JP2020530004A - 核酸を高濃度で含む製剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】核酸を高濃度で含む製剤に関する。【解決手段】複数の非経口経路で投与することができる、低粘度で高濃度の核酸組成物は、市場に現在流通している核酸製品よりも、投与の頻度を減らし得る。特に、皮下、筋肉内、及び、腹腔内投与のための低粘度デフィブロタイド製剤は、患者にとって利便性が高く、及び/または、院外で投与する。本発明の製剤は、例えば、末梢動脈障害の処置、急性腎不全の処置、急性心筋虚血の処置、及び、類洞閉塞症候群、または、VODの処置及び予防など、数多くの病態の処置のために使用し得る。【選択図】図1A
Description
1.関連出願への相互参照
本出願は、2017年8月3日に出願した米国仮出願第62/540,657号の優先権の利益を主張するものであって、本明細書の一部を構成するものとして、同出願の全内容を参照により援用する。
本出願は、2017年8月3日に出願した米国仮出願第62/540,657号の優先権の利益を主張するものであって、本明細書の一部を構成するものとして、同出願の全内容を参照により援用する。
2.発明の背景
核酸塩であるデフィブロタイドは、ランダム配列の複雑な混合物であり、その大部分は、動物の粘膜のDNAに由来する一本鎖ポリデオキシリボヌクレオチドである。このものは、血管内皮細胞、特に、小血管での内皮細胞に対して保護効果があり、また、抗血栓性、抗炎症性、及び、抗虚血性の特性を有する。
核酸塩であるデフィブロタイドは、ランダム配列の複雑な混合物であり、その大部分は、動物の粘膜のDNAに由来する一本鎖ポリデオキシリボヌクレオチドである。このものは、血管内皮細胞、特に、小血管での内皮細胞に対して保護効果があり、また、抗血栓性、抗炎症性、及び、抗虚血性の特性を有する。
デフィブロタイドのナトリウム塩は、Defitelio(登録商標)(Gentium S.r.L.,Villa Guardia,Italy)として市販されており、そして、現在のところ、造血幹細胞移植(HSCT)した後に腎臓または肺の機能不全を示す成人患者、及び、小児患者での肝静脈閉塞性疾患(VOD)、別名、類洞閉塞症候グループ(SOS)の処置について承認を受けている。6時間ごとに、2時間の静脈内注入で、少なくとも21日間、患者に投与する。注入レジメンの頻度と量の多さが故に、デフィブロタイドを投与するための第2のIVラインを患者に設けて、デフィブロタイドと、IVでの投与が必要なその他の薬剤との混合を避ける必要がある。処置レジメンは、デフィブロタイドが治療効果を示し得るさらなる疾患徴候への外来投与には適さない。それ故に、さらに簡便な方法でデフィブロタイドを患者に投与して、外来診療での投与を可能にし、互換性のある投与機器を介して患者が自宅で自己投与することを可能にし、または、院内での投薬時間を短縮し、そして、液量を減らすことは有益である。したがって、医薬として有効な用量を自宅で投与するための新規で、かつ、患者に対して利便性に富んだ投与計画を実現する新規のデフィブロタイドの製剤が待望されている。
3.発明の概要
本発明は、広範囲の核酸、及び、それらの塩、デフィブロタイドなど、ならびに、生理学的に関連するレベルで粘度とオスモル濃度を維持しながら、これらの分子の高濃度製剤を作製する能力を含む。これらの高濃度製剤は、例えば、皮下に投与でき、そして、院外での患者による投与を可能にするなど、患者に対して数多くの利点をもたらす。自己投与、それに、IV以外の経路での投与の利点は、患者とその家族、及び、病院が実感している。これらの患者の処置、及び、モニターに病院が必要とする時間と人手が大幅に削減できるので、病院と患者の双方の経済的負担も軽減する。本明細書で提供する製剤は、特に、デフィブロタイドに関連する。しかしながら、本発明は、広範囲のヌクレオチド産物、例えば、DNAやRNAワクチンなどの一本鎖及び二本鎖DNAまたはRNA産物に対して適用するものである、ことを理解されたい。
本発明は、広範囲の核酸、及び、それらの塩、デフィブロタイドなど、ならびに、生理学的に関連するレベルで粘度とオスモル濃度を維持しながら、これらの分子の高濃度製剤を作製する能力を含む。これらの高濃度製剤は、例えば、皮下に投与でき、そして、院外での患者による投与を可能にするなど、患者に対して数多くの利点をもたらす。自己投与、それに、IV以外の経路での投与の利点は、患者とその家族、及び、病院が実感している。これらの患者の処置、及び、モニターに病院が必要とする時間と人手が大幅に削減できるので、病院と患者の双方の経済的負担も軽減する。本明細書で提供する製剤は、特に、デフィブロタイドに関連する。しかしながら、本発明は、広範囲のヌクレオチド産物、例えば、DNAやRNAワクチンなどの一本鎖及び二本鎖DNAまたはRNA産物に対して適用するものである、ことを理解されたい。
本明細書では、治療投与用の核酸組成物を提供しており、同組成物は、複数の非経口経路で投与し得るものであり、そして、市場に現在流通している同様の核酸製品よりも、投与頻度を少なくし、及び/または、投与期間を短くしたことで、患者の生活の質を改善し得る。より具体的には、例えば、皮下、筋肉内、及び/または、腹腔内経路など、静脈以外の経路でも投与することができる、低粘度、高濃度の核酸製剤を提供する。ある特定の実施形態では、高濃度核酸製剤を、自己投与、及び/または、外来患者に対して投与する。特定の実施形態では、当該核酸は、デフィブロタイドである。本発明の製剤は、例えば、類洞閉塞症候群または肝血管閉塞性疾患(VOD)、移植片対宿主病(GvHD)、移植関連血栓性微小血管障害(TA−TMA)または特発性肺炎症候群などの造血幹細胞移植(HSCT)関連合併症を含む数多くの病態の処置、及び/または、予防に使用し得る。その他の病態として、例えば、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)及び溶血性尿毒症症候群(HUS)を含むその他のTMA、急性心筋虚血、虚血性脳卒中、固形臓器移植における虚血再灌流障害、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、鎌状赤血球血管閉塞性危機(VOC)、鎌状赤血球関連急性胸部症候群、播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、腎不全、その他の冠動脈または末梢動脈疾患、血液悪性腫瘍、または、固形腫瘍がある。
一部の態様では、本開示は、少なくとも80mg/mLの濃度の核酸を含む、低粘度医薬製剤を提供する。一部の実施形態では、当該核酸濃度は、約85mg/mL〜約400mg/mLである。一部の実施形態では、当該製剤の粘度は:a)約70cP未満、b)約5cP〜65cP、または、c)約10cP〜約65cPである。一部の実施形態では、当該粘度を:a)室温で、b)約15℃〜約35℃で、または、c)約21℃〜約23℃で測定する。
一部の実施形態では、当該低粘度医薬製剤は、グリシルグリシンをさらに含む。一部の実施形態では、当該グリシルグリシン濃度は、a)約5mM〜約100mM、b)約5mM〜60mM、または、c)約10mM〜約40mMである。
一部の実施形態では、当該低粘度医薬製剤は、a)約240mOsm/kg〜約600mOsm/kg、または、b)約300mOsm/kg〜約550mOsm/kgのオスモル濃度を有する。
一部の実施形態では、当該低粘度医薬製剤での核酸は、リボ核酸またはデオキシリボ核酸のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、当該核酸の分子量は、a)約5,000〜約50,000ダルトン、b)約13,000〜約30,000ダルトン、または、c)約16,000〜約20,000ダルトンである。
一部の実施形態では、当該核酸は、多分散ランダム配列を含む。一部の実施形態では、当該核酸は、その大部分が、一本鎖ポリデオキシリボヌクレオチドとして存在する。
一部の実施形態では、当該低粘度医薬製剤は、以下の式:
P1−5、(dAp)12−24、(dGp)10−20、(dTp)13−26、(dCp)10−20
式中、P=リンラジカル
dAp=デオキシアデニルモノマー
dGp=デオキシグアニルモノマー
dTp=デオキシチミジルモノマー
dCp=デオキシシチジルモノマー
に対応するランダム配列である、一本鎖ポリデオキシリボヌクレオチドを含む。
P1−5、(dAp)12−24、(dGp)10−20、(dTp)13−26、(dCp)10−20
式中、P=リンラジカル
dAp=デオキシアデニルモノマー
dGp=デオキシグアニルモノマー
dTp=デオキシチミジルモノマー
dCp=デオキシシチジルモノマー
に対応するランダム配列である、一本鎖ポリデオキシリボヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、当該低粘度医薬製剤は、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ヒスチジン、TRIS緩衝剤、HEPES緩衝剤、塩化ナトリウム、アルギニン、リドカイン、及び/または、ポリソルベート−80から選択する緩衝剤または賦形剤を含む。一部の実施形態では、当該低粘度製剤は、当該核酸が、アルカリ金属塩の形態である緩衝剤または賦形剤を含む。一部の実施形態では、当該緩衝剤または賦形剤は、ナトリウム塩を含む。一部の実施形態では、当該緩衝剤または賦形剤は、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、または、塩化ナトリウムである。一部の実施形態では、当該緩衝剤または賦形剤は、ナトリウム塩の濃度が約80mM未満であるクエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、または、塩化ナトリウムである。
一部の実施形態では、当該緩衝剤または賦形剤は、濃度が20〜34mMであるクエン酸ナトリウムである。
一部の態様では、本開示は、70%を超える一本鎖多分散ポリデオキシリボヌクレオチドを含む組成物を、85mg/mL〜約400mg/mLで含む低粘度医薬製剤であって、それぞれの当該ポリデオキシリボヌクレオチドが、45〜65個の塩基を含み、及び、13kDa〜20kDaの平均分子量と、約5mM〜約100mMの濃度のグリシルグリシンとを有する、当該低粘度医薬製剤を提供する。
一部の態様では、本開示は、70%を超える一本鎖多分散ポリデオキシリボヌクレオチドの核酸を含む核酸組成物を、150mg/mL〜約250mg/mLで含む低粘度医薬製剤であって、それぞれの当該ポリデオキシリボヌクレオチドが、45〜65個の塩基を含み、及び、13kDa〜20kDaの平均分子量と、約5mM〜約60mMの濃度のグリシルグリシンとを有し、当該製剤が、15℃〜25℃で測定した約5〜約70cPの粘度と、約300mOsm/kg〜550mOsm/kgのオスモル濃度とを有しており、及び、当該製剤が、患者への非経口投与のために製剤したものである、当該低粘度医薬製剤を提供する。
一部の態様では、本開示は、100mg/mL〜約400mg/mLのデフィブロタイド、及び、約5mM〜約60mMの濃度のグリシルグリシンを含む低粘度医薬製剤であって、当該製剤は、15℃〜25℃で測定した約5〜約60cPの粘度と、約240mOsm/kg〜700mOsm/kgのオスモル濃度とを有しており、及び、当該製剤が、患者への非経口投与のために製剤したものである、当該低粘度医薬製剤を提供する。
一部の実施形態では、当該低粘度医薬製剤の粘度は、経時的に低下する。一部の実施形態では、当該粘度は、貯蔵している間に低下する。一部の実施形態では、剪断、攪拌、及び/または、圧力が強くなると、当該粘度は低下する。一部の実施形態では、医薬製剤を投与している間に剪断が強くなる。一部の実施形態では、針または機器を介して医薬製剤を投与している間に剪断が強くなる。
一部の実施形態では、当該低粘度医薬製剤を、皮下、筋肉内、または、腹腔内投与のために製剤する。一部の実施形態では、当該製剤は、静脈内投与で送達する製剤と比較して、全身性半減期の延長を示す。一部の実施形態では、当該皮下送達する製剤が、静脈内投与を介して送達した製剤と比較して、血漿濃度の最高最低間比率が小さい。一部の実施形態では、当該皮下送達製剤は、静脈内投与を介して送達した製剤と比較して、有効性の改善、及び/または、改善された安全性プロファイルを示す。
一部の実施形態では、当該低粘度医薬製剤は、等張性、または、チキソトロピー性である。
一部の実施形態では、患者は、低粘度医薬製剤を自己投与し得る。
