JP2020204114A - 精紡機および精紡機の制御方法 - Google Patents

精紡機および精紡機の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粗糸供給停止装置を自動的に復帰させることができると共に、小型化への対応が容易な精紡機を提供する。【解決手段】複数の粗糸供給停止装置3の各々は、ドラフト装置に対して粗糸の供給を許容する第1の位置と粗糸の供給を停止する第2の位置とに切り替え可能な粗糸供給停止部材(30,32)と、粗糸供給停止部材を第2の位置へ付勢する付勢部材34と、付勢部材34の付勢力に抗して粗糸供給停止部材を第1の位置に保持する電磁ピン38とを備える精紡機において、バー42、駆動部43および復帰部材44を有する復帰機構41を備える。復帰機構41は、駆動部43によってバー42と共に復帰部材44を機台長手方向Xに移動させ、第2の位置にある2つ以上の粗糸供給停止部材に復帰部材44を係合させることにより、2つ以上の粗糸供給停止部材を第2の位置から第1の位置へと復帰させる。【選択図】図4

Description

本発明は、精紡機および精紡機の制御方法に関する。
粗糸を引き伸ばすドラフト装置を備える精紡機には、ドラフト装置に対する粗糸の供給を停止する粗糸供給停止装置を備えたものがある。特許文献1には、ドラフト装置の入口部分に、トップローラとボトムローラからなるバックローラ対を設けると共に、そのボトムローラに停止爪を嵌合させ、トップローラの下に停止爪を食い込ませることで、粗糸の供給を停止する粗糸供給停止装置が開示されている。この粗糸供給停止装置は、停止爪を動作させるスライダと、スライダに付勢力を付与する圧縮バネと、スライダに係合可能であって、圧縮バネの付勢力に抗して係止爪を待機位置に待機させる励磁ピンとを備えた構成となっている。この構成では、スライダと励磁ピンとの係合状態を励磁ピンの動作によって解除することにより、スライダが圧縮バネの付勢力によって移動し、これによって停止爪がトップローラの下に食い込むことで粗糸の供給が停止する。
特開昭57−133224号公報
しかしながら、従来の精紡機においては、粗糸供給停止装置の動作によって粗糸の供給を停止した場合に、粗糸供給停止装置を作動前の状態に復帰させる作業を作業者の手作業によって行っている。このため、粗糸の供給を自動的に再開することができず、このことが精紡機の自動化を図るうえで一つの障害になっていた。また、この障害を取り除くために、粗糸供給停止装置のスライダをソレノイド装置で直接駆動することも考えられるが、
その場合は、圧縮バネの付勢力に対抗し得るだけの大容量のソレノイド装置が必要となる。また、1台の精紡機は複数の錘を備え、錘ごとに粗糸供給停止装置が設けられている。このため、各々の粗糸供給停止装置のスライダを大容量のソレノイド装置で個別に駆動するとなると、粗糸供給停止装置が大型化し、コストも高くなる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、粗糸供給停止装置を自動的に復帰させることができると共に、小型化への対応が容易な精紡機、および精紡機の制御方法を提供することにある。
本発明は、粗糸を引き伸ばすドラフト装置と、ドラフト装置に対する粗糸の供給を停止する粗糸供給停止装置とをそれぞれ備える複数の錘を具備し、粗糸供給停止装置は、機台長手方向に複数配列されると共に、ドラフト装置に対して粗糸の供給を許容する第1の位置と、ドラフト装置に対して粗糸の供給を停止する第2の位置とに切り替え可能に構成された粗糸供給停止部材と、粗糸供給停止部材を第2の位置へ付勢する付勢部材と、付勢部材の付勢力に抗して粗糸供給停止部材を第1の位置に保持する保持部材とを備えた精紡機において、機台長手方向に延在すると共に、機台長手方向に移動可能に設けられた移動部材と、移動部材を機台長手方向に移動させる駆動部と、移動部材に設けられるとともに、駆動部によって移動部材を機台長手方向に移動させた場合に移動部材と共に移動する復帰部材と、を有する復帰機構を備え、復帰機構は、駆動部によって移動部材と共に復帰部材を機台長手方向に移動させ、第2の位置にある2つ以上の粗糸供給停止部材に復帰部材を係合させることにより、2つ以上の粗糸供給停止部材を付勢部材の付勢力に抗して第2の位置から第1の位置へと復帰させるものである。
本発明に係る精紡機において、復帰部材は、機台長手方向に対して傾斜し、第2の位置にある粗糸供給停止部材に係合可能な傾斜部を有していてもよい。
本発明に係る精紡機において、復帰部材は、第2の位置にある粗糸供給停止部材に係合可能な第1ローラによって構成されていてもよい。
本発明に係る精紡機において、粗糸供給停止装置は、傾斜部が係合する部分に設けられた第2ローラを有していてもよい。
本発明に係る精紡機において、復帰部材は、全錘の個数をM個とした場合に、M個よりも少ないN個(Nは2以上の整数)の粗糸供給停止装置ごとに1個ずつ設けられていてもよい。
本発明に係る精紡機において、移動部材は、機台長手方向に往復移動可能なバーによって構成されていてもよい。
本発明に係る精紡機において、バーは、機台長手方向で互いに連結された複数の連結バーによって構成され、機台長手方向で隣り合う連結バーの連結部には、バーを往復移動させる際の移動方向の違いにより連結バーの間隔を変化させるバー間隔可変機構が設けられていてもよい。
また、本発明は、粗糸を引き伸ばすドラフト装置と、ドラフト装置に対する粗糸の供給を停止する粗糸供給停止装置とをそれぞれ備える複数の錘を具備し、粗糸供給停止装置は、機台長手方向に複数配列されると共に、ドラフト装置に対して粗糸の供給を許容する第1の状態と、ドラフト装置に対して粗糸の供給を停止する第2の状態とに切り替え可能に構成された精紡機の制御方法において、ドラフト装置から供給される糸を紡出すると共に、紡出中に第1の状態から第2の状態に切り替わった粗糸供給停止装置を、紡出が終了する前に第2の状態から第1の状態に復帰させるものである。
本発明によれば、粗糸供給停止装置を自動的に復帰させることができると共に、小型化への対応が容易な精紡機を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るポット精紡機の構成例を示す概略図である。 粗糸供給停止装置の作動前の状態を示す概略側断面図である。 粗糸供給停止装置の作動後の状態を示す概略側断面図である。 本発明の第1実施形態に係る復帰機構の構成を示す概略平面図である。 本発明の第1実施形態に係る復帰機構の動作を示す概略平面図である。 (A)〜(C)は復帰機構による粗糸供給停止装置の動きを示す図である。 バー間隔が狭いときの連結部を示す一部破断面を含む平面図である。 図7の連結部をR1方向から見た図である。 バー間隔が広いときの連結部を示す一部破断面を含む平面図である。 図9の連結部をR2方向から見た図である。 連結バーの間隔が狭いときの復帰部材の間隔を示す概略平面図である。 連結バーの間隔が広いときの復帰部材の間隔を示す概略平面図である。 バーに加わる引張り負荷とバーの移動量との関係を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るポット精紡機が備える復帰機構の構成を示す概略図である。 復帰機構の第1変形例を示す概略図である。 復帰機構の第2変形例を示す概略図である。 復帰機構の第3変形例を示す概略図である。 (A)は本発明の第3実施形態に係るポット精紡機が備えるバー間隔可変機構の構成を示す概略平面図であり、(B)はその概略正面図である。 (A)〜(C)はバー間隔可変機構の変形例を示す概略図である。 本発明の第4実施形態に係る精紡機の制御方法を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係るポット精紡機の構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るポット精紡機の構成例を示す概略図である。
