JP2020500695A - ガス供給システムにおける過酸化水素の分解を抑制する方法、システム、および装置 - Google Patents

ガス供給システムにおける過酸化水素の分解を抑制する方法、システム、および装置 Download PDF

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Abstract

本明細書には、製造および送達の構成要素の表面改質を使用することによって過酸化水素ガスの分解を抑制する方法、システム、および装置が提供されている。【選択図】図2

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年12月1日に出願された米国特許出願第62/428,808号、および2017年3月2日に出願された米国特許出願第62/466,020号の35USC§119(e)に基づく優先権を主張する。それぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
発明の属する技術分野
本発明は、概して過酸化水素に関し、より具体的には、マイクロエレクトロニクスおよびその他の重要なプロセス用途で使用する高純度過酸化水素ガス流の気相送達方法、システム、および装置に関する。
マイクロエレクトロニクスの製造および加工には様々なプロセスガスが使用される。さらに、高純度ガスを必要とするその他の環境、例えば、限定するものではないが、マイクロエレクトロニクス用途、ウェハ洗浄、ウェハボンディング、フォトレジストストリッピング、シリコン酸化、表面パッシベーション、フォトリソグラフィマスク洗浄、原子層蒸着、化学気相成長、フラットパネルディスプレイ、バクテリア、ウイルスおよび他の生物学的物質で汚染された表面の消毒、工業部品の洗浄、薬剤製造、ナノ材料の製造、発電および制御装置、燃料電池、送電装置、及びプロセス制御と純度が重要な考慮事項であるその他のアプリケーション、では様々な化学物質が使用される。これらのプロセスでは、制御された動作条件、例えば温度、圧力、および流量の下で、特定量の特定のプロセスガスを供給することが必要である。
様々な理由から、プロセス化学物質の気相供給は液相供給よりも好ましい。プロセス化学薬品用に低質量流量を必要とする用途では、プロセス化学薬品の液体供給は正確でないかまたは十分に清浄ではない。送達の容易さ、正確さおよび純度の観点から、気体供給が望ましい。気体流装置は、液体供給装置よりも精密な制御により適している。加えて、マイクロエレクトロニクス用途やその他の重要なプロセスは、一般的に、液体供給よりもガス供給をかなり容易にする大規模なガス処理システムを有する。1つのアプローチは、使用箇所または使用箇所の近くでプロセス化学成分を直接気化させることである。液体の気化は、大量の汚染物質が後に残るプロセスであり、したがってプロセス化学物質を精製することになる。しかしながら、安全性、取扱い、安定性、および/または純度といった理由から、多くのプロセスガスは直接気化に適していない。
マイクロエレクトロニクス用途および他の重要なプロセスにおいて使用されるプロセスガスは数多くある。オゾンは、通常は半導体の表面の洗浄用に(例えば、フォトレジスト剥離)、及び酸化剤として(例えば、酸化物層または水酸化物層を形成する)使用されるガスである。従来の液体ベースの手法とは対照的に、マイクロエレクトロニクス用途および他の重要なプロセスにおいてオゾンガスを使用することの1つの利点は、表面の高アスペクト比構造にガスがアクセスできることである。例えば、国際半導体技術ロードマップ(ITRS)によれば、現在の半導体プロセスは、20乃至22nm程度の小さいハーフピッチと互換性がある。半導体用の次のテクノロジノードは、14乃至16nmのハーフピッチを持つと予想されており、ITRSは近い将来に<10nmのハーフピッチを要求している。これらの寸法では、液体ベースの化学処理は、処理液の表面張力が、深い孔またはチャネルの底部や、高アスペクト比の構造の角部へのアクセスを妨げるので、実現不可能である。したがって、液体ベースのプロセスの特定の制限を克服するために、時にはオゾンガスが使用されてきた。なぜなら、ガスは同じ表面張力の制限に悩まされないからである。液体ベースのプロセスの特定の制限を克服するために、プラズマベースのプロセスも使用されてきた。しかしながら、オゾンベースおよびプラズマベースのプロセスには、とりわけ、操作コスト、不十分なプロセス制御、望ましくない副反応、および非効率的な洗浄を含む、プロセス自身の一連の制限がある。
さらに最近では、過酸化水素がある種の用途においてオゾンの代替品として探求されてきた。しかしながら、高濃度の過酸化水素溶液は安全性および取り扱いに深刻な懸念があり、既存の技術を用いて気相中で高濃度の過酸化水素を得ることは不可能であったため、過酸化水素の用途は限られていた。過酸化水素は通常は水溶液として入手できる。さらに、過酸化水素の蒸気圧は比較的低い(沸点は約150℃)ので、過酸化水素を供給できる方法および装置は、通常、十分な濃度の過酸化水素を伴うガス流を含む過酸化水素を提供するものではない。種々の過酸化水素溶液の蒸気圧および蒸気組成の研究については、例えば、hdl.handle.net/2027/mdp.39015003708784で入手可能な、Hydrogen Peoxide,Schumb et al.,Reinhold Publishing Corporation,1955,New Yorkを参照されたい。さらなる研究で、真空中への送達は、むしろ低濃度の過酸化水素をもたらすことを示している(例えば、Hydrogen Peroxide,Schumb,pp.228−229参照)。30mmHgの真空を使用して供給された30H水溶液の蒸気組成は、大気圧で供給された同じ溶液について予想される約半分の量の過酸化水素を産生すると予測される。
低揮発性化合物の気相供給は、特に一連の独特な問題を提起する。1つのアプローチは、プロセス化学物質が水または有機溶媒(例えばイソプロパノール)のようなより揮発性が高い溶媒と混合されている多成分液体源を提供することである。しかしながら、多成分溶液が送達されるべき液体源(例えば、過酸化水素および水)である場合、多成分溶液についてラウールの法則が関係してくる。ラウールの法則により、理想的な2成分溶液の場合、溶液の蒸気圧は各成分の純粋な溶液の蒸気圧の加重合計に等しくなる。ここで、重みは各成分のモル分率である。
tot=PaXa+PbXb
上式において、Ptotは二成分溶液の全蒸気圧、Pは成分Aの純粋な溶液の蒸気圧、xは二成分溶液中の成分Aのモル分率、Pは成分Bの純粋な溶液の蒸気圧、xは二成分溶液中の成分Bのモル分率である。したがって、各成分の相対モル分率は、それが液体の上の気相における場合よりも液相において異なる。具体的には、揮発性の高い成分(すなわち、より高い蒸気圧を有する成分)ほど、液相中よりも気相中で高い相対モル分率を有する。さらに、バブラーのような典型的なガス供給装置の気相は、キャリアガスによって連続的に一掃されているので、二成分溶液の組成、したがって液体の上のガス状のヘッドスペースは動的である。
このように、ラウールの法則によれば、多成分液体溶液のヘッドスペースに真空を引いた場合、または伝統的なバブラーまたは気化器を使用して溶液を気相で送達する場合、揮発性の低い成分と比較して、溶液のより揮発性が高い成分が溶液から優先的に除去される。このことが、気相で送達できる揮発性の低い成分の濃度を制限している。例えば、キャリアガスが30%過酸化水素/水溶液を通してバブリングされる場合、約295ppmの過酸化水素が供給されるのみであり、残りは全て水蒸気(約20,000ppm)とキャリアガスである。
多成分溶液をプロセスガスの供給源として使用するときに生じる供給速度の差は、再現性のあるプロセス制御を困難にする。連続的に変化する混合物の周りにプロセスレシピを書くことは困難である。さらに、液体源の成分の連続的に変化する比率を測定するコントロールは容易に入手することができず、入手できたとしても、高価でありそしてプロセスに組み入れるのが困難である。さらに、液体源の成分の相対比が変化すると、ある種の溶液は危険になる。例えば、水中の過酸化水素は約75%を超える濃度で爆発性になる。したがって、過酸化水素水溶液を通して乾燥ガスをバブリングすることによって、またはそのような溶液の上のヘッドスペースを排気することによって過酸化水素を送達することは、安全な溶液(例えば、30%のH/HO)を取って、75%以上の過酸化水素である危険物に変えることがある。したがって、現在利用可能な送達装置および方法は、多くのマイクロエレクトロニクス用途および他の重要なプロセスにおいて制御された量のプロセスガスを一貫して正確にかつ安全に送達するには不十分である。
したがって、これらの制限を克服し、特に、マイクロエレクトロニクスの製造などの重要なプロセス用途で使用するのに十分に高濃度の高純度過酸化水素の気相送達を可能にするための技術が必要とされている。
本発明は、高温での過酸化水素ガスの分解が、ケイ素(Si)、メチル基、およびシリノールの材料組成物で被覆されている一又はそれ以上のプロセス構成を使用することによって最小限に抑えられるという知見に基づく。通常はプラスチックである過酸化水素ガスを送達するシステムおよび/またはデバイス内の少なくとも1つの構成要素を、本明細書に提供されている被覆材料で置換することによって、過酸化水素を分解することなくより高い温度と圧力を取り扱うように構成された材料の使用を通してユーザの安全性が高まる。したがって、一態様では、本発明は、過酸化水素溶液に隣接する気相を有する過酸化水素溶液を密閉チャンバ内に提供するステップと;キャリアガスまたは真空をこの気相と接触させてガス流を形成するステップと;少なくとも1000ppmの過酸化水素を含むガス流を重要なプロセス、アプリケーション、あるいは貯蔵容器に送達するステップと;を具え、チャンバの表面と、このチャンバと流体連通している管と、または貯蔵容器の表面と、からなる群から選択される少なくとも一の構成要素が、事前に表面改質されている。様々な実施形態において、過酸化水素溶液は水性または非水性である。様々な実施形態において、過酸化水素溶液は、イオン交換膜などの膜によって過酸化水素溶液から分離された気相を有する。様々な実施形態では、少なくとも1つの構成要素が、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、およびモネルからなる群から選択される材料で形成されており、少なくとも1つの構成要素とガス流との間の一又はそれ以上の接触面が、シリコン、シリコーン、SiO、およびそれらの組み合わせ(例えば、SILCOLLOY(登録商標)(SilcoTek Corporation、ペンシルバニア州ベルフォンテ)) からなる群から選択される表面コートで処理されている。様々な実施形態では、この少なくとも1つの構成要素を30℃乃至約300℃、例えば80℃乃至約200℃に加熱する。少なくとも1つの構成要素内の圧力は、0.75乃至760Torrである。様々な実施形態では、この方法はさらに、密閉したチャンバ内の過酸化水素水溶液に希釈過酸化水素水溶液を加えて、室内の過酸化水素水溶液の濃度を維持するステップを具えていてもよい。