一部の態様では、本開示は、少なくとも80mg/mLの濃度の核酸を含む低粘度製剤を皮下投与するための機器を提供する。一部の態様では、本開示は、請求項1〜33のいずれかに記載の低粘度製剤を投与する、ことを含む疾患を処置する方法であって、当該疾患を、血栓症、類洞閉塞症候群または肝血管閉塞性疾患(VOD)、移植片対宿主病(GvHD)、移植関連血栓性微小血管症(TA−TMA)、または、特発性肺炎症候群を含む造血幹細胞移植(HSCT)関連合併症、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)及び溶血性尿毒症症候群(HUS)を含むその他のTMA、急性心筋虚血、虚血性脳卒中、固形臓器移植における虚血再灌流障害、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、鎌状赤血球血管閉塞性危機(VOC)、鎌状赤血球関連急性胸部症候群、播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、腎不全、その他の冠動脈または末梢動脈疾患、血液悪性腫瘍、または、固形腫瘍から選択する、当該方法を提供する。
一部の実施形態では、患者の生活の質を改善する投薬計画、すなわち、投与量の減少を必要とする、及び/または、投与の頻度を減らすことを許容する当該投与計画で、当該低粘度製剤を投与する。
したがって、ある実施形態では、核酸を含んだ、患者に対する治療的投与のための低粘度製剤を提供しており、当該核酸は、少なくとも80mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、当該核酸は、85〜400mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、当該核酸は、少なくとも85、90、95、または、100mg/mLの濃度で存在する。当該核酸は、100〜400mg/mL、または、100〜300mg/mLの濃度で存在させることができる。一部の実施形態では、当該核酸は、45〜65個の塩基、及び/または、13〜20kDaの平均分子量を有する。ある特定の実施形態では、当該核酸は、その大部分が、一本鎖である。したがって、好ましくは、当該核酸は、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または、95%が一本鎖である。一部の実施形態では、当該核酸の塩基の最大で5%、10%、15%、20%、25%、または、最大で30%が対を形成している。その他の実施形態では、当該核酸は、最大で5%、10%、15%、20%、25%、または、最大で30%が二本鎖である。
一部の実施形態では、当該核酸は、アルカリ金属塩として存在する。ある特定の実施形態では、当該アルカリ金属塩は、ナトリウム塩である。特定の実施形態では、当該核酸は、その大部分が、一本鎖ポリデオキシリボヌクレオチドである。一部の好ましい実施形態では、当該核酸は、その大部分が、一本鎖ポリデオキシリボ核酸ナトリウム塩である。特定の実施形態では、当該核酸は、デフィブロタイドである。
患者の利便性を向上させる上で、低粘度、等張性、及び/または、チキソトロピー性の治療製剤として患者に対して注射投与することが重要である。デフィブロタイドの事例では、濃度が大きくなると、濃度のわずかな変化が、粘度を大きく変動させることとなり、そして、この変動は、温度の影響をさらに受ける。本発明は、良好な忍容性を示す注射可能な生物製剤の基準を依然として満たしながら、濃度を高めることを可能にする。
したがって、ある実施形態では、上記した製剤は、70センチポアズ(cP)未満の粘度を有する。ある実施形態では、当該粘度は、5〜65cP、または、10〜60cPである。好ましくは、当該粘度を、15℃〜35℃などの室温条件下で測定する。より好ましくは、当該粘度を、18℃〜25℃で測定する。さらにより好ましくは、当該粘度を、21℃〜23℃で測定する。
別の実施形態では、上記した製剤は、240〜700mOsm/kgのオスモル濃度を有する。その他の実施形態では、上記した製剤は、300〜500mOsm/kgのオスモル濃度を有する。特定の実施形態では、上記した製剤は、6.8〜8.5、または、7〜8のpHを有する。
ある特定の緩衝剤または賦形剤を使用して、安定性、粘度、及び/または、オスモル濃度を制御し得る。ある実施形態では、上記した製剤は、1つ以上の緩衝剤または賦形剤を含む。ある特定の実施形態では、当該賦形剤を、クエン酸ナトリウム、コハク酸塩、塩化ナトリウム、アルギニン、リジン、リドカイン、または、ポリソルベート−80(「PS−80」)からなるグループから選択する。一部の実施形態では、当該緩衝剤を、グリシルグリシン、ヒスチジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(「TRIS」)、クエン酸ナトリウム、または、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラズメタンスルホン酸(「HEPES」)緩衝剤からなるグループから選択する。ある好ましい実施形態では、当該緩衝剤は、例えば、L−カルノシン、または、グリシルグリシンなどのジペプチドである。グリシルグリシンを、それ単独で、及び、その他の賦形剤と組み合わせて使用すると、特定の濃度の核酸についての粘度、及び/または、オスモル濃度を最小化して、製剤の溶液特性を改善する。グリシルグリシン含有製剤は、忍容性を改善し、そして、注射時の不快感を最小限に抑えることが公知である生理学的に関連する条件に最適化した溶液特性を示す。したがって、ある実施形態では、核酸、及び、グリシルグリシンを含む、患者への治療的投与のための低粘度製剤を提供しており、当該核酸は、少なくとも80mg/mLの濃度で存在する。一部の好ましい実施形態では、当該核酸は、デフィブロタイドである。デフィブロタイドは、液体製剤では、非ニュートン剪断減粘とチキソトロピー性の挙動とを示し、そして、この挙動は、高濃度の液体製剤で顕著に出現する。したがって、ある特定の実施形態では、少なくとも80mg/mLのデフィブロタイド溶液、及び、グリシルグリシンを含む、患者への治療的投与のための低粘度製剤を提供する。一部の実施形態では、グリシルグリシンは、5〜100mMの量で存在する。より好ましくは、グリシルグリシンは、5〜60mM、または、10〜40mMの量で存在する。
別の実施形態では、70%を超える一本鎖多分散ポリデオキシリボヌクレオチドを含む核酸を、100mg/mL〜300mg/mLで含む、患者への治療的投与のための低粘度製剤であって、多分散ポリデオキシリボヌクレオチドが、45〜65個の塩基、及び、13kDa〜20kDaの平均分子量、及び、約10mM〜約60mMの量のグリシルグリシンを含む賦形剤を有する、当該低粘度製剤を提供する。さらに別の実施形態では、70%を超える一本鎖多分散ポリデオキシリボヌクレオチドを含む核酸を、150mg/mL〜250mg/mLで含む、患者への治療的投与のための低粘度製剤であって、多分散ポリデオキシリボヌクレオチドが、45〜65個の塩基の平均長、及び、13kDa〜20kDaの平均分子量、及び、約10mM〜約100mMの量のグリシルグリシンを含む賦形剤を有し、及び、当該製剤が、5〜70cPの粘度、及び/または、240mOsm/kg〜550mOsm/kgのオスモル濃度を有しており、及び、当該製剤が、患者への非経口投与に適している、当該低粘度製剤を提供する。一部の好ましい実施形態では、当該核酸は、デフィブロタイドである。
ある実施形態では、70%を超える一本鎖多分散ポリデオキシリボヌクレオチドを含むデフィブロタイドを、100mg/mL〜300mg/mLで含む、患者への治療的投与のための低粘度製剤であって、多分散ポリデオキシリボヌクレオチドが、45〜65個の塩基の平均長、及び、13kDa〜20kDaの平均分子量、及び、約10mM〜約100mMの量のグリシルグリシンを含む賦形剤を有し、当該製剤が、5〜70cPの粘度、240mOsm/kg〜500mOsm/kgのオスモル濃度を有しており、及び、患者への非経口投与に適している、当該低粘度製剤を提供する。
ある実施形態では、本発明の低粘度製剤を非経口投与する方法を提供する。一部の実施形態では、当該製剤は、皮下投与に適している。ある特定の実施形態では、当該製剤は、自己投与を含む皮下送達のための機器を含む。好ましい実施形態では、5〜50mLの水性液で、5分〜3時間にわたって、デフィブロタイドの用量を皮下送達する方法を提供する。
その他の態様では、本明細書では、本明細書に開示した製剤の製造方法を提供する。さらなる態様では、本発明の製剤を包装する方法を提供する。ある特定の態様では、皮下投与をすることができる装置で、本発明の製剤を包装する方法を提供する。
ある実施形態では、上記した製剤は、患者の自己投与のために使用することができる。ある特定の実施形態では、上記した製剤は、院外投与のために使用することができる。
一部の実施形態では、当該病態または疾患は、造血幹細胞移植の後の腎臓または肺の機能障害を伴う肝VODである。
4.図面の簡単な説明
5.発明の詳細な説明
デフィブロタイド(CAS番号 83712−60−1)は、天然由来の材料に由来する物質である。動物粘膜から抽出して得られるものは、比較的分子量の小さなポリデオキシリボヌクレオチドのナトリウム塩である。デフィブロタイドには様々なサイズ範囲のものがあり、そして、平均分子量(MW)が、13〜20kDaであることが公知である。デフィブロタイドは、本明細書の一部を構成するものとして、各々の全内容を参照により援用する米国特許第4,985,552号、及び、米国特許第5,223,609号に従って得ることができ、及び/または、前出の米国特許第4,983,552号、及び、米国特許第5,223,609号に記載されている物理的/化学的特性を示す。デフィブロタイドの治療作用を模倣するホスホジエステルオリゴヌクレオチドとして提示される合成デフィブロタイドが、本明細書の一部を構成するものとして、全内容を参照により援用するUS20110092576に記載されている。
デフィブロタイド(CAS番号 83712−60−1)は、天然由来の材料に由来する物質である。動物粘膜から抽出して得られるものは、比較的分子量の小さなポリデオキシリボヌクレオチドのナトリウム塩である。デフィブロタイドには様々なサイズ範囲のものがあり、そして、平均分子量(MW)が、13〜20kDaであることが公知である。デフィブロタイドは、本明細書の一部を構成するものとして、各々の全内容を参照により援用する米国特許第4,985,552号、及び、米国特許第5,223,609号に従って得ることができ、及び/または、前出の米国特許第4,983,552号、及び、米国特許第5,223,609号に記載されている物理的/化学的特性を示す。デフィブロタイドの治療作用を模倣するホスホジエステルオリゴヌクレオチドとして提示される合成デフィブロタイドが、本明細書の一部を構成するものとして、全内容を参照により援用するUS20110092576に記載されている。
デフィブロタイドには、抗血栓薬としての使用(米国特許第3,829,567号)、末梢動脈障害の処置、急性腎不全の処置(米国特許第4,694,134号)、及び、急性心筋虚血の処置(米国特許第4,693,995号)など、数多くの治療的用途がある。最近では、デフィブロタイドは、類洞閉塞症候群/静脈閉塞性疾患の処置と予防のために使用されている(EU臨床試験EudraCT:2004−000592−33、米国臨床試験2005−01(ClinicalTrials.gov識別子:NCT00358501)。VODの徴候と症状が緩和されるまで、患者らに対して、6.25mg/kg用量を、6時間ごとに、2時間の静脈内注入で与えて処置する。前述したように、デフィブロタイドは、現在のところ、注射用の単一バイアルとして、Defitelio(登録商標)という名称で市販されている(Gentium S.r.L.,Villa Guardia,Italyから市販されている、dailymed.nlm.nih.gov/dailymed/search.cfm?labeltype=all&query=defibrotideで入手可能な添付文書を参照されたい)。Defitelio(登録商標)は、5%デキストロース注射液(USP)、または、0.9%塩化ナトリウム注射液(USP)で希釈して、静脈内輸液として調製する。静脈内製剤は、室温で貯蔵する場合は、4時間以内、冷蔵貯蔵する場合は、24時間以内に使用する。4回の静脈内注入で、合計で、8時間投与する。
静脈内(IV)、皮下(SC)、筋肉内(IM)、または、経口(PO)の投与経路で投与するための新規デフィブロタイド製剤、及び/または、剤形の開発は、処置を受けている患者の生活の質を改善し得る。例えば、1日4回の頻度を、1日1回または2回にまで減らし、そして、注入の期間を短くすると、処置を受けている患者の生活の質を改善し得る。デフィブロタイドのSC投与経路は、臨床投与の時間を大幅に短縮し、必要な限り、当該製剤の外来投与を可能にする。大用量SC送達機器を含む組み合わせ製品は、利便性を高め、医療専門家(HCP)、介護者による投与の迅速化、または、患者による自己投与でさえも図ることができる。経口投与経路は、用量の調製と投与の容易さ、痛みの軽減に関連し得るものであり、また、患者に好評なことが多い。上記した製剤、薬物送達、及び、剤形開発研究の例は、デフィブロタイドを用いた処置を受けている間の生活の質と、患者が利用する上での改善に焦点を当てている。