図1に示すように、ポット精紡機1は、ドラフト装置2と、粗糸供給停止装置3と、導糸管4と、ポット5と、ボビン支持部6と、糸切れセンサ7とを備えている。なお、これらの構成要素は、紡績の一単位となる1つの錘を構成するものである。ポット精紡機1は、複数の錘を具備するものであるが、各々の錘は共通の構成を有するため、ここでは1つの錘の構成について説明する。
(ドラフト装置)
ドラフト装置2は、糸材料となる粗糸9を所定の細さの糸に引き伸ばす装置である。ドラフト装置2は、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17からなる複数のローラ対を用いて構成されている。複数のローラ対は、粗糸搬送方向の上流側から下流側に向かって、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17の順に配置されている。
バックローラ対15は、バックトップローラ15aとバックボトムローラ15bとによって構成されている。バックトップローラ15aとバックボトムローラ15bは互いに所定の圧力で接触している。バックトップローラ15aは従動ローラであり、バックボトムローラ15bは駆動ローラである。このため、バックトップローラ15aは、バックボトムローラ15bの回転に従って回転する。
ミドルローラ対16は、ミドルトップローラ16aとミドルボトムローラ16bとによって構成されている。ミドルトップローラ16aとミドルボトムローラ16bは互いに所定の圧力で接触している。ミドルトップローラ16aは従動ローラであり、ミドルボトムローラ16bは駆動ローラである。このため、ミドルトップローラ16aは、ミドルボトムローラ16bの回転に従って回転する。ミドルローラ対16にはエプロン対19が巻かれている。エプロン対19は、トップエプロン19aとボトムエプロン19bとによって構成されている。トップエプロン19aはミドルトップローラ16aに巻かれ、ボトムエプロン19bはミドルボトムローラ16bに巻かれている。
フロントローラ対17は、フロントトップローラ17aとフロントボトムローラ17bとによって構成されている。フロントトップローラ17aとフロントボトムローラ17bは互いに所定の圧力で接触している。フロントトップローラ17aは従動ローラであり、フロントボトムローラ17bは駆動ローラである。このため、フロントトップローラ17aは、フロントボトムローラ17bの回転に従って回転する。
複数のローラ対15,16,17は、それぞれ所定の速度で回転する。ここで、各々のローラ対15,16,17の回転速度を単位時間あたりの回転数(rpm)で規定すると、ミドルローラ対16の回転数はバックローラ対15の回転数よりも高く、フロントローラ対17の回転数はミドルローラ対16の回転数よりも高い。このように各々のローラ対15,16,17の回転数は互いに異なり、この回転数の違い、すなわち回転速度差を利用して、ドラフト装置2は粗糸9を細く引き伸ばす。ドラフト装置2によって引き伸ばされた糸20は、ドラフト装置2から吸篠管22を通して導糸管4へと供給される。
(粗糸供給停止装置)
粗糸供給停止装置3は、ドラフト装置2に対する粗糸9の供給を停止する装置である。粗糸供給停止装置3は停止部材30を有している。停止部材30は、ドラフト装置2のバックローラ対15に対して進退移動可能に設けられている。粗糸供給停止装置3は、バックローラ対15を構成するバックトップローラ15aとバックボトムローラ15bとの間に停止部材30を食い込ませることにより、ドラフト装置2に対する粗糸9の供給を停止する。
実際に粗糸供給停止装置3を作動させると、バックローラ対15のニップ位置に向けて停止部材30が移動する。これにより、バックトップローラ15aとバックボトムローラ15bとの間に停止部材30が食い込む。このため、バックボトムローラ15bからバックトップローラ15aへの回転の伝達が停止部材30によって遮断される。また、粗糸9は、バックトップローラ15aと停止部材30との間に挟み込まれる。これにより、ドラフト装置2に対する粗糸9の供給が停止する。
(導糸管)
導糸管4は、ドラフト装置2から吸篠管22を通して供給される糸20をポット5内に導くものである。ドラフト装置2によって引き伸ばされた糸20は、空気の旋回流を利用して吸篠管22に引き込まれた後、吸篠管22を通して導糸管4に導入される。導糸管4は、細長い管状に形成されている。導糸管4は、ドラフト装置2の下流側に、ポット5と同軸に配置されている。導糸管4の下部は、ポット5内に配置されている。導糸管4の下端部には糸排出口4aが形成されている。導糸管4に導入された糸20は、導糸管4の糸排出口4aから紡出される。
(ポット)
ポット5は、ケーク24の形成と糸20の巻き返しに用いられるものである。ポット5は、円筒形に形成されている。ポット5は、ポット5の中心軸回りに回転可能に設けられている。ポット5の中心軸Kは、鉛直方向と平行に配置されている。このため、ポット5の中心軸方向の一方は上方、他方は下方となっている。ポット5の下端部には開口部5aが形成されている。ケーク24は、ポット5の内壁5bに形成される糸20の積層体である。
(ボビン支持部)
ボビン支持部6は、ボビン25を支持するものである。ボビン支持部6は、上下方向に移動可能に設けられている。ボビン支持部6は、ボビン台座26と、ボビン装着部27と、を有している。ボビン台座26は板状に形成されている。ボビン装着部27はボビン台座26に固定されている。
(糸切れセンサ)
糸切れセンサ7は、糸切れの発生を検出するセンサである。糸切れセンサ7は、ドラフト装置2の下流側に配置されている。
続いて、上記構成からなるポット精紡機1が行う基本的な動作について説明する。
ポット精紡機1が行う工程には、ドラフト装置2から供給される糸20をポット5内に紡出する紡出工程と、ポット5内に紡出された糸20をボビン25に巻き返す巻き返し工程とが、少なくとも含まれる。以下に、紡出工程および巻き返し工程でのポット精紡機1の動作について説明する。なお、紡出工程および巻き返し工程は、いずれもポット5を所定の速度で回転させた状態で行われる。
(紡出工程)
紡出工程では、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17をそれぞれ所定の速度で回転させる。これにより、粗糸9は、各々のローラ対15,16,17の回転に従って搬送される。その際、ミドルローラ対16はバックローラ対15よりも高速で回転し、フロントローラ対17はミドルローラ対16よりも高速で回転する。これにより、粗糸9は、各々のローラ対15,16,17の回転速度差によって所定の細さに引き伸ばされる。
ドラフト装置2によって引き伸ばされた糸20は、ドラフト装置2から吸篠管22を通して導糸管4に導入される。導糸管4に導入された糸20は、導糸管4の糸排出口4aから紡出されるとともに、ポット5の回転によって生じる遠心力によりポット5の内壁5bに張り付く。また、糸20には、ポット5の回転によって撚りが加えられる。
また、紡出工程では、導糸管4を所定の周期で繰り返し上下方向に往復移動させながら、導糸管4の位置を段階的に下方に変位させる。これにより、ポット5の内壁5bに所定量の糸20が積層される。その結果、ポット5の内壁5bにケーク24が形成される。ケーク24の形成を終えると、糸切りを行う。具体的には、フロントローラ対17の回転を継続したまま、バックローラ対15およびミドルローラ対16の回転を共に停止する。これにより、フロントローラ対17の直近で糸が切られる。以上で紡出工程が終了となる。
