JP2020510423A - バイオマーカー - Google Patents

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Abstract

本発明は、変形性関節症痛、特に、変形性関節症痛を診断及びモニターすることを可能にするバイオマーカーの分野にある。変形性関節症痛を治療する方法もまた、可能性のある療法をもたらす薬剤をスクリーニングする方法と一緒に、提供される。【選択図】図8

Description

本発明は、関節痛が変形性関節症の結果であることの診断を可能にする、変形性関節症痛と関連するバイオマーカーに関する。本発明はまた、バイオマーカー及びバイオマーカーが表す経路を標的にすることによる、変形性関節症痛の治療に関する。
変形性関節症(OA)は、世界中で関節炎の最も一般的な形態である。米国では、2005年に、25歳以上の成人の13.9%及び65歳を超える成人の33.6%(1240万人)がOAに罹患しており、これは、2005年に、米国の成人2690万人と推定される(Lawrenceら、Arthritis Rheum、2008年;58(1):26〜35頁)。そのような数値は、控え目な推定であると考えられ、新たな症例が、世界中での人々の高齢化及び肥満の増加しつつある流行に起因して生じている (Nichollsら、Osteoarthritis Cartilage、2014年、22(12):2041〜50頁)。OAに冒される最も一般的な関節としては、股関節及び膝関節を含む、重い体重を支える関節が挙げられる。OAを有する人が訴える最も一般的な症状は疼痛であるにもかかわらず、OAにおける疼痛の機序は、あまり解明されていない。
UK NICEガイドラインによる現在の標準OA疼痛管理ケアは、パラセタモール及び非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(局所又は経口)を含む(https://www.nice.org.uk/guidance/cg177)。パラセタモール及びNSAIDが有効ではなかった人では、オピオイドを使用できる。ステロイド注射もまた、症状の再燃には使用し得るが、長期的には有効ではない。しかしながら、NICEガイドラインに現在含まれる全ての鎮痛剤は、顕著な併存疾患を示し、NICE自体が、「特に高齢の人において、リスクと利益を考慮すべきである」と述べている。OAにおける疼痛管理を改善する大きな満たされていないニーズがまだ残っている。
OAにおける疼痛は、プロスタグランジン、ロイコトリエン及び炎症性メディエーターを放出する滑膜を含む、関節炎の関節内のいくつかの構造から生じると考えられる(Sofatら、Rheumatology、2011年、50(12):2157〜65頁)。滑膜炎は、OAにおいて磁気共鳴画像検査(MRI)によりしばしば認められ、疼痛と強く相関する(Roemerら、Osteoarthritis Cartilage、2010年;18:1269〜74頁)。軟骨分解はOA疾患の特徴の1つである(Royら、Ann Rheum Dis、1968年;27:544〜58頁)が、軟骨は、大部分は細胞外基質(ECM)及びわずかな軟骨細胞から構成される無血管性の神経のない構造であるため、疼痛は、他の構造から生じる可能性が高い。近年、OA疼痛に関連する骨髄病変(BML)の重要性への関心が高まっている。疫学研究は、いくつかの大きいコホートにおいて、MRIにより観察されるBMLとOAに関連する膝痛の間の強い相関を示している(Felsonら、Ann. Internal Med、2001年;134:541〜549頁及びSowersら、Osteoarthritis Cartilage、2003年;11:387〜93頁)。
しかし今日まで、BMLの機能的な重要性を調べた研究は、非常にわずかである。
本発明は、患者における変形性関節症痛を評価する方法であって、患者由来の試料におけるトロンボスポンジン4及び/又は表1に特定した1種以上の他のバイオマーカーの量を測定することを含む、方法を提供する。
本発明はまた、患者における変形性関節症痛の評価におけるトロンボスポンジン4及び/又は表1に特定した1種以上の他のバイオマーカーの使用を提供する。
本発明はまた、骨髄病変のサイズ及び/又は重症度の評価におけるトロンボスポンジン4及び/又は表1に特定した1種以上の他のバイオマーカーの使用を提供する。
本発明はまた、変形性関節症痛を評価するためのキットであって、トロンボスポンジン4及び/又は表1の1種以上の他のバイオマーカーの量を測定するための試薬並びにキットの使用についての指示書を含む、キットを提供する。
本発明はまた、
- 患者における変形性関節症痛を治療又は予防する方法であって、NOTCH1/トロンボスポンジン4シグナル伝達経路の阻害剤を投与することを含む、方法
- 患者における変形性関節症痛を治療又は予防する方法であって、微小管活性の阻害剤を患者に投与することを含む、方法
を提供する。
さらに、本発明は、変形性関節症痛を治療又は予防するための薬剤をスクリーニングする方法であって、
(i)トロンボスポンジン4又はスタスミンと相互作用する薬剤を同定すること、及び
(ii)(i)において同定された薬剤が、トロンボスポンジン4又はスタスミン2を阻害するかどうかを評価すること
を含む、方法を提供する。
最後に、本発明は、患者における変形性関節症痛を治療又は予防する方法であって、
(i)上記の方法を実施し、トロンボスポンジン4及び/又はスタスミン2を阻害する薬剤を同定すること、並びに
(ii)(i)において同定された薬剤を、それを必要とする患者に投与すること
を含む、方法を提供する。
図1は電子顕微鏡スキャンすることによるBML分析とのMRIの相関を示す。パートA及びBは、内部に嚢胞を有する内側骨髄病変を示すMRI膝スキャンを示す。パートCは、ポリメタクリレートに包埋し、ヨウ素で染色したBML骨組織を示す。パートDは、嚢胞及び拡大した海綿骨を示すBMLによるBML外観を示す(Cにおける骨試料由来の領域92)。パートEは、正常な骨髄を示す(Cにおける骨試料から示される領域107)。パートFは、正常な軟骨骨界面を示す(Cにおける骨試料由来の領域104)。パートGは、新たな軟骨形成による骨における髄腔の浸潤を示す(Cにおける骨試料由来の領域96)。パートHは、BML組織における新たな血管形成を示す(Cにおける骨試料由来の領域93)。パートIは、無定形物質による骨髄腔の一部の浸潤を示す(Cにおける骨試料由来の領域100)。パートJ、K及びLは、脂肪細胞でライニングされた突起物(J及びK)並びに石灰化前線(tidemark)を伴う骨リモデリング(L)を示すBML組織の浸軟骨ブロックを示す。 図2は組織像によるBML分析とのMRIの相関を示す図である。パートAは、内側中心性脛骨嚢胞及び骨髄病変を示すMRI膝スキャンを示す。パートBは、嚢胞及び骨髄病変の肉眼での外観を示す。パートCは、BML内の嚢胞及び海綿骨のH&E染色を示す。パートDは、拡大した海綿骨腔に隣接する、H&E染色された血管形成を示す。パートEは、無定形物質によるBMLの領域の浸潤、血管及び線維化を示す。パートFは、髄区画に隣接するBML内での新たな軟骨形成のH&E染色を示す。 図3(表1)は、有意に異なる発現を示す218個の遺伝子を含む、トランスクリプトーム分析の結果を示す表である。P値a:T-検定のP値、P値b:モデレートT検定のP値。 図3−1(表1)の続きである。 図3−2(表1)の続きである。 図3−3(表1)の続きである。 図3−4(表1)の続きである。 図3−5(表1)の続きである。 図3−6(表1)の続きである。 図3−7(表1)の続きである。 図3−8(表1)の続きである。 図4はOA BML骨 対 正常骨のマイクロアレイプロファイリングを示す図である。パートAは、BML骨 対 正常非OA骨の制御された遺伝子(計218個)のヒートマップを示す。p<0.05での比較について階層的クラスタリング及び実体が示される。 図4はOA BML骨 対 正常骨のマイクロアレイプロファイリングを示す図である。パートBは、マイクロアレイから検出した遺伝子のPANTHER経路分析を示す。検出した主な経路を、認められたデータベース経路からの分類で円グラフに示す。 図5(表2)は、OA骨髄病変からの遺伝子上方制御の概要を示す表である。 図6のパートAは、マイクロアレイからの最も高く上方制御された遺伝子についての、正常骨と比較したOA骨髄病変の定量的PCR検証を示すグラフである。パートBは、進行OA、初期OA及び健常対照対象におけるELISAによる尿CTX-II C-テロペプチドの測定を示すグラフである。 図7はELISAを使用した17人の末期OA、17人の初期OA及び7人の健常対照由来のヒト血清におけるSTMN2の定量的測定を示すグラフである。 図8はヒトトロンボスポンジン4サンドイッチ酵素イムノアッセイを使用した、患者の末期、初期OA及び対照群由来の血清におけるトロンボスポンジン4の定量的測定を示すグラフである。
配列表の簡単な説明
配列番号1は、ヒトスタスミン2(アイソフォーム1)のタンパク質配列を示す。
配列番号2は、ヒトスタスミン2(アイソフォーム2)のタンパク質配列を示す。
配列番号3は、ヒトスタスミン2(アイソフォーム1)をコードするmRNA配列を示す。
配列番号4は、ヒトスタスミン2(アイソフォーム2)をコードするmRNA配列を示す。
配列番号5は、ヒトスタスミン2のcDNA配列を示す。
配列番号6は、完全なタンパク質配列ヒトトロンボスポンジン4を示す。
配列番号7は、シグナルペプチドを含まない配列番号6の配列を示す。
配列番号8〜11は、ヒトトロンボスポンジン4をコードするmRNA配列を示す。
配列番号12〜15は、ATP結合カセット、サブファミリーB(MDR/TAP)、メンバー5のアイソフォームのタンパク質配列を示す。
配列番号16〜19は、ATP結合カセット、サブファミリーB(MDR/TAP)、メンバー5をコードするmRNA配列を示す。
配列番号20は、ヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ13のタンパク質配列を示す。
配列番号21は、ヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ13のmRNA配列を示す。
配列番号22及び23は、ヒトアデニル酸キナーゼ5のタンパク質配列を示す。
配列番号24及び25は、ヒトアデニル酸キナーゼ5のmRNA配列を示す。
配列番号26は、ヒトATPアーゼ、H+輸送リソソーム38kDaのV0サブユニットD2のタンパク質配列を示す。
配列番号27は、ヒトATPアーゼ、H+輸送リソソーム38kDaのV0サブユニットD2のmRNA配列を示す。
配列番号28は、ヒトDIRASファミリー、GTP結合RAS様2のタンパク質配列を示す。
配列番号29は、ヒトDIRASファミリー、GTP結合RAS様2のmRNA配列を示す。
配列番号30及び31は、ヒトシンタキシン結合タンパク質5様のタンパク質配列を示す。
配列番号32〜36は、ヒトシンタキシン結合タンパク質5様のmRNA配列を示す。
配列番号37〜39は、ヒトPC4及びSFRS1相互作用タンパク質1のタンパク質配列を示す。
配列番号40〜44は、ヒトPC4及びSFRS1相互作用タンパク質1のmRNA配列を示す。
配列番号45〜47は、ヒトニューロン性チロシンリン酸化ホスホイノシチド-3-キナーゼアダプター2のタンパク質配列を示す。
配列番号48は、ヒトニューロン性チロシンリン酸化ホスホイノシチド-3-キナーゼアダプター2のmRNA配列を示す。
配列番号49及び50は、ヒトカテニンデルタ2のタンパク質配列を示す。
配列番号51〜54は、ヒトカテニンデルタ2のmRNA配列を示す。
配列番号55は、ヒトFERM及びPDZ含有4のタンパク質配列を示す。
配列番号56は、ヒトFERM及びPDZ含有4のmRNA配列を示す。
配列番号57及び58は、ヒト拡大(extended)シナプトタグミン様タンパク質3のタンパク質配列を示す。
配列番号59〜61は、ヒト拡大シナプトタグミン様タンパク質3のmRNA配列を示す。
配列番号62及び63は、マトリックスメタロプロテイナーゼ13に対するセンス及びアンチセンスプライマーを示す。
配列番号64及び65は、スタスミン2に対するセンス及びアンチセンスプライマーを示す。
配列番号66及び67は、トロンボスポンジン4に対するセンス及びアンチセンスプライマーを示す。
配列番号68及び69は、OMD(NM_005014)陽性組織対照に対するセンス及びアンチセンスプライマーを示す。
本明細書の一部を形成する非公式の配列表は、本願に真の配列表を提供する。検索目的のため提出された配列表は、配列表が受理可能であり、方式要件を満たすように、<212>フィールドにおいてmRNA配列をDNAとして示す。これは、リスト化されたデータベースエントリーにおいて特定されたmRNA配列が、「u」ヌクレオチドの代わりに「t」ヌクレオチドを含むためである。
発明の説明
開示された製品及び方法の異なる適用が当該技術分野における特定のニーズに合わせて調整され得ることは、理解されるべきである。本明細書において使用される用語は、単に本発明の特定の実施形態の記述を目的としており、限定することは意図されないことも、理解されるべきである。
加えて、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される通り、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が別段明確に示さない限り、複数の参照物を含む。従って、例えば、「アミノ酸配列(an amino acid sequence)」への参照は、2種以上のそのような配列などを含む。
本明細書において引用される全ての刊行物、特許及び特許出願は、上記又は下記に関わらず、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
変形性関節症痛を評価する方法
本発明は、患者における変形性関節症痛を評価する方法を提供する。本方法は、患者由来の試料における表1に特定した1種以上のバイオマーカーを測定することを含む。
本発明の文脈では、「変形性関節症痛を評価する」とは、関節における疼痛が変形性関節症の結果であることを特定すること(診断すること)を意味し得る。言い換えると、本方法は、変形性関節症及び変形性関節症痛を診断することを含み得る。上で考察された通り、OAに冒される最も一般的な関節としては、股関節及び膝関節を含む、重い体重を支える関節が挙げられる。変形性関節症はまた、関節、例えば、腰及び首、指の小さな関節並びに手の親指及び足の親指の付け根を冒し得る。それ故、本発明の方法を使用して、例えば、股関節又は膝関節における疼痛が変形性関節症の結果であることを特定することができる。
本発明の方法は、変形性関節症を診断するために使用される他の技術、例えば、関節の理学的検査、結晶又は関節変質の検出のための関節吸引、x線及びMRIと組み合わせて使用され得る。
患者は、典型的には、ヒトであるが、飼育動物/コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコなど)又は家畜動物であってもよい。患者は、典型的には、痛む関節、運動後消失する動作の制限又は硬直、関節が曲がるときのカチカチ音又はクラッキング音、関節周りに軽度の腫れ及び活動後又は一日の終わりに向って悪化する疼痛を含む、変形性関節症を示す症状を示した。例えば、股関節における変形性関節症では、疼痛は、鼠径部において、時に膝又は大腿の内部で感じられ得る。膝の変形性関節症では、膝を動かすときに、きしむような又は擦るような感覚が生じ得る。変形性関節症の指は、指を腫れさせ、圧痛を感じさせ、赤くさせる関節末端での骨成長を示し得る。脚では、疼痛及び圧痛は、足の親指の付け根の大きな関節において感じられる場合があり、足首又はつま先に腫れがあり得る。
患者はまた、高齢、肥満を含む、変形性関節症のリスクファクターを示し得るか、又は関節に繰り返しストレスをかける職業を有し得る。女性はまた、変形性関節症に罹患するリスクがより高い。
本発明の方法は、患者由来の試料における表1(図3)に特定した1種以上のバイオマーカーの量を測定することを含む。以下でさらに考察される通り、表1は、変形性関節症痛を有する患者において有意に異なって発現されることが示された218個の遺伝子を示す。ある場合では、本方法は、マトリックスメタロプロテイナーゼ13(コラゲナーゼ3)を除き、表1における1種以上のバイオマーカーの量を測定することを含む。
本発明の方法は、表1に特定した2種以上のバイオマーカーの量を測定することを含んでもよい。本発明の方法はまた、表1に特定した5種以上、又は10種以上のバイオマーカーの量を測定することを含んでもよい。
本発明の方法はまた、
- ATP結合カセットサブファミリーB(MDR/TAP)メンバー5(遺伝子名ABCB5)、
- マトリックスメタロプロテイナーゼ13(遺伝子名MMP13)、
- アデニル酸キナーゼ5(遺伝子名AK5)、
- ATPアーゼH+輸送リソソーム38kDa、V0サブユニットD2(V型プロトンATPアーゼサブユニットd2)(遺伝子名ATP6V0D2)、
- DIRASファミリー、GTP結合RAS様2(遺伝子名DIRAS2)、
- シンタキシン結合タンパク質5様(遺伝子名STXBP5L)、
- PC4及びSFRS1相互作用タンパク質1(遺伝子名PSIP1)、
- ニューロン性チロシンリン酸化ホスホイノシチド-3-キナーゼアダプター2(遺伝子名NYAP2)、
- カテニンデルタ(遺伝子名CTNND2)、
- FERM及びPDZ含有4(遺伝子名FRMPD4)、
- 拡大シナプトタグミン様タンパク質3(遺伝子名ESTY3)
からなる群から選択される少なくとも1種のバイオマーカーの量を測定することも含んでもよい。
ある場合では、方法は、
- ATP結合カセットサブファミリーB(MDR/TAP)メンバー5、
- ATPアーゼH+輸送リソソーム38kDa、V0サブユニットD2、
- DIRASファミリー、GTP結合RAS様2、
- シンタキシン結合タンパク質5様、
- PC4及びSFRS1相互作用タンパク質1、
- ニューロン性チロシンリン酸化ホスホイノシチド-3-キナーゼアダプター2、
- カテニンデルタ、
- FERM及びPDZ含有4、
- 拡大シナプトタグミン様タンパク質3
から選択される少なくとも1種のバイオマーカーの量を測定することを含んでもよい。
方法は、STMN2、ABCB2、THBS4、MMP13、C21orf37、EGFL6、COL16A1、GPR158、AK5、ATP6V0D2、ALU2、DIRAS2、LOC101929504、DNASE2B、STXBP5L、LHX2、PSIP1、NYAP2、CTNND2、FNDC1、EN1、MIR31HG、XLOC_006820、FRMPD4、LOC101929450、FGFR2、LPAR3、COL12A1、LOC613266、GLDC、ESYT3、KIAA1549L、NSG1、LCTL、TRIM67、PPEF1、DPP4、LRRC8E、IRX1、CTHRC1、TM4SF19、KPNA7、FRAS1、CACLR、CALHM3、TOX3、FAP、DGKI、PTPRD、IGDCC4、GLT8D2、IGSF3、C11ORF87、ESPNL、HEY1、DCSTAMP、GALNT5、LOC101927619、SATB2、GJA1、SLC9B2、PLEKHG4B、LINC00673、HMSD、GPR68、CALCR、PRSS12、THBS2、SP6、PLEKHA5、UST、SGMS2、MMP9、MYO1B、FKBP7、IGSF3、SHC3、XLOC_005452、SPNS2、CASC14、LINC00605、GNPTAB、ARMC4、MMP11、LAMP3、LOC100132705、PRMT8、SRPX、ST8SIA1、FERMT1、CUBN、TDRD3、PPIC、GFRA1、CLEC4A、RUNX2、MAGED4B、SRD5A1、VAV2、NKD2、SCD5からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの量を測定することを含んでもよい。