一部の実施形態では、投与の経路は、本開示の製剤の有効性、及び/または、寿命に影響を与える。一部の実施形態では、皮下、筋肉内、及び/または、腹腔内投与は、静脈内投与する同じ製剤と比較して、全身半減期の延長に関連している。一部の実施形態では、製剤の皮下投与は、静脈内に投与される同じ製剤と比較して、血漿濃度の最高最低間比率を低くする。一部の実施形態では、皮下投与は、静脈内投与する同じ製剤と比較して、改善した有効性を提供し、及び/または、製剤の安全性プロファイルを改善する。
5.1 定義
以下の定義は、本発明の理解を深めるためのものである。
以下の定義は、本発明の理解を深めるためのものである。
本明細書で使用する用語「核酸」は、「核酸、及び、それらの塩」を含み、そして、鎖内でともに結合したヌクレオチド単位から構成されるポリマーまたは大きな生体分子を含む、ヌクレオチドから構成される分子のことを指し、このものは、リボース、及び/または、デオキシリボースモノマーからなるものを含むポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドを含み、それらは、サイズ、及び/または、配列を均一にすることができ、または、多分散とすることができ、それらは、異なる長さの混合物を含むあらゆる長さとすることができるが、一部の実施形態は、一般的に、10〜400塩基、20〜200塩基、または、45〜60塩基長であり、一部の実施形態では、平均MWは、5〜50キロダルトン(「kDa」)、13〜30kDa、または、13〜20kDa、または、16〜20kDaであり、それらを、一本鎖または二本鎖とすることができるが、一部の実施形態は、本出願のその他の箇所で説明した制限の範囲内の大部分の一本鎖ポリデオキシリボヌクレオチド塩である。これには、動物の腸粘膜ゲノムDNAの制御を受けた解重合から得たDNA配列も含み、ある実施形態は、デフィブロタイドを含む。
本明細書で使用する用語「デフィブロタイド」とは、デフィブロタイドの天然及び合成の双方の供給源、例えば、米国特許出願番号第20110092576号に記載された合成ホスホジエステルオリゴヌクレオチドなどのことを指す。デフィブロタイドという用語は、動物、及び/または、植物組織から抽出して得られるが、合成的にも生成し得るポリデオキシリボヌクレオチドのことを指し、当該ポリデオキシリボヌクレオチドは、通常は、アルカリ金属塩、一般的には、ナトリウム塩の形態で使用しており、そして、一般的には、13〜30kDaの分子量を有する(CAS登録番号:83712−60−1)。好ましくは、デフィブロタイドは、本明細書の一部を構成するものとして、各々の全内容を参照により援用する米国特許第4,985,552号、及び、米国特許第5,223,609号に従って得ることができ、及び/または、前出の米国特許第4,985,552号、及び、米国特許第5,223,609号に記載されている物理的/化学的特性を示す。より詳細には、デフィブロタイドとは、ランダム配列の式:P1−5、(dAP)12−24、(dGP)10−20、(dPp)13−26、(dCP)10−20、式中:P=リンラジカル、dAp=デオキシアデニルモノマー、dGp=デオキシグアニルモノマー、dTp=デオキシチミジンモノマー、dCp=デオキシシチジンモノマー、及び/または、以下の化学的/物理的特性を示す:電気泳動=均一な陽極移動度、及び/または、吸光係数、260±1nmでのE1cm1% nm=220±10、及び/または、E230/E260=0.45±0.04、及び/または、モル吸光係数(リンに関する)ε(Ρ)=7.750±500、及び/または、旋回能[α]D20°=53°±6、及び/または、天然DNAの%、及び/または、h=15±5として示す可逆的濃色性、を有するポリデオキシリボヌクレオチドの混合物である。
本明細書で使用する用語「ポリデオキシリボヌクレオチド」とは、その構成モノマーが、デオキシリボヌクレオチドであるポリマーのことを指す。
本明細書で使用する用語「オリゴデオキシリボヌクレオチド」とは、デオキシリボースモノマーからなるあらゆるオリゴヌクレオチドのことを指す。
本明細書で使用する用語「平均MW」とは、当該ポリマーの平均(mean)または平均(average)分子量のことを指す。
本明細書で使用する用語「グリシルグリシン」または「Gly−Gly」または「GlyGly」または「グリグリ」とは、2つのグリシン分子からなる単純ペプチドのことを指す(グリシンは、単純な非必須アミノ酸である)、当該ジペプチドは、さらに複雑なペプチドを合成するために使用する。両性電解質であるグリシルグリシンは、ジグリシン、ジグリココール、グリシンジペプチド、N−グリシルグリシンとも称する。本明細書の一部を構成するものとして、全内容を参照により援用するCN特許出願101759767に記載の方法などの方法で、それを作り出すことができる。
本明細書で使用する用語「賦形剤」とは、デフィブロタイドを用いて製剤し得るものであり、かつ、そのバイオアベイラビリティを高める、粘度及び/またはオスモル濃度を下げる、組成物の溶解性を高める、または、長期安定性を改善するなど、最終投与形態のデフィブロタイドを改善する目的で含み得る、あらゆる物質のことを指す。活性物質の取り扱いを補助する上で、製造プロセスにおいて賦形剤が有用なものとすることができる。適切な賦形剤の選択は、投与経路、及び、剤形、ならびに、有効成分、及び、その他の要因にもよる。したがって、デフィブロタイドは、それを製造または投与をしている間の性能、ならびに、インビトロ及びインビボでのその性能を調整することを可能にする、当該技術分野で公知のあらゆる賦形剤(複数可)と組み合わせ得る。これらの賦形剤の多くは、デフィブロタイド製剤の薬物動態プロファイルを調整するために利用し得る。
本明細書で使用する用語「緩衝剤(buffer)」または「緩衝剤(buffering agent)」とは、少量の酸または塩基の添加に起因する水素イオン濃度の変化に抵抗する溶液のことを指す。このものには、例えば、別の酸性または塩基性化合物を添加した後に、選択したpH値の近傍で溶液のpHを維持するために使用する弱酸または弱塩基を含む。そのような緩衝剤(buffer)または緩衝剤(buffering agent)の機能とは、酸または塩基が溶液に加えられても、溶液のpHの変化を妨げることである。
本明細書で使用する用語「pH調整剤」とは、溶液のpHを選択したpH値に変更するために使用する酸または塩基のことを指す。そのような作用物質の機能は、酸性または塩基性化合物の添加に続いて、溶液のpHを所望の値に変えることである。
本明細書で使用する用語「製剤」とは、例えば、本明細書で開示した医薬組成物または製剤の安定で、かつ、医薬として許容可能な製剤を含む、治療用途の組成物のことを指す。
本明細書で使用する用語「低粘度製剤」とは、約70センチポアズ(cP)未満の粘度を有する製剤のことを指す。通常であれば、地理的地域、及び/または、測定を行う場所の気象条件に応じて、粘度を、周囲温度/室温(例えば、15℃〜35℃、18℃〜25℃、または、21℃〜23℃)で測定する。
本明細書で使用する用語「水性製剤」とは、水をベースとした製剤、特に、水溶液である製剤のことを指す。
本明細書で使用する用語「高濃度製剤」または「高濃度液体製剤」または「HCLF」とは、核酸の濃度が、約80mg/mL以上、または、約85mg/mL以上である製剤のことを指す。
本明細書で使用する用語「高濃度デフィブロタイド製剤」とは、デフィブロタイド濃度が、約80mg/mL以上である製剤のことを指す。
本明細書で使用する用語「薬物動態」または「PK」とは、血漿濃度時間プロファイル、それに、最大濃度(Cmax)、曲線下面積(AUC)、及び、当該薬剤が最大濃度になるまでの時間(Tmax)などの動態パラメーターなど、体内の個々の作用物質のインビボでの活動のことを指す。
本発明の組成物に関連して使用する句「医薬として許容可能な」または「許容可能な」とは、生理学的に許容可能であり、かつ、一般的に、動物、及び/または、ヒトに投与しても望ましくない反応を招かない組成物の分子実体、及び、その他の成分のことを指す。好ましくは、本明細書で使用する用語「医薬として許容可能な」とは、連邦政府または州政府の規制当局の承認を受けていること、または、哺乳類、及び、より具体的には、ヒトでの使用において、米国薬局方、または、その他の一般的に認識されている薬局方に掲載されていること、を意味する。
本明細書で使用する用語「生理学的に関連する」とは、動物対象、特に、ヒト対象に投与する医薬、治療剤、または、その他の剤形での使用に適した測定値、レベル、または、量のことを指す。
本明細書で使用する用語「非経口」とは、非経口のあらゆる投与手段のことを指す。静脈内(i.v.、または、IV)注入、IVボーラス注射、皮下(s.c.、または、SC)、及び、筋肉内(i.m.、または、IM)注射を含む。
本明細書で使用する用語「投与する」または「投与」は、意図する作用部位に化合物を直接的、及び、間接的に送達するためのすべての手段を含むことを意図する。
本明細書で使用する用語「動物」とは、哺乳動物、特に、ヒトを含むあらゆる動物のことを意味する。
本明細書で使用する用語「患者」とは、哺乳動物、特に、ヒトのことを指す。開示した実施形態の方法で処置を受ける患者は、ヒト対象と、獣医学的目的のための動物対象(例えば、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、及び/または、など)との双方を含む。これらの患者は、男性でも女性でもよく、そして、例えば、新生児、乳児、少年、青年、成人、または、老人など、あらゆる適切な年齢とし得る。
本明細書で使用する用語「処置する(treat)」、「処置する(treating)」または「処置(treatment)」などは、疾患、及び/または、それに付随する症状を、緩和または抑制する方法のことを指す。例えば、本発明の意味の範囲内で、用語「処置する(treat)」とは、発症(すなわち、疾患の臨床症状発現前の期間)を停止、遅延させ、及び/または、疾患を進行または悪化させるリスクを減らすことも意味する。
用語「a」及び「an」は、活性剤、緩衝剤、オスモライトなどの組成物の成分を変更するために使用する場合は、量の制限を示すものではなく、少なくとも1つの言及事項の存在を示す。用語「または」または「及び/または」は、2つの単語または表現を、一緒に、または、個別に捉えることを示すための機能語として使用する。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含む(containing)」とは、制限を伴わない用語として解釈すべきである(すなわち、「があるが、これに限定されない」ことを意味する)。同じ要素または特徴に関するすべての範囲の終点は、包含的であり、そして、独立して組み合わせることができる。
本明細書を通して、用語「約(about)」、及び/または、「約(approximately)」とは、数値、及び/または、範囲との組み合わせで使用し得る。用語「約」は、列挙した数値に近似する数値のことを意味する、ものと理解する。例えば、「約1200[単位]」とは、1200の±10%以内、±10%、±9%、±8%、±7%、±7%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±1%未満、または、その範囲内でのその他の数値、または、数値範囲内のことを意味し得る。さらに、「約[数値]未満」または「約[数値]を超える」の句は、本明細書で使用する用語「約」の定義を考慮して、理解すべきである。用語「約(about)」及び「約(approximately)」は、互換可能に使用し得る。
本明細書全体を通して、ある特定の量に関して数値範囲を示している。これらの範囲は、その範囲内でのすべての部分範囲を含む、ことを理解されたい。したがって、範囲「50〜80」は、その範囲内でのすべての可能な範囲を含む(例えば、51〜79、52〜78、53〜77、54〜76、55〜75、70〜70など)。さらに、所定の範囲内のすべての数値は、そこに含まれる範囲の終点となり得る(例えば、範囲50〜80は、55〜80、50〜75などの終点を有する範囲を含む)。
5.2 核酸を含む医薬品製剤
