例示的実施態様の説明
本発明の多くの実施態様は、本明細書全体を通して詳述され、当業者に明らかであろう。本発明は、そのいずれかの特定の実施態様に限定されると解釈されるべきではない。
第1の実施態様では、式(I)の化合物:
(式中、
R1は、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニルまたはオキサニル環であり、その各々は、任意選択で、ヒドロキシル、メトキシおよびメチルから選択される1つ以上の基により置換されており;
R2は、水素またはメチルである)
または薬学的に許容し得るその塩が提供される。
用語「シクロヘキシル環」は、6個の炭素原子を含み、ヘテロ原子を含まない炭素環を指す。1−メトキシシクロへクス−4−イル基および4−メトキシシクロへクス−1−イル基は、以下に示すものと同じ構造を有する。
シス−1−メトキシ−シクロへクス−4−イル基は、シス−4−メトキシ−シクロへクス−1−イルと同等であり、以下の構造を有する:
同じ決まりが、他のシクロヘキシル基、例えば、1−ヒドロキシシクロへクス−4−イル基および4−ヒドロキシシクロへクス−1−イル基に適用される。
用語「テトラヒドロフラニル環」は、テトラヒドロフラン−3−イルを含み、その構造を以下に示す。
用語「オキサニル環」は、オキサン−3−イルおよびオキサン−4−イル基を含み、その構造を以下に示す。
上の構造において、破線は、関連基の結合位置を示す。
オキサニル環は、テトラヒドロピラニル環とも呼ばれる場合がある。同様に、オキサン−4−イル環は、テトラヒドロピラン−4−イル環と呼ばれ、オキサン−3−イル環は、テトラヒドロピラン−3−イル環と呼ばれる場合もある。
用語「任意選択で」が使用される場合、後に続く特徴は、起こる場合も、または起こらない場合もあるが意図される。したがって、用語「任意選択で」の使用は、その特徴が存在する事例、また、その特徴が存在しない事例を包含する。例えば、「任意選択で1メトキシ基により置換された」基は、メトキシ置換基を含むおよび含まない基を包含する。
用語「置換された」は、置換基を担持する全ての原子が、許容原子価を維持するという条件で、明示される基の1個以上の水素(例えば、1もしくは2個の水素、あるいは1個の水素)が、表示される置換基(例えば、1もしくは2個の置換基、あるいは1個の置換基)により置換されることを意味する。置換基の組み合わせは、安定した化合物および安定した合成中間体のみを包含する。「安定した」は、関連化合物または中間体が、単離されて、合成中間体または潜在的な治療有用性を有する薬剤のいずれかとして有用性を有する上で十分に頑健であることを意味する。ある基が、「置換された」、または「任意選択で置換された」と記載されていない場合、これは、非置換(例えば、指定された基の水素のいずれも置換されていない)とみなすべきである。
用語「薬学的に許容し得る」は、ある物体(例えば、塩、剤形、希釈剤または担体が、患者における使用に適していることを明記するために使用される。薬学的に許容し得る塩の例示的リストは、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth,editors,Weinheim/Zuerich:Wiley−VCH/VHCA,2002において参照することができる。式(I)の化合物の適切な薬学的に許容し得る塩は、例えば、酸付加塩である。式(I)の化合物の酸付加塩は、この化合物を、当業者に公知の条件下で、適切な無機または有機酸と接触させることによって形成することができる。酸付加塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸からなる群から選択される無機酸を使用して形成することができる。酸付加塩はまた、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、安息香酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびパラ−トルエンスルホン酸からなる群から選択される有機酸を使用して形成することができる。
したがって、一実施態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、この薬学的に許容し得る塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、安息香酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはパラ−トルエンスルホン酸塩である。一実施態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、この薬学的に許容し得る塩は、トリフルオロ酢酸、ギ酸またはメタンスルホン酸塩である。一実施態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、この薬学的に許容し得る塩は、トリフルオロ酢酸またはメタンスルホン酸塩である。一実施態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、この薬学的に許容し得る塩は、メタンスルホン酸塩である。一実施態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、この薬学的に許容し得る塩は、モノ−メタンスルホン酸塩、すなわち、式(I)の化合物−対−メタンスルホン酸の、化合物の化学量論は、1:1である。
さらなる実施態様は、実施例1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される1つ以上の具体例(例えば1、2、または3具体例)が、個々に放棄されるという条件で、本明細書に定義した実施態様のいずれか(例えば請求項1の実施態様)を提供する。
さらなる実施態様は、実施例1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10からなる群から選択される1つ以上の具体例(例えば1、2、または3つの具体例)が、個々に放棄されるという条件で、本明細書に定義した実施態様のいずれか(例えば請求項1の実施態様)を提供する。
式(I)中の可変の基の何らかの値は、次の通りである。こうした値は、さらなる実施態様を提供するための本明細書に定義した定義、特許請求の範囲(例えば請求項1)、または実施態様のいずれかと組み合わせて使用することができる。
a)R1は、ヒドロキシル、メトキシおよびメチルから選択される1つ以上の基により任意選択で置換されたシクロヘキシル環であるか、またはR1は、テトラヒドロフラニルもしくはオキサニル環である。
b)R1は、ヒドロキシル、メトキシおよびメチルから選択される1つ以上の基により任意選択で置換されたシクロヘキシル環である。
c)R1は、テトラヒドロフラニルもしくはオキサニル環である。
d)R1は、1個のヒドロキシルまたはメトキシ基により任意選択で置換されたシクロヘキシル環である。
e)R1は、1個のヒドロキシルおよびメチル基により任意選択で置換されたシクロヘキシル環である。
f)R1は、1−メトキシ−シクロへクス−4−イル、1−ヒドロキシ−シクロへクス−4−イル、1−ヒドロキシ−1−メチルへクス−4−イルまたは1−ヒドロキシ−4−メチル−シクロへクス−4イルである。
g)R1は、1−メトキシ−シクロへクス−4−イル、1−ヒドロキシ−シクロへクス−4−イル、または1−ヒドロキシ−1−メチル−シクロへクス−4イルである。
h)R1は、1−ヒドロキシ−1−メチル−シクロへクス−4−イルである。
i)R1は、シス−1−ヒドロキシ−1−メチル−シクロへクス−4−イルである。
j)R1は、シス−1−メトキシ−シクロブト−4−イルまたはシス−1−ヒドロキシ−シクロへクス−4−イルである。
k)R1は、シス−1−ヒドロキシ−シクロへクス−4−イルである。
l)R1は、オキセタニル環である。
m)R1は、オキセタン−3−イルである。
n)R1は、シクロヘキシル環である。
o)R1は、テトラヒドロフラニル環である。
p)R1は、テトラヒドロフラン−3−イルである。
q)R1は、オキサニル環である。
r)R1は、オキサン−3−イルである。
s)R1は、オキサン−4−イルである。
t)R2は、水素である。
u)R2は、メチルである。
一実施態様では、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここで、この化合物は、以下からなる群から選択される:
9−((1r,4r)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;
9−((1s,4s)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;
7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;
2−((2,7−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7−メチル−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;
9−((1s,4s)−4−メトキシシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;
9−((1r,4r)−4−メトキシシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;
(S)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;
(R)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;
9−((1r,4r)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;
9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;
(S)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロフラン−3−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;
9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−1−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;および
9−シクロヘキシル−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン。
一実施態様では、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここで、この化合物は、以下からなる群から選択される:
7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;
9−((1r,4r)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;および
9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン。
一実施態様では、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここで、この化合物は、以下からなる群から選択される:
7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン;および
9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン。
一実施態様では、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここで、この化合物は、7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンである。
一実施態様では、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここで、この化合物は、9−((1r,4r)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンである。
一実施態様では、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここで、この化合物は、9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンである。
本明細書に記載する化合物および塩は、溶媒和形態および非溶媒和形態で存在することができる。例えば、溶媒和形態は、水和形態、例えば、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、またはその代替数量の水和物であり得る。本発明は、すべてのこうした溶媒和および非溶媒和形態の式(I)の化合物を、特にこうした形態が、例えば本明細書に記載する試験を使用して測定された場合に、DNA−PK阻害活性を有する限りは包含する。
本明細書に記載する化合物および塩の原子は、その同位体として存在することができる。本発明は、ある原子が1つ以上のその同位体によって置き換えられたすべての式(I)の化合物(例えば、1個以上の炭素原子が11Cもしくは13C炭素同位体である、または、1個以上の水素原子が2Hもしくは3H同位体である、または、1個以上の窒素原子が15N同位体である、または、1個以上の酸素原子が17Oもしくは18O同位体である式(I)の化合物)を包含する。
本明細書に記載する化合物および塩は、1個以上の不斉炭素原子によって光学活性またはラセミ形態として存在することができる。本発明は、例えば、本明細書に記載の試験を用いて測定して、DNA−PK阻害活性を有する式(I)の化合物の任意の光学活性またはラセミ形態を含む。光学活性形態の合成は、当技術分野で公知の有機化学の標準技術、例えば、光学活性物質を用いた合成、またはラセミ形態の分割によって実施することができる。
したがって、一実施態様では、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩が提供され、これは、鏡像体過剰率(%ee)が≧95%、≧98%または≧99%の単一光学異性体である。一実施態様では、単一光学異性体は、鏡像体過剰率(%ee)≧99%で存在する。
いくつかの式(I)の化合物は、結晶性であってもよく、かつ、2つ以上の結晶形を呈してもよい。本開示が、DNA−PK阻害活性に有用な特性を有する、あらゆる結晶または非結晶形態、またはこうした形態の混合物を包含することは理解すべきである。本明細書に後述する標準試験により、結晶または非結晶形態の有効性を決定する方法は公知である。
結晶性材料を、例えば、X線粉末回折(以後、XRPD)分析および示差走査熱量測定(以後、DSC)などの、従来の技術を使用して分析することができることが、一般に知られている。
一例として、実施例3の化合物、7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、結晶性を呈し、結晶形、すなわちフォームAが明らかにされている。
したがって、別の態様では、フォームAの化合物A(実施例3、7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン)が提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、約2シータ=7.6°での少なくとも1つの固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Aが提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、約2シータ=18.7°での少なくとも1つの固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Aが提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、約2シータ=7.6°および18.7°での少なくとも2つの固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Aが提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、約2シータ=7.6、9.3、11.7、14.3、15.1、18.7、23.2、24.7、26.4、27.2°での固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Aが提供される。
本開示によれば、図1に示すXRPDパターンと実質的に同じXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Aが提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、2シータ=7.6°プラスマイナス0.2° 2シータでの少なくとも1つの固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Aが提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、2シータ=18.7°プラスマイナス0.2° 2シータでの少なくとも1つの固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Aが提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、2シータ=7.6°および18.7°での少なくとも2つの固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Aが提供され、ここで、前記値は、プラスマイナス0.2° 2シータであり得る。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、2シータ=7.6、9.3、11.7、14.3、15.1、18.7、23.2、24.7、26.4、27.2°での固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Aが提供され、ここで、前記値は、プラスマイナス0.2° 2シータであり得る。
化合物A、フォームAのDSC分析は、約261.8℃プラスマイナス0.5℃の開始および約262.7℃プラスマイナス0.5℃のピークを伴う融解吸熱を示す(図2)。
実施例10の化合物、すなわち9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、結晶性を呈し、結晶形、すなわちフォームAが明らかにされている。
したがって、別の態様では、フォームAの化合物B(実施例10、すなわち9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン)が提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、約2シータ=8.8°での少なくとも1つの固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Bが提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、約2シータ=12.7°での少なくとも1つの固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Bが提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、約2シータ=8.8°および12.7°での少なくとも2つの固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Bが提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、約2シータ=5.1、8.8、10.3、12.7、13.0、13.8、14.8、16.5、23,8、24.2での固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Bが提供される。
本開示によれば、図3に示すX線粉末回析パターンと実質的に同じXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Bが提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、2シータ=8.8°プラスマイナス0.2° 2シータでの少なくとも1つの固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Bが提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、2シータ=12.7°プラスマイナス0.2° 2シータでの少なくとも1つの固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Bが提供される。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、2シータ=8.8°および12.7°での少なくとも2つの固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Bが提供され、ここで、前記値は、プラスマイナス0.2° 2シータであり得る。
本開示によれば、CuKα放射線を用いて測定して、2シータ=5.1、8.8、10.3、12.7、13.0、13.8、14.8、16.5、23.8、24.2での固有のピークを伴うXRPDパターンを有する、結晶形、すなわちフォームAの化合物Bが提供され、ここで、前記値は、プラスマイナス0.2° 2シータであり得る。
化合物B、フォームAのDSC分析は、約235.6℃プラスマイナス0.5℃の開始および約236.9℃プラスマイナス0.5℃のピークを伴う融解吸熱を示す(図4)。
本開示が、化合物Aまたは化合物BのフォームAの結晶形に関すると記述される場合、結晶化度の程度は、好都合には約60%超、より好都合には約80%超であり、好ましくは約90%超、より好ましくは約95%超である。最も好ましくは、結晶化度の程度は、約98%超である。
XRPDパターンの2シータ値は、機械によって、または試料によって僅かに変動し得るため、引用した値は、絶対値として解釈すべきではないことは理解されよう。
測定条件(使用される装置または機械など)に応じた1つ以上の測定誤差を有するXRPDパターンが得られる可能性があることは知られている。特に、XRPDパターンの強度が、測定条件に応じて変動し得ることは一般に知られている。そのため、本開示の化合物A、フォームAおよび化合物B、フォームAが、図1および3に示すXRPDパターンと同一のXRPDパターンをもたらす結晶に限定されるわけではなく、また、図1および3に示すものと実質的に同じXRPDパターンをもたらすあらゆる結晶が本開示の範囲内にあることを理解すべきである。XRPDの分野の当業者は、XRPDパターンの実質的同一性を判断することが可能である。
XRPDの分野の当業者は、ピークの相対強度が、例えば、30μmを超える大きさの粒子および非ユニタリー(non−unitary)アスペクト比によって影響を受ける可能性があり、試料の分析に影響を与える場合があることを理解するであろう。当業者は、さらに、反射の位置が、回折計内で試料が置かれている厳密な高さ、ならびに回折計のゼロ較正によって影響を受ける可能性があることも理解するであろう。試料の表面平面性も、若干の影響を有する可能性がある。したがって、提供される回折パターンデータは、絶対値として利用されるべきではない(Jenkins,R & Snyder,R.L.‘Introduction to X−Ray Powder Diffractometry’ John Wiley & Sons 1996;Bunn,C.W.(1948),Chemical Crystallography,Clarendon Press,London;Klug,H.P.& Alexander,L.E.(1974),X−Ray Diffraction Procedures)。
