JP6739427B2 - プロセスガスの送達のための方法、システムおよび装置 - Google Patents

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Description

マイクロエレクトロニクスおよびその他の重要プロセスの用途における高純度プロセスガスの気相送達のための方法、システムおよび装置。
マイクロエレクトロニクスの製造および加工では、様々なプロセスガスが使用され得る。さらに、高純度ガスを要求するその他の環境、例えば重要プロセス、限定はしないが例えば、マイクロエレクトロニクス用途、ウェハ洗浄、ウェハボンディング、フォトリソグラフィマスク洗浄、原子層堆積、化学蒸着、フラットパネルディスプレイ、細菌やウイルスやその他の生物学的薬剤で汚染された表面の消毒、産業部品洗浄、医薬製造、ナノ材料の生産、発電制御装置、燃料電池、送電装置ならびに、プロセス制御および純度が重要検討事項であるその他の用途において、様々な化学物質が使用され得る。それらのプロセスでは、制御された運転条件、例えば、温度、圧力および流速の下で、特定量の特定プロセスガスを送達する必要がある。
様々な理由から、プロセス化学物質の気相送達は液相送達よりも好ましい。プロセス化学物質の低質量流を要求する用途では、プロセス化学物質の液体送達は十分に正確または清浄でない。送達し易さ、正確さおよび純度の観点から、気体送達が望ましいであろう。一つの手法は、プロセス化学成分を使用場所またはその近くで直接気化させることである。液体を気化させることは、重い汚染物質を残すプロセスを提供し、したがってプロセス化学物質を純化させる。液体送出装置に比べてガス流装置の方が、正確な制御に適合している。さらに、マイクロエレクトロニクス用途およびその他の重要プロセスは通常、気体送達を液体送達よりも大幅に容易にする大規模ガス処理システムを有する。しかしながら、安全性、取り扱い、安定性および/または純度の理由から、多くのプロセスガスは直接気化させることができない。
マイクロエレクトロニクス用途およびその他の重要プロセスで使用されるプロセスガスは数多く存在する。オゾンは、半導体表面の清掃(例えば、フォトレジストスト剥離)のために、および(例えば、酸化物または水酸化物の層を形成させる)酸化剤として、典型的に使用されるガスである。液体に基づく従来の手法とは対照的に、マイクロエレクトロニクス用途およびその他の重要プロセスでオゾンガスを使用する一つの利点は、ガスが表面の高アスペクト比の機構に接近できるという点である。例えば、国際半導体技術ロードマップ(ITRS)によれば、現行の半導体プロセスはわずか20〜22nmのハーフピッチに適合しなければならない。半導体の次の技術中心は10nmのハーフピッチを有することが期待されており、ITRSは近い将来に7nm未満のハーフピッチを要求している。これらの寸法では、液体に基づく化学処理は実現可能でない、というのもプロセス液体の表面張力は、それが深い穴または経路の底部および高アスペクト比の機構の角部に接近することを妨げるからである。それゆえオゾンガスは、ガスが上記表面張力の制限を受けないことから、液体に基づくプロセスの特定の限界を克服するためにいくつかの場合に使用されてきた。プラズマに基づくプロセスもまた、液体に基づくプロセスの特定の限界を克服するために使用されてきた。しかしながら、オゾンおよびプラズマに基づくプロセスは、とりわけ運転コスト、不十分なプロセス制御、望ましくない副反応、および非効率的な清掃を含めたそれら自体の一連の限界を示す。
その他の問題は、蒸着を成功させるのに必要な温度に関する。例えば窒化ケイ素(SiN)に関して、アンモニア(NH3)は現行では500℃超、さらには600℃の温度で使用されることが多い。蒸着のためにそのような高温を維持するには費用が掛かり、より低い温度で蒸着させることが好ましいであろう。さらに、新しい半導体デバイス技術には熱履歴(thermal budget)の制約があり、それが400℃超の高温の使用を妨げている。ヒドラジン(N2H4)は、低い蒸着温度および窒化物を形成する自発的反応をもたらすヒドラジンの有利な熱力学が一部の理由となって、より低い温度を探索する機会を提供する。文献(Burtonら、J. Electrochem. Soc.、155(7) D508-D516(2008))に報告されているが、ヒドラジンの使用に関する重大な安全性の懸念ゆえに、ヒドラジンの使用は商業的に採用されてこなかった。置換ヒドラジンは、望ましくない炭素汚染につながるという欠点を抱えている。このように、蒸着プロセス、またはその他の重要プロセス用途への送達ために、ヒドラジンを使用するためのより安全な方法を開発する必要がある。
ヒドラジンの気相使用は、安全性、取り扱いおよび純度の懸念によって制限されてきた。ヒドラジンはロケット燃料に使用されており、爆発性が非常に高い可能性がある。この材料を安全に取り扱うための半導体産業プロトコルは非常に限られている。したがって、これらの制限を克服する技術、具体的には、マイクロエレクトロニクスおよびその他の重要プロセスの用途における使用に適した実質的に水を含まない気体ヒドラジンを提供する技術が必要である。
同様に、Rasirc, Inc.が国際公開第2014014511号(それは本明細書における参照によって本明細書に組み込まれる)において説明しているように、重要プロセス用途での過酸化水素の気相使用は利用が制限されてきた、というのも、高度に濃縮された過酸化水素溶液は安全上および取り扱い上の重大な懸念を呈し、既存技術を用いて気相中に高濃度の過酸化水素を得ることは可能ではなかったからである。
実質的に水を含まないプロセスガス流、特にヒドラジン含有ガス流を送達するための、方法、システムおよび装置が提供される。方法、システムおよび装置は、マイクロエレクトロニクス用途およびその他の重要プロセスにおいて特に有用である。総じて、方法は、(a)ある量のヒドラジン蒸気を含む気相を有する非水性ヒドラジン溶液を提供すること、(b)キャリアガスまたは真空を気相に触れさせること、および(c)水を実質的に含まないヒドラジンを含むガス流を重要なプロセスまたは用途へ送達することを含む。多くの実施形態において、気相中のヒドラジンの量は、ヒドラジン含有ガス流をさらに濃縮または処理することなくヒドラジンを重要なプロセスまたは用途へ直接供給するのに十分な量である。多くの実施形態において、非水性ヒドラジン溶液は安定剤を含む。特定の実施形態において、方法はさらに、ガス流から1つ以上の安定剤を除去することを含む。方法の運転条件、例えば、キャリアガスまたは真空の温度および圧力、ヒドラジン溶液の濃度、ならびにヒドラジン溶液の温度および圧力を調節することにより、ヒドラジンを正確かつ安全にプロセスガスとして送達することができる。特定の実施形態において、重要なプロセスまたは用途へと送達される気相中のヒドラジンの量は、ヒドラジン溶液にエネルギー、例えば、熱エネルギー、回転エネルギーまたは超音波エネルギーを加えることによって制御できる。本発明の多くの実施形態において、非水性ヒドラジンは、無希釈のヒドラジン、すなわち水を実質的に含まないヒドラジンである。
また、本明細書に記載の方法を用いてヒドラジンを送達するためのシステムおよび装置が提供される。総じて、システムおよび装置は、(a)ある量のヒドラジン蒸気を含む気相を有する非水性ヒドラジン溶液、(b)気相に流体接触しているキャリアガスまたは真空、および(c)ヒドラジンを含むガス流を重要なプロセスまたは用途へ送達する器械を含む。多くの実施形態において、非水性ヒドラジン溶液は1つ以上の安定剤を含む。特定の実施形態において、システムおよび装置はさらに、ガス流から1つ以上の安定剤を除去する器械を含む。多くの実施形態において、気相中のヒドラジンの量は、ヒドラジン含有ガス流をさらに濃縮または処理することなくヒドラジンを重要なプロセスまたは用途へ直接供給するのに十分な量である。特定の実施形態では、ヒドラジンを含むガス流を送達する器械は、気相を収容している上部空間の出口であって、マイクロエレクトロニクス用途またはその他の重要プロセスのシステムに直接的または間接的に連結されて、上部空間からヒドラジン含有ガス流をそれが使用されることになる用途またはプロセスへと流れさせる、出口である。本明細書に記載のヒドラジン送達組立体(HDA)は、一つのそのような装置である。システムおよび装置の運転条件、例えば、キャリアガスまたは真空の温度および圧力、ヒドラジン溶液の濃度、ならびにヒドラジン溶液の温度および圧力を調節することにより、ヒドラジンを正確かつ安全にプロセスガスとして送達することができる。特定の実施形態において、重要なプロセスまたは用途へと送達される気相中のヒドラジンの量は、ヒドラジン溶液にエネルギー、例えば、熱エネルギー、回転エネルギーまたは超音波エネルギーを加えることによって制御できる。
本明細書において開示される方法、システムおよび装置の実施形態の多くは、ヒドラジン含有溶液に触れている膜を利用する。膜の使用は安全上の利点を有する。特定の実施形態において、膜は、ヒドラジンを含有する気相からヒドラジン含有溶液を全体的または部分的に分離する。気相と液相とが接近する機会をなくすことによって、気相でのヒドラジンの突然の分解は制限され、それに対応した液相での分解を膜の存在ゆえに引き起こさないであろう。
