JP2020521508A - 核酸合成におけるターミナルトランスフェラーゼ酵素の使用 - Google Patents

核酸合成におけるターミナルトランスフェラーゼ酵素の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、1つ以上のヌクレオチドを核酸の3’末端に付加させる方法における改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の使用に関する。本発明はさらに、上記改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の使用を含む核酸合成及び配列決定の方法、上記改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を含むキット、ならびに核酸合成及び配列決定の方法における上記キットの使用に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、1つ以上のヌクレオチドを核酸の3’末端に付加させる方法における改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の使用に関する。本発明はさらに、上記改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の使用を含む核酸合成及び配列決定の方法、上記改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を含むキット、ならびに核酸合成及び配列決定の方法における上記キットの使用に関する。
核酸合成は現代の生物工学にとって必須である。生物工学分野における急速な発展は、科学界のDNA、RNA及びタンパク質を人工合成する能力によって可能になった。
人工DNA合成は、成長し続けている18億ポンドの規模の市場であるが、生物工学及び製薬会社が様々なペプチド治療薬、例えば糖尿病の治療のためのインスリンを開発することを可能にする。それは、研究者達が細胞タンパク質の特性評価を行って、高齢化しつつある集団が今日直面している疾患、例えば心疾患及びがんの治療のための新たな低分子治療薬を開発することを可能にする。それは、Venter研究所が人工合成ゲノムを細菌細胞内に入れた2010年に実証したように、生命体を生み出す道さえも切り開く。
しかしながら、現在のDNA合成技術は生物工学産業の需要を満たしていない。DNA合成の利点は数多くあるものの、よく言及される問題が人工DNA合成産業、したがって生物工学分野のさらなる成長を妨げている。それは成熟した技術であるにもかかわらず、長さが200ヌクレオチドより長いDNA鎖を合成することが事実上不可能であり、ほとんどのDNA合成会社が提供するのはたったの120ヌクレオチド以下である。これに比べて、平均的なタンパク質コード遺伝子は2000〜3000ヌクレオチドほどであり、平均的な真核生物ゲノムは数十億ヌクレオチドにもなる。このため、今日の主要な遺伝子合成会社は皆、重複する40〜60mer断片を合成してPCRによって縫い合わせる様々な「合成と縫合わせ」技術に頼っている(Young,L.et al.(2004)Nucleic Acid Res.32,e59参照)。遺伝子合成産業によって提供される現行の方法は概して、通例の生産に3kbまでの長さを可能としている。
120〜200ヌクレオチドを上回るDNAを一度に合成することができない原因は、DNAを生成する現行の方法論に起因しており、これは、合成化学(すなわちホスホロアミダイト技術)を用いてヌクレオチドを一度に1つずつ連結させてDNAを作るものである。各ヌクレオチド連結ステップの効率は95.0〜99.0%効率であるため、許容される収率で200ヌクレオチドよりも長いDNAを合成するのは数学的に不可能である。Venter研究所は、細菌の比較的小さいゲノムを合成するのに4年及び2千万米ドルを費やすことによってこの骨の折れるプロセスを例証した(Gibson,D.G.et al.(2010)Science 329,52−56参照)。
DNA配列決定の既知の方法は、鋳型依存的なDNAポリメラーゼを使用して、成長している二本鎖基質に3’可逆的停止ヌクレオチドを付加させる(Bentley,D.R.et al.(2008)Nature 456,53−59参照)。「合成による配列決定(sequencing−by−synthesis)」プロセスでは、付加する各ヌクレオチドは色素を含有し、ユーザーが鋳型鎖の正確な配列を同定することを可能にしている。二本鎖DNAにおいてではあるが、この技術は長さ500〜1000bpの鎖を生産することができる。しかしながら、この技術は、既存の核酸鎖が鋳型として作用することを要求するので、デノボ核酸合成には適していない。
したがって、現行の利用可能な方法に関連する問題を克服することができる改善された核酸合成及び配列決定の方法を提供する必要がある。
本発明の第1の態様によれば、1つ以上のヌクレオチドを核酸の3’末端に付加させる方法における改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の使用は、上記酵素が突然変異BRCA−1 C末端(BRCT)ドメインを含むことを特徴とする。
本発明の第2の態様によれば、核酸合成方法であって、
(a)初発開始因子配列を提供するステップ、
(b)本明細書において定義される改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の存在下で可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸を上記開始因子配列に付加させるステップ、
(c)開始因子配列から全ての試薬を除去するステップ、
(d)ステップ(b)で上記開始因子配列に付加した可逆的遮断ヌクレオチドから遮断基を切断するステップ、及び
(e)上記切断剤を除去するステップ
を含む、当該方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、マイクロ流体装置内で実施される核酸合成方法であって、
(a)マイクロ流体装置内の表面に結合した初発開始因子配列を提供するステップ、
(b)本明細書において定義される改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の存在下で可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸を上記開始因子配列に付加させるステップ、
(c)開始因子配列から全ての試薬を除去するステップ、
(d)ステップ(b)において上記開始因子配列に付加した可逆的遮断ヌクレオチドから遮断基を切断するステップ、及び
(e)切断剤を除去するステップ
を含む、当該方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、キットであって、本明細書において定義される改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を、場合によって開始因子配列、マイクロ流体装置またはチップ、1つ以上の可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸、無機ピロホスファターゼ、例えばSaccharomyces cerevisiae由来の精製済み組換え無機ピロホスファターゼ、及び切断剤から選択される1つ以上の構成要素と組み合わせて含み、さらに場合によって、本明細書において定義される方法に従ってキットを使用するための説明書を一緒に含む、当該キットが提供される。
本発明のさらなる態様によれば、核酸合成または核酸配列決定の方法における、本明細書において定義されるキットの使用が提供される。
TdTからタンパク質分子量のおよそ21%に対応するN末端BRCTドメインを完全に切断することを含めたN末端側切断によって改変されたターミナルトランスフェラーゼTdTは、完全またはより良好な触媒活性を保持する。この実験において、21%のN末端側切断を含有するTdT(「短縮型TdT」またはΔNTE−TdT)は、「野生型TdT」に比べてより多くの修飾2’−デオキシヌクレオチド三リン酸(ビオチン−16−dUTP)をDNA開始因子分子(N対照)の3’末端に付加させた。TdTをDNA開始因子及びビオチン−16−dUTPと共に37℃で5分間インキュベートした。DNAを、開始因子分子の5’末端に共有結合で取り付けられたCy−5蛍光色素によって可視化した。PAGEを変性させることによって反応生成物を分析した。スペースの関係上、ゲルを90°の角度で示す。 単一ステップでの修飾ヌクレオチド三リン酸の組込み。改変された完全長TdTは、3’−O−修飾可逆的停止ヌクレオチド三リン酸を定量的に付加させることができる。完全長TdTは、3’−O−アジドメチル2’−デオキシチミジン三リン酸及び3’−O−アジドメチル2’−デオキシグアノシン三リン酸を定量的に付加させることができた。PAGEを変性させることによって反応物質を分析した。 ターミナルトランスフェラーゼ活性を有する典型的なPOLXファミリーのポリメラーゼの模式図。NT−POLXc及びPOLXcは、ターミナルトランスフェラーゼ及びヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性を付与するものであるDNAポリメラーゼベータ様ドメインを表すドメイン注釈である。NT−POLXc/POLXcドメインのN末端側にあるのはBRCTドメインであるが、これは、二量体境界面モチーフと、配列Trp−X−X−X−Cys/SerからなるシグネチャBRCT配列とを含有し、ここで、Xは任意のアミノ酸である。 TdTのN末端側切断(「短縮型TdT」)が5’−Cy5標識オリゴヌクレオチドから速やかに解離するのに対し、TdTの完全長形態は、NaCl濃度を1Mよりも高くしてやっと同程度の解離を示す。TdT(5μM)を5’−Cy5標識2’−デオキシオリゴヌクレオチド(1μM)と共に37℃で30分間インキュベートした。蛍光強度測定前に全ての試料を指定のイオン強度にし、0.22ミクロンのスピンフィルターで濾過した。蛍光強度は蛍光プレートリーダーを使用して決定した。 N末端側切断によって改変されたTdTは、サイクリックDNA合成プロセスにおいて優れた性能を示す。この実験では、本文に記載のサイクリックプロセスを繰り返してN+2生成物を得た。レーン1(N):N対照DNA開始因子。レーン2及び3:完全長の改変型TdT変異体。レーン4〜6:N末端側が切断された改変型TdT変異体。DNAを、開始因子分子の5’末端に共有結合で取り付けられたCy−5蛍光色素によって可視化した。PAGEを変性させることによって反応物質を分析した。 N末端側切断によって改変されたTdTは、可逆的停止剤を保有している修飾ヌクレオチドを2個、5個、10個及びそれより多く付加させることを触媒することができる。1サイクルごとに、改変された短縮型TdTを可逆的停止ヌクレオチドと共にDNA開始因子に導入した。付加後、DNA開始因子を洗い流して、残存する修飾ヌクレオチドを全て除去した。その後、ヌクレオチドを「脱保護」し、続いて追加の洗浄ステップを行って、残存する脱保護剤を全て除去した。このサイクリックプロセスを、示された数だけ可逆的停止ヌクレオチドが付加するまで繰り返した(つまり、サイクルの回数をXとして、N+X)。