調節する。最後に、溶液の体積を、水で調節して、所望の濃度の成分をもたらす。
任意で、本発明のインスリン調製物、例えば、溶液または懸濁液は、本発明のインスリン誘導体を、例えば、約240〜約6000nmol/mlの範囲内の濃度で水性培地中に溶解させることによって調製することができる。例えば、塩化ナトリウム、プロピレングリコール、またはグリセロールを用いて、水性培地を等張性にする。さらに、水性培地は、酢酸塩またはクエン酸塩などの緩衝液、m−クレゾールまたはフェノールおよび亜鉛イオンなどの保存剤を、例えば、最大約12Zn/6insの濃度で含有してもよい。潜在的な沈殿を回避するために、本発明の化合物の等電点に近づきすぎることなく、溶液のpH値を、中和に向かって調節する。最終インスリン調製物のpH値は、本発明のどの化合物が使用されるか、亜鉛イオンの濃度、および本発明の化合物の濃度に依存する。例えば、無菌濾過によって、インスリン調製物を無菌にする。
実施形態
本発明は、以下の非限定的な実施形態によってさらに記載される。
1.インスリン誘導体であって、B5YもしくはB5Fと、アシル基を含む置換基とを含む、インスリン誘導体、またはその薬学的に許容される塩、アミド、もしくはエステル。
2.該インスリン誘導体が、1つ以上のアミノ酸置換および/または欠失をさらに含む、実施形態1に記載のインスリン類似体。
3.該インスリン誘導体が、最大5個の追加のアミノ酸置換および/または欠失をさらに含む、実施形態1または2のいずれかに記載のインスリン誘導体。
4.該インスリン誘導体が、2、3、または4個のアミノ酸置換をさらに含む、実施形態1〜3のいずれかに記載のインスリン誘導体。
5.0該インスリン誘導体が、B26GまたはB26Aをさらに含む、実施形態1〜4のいずれかに記載のインスリン誘導体。
6.0該インスリン誘導体が、B26Gをさらに含む、実施形態5に記載のインスリン誘導体。
7.0該インスリン誘導体が、B26Aをさらに含む、実施形態5に記載のインスリン誘導体。
8.0該置換基が、以下の式(I)を有する、実施形態1〜7のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
Acy−L1−L2−L3
式中、
Acyが、アシル基であり、リトコール酸によって表されるか、または以下の式の官能基によって表されるか、
化学式1:−CO−(CH−COOH、もしくは
化学式2:−CO−(CH−テトラゾリル、
(式中、xが、12〜20の範囲内の整数を表し、テトラゾリル基が、1H−テトラゾル−5−イルである)
または以下の式の脂肪酸によって表され、
化学式3:−CO−(CH−CH
(式中、xが、8〜16の範囲内の整数を表す)
・L1が、不在であり、共有結合を表すか、またはOEG、gGlu、DgGlu、もしくはスルホンイミドC−4を表し、
・L2が、不在であり、共有結合を表すか、またはOEG、gGlu、DgGlu、もしくはスルホンイミドC−4を表し、
・L3が、不在であり、共有結合を表すか、またはOEG、gGlu、DgGlu、もしくはスルホンイミドC−4を表し、
gGluが、ガンマグルタミン酸残基を表し、OEGが、[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルを表す]。
9.該インスリン誘導体が、A14Eをさらに含む、実施形態1〜8のいずれかに記載のインスリン誘導体。
10.該インスリン誘導体が、B28K、B26K、またはB29Kをさらに含む、実施形態1〜9のいずれかに記載のインスリン誘導体。
11.0該インスリン誘導体が、B28Kをさらに含む、実施形態10に記載のインスリン誘導体。
12.0該インスリン誘導体が、B26Kをさらに含む、実施形態10に記載のインスリン誘導体。
13.0該インスリン誘導体が、B29Kをさらに含む、実施形態10に記載のインスリン誘導体。
14.0該置換基が、B26K、B28K、またはB29Kのリジンのエプシロンアミノ基に結合している、実施形態1〜13のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
15.該インスリン誘導体が、desB30、desB29−30、またはdesB27−30をさらに含む、実施形態1〜14のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
16.0該インスリン誘導体が、desB30をさらに含む、実施形態15に記載のインスリン誘導体。
17.0該インスリン誘導体が、desB29−30をさらに含む、実施形態15に記載のインスリン誘導体。
18.0該インスリン誘導体が、desB27−30をさらに含む、実施形態15に記載のインスリン誘導体。
19.該置換が、
i.A14E、B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および4)
ii.A14E、B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および5)
iii.B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および7)
iv.B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および8)
v.B5Y、B28K、desB29−30(配列番号1および9)
vi.A14E、B5F、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および10)
vii.B5F、B28K、desB29−30(配列番号1および11)
viii.B5Y、B26K、desB27−desB30(配列番号1および12)
ix.B5Y、desB30(配列番号1および13)
x.B5Y、B26G、desB30(配列番号1および14)
xi.B5Y、B26A、desB30(配列番号1および15)
xii.B5F、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および6)
xiii.B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および4)
xiv.B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および5)
xv.B5F、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および10)
xvi.A14E、B5F、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および6)
xvii.A14E、B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および7)
xviii.A14E、B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および8)
xix.A14E、B5Y、B28K、desB29−30(配列番号3および9)
xx.A14E、B5F、B28K、desB29−30(配列番号3および11)
xxi.A14E、B5Y、B26K、desB27−desB30(配列番号3および12)
xxii.A14E、B5Y、desB30(配列番号3および13)
xxiii.A14E、B5Y、B26G、desB30(配列番号3および14)
・A14E、B5Y、B26A、desB30(配列番号3および15)からなる群から選択される、実施形態1〜18のいずれかに記載のインスリン誘導体。
20.該アシル基が、リトコール酸であるか、または以下の式の官能基を含むか、
化学式 1:−CO−(CH−COOH、
化学式 2:−−CO−(CH−テトラゾリル、
(式中、xが、12〜20の範囲内の整数を表し、テトラゾリル基が、1H−テトラゾル−5−イルである)
または以下の式の脂肪酸である、
化学式3:−CO−(CH−CH
(式中、xが、8〜16の範囲内の整数を表す)、実施形態1〜19のいずれかに記載のインスリン誘導体。
21.0Acyが、リトコール酸、1,16−ヘキサデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,20−エイコサン二酸、テトラゾール−C16、テトラゾール−C17、テトラゾールC18、およびテトラデカン酸からなる群から選択される、実施形態20に記載のインスリン誘導体。
22.0該置換基が、リトコール酸を含む、実施形態21に記載のインスリン誘導体。
23.0該アシル基が、1,16−ヘキサデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、および1,20−エイコサン二酸から選択される脂肪二酸基を含む、実施形態21に記載のインスリン誘導体。
24.0該少なくとも1つの置換基が、脂肪二酸基1,16−ヘキサデカン二酸を含む、実施形態23に記載のインスリン誘導体。
25.0該少なくとも1つの置換基が、脂肪二酸基1,18−オクタデカン二酸を含む、実施形態23に記載のインスリン誘導体。
26.0該少なくとも1つの置換基が、脂肪二酸基1,20−エイコサン二酸を含む、実施形態23に記載のインスリン誘導体。
27.0該テトラゾール部分が、テトラゾール−C16、テトラゾール−C17、およびテトラゾールC18からなる群から選択される、実施形態21に記載のインスリン誘導体。
28.0該テトラゾール部分が、テトラゾール−C16である、実施形態27に記載のインスリン誘導体。
29.0該テトラゾール部分が、テトラゾール−C17である、実施形態27に記載のインスリン誘導体。
30.0該テトラゾール部分が、テトラゾールC18である、実施形態27に記載のインスリン誘導体。
31.0該脂肪酸が、テトラデカン酸またはC14である、実施形態20に記載のインスリン誘導体。
32.該置換基が、リンカー基を含む、実施形態1〜31のいずれかに記載のインスリン誘導体。
33.0該リンカー基が、不在であり、共有結合によって表される、実施形態1〜31に記載のインスリン誘導体。
34.0−L1−L2−L3が、DgGlu、gGlu、gGlu−gGlu、gGlu−OEG、gGlu−OEG−OEG、OEG、スルホンイミド−C4、およびスルホンイミド−C4−スルホンイミド−C4から選択される二価リンカー基を表し、gGluが、ガンマグルタミン酸残基を表し、OEGが、[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルを表す、実施形態1〜32のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
35.0該二価結合基が、DgGluである、実施形態34に記載のインスリン誘導体。
36.0該二価結合基が、gGluである、実施形態34に記載のインスリン誘導体。
37.0該二価結合基が、gGlu−gGluである、実施形態34に記載のインスリン誘導体。
38.0該二価結合基が、gGlu−OEGである、実施形態34に記載のインスリン誘導体。
39.0該二価結合基が、gGlu−OEG−OEGである、実施形態34に記載のインスリン誘導体。
40.0該二価結合基が、OEGである、実施形態34に記載のインスリン誘導体。
41.0該二価結合基が、スルホンイミド−C4である、実施形態34に記載のインスリン誘導体。
42.0該二価結合基が、スルホンイミド−C4−スルホンイミド−C4である、実施形態34に記載のインスリン誘導体。
43.該置換基が、実施例1〜46の化合物の置換基であり、以下によって独立して表される、実施形態1〜42のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
・リトコール酸
・リトコール酸−gGlu
・C14
・C16二酸
・C16二酸−gGlu
・C18二酸
・C18二酸−gGlu
・C18二酸−2xgGlu
・C18二酸−DgGlu
・C18二酸−gGlu−OEG
・C18二酸−gGlu−2xOEG
・C18二酸−OEG
・C18二酸−スルホンイミド−C4
・C20二酸
・C20二酸−gGlu
・C20二酸−gGlu−OEG
・C20二酸−gGlu−2xOEG
・テトラゾール−C16
・テトラゾール−C16−gGlu−OEG
・テトラゾール−C16−gGlu−2xOEG
・テトラゾール−C16−2xスルホンイミド−C4
・テトラゾール−C17
・テトラゾール−C17−スルホンイミド−C4
・テトラゾール−C18
・テトラゾール−C18−スルホンイミド−C4
・テトラゾール−C18−2xスルホンイミド−C4
44.該置換基が、実施例1〜46の化合物からなる群から選択される、実施形態1〜43のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
45.実施例1〜36の化合物からなる群から選択される、実施形態1〜44のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
