JP2018135160A - 糸処理機 - Google Patents

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Makoto Ito
伊藤  誠
浩之 須佐見
Hiroyuki Susami
浩之 須佐見
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Abstract

【課題】負圧を利用した作業部材を有する作業台車の作業効率を向上させる。【解決手段】配列方向に並べられた複数の糸処理ユニット2と、配列方向に移動可能であり、糸処理ユニット2に対して作業を実行可能な作業台車3と、配列方向に沿って配置された吸引ダクト11と、を備える糸処理機において、作業台車3は、作業台車3が糸処理ユニット2に対して作業可能な作業位置Aにあるときに吸引ダクト11に接続され、吸引ダクト11内の負圧を利用して作業を行う作業部材54と、吸引ダクト11から供給される負圧を検出する検出手段60と、を備える。【選択図】図8

Description

本発明は、複数の糸処理ユニットと、当該複数の糸処理ユニットに対して作業を実行可能な作業台車と、を備える糸処理機に関する。
例えば特許文献1には、複数の紡績ユニット(糸処理ユニット)が配列方向に並べられ、この配列方向に移動可能な糸継台車(作業台車)が設けられた精紡機(糸処理機)が開示されている。この精紡機には、吸引装置によって内部が負圧状態とされる吸引ダクトが配列方向に沿って設けられている。一方、糸継台車には、負圧(吸引力)を利用して作業を行うサクションマウス(作業部材)が設けられており、サクションマウスが吸引ダクトに接続されることで、サクションマウスに負圧が供給されるよう構成されている。
特開2014−9052号公報
ここで、吸引ダクトに屑糸詰まりが生じるなどして、吸引ダクト内の負圧が低下(吸引力が低下)すると、作業部材に十分な負圧を供給することができず、例えば、糸端をうまく吸引捕捉できないといった作業ミスが生じることがあった。このような作業ミスの発生は、作業効率を低下させる要因となっていた。
また、吸引ダクト内の負圧の値は、吸引装置から遠くなるほど圧損により小さくなるため、後述の待機状態からの復帰時等には、吸引装置から遠い箇所においても負圧が規定値以上となるまで、糸継台車を長時間待機させておく必要があった。しかしながら、そうすると、比較的早く負圧が規定値以上となる、吸引装置に近い箇所で作業を行う場合にも、吸引装置から遠い箇所の負圧が上昇するまで糸継台車を無駄に待機させることになり、作業効率の低下を招来していた。
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、負圧を利用した作業部材を有する作業台車の作業効率を向上させることを目的とする。
本発明は、配列方向に並べられた複数の糸処理ユニットと、前記配列方向に移動可能であり、前記糸処理ユニットに対して作業を実行可能な作業台車と、前記配列方向に沿って配置された吸引ダクトと、前記吸引ダクトに接続される吸引装置と、を備える糸処理機であって、前記作業台車は、前記作業台車が前記糸処理ユニットに対して作業可能な作業位置にあるときに前記吸引ダクトに接続され、前記吸引ダクト内の負圧を利用して作業を行う作業部材と、前記吸引ダクトから供給される負圧を検出する検出手段と、を備えることを特徴とする。
本発明では、作業台車に吸引ダクトから供給される負圧を検出する検出手段が設けられているので、負圧が不足した状態で作業部材による作業を行ってしまうことを防止でき、作業部材による作業ミスを減らすことができる。また、吸引装置の待機状態からの復帰時等に、吸引ダクト全体において負圧が上昇するのを待たなくとも、作業台車が作業を行う作業位置で検出された負圧が規定値以上となっていれば、すぐに作業を行うことができる。したがって、本発明によれば、作業台車の作業効率を向上させることができる。
また、本発明において、前記検出手段で検出された負圧に基づいて、前記作業台車の動作を制御する制御部をさらに備えるとよい。
このような制御部を設けることで、検出手段で検出された負圧に応じて、作業台車に適切な動作を実行させることができる。
また、本発明において、前記制御部は、前記作業位置に移動した前記作業台車の前記検出手段で検出された負圧が規定値以上のとき、前記作業台車に前記糸処理ユニットに対する作業を実行させるとよい。
こうすれば、作業台車は、規定値以上の負圧が供給された状態で作業部材による作業を行うことになるので、作業ミスを確実に減らすことができる。
また、本発明において、前記作業台車が前記糸処理ユニットに対する作業を行っている間に、前記検出手段で検出される負圧が前記規定値未満となったとき、前記制御部は、前記作業台車に作業を中止させるとよい。
作業台車が作業中であっても、負圧が規定値未満となったときは作業を中止させることで、作業ミスの発生を回避することができる。
また、本発明において、前記制御部は、前記検出手段で検出された負圧が閾値未満のとき、前記作業台車に、前記配列方向において前記吸引ダクトの負圧が所定量以上変化する負圧急変箇所を探索する探索モードを実行させるとよい。
負圧急変箇所では屑糸詰まりが生じていると考えられるので、探索モードを実行することで、屑糸詰まりの箇所を特定することができる。
また、本発明において、前記吸引ダクトには、前記配列方向に複数の開口が形成されており、前記作業台車の前記作業部材は、前記開口を介して前記吸引ダクトに接続可能であり、前記作業台車は、前記探索モードにおいて、前記作業部材が前記開口を介して前記吸引ダクトに接続されたときの負圧を検出しながら前記配列方向に移動することで、前記負圧急変箇所を探索するとよい。
こうすれば、開口が形成された箇所ごとに吸引ダクト内の負圧を検出することができるので、負圧急変箇所をより詳細に特定しやすくなる。
また、本発明において、前記複数の開口を開閉する複数のシャッター弁が設けられており、前記作業台車は、前記シャッター弁に当接可能な当接部を有しており、前記シャッター弁は、前記作業台車の移動時に前記当接部が当接することによって、前記開口を開放する状態と閉じる状態とに切り換えられるとよい。
このような構成であれば、シャッター弁を電気的に作動させるためのアクチュエータ等を設ける必要がなく、作業台車を移動させるだけで開口を開放させて吸引ダクト内の負圧を検出することができる。
また、本発明において、前記探索モードにおいて、前記作業台車は、前記糸処理ユニットから作業要求があった場合に前記作業位置に移動する際の速度よりも低速で移動しながら負圧の検出を行うとよい。
このように、探索モードにおいて作業台車を低速で移動させることによって、作業部材が開口を介して吸引ダクトに接続された状態となっている時間を長く確保できるので、吸引ダクト内の負圧を検出しやすくなる。しかも、低速とは言え、移動しながら負圧の検出を行うことで、探索モードを迅速に完了することができる。
また、本発明において、前記探索モードにおいて、前記作業台車は、前記開口ごとに停止しながら負圧の検出を行うとよい。
このように、探索モードにおいて作業台車を開口ごとに停止させることによって、吸引ダクト内の負圧をより確実に検出することができる。
また、本発明において、前記作業台車が複数設けられている場合、前記制御部は、前記複数の作業台車のうち負圧が前記閾値未満であることを検出した作業台車に前記探索モードを実行させるとよい。
負圧が閾値未満であることを検出した作業台車は、いずれにせよ作業を行うことができないので、この作業台車に探索モードを実行させることで、作業効率の低下を抑えることができる。
また、本発明において、前記複数の作業台車のうち2台以上の作業台車で負圧が前記閾値未満であることが検出された場合、前記制御部は、前記2台以上の作業台車のうち前記吸引装置に最も近い位置にある作業台車に前記探索モードを実行させるとよい。