別の態様では、本発明は化学物質送達システムを提供する。このシステムは、密閉チャンバ内に提供された過酸化水素溶液であって、過酸化水素溶液から分離されたまたはそれに隣接した気相を具えている過酸化水素溶液と;この気相と流体接触したキャリアガスまたは真空であって、チャンバ内でガス流を形成するキャリアガスまたは真空と;チャンバと流体連結されており、少なくとも1000ppmの過酸化水素を含むガス流を、重要なプロセス、アプリケーション、または貯蔵容器に送達するように構成された装置と;を具え、この装置とガス流との間の一又はそれ以上の接触面が、シリコン、シリコーン、SiO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される表面被覆で処理されている。様々な実施形態において、過酸化水素溶液は水性または非水性である。様々な実施形態では、チャンバ、装置または貯蔵容器のうちの少なくとも1つが、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、およびモネルからなる群から選択された材料で形成されている。
別の態様では、本発明は過酸化水素送達装置を提供する。この装置は、その中に少なくとも1つの膜を有するハウジングと;ハウジング内に収容された過酸化水素溶液と;このハウジング内に含まれており、膜によって過酸化水素溶液から分離されているヘッドスペースと;を具え、このハウジングが、キャリアガスがヘッドスペースを通って流れて、臨床プロセス、アプリケーション、または貯蔵容器に少なくとも1000ppmの過酸化水素を含むガス流を生成するように構成されており、ハウジングとガス流との間の一又はそれ以上の接触面が、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、およびモネルからなる群から選択された材料で形成されている。様々な実施形態において、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、またはモネルから形成される構成要素は、シリコン、シリコン、シリコーン、SiO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される表面被覆で処理されている。様々な実施形態において、過酸化水素溶液は水性または非水性である。様々な実施形態において、過酸化水素送達装置はまた、ハウジングと流体連通しており、希釈過酸化水素水溶液をハウジング内の過酸化水素溶液に添加するように構成された容器を具える。
別の態様では、本発明は、過酸化水素を含む希釈蒸気を臨床プロセス、アプリケーション、または貯蔵容器に送達する方法を提供する。この方法は、ヘッドスペースを有するボイラ内に濃過酸化水素水溶液を提供するステップと;濃縮した過酸化水素水溶液を加熱して、ボイラのヘッドスペース内に過酸化水素を含む希釈蒸気を生成するステップと;ボイラ内の濃縮過酸化水素水溶液に希釈過酸化水素水溶液を添加して、ボイラ内の過酸化水素水溶液の濃度を維持するステップと;過酸化水素を含む希釈蒸気を重要なプロセス、アプリケーション、または貯蔵容器に送達するステップと;を具え、チャンバの表面、チャンバと流体連通している管、または、貯蔵容器の表面から選択された少なくとも一の構成要素が、事前に表面改質されている。様々な実施形態では、少なくとも1つの構成要素が、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、およびモネルからなる群から選択された材料で形成され、この構成要素とガス流との間の一又はそれ以上接触面は、シリコン、シリコーン、SiO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される表面被覆で処理されている。様々な実施形態では、この少なくとも1つの構成要素を30℃乃至約300℃で、例えば80℃乃至約200℃に加熱する。少なくとも1つの構成要素内の圧力は、0.75Torr乃至760Torrである。
別の態様では、本発明は化学物質送達システムを提供する。このシステムは、濃縮過酸化水素水溶液と;ヘッドスペースを有し、濃縮過酸化水素水溶液を沸騰させてヘッドスペース内に過酸化水素を含む希釈蒸気を生成するように構成されたボイラと;このボイラと流体連通しており、ボイラ内の濃縮過酸化水素水溶液に希釈過酸化水素水溶液を添加してボイル内の過酸化水素水溶液の濃度を維持するように構成されたマニホールドと;を具え、このマニホールドがさらに、過酸化水素を含む希釈蒸気を重要なプロセス、アプリケーション、または貯蔵容器に供給するように構成されている。ボイラ、マニホールド、およびボイラまたはマニホールドと流体連通する管からなる群から選択された少なくとも1つの構成要素は、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、およびモネルからなる群から選択される材料から形成されており、この少なくとも1つの成分とガス流との間の接触面が事前に表面改質されている。様々な実施形態において、表面改質剤は、シリコン、シリコーン、SiO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
本明細書で提供されている装置は、その中で使用する気体および液体の流れを封じ込めて制御する様々な構成要素をさらに具えていてもよい。例えば、この装置は、質量流コントローラ、バルブ、チェックバルブ、圧力計、調整器、回転計、およびポンプをさらに具えていてもよい。本明細書で提供されている装置は、さらに、装置の様々な構成要素と、この方法のステップの温度を制御する様々なヒーター、熱電対、および温度制御装置を具えていてもよい。このような構成要素はステンレス鋼のような金属でできており、過酸化水素ガスとの接触面が過酸化水素ガスの分解を最小にするように表面改質が行われている。好ましい実施形態では、一又はそれ以上の接触面は、シリコン、シリコーン、SiO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された表面被覆で処理される。
図1は、例示的な配管・計装図である。 図2は、真空圧下で3メートルに調整されたSS、再コンディショニングされたステンレス鋼(SS)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)で被覆したSS、およびペルフルオロアルコキシ(PFA)管によるブルートペルオキシド分解の結果を示すグラフ図である。 図3は、例示的な配管・計装図である。 図4は、真空圧下で3メートルに調整されたSS、再調整されたSS、FEPコーティングされたSS、およびPFAを用いた、ブルートペルオキシド分解の結果を示すグラフ図である。 図5は、真空圧下で3メートルに調整されたSS、再調整されたSS、およびFEPで被覆したSSモデルを用いた、ブルートペルオキシド分解の結果を示すグラフ図である。
本発明は、高温での過酸化水素ガスの分解が、ケイ素(Si)、メチル基、およびシリノールの材料組成で被覆されている一又はそれ以上のプロセス要素を使用することによって最小限に抑えられるという知見に基づく。以下に詳細に説明するように、過酸化水素ガスはその凝縮を防ぐために加熱しなければならない。ステンレス鋼管は多くのプロセスガス供給システムにおいて好ましいが、加熱されたステンレス鋼管はHガスの急速な分解をもたらし、様々なプロセスにおいてガスを使用不可能にする。さらに、PFAや他のプラスチック管はHガスに対して不活性であるが、Hなどの有毒ガスに対する安全基準を満たしていない。したがって、本発明は、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、またはモネルから形成された被覆構成要素の、高純度過酸化水素ガスを製造、供給、および/または貯蔵するシステムおよび方法への統合に関する。供給源と使用/貯蔵ポイントとの間の接触領域の表面被覆も考えられる。例えば、限定するものではないが、管、容器、チャンバ、継手、弁、フィルターハウジング、ガス圧力調整器、流量計、熱交換器、シャワーヘッド、ガスディフューザ、および圧力センサなどの構成要素を被覆して、半導体、マイクロエレクトロニクス、ディスプレイ、およびLED用、ならびに食品サービス、医療、病院、および輸送を含む滅菌用のパッシベーションや酸化プロセスで使用される過酸化水素ガスの分解を防ぐことができる。
本システムおよび方法を説明する前に、本発明は説明した特定のシステム、方法、装置、および実験条件に限定されるものではなく、このような方法および条件は変わることがあると理解すべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲でのみ限定されるため、本明細書で使用されている用語は所定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定を意図するものではないことも理解されたい。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば、「方法」への言及は、本開示などを読めば当業者には明らかとなるであろう、本明細書に記載されたタイプの一又はそれ以上方法および/またはステップを含む。
「含む」、「含有する」、または「によって特徴付けられる」と互換的に用いられる「具える」という用語は、包括的または自由記述式の言語であり、列挙されていない追加の要素または方法ステップを排除するものではない。「からなる」という句は、請求項で特定されていない要素、ステップ、または成分を排除する。「本質的にからなる」という句は、請求項の範囲を、特定の材料またはステップ及び請求項に記載の発明の基本的かつ新規な特徴に本質的に影響を与えないものに限定する。本開示は、これらの各句の範囲に対応する本発明の組成物および方法の実施形態を企図している。したがって、列挙された要素またはステップを具える組成物または方法は、その組成物または方法がこれらの要素またはステップから本質的になるかまたはそれらからなる所定の実施形態を企図している。