一般に、X線粉末ディフラクトグラムにおける回折角度の測定誤差は、約プラスマイナス0.2° 2シータであることから、図1および3のXRPDパターンを検討する場合、または表AおよびBを参照する場合、こうした程度の測定誤差を考慮すべきである。さらに、強度は、実験条件および試料調製(好ましい配向)に応じて変動し得ることを理解すべきである。
式(I)の化合物は、例えば、式(II)の化合物:
(式中、R1は、本明細書の実施態様のいずれかにおいて定義した通りであるか、またはその保護形態であり、Xは、脱離基(例えば、塩素原子などのハロゲン原子)である)またはその塩と、式(III)の化合物:
またはその塩との反応によって調製することができる。この反応は、好都合には、適切な溶媒(例えば、1,4−ジオキサン)中で、塩基(例えば、炭酸セシウム)の存在下、任意選択で適切な触媒(例えば、Brettphos 3rd Gen)の存在下、適切な温度(例えば、約80〜100℃の範囲内の温度)で実施される。
したがって、式(II)または(III)の化合物は、式(I)の化合物の調製における中間体として有用であり、さらなる実施態様を提供する。一実施態様では、式(II)の化合物、またはその塩が提供され、式中:
R1は、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニルまたはオキサニル環であり、その各々は、任意選択で、ヒドロキシル、メトキシおよびメチルから選択される1つ以上の基により置換されており;
Xは、脱離基である。
一実施態様では、Xは、ハロゲン原子またはトリフラート基である。一実施態様では、Xは、塩素原子である。
式(II)または(III)の化合物またはその塩が言及される実施態様のいずれかでは、こうした塩が、薬学的に許容し得る塩である必要がないことを理解されたい。式(II)または(III)の化合物の適切な塩は、例えば、酸付加塩である。式(II)または(III)の化合物の酸付加塩は、この化合物を、当業者に公知の条件下で、適切な無機または有機酸と接触させることによって形成することができる。酸付加塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸からなる群から選択される無機酸を使用して形成することができる。酸付加塩はまた、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、安息香酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびパラ−トルエンスルホン酸からなる群から選択される有機酸を使用して形成することができる。
したがって、一実施態様では、式(II)または(III)の化合物またはその塩(ここでは、この塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、安息香酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはパラ−トルエンスルホン酸の塩である)が提供される。
式(II)の化合物は、例えば、式(IV)の化合物:
(式中、R1は、本明細書の実施態様のいずれかにおいて定義した通りであり、X1は、脱離基(例えば、ヨウ素、臭素、もしくは塩素原子、またはトリフラート基)である)と、メチル化剤との反応によって調製することができる。好適なメチル化剤としては、ヨウ化メチル、DMF−DMAが挙げられる。
式(IV)の化合物は、例えば、式(V)の化合物:
(式中、R1は、本明細書の実施態様のいずれかにおいて定義した通りであり、
RAは、水素であり;
X1は、脱離基(例えば、ヨウ素、臭素、塩素原子またはトリフラート基)である)と、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)との反応によって調製することができる。この反応は、当業者に周知の標準の条件下で、例えば、DPPA、トリエチルアミン、THF、還流下で実施することができる。
したがって、式(IV)および(V)の化合物は、式(I)の化合物の調製における中間体として有用であり、さらなる実施態様を提供する。
式(IV)および(V)の化合物は、実施例のセクションに示すものと同様の方法によって調製することができる。
式(III)の化合物は、例えば、式(VI)の化合物:
と、還元剤との反応によって調製することができる。好適な還元剤としては、10%Pd/Cと水素、10%Pd/Cとギ酸アンモニウム、塩化鉄/アンモニウムが挙げられる。
式(VI)の化合物は、例えば、式(VII)の化合物:
と、環化試薬との反応によって調製することができる。好適な環化試薬としては、無水トリフルオロ酢酸がある。
式(VII)の化合物は、例えば、式(VIII)の化合物:
と、水酸化ヒドロキシルアミンとの反応によって調製することができる。
式(VIII)の化合物は、例えば、式(IX)の化合物:
と、1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミンとの反応によって調製することができる。
本発明の化合物における様々な環置換基のいくつかは、標準の芳香族置換反応により導入してもよいし、または前述のプロセスの前もしくはその直後のいずれかに通常の官能基修飾により作製してもよく、そして、それ自体で本発明のプロセス態様に含まれることは理解されよう。例えば、式(I)の化合物は、標準の芳香族置換反応または通常の官能基修飾により、式(I)の別の化合物に変換することができる。こうした反応および修飾としては、例えば、芳香族置換反応、置換基の還元、置換基のアルキル化および置換基の酸化による置換基の導入が挙げられる。こうした手順の試薬および反応条件は、化学分野においてよく知られている。芳香族置換反応の具体的な例としては、濃縮硝酸を用いたニトロ基の導入、フリーデル・クラフツ(Friedel Crafts)条件下で、例えば、ハロゲン化アシルとルイス酸(例えば、三塩化アルミニウム)を用いたアシル基の導入;フリーデル・クラフツ(Friedel Crafts)条件下で、ハロゲン化アルキルとルイス酸(例えば、三塩化アルミニウム)を用いたアルキル基の導入;ならびにハロゲン基の導入が挙げられる。修飾の具体的な例として、例えば、ニッケル触媒を用いた接触水素化、または加熱しながら塩酸の存在下で鉄を用いた処理によるニトロ基からアミノ基への還元;アルキルチオからアルキルスルフィニルもしくはアルキルスルホニルへの酸化が挙げられる。
また、本明細書で述べる反応のいくつかにおいて、化合物中のいずれか感受性の基を保護することが必要/望ましい場合があることも理解されよう。保護が必要なまたは望ましい事例および好適な保護方法は、当業者には周知である。標準的技法にしたがって、通常の保護基を使用してもよい(例示として、T.W.Green,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,1991を参照されたい)。このように、反応物質が、アミノ、カルボキシまたはヒドロキシなどの基を含んでいれば、本明細書で述べる反応のいくつかにおいて、基を保護することが望ましい場合がある。
式(I)、(II)および(III)の化合物、ならびにこれらを製造するために用いられる中間体は、実施例のセクションに示すものと同様の方法によって調製することができる。
生物アッセイ
本明細書に記載する化合物の効果を測定するために、次のアッセイを使用した:a)DNAPK酵素効力アッセイ;b)DNAPK細胞効力アッセイ。これらのアッセイを説明する際、概して:
i.次の略語を使用する:DMSO=ジメチルスルホキシド;DTT=ジチオトレイトール;EDTA=エチレンジアミン四酢酸;TR−FRET=時間分解蛍光共鳴エネルギー移動;ATP=アデノシン三リン酸、DTT=ジチオトレイトール、DNA=デオキシリボ核酸、HEPES=(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸
ii.IC50値は、生物活性の50%を抑制する試験化合物の濃度であった。
アッセイ a)DNAPK酵素効力アッセイ(DNA−PK enz)
DNAPKに対する化合物の阻害活性は、リン酸化生成物に変換する蛍光標識ペプチド基質を測定するTR−FRETによって決定した。蛍光標識ペプチド基質は、Thermo Fisher Scientificから購入した。Echo 555(Labcyte Inc.,Sunnyvale,CA)を用いて、DMSO中に溶解させた10mMストックの化合物から、最大濃度100μMを有する12点half−log化合物濃度−応答曲線を作成した。アッセイは全て、総反応量3μLおよび1%(v/v)最終DMSO濃度を用い、ホワイトGreiner 1536ウェルローボリュームプレート(Greiner Bio−One,UK)内で実施した。酵素および基質を個別に化合物プレートに添加し、室温でインキュベートした。次に、3μLの停止バッファーの添加により、キナーゼ反応物を急冷した。停止したアッセイプレートを、BMG Pherastarを用いて読み取った。Genedata Screener(登録商標)ソフトウェア(Genedata,Inc.,Basel,Switzerland)を用いて、IC50値を計算した。
完全長ヒトDNAPKタンパク質をイオン交換によりHeLa細胞エキスから精製した。初めに、DNAPKタンパク質を反応バッファー(50mM Hepes pH7.5、0.01%Brij−35、10mM MgCl2、1mM EGTA、1mM DTT、2μg/mlのCalf Thymus DNA)中で、化合物と一緒に30分間室温でインキュベートした。次に、ATPおよび蛍光標識ペプチド基質(フルオレセイン−EPPLSQEAFADLWKK,Thermo Fisher Scientific)の添加により反応を開始した。40分後、3μLの停止バッファー(20mM Tris pH7.5、0.02%アジ化ナトリウム、0.01%Nonidet−P40、20μm EDTA、4nM Tb抗ホスホ−p53[Serl5]抗体の添加により、キナーゼ反応物(18μM ATP、35pM DNAPK、1.6μMペプチド基質)を急冷した。反応物をさらに1時間インキュベートした後、プレートをBMG Pherastarで読み取った。
データを解析し、Genedata Screener(登録商標)ソフトウェア(Genedata,Inc.,Basel,Switzerland)を用いて、IC50値を計算した。pIC50値は、測定された応答の50%低減に必要な化合物のモル濃度の負の対数として計算した。
b)DNAPK細胞効力アッセイ(DNA−PK細胞)
化合物またはDMSO(ジメチルスルホキシド)を、100%(v/v)DMSOまたは100%DMSO中に10mMで化合物を含有するソースプレートから、Echo 555 Acoustic dispenser(Labcyte Inc(商標))を用いて、細胞アッセイプレート中に直接分散させた。固定チップ96ヘッドAgilent VPrepリキッドハンドラー(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)を用いて、10mM化合物ストックを1:100希釈することにより、4つの中間体希釈物(10mM、100μM、1μM、10nM)を取得した。次に、化合物IC50値を計算するために、この1:100中間体希釈プレートをEchoで使用して、化合物およびDMSOを、12点用量範囲(30、10、3.125、1.25、0.3、0.1、0.03125、0.0125、0.003、0.001、0.0003125、0.00003μM)の細胞プレートに直接分散させ、その際、アッセイ中の総DMSO濃度は、0.3%(v/v)であった。
DNAPK細胞ELISAアッセイをA549細胞株で実施した。MEM−F12(Minimum Essential Medium F12 Sigma ♯D6421)、10%(v/v)ウシ胎仔血清および1%(v/v)200mM L−グルタミンから構成される細胞培地中でA549細胞を培養した。収集した後、細胞をブラック384ウェルCostarプレート(♯3712,Corning)中に分散させて、総量40ulの細胞培地中にウェル当たり15,000細胞を取得し、これらを回転インキュベータにおいて、37℃、90%相対湿度および5%CO2で、一晩インキュベートした。Greiner 781077オールブラックハイバインド384ウェルELISAプレートをPBS/A中0.5ug/mlのDNAPK抗体(Abcam #ab1832)で一晩4℃にてコーティングした。翌日、Greiner ELISAプレートをPBS−Tで3回洗浄し、3%BSA/PBSで約2時間遮断した後、PBS−Tでさらに3回洗浄した。
Labcyte Echo 555超音波分注装置を用いて、試験化合物および標準対照を細胞プレートに直接付与した。次に、細胞プレートを37℃で1時間インキュベートした後、8Gyの線量(XRAD320、テーブル高さ65)を投与した。細胞をさらに1時間インキュベートした後、細胞培地を除去した。溶解バッファー(プロテアーゼ阻害剤カクテルタブレット、Roche♯04 693 116 001およびホスファターゼ阻害剤タブレット、Roche♯04906837001を添加した実験室内調製物)を25μl/ウェルで分散させ、プレートを4℃で30分間インキュベートした。CyBio Felixリキッドハンドリングプラットフォームを用いて、細胞溶解物(20μl/ウェル)を、DNAPK抗体をコーティングしたELISAプレートに移し、ELISAプレートを4℃で一晩インキュベートした。
翌日、ELISAプレートをPBS−Tで3回洗浄してから、実験室内pS2056−DNAPK抗体(3%BSA/PBS中0.5μg/ml)と一緒に、20μg/ウェルで分散させた。プレートを抗体と一緒に室温(RT)で2時間インキュベートした後、PBS−Tで3回洗浄した。ヤギ抗ウサギHRP二次抗体(3%BSA/PBS中の1:2000希釈物;Cell Signaling♯7074)を20μl/ウェルで分散させ、プレートをRTで1時間インキュベートした後、PBS−Tで3回洗浄した。
QuantaBlu Working Substrate Solution(Thermo Scientific#15169、製造者の指示にしたがって調製)を20μl/ウェルで分散させ、プレートをRTで1時間インキュベートした後、さらに20μl/ウェルで、キット内に提供されるQuantaBlu Stop Solution(Thermo Scientific#15169)と一緒に分散させた。PerkinElmer EnVisionプレートリーダを用いて、個々のウェルの蛍光強度を決定した。データを解析し、Genedata Screener(登録商標)ソフトウェア(Genedata,Inc.,Basel,Switzerland)を用いて、IC50値を計算した。pIC50値は、測定された応答の50%低減に必要な化合物のモル濃度の負の対数として計算した。
c)TTK酵素アッセイ
ThermoFisher Scientificにより、そのSelectScreen(登録商標) Biochemical Kinase Profiling Serviceの一環として実施されるLanthaScreen(登録商標) Eu Kinase Bindingアッセイにおいて、TTKに対する化合物の阻害活性を決定した。LanthaScreen(登録商標) Eu Kinase Bindingアッセイフォーマットは、Alexa Fluor(登録商標)コンジュゲートまたは「トレーサ」とキナーゼとの結合を使用し、これは、Eu標識抗タグ抗体の添加によって検出される。トレーサおよび抗体とキナーゼの結合によって、高度のFRETが生じるが、キナーゼ阻害剤によるトレーサの置換によって、FRETの喪失が起こる。このアッセイで測定されるFRETの程度を用いて、化合物の結合を決定する。
DMSO中に溶解させた10mMストックの化合物から、最大濃度が10μMの10点3倍希釈化合物濃度−応答曲線を作成した。アッセイは全て、総反応量16μLおよび1%(v/v)最終DMSO濃度を用い、ホワイトローボリュームGreiner 384−ウェルプレート(cat.#784207,Greiner)内で実施した。3.84μLのキナーゼバッファー(50mM HEPES pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mM MgCl2、1mM EGTA)、8μLの2×キナーゼ/抗体混合物(キナーゼバッファー中で調製した、最終濃度5nM TTK、2nM Eu−抗GST)および4μLの4×AlexaFluor(登録商標)標識トレーサ溶液(キナーゼバッファー中で調製した、最終濃度30nMトレーサ236)を個別に化合物プレートに添加し、プレートシェーカ上に30秒間配置した後、室温で60分間インキュベートした。続いて、蛍光プレートリーダを用いて、プレートを読み取った。モデル番号205(S字状用量−応答モデル)に当てはめた曲線と共に、XLfitソフトウェア(IDBS Ltd,Surrey,UK)を用いて、IC50値を計算した。
d)オーロラ(Aurora)A、オーロラB、JAK1、JAK2、JAK3酵素アッセイ
ThermoFisher Scientificにより、そのSelectScreen(登録商標) Biochemical Kinase Profiling Serviceの一環として実施されるZ’−LYTE(登録商標)アッセイにおいて、AURKA、AURKB、JAK1、JAK2およびJAK3に対する化合物の阻害活性を決定した。Z’−LYTE(登録商標)生化学アッセイフォーマットは、蛍光ベースの結合酵素フォーマットを使用し、これは、タンパク質分解切断に対するリン酸化および非リン酸化ペプチドの示差的感受性に基づく。ペプチド基質を2つの蛍光団(各末端に1つずつ)で標識すると、これは、FRETペアを構成する。一次反応では、キナーゼが、ATPのγリン酸塩を合成FRET−ペプチド中の単一チロシン、セリンまたはトレオニン残基に移す。二次反応では、部位特異的プロテアーゼが、非リン酸化FRET−ペプチドを認識して、切断する。FRET−ペプチドのリン酸化は、Development Reagentにより切断を抑制する。切断は、FRET−ペプチド上のドナー(すなわち、クマリン)およびアクセプター(すなわち、フルオレセイン)蛍光団の間でFRETを崩壊させるが、切断されていないリン酸化FRET−ペプチドは、FRETを維持する。400nmでのドナー蛍光団の励起後のドナー放出とアクセプター放出の比(放出比)を計算するレシオメトリック法を用いて、反応進行を定量する。切断および非切断FRET−ペプチドのいずれも、蛍光シグナル、したがって放出比に寄与する。FRET−ペプチドのリン酸化の程度は、放出比から計算することができる。放出比は、FRET−ペプチドがリン酸化されていれば低いままであり(すなわち、キナーゼ阻害なし)、FRET−ペプチドが、リン酸化されていなければ高い(すなわち、キナーゼ阻害)。
DMSO中に溶解させた10mMストックの化合物から、最大濃度10μMの10点3倍希釈化合物濃度−応答曲線を作成した。アッセイは全て、総反応量10μLおよび1%(v/v)最終DMSO濃度を用い、ブラック、非結合、ローボリュームCorning 384−ウェルプレート(cat.#4514,Corning)内で実施した。2.4μLのキナーゼバッファー(50mM HEPES pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mM MgCl2、1mM EGTA)、5μLの2×ペプチド/キナーゼ混合物(各キナーゼについて以下に詳述する)および2.5μLの4×ATP溶液(キナーゼバッファー中で調製)を個別に化合物プレートに添加し、プレートシェーカ上に30秒間配置した後、室温で60分間インキュベートした。続いて、5μLのDevelopment Reagent(ThermoFisher Scientific所有)の添加によってキナーゼ反応物を急冷した。アッセイプレートをプレートシェーカ上に30秒間配置し、室温で60分間インキュベートした後、蛍光プレートリーダを用いて読み取った。モデル番号205(S字状用量−応答モデル)に当てはめた曲線と共に、XLfitソフトウェア(IDBS Ltd,Surrey,UK)を用いて、IC50値を計算した。
オーロラA(AurA):2X AURKA(オーロラA)/Ser/Thr01(ThermoFisher Scientific所有)混合物を50mM HEPES pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mM MgCl2、1mM EGTA中で調製した。最終10μLのキナーゼ反応物は、50mM HEPES pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mM MgCl2、1mM EGTA中の15nM AURKA(オーロラA)、2μM Ser/Thr01および10μM ATP(Km app)から構成された。1時間のキナーゼ反応物インキュベーション後、Development Reagentの1:4096希釈物を5μL添加した。
オーロラB(AurB):2X AURKB(オーロラB)/Ser/Thr01(ThermoFisher Scientific所有)混合物を50mM HEPES pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mM MgCl2、1mM EGTA中で調製した。最終10μLのキナーゼ反応物は、50mM HEPES pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mM MgCl2、1mM EGTA中の23nM AURKB(オーロラB)、2μM Ser/Thr01および75μM ATP(81μM ATPとして測定されるKm app)から構成された。1時間のキナーゼ反応物インキュベーション後、Development Reagentの1:4096希釈物を5μL添加した。
JAK1:2X JAK1/Tyr06(ThermoFisher Scientific所有)混合物を50mM HEPES pH6.5、0.01%BRIJ−35、10mM MgCl2、1mM EGTA、0.02%NaN3中で調製した。最終10μLのキナーゼ反応物は、50mM HEPES pH7.0、0.01%BRIJ−35、10mM MgCl2、1mM EGTA、0.01%NaN3中の74nM JAK1、2μM Tyr06および75μM ATP(87μM ATPとして測定されるKm app)から構成された。1時間のキナーゼ反応物インキュベーション後、Development Reagentの1:128希釈物を5μL添加した。
JAK2:2X JAK2/Tyr06(ThermoFisher Scientific所有)混合物を50mM HEPES pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mM MgCl2、1mM EGTA中で調製した。最終10μLのキナーゼ反応物は、50mM HEPES pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mM MgCl2、1mM EGTA中の0.27nM JAK2、2μM Tyr06および25μM ATP(31μM ATPとして測定されるKm app)から構成された。1時間のキナーゼ反応物インキュベーション後、Development Reagentの1:128希釈物を5μL添加した。