方法はまた、上で挙げられた群から選択される少なくとも2種のバイオマーカー(任意の組合せでの)の量を測定することを含んでもよい。ある場合では、本発明の方法は、表2において挙げられる少なくとも1種のバイオマーカーの量を測定することを含んでもよい。方法はまた、表2において挙げられる少なくとも2種、少なくとも5種又は少なくとも10種のバイオマーカーの量を測定することを含んでもよい。
表1、2及び上で挙げられた群において挙げられるバイオマーカーの全ての組合せが、本発明において企図される。
本発明の方法は、好ましくは、スタスミン2又はトロンボスポンジン4(又はスタスミン2とトロンボスポンジン4の両方)の量を測定することを含む。本発明の方法は、例えば、スタスミン2の量をそれ自体或いは例えば、表1若しくは2において挙げられるか、又は上で示された群における他のマーカーとの組合せのいずれかで測定することを含んでもよい。本発明の方法はまた、トロンボスポンジン4の量をそれ自体或いは例えば、表1若しくは2において挙げられるか、又は上で示された群における他のマーカーとの組合せのいずれかで測定することを含んでもよい。ある場合では、本発明の方法は、スタスミン2とトロンボスポンジン4の両方の量を(それら自体或いは例えば、表1若しくは2において挙げられるか、又は上で挙げられた群における他のマーカーとの組合せのいずれかで)測定することを含む。
表1は、遺伝子名、遺伝子記号及びバイオマーカーのそれぞれのアクセッション番号を示す。これらの遺伝子によりコードされるタンパク質は周知であり、タンパク質をコードする配列及びタンパク質自体の配列は、容易に決定することができる。異なる生物種由来の様々なバイオマーカーの遺伝子及びタンパク質配列はまた、データベース、例えば、http://www.uniprot.org及びhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank/を介して入手可能である。
例えば、ヒトスタスミン2(遺伝子名STMN2)は、2つのアイソフォームで存在し、それらは、選択的スプライシングの結果である。これらの2つのアイソフォームは、配列番号1及び2に示される。スタスミン2の別名は、上頸神経節10タンパク質である。
配列番号3及び4は、ヒトスタスミン2のmRNA配列を示し、配列番号5は、cDNA配列を提供する。スタスミン2をコードする任意の配列(RNA又はDNA)は、本発明の方法において検出及び測定され得る。配列番号1〜5のいずれかは、本発明の方法において検出及び測定され得る。
例えば、本発明の方法において、タンパク質の量が、決定されてもよい。試料におけるタンパク質の量を抽出、検出、及び測定する方法は、当該技術分野において周知であり、任意の適当な方法が、本発明において用いられ得る。方法は、試料を目的のタンパク質に結合する能力がある抗体と接触させることを含んでもよい。例えば、免疫組織化学又はウエスタンブロッティングが用いられ、次いで、存在するタンパク質の量を定量するために使用されてもよい。ELISAも使用することができる。ELISAは、試薬の分離を必要とする、不均一な固相アッセイである。ELISAは、典型的には、サンドイッチ技術又は競合的技術を使用して行われる。サンドイッチ技術は、2種の抗体を必要とする。第1のものは、目的のタンパク質と特異的に結合し、固体支持体に結合する。第2の抗体は、マーカー、典型的には、酵素コンジュゲートに結合する。酵素の基質を使用して、タンパク質-抗体複合体を定量し、従って、試料におけるタンパク質の量を決定する。抗原競合的阻害アッセイはまた、典型的には、支持体に結合したタンパク質特異的抗体を必要とする。タンパク質-酵素コンジュゲートを、アッセイする試料(タンパク質を含有する)に添加する。タンパク質-酵素コンジュゲートと非標識タンパク質の間の競合的阻害により、試料中の目的のタンパク質の量の定量が可能になる。ELISA反応用の固体支持体は、好ましくは、ウェルを含む。
本発明はまた、抗体を含まない目的のタンパク質を測定する方法を用いてもよい。例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分離及び蛍光検出が、目的のタンパク質の量を決定する方法として使用されてもよい。或いは、分光学的方法を、用いてもよい。
ヒトスタスミン2のアイソフォーム1及び2のアミノ酸配列が、配列番号1及び2に示される。典型的には、ヒト患者について、配列番号1及び/又は2を含むタンパク質の量が、本発明の方法において測定される。しかしながら、配列番号1及び2のバリアントの量も測定し得る。これらのバリアントは、ヒトの間で天然に存在する、スタスミン2配列におけるわずかな相違を反映する。特に、配列番号1及び2のバリアントは、配列番号1及び2のものと異なるが、依然として、機能的スタスミン2タンパク質を形成する、アミノ酸配列を有する。以下で考察される通り、スタスミン2は、微小管安定性の制御因子である。MAPK8によるリン酸化は、微小管の安定化をもたらす。そのようなバリアントは、典型的には、配列全体に渡る配列番号1又は2に対してアミノ酸同一性に基づき少なくとも90%、95%、97%又は99%相同である配列を含む。相同性を決定する方法は、以下で考察される。
そのようなバリアントは、上記のタンパク質を定量する技術及び方法を使用して、配列番号1及び2自体を含むタンパク質と共に、容易に決定及び測定することができる。これらの方法は、しばしば、アミノ酸配列におけるわずかな変化、例えば、ヒトの間で天然に存在する変化を許容することができる。例えば、方法は、全てのヒトではないが、多くにおいて保存される配列番号1及び2におけるエピトープに対する抗体を用いてもよい。さらに、方法は、任意の一般的に生じるバリアントに容易に適合され得る。
バリアントはまた、例えば、配列番号1及び2と比較して、最大5、最大10又は最大20個の欠失、置換又は付加を有してもよい。
バリアントはまた、配列番号1及び2の断片であってもよい。例えば、断片は、配列番号1及び又は配列番号2の少なくとも50、少なくとも100又は少なくとも150個のアミノ酸(典型的には、連続するアミノ酸)を含み得る。
当該技術分野における標準的な方法を使用して、相同性を決定し得る。例えば、UWGCGパッケージは、例えば、その初期設定に対して相同性を計算するために使用され得るBESTFITプログラムを提供する(Devereuxら、(1984年)、Nucleic Acids Research、12、387〜395頁)。PILEUP及びBLASTアルゴリズムを使用して、例えば、Altschul S. F、(1993年)、J Mol Evol、36:290〜300頁;Altschul、S.Fら、(1990年)、J Mol Biol、215:403〜10頁に記載される通り、相同性を計算するか、又は配列を整列させる(例えば、同等の残基又は対応する配列を同定する(典型的には、それらの初期設定で))ことができる。BLAST分析を行うためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公的に入手可能である。
上で考察された通り、アミノ酸置換が、目的の配列に存在し得る。保存的置換は、アミノ酸を、類似の化学構造、類似の化学特性又は類似の側鎖体積を有する他のアミノ酸と置き換える。導入されたアミノ酸は、それらが置き換わるアミノ酸と類似の極性、親水性、疎水性、塩基性、酸性、中性又は電荷を有し得る。或いは、保存的置換は、既存の芳香族又は脂肪族アミノ酸の代わりに、芳香族又は脂肪族である別のアミノ酸を導入し得る。保存的アミノ酸変化は、当該技術分野において周知であり、以下の表3において定義される20種の主なアミノ酸の特性に従って選択し得る。アミノ酸が類似の極性を有する場合、これはまた、以下の表4におけるアミノ酸側鎖についての疎水性指標スケールを参照することにより、決定することができる。
スタスミン2を検出するためのキットは、市販されている。
目的の遺伝子由来のmRNAの量も、患者由来の試料において測定され得る。特定のmRNAの量を抽出、検出、及び測定する方法は、当該技術分野において公知である。任意の適当な方法が、本発明において使用され得る。方法は、マイクロアレイ、ノーザンブロッティング、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、インサイチュハイブリダイゼーション、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)及び又はRNA配列分析(全トランスクリプトーム配列決定)を含む。
スタスミン2用の例示的なプライマーが、実施例において示される。
スタスミン2をコードするcDNA配列は、配列番号5において示され、両方のアイソフォームのmRNA配列は、配列番号3及び4に示される。典型的には、ヒト患者について、配列番号3及び/又は4のmRNAの量が、測定される。しかしながら、配列番号3及び/又は4のバリアントの量がまた、測定されてもよい。これらのバリアントは、ヒトの間で天然に存在する、配列におけるわずかな相違を反映する。特に、配列番号3及び4のバリアントは、配列番号3及び4のものと異なるが、依然として、機能的スタスミン2タンパク質の発現をコードする、配列を有する。スタスミン2機能は、上で考察されている。そのようなバリアントは、典型的には、配列全体に渡る配列番号3及び4に対するヌクレオチド同一性に基づき少なくとも90%、95%、97%又は99%相同である配列を含む。相同性を決定する方法は、上で考察されている。
これらのバリアントは、ヒトの間で天然に存在する、配列におけるわずかな相違を反映するのみであるので、上記の技術を使用して、そのようなバリアントmRNA並びに配列番号3及び4のmRNAを検出及び測定することができる。例えば、そのような技術において使用されるプローブのハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、配列番号3及び4の天然のバリアントが、依然として、配列番号3及び4のmRNAと一緒に検出されるように、変更することができる。
上で述べられた通り、ヒト以外の生物種由来のスタスミン2のアミノ酸、mRNA及びDNA配列は、公知であり、公的なデータベースによりアクセスすることができる。これらの配列から、当業者は、本発明の方法を実行するために、そのような他の種由来のスタスミン2 mRNAを容易に検出及び測定することができる。mRNAの抽出、検出及び定量方法は、上で考察されている。
配列番号6及び7は、完全及び成熟型(シグナルペプチドを欠く)のヒトトロンボスポンジン4(THBS4)を示す。配列番号8〜11は、ヒトトロンボスポンジン4のmRNA配列を示す。トロンボスポンジン4をコードする任意の配列(RNA又はDNA)は、本発明の方法において検出及び測定され得る。配列番号6〜11のいずれかは、本発明の方法において検出及び測定され得る。
典型的には、ヒト患者について、配列番号6及び/又は7を含むタンパク質の量が、本発明の方法において測定される。しかしながら、配列番号6及び7のバリアントの量がまた、測定されてもよい。これらのバリアントは、ヒトの間で天然に存在する、トロンボスポンジン4配列におけるわずかな相違を反映する。
公知のバリアントは、55位でのLからQへの置換、387位でのAからPへの置換、420位でのAからVへの置換、646位でのVからIへの置換及び737位でのVからIへの置換を含む(ここで、ナンバリングは、配列番号6の全配列に基づく)。本発明の方法は、これらのバリアント配列のいずれか1つを検出することを含み得る。
配列番号6及び7のバリアントは、配列番号6及び7のものと異なるが、依然として、機能的タンパク質を形成し得る、アミノ酸配列を有する。そのようなバリアントは、典型的には、配列全体に渡る配列番号6又は7に対するアミノ酸同一性に基づき少なくとも90%、95%、97%又は99%相同である配列を含む。相同性を決定する方法は、上で考察されている。
そのようなバリアントは、上記のタンパク質を定量する技術及び方法を使用して、配列番号6及び7自体を含むタンパク質と共に、容易に検出及び測定することができる。これらの方法は、しばしば、アミノ酸配列におけるわずかな変化、例えば、ヒトの間で天然に存在する変化を許容することができる。例えば、方法は、全てのヒトではないが、多くにおいて保存される配列番号6及び7におけるエピトープに対する抗体を用いてもよい。さらに、方法は、任意の一般的に生じるバリアントに容易に適合され得る。
バリアントはまた、配列番号6及び7と比較して、最大5、10又は20個の置換、欠失又は付加を有してもよい。
バリアントはまた、配列番号6及び7の断片であってもよい。そのような断片は、典型的には、配列番号6又は7の少なくとも700、少なくとも800又は少なくとも900個のアミノ酸を含む。
mRNA配列は、配列番号8〜11に示される。典型的には、ヒト患者について、配列番号8、9、10又は11のmRNAの量が、測定される。しかしながら、これらの配列のバリアントの量がまた、測定されてもよい。これらのバリアントは、ヒトの間で天然に存在する、配列におけるわずかな相違を反映する。特に、バリアントは、配列番号8〜11のものと異なるが、依然として、機能的タンパク質の発現をコードする配列を有する。そのようなバリアントは、典型的には、配列全体に渡る配列番号8〜11に対するヌクレオチド同一性に基づき少なくとも90%、95%、97%又は99%相同である配列を含む。相同性を決定する方法は、上で考察されている。
繰り返しになるが、トロンボスポンジン4用の例示的なプライマーが、実施例において示される。
上で述べられた通り、ヒト以外の生物種由来のトロンボスポンジン4のアミノ酸、mRNA及びDNA配列は、公知であり、公的なデータベースによりアクセスすることができる。これらの配列から、当業者は、本発明の方法を実行するために、そのような他の種由来のトロンボスポンジン4 mRNAを容易に検出及び測定することができる。mRNAの抽出、検出及び定量方法は、上で考察されている。
表1は、問題の遺伝子についてのアクセッション番号を示す。それ故、これらの遺伝子(及びタンパク質)の配列は、本願の出願日でのアクセッション番号に基づき、参照により組み込まれる。
ヒトATP結合カセットサブファミリーBメンバー5(ABCB5)のタンパク質配列が、配列番号12〜15に示される。これらの4種のアイソフォームは、選択的スプライシングにより生成される。本発明の方法は、これらの配列、又はそれらのバリアントのいずれかを検出することを含み得る。バリアントは、上で記載された通りであり、例えば、配列番号12〜15のいずれかに対して少なくとも90%の同一性を有してもよい。バリアントはまた、例えば、配列番号12〜15と比べて、5個未満又は10個未満の置換、欠失又は挿入を有してもよい。天然に存在するバリアント、例えば、K560E、K669R、E675V、A880T、Q905H、A915T及びE970K(配列番号12に基づく)が存在する。ヒトATP結合カセットサブファミリーBメンバー5についてのmRNA配列が、配列番号16〜19に示される。本発明の方法は、これらの配列のいずれか1つを検出することを含み得る。繰り返しになるが、バリアントについての上記の注釈を適用することができる。
ヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP13)のタンパク質配列は、配列番号20に示される。これは、完全形態であり、成熟型へのプロセシングを受ける。残基1〜19は、シグナルペプチドであり、残基20〜103は、プロペプチドである。酵素前駆体は、このプロペプチドの除去により活性化される。本発明の方法は、配列番号13、若しくはその成熟型のペプチド(シグナル配列/プロペプチドを含まない)、又はそのバリアントを検出することを含んでもよい。H2L、F74S、F75S、M91T、W207G、H232N及びD390Gを含む、天然に存在するバリアントが存在する。ヒトMMP13のmRNA配列は、配列番号20に示される。配列番号20、又はそのバリアントは、本発明の方法において検出され得る。
ヒトアデニル酸キナーゼ5(AK5)の2種のアイソフォームの配列は、配列番号22及び23に示される。これらの2種の形態は、選択的スプライシングにより生成される。天然のバリアント、R418W及びA726T(配列番号22に基づく)が存在する。mRNA配列は、配列番号24及び25に示される。本発明の方法は、これらの配列、又はそれらのバリアントのいずれかを検出することを含み得る。
V型プロトンATPアーゼサブユニットd2のタンパク質配列が、配列番号26に示される。2種の天然のバリアント、G272R及びE295Kが生じる。mRNA配列は、配列番号27に示される。本発明の方法は、これらの配列、又はそれらのバリアントのいずれかを検出することを含み得る。
DIRASファミリー、GTP結合RAS様2(GTP結合タンパク質Di-Ras2)の全配列は、配列番号28に示される。この完全なタンパク質は、成熟型にプロセシングされ、ここで、残基197〜199のプロペプチドが除去される。mRNA配列は、配列番号29に示される。本発明の方法は、これらの配列、又はそれらのバリアントのいずれかを検出することを含み得る。
配列番号30及び31は、シンタキシン結合タンパク質5様のタンパク質配列を示す。2種のアイソフォームは、選択的スプライシングにより生成される。mRNA配列は、配列番号32〜36に示される。本発明の方法は、これらの配列、又はそれらのバリアントのいずれかを検出することを含み得る。
配列番号37〜39は、ヒトPC4及びSFRS1相互作用タンパク質の3種のアイソフォーム(選択的スプライシングにより生成される)の配列を示す。疾患において生じるバリアントは、K360A、I365A、D366A又はN、V370A、F406A及びV408Aである。本発明の方法は、これらの配列、又はそれらのバリアントのいずれかを検出することを含み得る。
配列番号45〜47は、選択的スプライシングにより生成されるヒトニューロン性チロシンリン酸化ホスホイノシチド-3-キナーゼアダプター2の3種のアイソフォームの配列を示す。mRNA配列は、配列番号48に示される。本発明の方法は、これらの配列、又はそれらのバリアントのいずれかを検出することを含み得る。
配列番号49及び50は、ヒトカテニンデルタ2の2種のアイソフォームの配列を示す。mRNA配列は、配列番号51〜54に示される。本発明の方法は、これらの配列、又はそれらのバリアントのいずれかを検出することを含み得る。
配列番号55は、FERM及びPDZ含有4のタンパク質配列を示す。天然に存在するバリアントは、C553R置換を有する。mRNA配列は、配列番号56に示される。本発明の方法は、これらの配列、又はそれらのバリアントのいずれかを検出することを含み得る。
配列番号57及び58は、ヒト拡大シナプトタグミン様タンパク質3(選択的スプライシングにより生成される)のタンパク質配列を示す。P246Q、G416R、G590R及びT662Sは、天然のバリアントである。mRNA配列は、配列番号59〜61に示される。本発明の方法は、これらの配列、又はそれらのバリアントのいずれかを検出することを含み得る。
全ての場合において、バリアントは、上で記載された通りであり、典型的には、開示された配列に対して、少なくとも90%、95%又は99%の同一性を有する。バリアントは、例えば、最大5個又は最大10個の置換、欠失又は挿入を有してもよい。
本発明の方法において、バイオマーカー又は対象物の量は、患者由来の試料においてインビトロで測定される。試料は、任意の適切な試料であり得る。試料は、患者由来の体液又は組織試料を含んでもよい。試料は、患者由来の尿試料であってもよいが、患者の関節から採取された試料であることもできる。例えば、試料は、滑液又は滑膜試料であってもよい。好ましくは、試料は、血液又は血漿試料であり、最も好ましくは、血清試料である。そのような試料を得る方法は、当該技術分野において周知である。試料は、アッセイに先立ち、処理されてもよい。例えば、血液試料は、遠心分離されてもよい。試料における問題のバイオマーカーの量は、典型的には、試料を患者から得た直後に測定される。
好ましくは、本発明の方法は、患者由来の血清試料におけるトロンボスポンジン4及び/又はスタスミン2タンパク質の量を測定すること(上で考察された通り)を含む。上で考察された通り、他の試料タイプは、滑液、滑膜の生検及び尿を含む。