他に定義されていない限り、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似するまたは同等の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料をここに記載する。
「表面改質」という用語は、ガス発生、ガス供給、またはガス貯蔵システムで使用される構成要素の一又はそれ以上の表面処理であって、コーティングが高温でプロセスガスに対して不活性である処理を指す。例示的な表面改質技術は、引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,867,627号に開示されており、この技術には、例えば、高温下でのSiHガスへの暴露、続く高温下でのエタンおよび空気暴露などの化学蒸着プロセスであって、それによって暴露した表面上に薄い(例えば、約2000)均一なコーティングを形成するプロセスがふくまれる。様々な実施形態において、表面被覆は、シリコン、シリコーン、SiO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。このような表面改質コーティングは、商標名SILCOLLOY(登録商標)、DURSAN(登録商標)、SILCONERT(登録商標)、SILCOKLEAN(登録商標)、SILCOGUARD(登録商標)、及びDURSOX(登録商標)として、SilcoTek社(ペンシルバニア州ベルフォンテ)によって提供される。
本明細書で使用されている「プロセスガス」という用語は広い用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり(特別なまたは特別な意味に限定されるべきではない)、例えば、限定するものではないが、マイクロエレクトロニクスの製造または処理および他の重要なプロセスにおける工程などの用途またはプロセスで使用されるガスを意味する。例示的なプロセスガスは、無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基、ならびに無機および有機溶媒である。好ましいプロセスガスは過酸化水素である。
本明細書で使用される「反応性プロセスガス」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり(そして特別なまたは特別な意味に限定されるべきではない)、例えば、表面、液体プロセス化学物質、または他のプロセスガスと反応させることによって、ガスが使用される特定の用途またはプロセスにおいて化学的に反応するプロセスガスを指すが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「非反応性プロセスガス」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常のおよび慣習的な意味が与えられるべきであり(そして特別なものに限定されるべきではない)、特定の用途またはそのガスが使用される工程において化学的に反応しないプロセスガスを指すが、これらに限定されない。「非反応性プロセスガス」の特性は、特定の用途において有用性を提供する。
本明細書で使用される「キャリアガス」という用語は広い用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり(そして特別なまたは特別な意味に限定されるべきではない)、典型的には一連の配管であるプロセス列を通って別のガスを運ぶのに使用されるガスを指すが、これに限定されない。例示的なキャリアガスは、窒素、アルゴン、水素、酸素、CO、清浄な乾燥空気、ヘリウム、または室温および大気圧で安定している他のガスである。
本明細書で使用される「ヘッドスペース」という用語は広い用語であり、当業者にはその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり(そして 特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない )、ヘッドスペースに含まれるガスの少なくとも一部を提供する原料溶液(例えば、過酸化水素溶液)と流体接触しているガス量を保持するように構成された密閉スペースを指すが、これに限定されない。選択的に過酸化水素溶液と直接接触しているヘッドスペースを隔てる透過性または選択的透過性バリアがあってもよい。膜が過酸化水素溶液と直接接触していない実施形態では、一以上のヘッドスペース、すなわち、溶液の気相を含む原料溶液の真上の第1のヘッドスペースと、例えば過酸化水素といった膜を横切って透過できる第1の空間からの成分のみを含む、第1のヘッドスペースから分離された第2のヘッドスペースがあってもよい。過酸化水素溶液と実質的にガス不透過性の膜によって分離されたヘッドスペースとを有する実施形態では、ヘッドスペースは過酸化水素溶液の上、下、またはいずれかの側に位置するか、またはヘッドスペースは過酸化水素水を取り囲むかまたは過酸化水素水によって囲まれていてもよい。例えば、ヘッドスペースは、過酸化水素溶液を通って流れる実質的にガス不透過性の管の内側のスペースであってもよく、または過酸化水素溶液がその管の外側を囲むヘッドスペースを有する実質的にガス不透過性の管の内側に配置されていてもよい。
本明細書で使用される「実質的にガス不透過性の膜」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常のおよび慣習的な意味が与えられるべきであり(そして特定のあるいはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、限定することなく、過酸化水素などの気相または液相で存在するその他の成分に対して比較的透過性があるが、限定することなる、水素、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、炭化水素(たとえばエチレン)、揮発性酸と塩基、耐火化合物、揮発性有機化合物といったその他のガスに対して比較的不透過性である膜を指す。
本明細書で使用される「イオン交換膜」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味が与えられるべきである(そして特別なまたは特別な意味に限定されるべきではない)。この用語は、限定することなく、膜と外部物質との間でイオンと結合できるかまたはイオンを交換できる化学基を含む膜を指す。このような化学基としては、スルホン酸、カルボン酸、スルホンアミド、スルホニルイミド、リン酸、ホスフィン酸、ヒ素基、セレン基、フェノール基、およびこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「非水性溶液」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常のおよび慣習的な意味が与えられるべきであり(そして特別なまたはカスタマイズされたものに限定されるべきではない)、10%未満の水を含有する二またはそれ以上の成分を含む溶液を指す。
本明細書で使用される「溶媒」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり(そして特別なまたは特別な意味に限定されるべきではない)、適用可能な操作条件下の適用可能な比率で過酸化水素などの溶質と混合した場合に、液体を生成する化合物を意味する。
本発明によって提供される有利な過酸化水素送達、具体的には本明細書に記載の所定の実施形態の方法、システム、およびデバイスは、膜接触器を使用して得ることができる。様々な実施形態では、非多孔質膜を用いて、過酸化水素溶液と、キャリアガスまたは真空と流体接触しているヘッドスペースとの間にバリアを提供する。好ましくは、過酸化水素が膜を横切って急速に浸透し、一方ガスは膜を横切る溶液中への浸透から排除される。いくつかの実施形態では、酸、塩基、または塩で化学的に処理して、膜の特性を改変することができる。様々な実施形態において、過酸化水素ガスとの非膜接触表面(例えば、ステンレス鋼管、プロセス容器など)に表面改質を行って、過酸化水素ガスの分解を最小限に抑えることができる。好ましい実施形態では、接触面は、シリコン、シリコーン、SiO 、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された表面被覆で処理を行う。例えば、この接触面は、SILCOLLOY(登録商標)(SilcoTek Corporation社、Bellefonte、PA)でコーティングすることができる。
所定の実施形態では、過酸化水素は実質的にガス不透過性のイオン交換膜を介してキャリアガスまたは真空中に導入される。ガス不透過性は「漏れ率」によって決定することができる。本明細書で使用される「漏れ率」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり(そして特殊化またはカスタマイズされた意味に限定されるのではない)、限定することなく、単位時間当たりの膜表面積を透過する特定のガスの量を意味する。例えば、実質的にガス不透過性の膜は、プロセスガス(例えば、過酸化水素)以外のガス(例えば、キャリアガス)の漏れ率が低く、例えば、標準の気温と気圧の下で約0.001cm/cm未満の漏れ率である。代替的に、実質的にガス不透過性の膜は、他のガスの透過性と比較したプロセスガス蒸気の透過性の比率によって認識することができる。好ましくは、実質的にガス不透過性の膜は、例えば少なくとも約20,000:1、30,000:1、40,000:1、50,000:1、60、000:1、70、000:1、80、000:1、90、000:1、または少なくとも100、000:1、200、000:1、300、000:1、400、000:1、500、000:1、600、000:1、700、000:1,800,000:1,900,000:1、さらには少なくとも約1,000,000:1の比率でそのほかのガスよりこのようなプロセスガスに対してより透過性がある。しかしながら、その他の実施形態では、例えば、1.5:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、50:1、100:1、500:1、1000:1、または5,000:1、あるいはそれ以上といった、10,000:1より少ない比率で、そのほかのガスよりこのようなプロセスガスに対してより透過性がある。