2台以上の作業台車で負圧が閾値未満であることが検出された場合、屑糸詰まりの箇所、すなわち、負圧急変箇所は、これら2台以上の作業台車よりも吸引装置に近い側に存在する。したがって、上述のように、これら2台以上の作業台車のうち吸引装置に最も近い位置にある作業台車に探索モードを実行させることで、迅速に負圧急変箇所を見つけることができる。
また、本発明において、前記作業台車が複数設けられている場合、前記制御部は、2台以上の前記作業台車に前記探索モードを実行させるとよい。
2台以上の作業台車に探索モードを実行させることで、より迅速に負圧急変箇所を見つけることができる。
また、本発明において、前記検出手段で検出された負圧が前記閾値未満であることを報知する報知手段をさらに備えるとよい。
このような報知手段を設けることで、オペレータが屑糸詰まりが生じていることを知ることができ、屑糸詰まりを除去するための準備等を迅速に行うことができる。
また、本発明において、前記報知手段は、前記探索モードによって検出された前記負圧急変箇所を報知するとよい。
こうすれば、オペレータは、負圧急変箇所、すなわち、屑糸詰まりの箇所を容易に把握することができ、迅速に屑糸詰まりを除去することができる。
また、本発明において、前記糸処理ユニットは、糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取部を備え、前記作業部材は、前記パッケージから糸端を吸引して捕捉するサクションマウスであり、前記作業台車は、前記サクションマウスを用いて糸継作業を実行するとよい。
この場合、糸継作業によって発生する屑糸が吸引ダクトに詰まって負圧が小さくなることがあり得るが、上述のように作業台車に検出手段を設けることで、負圧不足による作業ミスを防止することができる。
また、本発明において、前記糸処理ユニットは、繊維束を延伸するドラフト部と、前記ドラフト部で延伸された繊維束から糸を生成する紡績部と、をさらに備え、前記巻取部は、前記紡績部によって生成された糸を巻き取って前記パッケージを形成するとよい。
この場合、紡績部と巻取部との間で糸が分断された場合に、サクションマウスを用いて糸継ぎすることができる。
また、本発明において、前記紡績部は、紡績室と、前記紡績室に旋回空気流を生成可能な紡績ノズルと、先端部が前記紡績室に位置する中空ガイド軸体と、を備えるとよい。
このような紡績部によれば、紡績室において繊維束に旋回空気流を作用させることで、繊維束に撚りを加えて糸を生成することができる。
また、本発明において、前記作業台車は、前記パッケージに対して接触又は離間可能であり、前記パッケージに接触することで前記パッケージの回転を停止させる制動部材をさらに備え、前記制御部は、前記検出手段で検出された負圧の値に基づいて前記制動部材の位置を調整することで、前記パッケージから糸端を吸引するときの前記サクションマウスの吸引口と前記パッケージの外周面との間隔を変更可能であるとよい。
サクションマウスでパッケージの糸端を吸引する際には、サクションマウスに供給される負圧と、サクションマウスの吸引口とパッケージの外周面との間隔とによって、実質的な吸引力が変わる。したがって、検出された負圧の値に基づいて、制動部材の位置を調整し、パッケージから糸端を吸引するときの上記間隔を変更することで、サクションマウスのパッケージに対する実質的な吸引力を一定に維持することができ、糸端の捕捉成功率を向上させることができる。
また、本発明において、前記糸処理ユニットは、前記パッケージを回転可能に支持した状態で回動可能なクレードルと、前記クレードルの位置を制御するユニット制御部と、をさらに備え、前記ユニット制御部は、前記検出手段で検出された負圧の値に基づいて前記クレードルの位置を調整することで、前記パッケージから糸端を吸引するときの前記サクションマウスの吸引口と前記パッケージの外周面との間隔を変更可能であるとよい。
上述の制動部材を用いる場合と同様に、検出された負圧の値に基づいて、クレードルの位置を調整し、パッケージから糸端を吸引するときの、サクションマウスの吸引口とパッケージの外周面と間隔を変更することで、サクションマウスのパッケージに対する実質的な吸引力を一定に維持することができ、糸端の捕捉成功率を向上させることができる。
また、本発明において、前記サクションマウスは、前記作業台車に固定的に取り付けられた吸引管に接続されるとともに、前記吸引管に対して回動可能であり、前記検出手段は、前記吸引管に配置されているとよい。
固定された吸引管に検出手段を配置することで、検出手段の配線がサクションマウスの回動時に一緒に引き回されることがないので、検出手段の配設が容易となる。
本実施形態に係る精紡機の全体的な構成を示す正面図である。 精紡機の電気的構成を示すブロック図である。 紡績ユニット及び糸継台車の側面図である。 糸継台車の制動部材でパッケージの回転を停止させる様子を示す側面図である。 糸継台車の吸引部材で糸を吸引保持する様子を示す側面図である。 糸継台車の吸引部材で糸を糸継装置に案内する様子を示す側面図である。 紡績装置の断面図である。 糸継台車が作業位置にある状態を示す正面図である。 シャッター弁の上面図である。 糸継要求信号を受けた糸継台車の動作を示すフローチャートである。 探索モードを示すフローチャートである。 探索モードでの糸継台車の動作を示す模式図である。 どの糸継台車に探索モードを実行させるかを示す模式図である。 制動部材によってサクションマウスとパッケージとの間隔を調整する様子を示す側面図である。
[本実施形態]
(精紡機の全体構成)
本発明の一実施形態に係る精紡機について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る精紡機の全体的な構成を示す正面図である。図1に示す精紡機1(糸処理機)は、所定の配列方向(図1の左右方向)に並べられた複数の紡績ユニット2(糸処理ユニット)と、配列方向に移動可能な糸継台車3(作業台車)と、配列方向の一端側に配置されたブロアボックス4と、配列方向の他端側に配置された原動機ボックス5と、を備えている。
各紡績ユニット2は、ドラフト装置21から送られてくる繊維束Tを紡績装置22で紡績して糸Yを生成し、この糸Yを巻取装置24でボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。糸継台車3は、精紡機1の配列方向に沿って設けられたレール6を走行可能であり、何れかの紡績ユニット2において糸切れや糸切断が生じた場合に、その紡績ユニット2に移動して糸継作業を行う。
ブロアボックス4には、紡績ユニット2や糸継台車3に負圧を供給するための吸引装置12等が収容されている。原動機ボックス5には、各紡績ユニット2に共通の駆動源等が収容されている。さらに、原動機ボックス5には、機台制御装置7と、モニター等からなる表示部8と、キーボード等からなる入力部9とが設けられている。表示部8には、各紡績ユニット2や糸継台車3に関する情報等が表示される。また、オペレータは、入力部9を介して各条件の設定や各種の指令を機台制御装置7に入力することができる。
図2は、精紡機1の電気的構成を示すブロック図である。機台制御装置7は、各紡績ユニット2及び糸継台車3との間で電気信号を通信可能に構成されており、精紡機1を集中的に管理及び制御する。各紡績ユニット2には、紡績ユニット2の各部の動作を制御するとともに、機台制御装置7との間で通信を行うユニット制御部20が設けられている。また、糸継台車3には、糸継台車3の各部の動作を制御するとともに、機台制御装置7との間で通信を行う台車制御部30が設けられている。台車制御部30は、後述する検出手段60で検出された負圧に基づいて、糸継台車3の動作を制御するよう構成されている。
各紡績ユニット2にはユニット番号が割り当てられており、各紡績ユニット2のユニット制御部20は、自身のユニット番号に関する情報を含んだ糸継要求信号を機台制御装置7に送信することができる。機台制御装置7は、この糸継要求信号をさらに糸継台車3の台車制御部30に送信することで、糸継台車3に糸継作業を実行させることができる。ただし、ユニット制御部20から台車制御部30に直接的に糸継要求信号が送信されるようにしてもよい。
