B.図面の簡単な説明
(A)レナリドミド耐性H929−1051細胞において、経時的にカスパーゼ3誘導倍率(別名、アポトーシス指標)の曲線下面積により測定される、アポトーシス誘導の変化。横座標:対数nM(化合物)、縦座標:アポトーシス指標。最良適合線は、GraphPad Prismにおいて計算された3パラメータロジスティク方程式である。(B)H929−1051細胞における化合物1及び化合物Aの濃度応答曲線の曲線下面積は、6時間曝露し、希釈して化合物濃度を約20倍低減した後の、化合物のアポトーシスを誘導する能力を比較するために使用された。
レナリドミド耐性MM細胞H929−1051における、ポマリドミド−デキサメタゾンの併用処置と単剤化合物2(A)、及び化合物2−デキサメタゾンでの併用処置(B)での抗増殖活性の比較。増殖は、120時間の処置後にATP決定アッセイ(CellTiter−Glo)を使用して評価した。背景を除去し、DMSO対照(100%の対照)に正規化することにより対照パーセントを計算した。各データ点は、2つ組で少なくとも3回の独立した実験の平均を表す。
(A)未刺激のPBMC、及び(B)72時間化合物2で処置されたTHLE−2に対する抗増殖作用は、ATP決定アッセイ(CellTiter−Glo)を使用して評価した。背景を除去し、DMSO対照(100%の対照)に正規化することにより対照パーセントを計算した。
レナリドミド耐性H929−1051異種移植モデルにおける連続投与での化合物2の抗腫瘍活性。雌のSCIDマウスの右腹側部に10×106H929−1051腫瘍細胞を接種した。処置開始時にマウスを処置群(n=10/群)に無作為化した。腫瘍がおよそ120mm3になった14日目に試験品での処置を開始した。
染色体転座により分類した多発性骨髄腫細胞株における化合物2の抗増殖活性。グラフは、MMで見られる一般的な転座を含有する15MM細胞株についてフローサイトメトリーにより生存細胞数を測定した濃度応答成長曲線の曲線下面積(AUC)を表す。報告されたAUC値は用量応答曲線下面積に対応し、値0は全用量での増殖/生存率の完全な低減に対応し、値10000は増殖/生存率の低減なしに対応する。細胞株は最初に、見られる染色体転座により分類され、次に転座が高リスクであることが知られているか否かにより分類される。
レナリドミド及びポマリドミド耐性多発性骨髄腫細胞株における化合物2及びポマリドミドの抗増殖活性。IC50=対照と比較して細胞成長を50%阻害する化合物2及びポマリドミドの濃度。化合物2及びポマリドミド抗増殖IC50値(棒)の比較を示すグラフは、表11に提示される親(DF15、NCI−H929、及びOPM2)、レナリドミド耐性(NCI−H929−1051)、またはポマリドミド耐性(NCI−H929−P01、OPM2−P01、OPM2−P1、OPM2−P10、及びDF15R)MM細胞株において、CellTitre−Gloを使用して決定された。
骨髄亜集団のゲーティング戦略。
インビトロ好中球前駆体分化の最終期、最大3日間にわたって毎日短期間化合物2に曝露する作用。健康なドナーの骨髄由来のCD34+細胞を、1、2、または3日間連続して各々の日に、1、10、及び100nMの濃度で化合物2に曝露した。生存細胞のみが分析に含まれた。データはドナー1及び2の結果の平均であり、それぞれ、曝露6時間後のCD34−/CD33+/CD11b+及びCD34−/CD33−/CD11b+として定義されるIII期及びIV期の細胞のパーセンテージの例を表す。
3日間連続して化合物2に6時間曝露した後の好中球前駆体の最終期成熟。健康なドナーの骨髄由来のCD34+細胞を、10日目から3日間連続して各々の日に、1、10、または100nMの濃度で6時間化合物2に曝露した。データは、ドナー番号1及び番号2からの、CD34−/CD33+/CD11b+として定義されるIII期細胞及びCD34−/CD33−/CD11b+として定義されるIV期細胞の平均パーセンテージを表す。エラーバーは標準偏差を表す。
5日間連続して化合物2に6時間曝露した後の好中球前駆体の最終期成熟。健康なドナーの骨髄由来のCD34+細胞を、10日目から5日連続して各々の日に、1、10、または100nMの濃度で6時間化合物2に曝露した。データは、ドナー番号1及び番号2からの、CD34−/CD33+/CD11b+として定義されるIII期細胞及びCD34−/CD33−/CD11b+として定義されるIV期細胞の平均パーセンテージを表す。エラーバーは標準偏差を表す。
単剤デキサメタゾンの処理スケジュール表。
デキサメタゾンもしくは化合物2単独、または異なる濃度で組み合わせて1回曝露した後の骨髄分化中の成熟好中球のパーセンテージ。健康なドナーの骨髄由来のCD34+細胞を、13日目に、化合物2(6時間)及びデキサメタゾン(30時間)単独(上の列)、または1、10、もしくは100nMの濃度で組み合わせて(下の列)曝露した。下のパネルの各々において、化合物2の濃度は異なり、デキサメタゾンの濃度は1nM(左)、10nM(中央)、または100nM(右)で一定に保たれた。組み合わせについて、培養物を両薬剤に同時に6時間曝露した。次いで、細胞を洗浄し、その後24時間デキサメタゾンとともに再度インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、残りの研究の間、化合物2またはデキサメタゾンなしで再度インキュベートした。データは、ドナー3、4、及び5からのCD34−/CD33+/CD11b+として定義されるIV期細胞のパーセンテージを表す。赤線は、DMSO対照のIV期細胞のレベルの50%を表す。
レナリドミド耐性多発性骨髄腫細胞株における、アポトーシスに対するデキサメタゾン単独、または化合2、レナリドミド、及びポマリドミドとの組み合わせでの処置の作用。y軸はDMSOからのカスパーゼ−3の倍率変化を示し、x軸はデキサメタゾンの対数濃度である。
化合物2は、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を直接活性化して、濃度依存様式でK562赤骨髄球性(erythromyelocytic)白血病細胞を溶解する。(左)化合物2、レナリドミド、ポマリドミド、またはDMSOでプレインキュベートしたヒトPBMCと共培養したK562細胞の代表的な蛍光活性化細胞選別プロット。(右)共培養での生存可能なK562細胞において濃度依存的減少を示すPI−アネキシンV−K562細胞のパーセンテージの生データ。データは平均として提示され、エラーバーは平均の標準誤差を表す。
免疫細胞を化合物2で直接活性化して、レナリドミド感受性及びレナリドミド耐性多発性骨髄腫細胞株を溶解する。末梢血単核ドナー細胞(PBMC)(エフェクター細胞)を、示される試験品または化合物2で2時間前処理した後、抗CD3抗体でコーティングしたプレート上で72時間培養した。未処置のCFSE標識多発性骨髄腫細胞株と共培養する前に、PBMCを洗浄し、化合物が存在しない培地に設置し、次いで、24時間、多発性骨髄腫細胞株(標的細胞)と共培養した。免疫細胞媒介多発性骨髄腫細胞死滅の増加は、(A)NCI−H929細胞または(B)H929−1051細胞のいずれかと共培養した(標的エフェクター比1:5)化合物2で処理したPBMCにおいて明らかであった。
化合物で刺激した免疫細胞は、多発性骨髄腫細胞が共培養前にレナリドミド、ポマリドミド、または化合物2で前処理される場合に増強された腫瘍細胞死滅を示す。末梢血単核細胞を、レナリドミド、ポマリドミド、または化合物2で2時間プレインキュベートした後、抗CD3抗体でコーティングしたプレート上で72時間培養した。同時に、4つの多発性骨髄腫(MM)細胞株を、試験品を含有する培地中で培養した。72時間後、細胞を24時間一緒に共培養した(標的エフェクター[T:E]比1:5)。試験した全ての細胞型(A)NCI−H929、(B)H929−1051、(C)OPM2、及び(D)OPM2 P10細胞株において、免疫細胞媒介MM死滅の増加は、MM単独培養(各列の左側のグラフ)と比較して、共培養において明らかであった(各列の右側のグラフ)。化合物はPBMC生存率に対してほとんど作用がなかった(各列の中央のグラフに示される)。
化合物2はMM細胞株においてCD38の発現を上方調節する。CD38の細胞表面発現は、化合物2またはポマリドミドで72時間前処理したMM細胞において評価した。用量応答作用は、OPM−2及びOPM−2.P10細胞株について示される。
化合物2はMM細胞のダラツムマブ媒介ADCCを増加させる。7つのMM細胞株を、化合物2またはポマリドミドの致死量以下の濃度で72時間処理した後、ADCCアッセイのためにエフェクター対標的[E:T]比10:1でNK細胞と共培養した。グラフは7つのMM細胞株について得られた代表的なデータを図示する。2つの異なるドナーからのNK細胞でアッセイを2回行った。DMSO対照は未処理の腫瘍細胞でのベースラインNK細胞活性であり、アイソタイプ及びDaraは、それぞれ、未処理の腫瘍細胞での、アイソタイプ対照及びダラツムマブの存在下のNK細胞活性であり、アイソタイプ+化合物及びDara+化合物は、それぞれ、処理された腫瘍細胞での、アイソタイプ対照及びダラツムマブの存在下のNK細胞活性である。
化合物2は、MM細胞のダラツムマブ媒介ADCPを増強する。食作用アッセイはエフェクター対標的比[E:T]2:1で行った。6つのMM細胞株+/−化合物2またはポマリドミドでの前処理はダラツムマブ媒介ADCPを受けた。A)OPM2細胞株でのADCPの代表的な画像。マクロファージは赤であり、OPM2細胞は緑である。B)フローサイトメトリーによる食作用の定量化。DMSO対照は未処理の腫瘍細胞でのベースラインNK細胞活性であり、アイソタイプ及びDaraは、それぞれ、未処理の腫瘍細胞での、アイソタイプ対照及びダラツムマブの存在下のNK細胞活性であり、アイソタイプ+化合物及びDara+化合物は、それぞれ、処理された腫瘍細胞での、アイソタイプ対照及びダラツムマブの存在下のNK細胞活性である。
化合物2とプロテアソーム阻害剤との組み合わせは、MM細胞モデルにおいて、アポトーシスの増加をもたらす。MM細胞株を、ボルテゾミブまたはDMSOのパルスで1時間処理し、続いて洗浄した。前処理した細胞を、異なる濃度の化合物2とともに72時間インキュベートし、続いて試料を7−AAD及びアネキシン−V溶液で染色し、フローサイトメトリーにより分析した。A)化合物2単独のまたはボルテゾミブで前処理した生存細胞のパーセント。B)様々な処理条件でのOPM2−P10細胞の散布図。
MM細胞における化合物2とボルテゾミブまたはカルフィルゾミブとの組み合わせ。4つのMM細胞株を、ボルテゾミブまたはDMSOのパルスで1時間処理し、続いて洗浄した。前処理した細胞を、異なる濃度の化合物2とともに72時間インキュベートし、続いて試料を7−AAD及びアネキシン−V溶液で染色し、フローサイトメトリーにより分析した。A)化合物2単独のまたはボルテゾミブで前処理した抗増殖作用。B)化合物2単独のまたはカルフィルゾミブで前処理した抗増殖作用。DRC=用量応答曲線
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、化学療法剤、Bcl−2阻害剤、Mcl−1阻害剤、BET阻害剤、またはLSD−1阻害剤と組み合わせた化合物2によるMM細胞の処理が示される。MM細胞株のパネルにわたって13の小分子阻害剤と組み合わせた化合物2による処理について相乗作用の計算を行った。青色のボックスは、化合物2と組み合わせたときの相乗作用であるウェルのパーセンテージを図示する。*はヌルモデルとは異なる表面応答の重要性を表す。
レナリドミド耐性H929−1051異種移植モデルおける、単剤としてまたは組み合わせでの化合物2(0.1mg/kg、qd)及びデキサメタゾン(0.5mg/kg、qd)での処理の作用。
レナリドミド耐性NCI−H929(H929−1051)多発性骨髄腫/形質細胞腫異種移植モデルにおける、化合物2単独及びボルテゾミブとの組み合わせでの抗腫瘍活性。投与日はX軸の矢印で示される。
C.化合物
化合物4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル(「化合物1」と称される)、
1
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、または薬学的に許容される塩を本明細書に提供する。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物及び方法に使用するための化合物は、化合物1、あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、または薬学的に許容される塩である。
化合物(S)−4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル(「化合物2」と称される)
2
またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩も本明細書に提供される。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物及び方法に使用するための化合物は、化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩である。
化合物(R)−4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル(「化合物3」とも称される)
3
またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩も本明細書に提供される。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物及び方法に使用するための化合物は、化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩である。
化合物1が本明細書に提供される。化合物1の互変異性体が本明細書に提供される。化合物1の鏡像異性体が本明細書に提供される。化合物1の鏡像異性体の混合物が本明細書に提供される。化合物1の薬学的に許容される塩が本明細書に提供される。
化合物2が本明細書に提供される。化合物2の互変異性体が本明細書に提供される。化合物2の薬学的に許容される塩が本明細書に提供される。
化合物3が本明細書に提供される。化合物3の互変異性体が本明細書に提供される。化合物3の薬学的に許容される塩が本明細書に提供される。
本明細書に提供される化合物の同位体として濃縮された類似体も本明細書に提供される。薬物動態(「PK」)、薬力学(「PD」)、及び毒性プロファイルを改善するための医薬品の同位体濃縮(例えば、重水素化または重水素濃縮)は、いくつかのクラスの薬物によって以前に示されている。例えば、Lijinsky et.al.,Food Cosmet.Toxicol.,20:393(1982)、Lijinsky et.al.,J.Nat.Cancer Inst.,69:1127(1982)、Mangold et.al.,Mutation Res.308:33(1994)、Gordon et.al.,Drug Metab.Dispos.,15:589(1987)、Zello et.al.,Metabolism,43:487(1994)、Gately et.al.,J.Nucl.Med.,27:388(1986)、Wade D,Chem.Biol.Interact.117:191(1999)を参照されたい。いずれの特定の理論によって限定されることなく、化合物の同位体濃縮は、例えば、(1)望ましくない代謝産物を低減または取り除くために、(2)親薬物の半減期を増加させるために、(3)所望の作用を達成するために必要とされる投与回数を減少させるために、(4)所望の作用を達成するために必要な投与量を減少させるために、(5)いずれかが形成される場合、活性代謝産物の形成を増加させるために、及び/または(6)特定の組織における有害な代謝産物の産生を減少させるために、及び/または併用療法が意図的であるかにかかわらず、併用療法用のより有効な薬物及び/またはより安全な薬物を創出するために使用され得る。原子のその同位体のうちの1つへの置換により、しばしば、化学反応の反応速度に変化がもたらされる。この現象は、速度論的同位体作用(「KIE」)として知られている。例えば、C−H結合が化学反応の律速ステップ(すなわち、最高の遷移状態エネルギーを持つステップ)中に破壊される場合、重水素のその水素への置換は、反応速度の減少を引き起こし、このプロセスは遅くなるであろう。この現象は、重水素速度論的同位体作用(「DKIE」)として知られている。(例えば、Foster et al.,Adv.Drug Res.,vol.14,pp.1−36(1985)、Kushner et al.,Can.J.Physiol.Pharmacol.,vol.77,pp.79−88(1999)を参照されたい)。DKIEの規模は、C−H結合が破壊される所定の反応の速度と、重水素が水素に置換される同じ反応の速度との比率として表すことができる。DKIEは、約1(同位体作用なし)〜非常に大きい数、例えば、50以上の範囲に及び得、この反応は、重水素が水素に置換される場合、50倍以上遅い場合があることを意味する。特定の理論によって制限されるものではないが、高いDKIE値は、不確定な原理の結果であるトンネリングとして知られている現象に一部よる可能性がある。トンネリングは、少量の水素原子に起因しており、またトンネリングが生じるのはプロトンを包含する遷移状態が、必要とされる活性化エネルギーの不在下で時々形成することができるためである。重水素が水素よりも大きな質量を有しているため、この現象を受けている確率は統計的に非常に低い。
三重水素(「T」)は、研究、核融合炉、中性子発生装置、及び放射性医薬品に使用される水素の放射性同位体である。三重水素は、核内に2個の中性子を有し、かつ3に近い原子量を有する水素原子である。それは、非常に低い濃度で環境において天然に生じ、最も一般には、T2Oとして見出される。三重水素は緩徐に壊変し(半減期=12.3年)、ヒトの皮膚の外層を貫通することができない低エネルギーベータ粒子を放出する。内部被曝は、この同位体に関連する主要なハザードであるが、顕著な健康リスクがもたらされるには多量に摂取しなければならない。重水素と比較して、三重水素が有害なレベルに到達する前に消費されなければならない量は少ない。水素に対する三重水素(「T」)の置換により、重水素よりもさらに強い結合が生じ、数の上ではより大きな同位体作用を付与する。
同様に、炭素に対する13Cまたは14C、硫黄に対する33S、34S、または36S、窒素に対する15N、及び酸素に対する17Oまたは18Oを含むが、これらに限定されない他の元素に対する同位体の置換により、同様の速度論的同位体作用がもたらされるであろう。
動物の身体は、治療薬などの異物をその循環系から排除する目的のための様々な酵素を発現する。そのような酵素の例としては、それらの異物と反応し、腎排泄のためにそれらをより極性の中間体または代謝産物に変換するための、チトクロームP450酵素(「CYP」)、エステラーゼ、プロテアーゼ、リダクターゼ、デヒドロゲナーゼ、及びモノアミンオキシダーゼが挙げられる。医薬化合物の最も一般的な代謝反応のいくつかは、炭素−水素(C−H)結合の、炭素−酸素(C−O)または炭素−炭素(C−C)π結合のいずれかへの酸化を伴う。得られる代謝産物は、生理学的条件下で安定または不安定であり得、親化合物と比べて実質的に異なる薬物動態、薬力学、及び急性かつ長期毒性プロファイルを有し得る。多くの薬物に関して、そのような酸化は迅速である。結果として、これらの薬物は、しばしば、複数のまたは高い日用量の投与を必要とする。
本明細書に提供される化合物のある特定の位置での同位体濃縮は、天然の同位体組成を有する同様の化合物と比較して、本明細書に提供される化合物の薬物動態、薬力学、及び/または毒性学的プロファイルに影響を及ぼす検出可能なKIEをもたらし得る。一実施形態では、重水素濃縮は、代謝中にC−H結合切断の部位で行われる。
一実施形態では、化合物1のアイソトポログ、あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、または薬学的に許容される塩が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、化合物1のアイソトポログは、重水素濃縮された化合物1、あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、または薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、化合物1のアイソトポログは、重水素濃縮された化合物1、あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、または薬学的に許容される塩であり、重水素濃縮はキラル中心で生じる。別の実施形態では、化合物2のアイソトポログ、またはその互変異性体、もしくは薬学的に許容される塩が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、化合物2のアイソトポログは、重水素濃縮された化合物2、またはその互変異性体、もしくは薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、化合物2のアイソトポログは、重水素濃縮された化合物2、またはその互変異性体、もしくは薬学的に許容される塩であり、重水素濃縮はキラル中心で生じる。
ある特定の実施形態では、4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリルのアイソトポログ、あるいは鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、または薬学的に許容される塩が、本明細書に提供され、4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル分子のうちの1つ以上の原子位置(複数可)は、例えば重水素で同位体として濃縮される。本明細書のある特定の実施形態は、以下の式の化合物を提供し:
式中、1つ以上のY原子(すなわち、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6、Y
7、Y
8、Y
9、Y
10、Y
11、Y
12、Y
13、Y
14、Y
15、Y
16、Y
17、Y
18、Y
19、Y
20、Y
21、Y
22、Y
23、Y
24、Y
25、Y
26、Y
27、Y
28、Y
29、及びY
30)は、重水素で同位体として濃縮された水素(複数可)であり、任意の残りのY原子(複数可)は、非濃縮水素原子(複数可)である。
一実施形態では、化合物は以下の式の化合物である:
。
一実施形態では、化合物は以下の式の化合物である:
。
ある特定の実施形態では、示されるY原子のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16,17,18,19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または全てが重水素で同位体として濃縮され、任意の残りのY原子(複数可)は、非濃縮水素(複数可)である。一実施形態では、示されるY原子のうちの1つは、重水素で同位体として濃縮され、任意の残りのY原子(複数可)は、非濃縮水素である。一実施形態では、Y5が重水素で同位体として濃縮される。
ある特定の実施形態では、化合物のグルタルイミド部分上の1つ以上のY原子(Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、及びY27)が重水素濃縮される。ある特定の実施形態では、化合物のイソインドリノン部分上の1つ以上のY原子(Y6、Y7、Y8、Y9、及びY10)が重水素濃縮される。ある特定の実施形態では、化合物のフェニルアルキル部分上の1つ以上のY原子(Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、及びY18)が重水素濃縮される。ある特定の実施形態では、化合物のピペラジン部分上の1つ以上のY原子(Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、及びY26)が重水素濃縮される。ある特定の実施形態では、化合物の遠位のフェニル環部分上の1つ以上のY原子(Y28、Y29、及びY30)が重水素濃縮される。本明細書に提供される化合物は、本明細書に開示される重水素濃縮体の任意の組み合わせであり得る。換言すると、重水素濃縮されたグルタルイミド部分、重水素濃縮されたイソインドリン部分、重水素濃縮されたフェニルアルキル部分、重水素濃縮されたピペラジン部分、及び重水素濃縮された遠位のフェニル環部分の任意の組み合わせが本明細書に包含される。
一実施形態では、Y1及びY2が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。一実施形態では、Y3及びY4が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。一実施形態では、Y5が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。一実施形態では、Y1〜Y5が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。一実施形態では、Y3〜Y5が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。一実施形態では、Y6及びY7が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。一実施形態では、Y8〜Y10が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。一実施形態では、Y11及びY12が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。一実施形態では、Y13〜Y16が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。一実施形態では、Y17及びY18が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。一実施形態では、Y11〜Y18が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。一実施形態では、Y19〜Y26が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。一実施形態では、Y27が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。一実施形態では、Y28〜Y30が重水素濃縮され、任意の残りのY原子は非濃縮水素である。
一実施形態では、化合物1のアイソトポログは、化合物1−D:
(1−D)である。
別の実施形態では、化合物1のアイソトポログは、
の混合物である。
また別の実施形態では、化合物2のアイソトポログは、化合物2−D:
(2−D)である。
また別の実施形態では、化合物3のアイソトポログは、化合物3−D:
(3−D)である。
ある特定の実施形態では、重水素濃縮された位置のいずれかは独立して、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または約100%の重水素存在量を有する。一実施形態では、Y5は、重水素濃縮され、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または約100%の重水素存在量を有する。
一実施形態では、化合物1−DのD(キラル中心で)は、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または約100%の重水素存在量を有する。一実施形態では、Dは、少なくとも90%の重水素存在量を有する。
一実施形態では、化合物2−DのD(キラル中心で)は、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または約100%の重水素存在量を有する。一実施形態では、Dは、少なくとも90%の重水素存在量を有する。
一実施形態では、化合物3−DのD(キラル中心で)は、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または約100%の重水素存在量を有する。一実施形態では、Dは、少なくとも90%の重水素存在量を有する。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される重水素濃縮された化合物は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の鏡像体過剰率を有する。立体異性体純度の更なる例としては、少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17 18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%の鏡像体過剰率が挙げられる。
一実施形態では、化合物2−Dは、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の鏡像体過剰率を有する。一実施形態では、化合物2−Dは、少なくとも90%の鏡像体過剰率を有する。
一実施形態では、化合物3−Dは、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の鏡像体過剰率を有する。一実施形態では、化合物3−Dは、少なくとも90%の鏡像体過剰率を有する。
本明細書に提供される重水素濃縮された化合物は、本明細書に提供される合成スキーム及び実施例に従うが、対応する重水素濃縮された出発材料(複数可)を使用して調製することができる。本明細書に提供される重水素濃縮された化合物は、WO2014/039421及びWO2014/116573(それらの各々の全ては参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものを含むがこれらに限定されない、当業者に既知の一般化学に従い調製して、重水素濃縮されたイソインドリノン及びグルタルイミド化合物を調製することもできる。
D.化合物1、化合物2、及び化合物3の調製
本明細書に提供される化合物は、当業者に既知の方法により、ならびに本明細書の実施例の節に記載されるものと同様の手順及びその日常的な修正に従い調製することができる。化合物の調製のための例示的な反応スキームは、化合物1、化合物2、及び化合物3については以下のスキーム1、ならびに化合物2についてはスキーム2に図示される。
スキーム1に示されるように、3−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸の保護(例えば、メチルエステル及びtert−ブチル(ジメチル)シリルエーテル形成による)に続いて、例えばN−ブロモスクシンイミド及びアゾビスイソブチロニトリルを使用して臭素化を行った。塩基(DIEAなど)の存在下で、メチル−4,5−ジアミノ−5−オキソ−ペンタノエート(H−D,L−Glu(OMe)−NH
2とも称される)と反応させることにより、誘導体化されたイソインドリンを形成し、続いて、炭酸カリウムなどの塩基を使用してTBS脱保護を行った。塩基(炭酸カリウムなど)の存在下で、誘導体化されたイソインドリンと1,4−ビス(ブロモメチル)ベンゼンとの反応に続いて、カリウムtert−ブトキシドの存在下でグルタルイミド形成を行った。最後に、3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)ベンゾニトリルと反応させて、標的の化合物1を得た。キラル分離により化合物2及び化合物3を得る。
スキーム1
あるいは、スキーム2に例示されるように、塩基(DIEAなど)の存在下で、2−(ブロモメチル)−3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−安息香酸メチル中間体とキラルtert−ブチル(4S)−4,5−ジアミノ−5−オキソ−ペンタノエート(H−L−Glu(OtBu)−NH
2とも称される;H−D−Glu(OtBu)−NH
2との反応により反対の鏡像異性体が得られる)とを反応させることにより、誘導体化されたイソインドリンを形成し、続いて、フッ化テトラブチルアンモニウムを使用してTBS脱保護を行った。塩基(炭酸カリウムなど)の存在下で、誘導体化されたイソインドリンと4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリルもしくはその塩との反応に続いて、脱保護及びグルタルイミド形成を行い、標的の化合物2を得た。
スキーム2.