所定の実施形態においては、膜が交換可能なイオンを含有するポリマー樹脂などのイオン交換膜である。好ましくは、このイオン交換膜は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−プロピレン六フッ化エチレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−ペルフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレンエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、フッ化ビニリデン−三フッ化エチレンクロリドコポリマー、フッ化ビニリデン−プロピレンヘキサフルオライドコポリマー、フッ化ビニリデンプロピレンヘキサフルオライド−エチレン四フッ化三元共重合体、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、およびフッ素化熱可塑性エラストマー、といったフッ素含有ポリマーである。代替的に、この樹脂は、複合材料もしくはポリマー混合物、またはポリマーと他の成分との混合物を含み、連続膜材料を提供する。所定の実施形態においては、膜材料が二またはそれ以上の層を具えていてもよい。様々な層は、例えば化学組成、多孔度、透過性、厚さなどの特性が同じであっても、異なっていてもよい。所定の実施形態では、濾過膜を支持する層、あるいはその他のいくつかの望ましい特性を有する層(例えば、膜)を使用することが望ましいことがある。
イオン交換膜は、エチレンと酸基を含有するビニルモノマーまたはその塩とのコポリマーを含む過フッ素化アイオノマーであることが好ましい。例示的な過フッ素化アイオノマーとしては、限定するものではないが、過フッ素化スルホン酸/テトラフルオロエチレンコポリマー(「PFSA−TFEコポリマー」)および 過フッ素化カルボン酸/テトラフルオロエチレンコポリマー(「PFCA−TFEコポリマー」)が挙げられる。これらの膜は、商標名NAFION(登録商標)(デュポン社)、3Mアイオノマー(ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社)、FLEMION(登録商標)(旭硝子社製)、及びACIPLEX(登録商標)(旭化学工業社)、で市販されている
過酸化水素含有ガス流を調製する際に、過酸化水素溶液をこの膜に通過させるようにしてもよい。本明細書で使用される「過酸化水素溶液を膜に通過させる」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常のおよび慣習的な意味が与えられるべきである(特別な意味、あるいはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない)。また、限定するものではないが、膜の第1面を過酸化水素溶液に接触させて、過酸化水素が膜を通過し、膜の反対側に過酸化水素含有ガス流を得ることを意味する。第1面および第2面は、ほぼ平坦で、対向する平面領域の形態であり、膜がシートである。膜はまた、管状または円筒形の形態で提供されていてもよく、この場合一方の表面が管の内側位置を形成し、反対側の表面が外側表面上にある。この膜は、第1表面と反対側の第2表面が膜材料の大部分を挟んでいる限り、任意の形態をとることができる。処理条件、過酸化水素溶液の性質、生成する過酸化水素溶液の蒸気の量、および他の要因によって、膜の特性を調整することができる。この特性には、限定するものではないが、物理的形態(例えば、厚さ、表面積、形状、シート形態の長さおよび幅、繊維形態の場合は直径)、構成(フラットシート、らせんまたはロールシート、折り畳んだまたは捲縮したシート、繊維アレイ)、製造方法(例えば押出し成型、溶液からのキャスティング)、支持層の有無または活性層の有無(例えば、特定サイズの粒子を吸着する多孔質プレフィルター、化学反応または結合によって不純物を除去する反応性プレフィルター)、などがある。膜は、厚さ約0.5ミクロンまたはそれ以下乃至厚さ2000ミクロンまたはそれ以上で、好ましくは約1、5、10、25、50、100、200、300、400、または500ミクロン乃至約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、または1900ミクロンまでであることが一般に好ましい。より薄い膜を使用する場合、膜に機械的支持(例えば、支持膜、スクリーンもしくはメッシュ、または他の支持構造を使用することによって)を提供することが望ましい場合がある。一方、より厚い膜は支持なしでの使用に適する。表面積は、生成される蒸気の質量に基づいて選択することができる。
本明細書で提供される方法、システム、および装置の所定の実施形態では、キャリアガスまたは真空を使用して、実質的に水を含まない過酸化水素を送達することができる。参照により本明細書に組み入れられている、共通して譲渡された米国特許第9,545,585号を参照のこと。
本発明の所定の実施形態によれば、過酸化水素送達アセンブリ(HPDA)が提供されている。HPDAは、過酸化水素をプロセスガス流、例えば重要なプロセス用途、例えばマイクロエレクトロニクス製造または他の重要なプロセス用途で使用されるキャリアガスに送達する装置である。HPDAは真空条件下でも作動する。HPDAは、少なくとも1つの膜と、非水性過酸化水素溶液を含有する少なくとも1つの容器と、膜によって溶液から分離されているヘッドスペースとを具える、様々な構成を有している。本明細書に記載されているように、過酸化水素と接触する可能性がある少なくとも1つの容器の接触面は、表面を被覆して蒸気の分解を防止および/または最小化するようにしてもよい。
様々な実施形態によれば、HPDAは、膜によって過酸化水素含有溶液から分離されたヘッドスペースを維持しながら、非水性過酸化水素含有溶液で充填することができる。この膜は過酸化水素を透過し、溶液の他の成分は実質的に透過させないため、ヘッドスペースは、プロセスの操作条件に応じて、キャリアガスまたは真空中の実質的に純粋な過酸化水素蒸気を含む。様々な実施形態によれば、HPDAは、参照により本明細書に組み込まれている同一人に譲渡された米国特許第5,087,956号に記載されている装置と同様に構成することができる。様々な実施形態において、送達システムの少なくとも1つの管、構成要素または接触面が、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、およびモネルからなる群から選択された材料で形成されており、HPDAと過酸化水素ガスとの間の接触面(例えば、管、処理容器、貯蔵容器など)に表面改質を行って、過酸化水素ガスの分解を最小限に抑えることができる。好ましい実施形態では、接触面は、シリコン、シリコーン、SiO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された表面被覆で処理されている。例えば、接触面は、SILCOLLOY(登録商標)(SilcoTekCorporation社、ペンシルバニア州ベルフォンテ)で被覆することができる。
過酸化水素含有溶液の温度、および適用可能な場合にはキャリアガスまたは真空を制御することによって、特定の過酸化水素濃度を送達することができる。特定の過酸化水素濃度の選択は、過酸化水素含有プロセスガスが使用/貯蔵されるアプリケーション、プロセスおよび/または貯蔵の要件による。所定の実施形態において、追加のキャリアガスを加えることによって、過酸化水素含有ガス流を希釈してもよい。所定の実施形態では、過酸化水素含有ガス流は、過酸化水素をアプリケーション、プロセスまたは貯蔵容器に送達する前、あるいはその時点で、その他のプロセスガス流と組み合わせるようにしてもよい。代替的にまたは追加で、過酸化水素含有プロセスガス中に存在するあらゆる残留溶媒もしくは安定剤、または汚染物質を、精製装置を用いた精製(例えば、除湿)工程において除去することができる。
別の態様では、高濃度の過酸化水素ガス流を送達する方法、システムおよび装置が提供されている。様々な実施形態では、濃縮過酸化水素水溶液を、ヘッドスペースを有するボイラーに提供し、濃縮過酸化水素水溶液を沸騰させて、ボイラーのヘッドスペース内に過酸化水素を含む希釈蒸気を生成する。希過酸化水素水溶液をボイラー内の濃縮過酸化水素水溶液に添加して、ボイラー内の過酸化水素水溶液の濃度を維持する。このように、過酸化水素を含む一定濃度の希釈蒸気を、使用する重要なプロセスもしくはアプリケーション、または貯蔵容器に送達することができる。様々な実施形態において、過酸化水素蒸気と接触する可能性がある、ボイラー内、貯蔵容器内、およびボイラーと貯蔵容器または重要なプロセスもしくはアプリケーションとの間の表面は、表面改質を行って過酸化水素蒸気の分解を最小限に抑えるようにしてもよい。好ましい実施形態では、接触面が、シリコン、シリコーン、SiO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された表面被覆で処理されている。例えば、接触面は、SILCOLLOY(登録商標)(SilcoTekCorporation社、ペンシルバニア州ベルフォンテ)で被覆することができる。
別の実施形態では、ボイラー内の濃縮過酸化水素水溶液は、希釈過酸化水素水溶液からその場で製造され、使用および/または送達前にその中に貯蔵される。別の実施形態では、この方法は、重要なプロセスもしくはアプリケーション、または貯蔵容器に送達する前に、希釈蒸気を蒸気精製アセンブリに通過させることによって希薄蒸気から汚染物質を除去するステップを具える。別の実施形態では、蒸気精製アセンブリは、そこを通過する蒸気から凝縮流を生成する。別の実施形態では、蒸気精製アセンブリは、過フッ素化イオン交換膜から形成された複数の膜を具える。別の実施形態では、この複数の膜は、NAFION(登録商標)メンブレンからできている。別の実施形態では、過酸化水素水溶液の沸騰を、濃縮過酸化水素水溶液の温度を、例えば約80℃超、約120℃超、約200℃超、または約300℃超に加熱して制御することによって達成する。別の実施形態では、過酸化水素水溶液の沸騰が、濃縮過酸化水素水溶液の圧力を制御することによって達成している。別の実施形態では、過酸化水素水溶液の沸騰が、濃縮過酸化水素水溶液の温度と圧力を制御することによって達成している。別の実施形態では、ボイラーへの希過酸化水素水溶液の添加が、沸騰が始まると開始する。別の実施形態では、この方法は、不揮発性であるか、または精製アセンブリによって拒絶される安定剤を添加するステップ、すなわち安定剤が膜を通過しないステップをさらに具える。