PAGEを変性させることによって反応物質を分析した。 L.oculatusのTdTとの同一性が41.0%以下となる相違を有し、またS.harrisiiのTdTとの同一性が39.8%以下となる相違を有する、TdTの11個のオーソログは、BRCTドメインが切断されているとより高い溶解性を示す(上)。E.coli内での発現収率は、タンパク質の(1)挙動及び(2)溶解性の標準的な評価尺度である。より高い収率は総じて、挙動が良好で溶解性が高いタンパク質を示唆している。脊索動物内のほとんどのオーソログ部類を網羅する広範なTdTオーソログに対するBRCT切断の結果として、一貫した2倍超の溶解性の向上によって立証されるとおり、TdT溶解性が向上する(下)。標準的プロトコールに従う部位特異的変異導入法によって、11個のTdTオーソログの遺伝子において切断を行った。発現はE.coliにおいてIPTGによる標準的な誘導の後に20℃で一晩、3mlのTerrific Brothの中で実施した。溶解は20mMのHEPES KOH(pH7.5)、300mMのKCl、10%のグリセロール及び1mMのPMSFの中で1×BugBusterを使用して実施した。溶解後、HisPur Ni−NTA 96ウェルスピンプレートを使用してタンパク質を精製した。標準的なSDS−PAGEで評価したときの均一性が80%超になるまでタンパク質を精製した。濃度及び収率はNanoOrangeタンパク質定量キット(Thermo Fisher)を使用してQuantiFluor蛍光光度計(Promega)で決定した。各発現は3反復で実施した。 野生型TdT酵素と、BRCTが切断されたTdT酵素とを比較する表面到達可能性試験から、BRCTドメインを有するTdTはDNA固定化表面の汚染を増加させターミナルトランスフェラーゼ活性を妨げると結論付けられる。全てのレーンで、TdTオーソログは、表面に5’固定化一本鎖DNA片を含有するウェルの中でインキュベートされた。ウェル内でTdTを、適度なターミナルトランスフェラーゼ活性に適した緩衝液の中で1時間、37℃でインキュベートした。1時間のインキュベーションの後、市販のB.taurus TdT、ピロホスファターゼ、及びチミジン5’−三リン酸(遊離3’−OH)をウェルに加えた。反応物質を20%変性PAGE(19:1)によって分析し、一本鎖DNA片上の内部蛍光団でもって画像化した。レーン1〜8には野生型TdTオーソログ(それぞれ、S.harrisii、S.scrofa、O.garnettii、C.lanigera、B.taurus、P.panicus、及びM.musculus)が入っている。レーン9〜19には、BRCTが切断されたTdTオーソログ(それぞれ、S.harrisii、S.scrofa、O.garnettii、C.lanigera、B.taurus、D.novemcinctus、M.domestica、P.nyererei、M.brandtii、P.panicus、及びM.musculus)が入っている。高い不溶性の結果として発現収率が低くなったために、全ての野生型TdTオーソログを試験することはできなかった。驚くべきことに、BRCT切断は、広範なTdTオーソログ(39.8%以下の同一性)にわたって、野生型TdTにみられていた表面汚染を防止した。表面汚染、タンパク質凝集及び総合的タンパク質挙動不良は表面固定化DNAへのヌクレオチドの効率的な多サイクル付加を妨げる。このように、BRCT切断はDNAのTdT媒介デノボ合成に必要である。
本発明の第1の態様によれば、1つ以上のヌクレオチドを核酸の3’末端に付加させる方法における改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の使用は、上記酵素が突然変異BRCA−1 C末端(BRCT)ドメインを含むことを特徴とする。
酵素に基づくデノボ核酸合成は、ホスホロアミダイトDNA合成の代替方法である。前者を成し遂げるための1つの方法は、ターミナルトランスフェラーゼとして作用するポリメラーゼ(例えば、DNAヌクレオチジルエキソトランスフェラーゼ(DNTT/TdT)、DNAポリメラーゼミュー(POLMまたはPolμ)、DNAポリメラーゼラムダ(POLLまたはPolλ)、DNAポリメラーゼシータ(POLQまたはPolθ)、及び原核生物ポリメラーゼ)を使用してヌクレオチド三リン酸を一度にランダムまたは配列特異的に付加させることである。配列制御を実現するためには、修飾ヌクレオチド、例えば、(英国特許出願第1701396.2号に記載されているような)窒素塩基または(WO2016/128731及びUS6,232,465に記載されているような)糖部分によって遮断されたものを、合成プロセスに使用せねばならない。したがって、配列が制御されるかたちでのターミナルトランスフェラーゼ媒介デノボDNA合成は、(1)液相または固相の修飾ヌクレオチドを核酸(N種)の3’末端に付加させて、遮断されたN+1種を形成することと、(2)付加したヌクレオチドを脱保護して活性N+1種を再生することとのサイクリックプロセスを必要とする。そのようなサイクリックプロセスは、(a)N+1種から速やかに遊離し、(b)ヌクレオチド付加が起こる領域または表面をあまり汚染せず、しかも(c)ヌクレオチド付加の間、安定である(例えば、凝集または不活性化の傾向がない)、挙動の良好なターミナルトランスフェラーゼ酵素を必要とする。
驚くべきことに本発明者らは、BRCTドメインの欠失に相当する、N末端からのTdTの野生型質量の21%の除去(ΔNTE−TdT)の後に、TdTが活性を保持するだけでなくさらに溶液中での活性も獲得するようであることを発見した(図1参照)。以前には、TdTはN末端から残基を欠失した場合に結晶形態において触媒活性を保持するが、溶液中では活性が示されなかった、ということが実証されたにすぎなかった1、2。タンパク質活性、巨大分子配座及び基質到達可能性は、液相巨大分子と、結晶格子内に閉じ込められた同じ巨大分子とではかなり異なっていることが多い。Mozzarelli and Rossiによれば、「リガンド結合、触媒及びアロステリック調節は結晶環境で起こるものの、分子間相互作用は機能関連の遷移を阻むことがあり、溶液に関して活性を変化させることがある」。よく知られている例として、二本鎖DNAの最初の原子モデルは、周知のB−DNA配座ではなく、生物学的機能が未だ結論として確定していないZ−DNA配座で解明された。
実際、TdTに対するN末端欠失の影響の生体内での観察結果は、TdTが野生型TdT質量の21%分のN末端欠失(ΔNTE−TdT)によって活性を獲得するという発明者らの驚くべき発見を強固にする。HEK293T細胞における再構成V(D)J組換えアッセイにおいてSchatz及び同僚らは、マウスTdTのN末端にBRCTドメインが存在しないことによってコード接合部N−ヌクレオチド付加が、マウスTdTの不活性長鎖アイソフォーム(TdTL)のそれに類似したレベルにまで一貫して低下することを実証した。Mus musculusにおいてTdTは、選択的スプライシングが行われてTdTS及びTdTLとして知られる2つのアイソフォームになる。TdTSは生理的温度において活性であることが示された一方、TdTLは生理的温度において不活性であることが示された。BRCTドメインを欠くTdTが生体内で一貫して活性の低下または非存在を(TdTLのそれに類似して)呈することを考慮すれば、N末端BRCTドメイン切断を有する組換え改変型TdTはターミナルトランスフェラーゼ活性の低下または非存在をもたらすと予想されよう。図1は、驚くべきことにΔNTE−TdTがターミナルトランスフェラーゼ触媒活性の保持だけでなく獲得もするということを明瞭に示している。
図1で示された驚くべき結果を、TdT、DNAポリメラーゼミュー及びラムダとの相同性が高い近縁種に拡張することができる。実際、DNAポリメラーゼミュー及びラムダが野生型TdT配列との相同性を指針とした突然変異の後に高活性なターミナルトランスフェラーゼに簡単に変換されることは文献においてよく知られている。例えば、Blanco及び同僚らは、TdTを模した点突然変異(ヒトDNAポリメラーゼミューにおけるR387K)がDNAポリメラーゼミューを、数十個のヌクレオチドの付加を可能とする弱いターミナルトランスフェラーゼから数百個のヌクレオチドの付加を可能とする強いターミナルトランスフェラーゼへと変換したことを実証した。本発明者らはBRCTドメインを欠くTdTによる新規なターミナルトランスフェラーゼ活性を実証するので、当然、TdTを模した点突然変異を保有しているポリメラーゼミュー及びポリメラーゼラムダはたとえBRCTドメインが存在していなくともターミナルトランスフェラーゼとして活性であるということになる。
BRCTドメインを切断した場合に溶解性が向上し(図7参照)、固定化DNAへの表面到達可能性が向上する(図8参照)ということを実証するデータも示す。これらの結果は、互いに40%より高い配列同一性を有するTdTに認められる。理論に束縛しないが、本明細書に示すデータは、BRCT欠失を有する本発明に係る全てのTdTが、強化された核酸合成方法において有用となる、ということの極めて高い妥当性を提供すると考えられる。
かくして、一実施形態では、ターミナルトランスフェラーゼ酵素は、DNAポリメラーゼXファミリー由来のもの、例えば、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)、DNAポリメラーゼλ(Polλ)及びDNAポリメラーゼμ(Polμ)である。さらなる実施形態では、ターミナルトランスフェラーゼ酵素はターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)から選択される。
本明細書中での「TdT」への言及は、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)酵素を指し、上記酵素の精製済み及び組換えの形態への言及を含む。TdTは、一般にはDNTT(DNAヌクレオチジルエキソトランスフェラーゼ)としても知られており、いかなるそのような用語も交換可能に使用されるべきである。
本明細書中での「Polλ」への言及は、DNAポリメラーゼλ(POLLまたはDNAポリメラーゼラムダとしても知られる)を指し、真核生物にみられるタンパク質である。ヒトにおいてそれはPOLLA遺伝子にコードされる。PolλはDNAポリメラーゼのXファミリーのメンバーである。それは、DNA二本鎖切断(DSB)修復の経路である非相同末端再結合(NHEJ)の間に欠如しているヌクレオチドを再合成すると考えられている。
本明細書中での「Polμ」への言及は、DNAポリメラーゼμ(POLMまたはDNAポリメラーゼミューとしても知られる)を指し、真核生物にみられるポリメラーゼ酵素である。ヒトにおいてこのタンパク質はPOLM遺伝子にコードされる。PolμはDNAポリメラーゼのXファミリーのメンバーである。それは、DNA修復の非相同末端結合(NHEJ)経路の間、損傷を受けたかまたは欠如しているヌクレオチドの再合成に関与する。
