JP2020205621A - 弾性波素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気特性の優れた弾性波素子を提供する。【解決手段】複合基板1において、弾性波素子30は、複数の電極指32を備え、弾性表面波を励振するIDT電極31と、上面にIDT電極が位置しており、複数の電極指の繰り返し間隔の2倍で定義される弾性表面波波長λ未満の厚みである、圧電結晶からなる第1基板10と、第1基板の下面に接合され、面方位が(100)面又は(110)面及びこれらに等価な面であるSi単結晶からなり、重ねあわせた第1基板の上面からみたときに、弾性波の伝搬方向に対して、第1基板の上面に平行なSi単結晶の結晶軸が25°〜65°、115°〜155°、205°〜245°および295°〜345°のいずれかの角度で傾いている第2基板20と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、弾性波素子に関する。
従来、電気特性を改善することを目的として支持基板と圧電基板とを貼り合わせた複合基板に電極を設けて弾性波素子を作製することが知られている。ここで、弾性波素子は、例えば、携帯電話などの通信機器におけるバンドパスフィルタとして使用されている。また、複合基板は、圧電基板としてニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウム、支持基板としてシリコンや石英、セラミックスなどを用いたものが知られている(例えば、特開2006−319679号公報参照)。
しかしながら、近年、移動体通信に用いられる携帯端末装置は小型化、軽量化が進むとともに、高い通信品質を実現するために、さらに高い電気特性を備える弾性波素子が求められている。例えば、入出力信号の隣接チャネルへの漏洩を低減するために、通過帯域外の特定周波数帯における減衰特性が優れた弾性波素子が求められている。
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、電気特性の優れた弾性波素子を提供することにある。
本開示の弾性波素子は、IDT電極と第1基板と第2基板とを備える。IDT電極は、複数の電極指を備え、弾性表面波を励振する。第1基板は、圧電結晶からなり、上面と下面とを備え、下面に第2基板が直接、または間接的に接合されている。この上面には前記IDT電極が位置している。そして、この第1基板の厚みは、前記複数の電極指の繰り返し間隔の2倍で定義される弾性表面波波長λ未満である。第2基板は、前記第1基板の下面に接合され、音響インピーダンスI(MRayl)、横波音速V(m/s)としたときに式(1)を満たす材料からなる。
−0.0085×V+45.75≦I≦−0.0085×V+65.75 (1)
また、本開示の弾性波素子は、IDT電極と第1基板と第2基板とを備える。IDT電極は、複数の電極指を備え、弾性表面波を励振する。第1基板は、圧電結晶からなり、上面と下面とを備え、下面に第2基板が直接、または間接的に接合されている。この上面に前記IDT電極が位置しており、前記複数の電極指の繰り返し間隔の2倍で定義される弾性表面波波長λ未満の厚みである。第2基板は、前記第1基板の下面に接合されており、面方位が(100)面または(110)面、およびこれらに等価な面であるSi単結晶からなる基板であり、重ねあわせた前記第1基板の上面からみたときに、弾性波の伝搬方向に対して、前記第2基板の上面と平行な前記Si単結晶の結晶軸が25°〜65°、115°〜155°、205°〜254°および295°〜345°のいずれかの角度で傾いているものである。
また、本開示の別の弾性波素子は、IDT電極と第1基板と中間層と第2基板とを備えている。IDT電極は、複数の電極指を備え、弾性表面波を励振する。第1基板は、その上面に前記IDT電極が位置しており、前記複数の電極指の繰り返し間隔の2倍で定義される弾性表面波波長λ未満の厚みである、圧電結晶からなる。中間層は、第1面と第2面とを備え、前記第1面が前記第1基板の下面に接合され、前記第1基板よりも横波音速の遅
い材料からなる。第2基板は、前記第2面に接合されたSi単結晶からなる。
上記の構成によれば、電気特性の優れた弾性波素子を提供することができる。
図1(a)は、本開示にかかる複合基板の上面図であり、図1(b)は図1(a)の部分破断斜視図である。 本開示にかかるSAW素子の説明図である。 第1基板の厚みとバルク波スプリアスの発生周波数との関係を示す線図である。 図4(a)は図2に示すSAW素子の周波数特性を示す線図であり、図4(b)は従来のSAW素子の周波数特性を示す線図である。 第2基板の材料パラメータとSAW素子の周波数特性の周波数変化率との相関を示す等高線図である。 第2基板の結晶軸を説明する図である。 図7(a)〜図7(c)はそれぞれ、結晶面とφ伝搬角度とを異ならせたときの周波数変化率を示す。 図8(a),図8(b)はSAW素子の周波数特性を示す線図である。 第2基板の抵抗率とSAW素子の周波数特性との相関を示す線図である。 図2に示すSAW素子の変形例を示す断面図である。 弾性波素子30Aを製造するための複合基板の部分破断斜視図である。 弾性波素子30Aの周波数特性を示す線図である。 比較例の弾性波素子にかかる周波数特性を示す線図である。 図14(a)〜図14(c)はそれぞれ、結晶面とφ伝搬角度とを異ならせたときの弾性波素子の周波数変化率を示す。 図15(d)〜図15(f)はそれぞれ、結晶面とφ伝搬角度とを異ならせたときの弾性波素子の周波数変化率を示す。 図16(a),図16(b)はSAW素子の周波数特性を示す線図である。 第2基板の抵抗率とSAW素子の周波数特性との相関を示す線図である。 SAW素子30Bを製造するための複合基板の部分破断斜視図である。 第2中間層の厚みに対するSAW素子の周波数変化率を計算した線図である。 図20(a)は第1中間層の厚みに対するSAW素子の周波数変化率を計算した線図であり、図20(b)は周波数変化率が良好な第1中間層の厚みの範囲を計算した図であり、第1中間層と第2中間層との厚みの関係を示す線図である。 図21(a)は第1中間層の厚みに対するSAW素子の周波数変化率を計算した線図であり、図21(b)は周波数変化率が良好な第1中間層の厚みの範囲を計算した図である。 (a),(b)は本開示のSAW素子の周波数特性を示す線図である。 図23(a)〜図23(c)はそれぞれ、結晶面とφ伝搬角度とを異ならせたときの弾性波素子の周波数変化率を示す線図である。 図24(a),図24(b)は本開示の他の例の第1中間層の厚みに対する弾性波素子の周波数変化率を計算した線図である。 SAW素子30において、第1基板の厚みと第2基板の伝搬角とバルク波スプリアスの最大位相値との相関を計算した線図である。 SAW素子30において、第1基板の厚みと第2基板の伝搬角とバルク波スプリアスの最大位相値との相関を計算した線図である。 SAW素子30において、第1基板の厚みと第2基板の伝搬角とバルク波スプリアスの最大位相値との相関を計算した線図である。 SAW素子30Aにおいて、第1基板の厚みと第2基板の伝搬角とバルク波スプリアスの最大位相値との相関を計算した線図である。 SAW素子30Aにおいて、第1基板の厚みと第2基板の伝搬角とバルク波スプリアスの最大位相値との相関を計算した線図である。 SAW素子30Aにおいて、第1基板の厚みと第2基板の伝搬角とバルク波スプリアスの最大位相値との相関を計算した線図である。 SAW素子30において、第1基板の厚みと第2基板の伝搬角とバルク波スプリアスの最大位相値との相関をまとめた表である。 SAW素子30Aにおいて、第1基板の厚みと第2基板の伝搬角とバルク波スプリアスの最大位相値との相関をまとめた表である。
以下、本開示の弾性波素子の一例を図面を用いて詳細に説明する。
<<実施形態:弾性波素子30>>
(複合基板)
本実施形態の複合基板1は、図1に示すように、いわゆる貼り合せ基板であり、第1基板10と、第1基板10に直接または間接的に接合された第2基板20と、で構成される。ここで、図1(a)は複合基板1の上面図を示し、図1(b)は複合基板1の一部を破断した斜視図を示す。
第1基板10は、圧電材料からなる。この例では、第1基板10は、タンタル酸リチウム(LiTaO3,以下「LT」という)結晶からなる圧電性を有する単結晶の基板によって構成されている。具体的には、例えば、第1基板10は、36°〜55°Y−XカットのLT基板によって構成されている。
第1基板10の厚みは、一定であり、波長比で1λ未満である。より具体的には0.8λ未満としてもよいし、0.2λ〜0.6λとしてもよい。ここで、波長とは、後述するIDT電極31を構成する電極指32の繰り返し間隔(ピッチ)pを2倍したもので定義される。第1基板10の平面形状および各種寸法も適宜に設定されてよい。なお、LT基板の結晶のX軸と弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)の伝搬方向とは略一致している。
第2基板20は、第1基板10を支持できる強度を備えており、後述の条件(図5参照)を満たせば、その材料は特に限定されないが、第1基板10の材料よりも熱膨張係数が小さい材料で形成されてもよい。この例では、シリコン(Si)によって形成されている。このような材料を用いることで、温度変化が生じると第1基板10に熱応力が生じ、この際、第1基板10の弾性定数の温度依存性と応力依存性とが打ち消し合い、ひいては、弾性波素子(SAW素子)の電気特性の温度変化が低減(温特補償)される。本開示では、第2基板20として、単結晶Siを用いる。Siの結晶方位等については後述する。
第2基板20の厚さは、例えば、一定であり、適宜に設定されてよい。ただし、第2基板20の厚さは、温特補償が好適に行われるように第1基板10の厚さを考慮して設定される。また、本開示の第1基板10の厚さは非常に薄いため、第2基板20は、第1基板10を支持可能な厚さに考慮して決定される。一例として、第1基板10の厚さの10倍以上としてもよく、第2基板15の厚さは50〜600μmである。第2基板20の平面形状および各種寸法は、第1基板10と同等としてもよいし、第1基板10が小さくてもよい。