(紡績ユニット)
図3は、紡績ユニット2及び糸継台車3の側面図であり、図4は、糸継台車3の制動部材55でパッケージPの回転を停止させる様子を示す側面図であり、図5は、糸継台車3の吸引部材(サクションパイプ53及びサクションマウス54)で糸Yを吸引保持する様子を示す側面図であり、図6は、糸継台車3の吸引部材(サクションパイプ53及びサクションマウス54)で糸Yを糸継装置52に案内する様子を示す側面図である。
紡績ユニット2は、繊維束T又は糸Yの走行方向(以下、「糸走行方向」と称する)の上流側から下流側へ向かって順に配置された、ドラフト装置21と、紡績装置22と、糸貯留装置23と、巻取装置24と、を主要な構成として備えている。
ドラフト装置21は、精紡機1のフレーム10の上端部近傍に設けられている。ドラフト装置21は、上流側から順に、バックローラ25、サードローラ26、ミドルローラ27、及び、フロントローラ28の4つのドラフトローラ25〜28を備える。ミドルローラ27には、ゴム製のエプロンベルト29が巻き架けられている。各ドラフトローラ25〜28は、所定の回転速度で回転駆動される。また、ドラフト装置21は、各ドラフトローラ25〜28に対向するように配置された対向ローラ25a〜28aを有する。ドラフト装置21は、繊維束Tの原料であるスライバSを、回転するドラフトローラ25〜28と、これに対向する対向ローラ25a〜28aとの間で挟み込んで搬送することにより、所定の幅となるまで延伸して(ドラフトして)繊維束Tとする。
紡績装置22は、フロントローラ28のすぐ下流側に配置されている。紡績装置22は、ドラフト装置21から供給された繊維束Tに撚りを加えることで紡績し、紡績糸Yを生成する。本実施形態では、紡績装置22として、旋回空気流を利用して繊維束Tに撚りを与える空気式のものが採用されているが、他のタイプのものを採用することももちろん可能である。紡績装置22の詳細については、後で説明する。
糸貯留装置23は、糸走行方向において紡績装置22と巻取装置24との間に配置されている。糸貯留装置23は、貯留ローラ31と、糸掛け部材32と、モータ33と、を備える。貯留ローラ31は、その外周面に一定量の糸Yを巻き付けて一時的に貯留できるように構成されており、モータ33によって回転駆動される。貯留ローラ31の下流側端部には、糸Yを引っ掛けることが可能な糸掛け部材32が取り付けられており、糸掛け部材32が糸Yを引っ掛けた状態で貯留ローラ31と一体回転することにより、貯留ローラ31に糸Yが貯留される。糸貯留装置23には、糸Yに張力を付与して紡績装置22から引き出す機能と、糸継台車3による糸継作業時に紡績装置22から送出される糸Yを滞留させて糸Yの弛みを防止する機能と、巻取装置24側の糸Yの張力の変動が紡績装置22側に伝わらないようにする機能と、がある。
糸貯留装置23の下流側には、糸貯留装置23から引き出された糸Yを下流側に案内するためのガイド部材34が設けられている。ガイド部材34は、貯留ローラ31から引き出された糸Yを、貯留ローラ31の回転軸の延長線上を通過するように案内する。
糸走行方向において紡績装置22と糸貯留装置23との間には、糸Yの品質を監視する糸監視装置36が設けられている。糸監視装置36は、走行する糸Yの太さを不図示の光学式のセンサによって監視するように構成されている。糸監視装置36は、糸Yの糸欠陥(糸Yの太さ等に異常がある箇所)を検出する。なお、糸監視装置36は、光学式のセンサに限らず、例えば静電容量式のセンサであってもよい。また、糸監視装置36は、糸Yに含まれる異物を糸欠陥として検出してもよい。
糸監視装置36の近傍には、糸監視装置36で糸Yの糸欠陥が検出された際に、直ちに糸Yを切断するための不図示のカッターが配置されている。なお、紡績ユニット2は、このカッターの代わりに、紡績装置22への空気の供給を停止して、糸Yの生成を中断することにより糸Yを切断してもよい。
巻取装置24は、糸貯留装置23の下流側に配置されており、糸Yを綾振りしながらボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。巻取装置24は、クレードル41と、巻取ドラム42と、トラバース装置43と、を備える。
クレードル41は、糸Yを巻き取るためのボビンB(パッケージP)を回転可能に支持しており、支軸44を軸にして回動可能となっている。クレードル41は、支軸44を軸にして回動することにより、ボビンB(パッケージP)の外周面を巻取ドラム42に対して接触又は離間させることができる。巻取ドラム42は、所定の方向に一定の回転速度で回転駆動されており、ボビンB(パッケージP)の外周面を、回転駆動される巻取ドラム42に接触させることにより、ボビンB(パッケージP)を巻取方向に従動回転させ、糸YをボビンB(パッケージP)の外周面に巻き取ることができる。
トラバース装置43は、糸Yに係合可能なトラバースガイド45を有する。トラバースガイド45は、不図示の駆動源によって、巻取ドラム42の軸方向と平行な方向に往復駆動されるように構成されている。巻取ドラム42を回転駆動させながら、糸Yを係合させたトラバースガイド45を往復駆動することにより、糸Yを綾振り(トラバース)しながらパッケージPに巻き取ることができる。
(紡績装置)
紡績装置22の詳細について説明する。図7は、紡績装置22の断面図である。紡績装置22は、ドラフト装置21から供給された繊維束Tに撚りを加えて、紡績糸Yを生成する。紡績装置22は、ノズルブロック70及び中空ガイド軸体ユニット80を備えている。
ノズルブロック70は、精紡機1のフレーム10に取り付けられたノズルブロック支持部71によって支持されている。ノズルブロック70は、繊維ガイド72と、紡績室73と、第1ノズル74と、を有する。繊維ガイド72は、ドラフト装置21から供給される繊維束Tを紡績室73へと案内する。繊維ガイド72には、案内路72aが形成されるとともに、ガイドニードル72bが設けられている。ドラフト装置21で延伸された繊維束Tは、案内路72aから導入され、ガイドニードル72bに巻き掛かるようにして下流側へと案内される。
紡績室73は、繊維ガイド72の下流側に形成されている。紡績室73の周りには、複数の第1ノズル74が等間隔に形成されている。不図示の圧縮空気供給源から供給された圧縮空気が、複数の第1ノズル74から紡績室73に噴射されることによって、紡績室73内に旋回空気流を発生させることができる。繊維束Tは、紡績室73内の旋回空気流によって撚りが加えられた後に、中空ガイド軸体ユニット80へ送られる。
中空ガイド軸体ユニット80は、ノズルブロック70で撚りを掛けられた繊維束Tにさらに撚りを掛けつつ下流側へ案内する。中空ガイド軸体ユニット80は、第1中空部材81と、第2中空部材82と、第3中空部材83と、収容部材84と、係止部材85と、固定部材86と、外筒部材87と、を有する。
第1中空部材81は、上流側から下流側に向かって順番に、円錐状の先端部81aと、円錐台状の中間部81bと、円筒状の基端部81cと、がつながって構成されている。先端部81aには、軸線Cに沿って貫通する第1繊維通路81dが形成されている。第1繊維通路81dの上流側の開口が、繊維導入口81eである。また、中間部81b及び基端部81cには、第2中空部材82の上流側の一部分を収容するための収容空間81fが形成されている。
第2中空部材82は、円筒状の部材である。第2中空部材82には、軸線Cに沿って貫通する第2繊維通路82aが形成されている。また、第2中空部材82の上流側の端部には、軸線C周りに等間隔に複数の第2ノズル82bが形成されている。第2中空部材82の上流側の端部は、第1中空部材81の先端部81aの下流側の端部に当接しており、これによって、第1繊維通路81dと第2繊維通路82aとが連通する。