JAK3:2X JAK3/Tyr06(ThermoFisher Scientific所有)混合物を50mM HEPES pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mM MgCl2、1mM EGTA中で調製した。最終10μLのキナーゼ反応物は、50mM HEPES pH7.5、0.01%BRIJ−35、10mM MgCl2、1mM EGTA中の2.4nM JAK3、2μM Tyr06および10μM ATP(14μM ATPとして測定されるKm app)から構成された。1時間のキナーゼ反応物インキュベーション後、Development Reagentの1:128希釈物を5μL添加した。
e)マウス異種移植モデル−オラパリブ(Olaparib)併用
雌scidマウスに、ATMヌル咽頭癌細胞株FaDu ATM KOの5百万個の細胞をs.c.移植して、DNA−PK阻害剤およびオラパリブとのその併用のインビボ抗腫瘍活性を決定した。
腫瘍が290mm3の体積に達したとき、動物をまずランダムに15匹のグループに分けて、処置を開始した。この腫瘍モデルは、50%の腫瘍喪失率を有し、ここで、グループ当たり最大8匹の動物が、その腫瘍の突発性潰瘍のために、試験分析から失われることが予測された。動物に、式(I)の化合物を1日2回経口投与し、2回の経口投与の間に8時間の間隔をあけた。オラパリブは、式(I)の化合物の最初の1日用量の投与から1時間後に毎日投与した。カリパスを用いて、腫瘍を週3回測定し、式[長さ×幅2]/2を用いて計算した腫瘍の体積を使用したが、その際、長さと幅は、それぞれ、腫瘍の最も長い直径および最も短い直径である。オラパリブは、10%(w/v)DMSO/10%(w/v)HP−b−CD(Kleptose)、注射液用の80%水を用いて製剤化した。式(I)の化合物は、0.5%(w/v)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、0.1%(v/v)Tween 80中に製剤化した。
アッセイe)における実施例3の試験結果を図5に示す。「qd」は、1日1回用量を意味する。「bid」は、1日2回用量を意味する。
f)細胞増殖アッセイ(ATRまたはATM阻害剤との併用のインビトロ活性)
細胞増殖アッセイを用いて、式(I)の化合物ならびにATR(AZD6738)およびATM阻害剤(AZD0156)との併用のインビトロ活性を決定した。
10%ウシ胎仔血清および1%GlutaMAX(Thermo Fisher)を補充したフェノールレッド不含RPMI培地(Sigma)中でルーチン的にFaDu咽頭癌細胞株を培養した。5%CO2を含む加湿雰囲気において培養物を37℃で維持した。TryLE Express溶液(Thermo Fisher)を用いて、細胞を脱離させ、2つの384ウェル平底プレート(Greiner,カタログ番号781090)内の70μlの培地中にウェル当たり500細胞で平板培養した。この試験プレート内で、翌日(第0日)、Echo 555リキッドハンドラー(Labcyte)を用いて、実施例3(3μM)、AZD6738(1μM)、AZD0156(0.3μM)、阻害剤化合物の組み合わせまたは対照実験として適切な量のビヒクルのいずれかで、細胞を処理した。全ての阻害剤は、100%DMSOビヒクル中で再構成した。
SYTOX Green Nucleic Acid Stain(Thermo Fisher,カタログ番号S7020)を用いて、細胞数を決定した。5μlのSYTOX Green溶液(Tris緩衝食塩水および5mM EDTA中1:2500)と一緒に細胞を室温の暗所にて1.5時間インキュベートし、Acumenハイコンテントイメージャ(TTP LabTech)を用いて、死滅細胞数を定量した。10μlのサポニン溶液(Tris緩衝食塩水および5mM EDTA中0.25%)と一緒に暗所において室温で16時間のインキュベーション後、Acumenで総細胞数を定量した。
GeneData Screener(Assay Analyzer)ソフトウェアを用いてデータを解析した。手短には、総細胞数から死滅細胞数を差し引くことにより、生存細胞数を算出した。第0日の細胞数に対して生存細胞数を正規化した。阻害剤処理に応答する細胞増殖(%活性)は、データを対照実験に対して0〜200%スケールに当てはめることにより決定し、ここで、0%は、対照と比較して変化がないことを表し、100%は、全細胞増殖阻害を表し、200%は、全細胞死を表す。データを3つの独立した実験の平均%活性±SDとしてプロットした。
アッセイf)における実施例3の試験結果を図6および7に示す。
実施例をアッセイa)b)c)およびd)で試験したところ、以下のデータが観察された。以下に記録するpIC50値は、少なくとも2つの実験の計算平均結果である。
測定データから、実施例が、これらの特定の標的(TTK、JAK1、JAK2、JAK3、オーロラA、オーロラB)に対して選択的なDNA−PK阻害剤であることがわかる。酵素pIC50値と比較すると、実施例は、示される他の標的に対してDNA−PKからの>3log単位の選択性を有することを示している。これは、IC50値の間の>1000倍の選択性に相当する。
別の生物学的または物理的特性に基づいて化合物をさらに選択してもよく、これらは、当技術分野で公知の技術によって測定することができ、治療または予防適用のための化合物の評価または選択に、これらを用いることができる。
それらのDNA−PK阻害活性の結果、式(I)の化合物、および薬学的に許容し得るその塩は、治療に有用であることが予想される。
本発明者らは、式(I)の化合物が、強力な抗腫瘍活性を有することを見出し、それは、DNA−PKの阻害によって達成されると考えられる。
したがって、本発明の化合物は、抗腫瘍剤として有用である。特に、本発明の化合物は、固形および/または液体腫瘍疾患の抑制および/または治療において抗増殖性、アポトーシス性、および/または抗浸潤性薬剤として有用である。とりわけ、本発明の化合物は、DNA−PKの阻害に対して感受性の腫瘍の予防または治療において有用であると予想される。さらに、本発明の化合物は、DNA−PKにより単独で、または部分的に媒介される腫瘍の予防または治療において有用であると予想される。このように、化合物を用いて、そうした治療を必要とする温血動物にDNA−PK酵素阻害作用を生み出すことができる。
本明細書で述べるように、DNA−PKの阻害剤は、癌などの増殖性疾患、特に癌腫および肉腫などの固形腫瘍、ならびに白血病およびリンパ性悪性疾患の治療、ならびにとりわけ、例えば、乳癌、結腸直腸癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌および気管支肺胞癌を含む)および前立腺癌、ならびに胆管癌、骨癌、膀胱癌、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、胃腸組織癌、食道癌、卵巣癌、膵臓癌、皮膚癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、子宮頸癌および外陰部癌、ならびに白血病[慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)および慢性骨髄性白血病(CML)を含む]、多発性骨髄腫およびリンパ腫の治療のために治療効果を有するはずである。
したがって、患者の癌の治療に有用な抗癌効果としては、限定されないが、抗腫瘍効果、応答速度、疾患進行までの時間、および生存率が挙げられる。本発明の治療方法の抗腫瘍効果としては、限定されないが、腫瘍増殖の阻害、腫瘍増殖の遅延、腫瘍の退縮、腫瘍の縮小、治療停止時の腫瘍の再増殖までの時間の延長、緩徐な疾患進行が挙げられる。抗癌効果は、予防治療ならびに既存の疾患の治療も含む。
DNA−PK阻害剤、または薬学的に許容し得るその塩は、限定されないが、白血病、多発性骨髄腫などの血液悪性疾患、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(マントル細胞リンパ腫を含む)などのリンパ腫、ならびに骨髄異形成症候群、さらには乳癌、肺癌(非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、扁平上皮癌)、子宮内膜癌などの固形腫瘍およびそれらの転移、神経膠腫、胚芽異形成神経上皮腫瘍、多形膠芽腫、混合膠腫、髄芽腫、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、胚細胞腫および奇形腫などの中枢神経系の腫瘍、胃癌、食道癌、肝細胞(肝)癌、胆管癌、結腸直腸癌、小腸の癌、膵臓癌などの消化管の癌、黒色腫(とりわけ、転移性黒色腫)などの皮膚癌、甲状腺癌、頭頸部の癌、ならびに唾液腺、前立腺、精巣、卵巣、子宮頸部、子宮、外陰部、膀胱、腎臓(腎細胞癌、淡明細胞型腎オンコサイトーマを含む)の癌、扁平上皮癌、骨肉腫、軟骨肉腫、平滑筋肉腫、軟組織肉腫、ユーイング肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、カポジ肉腫などの肉腫、ならびに横紋筋肉腫および神経芽腫などの小児癌を有する患者の治療にも有用となり得る。「癌」が記述される場合、これは、非転移性癌と転移性癌の両方を含み、そのため、癌の治療は、原発性癌と腫瘍転移の両方の治療を含む。
「DNA−PK阻害活性」は、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩の存在に対する直接的または間接的応答としての、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩の非存在下でのDNA−PKの活性に対するDNA−PKの活性の低下を指す。こうした活性の低下は、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、DNA−PKとの直接的相互作用が原因、または、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、ひいてはDNA−PK活性に影響を与える1つ以上の他の因子との相互作用が原因であり得る。例えば、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩は、DNA−PKに直接的に結合することによって、または別の因子にDNA−PK活性を(直接的または間接的に)低下させることによって、または細胞または生物内に存在するDNA−PKの量を(直接的または間接的に)低下させることによって、DNA−PKを低下させることができる。
用語「治療法」は、その症状の1つ、いくつか、またはすべてを完全にまたは部分的に緩和するために、または根底にある病的状態を治すもしくは相殺するために疾患に対処するという、その通常の意味を有するものとする。用語「治療法」には、それに反する特定の指示が存在しない限り、「予防法」も含まれる。用語「治療的」および「治療的に」は、それに対応する方式で解釈されるべきである。
用語「予防法」は、その通常の意味を有するものとし、疾患の発症を予防するための一次予防法、および、疾患が既に発症しており、患者が疾患の増悪もしくは悪化または疾患の新しい症状の発症から一時的または永続的に保護される二次予防法が含まれる。
用語「治療」は、「治療法」と同義的に使用される。同様に、用語「治療する」は、「治療法を適用すること」(ここでは、「治療法」は、本明細書に定義した通りである)とみなすことができる。
一実施態様では、治療法における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供される。
一実施態様では、医薬品の製造のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩の使用が提供される。
一実施態様では、DNA−PKによって介在される疾患の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供される。一実施態様では、DNA−PKによって介在される前記疾患は、癌である。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌、膠芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、頭頸部扁平上皮癌、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、肝細胞癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌からなる群から選択される。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌、膠芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、頭頸部扁平上皮癌、および肺癌からなる群から選択される。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌である。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供される。
一実施態様では、DNA−PKによって介在される疾患の治療のための医薬品の製造のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩の使用が提供される。一実施態様では、DNA−PKによって介在される前記疾患は、癌である。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌、膠芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、頭頸部扁平上皮癌、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、肝細胞癌、小細胞肺癌、および非小細胞肺癌からなる群から選択される。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌、膠芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、頭頸部扁平上皮癌、および肺癌からなる群から選択される。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌である。
一実施態様では、癌の治療のための医薬品の製造のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩の使用が提供される。
一実施態様では、こうした治療を必要とする温血動物において、DNA−PKの阻害が有益である疾患を治療するための方法であって、治療有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩を、前記温血動物に投与することを含む方法が提供される。一実施態様では、前記疾患は、癌である。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌、膠芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、頭頸部扁平上皮癌、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、肝細胞癌、小細胞肺癌、および非小細胞肺癌からなる群から選択される。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌、膠芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、頭頸部扁平上皮癌、および肺癌からなる群から選択される。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌である。
用語「治療有効量」は、対象において「治療法」を提供する、または対象における疾患または障害を「治療する」のに有効である、本明細書の実施態様のいずれかに記載した通りの式(I)の化合物の量を指す。癌の場合では、治療有効量は、上の「治療法」、「治療」、および「予防法」の定義において記載した通りの、対象における観察可能または測定可能な変化のいずれかを引き起こすことができる。例えば、有効量は、癌もしくは腫瘍細胞の数を減少させる;癌全体の大きさを低下させる;例えば軟部組織および骨を含む末梢器官への腫瘍細胞浸潤を抑制または停止させる;腫瘍転移を抑制または停止させる;腫瘍成長を抑制または停止させる;癌に伴われる1つ以上の症状をある程度緩和する;罹患率および死亡率を低下させる;生活の質を向上させることができる;またはこうした効果の組み合わせである。有効量は、DNA−PK活性の阻害に応答して、疾患の症状を軽減するのに十分な量であり得る。癌治療法については、インビボの有効性は、例えば、生存期間、無増悪期間(time to disease progression)(TTP)、奏効率(RR)、奏効期間、および/または生活の質を評価することによって測定することができる。当業者によって認識される通り、有効量は、投与経路、賦形剤使用量、および他の薬剤との同時使用量に応じて変動し得る。例えば、組み合わせ治療法が使用される場合、本明細書に記載する式(I)の化合物または薬学的に許容し得る塩の量と、医薬として活性な他の薬剤の量は、合わせられた場合に、動物の患者における標的とされる障害を治療するのに協働的に有効である。この状況では、合わせられた量は、これらが、合わせられた場合に、上に記載した通りにDNA−PK活性の阻害に応答して疾患の症状を軽減するのに十分であるならば、「治療有効量」である。一般的に、こうした量は、例えば、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩について本明細書に記載する投薬量範囲、および医薬として活性な他の化合物の認可されたまたは他に公表された投薬量範囲から開始することによって、当業者によって決定することができる。
「温血動物」には、例えば、ヒトが含まれる。
一実施態様では、こうした治療を必要とする温血動物における癌を治療するための方法であって、治療有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩を、前記温血動物に投与することを含む方法が提供される。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌、膠芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、頭頸部扁平上皮癌、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、肝細胞癌、小細胞肺癌、および非小細胞肺癌からなる群から選択される。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌、膠芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、頭頸部扁平上皮癌、および肺癌からなる群から選択される。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌である。
一般的な意味で癌が言及される、あらゆる実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌、膠芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、頭頸部扁平上皮癌、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、肝細胞癌、小細胞肺癌、および 非小細胞肺癌からなる群から選択され得る。前記癌はまた、結腸直腸癌、膠芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、頭頸部扁平上皮癌、および肺癌からなる群から選択され得る。
一般的な意味で癌が言及される、あらゆる実施態様では、次の実施態様を適用することができる:
一実施態様では、癌は、結腸直腸癌である。
一実施態様では、癌は、膠芽腫である。
一実施態様では、癌は、胃癌である。
一実施態様では、癌は、食道癌である。
一実施態様では、癌は、卵巣癌である。
一実施態様では、癌は、子宮内膜癌である。
一実施態様では、癌は、子宮頸癌である。
一実施態様では、癌は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫である。
一実施態様では、癌は、慢性リンパ性白血病である。
一実施態様では、癌は、急性骨髄性白血病である。
一実施態様では、癌は、頭頸部扁平上皮癌である。
一実施態様では、癌は、乳癌である。
一実施態様では、癌は、トリプルネガティブ乳癌である。
一実施態様では、癌は、前立腺癌である。
一実施態様では、癌は、膀胱癌である。
「トリプルネガティブ乳癌」は、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、およびHer2/neuに対する遺伝子を発現しない、いずれかの乳癌である。
一実施態様では、癌は、肝細胞癌である。
一実施態様では、癌は、肺癌である。
一実施態様では、肺癌は、小細胞肺癌である。
一実施態様では、肺癌は、非小細胞肺癌である。
一実施態様では、癌は、転移性癌である。
一実施態様では、転移性癌は、中枢神経系の転移を含む。
一実施態様では、中枢神経系の転移は、脳転移を含む。
一実施態様では、中枢神経系の転移は、軟膜髄膜転移を含む。
「軟膜髄膜転移」は、癌が髄膜、すなわち脳および脊髄を覆う組織の層に広がる場合に起こる。転移は、血液を通じて髄膜に広がる可能性もあるし、髄膜を流れる脳脊髄液(CSF)によって運ばれる脳転移から移動する可能性もある。
一実施態様では、癌は、非転移性癌である。
本明細書に記載する抗癌治療は、単独の治療法として有用であり得るし、式(I)の化合物の投与に加えて、従来の手術、放射線療法、もしくは化学療法;またはこうした追加の治療法の組み合わせを含むこともできる。こうした従来の手術、放射線療法、または化学療法は、式(I)の化合物での治療と同時に、連続して、または別に施すことができる。
放射線療法には、1つ以上の次のカテゴリーの治療法が含まれ得る:
i.電磁放射線を使用する外部放射線療法、および電磁放射線を使用する術中放射線療法;
ii.内部放射線療法または密封小線源療法;(組織内放射線療法または腔内放射線療法が含まれる);または
iii.全身放射線療法(限定はされないが、ヨウ素131およびストロンチウム89が含まれる)。
したがって、一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、放射線療法が提供される。一実施態様では、癌は、NSCLC、SCLC、膀胱癌、前立腺癌、食道癌、頭頸部癌、または乳癌である。一実施態様では、癌は、膠芽腫である。一実施態様では、癌は、転移性癌である。一実施態様では、転移性癌は、中枢神経系の転移を含む。一実施態様では、中枢神経系の転移は、脳転移を含む。一実施態様では、中枢神経系の転移は、軟膜髄膜転移を含む。
一実施態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が放射線療法と組み合わせて投与される、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供される。一実施態様では、癌は、NSCLC、SCLC、膀胱癌、前立腺癌、食道癌、頭頸部癌、または乳癌である。一実施態様では、癌は、膠芽腫である。一実施態様では、癌は、転移性癌である。一実施態様では、転移性癌は、中枢神経系の転移を含む。一実施態様では、中枢神経系の転移は、脳転移を含む。一実施態様では、中枢神経系の転移は、軟膜髄膜転移を含む。
一実施態様では、癌の同時、個別(separate)、または連続治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、放射線療法が提供される。一実施態様では、癌は、膠芽腫、肺癌(例えば小細胞肺癌または非小細胞肺癌)、乳癌(例えばトリプルネガティブ乳癌)、前立腺癌、膀胱癌、頭頸部扁平上皮癌、食道癌、子宮頸癌、および子宮内膜癌から選択される。一実施態様では、癌は、膠芽腫である。一実施態様では、癌は、転移性癌である。一実施態様では、転移性癌は、中枢神経系の転移を含む。一実施態様では、中枢神経系の転移は、脳転移を含む。一実施態様では、中枢神経系の転移は、軟膜髄膜転移を含む。