上で考察された通り、本発明の方法は、患者における関節痛が変形性関節症の結果であることを特定する(言い換えると、変形性関節症/変形性関節症痛の診断として)ために、患者由来の試料における表1に示した1種以上のバイオマーカーの量を測定することを含んでもよい。本発明の方法をまた使用して、変形性関節症の重症度、すなわち、初期 対 後期の(進行した)疾患を診断し得る。初期の及び進行した変形性関節症は、さらに以下で考察される。さらに、本方法を使用して、患者を層別化し得る。例えば、疼痛は、軽度、中等度又は重度の疼痛に層別化することができる。本発明の方法をまた使用して、患者を群、例えば、(1)疼痛を示し、構造的な損傷を有する患者、(2)疼痛を示すが、構造的な損傷を示さない患者、及び(3)疼痛を示さないが、構造的な損傷を有する患者に層別化し得る。ある場合では、方法は、例えば、疼痛が変形性関節症の結果である群(2)の患者について特定し得る。
ある場合では、バイオマーカーの増大した量は、変形性関節症を示し得る。他の場合では、バイオマーカーの減少した量は、変形性関節症を示し得る。これは、バイオマーカーが、健常対照と比較して、上方制御又は下方制御されたと決定されたか否かによって、表1から決定することができる。
例えば、関節痛が変形性関節症の結果であるかどうかを決定するために、患者由来の試料において、スタスミン2の量を測定してもよい。試料におけるスタスミン2の増大した量は、関節痛が変形性関節症の結果であり得ることを示す。当業者は、スタスミン2の量が、患者由来の試料において増大するかどうかを決定する能力がある。比較は、患者自身における予め決定された量に対してなされてもよいが、好ましくは、以下でより詳細に考察される通り、公知の対照に対してなされる。
関節痛が変形性関節症の結果であるかどうかを測定するために、本発明の方法は、好ましくは、患者由来の試料におけるスタスミン2の量を測定する第1の工程を含む。次いで、患者由来の試料におけるスタスミン2の量を、好ましくは、スタスミン2の対照量(又はスタスミン2の対照レベル若しくはスタスミン2の対照濃度)と比較する。対照量と比較して患者由来の試料における増大した量は、関節痛が変形性関節症、ある場合では、初期の変形性関節症の結果であることを示す。対照量と比較して患者由来の試料における同一(すなわち、有意差のない)又はより少ない量は、患者が、変形性関節症から生じる関節痛を有さないことを示し得る。試料が患者由来の血清試料である場合、対照量と比較して患者由来の試料における同一又はより少ない量は、患者が、初期の変形性関節症を有さない(が、進行した変形性関節症を有し得る)ことを示し得る。
初期の変形性関節症は、本発明の文脈では、症状及びいくらかの疼痛を有するが、症状及び疼痛は、関節置換手術が必要なほど重度ではない患者として定義することができる。進行した(又は末期/後期の)変形性関節症は、本発明の文脈では、関節置換手術を必要とするのに十分重度な疼痛及び症状を有する患者として定義される。
典型的には、対照量は、変形性関節症を有さないことがわかっている(すなわち、変形性関節症のいかなる証拠も有さない)「健常」対象に由来する。ヒトが変形性関節症を有するかどうかを決定する標準的な方法は、上で記載されている。対照量は、特定の試料タイプ、例えば、血清について決定され、必要に応じてタンパク質/mRNAに基づくことができる。
対照量は、対照対象由来の試料に存在するスタスミン2の広範な全量であってもよい。対照量はまた、対照対象由来の試料に存在するスタスミン2の全量の平均量を指してもよい。対照対象から得られる試料タイプは、上で記載されたもののいずれかであり得る。これらの試料におけるスタスミン2の量は、上で記載された方法のいずれかにより決定されてもよい。対照量は、任意の適切な数の対照対象由来の試料におけるスタスミン2の量を測定することにより、決定されてもよい。典型的には、少なくとも5人、少なくとも10人、少なくとも20人、少なくとも50人又は少なくとも100人の対照患者由来の試料におけるスタスミン2の量が、測定されてもよい。さらに多い数の対象由来の試料におけるスタスミン2の量がまた、測定されてもよい。
スタスミン2の対照量は、スタスミン2 mRNA又はスタスミン2タンパク質のいずれかを、これらのうちどちらが患者由来の試料において測定されるかに依存して、指し得る。有効な比較を可能にするために、対照量は、患者由来の試料におけるスタスミン2の測定された量と同じ単位を有する。さらに、対照値は、典型的には、本発明の方法が実施されるものと同じ条件下で得られる。例えば、対照量は、典型的には、本発明の方法において使用されるのと同じスタスミン2の検出及び測定方法を使用して決定される。
対照量は、本発明の方法とは別に得られる。例えば、対照量は、事前に得られ、例えば、コンピューターに記録されてもよい。最も好ましくは、平均対照量が、決定され、標準参照値として使用される。
上で考察された通り、患者由来の試料におけるスタスミン2の量が、対照量と比較して増大する場合、本発明の方法は、好ましくは、患者の関節痛が変形性関節症の結果であることを決定することを含む。
対照量が、スタスミン2の広範な量である場合、患者は、対照データの広がり、対照データ間の差及び患者由来の試料において測定されるスタスミン2の量に基づき、変形性関節症を有することが決定され、信頼レベルが計算されてもよい。当業者は、標準的な方法を使用して、これを行う能力がある。
患者由来の試料におけるスタスミン2の量が、対照量範囲におけるスタスミン2の最大量と比較して増大する場合、患者は変形性関節症、特に、初期の変形性関節症を有すると決定され得る。
好ましくは、患者由来の試料におけるスタスミン2の量が、対照量の範囲内のスタスミン2の最大対照量と比較して、少なくとも10%(すなわち、少なくとも10%)、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも100%増大する場合、患者は変形性関節症を有すると決定される。これらの値は血清試料(測定されるタンパク質量を含む)に特に適用可能であり、少なくとも10%の増大、好ましくは、少なくとも20%の増大は、患者が初期の変形性関節症を有するという指標をもたらす。
患者はまた、最大対照量よりも少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍又は少なくとも15倍多いスタスミン2量を有し得る。
より好ましくは、患者由来の試料におけるスタスミン2の量が、スタスミン2の平均対照量(標準対照値として記録される)と比較して増大する場合、患者は変形性関節症を有すると決定され得る。繰り返しになるが、患者由来の試料におけるスタスミン2の量が、平均対照量と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも100%増大する場合、患者は変形性関節症を有すると決定され得る。例えば、血清試料(タンパク質量が測定される場合)において、対照と比較して少なくとも10%の増大、好ましくは、少なくとも20%の増大は、患者が初期の変形性関節症を有するという指標をもたらす。
患者はまた、平均対照量よりも少なくとも5倍、少なくとも10倍又は少なくとも15倍多いスタスミン2量を有することもある。
例えば、血清試料において、対照量は、実施例において記載される通り、ELISAアッセイを使用して、0.8〜1.0ng/mlの範囲であってもよい(およそ0.9ng/mlの平均対照量を有する)。血清試料におけるスタスミン2の量が、このアッセイを使用して、少なくとも1.0ng/ml、好ましくは、少なくとも1.1ng/mlである場合、患者は初期の変形性関節症を有すると決定され得る。
トロンボスポンジン4については、対照についての上記の注釈がまた、適用可能である。繰り返しになるが、患者由来の試料におけるトロンボスポンジン4の量が、対照量と比較して増大する場合、患者は変形性関節症に罹患していると決定される。
ここで、トロンボスポンジン4が、患者由来の試料において存在する場合、患者は変形性関節症を有すると決定され得る。ある場合では、患者由来の試料におけるトロンボスポンジン4の量は、対照量の範囲内のトロンボスポンジン4の最大対照量と比較して、少なくとも10%(すなわち、少なくとも10%高い)又は少なくとも20%増大する。より好ましくは、トロンボスポンジン4の量は、対照量の範囲内のトロンボスポンジン4の最大対照量と比較して、少なくとも50%又は少なくとも100%増大する。
患者はまた、最大対照量より少なくとも5倍、少なくとも10倍又は少なくとも15倍多いトロンボスポンジン4の量を有し得る。
より好ましくは、患者由来の試料におけるトロンボスポンジン4の量が、トロンボスポンジン4の平均対照量(標準対照値として記録される)と比較して増大する場合、患者は変形性関節症を有すると決定され得る。繰り返しになるが、トロンボスポンジン4が、患者由来の試料に存在する場合(対照に存在しない場合)、又は患者由来の試料におけるトロンボスポンジン4の量が、平均対照量と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも100%増大する場合、患者は変形性関節症を有すると決定され得る。
患者はまた、平均対照量よりも少なくとも5倍、少なくとも10倍又は少なくとも15倍多いトロンボスポンジン4の量を有し得る。
実施例において示される通り、血清試料において、ELISAを使用して、トロンボスポンジン4を検出することは可能でなかった。それ故、患者由来の血清試料におけるトロンボスポンジン4の存在は、典型的には、患者が変形性関節症と関連する疼痛を有することを示す。故に、トロンボスポンジン4のより多い量は、後期の変形性関節症を示す。患者は、例えば、最大0.2ng/mlのトロンボスポンジン4の量が測定された場合には、初期の変形性関節症を有すると決定され(ある場合では、患者は、初期の変形性関節症及び0.2ng/mlより多い量を有し得るが)、0.2ng/mlより多い量が測定された場合には(例えば、実施例において記載される通り、ELISAアッセイを使用して)、進行した/末期の変形性関節症を有すると決定され得る。
上で考察された通り、本発明の方法は、スタスミン2とトロンボスポンジン4の両方の量を決定することを含んでもよい。
同様の考察を、表1に特定した他の遺伝子/タンパク質に適用する。上方制御される遺伝子について、対照と比べて増大した量は、疼痛が、変形性関節症の結果である可能性が高いことを示す。下方制御される遺伝子について、対照と比べて減少した量は、疼痛が、変形性関節症の結果である可能性が高いことを示す。上方制御される遺伝子は、例えば、対照と比べて、少なくとも10%、少なくとも50%又は少なくとも100%の増大を示し得る。上方制御される遺伝子はまた、例えば、対照と比べて、少なくとも2倍、少なくとも5倍又は少なくとも10倍の増大を示し得る。下方制御される遺伝子は、例えば、対照と比べて、少なくとも10%、少なくとも50%又は少なくとも75%の減少を示し得る。下方制御される遺伝子は、少なくとも2分の1、少なくとも5分の1又は少なくとも10分の1の減少を少なくとも示し得る。繰り返しになるが、当業者は、対照と比べて観察される任意の増大/減少が有意であるかどうかを容易に決定することができる。
患者が、変形性関節症の結果として疼痛に罹患していると同定されれば、次いで、適切な治療介入が考慮され得る。
本発明の方法をまた使用して、患者が変形性関節症痛を発症するリスクを有する、又は症状の進行性悪化を示す可能性がより高いことがあり得ることを決定し得る。例えば、患者は、変形性関節症の他の徴候(例えば、上で記載されたもの)を示すかもしれず、本発明の方法を使用して、治療介入が必要であるかどうか、及びどのタイプの治療介入が適切であるかを評価してもよい。
上で記載された通り、表1に特定した1種以上のバイオマーカーの量が、患者由来の試料において測定されてもよい。試料タイプは上で考察されたが、典型的には、血清試料である。方法は、典型的には、スタスミン2及び/又はトロンボスポンジン4のレベルを決定すること、並びに対照と比較することを含む。繰り返しになるが、スタスミン2、トロンボスポンジン4及び対照は、上で記載されている。スタスミン2及び/又はトロンボスポンジン4の増大した量は、患者が変形性関節症痛に罹患するリスクを有することを示す。
例えば、上で考察された通り、トロンボスポンジン4は、健常対照由来の血清試料において観察されなかった。ここで、血清試料におけるトロンボスポンジン4の検出は、患者が、変形性関節症及び変形性関節症痛に罹患するリスクを有することを示し得る。通常の鎮痛剤、例えば、パラセタモールに応答せず、高いトロンボスポンジン4レベルを有する、変形性関節症に起因する疼痛を有する人はまた、トロンボスポンジン4経路の特異的な阻害剤、例えば、ガバペンチノイドからの恩恵を受け得る(下記を参照)。同様に、対照量と比べてスタスミン2の増大した量は、変形性関節症及び変形性関節症痛のその後の発症を示し得る。例えば、血清試料において、対照と比べたスタスミン2における増大が、検出されてもよい(上記を参照)。
同様の考察を、変形性関節症疾患の進行のモニタリングに適用する。ここで、患者は、典型的には、変形性関節症を既に有すると特定されている。しかしながら、表1における1種以上のバイオマーカーの量の測定を使用して、疾患が生じつつある(典型的には、悪化しているが、改善していることもありうる)かどうかを決定し、これにより、治療介入の考察が可能になり得る。
上で考察された通り、方法は、表1における1種以上のバイオマーカーの量を測定することを含み得る。しかしながら、方法は、典型的には、スタスミン2及び/又はトロンボスポンジン4のレベルを測定することを含む。
例えば、疾患の進行を決定する方法は、患者由来の試料における表1の1種以上のバイオマーカーの繰り返し測定を含んでもよい。ある場合では、後の試料におけるバイオマーカーの量における増大は、疾患が悪化していることを示す(すなわち、表1におけるこれらのマーカーは、変形性関節症痛に伴い増大することが知られている)。他の場合では、バイオマーカーの量における減少は、疾患が悪化していること(表1において、OA疼痛と相関して発現における低減を示すバイオマーカーと相関して)を示す。逆のことを、疾患状態における改善の決定に適用する。試料は、上で記載された通りである。
例えば、トロンボスポンジン4の量は、患者由来の継続的な血清試料において決定してもよい。これらの継続的な血清試料は、数日、数週間、数カ月又は数年でさえ間隔を空けて採取してもよい。臨床医は、試料を抽出し、試験することが適切である場合を容易に決定することができる。ここで、試料間のトロンボスポンジン4の量における増大は、疾患の重症度における上昇を示す。トロンボスポンジン4の量における減少はまた、疾患における改善を示し得る。
この理由のため、本発明の方法をまた使用して、治療の有効性をモニターすることができる(上で考察されたマーカーの増大/減少が、疾患状態における改善を示す場合)。
スタスミン2について、試料間の減少は、初期から後期の変形性関節症への進行を示し得る。
ある場合では、本発明は、患者における変形性関節症痛の評価における、トロンボスポンジン4及び/又は表1に特定した1種以上の他のバイオマーカーの使用を提供する。バイオマーカーは、上で記載されたもののいずれかであってもよい。
実施例において示される通り、本発明のバイオマーカーは、変形性関節症患者において骨髄病変をまず調べることにより、特定された。骨髄病変は、変形性関節症の正確な診断をもたらす。本明細書において記載されるバイオマーカーは、変形性関節症患者における骨髄病変の反映である(特に、骨髄病変の数、サイズ及び重症度)。従って、本発明は、特定のバイオマーカーを介して骨髄病変を評価することによる、変形性関節症/変形性関節症痛のより正確な診断を提供する。本発明はまた、変形性関節症の進行を追跡するより正確な方法を提供する。
それ故、本発明はまた、患者における骨髄病変の評価における、特に、骨髄病変のサイズ及び/又は重症度の評価におけるトロンボスポンジン4及び/又は表1に特定した1種以上の他のバイオマーカーの使用を提供する。バイオマーカーは、上で記載されたもののいずれかであってもよい。患者はまた、上で記載された通りであってもよく、上記の方法の特性をまた、骨髄病変の評価に適当可能であり、例えば、増大したトロンボスポンジン4は、骨髄病変のサイズ/重症度における増大を示す。同様に、増大したスタスミン2は、骨髄病変の増大したサイズ/重症度を示す。
ある場合では、上記の方法は、バイオマーカーの1種以上の量を測定すること、及びその結果をアウトプットすること、例えば、患者が、上で考察されたバイオマーカーの上昇した又は減少したレベル(すなわち、上で考察されたレベルの1つより上/下)を有する場合、患者が、変形性関節症の結果として疼痛を有するという結果をアウトプットすることを含んでもよい。
ある場合では、患者が、変形性関節症の結果として疼痛を有すると診断されると、次いで、患者は、疼痛及び/又は変形性関節症自体を治療されてもよい。言い換えると、適切な治療が、患者に投与される。そのような治療は、当該技術分野において公知であり、生活習慣の変化、薬物療法及び手術を含む。変形性関節症痛のための例示的な薬物療法は、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン)、アセトアミノフェン及びデュロキセチンを含む。患者はまた、理学療法を受けてもよい。ある場合では、手術が必要とされ得る。手法は、コルチゾン注射、潤滑性の注射(例えば、ヒアルロン酸)、骨の再調整及び関節置換を含む。
本発明の方法はまた、患者の層別化のため使用してもよい。例えば、バイオマーカーの存在/非存在の検出を使用して、臨床試験のため患者群を層別化(すなわち、共通の生物学的特徴を有する患者の同定)してもよい。本発明の方法をまた使用して、関節置換を必要とする患者を同定してもよい。例えば、上で記載された方法を使用して、進行した変形性関節症を有すると決定された患者は、関節置換、又は非ステロイド性抗炎症剤、関節内ステロイド注射、栄養補助食品、例えば、グルコサミン若しくはコンドロイチン硫酸、抗神経成長因子抗体及び中枢作用性の鎮痛剤、例えば、デュロキセチン又はガバペンチノイドを含む、特異的な疼痛軽減薬物療法の恩恵を受け得る。
変形性関節症を評価するためのキット
本発明はまた、変形性関節症及び変形性関節症痛を評価するための(すなわち、上で記載された方法のいずれか1つにおいて使用するための)キットに関する。キットは、表1におけるバイオマーカーの1種以上の量を測定するための試薬、及びキットの使用についての指示書を含む。キットはまた、患者から試料を採取するための手段を含んでもよい。
患者から試料を採取するための手段は、得るべき試料のタイプに依存し、任意の適当な手段であり得る。例えば、血液、血漿、血清、滑液、滑液又は尿試料のため、針が用意されてもよい。バイオマーカーの量を測定するための試薬(複数可)は、任意の適当な試薬であり得る。これらの試薬(複数可)は、mRNA(例えば、マイクロアレイ)又はタンパク質の量を検出及び/又は測定する能力があり得る。例えば、タンパク質を検出するための試薬は、目的のタンパク質を特異的に結合する抗体を含んでもよい。キットは、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体又はヒト化抗体を含んでもよい。抗体は、インタクトな免疫グロブリン分子又はその断片、例えば、Fab、F(ab')2若しくはFv断片であってもよい。
キットは、実施される上で述べられた方法を可能にする1種以上の他の試薬又は器具を追加で含んでもよい。そのような試薬は、適当なバッファー、目的のバイオマーカーを試料から抽出/単離するための手段、又は定量反応が行われ得るウェルを含む支持体を含む。キットは、場合により、キットが本発明の方法において使用されることを可能にするか、又は方法が実施され得る患者に関して詳細に述べる指示書を含んでもよい。
キットは、好ましくは、スタスミン2及び/又はトロンボスポンジン4を測定するための試薬を含む。例えば、キットは、スタスミン2及び/又はトロンボスポンジン4を検出するための抗体を含んでもよい。そのような抗体は、市販されている。