第3中空部材83は、円筒状の部材である。第3中空部材83には、軸線Cに沿って貫通する第3繊維通路83aが形成されている。第3中空部材83の上流側の端部は、第2中空部材82の下流側の端部に当接しており、これによって、第2繊維通路82aと第3繊維通路83aとが連通する。
収容部材84は、円筒状の部材であり、第2中空部材82の下流側の一部分を収容する収容空間84aと、第3中空部材83の上流側の一部分を収容する収容空間84bと、が形成されている。また、収容部材84の外周部には、空気供給管100が接続される接続部84cが設けられている。接続部84cには、収容空間84aに連通する空気導入路84dが形成されている。空気供給管100は、不図示の圧縮空気供給源に接続されており、中空ガイド軸体ユニット80に圧縮空気を供給する。なお、空気供給管100は、例えば可撓性のホース等からなる。
係止部材85は、円筒状の部材であり、収容部材84の下流側の端部及び第3中空部材83の下流側の端部に係合可能な形状を有する。係止部材85は、収容部材84の収容空間84bに収容された第3中空部材83を挿通させた状態で、第3中空部材83を係止する役割を有する。
固定部材86は、円錐台状に形成されたナットであり、収容部材84の上流側の端部に螺合可能である。固定部材86の下流側の端部には、フランジ86aが形成されている。
外筒部材87は、収容部材84の外周面に取り付けられており、不図示のホルダーに中空ガイド軸体ユニット80を装着する際の位置決め部材として機能する。つまり、外筒部材87の外径は、上記ホルダーに形成された円筒空間の内径と略同じとされており、外筒部材87が上記円筒空間に係合することで、中空ガイド軸体ユニット80を適切に位置決めすることができる。
中空ガイド軸体ユニット80では、上流側から順番に、第1中空部材81と、第2中空部材82と、第3中空部材83とが、互いに当接した状態で組み付けられる。これによって、第1繊維通路81dと、第2繊維通路82aと、第3繊維通路83aとが連通する。また、第2中空部材82は、第2中空部材82の外周面と、収容空間81f、84aの内壁面との間に、隙間が確保されるように組み付けられる。これによって、空気導入路84dと、収容空間84aと、収容空間81fと、複数の第2ノズル82bとが連通し、複数の第2ノズル82bから第2繊維通路82aに空気を噴射することができる。このように中空部材81〜83、収容部材84及び係止部材85を組み付けた状態で、固定部材86を収容部材84に螺合させることにより、中空ガイド軸体ユニット80が構成される。
紡績装置22の紡績動作中は、固定部材86のフランジ86aが、ノズルブロック支持部71に当接することで、紡績室73に対して中空ガイド軸体ユニット80が位置決めされる。こうして位置決めされた中空ガイド軸体ユニット80では、第1中空部材81の先端部81aが紡績室73内に位置し、紡績室73の内壁面と第1中空部材81の外周面との間に隙間が確保される。中空ガイド軸体ユニット80は、例えば紡績装置22のクリーニング動作時や紡績動作の停止時等に、固定部材86のフランジ86aがノズルブロック支持部71から離間するように、エアーシリンダ等のアクチュエータによって移動させられる。
このように構成された紡績装置22の紡績動作について説明する。紡績動作の開始時には、複数の第1ノズル74から紡績室73に空気が噴射されるととともに、複数の第2ノズル82bから第2繊維通路82aに空気が噴射される。これによって、ドラフト装置21から繊維ガイド72を通って紡績室73に導入された繊維束Tは、第2繊維通路82a及び第3繊維通路83aを通って、下流側に導出される。
糸Yが紡績装置22から紡出され始めると、複数の第2ノズル82bから第2繊維通路82aへの空気の噴射が停止され、複数の第1ノズル74から紡績室73への空気の噴射のみが継続される。これによって、紡績室73に旋回空気流が生成され、この旋回空気流によって繊維束Tの繊維端が、第1中空部材81の繊維導入口81eの周囲で反転して旋回させられ、紡績室73において繊維束Tに撚りが掛けられる。繊維束Tに撚りが掛けられて生成された糸Yは、第2繊維通路82a及び第3繊維通路83aを通って、下流側に導出される。この紡績動作中、複数の第1ノズル74から紡績室73に噴射された空気は、紡績室73と第1中空部材81との間の隙間を介して、ノズルブロック70に形成された減圧室75に流入し、糸Yにならなかった繊維とともに排出される。
(糸継台車)
次に、糸継台車3について説明する。図1に示すように、糸継台車3は、レール6を走行するための複数の車輪51を有している。台車制御部30が、走行モータ50(図2参照)を制御して車輪51を回転駆動させることで、糸継台車3は、複数の紡績ユニット2の間を配列方向に自在に走行することができる。糸継台車3は、ある紡績ユニット2において糸切れや糸切断が発生した場合に、その紡績ユニット2まで移動し、紡績装置22と巻取装置24との間で分断している糸Yの糸継作業を行う。
図3〜図6に示すように、糸継台車3は、糸継装置52、サクションパイプ53、サクションマウス54、制動部材55、逆回転ローラ56等を備える。糸継装置52は、紡績装置22と巻取装置24との間で糸Yが分断している場合に、図6に示すように、サクションパイプ53によって案内される紡績装置22側の糸Y(上糸)と、サクションマウス54によって案内される巻取装置24側の糸Y(下糸)と、を糸継ぎする。本実施形態では、糸継装置52として、旋回空気流によって上糸Yと下糸Yの糸端同士に撚りを加えて継ぎ目を形成するスプライサーが用いられている。ただし、糸継装置52はスプライサーに限らず、例えば、上糸Yと下糸Yとを糸結びするノッター等を採用してもよい。糸継装置52の動作は、台車制御部30によって制御される。
サクションパイプ53は、軸53aを中心に上下方向に回動可能に構成されている。サクションパイプ53は、図5に示すように、上方に回動することによって、サクションパイプ53の先端が紡績装置22の下流側近傍に位置し、紡績装置22から紡出される上糸Yを吸い込んで吸引保持することができる。さらに、サクションパイプ53は、図6に示すように、紡績装置22から紡出される上糸Yを吸引保持した状態で下方に回動することで、上糸Yを糸継装置52に案内することができる。サクションパイプ53の動作は、台車制御部30によって制御される。
サクションマウス54は、軸54aを中心に上下方向に回動可能に構成されている。サクションマウス54は、図5に示すように、下方に回動することによって、サクションマウス54の先端がパッケージPの外周面近傍に位置し、パッケージPから引き出される下糸Yを吸い込んで吸引保持することができる。さらに、サクションマウス54は、図6に示すように、パッケージPから引き出される下糸Yを吸引保持した状態で上方に回動することで、下糸Yを糸継装置52に案内することができる。サクションマウス54の動作は、台車制御部30によって制御される。
制動部材55は、パッケージPに対して接触又は離間可能に構成されており、パッケージPに接触することでパッケージPの回転を停止させることができる。制動部材55は、軸55aを中心に回動可能であり、先端部にはパッケージPの外周面に接触可能なプレート55bが取り付けられている。図4に示すように、制動部材55が回動し、プレート55bがパッケージPの外周面に接触することにより、パッケージPの回転を停止させることができる。制動部材55の動作は、台車制御部30によって制御される。
逆回転ローラ56は、パッケージPに対して接触又は離間可能に構成されており、巻取ドラム42と逆方向に回転駆動される。図5に示すように、逆回転ローラ56をパッケージPに接触させることで、パッケージPを巻取方向の逆方向の解舒方向に回転させ、糸Yを解舒することができる。解舒方向に回転しているパッケージPの外周面にサクションマウス54を近づけることで、図5に示すように、サクションマウス54でパッケージPに巻き付いている下糸Yの糸端を吸引して捕捉できる。逆回転ローラ56の動作は、台車制御部30によって制御される。