一実施態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が、放射線療法と同時に、別に、または連続して投与される、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供される。一実施態様では、癌は、膠芽腫、肺癌(例えば小細胞肺癌または非小細胞肺癌)、乳癌(例えばトリプルネガティブ乳癌)、前立腺癌、膀胱癌、頭頸部扁平上皮癌、食道癌、子宮頸癌、および子宮内膜癌から選択される。一実施態様では、癌は、膠芽腫である。一実施態様では、癌は、転移性癌である。一実施態様では、転移性癌は、中枢神経系の転移を含む。一実施態様では、中枢神経系の転移は、脳転移を含む。一実施態様では、中枢神経系の転移は、軟膜髄膜転移を含む。
一実施態様では、こうした治療を必要とする温血動物における癌を治療する方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、放射線療法とを、前記温血動物に施すこと(ここでは、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、放射線療法は、抗癌効果をもたらすのに協働的に有効である)を含む方法が提供される。一実施態様では、癌は、膠芽腫、肺癌(例えば小細胞肺癌または非小細胞肺癌)、乳癌(例えばトリプルネガティブ乳癌)、前立腺癌、膀胱癌、頭頸部扁平上皮癌、食道癌、子宮頸癌、および子宮内膜癌から選択される。一実施態様では、癌は、膠芽腫である。一実施態様では、癌は、転移性癌である。一実施態様では、転移性癌は、中枢神経系の転移を含む。一実施態様では、中枢神経系の転移は、脳転移を含む。一実施態様では、中枢神経系の転移は、軟膜髄膜転移を含む。
一実施態様では、こうした治療を必要とする温血動物における癌を治療する方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩を、前記温血動物に投与することと、放射線療法を同時に、別に、または連続して投与することと(ここでは、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、放射線療法は、抗癌効果をもたらすのに協働的に有効である)を含む方法が提供される。一実施態様では、癌は、膠芽腫である。一実施態様では、癌は、転移性癌である。一実施態様では、転移性癌は、中枢神経系の転移を含む。一実施態様では、中枢神経系の転移は、脳転移を含む。一実施態様では、中枢神経系の転移は、軟膜髄膜転移を含む。
あらゆる実施態様では、放射線療法は、上の項目(i)〜(iii)で列挙した、1つ以上のカテゴリーの放射線療法からなる群から選択される。
化学療法は、次のカテゴリーの抗腫瘍物質のうちの1つ以上を含むことができる:
i.抗悪性腫瘍薬およびその組み合わせ、例えばDNAアルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード(イホスファミド、ベンダムスチン、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンのような)、テモゾラミド(temozolamide)、およびニトロソウレア(カルムスチンのような));代謝拮抗剤(例えば、ゲムシタビンおよび葉酸代謝拮抗剤、例えばフルオロピリミジン(5−フルオロウラシルおよびテガフールのような)、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、およびヒドロキシ尿素);抗腫瘍抗生物質(例えば、アントラサイクリン(アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ピラルビシン、ダウノマイシン、バルルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、アムルビシン、およびミスラマイシンのような));有糸分裂阻害剤(例えば、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビンのような)、ならびにタキソイド(タキソールおよびタキソテールのような)、ならびにポロキナーゼ(polokinase)阻害剤);ならびにトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エピポドフィロトキシン(エトポシドおよびテニポシドのような)、アムサクリン、イリノテカン、トポテカン、およびカンプトテシン);DNA修復機構の阻害剤、例えばCHKキナーゼ;ATM阻害剤(AZD0156およびAZD1390など);ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの阻害剤(オラパリブを含むPARP阻害剤);ならびにHsp90阻害剤、例えばタネスピマイシンおよびレタスピマイシン、ATRキナーゼの阻害剤(AZD6738など);ならびにWEE1キナーゼの阻害剤(AZD1775/MK−1775など);
ia.抗腫瘍薬およびそれらの組み合わせ、例えば、DNAアルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、イホスファミドなどのナイトロジェンマスタード、ベンダムスチン、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、テモゾラミドおよびカルムスチンなどのニトロソウレア);代謝拮抗剤(例えば、ゲムシタビン、ならびに抗葉酸剤、例えば、5−フルオロウラシルおよびテガフールなどのフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、およびヒドロキシウレア);抗腫瘍性抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ピラルビシン、ダウノマイシン、バルルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、アムルビシンおよびミトラマイシンなどのアントラサイクリン系抗生物質);有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンなどのビンカアルカロイド、ならびにタキソールおよびタキソテールなどのタキソイド、ならびにポロキナーゼ阻害剤);ならびにトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドなどのエピポドフィロトキシン、アムサクリン、イリノテカン、トポテカンおよびカンプトテシン);CHKキナーゼなどのDNA修復機構の阻害剤;ATM阻害剤(AZD0156など);ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの阻害剤(オラパリブを含むPARP阻害剤);ならびにHsp90阻害剤、例えば、タネスピマイシンおよびレタスピマイシン、ATRキナーゼの阻害剤(AZD6738など);ならびにWEE1キナーゼの阻害剤(AZD1775/MK−1775など);
ii.抗血管新生薬、例えば血管内皮増殖因子の効果を抑制するもの、例えば抗−血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ、および例えばVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えばバンデタニブ(ZD6474)、ソラフェニブ、バタラニブ(PTK787)、スニチニブ(SU11248)、アキシチニブ(AG−013736)、パゾパニブ(GW 786034)、およびセジラニブ(AZD2171);国際特許出願・国際公開第97/22596号パンフレット、同第97/30035号パンフレット、同第97/32856号パンフレット、および同第98/13354号パンフレットに開示されているものなどの化合物;ならびに他の機構によって働く化合物(例えばリノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害剤、およびアンジオスタチン)、またはアンジオポエチンおよびその受容体(Tie−1およびTie−2)の阻害剤、PDGFの阻害剤、δ様リガンド(delta−like ligand)(DLL−4)の阻害剤;
iii.免疫療法手法(例えば、患者腫瘍細胞の免疫原性を増大させるためのエクスビボおよびインビボ手法が含まれる)、例えばインターロイキン2、インターロイキン4、または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインでの遺伝子導入;T細胞アネルギーまたは制御性T細胞機能を低下させるための手法;腫瘍に対するT細胞応答を増強する手法、例えば、CTLA4(例えばイピリムマブおよびトレメリムマブ)、B7H1、PD−1(例えばBMS−936558またはAMP−514)、PD−L1(例えばMEDI4736)(デュルバルマブ)に対するブロッキング抗体、およびCD137に対するアゴニスト抗体;サイトカイン導入樹状細胞などの、遺伝子導入された免疫細胞を使用する手法;サイトカイン導入腫瘍細胞株を使用する手法、腫瘍関連抗原に対する抗体、標的細胞型を除去する抗体(例えば、非結合抗CD20抗体、例えばリツキシマブ、放射標識された抗CD20抗体ベキサールおよびゼヴァリン、および抗CD54抗体キャンパス)を使用する手法;抗イディオタイプ抗体を使用する手法;ナチュラルキラー細胞機能を増強する手法;および抗体−毒素複合体を利用する手法(例えば抗CD33抗体マイロターグ);モキセツムマブシュードトクス(moxetumumab pasudotox)などの免疫毒素;toll様受容体7またはtoll様受容体9のアゴニスト;
iv.ロイコボリンなどの有効性増強剤。
したがって、一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質が提供される。一実施態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が、追加の抗腫瘍物質と組み合わせて投与される、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供される。一実施態様では、1種の追加の抗腫瘍物質が存在する。一実施態様では、2種の追加の抗腫瘍物質が存在する。一実施態様では、3種以上の追加の抗腫瘍物質が存在する。
一実施態様では、癌の同時、個別、または連続治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質が提供される。一実施態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が、追加の抗腫瘍物質と同時に、別に、または連続して投与される、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供される。
一実施態様では、こうした治療を必要とする温血動物における癌を治療する方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、追加の抗腫瘍物質とを、前記温血動物に投与すること(ここでは、一定量の式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、追加の抗腫瘍物質は、抗癌効果をもたらすのに協働的に有効である)を含む方法が提供される。
一実施態様では、こうした治療を必要とする温血動物における癌を治療する方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩を、前記温血動物に投与することと、少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質を前記温血動物に同時に、別に、または連続して投与することと(ここでは、一定量の式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、追加の抗腫瘍物質は、抗癌効果をもたらすのに協働的に有効である)を含む方法が提供される。
あらゆる実施態様では、追加の抗腫瘍物質は、上の項目(i)〜(iv)で列挙した、1つ以上の抗腫瘍物質からなる群から選択される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬が提供される。一実施態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が、少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬と組み合わせて投与される、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供される。一実施態様では、抗悪性腫瘍薬は、上の項目(i)内の抗悪性腫瘍薬のリストから選択される。
一実施態様では、癌の同時、個別、または連続治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬が提供される。一実施態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が、少なくとも1種の抗悪性腫瘍薬と同時に、別に、または連続して投与される、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供される。一実施態様では、抗悪性腫瘍薬は、上の項目(i)内の抗悪性腫瘍薬のリストから選択される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、バルルビシン、イダルビシン、ドキソルビシン、ピラルビシン、イリノテカン、トポテカン、アムルビシン、エピルビシン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファラン、ブレオマイシン、オラパリブ、MEDI4736(デュルバルマブ)、AZD1775、AZD6738、AZD1390、およびAZD0156からなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質が提供される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、バルルビシン、イダルビシン、ドキソルビシン、ピラルビシン、イリノテカン、トポテカン、アムルビシン、エピルビシン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチンベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファラン、ブレオマイシン、オラパリブ、AZD1775、およびAZD6738からなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質が提供される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩と、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、ピラルビシン、イリノテカン、トポテカン、アムルビシン、エピルビシン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファラン、ブレオマイシン、オラパリブ、AZD1775、AZD6738、AZD1390およびAZD0156からなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質が提供される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩と、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、ピラルビシン、イリノテカン、トポテカン、アムルビシン、エピルビシン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファラン、ブレオマイシン、オラパリブ、AZD1775、およびAZD6738からなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質が提供される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩と、オラパリブが提供される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩と、AZD6738が提供される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩と、AZD0156が提供される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩は、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、バルルビシン、イダルビシン、ドキソルビシン、ピラルビシン、イリノテカン、トポテカン、アムルビシン、エピルビシン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファラン、ブレオマイシン、オラパリブ、MEDI4736(デュルバルマブ)、AZD1775、AZD6738、AZD1390、およびAZD0156からなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質と組み合わせて投与される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩は、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、バルルビシン、イダルビシン、ドキソルビシン、ピラルビシン、イリノテカン、トポテカン、アムルビシン、エピルビシン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファラン、ブレオマイシン、オラパリブ、MEDI4736(デュルバルマブ)、AZD1775およびAZD6738からなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質と組み合わせて投与される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩は、オラパリブと組み合わせて投与される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩は、AZD6738と組み合わせて投与される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩は、AZD0156と組み合わせて投与される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、ドキソルビシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファラン、ブレオマイシン、およびオラパリブからなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質が提供される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩は、ドキソルビシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファラン、ブレオマイシン、およびオラパリブからなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質と組み合わせて投与される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、ドキソルビシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファラン、およびブレオマイシンからなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質が提供される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩は、ドキソルビシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファラン、およびブレオマイシンからなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質と組み合わせて投与される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩は、ドキソルビシン、ピラルビシン、アムルビシン、およびエピルビシンからなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍物質と組み合わせて投与される。一実施態様では、癌は、急性骨髄性白血病である。一実施態様では、癌は、乳癌(例えばトリプルネガティブ乳癌)である。一実施態様では、癌は、肝細胞癌である。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、イリノテカンが提供される。一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩は、イリノテカンと組み合わせて投与される。一実施態様では、癌は、結腸直腸癌である。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、FOLFIRIが提供される。一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩は、FOLFIRIと組み合わせて投与される。一実施態様では、癌は、結腸直腸癌である。
FOLFIRIは、ロイコボリンと、5−フルオロウラシルと、イリノテカンとの組み合わせを含む投薬計画である。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩と、R−CHOPが提供される。一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩は、R−CHOPと組み合わせて投与される。一実施態様では、癌は、非ホジキンリンパ腫である。
R−CHOPは、リツキシマブ、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノマイシン(ドキソルビシン塩酸塩)、オンバビン(ビンクリスチン)およびプレドニゾロンの組み合わせを含む投与計画である。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩は、オラパリブと組み合わせて投与される。一実施態様では、癌は、胃癌である。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩は、トポテカンと組み合わせて投与される。一実施態様では、癌は、小細胞肺癌である。一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩が提供され、ここでは、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩は、免疫療法と組み合わせて投与される。一実施態様では、免疫療法は、上の項目(iii)に列挙した1つ以上の薬剤である。一実施態様では、免疫療法は、抗PD−L1抗体(例えばMEDI4736(デュルバルマブ))である。
一実施態様では、式(I)の化合物と少なくとも1種の追加の抗癌物質とを含む医薬組成物が提供される。一実施態様では、医薬組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容し得る希釈剤または担体も含む。一実施態様では、抗腫瘍物質は、抗腫瘍薬である。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物と少なくとも1種の追加の抗癌物質とを含む医薬組成物が提供される。一実施態様では、医薬組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容し得る希釈剤または担体も含む。一実施態様では、抗腫瘍物質は、抗腫瘍薬である。