微小管活性の阻害剤を患者に投与することを含む、患者における変形性関節症痛を治療又は予防する方法
本発明はまた、患者における変形性関節症痛を治療又は予防する方法に関する。方法は、患者に微小管活性の阻害剤を投与すること、及びこれにより、患者における変形性関節症痛を治療又は予防することを含む。本発明はまた、患者における変形性関節症痛を治療又は予防する方法であって、阻害剤を患者に投与すること、及びこれにより、変形性関節症痛を治療又は予防することを含む方法において使用するための微小管活性の阻害剤に関する。さらに、本発明は、患者における変形性関節症痛を治療又は予防するための医薬の製造において使用するための微小管活性の阻害剤に関する。
患者は、典型的には、上述の技術及び身体測定のいずれかを使用して、変形性関節症、特に、変形性関節症から生じる疼痛に罹患していると診断されている。患者は、特に、上記の方法により、変形性関節症により引き起こされる疼痛に罹患していると決定され得る。典型的には、患者は、患者由来の試料におけるスタスミン2の増大した量を有すると決定されている。例えば、方法は、患者由来の試料におけるスタスミン2の量を測定する第1の工程を含んでもよい。次いで、試料におけるスタスミン2の量が、スタスミン2の対照量と比較されてもよい。これらの工程の両方は、上記の通り行われ得る。患者由来の試料における量が、対照量と比較して増大する場合、患者は、微小管活性の阻害剤を投与される。
以下で考察される通り、スタスミン2は、生理学的な微小管形成及び神経突起伸長に関与する。特に、スタスミン2は、微小管安定性の制御因子である。MAPK8によりリン酸化される場合、それは、微小管を安定化し、結果として、皮質ニューロンにおける神経突起の長さを制御する。それ故、骨髄病変の組織により上方制御されたスタスミン2が、新たなニューロン組織の発現の発生、及び変形性関節症における骨髄病変腔の拡大に関与し、これにより、新たな血管がBML組織内で形成され、ケモカインを含む疼痛感作物質に曝露されるので、疼痛を引き起こすことが可能である。それ故、微小管活性の阻害剤は、変形性関節症痛を治療又は予防するための治療薬としての可能性を有する。
微小管阻害剤は、FDAにより確立された、認められた種類の治療剤である。微小管阻害剤は、チューブリンに結合することにより、微小管を破壊し得る。チューブリン結合薬は、一般に、それらの作用様式及び結合部位に基づき分類される。ある場合では、微小管阻害剤は、チューブリンの重合を阻害する(例えば、異なる部位で作用する、コルヒチン及びビンカアルカロイド)。微小管阻害剤はまた、それらが、重合化チューブリンの脱重合を阻害し、故に、細胞における微小管質量を増大させるので、脱重合阻害剤として作用し得る(タキサン)。
インビトロ及びインビボチューブリン重合アッセイは、微小管成長を決定するためのアッセイとして当該技術分野において周知である。そのようなアッセイを行うためのキットはまた、市販されている。従って、当業者は、微小管活性の阻害剤を既に知っており、さらに同定することができる。
ある場合では、微小管活性の阻害剤は、タキサンである。タキサンは、タクスス属(genus Taxus)(イチイ)の植物により生成される複合体テルペンである。パシフィックイチイ(Pacific Yew Tree)から元々もたらされたタキサンは、現在人工的に作製される。タキサンは、周知の種類の化合物であり、タキサジエンコア:
を特徴とする。
パクリタキセル及びドセタキセルは、がんを治療するため既に臨床上使用されているタキサンの例である。
パクリタキセル:
ドセタキセル:
タキサン類の薬物の作用の主な機序は、微小管機能の破壊である。微小管は、細胞分裂に必須であり、タキサンは、微小管におけるGDP結合チューブリンを安定化し、これにより、脱重合を阻止するように細胞分裂のプロセスを阻害する。
微小管重合の他の阻害剤は、ビンカアルカロイドである。タキサンとは対照的に、ビンカアルカロイドは、チューブリンに作用し、微小管への形成を阻止する。このように、ビンカアルカロイドは、微小管重合を阻止する。ビンカアルカロイドは、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン及びビノレルビンを含む。他のあまり一般的でないビンカアルカロイドは、ビンカミノール、ビネリジン及びビンブルニンである。
本発明の方法はまた、コルヒチンの投与を含んでもよい。コルヒチンは、イヌサフラン(autumn crocus)から取れるアルカロイドである。上で述べられた通り、コルヒチンは、微小管重合を阻害することにより、有糸分裂を阻害する。それは、一般に、痛風を治療するために使用される。
別の微小管阻害剤は、ポドフィロトキシンである。ポドフィロトキシンは、ポドフィルム(may apple)植物に由来し、ウイルス皮膚感染症を治療するために使用される。合成類似体が、がんを治療するために使用されている。
他のチューブリン脱重合阻害剤は、エポチロン及びディスコデルモリドである。他の重合阻害剤は、クリプトフィシン52、ハリコンドリン、ドラスタチン及びヘミアステリン(ビンカドメインを結合する)、並びにコンブレタスタチン、2-メトキシエストラジオール及びE7010(コルヒチンドメインを結合する)である。
微小管形成の阻害剤はまた、スタスミン2阻害剤であってもよい。スタスミン2の阻害剤は、患者に存在するスタスミン2の量を低減するか、又はスタスミン2の機能性を妨げるいずれかのものであってもよい。阻害されるスタスミン2は、典型的には、配列番号1及び/若しくは2のアミノ酸配列、又はその天然に存在するバリアントを含む。スタスミン2のそのようなバリアントは、上で記載されている。他の動物において、スタスミン2のアミノ酸配列は、データベース、例えば、http://www.uniprot.orgから同定されてもよい。繰り返すが、スタスミン2は、上で記載された天然に存在するバリアントであってもよい。
適当な阻害剤は、抗体及び小分子阻害剤を含む。抗スタスミン2抗体の例は、下記の実施例において述べられる。
スタスミン2の阻害剤はまた、例えば、スタスミン2の発現をノックダウンすることにより、患者に存在するタスミン2の量を低減し得る。タンパク質発現をノックダウンするための、オリゴヌクレオチド、例えば、アンチセンス、siRNA及びshRNAテクノロジーは、当該技術分野において周知であり、標準的方法を用いて、スタスミン2の発現をノックダウンすることができる。アンチセンスとsiRNAテクノロジーの両方が、mRNAに干渉する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNAの部分に結合すること(とハイブリダイズすること)により、mRNAに干渉する。それ故、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNAに相補性であるように設計される(しかしながら、オリゴヌクレオチドは、以下で考察される通り、100%の相補性である必要はない)。言い換えると、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、cDNAの部分であってもよい。繰り返すが、オリゴヌクレオチド配列は、cDNA配列に対し100%同一でなくてもよい。これはまた、以下で考察される。siRNAは、二本鎖RNA(これらのオリゴヌクレオチドの二本鎖バージョン)を含む。
それ故、本発明の方法は、上で定義された、(a)配列番号3及び/若しくは4(スタスミン2 mRNA)又は(b)配列番号3若しくは4に対して少なくとも90%の相同性を有するバリアント配列の一部に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含んでもよい。オリゴヌクレオチドは、典型的には、50個以下のヌクレオチド、例えば、40個以下、30個以下、22個以下、21個以下、20個以下、10個以下又は5個以下のヌクレオチドを有する、短いヌクレオチド重合体である。オリゴヌクレオチドは、好ましくは、20〜25ヌクレオチド長、より好ましくは、21又は22ヌクレオチド長である。
ヌクレオチドは、天然に存在するか、又は人工であり得る。ヌクレオチドは、典型的には、核酸塩基、糖及び少なくとも1つの結合基、例えば、リン酸塩、2'O-メチル、2'メトキシ-エチル、ホスホルアミデート、メチルホスホネート又はホスホロチオエート基を含有する。核酸塩基は、典型的には、複素環である。核酸塩基は、プリン及びピリミジン、より具体的には、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、ウラシル(U)及びシトシン(C)を含むが、これらに限定されない。糖は、典型的には、五炭糖である。ヌクレオチド糖は、リボース及びデオキシリボースを含むが、これらに限定されない。ヌクレオチドは、典型的には、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドである。ヌクレオチドは、典型的には、一リン酸塩、二リン酸塩、又は三リン酸塩を含有する。リン酸塩は、ヌクレオチドの5'又は3'側に結合されてもよい。
ヌクレオチドは、アデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン一リン酸(GMP)、グアノシン二リン酸(GDP)、グアノシン三リン酸(GTP)、チミジン一リン酸(TMP)、チミジン二リン酸(TDP)、チミジン三リン酸(TTP)、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)、ウリジン三リン酸(UTP)、シチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、シチジン三リン酸(CTP)、5-メチルシチジン一リン酸、5-メチルシチジン二リン酸、5-メチルシチジン三リン酸、5-ヒドロキシメチルシチジン一リン酸、5-ヒドロキシメチルシチジン二リン酸、5-ヒドロキシメチルシチジン三リン酸、環状アデノシン一リン酸(cAMP)、環状グアノシン一リン酸(cGMP)、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシアデノシン二リン酸(dADP)、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシグアノシン二リン酸(dGDP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシチミジン二リン酸(dTDP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(dUDP)、デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシシチジン二リン酸(dCDP)及びデオキシシチジン三リン酸(dCTP)、5-メチル-2'-デオキシシチジン一リン酸、5-メチル-2'-デオキシシチジン二リン酸、5-メチル-2'-デオキシシチジン三リン酸、5-ヒドロキシメチル-2'-デオキシシチジン一リン酸、5-ヒドロキシメチル-2'-デオキシシチジン二リン酸及び5-ヒドロキシメチル-2'-デオキシシチジン三リン酸を含むが、これらに限定されない。ヌクレオチドは、好ましくは、AMP、TMP、GMP、UMP、dAMP、dTMP、dGMP又はdCMPから選択される。
ヌクレオチドは、追加の修飾を含有してもよい。特に、適当な修飾されたヌクレオチドは、2'アミノピリミジン(例えば、2'-アミノシチジン及び2'-アミノウリジン)、2'-ヒドロキシルプリン(例えば、2'-フルオロピリミジン(例えば、2'-フルオロシチジン及び2'フルオロウリジン)、ヒドロキシルピリミジン(例えば、5'-α-P-ボラノウリジン)、2'-O-メチルヌクレオチド(例えば、2'-O-メチルアデノシン、2'-O-メチルグアノシン、2'-O-メチルシチジン及び2'-O-メチルウリジン)、4'-チオピリミジン(例えば、4'-チオウリジン及び4'-チオシチジン)を含むが、これらに限定されず、ヌクレオチドは、核酸塩基の修飾(例えば、5-ペンチニル-2'-デオキシウリジン、5-(3-アミノプロピル)-ウリジン及び1,6-ジアミノヘキシル-N-5-カルバモイルメチルウリジン)を有する。
オリゴヌクレオチド中の1つ以上のヌクレオチドは、酸化されるか、又はメチル化され得る。オリゴヌクレオチド中の1つ以上のヌクレオチドは、損傷され得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、ピリミジンダイマーを含んでもよい。そのようなダイマーは、典型的には、紫外線による損傷と関連する。
オリゴヌクレオチド中のヌクレオチドは、任意の方法で互いに結合されてもよい。ヌクレオチドは、リン酸塩、2'O-メチル、2'メトキシ-エチル、ホスホルアミデート、メチルホスホネート又はホスホロチオエート結合により結合されてもよい。ヌクレオチドは、典型的には、核酸におけるようにそれらの糖及びリン酸基により結合される。ヌクレオチドは、ピリミジンダイマーにおけるようにそれらの核酸塩基を介して結合されてもよい。
本発明はまた、上で定義された、(a)配列番号5(ヒトスタスミン2のcDNA配列)又は(b)配列番号5に対して少なくとも90%の相同性を有するバリアント配列に由来する連続した50個以下のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを提供する。オリゴヌクレオチドは、上で考察された長さのいずれかであってもよい。それは、好ましくは、21又は22ヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチドを含む、上で考察されたヌクレオチドのいずれかを含んでもよい。
オリゴヌクレオチドは、核酸、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)であってもよい。ポリヌクレオチドは、当該技術分野において公知の任意の合成核酸、例えば、ペプチド核酸(PNA)、グリセロール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、ロックド核酸(LNA)、モルホリノ核酸又はヌクレオチド側鎖を有する他の合成ポリマーであってもよい。オリゴヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチドを含む、上で考察されたヌクレオチドのいずれかを含んでもよい。オリゴヌクレオチドは、好ましくは、RNAである。
オリゴヌクレオチドは、好ましくは、一本鎖である。オリゴヌクレオチドは二本鎖であってよく、すなわち、配列番号3及び/又は4由来の連続した50個以下のヌクレオチド、並びに配列番号5由来の連続した50個以下のヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドを含むsiRNAであってもよい。siRNAテクノロジーは、当該技術分野において周知であり、標準的方法を用いて、本発明においてスタスミン2をノックダウンすることができる。
オリゴヌクレオチドは、好ましくは、本明細書において以下で標的配列と呼ばれる、配列番号3及び/又は4(スタスミン2 mRNA)の一部に特異的にハイブリダイズする。標的配列の長さは、典型的には、オリゴヌクレオチドの長さに対応する。例えば、21又は22個のヌクレオチドオリゴヌクレオチドは、典型的には、21又は22個のヌクレオチド標的配列に特異的にハイブリダイズする。それ故、標的配列は、オリゴヌクレオチドの長さを参照して、上で考察された長さのいずれかであってもよい。標的配列は、典型的には、本発明のポリヌクレオチド内の連続したヌクレオチドである。
オリゴヌクレオチドは、それが、標的配列に優先的又は高い親和性でハイブリダイズするが、他の配列に実質的にハイブリダイズしない、ハイブリダイズしない、又は低い親和性のみでハイブリダイズする場合、標的配列に「特異的にハイブリダイズする」。
オリゴヌクレオチドは、それが、他の配列についてのそのTmよりも少なくとも2℃、例えば、少なくとも3℃、少なくとも4℃、少なくとも5℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも8℃、少なくとも9℃又は少なくとも10℃高い融解温度(Tm)で標的配列にハイブリダイズする場合、「特異的にハイブリダイズする」。より好ましくは、オリゴヌクレオチドは、他の核酸についてのそのTmよりも少なくとも2℃、例えば、少なくとも3℃、少なくとも4℃、少なくとも5℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも8℃、少なくとも9℃、少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも30℃又は少なくとも40℃高いTmで標的配列にハイブリダイズする。好ましくは、一部は、1個以上のヌクレオチド、例えば、1、2、3、4又は5個以上のヌクレオチドが標的配列と異なる配列についてのそのTmよりも少なくとも2℃、例えば、少なくとも3℃、少なくとも4℃、少なくとも5℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも8℃、少なくとも9℃、少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも30℃又は少なくとも40℃高いTmで標的配列にハイブリダイズする。一部は、典型的には、少なくとも90℃、例えば、少なくとも92℃又は少なくとも95℃のTmで標的配列にハイブリダイズする。Tmは、DNAマイクロアレイの使用を含む、公知の技術を使用して実験で測定することができるか、又は公的に入手可能なTm計算機、例えば、インターネットで入手可能なものを使用して、計算することができる。
ハイブリダイゼーションを可能にする条件は、当該技術分野において周知である(例えば、Sambrookら、2001年、Molecular Cloning: a laboratory manual、第3編、Cold Spring Harbour Laboratory Press;及びCurrent Protocols in Molecular Biology、第2章、Ausubelら編、Greene Publishing and Wiley-lnterscience、New York、(1995年))。ハイブリダイゼーションは、低ストリンジェンシーな条件下、例えば、30〜35%ホルムアミド、1M NaCl及び1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝液の存在下で、37℃にて行われ、続いて、1×(0.1650M Na+)〜2×(0.33M Na+)SSC(標準クエン酸ナトリウム)において50℃にて20回洗浄され得る。ハイブリダイゼーションは、中ストリンジェンシーな条件下、例えば、40〜45%ホルムアミド、1M NaCl及び1%SDSの緩衝液の存在下、37℃にて行われ、続いて、0.5×(0.0825M Na+)〜1×(0.1650M Na+)SSCにおいて55℃にて洗浄され得る。ハイブリダイゼーションは、高ストリンジェンシーな条件下、例えば、50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝液の存在下、37℃にて行われ、続いて、0.1×(0.0165M Na+)SSCにおいて60℃にて洗浄され得る。
オリゴヌクレオチドは、標的配列に実質的に相補的である配列を含んでもよい。典型的には、オリゴヌクレオチドは、100%相補的である。しかしながら、より低いレベルの相補性、例えば、95%、90%、85%及び80%でさえ、許容可能であり得る。100%未満の相補性は、オリゴヌクレオチドが、標的配列に特異的にハイブリダイズする限り、許容可能である。それ故、オリゴヌクレオチドは、5、10、15、20、21、22、30、40又は50個のヌクレオチドの領域に渡り1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のミスマッチを有してもよい。
オリゴヌクレオチドは、当該技術分野において公知の標準技術を使用して、合成されてもよい。或いは、オリゴヌクレオチドは、購入されてもよい。