46.実施例10〜34の化合物からなる群から選択される、実施形態1〜45のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
47.実施例3、4、12〜16、18〜20、22、23、25、26、28〜30の化合物からなる群から選択される、実施形態1〜46のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
48.実施例14〜16、18、20、および26の化合物からなる群から選択される、実施形態1〜47のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
49.実施例37〜39および46の化合物からなる群から選択される、実施形態1〜48のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
50.実施例40〜45の化合物からなる群から選択される、実施形態1〜49のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
51.実施例15の化合物、N{エプシロン−B28}−[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリンによって表される、実施形態1〜50のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
52.該インスリン誘導体が、ヒトインスリンと比較した場合、およそ65%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する、実施形態1〜51のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
53.該インスリン誘導体が、ヒトインスリンと比較した場合、およそ60%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する、実施形態1〜52のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
54.該インスリン誘導体が、ヒトインスリンと比較した場合、およそ50%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する、実施形態1〜53のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
55.該インスリン誘導体が、ヒトインスリンと比較した場合、およそ40%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する、実施形態1〜53のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
56.該インスリン誘導体が、ヒトインスリンと比較した場合、およそ30%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する、実施形態1〜53のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
57.該インスリン誘導体が、ヒトインスリンと比較した場合、およそ20%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する、実施形態1〜53のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
58.該インスリン誘導体が、ヒトインスリンと比較した場合、およそ12%またはそれ未満のインスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発する、実施形態1〜57のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
59.薬物として使用するための、実施形態1〜58のいずれかに記載のインスリン誘導体。
60.0治療方法において使用するための、実施形態1〜58のいずれかに記載のインスリン誘導体。
61.0循環器疾患の予防または治療において使用するための、実施形態1〜58のいずれかに記載のインスリン誘導体。
62.0アテローム動脈硬化症の予防または治療において使用するための、実施形態1〜58のいずれかに記載のインスリン誘導体。
63.0内皮機能障害の予防または低減において使用するための、実施形態1〜58のいずれかに記載のインスリン誘導体。
64.0脂質パラメータの改善において使用するための、実施形態1〜58のいずれかに記載のインスリン誘導体。
65.0肝トリグリセリド含有量の予防または低減において使用するための、実施形態1〜58のいずれかに記載のインスリン誘導体。
66.0体重増加の予防または低減において使用するための、実施形態1〜58のいずれかに記載のインスリン誘導体。
67.0
・脂質パラメータの改善(脂質異常症の予防および/もしくは治療、総血清脂質の低下、HDL−Cの増加、LDL−Cの低下、小型高密度LDL−Cの低下、VLDL−Cの低下、トリグリセリドの低下、コレステロールの低下、リポタンパク質a(Lp(a))の血漿レベルの低下、またはアポリポタンパク質A(apo(A))の生成の阻害など)、
・循環器疾患(心症候群X、アテローム動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、再灌流傷害、脳卒中、脳虚血、早期心疾患もしくは循環器疾患、左室肥大、冠動脈疾患、高血圧症、本態性高血圧症、急性高血圧性緊急症、心筋症、心不全、運動不耐性、急性および/もしくは慢性心不全、不整脈(arrhythmia)、不整脈(cardiac dysrhythmia)、失神(syncopy)、狭心症、心バイパスおよび/もしくはステント再閉塞、間欠性跛行(閉塞性動脈硬化症(atheroschlerosis oblitterens))、拡張障害、ならびに/または収縮不全など)の予防および/もしくは治療、ならびに/または血圧の低減(収縮期血圧の低減など)、循環器疾患の治療の治療において使用するための、実施形態1〜58のいずれかに記載のインスリン誘導体。
68.実施形態1〜58のいずれかに記載の0インスリン誘導体と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
69.皮下投与のための、実施形態0に記載の薬学的組成物。
70.糖尿病の治療を必要とする患者における糖尿病の治療のための薬学的組成物であって、実施形態1〜58のいずれか一項に記載の治療有効量のインスリン誘導体を、薬学的に許容される担体とともに含む、薬学的組成物。0
71.00薬物として使用するための、実施形態68〜70に記載の薬学的組成物。
72.00および糖尿病および高いリスクの循環器疾患を有する患者の治療において使用するための、実施形態68〜70に記載の薬学的組成物。
73.00および/またはアテローム動脈硬化症の発症を予防または低減する、実施形態68〜70に記載の薬学的組成物。
74.0糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖症、脂質異常症、肥満、メタボリックシンドローム(メタボリックシンドロームX、インスリン抵抗性症候群)、高血圧症、認知障害、アテローム動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中、循環器障害、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、低血圧症、または胃潰瘍の治療または予防のための薬物を製造するための、実施形態1〜58のいずれか一項に記載のインスリン誘導体の使用。
75.脂質パラメータを改善するための方法であって、薬学的に活性な量の実施形態1〜58のいずれかに記載のインスリン誘導体を投与するステップを含む、方法。0
76.脂質パラメータを改善するための方法であって、薬学的に活性な量の実施形態1〜58のいずれかに記載のインスリン誘導体を投与するステップを含み、脂質パラメータの改善が、脂質異常症の予防および/もしくは治療、総血清脂質の低下、HDLの増加、LDL−Cの低下、小型高密度LDL−Cの低下、VLDL−Cの低下、非_HDL−C、トリグリセリドの低下、コレステロールの低下、リポタンパク質a(Lp(a))の血漿レベルの低下、またはアポリポタンパク質A(apo(A))の生成の阻害などである、方法。0
77.0循環器疾患の予防および/または治療のための方法であって、薬学的に活性な量の実施形態1〜58のいずれかに記載のインスリン誘導体を投与するステップを含む、方法。
78.糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖症、脂質異常症、肥満、メタボリックシンドローム(メタボリックシンドロームX、インスリン抵抗性症候群)、高血圧症、認知障害、アテローム動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中、循環器障害、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、または胃潰瘍の治療または予防のための方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の実施形態1〜58のいずれか一項に記載のヒトインスリンの誘導体0を、投与することを含む、方法。
79.中間生成物であって、
i.A14E、B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および4)
ii.A14E、B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および5)
iii.B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および7)
iv.B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および8)
v.B5Y、B28K、desB29−30(配列番号1および9)
vi.A14E、B5F、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および10)
vii.B5F、B28K、desB29−30(配列番号1および11)
viii.B5Y、B26K、desB27−desB30(配列番号1および12)
ix.B5Y、desB30(配列番号1および13)
x.B5Y、B26G、desB30(配列番号1および14)
xi.B5Y、B26A、desB30(配列番号1および15)
xii.B5F、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および6)
xiii.B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および4)
xiv.B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および5)
xv.B5F、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および10)
xvi.A14E、B5F、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および6)
xvii.A14E、B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および7)
xviii.A14E、B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および8)
xix.A14E、B5Y、B28K、desB29−30(配列番号3および9)
xx.A14E、B5F、B28K、desB29−30(配列番号3および11)
xxi.A14E、B5Y、B26K、desB27−desB30(配列番号3および12)
xxii.A14E、B5Y、desB30(配列番号3および13)
xxiii.A14E、B5Y、B26G、desB30(配列番号3および14)
xxiv.A14E、B5Y、B26A、desB30(配列番号3および15)からなる群から選択される骨格を含む、中間生成物、またはその薬学的に許容される塩、アミド、もしくはエステル。
80.化合物の選択性を決定するための方法であって、以下、
・ヒトインスリンと比較した、該化合物によって誘発される最大AKTリン酸化を測定するステップと、
・ヒトインスリンと比較した、該化合物Aによって誘発される最大ERK活性化を測定するステップとを含み、
ERK/AKT比が、1未満である、方法。
81.0該化合物が、インスリン化合物である、実施形態80に記載の方法。
82.0該インスリン化合物が、実施形態1〜58に記載の化合物である、実施形態81に記載の方法0。