さらなる実施態様によれば、以下を含むキットが提供される:
a)第1の単位剤形中の式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩;
b)さらなる単位剤形中のさらなる追加の抗腫瘍物質;
c)前記第1の単位剤形およびさらなる単位剤形を含有するための容器手段;および任意選択で
d)使用のための説明書。一実施態様では、抗腫瘍物質は、抗悪性腫瘍薬を含む。
抗悪性腫瘍薬が言及される、あらゆる実施態様では、抗悪性腫瘍薬は、上の項目(i)で列挙した1つ以上の薬剤である。
式(I)の化合物および薬学的に許容し得るその塩は、薬学的に許容し得る1つ以上の希釈剤または担体を含む医薬組成物として投与することができる。
したがって、一実施態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩と、薬学的に許容し得る少なくとも1種の希釈剤または担体とを含む医薬組成物が提供される。
この医薬組成物は、経口使用のために(例えば、錠剤、ロゼンジ、ハードもしくはソフトカプセル、水性もしくは油性の懸濁剤、乳剤、分散性の散剤または顆粒剤、シロップまたはエリキシルとして)、局所使用のために(例えば、クリーム、軟膏、ゲル、または水性もしくは油性の液剤または懸濁剤として)、吸入による投与のために(例えば微粉化された粉末または液体エアロゾルとして)、吸入による投与のために(例えば微粉化された粉末として)、または非経口投与のために(例えば、静脈内、皮下、または筋肉内投薬のための、無菌の水性もしくは油性の溶液として)、または直腸内投薬のための座剤として、適した形態であり得る。この組成物は、当技術分野で周知の従来の医薬品添加剤を使用して従来の手順によって得ることができる。したがって、経口使用が意図される組成物は、例えば、1種以上の着色剤、甘味料、着香剤および/または保存剤を含有することができる。
一実施態様では、治療法における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩と、少なくとも1種の薬学的に許容し得る希釈剤または担体とを含む医薬組成物が提供される。
一実施態様では、癌の治療における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容し得るその塩と、少なくとも1種の薬学的に許容し得る希釈剤または担体とを含む医薬組成物が提供される。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌、膠芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、頭頸部扁平上皮癌、乳癌、肝細胞癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌からなる群から選択される。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌、膠芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、頭頸部扁平上皮癌および肺癌からなる群から選択される。一実施態様では、前記癌は、結腸直腸癌である。
式(I)の化合物は、通常、2.5〜5000mg/m2(動物の体面積)、または約0.05〜100mg/kgの範囲内の単位用量として、温血動物に投与されることとなり、これは、通常、治療有効用量を提供する。錠剤またはカプセル剤などの単位剤形は、通常、例えば0.1〜250mgの活性成分を含有することとなる。1日量は、必然的に、治療される受容者、個々の投与経路、同時に施されるいずれかの治療法、および治療される病気の重症度に応じて変動することとなる。したがって、いずれかの特定の患者を治療している医師は、最適投薬量を決定することができる。
種々の実施態様を、以下の実施例によって例示する。本発明は、実施例に限定されると解釈すべきではない。
他に記述がない限り、出発材料は市販のものであった。溶媒および市販の試薬は全て、実験室グレードのものであり、受け取った状態で使用した。
実施例の調製中、一般に:
(i)操作は、他に記述がない限り、室温(rt)、すなわち17〜25℃の範囲内で、かつ、N2などの不活性気体の雰囲気中で実施し;
(ii)概して、反応工程の後、通常、質量分析計(LCMC)に接続された薄層クロマトグラフィー(TLC)および/または分析高速液体クロマトグラフィー(HPLCもしくはUPLC)を実施した。付与される反応時間は、必ずしも達成可能な最小値ではない。
(iii)必要であれば、有機溶液を無水MgSO4またはNa2SO4で乾燥させ、ワークアップ作業は、(xiii)に記載するように、伝統的な相分離技術を用いて、またはSCXを使用することによって実施し、蒸発は、真空での回転蒸発により、またはGenevac HT−4/EZ−2もしくはBiotage V10のいずれかで実施し;
(iv)収率は、存在する場合、必ずしも、達成可能な最大値ではなく、必要である場合に、より多量の反応生成物が求められれば、反応を反復し;
(v)一般に、式(I)の最終生成物の構造は、核磁気共鳴(NMR)および/または質量スペクトル技術によって確認され;エレクトロスプレー質量スペクトルデータは、ポジティブおよびネガティブイオンデータの両方を取得するWatersシングル四重極型質量分析計に接続されたWaters Acquity UPLCを用いて取得し、また、概して、親構造に関するイオンだけを記録し;プロトンNMR化学シフト値は、500MHzの電解強度で作動するBruker AV500分光計、400MHzで作動するBruker AV400、または300MHzで作動するBruker AV300のいずれかを使用してδスケールで測定した。他に記述がない限り、NMRスペクトルは、d6−ジメチルスルホキシドにおいて500MHzで取得した。次の略語を使用し:s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;br、広域;qn、五重線;(vi)他に記述がない限り、不斉炭素および/またはイオウ原子を含有する化合物は、分解せず;
(vii)中間体は、必ずしも完全に精製したわけではないが、それらの構造および純度は、TLC、分析HPLC/UPLC、および/またはNMR分析および/または質量分析法により評価し;
(viii)他に記述がない限り、フラッシュカラムクロマトグラフィー(fcc)は、Merck Kieselgelシリカ(Aer.9385)カートリッジまたは逆相シリカ(Flukaシリカゲル90 C18)またはSilicycleカートリッジ(40〜63μmシリカ、4〜330g重量)またはGrace resolvカートリッジ(4〜120g)、またはRediSep Rf 1.5 FlashカラムまたはRediSep Rf高速Gold Flashカラム(150〜415g重量)またはRediSep Rf Gold C18逆相カラム(20〜40μmシリカ)で、Isco CombiFlash Companionシステムもしくは同様のシステムを用いて手動もしくは自動のいずれかで実施し;
(ix)分取逆相HPLC(RP HPLC)は、溶出剤として、例えば、溶媒Aとしての[0.1%ギ酸もしくは0.3〜5%水性水酸化アンモニウム(d=0.91)を含有する]と、溶媒Bとしてのアセトニトリルとの漸減的極性混合物を使用して、典型的にはWaters XSelect CSH C18カラム(5μmシリカ、直径30mm、長さ100mm)を用いるC18逆相シリカで実施し;典型的な手順は次の通りである:10〜20分にわたり、毎分40〜50mLで、溶媒AおよびBの95:5混合物から、それぞれ溶媒AおよびBの5:95混合物への溶媒勾配(または、必要に応じて別の比)。
(x)次の分析UPLC方法を使用した;一般に、1mL/分の流量で、逆相C18シリカを使用し、検出は、エレクトロスプレー質量分析法および220〜320nmの波長範囲を記録するUV吸光度によって行った。分析UPLCは、寸法2.1×50mmおよび粒度1.7ミクロン)のWaters XSelect CSH C18カラムを用いて、CSH C18逆相シリカで実施した。溶出剤として漸減的極性混合物、例えば、溶媒Aとしての水(0.1%ギ酸もしくは0.1%アンモニアを含有)と、溶媒Bとしてのアセトニトリルとの漸減的極性混合物を用いて、勾配分析を使用した。典型的な2分間分析UPLC方法は、1.3分にわたり、毎分約1mLで、溶媒AおよびBの97:3混合物から、それぞれ溶媒AおよびBの3:97混合物への溶媒勾配を使用する。
(xi)特定の化合物が、酸付加塩、例えば、一塩酸塩または二塩酸塩として得られた場合、塩の化学量論は、化合物中の塩基性基の数および性質に基づいて取得し、概して、例えば、元素分析データを用いて、塩の正確な化学量論は決定しなかった;
(xii)反応がマイクロ波の使用に関する場合、次のマイクロ波反応器のうちの1つを使用した:Biotage Initiator、Personal Chemistry Emrys Optimizer、Personal Chemistry SmithcreatorまたはCEM Explorer;
(xiii)Isolute SPE flash SCX−2またはSCX−3カラム(International Sorbent Technology Limited,Mid Glamorgan,UK)を用いた強力カチオン交換(SCX)クロマトグラフィーにより化合物を精製した;
(xiv)Gilson GX−281 HPLCおよびDAICEL CHIRALPAK IC(2×25cm、5um)またはDAICEL CHIRALPAK IF(2×25cm、5um)を用いて、次の分取キラルHPLC方法を実施し;概して、10〜350ml/分の流量で、検出は、254nmの典型的波長でのUV吸光度により行った。約1〜100mg/mlの試料濃度を好適な溶媒混合物中に、注入量0.5〜10ml、ランタイム10〜150分、ならびに典型的なオーブン温度25〜35℃で使用し;
(xv)Shimadzu UFLCおよびDaicel CHIRALPAK IC−3(50×4.6mm 3um)またはDaicel CHIRALPAK IF−3(50×4.6mm 3um)を用いて、次の分析キラルHPLCを実施し;概して、1ml/分の流量で、検出は、254nmの典型的波長でのUV吸光度により行った。約1mg/mlの試料濃度をEtOHなどの好適な溶媒中に、注入量約10ml、ランタイム10〜60分、ならびに典型的なオーブン温度25〜35℃で使用し;
(xvi)次の分取キラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)方法を使用し;概して、70ml/分の流量で、検出は、254nmの典型的波長でのUV吸光度により行った。約100mg/mlの試料濃度をMeOHなどの好適な溶媒中に、注入量約0.5ml、ランタイム10〜150分、ならびに典型的なオーブン温度25〜35℃で使用し;
(xvii)概して、実施例および中間体化合物は、ACD Name,“Structure to NameChemDraw Ultra(CambridgeSoft),Biovia Draw 2016またはOpen Eye OEChem 2.0.2の一部を使用して命名し;
(xviii)上に挙げたもの以外に、下記の略語を使用した。
中間体1:(E)−N,N−ジメチル−N’−(4−メチル−5−ニトロピリジン−2−イル)ホルムイミドアミド
1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミン(26.0mL、196mmol)を、4−メチル−5−ニトロピリジン−2−アミン(10.0g、65.3mmol)のトルエン(100mL)溶液にrtで添加した。反応混合物を還流で2時間加熱した後、反応混合物をrtまで冷却させた。反応混合物を濃縮して、黄色固体として標題の化合物(13.5g、99%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)2.53(3H,d),3.06(3H,d),3.17(3H,s),6.79−6.84(1H,m),8.69(1H,s),8.88(1H,s);m/z MH+ 209.
中間体2:(E)−N−ヒドロキシ−N’−(4−メチル−5−ニトロピリジン−2−イル)ホルムイミドアミド
塩酸ヒドロキシルアミン(9.01g、130mmol)を、(E)−N,N−ジメチル−N’−(4−メチル−5−ニトロピリジン−2−イル)ホルムイミドアミド(13.5g、64.8mmol)のMeOH(100mL)溶液にrtで添加した。反応混合物を還流で1時間加熱した後、rtまで冷却させた。反応混合物をEtOAc(200mL)と水(100mL)の間で分配した。有機層を単離し、飽和塩水(50mL)で洗浄し、相分離濾紙に通し、濃縮して、黄色固体として標題の化合物(11.9g、94%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)2.52(3H,s),7.06(1H,s),7.89(1H,d),8.89(1H,s),10.10(1H,d),10.53(1H,s);m/z MH+ 197.
中間体3:7−メチル−6−ニトロ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン
2,2,2−トリフルオロ酢酸無水物(10.1mL、72.8mmol)を、(E)−N−ヒドロキシ−N’−(4−メチル−5−ニトロピリジン−2−イル)ホルムイミドアミド(11.9g、60.7mmol)のTHF(100mL)溶液に0℃で添加した。反応混合物をrtで18時間攪拌した後、濃縮した。得られた未精製混合物を、0〜100%EtOAc(ヘプタン中)で溶出するfccにより精製して、不純な薄オレンジ色の固体をもたらした。この固体をヘプタン:EtOAcから再結晶化し、濾過し、真空で濃縮した後、EtOAc(100mL)中で溶解させ、0.1M HCl水溶液(50mL)、水(50mL)および飽和塩水(50mL)で洗浄した。有機層を相分離濾紙に通し、真空で濃縮して、標題の化合物(3.42g、32%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)2.67(3H,s),7.88−8.01(1H,m),8.73(1H,s),9.97(1H,s);m/z MH+ 179.
中間体4:7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン
Pd/C(10%、湿潤支持体)(0.409g、3.84mmol)を、7−メチル−6−ニトロ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン(3.42g、19.2mmol)およびギ酸アンモニウム(6.05g、96.0mmol)のエタノール(150mL)溶液にrtで添加した。反応混合物を還流で2時間加熱した。反応混合物をrtまで冷却させ、濾過し、濃縮して、薄い褐色の固体として標題の化合物(2.60g、91%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)2.26(3H,s),5.00(2H,s),7.47(1H,s),8.10(2H,d).
中間体5:2,7−ジメチル−6−ニトロ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン
2−クロロ−4−メチル−5−ニトロピリジン(1499mg、8.68mmol)、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン(500mg、4.34mmol)およびN−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(1.51mL、8.68mmol)の混合物のトルエン(5mL)溶液を密閉チューブ内に導入し、140℃で2日間熱により加熱した。反応混合物をrtまで冷却させ、真空で濾過した。未精製材料を、fcc、溶出勾配0〜100%EtOAc(ヘプタン中)により精製して、標題の化合物(275mg、33%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)2.51(3H,s),2.64(3H,s),7.78(1H,s),9.83(1H,s);m/z MH+ 193.
中間体6:2,7−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン
2,7−ジメチル−6−ニトロ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン(312mg、1.62mmol)、鉄(544mg、9.74mmol)および塩酸アンモニウム(60.8mg、1.14mmol)の攪拌混合物のEtOH(13.9mL)溶液に水(2.32mL)を添加し、得られたスラリーを90℃で2時間加熱した。冷却した反応混合物を10g SCXカラムにロードし、MeOHで洗浄した後、1M NH3/MeOHで溶離して、未精製生成物をもたらした。未精製生成物を、fcc、溶出勾配0〜5%MeOH(DCM中)により精製して、薄黄色の固体として標題の化合物(108mg、41%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)2.24(3H,s),2.35(3H,s),4.90(2H,s),7.33(1H,s),8.00(1H,s);m/z MH+ 163.
中間体7:(1r,4r)−4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンアミン(トランス−4−{[ジメチル(2−メチル−2−プロパニル)シリル]オキシ}シクロヘキサンアミン)
イミダゾール(29.6g、434mmol)を(トランス)−4−アミノシクロヘキサノール(20g、174mmol)のDCM(200mL)溶液に添加した。TBDMS−Cl(39.3g、260mmol)を少量ずつ添加し、反応混合物をrtで18時間攪拌した。反応混合物を乾燥まで蒸発させ、EtOAc(200mL)中に再溶解させた後、水(100mL)、2M水性NaOH(100mL)、水(100mL)および飽和塩水(100mL)で連続的に洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過してから、溶媒を真空で除去した。未精製生成物をfcc、溶出勾配0〜10%1Mメタノールアンモニア(DCM中)により精製して、濃い黄金色の油として標題の化合物(30g、75%)をもたらした;1H NMR(500MHz,CDCl3)0.05(6H,s),0.88(9H,s),1.05−1.22(2H,m),1.26−1.43(2H,m),1.44−1.76(1H,br s)1.76−1.81(4H,m),1.82−2.29(1H,br s),2.67(1H,tt),3.51−3.63(1H,m).
中間体8:N−((1r,4r)−4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)−2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−アミン
(2−クロロ−N−(トランス−4−{[ジメチル(2−メチル−2−プロパニル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)−5−ニトロ−4−ピリミジンアミン)
DCM(400mL)に溶解させた2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン(20g、103mmol)を−78℃まで冷却した。DIPEA(35.9mL、206mmol)を添加した後、DCM(50mL)に溶解させた(1r,4r)−4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンアミン(23.7g、103mmol)を滴下した。反応混合物を−78℃で30分、次に、rtで18時間攪拌した。反応混合物を水(200mL)および飽和塩水(200mL)で連続的に洗浄した。有機層を、相分離濾紙を通して濾過し、溶媒を真空で除去した後、残留物をEtOAc:ヘプタン(約1:1)中で粉砕し、得られた固体を濾過した後、乾燥させて、薄いオレンジ色の固体として標題の化合物(32.0g、80%)をもたらした;1H NMR(500MHz,CDCl3)0.07(6H,s),0.90(9H,s),1.36−1.48(2H,m),1.49−1.6(2H,m),1.84−1.96(2H,m),2.06−2.19(2H,m),3.70(1H,td),4.17−4.3(1H,m),8.30(1H,d),9.03(1H,s);m/z MH+ 387.
中間体9:N4−((1r,4r)−4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)−2−クロロピリミジン−4,5−ジアミン
(2−クロロ−N〜4〜−(トランス−4−{[ジメチル(2−メチル−2−プロパニル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)−4,5−ピリミジンアミン)
白金(炭素に対して10%)(0.207g、1.06mmol)を、窒素下、N−((1r,4r)−4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)−2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−アミン(8.20g、21.2mmol)のEtOAc(100mL)溶液にrtで添加した。反応混合物を水素でパージしてから、rtで18時間攪拌した。反応混合物を濾過し、EtOAcで洗浄し、溶媒を真空で除去して、標題の化合物(7.40g、98%)をもたらした;1H NMR(500MHz,CDCl3)0.05(6H,d),0.89(9H,d),1.2−1.32(2H,m),1.51(2H,tdd),1.87(2H,dd),2.06−2.15(2H,m),2.91(2H,br s),3.63(1H,ddd),3.99(1H,dtd),4.90(1H,d),7.59(1H,s);m/z MH+ 357.
中間体10:9−((1r,4r)−4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)−2−クロロ−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
(2−クロロ−9−(トランス−4−{[ジメチル(2−メチル−2−プロパニル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン)
N4−((1r,4r)−4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)−2−クロロピリミジン−4,5−ジアミン(21.8g、61.1mmol)をフラスコ内のEtOAc(400mL)中にrtで導入した。ジ(1H−イミダゾール−1−イル)メタノン(15.84g、97.71mmol)を添加し、反応混合物を70℃で2時間攪拌した。溶媒の約半分を真空で除去してから、溶液を氷上で30分かけて冷却した。得られた固体を濾過し、乾燥させて、薄い褐色の固体として標題の化合物(10.2g、44%)をもたらした;1H NMR(500MHz,CDCl3)0.09(6H,s),0.90(9H,s),1.45−1.56(2H,m),1.81(2H,d),2.01(2H,d),2.45(2H,qd),3.75(1H,ddd),4.35(1H,tt),8.10(1H,s)NHは観察されず;m/z MH+ 383.
