図1A:mJX−594の腫瘍内(IT)注射と、腹腔内投与される抗PD−1チェックポイント阻害抗体を用いた並行併用治療レジメンを図示するチャートである。8週齢のBALB/cの免疫能力があるマウスに、5×105個のRenca(腎癌)細胞を注射した。腫瘍のサイズが50mm3以上になった時点(0日目)で、マウスは、PBS(対照、0、3、6および9日目)、抗PD−1抗体単独(0、3、6および9日目)、mJX−594単独(0、2および4日目)、または抗PD−1とmJX−594の並行送達(0、2および4日目にそれらの剤を同時投与した後に、6日目に抗PD−1単独投与し、そしてmJX−594は1×107pfuで腫瘍内(IT)投与され、抗PD−1は10mg/kgで腹腔内(IP)投与された)を用いて治療された。図1B:8週齢のメスのBALB/cマウスに、RENCA細胞(2×106個の細胞)を100μlのPBS中で、左腎の被膜下に注射した。移植後10日目に、Renca腫瘍(IVIS(登録商標)スペクトラムインビボイメージングシステムを用いて可視化されたときに50mm3〜100mm3)を担持するマウスに、示されるレジメンに従い、(i)PBS(対照)、(ii)ワクシニアウイルス(JX−929)単剤療法(6×107PFUを移植後10、11および12日目に合計3用量)、(iii)抗PD1単剤療法(BioXcell社(ニューハンプシャー州West Lebanon)、100μl)(移植後10、11および12日目に合計3用量)、または(iv)JX929+抗PD1の並行治療(それぞれ移植後10、11および12日目に投与され、JX−929は午前に投与され、ICIは同じ日の午後に9時間の間隔で投与された)を用いて腹腔内(i.p)で治療を行った。図1C:50mm3を越えるRenca腫瘍を担持するBalb/cマウスに、示される治療レジメンに従い、mJX594(0、3、6および9日目のそれぞれで1×107)またはPBS対照の4用量を腫瘍内で治療された。
図2A:腫瘍体積に対する、図1Aに記載される治療レジメンの効果を示すグラフ。並行組み合わせ治療(PD1+mJX594)は、他のすべての治療群と比較して、腫瘍増殖を有意に抑制した(移植後18日の後)。図2B:図1Aに記載される各治療群における腫瘍重量を示す写真とグラフ。並行組み合わせ治療(PD1+mJX594)は相乗的に効果を発揮して、いずれの単剤療法と比較しても著しく腫瘍体積を減少させた。
IT mJX−594と抗PD−1を用いた並行組み合わせ治療は、対照およびいずれの剤を用いた単独治療と比較しても腫瘍内T細胞浸潤を著しく増加させた。マウスは図1に示される投与レジメンに従い治療された。図3A:対照群および単剤療法群と比較して、並行組み合わせ治療群において、腫瘍周辺領域および腫瘍内領域の両方においてCD8 T細胞浸潤が著しく増加していることを示す画像。図3B:対照群およびいずれの単剤療法群と比較しても、並行組み合わせ治療群において、腫瘍周辺および腫瘍内のCD8 T細胞浸潤が著しく増加していることを示すグラフ。
IT mJX−594および抗PD−1を用いた並行組み合わせ治療は、腫瘍内のPD−L1の発現をアップレギュレートする。マウスは図1に示される投与レジメンに従い治療された。図4A:対照群およびいずれの単剤療法群と比較しても、並行組み合わせ治療群において、腫瘍周辺領域および腫瘍中心領域の両方でPD−L1の発現レベルが著しく増加していることを示す画像(PD−L1染色)。図4B:対照群およびいずれの単剤療法群と比較しても、並行組み合わせ治療群において、腫瘍内のアポトーシスが著しく増加していることを示す画像。
CD8 T細胞およびCD11b+Gr1+骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)が、対照群と比較して、並行組み合わせ治療群において増加している。図5A:各治療群の腫瘍におけるCD8およびGr−1に対して陽性を示すフローサイトメトリーのグラフである。いずれの単剤療法群と比較しても、並行組み合わせ治療群の腫瘍は、CD8+T細胞の有意な増加が示されている。MDSCの増加も、いずれかの単剤療法と比較して示されている。図5B:棒グラフは、フローサイトメトリーの結果を示す。
同上。
mJX−594のIT注射と、腹腔内送達される抗PD1(+/−抗CTLA4)チェックポイント阻害抗体を用いた組み合わせ治療レジメンを図示するチャートである。8週齢のBALB/cマウスの右脇腹に、5×105個のRenca細胞を皮下注射した。腫瘍のサイズが50〜100mm3に達した時点(0日目)で、治療を開始した。0日目、マウス(Renca腫瘍を担持する)は、PBS(対照)、連続送達されるmJX−594+抗PD−1抗体の組み合わせ、並行送達されるmJX−594+抗PD−1の組み合わせ、および並行送達されるmJX−594+抗PD−1+抗CTLA4の3重の組み合わせを用いて治療された。mJX−594は1×107pfuでIT投与され、抗PD−1は10mg/kgでIP投与され、そして抗CTLA4は4mg/kgでIP投与された。
腫瘍体積に対する、図6に記載される治療レジメンの効果を示すグラフ。αPD1+mJX594およびαPD1+mJX594+αCTLA4を用いた並行組み合わせ治療は、すべての他の治療群と比較して、(治療後)6日目から有意に腫瘍増殖を抑制した。並行組み合わせ治療群は両方とも、対照群および連続組み合わせ治療群(mJX594→αPD1)と比較して著しく腫瘍増殖を遅延させ、これでは腫瘍退縮は、12日目から観察された。
mJX−594のIT注射と、腹腔内送達される抗CTLA4チェックポイント阻害抗体を用いた組み合わせ治療レジメンを図示するチャートである。8週齢のBALB/cマウスの右脇腹に、5×105個のRenca細胞を皮下注射した。腫瘍のサイズが50〜100mm3に達した時点(0日目)で、治療を開始した。0日目、マウス(Renca腫瘍を担持する)は、PBS(対照)、抗CTLA単独、mJX−594単独、連続送達されるmJX−594+CTLA4の組み合わせ、および並行送達されるmJX−594+CTLA4の組み合わせを用いて治療された。mJX−594は1×10pfuでIT投与され、抗CTLA4は4mg/kgで投与された。
腫瘍体積に対する、図8に記載される治療レジメンの効果を示すグラフ。mJX594+αCTLA4を用いた並行組み合わせ治療は、mJX594+αCTLA4を用いた連続組み合わせ治療およびいずれの単剤療法と比較して著しく腫瘍増殖を遅延させた。
IT mJX594および抗CTLA4の並行的な組み合わせは、連続的な組み合わせ、およびいずれの単剤療法と比較してCD8+T細胞の腫瘍浸潤を著しく増加させ、MDSCレベルを減少させた。図10A:各治療群の腫瘍におけるCD8およびGr−1に対する陽性を示すフローサイトメトリーのグラフである。連続治療群、およびいずれの単剤療法群と比較して、並行組み合わせ治療群の腫瘍は、CD8+T細胞の有意な増加と、MDSCの有意な減少が示されている。図10B:棒グラフは、フローサイトメトリーの結果を示す。
同上。
mJX−594の静脈内(IV)注射と、腹腔内送達される抗PD1チェックポイント阻害抗体を用いた組み合わせ治療レジメンを図示するチャートである。8週齢のBALB/cマウスの右脇腹に、5×105個のRenca細胞を皮下注射した。腫瘍のサイズが50〜100mm3に達した時点(0日目)で、治療を開始した。0日目、マウス(Renca腫瘍を担持する)は、PBS(対照)、抗PD1単独、mJX−594単独、または並行送達されるmJX−594+抗PD1を用いて治療された。mJX−594は2×107pfuでIV投与され、抗PD1は10mg/kgでIP投与された。
腫瘍体積に対する、図11に記載される治療レジメンの効果を示すグラフ。mJX594 IV+αPD1を用いた並行組み合わせ治療は、mJX594単独を用いた治療よりも劣っており、αPD1単独での治療と同じであった。
3日ごとに投与される1×107pfuのmJX594mJX594(ウイルスチミジンキナーゼ遺伝子の破壊と、マウスGM−CSFの挿入を含むように操作されたWyethワクシニアウイルス)の4つの用量を用いて腫瘍内で治療されたRenca腫瘍担持マウスにおける免疫チェックポイントタンパク質の倍数変化(治療前レベルに対する)を示すチャート。
mJX594注射の回数と、腫瘍増殖阻害に関するデータを提示する。mJX594を用いた最適な免疫療法を見出すために、Renca腎癌において様々な用量数を検証した。腫瘍増殖は、mJX594の用量数が増加するにつれ減少した。
mJX594治療後のCD8+T細胞の腫瘍内リクルートを示す画像。
mJX594治療後のCD8+T細胞の腫瘍内リクルートを示す画像。mJX594治療された腫瘍において、リンパ濾胞と類似したCD8+リンパ細胞の凝集が観察された。
mJX594は腫瘍内CD8+T細胞の数を増加させ、エフェクター機能を強化させることを示すデータ。CD8+T細胞と制御性T細胞の比率は、mJX594治療後に上昇した。CD8+T細胞におけるICOSおよびグランザイムBの発現は、mJX594治療後に増加した。CD4+Foxp3+CD25+制御性T細胞ならびにCD8+T細胞およびCD4+T細胞の数はリンパ細胞分画において同時に拡大されたが、CD8+エフェクターT細胞と制御性T細胞の比率は、対照と比較してさらに上昇した。さらに共刺激およびT細胞活性化のマーカーであるICOSおよびグランザイムB(GzB)の発現もCD8+T細胞において増加した。
mJX594治療は、骨髄細胞(Ly6G−Ly6C+↑、Ly6G+Ly6Cint↓)を再分極させたことを示すデータ。mJX594は、CD11b+Ly6G−Ly6C+単球性骨髄細胞を増加させ、またCD11b+Ly6G+Ly6Cint顆粒球性骨髄細胞を減少させる。骨髄細胞分画のサブセット解析において、本発明者らは、CD11b+Ly6G−Ly6C+単球性骨髄細胞の増加と、CD11b+Ly6G+Ly6Cintの顆粒球性骨髄細胞の減少を見出した。これは、mJX594投与により単球性細胞と顆粒球性細胞の比率が大きく増加したことを示唆する。
枯渇抗体実験を伴う治療の概略を示すデータ。免疫系のどの構成要素がmJX594治療後の治療効果をもたらしているかを解明するために、腫瘍増殖と抗癌免疫におけるCD8+T細胞、CD4+T細胞、およびGM−CSFの枯渇の影響を検証した。
T細胞またはGM−CSFを枯渇させることで、mJX594の抗癌効果が大きく無効化されたことを示すデータ。CD8+T細胞およびCD4+T細胞の両方とも、mJX594治療の抗癌効果において必須のメディエーターであり、GM−CSFも免疫療法の利益をもたらし得る。mJX594の単剤治療でも効率的な腫瘍阻害が検出されたが、CD8+T細胞またはCD4+T細胞のいずれかの枯渇は、治療効果の消滅をもたらした。
CD4+T細胞またはGM−CSFの枯渇が、mJX594後の腫瘍内CD8+T細胞の浸潤を減少させることを示すデータ。CD4+T細胞の枯渇が、腫瘍内CD8+T細胞を減少させたことから、CD4+T細胞がCD8+T細胞の活性化に関与していたことが示唆される。GM−CSFの枯渇は、CD8+T細胞およびCD4+T細胞の両方を減少させた。mJX594注射を伴うCD4+T細胞の枯渇は、腫瘍内CD8+T細胞を減少させたことから、CD4+T細胞がCD8+T細胞の活性化に関与していたことが示唆される。対照的に、CD8+T細胞の枯渇はCD4+T細胞に有意な変化を誘導しなかった。このことから、CD8+T細胞は、CD4+T細胞に影響を与えなかったことが示唆される。これらのデータから、mJX594を用いた治療は、抗癌免疫の指標であるCD8+T細胞およびCD4+T細胞のプライミングを誘導したことが示される。CD8+T細胞およびCD4+T細胞の浸潤は、抗癌効果の指標である。
mJX594、αPD−1、およびαCTLA−4の3重組み合わせ治療に関する実験の概要。mJX594
mJX594、αPD−1、およびαCTLA−4の3重組み合わせが、腫瘍増殖を著しく遅延させたことを示すデータ。注目すべきは、mJX594、αPD−1およびαCTLA−4の3重組み合わせが一部のマウス(37.5%)においてRenca腫瘍の完全退縮をもたらした点である。対照と比較して、αPD−1とαCTLA−4の2重組み合わせは14.5%だけ腫瘍増殖を遅延させ、mJX594の単剤療法は36.9%だけ腫瘍増殖を阻害し、3重組み合わせは76.5%の腫瘍増殖阻害を示した。注目すべきは、mJX594、αPD−1およびαCTLA−4の3重組み合わせは、完全腫瘍退縮(完全奏効率:37.5%)をもたらした点であり、いずれの2重組み合わせまたはmJX594単剤療法で治療された腫瘍でも完全腫瘍退縮は観察されなかった。
mJX594、PD−1、およびCTLA−4の3重組み合わせ免疫療法が、全体的な生存を延長させることを示すデータ。3重併用療法で治療されたマウスは、著しい抗癌治療効果を示した。さらに、3重併用療法により誘導されたこれらの強力な抗癌効果を、長期間の生存利益に変換することができたのかどうかを確認するために、腫瘍担持マウスの生存解析を実施した。3重併用療法で治療されたマウスは、単剤療法または2重組み合わせ免疫療法と比較して生存利益を示した。
mJX594、αPD−1、およびαLAG3の3重組み合わせ治療に関する実験の概要。
mJX594、αPD−1、およびαLAG3の3重組み合わせが、腫瘍増殖を中程度に遅延させたことを示すデータ。この実験において、3重組み合わせは、mJX594とαPD−1の2重組み合わせと比較して統計的に有意な差を示さなかった。対照と比較して、mJX594とαPD−1の2重組み合わせは41.9%まで腫瘍増殖を遅延させ、αLAG3の単剤療法は5.7%まで腫瘍増殖を阻害した。3重組み合わせは、30.1%の腫瘍増殖阻害を示した。
mJX594、αPD−1、およびαLAG3の3重組み合わせが、CD8+T細胞およびCD4+T細胞を増加させたことを示すデータ。リンパ細胞分画のサブセット解析により、2重組み合わせ治療および3重組み合わせ治療で腫瘍内CD8+T細胞とCD4+T細胞の絶対数が増加したことが明らかとなった。
mJX594、αPD−1、およびαTIGITの3重組み合わせ治療に関する実験の概要。
mJX594、αPD−1、およびαTIGITの3重組み合わせが、腫瘍増殖を中程度に遅延させたことを示すデータ。3重組み合わせは、Renca腫瘍においてmJX594とαPD−1の2重組み合わせと比較して有意な差を示さなかった。
mJX594、αPD−1、およびαTIGITの3重組み合わせが、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を増加させたことを示すデータ。リンパ細胞分画のサブセット解析により、2重組み合わせ治療および3重組み合わせ治療で腫瘍内CD8+T細胞とCD4+T細胞の絶対数が増加したことが明らかとなった。
mJX594が、抗PD1治療と相乗効果を発揮して、結腸癌の増殖を遅延させたことを示すデータ。ICI単剤療法に対する抵抗性を克服するために、CT26結腸癌モデルにおいてmJX594と免疫チェックポイント遮断剤の組み合わせ効果を評価した。このモデルにおいて、αPD−1単剤療法は腫瘍増殖に対してほとんど効果を示さず、mJX594単剤療法は中程度の腫瘍増殖阻害を示した。しかしながらmJX594とαPD−1抗体の2重療法は腫瘍増殖を著しく遅延させた。
mJX594と抗PD1治療の組み合わせが、腫瘍内CD8+T細胞を増加させたことを示すデータ。腫瘍増殖阻害とともに、顕微鏡解析では、併用療法で治療された腫瘍の周辺領域および中心領域の両方においてCD8+T細胞の著しいリクルートが示された。
mJX594(JX)は、免疫抑制性のTMEにおいて免疫関連遺伝子の動的な変化を生じさせる。Renca腫瘍をBALB/cマウスにs.c.移植し、腫瘍が50mm3を越えたときに1×107pfuのmJX−594の単回i.t.注射で治療した。(A)JXで治療されたRenca腫瘍の代表的な画像。ワクシニアウイルス(VV)、CD31、CD8、CD11c、およびPD−L1で染色された腫瘍。(B)ワクシニアウイルス+、CD31+血管、CD8+細胞障害性T細胞、CD11c+樹状細胞、およびPD−L1+細胞の発現の定量。(C)JX治療後の腫瘍微小環境におけるVV、CD8およびPD−L1の経時的変化。(D)JX治療後のTME内の様々な細胞型(緑)においてアップレギュレートされたPD−L1発現(赤)を示す画像。PD−L1の発現は主にPan−CK+腫瘍細胞(矢頭)で観察されたが、一部のCD11b+骨髄細胞(矢頭)も稀にPD−L1を発現していた一方で、CD3+T細胞は発現しなかった事に注意されたい。(E)NanoString免疫関連遺伝子発現のヒートマップ。赤色および緑色はそれぞれアップレギュレートとダウンレギュレートを表す。(F)JX治療された腫瘍における遺伝子発現を示すVolcanoプロット。免疫刺激に関連する遺伝子が示されている。赤線はp<0.05を示す。(G)阻害性免疫チェックポイント(IC)、アゴニスト性IC、Th1反応、Th2反応、TME、および骨髄細胞に関連する遺伝子発現の比較。別段の指定が無ければ、各群に対し、n=5である。値は平均±SEMである。対照に対して*p<0.05。スケールバーは、50μm。一部のデータは図13にも示されている。
JXは腫瘍増殖を抑制し、T細胞浸潤の増加と骨髄細胞の変調があった。Renca腫瘍を担持するマウスに、PBSまたは1×107pfuのJXを用いて1〜3回、i.t.治療した。(A〜B)JXで治療されたマウスにおける腫瘍増殖の比較。経時的な平均(A)および個体ごと(B)の腫瘍増殖曲線。(C〜D)JXで1〜3回治療された腫瘍の腫瘍周辺領域または腫瘍内領域におけるCD8+T細胞の代表的な画像(C)および比較(D)。(E)腫瘍中のCD8+T細胞分画およびCD4+T細胞分画を示す代表的なフローサイトメトリーのプロット。(F)フローサイトメトリーから算出された、腫瘍1グラム当たりのCD8+T細胞およびCD4+T細胞の絶対数。(G)JXの3重投与で治療された腫瘍中のCD45+、CD8+、およびCD4+の分画の比較。(H〜J)腫瘍中のCD4+Foxp3+CD25+(Treg)、CD8/Treg比率、CD8+ICOS+、およびCD8+GzB+の分画の比較。(K)腫瘍中のCD11b+Gr1+骨髄細胞分画の比較。(L)腫瘍中のCD11b+骨髄細胞分画を示す代表的なフローサイトメトリーのプロット。(M)腫瘍中のCD11b+に対する、Ly6G−Ly6C+単球性骨髄細胞の分画、Ly6G+Ly6Cint顆粒球性骨髄細胞、および単球性/顆粒球性の比率の比較。別段の指定が無ければ、各群に対し、n=5〜6である。値は平均±SEMである。対照に対して*p<0.05。JX xIに対して#p<0.05;JX x2に対して$p<0.05。nsは有意ではない。スケールバーは、100μm。一部のデータは図19〜21にも示されている。
JXの腫瘍内注射は、局所および離れた腫瘍の両方においてCD8+リンパ細胞浸潤を誘導する。マウスの右脇腹にRenca腫瘍をs.c.注射し、左わき腹にRenca腫瘍またはCT26腫瘍をs.c.注射した。矢印はi.t.JX治療を示す。(A)腫瘍移植と治療の模式図。およびJX注射されたRenca腫瘍と、注射されていないRenca腫瘍の増殖曲線。(B〜C)JX注射された腫瘍と注射されていない腫瘍におけるCD8+T細胞(緑)の代表的な画像(B)および比較(C)。(D)移植と治療の模式図。およびJX注射されたRenca腫瘍と、注射されていないCT26腫瘍の増殖曲線。(E〜F)JX注射された、離れた腫瘍におけるCD8+T細胞(緑)の代表的な画像(E)および比較(F)。別段の指定が無ければ、各群に対し、n=5である。値は平均±SEMである。対照に対して*p<0.05。nsは有意ではない。スケールバーは、50μm。
抗腫瘍免疫は、JXの治療効果全体において重要な役割を果たしている。マウスにRencaをs.c.移植し、そしてi.t.JXで治療し、またはCD8+T細胞、CD4+T細胞もしくはマウスGM−CSFに対するi.p.枯渇抗体(depleting antibody)で治療した。(A)治療スキーム。(B〜C)JXまたは枯渇抗体で治療されたマウスにおける腫瘍増殖の比較。経時的な平均(B)および個体ごと(C)の腫瘍増殖曲線。対照に対して*p<0.05。αGM−CSFに対して$p < 0.05。(D〜E)JXおよび免疫細胞枯渇抗体で治療された腫瘍1グラム当たりのCD8+T細胞(D)およびCD4+T細胞(E)の絶対数。別段の指定が無ければ、各群に対し、n=7〜8である。値は平均±SEMである。対照に対して*p<0.05。VXに対して#p<0.05;αGM−CSFに対して$p<0.05。nsは有意ではない。
JXとαPD−1の併用療法は、CD8+T細胞介在性腫瘍免疫を相乗的に惹起させる。Renca腫瘍担持マウスを、PBS、JX、αPD−1抗体、またはJX+αPD−1抗体のいずれかで治療した。(A〜B)JXおよび/またはαPD−1抗体で治療されたマウスにおける腫瘍増殖の比較。経時的な平均(A)および個体ごと(B)の腫瘍増殖曲線。(C〜D)JXおよび/またはαPD−1抗体で治療された腫瘍における、CD8+T細胞、CD31+血管、活性化カスパーゼ3(Casp3)+アポトーシス細胞、およびPD−L1+細胞の代表的な画像(C)ならびに比較(D)。(E)JXとαPD−1遮断剤の併用療法による免疫抑制性TMEの克服を表す略図。別段の指定が無ければ、各群に対し、n=7である。値は平均±SEMである。対照に対して*p<0.05。JXに対して#p<0.05;αPD−1に対して$p<0.05。nsは有意ではない。スケールバーは、100μm。一部のデータは図19〜21にも示されている。
腫瘍内JXおよび全身性ICIを用いた組み合わせ免疫療法の効果は、治療スケジュールにほとんど影響を受けない。マウスにRenca腫瘍をs.c.移植し、様々なスケジュールでJX+ICIを用いて治療した。(A)様々な治療スケジュールを示す略図。矢印はJXのi.t.送達(赤い矢印)または免疫チェックポイント遮断剤の全身送達(青い矢印)のいずれかを用いた治療を示す。(B〜C)異なるタイムスケジュールを使用してJXおよびαPD−1抗体で治療されたマウスにおける腫瘍増殖の比較。経時的な平均(B)および個体ごと(C)の腫瘍増殖曲線。(D)腫瘍に浸潤しているCD8+T細胞分画およびCD4+T細胞分画を示す代表的なフローサイトメトリーのプロット。(E〜F)腫瘍1グラム当たりのCD8+、CD4+、CD8+ICOS+、およびCD8+GzB+の細胞の絶対数の比較。別段の指定が無ければ、各群に対し、n=7である。値は平均±SEMである。対照に対して*p<0.05。nsは有意ではない。
JX、αPD−1、およびαCTLA−4抗体の3重組み合わせにより、完全退縮と、生存全体の改善がもたらされる。マウスにRenca腫瘍をs.c.移植し、PD−1およびCTLA−4に対する免疫チェックポイント遮断剤の存在下、または非存在下で、JXを用いて治療した。(A〜B)JXおよび/または免疫チェックポイント遮断剤を用いて治療されたマウスにおける腫瘍増殖の比較。経時的な平均(A)および個体ごと(B)の腫瘍増殖曲線。(C)腫瘍サイズにおける、基準値からの最大パーセント変化を示すウォーターフォールプロット。(D)生存全体に対するカプランマイヤープロット。(E)腫瘍が完全退縮したマウスにおける、Renca腫瘍細胞の再チャレンジ後の腫瘍サイズの比較。別段の指定が無ければ、各群に対し、n=8である。対照に対して*p<0.05。JXに対して#p<0.05;αPD−1+αCTLA−4に対して$p<0.05。nsは有意ではない。一部のデータは図23〜24にも示されている。
自然発生的乳癌モデルにおいて、3重併用療法は腫瘍増殖と転移を遅延させる。MMTV−PyMTマウスの誕生後9週から始まる自然発生的乳腺腫瘍において、腫瘍増殖を毎週解析した。サンプルは誕生後13週に採取した。(A)治療スケジュールを示す略図。矢印は、JXのi.t.送達、またはαPD−1抗体とαCTLA−4抗体の全身送達のいずれかを用いた治療を示す。(B)腫瘍の肉眼所見を示す代表的な画像。点線の円は触診可能な乳腺腫瘍結節の境界を定めている。(C)総腫瘍担持量の比較。腫瘍担持量は、マウス1匹当たりの各腫瘍結節の量を合計することにより算出された。(D)触診可能な腫瘍結節の数の比較。(E)各腫瘍結節の体積の比較。MMTV−PyMTマウスの各腫瘍結節は、個々のドットとしてプロットされた。(F)生存全体に対するカプランマイヤー曲線。(G)腫瘍内領域を示すH&Eの腫瘍切片。JX群およびJX+P+C群の腺房構造は、早期の浸潤性の低い病変(Ea)であり、周辺乳腺脂肪組織(Adi)を伴う明白な境界を示している。一方で、対照群およびP+C群の浸潤性乳管癌性領域(Ca)は周辺組織を大きく侵し、腫瘍細胞の固形状のシートを形成し、腺房構造は残っていなかった。スケールバーは、200μm。(H〜J)腫瘍中のCD8+T細胞(HおよびI)およびCD31+腫瘍血管(HおよびJ)の代表的な画像ならびに比較。(K)H&Eで染色された代表的な肺切片。矢印は転移病巣を示す。スケールバーは、200μm。(L)肺切片1つ当たりの転移コロニー数の比較。別段の指定が無ければ、各群に対し、n=6〜7である。値は平均±SEMである。対照に対して*p<0.05。JXに対して#p<0.05;αPD−1+αCTLA−4に対して$p<0.05。nsは有意ではない。スケールバーは、100μm。
ワクシニアウイルスは離れた腫瘍では検出されない。強固なワクシニアウイルス(VV)の複製(緑)が右側の注入された腫瘍において観察可能である一方で、ワクシニアウイルスは左側の注入されていない腫瘍では検出されなかった。スケールバーは、100μm。
JXとΛCTLA−4の併用療法は、CD8+T細胞介在性腫瘍免疫を相乗的に惹起させる。Renca腫瘍担持マウスを、PBS、JX、αCTLA−4抗体、またはJX+αCTLA−4抗体のいずれかで治療した。(A〜B)JXおよび/またはαCTLA−4抗体で治療されたマウスにおける腫瘍増殖の比較。経時的な平均(A)および個体ごと(B)の腫瘍増殖曲線。(C〜E)腫瘍中のCD8+T細胞(CおよびD)およびCD31+血管(CおよびE)の画像と比較。(F〜H)JXおよび/またはαCTLA−4抗体で治療された腫瘍1グラム当たりのCD45+免疫細胞(F)、CD8+T細胞(G)およびCD4+細胞(H)の絶対数。値は平均±SEMである。対照に対して*p<0.05。JXに対して#p<0.05;αCTLA−4に対して$p<0.05。nsは有意ではない。スケールバーは、100μm。
JXは、治療スケジュールに関わらず、ΛCTLA−4の免疫応答を伴う抗癌効果を強化する。(A〜B)異なるタイミングスキームを使用してJXとαCTLA−4抗体で治療されたマウスにおける腫瘍増殖の比較。経時的な平均(A)および個体ごと(B)の腫瘍増殖曲線。(C)腫瘍中の腫瘍浸潤性CD8+T細胞分画およびCD4+T細胞分画を示す代表的なフローサイトメトリーのプロット。(D〜E)JXおよびαCTLA−4抗体で治療された腫瘍1グラム当たりのCD8+、CD4+、CD8+ICOS+、およびCD8+GzB+の細胞の絶対数。値は平均±SEMである。対照に対して*p<0.05。nsは有意ではない。一部のデータは図38にも示されている。
I.選択された定義
「阻害すること」、「減少すること」、または「予防」という用語、またはこれらの用語のすべての変化形は、特許請求の範囲および/または明細書中で使用される場合、所望の結果を実現する任意の計測可能な低下または完全な阻害を含む。