(巻き返し工程)
巻き返し工程では、ポット5を所定の速度で回転させながら、ボビン台座26を上方に移動させる。このとき、ボビン25は、ボビン台座26と共に上方に移動し、導糸管4は、ボビン25に接触しないように上方に移動する。また、ボビン25は、ポット5の開口部5aを通してポット5内に進入する。これにより、ボビン25がポット5内に挿入される。
次に、図示しないフィーラーをポット5の内壁5bに接触させることにより、ケーク24の下端側に巻かれている糸20をポット5の内壁5bから剥がす。これにより、ポット5の内壁5bから離れた糸20がボビン25に巻き付き、これをきっかけにボビン25への糸の巻き返しが開始される。
その後、ケーク24を形成していたすべての糸20がボビン25に巻き返されると、ボビン台座26が下方に移動する。これにより、糸20が巻き返されたボビン25、すなわち満管のボビン25がポット5外に取り出される。以上で巻き返し工程が終了となる。
ところで、上述した紡出工程においては、紡出中に何らかの理由で糸切れが発生することがある。糸切れの発生は、糸切れセンサ7によって検出される。ここで、「糸切り」と「糸切れ」の違いについて説明する。糸切りは、ポット5の内壁5bに予め決められた所定量の糸20が巻かれた状態、すなわちケーク24の形成を終了した後で意図的に行われるものである。糸切れは、ポット5の内壁5bに所定量の糸20が巻かれる前、すなわちケーク24を形成している途中で何らかの理由により糸が切れてしまう現象である。
紡出中に糸切れが発生した場合は、ドラフト装置2から送り出される糸20を図示しない糸回収装置によって回収する。糸回収装置は、ニューマ装置とも呼ばれるもので、糸回収用のノズルを有し、このノズルを通して糸20を空気と一緒に吸い込んで回収する。その際、糸20が無駄に粗糸回収装置に回収されるのを抑制するために、粗糸供給停止装置3と糸切れセンサ7とが用いられる。具体的には、紡出中に糸切れが発生すると、糸切れセンサ7が糸切れ検出信号を出力し、この糸切れ検出信号の発生をきっかけに、糸切れの発生した錘において粗糸供給停止装置3が作動する。以下に、粗糸供給停止装置3の構成および動作について説明する。
図2に示すように、粗糸供給停止装置3は、上述した停止部材30の他に、筐体31と、レバー部材32と、ストッパー機構33と、付勢部材34とを備えている。
筐体31の内部には、ストッパー機構33と付勢部材34とが収容されている。レバー部材32は、バックローラ対15に対して停止部材30を進退移動させるためにY方向に移動自在に設けられている。停止部材30はレバー部材32の先端部に固定状態で取り付けられている。レバー部材32には凹部36が形成されている。凹部36は、上向きに開口する状態で形成されている。また、レバー部材32には受け圧部37が設けられている。受け圧部37は下方に突出する状態で設けられている。受け圧部37は、レバー部材32と一体構造になっていてもよいし、レバー部材32にネジ、接着剤等によって固定されていてもよい。レバー部材32の後端部には、起立部35が一体に形成されている。この起立部35を有するレバー部材32と、レバー部材32に取り付けられた停止部材30とは、粗糸供給停止部材を構成するものである。
ストッパー機構33は、電磁ピン38を有している。電磁ピン38は、停止部材30およびレバー部材32からなる粗糸供給停止部材を、付勢部材34の付勢力に抗して第1の位置(後述)に保持する保持部材に相当するものである。電磁ピン38は、レバー部材32の凹部36に嵌合することにより、付勢部材34の付勢力に抗してレバー部材32の移動を規制している。電磁ピン38は上下方向に移動可能に設けられている。電磁ピン38は、図示しない電磁コイルへの通電によって発生する磁力により上方に移動し、電磁コイルに通電していない状態では自重または図示しないバネにより下向きの力を受ける。
付勢部材34は、停止部材30およびレバー部材32からなる粗糸供給停止部材を第2の位置(後述)へと付勢するものである。付勢部材34は、バックローラ対15に対して停止部材30が接近する方向(図2の左方向)にレバー部材32を付勢している。付勢部材34は、圧縮コイルバネによって構成されている。付勢部材34の付勢力(バネ圧)は、レバー部材32の受け圧部37に加えられている。なお、付勢部材34は圧縮コイルバネに限らず、引っ張りコイルバネでもよいし、バネ以外の弾性部材(たとえば、ゴムなど)でもよい。また、エアなどの流体圧を利用してレバー部材32を付勢するものであってもよい。
上記構成からなる粗糸供給停止装置3は、ドラフト装置2に対して粗糸9の供給を許容する第1の状態(以下、「粗糸供給許容状態」ともいう。)と、ドラフト装置2に対して粗糸9の供給を停止する第2の状態(以下、「粗糸供給停止状態」ともいう。)とに切り替え可能に構成されている。粗糸供給停止装置3の状態の切り替えは、粗糸供給停止装置3を作動させるか、粗糸供給停止装置3を復帰させることで行われる。本明細書において、粗糸供給停止装置3を作動させる場合とは、粗糸供給停止装置3を粗糸供給許容状態から粗糸供給停止状態に切り替える場合を意味し、粗糸供給停止装置3を復帰させる場合とは、粗糸供給停止装置3を粗糸供給停止状態から粗糸供給許容状態に切り替えることを意味する。図2は、粗糸供給停止装置3を粗糸供給許容状態にした場合を示している。粗糸供給許容状態では、停止部材30がバックローラ対15のニップ部から離間(後退)した状態となる。粗糸供給許容状態において、停止部材30およびレバー部材32は、ドラフト装置2に対して粗糸9の供給を許容する第1の位置に配置される。図3は、粗糸供給停止装置3を粗糸供給停止状態にした場合を示している。粗糸供給停止状態では、停止部材30がバックローラ対15のニップ部に挿入された状態となる。粗糸供給停止状態において、停止部材30およびレバー部材32は、ドラフト装置2に対して粗糸9の供給を停止する第2の位置に配置される。本明細書において、粗糸供給停止装置3を粗糸供給許容状態から粗糸供給停止状態に切り替える場合とは、粗糸供給停止部材を構成する停止部材30およびレバー部材32の位置を、図2に示す第1の位置から、図3に示す第2の位置に切り替える場合を意味する。また、粗糸供給停止装置3を粗糸供給停止状態から粗糸供給許容状態に切り替える場合とは、停止部材30およびレバー部材32の位置を、図3に示す第2の位置から、図2に示す第1の位置に切り替える場合を意味する。
粗糸供給停止装置3を作動させる場合は、電磁コイルへの短時間の通電によってストッパー機構33の電磁ピン38を上方に移動させる。そうすると、レバー部材32の凹部36から電磁ピン38が抜ける。このため、レバー部材32は、付勢部材34の付勢力に押されて図3のY1方向に移動する。これにより、停止部材30は、図3に示す第2の位置へと移動して、バックトップローラ15aとバックボトムローラ15bとの間に食い込む。このため、ドラフト装置2に対する粗糸9の供給が停止される。
これに対し、粗糸供給停止装置3を復帰させる場合は、後述する復帰機構の動作により、図3の状態からレバー部材32を付勢部材34の付勢力に抗してY2方向に移動させる。そうすると、レバー部材32の凹部36とストッパー機構33の電磁ピン38の位置が互いに一致したところで、図2に示すように凹部36に電磁ピン38が嵌合する。これにより、停止部材30はバックローラ対15から離間した状態、すなわち図2に示す第1の位置に戻る。このため、ドラフト装置2に対する粗糸9の供給が許容される。
続いて、粗糸供給停止装置3を復帰させる復帰機構の構成について説明する。復帰機構は、粗糸供給停止装置3を粗糸供給停止状態から粗糸供給許容状態に自動で復帰させるものである。ここで記述する「自動」とは、作業者の手作業などを要しないことを意味する。また、粗糸供給停止装置3を復帰させるとは、粗糸供給停止部材を構成する停止部材30およびレバー部材32の位置を、第2の位置から第1の位置へと復帰させることを意味する。