当業者は、例示的スキーム及び実施例に記載する手順を修正して所望の製品に達する方法を知っているであろう。
一態様では、化合物1、
1
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを調製するための方法が本明細書に提供され、本方法は、化合物1を提供するのに好適な条件下で、化合物1a
1a
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを、塩基の存在下、有機溶媒中で3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)ベンゾニトリルと接触させることを含み、式中、Xは脱離基である。
一実施形態では、本方法は、化合物1の鏡像異性体、例えば化合物2、
2
を調製するための方法であり、本方法は、化合物2を提供するのに好適な条件下で、化合物1aの鏡像異性体、例えば、化合物2a
2a
を、塩基の存在下、有機溶媒中で3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)ベンゾニトリルと接触させることを含み、式中、Xは脱離基である。
一実施形態では、Xは、ハロゲン、例えば、BrまたはClである。別の実施形態では、Xは、メタンスルホネート(−OMsとも称される)。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、THF、またはDMSOである。他では、塩基は、DIEAまたはTEAである。いくつかの実施形態では、接触は、高温、例えば、約35℃〜約50℃で行われる。
いくつかの実施形態では、本方法は、化合物1a、
1a
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを調製することを更に含み、本方法は、化合物1aを提供するのに好適な条件下で、化合物1b、
1b
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを、有機溶媒中でカリウムtert−ブトキシドと接触させることを含む。
一実施形態では、本方法は、化合物1aの鏡像異性体、例えば、化合物2a、
2a
を調製するための方法であり、本方法は、化合物2aを提供するのに好適な条件下で、化合物1bの鏡像異性体、例えば、化合物2bを、
2b
有機溶媒中でカリウムtert−ブトキシドと接触させることを含む。
一実施形態では、XはBrである。一実施形態では、溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、接触は、低温、例えば、約−70℃〜約−80℃で行われる。
いくつかの実施形態では、本方法は、化合物1b、
1b
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを調製することを更に含み、本方法は、化合物1bを提供するのに好適な条件下で、化合物1c、
1c
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを、塩基の存在下、有機溶媒中で
と接触させることを含む。
一実施形態では、本方法は、化合物1bの鏡像異性体、例えば化合物2b、
2b
を調製するための方法であり、本方法は、化合物1bを提供するのに好適な条件下で、化合物1cの鏡像異性体、例えば、化合物2c、
2c
を、塩基の存在下、有機溶媒中で
と接触させることを含む。
一実施形態では、XはBrである。一実施形態では、溶媒はアセトニトリルである。いくつかの実施形態では、塩基は炭酸カリウムである。いくつかの実施形態では、接触は、高温、例えば、約50℃〜約70℃で行われる。
いくつかの実施形態では、本方法は、化合物1c、
1c
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを調製することを更に含み、本方法は、化合物1cを提供するのに好適な条件下で、化合物1d、
1d
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを、溶媒中で塩基と接触させることを含む。
一実施形態では、本方法は、化合物1cの鏡像異性体、例えば、化合物2c、
2c
を調製するための方法であり、本方法は、化合物2cを提供するのに好適な条件下で、化合物1dの鏡像異性体、例えば、化合物2d、
2d
を、溶媒中で塩基と接触させることを含む。
一実施形態では、溶媒は水である。いくつかの実施形態では、塩基は炭酸カリウムである。
いくつかの実施形態では、本方法は、化合物1d、
1d
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを調製することを更に含み、本方法は、化合物1dを提供するのに好適な条件下で、化合物1e、
1e
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを、塩基の存在下、溶媒中で2−(ブロモメチル)−3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−安息香酸メチルと接触させることを含む。
一実施形態では、本方法は、化合物1dの鏡像異性体、例えば、化合物2d、
2d
を調製するための方法であり、本方法は、化合物2dを提供するのに好適な条件下で、化合物1eの鏡像異性体、例えば、化合物2e、
2e
を、塩基の存在下、溶媒中で2−(ブロモメチル)−3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−安息香酸メチルと接触させることを含む。
一実施形態では、溶媒はアセトニトリルである。いくつかの実施形態では、塩基はDIEAである。いくつかの他の実施形態では、接触は、高温、例えば、約50℃〜約70℃で行われる。
別の態様では、化合物1、
1
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを調製するための方法が本明細書に提供され、本方法は、化合物1を提供するのに好適な条件下で、化合物1f
1f
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを、有機溶媒中で酸と接触させることを含む。
一実施形態では、本方法は、化合物1の鏡像異性体、例えば化合物2、
2
を調製するための方法であり、本方法は、化合物2を提供するのに好適な条件下で、化合物1fの鏡像異性体、例えば、化合物2f、
2f
を、有機溶媒中で酸と接触させることを含む。
一実施形態では、溶媒はアセトニトリルである。他では、酸は、ベンゼンスルホン酸である。いくつかの実施形態では、接触は、高温、例えば、約75℃〜約95℃で行われる。
いくつかの実施形態では、本方法は、化合物1f、
1f
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを調製することを更に含み、本方法は、化合物1fを提供するのに好適な条件下で、化合物1g
1g
あるいはその鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物、互変異性体、またはアイソトポログを、塩基の存在下、溶媒中で4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリルまたはその塩と接触させることを含む。
一実施形態では、本方法は、化合物1fの鏡像異性体、例えば、化合物2f、
2f
を調製するための方法であり、本方法は、化合物2fを提供するのに好適な条件下で、化合物1gの鏡像異性体、例えば、化合物2g、
2g
を、塩基の存在下、溶媒中で4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリルまたはその塩と接触させることを含む。
一実施形態では、溶媒はDMFである。一実施形態では、溶媒はDMSOである。他では、塩基は炭酸カリウムである。いくつかの実施形態では、接触は、高温、例えば、約35℃〜約55℃で行われる。
いくつかの実施形態では、化合物1fを調製するための方法は、精製方法を更に含み、本精製方法は、(i)化合物1f(遊離塩基)を第1の溶媒中で酸と接触させ、(ii)濾過して、化合物1fの酸性塩を得、(iii)第2の溶媒中の化合物1fの酸性塩を塩基で洗浄して、化合物1f(遊離塩基)を得ることを含む。一実施形態では、酸は、酒石酸(例えば、L−酒石酸)である。一実施形態では、第1の溶媒はメタノールである。一実施形態では、化合物1fの酸性塩は、化合物1fの酒石酸塩(例えば、L−酒石酸塩)である。一実施形態では、第2の溶媒は、2−メチルテトラヒドロフランである。一実施形態では、塩基は炭酸カリウムである。
いくつかの実施形態では、化合物1fの鏡像異性体、例えば化合物2fを調製するための方法は、精製方法を更に含み、本精製方法は、(i)化合物2f(遊離塩基)を第1の溶媒中で酸と接触させ、(ii)濾過して、化合物2fの酸性塩を得、(iii)第2の溶媒中の化合物2fの酸性塩を塩基で洗浄して、化合物2f(遊離塩基)を得ることを含む。一実施形態では、酸は、酒石酸(例えば、L−酒石酸)である。一実施形態では、第1の溶媒はメタノールである。一実施形態では、化合物2fの酸性塩は、化合物2fの酒石酸塩(例えば、L−酒石酸塩)である。一実施形態では、第2の溶媒は、2−メチルテトラヒドロフランである。一実施形態では、塩基は炭酸カリウムである。
いくつかの実施形態では、本方法は、4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリルまたはその塩を調製することを更に含み、本方法は、4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリルを提供するのに好適な条件下で、4−(クロロメチル)ベンズアルデヒドを、還元剤の存在下、溶媒中で3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)ベンゾニトリルと接触させることを含む。
一実施形態では、還元剤は、トリ酢酸水素化ホウ素ナトリウム(NaBH(OAc)4)である。一実施形態では、溶媒はトルエンである。一実施形態では、接触は、酸の存在下で行われる。一実施形態では、酸は酢酸である。
一実施形態では、本明細書に提供される方法において調製及び使用される4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリルまたはその塩は、4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリルのHCl塩である。一実施形態では、HCl塩は、4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル遊離塩基を、イソプロパノール中の塩酸と接触させることにより調製される。
E.治療及び予防方法
驚くべきことに、化合物1、化合物2、及び化合物3は、正常な細胞と比較して、多発性骨髄腫細胞の選択的細胞死滅、オフターゲット受容体における活性の低減、及びCYP酵素阻害の低減を含む安全性プロファイルの改善などの際立った特徴を有し、有害な薬物相互作用を低減する非常に強力な抗骨髄腫化合物であることが見出された。
一実施形態では、化合物1、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療する方法が、本明細書に提供される。一実施形態では、多発性骨髄腫を治療する方法に使用するための、化合物1、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩が本明細書に提供され、本方法は、この化合物を患者に投与することを含む。
一実施形態では、化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療する方法が本明細書に提供される。一実施形態では、多発性骨髄腫を治療する方法に使用するための、化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩が本明細書に提供され、本方法は、この化合物を患者に投与することを含む。
一実施形態では、化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療する方法が本明細書に提供される。一実施形態では、多発性骨髄腫を治療する方法に使用するための、化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩が本明細書に提供され、本方法は、この化合物を患者に投与することを含む。
一実施形態では、本明細書に提供される化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を予防する方法が本明細書に提供される。一実施形態では、多発性骨髄腫を予防する方法に使用するための、本明細書に提供される化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩が本明細書に提供され、本方法は、患者に対するこの化合物を含む。
別の実施形態では、本明細書に提供される化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を管理する方法が本明細書に提供される。一実施形態では、多発性骨髄腫を管理する方法に使用するための、本明細書に提供される化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩が本明細書に提供され、本方法は、この化合物を患者に投与することを含む。
一実施形態では、患者の、多発性骨髄腫の治療効果判定国際統一基準(IURC)により評価される治療奏功を誘導するための方法も本明細書に提供され(Durie BGM,Harousseau J−L,Miguel JS,et al.International uniform response criteria for multiple myeloma.Leukemia,2006;(10)10:1−7)、有効量の本明細書に記載の化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を、多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む。別の実施形態では、患者において、多発性骨髄腫の治療効果判定国際統一基準(IURC)により決定される、厳密完全奏功または非常に良好な部分奏功を達成するための方法が本明細書に提供され、有効量の本明細書に記載の化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を、多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む。別の実施形態では、患者の全生存期間、無増悪生存期間、無事象生存期間、進行までの時間、または無病生存期間の増加を達成するための方法が本明細書に提供され、有効量の本明細書に記載の化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を、多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む。別の実施形態では、患者の全生存期間の増加を達成するための方法が本明細書に提供され、有効量の本明細書に記載の化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を、多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む。別の実施形態では、患者の無増悪生存期間の増加を達成するための方法が本明細書に提供され、有効量の本明細書に記載の化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を、多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む。別の実施形態では、患者の無事象生存期間の増加を達成するための方法が本明細書に提供され、有効量の本明細書に記載の化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を、多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む。別の実施形態では、患者の進行までの時間の増加を達成するための方法本明細書に提供され、有効量の本明細書に記載の化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を、多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む。別の実施形態では、患者の無病生存期間の増加を達成するための方法が本明細書に提供され、有効量の本明細書に記載の化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を、多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む。
多発性骨髄腫に対して以前に治療されているが、標準的な療法に対して非応答性であり、また以前に治療されていない患者の治療方法も本明細書に提供される。多発性骨髄腫を治療しようとして、手術を受けたことがある患者、ならびに受けたことがない患者の治療方法が更に包含される。移植療法を以前に受けたことがある患者、ならびに受けたことがない患者の治療方法も本明細書に提供される。
再発性、不応性、または耐性である多発性骨髄腫の治療を含む方法が本明細書に提供される。再発性、不応性、または耐性である多発性骨髄腫の予防を含む方法が本明細書に提供される。再発性、不応性、または耐性である多発性骨髄腫の管理を含む方法が本明細書に提供される。いくつかのそのような実施形態では、骨髄腫は、原発性、二次性、三次性、四重、または五重の再発性多発性骨髄腫である。一実施形態では、本明細書に提供される方法は、最小残存疾患(MRD)を低減、維持、または排除する。一実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療有効量の本明細書に記載の化合物を投与することによる、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、低リスク、中程度のリスク、及び高リスクの多発性骨髄腫、新たに診断された多発性骨髄腫(低リスク、中程度のリスク、及び高リスクの新たに診断された多発性骨髄腫を含む)、移植適応及び移植非適応多発性骨髄腫、くすぶり型(無症候性)多発性骨髄腫(低リスク、中程度のリスク、及び高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫を含む)、活動性多発性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、髄外性形質細胞腫、形質細胞白血病、中枢神経系多発性骨髄腫、軽鎖骨髄腫、非分泌型骨髄腫、免疫グロブリンD骨髄腫、及び免疫グロブリンE骨髄腫などの様々な種類の多発性骨髄腫の治療、予防、または管理を包含する。別の実施形態では、本明細書に提供される方法は、治療有効量の本明細書に記載の化合物を投与することによる、サイクリンD転座(例えば、t(11;14)(q13;q32)、t(6;14)(p21;32)、t(12;14)(p13;q32)、またはt(6;20);)、MMSET転座(例えば、t(4;14)(p16;q32))、MAF転座(例えば、t(14;16)(q32;q32)、t(20;22)、t(16;22)(q11;q13)、またはt(14;20)(q32;q11))、または他の染色体因子(例えば、17p13または染色体13の欠失、del(17/17p)、非高二倍体、及び増加(1q))などの遺伝子異常を特徴とする多発性骨髄腫の治療、予防、または管理を包含する。
一実施形態では、本方法は、治療有効量の化合物1、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。別の実施形態では、本方法は、治療有効量の化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。別の実施形態では、本方法は、治療有効量の化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、導入療法として、治療有効量の化合物1、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。別の実施形態では、本方法は、導入療法として、治療有効量の化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。別の実施形態では、本方法は、導入療法として、治療有効量の化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、地固め療法として、治療有効量の化合物1、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。別の実施形態では、本方法は、地固め療法として、治療有効量の化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。別の実施形態では、本方法は、地固め療法として、治療有効量の化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、維持療法として、治療有効量の化合物1、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。別の実施形態では、本方法は、維持療法として、治療有効量の化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。別の実施形態では、本方法は、維持療法として、治療有効量の化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。
本明細書に記載の方法の特定の一実施形態では、多発性骨髄腫は、形質細胞白血病である。
本明細書に記載の方法の一実施形態では、多発性骨髄腫は、高リスクの多発性骨髄腫である。いくつかのそのような実施形態では、高リスクの多発性骨髄腫は、再発性または不応性である。一実施形態では、高リスクの多発性骨髄腫は、最初の治療から12か月以内に再発する多発性骨髄腫である。更に別の実施形態では、高リスクの多発性骨髄腫は、遺伝子異常、例えば、del(17/17p)及びt(14;16)(q32;q32)のうちの1つ以上を特徴とする多発性骨髄腫である。いくつかのそのような実施形態では、高リスクの多発性骨髄腫は、再発性、または以前の1つ、2つ、もしくは3つの治療に対して不応性である。
一実施形態では、多発性骨髄腫はp53突然変異を特徴とする。一実施形態では、p53突然変異はQ331突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はR273H突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はK132突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はK132N突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はR337突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はR337L突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はW146突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はS261突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はS261T突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はE286突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はE286K突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はR175突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はR175H突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はE258突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はE258K突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はA161突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はA161T突然変異である。
一実施形態では、多発性骨髄腫は、p53のホモ接合型欠失を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、野生型p53のホモ接合型欠失を特徴とする。
一実施形態では、多発性骨髄腫は、野生型p53を特徴とする。
一実施形態では、多発性骨髄腫は、1つ以上の発がん性ドライバーの活性化を特徴とする。一実施形態では、1つ以上の発がん性ドライバーは、C−MAF、MAFB、FGFR3、MMset、サイクリンD1、及びサイクリンDからなる群から選択される。一実施形態では、多発性骨髄腫は、C−MAFの活性化を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、MAFBの活性化を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、FGFR3及びMMsetの活性化を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、C−MAF、FGFR3、及びMMsetの活性化を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、サイクリンD1の活性化を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、MAFB及びサイクリンD1の活性化を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、サイクリンDの活性化を特徴とする。
一実施形態では、多発性骨髄腫は、1つ以上の染色体転座を特徴とする。一実施形態では、染色体転座はt(14;16)である。一実施形態では、染色体転座はt(14;20)である。一実施形態では、染色体転座はt(4;14)である。一実施形態では、染色体転座は、t(4;14)及びt(14;16)である。一実施形態では、染色体転座はt(11;14)である。一実施形態では、染色体転座はt(6;20)である。一実施形態では、染色体転座はt(20;22)である。一実施形態では、染色体転座は、t(6;20)及びt(20;22)である。一実施形態では、染色体転座はt(16;22)である。一実施形態では、染色体転座は、t(14;16)及びt(16;22)である。一実施形態では、染色体転座は、t(14;20)及びt(11;14)である。
一実施形態では、多発性骨髄腫は、Q331 p53突然変異、C−MAFの活性化、及びt(14;16)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、p53のホモ接合型欠失、C−MAFの活性化、及びt(14;16)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、K132N p53突然変異、MAFBの活性化、及びt(14;20)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、野生型p53、FGFR3及びMMsetの活性化、ならびにt(4;14)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、野生型p53、C−MAFの活性化、及びt(14;16)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、p53のホモ接合型欠失、FGFR3、MMset、及びC−MAFの活性化、ならびにt(4;14)及びt(14;16)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、p53のホモ接合型欠失、サイクリンD1の活性化、及びt(11;14)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、R337L p53突然変異、サイクリンD1の活性化、及びt(11;14)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、W146 p53突然変異、FGFR3及びMMsetの活性化、ならびにt(4;14)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、S261T p53突然変異、MAFBの活性化、ならびにt(6;20)及びt(20;22)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、E286K p53突然変異、FGFR3及びMMsetの活性化、ならびにt(4;14)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、R175H p53突然変異、FGFR3及びMMsetの活性化、ならびにt(4;14)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、E258K p53突然変異、C−MAFの活性化、ならびにt(14;16)及びt(16;22)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、野生型p53、MAFB及びサイクリンD1の活性化、ならびにt(14;20)及びt(11;14)における染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、A161T p53突然変異、サイクリンD1の活性化、及びt(11;14)における染色体転座を特徴とする。
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、移植適応の新たに診断された多発性骨髄腫である。別の実施形態では、多発性骨髄腫は、移植適応の新たに診断された多発性骨髄腫である。
更に他の実施形態では、多発性骨髄腫は、初期の治療後の早期進行(例えば、12か月未満)を特徴とする。また他の実施形態では、多発性骨髄腫は、自家幹細胞移植後の早期進行(例えば、12か月未満)を特徴とする。別の実施形態では、多発性骨髄腫は、レナリドミド不応性である。別の実施形態では、多発性骨髄腫は、ポマリドミド不応性である。いくつかのそのような実施形態では、多発性骨髄腫は、ポマリドミド不応性であると予測される(例えば、分子特徴付けにより)。別の実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性、または3つ以上の治療に対して不応性であり、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、またはマリゾミブ)及び免疫調節化合物(例えば、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、イベルドミド、またはアバドミド)に曝露されたか、またはプロテアソーム阻害剤及び免疫調節化合物に対して二重不応性である。また他の実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性、または例えば、CD38モノクローナル抗体(CD38 mAb、例えば、ダラツムマブまたはイサツキシマブ)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、またはマリゾミブ)、及び免疫調節化合物(例えば、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、イベルドミド、またはアバドミド)を含む、3つ以上の前の療法に対して不応性であるか、あるいはプロテアソーム阻害剤または免疫調節化合物及びCD38 mAbに対して二重不応性である。また他の実施形態では、多発性骨髄腫は、三重不応性であり、例えば、多発性骨髄腫は、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、またはマリゾミブ)、免疫調節化合物(例えば、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、イベルドミド、またはアバドミド)、及び本明細書に記載される他の1つの活性剤に対して不応性である。
いくつかのそのような実施形態では、本方法は、導入療法として、治療有効量の化合物1、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。別の実施形態では、本方法は、導入療法として、治療有効量の化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。別の実施形態では、本方法は、導入療法として、治療有効量の化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。
ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1、化合物2、もしくは化合物3、または その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を、腎機能障害を伴う再発性/不応性多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む、腎機能障害またはその症状を伴う患者における再発性/不応性多発性骨髄腫を含む、多発性骨髄腫を治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書に提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を、多発性骨髄腫を有する虚弱な患者に投与することを含む、虚弱な患者における再発性もしくは不応性多発性骨髄腫またはその症状を含む、多発性骨髄腫を治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書に提供される。いくつかのそのような実施形態では、虚弱な患者は、導入療法の非適応性またはデキサメタゾン治療不耐性を特徴とする。いくつかのそのような実施形態では、虚弱な患者は、高齢者、例えば、65歳以上である。
ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、第4線の再発性/不応性多発性骨髄腫である。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、第4線の再発性/不応性多発性骨髄腫である。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、第4線の再発性/不応性多発性骨髄腫である。
ある特定の実施形態では、導入療法として治療有効量の化合物1、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、新たに診断された移植適応多発性骨髄腫である。ある特定の実施形態では、導入療法として治療有効量の化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、新たに診断された移植適応多発性骨髄腫である。ある特定の実施形態では、導入療法として治療有効量の化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、新たに診断された移植適応多発性骨髄腫である。
ある特定の実施形態では、他の療法もしくは移植の後の維持療法として治療有効量の化合物1、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、他の療法または移植の前に新たに診断された移植適応多発性骨髄腫である。ある特定の実施形態では、他の療法もしくは移植の後の維持療法として治療有効量の化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、他の療法または移植の前に新たに診断された移植適応多発性骨髄腫である。ある特定の実施形態では、他の療法もしくは移植の後の維持療法として治療有効量の化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、他の療法または移植の前に新たに診断された移植適応多発性骨髄腫である。