本明細書において使用される場合、「組み合わせ」という用語は、抗癌剤、すなわち腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、および免疫チェックポイント阻害剤の組み合わされた投与を意味し、これらを個別に投与することができ、または区別された量の組み合わせパートナーを用いた異なる固定された組み合わせを使用して投与することができる。「組み合わせ」という用語はまた、同時に投与される組み合わせパートナーを含む「キット」を規定する。好ましくは、組み合わせパートナーの連続的な同時投与の間の時間間隔は、剤の組み合わせが相乗効果を示すように選択される。本明細書において使用される場合、「相乗的な」または「相乗効果」という用語は、本発明に包含される抗癌剤の組み合わせで実現された効果が、抗癌剤、すなわち腫瘍溶解性ワクシニアウイルスと免疫チェックポイント阻害剤を単剤療法として使用した場合に生じる効果の合計よりも高いことを意味する。そのような相乗効果は、同じ用量でより高い効果を提供し、かつ/または多剤耐性の確立を予防もしくは遅延させるという点で有益である。
本明細書において使用される場合、「不応性癌」という用語は、抗新生物治療に対し良好に反応し損ねた癌、あるいは抗新生物治療に対し良好に反応した後で再発またはぶり返した癌を指す。したがって本明細書において使用される場合、「治療に不応性の癌」とは、治療に対し良好に反応し損ねた癌、または治療に抵抗性の癌、あるいは治療に対し良好に反応した後で再発もしくはぶり返した癌を意味する。例えばそのような過去の治療は化学療法レジメンである場合があり、またはPD−1、PD−L1もしくはCTLA4に特異的に結合するモノクローナル抗体の投与を含む免疫療法レジメンである場合がある。
「1つ(a)」または「1つ(an)」という単語の使用は、特許請求の範囲および/または明細書において「含む」という用語と併せて使用される場合、「1つ」を意味し得るが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」および「1つまたは2以上」という意味とも矛盾しない。
本明細書に置いて検討されるあらゆる実施形態は、本発明の任意の方法および組成に関して実施することができ、そして逆もまた然りであることが意図される。さらに本発明の組成物およびキットを使用して、本発明方法を実施することができる。
本明細書全体を通して、「約」という用語は、値が、値を決定するために採用されたデバイスまたは方法に関する誤差の標準偏差を含むことを示すために使用される。
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、選択肢のみを指すために明白に示されている場合を除き、または選択肢が相互排他的である場合を除き、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、選択肢のみを指す、ならびに「および/または」を指す定義を支持するものである。
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「含むこと(comprising)」(および例えば「含む(comprise、comprises)」などの含むことの任意の形態)、「有すること(having)」(および例えば「有する(have、has)」などの有することの任意の形態)、「含むこと(inluding)」(および例えば「含有する(includes、include)」などの含むことの任意の形態)または「含有すること(containing)」(および例えば「含有する(contains,contain)」などの包含することの任意の形態)という単語は、包括的およびオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素または方法の工程を除外しない。
本発明の他の目的、特性および利点は、以下の詳細な説明から明白となるであろう。しかし当然のことながら詳細な説明および具体的な実施例は、本発明の特定の実施形態を示してはいるが、例示の目的に対してのみ提供されている。これは本発明の主旨および範囲内での様々な変更および修正がこの詳細な説明から当分野の当業者には明白となるはずだからである。
腫瘍溶解性ワクシニアウイルスとチェックポイント阻害剤の併用療法が、癌治療において予想外の改善をもたらすことが見出された。剤が並行投与され、そして腫瘍溶解性ワクシニアウイルスが投与されたとき、それら剤は共同的に、さらには相乗作用的にさえ相互作用し、いずれの剤の単剤投与と比較しても著しく改善された抗腫瘍効果を提供する。驚くべきことにこれらの効果は連続的にこれらの剤が投与された場合は顕著には観察されない。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスが腫瘍内に投与されるとき、併用療法は相乗効果をもたらす。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスが静脈内投与を介して投与されるとき、併用療法は相乗効果をもたらす。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスが腹腔内投与を介して投与されるとき、併用療法は相乗効果をもたらす。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは、そのとき、腫瘍内投与のみを介して送達される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは、そのとき、動脈内投与のみを介して送達される。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスが腫瘍内に投与され、チェックポイント阻害剤が全身投与されるとき、併用療法は相乗効果をもたらす。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスが腫瘍内に投与され、チェックポイント阻害剤が全身投与されるとき、併用療法は相乗効果をもたらす。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスが腹腔内投与され、チェックポイント阻害剤が全身投与されるとき、併用療法は相乗効果をもたらす。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスが動脈内投与され、チェックポイント阻害剤が全身投与されるとき、併用療法は相乗効果をもたらす。
腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは例えばPD−1、PD−L1、CTLA−4、TIM3、LAG3、およびTIGITなどのチェックポイントタンパク質の発現をヒト腫瘍においてアップレギュレートし、それによりその腫瘍をチェックポイント阻害剤を用いた治療に対して感受性化させ、かつ本併用療法が、本組み合わせのチェックポイント阻害剤を発現する腫瘍を有する患者のみならず、本組み合わせのチェックポイント阻害剤を発現しない腫瘍、またはチェックポイント阻害剤を比較的低レベルで発現する腫瘍を有する患者にも有用であることを支持することがさらに判明した。
いくつかの実施形態において、哺乳類(好ましくはヒト)における癌および/もしくは転移の確立の治療ならびに/または予防における使用のための併用療法が提供され、当該併用療法は、(i)複製能力を有する腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、および(ii)1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤を当該哺乳類に並行投与することを含む。一部の実施形態では、複製能力のある腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内に投与される。一部の実施形態では、複製能力のある腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、静脈内に投与される。一部の実施形態では、複製能力のある腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内でのみ投与される。一部の実施形態では、複製能力のある腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、動脈内でのみ投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスが腹腔内投与を介して投与されるとき、併用療法は相乗効果をもたらす。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは腫瘍内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは腫瘍内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは腹腔内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは動脈内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。
II.腫瘍溶解性ワクシニアウイルス
ワクシニアウイルスは約190Kbpの直線状の二本鎖DNAゲノムを有し、かつおよそ250個の遺伝子をコードする巨大で複雑なエンベロープ型ウイルスである。ワクシニアは天然痘を根絶させたワクチンとしての役割が有名である。天然痘の根絶後、科学者らは、生物組織への遺伝子送達用ツール(遺伝子療法および遺伝子操作)としてのワクシニアの用途を探索してきた。ワクシニアウイルスは、宿主細胞の細胞質中でのみ複製するのでDNAウイルスの中でもユニークである。それゆえ、その巨大なゲノムはウイルスDNAの複製に必要な様々な酵素とタンパク質をコードする必要がある。複製を行う間、ワクシニアは外膜が異なる以下の数種の感染型を産生する:細胞内成熟型ビリオン(IMV:intracellular mature virion)、細胞内エンベロープ型ビリオン(IEV:intracellular enveloped virion)、細胞結合性エンベロープ型ビリオン(CEV:cell−associated enveloped virion)および細胞外エンベロープ型ビリオン(EEV:extracellular enveloped virion)。IMVは最も多い感染型であり、宿主間での感染拡大の原因であると考えられている。他方でCEVは細胞から細胞への感染拡大に役割を果たしていると考えられており、EEVは宿主生体内での長期で広範な播種に重要であると考えられている。
ワクシニアウイルスの任意の公知の腫瘍溶解性株が、本明細書に記載される方法に従いチェックポイント阻害剤とともに並行投与され得る。好ましい実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Copenhagen株、Western Reserve株、Lister株またはWyeth株であり、最も好ましくはWestern Reserve株またはWyeth株である。Western Reserveワクシニア株のゲノムは、配列解析されている(アクセッション番号AY243312)。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Copenhagen株である。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Western Reserve株である。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Lister株である。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Wyeth株である。
複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、ウイルスの癌選択性を高めるために1つまたは複数の機能性遺伝子を欠くように操作され得る。一部の好ましい実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、チミジンキナーゼ(TK)活性を欠くように操作される。TK欠損ワクシニアウイルスは、DNA合成にチミジン三リン酸塩を必要としており、これにより分裂細胞(特に癌細胞)での優先的な複製がもたらされる。別の態様では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、ワクシニアウイルス増殖因子(VGF)を欠くように操作され得る。この分泌タンパク質は、感染プロセスの初期に産生され、周辺細胞への感染の下準備をさせるマイトジェンとして作用する。別の態様では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、VFGとTK活性の両方を欠くように操作され得る。他の態様では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、宿主インターフェロン(IFN)反応の回避に関与する1つまたは複数の遺伝子(E3L、K3L、B18R、またはB8Rなど)を欠くように操作され得る。一部の好ましい実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Western Reserve株、Copenhagen株、Lister株またはWyeth株であり、機能性TK遺伝子を欠いている。他の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、機能性のB18R遺伝子および/またはB8R遺伝子を欠くWestern Reserve株、Copenhagen株、Lister株またはWyeth株である。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Western Reserve株、Copenhagen株、Lister株またはWyeth株であり、機能性TK遺伝子を欠いている。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Western Reserve株であり、機能性TK遺伝子を欠いている。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Copenhagen株であり、機能性TK遺伝子を欠いている。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Lister株であり、機能性TK遺伝子を欠いている。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Wyeth株であり、機能性TK遺伝子を欠いている。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、機能性B18R遺伝子および/またはB8R遺伝子を欠くWestern Reserve株、Copenhagen株、Lister株またはWyeth株である。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、機能性B18R遺伝子および/またはB8R遺伝子を欠くWestern Reserve株である。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、機能性B18R遺伝子および/またはB8R遺伝子を欠くCopenhagen株である。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、機能性B18R遺伝子および/またはB8R遺伝子を欠くLister株である。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、機能性B18R遺伝子および/またはB8R遺伝子を欠くWyeth株である。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Western Reserve株、Copenhagen株、Lister株またはWyeth株であり、機能性TK遺伝子を欠き、ならびに機能性B18R遺伝子および/またはB8R遺伝子を欠いている。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、機能性の14L遺伝子および/またはF4L遺伝子を含む。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、ケモカインを発現しない(例えばワクシニアウイルスは、CXCL−11を発現しない)。
一部の実施形態では、本組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、機能性の14L遺伝子および/またはF4L遺伝子を含む。
他の実施形態では、本組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、ケモカインを発現しない(例えばワクシニアウイルスは、CXCL−11を発現しない)。
異種配列(例えばサイトカインおよび/または腫瘍抗原をコードする)を、ワクシニアウイルスプロモーターの制御下に置き、かつワクシニアウイルスのゲノムの中へと統合させることができる。あるいは異種配列の発現は、例えばCurrent Techniques in Molecular Biology,(Ed.Ausubel,et al.)Unit 16.17.4(1998)の表1に見出されるものなどのシャトルベクターまたはプラスミドをトランスフェクトすることにより達成することができる。それらはワクシニアウイルスに感染した細胞内にワクシニアプロモーター制御配列を含み、相同組換えにより異種配列を導入する。高レベルの発現が望ましい場合には強力な後期ワクシニアウイルスプロモーターが好ましい。初期段階および中期段階のプロモーターも使用することができる。一部の実施形態では、異種配列は、早期および後期のプロモーターエレメントを含むワクシニアウイルスプロモーターの制御下に置かれる。適切な早期プロモーターとしては限定されないが、42K、19Kまたは25Kのポリペプチドをコードするワクシニアウイルス遺伝子のプロモーターが挙げられる。適切な早期後期プロモーターとしては限定されないが、7.5Kのポリペプチドをコードするワクシニアウイルス遺伝子のプロモーターが挙げられる。適切な後期プロモーターとしては限定されないが、11Kまたは28Kのポリペプチドをコードするワクシニアウイルス遺伝子のプロモーターが挙げられる。関連実施形態では、異種配列は、TK配列および/またはVGF配列を不活性化するためにTK配列および/またはVGF配列内に挿入される。
一部の実施形態では、本明細書に記載される複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤と組み合わされて投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載される複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤と組み合わされて腫瘍内投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載される複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤と組み合わされて静脈内(IV、または血管内)投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載される複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤と組み合わされて腹腔内(IP)投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載される複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤と組み合わされて動脈内投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍内投与を介してのみ送達される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは腫瘍内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは静脈内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは腹腔内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは動脈内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。腫瘍内投与は概して、腫瘍塊内への注射または腫瘍関連の脈管系内への注射を伴う。ある態様では、腫瘍は、ウイルス投与の前、またはウイルス投与中に撮像される。血管内投与は概して、血管系への注射を伴い、かつ全身投与の形態である。腹腔内投与は概して、腹腔内(体腔)への注射を伴う。一部の実施形態では、本明細書に記載される複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤と組み合わされて投与され、両方とも例えばIV投与により全身投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載される複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤と組み合わされて投与され、当該複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは腫瘍内投与され、当該1つまたは複数のチェックポイント阻害剤は例えばIV投与により全身投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載される複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤と組み合わされて投与され、当該複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは腹腔内投与され、当該1つまたは複数のチェックポイント阻害剤は例えばIV投与により全身投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載される複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤と組み合わされて投与され、当該複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは動脈内投与され、当該1つまたは複数のチェックポイント阻害剤は例えばIV投与により全身投与される。
本明細書に記載の腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、単回投与または複数回投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8回またはそれ以上)で投与され得る。ウイルスは、1×105プラーク形成単位(PFU)、5×105PFU、1×106PFU、少なくとも1×106PFU、5×106または約5×106PFU、1×107、少なくとも1×107PFU、1×108または約1×108PFU、少なくとも1×108PFU、約または少なくとも5×108PFU、1×109または少なくとも1×109PFU、5×109または少なくとも5×109PFU、1×1010PFUまたは少なくとも1×1010PFU、5×1010または少なくとも5×1010PFU、1×1011または少なくとも1×1011、1×1012または少なくとも1×1012、1×1013または少なくとも1×1013の投与量で投与され得る。例えばウイルスは、約106〜1013pfu、約107〜1013pfu、約108〜1013pfu、約109〜1012pfu、約108〜1012pfu、約107〜1012pfu、約106〜1012pfu、約106〜109pfu、約106〜108pfu、約107〜1010pfu、約107〜109pfu、約108〜1010pfu、または約108〜109pfuの投与量で投与され得る。好ましくはウイルスは、少なくとも107pfu、107〜1010pfu、107〜109pfu、107〜108pfu、108〜1010pfu、108〜109pfuまたは109〜1010pfuの投与量で投与される。
ウイルスの単回用量とは、0.1、0.5、1、2、5、10、15、20、または24時間(これらの間のすべての値を含む)にわたり、対象または腫瘍に投与される量を指すことが意図される。用量は経時的に分散されてもよく、または別個の注射によって分散されてもよい。典型的には、複数回用量は、例えば腫瘍の近傍など、概して同一の標的領域に投与される。ある態様では、ウイルス用量は、シリンジまたはシングルポート針もしくは単一針のマルチポートもしくはシリンジに連結されたマルチプロング、またはそれらの組み合わせを備えた注入装置により送達される。ワクシニアウイルスの単回用量が投与されてもよく、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12週またはそれ以上を含み得る治療期間にわたり複数回用量が投与されてもよい。例えばワクシニアウイルスは、1、2、3、4、5、6か月またはそれ以上の期間、1日おき、週に1回、1週おき、3週おきに投与されてもよい。
ワクシニアウイルスは、Earl and Moss in Ausubel et al,1994に記載される方法、または国際特許出願公開公報第2013/022764号に記載される方法を使用して増殖されてもよい。これらの両方は参照により本明細書に組み込まれる。
III. 免疫チェックポイント阻害剤(ICI:Immune Checkpoint Inhibitors)
免疫チェックポイントタンパク質は、T細胞内にシグナルを送り、T細胞機能を阻害する特定のリガンドと相互作用する。癌細胞は、その表面上にチェックポイントタンパク質を高レベルに発現させることでこれを活用し、これにより抗癌免疫応答を抑制する。
本明細書に記載の薬剤の組み合わせにおける使用のための免疫チェックポイント阻害剤(ICIとも呼称される)は、免疫チェックポイントタンパク質の機能を阻害することができる任意の化合物である。阻害には、機能低下ならびに完全遮断が含まれる。特に免疫チェックポイントタンパク質はヒトのチェックポイントタンパク質である。ゆえに免疫チェックポイント阻害剤は、ヒト免疫チェックポイントの阻害剤であることが好ましい。