本発明のある実施形態は、患者に対して利便性のある薬物送達のための核酸、及び、それらの塩の低粘度高濃度液体製剤(HCLF)の開発である。特に、皮下に投与し得る核酸組成物、及び/または、現在市場に流通している核酸製品よりも低頻度での投与を必要とし得る核酸組成物を研究している。ある特定の実施形態では、高濃度の核酸製剤を、外来患者をベースとして自己投与させる。本発明の一部の製剤は、皮下、及び/または、筋肉内投与において特に好ましいチキソトロピー性と剪断減粘挙動とを有する。本明細書で提供する製剤は、現在利用可能な市販の核酸製剤と比較して、改善された忍容性、処置の間の患者の利便性、及び、外来投薬の機会を提供する。一部の実施形態では、本明細書で提供する高濃度核酸製剤の粘度は、経時的に低下する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供する高濃度核酸製剤の粘度、及び/または、流動性は、剪断ひずみが高まると減少する。そのような特性は、注射器/機器のシリンダーから針の狭小なオリフィスに製剤を通過させると、製剤が受ける歪みまたは剪断応力を高めてしまう注射器または事前装填皮下機器などの注射可能機器及び送達機器にとって好ましい、ことを理解すべきである。ある特定の実施形態では、当該核酸は、デフィブロタイドである。本発明の製剤、特に、デフィブロタイドを含む製剤は、例えば、末梢動脈障害の処置、急性腎不全の処置、急性心筋虚血の処置、移植片対宿主病(GvHD)の処置及び予防、移植関連血栓性微小血管障害(TA−TMA)の処置と予防、例えば、固形臓器移植(例えば、腎臓IRI)などの虚血再灌流障害の処置、サイトカイン放出症候群(CRS)、または、キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞関連脳症症候群(CRES)の処置と予防、及び、類洞閉塞症候群すなわちVODの処置、及び、予防などの数多くの病態の処置に使用し得る。一部の実施形態では、本発明の製剤、特に、デフィブロタイドを含む製剤は、化学療法、幹細胞除去、及び/または、造血幹細胞移植(HSCT)を受けた、受けている、または、受けようとしている患者に対して投与し得る。デフィブロタイドのその他の用途、その製造方法、及び、試験方法は、本明細書の一部を構成するものとして、それぞれの全内容を参照により援用する、以下の特許、特許出願、及び、論文に記載されている:米国特許第3,770,720号、第3,829,567号、第3,899,481号、第4,693,134号、第4,693,995号、4,938,873号、第4,985,552号、第5,081,109号、第5,116,617号、第5,223,609号、第5,646,127号、第5,646,268号、第5,977,083号、第6,046,172号、第6,699,985号、第6,767,554号、第7,338,777号、第8,551,967号、第8,771,663号,米国特許公開第20080194506号、第20090131362号、第20110092576号、第20130231470号、第20140005256号,米国特許出願第14/019,674号、第14/323,918号、第14/408,272号、第62/656,486号、第62/657,161号、第62/664,657号、及び、国際出願WO2013/190582、及び、PCT/EP2015/077355。本明細書の一部を構成するものとして参照により援用する、Palmer and Boa,Defibrotide.A Review of its pharmacodynamic and pharmacokinetic properties,and therapeutic use in vascular disorders,Drugs,1993,Feb;45(2):259−94も参照されたい。全体を通して引用しているその他の参考文献も、本明細書の一部を構成するものとして、それらの全内容を参照により援用する。
本発明のある実施形態は、患者に対して利便性のある薬物送達のための核酸、及び、それらの塩の低粘度高濃度液体製剤(HCLF)の開発である。特に、皮下に投与し得る核酸組成物、及び/または、現在市場に流通している核酸製品よりも低頻度での投与を必要とし得る核酸組成物を研究している。ある特定の実施形態では、高濃度の核酸製剤を、外来患者をベースとして自己投与させる。本発明の一部の製剤は、皮下、及び/または、筋肉内投与において特に好ましいチキソトロピー性と剪断減粘挙動とを有する。本明細書で提供する製剤は、現在利用可能な市販の核酸製剤と比較して、改善された忍容性、処置の間の患者の利便性、及び、外来投薬の機会を提供する。一部の実施形態では、本明細書で提供する高濃度核酸製剤の粘度は、経時的に低下する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供する高濃度核酸製剤の粘度、及び/または、流動性は、剪断ひずみが高まると減少する。そのような特性は、注射器/機器のシリンダーから針の狭小なオリフィスに製剤を通過させると、製剤が受ける歪みまたは剪断応力を高めてしまう注射器または事前装填皮下機器などの注射可能機器及び送達機器にとって好ましい、ことを理解すべきである。ある特定の実施形態では、当該核酸は、デフィブロタイドである。本発明の製剤、特に、デフィブロタイドを含む製剤は、例えば、末梢動脈障害の処置、急性腎不全の処置、急性心筋虚血の処置、移植片対宿主病(GvHD)の処置及び予防、移植関連血栓性微小血管障害(TA−TMA)の処置と予防、例えば、固形臓器移植(例えば、腎臓IRI)などの虚血再灌流障害の処置、サイトカイン放出症候群(CRS)、または、キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞関連脳症症候群(CRES)の処置と予防、及び、類洞閉塞症候群すなわちVODの処置、及び、予防などの数多くの病態の処置に使用し得る。一部の実施形態では、本発明の製剤、特に、デフィブロタイドを含む製剤は、化学療法、幹細胞除去、及び/または、造血幹細胞移植(HSCT)を受けた、受けている、または、受けようとしている患者に対して投与し得る。デフィブロタイドのその他の用途、その製造方法、及び、試験方法は、本明細書の一部を構成するものとして、それぞれの全内容を参照により援用する、以下の特許、特許出願、及び、論文に記載されている:米国特許第3,770,720号、第3,829,567号、第3,899,481号、第4,693,134号、第4,693,995号、4,938,873号、第4,985,552号、第5,081,109号、第5,116,617号、第5,223,609号、第5,646,127号、第5,646,268号、第5,977,083号、第6,046,172号、第6,699,985号、第6,767,554号、第7,338,777号、第8,551,967号、第8,771,663号,米国特許公開第20080194506号、第20090131362号、第20110092576号、第20130231470号、第20140005256号,米国特許出願第14/019,674号、第14/323,918号、第14/408,272号、第62/656,486号、第62/657,161号、第62/664,657号、及び、国際出願WO2013/190582、及び、PCT/EP2015/077355。本明細書の一部を構成するものとして参照により援用する、Palmer and Boa,Defibrotide.A Review of its pharmacodynamic and pharmacokinetic properties,and therapeutic use in vascular disorders,Drugs,1993,Feb;45(2):259−94も参照されたい。全体を通して引用しているその他の参考文献も、本明細書の一部を構成するものとして、それらの全内容を参照により援用する。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載した方法で評価されるデフィブロタイドは、本明細書の一部を構成するものとして、双方の全内容を参照により援用する、米国特許第4,985,552号、及び、第5,223,609号に記載したようなプロセスで製造する。本発明の好ましいある実施形態では、デフィブロタイドは、以下のランダム配列の式:
P1−5、(dAp)12−24、(dGp)10−20、(dTp)13−26、(dCp)10−20
式中、P=リンラジカル
dAp=デオキシアデニルモノマー
dGp=デオキシグアニルモノマー
dTp=デオキシチミジルモノマー
dCp=デオキシシチジルモノマー、
に対応するポリデオキシリボヌクレオチドである。
P1−5、(dAp)12−24、(dGp)10−20、(dTp)13−26、(dCp)10−20
式中、P=リンラジカル
dAp=デオキシアデニルモノマー
dGp=デオキシグアニルモノマー
dTp=デオキシチミジルモノマー
dCp=デオキシシチジルモノマー、
に対応するポリデオキシリボヌクレオチドである。
本明細書で使用するデフィブロタイドは、以下の化学物理特性の1つ以上、または、すべてを有し得る:電気泳動=均一な陽極移動度、吸光係数、260±1nmでのE1cm1%=220±10、吸光比率、E230/E260=0.45±0.04、モル吸光係数(リンに関する)ε(Ρ)=7.750±500、旋回能[α]D20°=53°±6、天然DNAの%、h=15±5として示す可逆的濃色性、及び、0.95±0.5のプリン:ピリミジン比。
本発明のある実施形態は、本明細書の一部を構成するものとして、全内容を参照により援用するRemington,The Science and Practice of Pharmacy(Remington the Science and Practice of Pharmacy)Twenty−Second Edition,2013 Pharmaceutical Pressに記載されているような様々な緩衝剤または賦形剤を有する核酸製剤を含む。特に、第1837頁から始まる賦形剤に関する研究論文を参照されたい。好ましくは、当該核酸は、デフィブロタイドである。一部の実施形態では、デフィブロタイド以外の核酸を使用する。
一部の実施形態では、本発明は、ジペプチド緩衝剤(例えば、L−カルノシン、または、グリシルグリシン)を含む。本発明の好ましいある実施形態は、グリシンのジペプチドであるグリシルグリシンを含む。このものは、Sigma−Aldrichなどの発売元が市販をしており、生物系の賦形剤として有用である。本発明の特定の実施形態では、グリシルグリシンは、約1mM〜約50mMの濃度で存在する。一部の実施形態では、グリシルグリシンは、約5mM〜約100mM、約10〜約60mM、または、約10〜約40mMの濃度で存在する。一部の実施形態では、当該グリシルグリシンは、約1mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、または、約50mMの濃度で存在する。
その他の緩衝剤または賦形剤を、本製剤に存在させることができる。一部の実施形態では、当該低粘度医薬製剤は、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ヒスチジン、TRIS緩衝剤、HEPES緩衝剤、塩化ナトリウム、アルギニン、リドカイン、及び/または、ポリソルベート−80から選択する緩衝剤または賦形剤を含む。一部の実施形態では、当該低粘度製剤は、当該核酸が、アルカリ金属塩の形態である緩衝剤または賦形剤を含む。一部の実施形態では、当該緩衝剤または賦形剤は、ナトリウム塩を含む。一部の実施形態では、当該緩衝剤または賦形剤は、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、または、塩化ナトリウムである。
一部の実施形態では、当該緩衝剤または賦形剤は、約80mM未満のナトリウム塩の濃度のクエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、または、塩化ナトリウムである。一部の実施形態では、当該製剤は、約1〜80mMのナトリウム塩を含む。一部の実施形態では、当該製剤は、約1mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、または、約50mMのナトリウム塩を含む。
一部の実施形態では、当該製剤は、クエン酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、当該クエン酸ナトリウムは、約5〜約50mM、約5〜約60mM、約10〜約60mM、または、約10〜約40mMの濃度で存在する。一部の実施形態では、当該クエン酸ナトリウムの濃度は、約1mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、または、約60mMである。
貯蔵剤、塩類、または、pH調整剤などのその他の賦形剤を、本製剤に対して加えることができる。
本発明の一部の実施形態では、当該低粘度製剤の粘度は、約1〜約70cPである。一部の実施形態では、当該低粘度製剤の粘度は、約5cP〜約65cP、または、約10cP〜約65cPである。一部の実施形態では、当該低粘度製剤の粘度は、約5cP、約10cP、約15cP、約20cP、約25cP、約30cP、約35cP、約40cP、約45cP、約50cP、約55cP、約60cP、約65cP、または、約70cPである。