中間体11:9−((1r,4r)−4−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロヘキシル)−2−クロロ−7−メチル−7H−プリン−8(9H)−オン
(2−クロロ−9−(トランス−4−{[ジメチル(2−メチル−2−プロパニル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン)
水素化ナトリウム(60%)(2.26g、56.4mmol)を9−((1r,4r)−4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)−2−クロロ−7,9−8H−プリン−8−オン(14.4g、37.6mmol)のDMF(150mL)溶液にrtで少量ずつ添加した。反応混合物を30分間攪拌し、氷上で冷却した後、ヨードメタン(3.92mL、62.7mmol)を滴下した。反応混合物をrtで1時間攪拌した。反応混合物をEtOAc(500mL)で希釈してから、水(3×200mL)、次に飽和塩水(200mL)で連続的に洗浄した。有機層を相分離濾紙に通して濾過し、溶媒を真空で除去して、淡褐色の固体として標題の化合物(10.4g、67%)をもたらした;1H NMR(500MHz,CDCl3)0.09(6H,s),0.90(9H,s),1.44−1.54(2H,m),1.78(2H,d),1.99(2H,d),2.43(2H,qd),3.43(3H,s),3.74(1H,ddd),4.36(1H,tt),7.98(1H,s);m/z MH+ 397.
中間体12:9−((1r,4r)−4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
(9−(トランス−4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)−7−メチル−2−[(7−メチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン)
炭酸セシウム(328mg、1.01mmol)を、9−((1r,4r)−4−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロヘキシル)−2−クロロ−7−メチル−7H−プリン−8(9H)−オン(200mg、0.50mmol)および7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン(112mg、0.76mmol)の1,4−ジオキサン(4mL)溶液に添加した。反応物を脱気してから、Brettphos precat G3(45.7mg,0.05mmol)を添加した。反応混合物を100℃で18時間攪拌した。約60%の変換で反応を停止した。さらに10%触媒を添加し、100℃で2時間攪拌した。反応混合物をrtまで冷却し、EtOAc(10mL)で希釈し、濾過した後、乾燥まで濃縮した。未精製生成物をfcc、溶出勾配0〜10%MeOH(DCM中)により精製して、褐色固体として標題の化合物(190mg、74%)をもたらした;m/z MH+ 509.
実施例1:9−((1r,4r)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
濃縮塩酸(0.011mL、0.37mmol)を、9−((1r,4r)−4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(190mg、0.37mmol)のEtOH(5mL)溶液にrtで添加した。反応混合物を還流で1時間攪拌してから、分取逆相HPLCにより精製した。得られた不純生成物をMeCN中で粉砕し、濾過した後、乾燥して、オフホワイト固体として標題の化合物(55mg、37%)をもたらした;1H NMR(500MHz,DMSO)1.17−1.34(2H,m),1.68(2H,d),1.90(2H,d),2.21−2.33(2H,m),2.39(3H,d),3.28(3H,s),3.35−3.46(1H,m),4.11(1H,ddt),4.61(1H,d),7.63−7.71(1H,m),8.08(1H,s),8.36(1H,s),8.61(1H,s),9.15(1H,s);m/z MH+ 395.
中間体13:2−クロロ−4−[(シス−4−ヒドロキシシクロヘキシル)アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸エチル
炭酸カリウム(78g、565mmol)を、大気下、2,4−ジクロロピリミジン−5−カルボン酸エチル(50.0g、226mmol)およびシス−4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩(34.3g、226mmol)のアセトニトリル(700mL)溶液にrtで添加した。反応混合物をrtで16時間攪拌した。混合物をセライトパッドに通して濾過した。濾過物を減圧下で濃縮した。濾過物を濾過により収集し、MeCN(100mL)で洗浄した後、真空下で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(41.0g、61%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.32(3H,t),1.42−1.58(2H,m),1.60−1.75(6H,m),3.66(1H,d),4.06(1H,dd),4.33(2H,q),4.57(1H,d),8.46(1H,d),8.63(1H,s);m/z MH+ 300.
中間体14:2−クロロ−4−[(シス−4−ヒドロキシシクロヘキシル)アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸
LiOH(9.75g、407mmol)を、大気下、2−クロロ−4−[(シス−4−ヒドロキシシクロヘキシル)アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸エチル(61.0g、204mmol)のTHF(400mL)および水(400mL)溶液にrtで添加した。反応混合物をrtで16時間攪拌した。混合物を減圧下で濃縮し、2M HCl水溶液でpH=2に調節した。沈殿物を濾過により収集し、水(500mL)で洗浄した後、真空下で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(52g、94%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.51(2H,d),1.58−1.75(6H,m),3.63−3.69(1H,m),4.00−4.07(1H,m),4.56(1H,s),8.59(1H,s),8.69(1H,d),13.82(1H,s);m/z MH+ 272.
中間体15:2−クロロ−9−((1s,4s)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
トリエチルアミン(28.2mL、202mmol)を、大気下、2−クロロ−4−[(シス−4−ヒドロキシシクロヘキシル)アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸(55.0g、202mmol)のアセトニトリル(550mL)溶液にrtで添加した。反応混合物をrtで15分間攪拌した。DPPA(55.7g、202mmol)を添加した。反応混合物をrtで30分間、続いて90℃で6時間攪拌した。反応混合物を水(4L)に注ぎ込んだ。沈殿物を濾過により収集し、水(1L)で洗浄した後、真空下で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(34.9g、64%)をもたらした;m/z MH+ 269.
中間体16:2−クロロ−9−((1s,4s)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
ヨードメタン(31.7g、223mmol)を、2−クロロ−9−((1s,4s)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(30.0g、112mmol)、NaOH(22.3g、558mmol)のTHF(300mL)および水(150mL)溶液にrtで添加した。反応混合物をrtで16時間攪拌した。反応混合物を真空で濃縮した。沈殿物を濾過により収集し、水(250mL)で洗浄した後、真空下で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(24.0g、76%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.43−1.61(4H,m),1.79(2H,d),2.54−2.68(2H,m),3.34(3H,s),3.87(1H,s),4.15−4.21(1H,m),4.46(1H,d),8.34(1H,s);m/z MH+ 283.
実施例2:9−((1s,4s)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
Brettphos precat G3(64.1mg、0.07mmol)を、窒素下、2−クロロ−9−((1s,4s)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(100mg、0.35mmol)、7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン(62.9mg、0.42mmol)および炭酸セシウム(230mg、0.71mmol)の1,4−ジオキサン(3mL)溶液に添加した。反応混合物を100℃で16時間攪拌した。未精製生成物を分取HPLCにより精製して、白色固体として標題の化合物(102mg、73%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.41−1.57(4H,m),1.74−1.85(2H,m),2.39(3H,s),2.58−2.74(2H,m),3.29(3H,s),3.84−3.91(1H,m),4.11−4.24(1H,m),4.34(1H,d),7.69(1H,s),8.05(1H,s),8.37(1H,s),8.61(1H,s),9.13(1H,s);m/z MH+ 395.
中間体17:2−クロロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸エチル
炭酸カリウム(62.5g、452mmol)を、2,4−ジクロロピリミジン−5−カルボン酸エチル(40g、181mmol)およびテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン塩酸塩(24.9g、181mmol)のアセトニトリル(1000mL)溶液に添加した。反応混合物をrtで16時間攪拌した。沈殿物を濾過により収集し、THF(750mL)で洗浄した後、有機層を減圧下で除去した。未精製生成物を、fcc、溶出勾配0〜2%THF(DCM中)により精製して、薄黄色固体として標題の化合物(37.7g、73%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.32(3H,t),1.54−1.63(2H,m),1.85−1.89(2H,m),3.46(2H,td),3.85(2H,dt),4.19(1H,dtt),4.31(2H,q),8.34(1H,d),8.64(1H,s);m/z MH+ 286.
中間体18:2−クロロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸
LiOH(13.1g、547mmol)の水(800mL)溶液を、攪拌した2−クロロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸エチル(78.2g、273mmol)のTHF(800mL)溶液に添加した。反応混合物をrtで3時間攪拌した。有機層を減圧下で除去した。反応混合物を2M HCl水溶液で酸性化した。沈殿物を濾過により収集し、水(500mL)で洗浄した後、真空下で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(66.4g、92%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.5−1.63(2H,m),1.85−1.95(2H,m),3.47(2H,td),3.85(2H,dt),4.08−4.26(1H,m),8.57(1H,dd),8.60(1H,s),13.76(1H,s);m/z MH+ 258.
中間体19:2−クロロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
トリエチルアミン(25.4g、251mmol)を、2−クロロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸(64.8g、251mmol)およびDPPA(69.2g、251mmol)のDMA(330mL)溶液に添加した。反応混合物をrtで1時間攪拌し、次に、120℃で16時間攪拌した。反応混合物を氷(2L)中に注ぎ込み、沈殿物を濾過により収集し、水(400mL)で洗浄した後、真空下で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(44.8g、70%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.66−1.70(2H,m),2.43(2H,td),3.45(2H,t),3.97(2H,dd),4.42(1H,tt),8.14(1H,s),11.65(1H,s);m/z MH+ 255.
中間体20:2−クロロ−7−メチル−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
NaOH(31.0g、776mmol)の水(80mL)溶液を、攪拌した2−クロロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(39.5、155mmol)およびMeI(48.5mL、776mmol)のTHF(720mL)溶液に添加した。反応混合物をrtで16時間攪拌した。有機層を減圧下で除去した。反応混合物を水で希釈した。沈殿物を濾過により収集し、水(300mL)で洗浄した後、真空下で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(32.5g、69%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.67−1.71(2H,m),2.39−2.48(2H,m),3.37(3H,s),3.46(2H,td),3.97(2H,dd),4.45(1H,tt),8.37(1H,s);m/z MH+ 269.
実施例3:7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
炭酸セシウム(24.3g、74.4mmol)を、2−クロロ−7−メチル−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(10.0g、37.2mmol)および7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン(5.51g、37.2mmol)の1,4−ジオキサン(200mL)溶液に添加した。Brettphos precat G3(1.69g、1.86mmol)を添加し、得られた懸濁液を100℃で1時間激しく攪拌した。さらに1%の触媒を添加し、さらに30分間攪拌した。反応混合物をrtまで冷却し、濾過した後、固体を10%MeOHのDCM(100mL)溶液で洗浄した。濾過物を採取し、溶媒を真空で除去した。得られた未精製生成物を、0〜10%MeOH(DCM中)で溶出するfccにより精製し、次に、MeOHおよびDCMからの再結晶化により、クリーム色の固体として標題の化合物(7.59g、54%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.63−1.72(2H,m),2.40(3H,s),2.52−2.58(2H,m),3.31(3H,s),3.42(2H,t),3.97(2H,dd),4.42(1H,tt),7.70(1H,s),8.08(1H,s),8.37(1H,s),8.65(1H,s),9.11(1H,s);m/z MH+ 381.
フォームA
最終生成物、すなわち7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンをXRPDおよびDSCにより分析したところ、これが結晶性であることが判明した。この物質の試料のXRPDは、図1に示すような回析パターンをもたらした。7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン フォームAは、CuKα線を用いて測定して、7.6°および18.7°の2θ値で少なくとも1つのピークを特徴とする。XRPDの10の最も顕著なピークを表Aに示す。
実施例4:2−((2,7−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7−メチル−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
炭酸セシウム(388mg、1.19mmol)を、2−クロロ−7−メチル−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(160mg、0.60mmol)および2,7−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン(97mg、0.60mmol)の1,4−ジオキサン(5mL)溶液にrtで一度に添加し、混合物を窒素バブリングに5分間付すことにより脱気した。Brettphos precat G3(54.0g、0.06mmol)を添加し、反応物を100℃で2時間加熱した。混合物をDCMで希釈し、濾過した。有機層を蒸発させ、残留物を、fcc、溶出勾配0〜5%MeOH(DCM中)により精製し、次に、MeCNと一緒に粉砕することにより、クリーム色の固体として標題の化合物(125mg、53%)をもたらした;1H NMR(400MHz,CDCl3)1.69−1.79(2H,m),2.49(3H,s),2.58(3H,s),2.76(2H,qd),3.41(3H,s),3.55(2H,t),4.14(2H,dd),4.55(1H,tt),6.60(1H,s),7.43(1H,s),7.87(1H,s),9.60(1H,s);m/z MH+ 395.
中間体21:2−クロロ−4−((4−オキソシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸エチル
DIPEA(8.38g、48.0mmol)を、2,4−ジクロロピリミジン−5−カルボン酸エチル(8.84g、40mmol)および4−アミノシクロヘキサン−1−オン塩酸塩(5.98g、40.0mmol)のアセトニトリル(200mL)溶液に0℃で2分かけて滴下した。反応混合物をrtで16時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去した。未精製生成物を、0〜5%EtOAc(DCM中)で溶出するfccにより精製して、白色固体として標題の化合物(6.13g、52%)をもたらした;1H NMR(400MHz,CDCl3)1.41(3H,t),1.84−1.97(2H,m),2.28−2.41(2H,m),2.44−2.62(4H,m),4.38(2H,q),4.53−4.66(1H,m),8.55(1H,d),8.72(1H,s);m/z MH+ 298.
中間体22:2−クロロ−4−((4−オキソシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸
LiOH(0.981g、41.0mmol)を、2−クロロ−4−((4−オキソシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸エチル(6.10g、20.5mmol)のTHF(50mL)および水(50mL)溶液に0℃で一度に添加した。反応混合物をrtで16時間攪拌した。有機溶媒を減圧下で除去した。反応混合物を2 HCl水溶液で酸性化した。沈殿物を濾過により収集し、水(20mL)で洗浄した後、真空で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(3.50g、63%)をもたらし、これをそれ以上精製せずに使用した;1H NMR(400MHz,DMSO)1.79−1.93(2H,m),2.11−2.31(4H,m),2.50−2.63(2H,m),4.37−4.51(1H,m),8.60(1H,s),8.70(1H,d),13.90(1H,s);m/z MH+ 270.
中間体23:2−クロロ−9−(4−オキソシクロヘキシル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
ジフェニルリン酸アジド(2.80mL、13.0mmol)を、2−クロロ−4−((4−オキソシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸(3.5g、13.0mmol)およびEt3N(1.81mL、13.0mmol)のTHF(70mL)溶液にrtで一度に添加した。反応混合物を80℃で16時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去した。未精製生成物を、0〜40%EtOAc(DCM中)で溶出するfccにより精製して、白色固体として標題の化合物(2.00g、58%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)2.03−2.13(2H,m),2.25−2.36(2H,m),2.51−2.65(2H,m),2.65−2.77(2H,m),4.72−4.85(1H,m),8.15(1H,s),11.68(1H,s);m/z MH+ 267.
中間体24:2−クロロ−7−メチル−9−(4−オキソシクロヘキシル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
NaH(0.420g、10.5mmol)を2−クロロ−9−(4−オキソシクロヘキシル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(2.8g、10.5mmol)のDMF(50mL)溶液に0℃で一度に添加した。反応混合物をrtで30分間攪拌した。MeI(1.97mL、31.5mmol)を添加し、反応混合物をrtで16時間攪拌した。反応混合物を水(150mL)に注ぎ込み、沈殿物を濾過により収集し、水(50mL)で洗浄した後、真空で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(1.80g、61%)をもたらし、これをそれ以上精製せずに使用した;1H NMR(400MHz,DMSO)2.03−2.14(2H,m),2.26−2.36(2H,m),2.53−2.65(2H,m),2.65−2.78(2H,m),3.37(3H,s),4.76−4.89(1H,m),8.38(1H,s);m/z MH+ 281.
中間体25:2−クロロ−9−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
NaBH4(121mg、3.21mmol)を、2−クロロ−7−メチル−9−(4−オキソシクロヘキシル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(900mg、3.21mmol)のMeOH(15mL)溶液に添加した。反応混合物をrtで4時間攪拌した。反応混合物をEtOAc(100mL)で希釈してから、水(100mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過した後、蒸発させて、白色固体としてのシスおよびトランス異性体の未知の混合物として、標題の化合物(800mg、88%)をもたらした;1H NMR(主異性体)(300MHz,CDCl3)0.83−0.90(1H,m),1.42−1.52(2H,m),1.78−1.87(2H,m),2.11−2.17(2H,m),2.41−2.58(2H,m),3.44(3H,s),3.78−3.87(1H,m),4.33−4.44(1H,m),8.02(1H,s);m/z MH+ 283.
中間体26:2−クロロ−9−((1s,4s)−4−メトキシシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
NaH(113mg、2.83mmol)を、2−クロロ−9−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(800mg、2.83mmol)のTHF(15mL)溶液に0℃で添加した。混合物をrtで1時間攪拌した。MeI(0.531mL、8.49mmol)を添加した。反応混合物をrtで5時間攪拌した。未精製生成物を分取HPLCにより精製して、白色固体として2−クロロ−9−((1r,4r)−4−メトキシシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(220mg、26%)、および白色固体として標題の化合物(60mg、0.202mmol、7%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.46−1.59(4H,m),1.95−2.05(2H,m),2.37−2.48(2H,m),3.26(3H,s),3.35(3H,s),3.40−3.45(1H,m),4.22(1H,tt),8.34(1H,s);m/z MH+ 297.