チェックポイントタンパク質としては限定されないが、CTLA−4、PD−1(ならびにそのリガンドのPD−L1およびPD−L2)、B7−H3、B7−H4、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、BTLA、TIGITおよび/またはIDOが挙げられる。LAG3、BTLA、B7−H3、B7−H4、TIM3およびKIRを含む経路は当分野において、CTLA−4およびPD−1依存性の経路に類似した免疫チェックポイント経路を構成すると認識されている(例えばPardoll,2012,Nature Rev Cancer 12:252−264;Mellman et al.,2011,Nature 480:480−489を参照のこと)。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA−4、PD−1(ならびにそのリガンドのPD−L1およびPD−L2)、B7−H3、B7−H4、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、BTLA、TIGITおよび/またはIDOの阻害剤である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD−1、PD−L1、CTLA−4、LAG3、TIGITおよび/またはTIM3の阻害剤である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD−1の阻害剤である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD−L1の阻害剤である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA−4の阻害剤である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、TIGITの阻害剤である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、LAG3の阻害剤である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、TIM3の阻害剤である。
一部の実施形態では、本組み合わせの免疫チェックポイント阻害剤は、抗体である。本明細書において使用される場合、「抗体」という用語は、天然抗体および操作された抗体、ならびに全長抗体、または例えば標的の免疫チェックポイントもしくはエピトープなどに結合することができるその機能性断片もしくはアナログ(例えば抗原結合部分を保持している)を包含する。本明細書に記載の方法に従う使用のための抗体は、限定されないが、ヒト、ヒト化、動物またはキメラを含む任意の起源由来のものであってもよく、そして任意のアイソタイプのものであってもよく、好ましくはIgG1またはIgG4のアイソタイプであり、さらにグリコシル化されていても、非グリコシル化されていてもよい。抗体という用語は、その抗体が本明細書に記載の結合特異性を呈する限りにおいて、二特異性抗体または多特異性抗体も含む。
ヒト化抗体とは、そのタンパク質配列が、ヒト抗体との類似性を高めるように改変された、非ヒト(例えばマウス、ラットなど)の抗体を指す。キメラ抗体とは、1つの種の1つまたは複数のエレメントと、別の種の1つまたは複数のエレメントを備えた抗体を指し、例えばヒトイムノグロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部分を備えた非ヒト抗体などがある。
多くの抗体の型を、本発明の組み合わせにおける使用のために操作することができ、その代表的な例としては、Fab断片(VL、VH、CLおよびCHIドメインからなる一価断片)、F(ab’)2断片(ヒンジ領域で少なくとも1つのジスルフィド架橋により結合された2つのFab断片を備えた二価断片)、Fd断片(VHおよびCHIドメインからなる)、Fv断片(抗体の1つのアームのVLドメインおよびVHドメインからなる)、dAb断片(単一可変ドメイン断片(VHまたはVLドメイン)からなる)、一本鎖Fv(scFv)(VLおよびVHの2つのドメインのFv断片を備え、それらは共に融合され、最後に単一タンパク質鎖を形成するためのリンカーを含む)が挙げられる。
一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤(ICIとも呼称される)は、以下からなる群から選択される免疫チェックポイントタンパク質に特異的に結合する抗体またはその断片である:CTLA4、PD−1、PD−L1、PD−L2、B7−H3、B7−H4、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、BTLAおよびTIGIT。特に好ましい実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA4、PD−1、PD−L1、PD−L2、TIM3、LAG3またはTIGITと少なくとも部分的に拮抗することができるモノクローナル抗体、完全ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体またはその断片である。一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、CTLA4に特異的に結合する抗体またはその断片である。一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、PD−1に特異的に結合する抗体またはその断片である。一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、PD−L1に特異的に結合する抗体またはその断片である。一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、PD−L2に特異的に結合する抗体またはその断片である。一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、B7−H3に特異的に結合する抗体またはその断片である。一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、B7−H4に特異的に結合する抗体またはその断片である。一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、TIM3に特異的に結合する抗体またはその断片である。一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、GAL9に特異的に結合する抗体またはその断片である。一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、LAG3に特異的に結合する抗体またはその断片である。一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、VISTAに特異的に結合する抗体またはその断片である。一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、KIRに特異的に結合する抗体またはその断片である。一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、BTLAに特異的に結合する抗体またはその断片である。一部の実施形態では、本併用療法の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、TIGITに特異的に結合する抗体またはその断片である。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株、およびCTLA−4阻害剤、好ましくはCTLA−4に特異的に結合する(そして阻害する)モノクローナル抗体を含む。完全ヒトCTLA−4核酸配列は、GenBankのアクセッション番号LI 5006に見出すことができる。CTLA4に特異的に結合するモノクローナル抗体としては限定されないが、イピリムマブ(Yervoy(登録商標);BMS社)およびトレメリムマブ(AstraZeneca/Medlmmune社)、ならびにそれらの各々の内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0201994号、同第2002/0039581号および同第2002/086014号に開示される抗体、およびそれらの各々の内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,811,097号、同第5,855,887号、同第6,051,227号、同第6,984,720号、同第6,682,736号、同第6,207,156号、同第5,977,318号、同第6,682,736号、同第7,109,003号、同第7,132,281号および同第8,491,895号に開示される抗体、またはこれらの抗体のうちのいずれかの重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗体が挙げられる。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株、およびPD−1阻害剤、好ましくはPD−1に特異的に結合する(そして阻害する)モノクローナル抗体を含む。ヒトPD−1の完全ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、GenBankのアクセッション番号U64863およびNP_005009.2の下に見出すことができる。PD−1に対するモノクローナル抗体としては限定されないが、ラムブロリズマブ(例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,354,509号においてhPD109Aとして開示されるもの、ならびにそのヒト化誘導体であるh409A11、h409A16およびh409A17)、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,008,449号に開示されるニボルマブ(Opdivo(登録商標);Bristol−Myers Squibb社;コード名称BMS−936558)、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))および ピジリズマブ(CT−011;Rosenblatt et al., Immunother.34:409−418(2011)に開示されている)、またはこれらの抗体の重鎖および軽鎖の領域を含む抗体が挙げられる。他の抗PD−1抗体は、例えば国際特許出願公開公報第2004/004771号、同第2004/056875号、同第2006/121168号、同第2008/156712号、同第2009/014708号、同第2009/114335号、同第2013/043569号および同第2014/047350号に記載されている。関連する実施形態では、薬剤の組み合わせのチェックポイント阻害剤は、例えばAMP−224(PD−L2の細胞外ドメインとヒトIgG1のFc領域から構成される)などの抗PD−1融合タンパク質である。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株、およびPD−L1阻害剤、好ましくはPD−L1に特異的に結合する(そして阻害する)モノクローナル抗体を含む。PD−L1に対するモノクローナル抗体としては限定されないが、ペムブロリズマブ(MK−3475、国際特許出願公開公報第2009/114335号に開示されている)、BMS−936559(MDX−1105)、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,217,149号に開示されているアテゾリズマブ(Genentech/Roche社; MPDL33280A)、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,779,108号に開示されているデュルバルマブ(AstraZeneca/Medlmmune社;MEDI4736)、MIH1(Affymetrix社、eBioscience社から入手可能(16.5983.82))およびアベルマブ(MSB0010718C; Merck KGaA社)またはこれらの抗体のうちのいずれかの重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗体が挙げられる。関連する実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、例えばAMP−224(Mkritchyan M.,et al.,J.Immunol.,189:2338−47(2010)に開示されている)として公知のPD−L2−Fc融合タンパク質などの抗PD−L1融合タンパク質である。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株と、例えばMIH18(Pfistershammer et al.,Eur J Immunol.36:1104−1113(2006)に開示されている)などのPD−L2阻害剤を含む。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株と、例えば可溶性LAG3(参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011−0008331号、およびBrignon et al.,Clin.Cancer Res.15:6225−6231(2009)に開示されているIMP321またはLAG3−Ig)、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010−0233183号、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,773,578号に開示されているIMP701もしくはヒトLAG3を遮断する他のヒト化抗体、または参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011−0150892号に開示されているBMS−986016もしくはLAG3を遮断する他の完全ヒト抗体などのLAG3阻害剤を含む。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株と、例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,563,694号に開示されている抗体4C7などのBLTA阻害剤を含む。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株と、例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0294861号に開示される抗体などのB7H4チェックポイント阻害剤、または例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20120177645号に開示されるB7H4の可溶性組換え型を含む。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株と、BRCA84Dとして開示される抗体MGA271、または例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20120294796号に開示される誘導体などのB7−H3チェックポイント阻害剤を含む。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株と、例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,841,418号に開示されている抗体などのTIM3チェックポイント阻害剤、またはJones et al.,J.Exp.Med.,205(12):2763−79(2008)により開示される抗ヒトTIM3遮断抗体F38−2E2などのTIM3チェックポイント阻害剤を含む。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株と、例えばリリルマブ抗体(lirilumab)(Romagne et al.,Blood,114(13):2667−2677(2009)に開示される)などのKIRチェックポイント阻害剤を含む。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株と、TIGIT阻害剤を含む。TIGITチェックポイント阻害剤は、ポリオウイルス受容体(CD155)とTIGITの相互作用を阻害するものが好ましく、限定されないが、例えば米国特許第9,499,596号(参照により本明細書に組み込まれる)、および米国特許出願公開第20160355589号、同第20160176963号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるものなどのヒトTIGITを標的とする抗体、ならびに米国特許第9,327,014号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるものなどのポリオウイルス受容体バリアントが挙げられる。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株と、IDO阻害剤を含む。IDOは免疫チェックポイントタンパク質として認識されており、腫瘍細胞においてその発現はエフェクターT細胞を機能停止させることにより、免疫寛容に寄与する。IDOは、抗CTLA−4療法の抵抗性に寄与すると考えられている。本明細書に記載される方法に従う使用のためのIDO阻害剤としては限定されないが、例えばD−1MT(1−メチル−DL−トリプトファン(MT)のDアイソフォーム)、L−1MT(MTのLアイソフォーム)、MTH−Trp(メチルチオヒダントイン−dl−トリプトファン;IDOの転写抑制物質)、およびβ−カルボリンなどのトリプトファン模倣体、例えばナフトキノン系の剤、S−アリル−ブラシニン、S−ベンジル−ブラシニン、5−ブロモ−ブラシニンなどのインドール模倣体、ならびにフェニルイミダゾール系の剤、4−フェニルイミダゾール、エキシグアミンA、エパカドスタット、ロスマリン酸、ノルハルマン(norharmane)およびNSC401366が挙げられる。好ましいIDO阻害剤としては、INCB 024360 (エパカドスタット(epacadostat); l,2,5−オキサジアゾール−3−カルボキシイミダミド、4−((2−((アミノスルホニル)アミノ)エチル)アミノ)−N−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−N’−ヒドロキシ−、(C(Z))− ;Incyte社)、インドキシモド(indoximod)(NLG2101; D−1MT; NewLink Genetics社)、IDOペプチドワクチン(コペンハーゲン大学)およびNLG919(NewLink Genetics社)が挙げられる。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株、PD−1阻害剤、好ましくはPD−1に特異的に結合する(そして阻害する)モノクローナル抗体、そしてCTLA−4阻害剤、好ましくはCTLA−4に特異的に結合する(そして阻害する)モノクローナル抗体を含む。ヒトPD−1の完全ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、GenBankのアクセッション番号U64863およびNP_005009.2に見出すことができる。PD−1に対するモノクローナル抗体としては限定されないが、ラムブロリズマブ(例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,354,509号においてhPD109Aとして開示されるもの、ならびにそのヒト化誘導体であるh409A11、h409A16およびh409A17)、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,008,449号に開示されるニボルマブ(Opdivo(登録商標);Bristol−Myers Squibb社;コード名称BMS−936558)、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))およびピジリズマブ(CT−011;Rosenblatt et al.,Immunother.34:409−418(2011)に開示されている)、またはこれらの抗体の重鎖および軽鎖の領域を含む抗体が挙げられる。他の抗PD−1抗体は、例えば国際特許出願公開公報第2004/004771号、同第2004/056875号、同第2006/121168号、同第2008/156712号、同第2009/014708号、同第2009/114335号、同第2013/043569号および同第2014/047350号に記載されている。関連する実施形態では、薬剤の組み合わせのチェックポイント阻害剤は、例えばAMP−224(PD−L2の細胞外ドメインとヒトIgG1のFc領域から構成される)などの抗PD−1融合タンパク質である。完全ヒトCTLA−4核酸配列は、GenBankのアクセッション番号LI 5006に見出すことができる。CTLA4に特異的に結合するモノクローナル抗体としては限定されないが、イピリムマブ(Yervoy(登録商標);BMS社)およびトレメリムマブ(AstraZeneca/Medlmmune社)、ならびにそれらの各々の内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0201994号、同第2002/0039581号および同第2002/086014号に開示される抗体、ならびにそれらの各々の内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,811,097号、同第5,855,887号、同第6,051,227号、同第6,984,720号、同第6,682,736号、同第6,207,156号、同第5,977,318号、同第6,682,736号、同第7,109,003号、同第7,132,281号および同第8,491,895号に開示される抗体、またはこれらの抗体のうちのいずれかの重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗体が挙げられる。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株、PD−L1阻害剤、好ましくはPD−L1に特異的に結合する(そして阻害する)モノクローナル抗体、そしてCTLA−4阻害剤、好ましくはCTLA−4に特異的に結合する(そして阻害する)モノクローナル抗体を含む。PD−L1に対するモノクローナル抗体としては限定されないが、ペムブロリズマブ(MK−3475、国際特許出願公開公報第2009/114335号に開示されている)、BMS−936559(MDX−1105)、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,217,149号に開示されているアテゾリズマブ(Genentech/Roche社; PDL33280A)、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,779,108号に開示されているデュルバルマブ(AstraZeneca/Medlmmune社;MEDI4736)、MIH1(Affymetrix社、eBioscience社から入手可能(16.5983.82))およびアベルマブ(MSB0010718C;Merck KGaA社)またはこれらの抗体のうちのいずれかの重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗体が挙げられる。関連する実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、例えばAMP−224(Mkritchyan M.,et al.,J.Immunol.,189:2338−47(2010)に開示されている)として公知のPD−L2−Fc融合タンパク質などの抗PD−L1融合タンパク質である。完全ヒトCTLA−4核酸配列は、GenBankのアクセッション番号LI 5006に見出すことができる。CTLA4に特異的に結合するモノクローナル抗体としては限定されないが、イピリムマブ(Yervoy(登録商標);BMS社)およびトレメリムマブ(AstraZeneca/Medlmmune社)、ならびにそれらの各々の内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0201994号、同第2002/0039581号および同第2002/086014号に開示される抗体、ならびにそれらの各々の内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,811,097号、同第5,855,887号、同第6,051,227号、同第6,984,720号、同第6,682,736号、同第6,207,156号、同第5,977,318号、同第6,682,736号、同第7,109,003号、同第7,132,281号および同第8,491,895号に開示される抗体、またはこれらの抗体のうちのいずれかの重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗体が挙げられる。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株、PD−1阻害剤、好ましくはPD−1に特異的に結合する(そして阻害する)モノクローナル抗体、そして例えば可溶性LAG3(参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011−0008331号、およびBrignon et al.,Clin.Cancer Res.15:6225−6231(2009)に開示されているIMP321またはLAG3−Ig)、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010−0233183号、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,773,578号に開示されているIMP701もしくはヒトLAG3を遮断する他のヒト化抗体、または参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011−0150892号に開示されているBMS−986016もしくはLAG3を遮断する他の完全ヒト抗体などのLAG3阻害剤を含む。ヒトPD−1の完全ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、GenBankのアクセッション番号U64863およびNP_005009.2に見出すことができる。PD−1に対するモノクローナル抗体としては限定されないが、ラムブロリズマブ(例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,354,509号においてhPD109Aとして開示されるもの、ならびにそのヒト化誘導体であるh409A11、h409A16およびh409A17)、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,008,449号に開示されるニボルマブ(Opdivo(登録商標);Bristol−Myers Squibb社;コード名称BMS−936558)、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))およびピジリズマブ(CT−011;Rosenblatt et al.,Immunother.34:409−418(2011)に開示されている)、またはこれらの抗体の重鎖および軽鎖の領域を含む抗体が挙げられる。他の抗PD−1抗体は、例えば国際特許出願公開公報第2004/004771号、同第2004/056875号、同第2006/121168号、同第2008/156712号、同第2009/014708号、同第2009/114335号、同第2013/043569号および同第2014/047350号に記載されている。