変形性関節症痛のための可能性のある治療薬としての阻害剤の能力は、骨髄病変の外植片培養を使用して、試験することができる。そのような培養を使用して、スタスミン2阻害のレベルを試験することができる。
本発明の方法において、微小管形成の阻害剤が、変形性関節症痛を治療又は予防するために、患者に投与される。スタスミン2の阻害剤は、任意の適切な方法で患者に投与されてもよい。本発明において、阻害剤は、様々な剤形で投与されてもよい。従って、それらは、例えば、錠剤、トローチ剤、舐剤、水性若しくは油性懸濁剤、分散可能な散剤又は顆粒剤として経口投与することができる。それらはまた、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、経皮投与されるか、又は注入技術により投与されてもよい。それらはまた、座剤として投与されてもよい。医師は、それぞれ特定の患者のための阻害剤に応じて、必要とされる投与経路を決定することができる。
阻害剤の製剤化は、要因、例えば、正確な阻害剤の性質などに依存する。阻害剤は、同時、別々又は逐次使用のため製剤化されてもよい。
阻害剤は、典型的には、薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に、本発明における投与のため製剤化される。医薬担体又は希釈剤は、例えば、等張液であってもよい。例えば、固形経口形態は、活性物質と一緒に、希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、トウモロコシデンプン又はジャガイモデンプン;滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム若しくはカルシウム、及び/又はポリエチレングリコール;結合剤、例えば、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルピロリドン;脱凝集剤、例えば、デンプン、アルギン酸、アルギン酸塩又はデンプングリコール酸ナトリウム;発泡混合物;染料;甘味剤;湿潤剤、例えば、レシチン、ポリソルベート、ラウリルサルフェート、並びに一般に、医薬製剤において使用される無毒性且つ薬理学的に不活性な物質を含有してもよい。そのような医薬調製物は、公知の方法において、例えば、混合、造粒、錠剤化、糖コーティング、又はフィルムコーティングプロセスにより、製造されてもよい。
経口投与用の液体分散剤は、シロップ剤、エマルジョン又は懸濁剤であってもよい。シロップ剤は、担体として、例えば、サッカロース若しくはグリセリンを含むサッカロース及び/又はマンニトール及び/又はソルビトールを含有してもよい。
懸濁剤及びエマルジョンは、担体として、例えば、天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又はポリビニルアルコールを含有してもよい。筋肉内注射用の懸濁剤又は溶液剤は、活性物質と一緒に、薬学的に許容される担体、例えば、無菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えば、プロピレングリコール、及び所望なら、適量の塩酸リドカインを含有してもよい。
静脈内投与又は注入用の溶液剤は、担体として、例えば、無菌水を含有してもよいか、又は好ましくは、それらは、無菌の等張生理食塩水溶液の形態であってもよい。
オリゴヌクレオチドは、ネイキッドヌクレオチド配列であるか、又はカチオン性脂質、ポリマー又はターゲティングシステムとの組合せであってもよい。オリゴヌクレオチドは、任意の入手可能な技術により送達されてもよい。例えば、オリゴヌクレオチドは、針注射により、好ましくは、皮内、皮下又は筋肉内導入されてもよい。或いは、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド送達デバイス、例えば、粒子媒介性遺伝子送達を使用して、皮膚を通して直接送達されてもよい。オリゴヌクレオチドは、皮膚に、又は粘膜表面に局所的に、例えば、鼻腔内、経口、又は直腸内投与により投与されてもよい。
好ましくは、阻害剤は、経口投与される。
オリゴヌクレオチドコンストラクトの取り込みは、いくつかの公知のトランスフェクション技術、例えば、トランスフェクション剤の使用を含むものにより、増強されてもよい。これらの薬剤の例は、カチオン性の薬剤、例えば、リン酸カルシウム及びDEAEデキストラン及びリポフェクタント、例えば、リポフェクタム及びトランスフェクタムを含む。投与されるオリゴヌクレオチドの投薬量は、変更することができる。
治療有効量の阻害剤が、患者に投与される。用量は、様々なパラメーターに従い、特に、使用される物質、処置される患者の年齢、体重及び状態、投与経路、並びに必要とされるレジメンに従い、決定されてもよい。繰り返すが、医師は、任意の特定の患者のため必要とされる投与経路及び投薬量を決定することができる。典型的な一日用量は、特異的な阻害剤の活性、処置される対象の年齢、体重及び状態、並びに投与の頻度及び経路に従い、体重1kg当たり約0.1〜50mgである。用量は、単回用量として提供されてもよく、又は例えば、定期的に間隔を空けて、例えば、1時間に2、3又は4用量が投与される複数回用量として提供されてもよい。好ましくは、阻害剤の投薬量レベルは、5mg〜2gである。
典型的には、粒子媒介性送達のため核酸1pg〜1mg、好ましくは、1pg〜10μgの範囲内、他の経路のため10μg〜1mgのオリゴヌクレオチド阻害剤が、投与される。
NOTCH1/トロンボスポンジン4シグナル伝達経路の阻害剤を投与することを含む、患者における変形性関節症痛を治療又は予防する方法
本発明はまた、患者における変形性関節症痛を治療又は予防するさらなる方法に関する。本方法は、患者にNOTCH1/トロンボスポンジン4シグナル伝達経路の阻害剤を投与すること、及びこれにより、患者における変形性関節症痛を治療又は予防することを含む。本発明はまた、患者における変形性関節症痛を治療又は予防する方法であって、阻害剤を患者に投与すること、及びこれにより、変形性関節症痛を治療又は予防することを含む方法において使用するための、NOTCH1/トロンボスポンジン4シグナル伝達経路の阻害剤に関する。さらに、本発明は、患者における変形性関節症痛を治療又は予防するための医薬の製造において使用するためのNOTCH1/トロンボスポンジン4シグナル伝達経路の阻害剤に関する。
患者は、上述の技術及び身体測定のいずれかを使用して、変形性関節症、特に、変形性関節症から生じる疼痛に罹患していると診断されている。患者は、特に、上記の方法により、変形性関節症により引き起こされる疼痛に罹患していると決定され得る。典型的には、患者は、患者由来の試料におけるトロンボスポンジン4の増大した量を有すると決定されている。例えば、方法は、患者由来の試料におけるトロンボスポンジン4の量を測定する第1の工程を含んでもよい。次いで、試料におけるトロンボスポンジン4の量は、トロンボスポンジン4の対照量と比較されてもよい。これらの工程の両方は、上記の通り行われ得る。患者由来の試料におけるその量が、対照量と比較して増大する場合、患者は、NOTCH1/トロンボスポンジン4の阻害剤を投与される。
NOTCH1シグナル伝達の阻害剤は、当該技術分野において公知であり、γ-セクレターゼ阻害剤、例えば、N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル)-L-アラニル]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル(DAPT)、BMS-906024、MK0752及びPF-03084014)並びにセマガセスタットを含む。これらの阻害剤の構造は、以下の表において示される。
阻害剤はまた、トロンボスポンジン4阻害剤であってもよい。トロンボスポンジン4の阻害剤は、患者に存在するトロンボスポンジン4の量を低減するか、又はトロンボスポンジン4の機能性を妨げるいずれかのものであってもよい。阻害されるトロンボスポンジン4は、典型的には、配列番号6若しくは7のアミノ酸配列、又はその天然に存在するバリアントを含む。トロンボスポンジン4のそのようなバリアントは、上で記載されている。他の動物において、トロンボスポンジン4のアミノ酸配列は、データベース、例えば、http://www.uniprot.orgから同定されてもよい。繰り返すが、トロンボスポンジン4は、上で記載された天然に存在するバリアントであってもよい。
適当な阻害剤は、抗体及び小分子阻害剤を含む。抗トロンボスポンジン4抗体の例は、下記の実施例において述べられる。
上で考察された通り、トロンボスポンジン4の阻害剤はまた、例えば、トロンボスポンジン4の発現をノックダウンすることにより、患者に存在するトロンボスポンジン4の量を低減し得る。上で記載された通り、アンチセンス、siRNA及びshRNAテクノロジーを含むオリゴヌクレオチドが、使用されてもよい。
それ故、本発明の方法は、上で定義された、(a)配列番号8〜11(トロンボスポンジン4 mRNA)又は(b)配列番号8〜11に対して例えば少なくとも90%の相同性を有するバリアント配列の一部に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含んでもよい。オリゴヌクレオチドは、上で記載された通りである。
本発明はまた、ヒトトロンボスポンジン4のcDNA配列又は少なくとも90%の相同性を有するバリアント配列由来の連続した50個以下のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを提供する。オリゴヌクレオチドは、上で考察された長さのいずれかであってもよい。それは、好ましくは、21又は22ヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチドを含む、上で考察されたヌクレオチドのいずれかを含んでもよい。
オリゴヌクレオチドは、好ましくは、一本鎖である。オリゴヌクレオチドは二本鎖であってよく、すなわち、連続した50個以下のヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドを含むsiRNAであってもよい。siRNA技術は、当該技術分野において周知であり、標準的方法を用いて、本発明においてトロンボスポンジン4をノックダウンすることができる。
オリゴヌクレオチドは、好ましくは、本明細書において以下で標的配列と呼ばれる、配列番号8〜11(トロンボスポンジン4 mRNA)の一部に特異的にハイブリダイズする。標的配列の長さは、典型的には、オリゴヌクレオチドの長さに対応する。例えば、21又は22個のヌクレオチドオリゴヌクレオチドは、典型的には、21又は22個のヌクレオチド標的配列に特異的にハイブリダイズする。それ故、標的配列は、オリゴヌクレオチドの長さを参照して、上で考察された長さのいずれかであってもよい。標的配列は、典型的には、本発明のポリヌクレオチド内の連続したヌクレオチドである。
本発明の方法において、トロンボスポンジン4シグナル伝達経路の阻害剤はまた、ガンマ-アミノ酪酸誘導体、例えば、ガバペンチノイドであってもよい。トロンボスポンジン4の受容体、α2δ-1は、そのような化合物により標的にされる。
ガンマ-アミノ酪酸誘導体は、式(I)の化合物:
(式中、
R1は、C1〜6アルキル、フェニル、又はC3〜6シクロアルキル基であり;
R2は、水素又はメチル基であり;
R3は、水素、メチル、又はカルボキシル基である)
又はその薬学的に許容される塩であってもよい。
アルキル基は、直鎖又は分岐鎖のアルキル基であってもよい。C1〜6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルを含む。C3〜6シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルを含む。
好ましくは、R1は、C1〜6アルキル基、より好ましくは、-(CH2)0〜2-iC4H9基、最も好ましくは、-iC4H9基(すなわち、イソブチル基)である。好ましくは、R2は、水素である。好ましくは、R3は、水素である。式(I)の特に好ましい化合物は、R1が、-iC4H9基であり、R2及びR3が、共に水素であるものである。特に好ましいガンマ-アミノ酪酸誘導体は、式(I)の化合物(式中、R1は、-iC4H9基であり、R2及びR3は、共に水素である)である。
最も好ましくは、式(I)の化合物は、プレガバリン、すなわち、(3S)-3-(アミノメチル)-5-メチルヘキサン酸である。プレガバリンの構造は、以下に示される。
臨床上使用される他のガンマ-アミノ酪酸誘導体(ガバペンチノイド)は、ガバペンチン及びフェニバットである。
フェニバット:
トロンボスポンジン4シグナル伝達の阻害剤は、以下の2つのタイプの患者群において特に有用であり得る:
1.変形性関節症痛を有し、関節損傷の範囲からさらに離れた領域において疼痛感受性の特徴を伴う、疼痛感作を有する患者。これらの患者は、より高いトロンボスポンジン4レベルを有する可能性が高い。
2.関節液における炎症、発赤及び膨潤を有し、他の関節における疼痛又は膨潤を有さない患者。これらの患者は、局所治療、例えば、抗炎症薬及び/又はステロイド注射に応答する可能性が高い。
阻害剤を投与する方法は、上で記載されている。
変形性関節症痛を治療又は予防する他の方法
本発明の方法はまた、表1に特定した他のバイオマーカー(特に、上で挙げられたもの)、又はこれらのバイオマーカーにより示される経路のいずれかを標的にすることを含んでもよい。例えば、バイオマーカーが、変形性関節症痛において増大することが示された場合、本発明の方法は、変形性関節症痛を治療又は予防するために、このバイオマーカー(又はバイオマーカーと関連する経路)を阻害してもよい。阻害は、上で記載されており、例えば、抗体又はオリゴヌクレオチド(例えば、siRNA又はアンチセンスRNA)を用いてそのバイオマーカーを特異的に標的にすることを含んでもよい。マーカーが下方制御される場合、本発明の方法は、例えば、変形性関節症痛を治療又は予防するために、タンパク質(又はタンパク質をコードする核酸)を投与することを含んでもよい。
変形性関節症痛を低減するための薬剤をスクリーニングする方法
最後に、本発明は、変形性関節症痛を治療又は予防する薬剤をスクリーニングする方法を提供する。本方法は、表1に特定したバイオマーカーのいずれかと相互作用する薬剤を同定することを含んでもよい。次いで、本方法は、薬剤が、阻害剤であるか活性化剤であるかを同定することを含んでもよく、すなわち、本方法は、上方制御された遺伝子/タンパク質について、阻害剤を同定することを含んでもよい。
典型的には、本方法は、スタスミン2及び/又はトロンボスポンジン4と相互作用する阻害剤を同定すること、並びに薬剤が、スタスミン2及び/又はトロンボスポンジン4を阻害するかどうかを評価することを含む。
薬剤は、例えば、小分子阻害剤、オリゴヌクレオチド(上記を参照)又は抗体であってもよい。当該技術分野において公知の標準方法を使用して、阻害剤が問題のタンパク質と相互作用することを決定してもよい。方法は、蛍光クエンチング、蛍光極性化/異方性、分割技術、例えば、透析、ゲル濾過及び濾過結合、表面プラズモン共鳴並びに等温熱量を含む。特に、抗体と標的タンパク質の間の結合が、表面プラズモン共鳴により決定されてもよい。
スクリーニングする方法はまた、表1に特定した他のバイオマーカー、又は可能性のある、これらのバイオマーカーと関連する経路における成分に、適用されてもよい。
以下の実施例は、当業者に本発明の方法及び組成物の製造及び使用の方法の完全な開示並びに記載を提供するために以下で示される。実施例は、本発明者らが彼らの発明と考えるものの範囲を限定することを意図するものではない。
[実施例1]
BMLの最初の分析
材料及び方法
英国健康研究当局(UK Health Research Authority)の承認番号12/LO/1970により、倫理審査による承認を許可された後に、全ての研究手法を行った。研究はまた、15707である英国臨床研究ネットワーク(UK Clinical Research Network)IDで、臨床試験の政府識別子NCT02603939eに記録した。大南ロンドン整形外科センターに通院している参加者を、彼らの人工膝関節全置換(TKR)についての評価時に募り、彼らは「後期OA群」であった。「初期OA群」については、セントジョージ大学病院(St George's University Hospital)のNHS信託財団のリウマチ科クリニックから参加者を募った。組織骨対照については、外傷性骨折後の関節手術又は滑車形成術を受けた参加者について整形外科外傷リストから参加者を募った(承認番号09/H0806/45)。組織対照参加者のいずれも、OA、炎症性関節炎又は他の骨障害の臨床診断を有さなかった。バイオマーカー研究について完全な同意を得て、血液及び尿試料も得た。
対象基準。参加者が、年齢35〜90歳であり、ACR基準(Altman Rら、Arthritis Rheum、1986年;29:1039〜1049頁)により診断され、リウマチ専門医により及び疼痛を経験していることにより確認された膝OAを有している場合、彼らはスクリーニングに適格であった。基準はまた、OAについての現在の英国NICEガイドライン(https://www.nice.org.uk/guidance/cg177)に従い通常の注意を払った治療にも関わらず、参加者が持続性疼痛を経験していることを述べた。全ての参加者は、OAの証拠を確認するため基礎となる膝X線検査を受けた。X線検査の知見を使用して、罹患した膝関節においてケルグレン-ローレンス(Kellgren-Lawrence)グレード2以上の変化を確認した(Kellgrenら、Ann Rheum Dis、1957年;16(4):494〜502頁)。標的関節の膝MRIについて、参加者は同意し、TKRの時点で廃棄関節組織が集められた。年齢35〜90歳の対照対象としては、膝OAを有さない参加者を募った。
除外基準。除外されたのは、他の診断、例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、線維筋痛、現在妊娠している又は妊娠を計画している、直近6ヶ月以内のビスホスホネートの常用、臨床上診断されたうつ病又は不安障害の病歴、及び最近の手術についてであった。150kgを超える参加者は、MRIスキャンできなかったので、彼らも除外した。
臨床データ収集。収集した主要な疼痛スコアは、硬直及び機能についてのサブスケールを用いた西オンタリオ・マクマスター大学変形性関節症指数(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index)(WOMAC)であった(Bellamyら、Arthritis Care Res (Hoboken)、2015年;67(7):972〜80頁)。参加者に、「直近48時間の」症状に基づく彼らのスコアを記録するよう求めた。ボディ・マス・インデックス(BMI)、数値評価スケール(NRS)疼痛評点0〜10(Dworkinら、Pain、2005年;113:9〜19頁)、病院不安及びうつ病スケール(Hospital Anxiety and Depression Scale)(HADS)(Bjellandら、Journal of Psychosomatic Research、2002年;52(2):69〜77頁)、並びに本発明者らが以前に記載した(Wajedら、Rheumatology、2011年;50(補遺3):iii91(129)、doi: 10.1093/rheumatology/ker160)定量的感覚試験(QST)を使用した疼痛感作尺度についてのデータも収集した。QSTデータは別に報告する。全一次データを二重に入力し、一貫性についてチェックした。データ入力後、二次データをチェックした。