図4に示すように、復帰機構41は、精紡機の機台長手方向Xに移動可能に設けられたバー42と、このバー42を機台長手方向Xに移動させる駆動部43と、バー42に設けられた復帰部材44と、を有している。粗糸供給停止装置3は、機台長手方向Xに複数配列されている。また、各々の粗糸供給停止装置3は、機台長手方向Xに一定の間隔で配列されている。バー42は、機台長手方向Xに延在する長尺状の部材であって、移動部材に相当する。バー42は、機台長手方向Xに配列された各々の粗糸供給停止装置3に対し、図2に示すように、レバー部材32の上に載置されると共に、レバー部材32の起立部35と筐体31との間に挿入されている。バー42は、機台長手方向Xに往復移動可能に設けられている。また、バー42は、機台長手方向Xで互いに連結された複数の連結バー42a,42bによって構成されている。連結バー42a,42bは、機台長手方向Xで隣り合うように配置されると共に、連結部45で互いに連結されている。なお、図4においては、バー42を構成する複数の連結バーのうち2つの連結バー42a,42bだけを表示しており、図4に示す連結バー42bの左側にも図示しない連結バーが連結部45によって所定数だけ連結されている。連結部45の構成については後述する。
駆動部43は、駆動源となるエアシリンダ51と、エアシリンダ51の駆動によって機台長手方向Xに往復移動するブラケット52と、を備えている。エアシリンダ51はピストンロッド53を有する。ピストンロッド53は、エアシリンダ51の駆動によって機台長手方向Xに往復移動する。ブラケット52は、一対のナット54によってピストンロッド53の先端部に固定されている。また、ブラケット52には、バー42の一端部がネジ止め等によって固定されている。このため、エアシリンダ51の駆動によってピストンロッド53を機台長手方向Xに往復移動させると、ピストンロッド53の移動にしたがってブラケット52およびバー42も機台長手方向Xに往復移動する。
復帰部材44は、駆動部43によってバー42を機台長手方向Xに移動させた場合に、バー42と共に移動する部材である。復帰機構41は、駆動部43によってバー42と復帰部材44とを機台長手方向Xに移動させ、第2の位置にある2つ以上の粗糸供給停止部材に復帰部材44を係合させることにより、2つ以上の粗糸供給停止部材を付勢部材34の付勢力に抗して第2の位置から第1の位置へと復帰させる機構である。その場合、粗糸供給停止装置3の個数と同じ数だけ復帰部材44を設けると、ポット精紡機1が備える複数の粗糸供給停止装置3をそれと同数の復帰部材44によって同時に復帰することになる。このため、駆動部43に要求される駆動力が増加すると共に、エアシリンダ51が大型化する。
そこで、本第1実施形態においては、復帰部材44は、全錘の個数をM個とした場合に、M個よりも少ないN個(Nは2以上の整数)の粗糸供給停止装置3ごとに1個ずつ設けられている。具体的には、4つの粗糸供給停止装置3ごとに復帰部材44が1つずつ設けられている。
復帰部材44は、機台長手方向Xで隣り合う2つの粗糸供給停止装置3の中間部に配置されている。また、復帰部材44は、バー42にネジ止め等によって固定されている。復帰部材44は、機台長手方向Xに対して傾斜する傾斜部55を有している。傾斜部55は、機台長手方向Xに配列された各々の粗糸供給停止装置3に対し、バー42の起立部35に係合可能に形成されている。
続いて、復帰機構41の動作について説明する。
復帰機構41の動作は、駆動部43に設けられたエアシリンダ51の駆動によってバー42を機台長手方向Xに往復移動させることで行われる。
まず、図5に示すように、エアシリンダ51の駆動によってバー42をX1方向に移動させると、バー42の移動にしたがって各々の復帰部材44がX1方向に移動する。その際、いずれかの粗糸供給停止装置3が粗糸供給停止状態(図3を参照)になっていると、この粗糸供給停止装置3に設けられたレバー部材32の起立部35に復帰部材44の傾斜部55が係合し、これによって停止部材30がレバー部材32と共に後退する。そのときの様子を図6(A)〜(C)に示す。
まず、バー42をX1方向に移動させると、図6(A)に示すように、復帰部材44の傾斜部55がレバー部材32の起立部35に接触する。このとき、レバー部材32は、傾斜部55の傾斜による楔の効果により、付勢部材34(図3を参照)の付勢力に抗してY2方向に移動する。次いで、図6(B)に示すように、X1方向へのバー42の移動にしたがってレバー部材32がY2方向に更に移動し、図6(C)に示すように、傾斜部55の頂部55aが起立部35に接触した段階でY2方向へのレバー部材32の移動が停止する。このとき、図2に示すように、レバー部材32の凹部36に電磁ピン38が嵌合した状態になる。このため、レバー部材32は、付勢部材34の付勢力に抗して第1の位置に保持される。その後、復帰部材44は、バー42の移動にしたがって、筐体31と起立部35との間を通過していく。
このような復帰機構41の動作により、粗糸供給停止状態にある粗糸供給停止装置3を粗糸供給許容状態に復帰させることができる。すなわち、図3に示す第2の位置にある停止部材30およびレバー部材32を、図2に示す第1の位置へと復帰させることができる。また仮に、機台長手方向Xに配列された複数の粗糸供給停止装置3のすべてが粗糸供給停止状態にあるときに、エアシリンダ51の駆動によってバー42をX1方向に移動させると、復帰部材44が各々の粗糸供給停止装置3のレバー部材32に順に係合し、これによってすべての粗糸供給停止装置3を粗糸供給許容状態に復帰させることができる。本第1実施形態においては、4つの粗糸供給停止装置3ごとに1つの復帰部材44が設けられているため、1つの復帰部材44で4つの粗糸供給停止装置3を順次、粗糸供給停止状態から粗糸供給許容状態に復帰させることが
一方、上述したX1方向へのバー42の移動により、各々の粗糸供給停止装置3を粗糸供給停止状態から粗糸供給許容状態に復帰させた後、バー42をX2方向に移動させると、復帰部材44は、レバー部材32の起立部35と筐体31との間を通過するように移動する。これにより、復帰部材44を元の位置に戻すことができる。
続いて、連結部45の構成について説明する。
図7は、バー間隔が狭いときの連結部を示す一部破断面を含む平面図であり、図8は、図7の連結部をR1方向から見た図である。また、図9は、バー間隔が広いときの連結部を示す一部破断面を含む平面図であり、図10は、図9の連結部をR2方向から見た図である。
図7〜図10に示すように、連結部45にはバー間隔可変機構60が設けられている。バー間隔可変機構60は、バー42を機台長手方向Xに往復移動させる際の移動方向の違いによって連結バー42a,42bの間隔を変化させる機構である。バー間隔可変機構60は、復帰部材44を用いて構成されている。復帰部材44は、連結バー42aと連結バー42bとを連結している。
復帰部材44は、傾斜部55を含む楔部61と、この楔部61と一体構造をなす取付部62と、を有している。楔部61は、バー42の長手方向(機台長手方向X)と直交する方向に突出している。復帰部材44は、取付部62をバー42に取り付けることにより、連結バー42aと連結バー42bとを連結している。
取付部62は、2つのネジ63,64を用いてバー42に取り付けられている。ネジ63は、連結バー42aに設けられたネジ孔46に螺合しており、ネジ64は、連結バー42bに設けられたネジ孔47に螺合している。なお、図8および図10においては、ネジ64の表示を省略している。取付部62は、ネジ63の締め付けによって連結バー42aに固定されている。取付部62には、長孔65が形成されている。長孔65は、バー42の長手方向を長軸とする孔である。長孔65には円筒状のカラー66が挿入されている。カラー66は、ネジ64の締め付けによって連結バー42bに固定されている。また、カラー66は長孔65の長軸方向に移動可能に設けられている。