また、本明細書では、揮発性の化学物質または化学組成物(例えば、ヒドラジン、過酸化水素、水、アルコール、アミンまたは水酸化アンモニウム)を含む液体を収容するための装置であって、化学物質または組成物を含む蒸気がプロセスガス流中に組み込まれるプロセスガスとして進入可能な上部空間を含む装置が開示される。化学物質または組成物を含むプロセスガス流は、典型的には、重要プロセス用途へと送達される。特定の実施形態において、装置は、(a)揮発性の化学物質または化学組成物を含む液体を収容しているチャンバ、(b)気相中に揮発性の化学物質または化学組成物を含む、気相を含む上部空間、(c)キャリアガス流が中を通ってチャンバへ進入することを可能にする、入口ポート、および(d)キャリアガスと揮発性の化学物質または化学組成物とを含むプロセスガス流が中を通って上部空間から出ることを可能にする、保護された出口ポートを含む。特定の実施形態において、上部空間はチャンバの一部である。代わりとなる特定の実施形態において、上部空間は、チャンバとは別個のものであり、チャンバと流体連通して気相中の揮発性の化学物質または化学組成物をチャンバから上部空間へと移動させる。多くの実施形態において、膜は、揮発性の化学物質または化学組成物の液相から気相中への移動を容易にする。膜の配置は、特定の用途およびプロセス設計に応じて変化し得る。いくつかの実施形態において、膜は、上部空間から液体を全体的または部分的に分離する。特定の実施形態において、膜は、キャリアガスの全部または一部が膜を通過するように入口ポートに連結された管を含む。そのような実施形態において、膜管はまた、チャンバ内の液体の一部を通過して上部空間内で終結してもよい。保護された出口ポートは、出口ポートに進入する揮発性の化学物質または化学組成物が実質的に気相中にあること、すなわち液滴、ミストまたは霧などの液相材料を実質的に含まないことを保証する器械を含む。
本明細書において記載される方法、システムおよび装置は総じて、広範囲なプロセスガス流、特に、非水性成分を含有している非水性ヒドラジン溶液に適用可能である。
特定の実施形態において、溶液は、意図的に他の化学物質を含まないが偶発的な量の不純物を許容するヒドラジン、という意味で実質的に純粋なヒドラジンを含む。特定の実施形態において、溶液は、約5重量%〜約99重量%のヒドラジンまたは、約90重量%〜約99重量%、約95重量%〜約99重量%、約96重量%〜約99重量%、約97重量%〜約99重量%、約98重量%〜約99重量%もしくは約99重量%〜約100重量%のヒドラジンを含み、残りの成分は溶媒および/または安定剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は純度99.9%を上回る濃度でヒドラジンを含み、いくつかの実施形態では、溶液は99.99%を上回る濃度でヒドラジンを含む。適切な非水性ヒドラジン溶液の選択は、特定の用途またはプロセスの要件によって決定されるであろう。
特定の実施形態において、非水性ヒドラジン溶液は、ヒドラジンに加えて1つ以上の適切な溶媒を含む。例えば、非水性ヒドラジン溶液はPEG化溶媒を含み得、当該PEG化溶媒は、温度約25℃のときに液体である。「PEG化溶媒」という用語は、共有結合したポリ(エチレングリコール)部分を含む溶媒を指す。一例となるPEG化溶媒は、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルである。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリピリジンまたはポリビニルアルコールの低分子量ポリマーまたはオリゴマーから選択される。低分子量ポリマーは、ヒドラジンと混合したときに混合溶液の粘度が約35センチポアズ(cp)以下となるようなポリマーである。溶媒のその他の例としては、例えば、モノグリム、ジグリム、トリグリム、ヒグリムおよびテトラグリムなどのグリムが挙げられる。さらなる例としては、ポリグリコールDME200、ポリグリコールDME250、ポリグリコールDME500、ポリグリコールDME1000またはポリグリコールDME2000などの一連のPEG化ジメチルエーテルが挙げられる。さらにその他の溶媒としては、例えば、ヘキサメチルホスホラミドおよびヘキサメチレンテトラミンが挙げられる。いくつかの実施形態において、非水性ヒドラジン溶液は、約30重量%〜約69重量%およびその間の範囲、例えば約65重量%〜約69重量%のヒドラジンを含む。残りの溶液は、例えば、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルなどの1つ以上のPEG化溶媒を含み得る。例えば、ヒドラジン溶液は、約32重量%〜35重量%のPEG化溶媒、例えば、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルまたはその他の適切な溶媒を含み得る。他の実施形態では、約65%未満のヒドラジンが使用され、約35%超のPEG化溶媒、例えばポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、例えばポリグリコールDME250が使用される。
本明細書において提供される方法、システムおよび装置は、様々な膜を使用することができる。膜は、典型的には選択透過膜、特に、実質的にガス不透過性の膜、例えば、NAFION(登録商標)膜などの過フッ素化イオン交換膜である。特定の実施形態において、NAFION(登録商標)膜は、その反応性を改変するために、例えば酸、塩基または塩で化学的に処理され得る。例えば、特定の実施形態では、アンモニウム種を形成させるようにNAFION(登録商標)膜を処理してもよい。典型的には実質的にガス不透過性の膜であり具体的にはNAFION(登録商標)膜およびその誘導体である、特定の選択透過膜を使用することにより、結果として生じるガス流中のヒドラジンガスの濃度は、膜の非存在下でヒドラジン溶液の蒸気から直接得られるであろうヒドラジン濃度に比べて異なり得る。特定の実施形態では、ヒドラジンガス濃度は、膜なしでヒドラジン溶液の蒸気から期待されるであろう濃度に比べて増大する(つまり、より高くなる)。好ましくは、本明細書において開示される方法、システムおよび装置を使用してヒドラジンの濃度が増大する。
別の実施形態において、膜は、テトラフルオロエチレンとフッ化スルホニルビニルエーテルとの共重合体である。そのような膜の一つのそのような例は、Solvayから提供されるAquivon(登録商標)から作製できる。特定のAquivon(登録商標)ポリマーがP98Sとして知られており、ペレットとして提供されている。
本明細書において提供される方法、システムおよび装置はさらに、例えばガス流から成分を選択的または非選択的に除去する装置を使用して、ヒドラジン含有ガス流から1つ以上の成分を除去して精製ヒドラジン含有ガス流を生じさせることを含む。好ましい装置は、ヒドラジン含有ガス流から非反応性プロセスガスを実質的に除去する一方でガス流中のヒドラジンの量が比較的影響を受けない装置であろう。例えば、装置は、限定はしないがいかなる痕跡量の水または非水性溶媒も含む、いかなる非水性溶媒または安定剤も、ガス流から除去し得る。例えば、装置はさらに、上部空間の下流に配置された精製器を含んでもよい。特に好ましい精製装置は、それらが用途またはプロセスの要件を満たす所望の特性を有する場合での、膜接触器、モレキュラーシーブ、活性炭およびその他の吸着剤である。ガス除去装置の好ましい特性は、比較的選択的な様式で特定の(1つ以上の)成分を除去する一方で、残りの(1つ以上の)成分が比較的影響を受けずにヒドラジンガス流中に留まることを可能にする能力である。
本明細書において提供されるシステムおよび装置はさらに、その中で使用されるガスおよび液体の流れを収容および制御するための様々な構成要素を含んでもよい。例えば、システムおよび装置はさらに、マスフローコントローラ、弁、逆止弁、圧力計、調整器、浮子式流量計およびポンプを含んでもよい。本明細書において提供されるシステムおよび装置はさらに、様々なヒータ、熱電対ならびに、装置および方法のステップの種々の構成要素の温度を制御する温度制御器を含んでもよい。
本発明のさらなる目的および利点は、以下の記載において部分的に示され、記載から部分的に明らかであり、または本発明の実施によって習得され得る。本発明の目的および利点は、実施形態および特許請求の範囲において詳しく示される要素および組み合わせによって実現および達成されよう。
前述の全般的な説明および以下の詳細な説明はいずれも例示および説明のためのものにすぎず、本発明を限定するものではない、ということを理解されたい。
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本発明のいくつかの実施形態を例示し、記載と併せて本発明の原理を説明するのに役立つ。
図1Aは、本発明の特定の実施形態において有用な膜集合体の一部を示す図である。
図1Bは、本発明の特定の実施形態によるヒドラジン送達組立体(HDA)の実施形態を示す図である。