ある特定の実施形態では、他の療法もしくは移植の後の維持療法として治療有効量の化合物1、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、他の療法及び/または移植の前に新たに診断された移植適応多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、移植前の他の療法は、化学療法、または化合物1、化合物2、もしくは化合物3での治療である。ある特定の実施形態では、他の療法もしくは移植の後の維持療法として治療有効量の化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、他の療法及び/または移植の前に新たに診断された移植適応多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、移植前の他の療法は、化学療法、または化合物1、化合物2、もしくは化合物3での治療である。ある特定の実施形態では、他の療法もしくは移植の後の維持療法として治療有効量の化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、他の療法及び/または移植の前に新たに診断された移植適応多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、移植前の他の療法は、化学療法、または化合物1、化合物2、もしくは化合物3での治療である。
ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、再発性であるか、または以前の1つ、2つ、または3つの治療に対して不応性である高リスクの多発性骨髄腫である。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、再発性であるか、または以前の1つ、2つ、または3つの治療に対して不応性である高リスクの多発性骨髄腫である。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、再発性であるか、または以前の1つ、2つ、または3つの治療に対して不応性である高リスクの多発性骨髄腫である。
ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、新たに診断された移植非適応多発性骨髄腫である。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物2、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、新たに診断された移植非適応多発性骨髄腫である。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物3、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が本明細書に提供され、多発性骨髄腫は、新たに診断された移植非適応多発性骨髄腫である。
ある特定の実施形態では、化合物の治療または予防有効量は、約0.01〜約25mg/日、約0.01〜約10mg/日、約0.01〜約5mg/日、約0.01〜約2mg/日、約0.01〜約1mg/日、約0.01〜約0.5mg/日、約0.01〜約0.25mg/日、約0.1〜約25mg/日、約0.1〜約10mg/日、約0.1〜約5mg/日、約0.1〜約2mg/日、約0.1〜約1mg/日、約0.1〜約0.5mg/日、約0.1〜約0.25mg/日、約0.5〜約25mg/日、約0.5〜約10mg/日、約0.5〜約5mg/日、約0.5〜2mg/日、約0.5〜約1mg/日、約1〜約25mg/日、約1〜約10mg/日、約1〜約5mg/日、約1〜約2.5mg/日、または約1〜約2mg/日である。一実施形態では、化合物1、化合物2、または化合物3の治療または予防有効量は、約0.1mg/日〜約0.4mg/日である。
ある特定の実施形態では、治療または予防有効量は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約20、または約25mg/日である。いくつかのそのような実施形態では、治療または予防有効量は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7mg/日である。
一実施形態では、本明細書に記載の状態のための、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩の推奨される日用量の範囲は、約0.1mg〜約25mg/日の範囲内であり、好ましくは、1日1回の単回投与として、または1日を通して分割用量で与えられる。他の実施形態では、投薬量は、約0.1〜約10mg/日の範囲である。1日当たりの具体的な用量には、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25mg/日が含まれる。より具体的な1日当たりの用量には、0.1、0.2、0.3、0.4、または0.5mg/日が含まれる。
具体的な実施形態では、推奨される開始投薬量は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、または25mg/日であり得る。別の実施形態では、推奨される開始投薬量は、0.1、0.2、0.3、0.4、または0.5mg/日であり得る。投与量は、1、2、3、4、または5mg/日に漸増され得る。
ある特定の実施形態では、治療または予防有効量は、約0.001〜約5mg/kg/日、約0.001〜約4mg/kg/日、約0.001〜約3mg/kg/日、約0.001〜約2mg/kg/日、約0.001〜約1mg/kg/日、0.001〜約0.05mg/kg/日、約0.001〜約0.04mg/kg/日、約0.001〜約0.03mg/kg/日、約0.001〜約0.02mg/kg/日、約0.001〜約0.01mg/kg/日、または約0.001〜約0.005mg/kg/日である。
投与用量は、mg/kg/日以外の単位で表すことも可能である。例えば、非経口投与用の用量は、mg/m2/日と表すことができる。当業者ならば、対象の身長または体重いずれかあるいは両方が与えられれば、用量をmg/kg/日からmg/m2/日へと変換する方法方が容易にわかるであろう(www.fda.gov/cder/cancer/animalframe.htmを参照されたい)。例えば、65kgのヒトでは、1mg/kg/日の用量は、およそ38mg/m2/日と等しい。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法のうちの1つで治療される患者は、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与する前に多発性骨髄腫療法で治療されていない。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法のうちの1つで治療される患者は、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与する前に多発性骨髄腫療法で治療されている。ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法のうちの1つで治療される患者は、抗多発性骨髄腫療法に対して薬剤耐性が発達している。いくつかのそのような実施形態では、患者は、1つ、2つ、または3つの抗多発性骨髄腫療法に対して耐性が発達し、療法は、CD38モノクローナル抗体(CD38 mAb、例えば、ダラツムマブまたはイサツキシマブ)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、またはマリゾミブ)、及び免疫調節化合物(例えば、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、イベルドミド、またはアバドミド)から選択される。
本明細書に提供される方法は、患者の年齢に関係なく患者を治療することを包含する。いくつかの実施形態では、対象は18歳以上である。他の実施形態では、対象は、18、25、35、40、45、50、55、60、65、または70歳超である。他の実施形態では、対象は、年齢65歳未満である。他の実施形態では、対象は、65歳超である。一実施形態では、対象は、65歳超の年齢の対象など、高齢の多発性骨髄腫対象である。一実施形態では、対象は、75歳超の年齢の対象など、高齢の多発性骨髄腫対象である。
治療される疾患の状態及び対象の状態に応じて、本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、CIV、嚢内注射もしくは注入、皮下注射、または埋植)、吸入、鼻腔内、膣内、直腸、舌下、または局部(例えば、経皮もしくは局所)投与経路により投与され得る。本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、各投与経路に適する、単独でまたは組み合わせて、好適な投薬単位で、薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、及びビヒクルとともに製剤化され得る。
一実施形態では、本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、経口投与される。別の実施形態では、本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3の化合物、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、非経口投与される。更に別の実施形態では、本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3の化合物、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、静脈内投与される。
本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3の化合物、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、例えば、単回ボーラス注射、経口用錠剤もしくは丸剤などの単一用量として、または例えば、経時的な連続注入もしくは経時的な分割ボーラス投与など、経時的に送達することができる。本明細書に記載の化合物は、必要な場合、例えば、患者の疾患が安定するかもしくは退縮するまで、または患者の疾患が進行するか、もしくは許容できない毒性が見られるまで、反復投与され得る。疾患の安定またはその欠如は、当該分野で既知である方法、例えば、患者の症状の評価、身体検査、X線、CAT、PET、もしくはMRIスキャンを用いて撮影された腫瘍の可視化、及び他の一般的に受け入れられた評価様式などにより、決定される。
本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、または薬学的に許容される塩は、1日に1回(QDまたはqd)投与されるか、または1日に2回(BIDまたはbid)、1日に3回(TIDまたはtid)、及び1日に4回(QIDまたはqid)など、日用量を複数回に分割することができる。加えて、投与は、連続的(すなわち、連続した日付で日ごとに、すなわち毎日)、断続的、例えば、サイクル(すなわち、休薬期間を数日、数週間、または数か月含む)であってもよい。本明細書で使用される場合、「毎日」という用語は、本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3などの治療化合物、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩が、例えば、ある期間にわたって、1日1回または1回超投与されることを意味するように意図される。「連続」という用語は、本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3などの治療化合物、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩が、少なくとも7日間〜52週間の期間中断されずに毎日投与されることを意味するように意図される。「断続的」または「断続して」という用語は、本明細書で使用される場合、定期的または不定期な間隔のいずれかで中断及び開始することを意味するように意図される。例えば、本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩の間欠投与は、1週間に1〜6日投与すること、サイクルで(例えば、2〜8週間連続して毎日投与した後に、最大で1週間、投与を行わない休薬期間を伴って)投与すること、または隔日で投与することである。本明細書で使用される場合、「サイクル」という用語は、本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3などの治療化合物、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩が、毎日または連続してだが、休薬期間を伴って投与されることを意味するように意図される。いくつかのそのような実施形態では、2〜6日間、1日1回投与であり、その後5〜7日間は投与なしの休薬期間である。
いくつかの実施形態では、投与の頻度は、約1日単位の投与〜約月単位の投与の範囲にある。ある特定の実施形態では、投与は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日おきに1回、週に2回、週に1回、2週に1回、3週に1回、または4週に1回である。一実施形態では、本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、1日1回投与される。別の実施形態では、本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、1日2回投与される。更に別の実施形態では、本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、1日3回投与される。また別の実施形態では、本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、1日4回投与される。
一実施形態では、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3は、最大20日間の投与期間に続いて休薬期間を含む治療サイクルで投与される。一実施形態では、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3は、最大15日間の投与期間に続いて休薬期間を含む治療サイクルで投与される。一実施形態では、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3は、最大10日間の投与期間に続いて休薬期間を含む治療サイクルで投与される。一実施形態では、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3は、最大7日間の投与期間に続いて休薬期間を含む治療サイクルで投与される。一実施形態では、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3は、最大5日間の投与期間に続いて休薬期間を含む治療サイクルで投与される。一実施形態では、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3は、最大4日間の投与期間に続いて休薬期間を含む治療サイクルで投与される。一実施形態では、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3は、最大3日間の投与期間に続いて休薬期間を含む治療サイクルで投与される。
一実施形態では、治療サイクルは、最大14日間の投与期間に続いて休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大10日間の投与期間に続いて休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大7日間の投与期間に続いて休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大5日間の投与期間に続いて休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大4日間の投与期間に続いて休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大3日間の投与期間に続いて休薬期間を含む。
一実施形態では、休薬期間は、約2日間〜最大約11日間である。一実施形態では、休薬期間は、約2日間〜最大約10日間である。一実施形態では、休薬期間は、約2日間である。一実施形態では、休薬期間は、約3日間である。一実施形態では、休薬期間は、約4日間である。一実施形態では、休薬期間は、約5日間である。一実施形態では、休薬期間は、約6日間である。別の実施形態では、休薬期間は、約7日間である。別の実施形態では、休薬期間は、約8日間である。別の実施形態では、休薬期間は、約9日間である。別の実施形態では、休薬期間は、約10日間である。別の実施形態では、休薬期間は、約11日間である。
一実施形態では、治療サイクルは、最大15日間の投与期間に続いて約2日間〜最大約10日間の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大10日間の投与期間に続いて約2日間〜最大約10日間の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大7日間の投与期間に続いて約2日間〜最大約10日間の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大5日間の投与期間に続いて約2日間〜最大約10日間の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大3日間の投与期間に続いて約10日間〜最大約15日間の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大3日間の投与期間に続いて約3日間〜最大約15日間の休薬期間を含む。
一実施形態では、治療サイクルは、最大15日間の投与期間に続いて7日間の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大10日間の投与期間に続いて5日間の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大10日間の投与期間に続いて4日間の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大10日間の投与期間に続いて3日間の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大10日間の投与期間に続いて2日間の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大7日間の投与期間に続いて約7日間の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大5日間の投与期間に続いて5日間の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大3日間の投与期間に続いて11日間の休薬期間を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、最大5日間の投与期間に続いて9日間の休薬期間を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、最大5日間の投与期間に続いて2日間の休薬期間を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、最大3日間の投与期間に続いて4日間の休薬期間を含む。
一実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜5日目に、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜10日目に、化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。一実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜21日目に、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、7日サイクルの1〜5日目に、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、7日サイクルの1〜7日目に、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。一実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜10日目及び15〜24日目に(本明細書において、20/28投与サイクルと称される)、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。一実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜3日目及び15〜18日目に、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。一実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜7日目及び15〜21日目に(本明細書において、14/28投与サイクルと称される)、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。一実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜5日目及び15〜19日目に(本明細書において、10/28投与サイクルと称される)、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。一実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜3日目及び15〜17日目に(本明細書において、6/28投与サイクルと称される)、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。
一実施形態では、治療サイクルは、21日サイクルの1〜14日目に、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、21日サイクルの1〜4日目及び8〜11日目に、化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。一実施形態では、治療サイクルは、21日サイクルの1〜5日目及び8〜12日目に、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、21日サイクルの1〜5日目及び11〜15日目に、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、21日サイクルの1〜5日目及び8〜12日目、および15〜19日目に、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、21日サイクルの1〜4日目、8〜11日目、及び15〜18日目に、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、21日サイクルの1〜4日目、8〜10日目、及び15〜17日目に、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、21日サイクルの1〜3日目及び8〜11日目に、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、21日サイクルの1〜3日目及び11〜13日目に、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。
本明細書に記載されるいずれの治療サイクルも、少なくとも2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回以上のサイクルを繰り返すことができる。ある特定の場合、本明細書に記載される治療サイクルは、1〜約24回のサイクル、約2〜約16回のサイクル、または約2〜約4回のサイクルを含む。ある特定の場合、本明細書に記載される治療サイクルは、1〜約4回のサイクルを含む。ある特定の実施形態では、サイクル1〜4は、全て28日サイクルである。いくつかの実施形態では、治療有効量の化合物1、化合物2、または化合物3は、28日の1〜13サイクルの間(例えば、約1年)投与される。ある特定の場合、サイクル療法は、サイクル回数を制限せず、療法は疾患進行するまで続けられる。ある特定の場合、サイクルは、本明細書に記載の投与期間及び/または休薬期間の長さを変更することを含み得る。
一実施形態では、治療サイクルは、1日1回投与される約0.1mg/日、0.2mg/日、0.3mg/日、0.4mg/日、0.5mg/日、0.6mg/日、0.7mg/日、0.8mg/日、0.9mg/日、1.0mg/日、5.0mg/日、または10mg/日の投薬量で、化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。一実施形態では、治療サイクルは、1日1回投与される約0.1mg/日、0.2mg/日、0.3mg/日、0.4mg/日、0.5mg/日、0.6mg/日、0.7mg/日、または0.8mg/日の投薬量で、化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。いくつかのそのような実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜10日目に、約0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、または0.5mgの投薬量で、1日1回、化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。いくつかのそのような実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜10日目及び15〜24日目に、約0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、または0.5mgの投薬量で、1日1回、化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。いくつかのそのような実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜10日目及び15〜24日目に、約0.1mgの投薬量で、1日1回、化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。他の実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜3日目に、約0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、または0.5mgの投薬量で、1日2回、化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。他の実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜3日目及び15〜19日目に、約0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、または0.5mgの投薬量で、1日2回、化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。他の実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜3日目及び15〜17日目に、約0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、または0.5mgの投薬量で、1日2回、化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。他の実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1〜3日目及び15〜17日目に、約0.2mgの投薬量で、1日2回、化合物1、化合物2、または化合物3を投与することを含む。そのような一実施形態では、化合物は、28日サイクル、例えば、サイクル1の1〜3日目(朝及び夜)、14日目(夜のみ)、15日目及び16日目(朝及び夜)、ならびに17日目(朝のみ)に投与される。
F.第2の活性剤との併用療法
本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、手術、生物学的療法(例えば、チェックポイント阻害剤での免疫療法を含む)、放射線療法、化学療法、幹細胞移植、細胞療法、または多発性骨髄腫を治療、予防、または管理するために現在使用される他の非薬物に基づく療法を含むが、これらに限定されない従来の療法と組み合わされるか、またはそれとともに(例えば、その療法前、その療法中、またはその療法後に)使用することもできる。本明細書に提供される化合物と従来の療法との併用使用は、ある特定の患者に予想外に有効である固有の治療レジメンを提供し得る。理論によって限定されるものではないが、本明細書に提供される化合物1、化合物2、または化合物3が、従来の療法と同時に与えられる場合、相加または相乗作用を提供し得ると考えられる。
本明細書の他の箇所に論じられるように、手術、化学療法、放射線療法、生物学的療法、及び免疫療法を含むが、これらに限定されない従来の療法に関連する有害作用または望ましくない作用を低減、治療、及び/または予防する方法が、本明細書に包含される。本明細書に提供される化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩、及び他の活性成分は、従来の療法に関連する有害作用の発生前、発生中、または発生後に投与され得る。
本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、本明細書に記載の多発性骨髄腫の治療及び/または予防に有用な他の治療薬と組み合わされるか、またはそれと組み合わせて使用することもできる。
一実施形態では、1つ以上の第2の薬剤と組み合わせて、及び任意選択で、放射線療法、輸血、または手術と組み合わせて、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、または管理する方法が、本明細書に提供される。
本明細書で使用される場合、「組み合わせて」という用語は、2つ以上の療法(例えば、1つ以上の予防薬及び/または治療薬)の使用を含む。しかしながら、「組み合わせて」という用語の使用は、疾患または障害のある患者に療法(例えば、予防薬及び/または治療薬)が投与される順序を制限しない。第1の療法(例えば、本明細書に提供される化合物、例えば、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩などの予防薬もしくは治療薬)は、対象に、第2の療法剤(例えば、予防薬または治療薬)の投与前(例えば、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)に、それと同時に、またはその後(例えば、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)に投与され得る。三剤療法も、本明細書において企図され、同様に四剤療法も企図される。一実施形態では、第2の療法はデキサメタゾンである。
化合物1、化合物2、もしくは化合物3またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩、及び1つ以上の第2の活性剤の患者への投与は、同一または異なる投与経路により、同時または順次に行うことができる。特定の活性剤に用いられる特定の投与経路の適切性は、活性剤自体(例えば、それが、血流に入る前に分解されることなく経口投与可能であるかどうか)による。
化合物1、化合物2、もしくは化合物3またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩の投与経路は、第2の療法の投与経路とは無関係である。一実施形態では、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、経口投与される。別の実施形態では、化合物1、化合物2、または化合物3は、静脈内投与される。したがって、これらの実施形態によると、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、経口または静脈内投与され、第2の療法剤は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経口腔与、鼻腔内、リポソーム、吸入を介した、膣内、眼内、カテーテルもしくはステントによる局部送達を介した、皮下、脂肪内、関節内与、髄腔内、または徐放剤形で投与をすることができる。一実施形態では、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、薬学的に許容される塩、及び第2の療法は、同じ投与様式、経口、またはIVにより投与される。別の実施形態では、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、1つの投与様式によって、例えばIV投与されるが、第2の薬剤(抗多発性骨髄腫剤)は別の投与様式によって、例えば経口投与される。
一実施形態では、第2の活性剤は、静脈内または皮下で、1日1回または2回、約1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、または約50〜約200mgの量で投与される。第2の活性剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療または管理される多発性骨髄腫の種類、疾患の重症度及び病期、ならびに本明細書に提供される化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と、患者に同時に投与されるいずれかの任意の追加の活性剤との量に依存する。
1つ以上の第2の活性成分または薬剤は、本明細書に提供される方法及び組成物において、化合物1、化合物2、または化合物3と一緒に使用することができる。第2の活性剤は、巨大分子(例えば、タンパク質)、小分子(例えば、合成無機、有機金属、または有機分子)、または細胞療法(例えば、CAR細胞)であってもよい。
本明細書に記載の方法及び組成物において使用され得る第2の活性剤の例としては、メルファラン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、エトポシド、ドキソルビシン、ベンダムスチン、オビヌツズマブ、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、またはマリゾミブ)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、パノビノスタット、ACY241)、BET阻害剤(例えば、GSK525762A、OTX015、BMS−986158、TEN−010、CPI−0610、INCB54329、BAY1238097、FT−1101、ABBV−075、BI 894999、GS−5829、GSK1210151A(I−BET−151)、CPI−203、RVX−208、XD46、MS436、PFI−1、RVX2135、ZEN3365、XD14、ARV−771、MZ−1、PLX5117、4−[2−(シクロプロピルメトキシ)−5−(メタンスルホニル)フェニル]−2−メチルイソキノリン−1(2H)−オン、EP11313、及びEP11336)、BCL2阻害剤(例えば、ベネトクラクスまたはナビトクラクス)、MCL−1阻害剤(例えば、AZD5991、AMG176、MIK665、S64315、またはS63845)、LSD−1阻害剤(例えば、ORY−1001、ORY−2001、INCB−59872、IMG−7289、TAK−418、GSK−2879552、4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−yl)−5−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−イル]−2−フルオロ−ベンゾニトリルまたはその塩)、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、デキサメタゾン、抗体(例えば、エロツズマブなどのCS1抗体、ダラツムマブもしくはイサツキシマブなどのCD38抗体、またはBCMA抗体もしくは抗体コンジュゲート、例えば、GSK2857916もしくはBI 836909)、チェックポイント阻害剤(本明細書に記載されるような)、またはCAR細胞(本明細書に記載されるような)のうちの1つ以上が挙げられる。