関連する実施形態では、薬剤の組み合わせのチェックポイント阻害剤は、例えばAMP−224(PD−L2の細胞外ドメインとヒトIgG1のFc領域から構成される)などの抗PD−1融合タンパク質である。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株、PD−L1阻害剤、好ましくはPD−L1に特異的に結合する(そして阻害する)モノクローナル抗体、そして例えば可溶性LAG3(参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011−0008331号、およびBrignon et al.,Clin.Cancer Res.15:6225−6231(2009)に開示されているIMP321またはLAG3−Ig)、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010−0233183号、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,773,578号に開示されているIMP701もしくはヒトLAG3を遮断する他のヒト化抗体、または参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011−0150892号に開示されているBMS−986016もしくはLAG3を遮断する他の完全ヒト抗体などのLAG3阻害剤を含む。PD−L1に対するモノクローナル抗体としては限定されないが、ペムブロリズマブ(MK−3475、国際特許出願公開公報第2009/114335号に開示されている)、BMS−936559(MDX−1105)、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,217,149号に開示されているアテゾリズマブ(Genentech/Roche社;MPDL33280A)、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,779,108号に開示されているデュルバルマブ(AstraZeneca/Medlmmune社;MEDI4736)、MIH1(Affymetrix社、eBioscience社から入手可能(16.5983.82))およびアベルマブ(MSB0010718C;Merck KGaA社)またはこれらの抗体のうちのいずれかの重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗体が挙げられる。関連する実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、例えばAMP−224(Mkritchyan M.,et al.,J.Immunol.,189:2338−47(2010)に開示されている)として公知のPD−L2−Fc融合タンパク質などの抗PD−L1融合タンパク質である。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株、PD−1阻害剤、好ましくはPD−1に特異的に結合する(そして阻害する)モノクローナル抗体、そして例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,841,418号に開示されている抗体などのTIM3チェックポイント阻害剤、またはJones et al.,J.Exp.Med.,205(12):2763−79(2008)により開示される抗ヒトTIM3遮断抗体F38−2E2などのTIM3チェックポイント阻害剤を含む。ヒトPD−1の完全ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、GenBankのアクセッション番号U64863およびNP_005009.2に見出すことができる。PD−1に対するモノクローナル抗体としては限定されないが、ラムブロリズマブ(例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,354,509号においてhPD109Aとして開示されるもの、ならびにそのヒト化誘導体であるh409A11、h409A16およびh409A17)、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,008,449号に開示されるニボルマブ(Opdivo(登録商標);Bristol−Myers Squibb社;コード名称BMS−936558)、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))およびピジリズマブ(CT−011;Rosenblatt et al.,Immunother.34:409−418(2011)に開示されている)、またはこれらの抗体の重鎖および軽鎖の領域を含む抗体が挙げられる。他の抗PD−1抗体は、例えば国際特許出願公開公報第2004/004771号、同第2004/056875号、同第2006/121168号、同第2008/156712号、同第2009/014708号、同第2009/114335号、同第2013/043569号および同第2014/047350号に記載されている。関連する実施形態では、薬剤の組み合わせのチェックポイント阻害剤は、例えばAMP−224(PD−L2の細胞外ドメインとヒトIgG1のFc領域から構成される)などの抗PD−1融合タンパク質である。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株、PD−L1阻害剤、好ましくはPD−L1に特異的に結合する(そして阻害する)モノクローナル抗体、そして例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,841,418号に開示されている抗体などのTIM3チェックポイント阻害剤、またはJones et al.,J.Exp.Med.,205(12):2763−79(2008)により開示される抗ヒトTIM3遮断抗体F38−2E2などのTIM3チェックポイント阻害剤を含む。PD−L1に対するモノクローナル抗体としては限定されないが、ペムブロリズマブ(MK−3475、国際特許出願公開公報第2009/114335号に開示されている)、BMS−936559(MDX−1105)、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,217,149号に開示されているアテゾリズマブ(Genentech/Roche社;MPDL33280A)、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,779,108号に開示されているデュルバルマブ(AstraZeneca/Medlmmune社;MEDI4736)、MIH1(Affymetrix社、eBioscience社から入手可能(16.5983.82))およびアベルマブ(MSB0010718C;Merck KGaA社)またはこれらの抗体のうちのいずれかの重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗体が挙げられる。関連する実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、例えばAMP−224(Mkritchyan M.,et al.,J.Immunol.,189:2338−47(2010)に開示されている)として公知のPD−L2−Fc融合タンパク質などの抗PD−L1融合タンパク質である。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株と、TIGIT阻害剤を含む。TIGITチェックポイント阻害剤は、ポリオウイルス受容体(CD155)とTIGITの相互作用を阻害するものが好ましく、TIGITチェックポイント阻害剤としては、限定されないが、例えば米国特許第9,499,596号(参照により本明細書に組み込まれる)、および米国特許出願公開第20160355589号、同第20160176963号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるものなどのヒトTIGITを標的とする抗体、ならびに米国特許第9,327,014号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるものなどのポリオウイルス受容体バリアントが挙げられる。
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせは、Western Reserveワクシニアウイルス株、Wyethワクシニアウイルス株、Listerワクシニアウイルス株、またはCopenhagenワクシニアウイルス株と、IDO阻害剤(インドールアミン−ピロール2,3−ジオキシゲナーゼ)を含む。IDO阻害剤としては、代謝阻害剤が挙げられ、好ましくは代謝経路を阻害するものであり、限定されないが、ノルハルマン(Chiarugi A,et al,“Combined inhibition of indoleamine 2,3−dioxygenase and nitric oxide synthase modulates neurotoxin release by interferon−gamma−activated macrophages”,Journal of Leukocyte Biology.68(2):260−6.(2000)を参照)、ロスマリン酸(Lee HJ,et al,“Rosmarinic acid inhibits indoleamine 2,3−dioxygenase expression in murine dendritic cells”,Biochemical Pharmacology.73(9):1412−21(2007)を参照)、COX−2阻害剤(Cesario A,et al.,“The interplay between indoleamine 2,3−dioxygenase 1(IDOl)and cyclooxygenase(COX)−2 in chronic inflammation and cancer”,Current Medicinal Chemistry.18(15):2263−71(2011)を参照)、1−メチルトリプトファン(Hou DY,et al.,“Inhibition of indoleamine 2,3−di oxygenase in dendritic cells by stereoisomers of 1−methyl−tryptophan correlates with antitumor responses”.Cancer Research.67(2):792−801(2007)およびChauhan N,et al.,(April 2009).“Reassessment of the reaction mechanism in the heme di oxygenases”.Journal of the American Chemical Society.131(12):4186−7(2009))が挙げられ、例えば特異的ラセマー(racemer)の1−メチル−D−トリプトファン(インドキシモドとしての知られる)(臨床試験候補)、エパカドスタット(INCB24360)、ナボキシモド(navoximod)(GDC−0919)(Jochems C,et al.,“The IDOl selective inhibitor epacadostat enhances dendritic cell immunogenicity and lytic ability of tumor antigen−specific T cells”,Oncotarget.7(25):37762−37772.(2016)を参照)、および、またはBMS−986205が挙げられる。一部の実施形態では、IDO阻害剤は、ノルハルマン、ロスマリン酸、COX−2阻害剤、1−メチルトリプトファン、インドキシモド、エパカドスタット(INCB24360)、ナボキシモド(GDC−0919)および/またはBMS−986205からなる群から選択される。
当業者には公知であるように、代替の、および/または同等の名称が、上述の特定の抗体に対して使用されている場合がある。そのような代替の、および/または同等の名称は、本発明の文脈において相互交換可能である。
一部の態様では、本明細書に記載される薬剤の組み合わせは、(i)2種以上の免疫チェックポイント阻害剤、および(ii)複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスを含む。好ましい実施形態では、PD−1阻害剤およびCTLA−4阻害剤は、ワクシニアウイルスと並行して投与される。他の例としては、限定されないが、LAG3阻害剤およびPD−1阻害剤のワクシニアウイルスとの並行投与、またはLAG3阻害剤およびPD−L1阻害剤の並行投与が挙げられる。他の例としては、IDO阻害剤ならびにCTLA−4阻害剤および/またはPD−1阻害剤の並行投与が挙げられる。一部の実施形態では、IDO阻害剤は、ノルハルマン、ロスマリン酸、COX−2阻害剤、1−メチルトリプトファン、インドキシモド、エパカドスタット(INCB24360)、ナボキシモド(GDC−0919)および/またはBMS−986205からなる群から選択される。
IV.サイトカイン
一部の実施形態では、薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、サイトカインをコードする異種配列を含み、当該サイトカインはウイルスにより発現される。
一部の実施形態では、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン−5(IL−5)、インターロイキン−7(IL−7)、インターロイキン−12(IL−12)、インターロイキン−15(IL−15)、インターロイキン−18(IL−18)、インターロイキン−21(IL−21)、インターロイキン−24(IL−24)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、および腫瘍壊死因子−α(TNF−α)からなる群から選択されるサイトカインを発現するよう操作された複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスが提供される。特に好ましい実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Wyeth株、Western Reserve株、Copenhagen株、またはLister株である。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、GM−CSFを発現するよう操作される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、インターロイキン−2(IL−2)を発現するよう操作される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、インターロイキン−4(IL−4)を発現するよう操作される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、インターロイキン−5(IL−5)を発現するよう操作される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、インターロイキン−7(IL−7)を発現するよう操作される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、インターロイキン−12(IL−12)を発現するよう操作される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、インターロイキン−15(IL−15)を発現するよう操作される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、インターロイキン−18(IL−18)を発現するよう操作される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、インターロイキン−21(IL−21)を発現するよう操作される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、インターロイキン−24(IL−24)、インターフェロン−γ(IFN−γ)を発現するよう操作される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)を発現するよう操作される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスはmJX594であり、GM−CSFを発現するよう操作される。
V.腫瘍抗原
いくつかの実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍抗原、および任意でサイトカインをコードする異種核酸配列を含み、当該腫瘍抗原および任意でサイトカインは、ウイルスに感染した細胞中、好ましくは腫瘍細胞中で発現される。腫瘍抗原は、腫瘍特異的抗原および腫瘍関連抗原を包含する。複製能力を有する腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、全長腫瘍抗原、またはその免疫原性ペプチドを発現し得る。一部の実施形態では、サイトカインは、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスに感染した細胞中で発現される。一部の実施形態では、ウイルスに感染した細胞中で発現される。一部の実施形態では、細胞は腫瘍細胞である。
一部の実施形態では、腫瘍抗原としては限定されないが、MAGE−1、MAGE−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ−V、p−15、gp100、MART−1/Melan A、TRP−1(gp75)、TRP−2、チロシナーゼ、サイクリン依存性キナーゼ4、β−カテニン、MUM−1、CDK4、HER−2/neu、ヒトパピローマウイルス−E6、ヒトパピローマウイルスE7、CD20、癌胎児性抗原(CEA)、表皮増殖因子受容体、MUC−1、カスパーゼ−8、CD5、ムチン−1、Lewisx、CA−125、pl85HER2、IL−2R、Fap−a、テネイシン、メタロプロテアーゼに関連した抗原、CAMPATH−1、RCC:Gタンパク質シグナリング5の調節因子(RGS5)、サバイビン(Surivin)(BIRC5=バキュロウイルスアポトーシス阻害タンパク質リピート5)、インスリン様増殖因子−結合タンパク質3(IGF−BP3)、チミジル酸合成酵素(TYMS)、低酸素誘導タンパク質2、低酸素誘導脂肪滴関連タンパク質(HIG2)、マトリクスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、pruneホモログ2(PRUNE2)、RecQタンパク質様(DNAヘリカーゼQl様:RECQL)、レプチン受容体(LEPR)、ERBB受容体フィードバック阻害剤1(ERRFIl)、リソソームタンパク質膜貫通型4アルファ(LAPTM4A);RAB1B、RAS 癌遺伝子ファミリー(RABIB)、CD24、ホモサピエンスサイモシンベータ4、Xリンク(TMSB4X)、ホモサピエンスS100カルシウム結合タンパク質A6(S100A6)、ホモサピエンスアデノシンA2受容体(ADORA2B)、染色体16オープンリーディングフレーム61(C16orf61)、ROD1分化の調節遺伝子1(ROD1)、NAD依存性デアセチラーゼサーチュイン2(SIR2L)、チューブリンアルファ1c(TUBA1C)、ATPase阻害因子1(ATPIFl)、ストローマ抗体2(STAG2)、ならびに核カゼインキナーゼおよびサイクリン依存性基質1(NUCKS1)が挙げられる。一部の実施形態では、抗原は、参照によりその全体で本明細書に組み込まれる米国特許第9,919,047号に列記される抗原である。一部の実施形態では、腫瘍抗原は、腎細胞の癌性腫瘍抗原である。一部の実施形態では、腎細胞の癌性腫瘍抗原は、Gタンパク質シグナリング5の調節因子(RGS5)、サバイビン(Surivin)(BIRC5=バキュロウイルスアポトーシス阻害タンパク質リピート5)、インスリン様増殖因子−結合タンパク質3(IGF−BP3)、チミジル酸合成酵素(TYMS)、低酸素誘導タンパク質2、低酸素誘導脂肪滴関連タンパク質(HIG2)、マトリクスメタロペプチダーゼ7(MMP7)、pruneホモログ2 (PRUNE2)、RecQタンパク質様(DNAヘリカーゼQl様:RECQL)、レプチン受容体(LEPR)、ERBB受容体フィードバック阻害剤1(ERRFIl)、リソソームタンパク質膜貫通型4アルファ(LAPTM4A); RAB1B、RAS 癌遺伝子ファミリー(RABIB)、CD24、ホモサピエンスサイモシンベータ4、Xリンク(TMSB4X)、ホモサピエンスS100カルシウム結合タンパク質A6(S100A6)、ホモサピエンスアデノシンA2受容体(ADORA2B)、染色体16オープンリーディングフレーム61(C16orf61)、ROD1分化の調節遺伝子1(ROD1)、NAD依存性デアセチラーゼサーチュイン2(SIR2L)、チューブリンアルファ1c(TUBA1C)、ATPase阻害因子1(ATPIFl)、ストローマ抗体2(STAG2)、ならびに核カゼインキナーゼおよびサイクリン依存性基質1(NUCKS1)からなる群から選択される。一部の実施形態では、腫瘍抗原としては限定されないが、KS 1/4汎癌性抗原、卵巣癌性抗原(CA125)、前立腺酸性ホスファターゼ、前立腺特異的抗原、メラノーマ関連抗原p97、メラノーマ抗原gp75、高分子量メラノーマ抗原(HMW−MAA:high molecular weight melanoma antigen)、前立腺特異的膜抗原、CEA、多形上皮ムチン抗原、乳脂肪球抗原、大腸腫瘍関連抗原(例えばCEA、TAG−72、CO17−1A、GICA 19−9、CTA−1およびLEA)、バーキットリンパ腫抗原−38.13、CD19、Bリンパ腫抗原−CD20、CD33、メラノーマ特異的抗原(例えばガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、ガングリオシドGM2、ガングリオシドGM3)、腫瘍特異性移植型細胞表面抗原(TSTA:tumor−specific transplantation type of cell−surface antigen)(例えばDNA腫瘍ウイルスのT抗原、およびRNA腫瘍ウイルスのエンベロープ抗原を含むウイルス誘導型腫瘍抗原)、癌胎児性抗原−α−胎児タンパク質、例えば結腸のCEA、膀胱腫瘍癌胎児性抗原、分化抗原(例えばヒト肺癌抗原L6およびL20)、繊維肉腫の抗原、白血病T細胞抗原−Gp37、ネオ糖タンパク質、スフィンゴ脂質、乳癌抗原(例えばEGFR(上皮成長因子受容体)HER2抗原(pl85HER2)およびHER2 neuエピトープ)、多形上皮ムチン(PEM:polymorphic epithelial mucin)、悪性ヒトリンパ球抗原−APO−1、分化抗原(例えば胎児赤血球中、一次内胚葉に存在するI抗原、成人赤血球、着床前胚に存在するI抗原、胃腺癌中に存在するI(Ma)、乳房上皮中に存在するMl8、M39、骨髄細胞中に存在するSSEA−1、大腸癌中に存在するVEP8、VEP9、Myl、VIM−D5、D156−22、結腸腺癌中に存在するTRA−1−85(血液群H)、C14、肺腺癌中に存在するF3、胃癌中に存在するAH6、胚性癌細胞中に存在するYハプテン、Ley、A431細胞中に存在するTL5 (血液群A)、EGF受容体、膵臓癌中に存在するE1シリーズ(血液群B)、胚性癌細胞中に存在するFC10.2、腺癌中に存在する胃腺癌抗原、CO−514(血液群Lea)、腺癌中に存在するNS−10、A431細胞のEGF受容体中に存在するCO−43(血液群Leb)、G49、結腸腺癌中に存在するMH2(血液群ALeb/Ley)、結腸癌中に存在する19.9、胃癌ムチン、骨髄細胞中に存在するT5A7、メラノーマ中に存在するR24、胚性癌細胞中に存在する4.2、GD3、D1.1、OFA−1、GM2、OFA−2、GD2およびMl:22:25:8、ならびに4〜8細胞期の胚中に存在するSSEA−3およびSSEA−4)、皮膚型T細胞リンパ腫からのT細胞受容体誘導型ペプチド、C反応性タンパク質(CRP)、癌抗原−50(CA−50)、乳癌関連癌抗原15−3(CA15−3)、癌抗原−19(CA−19)および消化管癌関連癌抗原−242、癌関連抗原(CAA)、クロモグラニンA、上皮性ムチン抗原(MC5)、ヒト上皮特異的抗原(ElA)、ルイス(a)抗原、メラノーマ抗原、メラノーマ関連抗原100、25および150、ムチン様癌関連抗原、多剤耐性関連タンパク質(MRPm6)、多剤耐性関連タンパク質(MRP41)、Neu癌遺伝子タンパク質(C−erbB−2)、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、P−糖たんぱく質(mdrl遺伝子産物)、多剤耐性関連抗原、p170、多剤耐性関連抗原、前立腺特異的抗原(PSA)、CD56およびNCAMが挙げられる。
一部の実施形態では、他の腫瘍抗原としては限定されないが、AIM2(メラノーマ2が不在)、BMI1(BMI1ポリコームリングフィンガー癌遺伝子)、COX−2(シクロオキシゲナーゼ−2)、EGFRvIII(上皮増殖因子受容体バリアントIII)、EZH2(エンハンサーオブゼストホモログ2)、LICAM(ヒトLI細胞接着分子)、Livin、Livinβ、MRP−3(多剤耐性タンパク質3)、Nestin、OLIG2(乏突起膠細胞転写因子)、SOX2(SRY関連HMG−ボックス2)、ART1(T細胞認識抗原1)、ART4(T細胞認識抗原4)、SARTl(T細胞認識扁平上皮細胞癌抗原1(T細胞認識扁平上皮癌抗1))、SART2、SART3、B−サイクリン、Gli1(グリオーマ関連癌遺伝子ホモログ1)、Cav−1(カベオリン−1)、カテプシンB、CD74(分化抗原群74)、E−カドヘリン(上皮カルシウム依存性付着)、EphA2/Eck(EPH受容体A2/上皮キナーゼ)、Fra−l/Fosl 1(fos関連抗原1)、Ki67(抗体Ki67の核増殖関連抗原)、Ku70/80(ヒトKuヘテロ二量体タンパク質サブユニット)、IL−13Ra2 (インターロイキン−13受容体サブユニットアルファ−2)、NY−ESO−1(ニューヨーク食道扁平細胞癌1)、PROX1(プロスペロホメオボックスタンパク質1)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、SOX10(SRY関連HMGボックス10)、SOX11、サバイビン、UPAR(ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体)、およびWT−1(ウィルムス腫瘍タンパク質1)が挙げられる。
VI.治療レジメンおよび薬剤製剤
薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスおよび免疫チェックポイント阻害剤は同時に投与され、当該腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは腫瘍内投与により送達される。同時投与は、例えばこれらの剤を含む1つの固定された組み合わせの形態で行われてもよく、または独立した製剤中の各剤を同時に投与することにより行われてもよい。一部の実施形態では、薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスおよびPD−1またはPD−L1免疫チェックポイント阻害剤は、同時に投与される。一部の実施形態では、薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスおよびCTLA−4免疫チェックポイント阻害剤は、同時に投与される。一部の実施形態では、薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスおよびTIGIT免疫チェックポイント阻害剤は、同時に投与される。一部の実施形態では、薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、PD−1またはPD−L1免疫チェックポイント阻害剤、およびCTLA−4免疫チェックポイント阻害剤は、同時に投与される。一部の実施形態では、薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、PD−1またはPD−L1免疫チェックポイント阻害剤、およびTIGIT免疫チェックポイント阻害剤は、同時に投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与、静脈内投与、動脈内投与、および/または腹腔内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、静脈内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腹腔内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、動脈内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与によってのみ投与される。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは腫瘍内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは静脈内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは腹腔内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは動脈内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍抗原、および任意でサイトカインをコードする異種核酸配列を含み、当該腫瘍抗原および任意でサイトカインは、ウイルスに感染した細胞中、好ましくは腫瘍細胞中で発現される。
一部の実施形態では、本発明は、ヒトにおいて腫瘍を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、(a)複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、および(b)免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤を含む組み合わせを当該ヒトに並行投与することを含む。治療方法の一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、PD−1、PD−L1、CTLA−4、LAG3、TIM3、およびTIGITから選択される。治療方法の一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、CTLA−4である。治療方法の一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、PD−L1である。治療方法の一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、LAG3である。治療方法の一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、TIGITである。治療方法の一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、PD−1である。治療方法の一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、TIM3である。治療方法の一部の実施形態では、腫瘍は、固形癌である。治療方法の一部の実施形態では、腫瘍は、大腸癌である。治療方法の一部の実施形態では、腫瘍は、腎細胞癌である。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与、IV投与、および/または腹腔内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、IV投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腹腔内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、動脈内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与によってのみ投与される。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは腫瘍内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは静脈内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは腹腔内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは動脈内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍抗原、および任意でサイトカインをコードする異種核酸配列を含み、当該腫瘍抗原および任意のサイトカインは、ウイルスに感染した細胞中、好ましくは腫瘍細胞中で発現される。
一部の実施形態では、本発明は、ヒトにおいて腫瘍を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、(a)複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、(b)PD−1および/またはPD−L1の阻害剤、ならびに(c)免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤、を含む組み合わせを当該ヒトに並行投与することを含む。治療方法の一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、CTLA−4、LAG3、TIM3、およびTIGITから選択される。治療方法の一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、CTLA−4である。治療方法の一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、LAG3である。治療方法の一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、TIGITである。治療方法の一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、TIM3である。治療方法の一部の実施形態では、腫瘍は、固形癌である。治療方法の一部の実施形態では、腫瘍は、大腸癌である。治療方法の一部の実施形態では、腫瘍は、腎細胞癌である。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与、IV投与、および/または腹腔内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、IV投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腹腔内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与によってのみ投与される。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは腫瘍内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは静脈内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは腹腔内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは動脈内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍抗原、および任意でサイトカインをコードする異種核酸配列を含み、当該腫瘍抗原および任意でサイトカインは、ウイルスに感染した細胞中、好ましくは腫瘍細胞中で発現される。
治療方法の一部の実施形態では、腫瘍は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスの投与の前に、免疫チェックポイントタンパク質を発現していないか、または比較的低いレベルで免疫チェックポイントタンパク質を発現している。一部の実施形態では、高レベルは、50%以上の腫瘍比例スコア(tumor proportional score)により示される。一部の実施形態では、高レベルは、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、約99%、または約100%の腫瘍比例スコアにより示される。一部の実施形態では、過去の治療された腫瘍に対する高レベルは、1%超の腫瘍比例スコアにより示される。一部の実施形態では、高レベルは、50%以上のPD−L1発現腫瘍細胞により示される(例えば50%を超える腫瘍細胞がPD−L1を発現する)。一部の実施形態では、高レベルは、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、約99%、または約100%のPD−L1発現腫瘍細胞により示される。一部の実施形態では、過去に治療された腫瘍に対する高レベルは、1%超のPD−L1発現腫瘍細胞により示される(例えば1%を超える腫瘍細胞がPD−L1を発現する)。一部の実施形態では、任意のPD−L1診断検査を採用して、PD−L1発現を測定することができる。一部の実施形態では、PD−L1チェックポイントが測定されるとき、PD−L1 DaKo Companion Diagnostic検査を採用して、PD−L1のレベルを測定する。
治療方法の一部の実施形態では、当該方法は、その組み合わせの投与前に、腫瘍におけるチェックポイントタンパク質の発現レベルを測定する工程を含む。
腫瘍溶解性ワクシニアウイルスと免疫チェックポイント阻害剤の投与は、もしあれば治療に関する毒性を考慮にいれて、各々の特定の治療法の投与に関する一般的なプロトコールに従う。治療サイクルは、必要に応じて繰り返されることが予測される。また、本発明の併用療法に加えて様々な標準治療ならびに外科的介入が適用され得ることも意図される。
治療レジメンは変化し得るものであり、多くの場合、腫瘍のタイプ、腫瘍の位置、疾患の進行、そして患者の健康状態と年齢に依存する。特定のタイプの腫瘍は、より積極的な治療を必要とする。しかし同時に特定の患者は、より骨の折れるプロトコールは容認できない。
特定の実施形態では、治療される腫瘍は、少なくとも当初は切除可能ではない場合がある。本発明の併用療法を用いた治療は、境界部分で縮小することにより、またはある特定の浸潤部分を排除することにより、腫瘍の切除可能性を高める場合がある。治療後、切除が可能になる場合がある。切除後の追加的治療は、腫瘍部位の顕微鏡クラスの残留病変を除去するのに役立つことになろう。
1つまたは複数の要素間の相乗的相互作用の決定、効果に対する最適範囲、および効果に対する各要素の絶対的な用量範囲は、治療の必要のある患者に対し、異なるw/w比の範囲および用量で当該要素を投与することにより、断定的に測定され得る。ヒトに関しては、患者に臨床試験を実施することの複雑さとコストがあるため、相乗効果に関する一次モデルとしてこの形態の試験を行うことは現実的でないことになる。しかしながらある種での相乗効果を観察することで、他の種における効果を予測することができる。本明細書に記載されるように、相乗効果を測定するための動物モデルは存在しており、その研究結果を使用して、薬物動態/薬力学的方法を適用することによって他種で必要とされる有効用量、および血漿濃度比率範囲、および絶対的な用量、および血漿濃度を予測することもできる。腫瘍モデルとヒトで見られる効果の間の確立された相関関係は、動物での相乗効果が、例えばヒト異種移植片腫瘍モデルにおいて実証され得ることを示唆する。
一部の実施形態では、組み合わせを使用して、哺乳類の癌を治療および/または予防する。一部の実施形態では、癌としては限定されないが、脳腫瘍、頭頚部の癌、食道癌、皮膚癌、肺癌、胸腺癌、胃癌、結腸癌、肝癌、卵巣癌、子宮癌、膀胱癌、腎癌、精巣癌、直腸癌、乳癌、および膵臓癌が挙げられる。一部の実施形態では、癌は、脳腫瘍、頭頚部の癌、食道癌、皮膚癌、肺癌、胸腺癌、胃癌、結腸癌、肝癌、卵巣癌、子宮癌、膀胱癌、腎癌、精巣癌、直腸癌、乳癌、および膵臓癌からなる群から選択される。好ましい実施形態では、組み合わせを使用して、転移を治療および/または予防する。他の好ましい実施形態では、組み合わせを使用して、限定されないが、肝細胞癌、大腸癌、腎細胞癌、膀胱癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、胃癌、食道癌、肉腫、中皮腫、メラノーマ、膵臓癌、頭頚部癌、卵巣癌、子宮頸癌および肝癌を含む癌が治療される。一部の実施形態では、組み合わせを使用して、肝細胞癌、大腸癌、腎細胞癌、膀胱癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、胃癌、食道癌、肉腫、中皮腫、メラノーマ、膵臓癌、頭頚部癌、卵巣癌、子宮頸癌および肝癌からなる群から選択される癌が治療される。一部の実施形態では、組み合わせを使用して、大腸癌、特に転移性大腸癌が治療される。一部の実施形態では、治療される哺乳類は、ヒトである。別の好ましい実施形態では、組み合わせを使用して、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤に対し抵抗性の癌が治療される(例えば癌は、PD−1阻害剤、CTLA−4阻害剤、LAG3阻害剤、および/またはTIGIT阻害剤を用いた免疫療法に対し抵抗性である)。一部の実施形態では、癌は、固形癌または固形腫瘍である。
方法は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスと免疫チェックポイント阻害剤の治療有効量を並行投与することを含む。腫瘍溶解性ウイルスの治療有効量は、腫瘍溶解、つまり癌細胞の破壊または溶解を誘導するのに充分な量として定義される。好ましくは腫瘍溶解性ワクシニアウイルスと免疫チェックポイント阻害剤は、相乗効果を発揮する量で投与される。当該用語は、腫瘍の増殖もしくはサイズを減速させる、阻害する、または低下させることを含み、またある例では腫瘍の消滅を含む。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスの有効量は、腫瘍、例えば注射されていない腫瘍の感染に対し、治療用ウイルスの全身的な播種を生じさせる。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスの有効量は、腫瘍溶解、つまり癌細胞の破壊または溶解を誘導するのに充分な量である。
一部の実施形態では、癌の治療および/または予防とは、治療後の腫瘍のサイズおよび/または存在において、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または約100%の低下および/または減少を示すものである。一部の実施形態では、癌の治療および/または予防とは、治療後に完全な腫瘍の退縮を示すものである。一部の実施形態では、癌の治療および/または予防とは、治療後に完全な腫瘍の寛解を示すものである。一部の実施形態では、癌は、免疫チェックポイント阻害剤の治療に対し不応性または抵抗性である。一部の実施形態では、癌は、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、および/または抗CTLA−4抗体を用いた治療に対し不応性または抵抗性である。一部の実施形態では、癌は、抗PD−1抗体を用いた治療に対し抵抗性である。一部の実施形態では、癌は、抗CTLA−4抗体を用いた治療に対し抵抗性である。一部の実施形態では、治療は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスを投与することを含む。一部の実施形態では、治療は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスと免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含む。一部の実施形態では、治療は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスと免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含み、当該免疫チェックポイント阻害剤は、PD−1、PD−L1、CTLA−4、LAG3、TIGITおよび/またはTIM3の阻害剤である。一部の実施形態では、治療は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、PD−1またはPD−L1の阻害剤、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含む。一部の実施形態では、治療は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、PD−1またはPD−L1の阻害剤、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含み、当該免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA−4阻害剤、LAG3阻害剤、TIGIT阻害剤、またはTIM3阻害剤である。一部の実施形態では、治療は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、PD−1阻害剤、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含み、当該免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA−4阻害剤である。一部の実施形態では、治療は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、PD−L1阻害剤、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含み、当該免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA−4阻害剤である。一部の実施形態では、治療は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、PD−1阻害剤、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含み、当該免疫チェックポイント阻害剤は、LAG3阻害剤である。一部の実施形態では、治療は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、PD−L1阻害剤、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含み、当該免疫チェックポイント阻害剤は、LAG3阻害剤である。一部の実施形態では、治療は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、PD−1阻害剤、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含み、当該免疫チェックポイント阻害剤は、TIGIT阻害剤である。一部の実施形態では、治療は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、PD−L1阻害剤、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含み、当該免疫チェックポイント阻害剤は、TIGIT阻害剤である。一部の実施形態では、治療は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、PD−1阻害剤、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含み、当該免疫チェックポイント阻害剤は、TIM3阻害剤である。一部の実施形態では、治療は、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、PD−L1阻害剤、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含み、当該免疫チェックポイント阻害剤は、TIM3阻害剤である。
一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与、IV投与、および/または腹腔内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、IV投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腹腔内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、動脈内投与により投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与によってのみ投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与によってのみ投与される。
本明細書に開示されるチェックポイント阻害剤は、例えば静脈内、筋肉内、皮下、眼窩内、関節包内、腹腔内、直腸内、嚢内、腫瘍内、脈管内、皮内など経口または非経口を含む様々な経路で投与されることができ、または例えば皮膚パッチもしくは経皮イオントフォレーシスなどをそれぞれ使用して皮膚を通過させ、受動的な吸収または吸収促進を行うことにより投与されることができる。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、全身投与される。またチェックポイント阻害剤は、病的状態の部位に、例えば腫瘍に供給を行う血管内へ例えば静脈内投与または動脈内投与されることもできる。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD−1、PD−L1、CTLA−4、LAG3、TIGITおよび/またはTIM3の阻害剤である。
一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは腫瘍内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは静脈内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは腹腔内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。一部の実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは動脈内投与され、チェックポイント阻害剤は全身投与される。
本発明方法の実施で投与される剤の総量は、単回用量として、ボーラスまたは点滴のいずれかにより、比較的短期間で対象に投与されることができ、または分割された治療プロトコールを使用して投与されることができ、そのプロトコール中では複数の用量が、長期間にわたり投与される。当業者であれば、対象における病的状態を治療するための組成物の量は、対象の年齢および一般健康状態ならびに投与経路および与えられる治療の数をはじめとする多くの因子に依存することを知っていることになる。これらの因子を鑑み、当業者は必要に応じて特定の用量を調節するとになる。概して、組成物の処方、投与経路および投与頻度は、第I相臨床試験および第II相臨床試験を使用して初期に決定される。
特定の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、0.01〜0.05mg/kg、0.05〜0.1mg/kg、0.1〜0.2mg/kg、0.2〜0.3mg/kg、0.3〜0.5mg/kg、0.5〜0.7mg/kg、0.7〜1mg/kg、1〜2mg/kg、2〜3mg/kg、3〜4mg/kg、4〜5mg/kg、5〜6mg/kg、6〜7mg/kg、7〜8mg/kg、8〜9mg/kg、9〜10mg/kg、少なくとも10mg/kg、またはそれらの任意の組み合わせの用量で投与される。チェックポイント阻害剤の適切な投与量は、約0.5mg/kg〜25mg/kg、好ましくは約1mg/kg〜約20mg/kg、より好ましくは約2mg/kg〜約15mg/kgの範囲である。特定の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、少なくとも週に1回、週に少なくとも2回、週に少なくとも3回、2週ごとに少なくとも1回、または1か月ごともしくは複数月ごとに少なくとも1回、投与される。特定の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、1つの用量として、2つの用量として、3つの用量として、4つの用量として、5つの用量として、または6つ以上の用量として投与される。好ましくはチェックポイント阻害剤は、静脈内(例えば静脈内の点滴または注射)または腫瘍内に投与される。非限定的な例として、イピリムマブは、3週ごとに3mg/kgの用量、合計で4用量で静脈内点滴により投与されることが好ましい。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD−1、PD−L1、CTLA−4、LAG3、TIGITおよび/またはTIM3の阻害剤である。
A.追加の抗癌治療
1つまたは複数の追加の化学療法剤を、本発明の組み合わせとともに投与してもよく、そのような追加的化学療法剤としては限定されないが、5−フルオロウラシル(FU)、フォリン酸(FA)(またはロイコボリン)、メトトレキサート、カペシタビン(ゼローダ;5−FUの経口プロドラッグ)、オキサリプラチン(エロキサチン)、ベバシズマブ(アバスチン)、セツキシマブ(アービタックス)、およびパニツムマブ(ベクティビックス)の任意の組み合わせが挙げられる。これらの剤は公知の治療プロトコールに従い投与され得る。概して、追加的化学療法剤は、静脈内投与されるが、経口用製剤であるカペシタビンは例外である。
他の態様では、本発明の方法は、例えば放射線療法、ホルモン療法、外科手術およびそれらの組み合わせなどの追加的癌治療法を与えることをさらに含む。