本明細書中での「BRCA−1 C末端(BRCT)ドメイン」という用語への言及は、乳癌感受性タンパク質のC末端ドメインを指す)。このドメインは主に、DNA損傷に応答する細胞周期チェックポイント機能に関与するタンパク質にみられ、例えば乳癌DNA修復タンパク質BRCA1にみられる。当該ドメインはおよそ100アミノ酸の縦列反復配列であるが、これはリン−タンパク質結合ドメインとして働くようである。例えば、BRCTドメインはTdTのアミノ酸残基26〜130に存在している。
本明細書中での「突然変異BRCA−1 C末端(BRCT)ドメイン」という用語への言及は、BRCTドメインの任意の不活性化形態を指す。突然変異BRCTドメインの例としては、欠失、置換または挿入から選択される1つ以上の突然変異が挙げられる。
一実施形態では、上記酵素は、切断型BRCTドメイン、例えば、N末端側が切断型BRCTドメイン(例えば、N末端側でのTdT野生型分子量のおよそ21%分の切断)を含む。本発明のこの実施形態は、驚くべきことに、多ステップのデノボ酵素的DNA合成にとって必須である。N末端側切断は野生型及び改変型TdTに、TdT媒介核酸合成の産業上の有用性を大いに高める、よりはるかに高いサイクル効率を付与する。
代替実施形態では、上記BRCTドメインが存在していない。
ターミナルトランスフェラーゼ酵素におけるBRCTドメインの非存在または切断は、以下のとおりに定義される:
(1)ターミナルトランスフェラーゼ活性を有し、かつ
(2)米国国立生物工学情報センター(NCBI)が管理する保存ドメインデータベース(CDD)によって定義され保存ドメイン検索(CD検索)によって同定されるとき、NT−POLXc/POLXc DNAポリメラーゼベータthumbスーパーファミリーに属するドメイン(cd00141、cl25961、smart00483、pfam14791、COG1796)を含有し、かつ
(3)BRCTスーパーファミリーに属するドメイン(cl00038、cd00027、smart00292、pfam00533、pfam12738、pfam16589、pfam16759、pfam16770)を含有しない、
任意のアミノ酸配列。模式的なドメインを図3に示す。タンパク質ドメインは、閾値ビットスコアが199.344または29.2119よりも大きい場合にそれぞれNT−POLXc/POLXc(cd00141)かBRCT(cd00027)かのどちらかに属すると同定されることとする。注釈が付いた各ドメインの閾値ビットスコアは、NCBI CDDの学芸員によってタンパク質配列が特定ドメインに属するか否かについての保存性評価尺度として定められる。クエリー配列のビットスコアを算出して、それがNCBI学芸員によって定められた閾値よりも高いか否かを判定する。ビットスコアは、まず各ドメイン注釈に固有の位置特異的スコア行列(PSSM)を使用してアラインメントを実施して原アラインメントスコアを最大限にすることによって算出され、この場合、ギャップを設けるコストを11とし、ギャップを1つ拡張するコストを1とする。上に示したドメイン注釈のためのドメイン固有PSSMをNT−POLXc/POLXc(cd00141)またはBRCT(cd00027)についてそれぞれ表1及び表2に示す。次に、原アラインメントスコアを使用してビットスコアを以下の等式によって算出する:
Figure 2020521508
〔式中、S’はビットスコアに相当し、Sは原アラインメントスコアであり、λ及びKは、Gertz(Gertz,E.M.BLAST scoring parameters.2005.)によって記載されているとおりにして得られる正規化係数である〕。ビットスコアを算出するプロセスは典型的には、Marchler−Bauer及び同僚ら8〜9によって記載されているように、逆向き位置特異的BLAST(RPS−BLAST)と呼ばれる公的に利用可能なアルゴリズムによってCDDデータベースに対して実施される。
表1:このファミリーのメンバーとみなされるには199.344の閾値ビットスコアが要求される、NT−POLXc(cd00141)ドメインのための位置特異的スコア行列(PSSM)。PSSMはNCBI CDDから取得した。表の上左隅の見出しにおいて、Pは位置を表す記号であり、Cはコンセンサス配列を表す記号であり、Mは既知構造を有する主配列を表す記号である。表の残りの部分において、文字は、標準的なアミノ酸の一文字での術語体系を表す。
Figure 2020521508
Figure 2020521508
Figure 2020521508
Figure 2020521508
Figure 2020521508
Figure 2020521508
Figure 2020521508
Figure 2020521508
表2:このファミリーのメンバーとみなされるには29.2119の閾値ビットスコアが要求される、BRCT(cd00027)ドメインのための位置特異的スコア行列(PSSM)。PSSMはNCBI CDDから取得した。表の上左隅の見出しにおいて、Pは位置を表す記号であり、Cはコンセンサス配列を表す記号であり、Mは既知構造を有する主配列を表す記号である。表の残りの部分において、文字は、標準的なアミノ酸の一文字での術語体系を表す。
Figure 2020521508
Figure 2020521508
Figure 2020521508
あるいは、ターミナルトランスフェラーゼ酵素におけるBRCTドメインの非存在または切断は、以下のとおりに定義される:
ターミナルトランスフェラーゼの挙動をより良好にする、及び/またはそれをより迅速に核酸から解離させるような、「二量体境界面」及び/または(Trp−X−X−X−Cys/Serの特徴的配列を有する)「BRCT配列」から構成される野生型天然BRCTドメインの2つの保存モチーフの任意の改変、突然変異、欠失または挿入。二量体境界面は、Asp/Glu(16)、Glu/Lys(20)、Glu/Arg/Lys(23)、Gly(26)及びLys/Thr(28)のコンセンサス配列を有するcd00027 PSSMの位置16、20、23、26及び28として定義されることとする。BRCT配列は、Trp(66)及びCys/Ser(70)のコンセンサス配列を有するcd00027 PSSMの位置66及び位置70として定義されることとする。より良好な挙動は、より小さい凝集傾向、より高い酵素ターンオーバー率、より良好な多ステップサイクル効率、及び/または貯蔵もしくは反応条件下でのより長い活性維持を意味し得る。保存モチーフは保存ドメインデータベース(CDD)によって注釈が付けられているとおりである。
あるいは、ターミナルトランスフェラーゼ酵素におけるBRCTドメインの非存在または切断は、以下のとおりに定義される:
米国国立生物工学情報センター(NCBI)が管理する保存ドメインデータベース(CDD)によって定義され保存ドメイン検索(CD検索)によって同定されるとき、BRCTスーパーファミリー注釈(cl00038、cd00027、smart00292、pfam00533、pfam12738、pfam16589、pfam16759、pfam16770)を含有せず、付録1に提供するターミナルトランスフェラーゼ配列一覧との90%以上の配列同一性を有する、任意のアミノ酸配列またはその断片。
あるいは、ターミナルトランスフェラーゼ酵素におけるBRCTドメインの非存在または切断は、以下のとおりに定義される:
N末端部分(最初の200アミノ酸として定義される)の任意の突然変異、改変または切断。そのような切断は多ステップサイクル効率をより大きくすることが本明細書において示される。
一実施形態では、改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を固体担体上に固定する。代替実施形態では、改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素は液相中にある。液相中にある、または固体担体上に固定された、ターミナルトランスフェラーゼ酵素を提供する詳細な方法論は、英国特許出願第1701396.2号に提供されており、参照によりその内容を本明細書に援用する。
核酸合成方法
本発明の一実施形態では、核酸合成方法における、本発明の第1の態様に係る使用が提供される。
本発明の第2の態様によれば、核酸合成方法であって、
(a)初発開始因子配列を提供するステップ、
(b)本明細書において定義される改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の存在下で可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸を上記開始因子配列に付加させるステップ、
(c)開始因子配列から全ての試薬を除去するステップ、
(d)ステップ(b)で上記開始因子配列に付加した可逆的遮断ヌクレオチドから遮断基を切断するステップ、及び
(e)切断剤を除去するステップ
を含む、当該方法が提供される。
本明細書中での「核酸合成方法」への言及は、核酸の鎖(n)がさらなるヌクレオチドの付加によって伸長する(n+1)、ある長さのDNA(デオキシリボ核酸)またはRNA(リボ核酸)を合成する方法を含む。一実施形態では、核酸はDNAである。代替実施形態では、核酸はRNAである。
本明細書中での「DNA合成方法」への言及は、DNA鎖(n)がさらなるヌクレオチドの付加(n+1)によって伸長する、DNA鎖合成方法を指す。本明細書に記載の方法は、当技術分野で現在知られているDNA合成方法に比べていくつかの利点を有するデノボDNA鎖合成においてヌクレオチドを逐次付加させるための、本発明のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼと、3’−O−アジドメチル置換基を有するヌクレオチド三リン酸との新規な使用を提供する。
さらなる実施形態では、ステップ(b)〜(e)を繰り返すことによって1つより多くのヌクレオチドが付加する。
方法のステップ(b)〜(e)を複数回繰り返して所望の長さのDNAまたはRNA鎖が生成され得ることは理解されよう。したがって、一実施形態では、ステップ(b)〜(e)を繰り返すことによって1つより多くのヌクレオチドが開始因子配列に付加し、例えば、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110または120個より多くのヌクレオチドが開始因子配列に付加する。さらなる実施形態では、200個より多くのヌクレオチド、例えば、300、400、500、600、700、800、900、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000または10000個より多くのヌクレオチドが付加する。
本明細書中での「ヌクレオチド三リン酸」への言及は、3つのリン酸基に結合したヌクレオシド(すなわちデオキシリボースまたはリボース糖分子に取り付けられた塩基)を含有する分子を指す。デオキシリボースを含有するヌクレオチド三リン酸の例は、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)またはデオキシチミジン三リン酸(dTTP)である。リボースを含有するヌクレオチド三リン酸の例は、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン三リン酸(GTP)、シチジン三リン酸(CTP)またはウリジン三リン酸(UTP)である。ヌクレオシドの他のタイプが3つのリン酸に結合してヌクレオチド三リン酸、例えば天然に存在する修飾ヌクレオシド及び人工ヌクレオシドを形成していてもよい。