一実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、デキサメタゾンである。
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1日目及び8日目に4mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1、4、8、及び11日目に4mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、及び15日目に4mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、4、8、11、15、及び18日目に4mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、15、及び22日目に4mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、10、15、及び22日目に4mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、3、15、及び17日目に4mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、3、14、及び17日目に4mgの用量で投与される。
いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1日目及び8日目に8mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1、4、8、及び11日目に8mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、及び15日目に8mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、4、8、11、15、及び18日目に8mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、15、及び22日目に8mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、10、15、及び22日目に8mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、3、15、及び17日目に8mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、3、14、及び17日目に8mgの用量で投与される。
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1日目及び8日目に10mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1、4、8、及び11日目に10mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、及び15日目に10mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、4、8、11、15、及び18日目に10mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、15、及び22日目10mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、10、15、及び22日目に10mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、3、15、及び17日目に10mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、3、14、及び17日目に10mgの用量で投与される。
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1日目及び8日目に20mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1、4、8、及び11日目に20mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、及び15日目に20mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、4、8、11、15、及び18日目に20mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、15、及び22日目に20mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、10、15、及び22日目に20mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、3、15、及び17日目に20mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、3、14、及び17日目に20mgの用量で投与される。
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1日目及び8日目に40mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1、4、8、及び11日目に40mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、及び15日目に40mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、10、15、及び22日目に40mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、4、8、11、15、及び18日目に40mgの用量で投与される。他のそのような実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、15、及び22日目に40mgの用量で投与される。他のそのような実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、3、15、及び17日目に40mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、3、14、及び17日目に40mgの用量で投与される。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、ボルテゾミブである。更に別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、ダラツムマブである。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に記載のプロテアソーム阻害剤、本明細書に記載のCD38阻害剤、及び本明細書に記載のコルチコステロイドとともに、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、パノビノスタットである。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、ACY241である。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、ビンクリスチンである。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、シクロホスファミドである。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、エトポシドである。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、ドキソルビシンである。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、ベネトクラクスである。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、AMG176である。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、MIK665である。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、GSK525762Aである。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、OTX015である。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、4−[2−(シクロプロピルメトキシ)−5−(メタンスルホニル)フェニル]−2−メチルイソキノリン−1(2H)−オンである。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と一緒に使用される第2の活性剤は、4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−イル]−2−フルオロ−ベンゾニトリル、またはその塩(例えば、ベシル酸塩)である。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、デキサメタゾンの投与を更に含む。
ある特定の実施形態では、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一実施形態では、1つのチェックポイント阻害剤が、本明細書に提供される方法に関連して、化合物1、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と組み合わせて使用される。別の実施形態では、2つのチェックポイント阻害剤が、本明細書に提供される方法に関連して、化合物1、またはその互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と組み合わせて使用される。更に別の実施形態では、3つ以上のチェックポイント阻害剤が、本明細書に提供される方法に関連して、化合物1、化合物2、もしくは化合物3、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と組み合わせて使用される。
本明細書で使用される場合、「免疫チェックポイント阻害剤」または「チェックポイント阻害剤」という用語は、1つ以上のチェックポイントタンパク質を、完全または部分的に低減するか、阻害するか、それと干渉するか、または調節する分子を示す。特定の理論に限定されるものではないが、チェックポイントタンパク質は、T細胞の活性化または機能を調節する。多数のチェックポイントタンパク質が知られており、例えば、CTLA−4及びそのリガンドであるCD80及びCD86;ならびにPD−1及びそのリガンドであるPD−L1及びPD−L2などがある(Pardoll,Nature Reviews Cancer,2012,12,252−264)。これらのタンパク質は、T細胞応答の同時刺激または阻害的相互作用の原因であるように思われる。免疫チェックポイントタンパク質は、自己寛容性、ならびに生理的免疫応答の期間及び振幅を調節及び維持しているように思われる。免疫チェックポイント阻害剤は、抗体を含むか、または抗体に由来する。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA−4阻害剤である。一実施形態において、CTLA−4阻害剤は、抗CTLA−4抗体である。抗CTLA−4抗体の例としては、米国特許第5,811,097号、同第5,811,097号、同第5,855,887号、同第6,051,227号、同第6,207,157号、同第6,682,736号、同第6,984,720号、及び同第7,605,238号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されず、それらは全て、その全体が本明細書に組み込まれる。一実施形態では、抗CTLA−4抗体は、トレメリムマブ(チシリムマブまたはCP−675、206としても知られる)である。別の実施形態では、抗CTLA−4抗体は、イピリムマブ(MDX−010またはMDX−101としても知られる)である。イピリムマブは、CTLA−4に結合する完全ヒトモノクローナルIgG抗体である。イピリムマブは、Yervoy(商標)の商品名で販売されている。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD−1/PD−L1阻害剤である。PD−l/PD−L1阻害剤の例としては、米国特許第7,488,802号、同第7,943,743号、同第8,008,449号、同第8,168,757号、同第8,217,149号、ならびにPCT特許出願公開第WO2003042402号、同第WO2008156712号、同第WO2010089411号、同第WO2010036959号、同第WO2011066342号、同第WO2011159877号、同第WO2011082400号、及び同第WO2011161699号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されず、それらは全て、その全体が本明細書に組み込まれる。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD−1阻害剤である。一実施形態では、PD−1阻害剤は、抗PD−1抗体である。一実施形態では、抗PD−1抗体は、BGB−A317、ニボルマブ(ONO−4538、BMS−936558、またはMDX1106としても知られる)、またはペムブロリズマブ(MK−3475、SCH 900475、またはランブロリズマブとしても知られる)である。一実施形態では、抗PD−1抗体は、ニボルマブである。ニボルマブは、ヒトIgG4抗PD−1モノクローナル抗体であり、Opdivo(商標)の商品名で販売されている。別の実施形態では、抗PD−1抗体は、ペムブロリズマブである。ペムブロリズマブは、ヒト化モノクローナルIgG4抗体であり、Keytruda(商標)の商品名で販売されている。更に別の実施形態では、抗PD−1抗体は、CT−011というヒト化抗体である。CT−011は、急性骨髄性白血病(AML)の再発の治療において、単独投与では、奏効を示すことに失敗した。更に別の実施形態では、抗PD−1抗体は、AMP−224という融合タンパク質である。別の実施形態では、PD−1抗体は、BGB−A317である。BGB−A317は、Fcガンマ受容体Iに結合する能力が具体的に操作されており、高い親和性及び優れた標的特異性でPD−1との固有の結合シグネチャを有するモノクローナル抗体である。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD−L1阻害剤である。一実施形態では、PD−L1阻害剤は、抗PD−L1抗体である。一実施形態では、抗PD−L1抗体は、MEDI4736(デュルバルマブ)である。別の実施形態では、抗PD−L1抗体は、BMS−936559(MDX−1105−01としても知られる)である。更に別の実施形態では、PD−L1阻害剤は、アテゾリズマブ(MPDL3280A、及びTecentriq(登録商標)としても知られる)である。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD−L2阻害剤である。一実施形態では、PD−L2阻害剤は、抗PD−L2抗体である。一実施形態では、抗PD−L2抗体は、rHIgM12B7Aである。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、リンパ球活性化遺伝子3(LAG−3)阻害剤である。一実施形態では、LAG−3阻害剤は、IMP321という可溶性Ig融合タンパク質である(Brignone et al.,J.Immunol.,2007,179,4202−4211)。別の実施形態では、LAG−3阻害剤は、BMS−986016である。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、B7阻害剤である。一実施形態では、B7阻害剤は、B7−H3阻害剤またはB7−H4阻害剤である。一実施形態では、B7−H3阻害剤は、MGA271という抗B7−H3抗体である(Loo et al.,Clin.Cancer Res.,2012,3834)。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、TIM3(T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3)阻害剤である(Fourcade et al.,J.Exp.Med.,2010,207,2175−86、Sakuishi et al.,J.Exp.Med.,2010,207,2187−94)。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、OX40(CD134)アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗OX40抗体である。一実施形態では、抗OX40抗体は、抗OX−40である。別の実施形態では、抗OX40抗体は、MEDI6469である。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、GITRアゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗GITR抗体である。一実施形態では、抗GITR抗体は、TRX518である。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CD137アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CD137抗体である。一実施形態では、抗CD137抗体は、ウレルマブである。別の実施形態では、抗CD137抗体は、PF−05082566である。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CD40アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CD40抗体である。一実施形態では、抗CD40抗体は、CF−870,893である。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、組換えヒトインターロイキン−15(rhIL−15)である。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、IDO阻害剤である。一実施形態では、IDO阻害剤は、INCB024360である。別の実施形態では、IDO阻害剤は、インドキシモドである。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される併用療法は、本明細書に記載されるチェックポイント阻害剤のうちの2つ以上含む(同じまたは異なるクラスのチェックポイント阻害剤を含む)。更に、本明細書に提供される併用療法は、本明細書に記載される疾患の治療に適切であり当該分野で理解される場合は、本明細書に記載される第2の活性剤と組み合わせて使用することができる。
ある特定の実施形態では、化合物1、化合物2、または化合物3は、それらの表面(例えば、修飾された免疫細胞)上の1つ以上のキメラ抗原受容体(CAR)を発現する1つ以上の免疫細胞と組み合わせて使用することができる。一般に、CARは、第1のタンパク質(例えば、抗原結合タンパク質)由来の細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の実施形態では、いったん細胞外ドメインが腫瘍関連抗原(TAA)または腫瘍特異的抗原(TSA)などの標的タンパク質に結合すると、細胞内シグナル伝達ドメインを介してシグナルが生成され、これにより免疫細胞が活性化されて、例えば、標的タンパク質を発現する細胞を標的とし死滅させる。
細胞外ドメイン:CARの細胞外ドメインは、関心対象の抗原に結合する。ある特定の実施形態では、CARの細胞外ドメインは、この抗原に結合する受容体、または受容体の一部分を含む。ある特定の実施形態では、細胞外ドメインは、抗体またはその抗原結合部分を含むか、抗体またはその抗原結合部分である。具体的な実施形態では、細胞外ドメインは、単鎖Fv(scFv)ドメインを含むか、または単鎖Fv(scFv)ドメインである。単鎖Fvドメインは、例えば、柔軟なリンカーでVHに連結されたVLを含み得、これらのVL及びVHは、この抗原に結合する抗体由来である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチドの細胞外ドメインにより認識される抗原は、腫瘍関連抗原(TAA)または腫瘍特異的抗原(TSA)である。様々な具体的な実施形態では、腫瘍関連抗原または腫瘍特異的抗原は、Her2、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、アルファ−フェトタンパク質(AFP)、がん胎児性抗原(CEA)、がん抗原−125(CA−125)、CA19−9、カルレチニン、MUC−1、B細胞成熟抗原(BCMA)、上皮膜タンパク質(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、チロシナーゼ、メラノーマ−24関連抗原(MAGE)、CD19、CD22、CD27、CD30、CD34、CD45、CD70、CD99、CD117、EGFRvIII(上皮成長因子変異体III)、メソテリン、PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)、プロステイン、TARP(T細胞受容体ガンマ代替リーディングフレームタンパク質)、Trp−p8、STEAPI(前立腺の6回膜貫通上皮抗原1)、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、総嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP−15)、HMB−45抗原、タンパク質メラン−A(Tリンパ球によって認識されるメラノーマ抗原;MART−I)、myo−D1、筋特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、チログロブリン、甲状腺転写因子−1、二量体形態のピルビン酸キナーゼアイソエンザイムM2型(腫瘍M2−PK)、異常なrasタンパク質、または異常なp53タンパク質であるが、これらに限定されない。ある特定の他の実施形態では、CARの細胞外ドメインにより認識されるTAAまたはTSAは、インテグリンαvβ3(CD61)、ガレクチン、またはRal−Bである。
ある特定の実施形態では、CARの細胞外ドメインにより認識されるTAAまたはTSAは、がん/精巣(CT)抗原、例えば、BAGE、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、HCA661、HOM−TES−85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY−ES0−1、NY−SAR−35、OY−TES−1、SPANXBI、SPA17、SSX、SYCPI、またはTPTEである。
ある特定の他の実施形態では、CARの細胞外ドメインにより認識されるTAAまたはTSAは、炭水化物またはガングリオシド、例えば、fuc−GMI、GM2(がん胎児性抗原−免疫原性−1;OFA−I−1);GD2(OFA−I−2)、GM3、GD3などである。
ある特定の他の実施形態では、CARの細胞外ドメインにより認識されるTAAまたはTSAは、アルファ−アクチン−4、Bage−l、BCR−ABL、Bcr−Abl融合タンパク質、ベータ−カテニン、CA125、CA15−3(CA27.29\BCAA)、CA195、CA242、CA−50、CAM43、Casp−8、cdc27、cdk4、cdkn2a、CEA、coa−l、dek−can融合タンパク質、EBNA、EF2、エプスタイン・バーウイルス抗原、ETV6 AML1融合タンパク質、HLA−A2、HLA−All、hsp70−2、KIAA0205、Mart2、Mum−1、2、及び3、ネオ−PAP、ミオシンクラスI、OS−9、pml−RARα融合タンパク質、PTPRK、K−ras、N−ras、トリオースリン酸イソメラーゼ、Gage3、4、5、6、7、GnTV、Herv−K−mel、Lage−1、NA−88、NY−Eso−1/Lage−2、SP17、SSX 2、TRP2−Int2、gp100(Pmel17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、MAGE−l、MAGE−3、RAGE、GAGE−l、GAGE−2、p15(58)、RAGE、SCP−1、Hom/Mel−40、PRAME、p53、HRas、HER−2/neu、E2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6及びE7、TSP−180、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、p185erbB2、p180erbB−3、c−met、nm−23H1、PSA、TAG−72−4、CA19−9、CA72−4、CAM17.1、NuMa、K−ras、13−カテニン、Mum−1、p16、TAGE、PSMA、CT7、テロメラーゼ、43−9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68\KP1、C0−029、FGF−5、G250、Ga733(EpCAM)、HTgp−175、M344、MA−50、MG7−Ag、MOV18、NB/70K、NY−C0−1、RCAS1、SDCCAG16、TA−90、TAAL6、TAG72、TLP、またはTPSである。
様々な具体的実施形態では、腫瘍関連抗原または腫瘍特異的抗原は、S.Anguille et al,Leukemia(2012),26,2186−2196に記載される、AML関連腫瘍抗原である。
他の腫瘍関連抗原及び腫瘍特異的抗原は、当業者に既知である。
TSA及びTAAに結合し、キメラ抗原受容体を構築するのに有用な受容体、抗体、及びscFvは、当該分野で既知であり、それらをコードするヌクレオチド配列についても同様である。
ある特定の具体的実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外ドメインにより認識される抗原は、一般的にはTSAまたはTAAであると見なされないが、そうであっても腫瘍細胞または腫瘍により引き起こされる傷害に関連する抗原である。ある特定の実施形態では、例えば、抗原は、例えば、成長因子、サイトカインもしくはインターロイキン、例えば、血管新生または血管形成に関連した成長因子、サイトカイン、もしくはインターロイキンである。そのような成長因子、サイトカイン、またはインターロイキンとしては、例えば、血管内皮成長因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、肝細胞成長因子(HGF)、インスリン様成長因子(IGF)、またはインターロイキン−8(IL−8)を挙げることができる。腫瘍は、その腫瘍に局所的な低酸素環境も作り出すことができる。そのため、他の具体的な実施形態では、抗原は、低酸素関連因子、例えば、HIF−1α、HIF−1β、HIF−2α、HIF−2β、HIF−3α、またはHIF−3βである。腫瘍は、正常な組織への局所的損傷の原因ともなり、損傷関連分子パターン分子(DAMPs;アラーミンとしても知られる)として知られる分子の放出の原因となる。したがって、ある特定の他の具体的な実施形態では、抗原は、DAMP、例えば、熱ショックタンパク質、クロマチン関連タンパク質高移動度群ボックス1(HMGB1)、S100A8(MRP8、カルグラニュリンA)、S100A9(MRP14、カルグラニュリンB)、血清アミロイドA(SAA)であるか、あるいは、デオキシリボ核酸、アデノシン三リン酸、尿酸、またはヘパリン硫酸あり得る。
膜貫通ドメイン:ある特定の実施形態では、CARの細胞外ドメインは、リンカー、スペーサー、またはヒンジポリペプチド配列、例えば、CD28由来の配列またはCTLA4由来の配列により、ポリペプチドの膜貫通ドメインに接続されている。膜貫通ドメインは、任意の膜貫通タンパク質の膜貫通ドメインから得るか、またはそれに由来し得、そのような膜貫通ドメインの全てまたは一部を含むことができる。具体的な実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD8、CD16、サイトカイン受容体、及びインターロイキン受容体、または成長因子受容体などから得るか、またはそれに由来することができる。
細胞内シグナル伝達ドメイン:ある実施形態では、CARの細胞内ドメインは、T細胞の表面上で発現され、そのT細胞の活性化及び/または増殖を引き起こすタンパク質の細胞内ドメインまたはモチーフであるか、あるいはそれらを含む。そのようなドメインまたはモチーフは、CARの細胞外部分への抗原の結合に応答してTリンパ球の活性化に必要な一次抗原結合シグナルを伝送することができる。典型的には、このドメインまたはモチーフは、ITAM(免疫受容体チロシン活性化モチーフ)を含むか、またはITAMである。CARに適したITAM含有ポリペプチドとしては、例えば、ゼータCD3鎖(CD3ζ)またはそのITAM含有部分が挙げられる。具体的な実施形態では、細胞内ドメインは、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインである。他の具体的な実施形態では、細胞内ドメインは、リンパ球受容体鎖、TCR/CD3複合体タンパク質、Fe受容体サブユニット、またはIL−2受容体サブユニットに由来する。ある特定の実施形態では、CARは更に、1つ以上の同時刺激ドメインまたはモチーフを、例えば、ポリペプチドの細胞内ドメインの一部として、含む。1つ以上の同時刺激ドメインまたはモチーフは、同時刺激CD27ポリペプチド配列、同時刺激CD28ポリペプチド配列、同時刺激OX40(CD134)ポリペプチド配列、同時刺激4−1BB(CD137)ポリペプチド配列、または同時刺激誘導性T細胞同時刺激(ICOS)ポリペプチド配列、または他の同時刺激ドメインもしくはモチーフのうちの1つ以上、あるいはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれらを含むことができる。
CARは、T細胞生存モチーフも含み得る。T細胞生存モチーフは、抗原による刺激後にTリンパ球の生存を促進する任意のポリペプチド配列またはモチーフであり得る。ある特定の実施形態では、T細胞生存モチーフは、CD3、CD28、IL−7受容体(IL−7R)の細胞内シグナル伝達ドメイン、IL−12受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、IL−15受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、IL−21受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、もしくはトランスフォーミング成長因子β(TGFβ)受容体の細胞内シグナル伝達ドメインであるか、またはそれらに由来する。
CARを発現する修飾免疫細胞は、例えば、Tリンパ球(T細胞、例えば、CD4+T細胞またはCD8+T細胞)、細胞傷害性リンパ球(CTL)、または天然キラー(NK)細胞であり得る。本明細書に提供される組成物及び方法で使用されるTリンパ球は、ナイーブTリンパ球またはMHC制限されたTリンパ球であり得る。ある特定の実施形態では、Tリンパ球は、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)である。ある特定の実施形態では、Tリンパ球は、腫瘍生検から単離されたものであるか、または腫瘍生検から単離されたTリンパ球から拡張されたものである。ある特定の他の実施形態では、T細胞は、末梢血、臍帯血、またはリンパ液から単離されたものであるか、または末梢血、臍帯血、もしくはリンパ液から単離されたTリンパ球から拡張されるものである。CARを発現する修飾免疫細胞を生成させるために使用される免疫細胞は、当該分野で受け入れられた定法、例えば、血液収集、続いてアフェレーシス、及び任意選択で抗体を介した細胞単離または選別を使用して、単離することができる。
修飾免疫細胞は、好ましくは、その修飾免疫細胞が投与される個体にとって自家性である。ある特定の他の実施形態では、修飾免疫細胞は、その修飾免疫細胞が投与される個体にとって、同種である。同種Tリンパ球またはNK細胞が修飾されたTリンパ球を調製するために使用される場合、個体における移植片対宿主病(GVHD)の可能性を低減するであろうTリンパ球またはNK細胞を選択することが好ましい。例えば、ある特定の実施形態では、ウイルス特異的Tリンパ球は、修飾されたTリンパ球を調製するために選択され、そのようなリンパ球は、任意のレシピエント抗原に結合する著しく低減された天然能力を有することが予想され、それ故に、それらによって活性化されるであろう。ある特定の実施形態では、同種Tリンパ球のレシピエント媒介性拒絶は、1つ以上の免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、シクロホスファミドなどの宿主への共投与により低減され得る。
Tリンパ球、例えば、未修飾Tリンパ球、またはCD3及びCD28を発現するTリンパ球、またはCD3ζシグナル伝達ドメイン及びCD28同時刺激ドメインを含むポリペプチドを含むTリンパ球は、CD3及びCD28に対する抗体、例えば、ビーズに結合した抗体を使用して拡張され得、例えば、米国特許第5,948,893号、同第6,534,055号、同第6,352,694号、同第6,692,964号、同第6,887,466号、及び同第6,905,681号を参照されたい。
修飾免疫細胞、例えば、修飾Tリンパ球は、所望される場合、修飾免疫細胞の実質的に全ての死滅を可能にする「自殺遺伝子」または「安全スイッチ」を任意選択で含むことができる。例えば、修飾Tリンパ球は、ある特定の実施形態では、ガンシクロビルと接触した時に、修飾Tリンパ球の死の原因となる、HSVチミジンキナーゼ遺伝子(HSV−TK)を含み得る。別の実施形態では、修飾Tリンパ球は、誘導性カスパーゼ、例えば、誘導性カスパーゼ9(icaspase9)、例えば、カスパーゼ9と特定の低分子医薬を使用した二量体化を可能にするヒトFK506結合タンパク質との融合タンパク質を含む。Straathof et al.,Blood 1 05(11):4247−4254(2005)を参照されたい。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物1、化合物2、または化合物3は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞と組み合わせて、様々な種類または段階の多発性骨髄腫を有する患者に投与される。ある特定の実施形態では、併用におけるCAR T細胞は、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とし、より具体的な実施形態で、CAR T細胞は、bb2121またはbb21217である。いくつかの実施形態では、CAR T細胞は、JCARH125である。
G.医薬組成物
本明細書に提供される医薬組成物は、治療有効量の1つ以上の本明細書に提供される化合物のうちの1つ以上と、任意選択で薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む。
本化合物は、好適な薬学的調製物、例えば、経口投与用の溶液、懸濁液、錠剤、分散錠剤、丸剤、カプセル、粉末、徐放性製剤、もしくはエリキシル剤、または眼投与もしくは非経口投与用の滅菌溶液もしくは懸濁液、ならびに経皮パッチ調製物及び乾燥粉末吸入物に製剤化され得る。典型的には、上述の化合物は、当該技術分野で既知の技法及び手順を使用して医薬組成物に製剤化される(例えば、Ansel Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,Seventh Edition 1999を参照されたい)。
組成物において、有効な濃度の1つ以上の化合物または薬学的に許容される塩は、好適な薬学的担体またはビヒクルと混合される(複数可)。ある特定の実施形態では、組成物中の化合物の濃度は、投与時に、多発性骨髄腫の症状及び/または進行のうちの1つ以上を治療、予防、または寛解させる量の送達に有効である。
典型的には、組成物は、単回投薬量の投与のために製剤化される。組成物を製剤化するために、化合物の重量画分は、治療された状態が軽減または寛解されるような有効な濃度で選択されたビヒクル中で溶解、懸濁、分散、またはさもなければ混合される。本明細書に提供される化合物の投与に好適な薬学的担体またはビヒクルには、特定の投与様式に好適であることが当業者に既知の任意のそのような担体が含まれる。