図2Aは、本発明の特定の実施形態によるHDAの一実施形態の断面図である。
図2Bは、本発明の特定の実施形態によるHDAの一実施形態の断面図である。
図3は、本発明の特定の実施形態によるヒドラジン送達のための方法、システムおよび装置を試験するために使用できるマニホールドの配管計装図である。
図4は、本発明の特定の実施形態によるヒドラジン送達のための方法、システムおよび装置を試験するために使用できるマニホールドの配管計装図である。
図5は、本発明の特定の実施形態によるヒドラジン送達のための方法、システムおよび装置を試験するために使用できるマニホールドの配管計装図である。
図6は、本発明の特定の実施形態による膜集合体およびHDAを示す図である。
図7は、本発明の特定の実施形態によるヒドラジン送達のための方法、システムおよび装置を試験するために使用できるマニホールドの配管計装図である。
図8は、実質的に純粋なヒドラジンを液体源として使用する本発明の一実施形態によるヒドラジンガスの経時的な濃度および温度を描写するグラフである。
図9は、本発明の特定の実施形態によるヒドラジン送達のための方法、システムおよび装置を試験するために使用できるマニホールドの配管計装図である。
図10は、無水の98%ヒドラジンを液体源として使用する本発明の一実施形態によるヒドラジンガスの経時的な濃度および温度を描写するグラフである。
図11は、65%ヒドラジンのポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル溶液を液体源として使用する本発明の一実施形態によるヒドラジンガスの経時的な濃度および温度を描写するグラフである。
図12は、本発明の特定の実施形態によるHDAを示す図である。
図13は、本発明の特定の実施形態によるヒドラジン送達のための方法、システムおよび装置を試験するために使用できるマニホールドの配管計装図である。
本明細書で用いる「プロセスガス」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(かつ、特別な意味または独自に作られた意味に限定されるべきではなく)、限定はしないが、マイクロエレクトロニクスの製造または加工における用途またはプロセス、例えばステップ、およびその他の重要プロセスで使用されるガスを指す。例示的なプロセスガスは、還元剤、酸化剤、無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基ならびに無機および有機溶媒である。好ましいプロセスガスはヒドラジンである。
本明細書で用いる「反応性プロセスガス」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(かつ、特別な意味または独自に作られた意味に限定されるべきではなく)、限定はしないが、そのガスを使用する特定の用途またはプロセスにおいて例えば表面、液体プロセス化学物質または別のプロセスガスとの反応によって化学的に反応するプロセスガスを指す。
本明細書で用いる「非反応性プロセスガス」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(かつ、特別な意味または独自に作られた意味に限定されるべきではなく)、限定はしないが、そのガスを使用する特定の用途またはプロセスにおいて化学的に反応しないが「非反応性プロセスガス」の特性がそれに特定の用途またはプロセスにおける有用性を提供するプロセスガスを指す。
本明細書で用いる「キャリアガス」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(かつ、特別な意味または独自に作られた意味に限定されるべきではなく)、限定はしないが、連続プロセス(それは典型的には一連の導管である)を通じて別のガスを運ぶために使用されるガスを指す。例示的なキャリアガスは、窒素、アルゴン、水素、酸素、CO2、清浄な乾燥空気、ヘリウムまたは、室温および大気圧で安定なその他のガスである。
本明細書で用いる「上部空間」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(かつ、特別な意味または独自に作られた意味に限定されるべきではなく)、限定はしないが、上部空間に収容されたガスの少なくとも一部を供給するヒドラジン溶液に流体接触しているガスの体積を指す。場合によってヒドラジン溶液に直接触れている、上部空間を全体的または部分的に分離する透過性または選択透過性の障壁が存在してもよい。膜がヒドラジン溶液に直接触れていない実施形態では、2つ以上の上部空間、すなわち溶液の気相を収容する溶液の真上の第1上部空間と、膜によって第1上部空間から分離しており、膜を透過できる第1上部空間の成分のみ、例えばヒドラジンのみを収容する第2上部空間とが存在してもよい。実質的にガス不透過性の膜によってヒドラジン溶液と上部空間とが分離されている実施形態では、上部空間がヒドラジン溶液の上、下もしくはいずれの側に位置していてもよく、または上部空間が、ヒドラジン溶液を取り囲んでいてもよく、もしくはヒドラジン溶液によって取り囲まれていてもよい。例えば、上部空間が、ヒドラジン溶液中に延びている実質的にガス不透過性の管の内部の空間であってもよく、または実質的にガス不透過性の管の内部にヒドラジン溶液が位置しており管の外側が上部空間によって取り囲まれていてもよい。
本明細書で用いる「実質的にガス不透過性の膜」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(かつ、特別な意味または独自に作られた意味に限定されるべきではなく)、気相中または液相中に存在し得るその他の成分、例えばヒドラジンに対しては比較的透過性であるがその他のガス、限定はしないが例えば水素、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、炭化水素(例えばエチレン)、揮発性の酸および塩基、難燃性化合物ならびに揮発性有機化合物に対しては比較的不透過性である膜を指すが、これに限定されない。
本明細書で用いる「イオン交換膜」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(かつ、特別な意味または独自に作られた意味に限定されるべきではなく)、限定はしないが、イオンと化合できるかまたは膜と外部物質との間でイオン交換できる化学基を含む膜を指す。そのような化学基としては、限定しないが例えば、スルホン酸、カルボン酸、スルホンアミド、スルホニルイミド、リン酸、ホスフィン酸、ヒ素基、セレン基、フェノール基およびそれらの塩が挙げられる。
本明細書で用いる「透過速度」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(かつ、特別な意味または独自に作られた意味に限定されるべきではなく)、限定はしないが、特定の化学物質、例えばヒドラジンまたは化学組成物aが膜を透過する速度を指す。透過速度は、一定時間に膜の特定表面積を透過する対象の化学物質または組成物の量、例えば毎分単位平方インチあたりのリットル(L/分/in2)として表され得る。
本明細書で用いる「非水性溶液」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(かつ、特別な意味または独自に作られた意味に限定されるべきではなく)、ヒドラジンおよび場合によってその他の成分を含みかつ10重量%未満の水を含有する溶液を指す。典型的な非水性溶液としては、例えば、2%未満、0.5%、0.1%、0.01%、0.001%またはそれ未満の水を含有するものが挙げられる。
本明細書で使用される用語「安定剤」は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(かつ、特別な意味または独自に作られた意味に限定されるべきではなく)、ヒドラジンまたは過酸化水素などのプロセス化学物質の分解または反応を防止する化学物質を指す。特定の実施形態において、安定剤は不揮発性であり、気相中に存在するとしても微量である。特定の実施形態では、プロセスガス流を吸着剤に曝すこと、またはプロセスガス流を低温トラップに通すことによって、安定剤をプロセスガス流から除去することができる。非水性ヒドラジン溶液を気相から分離する膜を含む特定の実施形態では、安定剤が膜を透過しない場合がある。
本明細書において開示される方法、システムおよび装置は、重要プロセス用途への揮発性プロセス成分の有益な送達をもたらす。多くの実施形態において、本明細書において開示される方法、システムおよび装置は、特にヒドラジンに適用可能である。本明細書において開示される特定の装置は、その他の揮発性プロセス成分にも適用可能である。
特定の実施形態では、本発明、具体的には本明細書に記載の特定の実施形態の方法、システムおよび装置によってもたらされる有益なヒドラジン送達は、膜接触器を使用して得られ得る。好ましい実施形態では、ヒドラジン溶液と、キャリアガスまたは真空に流体接触している上部空間との間に障壁を設けるために、非多孔質膜が使用される。好ましくは、ヒドラジンが膜を迅速に透過する一方でガスは、膜を透過して溶液中に入るのを遮られる。いくつかの実施形態では、膜を酸、塩基または塩で化学的に処理して膜の特性を改変してもよい。