薬理学的方法
アッセイ(I)インビトロ生物学
インスリン受容体結合
シンチレーション近接アッセイ(SPA)における競合結合(Glendorf T et al;Biochemistry2008 47 4743−4751によるもの)によって、ヒトインスリン受容体(IR)に対する本発明のインスリン誘導体の相対結合親和性を決定した。
簡潔に述べると、ヒトインスリン標準物質およびインスリン誘導体の希釈系列を、96ウェルプレート内で実行し、その後、SPAビーズ(抗マウスポリビニルトルエンSPAビーズ、GE Healthcare)、抗IRマウス抗体83−7(例えば、Thermo Fisher Scientificから購入可能)、可溶化ヒトIR−A(IR−Aを過剰発現するベビーハムスター腎臓(BHK)細胞から精製)、および結合緩衝液中の[125I−TyrA14]−ヒトインスリンを添加した。インキュベーション後、プレートを遠心分離し、TopCount NXT(Perkin−Elmer Life Sciences)で計数した。
SPAからのデータを、4パラメータのロジスティックモデル(Volund A;Biometrics1978 34 357−365)に従って分析し、類似体の結合親和性を、同じプレート内で測定したヒトインスリン標準物質のものに対して計算した。
本発明の代表的なインスリン誘導体の相対結合親和性を、以下の表1に列挙する。図1は、可溶化IR−Aによる競合結合アッセイからの、ヒトインスリンおよび実施例15の化合物の代表的な受容体結合曲線を示す。
インスリン受容体リン酸化(IRpY1158)
本発明のインスリン誘導体がインスリン受容体(IR)の活性化に与える効果を、Hansen BF et al;PLOS One May2012 7e34274によって記載のように、インスリン受容体のインスリンが1158位のチロシン残基をリン酸化する能力によって評価した。
簡潔に述べると、CHO−hIR細胞(インスリン受容体Aを過剰発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞)を、増加する濃度のインスリン類似体で30分間刺激し、氷冷リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、瞬間凍結し、溶解緩衝液中に溶解させた。等量のタンパク質を、ホスホ−IR−ELISAウェル(IRpY1158)に充填し、製造業者のプロトコル(Invitrogen)に従って、測定したリン酸化を測定した。
インスリン受容体リン酸化レベルに対する本発明のインスリン誘導体の最大応答を、増加する濃度の該インスリン誘導体の存在下でのインスリン受容体リン酸化レベルを測定して、用量応答曲線を得ることによって決定した。標準的用量応答曲線を、ベースライン応答(最下部)、最大応答(最上部)、傾斜、およびベースラインと最大との中間の応答を引き起こす薬物濃度(EC50)の4つのパラメータによって定義した。
インスリン受容体リン酸化データ用量応答曲線を、GraphPad Software Inc.のGraphPad Prism7を使用して、非線形回帰(4パラメータモデル(Y=最下部+(最上部−最下部)/(1+10^((LogEC50−X)*ヒル傾斜)))によって適合させた。推定したパラメータ推定値を使用して、各リガンドの最大%を、(最上部(類似体)−最下部(類似体))*100/(最上部(インスリン)−最下部(インスリン))として計算した。
本発明の代表的なインスリン誘導体の最大%値の計算値を、以下の表1に列挙する。図2は、IR−Aを過剰発現するCHO−hIR細胞内でのIRpY1158リン酸化アッセイからの、ヒトインスリンおよび実施例15の化合物のそのような用量応答曲線の例を示す。
したがって、図1および図2から、本発明の代表的な化合物、すなわち、実施例15の化合物が、いかにインスリン受容体からヒトインスリンを完全に置換することができる(図1)が、インスリン受容体の準最大のリン酸化を誘発するにすぎない(図2)ことを理解することができる。
インスリン受容体シグナリング
AKT経路およびERK経路を介した本発明の類似体のインスリン受容体(IR)シグナリングを、従来のウエスタンブロット技術によって、またはアルファスクリーン技術であるSurefireの使用によってのいずれかで評価した。
ウエスタンブロット
簡潔に述べると、CHO−hIR細胞を、増加する濃度のインスリン類似体で10分間刺激し、氷冷PBS中で洗浄し、瞬間凍結し、溶解緩衝液(Biosource)中に溶解させた。等量のタンパク質をゲルに充填し、ニトロセルロース膜にブロットした。リン酸化AKTおよびERKをそれぞれ、ホスホ−AKT(Ser473)(細胞シグナリング番号9271)抗体およびpMAPK 44/42 ERK1/2ウサギ(細胞シグナリング番号4376)抗体を使用して視覚化した。バンド強度を、LAS3000(Fuji)を使用して評価した。
Surefire
細胞を96ウェル組織培養プレートに蒔き、37℃で10分間、インスリンまたはインスリン誘導体で刺激した次の日に、製造プロトコル(AKT1/2/3(p−Ser473)カタログ番号TGRA4S10KおよびERK1/2p−T202/Y204カタログ番号TGRESB10K)に従って分析した。
GraphPad Software IncのGraphPad Prism7における非線形回帰を使用して、各類似体の応答性値(Span)を計算し、インスリンの応答性のパーセント(最大AKT%または最大ERK%)として表した。
図3および4は、IR−Aを過剰発現するCHO−hIR細胞内でのAKTリン酸化アッセイおよびERKリン酸化アッセイからのヒトインスリンおよび実施例15の化合物の代表的な用量応答曲線を示し、本発明の代表的な化合物、すなわち、実施例15の化合物が、ヒトインスリンと比較して、いかにAKTよりも低いERKの準最大の活性化を誘発するかを示す。本発明の代表的なインスリン類似体および基準インスリン誘導体の計算値(最大ERK%/最大AKT%)を、表1に列挙する。
表1に与えられる結果は、ヒトインスリンによって誘発される最大応答の65%未満のインスリン受容体リン酸化を誘発するインスリン誘導体のみが、ヒトインスリンの効果と比較した場合、AKT活性化(リン酸化)に対するよりも低いERK活性化(リン酸化)に対する準最大の効果を有することを示す。
ラット遊離脂肪細胞アッセイにおける効力(脂質生成)
本発明のインスリン誘導体の代謝効力を、単離したラット脂肪細胞を使用して脂質生成によって決定した。このアッセイを、ほぼMoody AJ et al;Horm Metab Res1974 6 12−16(このアッセイの修正バージョンは、Rodbell M;J Biol Chem1964 239 375−380に記載)によって記載のように実行した。
簡潔に述べると、精巣上体脂肪パッドを、殺傷したスプラーグドーリーラットから除去し、コラゲナーゼ(Worthington)を有する分解緩衝液中に置いて、脂肪パッドを単一細胞懸濁液に分解させた。細胞懸濁液を、PBSで洗浄し、細胞を、0.1%または1%のHSA(A−1887、Sigma)およびHEPESを補充したクレブス緩衝液中に再懸濁した。細胞懸濁液アリコートを、D−[3−H]グルコース(PerkinElmer)および増加する濃度のヒトインスリン標準物質またはインスリン誘導体を含有するグルコース溶液とともにインキュベートした。MicroScint−E(PerkinElmer)の添加によってインキュベーションを停止し、プレートをTopCount NXT(PerkinElmer)で計数した。
このデータを、4パラメータのロジスティックモデル(Volund A;Biometrics1978 34 357−365)に従って分析し、類似体の代謝効力を、同じプレート内で測定したヒトインスリン標準物質のものに対して計算した。
本発明の代表的なインスリン誘導体の代謝効力を、以下の表1に列挙する。図5は、本発明の代表的な化合物、すなわち、実施例15の化合物が、初代ラット脂肪細胞内での脂質生成の刺激に対してヒトインスリンと同じ最大効果を有することを示す。
ラット肝細胞の単離
ラット肝細胞を、Berry M N and Friend D S;J Cell Biol1969 43 506−520の修正バージョンを使用してコラゲナーゼ(Sigma)による肝臓の逆行性灌流によって、雄のスプラーグドーリーラットから単離した。
肝細胞を、ヒトインスリン、デキサメタゾン、および胎児仔ウシ血清(Gibco)を補充した培地199(Gibco)中で洗浄し、コラーゲンでコーティングしたプレート(BD BioCoat、BD Biosciences)上に播種し、1〜4時間結合させた。
初代ラット肝細胞内でのグリコーゲン合成の刺激
本発明のインスリン類似体がグリコーゲン蓄積の刺激に与える効果を、M.Kilcoyne et al.,Analytical Biochemistry416(2011)18−26から適応させたPAS(過ヨウ素酸−シッフ)アッセイと称される特異的かつ単純な酵素法を使用して、初代肝細胞(上記の単離手順を参照されたい)内で決定した。この方法は、マイクロタイタープレート比色アッセイ用のPAS試薬染色の適応である。初代ラット肝細胞を、様々なヒトインスリンまたはインスリン誘導体濃度を有する96ウェルプレート内で18〜24時間培養した。細胞グリコーゲン含有量を決定するために、肝細胞を、室温、振盪機内で1%のTriton中に30分間溶解させた。過ヨウ素酸溶液(MQ水中0.1%の過ヨウ素酸+7%の酢酸)(過ヨウ素3951、Sigma社)を、各ウェルに添加し、振盪機内で1分間混合した。その後、プレートを、37℃で90分間インキュベートして、グルコースのヒドロキシル基をアルデヒドに酸化させた。シッフ溶液を添加し、プレートを光から保護し、5分間振盪してから、それらを室温で25分間放置した。その後、SpectraMax分光光度計を使用して、550nmでの吸光度を測定した。データを、GraphPad Prism7で分析し、インスリン類似体の相対代謝効力を、ヒトインスリンのEC50推定値とインスリン類似体のEC50推定値との比率として計算した。
肝細胞内でのグリコーゲン蓄積に対する本発明の代表的なインスリン誘導体の効力を、以下の表1に列挙する。図6、本発明の代表的な化合物、すなわち、実施例15の化合物は、初代ラット肝細胞内でのグリコーゲン蓄積の刺激に対してヒトインスリンと同じ最大効果を有する。
遺伝子発現
本発明のインスリン誘導体が遺伝子発現に与える効果を、初代ラット肝細胞から単離(上記の単離手順を参照されたい)したcDNAに対する定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって決定した。
単離の1日後、肝細胞を、1μMのデキサメタゾンおよび0.1%のHSA(A−1887、Sigma)を補充したアッセイ培地199(Gibco)中、グルカゴンで2時間処理した。プレインキュベーション後、細胞を、アッセイ培地中のヒトインスリンまたはインスリン誘導体で16時間処理し、2、4、および6時間後に新鮮な培地に交換した。
RNAを抽出し、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を使用して、肝細胞から精製した。iScript cDNA合成キット(Bio−Rad)を使用して、RNAからcDNAを生成した。TagMan Fast Advanced Master Mixおよび要求に応じてプライマー/プローブ(Applied BioSystems、Ppib番号Rn03302274_m1 rFAS番号Rn00565347_m1、rG6Pc番号Rn00565347_m1)を使用して、遺伝子発現を決定した。遺伝子発現を、Ppip(cycB、シクロフィリンb)の発現に対して正規化し、GraphPad Software IncのGraphPad Prism7を使用して、S字形の用量応答曲線に適合させた。
図7および8は、初代ラット肝細胞から単離したcDNAに対して実行したfasnおよびg6pcの定量的RT−PCRアッセイからの、ヒトインスリンおよび実施例15の化合物の代表的な用量応答曲線を示す。図7に与えられる結果は、本発明の代表的な化合物、すなわち、実施例15の化合物が、ヒトインスリンと比較した場合、いかにFAS mRNAの準最大の誘発を誘発するかを示す。
図8は、本発明の代表的な化合物、すなわち、実施例15の化合物が、初代ラット肝細胞内で、ヒトインスリンと同じレベルまでG6Pc RNAの発現を阻害することを示す。
新規脂質生成
本発明のインスリン誘導体が脂質の新規合成(DNL)に与える効果を、標識化酢酸塩を使用して、初代肝細胞(上記の単離手順を参照されたい)内で決定した(上記の遮断手順を参照)。
単離の1日後、肝細胞を、グルコース(Sigma)およびヒトインスリンまたはインスリン誘導体を補充したアッセイ培地(培地199(Gibco)、HSA(Sigma))中で24時間プレインキュベートした。プレインキュベーション後、肝細胞を、ヒトインスリンまたはインスリン誘導体および14C標識化酢酸塩(PerkinElmer)を有するアッセイ培地中で24時間処置した。インキュベーション後、細胞を、PBS中で洗浄し、MicroScint−E(PerkinElmer)で溶解させた。