本開示の別の態様では、濃縮過酸化水素水溶液と、ヘッドスペースを有し濃縮過酸化水素水溶液を沸騰させてヘッドスペース内に過酸化水素を含む希薄蒸気を生成するように構成されたボイラーと、ボイラーと流体連通しており、ボイラー内の濃縮過酸化水素水溶液に希釈過酸化水素水溶液を添加して、発生している希釈蒸気の濃度を維持するように構成されたマニホールドと、を具える化学物質送達システムに関する。様々な実施形態では、マニホールドがさらに、過酸化水素を含む希薄蒸気を重要なプロセスもしくはアプリケーション、または貯蔵容器に送達するように構成されている。様々な実施形態において、送達システムの少なくとも一の表面、管または構成要素は、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、およびモネルからなる群から選択される材料から形成されており、表面、管または構成要素と、過酸化水素蒸気との間のあらゆる接触表面(例えば、管、処理容器、貯蔵容器など)を表面改質して、過酸化水素ガスの分解を最小限にするようにしてもよい。好ましい実施形態では、この接触面は、シリコン、シリコーン、SiO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される表面被覆で処理される。例えば、接触面は、SILCOLLOY(登録商標)(SilcoTekCorporation社、ペンシルバニア州ベルフォンテ)で被覆することができる。
別の実施形態では、ボイラー内に提供される濃縮過酸化水素水溶液が、希釈過酸化水素水溶液からその場で作製される。別の実施形態では、マニホールドがさらに、希釈蒸気から汚染物質を除去するように構成された精製アセンブリを具える。別の実施形態では、精製アセンブリが過フッ素化イオン交換膜で形成された複数の膜を具える。別の実施形態では、複数の膜がNAFION(登録商標)膜で形成されている。別の実施形態では、濃縮過酸化水素水溶液の沸騰はが、ボイラーを約80℃超、約120℃超、約200℃超、または約300℃超に加熱するように構成された熱源によって制御される。熱源は、ボイラーに連結された少なくとも一の熱電対と電気的に通信するように設けることができる。別の実施形態では、濃縮過酸化水素水溶液の沸騰が、圧力変換器と、ボイラーに接続された制御弁によって制御される。別の実施形態では、濃過酸化水素水溶液の沸騰が、ボイラー内の過酸化水素水溶液の温度と、ボイラー内のヘッドスペースの圧力とを制御することによって制御される。所定の実施形態では、ボイラーの溶液の加熱に使用されるエネルギー、オリフィスにかかる圧力の変化を決定することによって、これらのモニタ方法の組み合わせ、またはこのようなシステム内のガス流をモニタするそのほかの適切な方法によって、過酸化水素を含む希薄蒸気の流速をモニタすることができる。別の実施形態では、化学物質送達システムはさらに、濃縮過酸化水素水溶液に添加する安定剤をさらに具えていてもよく、この安定剤は不揮発性であるかまたは精製アセンブリによって拒絶される、すなわちこの安定剤は膜を通過しない。様々な実施形態において、化学物質送達システム内で過酸化水素蒸気と接触する可能性のある接触面(例えば、処理容器、貯蔵容器、管、弁など)は、表面改質を行って、過酸化水素ガスの分解を最小限にすることができる。好ましい実施形態では、接触面は、シリコン、シリコーン、SiO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された表面被覆で処理される。例えば、接触面は、SILCOLLOY(登録商標)(SilcoTekCorporation、ペンシルバニア州ベルフォンテ)で被覆することができる。
所定の実施形態では、希釈蒸気中の過酸化水素濃度は0.1%乃至20%w/wの間である。所定の実施形態では、希釈蒸気中の過酸化水素濃度は、モル分率で1%乃至20%の間である。所定の実施形態では、濃縮過酸化水素水溶液の温度は、30℃乃至130℃の間である。様々な実施形態において、臨界プロセスまたはアプリケーション、または貯蔵容器に供給される過酸化水素を含む希釈蒸気の圧力は、下流のバルブによって制御され、最大約2000Torr、約0.1Torr乃至2000Torr、約1Torr乃至2000Torr、約1Torr乃至1000Torrの圧力で送達される。ボイラーまたは蒸気精製器アセンブリ(SPA)の下流の弁は、適用可能な運転条件の要件に従って過酸化水素含有ガス流の圧力、流量、および濃度を制御するように構成することができる。所定の実施形態では、下流の弁が、過酸化水素含有ガス流と他のプロセスガスとの混合を防止する。過酸化水素含有ガス流の圧力、流れ、および濃度を制御するのに有用な弁の例は、ステッパー制御式ニードル弁である。様々な実施形態において、この弁は、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、およびモネルからなる群から選択される材料から形成されており、弁と過酸化水素ガスとの間の接触面を表面改質して、過酸化水素ガスの分解を最小限にすることができる。好ましい実施形態では、接触面は、シリコン、シリコーン、SiO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される表面被覆で処理される。例えば、接触面は、SILCOLLOY(登録商標)(SilcoTekCorporation社、ペンシルバニア州ベルフォンテ)で被覆することができる。
所定の実施形態では、本発明の方法、システム、およびデバイスは、キャリアガスを使用せずに過酸化水素を含む蒸気とスチームを送達する。その他の所定の実施形態では、過酸化水素を含む蒸気とスチームがキャリアガスを含み、例えば、不活性ガスを使用して過酸化水素含有ガス流を希釈することができる。他の所定の実施形態では、本発明の方法、システム、および装置は、適用可能な場合、ボイラーまたはSPAの下流のバルブを通して圧力を制御することで、大気圧または真空圧力で過酸化水素をプロセスまたは貯蔵容器に送達する。その他の所定の実施形態では、過酸化水素蒸気を、重要なプロセス、アプリケーション、あるいは貯蔵容器へ送達する前に、過酸化水素を含む蒸気から残留スチームを除去することができる。様々な実施形態において、送達システムおよび/または貯蔵容器の少なくとも1つの表面、管または構成要素は、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、およびモネルからなる群から選択された材料で形成されており、過酸化水素蒸気と接触する可能性があるシステム/装置の接触面(例えば、管、プロセス容器、貯蔵容器、バルブなど)は表面改質を行って、過酸化水素の分解を最小限に抑えることができる。好ましい実施形態では、この接触面は、シリコン、シリコーン、SiO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される表面被覆で処理される。例えば、接触面は、SILCOLLOY(登録商標)(SilcoTekCorporation社、ペンシルバニア州ベルフォンテ)で被覆することができる。
以下の実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明を限定することは意図していない。
実施例1
被覆材料を用いたH蒸気分解の測定
この実験の目的は、SilcoTek Corporation(Bellefonte、PA)により提供されるDURSAN(登録商標)、SILCOLLOY(登録商標)1000、SILCONERT(登録商標)2000の上で、H蒸気が分解する温度と、どのくらい分解するかを測定することであった。二次的な目的はH蒸気が各被覆表面で、完全に分解する温度を測定することであった。
理論上の構成曲線は、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)ガスセル中に存在するHの蒸気圧の測定に使用する3.16TorrでのFTIRを用いて作成した。この測定値は、蒸気圧をブランク試料の蒸気圧と比較することによって、所定の物質の存在が所与の温度でHの分解を引き起こすかどうかの判定に使用することができる。この方法によれば、あるコーティングがブルートペルオキシドと共に使用することを意図したプロセスマニホールド用のコーティングとして使用すべきかどうかを迅速に決定することができる。SilcoTek社からの以下の3つのサンプル: DURSANR、SILCOLLOY(登録商標)1000、およびSILCONERT(登録商標)2000は、ブルートペルオキシド送達に使用される潜在的なコーティングであり、100℃を超える温度で管状炉で試験を行いHの分解を測定した。
試験装置:
・ 精製窒素源
・ユニットUFC−1000マスフローコントローラ(MFC−1−1000 SCCM)(制御範囲:FS:50:1、精度:フルスケールの1.0%)
・Brooks SLA5850 Sシリーズマスフローコントローラ(MFC2−10SLM)(制御範囲:50:1のFS;精度:20−100%FSの場合は0.9%のSP、2−20%FSの場合は0.18%のFS)
・ 4−1/3PSIチェックバルブ(CV−1、CV−2、CV−3、およびCV−4)
・ ブルートペルオキシド気化器(Rasirc P/N 100742)
・ 安定化ブルートペルオキシド溶液(900g)
・ 気化器の蓋に取り付けた2−ステンレス製ダイヤフラムバルブ(V−1およびV−2)
・ PFAボールバルブ(V−3)
・ ステンレス鋼製ニードルバルブ(V−4)
・ 5−3方向PFA空気圧バルブ(PV−1−PV−5)
・ フォワードプレッシャーレギュレーター(FP−1)
・ ステンレス鋼J型熱電対(範囲:0−750℃、精度:2.2℃以上または0.75%)
・ 管状炉(MTI Corp.、GSL−1100X)
・Wika 0−25PSIA圧力トランスデューサ(PT−1)−[精度<0.5%のスパン、ヒステリシス<0.1%のスパン]
・ヒートレース材料
・Carulite 2004X8で構成したH洗浄機
・ガスセル付ThermoScientific Nivolet iS 10 FTIR