特定の実施形態において、ヒドラジンは、実質的にガス不透過性のイオン交換膜を介してキャリアガスまたは真空の中に導入される。ガス不透過性は、「漏出速度」によって決定することができる。 本明細書で用いる「漏出速度」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(かつ、特別な意味または独自に作られた意味に限定されるべきではなく)、限定はしないが、単位時間あたりに膜表面積を貫通する特定ガスの体積を指す。例えば、実質的にガス不透過性の膜は、プロセスガス(例えばヒドラジン)以外のガス(例えばキャリアガス)の低い漏出速度、例えば標準的な大気温度および大気圧の下で約0.001cm3/cm2/秒未満の漏出速度を有し得るであろう。あるいは、実質的にガス不透過性の膜は、プロセスガス蒸気の透過率のその他の気体の透過率に対する比によって識別され得る。好ましくは、実質的にガス不透過性の膜はそのようなプロセスガスを、他のガスに対して少なくとも10,000:1の比、例えば、少なくとも約20,000:1、30,000:1、40,000:1、50,000:1、60,000:1、70,000:1、80,000:1、90,000:1の比、または少なくとも100,000:1、200,000:1、300,000:1、400,000:1、500,000:1、 600,000:1、700,000:1、800,000:1、900,000:1の比、さらには少なくとも約1,000,000:1の比で透過させる。しかしながら他の実施形態では、10,000:1未満であるその他の比、例えば1.5:1、2:1、3:1、4:1、5:1、 6:1、7:1、8:1、9:1、10:1;50:1、100:1、500:1、1,000:1または5,000:1以上の比が許容可能となることがある。
特定の実施形態において、膜は、交換可能なイオンを含有するポリマー樹脂などのイオン交換膜である。好ましくは、イオン交換膜は、含フッ素ポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレンエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、フッ化ビニリデン−三フッ化塩化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン三元共重合体、四フッ化エチレンプロピレンゴム、フッ素化熱可塑性エラストマーである。あるいは、樹脂は、連続膜材料を提供するポリマーの複合体もしくは混合物またはポリマーとその他の成分との混合物を含む。特定の実施形態において、膜材料は2つ以上の層を含み得る。異なる層は、同一または異なる特性、例えば、化学組成、気孔率、透過率、厚みなどを有し得る。特定の実施形態では、濾過膜に支持を提供するかまたは他のいくつかの望ましい特性を持つ層(例えば膜)を使用することが望ましい場合もある。
イオン交換膜は、好ましくは、エチレンと、酸基またはその塩を含有するビニルモノマーとの共重合体を含む過フッ素化アイオノマーである。典型的な過フッ素化アイオノマーとしては、限定はしないが例えば、パーフルオロスルホン酸/テトラフルオロエチレン共重合体(「PFSA-TFE共重合体」)およびパーフルオロカルボン酸/テトラフルオロエチレン共重合体(「PFCA-TFE共重合体」)が挙げられる。これらの膜は、NAFION(登録商標)(E.I. du Pont de Nemours & Company)、3M Ionomer(Minnesota Mining and Manufacturing Co.)、FLEMION(登録商標)(Asashi Glass Company, Ltd.)、およびACIPLEX(登録商標)(Asashi Chemical Industry Company)およびAquivon(登録商標)(Solvay)の商標名で市販されている。
ヒドラジン含有ガス流を調製する際には、膜を通じてヒドラジン溶液を通過させることができる。本明細書で用いる「膜を通じてヒドラジン溶液を通過させる」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるべきであり(かつ、特別な意味または独自に作られた意味に限定されるべきではなく)、限定はしないが、ヒドラジンが膜を通過するように膜の第1の面をヒドラジン溶液に触れさせて膜の反対側の面においてヒドラジン含有ガス流を得ることを指す。膜がシートである場合、第1および第2の面は、実質的に平坦で向かい合った平面領域の形態を有することができる。膜はまた、一方の表面が管の内部位置を形成し反対側の表面が外面上にある、管状または円筒状の形態で提供されることもできる。膜は、第1の表面とそれに対向している第2の表面とが広い膜材料を挟んでいる限り、任意の形態をとることができる。処理条件、ヒドラジン溶液の性質、発生させるヒドラジン溶液の蒸気の体積、およびその他の因子に応じて、膜の特性を調節することができる。特性としては、限定はしないが例えば、物理的形態(例えば、厚み、表面積、形状、シート形状の長さおよび幅、繊維形態の場合における直径)、配置(平坦な(1枚以上の)シート、螺旋状もしくはロール状の(1枚以上の)シート、折り畳まれているかまたは波形の(1枚以上の)シート、(1つ以上の)繊維アレイ)、製造方法(例えば、押出、溶液からの流し込み)、支持層の存在または非存在、活性層(例えば、特定粒径の粒子を吸収する多孔質プレフィルタ、化学反応または結合によって不純物を除去する反応性プレフィルタ)の存在または非存在などが挙げられる。通常、膜の厚みは、約0.5ミクロン以下〜2000ミクロン以上、好ましくは約1、5、10、25、50、100、200、300、400または500ミクロン〜約600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800または1900ミクロンであることが好ましい。より薄い膜を使用する場合は、(例えば、支持膜、スクリーンもしくはメッシュ、またはその他の支持構造体を使用することによって)膜に機械的支持を提供することが望ましい場合があり、一方、より厚い膜は支持体なしで使用に適し得る。表面積は、生成される蒸気の質量に基づいて選択することができる。
キャリアガスまたは真空を用いて実質的に水を含まないヒドラジンを送達することができる本明細書において提供される方法、システムおよび装置の特定の実施形態を、図面を参照して示す。
本発明の特定の実施形態によれば、ヒドラジン送達組立体(HDA)が提供される。HDAは、重要プロセス用途、例えばマイクロエレクトロニクス製造またはその他の重要プロセスの用途において使用するプロセスガス流、例えばキャリアガスの中にヒドラジンを送達する装置である。HDAはまた、真空条件下で作動し得る。HDAは、少なくとも1つの膜および、非水性ヒドラジン溶液と膜によって溶液から分離された上部空間とを収容している少なくとも1つの容器を含む、異なる多様な配置を有し得る。
図1Aおよび図1Bは、HDA100、および本明細書において提供されているように使用され得るHDAの一部を形成する膜集合体110の一実施形態についての異なる図を描写する。図1Aは、腔として構成され得る複数の膜120、例えば5R NAFION(登録商標)膜を含む膜集合体110を示す。図1Aに示すように、腔の中に構成される膜120は、捕集板130内の複数の穴を通して捕集板130の中に挿入される。膜集合体110はまた、捕集板130内に挿入される複数のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)棒140を含む。図1BにHDA100の一部として示すように、膜集合体110は、捕集板130にわたって延びている膜腔120を含む。HDA100はさらに、膜集合体110の各端部に末端キャップ150を含む。末端キャップ150はさらに分岐160を含み、それには、例えばHDAの充填、排出、清掃または再充填のためにHDA100の内部への接近手段を提供するための管材が嵌合され得る。
図2Aおよび図2Bは、本発明の特定の実施形態によるHDAの2つの実施形態の断面図を示す。
図2Aに示すように、HDA200Aは、外郭筐体220A内の膜集合体210Aおよび、外郭筐体220Aと繋がるように構成された末端キャップ230Aを含む。膜集合体210Aは複数の膜240Aを含み、それは腔として構成され得る。腔の数は、腔の大きさ、HDA200Aの大きさ、およびHDAの作動条件を含めた様々な因子に応じて変動し得る。特定の実施形態において、HDAは、1000個までの膜腔、500個までの腔、200個までの腔、100個までの腔、または50個までの腔を含んでいてもよい。例えば、HDA200Aは、約20〜50個の膜腔を有していてもよい。膜腔は、過フッ素化スルホン酸膜、例えば5R NAFION(登録商標)膜から構成することができる。末端キャップ230Aおよび外郭筐体220Aは、様々な材料、例えば、PTFE、ステンレス鋼(316ステンレス鋼など)またはその他の適切な材料から形成することができる。各末端キャップ230Aはさらに、ガス連結部231Aを含む。ガス連結部231Aは、様々な連結配置および大きさの形態、例えば、1/4インチVCR、1/4インチNPTまたはその他の適切な連結器の形態をとることができる。