さらに、糸継台車3の下端部には、台車本体から下方に突出するパイプ状の接続管57が設けられている。図1に示すように、精紡機1には、配列方向に沿って延びる吸引ダクト11が設けられており、吸引ダクト11の一端部は、ブロアボックス4に収容された吸引装置12に接続されている。これによって、吸引ダクト11の内部には、吸引装置12へと向かうエアの流れが発生しており、これによって負圧が生じた状態となっている。図3〜図6に示すように、接続管57が、吸引ダクト11の上面に形成された開口11aを介して吸引ダクト11と接続されることで、サクションパイプ53及びサクションマウス54に負圧が供給される。なお、接続管57の下端は、摩耗をなくすため吸引ダクト11の上面からほんのわずかだけ浮いた状態が好ましいが、吸引ダクト11の上面に当接してもよい。
(糸継作業)
図8は、糸継台車3が作業位置Aにある状態を示す正面図である。糸継台車3は、台車本体に固定的に取り付けられた吸引管58、59を有する。糸継台車3の接続管57は、吸引管58を介してサクションパイプ53に接続されるとともに、吸引管59を介してサクションマウス54に接続されている。一方、吸引ダクト11の上面には、紡績ユニット2の配列ピッチpと同じピッチpで、配列方向に複数の開口11aが形成されている。
図8に示すように、糸継台車3の接続管57が何れかの開口11aを介して吸引ダクト11と接続されるときの糸継台車3の位置を、作業位置Aと称する。作業位置Aは各紡績ユニット2に対応して、紡績ユニット2の配列ピッチpと同じピッチpで配列方向に複数設定されている。糸継台車3が何れかの作業位置Aにあるときは、接続管57が開口11aを介して吸引ダクト11に接続され、対応する紡績ユニット2に対して糸継作業が可能な状態となる。なお、以下、各図面では、配列方向における糸継台車3の中心位置によって糸継台車3の位置を示すものとする(例えば、図8では、糸継台車3は中央の紡績ユニット2に対応する作業位置Aに位置している)。
糸継台車3が糸継作業を行う場合は、糸継台車3は糸継作業の対象となる紡績ユニット2に対応する作業位置Aに移動して停止する。すると、糸継装置52は糸継作業の対象となる紡績ユニット2における糸道と正面から見て重なり、また、接続管57は対応する開口11aと接続される。接続管57が開口11aを介して吸引ダクト11と接続されることで、図8に矢印で示すように、サクションパイプ53及びサクションマウス54から、吸引管58、59、接続管57、及び、吸引ダクト11を経由して吸引装置12に至るエアの流れが形成される。これによって、サクションマウス54の先端に負圧(吸引力)を発生させることができ、サクションマウス54による下糸Yの吸引捕捉が可能となる。
なお、本実施形態では、サクションパイプ53に対しては、別系統から圧縮空気を供給することで、サクションパイプ53に吸引力を生じさせる構成を採用している。つまり、吸引管58を介してサクションパイプ53に供給される負圧は補助的なものにすぎず、吸引ダクト11内の負圧が低下しても(吸引力が低下しても)、サクションパイプ53の作業に支障をきたすことはない。
糸継作業を行う際、台車制御部30は、まず、図4に示すように、クレードル41を回動させることによりパッケージPを巻取ドラム42から離間させてから、制動部材55を回動させることによりプレート55bをパッケージPの外周面に接触させ、パッケージPの回転を停止させる。続いて、図5に示すように、逆回転ローラ56をパッケージPに接触させて、パッケージPを解舒方向に回転させる。そして、解舒方向に回転しているパッケージPの外周面にサクションマウス54を近づけることで、サクションマウス54でパッケージPに巻き付いている下糸Yの糸端を吸引捕捉する。また、サクションパイプ53を上方に回動させることによって、サクションパイプ53で紡績装置22から紡出される上糸Yを吸引捕捉する。その後、サクションマウス54を上方に回動させるとともに、サクションパイプ53を下方に回動させることで、図6に示すように、糸継装置52に下糸Y及び上糸Yを案内することができる。最後に、糸継装置52を作動させて糸継ぎを行う。
(シャッター弁)
吸引ダクト11の上面には、各開口11aを開閉するための複数のシャッター弁13が設けられている。図9は、シャッター弁13の上面図である。本実施形態のシャッター弁13は、複数の円弧形状を組み合わせた輪郭を有する十字状の肉薄部材である。シャッター弁13は、中央部13aと、中央部13aから径方向外側に突出する4つの弁部13bとによって構成される。4つの弁部13bは、周方向に90度の等間隔で配置されており、何れかの弁部13bが開口11aを覆うことで、開口11aを閉じることができる。周方向に隣接する2つの弁部13bの間には、凹部である開放部13cが形成されており、開放部13cが開口11aと重なることで、開口11aが開放された状態となる。中央部13aは、支軸14を介して吸引ダクト11の上面に取り付けられており、これによって、シャッター弁13は、支軸14を中心に回転可能となっている。
図9(a)に示すように、弁部13bが開口11aを覆っているときは、吸引ダクト11内の負圧によって弁部13bが吸引ダクト11の上面に密着するので、開口11aがシャッター弁13によって閉じられた状態となる。一方、糸継台車3を作業位置Aに移動させる(接続管57を開口11aと同位置に移動させる)際には、その過程で、図9(b)に示すように、接続管57の下端部が弁部13bの縁に当接し、シャッター弁13を回転させながら開放部13cに入り込む。そして、糸継台車3が作業位置Aに到達すると、図9(c)に示すように、接続管57が開放部13c内に位置した状態で開口11aと重なり、接続管57が開口11aを介して吸引ダクト11に接続される。
さらに、糸継台車3を作業位置Aから離れる際には、その過程で、接続管57の下端部が弁部13bの縁に当接し、シャッター弁13を回転させる。その結果、再び、図9(a)に示すように、開口11aがシャッター弁13によって閉じられた状態となる。つまり、本実施形態のシャッター弁13は、糸継台車3が作業位置Aに移動するときに、接続管57によって開口11aを開放する位置に切り換えられ、糸継台車3が作業位置Aから離れるときに、接続管57によって開口11aを閉じる位置に切り換えられるよう構成されている。
(糸継台車による負圧の検出)
ここで、糸継作業によって生じた屑糸が吸引ダクト11の内部で詰まって屑糸詰まりが発生すると、屑糸詰まりの発生箇所よりも吸引装置12から遠い側(吸引流の上流側)の領域では、吸引流速が遅くなり、負圧が低下する。したがって、このような領域に含まれる作業位置Aにおいて、糸継台車3の接続管57が開口11aに接続されても、サクションマウス54に十分な負圧を供給することができず、糸継作業の際に、下糸Yの捕捉ミスが発生する可能性が大きくなるという問題があった。
また、糸継台車3による糸継作業が一定時間行われていない場合には、省エネのため、吸引装置12の出力を下げる、あるいは、吸引装置12を停止させる待機状態とすることがある。吸引ダクト11内の負圧の値は、吸引装置12から遠くなるほど圧損により小さくなるため、上記待機状態からの復帰時(あるいは吸引装置12の起動時)には、吸引装置12から遠い箇所においても負圧が規定値以上となるまで、糸継台車3を十分に長い時間待機させておく必要があった。そうすると、比較的早く負圧が規定値以上となる、吸引装置12に近い箇所で糸継作業を行う場合にも、吸引装置12から遠い箇所の負圧が上昇するまで糸継台車3を無駄に待機させることになり、作業効率の低下を招来していた。
こういった問題を解決するため、本実施形態の糸継台車3には、吸引ダクト11から供給される負圧を検出するための負圧センサからなる検出手段60が設けられている。この検出手段60は、図8に示すように、台車本体に固定された吸引管59に取り付けられている。したがって、糸継台車3が作業位置Aに移動し、サクションマウス54が吸引管59及び接続管57を介して吸引ダクト11に接続された際には、検出手段60によってサクションマウス54に供給される負圧を検出することができる。