加えて、化合物は、組成物中の唯一の薬学的活性成分として製剤化され得るか、または他の活性成分と組み合わせられ得る。腫瘍標的リポソームなどの組織標的リポソームを含むリポソーム懸濁液は、薬学的に許容される担体としても好適であり得る。これらは、当業者に既知の方法により調製され得る。例えば、リポソーム製剤は、当該技術分野で知られるように調製され得る。簡潔には、多重膜小胞(MLV)などのリポソームは、卵ホスファチジルコリンと脳ホスファチジルセリン(7:3のモル比)をフラスコの内側で乾燥させることによって形成され得る。二価の陽イオンを欠くリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の本明細書に提供される化合物の溶液を添加し、脂質フィルムが分散するまでフラスコを振盪する。得られた小胞を洗浄して、カプセル化されていない化合物を除去し、遠心分離によってペレット化し、その後、PBS中に再懸濁する。
活性化合物は、望ましくない副作用の不在下で治療される患者に治療的に有用な作用を与えるのに十分な量で薬学的に許容される担体中に含まれる。治療上有効な濃度は、本明細書に記載のインビトロ及びインビボ系で化合物を試験することによって実験的に決定され、その後、それからヒトに対する投薬量が推定され得る。
医薬組成物中の活性化合物の濃度は、活性化合物の吸収、組織分布、不活性化、代謝及び排泄速度、化合物の物理化学的特性、投薬スケジュール、及び投与される量、ならびに当業者に既知の他の因子に依存する。例えば、固形腫瘍及び血液由来腫瘍を含むがんの症状のうちの1つ以上を寛解するのに十分である量が送達される。
非経口、皮内、皮下、または局部適用に使用される溶液または懸濁液は、以下の構成成分のうちのいずれかを含み得る:注射用蒸留水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジメチルアセトアミド、または他の合成溶媒などの滅菌希釈剤、ベンジルアルコール及びメチルパラベンなどの抗微生物剤、アスコルビン酸及び重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩、及びリン酸塩などの緩衝液、ならびに塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張性調節のための薬剤。非経口調製物は、アンプル、ペン、使い捨てシリンジ、またはガラス、プラスチック、もしくは他の好適な材料から作製された単一もしくは複数用量バイアルに封入され得る。
化合物が不十分な溶解度を呈する場合、化合物を可溶化するための方法が使用され得る。かかる方法は、当業者に既知であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の共溶媒の使用、TWEEN(登録商標)等の界面活性剤の使用、または水性重炭酸ナトリウム中での溶解が挙げられるが、これらに限定されない。
化合物(複数可)の混合または添加時に、得られた混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり得る。得られた混合物の形態は、意図される投与様式及び選択された担体またはビヒクル中の化合物の溶解度を含むいくつかの因子に依存する。有効な濃度は、治療される疾患、障害、または状態の症状を寛解するのに十分なものであり、実験的に決定され得る。
医薬組成物は、好適な量の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する錠剤、カプセル、丸錠、粉末、顆粒、減菌非経口溶液もしくは懸濁液、及び経口溶液もしくは懸濁液、ならびに油水エマルジョンなどの単位剤形で、ヒト及び動物への投与のために提供される。薬学的治療的活性化合物及びその塩は、単位剤形または複数回剤形で製剤化及び投与される。本明細書で使用される場合、単位剤形は、当業者に既知であるように、ヒト及び動物の対象に好適であり、個々に包装された物理的に別個の単位を指す。各単位用量は、必要とされる薬学的担体、ビヒクル、または希釈剤とともに、所望の治療作用をもたらすのに十分な所定の量の治療的活性化合物を含有する。単位剤形の例としては、アンプル及びシリンジ、ならびに個々に包装された錠剤またはカプセルが挙げられる。単位剤形は、分数でまたはその倍数で投与され得る。複数回剤形は、分離された単位剤形で投与される単一容器に包装される複数の同一の単位剤形である。複数回剤形の例としては、バイアル、錠剤もしくはカプセルのボトル、またはパイントもしくはガロンのボトルが挙げられる。したがって、複数回剤形は、包装時に分離されていない複数の単位用量である。
非毒性担体から作製された平衡0.005%〜100%の範囲の活性成分を含有する剤形または組成物が調製され得る。経口投与に関して、薬学的に許容される非毒性組成物は、例えば、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、滑石、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム、またはサッカリンナトリウムなどの通常用いられる賦形剤のいずれかを組み込むことにより形成される。そのような組成物としては、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル、粉末、ならびに徐放性製剤、例えば、限定されないが埋植及びマイクロカプセル封入送達系、ならびに生分解性、生体適合性ポリマー、例えば、コラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、及びその他が挙げられる。これらの組成物の調製のための方法は、当業者に既知である。
活性化合物または薬学的に許容される塩は、化合物を、持続放出製剤またはコーティングなどの、身体からの急速な排出から保護する担体とともに調製することができる。
組成物は、所望の特性の組み合わせを得るために他の活性化合物を含み得る。本明細書に提供される化合物、または本明細書に記載のその薬学的に許容される塩は、有利に、酸化的ストレスに関連する疾患などの上記に称される疾患または医学的状態のうちの1つ以上を治療する際に有益であることが一般分野で知られる別の薬理学的薬剤と一緒に、治療または予防目的のためにも投与され得る。そのような併用療法は、本明細書に提供される治療の組成物及び方法のさらなる態様を構成することを理解されたい。
H.化合物の活性及び特性の評価
標準的な生理学的、薬理学的、及び生化学的手順は、化合物を試験して、抗多発性骨髄腫増殖活性及び妥当な安全性プロファイルを含む、所望の特性を有するものを同定するのに利用可能である。
そのようなアッセイには、例えば、生化学的アッセイ、例えば、結合アッセイ、放射能組込みアッセイ、ならびに様々な細胞系アッセイが含まれる。
イソインドリノン誘導体及びそれらの治療用途は、例えば、米国特許第8,518,972号に記載されている。驚くべきことに、化合物1、化合物2、及び化合物3は、実施例の節に示されるように、予想外かつ有益な特性を呈する。これらの有益な特性としては、抗多発性骨髄腫効力の大幅な増加、アポトーシスレベルの増加、及びデキサメタゾンとのより強力かつ効果的な組み合わせ奏功、ならびにα1アドレナリン作用性及びD2ドーパミン受容体(インビトロ及びインビボ)での機能活性の低減により示される予想外の安全性プロファイルの改善、細胞死滅選択性の改善(非骨髄腫細胞死滅の低減により示される)、ならびにCYP3A4阻害の低減が挙げられる。
前述の詳細な説明及び付随する実施例は、単に例示であり、主題の範囲に対する制限であると解釈されるべきではないことを理解されたい。開示される実施形態に対する様々な変更及び修正は、当業者には明らかであろう。限定されないが、本明細書に提供される化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、製剤、及び/または使用方法に関連するものを含むそのような変更及び修正は、その趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に言及される米国特許及び出版物は、参照により組み込まれる。
6.実施例
本発明のある特定の実施形態は、以下の非限定的な実施例によって例示される。
略号:
実施例1:4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル(化合物1)の合成。
2−アミノ−5−メトキシ−5−オキソペンタン酸。窒素下の乾燥メタノール(2.5L)中の2−アミノペンタン二酸(250g、1.70mol)の懸濁液に、トリメチルシリルクロリド(277g、2.55mol)を30分間かけて添加した。得られた透明の溶液を室温(20℃)で30分間攪拌した。
1H NMRは、出発材料が完全に消費されたことを示した。反応混合物を更に後処理することなく次のステップで使用した。
1H NMR:400MHz CD
3OD δ:4.17−4.15(m,1H),3.71(s,3H),2.70−2.60(m,2H),2.33−2.25(m,2H)。
2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−メトキシ−5−オキソペンタン酸。上記の溶液にトリメチルアミン(275g、2.72mol)及び二炭酸ジ−tert−ブチル(447.35g、2.05mol)を添加した。この反応混合物を25℃で2時間撹拌した。溶液を濃縮して乾燥させ、その後、水(2.5L)を添加して残渣を溶解した。得られた水溶液を酢酸エチル(200mL)で洗浄し、その後、HCl(1N)でpH=3に酸性化し、酢酸エチル(1L×3)で抽出した。合わせた有機層を鹹水(800mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メトキシ−5−オキソ−ペンタン酸(250g 56%収率、2ステップ)を白色固体として得た。1H NMR:400MHz CD3OD δ:4.18−4.11(m,1H),3.69(s,3H),2.48−2.43(m,2H),2.21−2.15(m,1H),1.95−1.91(m,1H),1.46(s,9H)。
5−アミノ−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−オキソ−ペンタン酸メチル。1,4−ジオキサン(1.5L)中の2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メトキシ−5−オキソ−ペンタン酸(200g、765mmol)の溶液に、二炭酸ジ−tert−ブチル(267g、1.22mol)及びピリジン(121g、1.53mol)を添加した。反応混合物を25℃で30分間攪拌し、炭酸アンモニウム(182g、2.30mol)を混合物に添加し、更に25℃で16時間攪拌した。回転蒸発により有機溶媒を除去し、HCl(6M)により残渣をpH=3に酸性化し、その後、酢酸エチル(800mL×3)で抽出した。合わせた有機相を鹹水(800mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。揮発性有機物を減圧下で除去して、5−アミノ−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−オキソ−ペンタン酸メチル(180g、90%収率)を白色固体として得た。1H NMR:400MHz CDCl3 δ:6.51(s,1H),5.94(s,1H),5.43(s,1H),4.21(s,1H),3.63(s,3H),2.59−2.40(m,2H),2.15−2.11(m,1H),1.94−1.90(m,1H),1.42(s,9H)。
4,5−ジアミノ−5−オキソ−ペンタン酸メチル塩酸塩。5−アミノ−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−オキソ−ペンタン酸メチル(180g、692mmol)とHCl/酢酸エチル(300mL、4M)との混合物を、25℃で12時間攪拌した。真空濾過により沈殿した固体を収集し、酢酸エチル(500mL)で洗浄して、4,5−ジアミノ−5−オキソ−ペンタン酸メチル塩酸塩(130g、95%収率)を白色固体として得た。1H NMR:400MHz CD3OD δ:4.00−3.96(m,1H),3.70(s,3H),2.59−2.52(m,2H),2.22−2.13(m,2H)。
3−ヒドロキシ−2−メチル−安息香酸メチル。4つのバッチ(各200g)を並行して実行した。メタノール(4.0L)中の3−ヒドロキシ−2−メチル−安息香酸(200g、1.31mol)の溶液に、濃縮した硫酸(47.7g、486mmol)を添加した。反応混合物を60℃で17時間攪拌し、800mLに濃縮した。得られた混合物を20℃に冷却し、30分間かけて水(400mL)中にゆっくり注いだ。水(1200mL)を3時間かけて20℃で添加し、得られた混合物を20℃で1時間攪拌した。真空濾過により沈殿した固体を収集し(4つのバッチを合わせて)、水/メタノール(1000mL、9:1)で3回洗浄するか、または濾液がpH>3になるまで洗浄した。45℃の真空下で固体を乾燥させて、3−ヒドロキシ−2−メチル−安息香酸メチル(700g、80.4%収率)を灰色固体として得た。1H NMR:400MHz DMSO−d6 δ:9.70(s,1H),7.18(t,J=6.8Hz,1H),7.09(t,J=7.6Hz,1H),7.00(t,J=6.8Hz,1H),3.81(s,3H),2.29(s,3H)。
3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−2−メチル−安息香酸メチル。2つのバッチ(各240g)を並行して実行した。DMF(1.40L)中の3−ヒドロキシ−2−メチル−安息香酸メチル(240g、1.44mol)の溶液に、イミダゾール(246g、3.61mol)及びtert−ブチルジメチルシリルクロリド(238g、1.58mol)を5℃で添加した。添加後、混合物を20℃に温め、6時間攪拌した。酢酸イソプロピル(1700mL)を添加し、その後、温度を30℃より下に維持しながら、水(2000mL)をゆっくり添加した。得られた混合物を攪拌し、有機相を分離した。合わせた有機相(2つのバッチを合わせた)を、水(1700mL×3)で洗浄し、約1500mL(KF<0.05%)に濃縮した。この生成物を酢酸イソプロピル溶液として保管し、これを更に精製することなく次のステップで使用した。
2−(ブロモメチル)−3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−安息香酸メチル。2つのバッチ(各約375g)を並行して実行した。3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−2−メチル−安息香酸メチル(約375g、1.34mol)の酢酸イソプロピル溶液に、N−ブロモスクシンイミド(274g、1.54mol)及びアゾビスイソブチロニトリル(4.40g、26.8mmol)を添加した。反応混合物を、少なくとも1時間かけて70℃に加熱し、70℃で4時間攪拌した。反応混合物を20℃に冷却し、少なくとも1時間20℃に維持した。濾過により2つのバッチの固体(スクシンイミド)を除去し、酢酸イソプロピル(700mL)で洗浄した。濾液を、水(6000mL)中の亜硫酸ナトリウム(700g)の溶液、続いて水(1500mL)で洗浄した。45℃の真空下で有機層を蒸留して乾燥させて、2−(ブロモメチル)−3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−安息香酸メチル(920g、95.5%収率)を濃い橙色油状物として得た。1H NMR:400MHz DMSO−d6 δ:7.45(d,J=6.8Hz,1H),7.36(t,J=8.0Hz,1H),7.13(t,J=7.2Hz,1H),4.95(s,2H),1.02(s,9H),0.29(s,6H)。
5−アミノ−4−[4−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−1−オキソ−イソインドリン−2−イル]−5−オキソ−ペンタン酸メチル。アセトニトリル(2.50L)中の4,5−ジアミノ−5−オキソ−ペンタン酸メチル塩酸塩(74.5g、379mmol)の攪拌溶液に、2−(ブロモメチル)−3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−安息香酸メチル(125g、348mmol)を添加した。10分間かけて、懸濁液に滴下漏斗を通してジイソプロピルエチルアミン(89.9g、696mmol)を添加し、その後、混合物を60℃で16時間攪拌した。反応混合物を、酢酸エチル(1.0L)で希釈し、HCl(1N,1.0L)、重炭酸ナトリウム(飽和1.0L)、及び寒水(1.0L)で連続して洗浄した。有機層を濃縮して、粗製の5−アミノ−4−[4−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−1−オキソ−イソインドリン−2−イル]−5−オキソ−ペンタン酸メチル(108g、粗製)を浅黄色固体として得た。LCMS:m/z 407.3[M+1]+。
5−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−1−オキソ−イソインドリン−2−イル)−5−オキソ−ペンタン酸メチル。N,N−ジメチルホルムアミド(350mL)中の5−アミノ−4−[4−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−1−オキソ−イソインドリン−2−イル]−5−オキソ−ペンタン酸メチル(108g、266mmol)の攪拌冷溶液に、水(40mL)中の炭酸カリウム(14.7g、106mmol)を5分間かけて少しずつ添加した。得られた反応混合物を15℃で15時間攪拌した。反応混合物を氷浴中で冷却し、HCl(12M、15mL)を0〜5℃でゆっくり添加した。アセトニトリル(200mL)を混合物に添加し、沈殿物が形成された。懸濁液を室温で10分間攪拌し、濾過した。濾過ケークを酢酸エチル(200mLx5)で洗浄して生成物(55g)を得た。濾液を高真空下で濃縮して、粗製生成物(100g)を得、これをジクロロメタン(1.0L)中に溶解し、15℃で16時間放置した。白色固体が形成され、これを濾過して5gの生成物を得た。固体を合わせて、5−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−1−オキソ−イソインドリン−2−イル)−5−オキソ−ペンタン酸メチル(60 g、77%収率)を白色固体として得た。1H NMR:400MHz DMSO−d6 δ:7.58(s,1H),7.31(t,J=8.0Hz,1H),7.19−−7.14(m,2H),7.01(d,J=7.6Hz,1H),4.75−4.71(m,1H),4.50(d,J=17.6Hz,1H),4.32(d,J=17.6Hz,1H),3.51(s,3H),2.29−2.18(m,3H),2.09−1.99(m,1H)。
5−アミノ−4−[4−[[4−(ブロモメチル)フェニル]メトキシ]−1−オキソ−イソインドリン−2−イル]−5−オキソ−ペンタン酸メチル。2つの反応物(25g、85.5mmol)を並行して実行した。アセトニトリル(1L)中の1,4−ビス(ブロモメチル)ベンゼン(67.7g、257mmol)、炭酸カリウム(11.8g、85.5mmol)、及び5−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−1−オキソ−イソインドリン−2−yl)−5−オキソ−ペンタン酸メチル(25g、85.5mmol)の混合物を、60℃で16時間攪拌した。2つのバッチを合わせ、混合物を15℃に冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル中50%石油エーテル〜100%酢酸エチルにより溶出する)により残渣を精製して、5−アミノ−4−[4−[[4−(ブロモメチル)フェニル]メトキシ]−1−オキソ−イソインドリン−2−イル]−5−オキソ−ペンタン酸メチル(52g、63%収率)を白色固体として得た。1H NMR:400MHz DMSO−d6 δ:7.59(s,1H),7.50−7.44(m,5H),7.32−7.28(m,2H),7.19(s,1H),5.26(s,2H),4.79−4.71(m,3H),4.55(d,J=17.6Hz,1H),4.43(d,J=17.6Hz,1H),3.52(s,3H),2.30−2.19(m,3H),2.10−2.08(m,1H)。
3−[4−[[4−(ブロモメチル)フェニル]メトキシ]−1−オキソ−イソインドリン−2−イル]ピペリジン−2,6−ジオン。2つの反応物(28.5g、60.0mmol)を並行して実行した。5−アミノ−4−[4−[[4−(ブロモメチル)フェニル]メトキシ]−1−オキソ−イソインドリン−2−イル]−5−オキソ−ペンタン酸メチル(28.5g、60.0mmol)を、テトラヒドロフラン(720mL)中に溶解し、溶液を、ドライアイス/アセトン浴中で−70℃に冷却した。攪拌しながら、カリウムtert−ブトキシド(7.4g、66.0mmol)を、透明の溶液に一度に添加した。反応混合物は淡黄色に変わり、攪拌を−70℃で更に2時間継続した。温度を−70℃に維持しながら、HCl(1N、260mL)の冷却した溶液を反応混合物に素早く移した。混合物は直ぐに乳白色に変わり、ドライアイス/アセトン浴を取り除いた。混合物を濃縮して、テトラヒドロフランの大半を除去した。反応混合物の濃縮により、白色固体が沈殿した。白色スラリーを水(500mL)で希釈し、その後、濾過した。濾過ケークを水(500mL)で洗浄し、40℃で12時間真空オーブン中で乾燥させ、その後、酢酸エチル(500mL)で洗浄した。バッチを合わせて、3−[4−[[4−(ブロモメチル)フェニル]メトキシ]−1−オキソ−イソインドリン−2−イル]ピペリジン−2,6−ジオン(49.85g、93%)を浅黄色固体として得た。1H NMR:400MHz DMSO−d6 δ:10.95(s,1H),7.51−7.41(m.,5H),7.35−7.28(m,2H),5.23(s,2H),5.12−5.07(m,1H),4.70(s,2H),4.41(d,J=17.6Hz,1H),4.25(d,J=17.6Hz,1H),2.90−2.84(m,1H),2.58−2.53(m,1H),2.44−2.41(m,1H),1.98−1.95(m,1H)。
4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル。3−(4−((4−(ブロモメチル)ベンジル)オキシ)−1−オキソイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン(5.0g、11.28mmol)を、3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)ベンゾニトリル(2.315g、11.28mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(5.91ml、33.8mmol)、及びアセトニトリル(100ml)とともにフラスコに入れた。反応混合物を40℃で18時間攪拌した。減圧下で揮発性有機物を除去し、標準的な方法により精製して、4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリルを得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 10.97(s,1H),7.68(dd,J=1.96,13.45Hz,1H),7.56(dd,J=1.77,8.38Hz,1H),7.43−7.52(m,3H),7.30−7.38(m,4H),7.11(t,J=8.80Hz,1H),5.24(s,2H),5.11(dd,J=5.14,13.33Hz,1H),4.37−4.46(m,1H),4.22−4.30(m,1H),3.54(s,2H),3.12−3.23(m,4H),2.84−2.98(m,1H),2.52−2.62(m,5H),2.36−2.48(m,1H),1.92−2.04(m,1H)。MS(ESI)m/z 568.2 [M+1]+。C32H30FN5O4の分析計算値:C,67.71;H,5.33;N,12.34.実測値:C,67.50;H,5.44;N 12.34。
実施例2:(S)−4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル(化合物2)の合成
tert−ブチル(4S)−5−アミノ−4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−5−オキソ−ペンタノエート。1,4−ジオキサン(1.50L)中の(2S)−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−5−tert−ブトキシ−5−オキソ−ペンタン酸(150g、445mmol)の溶液に、ニ炭酸ジ−tert−ブチル(155g、711mmol)、ピリジン(70.3g、889mmol)、及び重炭酸アンモニウム(105g、1.33mol)を添加した。反応混合物を18℃で16時間攪拌し、その後、濃縮した。酢酸エチル(5.0L)及び水(5.0L)中に残渣を溶解し、有機層を分離し、HCl(3.0mL、1N)、飽和重炭酸ナトリウム(3.0L)、鹹水(3.0L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製のtert−ブチル(4S)−5−アミノ−4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−5−オキソ−ペンタノエート(450g、粗製)を白色固体として得、これを更に精製することなく次のステップで使用した。
1H NMR 400MHz DMSO−d
6 δ:7.35−7.30(m,5H),7.02(s,1H),5.01(d,J=3.2Hz,1H),3.93−3.90(m,1H),2.20(t,J=8.0Hz,2H),1.88−1.84(m,1H),1.72−1.69(m,1H),1.35(s,9H)。
tert−ブチル(4S)−4,5−ジアミノ−5−オキソ−ペンタノエート。メタノール(1.0L)中のtert−ブチル(4S)−5−アミノ−4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−5−オキソ−ペンタノエート(112g、333mmol)の溶液に、窒素下で10%パラジウム炭素(15g)を添加した。懸濁液を真空下で脱気し、水素で数回パージした。混合物を、30℃で16時間、水素ガス(40psi)下で攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して、粗製のtert−ブチル(4S)−4,5−ジアミノ−5−オキソ−ペンタノエートを無色の油状物として得た。1H NMR 400MHz DMSO−d6 δ:7.30(s,1H),6.95(s,1H),3.10−3.07(m,1H),2.27−2.23(m,2H),1.69−1.78(m,1H),1.59−1.55(m,1H),1.38(s,9H)。
3−ヒドロキシ−2−メチル−安息香酸メチル。4つのバッチ(各200g)を並行して実行した。メタノール(4.0L)中の3−ヒドロキシ−2−メチル−安息香酸(200g、1.31mol)の溶液に、濃縮した硫酸(47.7g、486mmol)を添加した。この反応混合物を60℃で17時間撹拌した。反応混合物を800mLに濃縮した。得られた混合物を20℃に冷却し、30分間かけて水(400mL)中にゆっくり注いだ。水(1200mL)を3時間かけて20℃で添加し、得られた混合物を20℃で1時間攪拌した。真空濾過により沈殿した固体を収集し(4つのバッチを合わせて)、水/メタノール(1000mL、9:1)で3回洗浄するか、または濾液がpH>3になるまで洗浄した。45℃の真空下で固体を乾燥させて、3−ヒドロキシ−2−メチル−安息香酸メチル(700g、80.4%収率)を灰色固体として得た。1H NMR:400MHz DMSO−d6 δ:9.70(s,1H),7.18(t,J=6.8Hz,1H),7.09(t,J=7.6Hz,1H),7.00(t,J=6.8Hz,1H),3.81(s,3H),2.29(s,3H)。
3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−2−メチル−安息香酸メチル。2つのバッチ(各240g)を並行して実行した。N,N−ジメチルホルムアミド(1.40L)中の3−ヒドロキシ−2−メチル−安息香酸メチル(240g、1.44mol)の溶液に、イミダゾール(246g、3.61mol)及びtert−ブチルジメチルシリルクロリド(238g、1.58mol)を5℃で添加した。添加後、混合物を20℃に温め、6時間攪拌した。酢酸イソプロピル(1700mL)を添加し、その後、温度を30℃より下に維持しながら、水(2000mL)をゆっくり添加した。得られた混合物を攪拌し、続いて、有機相を分離した。合わせた有機物(2つのバッチを合わせた)を、水(1700mL×3)で洗浄し、約1500mL(KF<0.05%)に濃縮した。この生成物を酢酸イソプロピル溶液として保管し、これを更に精製することなく次のステップで使用した。
2−(ブロモメチル)−3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−安息香酸メチル。2つのバッチ(各約375g)を並行して実行した。3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−2−メチル−安息香酸メチル(約375g、1.34mol)の酢酸イソプロピル溶液に、N−ブロモスクシンイミド(274g、1.54mol)及びアゾビスイソブチロニトリル(4.40g、26.8mmol)を添加した。反応混合物を、少なくとも1時間かけて70℃に加熱し、70℃で4時間攪拌した。反応混合物を20℃に冷却し、少なくとも1時間20℃に維持した。濾過により2つのバッチの固体(スクシンイミド)を除去し、酢酸イソプロピル(700mL)で洗浄した。濾液を、水(6000mL)中の亜硫酸ナトリウム(700g)の溶液、続いて水(1500mL)で洗浄した。45℃の真空下で有機層を蒸留して乾燥させて、2−(ブロモメチル)−3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−安息香酸メチル(920g、95.5%収率)を濃い橙色油状物として得た。1H NMR:400MHz DMSO−d6 δ:7.45(d,J=6.8Hz,1H),7.36(t,J=8.0Hz,1H),7.13(t,J=7.2Hz,1H),4.95(s,2H),1.02(s,9H),0.29(s,6H)。
(4S)−5−アミノ−4−[4−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−1−オキソ−イソインドリン−2−イル]−5−オキソ−ペンタン酸tert−ブチル。アセトニトリル(4.0L)中のtert−ブチル(4S)−4,5−ジアミノ−5−オキソ−ペンタノエート(130g、643mmol)の溶液に、2−(ブロモメチル)−3−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−安息香酸メチル(210g、584mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(113g、877mmol)を添加した。反応混合物を50℃で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、アセトニトリルの大半を除去し、残渣をメチルtert−ブチルエーテル(2.0L)及び水(1.5L)中に溶解し、有機層を、飽和リン酸二水素カリウム(1.0Lx2)、鹹水(1.0L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製の(4S)−5−アミノ−4−[4−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−1−オキソ−イソインドリン−2−イル]−5−オキソ−ペンタン酸tert−ブチル(524g)を得、これを更に精製することなく次のステップで使用した。
(4S)−5−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−1−オキソ−イソインドリン−2−イル)−5−オキソ−ペンタン酸tert−ブチル。メタノール(2.0L)中の(4S)−5−アミノ−4−[4−[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ−1−オキソ−イソインドリン−2−イル]−5−オキソ−ペンタン酸tert−ブチル(275g、613mmol,)の溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム三水和物(38.7g、123mmol)を添加した。混合物を18℃で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、メタノールの大半を除去し、残渣をジクロロメタン/水(3L/2L)中に溶解し、有機層を分離し、鹹水(1.0L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して粗製生成物を得、これをシリカゲルカラムで精製して、生成物(260g)を得た。生成物をアセトニトリル(750mL)に添加し、混合物を60℃で2時間攪拌し、18℃に冷却し、更に2時間攪拌した。固体を濾過し、ケークを乾燥させて、(4S)−5−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−1−オキソ−イソインドリン−2−イル)−5−オキソ−ペンタン酸tert−ブチル(248g、60.5%収率)を灰色固体として得た。1H NMR 400MHz DMSO−d6 δ:10.00(s,1H),7.54(s,1H),7.29(t,J=7.6Hz,1H),7.14(d,J=4.8Hz,2H),4.72−4.68(m,1H),4.49−4.28(m,2H),2.17−1.97(m,4H),1.31(s,9H)。
4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル。1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン(51.2g、292mmol)を、アセトニトリル(195mL)及びN,N−ジメチルホルムアミド(195mL)とともにフラスコに入れた。固体が溶解するまで、反応混合物を周囲温度で攪拌した。次いで、ジイソプロピルアミン(51.1mL、292mmol)を、3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)ベンゾニトリル(20g、97mmol)とともに添加した。反応物を60℃で1時間加熱した。アセトニトリルを減圧下で除去した。残りの混合物を、酢酸エチル(1.0L)、水(700mL)、及び鹹水(300mL)との間で分配した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。揮発性有機物を合わせ、減圧下で除去した。固体を、最小のジクロロメタン中に溶解し、シリカゲルカラム(3Lでヘキサン中0〜100%酢酸エチル)で精製した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、揮発性有機物を減圧下で除去した。残渣を最小のジクロロメタン中に溶解し、シリカゲルカラム(800mLでヘキサン中10%の均一濃度の酢酸エチル、続いて4Lでヘキサン中20〜80%酢酸エチル)で2回目の精製を行った。所望の生成物を含有する画分を合わせ、揮発性有機物を減圧下で除去し、4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル(22.7g、66.0mmol、67.7%収率)をオフホワイト色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 7.33−7.39(m,5H)7.29(d,J=1.96Hz,1H)7.25(d,J=1.96Hz,1H)6.91(t,J=8.56Hz,1H)4.60(s,2H)3.58(s,2H)3.19−3.27(m,4H)2.58−2.66(m,4H)。MS(ESI)m/z 344.2[M+1]+。