次に、連結部45におけるバー間隔可変機構60の動作について説明する。
バー間隔可変機構60は、エアシリンダ51の駆動によってバー42を機台長手方向Xに往復移動させる場合に、次のように動作する。以降の説明では、機台長手方向Xの一方をX1方向、他方をX2方向という。
まず、図7および図8に示す状態からバー42をX1方向に移動させると、連結バー42aが連結バー42bよりも先に移動し始める。連結バー42aがX1方向に移動すると、連結バー42aと一体に復帰部材44がX1方向に移動する。このとき、長孔65とカラー66との相対位置は、復帰部材44の移動にともなって変化する。具体的には、カラー66の位置が、長孔65の第1端部65aから第2端部65bへと変化する。これにより、連結バー42a,42bの間隔は、図7および図8に示すL1寸法から、図9および図10に示すL2寸法に広がる。この状態で連結バー42bは連結バー42aに引っ張られてX1方向に移動する。
一方、図9および図10に示す状態からバー42をX2方向に移動させると、連結バー42aが連結バー42bよりも先に移動し始めると共に、連結バー42aと一体に復帰部材44がX2方向に移動する。このとき、カラー66の位置は、長孔65の第2端部65bから第1端部65aへと変化する。これにより、連結バー42a,42bの間隔は、図9および図10に示すL2寸法から、図7および図8に示すL1寸法に狭まる。この状態で連結バー42bは連結バー42aに押されてX2方向に移動する。
このように動作するバー間隔可変機構60を連結部45に設けることにより、バー42をX1方向に移動させる場合は、連結バー42a,42bの間隔をL1寸法からL2寸法に広げることができる。また、バー42をX2方向に移動させる場合は、連結バー42a,42bの間隔をL2寸法からL1寸法に狭めることができる。これにより、バー42をX1方向に移動させる前、または、バー42をX2方向に移動させた後は、連結バー42a,42bの間隔をL1寸法とすることにより、機台長手方向Xで隣り合う粗糸供給停止装置3のレバー部材32間に各々の復帰部材44を精度良く位置決めして配置することができる。また、バー42をX1方向に移動させた場合は、連結バー42a,42bの間隔をL2寸法に広げることにより、粗糸供給停止装置3の復帰に必要な駆動力の最大値を低減することができる。その理由を図11および図12を用いて説明する。
図11に示すように、機台長手方向Xには一定の間隔P1で複数の粗糸供給停止装置3が配列されている。また、機台長手方向Xにおいては、バー42を構成する複数(図11では3つのみ表示)の連結バー42a,42b,42cが互いに連結して配置されている。また、バー42には複数の復帰部材44(44a〜44e)が設けられている。具体的には、連結バー42aには2つの復帰部材44a,44bが固定されている。同様に、連結バー42bには2つの復帰部材44c,44dが固定され、復帰部材44cには2つ(図11では1つのみ表示)の復帰部材44eが固定されている。
復帰部材44bは、連結バー42aと連結バー42bとを連結すると共に、これらの連結バー42a,42bの連結部45で上記のバー間隔可変機構60(図7〜図10を参照)を構成している。復帰部材44dは、連結バー42bと連結バー42cとを連結すると共に、これらの連結バー42b,42cの連結部45で上記のバー間隔可変機構60を構成している。
また、復帰部材44aと復帰部材44bとの間隔P2、および、復帰部材44cと復帰部材44dとの間隔P2は、それぞれ上記間隔P1の整数倍に設定されている。本実施形態では、4つの粗糸供給停止装置3ごとに1つの復帰部材44が設けられているため、上記間隔P2は、上記間隔P1の4倍に設定されている。また、連結部45における連結バー42a,42bの間隔が上記L1寸法(図7および図8を参照)となっている場合は、復帰部材44bと復帰部材44cとの間隔P3が、上記間隔P2と同一となっている。同様に、連結部45における連結バー42b,42cの間隔が上記L1寸法となっている場合は、復帰部材44dと復帰部材44eとの間隔P3が、上記間隔P2と同一となっている。
図11は、バー42をX1方向に移動させる前、または、バー42をX2方向に移動させた後の配置状態を示している。この配置状態のもとでは、機台長手方向Xで隣り合う復帰部材44の間隔(P2,P3)が、粗糸供給停止装置3の間隔(P1)の整数倍となっている。このため、機台長手方向Xで隣り合う粗糸供給停止装置3のレバー部材32間に各々の復帰部材44(44a〜44e)を精度良く位置決めして配置することができる。
図11は、バー42をX1方向に移動させる前、または、バー42をX2方向に移動させた後の配置状態を示している。この配置状態からバー42をX1方向に移動させると、上述したバー間隔可変機構60の動作により、バー移動方向X1の下流側に位置する連結バー42aが先に移動を開始し、その後、連結バー42bおよび連結バー42cが順次、移動を開始する。これにより、連結バー42a,42bの間隔はL1寸法からL2寸法へと広がり、連結バー42b,42cの間隔もL1寸法からL2寸法へと広がる。そうすると、図12に示すように、復帰部材44bと復帰部材44cとの間隔、および、復帰部材44dと復帰部材44eとの間隔は、それぞれ上記間隔P3よりも広い間隔P4となる。この場合、L2寸法とL1寸法との差分をΔLと定義すると、間隔P4と間隔P3との差分はΔL相当となる。また、復帰部材44bと復帰部材44cとの間隔はΔLの1倍相当分だけ広がり、復帰部材44bと復帰部材44eとの間隔はΔLの2倍相当分だけ広がる。すなわち、各連結部45におけるバー間隔の広がりにより、各々の連結バー42a,42b,42cに固定された復帰部材44間の間隔が段階的に広くなる。
ここで、連結バー42aと一体に移動する復帰部材44a,44bによって粗糸供給停止装置3を復帰させるときに必要な駆動力が最大となるタイミングを「T1」とし、連結バー42bと一体に移動する復帰部材44c,44dによって粗糸供給停止装置3を復帰させるときに必要な駆動力が最大となるタイミングを「T2」とし、連結バー42cと一体に移動する復帰部材44eによって粗糸供給停止装置3を復帰させるときに必要な駆動力が最大となるタイミングを「T3」と定義する。そうした場合、仮に、各々の連結部45におけるバー間隔がL1寸法のままバー42全体がX1方向に移動する構成になっていると、各々のタイミングT1,T2,T3が一致することになる。このため、バー42をX1方向に移動させる場合に、エアシリンダ51に要求される駆動力の最大値が増加すると共に、エアシリンダ51に加わる駆動負荷の変動が大きくなる。
これに対して、各々の連結部45におけるバー間隔がL1寸法からL2寸法に広がった状態でバー42がX1方向に移動する場合は、各々のタイミングT1,T2,T3にずれが生じるようになる。具体的には、タイミングT2がタイミングT1よりも遅くなり、タイミングT3がタイミングT2よりも遅くなる。このため、バー42をX1方向に移動させる場合に、エアシリンダ51に加わる駆動負荷を分散させることができる。また、エアシリンダ51に要求される駆動力の最大値を小さく抑えることができる。その結果、駆動部43の駆動源であるエアシリンダ51を小型化することが可能となる。
図13は、復帰機構によって各々の粗糸供給停止装置を復帰させる場合に、バーに加わる引張り負荷とバーの移動量との関係を実験により調べた結果を示す図である。