また、基板全体の強度向上や、熱応力によるそりを防止し、第1基板10により強い熱応力をかける目的で、第2基板20の第1基板10と反対側の面に、第2基板20よりも熱膨張係数の大きい不図示の第3基板を貼り付けてもよい。第3基板は、第2基板20がSiからなる場合には、セラミック基板,Cu層,樹脂基板等を用いることができる。また、第3基板を設ける場合には、第2基板2の厚みを薄くしてもよい。
第1基板10および第2基板20は、接着面をプラズマやイオンガン,中性子ガンなどで活性化処理した後に接着層を介在させずに貼り合わせる、いわゆる直接接合によって貼り合わされていても良い。言い換えると、第1基板10と第2基板20との接合面は、直接接合が可能な平坦さを備える。一般的に、直接接合が可能な接合面の算術平均粗さは5nm未満である。このような接合面を有する基板同士を接合することで、いわゆる樹脂や金属等の接合層を介して接合するものとは異なり、両基板同士の結晶面同士が接触するものとなり、音響的な境界が明瞭となる。
また、第1基板10と第2基板20との間に接合層として機能する樹脂や、接着剤等が存在しないことから、意図せぬ寄生容量の発生を抑制するとともに、第1基板10の上面で発生した熱を第2基板20の側に良好に放熱することができるものとなる。なお、下記で説明する効果が発揮しうる限りは、両基板の接合される側の面には自然酸化膜や、拡散防止用の保護膜、各種中間層や変性層などが形成されていても良い。
複合基板1は、図2に示す通りの複数の区画に区分され、その一区分それぞれがSAW素子30となる。具体的には、複合基板1を各区画ごとに切り出し個片化してSAW素子30とする。SAW素子30は、第1基板10の上面にSAWを励振するIDT電極31が形成されている。IDT電極31は電極指32を複数本有し、その配列方向に沿ってSAWが伝搬する。ここで、この配列方向は、第1基板10の圧電結晶のX軸(以下、XLTと表すことがある。)と概ね平行である。
ここで、SAW素子30は、複合基板1を用いることにより、温度変化による周波数特性(電気特性)変化を抑制することができる。
また、第1基板10が薄く、かつ、第2基板20を貼り合せている。このことにより、SAW素子30では、第1基板10の下面においてバルク波が反射して再びIDT電極31に入力されることにより、特定の周波数にバルク波スプリアスと呼ばれるリップルが発生する。バルク波スプリアスは、特に第2基板20の音速が、第1基板10を伝搬するSAWの音速よりも早い場合(第1基板10がLTやLiNbO3などで、第2基板20がサファイアやSiなどの場合)は顕著になる。これは、音速の差によってバルク波が第1基板10内に閉じ込められ、第1基板10があたかもバルク波を伝搬させる導波路のような動作をし、そのバルク波とIDT電極31が特定の周波数でカップリングするためである。
このバルク波スプリアスが発生する周波数と第1基板10の厚みとの関係のシミュレーション結果を図3に示す。図3において、縦軸は共振周波数を規格化した規格化周波数(単位:なし)を示しており、横軸は第1基板10の厚みを波長比(単位:なし)で示している。シミュレーションは以下のパラメータで行なった。
・第1基板10:LT 42°Yカット−X伝搬
・IDT電極のピッチp:1μm(λ=2μm)
・電極材料:Al(厚み0.08λ)
・第2基板20:Si 面方位(111)
なお、シミュレーションは上記寸法で行なったが、図3は縦軸、横軸ともに規格化した値
で示している。従って、図3の関係は任意のλの場合について適用できる。また、第2基板20としてSiを使用したが、第2基板20として、音速が、第1基板10を伝搬するSAWの音速よりも早いものであればほぼ同様の結果となる。
図3からも明らかなように、様々なモードの様々な次数のバルク波スプリアスが発生する中、第1基板10の厚みを薄くするに従って、最も低い周波数に出現するバルク波スプリアスが全体的に高周波数側にシフトしていく様子が確認できる。なお、モード1、2はそれぞれ、遅い横波、早い横波に起因するスプリアスであり、“−”以下の数字は、それぞれの波に起因するスプリアスについて、発生周波数が低い方から順番のつけた番号である。モード1−1、モード2−1はそれぞれ遅い横波と速い横波に起因するスプリアスの、最も低い周波数に出現するバルク波スプリアスである。そして、第1基板10の厚みを1λ未満とする場合には、一般的にSAW素子30に求められる共振周波数近傍にバルク波スプリアスが発現することを抑制することができる。また、第1基板10の厚みが0.8λ未満とした場合には、共振周波数および反共振周波数の双方の近傍にバルク波スプリアスの発現を抑制することができる。これにより、バルク波スプリアスの影響を抑制したSAW素子30を提供することができる。
さらに、第1基板10の厚みを0.2λ〜0.6λとする場合には、さらに高い周波数帯までバルク波スプリアスが発生しないことから、優れた電気特性を備えるSAW素子30を提供することができる。なお、第1基板10の厚みが0.2λよりも薄い場合には、図3に示すように共振子としての挙動が変化する。具体的には、共振周波数frと反共振周波数faの差分(周波数差fa−fr)が小さくなる。このため、安定した周波数特性を発現させるために、第1基板10の厚みを0.2λ以上としてもよい。
なお、第1基板10の厚みを薄くしたSAW素子30は、例えば、特開2004−282232号公報,特開2015−73331号公報,特開2015−92782号公報に開示されている。
図4(a)に、第1基板10の厚みを0.4λ、0.5λとしたときのSAW素子30の共振子特性を示す。なお、第2基板20はSi単結晶で面方位が(111)のものを用いた。この結晶面のオイラー角表示(φ,θ,ψ)は(−45,−54.7,0)である。また、比較のために、図4(b)に第1基板10の厚みを5λとした場合の共振子特性を示す。なお、5λという厚みは、SAW素子に適用される貼り合せ基板において通常用いられる厚みである。
図4からも明らかなように、SAW素子30によれば、バルク波スプリアスの周波数を高周波数側にすることができる。その結果、共振周波数・反共振周波数近辺の周波数帯に加え、反共振周波数よりも高周波数側の広い周波数範囲においてバルク波スプリアスの存在しないものとなり、ロスが少なく、電気特性に優れたSAW素子30を提供することができる。なお、図4(a)において、バルク波スプリアスを矢印で示している。
このように、第1基板10の厚みを薄くすることにより、電気特性に優れたSAW素子30を提供することができる。しかし、その一方で、第1基板10の厚みが波長よりも薄いため、SAWの振動の一部が第2基板20にも届くこととなる。このため、SAW素子30は、第2基板20の材料の影響と、第1基板10の厚みの影響とを受けることとなる。
<周波数変化率を抑制する第2基板材料規定>
図4(a)に用いたSAW素子30においても、第1基板10の厚みが0.4λと0.5λとでは若干共振周波数、反共振周波数がずれていることが確認できる。すなわち、第1基板10の厚みの変化により電気特性が変化することを確認した。これは、第1基板10
の厚みのバラツキにより周波数特性が変動することを示している。第1基板10は単結晶基板を研磨するか、もしくは薄膜プロセスにて成膜して形成する。このため、実際の製造工程では膜厚のバラツキが不可避である。そこで、SAW素子30として安定した周波数特性を実現するためには、第1基板10の厚みに対してロバスト性を高める必要がある。
具体的には、第1基板10の厚みの変化に対する周波数変化率を低くする必要がある。ここで、周波数変化率は、第1基板10の厚みが変化したときの共振周波数および反共振周波数の変化率の絶対値を求め、それらの平均値で表すものと定義する。そして、周波数変化率は以下の数式で表される。
(Δf/f)/(Δt/t)=(|(Δfr/fr)/(Δt/t)|+|(Δfa/fa)/(Δt/t)|)/2
ここで、fは周波数、frは共振周波数、faは反共振周波数、tは第1基板10の厚みを指すものとする。また、Δはその変化量を示す。周波数変化率の単位は無次元であるが、分かりやすいように%/%と示すこととする。この周波数変化率が小さい場合、SAW素子はロバスト性が高くなる。
このような周波数変化率を第2基板20の材料パラメータを変化させてシミュレーションした結果を図5に示す。図5において、横軸は第2基板20中を伝搬する横波バルク波の音速V(単位:m/s)を、縦軸を第2基板20の音響インピーダンスI(単位:MRayl)を示し、周波数変化率の等高線図を示している。
図5からも明らかなように、第2基板20として、特定の材料パラメータを満たす場合には周波数変化率を低くすることができる。具体的には、第2基板20を構成する材料の音響インピーダンスI(単位:MRayl),横波の音速V(単位:m/s)が以下の式(1)の関係を満たす場合に、周波数変化率を低くすることができる。
−0.0085×V+45.75≦I≦−0.0085×V+65.75 式(1)
式(1)を満たす範囲は、図5中に示す2本の破線の間に挟まれた領域である。
なお、第2基板20中を伝搬する横波バルク波の音速Vが、圧電基板を伝搬するSAWの音速と同程度以下になると、共振特性にスプリアスが発生するようになったり、第2基板20側に音波の漏洩が生じて損失が大きくなったりする。このため、Vは概ね4400m/s以上が好ましい。また、音響インピーダンスIが小さくなりすぎると、第2基板20の効果が小さくなり、周波数変化率が大きくなる。そのため、Iは5MRayl以上が望ましい。
このような関係を満たす材料として、SiやTiO2が例示できる。上述のような、第2基板20として好ましい材料の条件は、後述のSAW素子30A,30Bについても同様である。
<第2基板(Si)の面方位および伝搬角>
なお、同じ材料であっても、結晶方位等の違いにより周波数変化率の値が変化することがある。そこで、第2基板20としてSi単結晶基板を用いたときに、その面方位や第1基板10のX軸(XLT)に対する傾斜角度(ψ伝搬角度)を異ならせたときの周波数変化率をシミュレーションした。
ここで、ある結晶の面方位における伝搬角度ψの意味について説明する。