図2Bに示すようにHDA200Bは、外郭筐体220B内の膜集合体210Bおよび、外郭筐体220Bと繋がるように構成された末端キャップ230Bを含む。膜集合体210Bは、複数の膜腔(図示せず)を含むことができる。腔の数は、腔の大きさ、HDA200Bの大きさ、およびHDAの作動条件を含めた様々な因子に応じて変動し得る。特定の実施形態では、HDAは、1000個までの膜腔、500個までの腔、200個までの腔、100個までの腔、または50個までの腔を含んでいてもよい。例えば、HDA200Bは、約20〜50個の膜腔を有していてもよい。膜腔は、過フッ素化スルホン酸膜、例えば5R NAFION(登録商標)膜から構成することができる。末端キャップ230Bおよび外郭筐体220Bは、様々な材料、例えば、PTFE、ステンレス鋼(316ステンレス鋼など)またはその他の適切な材料から形成することができる。各末端キャップ230Bは、ガス連結部231Bを含み得る。ガス連結部231Bは、様々な連結配置および大きさの形態、例えば、1/4インチVCR、1/4インチNPTまたはその他の適切な連結器の形態をとることができる。
様々な実施形態によれば、HDAは、膜によってヒドラジン含有溶液から分離された上部を維持しつつ非水性ヒドラジン含有溶液で充填され得る。膜はヒドラジンに対して透過性であり、溶液の他の成分に対して実質的に不透過性であるため、上部空間はプロセスの運転条件に応じてキャリアガスまたは真空の中に実質的に純粋なヒドラジン蒸気を含有することになる。
様々な実施形態によれば、HDAは、参照によって本明細書に組み込まれる同一出願人による米国特許第7,618,027号に記載された装置と同様に構成することができる。
特定の実施形態によれば、非水性ヒドラジン含有溶液であってもよい揮発性の化学物質または組成物を含む液体および気相を収容するための装置であって、膜の一方の面では揮発性の化学物質または組成物に膜が触れ、膜の他方の面ではキャリアガス流に膜が触れる、装置が提供される。図12は、(a)揮発性の化学物質または化学組成物を含む液体を収容しているチャンバ、(b)気相中に揮発性の化学物質または化学組成物を含む、気相を含む上部空間、(c)キャリアガス流が中を通ってチャンバへ進入することを可能にする、入口ポート、および(d)キャリアガスと揮発性の化学物質または化学組成物とを含むプロセスガス流が中を通って上部空間から出ることを可能にする、保護された出口ポートを含む、そのような装置1200の一例を描写する。
図12に示すように、キャリアガス1214は入口ポート1202を通って進入する。次いでキャリアガス1214は、封止材1216によって入口ポート1202に取り付けられた膜1208を通って移動する。特定の実施形態において、封止材1216は、入口ポート1202と1208との間に耐漏洩性の連結部を形成する。特定の実施形態において、封止材1216は、耐漏洩性でなくてもよく、またはキャリアガス1214の一部が上部空間1210内に流入するのを可能にする部分封止材であってもよい。特定の実施形態において、膜1208は管状膜であるが、装置を使用する特定の用途またはプロセスの要件に応じてその形状を適合させてもよい。膜1208の一方の面は液体1212に触れるように構成され、当該液体1212は、膜1208を横切って拡散することのできる揮発性の化学物質または組成物を含んでいる。キャリアガス1214は、液体1212に触れている面の反対側の面において膜1208を通って流れる。気相中に揮発性の化学物質または組成物を含むプロセスガス流1218は、揮発性の化学物質または組成物が膜を横切ってキャリアガス流中に拡散するにつれて形成される。膜1208は、膜を横切って液体1212の特定成分がキャリアガス流中に拡散するのを可能にして選別プロセスガス流1218を供給し、その一方で液体1212のその他の成分(例えば水、金属イオン、その他のイオン性汚染物質およびその他の汚染物質)がプロセスガス流1218中に拡散するのを防止する。膜1208の出口1222では、キャリアガス1214と液体1212からのプロセス化学物質とを含むプロセスガス流1218が上部空間1210に進入する。このように、管状膜1208の内側の圧力は上部空間1210内の圧力と一致し、したがって液体1212の蒸気圧と一致し、それは出口圧力が入口圧力よりも低いときの膜の崩壊を防止する。上部空間1210に収容されたプロセスガス1220は、重要プロセス1224への送達のために液はね防止材1206および出口ポート1204を通って装置から出る。この実施形態において、液はね防止材1206は、出口ポート1204を通って出ていくプロセスガス流が液体汚染物質、例えば液滴、粒子、ミストまたは霧を実質的に含まないように、管状膜1208の開放端1222を保持する。
多くの実施形態、例えば図12に示す実施形態において、膜は部分的に液体源に浸かっている。膜を沈めると、液体源から発生したガスで完全に飽和するためにキャリアが有する物質輸送移動表面積および滞留時間が増加する。膜は、缶の底に到達してそれから液体上の表面に戻ってくるのに十分な長さを有し得る。膜は、長さが約3.0インチ以下〜約72インチ以上の範囲であり得、例を挙げれば長さが約5、10、15、20、25、30または35インチ〜約40、45、50、55、60または65インチ以上などであり得る。膜の浸かっている部分を螺旋状に巻いて膜表面積に対する液体を増やすことができる。多数の膜を使用して平行に延ばして、膜表面積に対する液体をさらに増やすことができる。膜は、厚みが約0.002インチ以下〜約0.010インチ以上であり得、例を挙げれば厚みが約0.003、0.004または0.005インチ〜約0.006、0.007、0.008または0.009インチ以上であり得る。膜の直径は、約0.062インチ以下〜約0.250インチ以上、例を挙げれば0.070、0.080、0.090、0.100、0.110、0.120、0.130、0.140または0.150インチ〜約0.160、0.170、0.180、0.190、0.200、0.210、0.220、0.230または0.240インチ以上であり得る。
多くの実施形態、例えば図12に示す実施形態において、装置は液はね防止材を含む。液はね防止材は、装置の出口を通って出ていく液体の体積、速度または性質を制限する。液はね防止材は、管状膜の出口を液体よりも上側に維持することができる。いくつかの実施形態において、液はね防止材は、液滴が出口ポートを離れてガス流に入るのを防止する出口返し部への誘導路に長く狭いスリットを有する。液はね防止材は、液体源およびキャリアガスにおいて用いられている化学現象に適合する材料で作られている。例えば低反応性材料、限定はしないが例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはプラスチックが使用され得る。液はね防止材は、出口返し部に対する嵌合によって容器に取り付けてもよい。いくつかの実施形態において、液はね防止材は高さが約1.50インチであり、スリットは幅が約0.03インチ、高さが約1.25インチであり、スリットの長さは、液はね防止材の直径と同じく約1.00インチである。
本開示の主目的は本明細書において提供される方法、システムおよび装置による非水性ヒドラジンの気相送達であるものの、膜を横切って拡散することのできるその他のプロセス化学物質が、液体源に使用されてもよく、それゆえにまた、出口ポートから出るプロセスガス流1218の一部であってもよく、例えば、過酸化水素、水、アルコール(例えばエタノール、メタノール、エチレングリコール、ペンタノール、グリセロール、キシリトールまたはイソプロピルアルコール)、アミン(例えばヒドラジン、メチルアミン、エタノールアミン、ジメチルアミン、アニリン、トリメチルアミン、トリフェニルアミン、アジリジンまたはメチルエタノールアミン)、または水酸化アンモニウムであってもよい。これらのプロセス化学物質は、液体源中であろうとプロセスガス中であろうと、単独で、または組み合わせて使用され得る。特定の実施形態では、液体源が極性溶媒を含んでいてもよく、その一方で他の特定の実施形態では液体源が非極性溶媒を含んでいてもよい。
少なくとも1つのプロセス化学物質含む液体源を収容でき、かつ気相中の少なくとも1つのプロセス化学物質を重要プロセス用途へ送達できる、本明細書に開示の装置、例えば図12に示す装置を、本発明の方法、システムおよびその他の装置と併せて使用してもよく、またはそれらを、プロセスガス流を重要プロセス用途へ送達する独立型装置として使用してもよい。