5−アミノ−4−(4−((4−((4−(4−シアノ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)ベンジル)オキシ)−1−オキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸(S)−tert−ブチル。5−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−1−オキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸(S)−tert−ブチル(22.05g、65.9mmol)を、4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル(22.67g,65.9mmol)、炭酸カリウム(18.23g、132mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(330mL)とともにフラスコに入れた。反応混合物を45℃に16時間加熱した。反応物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、濾過した。濾液を、酢酸エチル(900mL)と、水(600mL)と、鹹水(200mL)との間で分配した。有機層を単離し、水(600mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、揮発物を減圧下で除去した。残渣をヘキサン中20%酢酸エチルで処理し、揮発物を減圧下で除去し、5−アミノ−4−(4−((4−((4−(4−シアノ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)ベンジル)オキシ)−1−オキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸(S)−tert−ブチル(44.02g、68.6mmol、104%収率)をオフホワイト色固体として得た。ある程度のDMFが残存したため、収量はわずかに定量を超えた。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 7.43−7.49(m,2H)7.40(s,4H)7.36(dd,J=8.38,1.28Hz,1H)7.29(d,J=1.96Hz,1H)7.26(d,J=1.83Hz,1H)7.11(dd,J=7.64,1.16Hz,1H)6.92(t,J=8.50Hz,1H)6.23(br s,1H)5.24−5.32(m,1H)5.15(s,2H)4.86−4.94(m,1H)4.38−4.55(m,2H)3.61(s,2H)3.18−3.32(m,4H)2.58−2.70(m,4H)2.09−2.47(m,4H)1.43(s,8H)。MS(ESI)m/z 642.4[M+1]+。
(S)−4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル。5−アミノ−4−(4−((4−((4−(4−シアノ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)ベンジル)オキシ)−1−オキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸(S)−tert−ブチル(12.1g、18.86mmol)を、アセトニトリル(189mL)及びベンゼンスルホン酸(3.96g、24.51mmol)とともにバイアルに入れた。反応混合物を真空下に置き、窒素でパージした。これをもう1度繰り返し、その後、窒素雰囲気下で混合物を85℃に一晩加熱した。温反応混合物をジクロロメタン(1000mL)及び酢酸エチル(300mL)を含有する分液漏斗に直接注いだ。この混合物に、重炭酸ナトリウム(900mL)、水(100mL)、及び鹹水(450mL)の飽和溶液を添加した。有機層を単離し、水層を、ジクロロメタン(800mL)及び酢酸エチル(200mL)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。標準的な方法により精製して、標記化合物を得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 10.96(s,1H)7.68(dd,J=13.45,1.83Hz,1H)7.56(dd,J=8.44,1.83Hz,1H)7.43−7.52(m,3H)7.29−7.39(m,4H)7.11(t,J=8.80Hz,1H)5.24(s,2H)5.11(dd,J=13.20,5.14Hz,1H)4.22−4.46(m,2H)3.54(s,2H)3.12−3.22(m,4H)2.85−2.97(m,1H)2.53−2.62(m,2H)2.38−2.48(m,2H)1.93−2.03(m,1H)。MS(ESI)m/z 568.2[M+1]+。
実施例3:(S)−4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル(化合物2)の合成
4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル塩酸塩。トルエン(1400mL)中の3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)ベンゾニトリル(100g)の溶液に、25℃で酢酸(28mL)を入れ、反応混合物を30分間維持した。25℃で4−(クロロメチル)ベンズアルデヒド(79g)を入れ、混合物を2時間維持した。トリ酢酸水素化ホウ素ナトリウム(各52g)を、25℃で、30分間ごとに3回入れた。混合物を25℃で約10時間攪拌した。水(600mL)を1時間かけて入れ、その間、バッチ温度は30℃より下に維持した。低層の大半は分離した。混合物を濾過し、低層を分離した。有機層を水(200mL)で洗浄した。有機層に、IPA(75mL)、IPA(8ml)中5〜6N HCl、次いで、トルエン(20ml)中の4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル塩酸塩シード(2g)のスラリーを入れた。混合物に、2時間かけて25℃でIPA(115ml)中5〜6N HClを入れた。混合物を約10時間維持し、濾過して粗製固体を得た。固体をトルエン(400ml)で洗浄し、真空オーブン中で乾燥させて、4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル塩酸塩を淡黄色固体(152g、82%収率)を得た。
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6)δ ppm 11.82(s,1H),7.50−7.79(m,6H),7.18−7.24(m,1H),4.80(s,2H),4.38−4.39(m,2H),3.44−3.70(m,2H),3.14−3.44(m,6H)。
(S)−5−アミノ−4−(4−((4−((4−(4−シアノ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)ベンジル)オキシ)−1−オキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸tert−ブチル酒石酸塩。DMF(600ml)中の4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル塩酸塩(100g)及び(S)−5−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−1−オキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸tert−ブチル(97g)の混合物に、35℃で炭酸カリウム(K2CO3)(75g)を入れ、反応混合物を24時間維持した。混合物にトリメチルアミン(11ml)を入れ、混合物を45℃で約2時間攪拌した。混合物に、EtOAc(1L)及び炭酸カリウム水溶液(5%、500mL)を入れた。有機層を塩化ナトリウム水溶液(5%、500mL)で洗浄した。混合物にEcosorb C948 E−pak(30g)を入れ、混合物を2時間維持した。混合物を濾過した。混合物に、45℃で、メタノール(850mL)中のL−酒石酸(47g)の溶液を入れ、混合物を2時間維持した。混合物を25℃に冷却した。固体を濾過して、(S)−5−アミノ−4−(4−((4−((4−(4−シアノ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)ベンジル)オキシ)−1−オキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸tert−ブチルの酒石酸塩を得た。(145g、70%収率)。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ ppm 1.31(s,9H),1.87−2.27(m,4H),2.55(br s,4H),3.18(br s,4H),4.29(s,2H),4.36−4.62(m,2H),4.71(dd,J=4.2,10.0Hz,1H),5.22(s,2H),7.10(t,J=8.8Hz,1H),7.18(s,1H),7.29(d,J=7.7Hz,2H),7.33−7.40(m,2H),7.40−7.51(m,3H),7.51−7.63(m,2H)。
(S)−4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル。2−メチルテトラヒドロフラン(1L)中の(S)−5−アミノ−4−(4−((4−((4−(4−シアノ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)ベンジル)オキシ)−1−オキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸tert−ブチルの酒石酸塩(100g)の溶液を、炭酸カリウム水溶液(10%、85mL)で洗浄した。低層を分離した。溶媒2−メチルテトラヒドロフランをアセトニトリルに交換して溶液を得た。溶液に、アセトニトリル(200ml)中のベンゼンスルホン酸(60g)を、2時間かけて70℃で添加した。標準的な方法により精製して、標記化合物を得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 10.96(s,1H)7.68(dd,J=13.45,1.83Hz,1H)7.56(dd,J=8.44,1.83Hz,1H)7.43−7.52(m,3H)7.29−7.39(m,4H)7.11(t,J=8.80Hz,1H)5.24(s,2H)5.11(dd,J=13.20,5.14Hz,1H)4.22−4.46(m,2H)3.54(s,2H)3.12−3.22(m,4H)2.85−2.97(m,1H)2.53−2.62(m,2H)2.38−2.48(m,2H)1.93−2.03(m,1H)。MS(ESI)m/z 568.2[M+1]+。
実施例4:(S)−4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル(化合物2)の合成
4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル塩酸塩。トルエン(1400mL)中の3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)ベンゾニトリル(100g)の溶液に、25℃で酢酸(28mL)を入れ、混合物を30分間維持した。25℃で4−(クロロメチル)ベンズアルデヒド(79g)を入れ、混合物を2時間維持した。トリ酢酸水素化ホウ素ナトリウム(各52g)を、25℃で、30分間ごとに3回入れた。混合物を25℃で約10時間攪拌した。水(600mL)を1時間かけて入れ、その間、バッチ温度は30℃より下に維持した。低層の大半は分離した。混合物を濾過し、低層を分離した。有機層を水(200mL)で洗浄した。有機層に、IPA(75mL)、IPA(8ml)中5〜6N HCl、次いで、トルエン(20ml)中の4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル塩酸塩シード(2g)のスラリーを入れた。混合物に、2時間かけて25℃でIPA(115ml)中5〜6N HClを入れた。混合物を約10時間維持し、濾過して粗製固体を得た。固体をトルエン(400ml)で洗浄し、真空オーブン中で乾燥させて、4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル塩酸塩を白色固体(152g、82%収率)を得た。
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6)δ ppm 11.82(s,1H),7.50−7.79(m,6H),7.18−7.24(m,1H),4.80(s,2H),4.38−4.39(m,2H),3.44−3.70(m,2H),3.14−3.44(m,6H)。
(S)−5−アミノ−4−(4−((4−((4−(4−シアノ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)ベンジル)オキシ)−1−オキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸tert−ブチル。ジメチルスルホキシド(DMSO)(700mL)中の4−(4−(4−(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル塩酸塩(100g)及び(S)−5−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−1−オキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸tert−ブチル(88g)の混合物に、35℃で炭酸カリウム(K2CO3)(73g)を入れ、混合物を24時間維持した。混合物にEtOAc(1.2L)及び水(1.1L)を入れた。有機層を塩化ナトリウム水溶液(5%、1L)で洗浄した。混合物にn−ヘプタン(200mL)を入れた。混合物を水性の酢酸(3%、1L)、水(1L)、K3PO4水溶液(20%、10L)、及び水(10L)で洗浄した。溶媒を約1.2Lに蒸留した。混合物をn−ヘプタンで結晶化して、(S)−5−アミノ−4−(4−((4−((4−(4−シアノ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)ベンジル)オキシ)−1−オキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸tert−ブチル(143g、85%収率)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 7.43−7.49(m,2H)7.40(s,4H)7.36(dd,J=8.38,1.28Hz,1H)7.29(d,J=1.96Hz,1H)7.26(d,J=1.83Hz,1H)7.11(dd,J=7.64,1.16Hz,1H)6.92(t,J=8.50Hz,1H)6.23(br s,1H)5.24−5.32(m,1H)5.15(s,2H)4.86−4.94(m,1H)4.38−4.55(m,2H)3.61(s,2H)3.18−3.32(m,4H)2.58−2.70(m,4H)2.09−2.47(m,4H)1.43(s,8H)。
(S)−4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル)−3−フルオロベンゾニトリル。アセトニトリル(1L)中(S)−5−アミノ−4−(4−((4−((4−(4−シアノ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)ベンジル)オキシ)−1−オキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタン酸tert−ブチル(100g)の溶液を、70℃で維持した。溶液に、アセトニトリル(200mL)中のベンゼンスルホン酸(74g)を、2時間かけて70℃で添加した。標準的な方法により精製して、標記化合物を得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 10.96(s,1H)7.68(dd,J=13.45,1.83Hz,1H)7.56(dd,J=8.44,1.83Hz,1H)7.43−7.52(m,3H)7.29−7.39(m,4H)7.11(t,J=8.80Hz,1H)5.24(s,2H)5.11(dd,J=13.20,5.14Hz,1H)4.22−4.46(m,2H)3.54(s,2H)3.12−3.22(m,4H)2.85−2.97(m,1H)2.53−2.62(m,2H)2.38−2.48(m,2H)1.93−2.03(m,1H)。MS(ESI)m/z 568.2[M+1]+。
実施例5:4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル−2,2,3,3,5,5,6,6−d
8)−3−フルオロベンゾニトリル
3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル−2,2,3,3,5,5,6,6−d8)ベンゾニトリル。乾燥DMA(6mL)中の3,4−ジフルオロベンゾニトリル(278mg、2.00mmol)及びピペラジン−2,2,3,3,5,5,6,6−d
8(942mg、10.0mmol)の溶液を110℃で16時間攪拌した。混合物を周囲温度に冷却し、混合しながらH
2O(60mL)にゆっくり添加した。混合物をEtOAc(3X)で抽出し、有機部分を合わせて、飽和NaCl(3X)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残った無色のシロップを真空下で乾燥させて、粗製生成物を白色固体(599mg)として得た。固体をEtOAc中に溶解し、溶液を、H
2O(3X)、飽和水性NaCl(3X)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、濃縮し、残渣を真空中で乾燥させて、標記化合物(447mg、105%)を白色固体として得た。LCMS(ESI)m/z 214.2[M+H]
+。
4−(4−(4−(((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−4−イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン−1−イル−2,2,3,3,5,5,6,6−d8)−3−フルオロベンゾニトリル。乾燥DMF(5.0mL)中の3−[4−[[4−(ブロモメチル)フェニル]メトキシ]−1−オキソ−イソインドリン−2−イル]ピペリジン−2,6−ジオン(736mg、1.66mmol)及び3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル−2,2,3,3,5,5,6,6−d8)ベンゾニトリル(425mg、1.99mmol)の溶液に、DIEA(0.870mL、4.99mmol)を添加し、混合物を周囲温度で4時間攪拌した。混合物を濾過し(0.45μmナイロン膜)、溶液を標準的な方法により精製して、標記生成物(532mg、56%)を得た。LCMS(ESI)m/z 576.4[M+H]+。
実施例6:多発性骨髄腫に対する抗増殖及びアポトーシス促進性作用
細胞培養材料:ヒト多発性骨髄腫細胞株を供給業者から購入し、表1に示されるように、培地中で、37℃、5%CO
2で培養した。レナリドミド及びポマリドミド耐性細胞株を、前に一般的に記載される方法により得た(Lopez−Girona et al Leukemia 2012;26(11):2335)。全ての細胞株は対数期で維持され、細胞密度及び生存率は、Vi−cell XR細胞生死アナライザー(Beckman Coulter,Brea,CA)を使用して、トリパンブルー排除により監視された。
表1:試験された多発性骨髄腫細胞株
試験品の溶液の調製:最大容積が50μLと仮定して、最終DMSO容積0.1%に化合物を黒色384ウェルプレート(Corning Inc.)に蒔いた。1:3希釈で10μMから開始する10ポイント用量応答は、EDC ATS−100プラットホームを使用して超音波分注により2つ組で印刷された。あるいは、1:10希釈で10μMから開始するか、または1:3希釈で100nMから開始する10ポイント用量応答が使用された。
細胞増殖アッセイ:血液細胞株(表1)の増殖/生存率に対する化合物の作用は、製造業者の指示に従い、CTG(Promega)を使用して、120時間インキュベートした後に評価された。血液細胞株は、Multidrop Combi Reagent Dispenser(Thermo Scientific,Waltham,MA)により、50μLの総容積中0.1×106細胞/mLで化合物のプレートに分注された。120時間で、25μL/CTGのウェルがMultidrop Combi Reagent Dispenserにより分注され、生存可能な細胞によるアデノシン三リン酸(ATP)放出は、Envisionプラットホームを使用して、30分後に相対発光単位として測定された。
細胞アポトーシスアッセイ:化合物のアポトーシスを誘導する能力は、示される時点及び化合物濃度で、選択されたMM細胞株において評価された。アポトーシスのマーカーとして、カスパーゼ−3の活性レベルを、生存細胞撮像を使用してMM細胞において測定した。懸濁細胞を撮像するために、細胞がプレートの底に付着し、平らになるように、96ウェルプレートをフィブロネクチンでコーティングした。化合物を添加する前夜に、Multidrop Combi Reagent Dispenser(Thermo Scientific,Waltham,MA)を使用して、細胞を96ウェルプレートに添加した。Hewlett−Packard D300 Digital Dispenser(Tecan,Mannedorf,Switzerland)を使用して、化合物を適切な96ウェルプレートのウェル内の細胞の上に配置した。MM細胞株を化合物で処理し、6時間で培地を交換して、インビボでの化合物代謝回転を模倣し、化合物濃度を約20倍希釈した。NucView 488 Caspase−3 Enzyme Substrate(Biotium)の存在下で細胞を成長させ、標準的なインキュベータに収容したIncuCyte ZOOM Live−Cell Analysis System(Essen Bioscience,Ann Arbor,MI)においてインキュベートした。カスパーゼ−3酵素基質の切断及び各ウェルの細胞コンフルエンスを、IncuCyte ZOOM Systemで、4〜6時間ごとに5日間、10×で撮像することにより検出した。各ウェル/条件は同じプレート上で複製で実行され、各状態は各時点で捕捉した4つの10×画像の平均であった。
結果。化合物1及び化合物2は、MM細胞株に対する抗増殖活性を示す。この研究について選択されたMM細胞株は、レナリドミド及び/またはポマリドミドに対して感受性及び耐性である株であり(表1)、2つの薬剤は、骨髄腫患者を治療するために臨床で使用された。増殖は、CellTitre−Glo(登録商標)アッセイを使用して評価された。化合物とともにインキュベートされた培養物の結果は、各細胞株の対照培養物の結果に正規化された。化合物による細胞成長の阻害についてのIC
50は、ActivityBaseソフトウェアを使用して各細胞株について決定された。120時間後の培地に存在するATPレベルの定量的評価により決定されるとき、化合物1及び化合物2は、4つの細胞株において細胞増殖を強力に阻害した。化合物1及び化合物2の抗増殖IC
50値は、0.07nM〜19nMの範囲であった(表2)。化合物1及び化合物2は、レナリドミド及び/またはポマリドミド耐性の細胞株に対しても非常に強力な多発性骨髄腫抗増殖活性を示した。
表2:液体培養物中のMM細胞株における化合物1及び化合物2による細胞成長の阻害
化合物1は、多発性骨髄腫細胞株においてアポトーシスを誘導した。MM細胞株におけるアポトーシスに対する化合物の作用を調査した。化合物の、アポトーシスを誘導し、このプロセスの開始を動力学的に特徴付ける能力を決定するために、カスパーゼ−3誘導を、レナリドミド耐性H929−1051細胞において経時的に測定した(図1)。H929−1051細胞を、1nM、10nM、100nM、及び1000nMの濃度の化合物とともにインキュベートし、アポトーシスを経時的に評価した。結果は、H929−1051細胞に関して、化合物1の濃度全てがおよそ48時間から始まって、約72時間のインキュベーションでほぼ最高の誘導に達するアポトーシスを誘導したことを示した。次に、曲線下面積(AUC)を各濃度について計算し、各化合物の濃度応答曲線を生成するために使用した。これは、H929−1051においてアポトーシスを誘導する化合物1の能力の定量的エビデンスを提供した。驚くべきことに、化合物1によるアポトーシス誘導は、以前に報告された化合物3−(4−((4−((4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)ベンジル)オキシ)−1−オキソイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン(米国特許第8,518,972号の実施例5.285)(化合物A)について観察されたアポトーシス誘導よりも大幅に高かった。図1Bに示されるように、化合物1によるアポトーシス誘導(総AUCにより測定される)は、化合物Aによるアポトーシス誘導と比較して、ほぼ30%(126%)増加した。
デキサメタゾンとの併用。化合物2単独またはデキサメタゾンと組み合わせたポマリドミドの活性は、MM細胞株のパネルにわたって評価された。図2は、レナリドミド耐性H929−1051細胞株の代表的な用量依存曲線一式であり、単剤化合物2がポマリドミド−デキサメタゾンの組み合わせよりも10倍強力であり、同じくらい効果的であることを示す(図2、パネルA)。驚くべきことに、化合物2がデキサメタゾンと組み合わせられるとき、より強力な奏功をもたらすだけでなく、有効性も劇的に改善され(図2、パネルB)、ほぼ完全な細胞死滅が達成される。表3は、H929−1051細胞株において行われた単剤及びデキサメタゾン併用研究の効力(IC
50)を要約する。レナリドミド耐性細胞(H929−1051)における単剤ポマリドミドまたは化合物2のいずれか、及び1、0.1、または0.01μMの濃度のデキサメタゾン(Dex)の併用のいずれかのIC
50が列記される。各IC
50は、少なくとも3回の独立した実験の平均である。増殖は、Cell Titer−Gloを使用して、5日目に監視された。一貫して、デキサメタゾンと組み合わせた化合物2は、デキサメタゾンと併用したポマリドミドよりも劇的に活性であり、この活性の増加は、10〜100倍低い濃度のデキサメタゾンで達成された。総合して、このデータは、有効性及び相乗作用を維持しながら、低用量のデキサメタゾンの使用を可能にすることによる、化合物2及びデキサメタゾンの併用治療の安全性の増加についての可能性を示す。
表3:レナリドミド耐性H929−1051細胞株における単剤としての化合物2及びポマリドミド、またはデキサメタゾンとの組み合わせに関する抗増殖IC
50値の比較
正常な細胞に対する抗増殖選択性により評価されるインビトロ安全性評価。化合物2が一般的に細胞傷害性ではないことを示すために、不死化(但し、非腫瘍形成性)ヒト肝細胞由来細胞株THLE−2(Pfeifer et al,Proc Natl Acad Sci USA.1993;90(11):5123−7)及び健康な一次ヒトPBMCに対するカウンタースクリーニング(図3)を行った。化合物2は、上記に示されるMM細胞株と比較して、THLE−2細胞(IC50>10μM)または未刺激の一次ヒトPBMC(IC50>10μM)に対してほとんど抗増殖作用がなかった。
レナリドミド耐性多発性骨髄腫異種移植モデルにおける化合物2の抗腫瘍活性。研究の目的は、1、3、10、及び30mg/kgの1日1回の投与(QD)での、H929−1051異種移植モデルにおける化合物2の単剤抗腫瘍活性を試験するためであった。有意(p<0.0001)な抗腫瘍活性は全ての用量レベルで観察され、1、3、10、及び30mg/kgで、それぞれ、75%、86%、84%、及び85%の腫瘍体積が低減した(図4)。
結論:まとめると、このデータは、化合物1及び化合物2が非常に強力な抗多発性骨髄腫活性を示し、驚くべきことに、以前に報告された化合物である化合物A及びポマリドミドと比較して、アポトーシスの大幅なレベル増加を示すことを示す。加えて、デキサメタゾンと併用した化合物2はより強力な奏功をもたらすだけでなく、有効性も劇的に改善する。加えて、正常な細胞と比較して、多発性骨髄腫の選択的細胞死滅が示された。
実施例7:化合物1/化合物2のオフターゲット作用及び意義。
α1アドレナリン及びドーパミンD2受容体。方法:α1アドレナリン及びドーパミンD2受容体の結合及び機能アッセイは、それらの方法に従い、Eurofins Cerepによって行われた。
α1アドレナリン受容体。10μMでの結合。結合アッセイは、ラット大脳皮質における非選択的α1アドレナリン受容体に対する試験品の親和性を評価した。大脳皮質の膜破砕物を、10μMの試験品の不在下及び存在下で、0.25nM[3H]プラゾシンとともに、室温で60分間、2つ組でインキュベートした。インキュベーション期間の後、試料を、ガラスファイバフィルタを通して濾過し、フィルタを乾燥させ、その後、シンチレーションカウンターを使用して、放射能について計数した。結果は、対照放射性リガンド結合の平均阻害パーセントとして表される。
結合IC50。非選択的α1アドレナリン受容体の結合IC50を決定するために、様々な濃度の試験品を、0.25nM[3H]プラゾシンとともに2つ組でインキュベートした。化合物Aを0.01〜30μMで試験した。化合物AのS−鏡像異性体である化合物Bは、0.0003〜10μMで試験した。化合物1及び化合物1のS−鏡像異性体である化合物2は、0.03〜100μMでアッセイした。放射能は上述のように測定された。IC50は、対照特異的結合の最大半量の阻害をもたらす濃度として定義された。
アンタゴニスト活性。α1A及びα1Bアドレナリン受容体に対する試験化合物の拮抗作用は、ヒト受容体トランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を使用して測定された。アンタゴニスト活性は、α1A受容体アッセイにおけるアゴニスト(エピネフリン)誘導カルシウム動員、またはα1B受容体アッセイにおけるcAMPレベルに対する化合物の作用を測定することにより決定された。これらの実験では、CHO細胞は、α1A受容体アッセイでは試験品及びエピネフリン3nMまたはα1B受容体アッセイでは3000nMとともに室温で2つ組インキュベートした。化合物Aは、0.01〜30μMでα1A受容体アッセイにおいて試験された。化合物Bは、0.0003〜30μMでα1A及びα1B受容体アッセイにおいて試験された。化合物1及び化合物2は、α1A受容体アッセイでは0.03〜30μMで、そしてα1B受容体アッセイでは0.03〜100μMでアッセイされた。α1A受容体アッセイにおいて、細胞質カルシウムレベルは、蛍光プローブFluo4 Directを使用して、蛍光定量的に測定された。α1Bアドレナリン受容体アッセイにおける細胞内cAMPレベルは、均一時間分解蛍光測定(HTRF)により測定された。拮抗作用IC50は、対照アゴニスト応答の最大半量の阻害をもたらす濃度として定義された。
ドーパミンD2受容体。10μMでの結合。結合アッセイは、トランスフェクトされたヒト胎児由来腎臓(HEK)−293細胞におけるドーパミンD2受容体に対する試験品の親和性を評価した。D2S受容体アッセイにおいて結合を決定するために、試験品を、0.3nM[3H]メチルスピペロンまたは1nM[3H]7−ヒドロキシ−2−N,N−ジプロピルアミノテトラリン(7−OH−DPAT)とともにインキュベートした。0.3nMの[3H]メチルスピペロンは、D2L結合アッセイにおいて対照リガンドとしても使用された。細胞膜破砕物を、10μMの試験品の不在下及び存在下で、リガンドとともに、室温で60分間、2つ組でインキュベートした。インキュベーション期間の後、試料を、ガラスファイバフィルタを通して濾過し、フィルタを乾燥させ、その後、シンチレーションカウンターを使用して、放射能について計数した。結果は、対照放射性リガンド結合の平均阻害パーセントとして表される。
結合IC50。D2受容体アッセイにおいて結合IC50を決定するために、HEK−293を上述のように試験したが、様々な濃度の試験品で行った。化合物Aは、D2S放射性リガンド結合アッセイにおいて0.01〜30μMで試験された。化合物Bは、D2S及びD2Lの両方の結合アッセイにおいて0.0003〜10μMで試験された。化合物1は、D2S及びD2Lの両方のアッセイにおいて0.03〜100μMでアッセイされ、一方、化合物2は、D2Sアッセイでは0.03〜100μM、そしてD2Lアッセイでは0.01〜100μMで試験された。IC50は、対照特異的結合の最大半量の阻害をもたらす濃度として定義された。
アゴニスト活性。ドーパミンD2S受容体に対する試験化合物の活性化作用は、ヒト受容体トランスフェクトされたHEK−293細胞を使用して評価された。アゴニスト活性をインピーダンス変調に対する化合物作用を測定することにより決定された。これらの実験では、HEK−293細胞は、試験化合物とともに、28℃で、2つ組でインキュベートされた。化合物Aを0.01〜30μMで試験した。化合物Bは0.0003〜10μMで試験され、一方、化合物1及び化合物2は0.01〜10μMでアッセイされた。ドーパミン(3μM)をアゴニスト対照として使用した。インピーダンスの測定は、細胞誘電分光を使用して、リガンドの添加後10分間監視された。EC50は、対照アゴニスト(ドーパミン)応答と比較して、最大半量の応答をもたらす濃度として定義された。
結果。α1アドレナリン及びドーパミンD2受容体における10μMでの結合は、化合物1、化合物2、化合物A、化合物B、及び米国特許第8,518,972号に例示されるいくつかの化合物について評価された(図4)。以前に開示された化合物は両受容体におけるリガンドの結合を完全に阻害したが、驚くべきことに、化合物1及び化合物2は、リガンド結合を阻害する能力の大幅な減少を示し、それぞれ、67/62%(α1アドレナリン受容体)及び55/52%(ドーパミンD
2S)のみのリガンド結合の阻害を示した。したがって、α1アドレナリン及びドーパミンD2受容体における化合物A及び化合物Bと比較した化合物1及び化合物2の異なる作用を更に分析した。
表4.α1アドレナリン及びドーパミンD2受容体に対する化合物A、化合物B、化合物1、及び化合物2、ならびに以前に報告された化合物の作用
α1アドレナリン受容体に対する化合物A、化合物B、化合物1、及び化合物2の詳細な作用を表5に要約する。化合物Aは、リガンドのα1アドレナリン受容体への結合を102%阻害した。受容体への化合物Aの結合IC
50は0.064μMであった。化合物Aは、α
1Aアドレナリン受容体の強いアンタゴニストであることが示され、IC
50は0.014μMであった。同様に、化合物Bは、10μMでリガンドのα1アドレナリン受容体への結合を98〜100%阻害し、結合IC
50は0.024μMであった。α1アドレナリン受容体の強い拮抗作用は化合物Bで観察され、IC
50値は、α
1A及びα
1B受容体に対して、それぞれ、0.0064及び0.078μMであった。驚くべきことに、対照的に、化合物1及び化合物2は両方ともα1アドレナリン受容体に対して弱い活性を有することが示された。化合物1による受容体拮抗作用のIC
50値は、α
1A及びα
1B受容体について、それぞれ、0.98μM及び6.9μMであった。比較可能な結果が化合物2について観察された。
表5.α1アドレナリン受容体に対する化合物A、化合物B、化合物1、及び化合物2の作用
ドーパミンD2受容体。ドーパミンD2受容体に対する化合物A、化合物B、化合物1、及び化合物2の作用を表6に要約する。化合物Aは、リガンドのドーパミンD
2S受容体への結合を99%阻害した。D
2S受容体への化合物Aの結合IC
50は0.15μMであった。化合物Aは、ドーパミンD
2S受容体の部分アゴニストであることが示され、EC
50は0.016μMであった。同様に、化合物Bは、10μMでD
2S受容体を99%阻害し、結合IC
50は、D
2L及びD
2S受容体に対して、それぞれ、0.084及び0.016〜0.047μMであった。驚くべきことに、対照的に、化合物1及び化合物2は両方ともドーパミンD2受容体に対して弱い活性を有することが示され、10μMでの阻害は≦55%であり、結合IC
50値は≧2μMであった。3回の独立した研究におけるドーパミンD
2S受容体における化合物Bの機能活性化作用(EC
50)は、>10、2.7、及び1.9μMであった。D
2S受容体に対する化合物Bによる活性化作用の程度は化合物Aにおいて観察されたものよりも小さいが、化合物1及び化合物2と比較して、化合物Bによる活性化作用は大きい傾向にあった。まとめると、10μMでの結合の阻害%、結合IC
50、及び活性化作用IC
50データは、化合物1及び化合物2と比較して、ドーパミンD2受容体に対する化合物A及び化合物Bの強い活性を示した。この知見は、ラットにおける、化合物1によるものではなく(以下に論じられる)化合物AによるドーパミンD2活性化作用のエビデンス(すなわち、胃運動/排出の減少)と一致する。
表6.ドーパミンD2受容体に対する化合物A、化合物B、化合物1、及び化合物2の作用