磁気共鳴画像検査。フィリップス3T MRIスキャナーにより、TKRの6週間以内に参加者から画像を取得した。選択したタイミングは、BML、滑膜炎及び軟骨損傷を含む構造変化の可視化を最適化するものであった。簡単に言うと、T1及びT2に重点を置いたプロトコールを使用した。全スキャナー安全性手法及び適所での完全なCEマーキングを用いる製造元が承認した画像化プロトコールを使用して、全データを取得した。2人の放射線科指導医(VE及びCH)により個別に、検証されたMRI膝変形性関節症スコア(MOAKS)(Hunterら、Osteoarthritis Cartilage、2011;19(8):990〜1002頁)を使用して、X線検査の変化を個別に記録し、コンセンサススコアに至った。最近の手術、金属移植物の存在又は閉所恐怖症を含む、MRIスキャンに対する全ての禁忌事項を順守した。マルチモーダルMRIスキャンは、30分間続き、スカウト画像、病変検出のためのT2に重点を置いた画像化、膝の解剖学的構造の描写のための3D T1に重点を置いた画像化を、血管特徴決定のためのT1/T2に重点を置いた画像化と共に含んだ。
目的の局在化の領域及びRNA単離。画像処理及び分析ソフトウエア(ImageJ、NIH、Wayne Rasband、1997年)を使用して、DICOMファイルとしてMR画像を調べた。軸方向画像寸法を、ImageJ上において画素幅0.25mm及び画素高0.2mmに設定し、次いで、視野に沿って160mm×160mmにて計測した。軸方向画像に2cm×2cmグリッドを描き、MOAKSスコアリングを使用して、病変の場所を確認した。1mmずつ増加させながら、2cm×2cmのグリッドに、脛骨プラトーを置いた(図2)。これを、計測した軸方向画像に沿って使用し、BMLを測定し、場所決定した。病変を場所決定したら、非BML対照試料を病変の反対側およそ≧5cmで採取し、弓のこを使用して、両方の領域を切り出した。次いで、試料を、2つに均等に分け、一方を発現研究のため-80℃で保存し、他方を、組織像のため10%中性緩衝ホルマリン(VWR、Leicestershire、UK)中で固定した。製造元の指示書(RNeasy mini Hand book isolation kit、Qiagen、第4編、2012年6月、https://www.qiagen.com/es/resources/resourcedetail?id=14e7cf6e-521a-4cf7-8cbc-bf9f6fa33e24&lang=en)に従い、RNeasy Miniキット(Qiagen、Crawley、UK)を使用して、手術中に得た骨組織から、総RNAを単離した。Nanodrop 1000(Thermo Scientific、Hertfordshire、UK)を使用して分光光度測定により、総RNAを測定した。Agilent 2100バイオアナライザー(Agilent Technologies、Santa Clara、CA、US)を使用してマイクロ流体電気泳動技術により、RNAの完全性及び純度を評価した。
走査型電子顕微鏡(SEM)。全ての作業について、Zeiss SEMを使用した。TKR手術を受ける15人の参加者のサブグループから、3000を超える画像を得た。使用した技術は、本発明者らの研究室において以前に開発された骨組織とMRIとの相関を用いた(Boyde A、Methods Mol Biol、2012年;816:365〜400頁及びBoydeら、J Anat、2014年10月;225(4):436〜46頁)。組織をPMMA中に包埋し、ブロック表面をトリミングし、磨き、Zeiss EVOMA10 SEMにおいて50Paチャンバー圧にて20kV BSE SEMを使用してコーティングされていないものを調べた(Boyde A、Eur Cell Mater、2012年7月、24;24:154〜60頁)。20 kV BSE-SEMにより、ブロック表面が厚さおよそ0.5ミクロンの広さの電子光学切片を得て、これが、より高い解像度のマイクロラジオグラフとほぼ同等のミネラル密度/濃度を示した。SEM前にヨウ素蒸気又は三ヨウ化アンモニウム溶液を使用して、ブロックを染色し、全ての軟組織相の良好な画像を得た(Boydeら、Microsc Res Tech、2014年12月;77(12)及びLeyら、Equine Vet J、2016年1月;48(1):57〜64頁)。BMLの可視化を支援するため、MRI画像をSEMと一致させた。ブロックの写真及びモンタージュ画像化を使用して、SEM画像の場所をマッピングした。TKR中の髄腔への骨片の嵌入のため、一部のブロックにさらなる処理が必要であった。ブロックを再度切断し、再度磨いて、複数の付近の小面及び一種の3D(2.5D)画像化を得た。アルカリ性細菌プロナーゼ溶液(Tergazyme(商標))、ある場合では、5%過酸化水素溶液も使用して、他の組織片を「浸軟し」、洗浄し、乾燥させ、同じSEM装置及び同じ条件を使用して画像化したが、ここで、画像シグナルは、試料組成よりむしろトポグラフィーを示す。骨石灰化前面の本発明者らの画像は、この技術を用いた。加えて、本発明者らは、インタクトな組織の大きい切片を保持していたので、本発明者らは、手術試料(複数可)の3Dを用いたSEM画像の場所とMRI画像を相関させることができた。
組織学的分析。全ての骨標本を、10%中性緩衝ホルマリンにおいて24時間固定した。固定後、標本を脱灰して、40%(v/v)ホルマリンを含有するギ酸を使用して、リン酸カルシウムを除去した。組織体積の20倍の脱灰溶液に、最大14日間、室温(RT)にて標本を入れた。脱灰したら、標本を脱水し、パラフィン包埋後、ミクロトームを使用して5μmにて切片化した(Leica RM2255、Milton Keynes、UK)。ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)(Leica、Milton Keynes、UK)中で切片を染色した。染色したスライドを、NanoZoomer 2.0-RS Digitalスキャナー(Hamamatsu、Hertfordshire、UK)を使用してスキャンして、NanoZoomer Digital Pathology v2.0ビューイングソフトウエア(Hamamatsu、Hertfordshire、UK)を使用して高解像度デジタルデータとして組織変化を可視化した。
全トランスクリプトーム分析。10人の健常対照及び14人の広範囲のBMLを有するOA患者由来の骨試料から単離した総RNA(400ng)を、1ラウンドのcRNA合成及び増幅に使用した。シアニン3標識cRNAを精製し、Agilent全ヒトゲノム60kマイクロアレイチップ(Agilent Technologies、Santa Clara、CA、USA)にハイブリダイズした。製造元の指示書(Microarray-Based Gene Expression Analysis、Version 6.9.1、2015年12月、https://www.agilent.com/cs/library/usermanuals/Public/G2505-90019_ScannerC_User.pdf)に従い、全ての手法を行った。アレイシグナル強度を、Agilent Gene-Spring GXソフトウエア(バージョン11.5)によりさらに分析した。データセットを、クオンタイル正規化により正規化した。健常対照及びOA患者由来の骨試料間の顕著に異なって発現した実体を、スチューデントt検定及びモデレートt検定のボンフェローニFWER補正合計により同定した。遺伝子発現において≧1.5倍率変化の閾値及びP値≦0.05を有するプローブを、ピアソン相関係数アルゴリズム及び平均連結法を用いて、階層的クラスタリング法により追加で分析した。
経路の分析。顕著に差次的に発現した遺伝子IDを、機能分類のために、PANTHER経路分析(PANTHER Classification Systems 10.0; www.pantherdb.org)にアップロードした。オンラインリソースは、ほぼ5000種の新たなタンパク質ファミリー、全生物界に渡る104種の完全に配列決定されたゲノム及び大規模実験データセットの生物学的解釈についてのGO系統学的アノテーションプロジェクト由来の推測機能的アノテーション(Miら、Nucleic Acids Res、2016年;44(D1):D336〜42頁)を含んでいる。IPA制御zスコアアルゴリズム及びフィッシャーの正確確率検定により計算したzスコア及びP値に基づくIPA統計アルゴリズムにより、生物学的相互作用スコアを定義した。1.5超又は1.5未満の正又は負のzスコア、及び0.05(-log10≧1.5)未満のP値は、顕著な生物学的機能を示し、生物学的プロセス又は状態が、増大(zスコア≧1.5)又は減少(zスコア≦-1.5)の傾向にあることを予測する。ベンジャミーニ・ホッホベルク検定を用いた複数の比較について、P値を補正した。
定量的逆転写PCR検証。本発明者らは、内在性参照遺伝子としてATP5B、CYC1、E1F4A2及びSDHAを使用してMMP13、OMD、STMN2及びTHBS4遺伝子の発現について定量的逆転写PCR(qPCR)を行った。健常対照及びOA患者マイクロアレイ結果を比較する重要な倍率変化(≧1.5)に基づく検証のため、目的の遺伝子(GOI)を同定した。参照遺伝子の固定群を選択するために、geNorm参照遺伝子選択キット(PrimerDesign、Southampton、UK)を使用した。キットは、qPCRを使用して疾患及び非疾患組織における発現を測定した、最も明確に引用される候補参照遺伝子の12種を組み込んでいる。geNorm Biogazelle qbase PLUSソフトウエアを使用して、データを分析し、それらの発現の安定性に依存して、正確な正規化のため最適な参照遺伝子のリストを得た。対照群として13人の健常対照骨試料を使用して、15人のOA骨組織試料において、目的の2つの領域(BML及び非BML)を分析した。Superscript II逆転写酵素(Invitrogen、Paisley、UK)を使用して、各領域由来の総RNAをcDNAに変換した。製造元の指示書に従い、GoTaq SYBRグリーン蛍光システム(Promega、Southampton、UK)を使用して、qPCRを行った。qRT-PCR反応を、Bio-Rad CFX96又はCFX384リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad Laboratories、Hertfordshire、UK)で行い、蛍光シグナル強度を、CFX Managerソフトウエア(Bio-Rad Laboratories、Hertfordshire、UK)により分析した。プライマー配列を以下に示す。
両側の対応のないスチューデントt検定を行い、領域間の遺伝子発現レベルにおける統計学的有意差を評価した。
酵素結合免疫吸着アッセイ。製造元の指示書に従い、以前に記載された(24)通り、Urine Cartilaps(CTX-II) EIA(Immunodiagnostic Systems)を使用して、II型コラーゲン切断産物のC末端のテロペプチドの検出を行った。最初の来院時に集めた尿試料を、II型コラーゲン切断産物のため試料採取した。正規化のためのクレアチニンについて、一致した尿試料を試験した。マイクロプレートリーダーを使用して450nmにて、各ウェルの吸光度を読み取った。
結果
研究の人口統計学データは、参加者が膝OA集団の代表であったことを示している。特に、以下の表に示す通り、TKRを受けた膝OAの参加者は、高いBMIを有し、WOMACにより測定した高い疼痛スコアを有していた。
群における平均(SD)総WOMACスコアは以下の通り:進行OAで1436.2(471.6)、初期OAで797.4(549.6)、及び対照で10.5(12.6)であり、これは、進行したOA群が、重篤な疼痛を有したことを示していた(p<0.0001)。MOAKS分析により、進行OA群が、滑膜炎及び軟骨損傷の顕著なレベルに加えて、関連する21の領域におけるMOAKSスコア1に対応する最大33%の骨障害のBMLを進行OA群の81.3%が有することにより示される、重篤な膝OAを有することがわかった(表5)。データセットは、SEM及び組織マイクロアレイによるさらなる分析に焦点を当てたMRI領域をマッピングすることによるBMLの標的化組織分析の理想的な開始点を提供した。
SEM分析は、大部分の正常な骨髄が、脂肪細胞を伴う脂肪細胞性であったことを示し、それは主たる骨ライニング細胞であり海綿状突起物をしばしば生成し、形作る(図2)。骨体積分率は、BMLエリアにおいて完全に低減され、骨髄は、密集した線維性結合組織、硝子軟骨及び線維軟骨により置き換わった。侵襲性の骨吸収のエリアは、BMLパッチの周囲及び石灰化軟骨のエリアにて見られるが、骨内のあまりに深部であり、関節表面からの衝撃により説明することはできないが、骨器官内の深部で形成される軟骨の石灰化により生じていた(図1)。SEMは、MRI上での嚢胞性病変であると思われるものが、MRI技術により明らかにされる構造よりも不均一であったことを示した。線維軟骨を含む新たな血管のエリアを同定し、そこに新たな軟骨形成の領域が散在した。他のエリアでは、結合組織様物質が入り込んだ骨髄を含む、骨のより無定形の浸潤物が存在した。骨組織を浸軟化してデブリを除去したところ、石灰化前線を有する骨新生の証拠も観察された。SEMを、光学顕微鏡と比較し、両方の技術を使用して、OA BMLの構成部分が、軟骨形成、線維軟骨形成を伴う線維組織、血管新生、髄腔内の無定形構造及び骨新生のエリアを含む、いくつかの別個の構造を含むことを見出した(図2)。
218個の遺伝子を示した、OA BML及び対照由来のn=24の試料のサブセットは、マイクロアレイプレート上で試験した計60,000個の遺伝子由来の対照試料と比較して、有意に異なって制御された(p<0.05)(図4)。最も高く上方制御された遺伝子は、スタスミン2、ATP結合カセットタンパク質、トロンボスポンジン4、マトリックスメタロプロテイナーゼ13及び21番染色体オープンリーディングプレームであった(図4を参照)。最も下方制御された遺伝子は、ヘモグロビン、S100カルシウム結合タンパク質A12、ヘモゲン、プロ血小板塩基性タンパク質[(ケモカインC-X-C)モチーフリガンド7]及びデルタアミノレブリン酸合成酵素2を含んでいた。顕著な差次的発現を示す遺伝子の完全なリストを図3(表1)において示す。
他の有意に上方制御された遺伝子の中には、細胞接着、アポトーシス及びカルシウム結合に関与するEGF様ドメイン、ECM組織化、細胞接着及びインテグリン媒介性シグナル伝達において機能を有するXVI型コラーゲン、シグナル伝達に関与しホルモン/神経伝達物質と結合するGタンパク質共役型受容体、並びに軸索末端及びシナプス小胞にて発現し、ニューロン投射に関与するATPアーゼH+輸送リソソーム遺伝子があった。神経変性に関与するRas GTPアーゼである、DIRASファミリー、GTP結合RAS様2の上方制御もまた見出された。神経上皮幹細胞分化、神経発生及びアポトーシスに関与する分子であるPC4及びSFRS1相互作用タンパク質1、ニューロン性チロシンリン酸化ホスホイノシチド-3-キナーゼアダプター2、WAVE1タンパク質と相互作用し細胞骨格モデリングに関与するニューロンの発生に関与する遺伝子、が検出された。カテニン(カドヘリン関連タンパク質)上方制御、脳発生及びがん形成に関与する接着結合関連タンパク質も同定された。本発明者らのPANTHER経路分析から、同定した218個の制御された遺伝子のうち166個が、59の経路に関与すると認められ、その最も広く認められるものは血管新生、アルツハイマー病プレセニリン経路、EGF/FGF/ゴナドトロピンシグナル伝達、PDGF/ノッチ/VEGF及びwntシグナル伝達を含むケモカイン及びサイトカインシグナル伝達により媒介される炎症であった。
マイクロアレイにより観察された遺伝子のさらなる検証を、Q-PCR実験により行った。Q-PCR実験のため、同じ対象(n=13)におけるBML、非BML領域を含むヒト組織由来の15個の追加の骨試料からRNAを単離し、以下の遺伝子:オステオモジュリン(これは骨芽細胞及び破骨細胞において発現するので、骨代謝回転遺伝子として選択)、スタスミン2、MMP-13及びトロンボスポンジン4について、Q-PCRにより試料を分析した。Q-PCR結果は、トロンボスポンジン4及びスタスミン2が、OA BML 対 正常骨において最も高く上方制御された遺伝子であることを示し、これは、マイクロアレイ実験と同様の結果を反映している(図6)。BML骨における高レベルのMMP-13遺伝子発現が存在することも確認した。組織の骨系統の確認として、OA骨及び正常骨においてオステオモジュリンが見られた。
次に、本発明者らのマイクロアレイにおいて同定した遺伝子由来の、血清及び/又は尿におけるタンパク質の機能的意義を試験した。MMP-13は、OA BML組織において強く上方制御されたので、本発明者らは、研究からの対象の血清におけるELISAによるMMP-13レベルを試験した。後期OA、初期OA又は対照においてMMP-13タンパク質レベルにおける差は見られなかった。II型コラーゲンは、活性MMP-13の基質であり、故に、MMP切断により生成されるCTX-IIのC末端のテロペプチドレベルを、研究群由来の尿試料においてELISAにより試験した。初期OA及び対照と比較した後期OA群におけるCTX-IIレベル、すなわち、II型コラーゲンの切断産物における大幅な増大を同定した(図6B)。
考察
膝OAにおいてはMRIにより、BMLがX線検査でよく説明されているが、それらの機能的特徴については非常にわずかしかわかっていない。これは、まず、MRIを用いたマルチモーダルアプローチを使用してBMLを場所決定した後、詳細なSEM分析及び遺伝子マイクロアレイ技術を用いてBMLを調べる。骨髄シグナル変化は、WilsonらによりMRIで最初に記載され、彼らは、用語「骨髄浮腫」(BME)を使用して、有痛関節におけるMRI知見を記載した(Wilsonら、Radiology、1988年;167(3):757〜60頁)。最初の記載は、T1に重点を置いた画像における不明確なシグナル強度、及びT2に重点を置いた画像における増大したシグナル強度を含んだが、病理学的及び機能的レベルでのBMLについての情報は今までにほとんど報告されていない。これまでの研究は、膝及び股関節の関節置換手術を受けた患者からのデータ取得に焦点を当ててきた。Zanettiらは、BMLの組織学は、髄壊死、壊死又は再構築された海綿骨、浮腫及び骨髄出血を伴い、正常な脂肪髄を含有したことを記載した(Zanetti Mら、Radiology、2000;215:835〜840頁)。同じ群は、人工膝関節全置換(TKR)を受けている参加者の研究におけるBML異常とMRI変化が一致し、彼らが分析したBMLが、骨髄線維化、浮腫及び出血のエリアに加えて正常な組織を含んでいたことがわかった。股関節及び膝OAの研究において、Hunterら(2009年)は、BMLの光学顕微鏡から、増大した骨体積分率、だが、減少した組織ミネラル密度を報告した(Hunterら、Arthritis Res Ther、2009年;11(1))。病変エリア由来の試料は、肉芽形成、浮腫、壊死、フィブリノイド沈着及び血管壁の肥厚化と共に、増大した海綿厚を示した。Taljanovicは、BML組織学の最大の研究の1つを今日までに報告した(Taljanovicら、Skeletal Radiol、2008年;37(5):423〜31頁)。彼らの研究において、Taljanovicらは、光学顕微鏡により、股関節OAの研究において治癒の異なるステージでの線維化及び微小破壊形成の領域を観察した。Leydet-Quiliciらはまた、BML生検における浮腫、壊死及び線維化を記載した(Leydet-Quiliciら、Osteoarthritis Cartilage、2010年;18(11):1429〜35頁)。
他の公開された研究との比較において、上で記載した新規のSEM技術により、BML内の最初の時点の嚢胞構造についての直接観察(光学顕微鏡により他の群により観察される浮腫を説明し得る)、線維化の周囲のエリア、本発明者らが光学顕微鏡により検証した知見である骨区画内での新たな軟骨形成及び血管形成と共に、BMLの改良された可視化が可能になった。SEM技術により、骨の3D可視化により可能になる骨新生の追加の可視化が可能になり、これによりまた、脂肪細胞が、脂肪細胞により形作られる骨突起物を有する、主な骨ライニング細胞であることも観察された。光学顕微鏡変化とのSEM知見の比較は、BML内での線維化、新たな血管浸潤及び炎症細胞の観察を支持した。一部の構造変化が、骨が通常の組織学のため処理される厳しい脱灰プロセスに耐えられなかったために、BMLの組織学に主に焦点を当てた以前の研究は、嚢胞、軟骨及び無定形の浸潤物を含む、本発明者らがSEMにより観察した特定の構造を同定することができなかった可能性がある。本明細書において骨を処理するために使用した浸軟技術はまた、BMLにおいて以前に記載されていない石灰化前線及び骨新生を明らかにした。