図6に、Si単結晶の各面方位とそのオイラー角表示と伝搬角度ψについて例示し、第1
基板10のX軸(SAW伝搬方向,XLT)とSi結晶軸との傾斜角度について説明する。Si単結晶の(100)面をオイラー角表示で示すと(90,90,ψ)となる。同様に(110)面は(−45,−90,ψ)、(111)面は(−45,−54.7,ψ)となる。ψ=0の時、このような各面方位を備えるSiの結晶軸XSi、YSi、ZSiと、第1基板10のXLTとの関係を、図6の上段(1−1,2−1,3−1)に示す。なお、図6は、第1基板10、第2基板20を上面から見た場合の、結晶軸の向きを表しており、長く示されている軸は基板表面に沿っており、短く示されている軸は基板表面に対して傾いていることを現している。第1基板10と第2基板20とは、図6上段左端に示すウエハの図のように、このまま重ねるように接合されているものとする。
そして、図6上段の状態からSi結晶(第2基板20を構成する結晶)をその基板上面の法線ベクトルを中心としてψ回転させる。言い換えると、基板の上面に平行な結晶軸を面方向に回転させる。なお、第1基板10と第2基板20とは重ねあわされているため両基板の上面の法線ベクトルは一致する。そのときのオイラー角表示は以下のようになる。
(100)面 ψ回転:(90,90,ψ)
(110)面 ψ回転:(−45,−90,ψ)
(111)面 ψ回転:(−45,−54.7,ψ)
このような回転後のSi結晶の結晶軸XSi、YSi、ZSiと第1基板10のX軸(XLT)との関係を図6下段(1−2,2−2,3−2)に示している。第1基板10の圧電結晶のX軸は図の上下方向である。このように、ψ回転させた場合を、ある面方位のψ伝搬角度と称するものとする。なお、Siは立方晶であるため結晶軸XSi、YSi、ZSiは等価であり、本開示の議論は、XSi、YSi、ZSi軸を入れ替えた等価な方向全てにおいて成り立つ。
ここで、各面方位についてψを変化させたときのSAW素子の周波数変化率をシミュレーションした結果を図7に示す。図7において、横軸は伝搬角度ψ(単位:deg)であり、縦軸は周波数変化率である。また、図7(a)〜(c)はそれぞれ、第1基板10の厚みを0.4λ,0.5λ,0.6λとした場合のシミュレーション結果である。
一般的に用いられるSi単結晶ウェハは面方位(111)・オリフラ(110)であり、これを、一般的に用いられるLTウエハ(オリフラ方位[100];図6のようにオリフラがXLTと垂直になるように切っている)とオリフラを揃えるように接合した場合は、Si(111)面の0°伝搬品となる。
この図から明らかなように、(100)面、(110)面を用い、かつψ伝搬角度を45°を中心に±20°とした場合に、周波数変化率を一般的な結晶面に比べて小さく抑えることができる。さらに、45°を中心に±15°とする場合には周波数変化率を0.005%/%未満とすることができ、さらに周波数変化率が小さく、安定した電気特性を発現できるSAW素子30を提供できる。
ここで、図7に示すようなψ伝搬角度による周波数特性の変動は、90°もしくは180°の周期で変動している。このため、ψ伝搬角度を45°を中心に±20°とした場合と等価なψ伝搬角度は、25°〜65°、115°〜155°、205°〜254°および295°〜345°となる。
なお、上記のような一般的に用いられるLTウエハとオリフラ方向を揃えて接合する場合、面方位(100)・ψ伝搬角度45°の場合は、面方位(100)・オリフラ方向(110)のSiウエハおよびその等価な方位を使用すればよく、面方位(110)・ψ伝搬角度45°の場合は、面方位(110)オリフラ方向を(110)から45°傾けたSi
ウエハおよびその等価な方位を用いればよい。
また、図7から明らかなように、第1基板10の厚みが厚くなるにつれて周波数変化率が小さくなる。バルク波スプリアスの観点からは、第1基板10の厚みは薄くなるほど発生周波数が高周波数化して、バルク波スプリアスのない周波数帯を広げることができるが、周波数変化率を低減する観点からは厚みを厚くすることが好ましい。以上より、第1基板10の厚みを、両方の効果を奏することのできる0.4λ〜0.6λとしてもよい。
このようなSAW素子30の周波数特性を図8に示す。図8において、横軸は周波数(単位:MHz)、縦軸はインピーダンスの絶対値(単位:ohm)を示しており、第1基板10の厚みを0.4λとしたときと0.5λとしたときの周波数特性を表している。厚み0.4λの特性を実線で、厚み0.5λの特性を破線で示している。なお、図8(a)においては第2基板20の面方位を(100)面として45°伝搬品とした。同様に図8(b)においては第2基板20の結晶面を(110)面として45°伝搬品を用いた。これら結晶軸の関係を線図の右横に示す。
図8から明らかなように、SAW素子30によれば、第1基板10の厚みが変動しても共振周波数、反共振周波数、共振周波数と反共振周波数との差分ともに変動がなく、周波数特性の変化を抑制できることを確認した。特に、図4(a)と図8とを比較しても明らかなように、第2基板20の結晶方位および伝搬角度を上述の範囲とする場合には、周波数変化を抑制することができる。
以上のように、第1基板10の厚みを1λ未満とし、第2基板20を式(1)の関係を満たす材料を用いる場合には、電気特性に優れた信頼性の高いSAW素子30を提供することができる。特に、第2基板20としてSi単結晶の面方位が(100)または(110)の結晶面を用いて、第2基板20の上面の法線を中心に25°〜65°傾けたものを用いる場合には、より信頼性の高いSAW素子30を提供することができる。
さらに、第1基板10と第2基板20とが直接接合されていることから、意図しない容量の発生を抑制するとともに、第1基板10の側で発生した熱を第2基板20に良好に伝達することができる。このことから信頼性の高いSAW素子30を提供することができる。
また、第1基板10と第2基板20とが直接接合されていることから、意図せぬ不純物が接合界面に偏析したり、第2基板20の側に拡散したりすることを抑制することができる。本開示のSAW素子30においては、第1基板10の厚みが薄く、第2基板20の影響を受けることから、このような不純物の拡散による第2基板20の特性の変化を防ぐことが好ましい。
<バルク波スプリアス強度との関係>
上述の例では、周波数変化率の観点から第2基板20の伝搬角を設定したが、バルク波スプリアスの強度の観点から伝搬角を設定してもよい。上述の構成とすることで、共振周波数,反共振周波数近辺でのバルク波スプリアスは存在しないが、その高周波数側にて図4(a)の矢印で示すように、バルク波スプリアスが発生する。発明者らが鋭意検討を重ねた結果、第1基板10の厚みと第2基板20のオイラー角とを一定の関係とすることで、スプリアスの強度を抑制できることを見出した。
図25に、第2基板20としてSi(111)面を用いて、第1基板10の厚みと、第2基板20の伝搬角度ψとを変えたときのバルク波スプリアスの最大位相値の変化の様子を示す。第1電極10の厚みは、ピッチpに対して0.4p〜1.2p(すなわち、0.2λ〜0.6λ)まで変化させた。図25において、横軸は第2基板20の伝搬角度(de
g)であり、縦軸はバルク波スプリアスの最大位相(deg)である。各線図の上に記載している数字は、第1基板10の厚みの波長比の値である。
図25から明らかなように、最大位相値は伝搬角度によって大きく変動し、かつその変動は、120°周期で繰り返していることが確認できた。また、第1基板10の厚みによっても最大位相値が大きく変動し、最大位相値の小さい伝搬角度の範囲が厚みの増加と共に狭くなっていき、1.2p以上(0.6λ以上)の厚みではスプリアスが小さくなる領域が殆どなくなることを確認できた。
以上の結果を踏まえ、最大位相値が−50deg以下となるような伝搬角度と、第1基板10の厚みDとの関係式を導いた。具体的には、以下の式を同時に満たすときにバルク波スプリアス強度を抑制できる。
43.49×D+0.55≦ψ≦−44.86×D+119.04
0.4p≦D≦1.1p
なお、ψ+120×αの伝搬角度でも同様にバルク波スプリアス強度を抑制することができる。ただしαは0,1,2である。
原因は明らかではないが、第1基板10の厚みが0.8pの場合には、最大位相値が大きくなる傾向があった。そこで、より好ましくは、上述の関係式において0.7p<D<0.9pの厚み範囲は除くと、より安定してバルク波スプリアスを抑制することができる。
同様に、第2基板20としてSi(110)を用いた場合について検討した結果を図26に示す。図26から明らかなように、最大位相値は伝搬角度によって大きく変動し、かつその変動は、180°周期で繰り返していることが確認できた。また、第1基板10の厚みによっても最大位相値が大きく変動し、最大位相値の小さい伝搬角度の範囲は厚みの増加に対して変動はなかったが、0.9p以上(0.45λ以上)の厚みではスプリアスが小さくなる領域が殆どなくなることを確認できた。
以上の結果を踏まえ、最大位相値が−50deg以下となるような伝搬角度と、第1基板10の厚みDとの関係を導いた。具体的には、以下の式を同時に満たすときにバルク波スプリアス強度を抑制できる。
−60≦ψ≦60
0.4p≦D≦0.8p
なお、ψ+180×αの伝搬角度でも同様にバルク波スプリアス強度を抑制することができる。ただしαは0,1である。
次に、第2基板20としてSi(100)を用いた場合について、同様に検討した結果を図27に示す。図27から明らかなように、最大位相値は伝搬角度によって大きく変動し、かつその変動は、90°周期で繰り返していることが確認できた。また、第1基板10の厚みによっても最大位相値が大きく変動し、最大位相値の小さい伝搬角度の範囲が厚みの増加と共に狭くなっていき、0.9p以上(0.45λ以上)の厚みではスプリアスが小さくなる領域が殆どなくなることを確認できた。また、他の結晶方位に比べて、全体的に最大位相値は大きかった。
以上の結果を踏まえ、最大位相値が伝搬角度90°における値に比べて明らかに小さくなる伝搬角度と、第1基板10の厚みとの関係を導いた。具体的には、以下の式を同時に満たすときにバルク波スプリアス強度を抑制できる。
20×D+10≦ψ≦−20×D+80
0.4p≦D≦0.8p