本明細書において提供される方法、システムおよび装置の態様による一実施形態を、図3を参照して示されるマニホールド300を参照して以下に記載する。図3を参照して示される実施形態によれば、キャリアガス310はHDA320(それは上記のHDAであることができる)の上部空間を通って流れる。マスフローコントローラ(MFC)330、例えばユニットUFC-1260A 1slmは、キャリアガス310の流速(それは例えば1slmに設定され得る)を制御するために使用され得る。ガス流中のヒドラジンの量の分析には得られたガス流の希釈が必要なことがあり、それは、希釈用ガス350を使用して達成できる。マスフローコントローラ(MFC)340、例えばユニットUFC-1260A 10slmは、希釈用ガス350の流速を制御するために使用され得る。キャリアガス310および希釈用ガス350は、ガス源360によって供給され得、それは典型的には窒素またはその他の適切なキャリアガスであり得る。弁370は、希釈ラインをそれが必要でないときに隔離するために使用され得る。MFC330とMFC340との両方の下流には、それらを起こり得るヒドラジン曝露から保護するために逆止弁371、372が配置され得る。ヒドラジン分析器380によって許容される最大圧力、例えば5psigをマニホールドの圧力が超えないことを保証するために、60psigの圧力計373がMFC330と逆止弁372との間に配置され得る。
窒素圧は、前圧調整器374を使用して維持され得、典型的には15psigに設定され得る。熱電対375は、ヒドラジン添加のために窒素キャリアガス310がHDA320に進入する前に、窒素キャリアガス310の温度を測定することができる。熱電対376は、HDA100内のヒドラジン溶液の温度を測定することができる。熱電対377は、ヒドラジン分析器380に進入する前のガス温度を測定することができる。ヒドラジン分析器380は、キャリアガス310のサンプルを引き込んでヒドラジン濃度を測定することができる。マニホールド300はさらに、相対湿度/抵抗温度検出器(RH/RTD)プローブ378を含み得る。ヒータテープ390は、図3に示す特定区画に配置され得る。マニホールドの温度は、2つの別個のゾーンである膜集合体と残りの管材とにおいてそれぞれTrilite Equipment&Technologies制御器およびWatlow 96制御器を使用して制御され得る。マニホールド全体は、換気フードの内側に設置され得る。
図3を参照して示される実施形態は、HDAの様々な作動条件下でキャリアガス流中に導入されたヒドラジンの量を測定する試験器械として設置される。ヒドラジンを重要プロセス用途へ送達するために同様の器械を使用できることは理解されよう。
図4は、本明細書において提供される方法、システムおよび装置による真空条件下でのヒドラジンの送達を実証するために使用される、別の実施形態による試験マニホールド400の配管計装図である。図4を参照して示される実施形態によれば、真空ポンプ410はHDA420(それは上記のHDAであることができる)のヒドラジン含有蒸気側(すなわち上部空間)からガスを除去する。例えば、真空ポンプ410は、弁480および圧力計430を使用して約24mmHgに維持することができる。ガス源440は、前圧調整器450を使用して約2psigの圧力に維持することができる。弁460は流量絞り弁として使用され得る。HDA420の外郭の内側における溶液の温度を測定するために、熱電対470がHDA420の充填管の内部に配置され得る。試験は、HDA420を一定温度に保ちながら、HDA420の蒸気側すなわち上部空間を真空ポンプ410によって作り出された真空に触れさせることを含む。HDA420内のヒドラジン含有溶液の定温制御を可能にするために、ヒートテープ490がHDA420の周囲に配置され得る。真空に基づくこの方法、システムおよび装置は、比較的低い圧力(すなわち真空下)で運転される数多くのマイクロエレクトロニクスおよびその他の重要プロセスの用途において特に好ましい。
図4を参照して示される実施形態は、HDAの様々な作動条件下でキャリアガス流中に導入されたヒドラジンの量を測定する試験器械として設置される。ヒドラジンを重要プロセス用途へ送達するために同様の器械を使用できることは理解されよう。
図5は、本明細書において提供される方法、システムおよび装置の一態様によるヒドラジンの送達を実証するために使用される、別の実施形態による試験マニホールド500の配管計装図である。図5に示すように、窒素キャリアガス510はHDA520(それは上記のHDAであることができる)の上部空間を通って流れることができる。マスフローコントローラ(MFC)530、例えばBrooks SLA5850S1EAB1B2A1 5slmは、窒素キャリアガス510の流速(それは例えば1slmに設定され得る)を制御するために使用され得る。ガス流中のヒドラジンの量の分析には、得られたガス流の希釈が必要なことがあり、それは、希釈用ガス550を使用して達成できる。マスフローコントローラ(MFC)540、例えばBrooks SLA5850S1EAB1B2A1 10slmは、希釈用窒素ガス550の流速を制御するために使用され得る。窒素キャリアガス510および希釈用窒素ガス550は、窒素ガス源560によって供給され得る。弁570は、必要なときに希釈ラインを隔離するために使用され得る。MFC530とMFC540との両方の下流には、それらを起こり得るヒドラジン曝露から保護するために一対の逆止弁571、572が配置され得る。分析器580によって許容される最大圧力をマニホールドの圧力が少しでも超えないことを保証するために、圧力計573、例えば100psiの圧力計がMFC530とHDA520との間に配置され得る。
窒素圧は、前圧調整器574を使用して維持され得、例えば25psigに設定され得る。熱電対575は、ヒドラジン添加のために窒素キャリアガス510がHDA520に進入する前に、窒素キャリアガス510の温度を測定することができる。HDA520内において、窒素キャリアガス510は膜管を通って流れることができ、ヒドラジン蒸気は、外郭筐体内に収容された溶液から膜を透過してキャリアガス510と混ざり合うことができる。熱電対576は、HDA520内のヒドラジン溶液の温度を測定することができる。熱電対577は、HDA520から出るガス温度を測定することができる。この実施形態では、ガス流中のヒドラジン濃度を測定するために分析器580が使用され得る。分析器580は、例えばMiniRAE 3000とすることができ、それは、11.7eVのガス放電灯を有する光イオン化検出器を具備している。分析器580は、例えば、ヒドラジン含有ガス流のサンプルを引き抜いてヒドラジン濃度を測定することができる。熱電対578は、分析装置580に入る前のガス温度を測定するために使用され得る。熱電対581は、希釈用窒素ガス550の温度を測定するために使用され得る。
マニホールド500はさらに、ヒドラジンを窒素と水素とに変換することによってヒドラジンを除去するように構成された触媒変換器585を含み得る。触媒変換器585の下流にはプローブ579、例えば、露点(DP)および水分濃度を測定するように構成されたE+E Elektronik EE371湿度送信器が存在し得る。プローブ579の下流には通気口が存在し得る。ヒータテープ590は、図5に示す特定区画に配置され得る。マニホールドの温度は、点線の四角で示された4つの別個のゾーンにおいてそれぞれWatlow EZZone(登録商標)96制御器を使用して制御され得る。マニホールド全体は、換気フードの内側に設置され得る。
図5を参照して示される実施形態は、HDAの様々な作動条件下でキャリアガス流中に導入されたヒドラジンの量を測定する試験器械として設置される。ヒドラジンを重要プロセス用途へ送達するために同様の器械を使用できることは理解されよう。
図6は、単一の膜を使用する場合に本発明の特定の実施形態において有用な膜集合体の断面を示す図である。膜集合体は、例えば、図1Bに示すようなHDAに組み込まれてもよい。図6に示すように、本発明の一実施形態において膜は、透過のために利用可能な固有の膜表面積を提供するために、調整された数の穴を含むステンレス鋼管に被さった単一の膜腔であってもよい。鞘付きステンレス鋼管は、外管の内側に収納されてヒドラジン送達組立体(HDA)を形成する。液体ヒドラジンは、内管と外管との間の空間内に充填される。キャリアガスは、膜を透過したヒドラジン蒸気を所望のプロセスへと運ぶために、内管を通って流れるように導かれる。
図7は、本発明の特定の実施形態によるヒドラジン送達のための方法、システムおよび装置を試験するために使用できるマニホールドの配管計装図である。この実施形態によれば、キャリアガス(CG)は、「気化器」と標識されたHDA(それは上記のHDAであることができる)の上部空間を通って流れる。マスフローコントローラ(MFC1)、例えば5slm Brook's SLA5850S1EAB1B2A1マスフローコントローラは、HDA内へのキャリアガスの流速を制御するために使用され得る。気化器から出るガス流中のヒドラジンの量の分析は、得られたガス流をまず希釈することを含み得、それは、希釈用ガス(DG-1)を使用して達成できる。マスフローコントローラ(MFC2)、例えば10slm Brook's SLA5850S1EAB1B2A1マスフローコントローラは、希釈用ガスDG-1の流速を制御するために使用され得る。別の希釈用ガスDG-2のラインが、グローブバッグ内に配置されたマニホールドの一部に提供され得る。