脂質への放射性酢酸塩の組み込み(DNL)を、TopCount NXT(PerkinElmer Life Sciences)を使用して決定し、結果を、GraphPad Software IncのGraphPad Prism7を使用して、S字形の用量応答曲線に適合させた。
図9は、初代ラット肝細胞内での新規脂質生成アッセイからの、ヒトインスリンおよび実施例15の化合物の代表的な用量応答曲線を示し、本発明の代表的な化合物、すなわち、実施例15の化合物が、いかに初代ラット肝細胞内での新規脂質生成に対する準最大の応答を呈するかを示す。
アッセイ(II)糖尿病のマウスを用いた亜慢性インビボ研究
動物および化合物
D12492高脂肪固形飼料の研究食事をする、Jackson Laboratoryからの12週齢の雄のC57BL/6J食事誘発性肥満(DIO)マウスを、施設内で2週間慣らし、その後、短時間イソフルランガス麻酔下、150mg/kgのストレプトゾトシン(STZ)(Sigma)の皮下(s.c.)注射によって糖尿病にした。動物に、2週間かけて安定した糖尿病を発症させてから、体重、血糖値、および血中グリコシル化ヘモグロビン(HbA1c)レベルの測定に基づいて、治療群に割り当てた。動物は、標準的照明および温度条件下で収容し、常時D12492の食事および水への自由なアクセスを有した。
動物を、ビヒクル治療(n=16)、または異なる用量のPK対照薬(対照薬番号5)もしくは実施例15の化合物(1用量群当たりn=26)のいずれかに割り当てた。
試験化合物、すなわち、PK対照薬(対照薬番号5)および実施例15の化合物を、5mMのリン酸塩、140mMの塩化ナトリウム、および70ppmのポリソルベート−20中に製剤化した。
PK対照薬(対照薬番号5)は、アシル化されているが、非部分的なインスリン誘導体である。
治療プロトコル
動物を、それらに割り当てた治療を用いて、1日2回の皮下注射で6週間治療した。注射は、毎日7時30分〜8時30分および19時30分〜20時30分の時間枠で、12時間間隔で与えた。投薬体積は、2mL/kgであり、注射は、NovoPen(登録商標)注射デバイスで投与した。
研究全体を通して、動物を、体重および血糖値について定期的に測定し、血中HbA1cレベルおよび体組成を、研究開始時および完了時に測定した。さらに、PK対照薬(対照薬番号5)および実施例15の化合物の血漿曝露レベルを、評価した。
分析方法
全血をEBIO緩衝液溶液中に希釈し、その後、EKF Diagnostic Biosen自動分析器で測定することによって、血糖濃度を決定した。
全血を溶血緩衝液中に希釈し、その後、Hitachi Cobas6000自動分析器で測定することによって、およびRoche Diagnostics HbA1cキットを使用することによって、血中HbA1cレベルを決定した。
定量的磁気共鳴(EchoMRI−100TM、Echo Medical Systems)によって、非麻酔マウスを体脂肪量および除脂肪量について走査することによって、体組成を決定した。
肝TG含有量を、安楽死の直後に収集した肝組織の試料中で決定した。肝臓試料の均質化、けん化、および遠心分離後、上清中のTG濃度を、Hitachi Cobas6000分析器(Roche)で測定した。その後、TG含有量を、元の均質化した肝臓試料の質量で除し、1mgの肝組織当たりのμmolのTGとして表した。
ワイヤ筋運動記録器にマウントした腸間膜動脈におけるACh誘発性血管弛緩を使用して、HbA1c適合群(ビヒクルn=12、PK対照薬(対照薬番号5)n=15、および実施例15の化合物n=15)においてエクスビボで内皮機能を評価した。動脈を、フェニレフリンで最大緊張度の70%まで事前収縮させ、その後、累積的に増加する用量のAChで刺激した。
PK対照薬(対照薬番号5)および実施例15の化合物の血漿曝露レベルを、院内蛍光酸素チャネリング免疫アッセイ(LOCI)を使用する血漿試料の分析によって決定した。
図10〜14は、ビヒクル、PK対照薬(対照薬番号5)、および本発明の代表的なインスリン類似体(すなわち、実施例15の化合物)を1日2回皮下に6週間投薬した、糖尿病のSTZ−DIOマウスにおける亜慢性インビボ研究からの、メセンタイル動脈のHbA1cレベル、体重、体脂肪量、肝TG、および腸間膜動脈のACh刺激血管弛緩の代表的な曲線を示す。
動物実験は、糖尿病の高脂肪給餌マウスを本発明のインスリン誘導体で治療すると、薬物動態(PK)対照薬(対照薬番号5)と同様に、血糖値を低下させることができることを示した。PK対照薬(対照薬番号5)は、インスリン受容体リン酸化に対する部分アゴニストではないが、マウスにおいて本発明の実施例15の化合物のPKプロファイルに類似したPKプロファイルを有する、アシル化インスリン類似体である。
同じレベルの糖血症制御(HbA1cレベルによって測定)に達するように投薬したPK対照薬(対照薬番号5)に対して、本発明の代表的なインスリン誘導体、すなわち、実施例15の化合物で、糖尿病の高脂肪給餌マウスを亜慢性治療(6週間)すると、有意により少ない体重増加、より少ない体脂肪量増加、肝トリグリセリド(TG)低下の増加、およびエクスビボでのアセチルコリン(ACh)刺激血管弛緩の改善がもたらされた。
したがって、本発明は、血糖値を低減することができるが、脂質代謝に関連するプロセスに対する改善された効果(より少ない体重増加、より少ない体脂肪量増加、および肝TG低下の増加など)、ならびにPK適合対照薬比較して、改善された内皮機能を有する、インスリン誘導体を提供する。
略語一覧
ACh−アセチルコリン
AKT−タンパク質キナーゼB(PKB)
BHK−ベビーハムスター腎臓
CHO−チャイニーズハムスター卵巣
CPM−カウント毎分
CVD−循環器疾患
DIO−食事誘発性肥満
DNL−新規脂質生成
DPM−壊変毎分
ELISA−酵素結合免疫吸着アッセイ
ERK−細胞外調節キナーゼ(MAPKとしても知られる)
FAS−脂肪酸シンターゼ
G6Pc−グルコース−6−ホスファターゼ
HbA1c−グリコシル化ヘモグロビン
HEPES−4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸
HI−ヒトインスリン
HSA−ヒト血清アルブミン
IR−インスリン受容体
IR−A−インスリン受容体アイソフォームA
LOCI−蛍光酸素チャネリング免疫アッセイ
MAPK−ミトゲン活性化タンパク質キナーゼ(ERKとしても知られる)
NAFLD−非アルコール性脂肪性肝疾患
PAS−過ヨウ素酸溶液
PBS−リン酸緩衝食塩水
PK−薬物動態
PKB−タンパク質キナーゼB(AKTとしても知られる)
Ppip−シクロフィリンb(cycB)
RT−PCR−リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応
SPA−シンチレーション近接アッセイ
SREPB1c−ステロール調節エレメント結合転写因子1c
STZ−ストレプトゾトシン
STZ−DIO−ストレプトゾトシンで治療した食事誘発性肥満
TG−トリグリセリド
安定性
本発明のインスリン誘導体の安定性を、示差走査熱量測定(DSC)およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して評価した
示差走査熱量測定(DSC)によるインスリン誘導体自己会合および安定性の評価
製剤
インスリン誘導体を、約0.2mMまで溶解させ、水酸化ナトリウムおよび塩酸でpHを約7.6に調節した。2.5Mの酢酸、4mMのL−アルギニン、および20体積%のアセトニトリルを含有する溶離液を有する、SEC Waters PROTEIN PAK125(250*8mm)によって、1ml/分の流量および環境温度で、濃度を決定した。Paceによる吸収係数補正を使用する、ヒトインスリン基準物に対する280nmでの検出。
0.1mMの最終インスリン誘導体濃度に、16mMのフェノール、7mMのリン酸塩、10mMのNaCl、および0.1mMの酢酸亜鉛を添加した。塩酸および水酸化ナトリウムでpHを7.4に調節した。
MicroCal VP−Capillary DSC(Malvern Instruments Ltd)を使用して、データ収集を実行した。全ての走査を、20℃〜110℃、4℃の/分の走査速度で、基準細胞内でビヒクル(インスリン試料と同じであるが、インスリンおよび酢酸亜鉛を有しない組成物)を用いて実行した。機器フィードバックモードを「低」に設定し、データフィルタリング期間を2秒間に設定した。緩衝液間基準走査(前述のビヒクルで実行)を、濃縮正規化およびベースライン作成前に、各試料走査から減算した。インスリン亜鉛複合体は、インスリンに関して六量体以外の会合状態にある可能性があるが、単純化のために、亜鉛安定化インスリン複合体は、六量体と称されることに留意されたい。
(T開始)および六量体アンフォールディングピークの中間点(Tm、六量体)を、異なるインスリン誘導体について比較し、T開始およびTm、六量体の値を、表2に示す。結果は、B5Tyr変異およびB5Phe変異がインスリン亜鉛六量体に対して高度に安定した効果を有することを示す。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるインスリン誘導体自己会合の評価
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、インスリン誘導体自己会合を評価する一般的方法である。
製剤
インスリン類似体を、約2mMまで溶解させ、水酸化ナトリウムおよび塩酸でpHを7.6に調節した。2.5Mの酢酸、0.065%のL−アルギニン、および20体積%のアセトニトリルを含有する溶離液を有する、SEC Waters PROTEIN PAK125(250*8mm)によって、1ml/分の流量および環境温度で、濃度を決定した。Pace CN[Pace CN,Protein Science(1995)4,2411−2433]による吸収係数補正を使用する、ヒトインスリン基準物に対する280nmでの検出。
0.6mMの最終インスリン誘導体濃度に、1.6%のグリセロール、30mMのフェノール、7mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、および0.3mMの酢酸亜鉛を添加した。pHを、塩酸および水酸化ナトリウムでpH7.6に調節した。
インスリン誘導体製剤条件をシミュレートするために、溶離液は、16mMのフェノール、20mMの塩化ナトリウム、および塩酸によってpH7.3に調節された10mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含んだ。使用したカラムは、Waters Corporation、Milford,MA,USAのACQUITY UPLC(登録商標)BEH200(150*4.6mm、d=1.7μm)であった。流量は0.3mL/分、注射体積は20μL、紫外線検出は286nmであった。カラム温度は、23℃に維持した。
図15〜19は、SEC実験からの代表的なクロマトグラムを示す。様々なピークが広範囲であり、尾を引いており、これは、いくつかの重複する自己会合状態を示すため、図15は、対照薬化合物、すなわち、対照薬9が、製剤中でいかに不安定であったかを示す。対照的に、クロマトグラムが優勢な単一の鋭いピークを示したため、図16〜19に与えられる結果は、本発明の代表的な化合物、すなわち、実施例3、11、12、および15の化合物が、製剤中でいかに安定しているかを示す。
本発明の特定の特徴を本明細書に例示し、記載している一方で、ここで多くの修正、置換、変更、および均等物が当業者に想起されるであろう。したがって、添付の実施形態が、本発明の真の趣旨の範囲内にある全てのそのような修正および変更を網羅することが意図されることを理解されたい。
一般的調製方法
以下の実施例および一般的手順は、本明細書および合成スキームにおいて特定される中間化合物および最終生成物に言及する。本発明の化合物の調製について、以下の実施例を使用して詳細に記載しているが、記載の化学反応は、本発明の化合物の調製に対するそれらの一般的適用可能性に関して開示されている。
時には、本発明の開示された範囲内に含まれる各化合物に対して、反応が記載どおりには適用可能でないこともあり得る。これが生じる化合物は、当業者によって容易に認識されるであろう。これらの場合、当業者に既知の従来の修正によって、すなわち、干渉する基の適切な保護、他の従来の試薬への変更、または反応条件の通例の修正によって、反応を首尾よく実行することができる。