なお、ψ+90×αの伝搬角度でも同様にバルク波スプリアス強度を抑制することができる。ただしαは0,1,2,3である。
また、最大位相値が−0deg以下となるような範囲は以下の通りである。
20≦φ≦70
D≦0.7p
以上の結果から、以下の条件を満たすことで、バルク波スプリアス強度を抑制しつつ、周波数変化率を抑制することができる。
第2基板20としてSi(111)面を用いる場合には、第1基板10の厚みが0.5λ以上とし、ψ=60°±5°としてもよい。第1基板10の厚みを0、4λ未満とする場
合には、ψ=45°±5°もしくは65°±5°とする。
第2基板20としてSi(110)面を用いる場合には、第1基板10の厚みを0.4λ以下とし、ψ=30°〜60°としてもよい。第1基板10の厚みが0.4λを超える場合にはψ=25°〜30°とする。
第2基板20としてSi(100)面を用いる場合には、ψ=30°±5°もしくは60°±5°とする。第1基板10の厚みが0.45λ以下としてもよい。
なお、図25〜27に示した、バルク波スプリアスを抑制することのできる第1基板10の厚みDと第2基板20の伝搬角度との組み合わせを図31に示している。
(SAW素子30の変形例)
上述の例では、第2基板20の抵抗率については特に制限を設けていないが、その抵抗率を5000Ωcm以上としてもよい。上述の通り、第1基板10の厚みが薄いことから、SAW素子30の周波数特性は第2基板20の影響を受ける。そこで、第2基板20の特性のうち抵抗率に着目した。具体的には、抵抗率を異ならせたときのSAW素子30のインピーダンスの周波数特性をシミュレーションし、そのインピーダンスの位相の最大値および共振周波数でのQ値を導出した。なお、インピーダンスの位相の最大値はSAW素子30の損失を反映しており、90°に近くなるほど損失が小さいことを示している。また、Q値も損失を反映した値である。その結果を図9に示す。
図9において、横軸に第2基板20をSiとした場合の導電率(単位:S・cm−1)を、縦軸に、図9(a)ではインピーダンスの位相の最大値(単位:deg)を、図9(b)では共振周波数でのQ値(単位:なし)を表している。シミュレーションは、第1基板10をLT基板としたときの厚みを0.3λから0.8λまで変化させて行った。
図9から明らかなように、第1基板10の厚みが薄くなるにつれて最大位相、Q値が小さくなり、損失が大きくなっている様子が確認された。また、その乖離度は、第2基板20の導電率を低くするにつれて小さくなっていくことが確認された。例えば、導電率が0.0002S/cm以下(抵抗率5000Ωcm以上)であれば、第1基板10の厚みが0.4λの時でも最大位相を89.5°以上、Q値5000以上の良好な値にできる。以上より、第1基板10の厚みを0.8λ未満とする場合には第2基板20の抵抗率を5000Ωcm以上としてもよい。
第2基板20として、Si単結晶基板を用いる場合には、導電率を低く(抵抗率を高く)
するためにはドーパント量を少なくする必要がある。しかし、第1基板10と第2基板20を接合する工程、もしくは接合した後の工程(例えばIDTを形成する工程)で熱が加わった場合、Si単結晶基板に第1基板10の成分が不純物として拡散し、Si単結晶基板の導電率を上げてしまう可能性がある。これを防ぐため、Si単結晶基板もしくは第1基板10の接合面側に、SiNx、SiOxなどの拡散防止層を付加しても良い。
また、第2基板20の導電率を低くするために、Si単結晶基板上に、薄膜形成法にてSi膜を形成してもよい。この場合には、Si膜の導電率を製膜条件で制御することが可能となる。例えば、Si単結晶基板上にエピタキシャル成長させてエピ膜を形成する場合には、供給ガスを調整すればよいし、蒸着膜を形成する場合には、ターゲットの純度およびチャンバー内の真空度を調整すればよい。蒸着法等で形成したSi膜は、単結晶基板と結晶性が異なっていてもよいし、成膜後に加熱して下地となる単結晶基板と同様の結晶性を持たせるよう再配させてもよい。このように、第1基板10と接合する側の面から続く領域においてのみ、部分的に抵抗率を高めてもよい。この場合には、第1基板10側の領域において一部結晶性が変化している場合もある。
(SAW素子30の変形例)
上述の例では、第1基板10に形成されるIDT電極31を含む電極群について特に限定していないが、電極群のうちIDT電極31を除く電極と第1基板10との間に絶縁層35を設けてもよい。
上述の通り、第1基板10の厚みが薄くなると、IDT電極31以外の配線部を流れる電流が作る磁界や、配線部同士の容量成分が作る電界が第2基板20にまで達するようになる。その場合、第2基板20に導電性があると電気的な損失が発生したり、電極間に電磁的な結合が生じて、寄生容量が増えたり、弾性波素子同士の結合が生じて電気特性が劣化してしまう虞がある。これを防ぐため、図10に示すように、第1基板10上に形成されたIDT電極31以外の配線33の直下に絶縁層35を形成してもよい。具体的には、高周波信号が入出力される端子パッドや、そこからIDT電極31に延びる配線、IDT電極31同士を電気的に接続する配線33と第1基板10との間に絶縁層35を形成する。
このような絶縁層35の存在により、第2基板20の抵抗率を上げるのと同等の効果を奏し、SAW素子30全体の損失を低減することができる。絶縁層としては、第1基板10よりも誘電率の小さい材料が好適であり、ポリイミドなどの樹脂材料、SiOx、SiNx等の無機材料が例示できる。絶縁層材料の誘電率が第1基板10よりも小さい場合には、配線33で生じる電場が絶縁層35に集中し、第1基板10や第2基板20中に浸透しにくくなる。このため、第2基板20の導電率による悪影響を低減することができる。
絶縁層35に求められる厚みは、その上に形成される電極に大きな段差が発生しないように設定してもよい。また、電極パッド等や厚膜配線等の厚みが厚い配線33のみに絶縁層を設ける場合には、絶縁層35の厚みを比較的厚くすることができる。一般的に用いられる厚み1μm〜5μm程度の電極パッドや厚膜配線の場合、絶縁層35の端部をテーパ形状にすれば、2〜20μmの厚さでも良好な接続が得られる。共振周波数約1GHz(λは約4μm)では第1基板10の厚さは約2μm(厚み0.5λの場合)となるので、上記した厚さの絶縁層35があれば、配線33から第1基板10への電場の浸透はほぼ無視できるようになる。このため、第2基板20が半導体である場合であっても、SAW素子30の損失の増加を抑制することができる。
また、IDT電極31以外の配線や外部回路と接続するためのパッド電極等の直下において、第1基板10を除去もしくは凹部を形成し、絶縁層35の厚みを増してもよい(図10右側参照)。その場合には、さらに第2基板20との電磁結合を抑制することができる
なお、このような構成は、後述のSAW素子30A,30B等にも適用可能である。
<<他の実施形態:SAW素子30A>>
SAW素子30Aは、SAW素子30と比べて、第1基板10と第2基板20との間に中間層50を備えている点で異なる。以下、異なる点を中心に説明し、重複する説明を省略する。
(複合基板)
本実施形態の複合基板1Aは、図11に示すように、いわゆる貼り合せ基板であり、第1基板10と、第2基板20と、第1基板10と第2基板20との間に位置する中間層50とで構成される。ここで、図11は複合基板1Aの一部を破断した斜視図を示す。
中間層50は互いに向き合う第1面50aと第2面50bとを備え、第1面50aを第1基板10に接合させ、第2面50bを第2基板20に接合させている。そして、第1基板10と中間層50との合計厚みは1λ以下となっている。
中間層50を形成する材料としては、第1基板10よりもバルク波の横波の音速が遅く、かつ、第2基板20よりも誘電率の小さい材料で構成される。具体的には第1基板10がLT基板で構成され、第2基板20がSiで構成される場合には、酸化ケイ素、ガラス材等とすることができる。
このような中間層50は、第1基板10上または第2基板20上に成膜して形成してもよい。具体的には、MBE(Molecurer Beam Epitaxy)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法、蒸着法等により支持基板とする第1基板10または第2基板20上に中間層50を形成する。然る後に、中間層50の上面と、残りの基板(10または20)とをプラズマやイオンガン,中性子ガンなどで活性化処理した後に接着層を介在させずに貼り合わせる、いわゆる直接接合によって貼り合わされていても良い。なお、第2基板20がSiで、中間層50が酸化ケイ素の場合には、第2基板20を熱酸化させることにより中間層50を形成してもよい。
このような中間層50の結晶性は、アモルファス、多結晶等適宜自由に選択できる。なお、中間層50の厚みについては後述する。
そして、複合基板1Aは、図2と同様に複数の区画に区分され、その一区分それぞれがSAW素子30Aとなる。電極指32の配列方向は、第1基板10の圧電結晶のX軸と概ね平行である点も同様である。
ここで、SAW素子30Aは、複合基板1Aを用いることにより、温度変化による周波数特性(電気特性)変化を抑制することができる。
また、SAW素子30Aは、第1基板10が薄く、かつ、中間層30を介在させて第2基板20を貼り合せている。このようなSAW素子30Aにおいても、SAW素子30と同様に、第1基板10の厚みを1λ未満であり、より好ましくは0.2λ〜0.6λとすることで、バルク波スプリアス発生を抑制することができる。
図12に、第1基板10の厚みを0.4λ、0.5λとしたときのSAW素子30Aの共振子特性を示す。なお、第2基板20はSi単結晶で面方位が(111)のものを用いた
。この結晶面のオイラー角表示は(−45,−54.7,0)である。実際のウエハとしては、面方位(111)、オリフラ方位(110)のSiウエハを使用し、オリフラ方位が、第1基板10であるLT結晶のX軸に沿った方向になるように接合したものである。中間層50は、酸化ケイ素からなり、その厚みを0.05λとした。