実施例5:9−((1s,4s)−4−メトキシシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
Brettphos precat G3(14mg、0.02mmol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジ−i−プロポキシ−1,1’−ビフェニル(7.9mg、0.02mmol)を、窒素下、2−クロロ−9−((1s,4s)−4−メトキシシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(50mg、0.17mmol)、7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン(25.0mg、0.17mmol)および炭酸セシウム(110mg、0.34mmol)の1,4−ジオキサン(2mL)溶液に添加した。反応混合物を100℃で4時間攪拌した。未精製生成物を分取HPLCにより精製して、白色固体として標題の化合物(0.054g、78%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.36−1.50(4H,m),1.90−1.99(2H,m),2.37(3H,s),2.38−2.50(2H,m),3.06(3H,s),3.29(3H,s),3.35−3.38(1H,m),4.10−4.23(1H,m),7.71(1H,s),8.07(1H,s),8.38(1H,s),8.66(1H,s),9.02(1H,s);m/z MH+ 409.
中間体27:2−クロロ−4−((4−メトキシシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸エチル
DIPEA(3.24mL、18.58mmol)を、2,4−ジクロロピリミジン−5−カルボン酸エチル(3.42g、15.5mmol)および4−メトキシシクロヘキサン−1−アミン(2.0g、15.5mmol)のアセトニトリル(80mL)溶液に0℃で添加した。反応混合物をrtで16時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去した。未精製生成物を、0〜5%EtOAc(石油エーテル中)で溶出するfccにより精製して、白色固体として標題の化合物(3.60g、74%)をもたらした;1H NMR(400MHz,CDCl3)1.26−1.50(4H,m),1.38(3H,t),2.02−2.18(4H,m),3.15−3.27(1H,m),3.37(3H,s),4.04−4.18(1H,m),4.35(2H,q),8.34(1H,d),8.66(1H,s);m/z MH+ 314.
中間体28:2−クロロ−4−((4−メトキシシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸
LiOH(0.549g、22.95mmol)を、2−クロロ−4−((4−メトキシシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸エチル(3.6g、11.5mmol)のTHF(25mL)および水(25mL)溶液に0℃で添加した。反応混合物をrtで16時間攪拌した。有機溶媒を減圧下で除去し、混合物を2M HCl水溶液で酸性化した。得られた沈殿物を濾過により収集し、水(20mL)で洗浄した後、真空で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(3.10g、95%)をもたらし、これをそれ以上精製せずに使用した;1H NMR(300MHz,DMSO)1.19−1.49(4H,m),1.91−2.04(4H,m),3.14−3.20(1H,m),3.25(3H,s),3.85−4.02(1H,m),8.51(1H,d),8.59(1H,s),13.8(1H,s);m/z MH+ 286.
中間体29:2−クロロ−9−(4−メトキシシクロヘキシル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
ジフェニルリン酸アジド(2.34mL、10.9mmol)を、2−クロロ−4−((4−メトキシシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸(3.1g、10.9mmol)およびEt3N(1.51mL、10.9mmol)のTHF(50mL)溶液にrtで添加した。反応混合物を80℃で16時間攪拌した。反応混合物を水で希釈した。沈殿物を濾過により収集し、水(150mL)で洗浄した後、真空下で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(2.50g、82%)をもたらし、これをそれ以上精製せずに使用した;1H NMR(300MHz,DMSO)1.21−1.35(2H,m),1.79(2H,dd),2.13(2H,dd),2.15−2.35(2H,m),3.15−3.25(1H,m),3.28(3H,s),4.09−4.26(1H,m),8.13(1H,s),11.64(1H,s);m/z MH+ 283.
中間体30:2−クロロ−9−(4−メトキシシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
NaH(0.240g、6.01mmol)を、0℃の大気下、2−クロロ−9−(4−メトキシシクロヘキシル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(1.7g、6.01mmol)のDMF(25mL)溶液に添加した。反応混合物を0℃で30分間攪拌した。MeI(1.13mL、18.0mmol)を添加した。反応混合物をrtで5時間攪拌した。反応混合物を水で希釈した。沈殿物を濾過により収集し、水(75mL)で洗浄した後、真空下で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(1.33g、75%)をもたらし、これをそれ以上精製せずに使用した;1H NMR(300MHz,DMSO)1.17−1.37(2H,m),1.79(2H,dd),2.10(2H,dd),2.17−2.36(2H,m),3.15−3.24(1H,m),3.27(3H,s),3.35(3H,s),4.12−4.29(1H,m),8.35(1H,s);m/z MH+ 297.
実施例6:9−((1r,4r)−4−メトキシシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
Brettphos precat G3(45.8mg、0.05mmol)を、窒素下、2−クロロ−9−(4−メトキシシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(150mg、0.51mmol)、7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン(74.9mg、0.51mmol)および炭酸セシウム(329mg、1.01mmol)の1,4−ジオキサン(4mL)溶液に添加した。反応混合物を100℃で16時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去した。未精製生成物を分取HPLCにより精製して、白色固体として標題の化合物(136mg、66%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.21(2H,qd),1.75(2H,dd),2.07(2H,dd),2.30(2H,qd),2.41(3H,s),3.11(1H,tt),3.24(3H,s),3.30(3H,s),4.10−4.23(1H,m),7.71(1H,s),8.11(1H,s),8.38(1H,s),8.66(1H,s),9.21(1H,s);m/z MH+ 409.
中間体31:2−クロロ−4−[[(3S)−テトラヒドロピラン−3−イル]アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸エチル
(3S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミン塩酸塩(1.99g、14.5mmol)のMeCN(10ml)溶液を、0℃の大気下、DIPEA(6.30ml、36.2mmol)および2,4−ジクロロピリミジン−5−カルボン酸エチル(3.2g、14.5mmol)の混合物のMeCN(60ml)溶液に5分かけて滴下した。反応混合物を4時間にわたり攪拌し、氷浴の融解と共に、ゆっくりとrtまで昇温させた。反応混合物をrtで18時間攪拌した。反応混合物を乾燥まで蒸発させて、MeCNを除去し、EtOAc(100mL)で希釈し、水、次に飽和塩水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、未精製生成物を得た。未精製生成物を、0〜40%EtOAc(ヘプタン中)で溶出するfccにより精製して、黄色い油として標題の化合物(3.24g、78%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.32(3H,t),1.49−1.6(1H,m),1.63−1.79(2H,m),1.83−1.94(1H,m),3.48(1H,dd),3.54−3.65(2H,m),3.74(1H,dd),4.08−4.19(1H,m),4.33(2H,q),8.57(1H,d),8.64(1H,s);m/z[M−H]− 284.
中間体32:2−クロロ−4−[[(3S)−テトラヒドロピラン−3−イル]アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸
水酸化リチウム水和物(0.933g、22.23mmol)を、2−クロロ−4−[[(3S)−テトラヒドロピラン−3−イル]アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸エチル(3.24g、11.1mmol)のTHF(20mL)および水(20mL)溶液に0℃で一度に添加した。反応混合物をrtで16時間攪拌した。有機溶媒を真空で除去した。反応混合物を2M HCl水溶液で酸性化した。沈殿物を濾過により収集し、水(50mL)で洗浄した後、真空下で一晩空気乾燥させた。得られた白色固体を50℃の真空で24時間さらに乾燥させて、白色固体として標題の化合物(2.40g、84%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.55(1H,dq),1.61−1.77(2H,m),1.85−1.95(1H,m),3.45(1H,dd),3.59(2H,t),3.75(1H,dd),4.06−4.16(1H,m),8.60(1H,s),8.76(1H,d),13.62(1H,s);m/z MH+ 258.
中間体33:(S)−2−クロロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
ジフェニルリン酸アジド(2.00ml、9.29mmol)を、2−クロロ−4−[[(3S)−テトラヒドロピラン−3−イル]アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸(2.40g、9.29mmol)およびトリエチルアミン(1.30ml、9.29mmol)のTHF(50ml)溶液にrtで一度に添加した。反応混合物を80℃で24時間攪拌した。反応混合物を冷却させてから、水(40mL)に注ぎ込んだ。THFを真空で除去することにより、白色の沈殿物が水中に形成され、これを真空下で濾過し、水で洗浄し、真空下で2時間空気乾燥させた後、50℃の真空で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(1.84g、78%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.61−1.82(2H,m),1.88−1.99(1H,m),2.40−2.49(1H,m),3.3−3.37(1H,m),3.78−3.93(3H,m),4.2−4.32(1H,m),8.13(1H,s),11.63(1H,s);m/z MH+ 255.
中間体34:2−クロロ−7−メチル−9−[(3S)−テトラヒドロピラン−3−イル]プリン−8−オン
水素化ナトリウム(60%)(0.434g、10.9mmol)を、(S)−2−クロロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(1.84g、7.24mmol)のDMF(25mL)溶液に0℃で少量ずつ添加した。反応混合物を30分間攪拌した後、ヨードメタン(1.36mL、21.7mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で1時間攪拌した。反応混合物を水(50mL)で急冷し、得られた沈殿物を濾過し、真空下で乾燥させて、クリーム色の固体として標題の化合物(1.62g、83%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.64−1.82(2H,m),1.90−1.98(1H,m),2.41−2.48(1H,m),3.32−3.38(4H,m),3.79−3.91(3H,m),4.25−4.34(1H,m),8.35(1H,s);m/z MH+ 269.
実施例7:(S)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
炭酸セシウム(303mg、0.93mmol)を2−クロロ−7−メチル−9−[(3S)−テトラヒドロピラン−3−イル]プリン−8−オン(125mg、0.47mmol)および7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン(68.9mg、0.47mmol)の1,4−ジオキサン(4mL)溶液に添加した。反応物を脱気してから、Brettphos precat G3(42.2mg、0.05mmol)を添加し、反応混合物を100℃で2時間攪拌した。反応物をrtまで冷却し、濃縮した。固体をDCM中に再溶解させて、セライトで濾過した。濾過物を、0〜8%MeOH(DCM中)で溶出するfccにより精製し、得られた固体をジエチルエーテルと一緒に粉砕し、濾過し、真空下で乾燥させて、オレンジ色の固体として標題の化合物(110mg、62%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.62−1.74(2H,m),1.89(1H,d),2.41(3H,s),2.42−2.47(1H,m),3.19−3.26(1H,m),3.30(3H,s),3.76−3.86(2H,m),3.92(1H,t),4.22−4.32(1H,m),7.71(1H,s),8.11(1H,s),8.37(1H,s),8.65(1H,s),9.18(1H,s);m/z MH+ 381.
中間体35:2−クロロ−4−[[(3R)−テトラヒドロピラン−3−イル]アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸エチル
(R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミン塩酸塩(1.00g、7.27mmol)のアセトニトリル(5ml)溶液を、0℃の大気下、DIPEA(3.16ml、18.2mmol)および2,4−ジクロロピリミジン−5−カルボン酸エチル(1.61g、7.27mmol)の混合物のアセトニトリル(30ml)溶液に5分かけて滴下した。得られた懸濁液を4時間攪拌し、ゆっくりとrtまで昇温させ、rtで一晩攪拌した。反応混合物を乾燥まで蒸発させて、MeCNを除去し、EtOAc(100mL)で希釈し、水、次に飽和塩水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。得られた未精製生成物を、fcc、溶出勾配0〜50%EtOAc(ヘプタン中)により精製して、黄色い油として標題の化合物(0.936g、45%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.33(3H,t),1.57(1H,dt),1.71(2H,dtd),1.91(1H,ddt),3.48(1H,dd),3.55−3.66(2H,m),3.75(1H,dd),4.11−4.2(1H,m),4.33(2H,q),8.58(1H,d),8.65(1H,s);m/z MH+ 286.
中間体36:2−クロロ−4−[[(3R)−テトラヒドロピラン−3−イル]アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸
水酸化リチウム水和物(276mg、6.57mmol)を、2−クロロ−4−[[(3R)−テトラヒドロピラン−3−イル]アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸エチル(939mg、3.29mmol)のTHF(1.23mL)および水(4.10mL)溶液にrtで一度に添加した。反応混合物をrtで30分間攪拌した。有機溶媒を減圧下で除去した。反応混合物を2M HCl水溶液で酸性化した。得られた白色固体を濾過して、白色固体として標題の化合物(806mg、95%)をもたらし、これを45℃の真空で一晩乾燥させた;1H NMR(400MHz,DMSO)1.56(1H,dq),1.70(2H,ddt),1.91(1H,ddt),3.46(1H,dd),3.60(2H,t),3.76(1H,dd),4.12(1H,d),8.61(1H,s),8.77(1H,d);m/z MH+ 258.
中間体37:2−クロロ−9−[(3R)−テトラヒドロピラン−3−イル]−7H−プリン−8−オン
ジフェニルリン酸アジド(0.674mL、3.13mmol)を、2−クロロ−4−[[(3R)−テトラヒドロピラン−3−イル]アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸(806mg、3.13mmol)およびトリエチルアミン(0.436mL、3.13mmol)のTHF(17.3mL)溶液にrtで一度に添加した。反応混合物を80℃で24時間攪拌し、冷却させてから、水(20mL)に注ぎ込んだ。THFを真空下で除去することにより、白色の沈殿物が水中に形成した。沈殿物を濾過により収集し、真空で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(565mg、71%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.64−1.83(2H,m),1.93(1H,d),2.42−2.49(1H,m),3.35(1H,dd),3.8−3.92(3H,m),4.21−4.36(1H,m),8.13(1H,s),11.6(1H,s);m/z MH+ 255.
中間体38:2−クロロ−7−メチル−9−[(3R)−テトラヒドロピラン−3−イル]プリン−8−オン
水素化ナトリウム(60%)(133mg、3.33mmol)を、2−クロロ−9−[(3R)−テトラヒドロピラン−3−イル]−7H−プリン−8−オン(565mg、2.22mmol)のDMF(5.13mL)溶液に0℃で少量ずつ添加した。反応混合物を30分間攪拌した後、ヨードメタン(416μL、6.66mmol)を滴下した。反応混合物を氷浴温度で1時間攪拌した。反応混合物を水(50mL)で急冷し、得られた沈殿物を濾過し、一晩乾燥させて、白色固体として標題の化合物(535mg、90%)をもたらし、これを次のステップで直接使用した;1H NMR(400MHz,DMSO)1.73(2H,dddd),1.94(1H,d),2.41−2.49(1H,m),3.34−3.38(1H,m),3.36(3H,s),3.81−3.92(3H,m),4.24−4.36(1H,m),8.36(1H,s);m/z MH+ 269.
実施例8:(R)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
炭酸セシウム(364mg、1.12mmol)を、7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン(83mg、0.56mmol)および2−クロロ−7−メチル−9−[(3R)−テトラヒドロピラン−3−イル]プリン−8−オン(150mg、0.56mmol)の1,4−ジオキサン(5mL)溶液にrtで一度に添加し、混合物を窒素バブリングに5分間付すことにより脱気した。Brettphos precat G3(51mg、0.06mmol)を添加し、反応物を100℃で2時間加熱した。混合物をDCMで希釈し、濾過した。DCM層を蒸発させて、残留物を、fcc、溶出勾配0〜5%MeOH(DCM中)により精製した後、MeCNと一緒に粉砕し、濾過し、真空で乾燥させて、クリーム色の固体として標題の化合物(92mg、43%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.59−1.77(2H,m),1.90(1H,d),2.41(3H,s),2.43−2.49(1H,m),3.25(1H,td),3.31(3H,s),3.76−3.88(2H,m),3.92(1H,t),4.27(1H,ddt),7.72(1H,s),8.12(1H,s),8.37(1H,s),8.66(1H,s),9.19(1H,s);m/z MH+ 381.
中間体39:2−クロロ−9−(4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
メチルマグネシウムブロミド(3M、0.89mL、2.67mmol)を、0℃の窒素下、2−クロロ−7−メチル−9−(4−オキソシクロヘキシル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(500mg、1.78mmol)のTHF(10mL)溶液に添加した。反応混合物をrtで4時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去した。未精製生成物を、分取HPLCにより精製して、白色固体(ジアステレオ異性体の混合物)として標題の化合物(400mg、76%)をもたらした;1H NMR(主ジアステレオ異性体)(300MHz,CDCl3)1.30(3H,s),1.47(1H,s),1.51−1.74(4H,m),1.76−92(2H,m),2.62−2.83(2H,m),3.44(3H,s),4.26−4.50(1H,m),8.01(1H,s);m/z MH+ 297.