代替的には、本明細書に開示される他の反応または別の従来の反応が、本発明の対応する化合物の調製に適用されることとなる。全ての調製方法では、全ての出発材料は既知であるか、または既知の出発材料から容易に調製することができる。全ての温度は摂氏温度で明記されており、別段示されない限り、固体に言及する場合の全ての部およびパーセンテージは重量によるものであり、溶媒および溶離液に言及する場合の全ての部は体積によるものである。
本発明の化合物は、当該技術分野で典型的な以下の手順のうちの1つ以上を用いることによって精製することができる。これらの手順は、個人の嗜好により、必要に応じて、勾配、pH、塩、濃度、流動、カラムなどに関して修正することができる。不純物プロファイル、当該のインスリンの溶解度などの因子に応じて、これらの修正は、当業者によって容易に認識され、行われ得る。
(方法1)調製例−骨格発現および精製
骨格発現
インスリンペプチド骨格、すなわち、本発明による使用のための二本鎖非アシル化インスリン類似体は、例えば、US6500645に開示されるものなどの周知の技術によって、好適な宿主細胞内で当該のインスリン骨格をコードするDNA配列を発現させることによって組み換え生成される。インスリンペプチド骨格は、直接発現されるか、またはB鎖上および/もしくはB鎖とA鎖との間の接続ペプチド(C−ペプチド)上にN末端伸長部を有し得る前駆体分子として発現されるかのいずれかである。このN末端伸長部およびC−ペプチドは、好適なプロテアーゼ、例えば、Achromobactor lyticusプロテアーゼ(ALP)またはトリプシンによって、インビトロで切断されており、したがって、それぞれB1位およびA1位の隣に切断部位を有する。本発明による使用に好適な種類のN末端伸長部およびC−ペプチドは、例えば、US5395922、EP765395、およびWO9828429A1に開示されている。
本発明による使用のためのインスリン類似体ペプチド骨格前駆体をコードするポリヌクレオチド配列は、確立された方法、例えば、Beaucage et al;Tetrahedron Letters1981 22 1859−1869によって記載されるホスホアミダイト法、またはMatthes et al;EMBO Journal1984 3 801−805によって記載される方法によって合成的に調製することができる。ホスホアミダイト法によると、オリゴヌクレオチドを、例えば、自動DNA合成機内で合成し、精製し、二本鎖化し、連結して、合成DNA構築物を形成する。DNA構築物を調製する現在好ましい方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるものである。
組み換え方法は、典型的には選択された微生物内または宿主細胞内で複製することができ、かつ本発明による使用のためのインスリンペプチド骨格前駆体をコードするポリヌクレオチド配列を担持するベクターを使用する。組み換えベクターは、自己複製ベクター、すなわち、染色体外の実体として存在するベクターであってもよく、その複製は、染色体(例えば、プラスミド、染色体外要素、ミニ染色体、または人工染色体)の複製とは独立している。ベクターは、自己複製を確保するための任意の手段を含有してもよい。代替的には、ベクターは、宿主細胞内への導入時にそのゲノムに組み込まれ、それが組み込まれた染色体(複数可)と一緒に複製されるものであり得る。さらに、単一ベクターもしくはプラスミド、または宿主細胞のゲノム内に導入される総DNAを合わせて含有する2つ以上のベクターもしくはプラスミド、あるいはトランスポゾンを使用してもよい。ベクターは、直鎖状または閉環状プラスミドであってもよく、好ましくは宿主細胞のゲノム内へのベクターの安定した組み込み、またはゲノムとは独立した細胞内でのベクターの自己複製を許容する要素(複数可)を含有する。
組み換え発現ベクターは、酵母内で複製することができるものであり得る。酵母内でのベクターの複製を可能にする配列の例は、酵母プラスミド2μm複製遺伝子のREP1〜3および複製開始点である。
ベクターは、トランスフォーム細胞の容易な選択を許容する、1つ以上の選択可能マーカーを含有してもよい。選択可能マーカーは、殺生物またはウイルス抵抗性、重金属に対する抵抗性、および栄養要求体への原栄養性などを提供する遺伝子産物である。細菌選択可能マーカーの例は、Bacillus subtilisもしくはBacillus licheniformisのdal遺伝子、またはアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、もしくはテトラサイクリン抵抗性などの抗生物質抵抗性を与えるマーカーである。糸状菌宿主細胞内で使用するための選択可能マーカーには、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、pyrG(オロチジン5’−リン酸デカルボキシラーゼ)、およびtrpC(アントラニル酸シンターゼ)が含まれる。酵母宿主細胞に好適なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、およびURA3である。酵母によく適した選択可能マーカーは、Schizosaccharomyces pompeTPI遺伝子(Russell;Gene1985 40 125−130)である。
ベクターでは、ポリヌクレオチド配列は、好適なプロモーター配列に動作可能に接続される。プロモーターは、変異型、切断型、混成型プロモーターを含む、選択される宿主細胞内で転写活性を示す任意の核酸配列であってもよく、宿主細胞に対して相同または異種のいずれかである細胞外または細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
細細菌宿主細胞内の転写を指向するのに好適なプロモーターの例は、E.colilacオペロン、Streptomyces coelicolorアガラーゼ遺伝子(dagA)、Bacillus subtilisレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、Bacillus licheniformisアルファ−アミラーゼ遺伝子(amyL)、Bacillus stearothermophilusマルトジェニック(maltogenic)アミラーゼ遺伝子(amyM)、Bacillus amyloliquefaciensアルファ−アミラーゼ遺伝子(amyQ)、およびBacillus licheniformisペニシリナーゼ遺伝子(penP)から得られるプロモーターである。糸状菌宿主細胞内の転写を指向するのに好適なプロモーターの例は、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Aspergillus niger中性アルファ−アミラーゼ、およびAspergillus niger酸安定性アルファ−アミラーゼの遺伝子から得られるプロモーターである。酵母宿主では、有用なプロモーターは、Saccharomyces cerevisiaeのMa1、TPI、ADH、TDH3、またはPGKプロモーターである。
本発明による使用のためのインスリンペプチド骨格をコードするポリヌクレオチド配列はまた、典型的には好適な転写終結コドンにも動作可能に接続される。酵母では、好適な転写終結コドンは、TPI転写終結コドン(Alber et al;J.Mol.Appl.Genet.1982 1 419−434)である。
本発明による使用のためのインスリンペプチド骨格をコードするポリヌクレオチド配列と、プロモーターと、転写終結コドンとをそれぞれ組み合わせて、それらを、選択された宿主内での複製に必要な情報を含有する好適なベクター内に挿入するために使用される手順は、当業者に周知である。ベクターは、本発明による使用のためのインスリン骨格をコードするDNA配列全体を含有するDNA構築物を最初に調製し、その後、この断片を好適な発現ベクター内に挿入することによって、または個々の要素(シグナルおよびプロペプチド(B鎖のN末端伸長部)、C−ペプチド、A鎖およびB鎖など)のゲノム情報を含有するDNA断片を連続的に挿入し、その後、連結することのいずれかによって、構築され得ることが理解されるであろう。
本発明による使用のためのインスリン骨格をコードするポリヌクレオチド配列を含むベクターは、宿主細胞内に導入され、その結果、そのベクターは、染色体組み込み体として、または自己複製する染色体外ベクターとして維持される。「宿主細胞」という用語は、複製中に生じる変異のために親細胞と同一ではない、親細胞の任意の子孫を包含する。宿主細胞は、単細胞微生物(例えば、原核生物)であっても、非単細胞微生物(例えば、真核生物)であってもよい。有用な単細胞は、Bacillus細胞、Streptomyces細胞を含むがこれらに限定されない、グラム陽性細菌、またはE.coliおよびPseudomonas spなどのグラム陰性細菌などの細菌細胞である。真核細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、または真菌細胞であり得る。
宿主細胞は、特に酵母細胞であってもよい。酵母生物は、培養時にインスリンペプチド骨格またはその前駆体を培養培地中に分泌する、任意の好適な酵母生物であり得る。好適な酵母生物の例には、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces kluyveri、Schizosaccharomyces pombe、Sacchoromyces uvarum、Kluyveromyces lactis、Hansenula polymorpha、Pichia pastoris、Pichia methanolica、Pichia kluyveri、Yarrowia lipolytica、Candida sp.、Candida utilis、Candida cacaoi、Geotrichum sp.、およびGeotrichum fermentansから選択される株が含まれる。
酵母細胞の形質転換は、例えば、原形質体形成、その後、既知の方法による形質転換によってもたらされ得る。細胞の培養に使用される培地は、酵母生物の成長に好適な任意の従来の培地であり得る。
骨格精製
分泌されたインスリンペプチド骨格またはその前駆体は、遠心分離による、濾過による、またはイオン交換マトリックスもしくは逆相吸収マトリックス上へのインスリンペプチド骨格もしくはその前駆体の捕獲による、上清のタンパク質性構成成分の沈殿、または塩(例えば、硫酸アンモニウム)による濾過、その後の様々なクロマトグラフィー手順(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーなど)による精製による、培地からの酵母細胞の分離を含む、従来の手順によって、培地から回収することができる。
本発明のインスリンペプチド骨格の精製および消化は、以下のとおり実行される。
B鎖のN末端伸長部およびB鎖とA鎖との間の修飾C−ペプチドを含有し得る、単鎖インスリンペプチド骨格前駆体を精製し、カチオン交換によって酵母培養上清から濃縮した(Kjeldsen et al;Prot.Expr.Pur.1998 14 309−316)。単鎖インスリンペプチド骨格前駆体は、リジン特異的固定化ALP(Kristensen et al;J.Biol.Chem.1997 20 12978−12983)を用いた消化によって、またはトリプシンを使用して、存在する場合、B鎖のN末端伸長部、およびC−ペプチドを切断することによって、二本鎖インスリンペプチド骨格へと成熟される。
ALP消化
インスリンペプチド骨格前駆体を含有するカチオン交換クロマトグラフィーステップからの溶出液を、15〜20%のエタノール濃度まで水で希釈する。15mMの濃度までグルタミン酸ナトリウムを添加し、NaOHによってpHを9.7に調節する。固定化ALP(4グラム/L)を、1:100(体積:体積)の割合で添加し、室温で一晩穏やかに撹拌しながら消化を進行させることを可能にする。
消化反応を、C18カラムを使用するWaters Acquity Ultra−Performance Liquid Chromatographyシステムで分析LCによって分析し、分子量を、マトリックス補助レーザー脱着イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析(MS)(Bruker Daltonics Autoflex II TOF/TOF)によって確認する。
固定化ALPを、0.2μmのフィルターを使用する濾過によって除去する。二本鎖インスリンペプチド骨格を、アセトニトリル勾配を使用するC18カラム上で逆相HPLC(Waters600システム)によって精製する。所望のインスリンペプチド骨格、すなわち、B28K desB29−B30ヒトインスリンを、凍結乾燥によって回収する。
トリプシン消化
インスリンペプチド骨格前駆体を含有するカチオン交換クロマトグラフィーステップからの溶出液を、15〜20%のエタノール濃度まで水で希釈する。50mMの濃度までグリシンを添加し、NaOHによってpHを9.0〜9.5に調節する。トリプシンを、1:300(重量:重量)の割合で添加し、消化を4度で進行させることを可能にする。消化を、消化が完了するまで20分毎に分析的に監視する。消化を、3:100(体積:体積)の割合の1Mのクエン酸を添加して終結させる。