雄のラットにおける7日間の探索的毒性学研究。方法.雄のCD−IGSラット(n=5/毒性学評価群;n=4/毒物動態評価群)に、経口経管栄養(10mL/kg)により、100、300、または1000mg/kg/日でビヒクル(50mMシトレート中0.5% HPMC/0.25% Tween−80、pH2.6〜2.8)または試験品(化合物Aまたは化合物1)を7日間連続で1日1回投与した。毒物動態用の血液試料は、1日目及び7日目に収集された。全てのラットは、投与前、1〜7日目の投与およそ1時間後、及び8日目の剖検前に、毒性の臨床兆候について観察された。体重は、1〜7日目の投与前及び剖検前に無作為に記録された。血液学及び血清化学分析用の試料は、最終投与のおよそ24時間後の8日目に収集された。ラットは剖検のために8日目に安楽死させた。解剖病理学評価は、選択した組織の巨視的観察、臓器重量、及び病理組織検査からなった。
結果。化合物Aを7日間連続で毎日経口投与した後、全身曝露(AUC0−t)を100〜1000mg/kgの投与依存様式で増加させた。7日目の曝露は1日目よりおよそ3〜7倍大きかった。7日目のAUCは、100、300、及び1000mg/kgで、それぞれ、441、1230、及び1760μM・時間であった。毒性の臨床兆候(猫背、立毛、及び活動の減少)及び体重減少が≧300mg/kgで観察された。体重増加は100mg/kgでは見られなかった。異常な胃内容物(乾燥供給材料)が≧100mg/kgで肉眼で観察され、顕微的相関はなかった。この所見は、胃運動/排出の減少を示唆し、ドーパミンD2受容体のアゴニスト活性と一致する。試験品関連顕微的所見は、全投与レベルで、ラットの心臓における最小限の多巣性心筋壊死及び混合性細胞浸潤に限られた。この心病変の正確な原因は決定されないままであるが、所見は、ドーパミンD2受容体の活性化作用及び/またはα1−アドレナリン受容体の拮抗作用と一致する。これらの受容体の改変は、血管拡張につながり、血流の減少、低血圧、及び反射性頻脈の原因となる。心病変の位置(心尖、心室の心内膜表面)は、虚血機構を更に支持する。化合物1に関して、曝露(AUC0−t)も100〜1000mg/kgの用量依存様式で増加し、7日目の曝露は1日目よりもおよそ2〜6倍大きかった。7日目の100、300、及び1000mg/kgのAUCは、それぞれ、143、514、及び1220μM・時間であった。試験品関連の臨床知見はなかった。体重増加の最小限の減少が≧300mg/kgで観察された。驚くべきことに、化合物Aとは対照的に、胃及び心臓への作用は、化合物1を投与されたラットにおいて観察されず、上述のEurofins Cerepにより観察されたα1アドレナリン及びドーパミンD2 受容体の活性の低減と一致した。
ヒトチトクローム p450酵素の阻害剤としての化合物2及び化合物Bのインビトロ評価。化合物B及び化合物2がプールしたヒト肝臓ミクロソームにおいてチトクロームP450(CYP)活性の直接または時間依存的阻害剤としての機能を果たす可能性を評価することが目的である。この研究では、9つのヒトチトクロームP450酵素、つまり、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、及びCYP3A4/5(2つの基質を使用する)を調査した。
方法.化合物がCYP酵素の直接阻害剤としての機能を果たす可能性を検査するために、化合物B(0.03〜30μM)または化合物2(0.03〜30μM)及びNADPH(1mM)の不在下または存在下で、プールしたヒト肝臓ミクロソームを、それらの見かけKmとほぼ等しい濃度で、プローブ基質とともにインキュベートした。加えて、化合物は、上述と同じ濃度で時間依存的阻害剤としての機能を果たすそれらの可能性について評価された。時間依存的阻害を評価する場合、化合物は、プローブ基質を添加する前に、ヒト肝臓ミクロソーム及びNADPH(1mM)とともに30分間プレインキュベートされた。適切なビヒクル対照に加えて、CYPアイソフォームの既知の直接阻害剤及び時間依存的阻害剤が正の対照として含まれた。インキュベーション後、プローブ基質代謝物の濃度を、確立されたLC/MS/MS方法を使用して定量化した。阻害の程度は対照活性のパーセンテージとして表された。
結果。化合物B。直接阻害を検査するために使用された実験条件下で、化合物B(最大30μM)は、CYP1A2、CYP2A6、CYP2C8、CYP2D6、CYP2E1、及びCYP3A4/5(ミダゾラム)に対して阻害作用がほとんど(≦30%)〜全くなかった。30μMで、化合物Bは、CYP2B6、CYP2C9、及びCYP2C19活性を、それぞれ、59、38、及び45%阻害した。化合物Bは、2.92μMのIC50値でCYP3A4/5(テストステロン)を阻害した。時間依存的阻害を試験するために使用された条件下で、化合物B(最大30μM)は、NADPHとともに、またはそれなしで30分間プレインキュベートした後、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、及びCYP2E1の時間依存的阻害をほとんど〜全く示さなかった。化合物Bは、時間依存的様式でCYP3A4/5を阻害した。シフトしたIC50値(NADPHを伴う)は、基質としてのミダゾラム及びテストステロンに関して、それぞれ、2.23及び1.93μMであった。
化合物2。直接阻害を検査するために使用された実験条件下で、化合物2(最大30μM)は、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2D6、CYP2E1、及びCYP3A4/5(ミダゾラム)に対して阻害作用がほとんど(≦30%)または全くなかった。30μMで、化合物2は、CYP2C19及びCYP3A4/5(テストステロン)活性を、それぞれ、41及び46%阻害した。時間依存的阻害を試験するために使用された条件下で、化合物2(最大30μM)は、NADPHとともに、またはそれなしで30分間プレインキュベートした後、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、及びCYP3A4/5(ミダゾラム)の時間依存的阻害をほとんど〜全く示さなかった。化合物2(30μMで)は、CYP3A4/5(テストステロン)活性を59%(NADPHを伴う)及び23%(NADPHなし)阻害し、これは、化合物2がCYP3A4/5の弱い時間依存的阻害剤であったことを示した。
結論。要約すると、化合物B(最大30μM)は、CYP1A2、CYP2A6、CYP2C8、CYP2D6、CYP2E1、及びCYP3A4/5(ミダゾラム)に対する直接阻害作用がほとんど(≦30%)〜全くなかった。化合物Bは、2.92μMのIC50値でCYP3A4/5(テストステロン)を阻害した。化合物Bは、30μMで、CYP2B6、CYP2C9、及びCYP2C19活性を、それぞれ、59、38、及び45%阻害した。化合物B(最大30μM)は、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、及びCYP2E1の時間依存的阻害剤ではないが、CYP3A4/5の時間依存的阻害剤である。
驚くべきことに、対照的に、化合物2(最大30μM)は、試験したCYP酵素のいずれかに対して阻害作用がほとんど(≦30%)〜全くなく、30μMで、化合物2は、CYP2C19及びCYP3A4/5(テストステロン)活性を、それぞれ、41及び46%(すなわち、IC50>30μM)しか阻害しなかった。化合物2(最大30μM)もCYP3A4/5の弱い時間依存的阻害剤である。CYP2C19及びCYP3A4/5の阻害活性の低減は、他の薬物の代謝を含む、代謝に対する作用の低減の原因となり、したがって、有害な薬物相互作用の可能性を低減する。
概要:正常な細胞を温存しながらの強力な抗多発性骨髄腫活性、アポトーシスレベルの大幅な増加、及びより強力かつ効果的なデキサメタゾンとの組み合わせ奏功の組み合わせは、化合物1及び化合物2が多発性骨髄腫の治療に有用であることを示す。加えて、驚くべきことに改善されたインビトロ及びインビボでのオフターゲットならびにCYPプロファイル所見は、低用量のデキサメタゾンを使用する可能性と組み合わせて、化合物1及び化合物2が以前に報告された化合物と比べて改善された安全性プロファイルを有するはずであることを示す。
実施例8:発がん性ドライバー、染色体転座、及びp53突然変異を特徴とする多発性骨髄腫細胞株における化合物2誘導アポトーシス。
方法。MM患者に見られる高リスクの転座または突然変異であると考えられるものを含む、一般的な発がん性突然変異及び染色体転座を有する代表的なMM細胞株の増殖及びアポトーシスの誘導に対する化合物の作用は、化合物と120時間インキュベートした後に、96ウェルプレートフローサイトメトリーアッセイを利用して評価された。20MM細胞株(表7及び8)(形質細胞白血病(PCL)細胞株L363、JJN−3、ARH−77、及びSKMM−2を含む)を、0.015〜100nMの範囲の漸増濃度の化合物2またはポマリドミドで、2つ組で処理した。5mMストックを使用して、化合物を、Hewlett−Packard D300 Digital Dispenserを使用して、96ウェルプレートの適切なウェルに予め配置した。Multidrop Combi Reagent Dispenserを使用して、細胞を96ウェルプレートに添加した。処理の5日後、フローサイトメトリー分析を使用して、生存している、死亡している、またはアポトーシス性である細胞の数を決定した。処理の5日後、細胞をアネキシンVとともにインキュベートして、曝露されたホスファチジルセリン、アポトーシス細胞表面マーカー、及び生体色素7−AAD(無傷細胞膜を有する細胞から除外される)を染色し、フローサイトメトリー(Attune(登録商標)、Thermo Fisher)により分析した。次いで、分析を行って、各条件の生存細胞(アネキシンV及び7−AAD二重陰性染色細胞)の数及びアポトーシス細胞のパーセンテージ(アネキシンV陽性細胞)を決定し、DMSO対照処理に対する相対を計算した。記載する全ての値はDMSOのみで処理された細胞に正規化された。全ての増殖及びアポトーシス誘導曲線を処理し、XLFit(IDBS,Alameda,CA)及びGraphPad Prism 7.03(GraphPad Software,La Jolla,CA)を使用して、対照のパーセントとしてグラフ化した。各濃度の生存細胞数を、Microsoft ExcelにおいてDMSO対照(100%とみなされる)に正規化して、増殖曲線を生成した。次いで、対数(阻害剤)対正規化応答−変数スロープ分析を行うことにより、IC
50(50%阻害を達成する化合物濃度)値を計算し、GraphPad Prism 7.03で曲線下面積分析を行うことにより、曲線下面積(AUC)値を計算した。同様に、アポトーシス分析に関して、薬物誘導アポトーシスのパーセンテージは、「初期」(アネキシンV陽性及び7−AAD陰性)及び「後期」アポトーシス(アネキシンV及び7−AAD陽性)の両方の値を合わせ、背景値(ビヒクル対照DMSOで処理された細胞)を差し引くことにより全ての用量に関して計算された。アポトーシス曲線のAUC値は、GraphPad Prism 7.03で曲線下面積分析を行うことにより計算された。用量応答曲線下面積(AUC)は、アポトーシスを表す薬物の効力及び有効性を単一のパラメータに統合するため、計算された。フローサイトメトリーアッセイにおける化合物2及びポマリドミドのIC
50値を表9に提示する。表10は、MM細胞株のパネルのフローサイトメトリーアッセイを使用して、化合物2及びポマリドミドの活性を比較する用量応答曲線下面積(AUC)を示す。
表7:多発性骨髄腫細胞株
ATCC=American Type Tissue Collection;DSMZ=German Collection of Microorganisms and Cell Cultures;FBS=ウシ胎仔血清;IL−6=インターロイキン6;JCRB=Japanese Collection of Research Bioresources Cell Bank;MM=多発性骨髄腫;N/A=該当なし。
表8:多発性骨髄腫細胞株のパネルにおいて見られる発がん性ドライバー、染色体転座、及びp53突然変異
HD=ホモ接合型欠失;mut=突然変異;wt=野生型;−=該当なし。
a=ナンセンス変異。
b=たった1つのコピーを有するwt p53かまたは突然変異であるか、文献において矛盾する報告。
出典:Bergsagel,et al.Oncogene(2001);20:5611−5622;Berglind,et al.Cancer Biology Therapeutics(2008);5:699−708;Keats,J.Common Genetics of Myeloma Cell Lines [Internet].Jonathan Keats Laboratory.Translational Genomics Research Institute(TGen)−Integrated Cancer Genomics Division.2012−[cited 05 Jan 2017]。
結果。化合物2の抗増殖活性は、MM患者に見られる高リスクの転座または突然変異であると考えられるものを含む、一般的な発がん性突然変異及び染色体転座(表8)を有する代表的なMM細胞株のパネルにわたって評価された(Johnson,et al.Int J Hematol.(2011);94:321−333;Zhou,et al.Leukemia(2009);23:1941−1956;Terpos,et al.Leuk Lymphoma(2006);47:803−814;Tonon,Hematol Oncol Clin North Am.(2007);21:985−1006)。濃度応答曲線は、生存細胞数を測定して、ポマリドミドと比較した化合物2の抗増殖活性を示すために、フローサイトメトリーを使用して得た。化合物2及びポマリドミドのIC
50値を表9に提示する。
表9:多発性骨髄腫細胞株における化合物2の抗増殖活性
化合物2のアポトーシス誘導作用は、治療の120時間後のフローサイトメトリーを使用して評価され、ポマリドミド治療と比較された。対照のパーセンテージは、用量応答曲線を生成し、これらの曲線下面積(AUC)を計算するために、DMSO対照(100%の対照)に正規化することにより計算された。報告されたAUC値は用量応答曲線下面積に対応し、値10000は全用量でのアポトーシスの完全な誘導に対応し、値0はアポトーシスの誘導なしに対応する。各データ点は、各実験において少なくとも2つの試料を用いた2回の独立した実験を表す。(表10)。
表10:多発性骨髄腫細胞株における化合物2誘導アポトーシス
結論。化合物2は、大半のMM細胞株にわたって広く活性であり、中間のポマリドミド感受性を有する細胞株、及びポマリドミド耐性の細胞株において強い活性を示すことにより、ポマリドミドとは異なった。化合物2は、p53状態、発がん性ドライバー、または染色体転座が異なって、このMM細胞株の範囲にわたって広く活性であった。例えば、OPM2、LP−1、EJM、U266、及びRPMI−8226細胞は、変異体p53を有し、化合物2に感受性であった。加えて、NCI−H929、KMS−11、KMS 34、OPM2、及びLP−1細胞株は全て、t(4;14)「高リスク」MM染色体転座を含み、化合物2に感受性であった。SK−MM−2及びEJM細胞も化合物2に感受性であり、別の「高リスク」MM染色体転座t(14;20)を含む。(図5)化合物2の、短期間の規定の曝露後にアポトーシスを誘導する能力は、疾患制御が集中的で断続的なスケジュールを使用して達成されることを可能にする。そのようなスケジュールは、現在のMM化合物のより持続した投与で観察される血球減少を誘導する化合物2の可能性を低減することにより、治療指数も改善し得る。
実施例9:化合物2はレナリドミドまたはポマリドミドに対する獲得耐性を有する多発性骨髄腫細胞株において活性を有する
化合物2の活性は、いずれかの化合物への連続曝露によりレナリドミドまたはポマリドミドに対する耐性を獲得したか、またはプロセスにおいて下方調節されたセレブロンレベルを獲得した細胞において試験された(図11)。細胞を5日間処理し、その後、ATP決定アッセイ(CellTiter−Glo)を使用して評価した。対照のパーセンテージは、背景を差し引いて、DMSO対照(100%の対照)に正規化することにより計算された。レナリドミドまたはポマリドミドに対する獲得耐性を有する細胞株中のセレブロンの相対パーセンテージは、ウエスタンブロットにより決定され、親細胞株の量を100%と指定して提示される。
結果。図6は、親株(DF15、NCI−H929、及びOPM2)、レナリドミド耐性株(NCI−H929−1051)、または5つのポマリドミド耐性細胞株(NCI−H929−P01、OPM2−P01、OPM2−P1、OPM2−P10、及びDF15R)の増殖を測定する、化合物2及びポマリドミドの活性を比較するIC
50の濃度応答曲線を示す。
表11:化合物及び多発性骨髄腫細胞株において薬物耐性を発達させるために使用された化合物の濃度ならびにセレブロンタンパク質発現における変化の獲得
N/A=該当なし;Pom=ポマリドミド;
*背景レベル、実際のCRBN(この細胞株において不在である)ではない
結論:化合物2の最も際立った作用は、非腫瘍形成細胞上ではない、MM細胞株にわたる広く強力な抗増殖活性であった。化合物2は、t(4;14)、t(14;16)などの高リスクの転座を含むMM細胞株における強力な抗増殖活性を有する。レナリドミド及びポマリドミドと比較して、化合物2は大半のMM細胞株の死滅において顕著により強力である。更に、化合物2は、カスパーゼ−3活性の誘導により測定されるとき、レナリドミド及びポマリドミドに対して獲得耐性を有するMM細胞株においてアポトーシスを誘導した。
実施例10:骨髄前駆体の成人好中球への成熟に対する化合物2のエクスビボ作用
方法:健康なドナー(HD)からの骨髄(BM)CD34+細胞のエクスビボ培養物は、好中球特異的エクスビボ成熟を調査するために使用された。幹細胞因子(SCF)、fms関連チロシンキナーゼ3リガンド(Flt3−L)、及び顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を培養培地に添加することにより、好中球前駆体のインビトロ分化を誘導した。図7に示されるように、5つの亜集団:造血幹細胞(HSC、CD34+/CD33−/CD11b−)ならびにI期(CD34+/CD33+/CD11b−)、II期(CD34−/CD33+/CD11b−)、III期(CD34−/CD33+/CD11b+)、及びIV期(CD34−/CD33−/CD11b+)(未成熟から成熟へ)における細胞のパーセンテージとして、フローサイトメトリーにより、細胞分化を評価した。好中球前駆体の成熟に対する化合物2の作用が評価され、これらの事象のスケジュール依存を把握するために、異なる投与スケジュールが評価された。
結果.毎日短期間の化合物2への曝露。好中球前駆体の成熟に対する、最大3日間連続した1、10、及び100nMの化合物2での異なる曝露期間(2、4、及び6時間)の作用を、フローサイトメトリーを使用して予め指定した時点で評価した。結果は、好中球前駆体の後期成熟が化合物2によって遮断されたことを示し、成熟細胞は1日以上の曝露後に高濃度で数が大幅に低減した。III期細胞表面免疫表現型を有する細胞の蓄積及びIV期細胞表面免疫表現型(成熟好中球)を有する細胞集団の低減により証明されるように、成熟の停止は主に、III期の好中球前駆体の発達において生じるようである。図8に示されるように、6時間のインキュベーションの例において、この成熟作用は、濃度依存的であり、個々の曝露期間(2、4、または6時間)によっては変わらないが、曝露の日数とともに増加する。重要なことには、死亡細胞において蓄積するアネキシンVまたは7−アミノアクチノマイシンD陽性の細胞の割合において任意の検出可能な増加がないことにより証明されるように、化合物2に曝露された好中球前駆体及び成熟好中球の生存率は影響を受けなかった。
化合物2への曝露後の成熟好中球の回復も系において評価された。本研究で利用したアッセイ系における未処理対照レベルの少なくとも50%への成熟好中球レベルの回復は、臨床的に有意な好中球減少の誘導またはそれからの回復の不在と相関する。実際、化合物2なしでの1週間後、IV期細胞の割合は、その最下点から少なくとも50%回復し(図8、下のパネル)、低濃度でより迅速かつ完全に回復する傾向がある。
結論:結果は、化合物2で処理されたMM患者の好中球減少の良好な管理が適切な投与スケジュールの使用で可能であり得ることを示す。
毎日長期間の化合物2への曝露。好中球前駆体成熟の停止及び後の回復に対して異なるスケジュールが影響する可能性を更に特徴付けるために、成人好中球への、前述の期の骨髄前駆体成熟の各々の相対的割合における変化を、各日6または24時間、1、10、または100nM化合物2に3日間または5日間連続して曝露した後、フローサイトメトリーにより評価した。健康なドナー由来のCD34+BM細胞を、10日目から開始して、各日6時間(ドナー番号1及び2)または24時間(ドナー番号3及び4)、3日間または5日間連続、化合物2に曝露した。最終曝露が完了した後、細胞を洗浄し、化合物2の不在下で、22日目まで再度インキュベートした。3日間または5日間連続した化合物2への6時間及び24時間両方の曝露は、III期好中球集団を増加させ、IV期集団の減少と対応し、III期からIVへの成熟の遮断と一致した。それぞれ、図9及び図10に示されるように、3日間及び5日間の6時間の曝露の例において、成熟停止からの回復速度は、濃度依存的であり、また毎日の曝露回数により影響を受け、高濃度の化合物2及び5日間対3日間の曝露後でより長引くが、毎日の曝露期間(6対24時間)の変化は見かけ回復速度にほとんど影響しなかった。
3日間連続して化合物2に曝露した後、50%以上の正常な成熟の回復が試験した全ての条件において8〜10日の休薬後に観察された(図10、右側のパネル)。対照的に、5日間連続して化合物2に曝露した後の50%以上の正常な成熟の回復は、8〜10日の休薬後、1−及び10−nM濃度に関してのみ観察された。最高濃度の化合物2(100nM)では、より長い無薬物期間が好中球前駆体の成熟の回復に必要であり得る。しかしながら、この不完全な成熟の回復にもかかわらず、最大5日間の連続(24時間)曝露を含む、試験した条件のいずれにおいても生存率の低下は観察されなかった。この知見は、6時間より長い化合物2への連続曝露により最適化された、骨髄腫細胞におけるアポトーシスの誘導と対照的である。
5日スケジュールでの最終曝露後の6〜8日の間、初期段階のIV期(成熟好中球)回復は10−nM濃度の化合物2への曝露においてのみ観察され、一方、5日間にわたって100nM化合物2に曝露された培養物において、この時間枠内で回復は観察されなかった。これらのデータは、連続日の日数増加にわたって高濃度の化合物2に曝露することが好中球前駆体の成熟停止(及び好中球減少)をより長引かせる前兆となり、回復速度が毎日の曝露期間(6対24時間)とは無関係であることを示唆する。
結論:まとめると、データは、患者の好中球減少の誘導及びそれからの回復が1日1回の投与と比較して化合物2のより集中的な投与(複数投与/日)により悪影響を受ける可能性がないことを示唆する。
実施例11:単剤として及び化合物2と組み合わせた好中球前駆体のインビトロ成熟に対するデキサメタゾンの作用
方法.好中球減少に対するデキサメタゾンの作用を理解するために、健康なドナー由来のBM CD34+細胞のインビトロ培養物を使用して、単剤として及び化合物2と組み合わせたデキサメタゾンにより媒介される好中球減少事象を評価した。このモデルにおけるデキサメタゾン単独療法の作用を定義するために、7つの異なる投与スケジュールを比較する1、10、または100nMのデキサメタゾンへの曝露は30時間維持された(図11)。組み合わせ研究に関して、単一曝露化合物2(1、10、または100nM)及びデキサメタゾンは、培養の13日目から開始して、それぞれ、6時間及び30時間維持された。
結果.結果は、好中球前駆体の成熟が試験した任意のスケジュール下で単剤デキサメタゾンへの曝露により影響は受けず、一方で、後期好中球前駆体の成熟が化合物2により遮断され(図12)、成熟細胞の数は、1回の曝露後、全ての試験した濃度において低減したことを示した。この成熟停止は、化合物2がデキサメタゾンと組み合わされたときにも観察された。成熟の遮断は、化合物2の濃度に依存するが、デキサメタゾンの濃度の変化によっては変わらなかった。未成熟及び成熟好中球の生存率は、単独または組み合わせで、デキサメタゾンまたは化合物2により影響を受けなかった。休薬後、正常な成熟の完全な回復は、1週間の休薬後、全ての試験した条件下で観察された。
結論.これらのデータは、化合物2により生じた好中球減少が投与スケジュールを修正することにより管理可能であるが、デキサメタゾンの同時治療によって緩和も悪化もしないことが予測されることを示す。
実施例12:レナリドミド耐性多発性骨髄腫に対する化合物2単独及びデキサメタゾンとの組み合わせでの作用。
方法:デキサメタゾンは、単剤として、または化合物2、ポマリドミド、またはレナリドミドと組み合わせてアポトーシスを誘導するその能力について評価された。アポトーシスの誘導は、レナリドミド耐性多発性骨髄腫細胞(H929−1051)において、カスパーゼ−Gloを使用して測定された。デキサメタゾンは、超音波分注器を使用して、20の濃度で分注された。試験品は、Hewlett−Packard D300 Digital Dispenserで、デキサメタゾンウェルに単一濃度として添加された。アッセイの化合物の最終濃度は、デキサメタゾン(0.8μM〜0.00002μM)、レナリドミド(1μM)、ポマリドミド(0.1μM)、及び化合物2(0.001、0.01、または0.1μM)であった。細胞はMultidrop分注器でアッセイプレートに分注され、2つ組のプレートがアッセイ用に作製された。アポトーシスの読み取りは、カスパーゼ−Glo 3/7及びCellTiter−Gloアッセイを使用して、化合物処理の72時間後に行った。カスパーゼ−Glo 3/7発光は、細胞数の違いを考慮するために、CellTiter−Glo発光に正規化された。処理した試料の倍率変化は、次のように計算された:処理した試料の正規化されたカスパーゼ/正規化されDMSO対照の平均。
結果:デキサメタゾン単独またはレナリドミド、ポマリドミド、もしくは化合物2と組み合わせたアポトーシスの活性は、カスパーゼ−3の誘導により測定された。化合物2は、デキサメタゾンと協同して、細胞生存率を低減し、濃度依存様式でデキサメタゾンのアポトーシスの能力を増強した。デキサメタゾン活性の開始は、化合物2の存在下で1対数シフトした。
結論:化合物2は、デキサメタゾンのアポトーシス活性を増強し、臨床において化合物2と組み合わせて使用される場合、デキサメタゾンの用量を低減する可能性を示す。
図13に示されるように、劇的な双方向的相乗作用が、デキサメタゾンと組み合わせて、化合物2で処理された後に観察された。わずか10nMのデキサメタゾンが化合物2の細胞死滅能を増強し、低〜ナノモル以下の濃度の化合物2がデキサメタゾンのアポトーシス作用を増強する。
実施例13:化合物2は健康なヒトドナー由来の免疫細胞の抗腫瘍活性を増強する
末梢血単核細胞及びK562細胞を用いた共培養実験。方法:ヒト末梢血単核細胞(PBMC)の調製:健康なドナーから単離されたPBMCを、1×106細胞/mLの密度で、10%FBSとともにRPMI 1640培地中で培養した。
細胞培養::K562細胞は対数期で維持され、細胞密度及び生存率は、Vi−CELL(登録商標)XR細胞生死アナライザー(Beckman Coulter,Brea,CA)を使用して、トリパンブルー排除により監視された。
アッセイ手順:新しく単離したヒトPBMCを、20単位/mLの濃度で、組換えIL−2とともに72時間培養した。次に、末梢血単核細胞を沈降させ、2×106 細胞/mLまで新しいRPMI完全培地に再懸濁した。次いで、細胞を、示される濃度のDMSOまたは化合物で処理し、更に72時間インキュベートした。次いで、PBMCを新しいRPMI完全培地で2回洗浄した後、共培養した。K562細胞を、1×106/mLの細胞密度に再懸濁し、製造業者の指示に従い、1μM CellTrace CFSEで染色した。次いで、標識したK562細胞を96ウェル丸底プレートに1×105細胞/ウェルで播種した。次いで、末梢血単核細胞を、3つ組で、1:15の比率で、同じ96ウェルプレートに移し、37℃で4時間インキュベートした。製造業者の指示に従い、アネキシンV−フルオレセインイソチオシアネート(FITC)及びヨウ化プロピジウム(PI)を使用して、PBMC細胞による具体的な標的細胞溶解を測定し、試料をFACS Arrayスキャンにかけた。非標識K562細胞、CellTrace CFSE標識K562細胞、ならびにアネキシンV−FITC−及びPI標識された未処理のK562細胞は、対照として各アッセイに含まれた。
化合物処理されたヒト末梢血単核細胞及び未処理の骨髄腫細胞株を用いた共培養アッセイ。方法:細胞培養。全ての骨髄腫細胞株は対数期で維持され、細胞密度及び生存率は、Vi−CELL XR細胞生死アナライザーを使用して、トリパンブルー排除により監視された。
PBMC処理アッセイ手順。96ウェル皿を抗CD3抗体(OKT3、3μg/mL)で予めコーティングし、4℃で一晩インキュベートした後、実験を開始した。凍結PBMCドナーを、37℃で2分間、10%FBSを含むRPMI培地中で解凍し、細胞数及び生存率をVi−CELL(登録商標)(Beckman Coulter)で測定した。末梢血単核細胞を洗浄し、1×106細胞/mLに希釈し、200μLの総容量の化合物処理したプレートに分注した。細胞を化合物とともに2時間インキュベートした後、抗CD3コーティングしたプレートに移し、37℃で更に72時間インキュベートした。72時間後、PBMCを遠心分離し、細胞をRPMI培地+10%FBSで2回洗浄した。未処理のMM細胞株(H929及びH929−1051)を、製造業者の指示に従い、CellTrace CFSEで標識し、0.1×106細胞/mLの総濃度で、100μLの総容量のU字底96ウェルプレートに再懸濁した。末梢血単核細胞を計数し、1:5の標的:エフェクター(T:E)比でMM細胞に添加した。24時間共培養した後、製造業者の指示に従い、アネキシンV−AF647及び7−AADを使用して、PBMCによる具体的な標的細胞溶解を測定し、試料をAttune NxT Cytometer(Thermo Fisher)にかけた。
PBMC及びMM細胞処理アッセイ手順。96ウェル皿を抗CD3抗体(OKT3、3μg/mL)で予めコーティングし、4℃で一晩インキュベートした後、実験を開始した。凍結PBMCドナー細胞を、37℃で2分間、10%FBSを含むRPMI培地中で解凍し、細胞数及び生存率をVi−CELLアナライザーで測定した。末梢血単核細胞を洗浄し、1×106細胞/mLに希釈し、200μLの総容量の化合物処理したプレートに分注した。細胞を化合物とともに2時間インキュベートした後、抗CD3コーティングしたプレートに移し、更に72時間インキュベートした。同時に、MM細胞株(NCI−H929、H929−1051、OPM2、OPM2−P10)を、0.1x106細胞/mLの最終濃度に希釈し、製造業者の指示に従い、CellTrace CFSEで標識した。次いで、多発性骨髄腫細胞株を、200μLの総容量の化合物処理したプレートに分注し、72時間インキュベートした。72時間後、PBMC及びMM細胞を計数し、1:5の最終T:E比で、U字底96ウェルプレートに移した。24時間共培養した後、製造業者の指示に従い、アネキシンV−AF647及び7−AADを使用して、PBMC細胞による具体的な標的細胞溶解を測定し、試料をAttune NxT Cytometerにかけた。
結果.共培養モデルを使用して、健康なドナーから得たPBMCの抗腫瘍活性に対する化合物2の直接作用を決定した。IL−2活性化PBMCの化合物2処理は、濃度依存様式で未処理K562細胞の死滅を誘導した(図14、右側のパネル)。化合物2処理されたPBMC(IC50=5.9pM)は、50%の直接K562細胞死滅を達成する際に、ポマリドミド処理(POM;IC50=0.004μM)PBMCよりも約600倍強力であり、レナリドミド処理(LEN;IC50=0.02μM)PBMCよりも約2600倍強力であった。化合物2はレナリドミド及びポマリドミドよりも強力であるが、奏功規模は化合物の間で類似した(図14、右側のパネル)。
化合物2とともにインキュベートされたPBMCの抗MM細胞活性に対する化合物2の作用は、感受性細胞における奏功と比較するために、耐性表現型を呈する細胞株において更に検査された。異なる共培養モデルにおいて、PBMCドナー細胞を、化合物2、レナリドミド、またはポマリドミドで2時間前処理した後、抗CD3抗体コーティングされたプレート上で72時間培養した。化合物2で処理した抗CD3抗体活性化PBMCは、未処理レナリドミド感受性(NCI−H929;IC50=0.005μM)及びレナリドミド耐性(H929−1051;IC50=0.0002μM)MM細胞株の腫瘍細胞溶解において、同程度に濃度依存的増加を示す(図15)。化合物2は、生存可能なMM細胞のパーセンテージの低減に関して、レナリドミド及びポマリドミドよりも強力であった。PBMCにより細胞死滅の同様のレベルは、レナリドミド感受性及びレナリドミド耐性共培養腫瘍細胞に対しても見られ、PBMCがそれらの耐性表現型と無関係な腫瘍細胞を死滅させるために刺激されたことを示す。
化合物2とともに免疫細胞をプレインキュベートすることによりMM細胞の標的化及び溶解が増強されたため、免疫媒介死滅へのそれらの感受性に対する化合物2とともにMM細胞をプレインキュベートする作用も調査された(図16、表12)。4つのMM細胞株及び抗CD3抗体活性化PBMCを、化合物2、レナリドミド、またはポマリドミドとともに72時間別個にプレインキュベートした。抗CD3抗体活性化PBMC及びMM株を両方とも、化合物2、レナリドミド、またはポマリドミドで前処理し、続いて共培養した場合、PBMC誘導MM細胞溶解に対する作用は、死滅応答の効力及び規模の両方において増強された。単一MM細胞培養対腫瘍細胞共培養からのIC
50値を比較すると、化合物2は、NCI−H929細胞の死滅を約7000倍増強し、H929−1051細胞の死滅を約6000倍増強した。ポマリドミド耐性OPM2−P10細胞株に関して、MM細胞の化合物2処理は、免疫媒介死滅を約3000倍増強した(表12)。
表12:単一培養対共培養における多発性骨髄腫細胞株の免疫媒介細胞死滅
IC
50=50%細胞死滅をもたらす濃度。
結論:化合物2処理されたPBMCは、レナリドミド及びポマリドミドで見られるのと同程度だが、非常に大きな効力で未処理のK562及びMM細胞株の腫瘍溶解を誘導した。更に、腫瘍細胞死滅は、PBMC及びMM細胞株の両方が化合物2で前処理された場合に非常に増強され、その強力な細胞自律作用に加えて、化合物2がMM細胞株の免疫原性も増強し得ることを示す。MM細胞に対する強力な細胞自律及び免疫原性作用の組み合わせは、その免疫調節特性に加えて、化合物2を臨床の有望な候補にする。
実施例14:多発性骨髄腫に対するダラツムマブと組み合わせた化合物2の作用
多発性骨髄腫の治療に承認された抗CD38抗体であるダラツムマブは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、及び補体依存性細胞傷害(CDC)を通してその抗骨髄腫活性を発揮する。ダラツムマブと組み合わせた化合物2またはポマリドミドの作用は、MM細胞株において評価された。
ADCCアッセイ:ダラツムマブ媒介ADCCに対する化合物2またはポマリドミドの作用は、MM細胞株のパネルにおいて、フローサイトメトリーによりインビトロで評価された。NK細胞を、10U/mLの組換えヒトIL−2を含有するNK培養培地中で一晩培養した後、アッセイを開始した。NK細胞を洗浄し、3.75×106細胞/mLでNK細胞培養培地に再懸濁し戻した。MM細胞を、致死量以下の濃度の化合物2またはポマリドミドで72時間前処理した後、ADCCアッセイに使用した。MM細胞を洗浄し、製造業者の指示に従い、Tag−it Violet(商標)Proliferation and Cell Tracking Dyeで標識し、続いて、0.75×106細胞/mLの濃度でNK培養培地に再懸濁した。96ウェルプレートにおいて、10:1のエフェクター対腫瘍比で、ADCCアッセイを3つ組で行った。MM細胞(10μL)を、ウェル中で10μLの2×濃度のダラツムマブと混合した後、20μLのNK細胞を添加した。共培養物を37℃で3時間インキュベートし、続いて50μLの7−AAD溶液を室温で15分にわたって添加した。BD Celestaフローサイトメトリーで分析を行った。