本明細書中での「可逆的遮断」ヌクレオチドへの言及は、可逆的停止部分を糖部分(3’遮断ヌクレオチド三リン酸)及び窒素塩基部分(塩基遮断ヌクレオチド三リン酸)に含有しているヌクレオチドを含む。可逆的停止剤は、ポリメラーゼまたはターミナルトランスフェラーゼによって核酸開始因子の3’末端に付加することができる、及びヌクレオチドのさらなる付加を防止する、化学的部分である。可逆的停止剤が切断剤によって切断されたとき及びそのときに限り、ポリメラーゼまたはターミナルトランスフェラーゼは追加のヌクレオチドを付加させることができる。
3’遮断ヌクレオチド三リン酸
したがって、本明細書中での「3’遮断ヌクレオチド三リン酸」への言及は、ヌクレオチドのさらなる付加を防止する追加の基を3’末端上に有する、つまり保護基による3’−OH基の置換えによって有する、ヌクレオチド三リン酸(例えば、dATP、dGTP、dCTPまたはdTTP)を指す。
本明細書中での「3’遮断」、「3’遮断基」または「3’保護基」への言及が、ヌクレオチド三リン酸の3’末端に取り付けられた、さらなるヌクレオチド付加を防止する基を指すことは理解されよう。本発明の方法は、切断によって除去されてさらなるヌクレオチドの付加を許容することができる可逆的3’遮断基を使用する。対照的に、不可逆的3’遮断基とは、切断によって3’−OH基を露出させることも剥き出しにすることもできないdNTPを指す。
文献によって支持されたいくつかの可逆的保護基、例えば、2−シアノエチル、アジドメチル、アミノキシ及びアリルが存在するが、これらを本明細書に記載の方法に適用することができる。好適な保護基の例は、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,(Wuts,P.G.M. &Greene,T.W.(2012)4th Ed.,John Wiley &Sons)に記載されている。
一実施形態では、3’遮断ヌクレオチド三リン酸は可逆的保護基によって遮断されている。代替実施形態では、3’遮断ヌクレオチド三リン酸は不可逆的保護基で遮断されている。
したがって、一実施形態では、3’遮断ヌクレオチド三リン酸は、3’−O−メチル、3’−アジド、3’−O−アジドメチル、3’−アミノキシ、3’−O−(2−シアノエチル)、3’−O−(2−シアノエトキシ)、または3’−O−アリル基のいずれかによって遮断されている。さらなる実施形態では、3’遮断ヌクレオチド三リン酸は、3’−O−アジドメチル、3’−アミノキシ、3’−O−(2−シアノエチル)、3’−O−(2−シアノエトキシ)、または3’−O−アリル基のいずれかによって遮断されている。
塩基遮断ヌクレオチド三リン酸
したがって、本明細書中での塩基遮断ヌクレオチド三リン酸への言及は、ヌクレオチドのさらなる付加を防止する追加の基を窒素塩基上に有するヌクレオチド三リン酸(例えば、dATP、dGTP、dCTPまたはdTTP)を指す。窒素塩基上に位置する可逆的停止部分は、切断剤によって切断されたとき及びそのときに限り後のヌクレオチドの付加を許容する任意の分子部分であり得る。可逆的停止剤は、グアニンの7位または8位;アデニンの7位、8位またはN6位;及びピリミジンの5位に位置し得る。
窒素塩基に取り付けられることができる、文献によって支持された可逆的保護基は、本特許の交互相の節で挙げる光切断可能な置換ニトロベンジル基、ペプチド及び他の化学的/担体部分を含めていくつか存在する。
切断剤
本明細書中での「切断剤」への言及は、可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸から3’遮断基を切断することができる物質を指す。
本明細書に記載の可逆的遮断基は全て、文献によって支持され切断剤として使用され得る化合物を使用して水溶液中で定量的に除去され得る(例えば、Wuts,P.G.M.&Greene,T.W.(2012)4th Ed.,John Wiley &Sons、Hutter,D.et al.(2010)Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids 29,879−895、EP1560838、及びUS7,795,424)を参照のこと)。
一実施形態では、切断剤は化学的切断剤である。代替実施形態では、切断剤は酵素的切断剤である。さらなる実施形態では、切断剤は電磁放射線、例えば紫外光または可視光である。
当業者であれば、切断剤の選択が、使用する可逆的遮断ヌクレオチドのタイプに依拠することを理解するであろう。例えば、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を使用して3’−O−アジドメチル基を切断することができ、パラジウム錯体を使用して3’−O−アリル基を切断することができ、水酸化アンモニウムを使用して3’−O−(2−シアノエチル)/3’−O−2−(シアノエトキシ)メチル基を切断することができ、または亜硝酸ナトリウムを使用して3’−アミノキシ基を切断することができる。それゆえ、一実施形態では、切断剤は、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、パラジウム錯体または亜硝酸ナトリウムから選択される。
一実施形態では、尿素、塩化グアニジニウム、ホルムアミドまたはベタインなどの変性剤を含む切断用溶液の存在下で切断剤を添加する。変性剤の添加は、DNAの何らかの望ましくない二次構造を妨害することができるという利点を有する。さらなる実施形態では、切断用溶液は1つ以上の緩衝剤を含む。当業者であれば、緩衝剤の選択が厳密な切断化学及び必要とされる切断剤に依拠することを理解するであろう。
開始因子配列
本明細書中での「初発開始因子配列」への言及は、ターミナルトランスフェラーゼ酵素による可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸の最初の付加において可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸を取り付けられることができる遊離3’末端を有する短鎖オリゴヌクレオチドを指す。一実施形態では、初発開始因子配列はDNA開始因子配列である。代替実施形態では、初発開始因子配列はRNA開始因子配列である。
本明細書中での「開始因子配列」への言及は、可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸を取り付けられることができる遊離3’末端を有するオリゴヌクレオチドを指す。一実施形態では、開始因子配列はDNA開始因子配列である。代替実施形態では、開始因子配列はRNA開始因子配列である。
本明細書中での「DNA開始因子配列」への言及は、可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸を取り付けられることができるDNAの配列を指し、つまり、DNA開始因子配列の末端からDNAが合成されることになる。
一実施形態では、初発開始因子配列は、5〜100ヌクレオチドの長さ、例えば、10〜90ヌクレオチドの長さ、特に、5〜20ヌクレオチドの長さである。
一実施形態では、開始因子配列は一本鎖である。代替実施形態では、開始因子配列は二本鎖である。当業者であれば、3’突出部(すなわち遊離3’末端)が効率的な付加を可能にすることを理解するであろう。
一実施形態では、開始因子配列は固体担体上に固定される。これは、合成された核酸を洗い流すことなく改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素及び切断剤を(それぞれステップ(c)及び(e)で)除去することを可能にする。方法を流動構成によって簡単に実施することができるように、水性条件下で安定な固体担体に開始因子配列を取り付けてもよい。
一実施形態では、開始因子配列は、可逆的相互作用部分、例えば、化学的切断可能リンカー、抗体/免疫原性エピトープ、ビオチン/ビオチン結合タンパク質(例えばアビジンまたはストレプトアビジン)、またはグルタチオン−GSTタグを介して固体担体に固定される。したがって、さらなる実施形態では、方法はさらに、得られた核酸の抽出を、プロテイナーゼKと共にインキュベートすることなどによる開始因子配列中の可逆的相互作用部分の除去によって行うことを含む。
さらなる実施形態では、開始因子配列は、化学的切断可能リンカー、例えば、ジスルフィド、アリル、またはアジドでマスクされたヘミアミナールエーテルリンカーによって固体担体上に固定される。したがって、一実施形態では、方法はさらに、得られた核酸の抽出を、ジスルフィドリンカーの場合はトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)もしくはジチオスレイトール(DTT);アリルリンカーの場合はパラジウム錯体;またはアジドでマスクされたヘミアミナールエーテルリンカーの場合はTCEPを添加することによる化学リンカーの切断によって行うことを含む。
一実施形態では、得られた核酸の抽出及び増幅を、固体担体に結合した核酸を鋳型として使用するポリメラーゼ連鎖反応によって行う。したがって、開始因子配列は適切な順方向プライマー配列を含有し得、適切な逆方向プライマーは合成され得る。
代替実施形態では、固定化開始因子配列は少なくとも1つの制限部位を含有する。したがって、さらなる実施形態では、方法はさらに、得られた核酸の抽出を1つ以上の制限酵素の使用によって行うことを含む。
制限酵素の使用、及び特定位置で核酸を切る制限部位は、当技術分野でよく知られている。制限部位及び酵素の選択は、所望の特性、例えば、「平滑」末端が必要とされるのかそれとも「付着」末端が必要とされるのかによって決まり得る。制限酵素の例としては、AluI、BamHI、EcoRI、EcoRII、EcoRV、HaeII、HgaI、HindIII、HinfI、NotI、PstI、PvuII、SalI、Sau3A、ScaI、SmaI、TaqI及びXbaIが挙げられる。
代替実施形態では、開始因子配列は少なくとも1つのウリジンを含有する。ウラシル−DNAグリコシラーゼ(UDG)による処理は脱塩基部位を生成する。脱プリン/脱ピリミジン(AP)部位エンドヌクレアーゼによる適切な基質に対する処理は、核酸鎖を抽出することになる。
緩衝剤
一実施形態では、1つ以上の緩衝剤(例えばトリスまたはカコジレート)、1つ以上の塩(例えば、どれもがClなどの適切な対イオンを伴うNa、K、Mg2+、Mn2+、Cu2+、Zn2+、Co2+など)、及び無機ピロホスファターゼ(例えば、Saccharomyces cerevisiaeホモログ)を含む伸長用溶液の存在下で本発明の改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を添加する。緩衝剤及び塩の選択が最適な酵素活性及び安定性に依拠することは理解されよう。
無機ピロホスファターゼの使用は、ターミナルトランスフェラーゼによるヌクレオチド三リン酸加水分解に起因するピロホスファターゼの蓄積を軽減するのに役立つ。それゆえ、無機ピロホスファターゼの使用は、(1)逆反応及び(2)ターミナルトランスフェラーゼ鎖不均化の速度を低減する利点を有する。一実施形態では、無機ピロホスファターゼは、Saccharomyces cerevisiae由来の精製済み組換え無機ピロホスファターゼを含む。