消化反応を、C18カラムを使用するWaters Acquity Ultra−Performance Liquid Chromatographyシステムで分析LCによって分析し、分子量を、MALDI−TOF MS(Bruker Daltonics Autoflex II TOF/TOF)によって確認する。
二本鎖インスリンペプチド骨格を、アセトニトリル勾配を使用するC18カラム上で逆相HPLC(Waters600システム)によって精製する。所望のインスリンペプチド骨格を、凍結乾燥によって回収する。
純度を、C18カラムを使用するWaters Acquity Ultra−Performance Liquid Chromatographyシステムで分析LCによって決定し、分子量を、MALDI−TOF MSによって確認する。
(方法2)調製例−アシル化および精製手順
精製手順
精製方法1
カラム:Waters xBridge PrepC18、30×250mm
流量:20ml/分
緩衝液A:水中0.1%のTFA
緩衝液B:アセトニトリル中0.1%のTFA
勾配:40分間かけて20〜45%のB、または30〜40%のB、または20〜60%のB、または20〜40%のB、または25〜50%のB、または20〜55%のB、または30〜45%のB
精製方法2
カラム:Phenomenex、5u、C18、110Å、30×250mm
流量:20ml/分
緩衝液A:水中0.1%のTFA
緩衝液B:アセトニトリル中0.1%のTFA
勾配:80分間かけて10〜60%のB、または95分間かけて0〜60%のB、または60分間かけて25〜55%のB
アシル化試薬の調製のための一般的手順
単純な二酸:NHS活性化一酸を、二酸−モノ−t−ブチルエステルをNMP中のTSTUおよびDIPEAで活性化することによって調製し、直接使用するか、または二酸−モノ−NHSエステルを調製し、単離するかのいずれかにした。tert−ブチル保護されたアシル化試薬を使用した場合、結果として得られるインスリン誘導体を、TFAで処理することによって脱保護した。
OEGリンカーを有する二酸:試薬を、Fmoc化学を使用するクロロトリチル樹脂上での段階的な固相合成によって作製し、HFIP、TFA、HFIP/DCM混合物、またはTFA/DCM混合物を用いて樹脂から切断した。
いくつかのアシル化剤を調製し、単離し、いかなる保護基も有しないNHS−エステルとして使用した。
一般的アシル化手順1
100mgの適切なインスリン類似体を、1.2mlの0.1M Na2CO3および0.6mlのNMP中に溶解させ、pHを10.7±0.3に調節した。必要に応じて4M NaOHを添加することによってpHを10.7±0.3に維持した状態で、0.3mlのNMP中0.03mmolのアシル化試薬を添加した。30〜60分後、反応が完了し、生成物を、40mlのイソプロパノールを添加することによって沈殿させ、遠心分離し、エーテルで洗浄し、乾燥させた。代替的には、生成物を、30mlの水で希釈すること、およびpHを4.5〜5.0に調節することによって単離してもよく、これは、等電沈殿をもたらした。代替的には、反応混合物を、酢酸またはTFAで酸性化し、直ちに精製した。
その後、生成物を、上述のTFA−アセトニトリル中の逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によって精製し、純粋な画分を、凍結乾燥した。生成物の同一性を、マトリックス補助レーザー脱着イオン化質量分析(MALDI−MSまたは超高性能液体クロマトグラフィー(UPLC)/エレクトロスプレー−MSによって確認した。
場合によっては、合成の規模を調節して、より多くの量またはより少ない量を生成するようにした。その場合、全ての量の出発材料、試薬、および溶媒の規模を、同一の因子によって調節した。
修正1
アシル化試薬がtert−ブチル保護基を含有した場合、ソプロパノールまたは等電沈殿後の生成物を、5mlのTFAまたはTFA:水(95:5)中に5分間溶解させ、35mlのエーテルで沈殿させ、エーテルで2回洗浄し、乾燥させた。
修正2
アシル化試薬がtert−ブチル保護基を含有する場合、粗イソ沈殿生成物を、5mlのTFAまたはTFA:水(95:5)またはTFA:トリイソプロピルシラン(99:1)中に溶解させた。溶液を、20〜30分間撹拌し、その後、水で、場合によっては追加的にDMSOまたはNMFのいずれかで希釈し、分取HPLCによって直ちに精製した。
修正3
反応混合物中でのアシル化試薬の溶解性が不良である場合には、より多くのNMPを添加し(最大1ml)、反応混合物を、短時間に37℃まで加温した。
一般的アシル化手順2
100mgの適切なインスリンを、2mlのDMSO中に溶解させ、40ulのバートン塩基(2−t−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン)を添加した。20umolのアシル化剤を添加し、1分後に反応が完了した。反応混合物を、酸性化し、水中に希釈し、直ちに精製した。
(方法3)インスリン誘導体の化学合成
インスリンA鎖を、標準的Fmocペプチド合成によって、例えば、PreludeまたはLiberty合成機で合成した。脱保護を、DMF中10%または20%のピペリジンで実行した。Cys6、11、および20がTrt保護基を有し、Cys7がAcmを有したことを除いて、全ての保護基は標準的なものであった。C末端残基がAsnであった場合、ペプチドを、Fmoc−Asp−OButを有するPALまたはRink樹脂上で第1のアミノ酸として合成した。
合成後、樹脂をDCMで洗浄し、DCM/HFIP(4:1)中1%のヨウ素で1分間処理し、DCM/HFIP(4:1)中で15分間インキュベートし、これは、A6〜A11ジスルフィドの形成をもたらした。DCMで洗浄し、乾燥させた後、ペプチドを、TFA/水/DPDS(93:5:2)で切断し、これは、Cys20上にピリジルスルフィドを有するインスリンA鎖を提供した。エーテル沈殿、洗浄、および乾燥は、粗A鎖をもたらし、これをその後の鎖の組み合わせで使用した。
インスリンB鎖を、標準的Fmocペプチド合成によって、例えば、LibertyまたはPrelude合成機で合成した。樹脂は、例えば、事前充填したWang樹脂であった。Cys7がAcmを有し、Cys19がTrtを有したことを除いて、全ての保護基は標準的なものであった。
切断を、TFA/水/TIPS(93:4:3)で実行した。エーテル沈殿、洗浄、および乾燥は、粗B鎖をもたらし、これをその後の鎖の組み合わせで使用した。
側鎖修飾リジンを有するインスリン誘導体が所望される場合、修飾を、ペプチド合成中に導入した。修飾されるリジンを、Fmoc−リジン(Mtt)−OHとして導入し、ペプチドのN末端を、(最終カップリングステップでBoc保護されたアミノ酸をカップリングすることによって、または樹脂結合ペプチドとDMF中5当量のBoc−無水物とを反応させることによってのいずれかで)Bocで保護した。Mtt基を、樹脂をDMF/HFIP(1:4)で30分間処理することによって除去し、側鎖を、ペプチド骨格について記載の標準的Fmoc化学によって合成した。
粗A鎖およびB鎖(各0.14mmol)を、40mlのDMSO中に溶解させた。2mlの2Mトリス緩衝液(pH8.5)を添加し、鎖の組み合わせが、約10分間で完了した。溶液を、40mlのDMSOおよび200mlの40%のアセトニトリル、1%のTFAで希釈した。N−クロロサクシニミドを、5mMの最終濃度まで添加した。これは、10分未満で第3のジスルフィド架橋を形成した。溶液を、600mlの0.2Mトリス(pH7.8)で希釈および中和し、20mMのリン酸塩(pH7.2)中のアセトニトリル勾配を実施するC18カラム上でのRP−HPLCによって精製した。
所望の化合物を含有する画分を組み合わせて、0.1%のTFA中アセトニトリル勾配を有する同じカラム上で再精製した。純粋な画分を組み合わせ、凍結乾燥した。収率は通常、20〜50mgの所望のインスリン誘導体であり、これをその後、UPLCおよびLC−MSによって特性評価した。
本発明のインスリン誘導体の実施例
実施例1:N{エプシロン−B28}−15−カルボキシペンタデカノイル−[TyrB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン]
合成方法3によって合成した。
質量計算値=5903.8、実測値LC−MS m/4=1476.66
実施例2:N{エプシロン−B28}−[(4S)−4−カルボキシ−4−(15−カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]−[TyrB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した。
質量計算値=6032.9、実測値LC−MS m/4=1509.07
実施例3:N{エプシロン−B28}−17−カルボキシヘプタデカノイル−[TyrB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した。
質量計算値=5931.8、実測値LC−MS m/4=1484
実施例4:N{エプシロン−B28}−[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]−[TyrB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6060.9、実測値LC−MS m/4=1516.73
実施例5:N{エプシロン−B28}−[2−[2−[2−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)エトキシ]エトキシ]アセチル]−[TyrB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6077.0、実測値LC−MS m/5=1216.34
実施例6:N{エプシロン−B28}−[(4S)−4−カルボキシ−4−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]−[TyrB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6190.0、実測値LC−MS m/4=1548.37
実施例7:N{エプシロン−B28}−[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[TyrB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6206.1、実測値LC−MS m/4=1552.37
実施例8:N{エプシロン−B28}−[(4S)−4−カルボキシ−4−[[(4R)−4−[(3R,10S,13R,17R)−3−ヒドロキシ−10,13−ジメチル−2,3,4,5,6,7,8,9,11,12,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル]ペンタノイル]アミノ]ブタノイル]−[TyrB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6123.1、実測値LC−MS m/4=1531.7
実施例9:N{エプシロン−B28}−[(4R)−4−[(3R,10S,13R,17R)−3−ヒドロキシ−10,13−ジメチル−2,3,4,5,6,7,8,9,11,12,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル]ペンタノイル]−[TyrB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5993.9、実測値LC−MS m/4=1499.16
実施例10:N{エプシロン−B28}−15−カルボキシペンタデカノイル−[TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5797.7、実測値LC−MS m/4=1449.93
実施例11:N{エプシロン−B28}−17−カルボキシヘプタデカノイル[TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5825.7、実測値MALDI−MS=5825.7
実施例12:N{エプシロン−B28}−17−カルボキシヘプタデカノイル−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5791.6、実測値LC−MS m/3=1931.44
実施例13:N{エプシロン−B28}−[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5920.8、実測値LC−MS m/5=1185.04