図13において、実線は、バー間隔可変機構60によりバー間隔を可変とした場合の引張り負荷の変動を示し、破線は、バー間隔を固定とした場合の引張り負荷の変動を示している。バー間隔を固定とする場合とは、機台長手方向Xにおけるバー42の移動方向の違いにかかわらず、連結バー42a,42b,42cが常に一体に移動するように、連結バー42a,42b,42cを一体構造とするか、連結バー42a,42b,42c同士をネジ止め等によって固定した場合を意味する。
まず、バー間隔を固定とした場合は、各々の粗糸供給停止装置3を復帰部材44によって順次復帰するためにバー42をX1方向に移動させる場合に、バー42が所定量移動するごとに、バー42に対して高いピーク値Paで引張り負荷が加わっている。これは、上述したタイミングT1,T2,T3が一致するためである。一方、バー間隔を可変とした場合は、各々のタイミングT1,T2,T3にずれが生じるため、バー42に加わる引張り負荷のピークが平坦化(分散)される。このため、バー間隔を可変とした場合は、バー間隔を固定とする場合に比べて、バーに加わる引張り負荷のピーク値Pbがかなり小さくなっている。このことは、バー間隔可変機構60を設けた場合に、エアシリンダ51に要求される駆動力の最大値を大幅に低減できることを意味する。
以上説明した本発明の第1実施形態に係るポット精紡機によれば、粗糸9の紡出中にいずれかの錘で粗糸供給停止装置3の粗糸供給停止部材(30,32)の位置が第1の位置から第2の位置へと切り替わった場合に、復帰機構41の動作により、粗糸供給停止部材(30,32)を第2の位置から第1の位置へと復帰させることができる。これにより、作業者の手作業に頼ることなく、粗糸供給停止装置3を自動的に復帰させることができる。また、機台長手方向Xに配列された各々の粗糸供給停止装置3ごとに大容量のソレノイド装置を設けなくても、エアシリンダ51の駆動によってバー42を機台長手方向Xに移動させるだけで、第2の位置にある2つ以上の粗糸供給停止部材を第1の位置に復帰させることができる。これにより、小型化への対応が容易なポット精紡機を提供することができる。
また、本発明の第1実施形態においては、復帰部材44に傾斜部55を形成し、第2の位置にあるレバー部材32の起立部35に傾斜部55を係合させることで、停止部材30およびレバー部材32を第1の位置へと復帰させる構成を採用している。これにより、安価な装置構成で粗糸供給停止装置3を粗糸供給許容状態に復帰させることができる。
また、本発明の第1実施形態においては、4つの粗糸供給停止装置3ごとに1つずつ復帰部材44を設けた構成を採用している。このため、復帰部材44によって同時に復帰させる粗糸供給停止装置3の個数を減らすことができる。したがって、駆動部43に要求される駆動力を低減することができると共に、エアシリンダ51を小型化することができる。
また、本発明の第1実施形態においては、機台長手方向Xに往復移動可能なバー42によって移動部材を構成しているため、安価な装置構成で粗糸供給停止装置3の自動復帰を実現することができる。
また、本発明の第1実施形態においては、機台長手方向Xで隣り合う連結バー42a,42b,42cの各連結部45に、それぞれバー間隔可変機構60を設けた構成を採用している。これにより、駆動部43に要求される駆動力の最大値を小さく抑え、駆動部43の小型化を図ることができる。
<第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態に係るポット精紡機について説明する。
本発明の第2実施形態に係るポット精紡機は、上記第1実施形態と比較して、復帰機構の構成が異なる。以下、具体的に説明する。
図14は、本発明の第2実施形態に係るポット精紡機が備える復帰機構の構成を示す概略図である。
図14に示すように、復帰機構71は、移動部材としてのワイヤ72と、このワイヤ72を機台長手方向Xに長く延在させて支持する一対のプーリ73a,73bと、一方のプーリ73aを回転させるモータ74と、ワイヤ72に設けられた2つの復帰部材75と、を備えている。
ワイヤ72は、一対のプーリ73a,73bによってループ状に支持されている。ワイヤ72は、機台長手方向Xに配列された各々の粗糸供給停止装置3に対し、レバー部材32の起立部35と筐体31との間に通されている。プーリ73aは駆動側のプーリ、プーリ73bは従動側のプーリとなっている。プーリ73aは、モータ74の駆動によって回転する。プーリ73bは、ワイヤ72の移動にしたがって回転する。
各々の復帰部材75は、それぞれ傾斜部76を有する。各々の復帰部材75は、ワイヤ72の周長方向の異なる位置でワイヤ72に固定されている。このため、モータ74の駆動によってプーリ73aが回転し、このプーリ73aの回転によってワイヤ72が移動すると、各々の復帰部材75は、ワイヤ72と共に移動する。この場合、一対のプーリ73a,73bおよびモータ74は、移動部材としてのワイヤ72を機台長手方向Xに移動させる駆動部を構成する。
上記構成からなる復帰機構71において、各々の粗糸供給停止装置3を粗糸供給停止状態から粗糸供給許容状態に復帰させる場合は、モータ74の駆動によってプーリ73aを図の反時計回り方向に回転させる。これにより、一対のプーリ73a,73bの間で、一方(図14の下方)の復帰部材75が、プーリ73b側からプーリ73a側に向かってX1方向に移動する。そうすると、X1方向に移動する復帰部材75の傾斜部76が粗糸供給停止装置3の起立部35に係合し、これによってレバー部材32がY2方向に移動する。したがって、機台長手方向Xに配列された各々の粗糸供給停止装置3を順次、粗糸供給停止状態から粗糸供給許容状態に復帰させることができる。よって、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、移動部材をワイヤ72で構成しているため、安価な装置構成で粗糸供給停止装置3の自動復帰を実現することができる。
なお、復帰部材75の構成は、傾斜部76を有するものに限らない。たとえば、図15に示すように、ワイヤ72にローラ77を設け、このローラ77を復帰部材としてもよい。ローラ77は、第2の位置にある粗糸供給停止部材に係合可能な第1ローラに相当する。ローラ77は回転自在に設けられている。このようにワイヤ72にローラ77を設けた場合でも、第2の位置にあるレバー部材32の起立部35にこのローラ77を係合させることにより、そのレバー部材32を第2の位置から第1の位置へと復帰させることができる。この構成においては、ローラ77が回転しながらレバー部材32の起立部35に係合するため、レバー部材32とローラ77との係合部分に生じる抵抗が、すべり抵抗ではなく転がり抵抗になる。このため、粗糸供給停止装置3の復帰に要する駆動力を低減することができる。
また、ワイヤ72にローラを設ける場合は、図16に示すように、ワイヤ72の一箇所に2つのローラ77a,77bを第1ローラとして設けてもよい。これにより、一方のローラ77aは起立部35との係合によって回転し、他方のローラ77bは筐体31との係合によって回転する。このため、粗糸供給停止装置3の復帰に要する駆動力を低減することができる。
さらに、復帰部材75をワイヤ72に設ける場合に、図17に示すように、粗糸供給停止装置3にローラ78を設けてもよい。ローラ78は、復帰部材75の傾斜部76が係合する部分となる起立部35に設けられている。ローラ78は、第2ローラに相当する。この構成においては、復帰部材75が粗糸供給停止装置3に係合する際に、復帰部材75の傾斜部76がローラ78に係合することにより、ローラ78が回転する。このため、粗糸供給停止装置3の復帰に要する駆動力を低減することができる。
なお、図15〜図17においては、いずれも、移動部材をワイヤ72で構成しているが、ワイヤ72に代えてバー42により移動部材を構成してもよい。