図12からも明らかなように、SAW素子30Aによれば、バルク波スプリアスの周波数を2500MHzよりも高周波数側にすることができる。そして、その結果、共振周波数・反共振周波数近辺の周波数帯に加え、反共振周波数よりも高周波数側の広い周波数範囲においてバルク波スプリアスの存在しないものとなり、ロスが少なく、電気特性に優れたSAW素子30Aを提供することができる。
このように、第1基板10の厚みを薄くすることにより、電気特性に優れたSAW素子30Aを提供することができる。しかし、その一方で、SAW素子30Aの周波数特性は、第1基板10の厚みの影響を受けるようになる。また、第1基板10と中間層50との合計厚みが波長よりも薄いため、SAWの振動の一部が第2基板20にも届くこととなる。このため、SAW素子30Aは、第2基板20の材料特性の影響を受けることとなる。
まず、第1基板10の厚みの影響について検討する。SAW素子30Aによれば、第1基板10の直下に中間層50を配置している。この中間層50の存在により、第1基板10の厚みに対するロバスト性を高めることができる。以下、そのメカニズムについて説明する。
波長未満の厚みの第1基板10において、その厚みが厚くなると、SAWの弾性波振動の第1基板10内の分布量が多くなるため周波数が低周波数側にシフトする。その一方で、第1基板10の厚みが厚くなると、中間層50および第2基板20内におけるSAWの分布量は減ることになる。
ここで、中間層50は、前述の通り、音速が第1基板10よりも遅くなっている。このような音速の遅い中間層50におけるSAWの分布量が少なくなることで、SAW素子30A全体の音速が速くなり、周波数特性は高周波数側にシフトする。
そして、第2基板20は、前述の通り、音速が第1基板10よりも早くなっている。このような音速の速い第2基板20におけるSAWの分布量が少なくなることで、SAW素子30A全体の音速が遅くなり周波数特性は低周波数側にシフトする。
このような3つの構成要素を積層した構成とすることで、SAW素子30A全体としては周波数特性の変化を打ち消し合い、周波数変化を抑制することができる。ここで、第1基板10が薄い場合には、厚み変化による周波数低下が大きくなることから、第1基板10と同じく、第2基板20よりも音速が遅い材料からなる中間層50を導入することでこの周波数低下を緩和することができる。これは、バルク波スプリアスの特性はそのままに、第1基板10の厚みを厚くすることでロバスト性を高めたのと同様の効果を示すことを可能としたともいえる。
このような中間層50を挿入することによる効果を検証する。図13に、図12に示すSAW素子30Aと同等の厚みの第1基板10のみで構成されるSAW素子について周波数特性をシミレーションした結果を示す。また、図4(a)に、中間層50を備えない点以外は、SAW素子30Aと同じ構成のSAW素子について、それぞれ周波数特性をシミュレーションした結果を示している。なお、いずれのモデルにおいても、第1基板10の厚みを0.4λ、0.5λとしたときの周波数特性をシミュレーションした。
図13において横軸は周波数(単位:MHz)であり、縦軸はインピーダンスの絶対値(単位:Ω)を示している。図13,図4(a)と図12との特性を比較すると、図12に示す本開示のSAW素子30Aの特性は、図13,図4(a)に示す特性に比べて第1基板10の厚み変動に対して共振周波数および反共振周波数のシフト量が小さくなっていることが確認できた。
すなわち、本開示のSAW素子30Aによれば、中間層50の挿入により第1基板10の厚みのバラつきに対してロバスト性の高いものとすることができたことを確認した。
ただし、中間層50を厚くし過ぎると、第2基板20側の効果を凌駕してしまう。そこで、中間層50の厚みは、少なくともより音速の速い第1基板10の厚みよりも薄くすることが必要である。具体的な厚みについては後述する。
<Si面方位>
次に、さらにロバスト性を高めるために、第2基板20、中間層50の詳細な構成の組み合わせについて検討する。
第1基板10の厚みのバラツキに対してロバスト性を高めるには、具体的には、第1基板10の厚みの変化に対する周波数変化率を低くする必要がある。
そこで、周波数変化率を、中間層50の膜厚を異ならせたり、第2基板20としてSi単結晶基板を用いたときに、その面方位や第1基板10のX軸(XLT)に対する傾斜角度(ψ伝搬角度)を異ならせたりしてシミュレーションを行なった。
ここで、各面方位についてψを変化させたときのSAW素子の周波数変化率をシミュレーションした結果を図14および図15に示す。図14および図15において、横軸は伝搬角度ψ(単位:deg)であり、縦軸は周波数変化率である。また、図14(a)〜(c),図15(d)〜(f)はそれぞれ、中間層50であるSiO2の厚みを0λ〜0.15λまで変化させたときのシミュレーション結果である。0λとは、中間層50が存在しない場合を示す。なお、第1基板10の厚みは0.5λで一定とした。
この図から明らかなように、中間層50の厚みが0.1λ未満の場合には、第2基板20としてどの結晶方位のものを用いても、一般的な(111)面0°伝搬品で中間層50を設けないモデル(モデル1)に比べて周波数変化率を小さくすることができる。
さらに、中間層50の厚みが0.04λ〜0.06λのときは、第2基板20の結晶方位によらず安定して周波数変化率を抑制できる一方で、中間層50の厚みが0.07λ〜0.08λの場合には、第2基板20の面方位を(111)とすることで伝搬角度の違いによらず安定して周波数変化率を抑制することができる。
また、中間層50の厚みが0.1λ以上の場合には、第2基板20の結晶方位を(100)または(110)として0°±30°伝搬品とすることでモデル1よりも周波数変化率を抑制することができる。
なお、図14および図15に示すシミュレーションと同様のシミュレーションを、第1基板10の厚みを0.4λ〜0.6λとして行なったが、同様の傾向が確認された。また、第1基板10の厚みを変えても周波数変化率に大きな変動は見られなかったことから、中間層50の存在により、第1基板10の厚みの変化に対する特性変化の影響が低減されていることを確認した。
このようなSAW素子30Aの周波数特性を図16に示す。図16において、横軸は周波数、縦軸はインピーダンスの絶対値を示しており、第1基板10の厚みを0.4λとしたときと0.5λとしたときの周波数特性を表している。なお、図16(a)においては第2基板20の面方位を(100)面として0°伝搬品とした。同様に図16(b)においては第2基板20の結晶面を(110)面として0°伝搬品を用いた。図16(a),(b)ともに、中間層50の厚みは0.1λとした。
図16および図12から明らかなように、SAW素子30Aによれば、第1基板10の厚みが変動しても共振周波数、反共振周波数、共振周波数と反共振周波数との差分ともに変動がなく、周波数特性の変化を抑制できることを確認した。
また、図12,図16において、第1基板10の厚みが等しい場合には、第2基板20の面方位を異ならせても、中間層50の厚みを異ならせても、共振周波数と反共振周波数との差分は一定であった。すなわち、SAW素子30Aによれば、中間層50の若干の厚み変動に対しても安定した周波数特性を実現することができることが確認できた。
以上のように、第1基板10の厚みを1λ未満とし、第2基板20が第1基板10に比べてバルク波の横波の音速が速い材料からなり、中間層50が、第1基板10よりもバルク波の横波の音速が遅い材料からなる場合には、ロバスト性に優れたSAW素子30Aを提供することができる。特に、中間層50の厚みが0.1λ未満の場合には、よりロバスト性を高めることができる。中でも、0.04λ〜0.08λとする場合には、さらにロバスト性を高めることができる。また、中間層50の厚みが0.1λ以上の場合には、第2基板20としてSi単結晶の面方位が(100)または(110)の結晶面を用いて、第2基板20の上面の法線を中心に−30°〜30°の範囲で傾けた状態とすることで、より信頼性の高いSAW素子30Aを提供することができる。
また、第1基板10と第2基板20との間にアモルファスまたは多結晶の中間層50を設けた場合には、中間層50により意図せぬ不純物をゲッタリングすることができる。このため、接合界面に不純物が偏析したり、第2基板20の側に拡散したりすることを抑制することができる。
本開示のSAW素子30Aにおいては、第1基板10の厚みが薄く、第2基板20の影響を受けることから、このような不純物の拡散による第2基板20の特性の変化を防ぐことが好ましい。具体的には、第1基板10として用いるLT単結晶やLiNbO3単結晶から、第2基板20として使用するSi基板へのリチウムやタンタル、酸素の拡散を抑制することができる。これらの元素がSiに拡散するとSiの導電率が大きくなり、電気的なロスとなったり、寄生容量が大きくなったりして弾性波素子の電気特性が劣化してしまう。
また、上述の例では中間層50としてSiO2を用いた場合について説明したが、この限りではない。例えば、Ta2O5を用いてもよい。Ta2O5を用いた場合についても、SiO2を用いた場合と同様の傾向があることを確認しているので、同様の判断基準で適宜最適化すればよい。
<バルク波スプリアスの強度>
上述の例では、周波数変化率の観点から第2基板20の伝搬角を設定したが、バルク波スプリアスの強度の観点から伝搬角を設定してもよい。
図28〜図30に、SAW素子30Aについて、図25〜図27と同様の計算を行なった結果を示す。図28は、第2基板20としてSi(111)面を用い、中間層50として
SiO2層を厚み0.018λで設けた場合の結果である。
図28から明らかなように、最大位相値は伝搬角度によって大きく変動し、かつその変動は、120°周期で繰り返していることが確認できた。また、第1基板10の厚みによっても最大位相値が大きく変動し、最大位相値の小さい伝搬角度の範囲が厚みの増加と共に狭くなっていき、1.2p以上(0.6λ以上)の厚みではスプリアスが小さくなる領域が殆どなくなることを確認できた。
以上の結果を踏まえ、最大位相値が−50deg以下となるような伝搬角度と、第1基板10の厚みDとの関係を導いた。具体的には、以下の式を同時に満たすときにバルク波スプリアス強度を抑制できる。
41.1×D+2.33≦ψ≦−40.07×D+115.48
0.4p≦D≦1.1p