放射線療法としては限定されないが、ガンマ線、X線、および/または腫瘍細胞への放射性同位体の定方向伝達が挙げられる。例えばマイクロ波およびUV照射などの他の形態のDNA損傷因子もまた意図される。これらの因子のすべてが、DNA、DNA前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体の組み立ておよび維持に対して広範な損傷を与える可能性が最も高い。X線の線量範囲は、長期間(3〜4週)の間の50〜200レントゲンの1日線量から、2000〜6000レントゲンの単回照射の範囲である。放射性同位体の線量範囲は広範に変化し、同位体の半減期、放出される放射能の強度とタイプ、そして新生細胞による取り込みに依存する。
癌を有するおよそ60%の人々が、予防的、診断的または病期決定的、治癒的ならびに緩和的な外科手術を含む何らかのタイプの外科手術を受ける。治癒的な外科手術は、例えば本発明の治療法、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法および/または代替療法などの他の治療法と併せて使用され得る癌の治療法である。
治癒的外科手術には摘出が含まれ、この手術において癌性組織のすべてまたは一部が物理的に除去され、切除され、かつ/または破壊される。腫瘍の摘出とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的な除去を指す。腫瘍の摘出に加えて、外科手術による治療には、レーザー手術、冷凍外科手術、電気外科手術および顕微鏡制御下外科手術(モース術)が含まれる。本発明は、表層の癌、前癌、または偶発的な量の正常組織の除去と併せて使用され得ることがさらに意図される。
癌性の細胞、組織または腫瘍の一部またはすべてを切除することで、身体には空洞が形成され得る。治療は、追加的な抗癌療法を用いて当該領域にかん流、直接注入または局所適用することで実現され得る。そのような治療は例えば1、2、3、4、5、6もしくは7日ごとに、または1、2、3、4および5週ごとに、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12か月ごとに繰り返され得る。これらの治療も同様に用量が変化し得る。
本発明方法と併せて使用するための治療法の別の形態として温熱療法が挙げられる。当該療法は、患者の組織を高温(最大106°F(約41℃))に暴露する方法である。外部加熱デバイスまたは内部加熱デバイスが、局所、局部または全身の温熱療法の適用に関与する。局所の温熱療法には、小さな領域、例えば腫瘍に熱を適用することを含む。熱は、腫瘍を標的とする身体の外側にあるデバイスからの高周波で外部から生じさせてもよい。内部加熱には、薄い加熱されたワイヤ、または温水で満たされた中空管、移植マイクロ波アンテナ、または高周波電極を含む滅菌プローブが関与する。
患者の臓器または四肢は、局所療法で加熱される。これは例えば磁石などの高エネルギーを生み出すデバイスを使用して実現される。あるいは患者の血液の一部が取り出され、加熱された後に、内部加熱される領域の中へとかん流される。癌が全身に拡がった症例では全身加熱も実施され得る。温水ブランケット、ホットワックス、誘導コイル、および保温チャンバーを本目的に対して使用してもよい。
ホルモン療法もまた本発明と併せて使用してもよく、または上述の任意の他の癌療法と組み合わせて使用してもよい。ホルモンの使用は、例えばテストステロンまたはエストロゲンなどの特定のホルモンレベルを低下させ、またはホルモンの作用を遮断するために、例えば乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌などの特定の癌の治療で採用される場合がある。
B.組成物および製剤
薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、癌を治療するために投与され、かつ/または腫瘍細胞に直接投与される。したがって、本開示の医薬組成物は、所望される投与経路用に製剤化される(例えば腫瘍内注射、静脈内投与、動脈内投与、および/または腹腔内投与)。一部の実施形態では、薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与、静脈内投与、動脈内投与、および/または腹腔内投与による投与用に製剤化される。一部の実施形態では、薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与による投与用に製剤化される。一部の実施形態では、薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、静脈内投与による投与用に製剤化される。一部の実施形態では、薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、動脈内投与用に製剤化される。一部の実施形態では、薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腹腔内投与による投与用に製剤化される。一部の実施形態では、薬剤の組み合わせの複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、腫瘍内投与のみによる投与用に製剤化される。
腫瘍溶解性ワクシニアウイルスの腫瘍内注射は、発現構築物が、注射に必要とされる特定のゲージの針を通過することができる限りにおいて、シリンジまたは溶液注射用に使用される任意の他の方法により行われてもよい。新たな無針注射システムが最近報告された(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,846,233号)。このシステムは、溶液を保持するアンプルチャンバーを規定するノズルと、ノズルから送達部位へと溶液を押し出すためのエネルギーデバイスを有する。任意の深度で所定量の溶液を正確に複数回注射することが可能な、遺伝子治療での使用のためのシリンジシステムも記載されている(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,846,225号)
遊離塩基または薬理学的に許容可能な塩としての活性化合物の溶液は、例えばヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤を用いて適切に混合された水中に調製され得る。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物での分散溶液、およびその油中の混合液も調製され得る。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は微生物の増殖を防ぐための保存剤を含有する。注射用途に適した剤型としては、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注射溶液もしくは分散液の即時調製用の滅菌粉末が挙げられる(その全体で参照により本明細書に具体的に組み込まれる米国特許第5,466,468号)。全ての場合で、剤型は、滅菌されていなければならず、そして注射針通過性が在る程度に液体でなければならない。製造および保存の条件下で安定的でなければならず、そして例えば細菌や真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されていなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)を含有する溶媒もしくは分散媒、それらの適切な混合物、および/または植物油であり得る。例えばレシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合には必要な粒子サイズを維持することにより、および界面活性剤の使用により、適切な流動性が維持されていてもよい。微生物の影響の予防は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによりもたらすことができる。多くの事例では、例えば糖類または塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが好ましいことになる。注射用組成物の持続的吸収を、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる剤の組成物を使用することによりもたらすことができる。
水溶液の腫瘍内注射については、例えば溶液は、必要な場合には適切に緩衝されてもよく、そして液体希釈剤は最初に充分な生理食塩水またはグルコースを用いて等張にされてもよい。この関連において、採用され得る滅菌水性媒は、本開示を考慮した当分野の当業者には公知であろう。例えば1回投与量を1mlの等張NaCl溶液に溶解させ、そしてそれを1000mlの皮下注入用の液体に加えるか、または提唱される点滴部位に注射してもよい(例えば“Remington’s Pharmaceutical Sciences”15th Edition,pages 1035−1038 and 1570−1580を参照のこと)。投与量における何らかの変動は、治療される対象の状態に応じて必然的に発生するであろう。投与に関して責任を負う人物は、いずれの場合でも、個々の対象に対して適切な用量を決定するであろう。さらにヒトへの投与については、調製物は、FDA生物標準局により要求される滅菌性、発熱性、一般的安全性、および純度標準を満たすべきである。
滅菌注射溶液は、適切な溶媒中の必要量の活性化合物に、必要に応じて上に列記される様々な他の成分を組み込むことにより調製される。概して、分散液は、様々な滅菌された活性成分を、塩基性分散媒を含有する滅菌ビヒクル、および上に列記される物質の必要とされる他の成分の中へに組み込むことにより調製される。滅菌注射溶液の調製用の滅菌粉末の場合には、好ましい調製方法は、真空乾燥技法および凍結乾燥技法であり、これらの技法により、従前に滅菌ろ過された溶液から活性成分に任意の追加的な望ましい成分を加えた粉末が得られる。
本明細書に開示される組成物は、中性または塩の形態で製剤化されてもよい。薬学的に許容可能な塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)が挙げられ、それらは例えば塩酸またはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸、およびこれに類するものを用いて形成される。遊離カルボキシル基で形成される塩も、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは水酸化第二鉄などの無機塩基から、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基、およびこれに類するものから誘導することができる。製剤化に伴い、溶液は、剤型に適合した方法で、および治療有効な量で投与されることになる。製剤は、例
ば注射溶液、薬剤放出カプセル、およびこれに類するものなどの様々な剤型で容易に投与される。
本明細書において使用される場合、「担体」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、緩衝剤、担体溶液、懸濁液、コロイドなどを含む。薬学的に活性な物質に対する、そのような媒体および剤の使用は、当分野で周知である。任意の従来的な媒体または剤が、活性成分と不適合である場合を除き、治療組成物中でのその使用が意図される。補足的な活性成分も、組成物の中へと組み込まれてもよい。
「薬学的に許容可能な」または「薬理学的に許容可能な」という文言は、ヒトに投与されたときに、アレルギー反応または類似予期しない反応を生じない分子実体および組成物を指す。活性成分としてタンパク質を含有する水性組成物の調製も、当分野において良く理解されている。典型的には、そのような組成物は、液状溶液または懸濁液のいずれかの注射用物質として調製される。注射の前に液体中の溶液または液体中の懸濁液に適する固体の形態も調製され得る。
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を例示する目的で与えられるものであり、いかなる形でも本発明を限定することを意味しない。当業者であれば、本発明は、本目的を実行するため、ならびに上述の目標および利点、ならびに本明細書に内在する目的、目標および利点を得るために良好に適合されることを容易に理解するであろう。本実施例は、本明細書に記載される方法とともに、現在の好ましい実施形態を代表するものであり、例示であり、本発明の範囲に対する限定は意図されていない。その中の変更、および特許請求の範囲により規定される本発明の主旨の内に包含される他の用途を、当業者は気付くであろう。
実施例1
転移性腎細胞癌(Renca)の同系マウスモデルにおいて、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスとチェックポイント阻害剤を用いた組み合わせ治療が腫瘍を退縮させる能力を評価した。この腫瘍の増殖パターンは、ヒトの成人腎細胞癌を、特に肺および肝臓への自然発生的な転移に関して正確に模倣している。このRencaモデルは、血管過剰増生状態であり、抗PD−1抗体免疫療法に対して抵抗性であり、免疫応答性である。組織の起源が感染とは無関係であるため、このRencaモデルは全ての癌に関連がある。
材料と方法
マウスおよび細胞株−特定病原体未感染のオスのBALB/cマウスをフィルター付きのケージ内に飼育し、12時間の逆昼夜サイクルで水と食料を供給した。全てのマウスは、麻酔の組み合わせ(80mg/kgのケタミンと12mg/kgのキシラジン)の筋肉内注射により麻酔され、その後に殺処分された。Renca腎癌細胞株およびCT26結腸癌細胞株はATCCから取得され、10%FBSと1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含有するRPMI−1640培地中、37℃、5%CO2で培養された。
ウイルス増幅−
mJX594は、ウイルスチミジンキナーゼ遺伝子の破壊と、合成早期後期プロモーターの制御下にあるマウスGMCSF−GFP(mGMCSF−GFP)の挿入を含有するよう操作されたWestern Reserveワクシニアウイルスである。100%コンフルエンシーレベルのHeLaS3細胞に、感染多重度(moi)=1〜3のmJX594を感染させ、1.5時間、37℃のCO2インキュベーター内に置き、その後、2.5%FBSを含有するDMEMを加え、48〜72時間インキュベートした。遠心分離により細胞を集め、上清を破棄した。細胞を10mMのTris−Cl、pH9.0中で再懸濁させ、Daunceホモジナイザーで均質化し、遠心分離した。細胞沈殿物を10mMのTris−Cl、pH9.0中で再懸濁させ、遠心分離し、そして上清を最初の上清と組み合わせた。上清を最初の上清と組み合わせた。超音波破砕させた溶解物を36%スクロースの上に置き、32,900×gで80分間、4℃で遠心分離した。その後沈殿物を10mMのTris−Cl、pH9.0中で再懸濁させ、−60℃未満で保存した。
ICI阻害剤(本明細書では免疫チェックポイント阻害剤とも呼称される)−
CTLA−4およびPD−1に対する抗体は、BioXcell社から購入した。9D9モノクローナル抗体はマウスCTLA−4と反応する。アイソタイプ:マウスIgG2b。J43モノクローナル抗体はマウスPD−1と反応する。アイソタイプ:アルメニアハムスターIgG。
腫瘍モデルおよび治療スケジュール−
臨床的に関連性のある腎腫瘍モデルを創出するために、Renca腫瘍細胞(腎癌、同系)の懸濁液(5×105細胞/100μl)を、8〜10週齢の免疫能力のあるオスのBalb/cマウスの右背面の脇腹に皮下注射した。平均腫瘍体積が50mm3を越えたとき、マウスを無作為化して、以下に記載される治療レジメンを施した。
腫瘍サイズは、デジタル式のノギスを用いて全群において3日ごとに測定された。腫瘍体積は、式0.5×A×B2に従い算出され、式中、Aは腫瘍の最も大きな直径であり、Bはその直角に交わる直径である。その後の指定日に、マウスはCO2により殺処分され、さらなる解析のために組織を採取した。
組織学的解析−
免疫蛍光研究のために、サンプルは1%PFAに固定され、20%スクロース溶液中で一晩脱水され、そして組織凍結培地(Leica社)内に包埋された。凍結ブロックを50μmの切片に切り出した。サンプルはPBST(0.03%TritonX−100のPBS溶液)中、5%ヤギ(またはロバ)血清でブロッキングされ、その後、以下の一次抗体とともに室温(RT)で3時間インキュベートされた:抗GFP(ウサギ、Millipore社)、抗CD31(ハムスター、クローン2H8、Millipore社)、抗VEGFR2(ウサギ、Cell signaling社)、抗CD8a(ラット、BD pharmingen社)、抗CD11b(ラット、BD pharmingen社)、抗FoxP3(ラット、eBioscience社)、抗カスパーゼ3(ウサギ、R&D systems社)、抗ワクシニア(ウサギ、Abcam社)、および抗PD−L1(ラット、eBioscience社)。数回洗浄を行った後、サンプルは、以下の2次抗体とともに室温で2時間インキュベートされた:FITC−、Cy3−、またはCy5−結合抗ハムスターIgG(Jackson ImmunoResearch社)、FITCまたはCy3−結合抗ウサギIgG(Jackson ImmunoResearch社)、Cy3−結合抗ラットIgG(Jackson ImmunoResearch社)、またはCy3−結合抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch社)。核は、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、Invitrogen社)で染色された。その後サンプルは、蛍光標本培地(DAKO社)を用いて標本化され、免疫蛍光画像は、Zeiss LSM880共焦点顕微鏡(Carl Zeiss社)を使用して取得された。
形態学的解析−
血管、CD8T細胞、またはアポトーシス領域の密度測定は、ImageJソフトウェア(http://rsb.info.nih.gov/ij)を用いて実施された。無作為の0.42mm2の面積当たりのCD31、CD8、またはカスパーゼ3+の面積が、腫瘍周辺領域よおび腫瘍内領域で測定された。全ての測定は、1匹のマウス当たり、少なくとも5つの異なる視野で行われた。
フローサイトメトリー法
採取された腫瘍組織は細かく刻まれ、コラゲナーゼD(Roche社)およびDNaseI(Roche社)を含有するFACS緩衝液(PBS中、1%FBS)中、振とう水槽において1〜2時間、37℃でインキュベートされた。消化された細胞は40μmのナイロンメッシュでろ過され、細胞塊が除去された。ACK溶解緩衝液中で細胞懸濁液を5分間、RTでインキュベートすることによりRBCは除去された。得られた単一細胞は、FACS緩衝液中、以下の抗体とともに30分間インキュベートされた:PerCP−cy5.5−結合抗マウスCD45(ラット、eBioscience社)、APC−結合抗マウスCD3e(ハムスター、eBioscience社)、FITC−結合抗マウスCD4(ラット、eBioscience社)、PE−結合抗CD8a(ラット、eBioscience社)、FITC−結合抗マウスCD11b(ラット、eBioscience社)、APC−結合抗マウスGr1(ラット、eBioscience社)、およびAPC−結合抗マウスCD11c(ハムスター、eBioscience社)。
統計解析−
値は、平均±標準偏差として表されている。平均間の統計的差異は、独立スチューデントt検定、または一元配置分散分析の後にスチューデント−ニューマン−コイルス検定を行うことで決定された。統計的有意性は、p<0.05で設定された。
結果
ワクシニアウイルス+抗PD−1の併用療法の抗腫瘍効果
抗PD−1とmJX−594を用いた併用療法については、5×105個のRenca腫瘍細胞をBALB/cマウスの右背側脇腹に注射し、腫瘍サイズが50〜100mm3に達したときに治療を開始した(0日目)。マウスは4つの治療群に無作為化された:(i)対照群:PBSを3日ごとに腫瘍内注射;(ii)mJX−594単剤療法群:1×107pfuのmJX−594を2日ごとに、0日目、2日目および4日目に合計3回の腫瘍内注射;(iii)抗PD−1単剤療法群:10mg/kgの抗体を3日ごとに、0日目、3日目、6日目および9日目の合計4回の腹腔内注射;(iv)mJX−594+抗PD−1の組み合わせ群:mJX−594と抗PD−1を並行して投与された。mJX−594は2日ごと、0日目、2日目および4日目に合計3回、腫瘍内注射され、また抗PD−1は0日目、2日目、4日目、6日目および9日目に合計5回、腹腔内注射で投与された(図1Aを参照)。
腫瘍増殖抑制は、対照と比較して、mJX−594単剤療法群と、mJX−594/抗PD−1の組み合わせ群(組み合わせ群)において観察された(図2Aを参照)。腫瘍増殖抑制は組み合わせ群においてより顕著であった(図2Aを参照。「mJX594」および「PD1」と、「PD1+mJX594」を比較)。腫瘍増殖抑制は、抗PD−1の単剤療法群では観察されなかった(図2Aを参照。「対照」と「PD1」を比較)。腫瘍の重量は、mJX−594単剤療法群において低下したことが示された(図2Bを参照)。腫瘍重量における顕著な低下は、組み合わせ群で観察され、mJX−594単剤療法群で観察された低下よりも大幅に大きいものであった(図2Bを参照)。ゆえにmJX−594と抗PD−1の並行投与は、いずれの単剤療法と比較しても腫瘍の重量と体積において著しい低下をもたらした。
腫瘍周辺領域および腫瘍内領域の両方において、CD8 T細胞の浸潤が、PD−1単剤療法群、mJX−594単剤療法群、および並行組み合わせ群において増加していた。(図3Aを参照)。抗PD−1単剤療法群では、中心領域よりも周辺領域でCD8 T細胞浸潤が増加していた一方で、mJX−594群は、中心領域と周辺領域の両方でより多くの数のCD8 T細胞の浸潤を示した。(図3Bを参照)。mJX−594と抗PD−1抗体の並行投与は、対照およびいずれの剤単独の単剤療法と比較しても、腫瘍周辺および腫瘍内のCD8+染色で測定した場合に腫瘍内T細胞浸潤を著しく増加させた。(図3Bを参照)。血管密度の低下も、対照と比較して治療群において観察された(図3Bを参照)。
周辺腫瘍領域および中心腫瘍領域の両方のPD−L1の発現レベルは、対照群と比較して、抗PD−1単剤療法群、mJX−594単剤療法群、および並行組み合わせ群において増加していた。(図4Aを参照)。抗PD−1単剤療法群が、中心領域よりも周辺領域で増加したPD−L1発現レベルを示した一方で、mJX−594単剤療法群は、周辺領域および中心領域の両方においてPD−L1発現レベルの同等の増加を示した(図4Aを参照)。JX−595と抗PD−1抗体の並行投与は、いずれかの剤単独の単剤療法と比較して腫瘍内PD−L1の発現を増加させた(図4Aを参照)。Renca腫瘍は、抗PD1免疫療法に対して抵抗性である。並行組み合わせ治療群における腫瘍PD−L1発現の増加は、これらの腫瘍が、腫瘍内へのCD8+T細胞の浸潤を伴って抗PD−1療法に対して感受性化したことを反映しており、治療効果の指標である。これらのパターンから、基準時ではT細胞は免疫抑制され、腫瘍微小環境に浸潤することができないことが示唆される。mJX−594は炎症と血管拡張を生じさせ、T細胞が抗腫瘍効果を発揮できるようにしている。mJX−594と抗PD−1抗体の並行投与は、T細胞の活性化と腫瘍中心領域内へのT細胞の浸潤をもたらす。
カスパーゼ3染色により測定したところ、対照と比較してPD−1単剤療法群、mJX−594単剤療法群、および並行組み合わせ群において腫瘍内アポトーシスが増加したことが観察された(図4Bを参照)。いずれの単剤療法群と比較しても、並行組み合わせ群において、腫瘍内のアポトーシスの著しい増加が確認された(図4Bを参照)。並行組み合わせ群におけるアポトーシスと抗血管作用(図3Bに示す)を併せると、並行組み合わせ群における大規模な腫瘍壊死が示唆される。
mJX−594と抗PD−1抗体の並行後の免疫微小環境における変化が、CD4およびCD11bにより測定された場合に、対照およびいずれかの剤を用いた単剤療法と比較して観察された。(図5Aを参照)。重要なことは、CD8 T細胞の腫瘍浸潤は、並行組み合わせ群において最も高かったことである。抗CD8抗体を使用してCD8+細胞を枯渇させたところ、腫瘍増殖阻害が低下したことから、抗腫瘍効果におけるこれらの細胞の役割が確認された(データは示さず)。骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)が、対照群と比較して、mJX−594群および並行組み合わせ群において増加していた。従来、CD11b+Gr1+細胞は単純に免疫抑制性の細胞とみなされていた。しかし近年の結果から、これらの細胞はそれほど単純には規定できないことが実証されており、αPD1を用いた並行組み合わせ群で観察されたMDSCの相対的増加と、αCTLA4を用いた並行組み合わせ群で観察されたMDSCの減少は対照的である(図10A〜10B)。
mJX−594と、PD−1±CTLA4の連続的な共投与と、並行的な共投与の腫瘍増殖に対する効果を評価した。5×105個のRenca(腎癌、同系)細胞を、8週齢の免疫能力があるBALB/cマウスの右脇腹に皮下注射した。腫瘍のサイズが50mm3に達した時点で、治療を開始した(0日目)。
マウスは4つの治療群に分けられた:(i)対照群:0日目、3日目、6日目、9日目、12日目および15日目にPBSを注射した;(ii)mJX−594+抗PD−1の連続組み合わせ群:mJX−594を0日目、3日目、6日目および9日目に腫瘍内注射し、抗PD−1を6日目、9日目、12日目および15日目に腹腔内注射した(iii)mJX−594と抗PD−1の並行組み合わせ群:mJX−594と抗PD−1が並行投与された。mJX−594は0日目、3日目、6日目および9日目に腫瘍内注射され、抗PD−1は、0日目、3日目、6日目、9日目、12日目および15日目に腹腔内投与された;(iv)mJX−594+抗PD−1+抗CTLA4の3重並行組み合わせ群:mJX−594は0日目、3日目、6日目および9日目に腫瘍内注射され、抗PD−1と抗CTLA4は、0日目、3日目、6日目、9日目、12日目および15日目に腹腔内注射された(図6を参照)。
腫瘍増殖は、対照と比較して、mJX−594+抗PD−1の連続投与群および並行投与群、ならびにmJX−594+抗PD−1+抗CTLA4の3重並行投与群で抑制された(図7を参照)。驚くべきことに、mJX−594と抗PD−1の並行投与は、これらの剤の連続投与よりも腫瘍増殖をさらに大幅に抑制(遅延)させた(図7を参照)。3重並行投与群(「組み合わせ(mJX−594+αPD1+αCTLA4)))では、さらなる腫瘍増殖の遅延が観察された。(図7を参照)。
各マウスの腫瘍サイズを治療群間で比較したところ、対照と比較して組み合わせ群で腫瘍退縮が確認された。腫瘍退縮は連続組み合わせ群では12日目から観察されたが、並行組み合わせ群および3重並行組み合わせ群では6日目から腫瘍は退縮傾向にあった。