本発明の一部の実施形態では、当該低粘度製剤の粘度は、経時的に低下する。一部の実施形態では、製剤を貯蔵している間に、粘度が低下する。一部の実施形態では、本明細書で提供する当該低粘度核酸製剤の粘度は、核酸の平均分子量の減少とともに低下する。一部の実施形態では、本明細書で提供する当該低粘度核酸製剤の粘度は、所定の濃度の当該核酸での核酸の平均分子量の減少とともに低下する。一部の実施形態では、本明細書で提供する低粘度核酸製剤の粘度は、15℃〜35℃などの室温条件下で粘度を測定すると、所定の濃度の当該核酸での核酸の平均分子量の減少とともに低下する。一部の実施形態では、剪断、攪拌、及び/または、圧力が強くなると、粘度が低下する。一部の実施形態では、当該低粘度製剤を投与している間(例えば、針の内部を通過させているとき)に、当該粘度は低下する。一部の実施形態では、当該低粘度製剤の粘度の決定値は、測定の際の温度に応じて変化する。一部の実施形態では、本明細書で提供する高濃度核酸製剤の粘度は、当該核酸の平均分子量の減少とともに低下する。一部の実施形態では、本明細書で提供する高濃度核酸製剤の粘度は、当該核酸の平均分子量の増加とともに大きくなる。好ましい実施形態では、当該粘度を、15℃〜35℃などの室温条件下で測定する。より好ましくは、当該粘度を、18℃〜25℃で測定する。さらにより好ましくは、当該粘度を、21℃〜23℃で測定する。
一部の実施形態では、本開示の低粘度製剤は、約200mOsm/kg〜約1000mOsm/kgのオスモル濃度を有する。一部の実施形態では、本開示の低粘度製剤は、約240mOsm/kg〜約600mOsm/kg、または、約300mOsm/kg〜約550mOsm/kgのオスモル濃度を有する。一部の実施形態では、本開示の低粘度製剤は、約200mOsm/kg、約240mOsm/kg、約250mOsm/kg、約300mOsm/kg、約350mOsm/kg、約400mOsm/kg、約450mOsm/kg、約500mOsm/kg、約600mOsm/kg、約650mOsm/kg、約700mOsm/kg、約750mOsm/kg、約800mOsm/kg、約850mOsm/kg、約900mOsm/kg、または、約950mOsm/kgのオスモル濃度を有する。
一部の実施形態では、本開示は、本開示の製剤を送達する方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明の製剤を、皮下送達する。一部の実施形態では、本発明の製剤は、患者が使用できる機器で皮下投与する。一部の実施形態では、当該低粘度製剤は、デフィブロタイド製剤である。一部の実施形態では、当該製剤は、高濃度液体製剤(HCLF)である。
皮下投与用の機器は、例えば、事前に定めた成人または小児の用量で事前に満たし得るものであり、または、体重をベースとした特定の用量を個々の患者に対して投与するために使用し得る。一部の実施形態では、当該患者が、用量を決定し、そして、投与する。ある特定の実施形態では、本発明の製剤を、例えば、FREEDOM60(登録商標)ポンプ、または、同様のもの(RMS(商標)Medical Products)などの市販の機器を用いて皮下投与する。一部の特定の実施形態では、本発明の製剤を、約2時間未満、約1時間未満、または、約30分未満で皮下投与する。一部の特定の実施形態では、本発明の製剤を、約5分〜約1時間、約10分〜約1時間、または、約15分〜約45分かけて皮下送達する。
製剤の投与量は、当業者に自明な様々な要因で決定し得る。一部の実施形態では、当該用量は、患者のベースライン体重に基づいている。一部の実施形態では、製剤を、約1〜約100mg/体重キログラム/日で投与する。例えば、当該製剤を、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100mg/体重キログラム/日の量で投与する。一部の実施形態では、製剤を、約25mg/体重キログラム/日の量で投与する。一部の実施形態では、患者の体重をベースとした用量は、35kgを超える患者については、10mg単位で四捨五入する。一部の実施形態では、患者の体重をベースとした用量は、35kg未満の患者については、5mg単位で四捨五入する。一部の実施形態では、当該製剤は、デフィブロタイド製剤である。
当該製剤を、1日1回、または、1日に複数回で投与し得る。一部の実施形態では、当該製剤を、1日1回投与する。一部の実施形態では、当該製剤を、1日に複数回投与する。例えば、当該製剤を、1日に、2、3、4、5、6、7、8、9、または、10回投与し得る。一部の実施形態では、当該製剤を、1日4回投与する。一部の実施形態では、当該製剤を、6時間ごとに、1日4回投与する。
一部の実施形態では、投与の用量、及び、頻度を、投与経路に応じて変える。一部の実施形態では、本開示の低粘度製剤を皮下投与すると、低頻度の投与、及び/または、低用量が可能になる。一部の実施形態では、本開示の低粘度製剤を皮下投与すると、投与量を減らすことができる。
当業者であれば、患者ごとに処置期間が違うことは自明である。例えば、一部の実施形態では、処置期間は、肝VODの徴候と症状をモニターして決定する。例えば、第1の処置期間の後も肝VODの徴候と症状が依然として認められるのであれば、デフィブロタイド処置を、VODが解消するまで続ける。一部の実施形態では、21日後に、肝臓VODの徴候と症状が依然として認められるのであれば、最大で60日まで、VODが解消するまでデフィブロタイド処置を継続する。したがって、ある特定の実施形態では、当該処置期間は、21日〜60日間続き得る。例えば、当該処置期間は、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または、60日間続く。一部の実施形態では、当該処置期間は、21日間続く。
一部の実施形態では、本開示の製剤の投与は、未処置患者または製剤投与前の同じ患者と比較して、VOD、及び/または、VOD症状の発症を、処置または改善する。一部の実施形態では、VOD、及び/または、VOD症状は、1日目〜10年目の患者において、処置または改善する。一部の実施形態では、当該製剤の投与は、約1日目、約2日目、約3日目、約4日目、約5日目、約6日目、約1週目、約2週目、約3週目、約4週目、約5週目、約6週目、約7週目、約8週目、約9週目、約10週目、約20週目、約30週目、約40週目、約50週目、約60週目、約70週目、約80週目、約90週目、約100週目、約1年目、約2年目、または、約3年目に、未処置患者またはデフィブロタイドを投与する前の同じ患者と比較して、VOD、及び/または、VOD症状の発症を、処置または改善する。一部の実施形態では、当該製剤の投与は、約1日間、約1週間、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約1年間、約2年間、約5年間、または、約10年間、または、それ以上にわたって、未処置患者または製剤を投与する前の同じ患者と比較して、VOD、及び/または、VOD症状の発症を、処置または改善する。
一部の実施形態では、本開示の製剤の投与は、未処置患者または製剤投与前の同じ患者と比較して、VOD、及び/または、VOD症状の約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または、約100%を処置または改善する。一部の実施形態では、当該製剤の投与は、未処置患者または製剤投与前の同じ患者と比較して、約1日目、約2日目、約3日目、約4日目、約5日目、約6日目、約1週目、約2週目、約3週目、約4週目、約5週目、約6週目、約7週目、約8週目、約9週目、約10週目、約20週目、約30週目、約40週目、約50週目、約60週目、約70週目、約80週目、約90週目、約100週目、約1年目、約2年目、または、約3年目に、VOD、及び/または、VOD症状の発症の約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%を処置または改善する。一部の実施形態では、当該製剤の投与は、未処置患者または製剤投与前の同じ患者と比較して、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約1年間、約2年間、約5年間、または、約10年間、または、それ以上にわたって、VOD、及び/または、VOD症状の発症の約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または、約100%を処置または改善する。
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含む。以下の実施例に開示した技術が、本発明の実施において十分に機能することが本発明者により発見されている技術を示し、したがって、本発明の実施のための好ましいモードを構成するものと見なし得ることを、当業者であれば理解する。しかしながら、本開示に照らして、開示した特定の実施形態において数多くの変更を行うことができ、そして、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、同様の、または、類似の結果をなおも得ることができることを、当業者であれば理解する。
6.実施例
6.1 実施例1−制限溶液特性の同定
核酸の高濃度液体製剤(HCLF)を開発するためには、製剤を制限し得る溶液の重要な物理化学的特性を特定することが肝要である。このことを調査するため、2つの異なる製剤を使用して、約300mg/mLのデフィブロタイド濃度を最大値とする範囲で数多くの溶液を調製し、そして、それぞれの溶液特性を、デフィブロタイド濃度に応じて特徴付けした。外観、溶解度、粘度、オスモル濃度、溶液内のポリマー構造(遠紫外線、及び、近紫外線円偏光二色性)、熱特性(示差走査熱量測定)、及び、分子量/凝集(DLS、FTIR、及び、SEC−MALS)は、様々なデフィブロタイド溶液について分析した特性の一部であった。
6.1 実施例1−制限溶液特性の同定
核酸の高濃度液体製剤(HCLF)を開発するためには、製剤を制限し得る溶液の重要な物理化学的特性を特定することが肝要である。このことを調査するため、2つの異なる製剤を使用して、約300mg/mLのデフィブロタイド濃度を最大値とする範囲で数多くの溶液を調製し、そして、それぞれの溶液特性を、デフィブロタイド濃度に応じて特徴付けした。外観、溶解度、粘度、オスモル濃度、溶液内のポリマー構造(遠紫外線、及び、近紫外線円偏光二色性)、熱特性(示差走査熱量測定)、及び、分子量/凝集(DLS、FTIR、及び、SEC−MALS)は、様々なデフィブロタイド溶液について分析した特性の一部であった。
試料調製: 遠心濃縮を行うことで、または、デフィブロタイドAPIを、80、150、200、250、及び、300mg/mLで溶解することで、34mMクエン酸ナトリウム、pH7.3、または、34mMグリシルグリシン(「Gly−Gly」)、pH7.5において、デフィブロタイドを製剤した。産物濃度を、一般的には、紫外可視分光法で測定した。デフィブロタイドの試料を、35μlの試料を使用して、それぞれの製剤緩衝剤で、目標濃度の0.1mg/mLにまで、重量測定法で三連で希釈した。A260及びA320を、0.2cmのキュベット光路長を使用して測定した。A260値を、320nmでの光散乱に関して補正を行い、そして、濃度を、22.2mL*mg−1cm−1の吸光係数を使用して決定した。希釈係数を決定する際に、1.08g/mLの試料密度、及び、1.0g/mLの希釈密度を使用して、試料の質量を補正した。各溶液の物理化学的特性を、次の方法で、濃度に応じて分析した。
視覚的外観と濁度:コアモジュール3(「CM3」)ロボットで、デジタルカラーマッチングを行った。デフィブロタイド試料の色も、欧州薬局方(EP)カラーマッチング分析を使用して評価を行っており、同分析では、7つのEP色標準BY1〜BY7を使用しており、BY1が最も濃い色の標準となっている。当該分析は、背景が白色であるライトボックス下で行った(Eisai Machinery Observation Lamp Model MIH−DX,Fisher light Meter Model 06−662−63)。当該Gly−Gly製剤、及び、クエン酸塩製剤に関する色の評価では、有意差は無く、すべてが、透明でやや黄色の溶液、または、茶色−黄色の溶液であり、標準よりも着色の強度が顕著であった。加えて、目視可能な粒子は検出されなかった(80μm以上の粒径を評価した)。濁度も、7つの濁度標準を用いて測定した。EPの色標準と比較したところ、すべての製剤の色は、初期時点、ならびに、25±2℃/60±5%RHで1ヶ月貯蔵した後ではBY4であり、すべての製剤が、最長で少なくとも3ヶ月間、25±2℃/60±5%RHで、安定であった。