<第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態に係るポット精紡機について説明する。
本発明の第3実施形態に係るポット精紡機は、上記第1実施形態と比較して、連結バー42aと連結バー42bとの連結部45に設けられるバー間隔可変機構の構成が異なる。以下、具体的に説明する。
図18(A)は、本発明の第3実施形態に係るポット精紡機が備えるバー間隔可変機構の構成を示す概略平面図であり、図18(B)はその概略正面図である。
図18(A),(B)に示すように、バー間隔可変機構81は、略三角形に曲げられた板バネ82と、この板バネ82の一方側を連結バー42aに固定するネジ83aと、板バネ82の他方側を連結バー42bに固定するネジ83bとを備えている。連結バー42a,42bは、機台長手方向Xにおいて板バネ82のバネ力により互いに接近する方向に付勢されている。
上記構成からなるバー間隔可変機構81において、上記第1実施形態と同様に、エアシリンダ51の駆動によって連結バー42aをX1方向に移動させると、連結バー42aに引っ張られて連結バー42bが移動する前に、板バネ82がX1方向に伸ばされる。これにより、連結バー42a,42bの間隔が広がった状態でバー42全体がX1方向に移動する。
また、上述のように連結バー42aをX1方向に移動させた後、エアシリンダ51の駆動によって連結バー42aをX1方向と反対方向に移動させると、まず、板バネ82の伸びが解消され、次いで、連結バー42aに押されて連結バー42bが移動する。これにより、連結バー42a,42bの間隔が狭まった状態でバー42全体がX1方向と反対方向に移動する。
このように、本発明の第3実施形態に係るポット精紡機においては、バー42を機台長手方向Xに往復移動させるときに、バー42の移動方向の違いにより、連結部45における連結バー42a,42bの間隔が変化する。このため、上記第1実施形態と同様に、粗糸供給停止装置3の復帰に必要な駆動力の最大値を低減することができる。
なお、バー間隔可変機構の構成は上記の例に限らず、種々の変更が可能である。具体的には、たとえば、図19(A)〜(C)に示す構成のバー間隔可変機構84を採用することが可能である。
バー間隔可変機構84においては、図19(A)に示すように、連結バー42aにフック部85aと切り欠き部86aとが設けられ、連結バー42bにフック部85bと切り欠き部86bとが設けられている。連結バー42aのフック部85aは連結バー42bの切り欠き部86bに配置され、連結バー42bのフック部85bは連結バー42aの切り欠き部86aに配置される。これにより、図19(B)に示すように、機台長手方向Xにおいて連結バー42a,42bが互いに連結される。
上記構成からなるバー間隔可変機構84において、図19(B)に示す状態から連結バー42aをX1方向に移動させると、まず、連結バー42aのフック部85aが連結バー42bの切り欠き部86b内でX1方向に移動し、次いで、図19(C)に示すようにフック部85a,85b同士が接触した状態になる。その後、連結バー42bは、フック部85a,85b同士の引っ掛かりにより、連結バー42aに引っ張られてX1方向に移動する。このため、連結バー42a,42bの間隔がL4寸法に広がった状態でバー42全体がX1方向に移動する。
一方、図19(C)に示す状態から連結バー42aをX2方向に移動させると、まず、連結バー42aのフック部85aが連結バー42bの切り欠き部86b内でX2方向に移動し、次いで、図19(B)に示すようにフック部85aが切り欠き部86bの端部に突き当たるか、フック部85bが切り欠き部86aの端部に突き当たった状態となる。その後、連結バー42bは、フック部85aと切り欠き部86bとの突き当て、または、フック部85bと切り欠き部86aとの突き当てにより、連結バー42aに押されてX2方向に移動する。これにより、連結バー42a,42bの間隔がL3寸法に狭まった状態でバー42全体がX2方向に移動する。
このような構成のバー間隔可変機構84を採用した場合でも、バー42を機台長手方向Xに往復移動させるときに、バー42の移動方向の違いにより、連結部45における連結バー42a,42bの間隔が変化する。このため、上記第1実施形態と同様に、粗糸供給停止装置3の復帰に必要な駆動力の最大値を低減することができる。
<第4実施形態>
続いて、本発明の第4実施形態について説明する。
本発明の第4実施形態は、精紡機の制御方法に特徴を有する。この制御方法は、本発明の第1実施形態〜第3実施形態に係るポット精紡機が備える復帰機構を用いて実現可能な方法である。ただし、本発明に係る精紡機の製造方法は、上述した復帰機構の構成に限らず、粗糸供給停止装置3を復帰させる機構を有する精紡機に広く適用可能である。
まず、前述したとおり、糸切れの発生時に粗糸供給停止装置3を作動させると、停止部材30がバックトップローラ15aとバックボトムローラ15bとの間に食い込むため、ドラフト装置2に対する粗糸9の供給が停止する。このとき、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17はそれぞれ回転し続ける。このため、糸切れが発生した錘においては、ミドルローラ対16の直近で粗糸9が切られる。したがって、ニューマ装置に吸引される粗糸9の長さを短く抑えることができる。
ただし、紡出中に糸切れが発生した錘(以下、「糸切れ錘」ともいう。)と、糸切れが発生しなかった錘(以下、「非糸切れ錘」ともいう。)では、糸が切られる位置が異なる。具体的には、糸切れ錘では粗糸供給停止装置3の作動にともなう糸の供給停止によりミドルローラ対16の直近で粗糸9が切られるのに対し、非糸切れ錘ではバックローラ対15およびミドルローラ対16の回転停止によりフロントローラ対17の直近で粗糸9が切られる。このため、糸切れ錘および非糸切れ錘を含むすべての錘において、次の紡出工程を開始するためにバックローラ対15およびミドルローラ対16の回転を再開すると、糸切れ錘では粗糸9がミドルローラ対16の直近から移動を開始し、非糸切れ錘では粗糸9がフロントローラ対17の直近から移動を開始する。このため、吸篠管22による空気の吸い込み動作は、吸篠管22への粗糸9の到達タイミングが遅い方の錘、すなわち糸切れ錘にあわせて、より長い時間維持する必要がある。吸篠管22による空気の吸い込み動作は全錘同時に行われるため、吸い込み動作の時間が長くなると、その分だけ空気の消費量が多くなり、エネルギーの浪費につながる。そこで、本実施形態においては、以下のような方法でポット精紡機を制御することとした。
図20は、本発明の第4実施形態に係る精紡機の制御方法を示すフローチャートである。
図20に示す精紡機の制御方法は、図示しない制御部の制御下で行われると共に、ドラフト装置2から供給される糸20をポット5内に紡出する紡出工程に適用される。
まず、紡出工程が開始されると、制御部は、紡出中にいずれかの錘の糸切れセンサ7が糸切れの発生を検出したかどうかを確認する(ステップS1)。糸切れセンサ7が糸切れの発生を検出すると、制御部は、その糸切れセンサ7が発生する糸切れ検出信号に基づいて糸切れ錘を特定し、特定した糸切れ錘に設けられている粗糸供給停止装置3を作動させる(ステップS2)。これにより、糸切れ錘においては、バックトップローラ15aとバックボトムローラ15bとの間に停止部材30が食い込むため、ドラフト装置2に対する粗糸9の供給が停止すると共に、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17の回転による引張り力を受けて粗糸9がミドルローラ対16の直近で切られる。糸切れセンサ7が糸切れの発生を検出していない場合は、ステップS1からステップS3に移行する。