なお、本明細書では、吸引力が小さいことを負圧が小さいと言い、吸引力が大きいことを負圧が大きいと言う。
(検出負圧に基づいた糸継台車の動作制御)
図10は、糸継要求信号を受けた糸継台車3の動作を示すフローチャートである。ある紡績ユニット2からの糸継要求信号を受け取った糸継台車3は、その紡績ユニット2に対して糸継作業を行うための作業位置Aへ移動する(ステップS11)。作業位置Aにて接続管57が開口11aと接続され、検出手段60によって吸引ダクト11からサクションマウス54に供給される負圧を検出することができるようになると、台車制御部30は、検出された負圧が規定値以上かどうかを判断する(ステップS12)。負圧が規定値以上であれば(ステップS12でYES)、糸継作業を開始する(ステップS13)。一方、負圧が規定値未満であれば(ステップS12でNO)、糸継作業を実行せず、ステップS17へと移行する。ステップS17以降については、後で説明する。
糸継作業を開始してからも、台車制御部30は、例えば所定時間ごとに、検出手段60で検出された負圧が規定値以上かどうかを判断する(ステップS14)。糸継作業を行っている間に、負圧が規定値未満となった場合には(ステップS14でNO)、糸継作業を中止し(ステップS16)、ステップS17へと進む。一方、負圧が規定値以上を維持している場合には(ステップS14でYES)、台車制御部30は、糸継作業が終了しているか否かを判断する(ステップS15)。糸継作業が終了していれば(ステップS15でYES)、糸継台車3は、次に糸継要求信号を受けるまで待機する。糸継作業が終了していなければ(ステップS15でNO)、糸継作業が終了するまで、ステップS14、S15が繰り返される。
ステップS12、S14において、検出手段60で検出された負圧が規定値未満であった場合には、負圧が規定値未満であることを示すアラームが表示部8に表示される(ステップS17)。オペレータは、このアラームによって、吸引ダクト11のどこかで屑糸詰まりが生じていることを知ることができる。続いて、糸継台車3は、配列方向において吸引ダクト11の負圧が所定量以上変化する負圧急変箇所(屑糸詰まりの箇所)を探索する探索モードを実行する(ステップS18)。探索モードを終えると、台車制御部30は、オペレータから入力部9を介して糸継作業の再開指令が発せられるのを待ち(ステップS19)、再開指令を受けたら糸継作業を行うべくステップS11へと戻る。なお、再開指令を待たずに、探索モードの終了後、一定時間が経過したらステップS11に戻るようにしてもよい。
図11は、探索モードを示すフローチャートであり、図12は、探索モードでの糸継台車3の動作を示す模式図である。探索モードでは、糸継台車3は、配列方向に移動しながら各作業位置Aで負圧を確認することによって、負圧急変箇所K、すなわち、屑糸詰まり箇所Kを探索する。
探索モードでは、まず、糸継台車3は、図12(a)に示す現在の作業位置A(負圧が規定値未満であることを検出した位置)から、図12(b)に示すように、吸引装置12側に隣接する作業位置Aへと移動して停止する(ステップS21)。吸引装置12側へ移動するのは、負圧の低下を引き起こしている屑糸詰まりは、規定値未満の負圧が検出された箇所よりも吸引装置12側に存在するはずだからである。台車制御部30は、1つ前の作業位置Aでの負圧をP1、現在の作業位置Aでの負圧をP2として記憶し(ステップS22)、P1とP2の差が所定量P0以上であるか否かを判断する(ステップS23)。この所定量P0は、屑糸詰まり箇所Kの両側で発生すると考えられる負圧差である。
P1とP2の差が所定量P0未満である場合には(ステップS23でNO)、現在の作業位置Aと1つ前の作業位置Aとの間に屑糸詰まりはないと考えられるので、現在の作業位置Aからさらに吸引装置12側に隣接する作業位置Aへ移動して、ステップS21〜S23を繰り返す。こうしてステップS21〜S23を繰り返していると、図12(c)に示すように、屑糸詰まり箇所Kの吸引装置12側に隣接する作業位置Aに糸継台車3がきたときに、P1とP2の差が所定量P0以上となり(ステップS23でYES)、現在の作業位置Aと1つ前の作業位置Aとの間に負圧急変箇所K(屑糸詰まり箇所K)があることが分かる。負圧急変箇所K(屑糸詰まり箇所K)が検出されると、台車制御部30から機台制御装置7に負圧急変箇所Kに関する情報が送られ、機台制御装置7は、表示部8に負圧急変箇所Kを表示する(ステップS24)。これによって、オペレータは屑糸詰まり箇所Kを特定することができ、屑糸詰まりを容易に除去することができる。
(効果)
本実施形態では、糸継台車3(作業台車)に吸引ダクト11から供給される負圧を検出する検出手段60が設けられているので、負圧が不足した状態でサクションマウス54(作業部材)による作業を行ってしまうことを防止でき、サクションマウス54による下糸Yの捕捉ミス(作業ミス)を減らすことができる。また、吸引装置12の待機状態からの復帰時や起動時に、吸引ダクト11全体において負圧が上昇するのを待たなくとも、糸継台車3が作業を行う作業位置Aで検出された負圧が規定値以上となっていれば、すぐに糸継作業(作業)を行うことができる。したがって、糸継台車3の作業効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、検出手段60で検出された負圧に基づいて、糸継台車3の動作を制御する台車制御部30(制御部)が設けられているので、検出手段60で検出された負圧に応じて、糸継台車3に適切な動作を実行させることができる。
また、本実施形態では、台車制御部30は、作業位置Aに移動した糸継台車3の検出手段60で検出された負圧が規定値以上のとき、糸継台車3に紡績ユニット2(糸処理ユニット)に対する糸継作業を実行させるように構成されている。かかる構成によれば、糸継台車3は、規定値以上の負圧が供給された状態でサクションマウス54による作業を行うことになるので、下糸Yの捕捉ミスを確実に減らすことができる。
また、本実施形態では、糸継台車3が紡績ユニット2に対する糸継作業を行っている間に、検出手段60で検出される負圧が規定値未満となったとき、台車制御部30は、糸継台車3に糸継作業を中止させる。このように、糸継台車3が糸継作業中であっても、負圧が規定値未満となったときは糸継作業を中止させることで、下糸Yの捕捉ミスの発生を回避することができる。
また、本実施形態では、台車制御部30は、検出手段60で検出された負圧が閾値(本実施形態では上記規定値と同じとしている)未満のとき、糸継台車3に、配列方向において吸引ダクト11の負圧が所定量以上変化する負圧急変箇所Kを探索する探索モードを実行させる。負圧急変箇所Kでは屑糸詰まりが生じていると考えられるので、探索モードを実行することで、屑糸詰まり箇所Kを特定することができる。
また、本実施形態では、吸引ダクト11には、配列方向に複数の開口11aが形成されており、糸継台車3のサクションマウス54は、開口11aを介して吸引ダクト11に接続可能であり、糸継台車3は、探索モードにおいて、サクションマウス54が開口11aを介して吸引ダクト11に接続されたときの負圧を検出しながら配列方向に移動することで、負圧急変箇所Kを探索するようにしている。こうすれば、開口11aが形成された箇所ごとに吸引ダクト11内の負圧を検出することができるので、負圧急変箇所Kをより詳細に特定しやすくなる。
また、本実施形態では、複数の開口11aを開閉する複数のシャッター弁13が設けられており、糸継台車3は、シャッター弁13に当接可能な接続管57(当接部)を有しており、シャッター弁13は、糸継台車3の移動時に接続管57が当接することによって、開口11aを開放する状態と閉じる状態とに切り換えられるように構成されている。かかる構成であれば、シャッター弁13を電気的に作動させるためのアクチュエータ等を設ける必要がなく、糸継台車3を移動させるだけで開口11aを開放させて吸引ダクト11内の負圧を検出することができる。