一実施形態では、ステップ(b)を5〜10のpH範囲で実施する。したがって、pH5〜10の緩衝範囲を有する任意の緩衝剤、例えば、カコジレート、トリス、HEPESまたはトリシン、特にカコジレートまたはトリスを使用することができることは理解されよう。
一実施形態では、ステップ(d)を99℃未満、例えば、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃または30℃未満の温度で実施する。使用する切断剤によって最適温度が決まることは理解されよう。用いる温度は、切断を支援し、ヌクレオチド付加中に形成されるいかなる二次構造も妨害する役割を果たす。
一実施形態では、洗浄溶液と接触させることによってステップ(c)及び(e)を実施する。一実施形態では、洗浄溶液は、本明細書に記載の伸長用溶液に使用されるのと同じ緩衝剤及び塩を含む。このことは、方法ステップを繰り返す場合に洗浄溶液をステップ(c)の後に回収してステップ(b)で伸長用溶液として再利用することを可能にするという利点を有する。
装置
一実施形態では、方法を流動機器内、例えば、マイクロ流体機器内、またはカラムに基づく流動機器の中で実施する。本明細書に記載の方法は、方法を用いることを単純にする流動構成で簡単に実施されることができる。要求される反応条件のために市販のDNA合成装置の例(例えば、BioAutomation提供のMerMade 192E、またはK&A提供のH−8 SE)を最適化して本明細書に記載の方法の実施のために使用してもよいことは理解されよう。
一実施形態では、方法をプレートまたはマイクロアレイ構成で実施する。例えば、圧電噴射及び熱噴射を含めた任意の適用可能な噴射技術を用いる一連の微量分注ノズルによってヌクレオチドを個々に取り扱ってもよい。この高度に並行するプロセスは、ハイブリダイゼーションマイクロアレイを作り出すために用いられてもよく、さらに、標準的な分子生物学技術によるDNA断片組立に適している。
一実施形態では、マイクロ流体装置内で実施される方法が提供される。かくして、本発明のさらなる態様によれば、マイクロ流体装置内で実施される核酸合成方法であって、
(a)マイクロ流体装置内の表面に結合した初発開始因子配列を提供するステップ、
(b)本明細書において定義される改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の存在下で可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸を上記開始因子配列に付加させるステップ、
(c)開始因子配列から全ての試薬を除去するステップ、
(d)ステップ(b)において上記開始因子配列に付加した可逆的遮断ヌクレオチドから遮断基を切断するステップ、及び
(e)切断剤を除去するステップ
を含む、当該方法が提供される。
本明細書中でのマイクロ流体装置への言及は、連続流マイクロ流体装置、液滴に基づくマイクロ流体装置、プログラマブルデジタル式マイクロ流体装置、デジタル式マイクロ流体装置、マイクロアレイ装置(例えばDNAチップ)、光流体工学装置、及び音響液滴吐出(ADE)装置を含む。
さらなる実施形態では、ステップ(b)〜(e)を繰り返すことによって1つより多くのヌクレオチドが付加する。さらなる実施形態では、ステップ(a)においてマイクロ流体装置内の表面は、決められた場所で結合している開始因子を得るべくパターニングされていてもよい。したがって、さらなる実施形態では、マイクロ流体装置は、1個の反応チャンバまたは複数個の反応チャンバ、例えば、100、1000もしくは10000個より多くの反応チャンバを有し得る。
一実施形態では、方法はさらに、得られた核酸を増幅することを含む。DNA/RNA増幅方法は当技術分野でよく知られている。例えば、さらなる実施形態では、増幅はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって実施される。このステップは、得られる核酸の増幅及び抽出をまとめて1ステップで行うことができるという利点を有する。
鋳型に依存しない本明細書に記載の核酸合成方法は、規定の組成及び長さの核酸配列を開始因子配列に付加させる能力を有する。したがって、アダプター配列を核酸ライブラリーに導入するための新規な方法として本明細書に記載の方法を使用してもよいことは当業者に理解されよう。
開始因子配列が1つの規定された配列ではなくて、(例えば、ゲノムDNAまたは例えば伝令RNAの超音波処理によって生成する)核酸断片のライブラリーである場合、この方法は全ての断片上に「アダプター配列」をデノボ合成することができる。アダプター配列の組込みは次世代ライブラリー核酸シーケンシング法にとってライブラリー作製の不可欠な部分である、というのも、アダプター配列はフローセル/固体担体とのハイブリダイゼーション及び配列決定用プライマーのハイブリダイゼーションを可能にする配列情報を含有するからである。
現在用いられている方法は一本鎖ライゲーションを含むが、ライゲーション効率は断片長の増加に伴って大幅に低下するのでこの技術には限界がある。結果として現行の方法は長さが100ヌクレオチドよりも長い配列を取り付けることができない。したがって、本明細書に記載の方法は、現在可能なものに比べて改善されるようなライブラリー作製を行うことを可能にする。
したがって、一実施形態では、アダプター配列を開始因子配列に付加させる。さらなる実施形態では、開始因子配列は核酸断片のライブラリーからの核酸であり得る。
交互相プロセス
全般的交互相プロセス
本発明の第5の態様によれば、交互相ポリマー合成方法であって、
(a)切断可能リンカーを介して担体部分に固定されたモノマーを提供するステップ、
(b)長さ(N)のポリマーを提供するステップ、
(c)本明細書において定義される改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を提供してポリマーを固定化モノマーに連結して長さ(N+1)の固定化連結ポリマーを生み出すステップ、
(d)未連結のポリマーを全て除去するステップ、及び
(e)長さ(N+1)の固定化連結ポリマーを担体部分から切断するステップ
を含む、当該方法が提供される。
本発明の第5の態様の十分な詳細は英国特許出願第1701396.2号に提供されており、参照によりその記載及び図面を本明細書に援用する。
担体部分に固定された追加のモノマーにステップ(e)の生成物を供給すること、ならびにその後にステップ(b)及び(e)を所望の長さのポリマーが合成されるまで繰り返すことによって、1つより多くのモノマーが付加し得ることは理解されよう。
一実施形態では、ステップ(d)における除去は、洗浄ステップを含む。そのような洗浄ステップは、全ての未結合ポリマーを除去することによってエラー補正ステップを提供する目的を果たす。
一実施形態では、ステップ(e)における切断は、光、pH、温度、電圧などを含む。
一実施形態では、ステップ(e)に続いて単離または捕捉ステップが行われる。
ポリマーが、液相中にあるか、切断可能リンカーによってそれ自体が担体部分に固定されているかのどちらかであり得ることは理解されよう。
交互相核酸合成プロセス
本発明の第5の態様として本明細書に記載する全般的交互相プロセスの一実施形態を本明細書では「交互相核酸合成プロセス」と呼ぶ。
本発明の第5の態様の一実施形態では、モノマーは、切断可能リンカーを介して担体部分に固定されたデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)またはヌクレオチド三リン酸(NTP)である。
本発明の第5の態様の一実施形態では、ポリマーは長さ(N)の開始因子核酸配列である。
したがって、本発明の第6の態様によれば、核酸合成方法であって、
(a)切断可能リンカーを介して担体部分に固定されたデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)またはヌクレオチド三リン酸(NTP)を提供するステップ、
(b)長さ(N)の開始因子核酸配列を提供するステップ、
(c)本明細書において定義される改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を添加して開始因子核酸配列を固定化dNTP/NTPに連結して長さ(N+1)の固定化連結配列を生み出すステップ、
(d)未連結の開始因子核酸配列を全て除去するステップ、及び
(e)長さ(N+1)の固定化連結配列を担体部分から切断するステップ
を含む、当該方法が提供される。
本発明の第6の態様の十分な詳細は英国特許出願第1701396.2号に提供されており、参照によりその記載及び図面を本明細書に援用する。
担体部分に固定された追加のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)またはヌクレオチド三リン酸(NTP)にステップ(e)の生成物を供給すること、ならびにその後にステップ(b)及び(e)を所望の長さの核酸が合成されるまで繰り返すことによって、1つより多くのdNTP/NTPが付加し得ることは理解されよう。
一実施形態では、ステップ(d)における除去は、洗浄ステップを含む。そのような洗浄ステップは、全ての未結合開始因子核酸配列を除去することによってエラー補正ステップを提供する目的を果たす。
一実施形態では、ステップ(e)における切断は、光、pH、温度、電圧などを含む。
一実施形態では、ステップ(e)に続いて単離または捕捉ステップが行われる。
プロセス変化形態1
本発明の第6の態様として本明細書に記載する交互相核酸合成プロセスの一実施形態を本明細書では「プロセス変化形態1」と呼ぶ。概して、プロセスのこの変化形態は、dNTP/NTPと同じ担体部分に固定された捕捉鎖を含めることに関する。
したがって、本発明の第6の態様の一実施形態では、方法はさらに、開始因子核酸配列に対して相補的でありかつハイブリダイズすることができる核酸捕捉鎖配列を提供することを含み、ここで、上記捕捉鎖の3’末端はステップ(a)のdNTP/NTPと同じ担体部分に固定されている。
かくして、本発明の第7の態様によれば、核酸合成方法であって、
(a)切断可能リンカーを介して担体部分に固定されたデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)またはヌクレオチド三リン酸(NTP)を提供するステップと、
(b)長さ(N)の開始因子核酸配列を提供するステップと、
(c)開始因子核酸配列に対して相補的でありかつハイブリダイズすることができる核酸捕捉鎖配列を提供するステップと
を含み、上記捕捉鎖の3’末端がステップ(a)のdNTP/NTPと同じ担体部分に固定されており、
(d)本明細書において定義される改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を添加して開始因子核酸配列を固定化dNTP/NTPに連結して長さ(N+1)の固定化連結配列を生み出すステップと、
(e)どの捕捉鎖/開始因子配列二本鎖の融解温度よりも高い反応温度を提供するステップと、
(f)未連結の開始因子核酸配列を全て除去するステップと、
(g)どの捕捉鎖/開始因子配列二本鎖の融解温度よりも低い反応温度を提供するステップと、
(h)長さ(N+1)の固定化連結配列を担体部分から切断するステップと、