キャリアガスCGならびに希釈用ガスDG-1およびDG-2はガス源によって供給され得、当該ガス源は典型的には窒素またはその他の適切なキャリアガスであり得る。いくつかの、図7に示すような実施形態では、キャリアガスおよび希釈用ガスは同じガス源を共有する。他の実施形態では、キャリアガスおよび希釈用ガスは、独立したガス源を有していてもよい。弁V-1およびV-2は、それぞれHDA/DG-1希釈ラインまたはDG-2希釈ライン/グローブバッグへのガス流量を制御するために使用され得る。MFC2およびMFC1の下流には、それらを起こり得るヒドラジン曝露から保護するために、それぞれ逆止弁CV-1およびCV-2が配置され得る。気化器の上流の圧力を測定するために、圧力計PG-2がCV-2と気化器との間に配置され得る。
キャリアガス圧は、前圧調整器PR1で維持され得、圧力計PG-1で測定され得る。前圧調整器PR2は、ガスバッグを通る希釈用ガスDG-2の流れを制御するために使用され得る。熱電対T-1は、気化器内のヒドラジン溶液の温度を測定することができる。熱電対T-2は、混合ループの後であってヒドラジン分析器に進入する前のガス温度を測定することができる。MiniRAE 3000は、ヒドラジン分析器の一例である。ヒータテープHTは、図7に示すように気化器、希釈用ガスDG-1ラインの一部、および気化器の下流のラインなどの特定区画に配置され得る。また、マニホールドは、ヒドラジンを窒素と水素とに分解するために気化器およびグローブバッグの下流に触媒変換器を含んでいてもよい。マニホールド全体は、換気フードの内側に設置され得る。
図7を参照して示される実施形態は、HDAの様々な作動条件下でキャリアガス流中に導入されるヒドラジンの量を測定する試験器械として設置される。ヒドラジンを重要プロセス用途へ送達するために同様の器械を使用できることは理解されよう。
実験
開示の実施例では、フッ化スルホニル過フッ素化ポリマーを購入してそれらを押し出し、次いでそれらを当該技術分野において既知の方法によって加水分解して膜を形成することにより、膜を作製した。本明細書ではそのような膜をNAFION(登録商標)とも呼ぶ。
図7に示すマニホールドをこの実施例における試験手順に利用した。試験手順には、非水性の実質的に純粋なヒドラジン溶媒を液体源として利用して安定した気相ヒドラジン示度を得ることが含まれた。
この実験にはNAFION(登録商標)気化器(P/N# 200801-01)を使用した。この気化器は、1/8インチのSS(ステンレ鋼)管材に被さった単一の5R NAFION(登録商標)膜を含んでいた。SS管材は、直径0.06インチの穴を20個有して0.06in2の全透過面積を提供していた。その管材は、外郭側としての2つの1/4インチの充填ポートを有する3/8インチのSS管材によって取り囲まれていた。外郭側の容積はおおよそ8mlであった。
マニホールドを換気フード内に設置した。窒素圧は、前圧調整器(PR-1)で25psigに維持され、圧力計(PG-1)で測定された。2つの弁(V-1およびV-2)を使用して、気化器および/または希釈ラインを通るガスの流れを終結させた。5slmのBrook's SLA5850S1EAB1B2A1マスフローコントローラ(MFC-1)を使用してキャリアガスの流速を制御した。10slmのBrook's SLA5850S1EAB1B2A1マスフローコントローラ(MFC-2)を使用して希釈用ガスの流速を制御した。両MFCの下流には、それらをヒドラジンへの曝露から保護するために逆止弁(CV-1およびCV-2)を配置した。計器(PR-2)を有する前圧調整器を使用して、ガスバッグを通る窒素の流れを制御した。気化器の上流の圧力を圧力計(PG-2)で測定した。J型熱電対(TC-1)をヒータテープの制御点として気化器に取り付けた。キャリアガスを気化器の下流の希釈ラインからの窒素と混合した。J型熱電対(TC-2)を使用して、混合後のガス温度を監視した。11.7eVのガス放電ランプを有する光イオン化検出器(PID)を具備するMiniRAE 3000を使用して、ガス流中のヒドラジン濃度を測定した。試験マニホールドおよびグローブバッグ通気ラインは、ヒドラジンを窒素と水素とに分解する触媒変換器を有していた。気化器、希釈ラインの一部、および気化器の下流の試験マニホールドを、ヒータテープで熱追跡した。
この実験では、キャリアガス流量を1slmに設定した。希釈用ガス流量は、最初は1slmに設定し、濃度が2000ppm(MiniRae 3000の検出上限)を超えた場合に増やすことにした。マニホールドを加熱してTC-2におけるガス温度を30℃に保った。
図8は、キャリアガス流量および希釈用ガス流量を1slmとしてこの実験から得られた結果を表す。示されているように、ひとたびシステムが安定すると、ヒドラジン産出高はガス温度による影響をそのまま受けた。この影響は、この実験の温度設定値を試験の78分後に30℃から31℃に上げたときに実証された。ヒドラジンの平均濃度は、試験の最後の26分間において2426ppmであった。結果として、これらの条件下での透過速度は0.04043L/分/in2である。
図9に示すマニホールドをこの実施例の試験手順に利用した。試験手順には、無水の98%ヒドラジン溶媒を液体源として使用するかまたはポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル溶媒(Mn=250)中65%のヒドラジン溶液を液体源として使用して安定した気相ヒドラジン示度を得ることが含まれた。
これらの実験にはNAFION(登録商標)気化器(P/N# 200846-A)を使用した。この気化器は、1/8インチのSS管材に被さった単一の5R NAFION(登録商標)膜からなっていた。SS管材は、直径0.06インチの穴を10個有して、0.03in2の全透過面積を提供していた。その管材は、外郭側としての2つの1/4インチの充填ポートを有する3/8インチのSS管材によって取り囲まれている。外郭側の容積はおおよそ8mlであった。
マニホールドを換気フード内に設置した。Entegris 500KF Gatekeeper精製器を使用してガス流から酸素、水および炭化水素を除去した。2つの弁(V-1およびV-2)を使用して、それぞれ、グローブボックスおよび試験マニホールドを通るガスの流れを終結させた。グローブボックス内の窒素流は、前圧調整器で維持し、圧力を圧力計(PG-1)で測定した。ヒドラジンの逆流を防ぐために、逆止弁(CV-1)をグローブボックスの上流に配置した。計器を有する前圧調整器を使用してMFCの上流で25psigのガス圧を維持した。5slmのBrook's SLA5850S1EAB1B2A1マスフローコントローラ(MFC-1)を使用してキャリアガスの流速を制御した。10slmのユニット・マスフローコントローラ(MFC−2)を使用して希釈用ガスの流速を制御した。両MFCの下流には、それらをヒドラジンへの曝露から保護するために逆止弁(CV-2およびCV-3)を配置した。
ヒドラジン蒸気をガス流に添加するために単一腔型の気化器を使用した。混合ループを使用して、希釈ラインからの窒素を気化器の下流のキャリアガス中のヒドラジン蒸気と混合した。J型熱電対(TC-1)を使用して、混合後のガス温度をモニタリングした。11.7eVのガス放電ランプを有する光イオン化検出器(PID)を具備するMiniRAE 3000を使用して、ガス流中のヒドラジン濃度を測定した。試験マニホールドおよびグローブボックス通気ラインは、ヒドラジンを触媒作用により窒素と水素とに分解するスクラバーを有していた。グローブボックス内に背圧を作り出すため、および隔離のために、弁(V-3)を使用した。
この実施例では、2つの溶液を室温で試験した。片方の溶液は、無水の98%ヒドラジン(Sigma Aldrich)であった。2つ目の溶液は、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル(ρ=1.03g/ml)中65%w/wのヒドラジン(ρ=1.029g/ml)であった。無水の98%ヒドラジン5.2mlとポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル2.8mlとを使用して8mlの溶液を作った。
各試験運転の前に、MiniRAE 3000を100ppmのイソブテンガス標準で較正した。分析器を試験マニホールドに取り付けてすぐに、ガスを試験マニホールドに流さずに溶液を気化器へ添加した。充填してすぐに、キャリアガス流量を1slmに設定し、希釈用ガス流量を1slmに設定した。希釈用ガス流量は、濃度が2000ppm(MiniRAE 3000の検出上限)を超えた場合に増やすことにした。ガス温度およびヒドラジン濃度の示度を記録した。気化器の産出高の変化が5ppm/分未満となった場合に安定化を判定することにした。
図10は、キャリアガス流量および希釈用ガス流量を1slm として330分間流した場合での無水の98%ヒドラジンからの結果を表す。10分で安定化に至った後、平均温度23.6℃±0.4℃での平均濃度は1482.7ppm±102.2ppmであった。こうして濃度は平均濃度の10%未満以内で安定していた。結果として、これらの条件下での平均透過速度は0.04942L/分/in2である。このヒドラジン透過速度は、実施例1で行った先の試験中に測定された0.04043L/分/in2の透過速度に近かった。