また、本実施形態では、探索モードにおいて、糸継台車3は、開口11aごと(作業位置Aごと)に停止しながら負圧の検出を行う。このように、探索モードにおいて糸継台車3を開口11aごとに停止させることによって、吸引ダクト11内の負圧を確実に検出することができる。
また、本実施形態では、検出手段60で検出された負圧が閾値(本実施形態では上記規定値と同じとしている)未満であることを報知する表示部8(報知手段)が設けられている。このような表示部8を設けることで、オペレータが屑糸詰まりが生じていることを知ることができ、屑糸詰まりを除去するための準備等を迅速に行うことができる。
また、本実施形態では、表示部8は、探索モードによって検出された負圧急変箇所Kを報知する。こうすれば、オペレータは、負圧急変箇所K、すなわち、屑糸詰まり箇所Kを容易に把握することができ、迅速に屑糸詰まりを除去することができる。
また、本実施形態では、紡績ユニット2は、繊維束Tを延伸するドラフト装置21(ドラフト部)と、ドラフト装置21で延伸された繊維束Tから糸Yを生成する紡績装置22(紡績部)と、をさらに備え、巻取装置24(巻取部)は、紡績装置22によって生成された糸Yを巻き取ってパッケージPを形成する。この場合、紡績装置22と巻取装置24との間で糸Yが分断された場合に、サクションマウス54を用いて糸継ぎすることができる。
また、本実施形態では、紡績装置22は、紡績室73と、紡績室73に旋回空気流を生成可能な第1ノズル74(紡績ノズル)と、先端部が紡績室73に位置する第1中空部材81(中空ガイド軸体)と、を備える。このような紡績装置22によれば、紡績室73において繊維束Tに旋回空気流を作用させることで、繊維束Tに撚りを加えて糸Yを生成することができる。
また、本実施形態では、サクションマウス54は、糸継台車3に固定的に取り付けられた吸引管59に接続されるとともに、吸引管59に対して回動可能であり、検出手段60は、吸引管59に配置されているとよい。検出手段60を固定された吸引管59に配置することで、検出手段60の配線がサクションマウス54の回動時に一緒に引き回されることがないので、検出手段60の配設が容易となる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上記実施形態に限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、1台の糸継台車3が各紡績ユニット2に対して糸継作業を行うものとしたが、複数の糸継台車3によって糸継作業を行うようにしてもよい。以下では、一例として、4台の糸継台車3(3A、3B、3C、3D)によって各紡績ユニット2に対して糸継作業を行う場合に、探索モードをどの糸継台車3に実行させるかについて説明する。なお、どの糸継台車3に糸継作業や探索モードを実行させるかは、各糸継台車3の位置や作業状態に応じて、機台制御装置7が決定するものとする。つまり、この場合には、機台制御装置7が、本発明における制御部として機能する。ただし、どの糸継台車3に探索モードを実行させるかをオペレータが決定することも可能である。
図13は、どの糸継台車3に探索モードを実行させるかを示す模式図である。図13の各図においてブロック矢印が付されている糸継台車3が探索モードを実行する台車であり、矢印の方向は、探索モードを実行する際にその糸継台車3が移動する方向を示す。
例えば、図13(a)に示すように、糸継台車3A、3B、3C、3Dが各作業位置Aにあるとき、屑糸詰まり箇所Kよりも吸引装置12から遠い側にある糸継台車3A、3Bで負圧が規定値未満であることが検出される。この場合、糸継台車3A、3Bはいずれにせよ糸継作業を行うことができないので、糸継台車3A、3Bに探索モードを実行させることで、作業効率の低下を抑えることができる。なお、規定値以上の負圧が供給される作業位置Aにある糸継台車3C、3Dでは、糸継作業を行うことができる。
糸継台車3A、3Bで同時に探索モードを実行した場合、吸引装置12により近い(屑糸詰まり箇所Kにより近い)糸継台車3Bのほうが、先に負圧急変箇所Kを見つけることができる。したがって、図13(a)に示すように、負圧が規定値未満であることを検出した糸継台車3A、3Bのうち、最も吸引装置12に近い位置にある糸継台車3Bのみに探索モードを実行させれば、糸継台車3Aに探索モードを実行させなくとも、迅速に負圧急変箇所Kを見つけることができる。このとき、糸継台車3Bは吸引装置12に近づく方向に移動しながら、負圧急変箇所Kを探索する。
あるいは、糸継台車3A、3Bで負圧が規定値未満であることを検出したときに、負圧が規定値以上であることを検出している糸継台車3C、3Dに探索モードを実行させてもよい。糸継台車3C、3Dで同時に探索モードを実行した場合、吸引装置12からより遠い(屑糸詰まり箇所Kにより近い)糸継台車3Cのほうが、先に負圧急変箇所Kを見つけることができる。したがって、図13(b)に示すように、負圧が規定値以上であることを検出した糸継台車3C、3Dのうち、最も吸引装置12から遠い位置にある糸継台車3Cのみに探索モードを実行させれば、糸継台車3Dに探索モードを実行させなくとも、迅速に負圧急変箇所Kを見つけることができる。このとき、糸継台車3Cは吸引装置12から遠ざかる方向に移動しながら、負圧急変箇所Kを探索する。
さらに、2台以上の糸継台車3に探索モードを実行させてもよい。この場合、図13(c)に示すように、負圧が規定値未満であることを検出した糸継台車3A、3Bのうち、最も吸引装置12に近い位置にある糸継台車3Bと、負圧が規定値以上であることを検出した糸継台車3C、3Dのうち、最も吸引装置12から遠い位置にある糸継台車3Cとに、探索モードを実行させることが好ましい。こうすれば、糸継台車3B、3Cのうち、屑糸詰まり箇所Kにより近いほうの糸継台車(この場合は糸継台車3C)で、より迅速に負圧急変箇所Kを見つけることができる。
また、上記実施形態では、探索モードにおいて糸継台車3が作業位置Aごとに停止して負圧の検出を行うものとした。しかしながら、糸継台車3が作業位置Aごとに停止することは必須ではなく、例えば、糸継台車3が所定数おきの作業位置Aごとに停止するようにしてもよい。
また、探索モードにおいて糸継台車3が作業位置Aで停止することは必須ではない。例えば、糸継台車3は、探索モードにおいて、糸継台車3で停止することなく負圧を検出可能な速度で移動し続けてもよい。この場合、糸継台車3が作業位置Aで停止する場合と比べると、迅速に負圧急変箇所Kを見つけることができる。ただし、移動速度が速すぎると、接続管57と開口11aとが接続されている時間が短くなり、負圧の検出が難しくなるので、探索モードでの糸継台車3の移動速度は、紡績ユニット2からの糸継要求信号を受けた場合に作業位置Aに移動する際の速度よりも低速であることが好ましい。
なお、上述のシャッター弁13は、吸引ダクト11内の負圧によって、弁部13bが吸引ダクト11の上面に密着することで、開口11aを閉じた状態となる。したがって、糸継台車3の移動速度が速いとシャッター弁13の動作速度も速くなり、吸引ダクト11内の負圧が小さいときには、負圧によって弁部13bを閉位置に止めることが難しくなる。したがって、負圧が閾値未満であった場合には、糸継台車3の移動速度を遅くすることで、シャッター弁13が開きっぱなしとなることを回避することもできる。
また、上記実施形態では、糸継台車3に設けた検出手段60で検出された負圧の値を利用して、糸継作業を実行するか否かの判断を行ったり、探索モードを実行したりすることについて説明した。しかしながら、検出手段60で検出された値の利用方法はこれに限定されない。例えば、糸継作業においてサクションマウス54でパッケージPの糸端を吸引する際には、サクションマウス54に供給される負圧と、サクションマウス54の吸引口とパッケージPの外周面との間隔とによって、実質的な吸引力が変わる。したがって、検出手段60で検出された負圧の値に基づいて、この間隔を調整することで、実質的な吸引力を一定に維持して、糸端の捕捉成功率を向上させることもできる。