実施例14:N{エプシロン−B28}−[(4S)−4−カルボキシ−4−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6049.9、実測値LC−MS m/4=1513.32
実施例15:N{エプシロン−B28}−[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6065.9、実測値LC−MS m/4=1517.34
実施例16:N{エプシロン−B28}−[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(19−カルボキシノナデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6094.0、実測値LC−MS m/4=1524.36
実施例17:N{エプシロン−B28}−[2−[2−[2−[[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(19−カルボキシノナデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6239.1、実測値LC−MS m/4=1560.4
実施例18:N{エプシロン−B28}−[(4S)−4−カルボキシ−4−(19−カルボキシノナデカノイルアミノ)ブタノイル]−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5948.8、実測値LC−MS m/5=1190.69
実施例19:N{エプシロン−B28}−19−カルボキシノナデカノイル−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5819.7、実測値LC−MS m/4=1455.67
実施例20:N{エプシロン−B28}−15−(1H−テトラゾール−5−イル)ペンタデカノイル−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=5787.6、実測値LC−MS m/4=1448.14
実施例21:N{エプシロン−B28}−17−(1H−テトラゾール−5−イル)ヘプタデカノイル−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=5815.7、実測値LC−MS m/4=1455.19
実施例22:N{エプシロン−B28}−16−(1H−テトラゾール−5−イル)ヘキサデカノイル−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=5801.7、実測値LC−MS m/4=1451.6
実施例23:N{エプシロン−B28}−4−[16−(1H−テトラゾール−5−イル)ヘキサデカノイルスルファモイル]ブタノイル−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=5950.8、実測値LC−MS m/4=1488.81
実施例24:N{エプシロン−B28}−4−[4−[15−(1H−テトラゾール−5−イル)ペンタデカノイルスルファモイル]ブタノイルスルファモイル]ブタノイル−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=6086.0、実測値LC−MS m/4=1522.65
実施例25:N{エプシロン−B28}−4−[17−(1H−テトラゾール−5−イル)ヘプタデカノイルスルファモイル]ブタノイル−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=5964.8、実測値LC−MS m/4=1492.41
実施例26:N{エプシロン−B28}−[2−[2−[2−[[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−[15−(1H−テトラゾール−5−イル)ペンタデカノイルアミノ]ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=6207.0、実測値LC−MS m/4=1552.95
実施例27:N{エプシロン−B28}−4−[4−[17−(1H−テトラゾール−5−イル)ヘプタデカノイルスルファモイル]ブタノイルスルファモイル]ブタノイル−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=6114.0、実測値LC−MS m/4=1529.62
実施例28:N{エプシロン−B28}−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルスルファモイル)ブタノイル−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=5940.8、実測値LC−MS m/4=1486.34
実施例29:N{エプシロン−B28}−[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−[15−(1H−テトラゾール−5−イル)ペンタデカノイルアミノ]ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=6061.9、実測値LC−MS m/4=1516.63
実施例30:N{エプシロン−B28}−[(4R)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=5920.8、実測値LC−MS m/4=1481.13
実施例31:N{エプシロン−B28}−[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=6100.0、実測値LC−MS m/4=1525.8
実施例32:N{エプシロン−B28}−[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[GluA14,TyrB5,AlaB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=6079.9、実測値LC−MS m/4=1520.77
実施例33:N{エプシロン−B28}−[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[TyrB5,AlaB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=6114.0、実測値LC−MS m/4=1529.2
実施例34:N{エプシロン−B28}−[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]−[GluA14,TyrB5,AlaB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法2によって合成した。
質量計算値=5934.8、実測値LC−MS m/4=1484.5
実施例35:N{エプシロン−B28}−17−カルボキシヘプタデカノイル−[PheB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5915.8、実測値MALDI−MS=5916
実施例36:N{エプシロン−B28}−17−カルボキシヘプタデカノイル−[GluA14,PheB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5775.6、実測値LC−MS m/4=1444.8
実施例37:N{エプシロン−B26}−17−カルボキシヘプタデカノイル−[TyrB5,LysB26],des−(B27−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5667.6、実測値LC−MS m/3=1889.9
実施例38:N{エプシロン−B26}−[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]−[TyrB5,LysB26],des−(B27−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5796.7、実測値LC−MS m/3=1933.1
実施例39:N{エプシロン−B26}−[2−[2−[2−[[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[TyrB5,LysB26],des−(B27−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6087.0、実測値LC−MS m/4=1522.5
実施例40:N{エプシロン−B29}−[(4S)−4−カルボキシ−4−(15−カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]−[TyrB5],des−ThrB30−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6130.0、実測値LC−MS m/3=2044.3
実施例41:N{エプシロン−B29}−テトラデカノイル−[TyrB5],des−ThrB30−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5942.9、実測値LC−MS m/3=1982
実施例42:N{エプシロン−B29}−[(4S)−4−カルボキシ−4−(15−カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]−[TyrB5,GlyB26],des−ThrB30−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6023.9、実測値MALDI−MS=6026
実施例43:N{エプシロン−B29}−[(4S)−4−カルボキシ−4−(15−カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]−[TyrB5,AlaB26],des−ThrB30−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6037.9、実測値LC−MS m/4=1510.5
実施例44:N{エプシロン−B29}−[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]−[TyrB5,GlyB26],des−ThrB30−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6051.9、実測値MALDI−MS=6052
実施例45:N{エプシロン−B29}−[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]−[TyrB5,AlaB26],des−ThrB30−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=6066.0、実測値MALDI−MS=6065
実施例46:N{エプシロン−B26}−[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[TyrB5,LysB26],des−(B27−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5941.8、実測値LC−MS m/4=1486
対照薬
対照薬1:[TyrB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法1によって合成した
質量計算値=5635.4、実測値MALDI−MS 5635
対照薬2:[TyrB5,GlyB26],des−ThrB30−インスリン
合成方法1によって合成した
質量計算値=5626.4、実測値MALDI−MS=5626
対照薬3:[TyrB5,AlaB26],des−ThrB30−インスリン
合成方法1によって合成した
質量計算値=5640.4、実測値MALDI−MS=5641
対照薬4:[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法1によって合成した
質量計算値=5495.2、実測値LC−MS m/4=1374.83
対照薬5:N{エプシロン−B29}−[(4S)−4−カルボキシ−4−(15−カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]−インスリン
対照薬6:N{エプシロン−B28}−17−カルボキシヘプタデカノイル−[LeuB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5881.8、実測値MALDI−MS=5882