図11は、キャリアガス流量および希釈用ガス流量を1slmとして320分間流した場合での、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル中65%のヒドラジンからの結果を表す。30分で安定化に至った後、24.5℃±0.3℃の平均温度で平均濃度は1190.6ppm±27.6ppmであった。結果として、これらの条件下での平均透過速度は0.03969L/分/in2であった。図10および図11の時刻ゼロ付近に示されているヒドラジン濃度の急上昇は、測定機器のアーチファクトを反映しており、正確または適切であるとはみなされない。
65%ヒドラジン/ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル溶液の透過率は、98%ヒドラジン溶液に比べて19.7%低かった。65%ヒドラジン/溶媒に関して示された有望な属性は、98%ヒドラジン水和物溶液に比べて産出高が経時的に安定していることであった。98%ヒドラジン溶液の濃度産出高は290分で263ppm減少した。しかしながら、65%ヒドラジン/ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル溶液の濃度産出高は290分でたった23ppmしか減少しなかった。ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルに関する総合的結果は、それを安全なヒドラジン蒸気送達に適した溶媒として提示する。
ヒドラジン含有溶液の温度および、適用可能な場合はキャリアガスまたは真空を制御することによって、特定のヒドラジン濃度を送達することができる。プロセスガス流中のヒドラジン濃度の安定性は、約20%未満、例えば約18%未満、約16%未満、約14%未満、または約12%未満、または約10%未満に制御され得る。好ましい実施形態において、プロセスガス流中のヒドラジン濃度の安定性は、標準偏差内での平均濃度の約10%未満、例えば約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、ひいては約1%未満に制御され得る。平均濃度には、平衡を獲得する前における機器測定値が含まれない。例えば、ヒドラジン濃度についての図11中の測定値は、突起のように見える最大約1900ppmの測定値を含んでいる。機器が安定するのに約10分以上掛かることから、この突起は機器因子であって実際の測定値ではなく、以下では平均濃度の示度のすべてにそのような安定化が考慮されている。特定のヒドラジン濃度の選択は、ヒドラジン含有プロセスガスを使用する用途またはプロセスの要件に依存することになろう。特定の実施形態において、ヒドラジン含有ガス流は、追加のキャリアガスを添加することによって希釈され得る。特定の実施形態において、ヒドラジン含有ガス流は、ヒドラジンを用途またはプロセスへ送達する前またはその時点で、他のプロセスガス流と組み合わされ得る。あるいは、またはさらに、ヒドラジン含有プロセスガス中に存在するいかなる残留溶媒もしくは安定剤または汚染物質も、精製(例えば脱湿)ステップにおいて精製器械を使用して除去され得る。
図13に示すマニホールドをこの実施例の試験手順に利用した。Brute(商標)気化器1306を、出口返し部に付いているPTFE製の液はね防止材と、新しい腔集合体とを使用して組み立てた。Brute(商標)気化器1306に、過酸化水素を含む200mLの液体源溶液を充填し、蓋を取り付けた。図13に示されているように試験システム1300を組み立てた。マノメータ1310をディスプレイ読み出し器に連結した。全ての弁1302、1304、1308および1312を閉じ、真空ポンプ1318、1320および1322をオフにした。低温トラップ槽1316に液体窒素を充填した。出口背圧弁(BPV)1304を閉じ、弁1312を開けた。真空ポンプ1318、1320および1322をオンにし、低温トラップ槽1316を開き、平衡圧を記録した。出口BPV1304を速やかに開いて気化器1306に低圧による衝撃を与えた。液体源溶液の液滴の兆候に関して観察用パーフルオロアルコキシ(PFA)管1324を監視した。圧力が一定になるまで気化器1306を真空に曝した。弁1312をオフにし、上昇速度を微小間隔で記録した。当該試験を数回繰り返した。液はね防止材は、1torr未満の圧力において液体溶液が気化器1306の出口に進入するのを防止した。
本発明のその他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書に開示の本発明の実施によって当業者に明らかとなるであろう。本明細書および実施例は単に例示としてみなされることを意図したものであり、本発明の真の範囲および精神は添付の特許請求の範囲によって示される。

Claims (16)

  1. 方法であって、
    (a)(i)腔を有する外管;(ii)前記外管の腔内に配置され、調整された数の穴を含む少なくともひとつの内管であって、非水性ヒドラジン溶液からのヒドラジン蒸気を受容する腔を有する、少なくともひとつの内管;および(iii)前記内管を被覆し、前記ヒドラジン溶液からのヒドラジン蒸気に対して透過性であり、前記非水性ヒドラジン溶液から前記内管の腔に受容されたヒドラジン蒸気を少なくとも部分的に分離する管状膜を含む装置の前記内管と前記外管との間の空間内に、非水性ヒドラジン溶液を提供すること、
    (b)前記内管の腔にキャリアガスを流すかまたは前記内管の腔を真空にして、ヒドラジンを含有するガス流を形成すること;および
    (c)前記工程(b)で形成されたヒドラジン含有ガス流を重要なプロセスまたは用途へ送達すること
    を含、方法。
  2. 下記パラメータのうちの少なくとも1つを変化させることによって前記ヒドラジン気相の少なくとも1つの成分の濃度を変化させることをさらに含む、請求項1に記載の方法:(a)前記非水性ヒドラジン溶液の温度、(b)該非水性ヒドラジン溶液の圧力、(c)該非水性ヒドラジン溶液の濃度、(d)前記キャリアガスの温度、(e)該キャリアガスまたは真空の圧力、および(f)該キャリアガスの流速。
  3. 前記膜が、イオン交換膜である、請求項に記載の方法。
  4. 前記送達前に、前記ヒドラジン含有ガス流から汚染物質を除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記キャリアガスが、窒素、アルゴン、水素、清浄な乾燥空気、およびヘリウムよりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記非水性ヒドラジン溶液にエネルギーを加えることによって前記ヒドラジン気相の少なくとも1つの成分の濃度を変化させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記非水性ヒドラジン溶液が、ポリアニリン、ポリピロール、ポリピリジンまたはポリビニルアルコールのオリゴマーよりなる群から選択される溶媒をさらに含み、該ヒドラジン溶液の粘度が35cp以下である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記非水性ヒドラジン溶液が、モノグライム、ジグライム、トリグライム、ハイライム、テトラグライム、ポリグリコールDME200、ポリグリコールDME250、ポリグリコールDME500、ポリグリコールDME1000、ポリグリコールDME2000、ヘキサメチルホスホルアミドおよびヘキサメチレンテトラミンよりなる群から選択される溶媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記非水性ヒドラジン溶液がPEG化溶媒をさらに含み、該PEG化溶媒が、温度25℃のときに液体である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記非水性ヒドラジン溶液が、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記非水性ヒドラジン溶液が25重量%〜69重量%のヒドラジンを含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記非水性ヒドラジン溶液が、65重量%〜69重量%のヒドラジンを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記非水性ヒドラジン溶液が、0.1%未満の水を含有する、請求項1に記載の方法。
  14. 前記ガス流内の送達されるヒドラジン蒸気の偏差が、送達平均濃度の5%以内である、請求項1に記載の方法。
  15. 前記非水性ヒドラジン溶液が、0.01%未満の水を含有する、請求項1に記載の方法。
  16. 前記非水性ヒドラジン溶液が、0.001%未満の水を含有する、請求項1に記載の方法。
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