ADCPアッセイ:ダラツムマブ媒介ADCPに対する化合物2またはポマリドミドの作用は、MM細胞株のパネルにおいて決定された。単球を、50ng/mLのM−CSFを含有する100μL容積の完全AIM−V培地において、40,000細胞/ウェルで96ウェルプレートに蒔いた。細胞をプレート上に室温で15分間定着させた後、9日間、37℃、5%CO2インキュベータに入れてマクロファージに分化させる。培養培地を、3〜4日ごとに新しい完全培地で補充した。ADCPアッセイの朝に、マクロファージを、37℃、5%CO2で、2〜4時間血清欠乏させた後、MM細胞と共培養した。MM細胞を致死量以下の濃度の化合物2またはポマリドミドで72時間前処理した。アッセイの日に、MM細胞をPBSで洗浄し、CSFEで15分間標識した。等容量の20%FBSで反応を停止させた。細胞をPBSで2回洗浄し、1.6×106細胞/mLで、AIM−V培地に再懸濁した。次いで、50μLのMM細胞を50μLの2μg/mLダラツムマブと、室温で10分間混合した後、血清欠乏させたマクロファージに添加した。各条件を3つ組でアッセイした。アッセイの最終容量は、エフェクターと標的との比率が2:1の10%ヒト血清を含有する200μLであった。プレートを1分間500rpmで回転させ、続いて、37℃、5%CO2で3時間インキュベートした。インキュベーションの終わりに、プレートを100μLのPBSで洗浄し、残りの細胞を抗CD14及び抗CD138で染色して、それぞれ、マクロファージ及びMM細胞を同定した。プレートを洗浄し、ウェルを100μLのPBSで充填した。50μLの0.25%トリプシンを添加して、マクロファージをウェルの底から剥離した。50μLの完全AIM−V培地を添加して、試料を中和した。試料をフローサイトメトリーで分析した。食作用パーセントを、CSFE/CD14二重陽性細胞をCD14+細胞の総数で除し、100を乗ずることによって決定した。
結果:化合物2及びポマリドミドでMM細胞を処理することによって、CD38発現が用量依存的に増加した(図17)。CD38発現の程度は、ポマリドミドと比較して、化合物2でより大きく、低濃度で生じた。MM細胞+/−化合物2またはポマリドミド前処理は、ダラツムマブを用いてADCCアッセイにおいて評価された。化合物2で処理されたMM細胞は、未処理細胞と比較して、ラツムマブで高い腫瘍溶解度を示した(図18)。化合物2で処理された細胞も、ポマリドミド処理された細胞と比較して、ダラツムマブ媒介ADCCにより感受性であった。化合物2及びポマリドミドの、ダラツムマブ媒介ADCPを調節する能力も試験した。化合物2で処理されたMM細胞は、未処理及びポマリドミド処理された細胞と比較して、ダラツムマブ媒介ADCPにより感受性であった(図19)。試験した1つの細胞株ARH−77のみが、化合物2またはポマリドミドのいずれかでは増強されたADCPを示さなかったが、化合物2では増強されたADCCを示した。
結論:化合物2は、MM細胞においてCD38発現を上方調節し、ポマリドミドまたは未処理細胞と比較して、ダラツムマブ媒介ADCC及びADCPを増加させた。このデータは、ダラツムマブと化合物2とを組み合わせることにより、ポマリドミドまたはダラツムマブ単独での組み合わせと比較して、MMの治療により有効であり得ることを示唆する。
実施例15:多発性骨髄腫に対するプロテアソーム阻害剤と組み合わせた化合物2の作用
プロテアソーム阻害剤及び試験化合物で処理する24時間前に、適切な数の細胞を、新しい培地中に0.2x106/mLの濃度に分けて、指数関数的に成長させた。処理の日に、化合物を新しくDMSOに溶媒和した。プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ、またはカルフィルゾミブを希釈し、ボルテゾミブについては150nMまたは300nM、そしてカルフィルゾミブについては300nMまたは550nMの最終作業濃度で、予め温めた培養培地に添加した。プロテアソーム阻害剤の濃度は、臨床Cmax濃度、ならびに具体的な量のβ5プロテアソーム活性を阻害するために必要な期間及びPIの濃度を決定した各細胞株における以前の研究に基づいて決定された。細胞を計数し、適切な数を、プロテアソーム阻害剤を含有する培地中に入れ、十分に混合した。37℃、5%CO2で1時間インキュベートした後、細胞を40mLの完全培地で2回洗浄して、プロテアソーム阻害剤を除去した。各プロテアソーム処理のアリコートをアッセイして、β5、β2、及びβ1サブユニット阻害の程度を確認した。細胞を0.1x106/mLに再懸濁し、100μL/ウェルで、化合物2またはポマリドミドのいずれかの3倍滴定を含有する新しい培養品(culture−ware)に入れた。残りの実験の間、蒔いた細胞を、37℃、5%CO2で最大72時間培養した。24時間ごとに、プロテアソーム阻害を、Cell−Based Proteasome−Glo Assayにより監視した。増殖及びアポトーシスはフローサイトメトリーにより72時間で測定された。APCアネキシン−V及び7−AADで細胞を染色して、培養物中の残った生存可能な細胞の数を数えた。
結果.プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ、及びカルフィルゾミブへの曝露の臨床薬物動態(PK)及び薬力学(PD)を模倣するために、インビトロ細胞アッセイを確立した。モデルは、インビボで観察される迅速なクリアランスを達成する一方で、プロテアソーム阻害剤に短期間曝露し、続いて、臨床的に関連のあるプロテアソーム阻害剤の濃度で細胞に投与するために化合物を十分に洗浄することを用いる。更に、比較可能なレベルのβ5プロテアソーム阻害が全細胞株にわたって達成され得る。このモデルは、多発性骨髄腫及び形質細胞白血病細胞株(ポマリドミド耐性OPM2.P10、RPMI.8226、ならびに形質細胞白血病株L363及びJJN−3)のパネルにおいて、ボルテゾミブまたはカルフィルゾミブのいずれかと組み合わせて、化合物2の組み合わせ作用を評価するために使用された。
ボルテゾミブ及び化合物2は、試験された両方のMM株OPM2.P10及びRPMI.8226、ならびに形質細胞白血病細胞株JJN−3のうちの1つにおいて、組み合わせ作用を示した。L363細胞株における組み合わせ作用は、ボルテゾミブがこのインビトロアッセイの条件下で細胞生存率において単剤活性を有さなかったため、評価することができなかった(図20及び図21A)。
実験間のカルフィルゾミブ処理は、1時間の処理にわたって達成した細胞死滅パーセントにおいて変動したが、化合物2との組み合わせ作用は4つ全ての細胞株において示された(図21B)。
結論:驚くべきことに、化合物2は、臨床的に関連するプロテアソーム阻害レベルで、細胞死滅に関してその能力を維持する。ボルテゾミブまたはカルフィルゾミブのいずれかとの化合物2の組み合わせは、MM細胞に対するアポトーシス及び抗増殖活性の増加を示した。
実施例16:ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、化学療法剤、Bcl−2阻害剤、Mcl−1阻害剤、BET阻害剤、またはLSD−1阻害剤と組み合わせた化合物2の作用。
化合物2及び様々な機構を有する小分子阻害剤を用いた併用治療の作用が、MM細胞株のパネルにおいて評価された。13の小分子阻害剤が、それらの前臨床及び/またはMMに対する活性に基づいて、化合物2との併用研究に選択された。細胞株H929−1051、KMS11、KMS−12PE、L363、OPM−P10、及びRPMI8226が、MM細胞株にわたって異なる遺伝的クラスター形成群を表すためにこの研究に選択された。併用治療のための化合物濃度は、単剤のIC50の1対数より上かつ2対数より下の範囲で選択された。併用薬剤は1:3希釈で6点用量応答曲線(DRC)で投与され、化合物2は同様に1:3希釈で10点DRCで投与された。併用実験は2回実行され、各時、別のプレートにデータを複製した。化合物を、超音波分注器を使用して、384ウェルプレートの適切なウェルに予め配置した。全てのMM細胞株は、1xペニシリン−ストレプトマイシンを含有する示される細胞培養培地を使用して、37℃、5%CO2で、インキュベータ内で培養された。Multidrop Combi Reagent Dispenserを使用して、化合物含有384ウェルプレートに細胞を添加し、37℃、5%CO2で3日間インキュベートした。3日後、細胞を、発光検出器(PerkinElmer Envision)で測定されたCell Titer−Gloを介してATP含有量のそれらのレベルについて評価した。
最高単剤(HAS)方法を使用して、用量応答曲線データにおける相乗作用を検出した。組み合わせは、応答曲面見込みから分析された。統計的枠組み(Van Der Borght,K.,et al.,BIGL:Biochemically Intuitive Generalized Loewe null model for prediction of the expected combined effect compatible with partial agonism and antagonism;Scientific Reports,7(1),17935−1−17935−9(2017))を、2つの統計試験:1)完全応答曲面がヌルモデルとは異なる、2)単一のウェルはヌルモデルとは異なる、を用いたHASヌルモデルに加えて、分析に組み込んだ。
結果:小分子阻害剤と組み合わせた化合物2による治療の作用が、多発性骨髄腫細胞株のパネルにおいて評価された。化合物2は14の化合物と組み合わせてスクリーニングされ、相乗作用は6つの細胞株の全てのウェルにわたって計算された。デキサメタゾン及びエトポシドは、試験した6つの細胞株のうちの5つで、化合物2と組み合わせて有意な相乗作用を示した(図22)。化合物2とBET阻害剤(4−[2−(シクロプロピルメトキシ)−5−(メタンスルホニル)フェニル]−2−メチルイソキノリン−1(2H)−オン(化合物D)、ビラブレシブ、及びGSK525762A)との組み合わせも、MM細胞において相乗的な活性を示し、3つの阻害剤の間で相乗作用の程度は異なった。化合物2とAMG176(MCL−1阻害剤)との組み合わせは、3つの細胞株(KMS11、KMS12−PE、L363)において相乗的な活性を示し、一方、化合物2とACY241及びパノビノスタット(ヒストンデアセチラーゼ阻害剤)との組み合わせは、それぞれ、L363/OPM2−P10及びL363/H929−1051において相乗的であった。4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−yl)−5−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−イル]−2−フルオロ−ベンゾニトリル(化合物E)と組み合わせた化合物2は、L363及びKMS12−PE細胞において相乗的であった。MCL−1阻害剤MIK665は、試験した6つのMM細胞株において有意な相乗作用を示さなかった唯一の化合物であった。
結論:14の小分子のうちの12と組み合わせた化合物2での治療は、試験したMM細胞株のうちの少なくとも1つ以上において相乗的な活性を示した。化合物のうちの6つとの併用は、試験した少なくとも3つのMM細胞株において相乗作用を示した(図22)。このデータは、化合物2と試験した小分子阻害剤との併用治療が、相乗的な活性を有するいくつかを含む、MMの潜在的な治療パラダイムを表すことを示唆する。
実施例17:化合物2単独及びデキサメタゾンとの組み合わせでのインビボ抗腫瘍活性
方法:レナリドミド耐性NCI−H929(H929−1051)多発性骨髄腫/形質細胞腫の腫瘍を有する雌のSCIDマウスで、異種移植研究を行った。雌のSCIDマウスの右後肢上の腹側領域に、H929−1051細胞を皮下接種した。動物の接種後、腫瘍をおよそ100mm3に成長させた後、無作為化した。腫瘍細胞接種後の13日目に、79〜157mm3の範囲のH929−1051腫瘍を有するマウスを一緒にプールし、様々な治療群に無作為化した。化合物2を、水中2%HPMCに製剤化(懸濁液として)した。デキサメタゾンを、脱イオン水中0.5%CMC/0.25% Tween 80に製剤化した。化合物2(0.1mg/kg)及びデキサメタゾン(0.5mg/kg)を、腫瘍細胞接種後の13日目から開始して、研究期間の間、1日1回経口投与した。併用群において、動物は、腫瘍細胞接種後の13日目から開始して、研究期間の間、化合物2(0.1mg/kg/日)及びデキサメタゾン(0.5mg/kg/日)を同時に受けた。カリパスを使用して腫瘍を週に2回測定し、式W2×L/2を使用して腫瘍体積を計算した。1元配置または2元配置分散分析(ANOVA)を使用して、統計分析を行った。部分積方法を使用して、相乗作用計算を行った。
結果:単剤化合物2での処置は、有意に(p<0.01)H929−1051多発性骨髄腫の腫瘍成長を阻害した(−34%)。単剤としてのデキサメタゾンでの処置は、H929−1051異種移植腫瘍成長をわずかに阻害した(−20%)。0.5mg/kgのデキサメタゾンと組み合わせて投与された0.1mg/kgの化合物2での処置は、ビヒクル対照と比較した場合、腫瘍体積において、84%の腫瘍体積の低減を示す有意な(p<0.0001)減少をもたらした。ボンフェローニの事後検定を用いた2元配置ANOVAにおいて、この組み合わせ抗腫瘍活性は、化合物2単独(84%対34% TVR;p<0.0001)またはデキサメタゾン単独(84%対20% TVR;p<0.0001)よりも非常に良好である。部分積方法を使用して、0.1mg/kgの化合物2と0.5mg/kgのデキサメタゾンとの組み合わせ抗腫瘍活性は、腫瘍体積の減少に相乗的であると決定された。(図23)
結論:デキサメタゾンと組み合わせた化合物2は、NCI−H929多発性骨髄腫/形質細胞腫の腫瘍モデルにおいて腫瘍体積の低減に相乗作用を呈し、化合物2とデキサメタゾンとの併用処置がレナリドミド耐性MMモデルにおいて相乗的な抗腫瘍活性を示したことを示す。化合物2は、デキサメタゾンのアポトーシス活性を増強し、臨床において化合物2と組み合わせて使用される場合、デキサメタゾンの用量を低減する可能性を示す。
実施例18:化合物2単独及びボルテゾミブとの組み合わせでのインビボ抗腫瘍活性。
方法:レナリドミド耐性NCI−H929(H929−1051)多発性骨髄腫/形質細胞腫の腫瘍を有する雌のSCIDマウスで、異種移植研究を行った。雌のSCIDマウスの右後肢上の腹側領域に、H929−1051細胞を皮下接種した。動物の接種後、腫瘍をおよそ500mm3に成長させた後、無作為化した。腫瘍細胞接種後の31日目に、366〜535mm3の範囲のH929−1051腫瘍を有するマウスを一緒にプールし、様々な治療群に無作為化した。化合物2を、水中2%HPMCに製剤化(懸濁液として)した。ボルテゾミブを、生理食塩水中1%DMSOに製剤化(溶液として)した。化合物2(1mg/kg)を、腫瘍細胞接種後の31日目から開始して、3日間連続して、1日1回経口投与した。ボルテゾミブ(1mg/kg)を、腫瘍細胞接種後の31日目に、単一用量として、静脈内投与した。併用群において、動物は、31〜33日目に、経口により化合物2(1mg/kg/日)を受け、ボルテゾミブは、31日目に単一用量として静脈内投与された。31日目に、ボルテゾミブは、化合物2の最初の投与1時間前に投与された。カリパスを使用して腫瘍を週に2回測定し、式W2×L/2を使用して腫瘍体積を計算した。腫瘍体積がおよそ2000mm3の所定のエンドポイントに達した場合、動物を安楽死させた。1元配置または2元配置分散分析(ANOVA)を使用して、最大50日目まで統計分析を行った。部分積方法を使用して、相乗作用計算を行った。
結果:腫瘍細胞接種後の31〜33日目に3日間連続して1日1回投与した場合(qdx3)の、単剤化合物2での処置は、50日目に、有意に(p<0.0001)H929−1051多発性骨髄腫の腫瘍成長を阻害した(−44%)。経時的に、化合物2(1mg/kg)で処置された動物の腫瘍は成長し、58日目までにおよそ2000mm3に達した。31日目に単一用量で投与された場合、単剤としてのボルテゾミブでの処置は、50日目に、H929−1051異種移植腫瘍成長を有意に(p<0.0001)阻害した(−60%)。経時的に、ボルテゾミブ(1mg/kg)で処置された動物の腫瘍は成長し、66日目までにおよそ2000mm3に達した。1mg/kg(単一用量)のボルテゾミブと組み合わせて投与された場合、1mg/kgの化合物2での処置(qdx3)は、ビヒクル対照と比較した場合、腫瘍体積において、50日目までに98%の腫瘍体積の低減を示す有意な(p<0.0001)減少をもたらした。ボンフェローニの事後検定を用いた2元配置ANOVAにおいて、この組み合わせ抗腫瘍活性は、化合物2単独(98%対44% TVR;p<0.0001)またはボルテゾミブ単独(98%対60% TVR;p<0.0001)よりも非常に良好である。部分積方法を使用して、1mg/kgの化合物2と1mg/kgのデキサメタゾンとの組み合わせ抗腫瘍活性は、腫瘍体積の減少に相乗的であると決定された。驚くべきことに、腫瘍細胞接種の53日目までに、化合物2とボルテゾミブとの組み合わせで処置された9匹の動物のうちの7匹は、腫瘍がなくなり、腫瘍がないままであった。(図24)
結論:ボルテゾミブと組み合わせた化合物2は、レナリドミド耐性NCI−H929形質細胞腫の腫瘍モデルにおいて腫瘍体積の低減に相乗作用を呈し、驚くべきことに、動物の腫瘍がなくなった。
実施例19:第1相臨床試験−再発性及び不応性多発性骨髄腫
再発性及び不応性多発性骨髄腫(RRMM)の対象において、デキサメタゾンと組み合わせた化合物2の安全性、薬物動態、及び予備的な有効性を評価するために、第1相多施設、非盲検試験が行われた。
目的:本試験の主な目的は、最低2つの化合物2投与スケジュールとともに、デキサメタゾンと組み合わせた化合物2の薬物動態(PK)、安全性/忍容性を評価し、最大投与可能量(MTD)/推奨される第2部用量(RP2D)を定義することである。第2の目的は、デキサメタゾンと組み合わせた化合物2の予備的な有効性を評価することである。
試験設計:これは、RRMMの対象において、デキサメタゾンと組み合わせた化合物2の安全性、PK/PD、及び予備的な有効性を評価するための、非盲検、多施設、共同第1相試験である。全ての適格対象は、RRMMにおいて臨床利益を付与することが知られている利用可能な療法に失敗するか、それに不耐性であるか、またはさもなければその候補者であってはならない。
この試験は、以下の2部で実施した:パート1では、標準的な用量のデキサメタゾンを同時に用いた漸増用量の化合物2のPK/PD及び安全性を評価し、最低2つの異なる投与スケジュールに従い投与された場合の組み合わせに対するMTD/RP2Dを決定する。パート2では、両投与スケジュールのRP2Dの化合物2+デキサメタゾンの単群拡大コホート(複数可)からなる。安全性、PK、及びPD評価に加えて、対象は全員、International Myeloma Working Group(IMWG)治療効果判定統一基準(Rajkumar et al.,Consensus recommendations for the uniform reporting of clinical trials: report of the International Myeloma Workshop Consensus Panel 1.Blood,2011,117(18):4691−5、Kumar et al.,International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal residual disease assessment in multiple myeloma,Lancet Oncology,2016,17:e328−46)による毎月の奏功評価を受け、疾患が進行する、毒性に耐えられなくなる、または試験治療の中止を医師もしくは対象が判断するまで、試験治療を継続することができる。
本試験は、医薬品規制調和国際会議(ICH)/医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)及び適用される規制要件に準拠して行われる。
パート1(用量漸増):RRMMの対象コホートは、その安全性、MTD/RP2D、及びPK/PDプロファイルを評価するために、漸増用量の化合物2+固定用量のデキサメタゾン(≧75歳の対象においては40mg/用量;20mg/用量)を受ける。最低2つの異なる投与スケジュールがパート1で評価され、1つ目は、10日間連続した1日1回(QD)の投与、続いて4日間の治療なし、の2回からなり、各々28日サイクルである(20/28スケジュールと称される)。2つ目のスケジュールは、各サイクル、3日間連続で1日2回(BID)の投与、続いて11日間の試験治療なし、の2回からなる(6/28スケジュールと称される)。初期用量コホートは、20/28スケジュールで0.1mg/日の化合物2 QD、そして6/28スケジュールで0.2mg BIDを受ける。対象の割り付けは、一方または両方のスケジュールの対象スロットの利用可能性に付随してスポンサーにより割り当てられる。投与スケジュール間の切り替えは認められない。追加の投与スケジュール(例えば、28日サイクルで、5日間の化合物2投与、続いて9日間の治療なし×2、または7日間の投与、続いて7日間の治療なし×2)は、20/28及び6/28スケジュールに関連して、初期の安全性及びPK/PD結果の成果を待つ間、プロトコルの改訂の条件に基づいて調査され得る。
全ての投与スケジュールに関して、サイクル1、1〜28日目は、MTD決定の目的のための用量制限毒性(DLT)評価期間を構成する。対象は、サイクル1において、20/28スケジュールの20投与日のうちの少なくとも16日、及び6/28スケジュールの6投与日のうちの少なくとも5日(10投与)規定用量の化合物2を受ける場合、またはDLTを経験する場合、DLTについて評価される。DLT評価不能対象は代替えされる。
各スケジュールにおいて、対象が3人以上のコホートは、明瞭かつ議論する余地がなく外部原因に起因しない、2つのグレード2の治療下で発生した有害事象が生じるまで、逐次コホートにおいて100%の増加量で増加させた用量の化合物2を受ける。以後、50%を超えない用量増加が、最初のDLTが生じるまで続く。共変数として、割り当てられた化合物2の用量、投与数/日(QD対BID)、及び各スケジュールの連続投与日の日数(3対10)を用いて、いずれかの投与スケジュールで最初のDLTが生じた後、ロジスティクス回帰を使用するベイズ用量漸増方法論を利用した。化合物2+デキサメタゾンの組み合わせの毒性率は、全てのスケジュールに関して20%である。
対象内用量漸増は、DLT評価期間中は、認められない;しかしながら、サイクル2以降、疾患進行のエビデンスのない対象で割り当てられた化合物2の用量に忍容である者は、割り当てられた投与スケジュール内の対象の少なくとも1つのコホートで適切に忍容されることが示された最高用量に(治験責任医師の裁量で、及び試験の医療監視員と相談して)漸増させることができる。
パート2(コホート拡大):パート1の完了時に、化合物2+デキサメタゾンの単群拡大試験を20人/投与スケジュールの対象において実施し、RP2D及びスケジュールでのその安全性、PD、及び有効性を更に評価した。
化合物2+デキサメタゾンについてのRP2Dの決定時に、異なる以前の治療歴及び/または予後特徴を有する1つ以上の対象コホートにおいて、関心の他の抗骨髄腫剤、例えば抗CD38と組み合わせた化合物2/デキサメタゾンの安全性/忍容性、PK、及び予備的な有効性の評価を、本プロトコルの一部として並行して開始することもできる。
試験集団:最後の選択治療に不応性であり、再発性及び不応性疾患を有する対象に臨床利益を付与することが知られている利用可能な療法に失敗するか、それに不耐性であるか、またはさもなければその候補ではなく、0〜2の米国東海岸がん臨床試験グループパフォーマンスステータス(ECOG PS)、測定可能な疾患、ならびに適切な骨髄、腎及び心機能を有するの≧18歳のMM対象が登録することができる。同種移植、非分泌型もしくは小分泌型MM、形質細胞白血病、または原発性不応性MM(すなわち、以前の治療レジメンに少なくともわずかな奏功歴がない)は除外される。
選択基準:対象は、試験に登録するためには以下の基準を満たさなければならない:
1.同意説明文書(ICF)に署名した時点で≧18歳の対象。
2.対象は、任意の試験関連評価/手順が行われる前に、ICFを理解して自主的に署名しなければならない。
3.試験の来訪スケジュール及び他のプロトコル要件を遵守する意思があり、遵守することが可能である対象。
4.米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスのスコアが、0、1、または2である。
5.対象は、文書によるMMの診断を有し、登録時に測定可能な疾患を有していなければならない。測定可能な疾患は、以下のように定義される:
a.sPEPによるMタンパク質量≧0.5g/dL、または
b.uPEPによる≧200mg/24時間尿収集、または
c.検出可能な血清もしくはMタンパク質がない対象において、血清FLCレベル>100mg/L(ミリグラム/リットル)関与軽鎖、及び異常なカッパ/ラムダ(κ/λ)比、または
d.免疫グロブリンクラスA(IgA)を有する対象に関して、疾患が定量的免疫グロブリン測定によってしか確実に測定することができない骨髄腫の場合、血清IgAレベル≧0.50g/dL。
6.全ての対象は、
a.最後の骨髄腫療法の最終投与から60日、または60日以内の文書による疾患進行を有し、かつ
b.RRMMの対象に臨床利益を付与することが知られている利用可能な療法に失敗するか、それに不耐性であるか、またはさもなければその候補であってはならない。
注:前の選択療法には、個々に(任意の順序で)、または一緒に投与された、(最低でも)プロテアソーム阻害剤及びセレブロン調節剤が含まれなければならない。
7.対象は、以下の検査値を有していなければならない:
●≧7日間(ペグフィルグラスチムに関しては≧14日間)成長因子支持なしでの絶対好中球数(ANC)≧1.25×109/L。
●ヘモグロビン(Hgb)≧8g/dL。
●≧7日間(骨髄において>50%形質細胞の対象に関しては≧50×109/L)輸血せずに血小板(plt)≧75×109/L。
●補正血清カルシウム≦13.5mg/dL(≦3.4mmol/L)。
●24時間クレアチニンクリアランス(CrCl)≧45mL/分。
●AST/SGOT及びALT/SGPT≦3.0×正常上限(ULN)。
●血清ビリルビン≦1.5×ULN。
●尿酸≦7.5mg/dL(446μmol/L)。
●PT/INR<1.5×ULN及び部分トロンボプラスチン時間(PTT)<1.5×ULN(抗凝固療法を受けていない対象に関して)。
注:登録の>3か月前に生じた血栓塞栓症に対して療法を受けた対象は、ワルファリン、低分子量ヘパリン、または他の承認された抗凝固療法レジメンによる抗凝固の安定したレジメンを受けている限り、適格者である。
8.妊娠する可能性のある女性(FCBP)は、
a.試験療法開始前に治験責任医師により検証される、2つの妊娠試験に陰性でなければならない。試験の間中及び化合物2の中止後の妊娠試験継続に同意しなければならない。これは、対象が異性との接触を真に禁欲*していても適用される。
b.中断せずに、化合物2の開始28日前、試験療法中(投与中断中を含む)、及び試験療法の中止後28日間、異性との接触を真に禁欲*する(毎月見直され、源が確認されなければならない)ことを約束するか、または信頼できる避妊形態を2つ使用することに同意し、それに従うことができるかのいずれかでなければならない。
注:妊娠する可能性のある女性(FCBP)は、1)ある時点で初潮が始まっており、かつ2)子宮摘出もしくは両側卵巣摘出を受けていないか、または3)少なくとも24か月連続して(すなわち、前24か月連続していずれかの時点で月経があった)、自然閉経後ではない(がん療法後の無月経は妊娠する可能性から除外されない)女性である。
9.男性の対象は、
a.本試験に参加している間(投与中断中でも)及び化合物2の中止後少なくとも3か月の間(成功した精管切除を受けていても)、真に禁欲*する(毎月見直されなければならない)ことを約束するか、または妊娠中の女性もしくは妊娠する可能性のある女性との性的接触中コンドームを使用することに同意しなければならない。
*真の禁欲は、対象の好ましくかつ通常の生活様式と一致する場合に受け入れられる。周期的禁欲(例えば、カレンダー、排卵法、徴候体温法(symptothermal)、排卵後法)及び膣外射精法(膣外射精)は、避妊の方法として受け入れられない。
10.男性は、化合物2を受けている間、及びその中止後90日間、精液を提供することを控えることに同意しなければならない。
11.全ての対象は、化合物2を受けている間、及びその中止後28日間、血液を提供することを控えることに同意しなければならない。
除外基準:以下のうちいずれかが存在する者は、対象としての登録から除外される:
1.対象が本試験に参加することを阻止すると思われる、顕著な病状、検査値異常、または精神病を有する対象。
2.対象がもし本試験に参加しようとした場合、その対象に許容不能なリスクを課す検査値異常の存在を含む任意の症状を有する対象。
3.本試験からのデータを解釈する能力を混乱させる任意の症状を有する対象。
4.非分泌型もしくは小分泌型多発性骨髄腫を有する対象。
5.形質細胞白血病または活動性軟骨膜骨髄腫症を有する対象。
6.文書による全身性軽鎖アミロイド症または多発ニューロパチー、臓器肥大、内分泌傷害、単クローン性ガンマグロブリン血症、及び皮膚病変(POEMS)症候群を有する対象。
7.免疫グロブリンクラスM(IgM)骨髄腫を有する対象。
8.同種骨髄移植の病歴がない対象。
9.透析を受けている対象。
10.≧グレード2の抹消性ニューロパチーを有する対象。
11.化合物2の吸収を大幅に変更する可能性がある胃腸疾患を有する対象。
12.以下のいずれかを含む、心機能障害または臨床上顕著な心疾患を有する対象:
●スクリーニング時にECHOまたはMUGAスキャンにより測定したとき、LVEF<45%。
●スクリーニング時に、完全左脚ブロック、二束ブロック、または他の臨床上顕著な異常心電図(ECG)所見。
●フレデリシアのQT補正式を使用して>480ミリ秒(ms)のQTc間隔が繰り返し認められることにより定義されるスクリーニングECGでのQT間隔の延長、多形性心室頻拍の病歴または現在のリスク因子(例えば、心不全もしくは低カリウム血症、またはQT延長症候群の家族歴)、及びQT/QTc間隔を延長させる薬物の同時投与。
●鬱血性心不全(ニューヨーク心臓協会クラスIIIまたはIV)。
●化合物2を開始する≦6か月前の不安定狭心症。
●異型狭心症を含む不安定または十分に制御されていない狭心症。
13.強いCYP3A調節薬の同時投与。
14.半減期の≦5または化合物2の開始≦4週間前、どちらか短い方で前に全身性骨髄腫治療(承認または治験)を受けた対象。
15.化合物2を開始する≦2週間前に大きな手術を受けた対象。注:対象は、最近受けた手術の任意の臨床上顕著な作用からも回復していなければならない。
16.妊娠もしくは授乳している女性、または本試験参加中に妊娠する意図がある対象。
17.既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している対象。
18.既知の活動性慢性肝炎BまたはCウイルス(HBV/HCV)に感染している対象。
19.継続的な全身性治療を必要とする同時発生二次がんの病歴を有する対象。
20.治癒目的で治療された以下の非侵襲性悪性腫瘍を除き、≧3年間疾患がなかった対象でない限り、MM以外に以前に悪性腫瘍の病歴がある対象:
●皮膚の基底または扁平上皮癌。
●頸部または乳房の上皮内癌。
●ステージ1の膀胱癌。
●悪性腫瘍の腫瘍/結節/転移(TNM)分類法を使用する、腫瘍の病期1aもしくは1b(T1aもしくはT1b)などの限局性前立腺癌の偶発的な組織学的所見または治癒目的で治療された前立腺癌。
21.サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、またはデキサメタゾンに対してアナフィラキシーの病歴がある対象。
22.化合物2またはデキサメタゾンの製剤に含まれる賦形剤に対して既知のまたは疑われる過敏性がある対象。
23.化合物2の開始14日以内に以下のいずれかを受けた対象:
●血漿交換。
●MM関連骨病変の症候緩和のための局所療法以外の放射線療法。
24.化合物2の最初の投与前14日間以内に免疫抑制薬を受けた対象。以下はこの基準の例外である:
●鼻腔内、吸入、局部、または局所コルチコステロイド注射(例えば、関節内注射)。
●10mg/日のプレドニゾンまたは等価物を超えない用量の全身性コルチコステロイド。
●過敏性反応に対する前薬物としてのステロイド(例えば、コンピュータ断層撮影(CT)検査の前薬物)。
25.プロトコルが必要とする静脈血栓塞栓(VTE)予防を受けることができないか、または受けたくない対象。
試験期間:対象当たりの試験参加の平均期間は、およそ6か月であることが予想される。完全な登録には、完了までにおよそ21か月かかると予想される(パート1に18か月そしてパート2に3か月)。実薬治療及び治療後経過観察の完了は、更に6〜12か月かかることが予想される。試験全体では、およそ33か月続くことが予想される。
試験終了は、プロトコルに事前に指定されるとおり、最後の対象の最後の来診により治療後経過観察が完了した日付、あるいは一次、二次、及び/または探索的分析のために必要な最後の対象から最後のデータ点を受領した日付いずれかで、どちらかより遅い方と定義される。
試験治療:化合物2は、20/28スケジュールに登録した対象に関しては1日1回、または6/28スケジュールに登録した対象に関しては1日2回のいずれかを経口投与される。20/28投与スケジュールに登録した対象に関して、化合物2は、少なくとも6時間続く夜間絶食後、少なくとも240mLの水とともに朝に投与される。対象は、毎朝の投与後少なくとも2時間食事または他の薬物の摂取を控えなければならない。6/28スケジュールに登録した対象は、各投与日の最初の投与に関して20/28スケジュールに概説される前述の指示に従う。2回目の投与は、朝の投与の12±2時間後、食事の摂取少なくとも4時間後かつ摂取の2時間前に投与される。例として、6/28投与スケジュールに登録した対象は、おそらく、7:00amに化合物2の初期用量を受け、続いて、9:00amに朝食、正午に昼食をとり、化合物2の2回目の用量を、早くて5:00pmに受け、夜の食事を2時間後にとる(すなわち、7:00pmより前ではない)ことができる。サイクル1においてのみ、化合物2は、1〜3日目(朝及び夜)、14日目(夜のみ)、15日目及び16日目(朝及び夜)、ならびに17日目(朝のみ)に投与されることに留意する。
両投与スケジュールに関して、デキサメタゾンは、絶食状態で化合物2とともに、または食事とともに化合物2の少なくとも2時間後に投与される(両方とも同時に与えられるPK評価日を除く)。それぞれ、20/28または6/28投与スケジュールの各サイクルの1、8(サイクル1では10日目のみ)、15、及び22日目、または1、3、15(サイクル1では14日目のみ)、及び17日目に与えられるデキサメタゾンは、化合物2と同時に絶食状態で投与することができる。あるいは(デキサメタゾン誘導胃刺激の病歴を有する対象において)、両方とも全ての対象に同時に投与されなければならないPK評価日を除き、化合物2の少なくとも2時間後に食事とともに投与することができる。全ての対象に関して、デキサメタゾンの各用量は、<75歳の対象には40mg、そして≧75歳の対象には20mgである。
主要な有効性評価の概要:主な有効性評価項目は、IMWG治療効果判定統一基準により決定される、最良奏功が≧PRである対象のパーセントとして定義される最良総合奏功率(ORR)である(Rajkumar et al Blood 2011;117(18):4691−5)。対象は、毎月奏功評価を受ける。骨髄腫の奏功は、中央基準研究所で評価された検査治験(適切な場合、血清タンパク質電気泳動(sPEP)、尿タンパク質電気泳動(uPEP)、免疫固定法電気泳動(IFE)、無血清軽鎖(sFLC)レベル、定量的免疫グロブリンA(IgA)、形質細胞定量化のための骨髄)に基づいて、及び/または現場で(すなわち、形質細胞腫評価のための補正血清カルシウム、ポジトロン断層法/コンピュータ撮像(PET/CT)、もしくは磁気共鳴撮像(MRI)、及び/または骨病変評価のためのCTもしくは骨格検査)試験施設治験責任医師により決定される。追加の有効性評価項目は、奏功時間(化合物2の最初の投与から最初の奏功の記述までの時間≧PR)、奏功期間(最初の奏功の記述(≧PR)から最初のPDもしくは死亡までの期間、及び無増悪生存(化合物2の最初の投与から疾患進行もしくは任意の原因による死亡の最初の発生までの時間)を含む。
妥当なベースライン及び少なくとも1つのベースライン後の奏功評価を有する全ての安全性対象は、有効性分析に含まれる。治療が疾患進行以外の理由のため中止される場合、対象は、進行、同意の撤回、死亡もしくは新しい全身性抗骨髄腫療法の開始のいずれか最も早いものまで、指定した評価スケジュールに従い奏功評価を継続するように要望される。
主要な安全性評価の概要:この試験の安全性評価項目は、治療下で発生した有害事象(TEAE)、ならびに身体所見/バイタルサイン、選択された検査分析物、及び12誘導心電図(ECG)を含む。更なる安全性測定基準は、試験治療(化合物2及びデキサメタゾン両方)への曝露の程度、併用薬物使用の評価、及び妊娠する可能性のある女性(FCBP)の妊娠試験を含む。
薬物動態評価の概要:PKプロファイル(初期用量及び定常状態)は、化合物2、そのR−鏡像異性体(化合物3)、及びデキサメタゾンについて評価された。曝露応答分析は、適切な場合、化合物2 RP2Dの同定を補助するために行うことができる。
上記に記載された実施形態は、例示であることしか意図せず、当業者は、具体的な化合物、材料、及び手順の多数の等価物を認識するか、または定法実験にすぎないものを使用して、それらを確認することができるだろう。そのような等価物は全て、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲により包含される。