図1は、試験設定についての配管・計装図を示す。精製窒素を、フォワードプレッシャーレギュレーターを用いて25PSIGに維持した。1000 SCCM Unitマスフローコントローラ(MFC−1)を使用して、試験装置にゼロガスを供給した。A200 SCCM Brooksマスフローコントローラ(MFC−2)を使用して15 SCCMのキャリアガスを供給した。MFCを化学物質の曝露から保護するために、2つの1/3psiチェックバルブ(CV−1およびCV−2)を用いた。この実験用のH源として、蓋付きのブルートペルオキシド気化器(BPV)を使用した。BPVの蓋に取り付けた2つのステンレス鋼ダイヤフラム弁(V−1およびV−2)を用いて試験の間にBPVを隔離した。2つの3方向空気圧PFAバルブ(PV−1およびPV−4)を用いてBPV出力を炉またはバイパスに送達した。3つの三方PFA空気圧弁(PV−2、PV−3、およびPV−5)を使用して、ゼロガスを炉または通気口に送った。 2つの1/3PSIチェックバルブ(CV−3およびCV−4)をゼロガス通気口に配置して、大気ガスが試験装置に入るのを防いだ。5つの空気圧弁(PV−1− PV−5)はすべて同じスイッチで制御および作動させた。PFAボールバルブ(V−3)を使用してBPVを迂回させて、ゼロガスを炉に送った。MTI社のGSIL−1100X環状炉を用いて、試験材料を収容し加熱した。ステンレス鋼 J型熱電対を用いて、従来のHで試験を行う前に、炉の温度プロファイルを測定した。Wika0−25PSIA圧力変換器(PT−1)を用いて、FTIRガスセルの上流の圧力を監視した。ガスセルで固定したThermoScientificNicoletiS10FTIRを用いて、BPVプロセスガスの吸着度を測定した。FTIRに付属のOmnic and TQ Analystソフトウェアを使用して、FTIRの結果を記録および測定した。Carulite200 4X8でできた洗浄機を使用して、HをHOとOに分解した。VRCドライ真空ポンプを使用して試験装置を真空にした。 ステンレス鋼ニードルバルブ(V−4)を使用して、PT−1で読み取ったときのガスセルに適用した真空を測定し、必要に応じて真空からマニホルドを切り離した。ポンプの上流側の設定全体をヒュームフード内に設定した。ポンプを使用してヒュームフードを換気した。PLCとTerratermソフトウェアを使用してPT−1を記録した。FTIRを回収して、FTIRに付属のOmnic andTQ Analystソフトウェアで分析した。
試験手順:
1.V−1、V−2、V−3、V−4を閉じる。
2.ヒートトレースを100℃に設定する。
3.VRCドライ真空ポンプをオンにする。
4.炉を150℃にする
5.空気圧バルブがBPVプロセスとゼロガスを炉に送り、換気するように設定されていることを確認する。
6.MFCを1乃至15SCCMに設定する。
7.V−3を開き、MFC−2を15SCCMに設定する。
8.V−4を1/4回転開く。
9.PT−1が3トルになるまでV−4を調整する。
10.FTIRを液体窒素で満たし、ベンチのピーク・ツー・ピーク値が少なくとも8であることを確認する。
11.Omnicソフトウェアを使用して、空の炉を通して乾燥窒素のバックグラウンドサンプルを取得する。
12.この値を記録し、残りの試験のバックグラウンドとして使用する。
13.V−2とV−1を開き、V−3を閉じる。
14.安定性を確保するために15分間、稼働させる。
15.Omnicソフトウェアを使用して、蒸気の流れのサンプルを少なくとも3回(5分間隔で)収集する。
16.ベースラインのH測定値としてステップ15の結果を記録する。
17.BPV出力をバイパスに切り替え、ゼロガスを炉に切り替える。
18.銅板を炉に入れる。
19.BPVの出力を炉に切り替え、ゼロガスをバイパスに切り替える。
20.安定性を確保するためにシステムを15分間稼働させる
21.Omnicソフトウェアを使用して、蒸気の流れのサンプルを少なくとも3回(5分間隔で)収集する。
22.ステップ21の結果を銅サンプルとして記録する。
23.BPVをバイパスに切り替え、ゼロガスを炉に切り替える。
24.炉から銅板を取り出す。
25.BPVの出力を炉に切り替え、ゼロガスをバイパスに切り替える。
26.再現性の必要に応じてステップ14乃至25を繰り返す。
27.Dursan(登録商標)、Silcolloy(登録商標)1000およびSilconert(登録商標)2000について、ステップ14乃至26を繰り返す。
28.試験が完了したらBPV出力をバイパスに切り替えゼロガスを炉に切り替える。
29.炉の電源を切る。
30.V−1とV−2を閉じ、V−3を開く。
31.マニホールドを精製窒素でパージする。
表1および表2は、Hの分解率および展開した較正曲線で測定した分圧の結果を示す。対照として銅を150℃で流して、現試験構成下で分解が測定可能であり定量可能であることを保証した。SILCOLLOY(登録商標)もSILCONERT(登録商標)も150℃で分解を示さず、一方、DURSAN(登録商標)は、150℃でHを6%分解した。SILCONERT(登録商標)は、200℃でHを完全に分解したが、DURSAN(登録商標)とSILCOLLOY(登録商標)は、94%と91%であった。DURSAN(登録商標)とSILCOLLOY(登録商標)はどちらも、225℃でHを完全に分解した。
表1.試験を行った各材料および温度についての、Hの分解率
Figure 2020500695
表2.試験を行った各材料及び温度についてのH分圧(Torr)
Figure 2020500695
長さ10インチ、直径1/4インチのステンレス鋼管片をSilcoTekに送って、Silcoloy(登録商標)1000で被覆した。図1のオーブンに代えてこの管を試験装置に設置した。同じ長さのPFAとSULFINERT(登録商標)(SILCONERT(登録商標)2000)も試験を行って、Silcolloy(登録商標)1000の結果に関する直接的な比較を提供した。表3および4は、この実験の結果をHの分解率と部分圧で示す。PFAは分解の兆候なしに225℃に加熱され、一方この結果はPFAを用いて200℃で42%のHの分解を示した。SULFINERT(登録商標)は60℃と100℃で固有のHの分解を示さなかった。理論に縛られることなく、これらの結果には2つの理由が考えられる。まず、これは、試験中のHの初期蒸気圧が約30%(以前:0.86Torr、現在:0.61Torr)低くなったことに起因している。次に、テストマニホールドとPFA管は、以前のテストマニホールドで使用されていたものとは異なる成分で構成されている。したがって、以前のマニホールドには、現在のマニホールドには存在しなかった金属汚染があったと考えられる。前回の結果と同様に、SULFINERT(登録商標)は、150℃でHを部分的に分解し、175℃でHを完全に分解した。SILCOLLOY(登録商標)1000を分解の兆候なしに300℃まで加熱した。
表3.試験を行った材料と温度についてのH分解パーセント
Figure 2020500695
表4.試験を行った材料と温度についてのH分圧(Torr)
Figure 2020500695
結論:SILCONERT(登録商標)は200℃でHを完全に分解した。DURSAN(登録商標)は200℃でHを6%分解した。DURSAN(登録商標)とSILCOLLOY(登録商標)は 225℃でHを完全に分解した。DURSAN(登録商標)とSilcolloy(登録商標)は、200℃でHを94%及び91%分解した。
PFA管は、225℃まではHの分解を示さなかった。SULFINERT(登録商標)(SILCONERT(登録商標)2000)は、150℃でHを部分的に分解し、175℃でHを完全に分解した。SILCOLLOY(登録商標)1000管は300℃までHの分解の徴候を示さなかった。
実施例2
SILCOLLOY被覆SSを用いたHの蒸気分解測定
この実験の目的は、異なる温度で真空圧下、3メートル、内径1/2インチのSILCOLLOYで被覆したステンレス鋼管を通るブルートペルオキシド蒸気の分解率を測定することである。
PFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)、予調整されたステンレス鋼(SS)、およびフッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)で被覆したステンレス鋼との、ブルートペルオキシド蒸気適合性について、以前から研究が行われてきた。以前の研究では、3メートルのコイル状で内径1/2インチのPFA管、前処理されたSS、およびFEPで被覆したSSについて、異なる温度の真空圧力でFTIRを使用して、ブルートペルオキシドの分解率を測定した。この報告書では、SILCOLLOYで被覆した物質との、ブルートペルオキシドの適合性を調べた。最終的な目標は、3mのコイル状で内径1/2インチのSILCOLLOY被覆SS管のブルートペルオキシドの分解率を異なる温度で測定することである。
FTIRガスセル中に存在するHの蒸気圧の定性的な測定に使用できる理論的較正曲線を、3.16トルのFTIRで作成した。この測定を用いて、所定の温度で、ブルートH蒸気が加熱しSILCOLLOYで被覆したSSと接触して分解するかどうかを測定した。これは、H蒸気が被覆したSSを通ってPFAに向かって流れるときのFTIRからのH蒸気の読みを比較することによって行った。この方法により、SILICOLLOY被覆が、ブルートペルオキシドのプロセスマニホールドの被覆材用と考えるべきかどうかの迅速な決定が可能となった。
試験装置:
・精製窒素源
・ユニットUFC−1000マスフローコントローラ(MFC−1−1000 SCCM)(制御範囲:FSの50:1、精度:フルスケールの1.0%)
・Brooks SLA5850 Sシリーズマスフローコントローラ(MFC 2−10SLM)(制御範囲:FSの50:1、精度:20−100%FSではSPの0.9%、2−20%FSではFSの0.18%)
・4−1/3 PSIチェックバルブ(CV−1、CV−2、CV−3、およびCV−4)
・ブルートペルオキシド気化器(Rasirc P/N 100742)
・安定ブルートペルオキシド溶液(900g)
・気化器の蓋に取り付けた2−ステンレス製ダイヤフラムバルブ(V1およびV−2)
・PFAボールバルブ(V−3)
・ステンレス鋼製ニードルバルブ(V−4)
・5−3方向PFA空気圧バルブ(PV−1乃至PV−5)
・フォワードプレッシャーレギュレーター(FP−1)
・PFA被覆J型熱電対(TC−1)(範囲:0乃至750℃、精度:2.2℃または0.75%以上)
・外径1/インチの3mコイル状Silcolloy被覆SS管
・2−Wika0−25PSIA圧力トランスデューサ(PT−1)、(PT−2)(精度<0.5%のスパン、ヒステリシス<0.1%のスパン)
・ヒートレース材
・Carulite 200 4X8で構成したH洗浄機