なお、ψ+120×αの伝搬角度でも同様にバルク波スプリアス強度を抑制することができる。ただしαは0,1,2である。
原因は明らかではないが、第1基板10の厚みDが0.8pの場合には、最大位相値が大きくなる傾向があった。そこで、より好ましくは、上述の関係式において0.75p<D<0.85pの厚み範囲は除くと、より安定してバルク波スプリアスを抑制することができる。
同様に、第2基板20としてSi(110)を用いた場合について検討した結果を図29に示す。図29から明らかなように、最大位相値は伝搬角度によって大きく変動し、かつその変動は、180°周期で繰り返していることが確認できた。また、第1基板10の厚みによっても最大位相値が大きく変動し、最大位相値の小さい伝搬角度の範囲は厚みの増加と共に狭くなっていき、0.9p以上(0.45λ以上)の厚みでは最大位相が−50deg以下となる領域はなかった。
以上の結果を踏まえ、最大位相値が−50deg以下となるような伝搬角度と、第1基板10の厚みとの関係を導いた。具体的には、以下の式を同時に満たすときにバルク波スプリアス強度を抑制できる。
−60≦ψ≦60
0.4p≦D≦0.7p
なお、ψ+180×αの伝搬角度でも同様にバルク波スプリアス強度を抑制することができる。ただしαは0,1である。
また、最大位相値が伝搬角度90°近辺に比べて明らかに小さくなる伝搬角度と、第1基板10の厚みとの関係は以下の通りである。
75.23×D−104.55≦ψ≦−75.23×D+104.55
0.4p≦D≦1.1p
次に、第2基板20としてSi(100)を用いた場合について検討した結果を図30に示す。図30から明らかなように、最大位相値は伝搬角度によって大きく変動し、かつその変動は、90°周期で繰り返していることが確認できた。また、第1基板10の厚みによっても最大位相値が大きく変動し、最大位相値の小さい伝搬角度の範囲が厚みの増加と共に狭くなっていき、1.0p以上(0.5λ以上)の厚みではスプリアスが小さくなる領域が殆どなくなることを確認できた。また、他の結晶方位に比べて、全体的に最大位相値は大きかった。
以上の結果を踏まえ、最大位相値が伝搬角度90°付近の場合に比べて明らかに小さくなる伝搬角度範囲と、第1基板10の厚みとの関係を導いた。具体的には、以下の式を同時に満たすときにバルク波スプリアス強度を抑制できる。
22.86×D+8.48≦ψ≦−22.86×D+81.52
0.4p≦D≦0.9p
なお、ψ+90×αの伝搬角度でも同様にバルク波スプリアス強度を抑制することができる。ただしαは0,1,2,3である。
さらに、最大位相値が0deg以下となるような伝搬角度と、第1基板10の厚みとの関係は以下の通りである。
30≦ψ≦60
0.4p≦D≦0.8p
上述の結果より、SAW素子30Aにおいて、周波数変化率を抑制すると同時にバルク波スプリアスの強度を抑制するためには、中間層50の厚みを調整して上記関係を成立させればよい。また、その上で、伝搬角度ψを45°±5°以外にしてもよい。
ここで、LT基板のカット角を30°〜60°まで変化させて、同様の計算を行なったが、Si(111),(110)面については、Yカットであればカット角に依存せずに同様の傾向が確認できた。Si(100)面については、36°以上のYカットであれば同様の傾向が確認できた。
なお、図28〜30に示した、バルク波スプリアスを抑制することのできる第1基板10の厚みDと第2基板20の伝搬角度との組み合わせを図32に示している。
(変形例:第2基板20の導電率)
上述の例では、第2基板20の抵抗率については特に制限を設けていないが、その抵抗率を1000Ωcm以上としてもよい。上述の通り、第1基板10の厚みが薄いことから、SAW素子30の周波数特性は第2基板20の影響を受ける。そこで、第2基板20の特性のうち抵抗率に着目した。具体的には、抵抗率を異ならせたときのSAW素子30のインピーダンスの周波数特性をシミュレーションし、そのインピーダンスの位相の最大値および共振周波数でのQ値を導出した。その結果を図17に示す。
図17において、横軸に中間層50をSiO2とした場合の中間層50の膜厚を、縦軸にインピーダンスの位相の最大値(単位:deg)を表している。そして、図17(a)〜(c)のそれぞれに、第2基板20の抵抗率(単位:Ω・cm)を1000〜10000Ω・cmに変更した場合を示している。
図17から明らかなように、中間層50を挿入することにより最大位相が高くなり、ロスの発生を抑制できていることを確認した。これは、中間層50を第2基板20よりも誘電率の小さい材料で構成することでIDT31を含む電極群と第2基板20との電磁的な結合を抑制することができるからである。
例えば、第2基板20の抵抗率が1000Ω・cm以上であれば、中間層50の膜厚を0.1λ以上とすることで、第1基板10の厚みが変化しても最大位相を89.5°以上の良好な値にできる。なお、このときの、Q値をシミュレーションした結果、5000以上の良好な値をとることが確認できた。以上より、中間層50の厚みを0.1λ以上とする場合には、第2基板20の抵抗値を1000Ω・cm程度としてもよい。
また、第2基板20の抵抗値を5000Ω・cm以上とする場合には、中間層50の厚みが0.05λの場合であっても、最大位相を89.8°以上の良好な値にできる。なお、このときの、Q値をシミュレーションした結果、5000以上の良好な値をとることが確認できた。以上より、第2基板20の抵抗値を5000Ω・cm以上としてもよい。
例えば、第2基板20として、Si単結晶基板を用いる場合には、導電率を低く(抵抗率を高く)するためにはドーパント量を少なくする必要がある。しかし、第1基板10と第2基板20を接合する工程、もしくは接合した後の工程(例えばIDTを形成する工程)で熱が加わった場合、Si単結晶基板に第1基板10の成分が不純物として拡散し、Si単結晶基板のち第1基板10の側に位置する領域の導電率を上げてしまう可能性がある。これを防ぐためも、中間層50が有効である。
<<他の実施形態:SAW素子30B>>
上述のSAW素子30Aでは中間層50が1層の場合を例に説明したが、複数層備えるSAW素子30Bとしてもよい。
本実施形態の複合基板1Bは、図18に示すように、いわゆる貼り合せ基板であり、第1基板10と、第2基板20と、第1基板10と第2基板20との間に位置する第1中間層55および第2中間層60とで構成される。ここで、図1は複合基板1Bの一部を破断した斜視図を示す。
第1基板10および第2基板20の間には第1中間層55および第2中間層60が位置している。言い換えると、これら第2基板20,第2中間層60,第1中間層55,第1基
板10はこの順に積層されて複合基板1Bを構成している。
第1中間層55は、互いに向き合う第1面55aと第2面55bとを備え、第1面55aを第1基板10に接合させている。第2中間層60は互いに向き合う第3面60aと第4面60bとを備え、第3面60aが第2面55bに接合され、第4面60bを第2基板20に接合させている。
第1中間層55を構成する材料としては、第1基板10よりも横波音速が速い材料からなる。また、後述するIDT電極31との意図せぬ電磁的な結合を抑制するために、第1基板10よりも誘電率の低い材料としてもよい。具体的には第1基板10がLT基板で構成される場合には、第1中間層50を、窒化アルミニウム(AlN)や窒化ケイ素(SiNx)、酸化アルミニウム(Al2O3)としてもよい。なお、AlN,SiNx,Al2O3等とした場合にはこれらを主成分とするものであり、例えば10%を超えるような副成分を含まないものとする。
第2中間層60を構成する材料としては、第1基板10よりも横波音速が遅い材料からなる。また、後述するIDT電極31との意図せぬ電磁的な結合を抑制するために、第1基板10よりも誘電率の低い材料としてもよい。具体的には第1基板10がLT基板で構成される場合には、第2中間層60を、酸化ケイ素(SiOx)、ガラス材等とすることができる。なお、SiOxとした場合にはこれらを主成分とするものであり、例えば10%を超えるような副成分を含まないものとする。
このような中間層55,60は、第1基板10上または第2基板20上に成膜して形成してもよい。具体的には、MBE法、ALD法、CVD法、スパッタ法、蒸着法等により支持基板とする第1基板10または第2基板20上に中間層55,60を順次形成する。然る後に、中間層(55または60)の上面と、残りの基板(10または20)とをプラズ
マやイオンガン,中性子ガンなどで活性化処理した後に接着層を介在させずに貼り合わせる、いわゆる直接接合によって貼り合わされていても良い。また、第1基板10に第1中間層55を、第2基板20に第2中間層60をそれぞれ成膜し、然る後に、両中間層(55,60)をいわゆる直接接合によって貼り合わされていても良い。
なお、第2基板20がSiで、第2中間層60が酸化ケイ素の場合には、第2基板20を熱酸化させることにより第2中間層60を形成してもよい。
このような中間層55,60の結晶性は、アモルファス、多結晶等適宜自由に選択できる。なお、中間層50,60の厚みについては後述する。
そして、複合基板1Bは、図2と同様に複数の区画に区分され、その一区分それぞれがSAW素子30Bとなる。具体的には、複合基板1Bを各区画ごとに切り出し個片化してSAW素子30Bとする。SAW素子30Bは、第1基板10の上面にSAWを励振するIDT電極31が形成されており、電極指32の配列方向が、第1基板10の圧電結晶のX軸と概ね平行である点も図2と同様である。
ここで、SAW素子30Bによれば、第1基板10と中間層55,60との合計厚みが波長よりも薄いため、SAW素子30,30Aと同様に、SAWの一部が第2基板20にも届くこととなる。このため、SAW素子30Bは、第2基板20の材料特性の影響を受けることとなる。
本開示のSAW素子1Bによれば、第1基板10の直下に中間層55,60を配置している。この中間層55,60の存在により、第1基板10の厚みに対するロバスト性を高めることができる。以下、そのメカニズムについて説明する。