実施例9:9−((1r,4r)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンおよび
実施例10:9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
Brettphos precat G3(169mg、0.20mmol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジ−i−プロポキシ−1,1’−ビフェニル(94mg、0.20mmol)を、窒素下、2−クロロ−9−(4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(300mg、1.01mmol)、7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン(180mg、1.21mmol)および炭酸セシウム(659mg、2.02mmol)の1,4−ジオキサン(5mL)溶液に添加した。反応混合物を100℃で5時間攪拌した。未精製生成物を分取HPLCにより精製して、白色固体として9−((1r,4r)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(73mg、18%);1H NMR(400MHz,DMSO)0.66(3H,s),1.33−1.45(2H,m),1.45−1.57(4H,m),2.11−2.27(2H,m),2.33(3H,s),3.29(3H,s),3.99−4.13(1H,m),4.33(1H,s),7.71(1H,s),8.10(1H,s),8.38(1H,s),8.70(1H,s),8.97(1H,s);m/z MH+ 409;および白色固体として9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンをもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.15(3H,s),1.34−1.51(4H,m),1.66(2H,d),2.39(3H,s),2.57−2.73(2H,m),3.29(3H,s),4.04(1H,s),4.08−4.21(1H,m),7.70(1H,s),8.05(1H,s),8.38(1H,s),8.59(1H,s),9.14(1H,s);m/z MH+ 409.
フォームA
最終生成物、すなわち9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンをXRPDおよびDSCにより分析したところ、これが結晶性であることが判明した。この物質の試料のXRPDは、図3に示すような回析パターンをもたらした。9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン フォームAは、CuKα線を用いて測定して、8.8°および12.7°の2θ値での少なくとも1つのピークを特徴とする。XRPDの10の最も顕著なピークを表Bに示す。
中間体40:2−クロロ−4−[[(3S)−テトラヒドロフラン−3−イル]アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸エチル
DIPEA(4.74mL、27.1mmol)を、0℃で、2,4−ジクロロピリミジン−5−カルボン酸エチル(5g、22.6mmol)および(S)−テトラヒドロフラン−3−アミン(1.97g、22.6mmol)のアセトニトリル(100mL)溶液に2分かけて滴下した。反応混合物をrtまで昇温させ、rtで16時間攪拌した後、真空で濃縮した。得られた未精製生成物を、fcc、溶出勾配0〜5%EtOAc(石油エーテル中)により精製して、白色固体として標題の化合物(4.60g、75%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.32(3H,t),1.83−1.95(1H,m),2.21−2.35(1H,m),3.65(1H,dd),3.69−3.92(3H,m),4.27−4.37(2H,m),4.57−4.68(1H,m),8.44(1H,d),8.63(1H,s);m/z MH+ 272.
中間体41:2−クロロ−4−[[(3S)−テトラヒドロフラン−3−イル]アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸
LiOH(0.811g、33.9mmol)を、2−クロロ−4−[[(3S)−テトラヒドロフラン−3−イル]アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸エチル(4.60g、16.93mmol)のTHF(50mL)および水(25mL)溶液に0℃で一度に添加した。反応混合物をrtまで昇温させ、rtで2時間攪拌し、一部を真空で濃縮した後、2M HCl水溶液で酸性化した。得られた沈殿物を濾過により単離し、水(20mL)で洗浄した後、真空で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(3.50g、85%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.81−1.93(1H,m),2.21−2.35(1H,m),3.60−3.68(1H,m),3.69−3.94(3H,m),4.56−4.68(1H,m),8.61(1H,s),8.65(1H,s)13.84(1H,s);m/z MH+ 244.
中間体42:2−クロロ−9−[(3S)−テトラヒドロ−3−フラニル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
ジフェニルリン酸アジド(3.10mL、14.37mmol)を、2−クロロ−4−[[(3S)−テトラヒドロフラン−3−イル]アミノ]ピリミジン−5−カルボン酸(3.5g、14.4mmol)およびEt3N(2.00mL、14.4mmol)のTHF(100mL)溶液にrtで一度に添加した。反応混合物を80℃で2日間加熱した。溶媒を減圧下で除去した。得られた未精製生成物を、fcc、溶出勾配0〜50%EtOAc(石油エーテル中)により精製して、白色固体として標題の化合物(3.20g、93%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)2.16−2.32(1H,m),2.35−2.48(1H,m),3.81−3.92(2H,m),3.97(1H,t),4.10(1H,q),4.91−5.03(1H,m),8.14(1H,s),11.66(1H,s);m/z MH+ 241.
中間体43:2−クロロ−7−メチル−9−[(3S)−テトラヒドロ−3−フラニル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
NaH(0.532g、13.30mmol)を、2−クロロ−9−[(3S)−テトラヒドロ−3−フラニル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(3.2g、13.30mmol)のDMF(30mL)溶液に0℃で一度に添加した。反応混合物をrtで30分間攪拌した。MeI(2.49mL、39.9mmol)を添加した。反応混合物をrtで16時間攪拌し、水(5mL)で急冷した後、真空で濃縮した。未精製生成物を、fcc、溶出勾配0〜40%EtOAc(石油エーテル中)により精製して、黄色の固体として標題の化合物(2.90g、86%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)2.18−2.32(1H,m),2.35−2.48(1H,m),3.36(3H,s),3.82−3.94(2H,m),3.98(1H,t),4.11(1H,q),4.95−5.07(1H,m),8.36(1H,s);m/z MH+ 255.
実施例11:(S)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−9−(テトラヒドロフラン−3−イル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
RuPhos Pd(13.96mg、0.02mmol)を、2−クロロ−7−メチル−9−[(3S)−テトラヒドロ−3−フラニル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(85mg、0.33mmol)、7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン(49.5mg、0.33mmol)、RuPhos(15.57mg、0.03mmol)およびCs2CO3(326mg、1.00mmol)の1,4−ジオキサン(1mL)溶液に添加した。反応混合物を100℃で16時間攪拌し、rtまで冷却させ、真空で濃縮した。得られた未精製生成物を、フラッシュC18クロマトグラフィー、溶出勾配0〜55%MeOH(0.1%ギ酸を含む水中)により精製して、白色固体として標題の化合物(87mg、71%)をもたらした;1H NMR(300MHz,CD3OD)2.30−2.40(1H,m),2.47−2.55(1H,m),2.51(3H,s),3.42(3H,s),3.87(1H,q),4.00−4.14(2H,m),4.20(1H,q),5.02−5.30(1H,m),7.64(1H,s),8.07(1H,s),8.33(1H,s),9.43(1H,s),NHプロトンは観察されず;m/z MH+ 367.
中間体44:2−クロロ−4−((4−ヒドロキシ−1−メチルシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸エチル
DIPEA(4.28mL、24.5mmol)を、0℃で、2,4−ジクロロピリミジン−5−カルボン酸エチル(2.46g、11.1mmol)および4−アミノ−4−メチル−シクロヘキサノール塩酸塩(2.00g、11.1mmol)のアセトニトリル(40mL)溶液に5分かけて滴下した。反応混合物をrtまで昇温させ、rtで6時間攪拌した後、真空で濃縮し、EtOAc(300mL)で希釈してから、飽和塩水(100mL×2)で洗浄した。有機層を単離し、MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮した。得られた未精製生成物を、fcc、溶出勾配0〜20%EtOAc(n−ヘプタン中)により精製して、薄黄色のゴムとして標題の化合物(2.82g、81%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.36−1.44(3H,m),1.44−1.58(6H,m),1.57−1.71(1H,m),1.72−2.13(3H,m),2.41−2.54(2H,m),3.63−3.75(1H,m),4.36(2H,q),8.52−8.59(1H,m),8.67(1H,d);m/z MH+ 314.
中間体45:2−クロロ−4−((4−ヒドロキシ−1−メチルシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸
LiOH(0.43g、17.97mmol)を、2−クロロ−4−((4−ヒドロキシ−1−メチルシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸エチル(2.82g、8.99mmol)のTHF(25mL)および水(25mL)溶液に0℃で一度に添加した。反応混合物をrtまで昇温させ、rtで5時間攪拌し、一部を真空で濃縮した後、2M HCl で酸性化した。得られた沈殿物を濾過により単離し、水(20mL)で洗浄した後、真空で乾燥させて、白色固体として標題の化合物(2.17g、85%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.18−1.32(2H,m),1.34−1.52(2H,m),1.43(3H,s),1.52−1.79(2H,m),2.21−2.30(2H,m),3.37−3.49(1H,m),4.55(1H,s),8.59(1H,d),8.74(1H,s),13.85(1H,s);m/z MH+ 286.
中間体46:2−クロロ−9−(4−ヒドロキシ−1−メチルシクロヘキシル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
ジフェニルリン酸アジド(1.64mL、7.59mmol)を、2−クロロ−4−((4−ヒドロキシ−1−メチルシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸(2.17g、7.59mmol)およびEt3N(1.06mL、7.59mmol)のTHF(20mL)溶液にrtで一度に添加した。反応混合物を80℃で2日間加熱した後、真空で濃縮した。得られた未精製生成物を、fcc、溶出勾配0〜50%EtOAc(DCM中)により精製して、白色固体として標題の化合物(1.79g、83%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.09−1.25(2H,m),1.34(3H,s),1.36−1.64(2H,m),1.65−1.77(2H,m),3.17(2H,d),3.41−3.57(1H,m),4.07−4.15(1H,m),8.10(1H,d),11.61(1H,s);m/z MH+ 283.
中間体47および48:2−クロロ−9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−1−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンおよび2−クロロ−9−((1r,4r)−4−ヒドロキシ−1−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
NaOH(1.27g、31.66mmol)の水(24mL)溶液を、2−クロロ−9−(4−ヒドロキシ−1−メチルシクロヘキシル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(1.79g、6.33mmol)、ヨードメタン(1.97mL、31.66mmol)およびテトラブチルアンモニウムブロミド(0.204g、0.63mmol)の攪拌混合物のDCM(40mL)溶液にrtで添加した。反応混合物をrtで16時間攪拌した後、DCM(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。得られた未精製生成物を、fcc、溶出勾配0〜40%EtOAc(DCM中)により精製して、以下、標題の化合物をもたらした:
白色固体として少量生成物2−クロロ−9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−1−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(0.26g、14%);1H NMR(400MHz,CDCl3)1.66(3H,s),1.67−1.85(4H,m),2.19−2.31(2H,m),2.91−3.02(2H,m),3.41(3H,s),3.89−3.99(1H,m),7.99(1H,s),1つの交換性プロトンは観察されず;m/z MH+ 297.
白色固体として主生成物2−クロロ−9−((1r,4r)−4−ヒドロキシ−1−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(1.44g、77%);1H NMR(400MHz,CDCl3)1.42−1.50(2H,m),1.51(3H,s),1.58−1.88(2H,m),1.88−2.00(2H,m),3.40(3H,s),3.52−3.63(2H,m),3.72−3.84(1H,m),7.99(1H,s),1つの交換性プロトンは観察されず;m/z MH+ 297.
実施例12:9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−1−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
RuPhos Pd(5.64mg、6.74μmol)を、2−クロロ−9−((1s,4s)−4−ヒドロキシ−1−メチルシクロヘキシル)−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(40mg、0.13mmol)、7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン(22mg、0.15mmol)、Cs2CO3(132mg、0.40mmol)およびRuPhos(6.3mg、0.01mmol)の1,4−ジオキサン(4mL)溶液に添加した。反応混合物を100℃で3時間攪拌し、rtまで冷却させ、真空で濃縮した。未精製生成物を、フラッシュC18−フラッシュクロマトグラフィー、溶出勾配0〜90%MeOH(0.1%ギ酸を含む水中)により精製し、分取HPLCによりさらに精製して、白色固体として標題の化合物(20mg、36%)をもたらした;1H NMR(300MHz,DMSO)1.34−1.43(2H,m),1.43(3H,s),1.50−1.58(2H,m),1.96(2H,t),2.38(3H,s),2.78−2.83(2H,m),3.26(3H,s),3.60−3.61(1H,m),4.40(1H,d),7.70(1H,m),8.09(1H,s),8.37(1H,s),8.55(1H,s),9.04(1H,s);m/z MH+ 409.
中間体49:2−クロロ−4−(シクロヘキシルアミノ)ピリミジン−5−カルボン酸エチル
シクロヘキサンアミン(4.92ml、43.0mmol)のアセトニトリル(30mL)を、0℃の大気下、DIPEA(11.2mL、64.5mmol)および2,4−ジクロロピリミジン−5−カルボン酸エチル(9.5g、43.0mmol)の混合物のアセトニトリル(200mL)溶液に5分かけて滴下した。反応混合物を0℃で4時間攪拌し、氷浴の融解と共にゆっくりと室温まで昇温させた。反応混合物を真空で濃縮し、EtOAc(200mL)で希釈してから、水(75mL)および飽和塩水(50mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、真空で濃縮した。得られた未精製生成物を、fcc、溶出勾配0〜50%EtOAc(ヘプタン中)により精製して、無色の油として標題の化合物(8.84g、73%)をもたらし、これは、そのまま凝固した;1H NMR(400MHz,CDCl3)1.24−1.35(3H,m),1.38(3H,t),1.38−1.51(2H,m),1.63(1H,dt),1.75(2H,dq),1.92−2.02(2H,m),4.06−4.21(1H,m),4.35(2H,q),8.36(1H,d),8.64(1H,s);m/z:MH+ 284.
中間体50:2−クロロ−4−(シクロヘキシルアミノ)ピリミジン−5−カルボン酸
水酸化リチウム水和物(2.61g、62.3mmol)を、2−クロロ−4−(シクロヘキシルアミノ)ピリミジン−5−カルボン酸エチル(8.84g、31.2mmol)のTHF(50mL)および水(50mL)溶液に0℃で一度に添加した。反応混合物をrtで16時間攪拌し、一部を真空で濃縮した後、2M HCl水溶液で酸性化した。得られた沈殿物を濾過により収集し、水(50mL)で洗浄した後、50℃の真空で2日かけて乾燥させて、白色固体として標題の化合物(7.58g、95%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.18−1.45(5H,m),1.52−1.62(1H,m),1.64−1.73(2H,m),1.83−1.95(2H,m),3.91−4.04(1H,m),8.54−8.6(2H,m),13.74(1H,s);m/z:MH+ 256.
中間体51:2−クロロ−9−シクロヘキシル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
ジフェニルリン酸アジド(6.39ml、29.6mmol)を、2−クロロ−4−(シクロヘキシルアミノ)ピリミジン−5−カルボン酸(7.58g、29.6mmol)およびトリエチルアミン(4.1ml、29.6mmol)のTHF(150mL)溶液にrtで一度に添加した。反応混合物を80℃で26時間攪拌した。反応混合物をrtまで冷却させてから、水(80mL)に注ぎ込み、得られた混合物を真空で一部濃縮した。得られた沈殿物を濾過により収集し、水で洗浄してから、50℃の真空で一晩乾燥させて、白色固体として標題の化合物(7.69g、103%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.12−1.27(1H,m),1.36(2H,qd),1.63−1.7(1H,m),1.71−1.79(2H,m),1.79−1.88(2H,m),2.18(2H,qd),4.14(1H,tt),8.11(1H,s),11.57(1H,s);m/z MH+ 253.
中間体52:2−クロロ−9−シクロヘキシル−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
水素化ナトリウム(60%)(0.261g、6.53mmol)を、2−クロロ−9−シクロヘキシル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(1.1g、4.35mmol)のDMF(10mL)溶液に0℃で少量ずつ添加した。反応混合物を30分間攪拌してから、ヨードメタン(0.817mL、13.16mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で1時間攪拌した後、水(50mL)で急冷し、得られた沈殿物を濾過により収集し、真空で一晩乾燥させて、クリーム色固体として標題の化合物(1.08g、93%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.21(1H,ddd),1.38(2H,tdd),1.65(1H,d),1.74(2H,d),1.83(2H,d),2.09−2.26(2H,m),3.30(3H,s),4.18(1H,tt),8.34(1H,s);m/z MH+ 267.
実施例13:9−シクロヘキシル−7−メチル−2−((7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)アミノ)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
炭酸セシウム(733mg、2.25mmol)を、2−クロロ−9−シクロヘキシル−7−メチル−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン(300mg、1.12mmol)および7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−アミン(167mg、1.12mmol)の1,4−ジオキサン(8mL)溶液にrtで一度に添加した。混合物を窒素バブリングに5分間付すことにより反応物を脱気した。Brettphos precat G3(102mg、0.11mmol)を添加し、反応物を100℃で2時間加熱した。混合物をDCMで希釈し、濾過した。濾過物を真空で濃縮し、残留物を、fcc、溶出勾配0〜5%MeOH(DCM中)により精製した後、MeCNと一緒に粉砕してさらに精製し、45℃の真空で一晩乾燥させて、クリーム色の固体として標題の化合物(233mg、55%)をもたらした;1H NMR(400MHz,DMSO)1.16(1H,q),1.33(2H,q),1.62(1H,d),1.71(2H,d),1.80(2H,d),2.14−2.3(2H,m),2.42(3H,s),3.31(3H,s),4.16(1H,ddd),7.71(1H,s),8.11(1H,s),8.37(1H,s),8.60(1H,s),9.20(1H,s);m/z MH+ 379.
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