MRIを使用して、Roemerらは、安定なBMLと比較した場合、BMLを含まない亜領域が、軟骨減少のリスク減少と関連する一方、BMLの進行及びBMLの発症が、同じ亜領域における軟骨消失のリスク増大と関連することを示した(Roemerら、Ann Rheum Dis、2009年;68(9):1461〜5頁)。本明細書に記載する研究は、組織分析のためのBMLの最も同定可能なエリアが、内側及び外側の脛骨区画にあることを見出した(図2を参照)。嚢胞構造を考慮する場合、組織分析が、T2の脂肪抑制連続MR画像上の液体様シグナル強度の十分に定義された丸みを帯びたエリアである肋軟骨下の嚢胞が、本発明者らの研究において観察されたという、以前の観察を支持することがわかった(図2を参照)。Carrinoら(Carrinoら、Osteoarthritis Cartilage、2006年;14(10):1081〜5頁)は、肋軟骨下の嚢胞の87%が、BML異常と関連することを報告し、本明細書に記載する組織分析は、この強い関連を支持する。BML組織における線維軟骨、新たな血管形成、軟骨形成及び無定形組織沈着を含む嚢胞エリアに隣接する追加の病理学的変化と共に、SEMにより、嚢胞構造がMRIにより定義した嚢胞のエリア内で観察されたことから、BMLは、前嚢胞であり得るが、全てのBMLが嚢胞性になるわけではないという以前の仮説がまた、知見により支持される。BMLの末梢に対して、骨新生と共に、増大した骨代謝回転のエリアが観察されたこともわかった。
OA骨髄病変のマイクロアレイ研究から、本発明者らのマイクロアレイ由来の最も制御された遺伝子は、微小管機能、ニューロン成長及び骨形成の制御に関与するリン酸化タンパク質である(Jinら、FASEB J、2004年;18(2):287〜99頁)、スタスミン2であった。スタスミン2は、微小管安定性の制御因子である。これは、MAPK8によりリン酸化される場合、微小管を安定化し、結果として、皮質ニューロンにおける神経突起の長さを制御する。脳の発生において、これは、多極性期から出る速度を負に制御し、心室ゾーンからの放射状移動を遅延させる。BML組織により上方制御されるスタスミン2が、新たなニューロン性組織発現の発生(Liuら、J Bone Miner Res、2011年;26(9):2052〜67頁)及びOAにおけるBML腔の拡大に関与し、これにより、新たな血管がBML組織内で形成されてケモカインを含む疼痛感作物質に曝露されると疼痛が生じる可能性があり、OA BML組織において高く上方制御されるが正常骨においてはされないアデニル酸シクラーゼ5を含む、ケモカインシグナル伝達分子が、同定された。
マイクロアレイは、CNS傷害に対する炎症応答、前シナプス過敏症及び神経障害性疼痛状態に関与する分子(Kimら、J Neursci、2012年;32(26):8977〜87頁)である、トロンボスポンジン4の上昇した遺伝子発現を見出した。トロンボスポンジン4は、細胞と細胞、及び細胞と基質の相互作用を媒介する接着性糖タンパク質であり、細胞増殖、遊走、接着及び結合を含む様々なプロセスに関与する(Arber Sら、J Cell Biol、1995年;131:1083〜1094頁)。これはまた、神経突起伸長(Narouz-Ott Lら、J Biol Chem、2000年;275:37110〜37117頁)、CNS傷害に対する炎症応答(Kimら、J Neursci、2012年;32(26):8977〜87頁)、血管炎症の制御、過負荷の圧力に対する並びに心筋機能及び再構成における心臓の適合応答に関与する。トロンボスポンジン4は、構造ECMタンパク質に結合し(Adams JC、Annu Rev Cell Dev Biol、2001年;17:25〜51頁)、末梢神経傷害後の脊髄性前シナプスの脊髄性過敏症及び神経障害性疼痛状態に寄与することが提唱されている(Kimら、J Neursci、2012年;32(26):8977〜87頁)。これはまた、NOTCH1に依存した方法で、傷害後の脳室下帯(SVZ)微小環境からの保護性アストロジェネシスの制御において役割を果たし得る(Bennerら、Nature、2013年;497(7449):369〜73頁)。脊髄性NOTCHシグナル伝達経路は、神経障害性疼痛の発症に近年関係付けられた(Sunら、Mol Brain、2012年;5:23)。他の群及び本明細書において記載する研究からのそのような観察は、トロンボスポンジン4が、OAにおいて疼痛感作を媒介する鍵となる分子であり得ることを示唆する。
マイクロアレイ研究から、ニューロンの形態形成に関与する他の上方制御された遺伝子は、CNS傷害に対する炎症応答、前シナプス過敏症及び神経障害性疼痛状態を含む様々なプロセスに関与する(Foulkesら、PLoS Genetics、2008年;4(7)及びSwaminathanら、J Biol Chem、2016年;291(39):20303〜14頁)、ATPアーゼ、H+輸送リソソーム38kDa遺伝子、PC4及びSFRS1相互作用タンパク質1、ニューロン性チロシンリン酸化ホスホイノシチド-3-キナーゼアダプター2、FERM及びPDZ含有4を含んでいた。研究由来の、強く上方制御された別の群の遺伝子は、マトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP-13)及びXVI型コラーゲンを含むコラーゲン、ECM内で結合することが知られているフィブロネクチン及び成長因子(Sofat、International Journal of Experimental Pathology、2009年;90:463〜479頁)を含む、細胞外基質形成及びその代謝回転に関与する遺伝子を含んでいた。データは、BMLが、増大した細胞代謝回転、骨、ニューロンの炎症及び遺伝子と共に、高い代謝活性の領域を示すことを示唆する。PANTHER経路分析は、ケモカイン、インテグリン及びサイトカインシグナル伝達に関与する遺伝子経路を明らかにした。アルツハイマー、ノッチ、カテニン及びwnt経路により示される神経発生及び疼痛経路シグナル伝達の証拠も観察された。VEGFによる血管新生及び血管新生経路発現の証拠も存在した。近年、Kusumbeら(Kusumbeら、Nature、2014年;507(7492):323〜8)は、骨における血管の成長と骨形成がどのように結び付けられるかを記載し、H型内皮細胞が、血管系の局所成長を媒介し、血管周囲の骨細胞前駆体に微小環境シグナルをもたらすことを提唱した(Bennerら、Nature、2013年;497(7449):369〜73頁)。同じグループは、内皮のノッチ活性が、骨において血管新生及び骨形成を促進することを報告した(Ramasamyら、Nature、2014年;507(7492):376〜80頁)。BML組織におけるオステオモジュリン発現も示され、Ninomiyaらは、破骨細胞活性が、骨におけるオステオモジュリン発現を誘導することを示した(Ninomiyaら、Biochemical and Biophysical Research Communications、2007年;362(2):460〜466頁)が、これは、本発明者らのBML組織が、代謝的に活性であり、骨代謝回転マーカーを発現したことを示している。ノッチ、wnt及びカテニンシグナル伝達経路の上方制御が、VEGF及び血管新生に加えて、マイクロアレイにおいて観察された。それ故、遺伝子発現研究により検証したSEMにより観察した新たな血管形成及び骨新生は、BML形成において結び付けられる可能性が高いことが提唱される。血管は、神経血管束内で形成されるので、スタスミン2、トロンボスポンジン4、PC4、SFRS1相互作用タンパク質、ニューロン性チロシンリン酸化ホスホイノシチド-3-キナーゼアダプター2を含む、本発明者らが観察した増大した神経経路遺伝子発現は、全て、神経経路発生及び新たな神経形成の際に発現するBMLにおける重要な遺伝子である可能性が高い。PANTHER経路分析は、炎症促進性ケモカイン及びサイトカインシグナル伝達を含むシグナル伝達経路を高度に代表しており、他の群はまた、OA疼痛におけるケモカインと関係しており、例えば、CCR2は、OAのマウスモデルにおいて疼痛を媒介することが近年報告された(Millerら、Proc Natl Acad Sci USA、2012年;109(50):20602〜7頁)。データはまた、ケモカイン経路分子が、BMLにおける感作物質であり得ることを示唆する。
本発明者らの最も高発現した遺伝子のうちの1つは、OAにおけるECM代謝回転及び軟骨破壊の制御に関与する軟骨において発現した酵素であると伝統的に考えられていた、MMP-13であった(Littleら、Arthritis Rheum、2009;60(12):3723〜33頁)。データは、II型コラーゲン分解産物が、後期OA集団由来の尿において増加したことを示し、これは、BMLによるMMP-13の増大した産生が、MMP-13活性により生成されると考えられるII型コラーゲンの切断産物の増加を反映するタンパク質レベルで有意性を有することを示唆している。本発明者らがマイクロアレイ及びELISAにより観察した通り、MMP-13の遺伝子及びタンパク質発現と結び付けられた、BMLにおけるSEMにより本発明者らが見出した新たな軟骨形成は、増加したMMP-13を発現する骨区画を伴い、OA BMLにおける胚表現型への復帰を示し得ることが考えられる。
結論として、OAの病因に強く関与するBMLの構造-機能関係が初めて示された。この研究は、BMLが、ニューロンの発生及び疼痛、細胞外基質代謝回転及び軟骨形成、骨形成及び血管新生に関与する遺伝子の発現を伴う、高い代謝活性の領域であることを示した。
[実施例2]
OAにおけるバイオマーカーとしてのスタスミン2及びトロンボスポンジン4のさらなる測定
OA骨髄病変のマイクロアレイ研究から、由来の最も高く制御された遺伝子は、微小管機能、ニューロン成長及び骨形成の制御に関与するリン酸化タンパク質である、スタスミン2であった。スタスミン2は、微小管安定性の制御因子である。これは、MAPK8によりリン酸化される場合、微小管を安定化し、結果として、皮質ニューロンにおける神経突起の長さを制御する。脳の発生において、これは、多極性期から出る速度を負に制御し、心室ゾーンからの放射状移動を遅延させる。BML組織により上方制御されるスタスミン2が、新たなニューロン性組織発現の発生(Liuら、J Bone Miner Res、2011年;26(9):2052〜67頁)及びOAにおけるBML腔の拡大に関与し、これにより、新たな血管がBML組織内で形成されてケモカインを含む疼痛感作物質に曝露されると疼痛が生じる可能性がある。本発明者らは、OA BML組織において高く上方制御されるが正常骨においてはされないアデニル酸シクラーゼ5を含む、ケモカインシグナル伝達分子を同定した。スタスミン2は、BML媒介性骨疼痛における鍵となる分子としての強力な候補であるので、研究における参加者由来の血清を、以下で概説するELISAアッセイを使用して試験した。
製造元の指示書を順守しながら、ヒト試料用のUS Biological STMN2 BioAssay ELISAキット(United States Biological、Salem、MA、USA)を使用して、17人の末期OA、17人の初期OA及び7人の健常対照由来のヒト血清におけるSTMN2の定量的測定を行った。ELISAキットは、Molecular Devices Spectra Max 340マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、Berkshire、UK)上、450nmにて測定する比色分析検出方法を用いる競合的酵素結合イムノアッセイ技術を用いる。吸光度の強度は、血清試料又は標準物質内に存在するSTMN2の濃度と反比例する。標準物質の濃度(ng/ml)に対する吸光度(OD)に関し、標準曲線をプロットした。GraphPad Prism 7.01(GraphPad Prism、San Diego、CA、USA)上にプロットした標準曲線及び結果から、各試料におけるSTMN2濃度を内挿した。
結果を図7に示す。データは、スタスミン2が、初期OAを有する参加者において上昇したが、後期OAにおいて上昇しなかったことを示し、これは、スタスミン2が、OA病変が発生しつつあるときに、血清においてより高いことを示唆している。
マイクロアレイはまた、CNS傷害に対する炎症応答、前シナプス過敏症及び神経障害性疼痛状態に関与する分子(Kimら、J Neursci、2012年;32(26):8977〜87頁)である、トロンボスポンジン4の上昇した遺伝子発現を見出した。トロンボスポンジン4は、細胞と細胞、及び細胞と基質の相互作用を媒介する接着性糖タンパク質であり、細胞増殖、遊走、接着及び結合を含む様々なプロセスに関与する(Arberら、J Cell Biol、1995年;131:1083〜1094頁)。これはまた、神経突起伸長(Narouz-Ottら、J Biol Chem、2000年;275:37110〜37117頁)、CNS傷害に対する炎症応答(Kimら、J Neursci、2012年;32(26):8977〜87頁)、血管炎症の制御、過負荷の圧力に対する並びに心筋機能及び再構成における心臓の適合応答に関与する。トロンボスポンジン4は、構造ECMタンパク質に結合し(Adams、Annu Rev Cell Dev Biol、2001年;17:25〜51頁)、末梢神経傷害後の脊髄性前シナプスの脊髄性過敏症及び神経障害性疼痛状態に寄与することが提唱されている(Kimら、J Neursci、2012年;32(26):8977〜87頁)。これはまた、NOTCH1に依存した方法で、傷害後の脳室下帯(SVZ)微小環境から保護性アストロジェネシスの制御において役割を果たし得る(Bennerら、Nature、2013年;497(7449):369〜73頁)。脊髄性NOTCHシグナル伝達経路は、神経障害性疼痛の発症に近年関係付けられた(Sunら、Mol Brain、2012年;5:23)。
対象試料由来の血清におけるトロンボスポンジン4のインビトロでの定量的測定のため、ヒトトロンボスポンジン4サンドイッチ酵素イムノアッセイを使用した(DL Sci & Tech Development Co Ltd)。ELISAキットは、Molecular Devices Spectra Max 340マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、Berkshire、UK)上、450nmにて測定する比色分析検出方法を用いるイムノアッセイ技術を用いる。標準物質の濃度(ng/ml)に対する吸光度(OD)に関し、標準曲線をプロットした。GraphPad Prism 7.01(GraphPad Prism、San Diego、CA、USA)上にプロットした標準曲線及び結果から、各試料におけるTHBS4濃度を内挿した。
結果を図8に示す。初期OA患者と比較して末期OA患者において、トロンボスポンジン4のより高いレベルが観察された。対照については、トロンボスポンジン4は検出されなかった。
[実施例3]
トロンボスポンジン4レベルの追加測定
方法:膝OAを有する参加者の変形性関節症研究における疼痛知覚において、参加者由来の試料を評価した。バイオマーカー研究のため、血清及び尿試料を評価した。3つの群、すなわち、関節置換手術を受けている進行OA、非ステロイド性抗炎症剤及び/又は理学療法を含む膝OAの通常のケアを受けている軽度OA、並びに正常な健常ボランティアを、評価した。トロンボスポンジン4(TSP4)ELISA:ヒトトロンボスポンジン4 ELISAキット(DLDEVELOP)を使用して、最初の来院時に集めた血清中のTSP4レベルを測定した。450nmにて、各ウェルの吸光度を読み取った。CTX-II ELISA:MMP-13活性の検出のため、本発明者らは、Urine Cartilaps(CTX-II) EIA(Immunodiagnostic Systems)を使用して、II型コラーゲン切断産物のC末端テロペプチドのレベルを測定した。最初の研究来院時に集めた尿試料を、II型コラーゲン切断産物のため試料とした。正規化のためのクレアチニンについて、一致した尿試料を試験した。450nmにて、各ウェルの吸光度を読み取った。全ELISAアッセイについて、クラスカル-ウォリス比較を使用して、全ての群に渡る有意性を比較し、p<0.05で有意とした。試験したバイオマーカーと関連する交絡要因として年齢、BMI及び性別について調整した、MRI膝変形性関節症スコア(MOAKS)により測定した構造的損傷の影響を評価するための群比較のため、分散分析-ANOVAも行った。
結果:人口統計学。進行OA(n=72)、軽度OA(n=32)及び健常ボランティア(n=6)を含む、計110人の参加者を評価した(以下の表を参照)。TSP4血清タンパク質測定について、TSP4レベルが、正常な健常対照において検出できないことが見出された。TSP4レベルは、軽度OA群[平均(SD)0.095(0.148)]及び健常対照と比較して、進行OA群[平均(SD)(0.228(0.27)]において有意に上昇した(p=0.0046)。交絡要因として年齢、BMI及び性別について調整した場合、軟骨分解とTSP4レベルの間で、有意な相関も検出した(p=0.014)。軽度OA[平均(SD)320(174)]及び健常対照[平均(SD)149.8(81.0)]群と比較して進行OA群[平均(SD)447(269)]において、尿のCTX-IIレベルが有意に増大した(p=0.0034)。OA疾患重症度が悪化するのに伴い、II型コラーゲンの分解産物が増加する傾向があった。交絡要因として年齢、BMI及び性別を調整した、CTX-II分解産物と軟骨損傷の間に有意な相関(p=0.047)並びにCTX-II分解産物とホッファ滑膜炎の間に有意な相関(p=0.001)があった。
結論:進行OA群において、TSP4及び尿のCTX-IIの最大の上昇が観察された。このバイオマーカー研究において観察されたMMP-13のトランスクリプトーム発現の増加及びMMP-13切断産物の検出と結び付けられた、マイクロアレイ研究からBML内で観察された新規(de novo)軟骨形成は、BML及び軟骨から生じるMMP-13タンパク質分解酵素活性由来する可能性がある尿中のMMP-13切断産物の検出を伴う、OAでの胚性骨発生表現型の再現を示唆する。進行OAを有する対象において、TSP4が、最も顕著なレベルで上昇したことも見出された。TSP4は、中枢神経系傷害に対する炎症応答、前シナプス過敏症及び神経障害性疼痛状態と関係付けられた。この知見は、疼痛、BML特異的及び軟骨特異的なOAバイオマーカーと組み合わせた血清TSP4及び尿II型コラーゲン分解産物の可能性をもたらす。
[実施例4]
膝変形性関節症のX線検査による重症度と臨床疼痛スコアの関係
目的は、骨髄病変(BML)、軟骨喪失、滑膜炎又は浸出液を含む構造変化が、膝OAを有する人において臨床疼痛測定値とどのように関連するかを評価することにより、OA病態生理学のより深い理解を得ることであった。
方法:ロンドンの教育病院においてリウマチ学及び整形外科クリニックに通院している進行OA及び軽度OAを有する人において、プロスペクティブ観察研究を行った。西オンタリオ・マクマスター大学変形性関節症指数(WOMAC)疼痛、硬直及び機能スコアを使用した彼らの疼痛のレベル、疼痛についてのビジュアルアナログスケール(VAS)、painDETECT及び病院不安及びうつ病スケール(HADS)を使用した感作スコアについて、参加者を評価した。加えて、各対象は、3Tスキャナーを用いた標準的なT1に重点を置いた及び脂質抑制したT2に重点を置いた画像を使用して、彼らの標的の有痛性の膝の磁気共鳴画像検査(MRI)を受けた。2人の放射線科指導医は、半定量的MRI膝変形性関節症スコア(MOAKS)を使用して、軟骨分解のレベル、BML、滑膜炎及び浸出液重症度を独立してスコア決定した。2つの群、すなわち、軽度OA(膝OAの標準的な医療管理を受けている)及び進行OA(関節置換手術を受けている)において、X線検査の重症度を構造変化について比較した。共分散分析(ANCOVA)を使用した個々の疼痛スコアを用いて、X線検査の変化の相関分析も行った。