溶解度:溶液でのデフィブロタイドの溶解度を、分析用のCM3ロボットを使用して、ポリエチレングリコール(PEG)沈殿で評価した。研究全体を通して、大量のPEGの存在下でも、ごく少量の沈殿が観察されたので、当該産物の溶液溶解性の高さが認められた。
溶液粘度:デフィブロタイド試料の溶液粘度を、約80、150、200、250、300mg/mLの濃度で分析した。一般的に、Brookfield DV−III Ultra Programmable Rheometerを使用して、粘度を測定した。当該試料を、約550μLを使用して、22℃で、そのまま分析した。Defitelio(登録商標)の粘度は、3.9cPであり、剪断速度に関係しなかった。これらの結果は、Defitelio(登録商標)が、ニュートン流体挙動を示すことを示唆した。クエン酸塩、及び、Gly−Gly緩衝剤で、300mg/mLで製剤した本発明のデフィブロタイド製剤は、当該粘度が、剪断速度、及び、生成物濃度に依存していることを実証した。製剤したデフィブロタイドの粘度は、産物濃度に応じて指数関数的に増加する、と考えられた。産物濃度に応じた34mM Gly−Gly、pH7.5のデフィブロタイドの粘度は、34mMクエン酸ナトリウム、及び、pH7.3でのデフィブロタイドと比較して有意に低く、このことは、Gly−Glyが、本発明のHCLFのデフィブロタイドの溶液特性を改善する能力を実証している。
オスモル濃度:オスモル濃度を、少なくとも2つの異なる方法で測定し、そして、その結果を、すべての図面に記載している(例えば、図1Dを参照されたい)。一般的に、ある測定では、Vapro Vapor Pressure Osmometerを使用した。34mM Gly−Gly、pH7.5のデフィブロタイドのオスモル濃度は、34mMクエン酸ナトリウム、及び、pH7.3のデフィブロタイドと比較して低く、このことは、Gly−Glyが、本発明のHCLFのデフィブロタイドの溶液特性を改善する能力を実証している。
遠紫外線、及び、近紫外線円偏光二色性:溶液でのデフィブロタイド製剤の二次、及び、三次構造を、産物濃度に応じて、円偏光二色性で評価を行い、そして、Jasco J−810 Spectropolarimeterで分析した。
遊離核塩基分析:試料を、移動相(50mM CH3COONH4、pH5.0)で、1.6mg/mLで定量的に調製し、そして、254nmの検出波長を使用して、RP−HPLCで分析した。Synergi Fusion 4μm−RP 80Åカラムを使用して、流速1mL/分で、核酸塩基を分離した。Defitelio(登録商標)を参照物質として使用し、移動相で、1.6mg/mLで調製した。
フーリエ変換赤外分光法:標準的な手法を使用してFTIR分析を実施して、デフィブロタイドのHCLFの構造を評価した。当該FTIR分析は、300mg/mLの2種類のデフィブロタイド製剤(クエン酸塩、及び、Gly−Gly)が、Defitelio(登録商標)と比較して、同様のプロファイルを示すことを実証した。
示差走査熱量測定:標準的な手法を使用する示差走査熱量測定によって、デフィブロタイドの溶液での熱特性を測定した。それらの結果は、濃度、及び/または、Gly−Glyなどの緩衝剤マトリックスが、デフィブロタイドの熱特性に影響を与えることができる、ことを示唆している。
サイズ分布:分子量平均に寄与する構造の分子量を明らかにするために、産物濃度に応じて、それぞれの製剤について測定を行った。多分散指数(Mw/Mn)を使用して、製剤の不均一性を測定し、そして、それらの結果に基づいて、当該試料が多分散であると結論付けた。これらの結果は、クエン酸塩、及び、Gly−Glyに対して300mg/mLで製剤したデフィブロタイドが、Defitelio(登録商標)に匹敵している、ことを示した。
全体として、上記した方法を使用したこれらの結果は、溶液のオスモル濃度と粘度が、産物の十分に許容可能な濃度をどのくらいまで高く達成できるかを制限する上で重大な役割を果たす重要な製剤特性であることを示している。Gly−Glyを含む製剤でのこれらの特性は、溶液の熱特性(ΔH、Tm)とも相関する、顕著な溶液特性の改善を示した。
図1Aのグラフは、クエン酸ナトリウム、Gly−Gly、または、この2つの混合物の存在下で、デフィブロタイド濃度を高めて作成した製剤の粘度を示す。それらの結果は、デフィブロタイド製剤の粘度が、その濃度に強く依存していることを示しており、そして、200mg/mL溶液は、80mg/mL溶液と比較して約10倍も高い粘度を有している。
図1Bのグラフは、クエン酸ナトリウム、Gly−Gly、または、この2つの混合物のいずれかを含む、3つの異なる製剤の温度に応じて粘度を示す。
図1Cのグラフは、これらの選択した製剤の経時的な粘度の低下を示す:20mM GlyGly(青色の円、橙色の正方形と重なっている)、20mM GlyGly、及び、34mMクエン酸ナトリウム(橙色の正方形)、20mM GlyGly、及び、100mMコハク酸ナトリウム(青色の三角形)、20mM GlyGly、及び、20mM 塩化ナトリウム(赤色の菱形)。GlyGly含有製剤は、ある特定の時点で最低の粘度を示す。
図1Dのグラフは、Gly−Gly、または、クエン酸ナトリウム緩衝剤の存在下で高まるデフィブロタイド濃度を使用して作成した製剤のオスモル濃度を示す。
6.2 実施例2−製剤特性に関する緩衝剤の効果
6.2.1 実施例2.1−粘度とオスモル濃度に関する緩衝剤と賦形剤の効果
デフィブロタイド濃度を高めると、粘度とオスモル濃度の双方が大きくなることが、実施例1で実証された。非経口投与用の医薬品は、低粘度、及び/または、等張であることが重要である。デフィブロタイド製剤の粘度、及び/または、オスモル濃度を低下し得る緩衝剤または賦形剤を同定するために、200mg/mLデフィブロタイド製剤を使用して、様々な緩衝剤及び賦形剤(GRAS賦形剤を含む)のワイドパネルスクリーニングを実施した。
6.2.1 実施例2.1−粘度とオスモル濃度に関する緩衝剤と賦形剤の効果
デフィブロタイド濃度を高めると、粘度とオスモル濃度の双方が大きくなることが、実施例1で実証された。非経口投与用の医薬品は、低粘度、及び/または、等張であることが重要である。デフィブロタイド製剤の粘度、及び/または、オスモル濃度を低下し得る緩衝剤または賦形剤を同定するために、200mg/mLデフィブロタイド製剤を使用して、様々な緩衝剤及び賦形剤(GRAS賦形剤を含む)のワイドパネルスクリーニングを実施した。
以下の表1に示すように、200mg/mLを標的として試験製剤を調製した。
表1及び2、ならびに、図1B、1C、及び、2Aのグラフに示したように、Gly−Glyを含むHCLF製剤は、その他の製剤と比較したところ、そして、異なるpH、産物濃度、及び、温度条件下で試験して(図2Aを参照されたい)、クエン酸緩衝剤と比較したところ、全体的に粘度が著しく小さかった。特に、TRIS及びヒスチジン緩衝剤は、200mg/mLのデフィブロタイドで、さらに低い粘度(40cP未満)を示した。Gly−Glyでのほぼ全部の製剤で、所定の産物濃度、及び、周囲温度条件で、クエン酸緩衝剤と比較して、粘度が最大で50%小さかった。周囲温度は、地域によって変化し得るので、粘度を、約15℃〜30℃で測定することが好ましい、しかしながら、気象条件次第で、わずかでも高低変化し得る。例えば、180mg/mLのデフィブロタイド(平均分子量14kDA)を含み、そして、20mM Gly−Gly、及び、34mMクエン酸ナトリウムpH7.0を含む、ある好ましい製剤を、25℃で測定すると、粘度が12cPであった。同じ条件下で、平均分子量17kDaのデフィブロタイドを使用した場合、その他の製剤での粘度は、27cpであった。スクリーニングした賦形剤の内、リドカインだけが、粘度をさらに低下させる可能性を示した、しかしながら、オスモル濃度は、900mOsm/kgを超えて高くなったため(図2Bを参照されたい)、さらなる調査には実用的とは考えられなかった。全体的に最も小さな粘度を示すGly−gly緩衝剤を、200mg/mL HCLFデフィブロタイド製剤に適した緩衝剤として同定した。
6.2.2 実施例2.2−貯蔵している間の緩衝能力と安定性に対する異なるナトリウムイオン源の効果
Gly−Gly緩衝剤系を含む高濃度デフィブロタイド(「DF」)製剤の様々な緩衝剤溶液の緩衝能力を比較するために、3つの異なるナトリウムイオン源を利用する16種類の緩衝剤を使用して、DF製剤の安定性、不純物プロファイル、及び、溶液特性を評価した。これらの製剤の概要を、表3に示す。
Gly−Gly緩衝剤系を含む高濃度デフィブロタイド(「DF」)製剤の様々な緩衝剤溶液の緩衝能力を比較するために、3つの異なるナトリウムイオン源を利用する16種類の緩衝剤を使用して、DF製剤の安定性、不純物プロファイル、及び、溶液特性を評価した。これらの製剤の概要を、表3に示す。
外観、色、及び、透明度の結果に基づいて、Gly−Gly緩衝剤で製剤したデフィブロタイドは、最長で少なくとも3ヶ月間、25±2℃/60±5%RHで貯蔵した後でも、安定であった。
UV及びpH分析は、25±2℃/60±5%RHで、最長で3ヶ月にわたって貯蔵した場合、すべての製剤で、デフィブロタイド濃度が一定である、ことを示した。
すべての製剤の粘度は、時間に応じて低下した(例えば、図3Bを参照されたい)。初期時点での粘度は、180mg/mLのすべての製剤で、23.8cP〜34.4cPの範囲内であり、そして、25±2℃/60±5%RHで3ヶ月にわたって貯蔵した後では、最大で約52%低下した。図3Bに記載した製剤F1〜F5を、上記の表3に記載している。
ナトリウム塩濃度と相関する貯蔵時間に応じて、小さなオスモル濃度の増加傾向が認められた。塩濃度が増加しても、オスモル濃度の増加の変化は大きくなった(図3Aを参照されたい)。総ナトリウム塩が80mM未満の製剤は、経時的なオスモル濃度の変化が最も小さく、500mOsm/kg未満であった。
FNBアッセイを示す安定性は、1ヶ月の貯蔵の後に総不純物と遊離核酸塩基がわずかに増加したことを実証した。全体として、製剤F2及びF3での遊離核酸塩基の量は、最も少なかった。
サイズ排除クロマトグラフ(SEC)−多角度光散乱(MALS)分析を実施して、デフィブロタイドのサイズ分布と分子量を、産物濃度に応じて決定した。DF製剤とAPI参照物質を、ガラス製スクリューキャップチューブ(10mL)のSEC移動相で、4mg/mLに希釈した。溶液を、攪拌せずに、室温で、1時間維持した。次いで、試料溶液を、約100℃(沸騰水)にまで加熱し、そして、この温度で、15分間維持した。最後に、当該試料溶液を、水と氷を使用して、5分間冷却した。室温で安定化させた後(約15分)、これらの試料を、0.20μm SFCAシリンジフィルターでろ過した。当該試料溶液を、調製して1時間以内に、SEC−MALSで分析した。参照物質を、移動相にて、4mg/mLのデフィブロタイドAPIから調製した。当該分析は、すべての製剤が、類似のサイズと多分散性を有することを示した。
これらの組み合わせた結果に基づいて、20mM Gly−Gly、及び、80mM未満のナトリウム塩(及び、好ましくは、20〜34mMクエン酸ナトリウム)での180mg/mLデフィブロタイドが、HCLF製剤の好ましい緩衝剤の組み合わせである。
6.3 実施例3−経時的、及び、温度に応じた粘度変化
医薬品にあっては、適切な有効期間を確保するために、経時的品質を維持することが重要である。したがって、Gly−Gly緩衝剤を使用して、200mg/mLデフィブロタイド製剤の粘度を、時間と温度の双方に応じて測定した。
医薬品にあっては、適切な有効期間を確保するために、経時的品質を維持することが重要である。したがって、Gly−Gly緩衝剤を使用して、200mg/mLデフィブロタイド製剤の粘度を、時間と温度の双方に応じて測定した。
上記したようにして、試料を調製した。
図4のグラフは、20mM Gly−Gly緩衝剤を使用して、200mg/mLのデフィブロタイド製剤の粘度が経時的に低下し、そして、温度の上昇とともに低下することも示している(25℃、40℃、及び、60℃で測定した)。温度と時間に応じた粘度の低下は、薬物送達、及び、特に、HCLFなどの高濃度産物などの産物の製造に適している。経時的な粘度の低下、チキソトロピー挙動は、特に有利であり、改善された利便性を患者にもたらし、また、これらの製剤に改善された忍容性をもたらす。デフィブロタイドは、温度安定性産物であるので、高温での粘度の低下により、患者に対する利便性を改善するさらなる機会を提供する。例えば、患者が投与前に製剤を温めると、粘度が下がって、特に、皮下、及び/または、筋肉内投与のための継続的投与を容易にする。
6.4 実施例4−強制分解を使用した経時的なオスモル濃度
医薬品は、長期間にわたって、様々な条件下で、低いオスモル濃度を維持することも重要である。したがって、Gly−Gly、及び、クエン酸緩衝剤を使用して、200mg/mLデフィブロタイド製剤のオスモル濃度を、強制分解試験を使用して、時間と温度の双方に応じて測定した。