波長未満の厚みの第1基板10において、その厚みが厚くなると、SAWの弾性波振動が第1基板10内に閉じ込められ周波数特性が低週波数側にシフトする。その一方で、第1基板10の厚みが厚くなると、中間層50,60および第2基板20内におけるSAWの分布量は減ることになる。
ここで、第1中間層55は、前述の通り、音速が第1基板10よりも速くなっている。このような音速の速い第1中間層50におけるSAWの分布量が少なくなることで、SAW素子30B全体の音速が遅くなり、周波数特性は低周波数側にシフトする。
次に、第2中間層60は、前述の通り、音速が第1基板10よりも遅くなっている。このような音速の遅い中間層50におけるSAWの分布量が少なくなることで、SAW素子30B全体の音速が速くなり、周波数特性は高周波数側にシフトする。
そして、第2基板20は、前述の通り、音速が第1基板10よりも速くなっている。このような音速の速い第2基板20におけるSAWの分布量が少なくなることで、SAW素子30B全体の音速が遅くなり、周波数特性は低周波数側にシフトする。
このような4つの構成要素を積層した構成とすることで、SAW素子30B全体としては周波数特性の変化を打ち消し合い、周波数変化を抑制することができる。特に、音速の高い構成要素と低い構成要素とが交互に積層されていることで、互いの厚みバラツキの影響を緩和することができるので、第1基板10の厚みのバラツキのみならず両中間層55,60の厚みのバラツキに対してもロバスト性の高いSAW素子30Bを提供することができる。
ここで、第1基板10としてLT基板を用い、第1中間層55としてAlN,SiNのいずれかを用い、第2中間層60としてSiO2を用い、第2基板20としてSi単結晶基板を用いた場合には、第1中間層55が最も音速が早く、第2中間層60が最も音速が遅くなる。すなわち、中間層55、60による周波数シフト補正効果が大きく、第1基板10の厚みのバラツキや、第2基板20の影響を中間層50、60により低減し、安定した特性のSAW素子30Bを提供することができる。
このような中間層55,60を挿入することによる効果を検証する。
第1基板10の厚みのバラツキに対してロバスト性を高めるには、具体的には、第1基板10の厚みの変化に対する周波数変化率を低くする必要がある。
図19に、第1基板10の厚みと第2中間層60の厚みとを異ならせたときのSAW素子の周波数変化率をシミレーションした結果を示す。なお、このシミュレーションにおいて、SAW素子は、第1中間層55を含まず、基本的に第1基板10,第2中間層60,第2基板20からなる構成としている。すなわち、SAW素子30Aの構成となっている。
また、第1基板10はLT基板、第2中間層60はSiO2層、第2基板20は面方位(111)Si単結晶とした。
図19において、横軸は第2中間層60の厚みであり、縦軸は周波数変化率を示している。第2中間層60の厚みが0λの数値は、第2中間層60を含まず、第1基板10と第2基板20とが直接接合されている構成のSAW素子における周波数変化率を示している。
図19からも明らかなように、第2中間層60を適切な厚みで挿入することで、周波数変化率および第1基板10の厚みの違いによる周波数変化率のバラツキの双方を低減できることを確認できた。以上より、第2中間層60の挿入により、ロバスト性を高めることができることを確認した。
その一方で、第2中間層60の厚みが一定の値を超えると、かえって周波数変化率を大きくしてしまうと同時に、第1基板10の厚みのばらつきによる周波数変化率のバラツキも大きくなってしまうことが確認された(図19のSiO2厚みが0.1λ以上の場合を参照)。
後述するように、第2基板20としてSi単結晶基板などの導電性がある材料を用いた場合や、セラミックス基板など弾性波の伝搬ロスを生じさせる粒界がある材料を用いた場合には、IDT電極で印加される電場や弾性表面波が第2基板20側に分布すると、ロスになってしまい弾性波素子の特性が劣化する。この問題を避けるためには、第2中間層60の厚みは、特性や製造プロセスに影響が出ない限り厚いほうが望ましい。しかし、上述した現象のため、第2中間層60の厚みは制限されてしまう。
このような第2中間層60の厚み増大に伴う周波数変化率の増加を抑制するために、本実施形態では、図18に示すように、さらに第1中間層55を備えたSAW素子30Bとした。図20(a)に、SAW素子30Bにおいて、第1および第2中間層55,60の厚みを異ならせたときのSAW素子30Bの周波数変化率をシミュレーションした結果を示す。
図20(a)において、横軸は、波長λで規格化した第1中間層55の厚みを示し、縦軸は周波数変化率を示している。なお、横軸の値が0λのときの値は、第1中間層55を備えず第2中間層60のみを備えるSAW素子の周波数変化率である。また、第1基板10
の厚みは、図19に示すシミュレーション条件のうち、最も第1基板10,第2中間層60の厚みバラツキによる影響を受けやすかった0.4λとした。さらに、第1中間層55はSiNxとした。
図20(a)からも明らかなように、第2中間層60の厚みが0.1λ以上の場合でも、第1中間層55により、周波数変化率を小さくできることを確認した。また、第2中間層60の厚みが大きくばらついても周波数変化率のバラツキを抑制できることを確認した。すなわち、本開示のSAW素子30Bによれば、第2中間層60により第1基板10の厚みのバラツキに対するロバスト性を高めると同時に、第1中間層55により第2中間層60の厚みのバラツキに対するロバスト性を高めることもできる。
さらに、第1中間層55により、第2中間層60の厚みを厚くでき、かつ第1中間層50の効果も加わるため、IDT電極31で印加される電場や弾性表面波が第2基板20側に分布する量を低減することができる。このため、弾性波素子のロスを低減することができる。
図20(b)には、第1中間層55が無く(0λ)、第2中間層60の厚みが0.1λの時の周波数変化率(約0.0085%/%)よりも周波数変化率が小さくなる第1中間層55の厚みの範囲を、第2中間層60の厚みに対してプロットした図である。このプロットにフィッティングすることにより、周波数変化率を小さくすることのできる第1中間層55の厚み範囲を、以下の式で規定することができる。
0.13A−0.010 ≦ B ≦ 0.20A+0.040
ここで、Aは第2中間層60の厚み(単位:無次元,×λ)、Bは第1中間層50の厚み(単位:無次元,×λ)である。
なお、第1基板10の厚みが0.5λ,0.6λのときについても、図20と同様のシミュレーションを行なったところ、同様の傾向を示すことを確認した。すなわち、第1基板10,第2中間層60がいずれの膜厚の場合であっても、第1中間層55により周波数変化率を0.005以下とすることができる。特に第1中間層55の厚みを0.04λ〜0.05λとする場合には、第2中間層60の厚みを0.1λ〜0.3λに変化させても周波数変化を抑制することができる。このことから、第2中間層60を厚みに対するロバスト性を高めることができる。
また、本開示において、第2基板20をSi単結晶基板、第2中間層60をSiO2とした場合、第2中間層60を熱酸化プロセスによって形成することができる。熱酸化プロセスは、特性や膜厚のバラツキが小さい高品質な酸化膜を、大量の基板に同時に形成することができるため、生産性が大幅に向上する。また、第1中間層50をSiNxとした場合は、前記熱酸化したSi単結晶基板上に、熱CVDにより窒化膜を形成するプロセスが採用できるため、さらに生産性を大幅に向上することができる。
また、本開示の構成は、第1基板10と第2基板20との間に中間層55,60を設けることにより、第1基板10として用いるLT単結晶やLiNbO3単結晶から、第2基板20として使用するSi基板へのリチウムやタンタル、酸素の拡散を抑制することができる。
なお、上述と同等のシミュレーションを、第1中間層55として、第1基板10より速い音速のAlNとしたときと、第1基板10よりも音速が遅いTiO2,Ta2O5としたときについてそれぞれ行なった。その結果、AlNとしたときは図20同様の結果を得た。その一方で、TiO2,Ta2O5としたときには、これらの層の存在により上述した
ようなロバスト性の改善効果は見られず、逆に周波数変化率が増大していく様子を確認した。従って、第1中間層55は第1基板10よりも音速が早いことが必要である。
図21(a)に、第1中間層55としてAlNを用いた時の、図20に対応するシミュレーション結果を示す。AlNはSiNxよりも音速が速いため、第1中間層55としてSiNxを用いた時に比べ、周波数変化率が最小になる厚みがより薄くなっているが、図20とほぼ同様の傾向を示していることがわかる。また、図20と同様に、図21(b)に示すように良好な周波数変化率となる第1中間層55の厚み範囲を求めることができる。その範囲は、以下の式で表される。
0.13A−0.010 ≦ C ≦ 0.15A+0.027
ここで、Aは第2中間層60の厚み(単位:×λ)、Cは第1中間層50としてAlNを用いた時の厚み(単位:×λ)である。
また、図22に、本開示のSAW素子30Bの周波数特性をシミュレーションした結果を示す。図22において横軸は周波数(単位:MHz)であり、縦軸はインピーダンスの絶対値(単位:Ω)を示している。このシミュレーションでは、第1基板10は42°YカットX伝搬のLT基板(厚みは0.4λと0.5λ)であり、第2基板20は面方位(111)、後述する伝搬角ψ=0°のSiであり、SAW素子30BのIDT電極のピッチは1μm、電極材料はAlで、その厚みは0.08λとした。
図22(a)は第1中間層55が厚み0.04λのSiNx、第2中間層60が厚み0.2λのSiO2の場合のSAW素子の特性を示す。図22(b)は第1中間層55が厚み0.03λのAlN、第2中間層60が厚み0.2λのSiO2の場合のSAW素子の特性である。
図22から明らかなように、本開示のSAW素子30Bによれば、第1基板10の厚みが変動しても共振周波数、反共振周波数、共振周波数と反共振周波数との差分ともに変動がなく、周波数特性の変化を抑制できることを確認した。また、第1中間層55,第2中間層60を備えない場合(図4(a)参照)に比べても、SAW素子30Bのロバスト性が高いことと分かる。
(SAW素子30Bの変形例)