・ガスセル付ThermoScientificNicolet iS10FTIR
図3は、試験設定のP&IDを示す。精製窒素を、フォワードプレッシャーレギュレーターを用いて25PSIGに維持した。1000SCCMユニットマスフローコントローラ(MFC−1)を使用して、試験装置に50sccmのゼロガスを供給した。200SCCM Brooksマスフローコントローラ(MFC−2)を用いて15SCCMのキャリアガスを供給した。2つの1/3PSIチェックバルブ(CV−1およびCV−2)を用いて、MFCを化学物質の曝露から保護するようにした。この実験用のH源として、蓋付きのブルートペルオキシド気化器(BPV)を使用した。これは以前に使用したものと同じ気化器であるが、新しい溶液を補充したものである。BPVの蓋に取り付けた2つのステンレス鋼ダイヤフラム弁(V−1とV−2)を用いて、試験中BPVを隔離した。Wika0−25PSIA圧力変換器(PT−1)をBPVの下流に配置して、下流の圧力を監視した。2つの3方向空気圧PFAバルブ(PV−1とPV−4)を使用して、3メートルのコイル状管またはPFAバイパスラインに、BPV出力を送達した。3つの三方PFA空気圧弁(PV−2、PV−3、およびPV−5)を使用して、ゼロガスをコイル状管に送る、あるいは換気した。2つの1/3PSIチェックバルブ(CV−3とCV−4)をゼロガス通気口に配置して、大気ガスが試験装置に入るのを防止した。上述したように、5つの空気圧弁(PV−1乃至PV−5)は全て同じスイッチによって制御し、作動させた。PFAボールバルブ(V−3)を使用してBPVを迂回させ、Nガスをマニホールドに送った。3メートルのコイル状SILCOLLOY被覆SSをBPVの下流に配置した。コイル状管をヒートトレースした。2’PFA管をバイパスとしてBPVの下流に配置した。Wika0−25PSIA圧力変換器(PT−2)を使用してFTIRガスセルの上流の圧力を監視した。ガスセルで固定したThermoScientificNicolet iS10を用いて、BPVプロセスガスの吸着を測定した。FTIRに付属のOmnic and TQ Analystソフトウェアを使用して、FTIRの結果を記録および測定した。Carulite 200 4×8でできた洗浄機を使用して、任意のHをHOとOに分解した。VRCドライ真空ポンプを用いて、試験装置を真空にした。ステンレススチールニードルバルブ(V−4)を使用して、PT−2で読み取るようにガスセルの真空を測定し、必要に応じてマニホールドを真空から隔離した。ポンプの上流側の設定全体をフュームフード内に設定した。ポンプを用いてフュームフード内を排気した。PT−1、PT−2は、PLCとTerraterm ソフトウェアを用いて記録した。FTIRを回収し、FTIRに付属のOmnicおよびTQ Analystソフトウェアを使用して分析した。
試験手順:
・SILCOLLOYで被覆したステンレス鋼管:
1.V−1、V−2、V−3、V−4を閉じる。
2.3M管以外の、テストマニホールド内のすべての温度範囲を100℃に設定する。
3.3M管を表3に掲載されている各テストに対応する温度に設定する。
4.VRCドライ真空ポンプの電源を入る。
5.空気弁がBPVプロセスをPFA管に送るように設定されていることを確認する。
6.MFC1を15SCCMに設定する。
7.V−3を開き、MFC−2を15SCCMに設定する。
8.V−4を1/4転させる。
9.PT−2が3.16トルになるまでV−4を調整する。
10.FTIRを液体窒素で満たし、ベンチのピークツーピークが少なくとも8の読み取り値であることを確認する。
11.Omnicソフトウェアを使用して、PFA管を通る乾燥窒素のバックグラウンドサンプルを採取する。
12.この値を記録し、残りの試験のバックグラウンドとして使用する。
13.V−2とV−lを開き、V−3を閉じる。
14.15分間プロセスを実行して、安定性を確保する。
15.Omnicソフトウェアを使用して、蒸気流のサンプルを回収する。
16.PFA−Hの読み取り値としてステップ15の結果を記録する。
17.BPV出力をコイル状SS管に切り替える。
18.15分間プロセスを実行して、安定性を確保する。
19.Omnicソフトウェアを使用して、蒸気流のサンプルを回収する。
20.SS−Hの読み取り値としてステップ15の結果を記録する
21.BPV出力をPFAに切り替え、ゼロガスをSSに切り替えます。
22.ステップ14乃至21を3回繰り返す
23.V1とV−2を閉じ、V−3を開く。
24.SSの温度を表1から次の設定値に変更する。
25.SSが設定温度に達するまで待つ。
26.表1のすべての設定値について、ステップ13乃至22を繰り返る。
27.試験が完了したらBPV出力をPFAに切り替えゼロガスをSSに切り替える。
28.V−1とV−2を閉じ、V−3を開く。
29.マニホールドを精製窒素でパージする。
表5.試験パラメータ
Figure 2020500695
表5は、異なる温度での、SILCOLLOY被覆SSによるブルートペルオキシド分解の結果を示す。異なる温度でのSILCOLLOY被覆SSの分解試験すべてについて、キャリアガス流量は 0.015slm のNであった。全ての実験でPT2の圧力は3.157トルに維持された。ブルートペルオキシド蒸発器は室温であった。PFA管(ベースライン)を通る過酸化物平均濃度は、真空中で約312377±68850ppmであった。これらの結果を他の材料を用いた以前の結果と直接比較するために、すべての結果をまとめて図4に棒グラフの形で図に示す。
図4に示すように、x軸は、3メートルの管を加熱した温度設定値を示す。y軸は、ブルートペルオキシド出力をバイパス(100℃に加熱された2’PFA管)から3メートル管に切り替えときの過酸化物蒸気圧の百分率差を表す。グラフ内の様々な棒の色は、管の材質やコーティングが異なることを表している。図に示すように、全ての試験材料による過酸化物分解は管の温度が上昇するにつれて増加した。120℃以下の温度では、SILCOLLOY被覆管の最大分解率は90℃で約5.8%であった。この管では、BVP出力が非常に低かった(0.75トル)ことを考慮するべきである。したがって、分解率測定は現方法の精度の範囲内ではないかもしれない。120℃では、このSILCOLLOYによる分解率は、予調整SSおよびFEP被覆SSよりそれぞれ約90%および84%良好であった。
予調整SS、FEP被覆SS、およびSILCOLLOY被覆されたSSについてのすべての分解率の結果を比較すると、SILCOLLOY被覆SSを用いた分解率が、所与の温度で最も低いと結論付けることができる。
表6.3MのSILCOLLOY被覆SSおよびPFAを使用した真空圧下での過酸化物分解の結果
Figure 2020500695
SILCOLLOY被覆管の分解結果は、回帰多項式モデルに当てはめることができる一般的な傾向に従っている。図4は、従来の材料についての従来のモデルと共にこのモデルを示す。SILCOLLOY被覆SSの3メートル、内径1/2インチの管では、平均送達過酸化物濃度312Kppm、圧力3.16Torr、キャリアガス流量15sccmでのブルートペルオキシド分解率は、以下の二次方程式で計算できる:
分解率=2.0E−05T−2.0E−03T+5.0E−02
ここで、T:は60℃<T<225℃の表面温度であり;分解率は、温度Tで材料と接触しているブルートペルオキシド蒸気の分解率であり;分解率>100%は完全な分解を意味し;分解率<3%は分解しないことを意味する。
この研究では、真空圧下で異なる温度のSILCOLLOY被覆SSの内径3メートル、1/2インチ管についてブルートペルオキシドの分解速度を測定した。圧力とキャリアガス流速は、すべての試験についてそれぞれ3.16Torrと15sccmに維持した。結果は、ブルートペルオキシド分解に対する温度と材料の影響を示している。したがって、真空下、225℃以下の温度で、ブルートペルオキシド蒸気を送達するのには、SILCOLLOY被覆SS最適であると結論できる。
表7.3メートルのSILCOLLOY被覆SS管とブルートペルオキシド分解研究の試験パラメータ
Figure 2020500695
実施例3
SILCOLLOY被覆SSの表面分析
この分析の目的は、ステンレス鋼管の内側のコーティングの組成および化学的性質を調べることである。
化学分析用電子分光法(ESCA)としても知られるX線光電子分光法(XPS)は、定量的原子組成および化学的性質の測定に使用される。XPSはサンプルに単色のX線を照射して機能し、そのエネルギーが元素およびその化学的/酸化状態に特徴的であり、その強度がサンプリング体積内に存在する元素の量を反映する光電子を放出する。光電子はX線の侵入深さ(通常、数ミクロン)で生成されるが、最高で50乃至100Aの光電子のみを検出する。検出限界は約0.05乃至1.0原子百分率である。検出限界に影響する主な要因は、元素自体(一般的に重い元素ほど検出限界が低い)、干渉(他の元素からの光電子ピークやオージェ電子ピークを含む)、バックグラウンド(主にエネルギーを失った電子からマトリックスへの信号による)。
コーティングは、主に、元素Si(Si)と、低レベルのSiO、シリコーン、及び他の有機化学種からできていることが分かった。原子組成を表8に、Siの結合状態を表9に示す。炭素は主に、低レベルの炭素−酸素官能基を有する炭化水素として見られる。Siのスペクトルによって表わされる低レベルのシリコーンは、炭化水素と同じ結合エネルギーで現れる。酸素レベルはこれまでに確認された種について予想されていたレベルよりも高かった。これは、コーティング上に−OH基(おそらく吸着した水)が存在する可能性を示している。
表8.原子濃度(原子百分率)
Figure 2020500695
表9.シリコンの化学状態
Figure 2020500695
本発明を上記の実施例を参照して説明してきたが、修正および変形が本発明の精神および範囲内に包含されることが理解されるであろう。従って、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (34)

  1. (a)密閉チャンバ内に蒸気相を有する過酸化水素溶液を提供するステップと;
    (b)キャリアガスまたは真空を前記蒸気相と接触させてガス流を形成するステップと;
    (c)少なくとも1000ppmの過酸化水素ガスを含むガス流を重要プロセスと、アプリケーション、または貯蔵容器に送達するステップであって、前記チャンバ表面、前記チャンバに流体連通した管、または前記貯蔵容器の表面からなる群から選択された少なくとも1つの構成要素が事前に表面改質を受けている、ステップと;