その後、制御部は、ケーク24の形成を終えたかどうかを判断する(ステップS3)。ケーク24の形成は、ポット5の内壁5bに所定量の糸20が積層された段階で終了となる。ケーク24の形成を終えていない場合はステップS1に戻り、終えた場合はステップS4に進む。
次に、制御部は、上記ステップS2で作動させた粗糸供給停止装置3をすべて粗糸供給許容状態に復帰させる(ステップS4)。粗糸供給停止装置3を粗糸供給停止状態から粗糸供給許容状態に復帰させる場合は、図5に示すように、復帰機構41においてエアシリンダ51の駆動によりバー42をX1方向に移動させる。これにより、糸切れ錘と非糸切れ錘を含むすべての錘で粗糸供給停止装置3が粗糸供給許容状態となる。また、糸切れ錘で粗糸供給停止装置3を粗糸供給許容状態に復帰させると、バックローラ対15から停止部材30が退避するため、ドラフト装置2に対して粗糸9の供給が再開される。
次に、制御部は、ステップS4で粗糸供給停止装置3を復帰させてからの経過時間(以下、「復帰後経過時間」という。)が予め設定された所定時間に達したかどうかを判断する(ステップS5)。所定時間は、ステップS2における粗糸供給停止装置3の作動により、ミドルローラ対16の直近で切られた粗糸9の先端部が、ステップS4における粗糸9の供給再開によってフロントローラ対17に至るまでに要する時間にあわせて設定される。所定時間は実験的に求めることができる。
次に、制御部は、復帰後経過時間が所定時間に達したと判断すると、すべての錘で同時にバックローラ対15およびミドルローラ対16の回転を停止することにより、糸切りを行う(ステップS6)。糸の紡出は糸切りによって終了となる。本実施形態では、糸切りを行うタイミングよりも所定時間前に粗糸供給停止装置3を粗糸供給許容状態に復帰させる。このため、紡出中に糸切れが発生した錘では、粗糸9の供給を再開した後で糸切りが行われる。また、紡出中に糸切れが発生しなかった錘では、通常通りに糸切りが行われる。これにより、紡出工程が終了した時点には、紡出中における糸切れ発生の有無にかかわらず、すべての錘で粗糸9の先端部がフロントローラ対17の直近に配置された状態となる。
このように精紡機を制御することにより、次の紡出工程においては、すべての錘で粗糸9の先端部をフロントローラ対17の直近に揃えた状態、すなわち全錘紡出可能な状態で、バックローラ対15およびミドルローラ対16の回転を再開させることができる。このため、すべての錘において、ドラフト装置2から送り出された粗糸9をより短い時間で吸篠管22に到達させることができる。したがって、吸篠管22による空気の吸い込み動作時間を短縮し、エネルギーの浪費を抑制することができる。また、すべての錘で粗糸9の先端位置を揃えてドラフト装置2から送り出すことができるため、紡出工程を終えた後の巻き返し工程でも、糸の位置を揃えてボビン25に巻き返すことができる。このため、精紡後のワインダー工程において、糸の歩留まりを向上させることができる。
<変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
たとえば、上記実施形態においては、復帰機構41の構成として、4つの粗糸供給停止装置3ごとに復帰部材44を1つずつ設けるようにしたが、粗糸供給停止装置3と復帰部材44との個数割合は、上記の具体例に限らず、必要に応じて変更可能である。
また、上記実施形態においては、ポット精紡機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、たとえばリング精紡機など他の精紡機にも広く適用可能である。
1 ポット精紡機(精紡機)、2 ドラフト装置、3 粗糸供給停止装置、9 粗糸、30 停止部材(粗糸供給停止部材)、32 レバー部材(粗糸供給停止部材)、34 付勢部材、38 電磁ピン(保持部材)、43 駆動部、42 バー(移動部材)、42a,42b,42c 連結バー、44,44a,44b,44c,44d,44e,75 復帰部材、45 連結部、55 傾斜部、60,81,84 バー間隔可変機構、72 ワイヤ(移動部材)、77 ローラ(第1ローラ)、77a,77b ローラ(第1ローラ)、78 ローラ(第2ローラ)、X 機台長手方向。

Claims (8)

  1. 粗糸を引き伸ばすドラフト装置と、前記ドラフト装置に対する粗糸の供給を停止する粗糸供給停止装置とをそれぞれ備える複数の錘を具備し、前記粗糸供給停止装置は、機台長手方向に複数配列されると共に、前記ドラフト装置に対して粗糸の供給を許容する第1の位置と、前記ドラフト装置に対して粗糸の供給を停止する第2の位置とに切り替え可能に構成された粗糸供給停止部材と、前記粗糸供給停止部材を前記第2の位置へ付勢する付勢部材と、前記付勢部材の付勢力に抗して前記粗糸供給停止部材を前記第1の位置に保持する保持部材とを備えた精紡機において、
    前記機台長手方向に延在すると共に、前記機台長手方向に移動可能に設けられた移動部材と、
    前記移動部材を前記機台長手方向に移動させる駆動部と、
    前記移動部材に設けられるとともに、前記駆動部によって前記移動部材を前記機台長手方向に移動させた場合に前記移動部材と共に移動する復帰部材と、
    を有する復帰機構を備え、
    前記復帰機構は、前記駆動部によって前記移動部材と共に前記復帰部材を前記機台長手方向に移動させ、前記第2の位置にある2つ以上の前記粗糸供給停止部材に前記復帰部材を係合させることにより、前記2つ以上の前記粗糸供給停止部材を前記付勢部材の付勢力に抗して前記第2の位置から前記第1の位置へと復帰させる
    ことを特徴とする精紡機。
  2. 前記復帰部材は、前記機台長手方向に対して傾斜し、前記第2の位置にある前記粗糸供給停止部材に係合可能な傾斜部を有する
    請求項1に記載の精紡機。
  3. 前記復帰部材は、前記第2の位置にある前記粗糸供給停止部材に係合可能な第1ローラによって構成されている
    請求項1に記載の精紡機。
  4. 前記粗糸供給停止装置は、前記傾斜部が係合する部分に設けられた第2ローラを有する
    請求項2に記載の精紡機。
  5. 前記復帰部材は、全錘の個数をM個とした場合に、前記M個よりも少ないN個(Nは2以上の整数)の前記粗糸供給停止装置ごとに1個ずつ設けられている
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の精紡機。
  6. 前記移動部材は、前記機台長手方向に往復移動可能なバーによって構成されている
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の精紡機。
  7. 前記バーは、前記機台長手方向で互いに連結された複数の連結バーによって構成され、
    前記機台長手方向で隣り合う前記連結バーの連結部には、前記バーを往復移動させる際の移動方向の違いにより前記連結バーの間隔を変化させるバー間隔可変機構が設けられている
    請求項6に記載の精紡機。
  8. 粗糸を引き伸ばすドラフト装置と、前記ドラフト装置に対する粗糸の供給を停止する粗糸供給停止装置とをそれぞれ備える複数の錘を具備し、前記粗糸供給停止装置は、機台長手方向に複数配列されると共に、前記ドラフト装置に対して粗糸の供給を許容する第1の状態と、前記ドラフト装置に対して粗糸の供給を停止する第2の状態とに切り替え可能に構成された精紡機の制御方法において、
    前記ドラフト装置から供給される糸を紡出すると共に、前記紡出中に前記第1の状態から前記第2の状態に切り替わった前記粗糸供給停止装置を、前記紡出が終了する前に前記第2の状態から前記第1の状態に復帰させる
    ことを特徴とする精紡機の制御方法。
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