上述の例では、第2基板20の面方位や、第2基板20を構成する結晶構造の第1基板10のX軸に対する傾斜角度(ψ伝搬角度)等については言及していないが、これらを特定の面方位及び傾斜角度としてもよい。以下、最適な面方位および傾斜角度について検討する。
SAW素子30Bの周波数変化率を、中間層55,60の膜厚を異ならせたり、第2基板20としてSi単結晶基板を用いたときに、その面方位や第1基板10のX軸に対する傾斜角度(ψ伝搬角度)を異ならせたりしてシミュレーションを行なった。
ここで、第2基板20の面方位を(100)、(110)、(111)としたときに、各面方位についてψを変化させてSAW素子の周波数変化率をシミュレーションした結果を図23(a)〜図23(c)に示す。図23において、横軸は伝搬角度ψ(単位:deg)であり、縦軸は周波数変化率の最小値である。また、第1中間層55としては、SiNx層を用いた。そして、第2中間層60としてSiO2を使用し、その厚みを0.1λ〜0.3λまで変化させた。なお、第1中間層55の厚みは、それぞれの面方位、ψ、第2中間層60の厚みに対し、周波数変化率が最も小さくなる厚みとした。具体的な第1中間層55の厚みはSiO2厚み0.1λの時は0.03〜0.05λ、SiO2厚み0.2
λの時は0.06λ、SiO2厚み0.3λの時は0.07λである。このため、縦軸は周波数変化率の最小値となっている。
一般的に用いられるSi単結晶ウェハは面方位(111)・オリフラ(110)であり、これを、一般的に用いられるLT基板(オリフラ方位[100];図6のようにオリフラがX軸と垂直になるように切っている)とオリフラを揃えるように接合した場合は、Si(111)面の0°伝搬品となる。
この図から明らかなように、第2基板20の面方位が(100)または(110)の場合には、伝搬角度を45°±15°としたときに周波数変化率が小さくなることを確認した。この伝搬角度による周波数変化率の変動は90°もしくは180°周期で繰り返されているため、135°±15°,225°±15°,315°±15°の場合にも同様に極小値を取る。
以上より、第2基板20の面方位が(100)または(110)およびこれらと等価の面方位の場合には、伝搬角度を45°±15°とすることで、ロバスト性に優れたSAW素子を提供することができる。また、いずれの面方位においても、第2中間層60の厚みは0.3λ程度まで厚くしたときに、最も周波数変化率を小さくすることができることを確認した。
また、第2基板20の面方位が(111)の場合には、伝搬角度による大きな周波数変化は確認されなかったが、0°±15°もしくは60°±15°とすることで周波数変化率を最小とすることができる。
さらに、第2基板20の面方位を(100)面としたときの0°伝搬品と45°伝搬品について、第1中間層55の厚みを異ならせて、その周波数変化率の変動をシミュレーションした。その結果を図24に示す。
図24において、横軸は第1中間層55の厚みを示し、縦軸は周波数変化率を示す。図24(a)は0°伝搬品の結果を示し、図24(b)は45°伝搬品の結果を示している。図24から明らかなように、45°伝搬品によれば、周波数変化率の最小値を0°伝搬品に比べて小さくすることができ、さらに、それを実現する第1中間層55の厚みを0°伝搬品に比べて厚くすることができる。これは、前述した弾性波素子のロスを低減する効果とともに、第1中間層55の膜厚制御が容易になることを示し、より生産性の高いSAW素子30Bとすることができる。
なお、上述の図23,図24と同様のシミュレーションを第1中間層55の材料をAlNとした場合についても行なったが、同様の結果を得た。
(SAW素子30Bの変形例)
上述の例では、第2基板20の抵抗率については特に制限を設けていないが、その抵抗率を5000Ωcm以下としてもよい。
ここで、第1中間層55は第2中間層60に比してその厚みは薄いため、第1中間層55もIDT電極31と第2基板20との電磁的な結合を抑制する効果を持つが、その効果は第2中間層60のほうが大きくなる。
そこで、第1中間層55を備えない場合の第2基板20の抵抗率とSAW素子の最大位相との相関を示す図17を参考にすると、第2基板20の抵抗率が1000Ω・cm以上であれば、第2中間層60の膜厚を0.3λとすることで、第2基板20の抵抗率に起因す
る損失を抑制することができる。また、このような第2中間層60の厚みも、第1中間層55を介在させることで、周波数変化率を抑制したまま実現することができる。同様に、第2基板20の抵抗率が5000Ω・cmであれば第2中間層60の厚みを0.2λとすることで、第2基板20に起因する損失の発生を抑制することができる。
以上より、第2中間層60の厚みを0.2λ以上とする場合には、第2基板20の抵抗値を5000Ω・cm以下としてもよい。さらに、第2中間層60の厚みを0.3λ以上とする場合には、第2基板20の抵抗値を1000Ω・cm以下としてもよい。このような第2中間層60の厚みは、図23,24等に示す通り、ロバスト性を高めるために適した厚みであり、十分に実現可能である。
図19で説明したように、第1中間層55を備えずに第2中間層60の厚みを0.1λ以上にすると、周波数変化率が大きくなるという問題があったが、本開示のように第1中間層55を導入することにより、これらの厚みの第2中間層60を採用しても周波数変化率を低く抑えることができる。
すなわち、第1基板10、第1中間層55、第2中間層60の総厚みが1λ未満のため、バルク波スプリアスの無い高い特性を実現できるとともに、第1中間層55、第2中間層60、第2基板20にSAWの一部が分布することからロバスト性を高めることができる一方で、第2基板20によるIDT電極31との電磁結合を抑制し損失の少ないSAW素子30Bを提供できるものとなる。
(SAW素子30Bの変形例)
本開示では、第2基板20として、主にSi単結晶基板を用いた例を示したが、第2基板20として、別の基板上に前記第1基板および前記中間層よりも横波音速が速い材料層を成膜などの方法で形成したものを用いてもよい。この場合でも、前記材料層の厚みが十分厚ければ(おおむね1λ以上)、前記材料層は実質第2基板20として機能するため、本発明の効果を発揮する。
本開示から以下の別発明を抽出可能である。
(概念1)
複数の電極指を備え、弾性表面波を励振するIDT電極と、
上面に前記IDT電極が位置している圧電結晶からなる第1基板と、
前記第1基板の下面に接合されるSi単結晶からなる第2基板と、を備え、前記第1基板の厚みDと、前記第2基板のオイラー角(φ,θ,ψ)とが以下(1)〜(3)のいずれかの関係を満たす、弾性波素子。
(1)φ=−45°,θ=−54.5°のとき、
43.49×D+0.55+120×α≦ψ≦−44.86×D+119.04+120×α
0.4p≦D≦1.1p
ただしα=0,1,2
(2)φ=−45°,θ=−90°のとき、
−60+180×α≦ψ≦60+180×α
0.4p≦D≦0.8p
ただしα=0,1
(3)φ=90°,θ=90°のとき、
20×D+10+90×α≦ψ≦−20×D+80+90×α
0.4p≦D≦0.8p
ただしα=0,1,2,3
(概念2)
複数の電極指を備え、弾性表面波を励振するIDT電極と、
上面に前記IDT電極が位置している圧電結晶からなる第1基板と、
前記第1基板の下面側に位置するSi単結晶からなる第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置するSiOxからなる中間層と、
を備え、前記第1基板の厚みDと、前記第2基板のオイラー角(φ,θ,ψ)とが以下(1)〜(3)のいずれかの関係を満たす、弾性波素子。
(1)φ=−45°,θ=−54.5°のとき、
41.1×D+2.33+120×α≦ψ≦−40.07×D+115.48+120×α
0.4p≦D≦1.1p
ただしα=0,1,2
(2)φ=−45°,θ=−90°のとき、
75.23×D−104.55+180×α≦ψ≦−75.23×D+104.55+180×α
0.4p≦D≦1.1p
ただしα=0,1
(3)φ=90°,θ=90°のとき、
22.86×D+8.48+90×α≦ψ≦−22.86×D+81.52+90×α
0.4p≦D≦0.9p
ただしα=0,1,2,3
1:複合基板
10:第1基板
20:第2基板
30:弾性波素子
31:IDT電極
50:中間層
55:第1中間層
60:第2中間層

Claims (7)

  1. 複数の電極指を備え、弾性表面波を励振するIDT電極と、
    上面に前記IDT電極が位置しており、前記複数の電極指の繰り返し間隔の2倍で定義される弾性表面波波長λ未満の厚みである、圧電結晶からなる第1基板と、
    前記第1基板の下面に接合され、面方位が(100)面または(110)面、およびこれらに等価な面であるSi単結晶からなる基板であり、重ねあわせた前記第1基板の上面からみたときに、弾性波の伝搬方向に対して、前記第1基板の上面に平行な前記Si単結晶の結晶軸が25°〜65°、115°〜155°、205°〜245°および295°〜345°のいずれかの角度で傾いている第2基板と、を備える、弾性波素子。
  2. 前記第1基板の抵抗率が5000Ωcm以上である、
    請求項1に記載の弾性波素子。
  3. 前記第1基板と前記第2基板との接合面は、前記圧電単結晶の結晶面と前記Si単結晶の結晶面とが直接接触している、
    請求項1に記載の弾性波素子。
  4. 前記第1基板の厚みは、0.2λ以上0.8λ以下である、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の弾性波素子。
  5. 前記第1基板の抵抗率が5000Ωcm以上である、
    請求項1に記載の弾性波素子。
  6. 前記第1基板の厚みは、0.2λより厚く、0.6λ以下である、
    請求項1乃至5のいずれかに記載の弾性波素子。
  7. 前記第1基板の上面に位置する前記第1基板よりも誘電率の小さい材料からなる絶縁層と、
    前記絶縁層の上に位置する前記IDT電極に電気的に接続された電極層をさらに備える、請求項1乃至6のいずれかに記載の弾性波素子。
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