(i)どの捕捉鎖/開始因子配列二本鎖の融解温度よりも高い反応温度を提供して捕捉鎖/開始因子配列二本鎖を分離するステップと
を含む、当該方法が提供される。
本発明の第7の態様の十分な詳細は英国特許出願第1701396.2号に提供されており、参照によりその記載及び図面を本明細書に援用する。
必要なデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)またはヌクレオチド三リン酸(NTP)と、固定化捕捉鎖とが上に固定されている追加の担体部分に、ステップ(i)の生成物を供給すること、ならびにその後にステップ(d)及び(i)を所望の長さの核酸が合成されるまで繰り返すことによって、1つより多くのdNTP/NTPが付加し得ることは理解されよう。
捕捉鎖に対して開始因子配列の5’末端がハイブリダイズして二本鎖を形成し得ることも理解されよう。一実施形態では、二本鎖は長さが少なくとも10、20または30塩基対である。
さらに、またはあるいは、ステップ(d)の改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素は固定化dNTP/NTPを開始因子核酸配列の3’末端に付加させる。
一実施形態では、ステップ(e)及び(i)で提供される温度は、二本鎖の形成を防止するように選択され、例えば、温度はおよそ95℃であることが好適であろう。
一実施形態では、ステップ(f)における除去は、洗浄ステップを含む。そのような洗浄ステップは、全ての未結合開始因子核酸配列を除去することによってエラー補正ステップを提供する目的を果たす。さらなる実施形態では、ステップ(f)はステップ(e)と同じ温度で行われる。
一実施形態では、ステップ(g)で提供される温度は、ハイブリダイゼーションによる二本鎖の形成を可能にするように選択される。
一実施形態では、ステップ(h)における切断は、光、pH、温度、電圧などを含む。さらなる実施形態では、ステップ(h)における切断は、還元剤(すなわちTCEP)または特定のpH緩衝剤から選択される切断剤を含む。そのような切断剤は、長さ(N+1)の連結配列の3’末端を結び付けている切断可能リンカーを担体部分から切断する。一実施形態では、切断を容易にするために、ステップ(h)で提供される温度はどの捕捉鎖/開始因子配列二本鎖の融解温度より低い任意の温度である。
一実施形態では、ステップ(h)に続いて、余った切断剤を全て除去するために洗浄ステップが実施され得る。
プロセス変化形態2
本発明の第6の態様として本明細書に記載する交互相核酸合成プロセスのさらなる実施形態を本明細書では「プロセス変化形態2」と呼ぶ。概して、プロセスのこの変化形態は、dNTP/NTPを移動相担体部分に固定し、開始因子核酸配列を固相担体部分に固定する、という事実に関する。
したがって、本発明の第6の態様の一実施形態では、方法はさらに、切断可能リンカーを介して移動相担体部分に固定されたdNTP/NTP、及び切断可能リンカーを介して固相担体部分に固定された長さ(N)の開始因子核酸配列を提供することを含む。
かくして、本発明の第8の態様によれば、核酸合成方法であって、
(a)切断可能リンカーを介して移動相担体部分に固定されたデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)もしくはヌクレオチド三リン酸(NTP)、または窒素塩基を介して可逆的停止剤もしくは遮断部分を含有しているdNTP/NTPを提供するステップ、
(b)切断可能リンカーを介して固相担体部分に固定された長さ(N)の開始因子核酸配列を提供するステップ、
(c)本明細書において定義される改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を添加して移動相固定化dNTP/NTPを固相固定化開始因子核酸配列に連結して長さ(N+1)の固定化連結配列を生み出すステップ、
(d)未連結の開始因子核酸配列を全て除去するステップ、及び
(e)移動相担体部分を長さ(N+1)の固定化連結配列から切断するステップ
を含む、当該方法が提供される。
本発明の第8の態様の十分な詳細は英国特許出願第1701396.2号に提供されており、参照によりその記載及び図面を本明細書に援用する。
一実施形態では、固相担体部分は反応ウェルの底部を含み、移動相担体部分は上記反応ウェル内の液相の中のビーズを含む。
一実施形態では、開始因子核酸配列の5’末端は固相担体部分に固定され、3’末端は表面から解放される。
一実施形態では、ステップ(c)における改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の添加に続いてエキソヌクレアーゼ、例えば3’−5’エキソヌクレアーゼ(例えば、E.coli由来のエキソヌクレアーゼI)が添加され得る。このステップは、欠失または突然変異を防止するためのエラー補正ステップとして、残存するN種を全て分解させるという利点を提供する。
一実施形態では、ステップ(e)の切断剤は、光、pH、温度、電圧などを含む。さらなる実施形態では、ステップ(h)における切断は、還元剤(すなわちTCEP)、光、熱または特定のpH緩衝剤から選択される切断剤を含む。
一実施形態では、切断ステップ(e)に続いて洗浄ステップを実施する。そのような洗浄ステップは、前のステップで使用した全ての溶液を除去する目的を果たす。
dNTP/NTP
本明細書中での「デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)」への言及は、3つのリン酸基に結合したヌクレオシド(すなわちデオキシリボースまたはリボース糖分子に取り付けられた塩基)を含有する分子を指す。デオキシリボースを含有するヌクレオチド三リン酸の例は、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)またはデオキシチミジン三リン酸(dTTP)である。リボースを含有するヌクレオチド三リン酸(NTP)の例は、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン三リン酸(GTP)、シチジン三リン酸(CTP)またはウリジン三リン酸(UTP)である。ヌクレオシドの他のタイプが3つのリン酸に結合してヌクレオチド三リン酸、例えば天然に存在する修飾ヌクレオシド及び人工ヌクレオシドを形成していてもよい。
担体部分
担体部分が固相担体部分か移動相担体部分かのどちらかを含むことになることは理解されよう。dNTP/NTP及び/または開始因子核酸配列を固定するための固相担体部分または移動相担体部分が、dNTP/NTP及び/または開始因子核酸配列を固定することを可能にすることができる任意の好適な基材から選択されることになることも、理解されよう。固相担体部分は典型的には、合成プロセス全体を通してずっと静止し続ける表面、材料または粒子を含む。移動相担体部分(例えば、粒子、ビーズ、ナノ材料など)は典型的には、径が1nm以上、例えば1〜1000nm、特に1〜100nm、とりわけ2nm以上、3nm以上、5nm以上または10nm以上であり合成プロセスの異なる部分を通してずっと移動または静止し得る表面、材料またはビーズを含む。
好適な固相/移動相担体部分の例は、固体表面(例えば、ガラス、シリコン、金、プラスチックなど)、例えば平坦面、特に96/384ウェルプレート、または疎水性基材(例えばテフロン);量子ドット(例えば、CdSeS/ZnS、InP/ZnS、及び/またはCuInS2ZnS)、磁気粒子(例えば酸化鉄)、金属/半金属/金属合金粒子(例えば、金、銀及び/またはセレン)、金属酸化物粒子(例えば、Al、Mg、Zr、Ce、Ti、Zn、Fe、Snの酸化物)、シリカ粒子、アガロース粒子、ポリスチレン粒子、炭素系粒子すなわち有機粒子(例えば、グラフェン及び/またはグラフェン酸化物、核酸、タンパク質及び炭水化物)を含めた粒子、ビーズ、ナノ粒子及び/またはナノビーズ;ならびに(例えばポリエチレングリコール、金などによって)官能基化または不動態化された任意の上記表面、粒子、ビーズ、ナノ粒子及び/またはナノビーズから選択され得るが、これらは各々、どの寸法も1nm以上、例えば1〜1000nm、特に1〜100nm、とりわけ1nm以上、2nm以上、3nm以上、5nm以上または10nm以上であり得る。
一実施形態では、固相担体部分は、固体表面(例えば、ガラス、シリコン、金、プラスチックなど)、例えば平坦面、特に96/384ウェルプレート、または疎水性基材(例えばテフロン);固相粒子、ポリマー及び膜から選択される。
一実施形態では、移動相担体部分は、移動相粒子、ナノ粒子、超微細粒子、ナノ材料、または径が1nm以上、例えば1〜1000nm、特に1〜100nm、とりわけ1nm以上、2nm以上、3nm以上、5nm以上または10nm以上である任意の他の材料から選択される。ナノ粒子、超微細粒子またはナノ材料という用語を使用する場合、それらは可溶性粒子及び不溶性粒子の両方ともに該当する。
好適なポリマーの例は、任意の分子量のポリエチレングリコール及びポリエチレンオキシド;任意の分子量の天然ポリマー及び生体高分子(例えば、デキストラン、セルロース、コラーゲン、リグニン、ポリアミノ酸、キトサン/キチン、核酸及び/または任意の他の炭水化物もしくはデンプン);生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリホスホエステル、カプロラクトンなど);π共役ポリマー(例えば、シアノ−ポリフェニレンビニレン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリ(フッ化ビニレン)、ポリピリジンなど);親水性ポリマー(例えば、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリビニルピロリドン、ポリ(2−オキサゾリン)など);ポリシロキサンポリマー;疎水性ポリマー(例えば、スチレン、オレフィン、エステル、エーテル、カーボネートなど);ならびに共有結合または非共有結合による分子の取付けを可能にする化学的または生化学的部分で官能基化された任意の上記ポリマーから選択され得る。
好適な膜の例は、脂質二重層;脂質単層;小胞またはミセル;ポリマー(例えば、セルロース系、ポリフッ化ビニリデンなど)で形成された膜;及び共有結合または非共有結合による分子の取付けを可能にする化学的または生化学的部分で官能基化された任意の上記膜から選択され得る。
一実施形態では、担体部分(すなわち移動相担体部分)は、直径が1nm以上である球状または球形の粒子を含む。さらなる実施形態では、担体部分は、直径が1〜1000nm、例えば1〜100nm、特に、1nm以上、2nm以上、3nm以上、5nm以上または10nm以上である球状または球形の粒子を含む。
代替実施形態では、担体部分(すなわち移動相担体部分)は、どの寸法も1nm以上である棒形または棒状の粒子を含む。さらなる実施形態では、担体部分は、どの寸法も1〜1000nm、例えば1〜100nm、特に、1nm以上、2nm以上、3nm以上、5nm以上または10nm以上である棒形または棒状の粒子を含む。
代替実施形態では、担体部分(すなわち移動相担体部分)は、どの寸法も1nm以上である平坦な構造体、例えば表面を含む。さらなる実施形態では、担体部分は、どの寸法も1〜1000nm、例えば1〜100nm、特に、1nm以上、2nm以上、3nm以上、5nm以上または10nm以上である平坦な構造体、例えば表面を含む。