対照薬7:N{エプシロン−B28}−17−カルボキシヘプタデカノイル−[SerB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5875.7、実測値MALDI−MS=5876
対照薬8:N{エプシロン−B28}−17−カルボキシヘプタデカノイル−[AlaB5,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5839.7、実測値MALDI−MS=5840
対照薬9:N{エプシロン−B28}−17−カルボキシヘプタデカノイル−[GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリン
合成方法3によって合成した
質量計算値=5799.7、実測値MALDI−MS=5800

Claims (15)

  1. インスリン誘導体であって、B5YもしくはB5Fと、アシル基を含む置換基と、を含む、インスリン誘導体、またはその薬学的に許容される塩、アミド、もしくはエステル。
  2. 前記インスリン誘導体が、B26GまたはB26Aをさらに含む、請求項1に記載のインスリン誘導体。
  3. 前記アシル基を含む置換基が、B28K、B26K、またはB29Kに結合している、請求項1または2のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
  4. 0前記置換基が、以下の式(I)を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
    Acy−L1−L2−L3
    式中、
    ・Acyが、アシル基であり、リトコール酸によって表されるか、または以下の式のうちの少なくとも1つの官能基を含むか、
    化学式 1:−CO−(CH−COOH、もしくは
    化学式 2:−CO−(CH−テトラゾリル、
    (式中、xが、12〜20の範囲内の整数を表し、テトラゾリル基が、1H−テトラゾル−5−イルである)
    あるいは以下の式の脂肪酸であり、
    化学式 3:−CO−(CH−CH
    (式中、xが、8〜16の範囲内の整数を表す)
    ・L1が、不在であり、共有結合を表すか、またはOEG、gGlu、DgGlu、もしくはスルホンイミドC−4を表し、
    ・L2が、不在であり、共有結合を表すか、またはOEG、gGlu、DgGlu、もしくはスルホンイミドC−4を表し、
    ・L3が、不在であり、共有結合を表すか、またはOEG、gGlu、DgGlu、もしくはスルホンイミドC−4を表し、
    gGluが、ガンマグルタミン酸残基を表し、OEGが、[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルを表す]。
  5. 前記インスリン誘導体が、A14Eおよび/またはdesB30および/またはdesB29−30および/またはdesB27−30をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
  6. 前記置換が、
    i.A14E、B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および4)
    ii.A14E、B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および5)
    iii.B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および7)
    iv.B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および8)
    v.B5Y、B28K、desB29−30(配列番号1および9)
    vi.A14E、B5F、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および10)
    vii.B5F、B28K、desB29−30(配列番号1および11)
    viii.B5Y、B26K、desB27−desB30(配列番号1および12)
    ix.B5Y、desB30(配列番号1および13)
    x.B5Y、B26G、desB30(配列番号1および14)
    xi.B5Y、B26A、desB30(配列番号1および15)
    xii.B5F、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および6)
    xiii.B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および4)
    xiv.B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および5)
    xv.B5F、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および10)
    xvi.A14E、B5F、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および6)
    xvii.A14E、B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および7)
    xviii.A14E、B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および8)
    xix.A14E、B5Y、B28K、desB29−30(配列番号3および9)
    xx.A14E、B5F、B28K、desB29−30(配列番号3および11)
    xxi.A14E、B5Y、B26K、desB27−desB30(配列番号3および12)
    xxii.A14E、B5Y、desB30(配列番号3および13)
    xxiii.A14E、B5Y、B26G、desB30(配列番号3および14)
    xxiv.A14E、B5Y、B26A、desB30(配列番号3および15)からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
  7. 0Acyが、リトコール酸、1,16−ヘキサデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,20−エイコサン二酸、テトラゾール−C16、テトラゾール−C17、テトラゾールC18、およびテトラデカン酸からなる群から選択される、請求項6に記載のインスリン誘導体。
  8. 0−L1−L2−L3が、DgGlu、gGlu、gGlu−gGlu、gGlu−OEG、gGlu−OEG−OEG、OEG、スルホンイミド−C4、およびスルホンイミド−C4−スルホンイミド−C4から選択される二価結合基を表す、請求項6に記載のインスリン誘導体。
  9. 前記インスリン誘導体が、実施例15の化合物、N{エプシロン−B28}−[2−[2−[2−[[(4S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]−[GluA14,TyrB5,GlyB26,LysB28],des−(B29−B30)−インスリンである、請求項1〜8のいずれかに記載のインスリン誘導体。
  10. 中間生成物であって、
    i.A14E、B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および4)
    ii.A14E、B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および5)
    iii.B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および7)
    iv.B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および8)
    v.B5Y、B28K、desB29−30(配列番号1および9)
    vi.A14E、B5F、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および10)
    vii.B5F、B28K、desB29−30(配列番号1および11)
    viii.B5Y、B26K、desB27−desB30(配列番号1および12)
    ix.B5Y、desB30(配列番号1および13)
    x.B5Y、B26G、desB30(配列番号1および14)
    xi.B5Y、B26A、desB30(配列番号1および15)
    xii.B5F、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および6)
    xiii.B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号1および4)
    xiv.B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および5)
    xv.B5F、B26G、B28K、desB29−30(配列番号1および10)
    xvi.A14E、B5F、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および6)
    xvii.A14E、B5Y、B26A、B28K、desB29−30(配列番号3および7)
    xviii.A14E、B5Y、B26G、B28K、desB29−30(配列番号3および8)
    xix.A14E、B5Y、B28K、desB29−30(配列番号3および9)
    xx.A14E、B5F、B28K、desB29−30(配列番号3および11)
    xxi.A14E、B5Y、B26K、desB27−desB30(配列番号3および12)
    xxii.A14E、B5Y、desB30(配列番号3および13)
    xxiii.A14E、B5Y、B26G、desB30(配列番号3および14)
    xxiv.A14E、B5Y、B26A、desB30(配列番号3および15)からなる群から選択される骨格を含む、中間生成物、
    またはその薬学的に許容される塩、アミド、もしくはエステル。
  11. 0薬物として使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
  12. 0糖尿病、循環器疾患、アテローム動脈硬化症、および/もしくは内皮機能障害の予防もしくは治療において使用するため、ならびに/または肝トリグリセリド含有量を予防もしくは低減するため、ならびに/または体重増加を予防もしくは低減するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインスリン誘導体。
  13. 0糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖症、脂質異常症、肥満、メタボリックシンドローム(メタボリックシンドロームX、インスリン抵抗性症候群)、高血圧症、認知障害、アテローム動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中、循環器障害、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、低血圧症、または胃潰瘍の治療または予防のための薬物を製造するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインスリン誘導体の使用。
  14. 糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖症、脂質異常症、肥満、メタボリックシンドローム(メタボリックシンドロームX、インスリン抵抗性症候群)、高血圧症、認知障害、アテローム動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中、循環器障害、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、低血圧症、または胃潰瘍の治療または予防のための方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1〜0のいずれか一項に記載のインスリン誘導体、または請求項0に記載のインスリン類似体を、投与することを含む、方法。
  15. インスリン化合物の選択性を決定するための方法であって、以下、
    ・ヒトインスリンと比較した、前記インスリン化合物によって誘発される最大AKTリン酸化を測定するステップと、
    ・ヒトインスリンと比較した、前記インスリン化合物によって誘発される最大ERK活性化を測定するステップと、を含み、
    ERK/AKT比が、1未満である、方法。
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