    を具えることを特徴とする方法。
  2. 前記過酸化水素溶液が非水性であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記過酸化水素溶液が、膜によって当該過酸化水素溶液から分離された蒸気相を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1つの構成要素が、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、及びモネルからなる群から選択される材料で形成されており、前記構成要素とガス流との間に形成された接触面が、シリコン、シリコーン、SiO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される表面コートで処理されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記膜がイオン交換膜であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1つの構成要素が30℃乃至300℃で加熱されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  7. 前記少なくとも1つの構成要素が、80℃乃至200℃で加熱されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  8. 前記少なくとも1つの構成要素内の圧力が0.75乃至760Torrであることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
  9. 希釈過酸化水素溶液を前記密閉チャンバ内の過酸化水素溶液に添加するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項1および3乃至8のいずれか一項に記載の方法。
  10. (a)密閉チャンバ内に提供された過酸化水素溶液であって、当該過酸化水素溶液が、前記チャンバ内の膜によって前記過酸化水素溶液から分離された蒸気相を有する、過酸化水素溶液と;
    (b)前記蒸気相と流体接触しているキャリアガスまたは真空であり、前記チャンバ内にガス流を形成するキャリアガスまたは真空と;
    (c)チャンバと流体連通し、少なくとも1000ppmの過酸化水素を含むガス流を重要なプロセス、アプリケーション、または貯蔵容器に送達するように構成された装置であって、当該装置と前記ガス流との間接触面が、シリコン、シリコーン、SiO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される表面コートで処理されている装置と;
    を具えることを特徴とする化学物質送達システム。
  11. 前記過酸化水素溶液が非水性であることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
  12. 前記過酸化水素溶液が水性であることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
  13. 前記チャンバ、装置、及び貯蔵容器の少なくとも1つが、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、およびモネルからなる群から選択された材料で形成されていることを特徴とする、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の化学物質送達システム。
  14. 前記膜がイオン交換膜であることを特徴とする、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の化学物質送達システム。
  15. 前記チャンバが、30℃乃至約300℃で加熱されることを特徴とする、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の化学物質送達システム。
  16. 前記チャンバが80℃乃至約200℃で加熱されることを特徴とする、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の化学物質送達システム。
  17. 前記密閉チャンバ内の過酸化水素溶液に希過酸化水素水溶液を添加することを特徴とする、請求項10および12乃至16のいずれか一項に記載の化学物質送達システム。
  18. (a)内部に少なくとも1つの膜を有するハウジングと;
    (b)前記ハウジング内に収容された過酸化水素溶液と;
    (c)前記ハウジング内に含まれ、前記少なくとも1つの膜によって前記過酸化水素溶液から分離されたヘッドスペースと;
    を具える、過酸化水素溶液送達装置において、
    前記ハウジングが、キャリアガスが前記ヘッドスペースを通って流れて、少なくとも1000ppmの過酸化水素を含むガス流を重要プロセス、アプリケーション、または貯蔵容器に生成するように構成され、前記ハウジングと前記ガス流との間の接触面が、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、およびモネルからなる群から選択される材料から形成されている、ことを特徴とする過酸化水素溶液送達装置。
  19. 前記過酸化水素溶液が非水性であることを特徴とする、請求項18に記載の過酸化水素溶液送達装置。
  20. 前記過酸化水素溶液が水性であることを特徴とする、請求項18に記載の過酸化水素溶液送達装置。
  21. ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、またはモネルでできた構成要素が、シリコン、シリコーン、SiO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された表面被覆で処理されていることを特徴とする、請求項18乃至20のいずれか一項に記載の過酸化水素送達装置。
  22. 前記ハウジングと流体連通し、前記ハウジング内の過酸化水素溶液に希過酸化水素水溶液を加えるように構成された容器をさらに具えることを特徴とする、請求項18、20、21のいずれの過酸化水素送達装置。
  23. 前記ハウジングを30℃乃至約300℃で加熱するように構成されたヒーターをさらに具えることを特徴とする、請求項18乃至22のいずれか一項に記載の過酸化水素送達装置。
  24. 前記ヒーターが、前記ハウジングを80℃乃至約200℃に加熱するように構成されていることを特徴とする、請求項23に記載の過酸化水素送達装置。
  25. (a)ヘッドスペースを有するボイラー内に濃過酸化水素水溶液を提供するステップと;
    (b)濃縮過酸化水素水溶液を加熱して、前記ボイラのヘッドスペース内に過酸化水素を含む希薄蒸気を生成するステップと;
    (c)前記ボイラ内の濃縮過酸化水素水溶液に希過酸化水素水溶液を添加して、前記ボイラ内の過酸化水素水溶液の濃度を維持するステップと;
    (d)過酸化水素を含む希薄蒸気を、臨界プロセス、アプリケーション、または貯蔵容器に送達するステップであって、前記チャンバの表面、前記チャンバと流体連通した管、または前記貯蔵容器の表面からなる群から選択された少なくとも1つの構成要素が表面改質されている、ステップと:
    を具えることを特徴とする方法。
  26. 前記少なくとも1つの構成要素が、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、およびモネルからなる群から選択される材料で形成されており、前記構成要素と前記ガス流の間の接触面が、シリコン、シリコーン、SiO、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された表面コートで処理されていることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
  27. 前記少なくとも1つの構成要素が30℃乃至約300℃に加熱されることを特徴とする、請求項25または26に記載の方法。
  28. 前記少なくとも1つの構成要素が80℃乃至約200℃に加熱されることを特徴とする、請求項25または26に記載の方法。
  29. 前記少なくとも1つの構成要素内の圧力が、0.75トル乃至1000トルであることを特徴とする、請求項25乃至28のいずれか一項に記載の方法。
  30. (a)濃縮過酸化水素水溶液と;
    (b)ヘッドスペースを有するボイラーであって、前記濃縮過酸化水素水溶液を沸騰させ、過酸化水素を含む希薄蒸気を当該ヘッドスペース内で生成するように構成されたボイラーと;
    (c)前記ボイラーと流体連通しており、前記ボイラ内の濃縮過酸化水素水溶液に希過酸化水素水溶液を添加して、前記ボイラ内の過酸化水素水溶液の濃度を維持するように構成されたマニホルドであって、当該マニホールドがさらに、前記希釈蒸気を重要なプロセス、アプリケーション、または貯蔵容器に送達するように構成されている、化学物質送達システムにおいて、
    前記ボイラー、マニホールド、および当該ボイラーまたはマニホールドと流体連通している管からなる群から選択された少なくとも1つの構成要素が、ステンレス鋼、石英、ニッケル、アルミニウム、ハステロイ、およびモネルからなる群から選択された材料から形成されており、前記少なくとも一つの構成要素と前記ガス流との間の接触面が以前に表面修飾されていることを特徴とする、化学物質送達システム。
  31. 前記表面改質が、シリコン、シリコーン、SiO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された表面コーティングであることを特徴とする、請求項30に記載の化学物質送達システム。
  32. 前記少なくとも1つの構成要素が30℃乃至約300℃に加熱されることを特徴とする、請求項30または31に記載の化学物質送達システム。
  33. 前記少なくとも1つの構成要素が80℃乃至約200℃に加熱されることを特徴とする請求項30または31に記載の化学物質送達システム。
  34. 前記少なくとも1つの構成要素内の圧力が、0.75トル乃至1000トルの間であることを特徴とする請求項30乃至33のいずれか一項に記載の化学物質送達システム。
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