一実施形態では、担体部分(すなわち移動相担体部分)は、1,000Da超、例えば5,000超、特に、10,000Da超、とりわけ25,000Da超の分子量を有する。
一実施形態では、dNTP/NTPを、固相粒子上に固定するかまたは、核酸合成が起こることになる表面に直接堆積させることによって固定する。dNTP/NTPが固相粒子上に固定されている場合、核酸合成が起こることになる表面に固相粒子を固定することになる。あるいは最初に固相粒子を、核酸合成が起こることになる表面に固定してもよい。その後、dNTP/NTPを固相粒子に固定する。代替実施形態では、dNTP/NTPを移動相粒子に固定する。移動相粒子上に固定されたdNTP/NTPは次に、プロセス変化形態2に記載のプロセスに従って固相担体部分に固定された開始因子鎖に付加した後、固相担体部分に固定される。
一実施形態では、固相粒子を固定する方法は磁気的なものである。
一実施形態では、dNTP/NTPは、窒素塩基(すなわちプリンまたはピリミジン部分)または三リン酸部分または糖部分を介して固相担体に固定される。
さらなる実施形態では、固定は、アジド−アルキン1,3−双極子環化付加、テトラジン/アルケンに基づく環化付加、金−硫黄結合、エポキシド基に対するアミンの求核付加、ビオチン−ストレプトアビジン/アビジン相互作用、マイケルアクセプター(例えばマレイミド)に対するスルフヒドリル基のマイケル付加、ジスルフィド結合を形成するための2つのスルフヒドリル基の酸化、抗体−抗原相互作用(例えば、ジゴキシゲニン−抗ジゴキシゲニン)などを含む。
固定用リンカーが切断可能リンカーを含有することは理解されよう。かくして、一実施形態では、固定は可逆及び/または切断可能である。
一実施形態では、切断可能リンカーは、電磁放射線(例えば350nmの光)もしくは還元剤もしくは酸化剤もしくは熱もしくは電気化学またはそれらの組み合わせによって切断されることができる。
一実施形態では、5’固定化鎖(すなわち捕捉鎖)は、鎖の5’末端を固体担体表面に繋げることができるアジド基などの官能基を含有する。
切断可能リンカー
切断可能リンカーが、2つ以上の単位を結び付ける広範に安定な部分であることは理解されよう。但し、当該リンカーは切断条件への曝露によって破壊され、したがって、リンカーによって結び付けられた2つの単位の分離が起こる。有用性を提供するためには、切断条件は関心対象の系に適合していなければならない。当技術分野で利用することができる多くの化学的切断可能リンカーが存在する。好適ないくつかの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:
アジドでマスクされたヘミアミナールエーテル部位(−OCHN−)を含むリンカーは、アジドからアミンへの還元によって切断され得るものであるが、結果的に、剥き出しになったヘミアミナールエーテルの自発的分解が誘発される。好適な還元剤としては、ホスフィン(例えばTCEP)、チオール(例えば、DTT、EDT)、ならびに金属−リガンド錯体、例えば、有機金属のRu−、Ir−、Cr−、Rh−、及びCo−錯体が挙げられる。好適な金属−リガンド錯体の例は有機金属(Ru(bpy)3 2+)及びその塩、例えばRu(bpy)Clである。
保護されたヘミアミナールエーテルのための他の構成としては、水溶性リガンドと錯形成した遷移金属(例えば水溶性ホスフィンリガンドと錯形成したPd)を使用して切断され得るものである、アリルまたはアリルカルバメート部分;弱塩基、例えば1%のNaCOで切断され得るものである、sulfmoc;弱塩基、例えば0.1MのNaOHで切断され得るものである、m−クロロ−p−アシルオキシベンジルカルバメート;及び還元剤、例えばTCEP、DTTによって切断され得るものである、4−アジドベンジルカルバメートが挙げられる。
ホスフィン部分を含むリンカーは、アジド試薬、例えばアルキルまたはアリールアジドとのインキュベーションによって切断され得る。生成するアザ−イリドは、切断を容易にするために適切に配置されたエステル部分と反応し得る。
ケイ素含有部位を含むリンカーは、KF及びテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)などのフッ化イオンの存在下で切断され得る。
ジスルフィド部位を含むリンカーは、ホスフィンまたはチオール試薬による還元によって切断され得る。
シアノエチル部位を含むリンカーは、NHまたは10%KCOの溶液などの塩基性条件下で切断され得る。
光切断可能部位を含むリンカーは、UV光、理想的には、関心対象の系に関与しない波長のUV光によって切断され得る。好適な光切断可能部位は当技術分野でよく知られている。例えば、オルトニトロベンジル基は365nmのUVによって切断され得る。
他の好適な切断部位は当技術分野でよく知られている。
固定化dNTP/NTP
一実施形態では、ヌクレオチドは、式(I)の化合物:
Figure 2020521508
〔ここで、
は、ヒドロキシル保護基を表し、
は、水素、ヒドロキシル、−N、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、−O−2−(シアノエトキシ)メチル、−O−(2−シアノエチル)、−O−アジドメチル、−アミノキシ、または−O−アリルを表し、
Xは、水素または1つ以上のリン酸基を表し、
Wは、塩基を表す〕
によって遮断される。
代替実施形態では、ヌクレオチドは、式(II)の化合物:
Figure 2020521508
〔ここで、
及びRは、独立してHまたはOHもしくはその保護誘導体を表し、
Xは、水素または1つ以上のリン酸基を表し、
Wは、塩基を表し、
Yは、切断可能リンカーを表し、
Zは、遮断基または担体部分を表す〕
によって遮断される。
一実施形態では、Xは、一リン酸、二リン酸、三リン酸または四リン酸基を表す。
一実施形態では、Wは、窒素塩基から選択される。さらなる実施形態では、Wは、プリンまたはピリミジン部分から選択される。さらなる実施形態では、塩基は、アデニン、グアニン、ウラシル、チミンまたはシトシンから選択される。
一実施形態では、Zとして定義される担体部分は、本明細書において定義されているとおりである。
さらなる実施形態では、担体部分はさらに、本明細書において定義される核酸捕捉鎖配列を含む。
キット
本発明のさらなる態様によれば、キットであって、本明細書において定義される改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を、場合によって開始因子配列、マイクロ流体装置またはチップ、1つ以上の可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸、無機ピロホスファターゼ、例えばSaccharomyces cerevisiae由来の精製済み組換え無機ピロホスファターゼ、及び切断剤から選択される1つ以上の構成要素と組み合わせて含み;さらに場合によって、本明細書において定義される方法に従ってキットを使用するための説明書を一緒に含む、当該キットが提供される。
好適には、本発明に係るキットはさらに、本明細書において定義される伸長用溶液、洗浄溶液及び/または切断用溶液の群から選択される1つ以上の構成要素を、場合によって本明細書において定義されるいずれかの方法に従ってキットを使用するための説明書と一緒に、含有し得る。
本発明のさらなる態様によれば、核酸合成方法における、本明細書において定義されるキットの使用が提供される。
以下の試験及びプロトコールは、本明細書に記載の方法の実施形態を例示する:
図2からも分かるように、完全長TdTは、酵素に基づく核酸合成基盤において配列制御の手段を提供するものである3’可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸を受容するように改変されることができる(WO2016/128731参照)。しかしながら、完全長TdTは、それをサイクリックプロセスでの使用のための酵素としてはあまり適さないものにするいくつかの形質を有し、これらは、単回付加アッセイでは観察されないものである。完全長TdTは、溶液中で凝集する傾向にあり、多種多様な表面を急速に汚染し、図4からも分かるように単量体種、多量体種または凝集物としてDNAと強く会合する。図4では、本発明者らは、完全長TdTがDNA開始因子分子から速やかに解離しないのに対し、短縮型TdTは速やかに解離するということを実証した。当然、それに続く修飾ヌクレオチドの組込効率は、完全長TdTの挙動不良に起因して悪化する可能性があるということになる。考えられる原因としては、付加した3’可逆的停止剤への到達が制限されて結果的に化学的手段か酵素的手段かのどちらかによる脱保護が妨げられること、または無能力な酵素形態が永続的に結合することが挙げられる。
実際、図5及び図6からも分かるように、完全長の改変型TdTは総じて修飾ヌクレオチド三リン酸を定量的に連続して付加させることができない。多ステップサイクルアッセイは以下のとおりに実施した:(1)TdT触媒によって可逆的停止ヌクレオチド三リン酸を固定化DNA開始因子分子の3’末端に付加させ、(2)未反応のヌクレオチド三リン酸及び酵素を洗い流し、(3)付加した可逆的停止ヌクレオチドを脱保護し、(4)脱保護剤を洗い流し、(5)プロセスをステップ(1)から繰り返す。TdT媒介核酸合成の循環的性質ゆえに、単一ステップ組込効率ではなく多ステップ組込効率を使用してTdT酵素変異体の品質を鑑定せねばならない。このように、DNAと強く会合する傾向は、図2に示す単回ステップでの修飾ヌクレオチド三リン酸の定量的な転化にもかかわらず多ステップでの同じ修飾ヌクレオチド三リン酸の組込効率が良くないこと(図3〜4)の原因である。
上に述べたとおり、本発明者らは、本発明者らによるより良好なTdT変異体の探索の一部として、TdTの野生型及び改変型変異体に対して一連の切断を行った。驚くべきことに、本発明者らは、BRCTドメインまたはその断片を欠く改変型TdTが修飾ヌクレオチド三リン酸を連続して定量的に付加させることができるのに対し、完全長の改変型TdT酵素はそのような逐次付加をすることができない、ということを発見した。図4に示すように、短縮型TdTはDNAとそれほど強く会合せず、このため多ステップ組込効率がより良好になる。TdTのN末端側での突然変異及び切断はまた、酵素のストークス径を減少させ、その結果、DNA開始因子分子が表面に固定されているときの立体的問題がより少なくなるとともに、多孔質マトリックス中への酵素の浸透がより良好になる。図5は、完全長TdTが開始因子からN+2生成物への乏しい転化を呈することを示す。これとは全く対照的に、TdTのN末端突然変異は、図6に示すように連続して10個超の可逆的遮断ヌクレオチドをDNA開始因子分子の3’末端に付加させる能力からも分かるように、サイクル組込効率の著しい向上をもたらす。
参考文献
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付録1
ターミナルトランスフェラーゼ酵素配列
Figure 2020521508
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Claims (24)