驚くべきことに、これらの結果は、投与レジメンと潜在的には投与経路が、併用療法の抗腫瘍効果に大きな影響を与えることができるということを示唆する。特に、ワクシニアウイルスとチェックポイント阻害剤(抗PD−1、CTLA−4)が並行投与された場合、ワクシニアウイルスはチェックポイント阻害剤と相乗効果を発揮して強力な抗腫瘍免疫応答を誘導する。一部の事例では、ワクシニアウイルスが並行投与の一部として腫瘍内投与されたときに、強力な抗腫瘍免疫反応があった。ワクシニアウイルスとチェックポイント阻害剤の並行投与で観察された相乗的な抗腫瘍効果は特に驚くべきことであった。その理由は、当分野では免疫チェックポイント阻害剤は例えばワクシニアなどの腫瘍溶解性ウイルスの複製を阻害すると理解されているからである(Rojas et al.,J.Immunol.,192(1 Supplement):142.3(2014))。
ワクシニアウイルス+抗CTLA4
5×105個のRenca(腎癌)細胞を、8週齢の免疫能力のあるBALB/cマウスの右脇腹に皮下注射した。腫瘍のサイズが50〜100mm3に達した時点で、治療を開始した(0日目)。
マウスは5つの治療群に無作為化された:(i)対照群:0日目、3日目、6日目、9日目、12日目および15日目にPBSを腫瘍内注射した;(ii)mJX−594単剤療法群:1×107pfuのmJX−594を0日目、3日目、6日目および9日目に腫瘍内注射した;(iii)抗CTLA4単剤療法群:4mg/kgの抗体を0日目、3日目、6日目、9日目、12日目および15日目に腹腔内注射した;(iv)mJX−594+抗CTLA4の連続組み合わせ群:mJX−594と抗CTLA4は連続して投与された。mJX−594は0日目、3日目、6日目および9日目に腫瘍内注射され、抗CTLA4は6日目、9日目、12日目および15日目に腹腔内注射された;(v)mJX−594と抗CTLA4の同時組み合わせ群:mJX−594と抗CTLA4は連続的に投与された。mJX−594は0日目、3日目、6日目および9日目に腫瘍内注射され、抗CTLA4は0日目、3日目、6日目、9日目、12日目および15日目に腹腔内注射された(図8を参照)。
腫瘍サイズは全群で3日ごとに計測された。観察が完了したとき(16日目)にマウスをCO2により殺処分し、腫瘍を取り出して、フローサイトメトリー解析にかけた(CD4+およびCD8+腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、Gr1+/CD11b+ MDSC)。
腫瘍増殖は対照と比較して全ての治療群で抑制されたことが確認された。(図9を参照)。組み合わせ治療群では著しくより多くの腫瘍増殖が抑制されたことが観察された。最も大きな腫瘍増殖抑制は、並行投与群で観察された(図9を参照)。
各マウスの腫瘍サイズを治療群間で比較したところ、単剤療法群および対照群と比較して、組み合わせ群で腫瘍退縮が確認された。対照と比較して、全ての治療群でCD8 T細胞の浸潤増加が観察された。(図10Aを参照)。対照と比較してmJX−594単剤療法群でMDSCのレベルが増加していた一方で、連続的組み合わせ治療群では有意な変化は観察されず、並行組み合わせ治療群ではMDSCレベルの低下が観察された(図10Bを参照)。
JX929と免疫チェックポイント阻害剤の並行投与
腹腔内投与されたPD−1チェックポイント阻害剤と並行してIT投与されたJX929(6×107pfu)に関する、上述のマウスRencaモデルにおける抗腫瘍効果を試験した。JX929は、ウイルスのTK遺伝子とVGF遺伝子が破壊されたWestern Reserve株ワクシニアウイルス(TK−/GF−表現型)であり、GM−CSFを発現しない。
細胞株−
マウスRENCA細胞(ATCC)を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、1%ペニシリン−ストレプトマイシンを補充したRPMI1640中で培養し、5%CO2、37℃で維持した。
インビボ実験−
8週齢のメスのBALB/cマウスに、100μlのPBS中のRENCA細胞(2×106個の細胞)を、左腎の被膜下へと注射した。移植後10日目に、Renca腫瘍を担持するマウス(IVIS(登録商標)スペクトラムインビボイメージングシステムを用いて可視化されたときに50mm3〜100mm3)に、図1B示されるレジメンに従い、(i)PBS(対照)、(ii)ワクシニアウイルス(JX−929)単剤療法(6×107PFUを移植後10、11および12日目に合計3用量)、(iii)抗PD1単剤療法(BioXcell社、ニューハンプシャー州West Lebanon、100μl)(移植後10、11および12日目に合計3用量)、または(iv)JX929+抗PD1の並行治療(それぞれ移植後10、11および12日目に投与された。JX−929は午前に投与され、ICIは同じ日の午後に9時間の間隔で投与された)を用いて腹腔内(i.p)で治療を行った。
さらなる組織学的解析およびフローサイトメトリー解析のために、最後の治療の2日後にマウスを殺処分した。
フローサイトメトリー−
末梢血サンプルを採取し、赤血球をRBC溶解緩衝液で溶解させた。1%FBSを含有するPBSで細胞を洗浄し、その後、モノクローナルマウス抗CD8抗体、ウサギ抗CD4抗体、ウサギ抗CD3抗体(Santa Cruz Biotechnology社、米国カリフォルニア州)で染色した。4%パラホルムアルデヒドで細胞を固定し、次いでFITC結合ヤギ抗ウサギ抗体またはヤギAPC結合抗マウス抗体(Santa Cruz Biotechnology社)とともにインキュベートした。各サンプルに対し、10,000個の細胞を、FACS Calibur機器(BD biosciences社、米国カリフォルニア州)を使用して解析した。
組織学的解析−
マウスを安楽死させ、腫瘍を担持した腎臓および肺を含む生体臓器を得て、10%中性化ホルマリン(BBC Biochemical社、米国ワシントン州)で固定した。組織をパラフィン中に包埋し、切片(4μmの厚さ)を基本的な組織学的解析のためにヘマトキシリンおよびエオジンで染色した。免疫蛍光法および免疫組織化学的方法のために、切片を、CD8に特異的なマウスモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology社、米国カリフォルニア州)を使用した標準的な方法により染色した。次いで切片を、免疫蛍光法用のFITC結合ヤギ抗マウス抗体(Santa Cruz Biotechnology社)、またはVectastain(登録商標)Elite ABC−Peroxidase−キット(Vector Laboratories社、米国カリフォルニア州)のいずれかとともにインキュベートし、免疫組織化学的方法用にVector SG (Vector Laboratories社)で可視化した。各治療群から採取した腫瘍の重量と体積を測定し、比較した。
ELISpot Assay−
IFNγ分泌細胞を、製造者のプロトコールに従いELISpotマウスIFNγキット(Mabtech社、オハイオ州Cincinnati)を使用して評価した。脾臓を単離し、単一細胞懸濁液として調製した。RENCA腫瘍細胞またはワクシニアウイルスに感染したマウスの脾臓細胞と、脾臓細胞を5:1の比率で混合し、24時間、37℃でインキュベートした。特異的スポットの強度をImageJソフトウェア(NIH)を使用して分析した。
統計解析−
全ての値は、平均±標準偏差(SD)として表された。統計解析はInstat3(GraphPad Software社、米国カリフォルニア州)を使用して実施された。一元配置分散分析(ANOVA)と対応有りのボンフェローニポストホック対比較検定を使用して多重比較を分析した。
mJX594治療は、チェックポイントタンパク質の発現を誘導する。
50mm3を越えるRenca腫瘍を担持するBalb/cマウスに、図1Cに示される治療レジメンに従い、mJX594(0、3、6および9日目の各々に1×107)の腫瘍内用量を4回投与し、またはPBS対照とした。
対照動物およびmJX−594治療動物の腫瘍中の免疫チェックポイントタンパク質のレベルは、0日目(治療前)および12日目の殺処分時に測定された。図13は、対照マウスと比較した、mJX−594治療マウスにおける治療後のチェックポイントタンパク質の倍数変化を図示する。図13に示されるように、mJX594治療は、PD−1(4倍増加)、PD−L1、PD−L2、CTLA4(2倍を超える増加)、LAG3、TIM3(3倍を超える増加)およびTIGIT(2倍を超える増加)を含む、チェックポイントタンパク質の発現を誘導する。複製可能な腫瘍溶解性ワクシニアウイルスを用いた治療は、チェックポイントタンパク質のPD−1、PD−L1、CTLA−4、LAG3、TIM3およびTIGITにおける著しい増加を含む、腫瘍免疫微小環境の動的な変化をもたらし、それにより、それぞれのチェックポイント阻害剤を用いたこれらのチェックポイントタンパク質の各々の遮断に対し、腫瘍を感受性化させた。臨床試験により、腫瘍浸潤細胞およびチェックポイントタンパク質(例えばPD−L1)発現が、チェックポイント阻害剤を用いた治療(例えば抗PD−L1治療)に対する可能性の指標であることが実証されており、特定のチェックポイントタンパク質を発現する腫瘍を有する患者においてのみならず、特定のチェックポイントタンパク質を低レベルで発現する(または発現していない)腫瘍を有する患者においても、本明細書に記載される併用療法の有効性が支持される。
実施例2
腫瘍内の腫瘍溶解性ワクシニアウイルスによる腫瘍微小環境の再構築が、免疫チェックポイント遮断剤の有効性が強化する
要約
癌免疫療法は、強力で持続的な治療方法であるが、その臨床上の利益は未だ普遍的ではない。本明細書において、本発明者らは、標的化され、かつGM−CSFで武装強化された腫瘍溶解性ワクシニアウイルス(VV)であるmJX−594を、移植腎癌、結腸癌、および自発性乳癌を有するマウスにおいて免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の組み合わせパートナーとして採用した。VVの腫瘍内注射により、腫瘍微小環境の広範囲な再構築が誘導され、非T細胞非炎症性腫瘍から、CD8+T細胞の数の増加とエフェクター機能の強化を伴うT細胞炎症性腫瘍へと、腫瘍が変化した。さらにVVとICIの併用療法は、生存率の改善と抗転移の効果とともに、腫瘍退縮を誘導することができた。本発明者らの発見から、VVが、ICIとの組み合わせで強固な抗癌免疫を惹起させ、免疫療法抵抗性が克服されたことが示される。
イントロダクション
PD−1またはCTLA−4を標的とする免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を用いた癌免疫療法は、強力で持続的な治療有効性を実証しており、癌との闘争における新たな武器として浮上してきた(Hegde et al.,2016;Topalian et al.,2015;Wolchok and Chan,2014)。しかしながらICIの臨床上の有効性は、T細胞炎症性の腫瘍微小環境(TME)を有する腫瘍に限定されている(Gajewski,2015;Topalian et al.,2016)。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)がわずかしかない、免疫原性の乏しい腫瘍では、TMEはI型インターフェロンの特徴と、T細胞リクルートのためのケモカインを欠いている(Gajewski et al., 2013)。さらに腫瘍の脈管系と間質成分は、T細胞の腫瘍内輸送と、腫瘍細胞に対するそれらのエフェクター機能に対し障壁を生じさせる場合がある(De Palma and Jain,2017;Rivera and Bergers,2015;Sharma et al.,2017)。ゆえに、これらの非T細胞炎症性腫瘍に対し、TMEを適切に再構築して、これらの腫瘍をICI治療に対してより感受性のあるものにするための追加的な治療介入が必要とされている。
腫瘍溶解性ウイルス(OV)は、抗癌療法の新規なクラスとして提唱されており、異なる骨格と導入遺伝子を有するOVが現在臨床試験で評価されている(Bell,2014;Lichty et al.,2014)。OVの成功は、過去十年間の当初、その素早い複製と強化された腫瘍溶解能力により評価されていたが、現在ではOVは免疫療法として認識され始めている。その理由は、腫瘍溶解性ウイルス療法を行った後の最も強力で持続的な応答は、腫瘍特異的なエフェクターT細胞とメモリーT細胞の増加を伴う、抗腫瘍免疫の誘導の成功と結びつけられたためである(Bell,2014;Chiocca and Rabkin,2014;Thorne,2014)。とはいえ、OVの治療有効性は、免疫抑制性のTMEにより大きく阻害されるため、免疫システムのブレーキを開放することが、OVの免疫療法的有効性を最大化するために極めて重要である(Bell and Ilkow,2017;Hou et al.,2016;Liu et al.,2017)。ゆえに、OVとICIの組み合わせは、乏しい免疫原性と免疫抑制性TMEを克服する合理的で好ましい戦略である。
JX−594(ペキサスチモジンデバシレプベク、Pexa−vec)は、免疫活性化導入遺伝子であるGM−CSFを発現するよう操作され、かつウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子が破壊された腫瘍溶解性ワクシニアウイルス(VV)である(Kirn and Thorne,2009)。JX−594は、目覚ましい抗癌活性を示し、前臨床試験および臨床試験では低毒性であり、そして臨床開発において最も実現可能で有望なOVプラットフォームの内の1つとなった(Breitbach et al.,2011a;Cripe et al.,2015;Heo et al.,2013;Park et al.,2008)。その腫瘍溶解性と血管破壊活性とは別に、JX−594は、in situの癌ワクチン効果を呈すると提唱されている。その理由は、選択的な腫瘍破壊と、それに引き続く追加的な腫瘍抗原の放出のために、腫瘍抗原に対する適応免疫応答を惹起することができるためである(Breitbach et al.,2011b;Breitbach et al.,2015a)。現在、JXは−594には、進行性肝細胞癌における第III相無作為化臨床試験が行われている(Abou−Alfa et al.,2016)。しかしほとんどの研究は、JX−594治療後の原発性TMEならびに離れた病変部位におけるその免疫調節機能を特徴化することができていない(Kim et al.,2018)。さらに、例えばICIなどの免疫療法とJX−594の最適な組み合わせは未だ追跡中であり、検証中である。
本明細書において、本発明者らは、JX−594のマウスバリアント(mJX−594、WR.TK−mGM−CSF)を用いたTMEの動的な再構築を包括的に分析し、その免疫療法的な潜在力を調査して、免疫原性が劣る腫瘍モデルにおけるICIを用いた合理的な組み合わせ戦略を提供する。
結果
mJX−594は、免疫抑制性の非炎症性腫瘍を、炎症性腫瘍へと転換する
腫瘍溶解性ウイルスであるmJX−594の免疫調節能力を決定するために、本発明者らは、免疫原性が劣るRenca腫瘍における単回mJX−594注射後の腫瘍微小環境の経時的な変化を検証した。mJX−594のレベルは注射後1日目ですでに高く、3日目にピークを迎え、7日目にはほぼ検出不可能となった(図33Aおよび33B)。対照的に、腫瘍血管系は、ウイルスレベルに対して反対の応答を示した。腫瘍血管密度は注射後1日目〜3日目の間は著しく減少したが、7日目以降には回復した(図33Aおよび33B)。このことから、mJX−594は強力ではあるが一過性の腫瘍血管破壊を誘導したことが示唆される。注記すべきは、抗癌免疫の最も重大な側面を担う腫瘍内領域中のCD8+細胞障害性T細胞群は、注射後5日目で際立って増加を開始し、7日目でピークを迎え、2週間目でも高密度を維持していた(図33Aおよび33B)。このことから、mJX−594によって非炎症性腫瘍からT細胞炎症性腫瘍への明白で長期的な転換がはっきりと実証される。比較として、CD11c+樹状細胞(DC)は3日目で一過性に出現したが、その後は減少した(図33Aおよび33B)。PD−L1発現のレベルは0日目で最低であり、mJX−594治療後はアップレギュレートされた(図1Aおよび1B)。興味深いことに、PD−L1のアップレギュレーションのタイミングは、CD8+TILの膨大な流入の直後であり(図1C)、このことから、T細胞介在性免疫を抑制しようとする負のフィードバック経路の活性化が示唆される。PD−L1発現細胞のほとんどはサイトケラチン+腫瘍細胞であり、一部のCD11b+骨髄細胞もPD−L1を発現する。一方でT細胞は発現しなかった(図1D)。ゆえにmJX−594は強力で持続的な抗癌免疫のエンハンサーであり、細胞障害性CD8+T細胞を冷たい腫瘍へ、そして一過性の腫瘍血管系破壊物質へとリクルートする。
mJX−594により調節される癌免疫経路を解明するために、本発明者らは750個の免疫関連遺伝子のmJX−594単剤療法後の発現レベルの変化を、PanCancer Immune Profilingパネルを使用して包括的に分析した。結果から、免疫特性に関連した遺伝子において、対照腫瘍とmJX−594治療された腫瘍の間には際立った違いが示された(図33E)。I型IFNシグナル伝達の活性化、DC成熟およびT細胞活性化に関与する遺伝子を含む、およそ100個の免疫調節性遺伝子が、その発現レベルにおいて統計的に有意な変化を呈していた(図33F)。特に本発明者らは、TMEにおいて、対照と比較して阻害性(Pd−1、Pd−l1、Ctla−4、およびLag−3)およびアゴニスト性(Icos、GitrおよびCd27を含む)の両方の免疫チェックポイント分子の発現が全体的により高いことを観察した(図33G)。さらにTMEを分析したところ、Th1およびTh2の応答に関連した遺伝子の増加が明らかとなり、このことから、mJX−594単剤療法による免疫調節が示唆される(図33G)。また本発明者らは、TMEと骨髄細胞に関与するいくつかの遺伝子が著しく上昇したことも見出した(図33G)。特にNos2とCd86の発現増加は、骨髄細胞がM1マクロファージへと分極したことを表す。これらの結果から、mJX−594はTMEの動的な変化を通して長期的な免疫活性化を惹起し、非炎症性腫瘍を、免疫チェックポイント遮断剤に応答することができるT細胞炎症性腫瘍へと再構築することが示される。
mJX−594はCD8+T細胞の腫瘍内浸潤を増大させ、骨髄細胞の再分極を誘導する
mJX−594誘導性の腫瘍増殖遅延は、用量依存性であった(図34Aおよび34B)。並行して、腫瘍周辺領域および腫瘍内領域の両方におけるmJX−594誘導性のCD8+T細胞浸潤の増加も用量依存性であった(図34Cおよび34D)。実際のところ、リンパ細胞分画のフローサイトメトリーサブセット解析でも、mJX−594誘導性の腫瘍内CD8+T細胞およびCD4+T細胞の絶対数の増加が用量依存性であったことが明らかとなった(図34Eおよび34G)。CD4+Foxp3+CD25+の制御性T細胞数もmJX−594の3重投与の後に増加している(図34H)が、CD8+T細胞と制御性T細胞の比率は、対照治療群のものと比較して5.3倍高く(図34I)、このことから、mJX−594治療による、TMEにおけるT細胞エフェクター機能の全体的な上昇が示唆される。さらに、共刺激マーカーおよびT細胞活性化のマーカーであるICOSおよびグランザイムB(GzB)の発現も、mJX−594治療後にCD8+T細胞において増加した(図34J)。骨髄細胞分画のさらなるサブセット解析を行うことにより、mJX−594治療を用いて治療された腫瘍において、CD11b+Gr1+骨髄細胞分画に有意な変化はなかったことが明らかとなった(図34K)。しかしながらCD11b+Ly6G−Ly6C+単球骨髄細胞分画は増加しており、一方でCD11b+Ly6G+Ly6Cint顆粒球骨髄細胞分画は減少していた。このことからmJX−594投与後の骨髄細胞の分極が示唆される(図34Lおよび34M)。これらの発見から、mJX−594の反復投与により抗癌免疫が強化され、活性化T細胞の浸潤増加と、骨髄細胞の再分極がもたらされることが実証される。
mJX−594の腫瘍内注射により、全身性で癌特異的な免疫応答が生じる
mJX−594の局所注射が、注射されていない離れた腫瘍においても全身性の免疫応答を誘導することが可能であることを決定するために、本発明者らはRenca腫瘍を両側の脇腹へと移植した後、右側の腫瘍内にmJX−594を投与した。この治療により、右側と左側(反対側であり、注射されていない部位)の両方のRenca腫瘍の増殖が抑制された(図35A)。両側部位での腫瘍増殖阻害と一致して、腫瘍内領域でのCD8+T細胞浸潤も、右側と左側の両方のRenca腫瘍で7.9倍および5.5倍増加しており(図35Bおよび35C)、このことから、局所的なmJX−594ウイルス療法が、全身性の抗癌免疫を強力に活性化できることが示唆される。
次に、局所的なウイルス療法の後に、全身循環を通じて、離れた腫瘍へと直接ウイルスが拡散した可能性を排除するために、本発明者らは、左側の注射されていないRenca腫瘍におけるウイルス複製を検証し、左側の腫瘍には検出可能なワクシニアウイルスが存在しなかったことを見出した(図41)。このことから、mJX−594の抗癌活性は免疫介在性であり、全身性のウイルス拡散の結果ではなかったことが示唆される。
観察された全身性の免疫応答が腫瘍特異的であるかどうかを評価するために、本発明者らは、右脇腹にRenca腫瘍が移植され、左脇腹にCT26腫瘍が移植されたマウスを使用した類似実験を実施した。mJX−594を用いて右側のRenca腫瘍を腫瘍内治療したところ、注射された腫瘍の増殖が著しく減少した。一方で左側の治療されていないCT26腫瘍の増殖は影響を受けなかった(図35D)。顕微鏡解析でも一致した結果が示されており、RencaにはCD8+T細胞が蓄積されていたが、CT26腫瘍には蓄積していなかった(図35Eおよび35F)。このことからmJX−594ウイルス療法は、腫瘍特異的なCD8+T細胞反応を誘導したことが示唆される。ゆえにこれらの結果から、局所的なmJX−594治療は全身的な抗癌免疫を惹起させ、離れた腫瘍においてさえも腫瘍特異的なリンパ球浸潤を発生させ得ることが示唆される。
抗癌免疫は、JXの全治療有効性において重要な役割を果たす
免疫系のどの構成要素がmJX−594の治療有効性に寄与しているのかを決定するために、本発明者らは、CD8、CD4またはGM−CSFに対する中和抗体を用いて処理されたマウスにおける、腫瘍に対するその効果を検証した(図36A)。特筆すべきは、CD8+T細胞またはCD4+T細胞のいずれかを枯渇させると、mJX−594単剤療法による腫瘍増殖の効果的な阻害が無効化されたことである(図36Bおよび36C)。このことから、mJX−594誘導性の腫瘍阻害において、直接的な腫瘍溶解よりも免疫介在性の機序の重要性が強調される。驚くべきことに、mJX−594注射時にCD4+T細胞を枯渇させると、CD8+T細胞の腫瘍内浸潤が減少した(図36D)。このことから、TMEにおけるCD8+T細胞の活性化およびリクルートにCD4+T細胞が関与していることが示唆される。しかしながらCD8+T細胞枯渇はCD4+T細胞の浸潤をそれほど変化させなかった(図36E)。このことから、CD8+T細胞は、TME中のCD4+T細胞に影響を与えなかったことが示される。これらのデータから、mJX−594の腫瘍内治療は、CD8+T細胞とCD4+T細胞のプライミングを誘導し、これらが互いに相互作用して抗癌免疫を介在し得ることが示される。ヘルペスウイルスおよびワクシニアウイルスを基にした過去のウイルス療法では、GM−CSFを、抗原提示細胞(APC)をリクルートおよび活性化させて、その後にT細胞応答をトリガさせる免疫活性化用の導入遺伝子として利用していた。しかしながらGM−CSFの使用は議論の的となっており、その理由は、例えば骨髄由来抑制性細胞(MDSC:myeloid−derived suppressor cells)の増殖の誘導など、腫瘍進行におけるその潜在的な免疫抑制的な役割があるためである(Thorne,2014)。その結果、本発明者らは、GM−CSFがmJX−594の治療効果に必要か否かを調査した。興味深いことにGM−CSFを枯渇させることでmJX−594の抗腫瘍効果が無効化されてしまい、CD8+T細胞およびCD4+T細胞の両方のレベルが減少したことから、GM−CSFはmJX−594の免疫治療的有効性には重要であることが提唱される(図36C〜36E)。ゆえにCD8+T細胞およびCD4+T細胞の両方ともが、mJX−594の抗癌効果において必須のメディエーターであり、GM−CSFは免疫療法の利益をもたらし得る。
mJX−594と免疫チェックポイント遮断剤の組み合わせは相乗的な抗癌効果を惹起し、腫瘍内へのTリンパ球の浸潤を強化する。
ICI単剤療法に対する抵抗性を克服するために、本発明者らは、mJX−594とICIの組み合わせの利益を評価した。治療後12日目において、αPD−1およびmJX−594のそれぞれの単剤療法が、22.8%および44%だけ腫瘍増殖を遅延させた一方で、αPD−1とmJX−594の組み合わせは腫瘍増殖を70%だけ低下させた。(図37Aおよび37B)。これらの発見を補強するために顕微鏡解析を行ったところ、CD8+T細胞のリクルートは、対照と比較して、併用療法で治療された腫瘍の腫瘍周辺領域(18.8倍)および腫瘍内領域(21.4倍)の両方において著しく増加していたことが判明した(図37Cおよび37D)。CD31+腫瘍血管は、これらの領域において有意義な程度にまで低下していた(それぞれ1.8倍および2.6倍。図37Cおよび37D)。これに加えて、対照と比較し、併用療法で治療された腫瘍において、より多くの腫瘍アポトーシスが指摘された(図5Cおよび5D)。PD−L1の発現は対照腫瘍では最小限であったが、mJX−594治療の後では高度にアップレギュレートされている(図37Cおよび37D)。この発見は、TMEで誘導されたPD−L1発現は、腫瘍溶解性ウイルス療法後の抗癌免疫を抑制する適応的な負のフィードバック機構であることを示唆し、それゆえに、mJX−594の免疫療法効果を強化するためのmJX−594とPD−1/PD−L1遮断剤の併用療法の合理性を提供するものである(図37E)。
全体として、これらの結果は、併用療法は、mJX594またはαPD−1単剤療法に対する抵抗性を、CD8+T細胞浸潤の増加を介して抗癌免疫を強化することによって克服することができるということを示唆するものである。
同様に、αCTLA−4とmJX−594を用いた組み合わせ治療も相乗的であった。腫瘍増殖はmJX−594(42.0%)またはαCTLA−4(20.0%)のいずれかの単剤療法でも多少は阻害されていたが、併用療法を用いることでより強力な阻害(57.6%)が観察された(図42Aおよび42B)。これに加えて、併用療法を行った後、対照と比較して、腫瘍の周辺領域(27.0倍)および中心領域(26.4倍)の両方においてCD8+T細胞のより高度な蓄積が観察された(図42Cおよび42D)。腫瘍内CD8+T細胞レベルの増加とともに、周辺領域および中心領域の両方において対照と比較してCD31+血管も著しく破壊された(それぞれ2.1倍、3.8倍の低下。図42Cおよび42E)。さらにフローサイトメトリーから、CD8+T細胞およびCD4+T細胞の腫瘍内浸潤も、mJX−594およびαCTLA−4の併用療法により増加したことが明らかとなった(図42F〜42H)。
まとめると、これらの結果から、mJX−594とICIを使用した併用療法は、免疫抑制性のTMEにおける免疫療法抵抗性を克服することができ、それにより相乗的な抗癌効果をもたらすことが示される。
腫瘍内mJX−594とICIを用いた組み合わせ免疫療法の有効性は、治療スケジュールに大きい影響を与えない