医薬品は、長期間にわたって、様々な条件下で、低いオスモル濃度を維持することも重要である。したがって、Gly−Gly、及び、クエン酸緩衝剤を使用して、200mg/mLデフィブロタイド製剤のオスモル濃度を、強制分解試験を使用して、時間と温度の双方に応じて測定した。
上記したようにして試料を調製した。当該製剤のオスモル濃度を、25℃、40℃、及び、60℃で測定した。
図5Aのグラフは、クエン酸ナトリウム緩衝剤を使用して、200mg/mLデフィブロタイド製剤のオスモル濃度を示している。
図5Bのグラフは、Gly−Gly緩衝剤を使用して、200mg/mLデフィブロタイド製剤のオスモル濃度を示している。これらのグラフから分かるように、当該Gly−Gly製剤のオスモル濃度は、クエン酸緩衝剤を含む製剤と比較して低下している。重要なことに、当該Gly−Gly製剤のオスモル濃度は、各時点、及び、全温度で一貫して低いままである(約400mOsm/kg未満)。
6.5 実施例5−物理的安定性、及び、強制分解下の産物プロファイル
本発明のHCLFの物理的安定性、及び、産物プロファイルを、強制分解研究を使用して評価した。Gly−Gly、及び/または、クエン酸ナトリウムにて、pH3〜pH10で製剤した180mg/mL〜220mg/mLの濃度範囲内のデフィブロタイドを、25±2℃/60±5%相対湿度(「RH」)、40±2℃/75±5%RH、及び、60℃で、最長で3ヶ月間にわたって貯蔵した後に評価をした。試験した製剤を、以下の表4に示す。
本発明のHCLFの物理的安定性、及び、産物プロファイルを、強制分解研究を使用して評価した。Gly−Gly、及び/または、クエン酸ナトリウムにて、pH3〜pH10で製剤した180mg/mL〜220mg/mLの濃度範囲内のデフィブロタイドを、25±2℃/60±5%相対湿度(「RH」)、40±2℃/75±5%RH、及び、60℃で、最長で3ヶ月間にわたって貯蔵した後に評価をした。試験した製剤を、以下の表4に示す。
強制分解安定性試験での外観、色、透明度、pH、及び、粒子数の結果に基づいて、20mM GlyGly、pH 7〜8にて、200mg/mL(FD3)で製剤したデフィブロタイドが、25±2℃/60±5%RHで貯蔵し、そして、最長で3ヶ月にわたるストレス条件を終えた後で、最も安定した製剤であった。
6.6 実施例6−様々な投与経路を使用する核酸製剤の薬物動態
6.6.1 実施例6.1−デフィブロタイドの静脈内(IV)注入、IVボーラス注射、皮下(SC)注射、及び、筋肉内(IM)注射
オスのゲッチンゲン豚に対して、単回の2時間静脈内(IV)注入、IVボーラス注射、皮下(SC)注射、筋肉内(IM)注射、または、経口(PO)強制経口投与を介して、様々なデフィブロタイド製剤の薬物動態(PK)の比較を行った。加えて、静脈内注入と比較して、様々な血管外投与経路のバイオアベイラビリティを決定した。
6.6.1 実施例6.1−デフィブロタイドの静脈内(IV)注入、IVボーラス注射、皮下(SC)注射、及び、筋肉内(IM)注射
オスのゲッチンゲン豚に対して、単回の2時間静脈内(IV)注入、IVボーラス注射、皮下(SC)注射、筋肉内(IM)注射、または、経口(PO)強制経口投与を介して、様々なデフィブロタイド製剤の薬物動態(PK)の比較を行った。加えて、静脈内注入と比較して、様々な血管外投与経路のバイオアベイラビリティを決定した。
オスのゲッチンゲン豚またはミニブタは、SC送達を探索するための業界標準であり、デフィブロタイドSC製剤、及び、送達オプションを探索するための許容可能なモデルである。それぞれの動物は、表5の処置グループに記載したデフィブロタイドの単回投与を受けた。ゲッチンゲン豚、n=3匹のオス/グループを、以下の処置グループに割り当てた。
血液試料を採取し、そして、血漿に処理した。Quant−iT OliGreen ssDNAアッセイキット(Life Technologies)を使用して、ブタの血漿試料でのデフィブロタイドの濃度を定量した。簡潔に説明すると、当該アッセイの方法論は、96ウェルプレートでの試料の(二連で)分割、OliGreen試薬の添加、攪拌しながらのインキュベーション(5分間、光から保護する)、及び、直接蛍光測定(485励起、515nmカットオフ、及び、525nmの放射)を含む。アッセイ範囲は、2.5〜60μg/mL(高範囲)、及び、0.05〜2.5μg/mL(低範囲)であった。当該アッセイの定量下限(LLOQ)は、0.05μg/mLであった。
個々の動物のデフィブロタイドの血漿濃度と時間のデータを、PK分析のためにWinNonlin Phoenixバージョン6.3ソフトウェア(Pharsight,Cary,NC)にダウンロードした。非コンパートメントIV注入、IVボーラス、または、血管外注射モデルを適宜使用して、各動物の単回投与PKパラメーターを決定した。PKパラメーターの推定には、名目用量と試料回収時間(表5を参照されたい)を使用した。バックグラウンド値(範囲=0.115〜0.903μg/mL)は、すべての動物で、投与前の時点で認められた。したがって、1μg/mL未満の濃度値を、<LLOQとして扱い、そして、分析では使用しなかった。可能な限り、以下のパラメーターを推定した:
Tmax 観察された最大濃度までの時間
Cmax 観察された最大濃度
AUC0−t 線型台形公式で推定した、時間=0から測定可能な最終濃度の
時点までの濃度−時間曲線下の面積
MRT0−t 時間=0から測定可能な最終濃度の時点までの平均滞留時間
Cmax/D 用量レベルで除算して得た、観察された最大濃度
AUC0−t/D 用量レベルで除算して線型台形公式で推定した、時間=0
から測定可能な最終濃度の時点までの濃度−時間曲線下の面積
CL 用量をAUC0−tで除算して得た、IVグループについて
計算したもの。
Tmax 観察された最大濃度までの時間
Cmax 観察された最大濃度
AUC0−t 線型台形公式で推定した、時間=0から測定可能な最終濃度の
時点までの濃度−時間曲線下の面積
MRT0−t 時間=0から測定可能な最終濃度の時点までの平均滞留時間
Cmax/D 用量レベルで除算して得た、観察された最大濃度
AUC0−t/D 用量レベルで除算して線型台形公式で推定した、時間=0
から測定可能な最終濃度の時点までの濃度−時間曲線下の面積
CL 用量をAUC0−tで除算して得た、IVグループについて
計算したもの。
パーセンテージとして表した生物学的に利用可能な画分(F)を、IV注入用量グループに対する各動物グループに関して、AUC0−t/D値に基づいて、次のようにして算出した:
(個々の動物のSC、IM、または、PO AUC0−t/D)/(グループ平均IV注入AUC0−t/D)×100%
(個々の動物のSC、IM、または、PO AUC0−t/D)/(グループ平均IV注入AUC0−t/D)×100%
デフィブロタイド血漿分析:オスのゲッチンゲン豚に対するIV、SC、IM、または、PO投与後のデフィブロタイド血漿濃度を、以下にまとめた:25mg/kgの単回IV注入投与、または、2.5mg/kgデフィブロタイドの単回IVボーラス投与では、投与して8時間後までの平均血漿濃度は、1μg/mLを超えていた。25mg/kgデフィブロタイドのSCまたはIM投与では、投与して24時間後(最後に測定した時点)までの平均血漿濃度は、1μg/mLを超えていた。100mg/kgでPO投与した後に、1匹の動物でのある時点(動物14Mに投与して4時間後)、及び、1匹の動物での3つの時点(動物13Mに投与して、5、6、及び、12時間後)では、デフィブロタイド血漿濃度は、1μg/mLを超えていたが、3番目の動物(15M)では、すべての時点で1μg/mL未満であった。
薬物動態分析:個々の動物と概要を説明したPKパラメーターも測定して、以下に示した:25mg/kgデフィブロタイドを、2時間、IV注入した後では、平均Cmax/Dは、1.52(μg/mL)/(mg/kg)であり、そして、平均AUC0−t/D値は、3.56(時間*μg/mL)/(mg/kg)であった。2.5mg/kgデフィブロタイドでIVボーラス投与した後では、平均Cmax/Dは、14.4(μg/mL)/(mg/kg)であり、そして、平均AUC0−t/D値は、8.30(時間*μg/mL)/(mg/kg)であった。
25mg/kgデフィブロタイドをSC投与した後のTmaxは、投与して0.25〜8時間の範囲であったが、血漿PKプロファイルに複数のピークが認められた。平均SCバイオアベイラビリティ(%F)は、81.3%であった。25mg/kgデフィブロタイドをIM投与した後のTmaxは、投与して0.25〜0.50時間の範囲であった。平均IMバイオアベイラビリティは、108%であった。対照的に、100mg/kgのデフィブロタイドを経口投与した後は、測定可能な濃度はほとんど認められなかった。PO投与した後の平均バイオアベイラビリティは、7.2%未満であった。
これらの結果は、IV投与と比較して、SC及びIM投与した後でのデフィブロタイドへの曝露が延長されたことを示している。平均MRT最終値は、IV注入グループ、及び、IVボーラス投与グループのそれぞれでの1.30、及び、2.16時間と比較して、SC、及び、IM投与グループで、それぞれ、9.26、及び、7.36時間であった。
6.6.2 実施例6.2−HCLFデフィブロタイド製剤の皮下投与
皮下投与したデフィブロタイドの高濃度液体製剤の薬物動態をさらに調査するために、200mg/mLの3つの異なるHCLF製剤を、Defitelioの単回の2時間の静脈内(IV)注入、または、SC注射と比較した。加えて、SC投与経路を介したバイオアベイラビリティを、IV注入と比較して決定した。
皮下投与したデフィブロタイドの高濃度液体製剤の薬物動態をさらに調査するために、200mg/mLの3つの異なるHCLF製剤を、Defitelioの単回の2時間の静脈内(IV)注入、または、SC注射と比較した。加えて、SC投与経路を介したバイオアベイラビリティを、IV注入と比較して決定した。
200mg/mLのHCLF製剤を、上記したようにして、クエン酸ナトリウム、Gly−Gly、または、これらの緩衝剤の組み合わせを使用して調製した。以下の表6に示す用量を使用して、Defitelioを、4mg/mL IV、または、80mg/mL SCで投与した。オスのゲッチンゲン豚(n=3匹のオス/グループ)に、表6に記載した試験品を単回投与した。実施例6.1の分析方法を使用して、デフィブロタイドを分析した。当該PKパラメーターは、実施例6.1と同様にして決定した。
パーセント(%F)として表すバイオアベイラビリティを、上記したようにして算出を行い、そして、それらの結果を、以下の表7に示す。
デフィブロタイドの血漿濃度、及び、血漿濃度−時間データを、上記したように決定し、そして、図6に示した。図6に記載の個々のミニブタでのPKプロファイルは、4つのSC処置すべて(Defitelio、及び、3つのHCLF)の複数の吸収ピークを示している。デフィブロタイドは、オリゴヌクレオチドの混合物であるため、これらの複数のピークは、デフィブロタイドの個々の成分の吸収速度の変動に起因したものであり得る。まとめると、これらの結果は、デフィブロタイドのバイオアベイラビリティが、高濃度液体製剤を含むすべての製剤において、SC投与で好ましいことを示している。
加えて、4つのSCグループの平均滞留時間(MRT)は、9.28〜10.9時間の範囲であった、一方で、IVグループのMRTは、わずか2.41時間であった(表7)、したがって、SC投与は、IV注入の約4倍半ものデフィブロタイドの持続放出をもたらした。このことは、低粘度のデフィブロタイドのSC投与において、HCLFが、IV投与と比較して、デフィブロタイドの血漿曝露を延長したという点で、実施例6.1で示されたものと一致する。
特定の理論に束縛されることを望むものではないが、SC経路による循環時間の延長は、吸収の持続放出パターンを付与するデフィブロタイドHCLFの性質に起因している可能性が高い。HCLFをSC投与してデフィブロタイドの循環が拡大することは、投与頻度の少ない代替レジメンを調査し、そして、患者の生活の質を改善する機会を提供し得る。
6.6.3 実施例6.3−IV、及び、SC投与の薬物動態プロファイルの比較