  1. 1つ以上のヌクレオチドを核酸の3’末端に付加させる方法における改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の使用であって、前記酵素が突然変異BRCA−1 C末端(BRCT)ドメインを含むことを特徴とする、前記使用。
  2. 前記ターミナルトランスフェラーゼ酵素がDNAポリメラーゼXファミリー由来のものである、請求項1に記載の使用。
  3. 前記ターミナルトランスフェラーゼ酵素が、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)、DNAポリメラーゼλ(Polλ)及びDNAポリメラーゼμ(Polμ)、例えばターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)から選択される、請求項1または請求項2に記載の使用。
  4. 前記BRCTドメインが、欠失、置換または挿入から選択される1つ以上の突然変異を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
  5. 前記酵素が、
    切断型BRCTドメイン、例えば、N末端側が切断されたBRCTドメインを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
  6. 前記BRCTドメインが存在していない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
  7. 前記方法が核酸合成である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
  8. 核酸合成方法であって、
    (a)初発開始因子配列を提供するステップ、
    (b)請求項1〜6のいずれか1項に記載の改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の存在下で可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸を前記開始因子配列に付加させるステップ、
    (c)前記開始因子配列から全ての試薬を除去するステップ、
    (d)ステップ(b)で前記開始因子配列に付加した前記可逆的遮断ヌクレオチドから遮断基を切断するステップ、及び
    (e)前記切断剤を除去するステップ
    を含む、前記方法。
  9. ステップ(b)〜(e)を繰り返すことによって1つより多くのヌクレオチドが付加する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ヌクレオチドが、式(I)の化合物:
    Figure 2020521508
    〔ここで、
    は、ヒドロキシル保護基を表し、
    は、水素、ヒドロキシル、−N、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、−O−2−(シアノエトキシ)メチル、−O−(2−シアノエチル)、−O−アジドメチル、−アミノキシ、または−O−アリルを表し、
    Xは、水素または1つ以上のリン酸基を表し、
    Wは、塩基を表す〕
    で遮断されている、請求項8または請求項9に記載の方法。
  11. 前記可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸が前記ヌクレオチドの糖部分の3’位置において3’−O−2−(シアノエトキシ)メチル、3’−O−(2−シアノエチル)、3’−O−アジドメチル、3’−アミノキシ、または3’−O−アリル基のいずれかによって遮断されている、請求項8または請求項9に記載の方法。
  12. 前記可逆的遮断ヌクレオチドが、前記ヌクレオチドの塩基部分の任意の位置において式(II)の化合物:
    Figure 2020521508
    〔ここで、
    及びRは、独立してHまたはOHもしくはその保護誘導体を表し、
    Xは、水素または1つ以上のリン酸基を表し、
    Wは、塩基を表し、
    Yは、切断可能リンカーを表し、
    Zは、遮断基または担体部分を表す〕
    によって遮断されている、請求項8または請求項9に記載の方法。
  13. 前記初発開始因子配列が5〜100ヌクレオチドの長さ、または10〜90ヌクレオチドの長さ、または5〜20ヌクレオチドの長さである、請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素が固体担体上に固定されている、請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素が液相中にある、請求項8〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 交互相ポリマー合成方法であって、
    (a)切断可能リンカーを介して担体部分に固定されたモノマーを提供するステップ、
    (b)長さ(N)のポリマーを提供するステップ、
    (c)請求項1〜6のいずれか1項に記載の改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を提供して前記ポリマーを前記固定化モノマーに連結して長さ(N+1)の固定化連結ポリマーを生み出すステップ、
    (d)未連結のポリマーを全て除去するステップ、及び
    (e)長さ(N+1)の前記固定化連結ポリマーを前記担体部分から切断するステップ
    を含む、前記方法。
  17. 核酸合成方法であって、
    (a)切断可能リンカーを介して担体部分に固定されたデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)またはヌクレオチド三リン酸(NTP)を提供するステップ、
    (b)長さ(N)の開始因子核酸配列を提供するステップ、
    (c)請求項1〜6のいずれか1項に記載の改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を添加して前記開始因子核酸配列を前記固定化dNTP/NTPに連結して長さ(N+1)の固定化連結配列を生み出すステップ、
    (d)未連結の開始因子核酸配列を全て除去するステップ、及び
    (e)長さ(N+1)の前記固定化連結配列を前記担体部分から切断するステップ
    を含む、前記方法。
  18. 核酸合成方法であって、
    (a)切断可能リンカーを介して担体部分に固定されたデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)またはヌクレオチド三リン酸(NTP)を提供するステップと、
    (b)長さ(N)の開始因子核酸配列を提供するステップと、
    (c)前記開始因子核酸配列に対して相補的でありかつハイブリダイズすることができる核酸捕捉鎖配列を提供するステップであって、前記捕捉鎖の3’末端がステップ(a)の前記dNTP/NTPと同じ担体部分に固定されている前記ステップと、
    (d)請求項1〜6のいずれか1項に記載の改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を添加して前記開始因子核酸配列を前記固定化dNTP/NTPに連結して長さ(N+1)の固定化連結配列を生み出すステップと、
    (e)どの捕捉鎖/開始因子配列二本鎖の融解温度よりも高い反応温度を提供するステップと、
    (f)未連結の開始因子核酸配列を全て除去するステップと、
    (g)どの捕捉鎖/開始因子配列二本鎖の融解温度よりも低い反応温度を提供するステップと、
    (h)長さ(N+1)の前記固定化連結配列を前記担体部分から切断するステップと、
    (i)どの捕捉鎖/開始因子配列二本鎖の融解温度よりも高い反応温度を提供して前記捕捉鎖/開始因子配列二本鎖を分離するステップと
    を含む、前記方法。
  19. 核酸合成方法であって、
    (a)切断可能リンカーを介して移動相担体部分に固定されたデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)もしくはヌクレオチド三リン酸(NTP)、または窒素塩基を介して可逆的停止剤もしくは遮断部分を含有しているdNTP/NTPを提供するステップ、
    (b)切断可能リンカーを介して固相担体部分に固定された長さ(N)の開始因子核酸配列を提供するステップ、
    (c)請求項1〜6のいずれか1項に記載の改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を添加して前記移動相固定化dNTP/NTPを前記固相固定化開始因子核酸配列に連結して長さ(N+1)の固定化連結配列を生み出すステップ、
    (d)未連結の開始因子核酸配列を全て除去するステップ、及び
    (e)前記移動相担体部分を長さ(N+1)の前記固定化連結配列から切断するステップ
    を含む、前記方法。
  20. マイクロ流体装置内で実施される、請求項8〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. マイクロ流体装置内で実施される核酸合成方法であって、
    (a)マイクロ流体装置内の表面に結合した初発開始因子配列を提供するステップ、
    (b)請求項1〜6のいずれか1項に記載の改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素の存在下で可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸を前記開始因子配列に付加させるステップ、
    (c)前記開始因子配列から全ての試薬を除去するステップ、
    (d)ステップ(b)において前記開始因子配列に付加した前記可逆的遮断ヌクレオチドから前記遮断基を切断剤の存在下で切断するステップ、及び
    (e)前記切断剤を除去するステップ
    を含む、前記方法。
  22. 前記マイクロ流体装置が連続流マイクロ流体装置、液滴に基づくマイクロ流体装置、デジタル式マイクロ流体装置、プログラマブルデジタル式マイクロ流体装置、マイクロアレイ装置(例えばDNAチップ)、光流体工学装置、及び音響液滴吐出(ADE)装置から選択される、請求項20または請求項21に記載の方法。
  23. キットであって、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の改変型ターミナルトランスフェラーゼ酵素を、場合によって開始因子配列、マイクロ流体装置またはチップ、1つ以上の可逆的遮断ヌクレオチド三リン酸、無機ピロホスファターゼ、例えばSaccharomyces cerevisiae由来の精製済み組換え無機ピロホスファターゼ、及び切断剤から選択される1つ以上の構成要素と組み合わせて含み、
    さらに場合によって、請求項8〜22のいずれか1項に記載の方法に従って前記キットを使用するための説明書を一緒に含む、
    前記キット。
  24. 核酸合成方法における請求項23に記載のキットの使用。
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