結果:疼痛及び機能の質問票を完了し、彼らの標的の有痛性の膝のMRI評価を受けた、n=88の参加者を評価した。群は、軽度OA(n=22)及び進行OA(n=66)を有する参加者から構成された。軽度OA群における平均年齢は、61.8(8.2)歳であり、進行OA群では、68.8(7.8)歳であった。軽度OA群における平均BMIは、28.6(4.1)であり、進行した群では、32.3(5.7)であった。MOAKS等級付け、WOMAC疼痛及びVAS疼痛の概要を、要約する(表を参照)。交絡要因としてBMI及び年齢について調整した場合、MOAKSにより同定した軟骨喪失と、WOMAC疼痛(p=0.009)、WOMAC硬直(p=0.004)、WOMAC機能(p=0.004)及び疼痛についてのVAS(p=0.047)との間で有意な相関が観察された。MOAKSにより同定したBMLとVAS疼痛の間でも相関(p=0.029)が観察されたが、この相関は、交絡要因としてBMI及び年齢についての調整後に有意ではなかった(p=0.057)。VAS疼痛とWOMAC疼痛とHADSスコアの間でも有意な相関が観察された(p<0.05)。滑膜炎/浸出液と疼痛スコアの間で有意な相関は観察されなかった(データは示していない)。
結論:研究により、最も強い相関が、WOMAC疼痛、硬直、機能並びにVAS疼痛の結果スコアと軟骨分解の間にあることが見出された。painDETECTとMOAKSにより評価された構造的損傷との間の有意な相関は観察されず、これは、painDETECTが、構造的損傷により反映される侵害受容性疼痛ではなく疼痛感作のマーカーであることを示唆している。データはまた、最高の疼痛レベルを報告する膝OAを有する参加者が、顕著な不安及び/又はうつ病を経験する可能性がより高いことを示す。データは、軽度OAから進行OAに及ぶ範囲の構造的損傷を有する膝OA対象のコホートにおいて、臨床疼痛と最も強い構造的相関は、軟骨分解であることを示す。
配列表
配列番号1-ヒトスタスミン2アイソフォーム1(出願日のUniprot ID Q93045から取得)
配列番号2-ヒトスタスミン2アイソフォーム2(出願日のUniprot ID Q93045から取得)
配列番号3-ヒトスタスミン2 mRNA(アイソフォーム1)(出願日のアクセッション番号NM_007029から取得)
配列番号4-ヒトスタスミン2 mRNA(アイソフォーム1)(出願日のアクセッション番号NM_001199214から取得)
配列番号5-スタスミン2 cDNA(出願日のアクセッション番号CR456833から取得)
配列番号6-ヒトトロンボスポンジン4全配列(出願日のUniProt ID P35443から取得)
配列番号7-ヒトトロンボスポンジン4成熟型(シグナルペプチドを含まない)(出願日のUniProt ID P35443から取得)
配列番号8-ヒトトロンボスポンジン4 mRNA(全配列、転写バリアント1)(出願日のアクセッション番号NM_003248から取得)
配列番号9-ヒトトロンボスポンジン4 mRNA(転写バリアント2)(出願日のアクセッション番号NM_001306212から取得)
配列番号10-ヒトトロンボスポンジン4 mRNA(転写バリアント3)(出願日のアクセッション番号NM_001306213から取得)
配列番号11-ヒトトロンボスポンジン4 mRNA(転写バリアント4)(出願日のアクセッション番号NM_001306213から取得)
配列番号12-ヒトATP結合カセットサブファミリーBメンバー5(ABCB5)(アイソフォーム4)(出願日のUniProt ID Q2M3G0から取得)
配列番号13-ヒトATP結合カセットサブファミリーBメンバー5(ABCB5)(アイソフォーム2)(出願日のUniProt ID Q2M3G0から取得)
配列番号14-ヒトATP結合カセットサブファミリーBメンバー5(ABCB5)(アイソフォーム3)(出願日のUniProt ID Q2M3G0から取得)
配列番号15-ヒトATP結合カセットサブファミリーBメンバー5(ABCB5)(アイソフォーム1)(出願日のUniProt ID Q2M3G0から取得)
配列番号16-ヒトATP結合カセットサブファミリーBメンバー5(ABCB5)(転写バリアント3 mRNA)(出願日のNM_001163942から取得)
配列番号17-ヒトATP結合カセットサブファミリーBメンバー5(ABCB5)(転写バリアント1 mRNA)(出願日のNM_001163941から取得)
配列番号18-ヒトATP結合カセットサブファミリーBメンバー5(ABCB5)(転写バリアント2 mRNA)(出願日のNM_178559から取得)
配列番号19-ヒトATP結合カセットサブファミリーBメンバー5(ABCB5)(転写バリアント4 mRNA)(出願日のNM_001163941から取得)
配列番号20-ヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP13)完全形態のタンパク質配列(出願日のUniProt ID P45452から取得)
配列番号21-ヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP13)mRNA(出願日のNM_002427)
配列番号22-ヒトアデニル酸キナーゼ5(アイソフォーム1)のタンパク質配列(出願日のUniProt ID O95622から取得)
配列番号23-ヒトアデニル酸キナーゼ5アイソフォーム2のタンパク質配列(出願日のUniProt ID O95622から取得)
配列番号24-ヒトアデニル酸キナーゼ5のmRNA(出願日のNM_174858から取得)
配列番号25-ヒトアデニル酸キナーゼ5のmRNA(出願日のNM_012093から取得)
配列番号26-V型プロトンATPアーゼサブユニットd2のタンパク質配列(出願日のUniProt Q8N8Y2から取得)
配列番号27-V型プロトンATPアーゼサブユニットd2のmRNA配列(出願日のNM_152565から取得)
配列番号28-DIRASファミリー、GTP結合RAS様2の完全なタンパク質配列(出願日のUniProt Q96HU8から取得)
配列番号29-DIRASファミリー、GTP結合RAS様2のmRNA配列(出願日のNM_017594から取得)
配列番号30-シンタキシン結合タンパク質5様アイソフォーム1のタンパク質配列(出願日のUniProt Q9Y2K9から取得)
配列番号31-シンタキシン結合タンパク質5様アイソフォーム2のタンパク質配列(出願日のUniProt Q9Y2K9から取得)
配列番号32-シンタキシン結合タンパク質5様転写物1のmRNA配列(出願日のNM_014980から取得)
配列番号33-シンタキシン結合タンパク質5様転写物2のmRNA配列(出願日のNM_001308330から取得)
配列番号34-シンタキシン結合タンパク質5様転写物3のmRNA配列(出願日のNM_001348343から取得)
配列番号35-シンタキシン結合タンパク質5様転写物4のmRNA配列(出願日のM_001348344から取得)
配列番号36-シンタキシン結合タンパク質5様転写物5のmRNA配列(出願日のNM_001348345から取得)
配列番号37-ヒトPC4及びSFRS1相互作用タンパク質アイソフォーム1の配列(出願日のUniProt ID O75475から取得)
配列番号38-ヒトPC4及びSFRS1相互作用タンパク質アイソフォーム2の配列(出願日のUniProt ID O75475から取得)
配列番号39-ヒトPC4及びSFRS1相互作用タンパク質アイソフォーム3の配列(出願日のUniProt ID O75475から取得)
配列番号40-ヒトPC4及びSFRS1相互作用タンパク質転写物1のmRNA配列(出願日のNM_021144から取得)
配列番号41-ヒトPC4及びSFRS1相互作用タンパク質転写物2のmRNA配列(出願日のNM_033222から取得)
配列番号42-ヒトPC4及びSFRS1相互作用タンパク質転写物3のmRNA配列(出願日のNM_001128217から取得)
配列番号43-ヒトPC4及びSFRS1相互作用タンパク質転写物4のmRNA配列(出願日のNM_001317898から取得)
配列番号44-ヒトPC4及びSFRS1相互作用タンパク質転写物5のmRNA配列(出願日のNM_001317900から取得)
配列番号45-ヒトニューロン性チロシンリン酸化ホスホイノシチド-3-キナーゼアダプター2アイソフォーム1のタンパク質配列(出願日のUniProt ID Q9P242)
配列番号46-ヒトニューロン性チロシンリン酸化ホスホイノシチド-3-キナーゼアダプター2アイソフォーム2のタンパク質配列(出願日のUniProt ID Q9P242)
配列番号47-ヒトニューロン性チロシンリン酸化ホスホイノシチド-3-キナーゼアダプター2アイソフォーム3のタンパク質配列(出願日のUniProt ID Q9P242)
配列番号48-ヒトニューロン性チロシンリン酸化ホスホイノシチド-3-キナーゼアダプター2のmRNA配列(出願日のNM_020864)
配列番号49-ヒトカテニンデルタ-2アイソフォーム1のタンパク質配列(出願日のUniProt ID Q9UQB3)
配列番号50-ヒトカテニンデルタ-2アイソフォーム2のタンパク質配列(出願日のUniProt ID Q9UQB3)
配列番号51-ヒトカテニンデルタ-2転写物1のmRNA配列(出願日のNM_001332)
配列番号52-ヒトカテニンデルタ-2転写物2のmRNA配列(出願日のNM_001288715)
配列番号53-ヒトカテニンデルタ-2転写物3のmRNA配列(出願日のNM_001288716)
配列番号54-ヒトカテニンデルタ-2転写物4のmRNA配列(出願日のNM_001288717)
配列番号55-ヒトFERM及びPDZドメイン含有タンパク質4のタンパク質配列(出願日のUniProt ID Q14CM0)
配列番号56-ヒトFERM及びPDZドメイン含有タンパク質4のmRNA配列(出願日のNM_014728)
配列番号57-ヒト拡大シナプトタグミン様タンパク質3アイソフォーム1(出願日のUniProt ID A0FGR9)
配列番号58-ヒト拡大シナプトタグミン様タンパク質3アイソフォーム2(出願日のUniProt ID A0FGR9)
配列番号59-ヒト拡大シナプトタグミン様タンパク質3転写物1(出願日のNM_031913)
配列番号60-ヒト拡大シナプトタグミン様タンパク質3転写物2(出願日のNM_001322831)
配列番号61-ヒト拡大シナプトタグミン様タンパク質3転写物3(出願日のNM_001322834)
配列番号62-MMP13に対するセンスプライマー(NM_002427)
配列番号63-MMP13に対するアンチセンスプライマー(NM_002427)
配列番号64-STMN2に対するセンスプライマー(NM_001199214)
配列番号65-STMN2に対するアンチセンスプライマー(NM_001199214)
配列番号66-THBS4に対するセンスプライマー(NM_003248)
配列番号67-THBS4に対するアンチセンスプライマー(NM_003248)
配列番号68-OMD陽性組織対照に対するセンスプライマー(NM_005014)
配列番号69-OMD陽性組織対照に対するアンチセンスプライマー(NM_005014)

Claims (43)

  1. 患者における変形性関節症痛を評価する方法であって、患者由来の試料におけるトロンボスポンジン4及び/又は表1に特定した1種以上の他のバイオマーカーの量を測定することを含む、方法。
  2. 患者における関節痛が変形性関節症の結果であることを診断する、請求項1に記載の方法。
  3. 患者が変形性関節症痛を発症するリスクを有することを特定する、請求項1に記載の方法。
  4. 疾患の進行をモニターする、請求項1に記載の方法。
  5. 抗変形性関節症療法の有効性をモニターする、請求項1に記載の方法。
  6. トロンボスポンジン4及び/又は表2の1種以上の他のバイオマーカーの量を測定することを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. トロンボスポンジン4、スタスミン2、ATP結合カセットサブファミリーB(MDR/TAP)メンバー5、マトリックスメタロプロテイナーゼ13、アデニル酸キナーゼ5、ATPアーゼH+輸送リソソーム38kDa、V0サブユニットD2(V型プロトンATPアーゼサブユニットd2)、DIRASファミリー、GTP結合RAS様2(遺伝子名DIRAS2)、シンタキシン結合タンパク質5様、PC4及びSFRS1相互作用タンパク質1、ニューロン性チロシンリン酸化ホスホイノシチド-3-キナーゼアダプター2、カテニンデルタ、FERM及びPDZ含有4、並びに拡大シナプトタグミン様タンパク質3からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの量を測定することを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. トロンボスポンジン4及び/又はスタスミン2の量を測定することを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 患者における関節痛が変形性関節症の結果であることを診断する方法であり、トロンボスポンジン4の増大した量及び/又はスタスミン2の増大した量が、疼痛が変形性関節症の結果であることを示す、請求項8に記載の方法。
  10. (a)患者由来の試料におけるトロンボスポンジン4及び/又はスタスミン2の量を測定すること、
    (b)試料におけるトロンボスポンジン4及び/又はスタスミン2の量を、トロンボスポンジン4及び/又はスタスミン2の対照量と比較すること、並びに
    (c)その結果をアウトプットすること
    を含み、
    対照と比べてトロンボスポンジン4及び/又はスタスミン2の増大した量が、疼痛が変形性関節症の結果であることを示す、請求項9に記載の方法。
  11. 対照量が、変形性関節症を有さないことがわかっている対象に由来する、請求項10に記載の方法。
  12. 患者が変形性関節症痛を発症するリスクを有することを特定する方法であり、トロンボスポンジン4の増大した量及び/又はスタスミン2の増大した量が、患者が変形性関節症痛を発症するリスクを有することを示す、請求項8に記載の方法。
  13. (a)患者由来の試料におけるトロンボスポンジン4及び/又はスタスミン2の量を測定すること、
    (b)試料におけるトロンボスポンジン4及び/又はスタスミン2の量を、トロンボスポンジン4及び/又はスタスミン2の対照量と比較すること、並びに
    (c)その結果をアウトプットすること
    を含み、
    対照と比べてトロンボスポンジン4及び/又はスタスミン2の増大した量が、患者が変形性関節症痛を発症するリスクを有することを示す、請求項12に記載の方法。
  14. 対照量が、変形性関節症を有さないことがわかっている対象に由来する、請求項13に記載の方法。
  15. mRNA量が測定される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. タンパク質の量が測定される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  17. タンパク質の量が、抗体を使用して測定される、請求項16に記載の方法。
  18. タンパク質の量が、ELISAアッセイを使用して測定される、請求項17に記載の方法。
  19. 患者由来の試料が、血液、血漿、血清又は尿試料である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 患者における変形性関節症痛の評価における、トロンボスポンジン4及び/又は表1に特定した1種以上の他のバイオマーカーの使用。
  21. 骨髄病変のサイズ及び/又は重症度の評価における、トロンボスポンジン4及び/又は表1に特定した1種以上の他のバイオマーカーの使用。
  22. 変形性関節症痛を評価するためのキットであって、トロンボスポンジン4及び/又は表1の1種以上の他のバイオマーカーの量を測定するための試薬並びにキットの使用についての指示書を含む、キット。
  23. トロンボスポンジン4及び/又はスタスミン2の量を測定するための試薬を含む、請求項22に記載のキット。
  24. 患者における変形性関節症痛を治療又は予防する方法であって、NOTCH1/トロンボスポンジン4シグナル伝達経路の阻害剤を投与することを含む、方法。
  25. NOTCH1/トロンボスポンジン4シグナル伝達経路の阻害剤が、γ-セクレターゼ阻害剤である、請求項24に記載の方法。
  26. γ-セクレターゼ阻害剤が、N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル)-L-アラニル]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステルである、請求項25に記載の方法。
  27. γ-セクレターゼ阻害剤がセマガセスタットである、請求項26に記載の方法。
  28. NOTCH1/トロンボスポンジン4シグナル伝達経路の阻害剤が、トロンボスポンジン4阻害剤である、請求項24に記載の方法。
  29. トロンボスポンジン4の阻害剤が、抗トロンボスポンジン4抗体、小分子又はオリゴヌクレオチドである、請求項28に記載の方法。
  30. 患者由来の試料におけるトロンボスポンジン4の量を測定すること、及びトロンボスポンジン4の増大した量が測定された場合には、トロンボスポンジン4阻害剤を投与することを含む、請求項28又は29に記載の方法。
  31. 前記阻害剤がガンマ-アミノ酪酸誘導体である、請求項24に記載の方法。
  32. 前記阻害剤がガバペンチノイドである、請求項31に記載の方法。
  33. ガバペンチノイドがプレガバリンである、請求項32に記載の方法。
  34. 患者における変形性関節症痛を治療又は予防する方法であって、微小管活性の阻害剤を患者に投与することを含む、方法。
  35. 微小管活性の阻害剤がタキサンである、請求項34に記載の方法。
  36. 微小管活性の阻害剤がビンカアルカロイドである、請求項34に記載の方法。
  37. 微小管活性の阻害剤がコルヒチンである、請求項34に記載の方法。
  38. 微小管活性の阻害剤がポドフィロトキシンである、請求項34に記載の方法。
  39. 微小管活性の阻害剤がスタスミン2阻害剤である、請求項35に記載の方法。
  40. スタスミン2阻害剤が、抗スタスミン2抗体、小分子又はオリゴヌクレオチドである、請求項39に記載の方法。
  41. 患者由来の試料におけるスタスミン2の量を測定すること、及びスタスミン2の増大した量が測定された場合には、スタスミン2阻害剤を投与することを含む、請求項39又は40に記載の方法。
  42. 変形性関節症痛を治療又は予防するための薬剤をスクリーニングする方法であって、
    (i)トロンボスポンジン4又はスタスミン2と相互作用する薬剤を同定すること、及び
    (ii)(i)において同定された薬剤が、トロンボスポンジン4又はスタスミン2を阻害するかどうかを評価すること
    を含む、方法。
  43. 患者における変形性関節症痛を治療又は予防する方法であって、
    (i)請求項42に記載の方法を実施し、トロンボスポンジン4及び/又はスタスミン2を阻害する薬剤を同定すること、並びに
    (ii)(i)において同定された薬剤を、それを必要とする患者に投与すること
    を含む、方法。
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