SC HCLF投与のPK比較を実証するために、SC及びIV注入後のPKプロファイルのシミュレーションを、コンパートメントモデリング技術を使用して実施した。IV注入、または、SC投与PKプロファイルを、それぞれ、シミュレーションするために、1次吸収プロセスの有無に関係なく、単純な1−コンパートメントモデルを使用した。このモデリング演習では、IV注入投与した後の平均PKパラメーターを、Defitelio(登録商標)の添付文書から得た。PK研究では、通常、薬物のクリアランスと分布量とを、生物学的利用可能性について報告をする、これらは、それぞれ、CL/FとV/Fである。ここで使用したPKシミュレーションでは、SC HCLFを投与した後に、平均CL/F、及び、V/Fを、70%の生物学的利用可能性を想定して、IVパラメーターから計算した。吸収速度定数は、0.22h−1と推定され、これは、ミニブタで認められたものと同様である。IV注入の用量とレジメンは、1日4回、2時間のIV注入で、6.25mg/kg/注入(25mg/kg/日の1日の合計投与量)であった。SC投与の1日用量とレジメンは、1日2回、18mg/kg/SC投与(36mg/kg/日の1日の合計投与量)であった。このシミュレーションは、体重70kgの方を対象に実施した。シミュレーションの間、SC投与した後のAUCの合計は、IV注入と同じになるように維持した。
SC HCLF投与のPK比較を実証するために、SC及びIV注入後のPKプロファイルのシミュレーションを、コンパートメントモデリング技術を使用して実施した。IV注入、または、SC投与PKプロファイルを、それぞれ、シミュレーションするために、1次吸収プロセスの有無に関係なく、単純な1−コンパートメントモデルを使用した。このモデリング演習では、IV注入投与した後の平均PKパラメーターを、Defitelio(登録商標)の添付文書から得た。PK研究では、通常、薬物のクリアランスと分布量とを、生物学的利用可能性について報告をする、これらは、それぞれ、CL/FとV/Fである。ここで使用したPKシミュレーションでは、SC HCLFを投与した後に、平均CL/F、及び、V/Fを、70%の生物学的利用可能性を想定して、IVパラメーターから計算した。吸収速度定数は、0.22h−1と推定され、これは、ミニブタで認められたものと同様である。IV注入の用量とレジメンは、1日4回、2時間のIV注入で、6.25mg/kg/注入(25mg/kg/日の1日の合計投与量)であった。SC投与の1日用量とレジメンは、1日2回、18mg/kg/SC投与(36mg/kg/日の1日の合計投与量)であった。このシミュレーションは、体重70kgの方を対象に実施した。シミュレーションの間、SC投与した後のAUCの合計は、IV注入と同じになるように維持した。
図7に示したように、経時的血漿濃度プロファイルは、それぞれのIV注入を行った後の急速なクリアランスとは対照的に、SC投与後のデフィブロタイドの緩慢で一定した放出を実証している。重要なことに、SC投与した後のデフィブロタイドの最小血漿濃度は、IV注入のそれよりもはるかに高く、一方で、SC投与のCmaxは、IV注入のCmaxと同様であった。
SC投与の薬物動態は、その薬理活性にとって重要であり得るデフィブロタイドの連続的な血漿曝露を可能にするプロファイルを表す。SC投与した後のピーク対血漿濃度比は、約700であるIV注入のそれと比較して、約8である。
まとめると、これらの結果は、デフィブロタイドの皮下投与が、IV注入のPKとはかけ離れた新規薬物動態プロファイル、すなわち、現在利用可能なデフィブロタイド製剤が必要としているものを提供する、ことを実証している。デフィブロタイドの緩慢で安定した放出は、そのリスク対利益プロファイルにとって重要であり得るものであり、そして、独自の皮下薬物動態は、より良好な有効性と、改善された安全性プロファイルとをもたらし得る新規の用量、及び/または、投与計画の開発を可能にする。
Claims (44)
- 少なくとも80mg/mLの濃度の核酸を含む、低粘度医薬製剤。
- 前記核酸が、多分散ランダム配列を含む、請求項1に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記核酸が、その大部分が、一本鎖ポリデオキシリボヌクレオチドとして存在する、請求項2に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記一本鎖ポリデオキシリボヌクレオチドが、以下の式:
P1−5、(dAp)12−24、(dGp)10−20、(dTp)13−26、(dCp)10−20、
式中:P=リンラジカル
dAp=デオキシアデニルモノマー
dGp=デオキシグアニルモノマー
dTp=デオキシチミジルモノマー
dCp=デオキシシチジルモノマー
に対応するランダム配列である、請求項3に記載の低粘度医薬製剤。 - 前記核酸濃度が、約85mg/mL〜約400mg/mLである、請求項1に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記製剤の粘度が、約70cP未満である、請求項1に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記製剤の粘度が、約5cP〜65cPである、請求項6に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記製剤の粘度が、約10cP〜約65cPである、請求項7に記載の低粘度医薬製剤。
- 粘度を、室温で測定する、請求項6〜8のいずれかに記載の低粘度医薬製剤。
- 粘度を、約15℃〜約35℃で測定する、請求項6〜8のいずれかに記載の低粘度医薬製剤。
- 粘度を、約21℃〜約23℃で測定する、請求項6〜8のいずれかに記載の低粘度医薬製剤。
- グリシルグリシンをさらに含む、請求項1に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記グリシルグリシンの濃度が、約5mM〜約100mMである、請求項12に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記グリシルグリシンの濃度が、約5mM〜60mMである、請求項13に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記グリシルグリシンの濃度が、約10mM〜約40mMである、請求項14に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記製剤が、約240mOsm/kg〜約600mOsm/kgのオスモル濃度を有する、請求項1に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記製剤が、約300mOsm/kg〜約550mOsm/kgのオスモル濃度を有する、請求項1に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記核酸が、リボ核酸またはデオキシリボ核酸のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記核酸の分子量が、約5,000〜約50,000ダルトンである、請求項18に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記核酸の分子量が、約13,000〜約30,000ダルトンである、請求項18に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記核酸の分子量が、約16,000〜約20,000ダルトンである、請求項18に記載の低粘度医薬製剤。
- クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ヒスチジン、TRIS緩衝剤、HEPES緩衝剤、塩化ナトリウム、アルギニン、リドカイン、及び/または、ポリソルベート−80から選択する緩衝剤または賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記製剤が、緩衝剤または賦形剤を含んでおり、前記核酸が、アルカリ金属塩の形態である、請求項1に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記緩衝剤または賦形剤が、ナトリウム塩を含む、請求項23に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記緩衝剤または賦形剤が、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、または、塩化ナトリウムである、請求項22〜24のいずれかに記載の低粘度医薬製剤。
- 前記緩衝剤または賦形剤が、約80mM未満のナトリウム塩の濃度のクエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、または、塩化ナトリウムである、請求項22〜25のいずれかに記載の低粘度医薬製剤。
- 前記緩衝剤または賦形剤が、20〜34mMの濃度のクエン酸ナトリウムである、請求項26に記載の低粘度医薬製剤。
- 70%を超える一本鎖多分散ポリデオキシリボヌクレオチドを含む組成物を、85mg/mL〜約400mg/mLで含む低粘度医薬製剤であって、それぞれのポリデオキシリボヌクレオチドが、45〜65個の塩基を含み、及び、13kDa〜20kDaの平均分子量と、約5mM〜約100mMの濃度のグリシルグリシンとを有する、前記低粘度医薬製剤。
- 70%を超える一本鎖多分散ポリデオキシリボヌクレオチドの核酸を含む核酸組成物を、150mg/mL〜約250mg/mLで含む低粘度医薬製剤であって、それぞれのポリデオキシリボヌクレオチドが、45〜65個の塩基を含み、及び、13kDa〜20kDaの平均分子量と、約5mM〜約60mMの濃度のグリシルグリシンとを有し、前記製剤が、15℃〜25℃で測定した約5〜約70cPの粘度と、約300mOsm/kg〜550mOsm/kgのオスモル濃度とを有しており、及び、前記製剤が、患者への非経口投与のために製剤したものである、前記低粘度医薬製剤。
- 100mg/mL〜約400mg/mLのデフィブロタイド、及び、約5mM〜約60mMの濃度のグリシルグリシンを含む低粘度医薬製剤であって、前記製剤は、15℃〜25℃で測定した約5〜約60cPの粘度と、約240mOsm/kg〜700mOsm/kgのオスモル濃度とを有しており、及び、前記製剤が、患者への非経口投与のために製剤したものである、前記低粘度医薬製剤。
- 粘度が、経時的に低下する、先行請求項のいずれかに記載の低粘度医薬製剤。
- 粘度が、貯蔵している間に低下する、請求項31に記載の低粘度医薬製剤。
- 粘度が、剪断、攪拌、及び/または、圧力が強くなると低下する、先行請求項のいずれかに記載の低粘度医薬製剤。
- 前記剪断が、投与している間に強くなる、請求項33に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記剪断が、針または機器を介して投与している間に強くなる、請求項34に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記製剤を、皮下投与、筋肉内投与、または、腹腔内投与のために製剤する、先行請求項のいずれかに記載の低粘度医薬製剤。
- 前記製剤が、静脈内投与を介して送達した製剤と比較して、全身性半減期の延長を示す、請求項37に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記皮下送達する製剤が、静脈内投与を介して送達した製剤と比較して、血漿濃度の最高最低間比率が小さい、請求項37に記載の低粘度医薬製剤。
- 前記皮下送達する製剤が、静脈内投与を介して送達した製剤と比較して、改善された効力、及び/または、改善された安全性プロファイルを示す、請求項37に記載の低粘度医薬製剤。
- 等張性、または、チキソトロピー性である、先行請求項のいずれかに記載の低粘度医薬製剤。
- 患者が自己投与し得る、先行請求項のいずれかに記載の低粘度医薬製剤。
- 先行請求項のいずれかに記載の低粘度製剤の皮下投与用機器。
- 請求項1〜42のいずれかに記載の低粘度製剤を投与する、ことを含む疾患を処置する方法であって、前記疾患を、血栓症、類洞閉塞症候群または肝血管閉塞性疾患(VOD)、移植片対宿主病(GvHD)、移植関連血栓性微小血管症(TA−TMA)、または、特発性肺炎症候群を含む造血幹細胞移植(HSCT)関連合併症、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)及び溶血性尿毒症症候群(HUS)を含むその他のTMA、急性心筋虚血、虚血性脳卒中、固形臓器移植における虚血再灌流障害、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、鎌状赤血球血管閉塞性危機(VOC)、鎌状赤血球関連急性胸部症候群、播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、腎不全、その他の冠動脈または末梢動脈疾患、血液悪性腫瘍、または、固形腫瘍から選択する、前記方法。
- 患者の生活の質を改善する投薬計画、すなわち、投与量の減少を必要とする、及び/または、投与の頻度を減らすことを許容する前記投与計画で、前記低粘度製剤を投与する、請求項43に記載の方法。
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