ICIはウイルス複製に負の影響を与え、早過ぎるOVのクリアランスをもたらす可能性があることから、いくつかの研究は全身性腫瘍溶解性ウイルス療法とICIの組み合わせを使用する最適な治療スケジュールを探索しており、一部の併用スケジュールが治療有効性に拮抗を誘発する可能性があることが報告されている(Liu et al.,2017;Rojas et al.,2015)。しかしながら局所的な腫瘍溶解性ウイルス療法を検証する同様の研究は報告されていない。腫瘍内mJX−594とICIの最適な併用スケジュールを確立させるために、本発明者らは、以下を比較した:(1)mJX−594とICIの同時投与(スケジュールI)、(2)mJX−594の投与の3日後にICIを開始(スケジュールII)、および(3)ICI開始の3日後にmJX−594の投与(スケジュールIII)(図38A)。全ての併用スケジュールが、腫瘍増殖を約40%まで遅延させた(図38Bおよび38C)。同様に、腫瘍浸潤CD8+T細胞およびCD4+T細胞のレベルも、それぞれ8倍超および4.0倍超だけ増加しており、CD8+T細胞におけるICOSとGzBの発現レベルの著しい増加も示す(図38D〜38F)。
mJX−594とαPD−1を用いた併用療法と同様に、mJX−594とαCTLA−4の組み合わせも、治療スケジュールにかかわらず約40%だけ腫瘍増殖を阻害した(図43Aおよび43B)。さらにCD8+Tリンパ球とCD4+Tリンパ球の腫瘍内浸潤(それぞれ7倍超および7倍超の増加)ならびにCD8+T細胞におけるGzBおよびICOSの発現も、治療スケジュールにかかわらずより高かった(図43C〜43E)。
これらをまとめると、mJX−594の腫瘍内注射と、全身的な免疫チェックポイント遮断剤を用いた併用療法は、治療スケジュールと関係なく、有効な抗癌免疫応答を生じさせるものであり、mJX−594の腫瘍内投与はICI投与のスケジュールを変化させても著しい影響は受けないことが示唆される。
mJX−594、αPD1、およびαCTLA4の3重組み合わせは移植腎癌において完全な腫瘍退縮を誘導することができ、長期間の生存利益を提供する
mJX−594とICIの2重組み合わせが完全な腫瘍退縮を誘導しなかったことから、本発明者らは、mJX−594、αPD−1およびαCTLA−4の3重併用療法を調査した。αPD−1とαCTLA−4の2重組み合わせは14.5%だけ腫瘍増殖を遅延させ、mJX594の単剤療法は36.9%だけ腫瘍増殖を阻害し、3重組み合わせは76.5%だけ腫瘍増殖を阻害した(図39Aおよび39B)。特にこの3重組み合わせ群の一部(約40%)が、完全腫瘍退縮をもたらした。この現象は他のいずれの群でも観察されなかった(図39C)。
3重併用療法により誘導されたこの強力な抗癌効果の結果として、長期間の生存利益がもたらされたのかどうかを確認するために、本発明者らは腫瘍担持マウスの生存解析を実施した。実際に、3重併用療法で治療されたマウスは、他の治療と比較して著しい生存利益を呈した(図39D)。さらに完全に腫瘍退縮したマウスは、治療終了後12週を越える間無腫瘍であり、腫瘍細胞の再チャレンジに対しても完全に防御されたことから、効果的で長期的な免疫記憶が確立されたことが示唆される(図39E)。
これらの発見は、3重組み合わせ免疫療法が、完全な腫瘍退縮と長期的な生存を誘導する可能性を有することを実証する。
3重併用療法は、自然発生的な乳癌モデルにおいて抗癌免疫応答を強化する。
免疫抵抗性腫瘍における3重併用療法の長期的な免疫療法効果を厳密に立証するために、本発明者らはMMTV−PyMTトランスジェニックマウスモデルを採用した。このモデルは癌免疫療法に対する内因性の抵抗性を有する自然発生的乳癌モデルである(Schmittnaegel et al.,2017)。治療の4週間後、mJX−594、αPD−1およびαCTLA−4の3重組み合わせを用いて治療されたマウスは、対照マウスと比較して、38.7%だけの全腫瘍担持量の著しい低下と、触診可能な乳腺腫瘍結節数の著しい低下を呈した(図40A〜40D)。さらに3重併用療法は、他の治療法と比較して、各腫瘍結節の平均サイズにおいて48.1%の低下をもたらし、全体的な生存率を改善した(図40E〜40F)。組織学的解析(図40G、詳細な説明に関しては凡例を参照)から、3重組み合わせ群において浸潤癌はより少なく、腫瘍辺縁は良好に維持されていたことが明らかとなった。このことから3重組み合わせが腫瘍の進行と浸潤を効果的に遅延させたことが示される。他方で、αPD−1とαCTLA−4の2重組み合わせで治療された腫瘍は、対照群と同等の浸潤癌の表現型を示しており、周辺組織への浸潤と、腫瘍細胞の固形シートを形成していた。その結果、3重併用療法後、CD8+T細胞の腫瘍内リクルートは、他のあらゆる治療法と比較して50倍超にまで著しく増加していた(図40Hおよび40I)。しかしながら腫瘍血管密度は、治療群間で同等であった(図40J)。これらの発見から、血管破壊の効果ではなく、抗癌免疫の強化が、mJX−594とICIを用いた3重組み合わせ免疫療法の長期的な治療有効性に重要であることが示される。最後に、血行性の肺転移の数が、3重組み合わせ群で著しく低下していた(図40Kおよび40L)ことから、3重併用療法による効果的な抗転移効果を示す。
まとめると、これらの結果から、mJX−594とICIを用いた3重組み合わせ免疫療法が、免疫原性が劣る自然発生的乳癌モデルにおいてさえも強固な抗癌免疫応答を惹起することができることが実証された。
考察
本明細書において、本発明者らは、mJX−594とICIを用いた併用療法が、免疫抵抗性の腫瘍に対する効果的な治療戦略であることを実証した。併用療法により免疫学的な「沸点」を生じさせ、この沸点で、冷たく、非炎症性の腫瘍が充分に炎症化されて、宿主の免疫系が腫瘍細胞を除去することができるようになる。最も強力な効果は、mJX−594、抗PD−1および抗CTLA4を用いた3重免疫療法で観察され、この療法によって、免疫療法に対して最も抵抗性の同系腫瘍の1つであるRenca腫瘍の約40%で完全退縮が誘導された。この強力な相乗効果は、OVとICIの相互補完的な協力関係により説明することができる。
JX−594は、臨床試験で最も進行した段階にあるOVであり、様々な機序を介して作用することが知られている(Abou−Alfa et al.,2016)。JX−594は素早く直接的な腫瘍溶解と腫瘍中の血管の破壊を誘導することができるが、これらの効果は一過性であり、注射の1週間以内にほとんどが消滅する。それ以降はCD8+T細胞が大規模に腫瘍を浸潤し、抗癌免疫応答を開始させる。しかしながらそれと同時に腫瘍は、例えばPD−1、PD−L1またはCTLA−4などの免疫阻害性チェックポイント分子をTMEにおいてアップレギュレートすることで、免疫介在性の排除を回避するよう進化し始める。OVの最も強力で持続的な抗癌効果は、抗腫瘍免疫の順調な導入と維持が連動したときに実現されるため、ICIとOVを組み合わせて、OV誘導性の抗癌免疫の早期シャットダウンを防止することは合理的である。
ICI単剤療法は癌治療の情勢に革命をもたらしたが、その劇的な治療応答は、患者の一部に限定されている。このことから、免疫学的に「熱い」腫瘍または「冷たい」腫瘍という概念が形成された。熱い腫瘍は、TILで免疫学的に炎症化され、PD−L1が高発現するため、ICIに良好に応答する。一方で冷たい腫瘍は、CD8+TILが乏しく、免疫抑制性のTMEがあるために、ICIに対して不応性である(Bell and Ilkow,2017;Gajewski et al.,2013)。ゆえに現在は免疫学的に冷たい腫瘍を熱い腫瘍へと転換させることで、ICIに対する抵抗性を克服することに研究の焦点が置かれている。この態勢において、本発明者らの結果は、ICIに対する理想的な組み合わせパートナーとしてのmJX−594を提示する。mJX−594は選択的に腫瘍細胞中で複製して、腫瘍細胞を破壊し、そして腫瘍抗原を放出させて、宿主の免疫系を刺激することができる。さらに本発明者らの研究により、腫瘍内の炎症性反応、すなわちTh1応答の誘導、T細胞の活性化とリクルート、PD−L1のアップレギュレート、および抗腫瘍活性へと向かう骨髄細胞の分極化を誘導することで、TMEを冷たい状態から熱い状態へと劇的に転換できることが示された。興味深いことに、OVの複製と拡散は、冷たい腫瘍においてより活性であることが知られている。冷たい腫瘍ではOVを排除する免疫細胞がわずかしか存在せず、一方で豊富な在留TILを有する熱い腫瘍は、早過ぎるOVのクリアランスを誘導し、その治療効果を減弱させてしまう可能性がある(Bell and Ilkow,2017)。ゆえに、本研究の結果とまとめると、mJX−594は、ICIにとって、特に内因的に免疫療法に抵抗性の冷たい非炎症性腫瘍にとって、最適な組み合わせパートナーである。
GM−CSFは、最も普遍的に使用されているOVの治療用遺伝子搭載物である。最も進行した臨床試験段階にある2つのOVはT−VecとPexa−Vec(JX−594)であり、それら両方ともがGM−CSFを搭載している。GM−CSFは一般的に例えばDCなどの様々な免疫細胞の増殖を誘導することが知られているが、例えばMDSCなどの免疫抑制性細胞の望ましくない増殖に関する懸念がある(Hou et al.,2016)。本研究において本発明者らは、mJX−594が腫瘍内のCD11b+Gr1+細胞の分画を著しくは変化させないことを明らかにした。これに加えて、GM−CSFの中和はmJX−594の治療効果を消滅させた。これは部分的にはCD8+TILの減少によるものであったことから、GM−CSFがmJX−594により惹起される癌免疫において必須の役割を果たしていることが示される。
過去の研究において、OVとICIの組み合わせで目覚ましい免疫応答が惹起されたが、その治療効果は投与経路と投与スケジュールに大きく影響され得ることが報告された。特にOVとICIの両方が同時に全身投与されたとき、ICIが誘導する抗ウイルス免疫によって、ウイルスの早過ぎるクリアランスを促進することができるために、この組み合わせは拮抗してしまう可能性があった。このことから、OVに対する治療と抗癌免疫の誘導の成功との間の適切な時間のずれが重要であると示唆されている。本研究において、mJX−594の局所注射は一貫して抗癌免疫を誘導し、投与スケジュールに大きな影響は受けなかった。このことについて、本発明者らは、OVがTMEを炎症化させるための充分な時間のずれが腫瘍内注射によってもたらされ、その後に全身的な抗ウイルス免疫によって除去されたためであると推測している。ゆえに、ICIとOVの組み合わせに関する臨床試験を設計するにあたって、腫瘍内OV療法は、投与スケジュールという観点で全身的なOV療法と比較し、より現実的である可能性がある。
mJX−594とICIの組み合わせを用いた本発明者らの有望な結果に加えて、いくつかの臨床試験が既に進行中であり、肝癌、腎癌および結腸癌を含む様々な固形癌を標的としたαPD−1、αCTLA−4またはαPD−L1と組み合わされたJX−594の有効性が調査されている(ClinicalTrials.gov:NCT03071094、NCT02977156、NCT03294083およびNCT03206073)。ゆえに本発明者らは、近い将来、臨床現場において本研究の発見を立証することができるであろう。
結論として、本研究は、mJX−954の腫瘍内注射が、冷たい状態から熱い状態へと、TMEの大規模な再構築を誘導し、そしてICIとの組み合わせで強固な抗癌免疫を惹起させ、免疫療法抵抗性を克服することを示した。
実験手順
マウスおよび細胞株
6〜8週齢のオスのBALB/cマウスは、Orient Bio Inc.(韓国、京畿道城南市)から購入した。メスのMMTV−PyMTトランスジェニックマウス(FVB/N)は、Jackson Laboratory社(米国メーン州Bar Harbor、#002374)から購入した。マウスはCHA大学(韓国、京畿道城南市)の特定病原体未感染動物施設で飼育された。全ての動物実験は、CHA大学のInstitutional Animal Care and Use Committee (IACUC、#170025)により承認を受け、承認されたプロトコールに従い実行された。Rencaマウス腎癌細胞株およびCT26マウス結腸癌細胞株は、American Type Culture Collection(米国バージニア州Manassas、#CRL−2947)およびKorean Cell Line Bank (韓国ソウル、#80009)から取得された。これらの細胞はRoswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地またはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で維持された。各培地には、10%のウシ胎仔血清(FBS)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンが補充された。細胞は、インキュベーター中、37℃、5%CO2でインキュベートされた。
ウイルスの作製および定量
mJX−594はSillajen, Inc.(韓国、ソウル)から提供され、p7.5プロモーターの制御下にあるワクシニアチミジンキナーゼ遺伝子座位中にマウスGM−CSFをコードするワクシニアウイルスのWestern Reserve(WR)株であり、本研究を通じて使用された。このウイルスは、HeLaS3細胞中で増幅され、その後に精製された。簡潔に述べると、HeLaS3細胞に組み換えワクシニアウイルスを3日間感染させ、遠心分離により集め、その後ホモジナイズして、もう1度遠心分離した。ウイルスを含有する上清を、36%スクロースクッション上に重ねて、32,900gで遠心分離し、精製されたウイルスペレットを1mM Tris、pH9.0中で再懸濁させた。ウイルス力価を決定するために、無血清DMEM中で連続希釈されたウイルスを2時間、U−2 OS細胞の単層上に撒き、その後2%FBSを補充したDMEM中の、1.5%カルボキシメチルセルロースを添加した。72時間後、細胞を、0.1%クリスタルバイオレットで染色し、プラークを計数した。
腫瘍モデルおよび治療レジメン
腫瘍は、野生型BALB/cマウスの右脇腹に2×105個のRenca細胞を皮下注射することにより移植された。腫瘍が50mm3を越えた時、マウスに3日ごとに腫瘍内注射にてPBSまたは1×107プラーク形成単位(pfu)のmJX−594のいずれかで治療を行った。両側腫瘍モデルに関しては、2×105個のRenca細胞を右脇腹に皮下移植し、4日後に1×105個のRenca細胞またはCT26細胞を左脇腹に皮下移植した。細胞枯渇実験に関しては、CD4(200μg、クローンGK1.5、BioXCell社)、CD8(200μg、クローン53−6.72、BioXCell社)またはGM−CSF(200μg、クローンMP1−22E9、BioXCell社)に対する抗体を、mJX−594とともに腹腔内注射した。免疫チェックポイント遮断剤に関しては、抗PD−1抗体(10mg/kg、クローンJ43、BioXCell社)および/または抗CTLA−4抗体(4mg/kg、クローン9D9、BioXCell社)を、投与スケジュールに応じて3日ごとに、mJX−594とともに、またはmJX−594を伴わずに腹腔内注射した。腫瘍は、デジタルノギスを使用して2日ごとまたは3日ごとに計測した。腫瘍体積は修正楕円公式(1/2×(長さ×幅2))を使用して算出した。50日目に、完全腫瘍退縮した生存マウスの左脇腹に2×105個のRenca細胞を再チャレンジし、腫瘍増殖と生存を監視した。マウスは、腫瘍が直径1.5cmに到達した時点、またはマウスが瀕死状態になった時点で安楽死させた。
メスのMMTV−PyMTトランスジェニックマウスは、Jackson Laboratory社から購入した。9週齢で、全ての触診可能な腫瘍結節(>20mm3)の体積を計測した。1つにまとめた全腫瘍の総体積を使用して、マウス1匹当たりの腫瘍担持量を算出した。MMTV−PyMTマウスは、それらの初期腫瘍担持量に従い無作為化され、指定された時点で免疫チェックポイント阻害剤のPD−1(10mg/kg)もしくはCTLA−4(4mg/kg)の存在下または非存在下で、1×107pfuのmJX−594を用いて治療された。治療の4週間後、マウスに麻酔をかけ、さらなる解析のために組織を採取した。MMTV−PyMTの解析は、従前に報告されている通りに実施された(Kim et al.,2014;Park et al.,2016)。
組織学的解析
ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)染色に関しては、腫瘍は4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で一晩固定された。標準的な手順を使用して組織を処理した後、サンプルはパラフィン包埋され、3μmの切片に切り出され、次いでH&E染色が行われた。凍結組織切片に対して免疫蛍光法を実施した。腫瘍は室温で1%PFA中に固定され、PBSで数回リンスされ、30%スクロースで浸潤され、OCT化合物中で凍結された。凍結切片(50μmの厚さ)を、PBS−T(0.1%トリトンX−100のPBS溶液)中、5%正常ヤギ血清中でブロッキングし、次いで一晩、以下の一次抗体とともにインキュベートした:抗ワクシニアウイルス(ウサギ、Abcam社)、抗CD31(ハムスター、クローン2H8、Millipore社、ウサギ、Abcam社)、抗CD8(ラット、クローン53−6.7、BD pharmingen社)、抗CD11c(ハムスター、クローンHL3、BD pharmingen社)、抗PD−L1(ウサギ、クローン28−8、Abcam社)、抗カスパーゼ3(ウサギ、R&D Systems社)、抗汎サイトケラチン(マウス、クローンAE1/AE3、DAKO社)、抗CD11b(ラット、クローンMl/70、BD Pharmingen社)または抗CD3e(ハムスター、クローン145−2C11、BD Pharmingen社)。数回洗浄を行った後、サンプルは、以下の2次抗体とともに室温で2時間インキュベートされた:FITC−、Cy3−、またはCy5−結合抗ウサギIgG(Jackson ImmunoResearch社)、FITC−結合抗ラットIgG(Jackson ImmunoResearch社)、FITC−またはCy3−結合抗ハムスターIgG(Jackson ImmunoResearch社)、またはFITC−結合抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch社)。細胞核は、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、Invitrogen社)で対抗染色された。最後にサンプルは蛍光標本培地(DAKO社)を用いて標本化され、画像は、Zeiss LSM880顕微鏡(Carl Zeiss社)を用いて取得された。
形態学的解析
ワクシニアウイルス、血管、Tリンパ球および樹状細胞の密度計測、ならびに骨髄細胞領域の測定は、ImageJソフトウェア(http://rsb.info.nih.gov/ij)を使用して行われた。ワクシニアウイルス感染のレベルを決定するために、腫瘍切片中の無作為の0.49mm2の視野当たりのVV+面積を算出した。血管密度に関しては、腫瘍周辺領域および腫瘍内領域中の無作為の0.49mm2の視野当たりのCD31+面積を算出した。細胞障害性Tリンパ球浸潤の程度は、腫瘍周辺領域および腫瘍内領域中の無作為の0.49mm2の視野当たりのCD8+面積の割合として表された。樹状細胞のレベルは、無作為の0.49mm2の視野中のCD11c+面積の割合を算出することで計測された。アポトーシスの程度は、無作為の0.49mm2の視野当たりのカスパーゼ3+面積の割合として表された。PD−L1+細胞を規定するために、Pan−CK+、CD11b+、およびCD3+と、PD−L1+の共局在を無作為の0.01mm2の視野において特定した。MMTV−PyMTマウスにおける肺転移は、直径100μmを越える腫瘍コロニーの測定により定量された。全ての測定は、1匹のマウス当たり、少なくとも5つの視野で行われた。
腫瘍浸潤免疫細胞のフローサイトメトリー解析
各治療群の腫瘍を細かく刻み、その後、コラゲナーゼD(20mg/ml、Roche社)およびDNase I(2mg/ml、Roche社)の存在下で振とうしながら1時間、37℃でインキュベートした。細胞懸濁液は、ピペッティングを反復し、その後、70μmのセルストレイナーを通してろ過し、溶解させて赤血球を取り除くことによって作製された。PBSで洗浄した後、再懸濁された細胞を、ナイロンメッシュを通してろ過した。腫瘍組織からの単一細胞懸濁液を、CD16/32に対する抗体(クローン2.4G2、BD Pharmingen社)でブロッキングし、そして固定化生存色素(eFlouor450、eBioscience社)で染色して、生細胞を識別した。表面マーカーの解析に関しては、細胞を、1%FBSを含有するPBS中で、CD45(30−F11、BD Pharmingen社)、CD4 (RM4−5、BD Pharmingen社)、CD8(53−6.7、BD Pharmingen社)、CD3(17A2または145−2C11、eBioscience社)、ICOS(7E.17G9または15F9、eBioscience社)、CDllb(Ml/70、BD Pharmingen社)、F4/80(BM8、eBioscience社)、MHC II(M5/114.15.2、eBioscience社)、Ly6C(HK1.4、eBioscience社)、Ly6G(1A8−Ly6gまたはRB6−8C5、eBioscience社)またはCD206(MR5D3、eBioscience社)を標的とする抗体とともに氷上で30分間、染色させた。さらに細胞を、FoxP3固定と透過化キット(eBioscience社)を使用して透過化させ、FoxP3(FJK−16s、eBioscience社)、CD25(PC61.5、eBioscience社)またはGranzyme B(NGZB、eBioscience社)に対して染色した。標識細胞は、CytoFLEX フローサイトメトリー(Beckman Coulter社)を使用して取得し、FlowJoソフトウェア(Tree Star Inc.、オレゴン州Ashland)を使用して解析された。
RNA単離およびNanoString遺伝子発現解析
総RNAは、TRIzol(Invitrogen社)を使用して全腫瘍溶解物から抽出され、エタノールで精製された。RNAの質は、Fragment Analyzer装置(Advanced Analytical Technologies社、米国アイオワ州)を使用して確認された。免疫プロファイリングは、デジタルマルチプレックス化 NanoString nCounter PanCancer Immune Profilingマウスパネル(NanoString Technologies社)を用いて、腫瘍組織から単離された100ngの総RNAを使用して実施された。ハイブリダイゼーションは、5μlの各RNAサンプルと、8μlのハイブリダイゼーション緩衝液中のnCounter Reporterプローブ、および2μlのnCounter Captureプローブ、合計で15μlの反応体積を組み合わせることにより、16〜30時間、65℃で行われた。過剰量のプローブは、nCounter Prep Station(NanoString Technologies社)を使用し2工程の磁気ビーズを基にした精製により除去された。特定の標的分子の存在量は、個々の蛍光バーコードを計数し、対応する標的分子を評価することにより、nCounter Digital Analyzerを用いて定量化された。各アッセイに対し、280の視野を包含する高密度スキャンを実施した。データは、CCDカメラを用いてサンプルカートリッジ中の固定された蛍光レポーターの画像を取得した後に、nCounter Digital Analyzerを使用して集められた。データ解析は、nSolverソフトウェア(NanoString Technologies社)を使用して実施された。mRNAプロファイリングデータは、ハウスキーピング遺伝子に対して標準化され、Rソフトウェア(www.r−project.org)を使用して解析された。
統計解析
統計解析は、GraphPad Prism 7.0ソフトウェア(GraphPad Software社、カリフォルニア州La Jolla)およびPASW statistics 18(SPSS)を使用して実施された。値は、別段の示唆が無い限り、平均±平均の標準誤差(SEM)として表されている。平均間の統計的差異は、独立スチューデントt検定を使用して試験された。生存曲線はカプランマイヤー法を使用して作成され、曲線間の統計的差異はログランク検定を使用して分析された。統計的有意性のレベルは、p<0.05で設定された。
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本明細書に開示され、かつ特許請求される組成物および/または方法のすべては、本開示を考慮することで、過度の実験を行うことなく作製することができ、また実行することができる。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態に関して記載されているが、当業者であれば、本明細書に記載される組成物および/または方法に、ならびに本明細書に記載される方法の工程または工程の順序に、本発明の概念、主旨および範囲から逸脱することなく変形を適用することができることが明白であろう。より具体的には、化学的および生理学的の両方で関連性のある特定の剤を、本明細書に記載される剤と置き換えても、同一または類似の結果が得られることになることが明白であろう。当業者にとって明白な、そのような類似の代替および修正のすべてが添付の特許請求の範囲に規定される本発明の概念、主旨および範囲の内にあるとみなされる。
上記の実施例は、当業者に、本発明の組成物、システムおよび方法の実施形態の完全な開示、ならびにこの実施形態をどのように作製および使用するかの説明を与えるために提供されており、本発明者らが自身の発明であるとみなす範囲を限定することは意図されていない。当業者にとって明白な、本発明の実施に関する上述の様式の修正は、以下の特許請求の範囲の中にあることが意図される。本明細書において言及される全ての特許および公表文献は、本発明が属する分野の当業者の技能のレベルの指標である。本開示に引用される全ての参照文献は、各参照文献がその全体を個々に参照により組み込まれるのと同程度に、参照により組み込まれる。
すべての見出しおよび節の指定は、明確性および参照の目的でのみ使用されるものであり、決して限定とみなされるものではない。例えば当業者であれば、本明細書に記載される本発明の主旨および範囲に従い適宜に異なる見出しおよび節の様々な態様を組み合わせることの有用性を認識するであろう。
本明細書に引用される全ての参照文献は、それぞれ個々の公表文献または特許または特許出願が具体的かつ個別に全ての目的のためにその全体を参照により組み込まれると示されているのと同程度にまで、全ての目的のためにその全体を参照により本明細書に組み込まれる。
当業者には明らかであろうように、本出願の多くの出願形態および変形形態が、その主旨および範囲から逸脱することなく実行可能である。本明細書に記載される具体的な実施形態および実施例は、例示の目的でのみ提示されているものであり、本出願は、特許請求の範囲に権利付与される均等物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲の条件によってのみ限定される。