具体例について説明する。図14は、制動部材55によってサクションマウス54とパッケージPとの間隔Dを調整する様子を示す側面図である。サクションマウス54がパッケージPの糸端を吸引する吸引力が弱すぎると、糸端を吸引することができず、糸端の捕捉ミスが生じやすい。一方、サクションマウス54がパッケージPの糸端を吸引する吸引力が強すぎると、複数箇所で糸Yを吸引してしまう二重口出しが生じるおそれがある。
そこで、検出手段60で検出された負圧(吸引力)が小さい場合には、図14(a)に示すように、制動部材55のプレート55bをパッケージPに押し当てる量を小さくすることで、サクションマウス54の吸引口54bとパッケージPの外周面との間隔Dを狭くするとよい。これによって、実質的な吸引力を強くすることができる。一方、検出手段60で検出された負圧(吸引力)が大きい場合には、図14(b)に示すように、制動部材55のプレート55bをパッケージPに押し当てる量を大きくすることで、サクションマウス54の吸引口54bとパッケージPの外周面との間隔Dを広くするとよい。これによって、実質的な吸引力を弱くすることができる。このように、検出された負圧の値に基づいて、制動部材55の位置を調整し、パッケージPから糸端を吸引するときの間隔Dを変更することで、サクションマウス54の糸端に対する実質的な吸引力を一定に維持することができ、糸端の捕捉成功率を向上させることができる。
なお、制動部材55でサクションマウス54の吸引口54bとパッケージPの外周面との間隔Dを調整する代わりに、クレードル41の回動角度によって間隔Dを調整するようにしてもよい。この場合、クレードル41は、ステッピングモータ等からなる駆動部によって複数段階又は連続的に回動角度を調整できるように構成されており、ユニット制御部20が駆動部を介してクレードル41の位置を制御することが好ましい。
また、上記実施形態では、糸継作業の可否の判断基準となる本発明における「規定値」と、探索モードを実行させるか否かの判断基準となる本発明における「閾値」とを、同じ数値に設定するものとした。しかしながら、規定値と閾値とを異なる値に設定し、段階的な制御を行ってもよい。
また、上記実施形態では、検出手段60を台車本体に固定的に取り付けられた吸引管59に取り付けるものとした。しかしながら、検出手段60を取り付ける箇所はこれに限定されない。例えば、接続管57に検出手段60を取り付けてもよい。あるいは、配線をうまく処理できるなら、可動部であるサクションマウス54に検出手段60を設けてもよい。
また、上記実施形態では、負圧が閾値未満となったときのアラームや探索モードで検出した負圧急変箇所Kを、報知手段としての表示部8に表示するものとした。しかしながら、報知手段は表示部8に限定されない。例えば、報知手段としてスピーカーを設け、表示部8への表示に代えて又は加えて、スピーカーによって音声でオペレータに報知する構成であってもよい。
また、上記実施形態では、検出手段60で検出された負圧に基づいて糸継作業を行うか否かの判断や探索モードにおける糸継台車3の動作制御は、台車制御部30が行うものとした。また、複数の糸継台車3が設けられている場合に、どの糸継台車3に糸継作業や探索モードを実行させるかは、機台制御装置7が決めるものとした。しかしながら、機台制御装置7と台車制御部30の役割分担はこれに限定されず、適宜変更が可能である。
また、上記実施形態では、ユニット制御部20が各紡績ユニット2に設けられているものとしたが、各紡績ユニット2にユニット制御部20を設けることは必須ではない。例えば、2以上の所定数の紡績ユニット2ごとにユニット制御部20を設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、精紡機1の糸継台車3に、吸引ダクト11から供給される負圧を検出する検出手段60を設ける場合について説明したが、本発明を適用可能な装置は精紡機1に限定されない。例えば、自動ワインダーの玉揚台車のサクションマウス等が、上記実施形態と同様に吸引ダクトに接続される場合には、この玉揚台車に同様の検出手段を設けてもよい。
1:精紡機(糸処理機)
2:紡績ユニット(糸処理ユニット)
3:糸継台車(作業台車)
7:機台制御装置(制御部)
8:表示部(報知手段)
11:吸引ダクト
12:吸引装置
13:シャッター弁
20:ユニット制御部
21:ドラフト装置(ドラフト部)
22:紡績装置(紡績部)
24:巻取装置(巻取部)
30:台車制御部(制御部)
41:クレードル
52:糸継装置
54:サクションマウス(作業部材)
54b:吸引口
55:制動部材
57:接続管(当接部)
59:吸引管
60:検出手段
73:紡績室
74:第1ノズル(紡績ノズル)
81:第1中空部材(中空ガイド軸体)
A:作業位置
K:負圧急変箇所
P:パッケージ
T:繊維束
Y:糸

Claims (20)

  1. 配列方向に並べられた複数の糸処理ユニットと、
    前記配列方向に移動可能であり、前記糸処理ユニットに対して作業を実行可能な作業台車と、
    前記配列方向に沿って配置された吸引ダクトと、
    前記吸引ダクトに接続される吸引装置と、
    を備える糸処理機であって、
    前記作業台車は、
    前記作業台車が前記糸処理ユニットに対して作業を行う作業位置にあるときに前記吸引ダクトに接続され、前記吸引ダクト内の負圧を利用して作業を行う作業部材と、
    前記吸引ダクトから供給される負圧を検出する検出手段と、
    を備えることを特徴とする糸処理機。
  2. 前記検出手段で検出された負圧に基づいて、前記作業台車の動作を制御する制御部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の糸処理機。
  3. 前記制御部は、前記作業位置に移動した前記作業台車の前記検出手段で検出された負圧が規定値以上のとき、前記作業台車に前記糸処理ユニットに対する作業を実行させることを特徴とする請求項2に記載の糸処理機。
  4. 前記作業台車が前記糸処理ユニットに対する作業を行っている間に、前記検出手段で検出される負圧が前記規定値未満となったとき、前記制御部は、前記作業台車に作業を中止させることを特徴とする請求項3に記載の糸処理機。
  5. 前記制御部は、前記検出手段で検出された負圧が閾値未満のとき、前記作業台車に、前記配列方向において前記吸引ダクトの負圧が所定量以上変化する負圧急変箇所を探索する探索モードを実行させることを特徴とする請求項2ないし4の何れか1項に記載の糸処理機。
  6. 前記吸引ダクトには、前記配列方向に複数の開口が形成されており、
    前記作業台車の前記作業部材は、前記開口を介して前記吸引ダクトに接続可能であり、
    前記作業台車は、前記探索モードにおいて、前記作業部材が前記開口を介して前記吸引ダクトに接続されたときの負圧を検出しながら前記配列方向に移動することで、前記負圧急変箇所を探索することを特徴とする請求項5に記載の糸処理機。
  7. 前記複数の開口を開閉する複数のシャッター弁が設けられており、
    前記作業台車は、前記シャッター弁に当接可能な当接部を有しており、
    前記シャッター弁は、前記作業台車の移動時に前記当接部が当接することによって、前記開口を開放する状態と閉じる状態とに切り換えられることを特徴とする請求項6に記載の糸処理機。
  8. 前記探索モードにおいて、前記作業台車は、前記糸処理ユニットから作業要求があった場合に前記作業位置に移動する際の速度よりも低速で移動しながら負圧の検出を行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の糸処理機。
  9. 前記探索モードにおいて、前記作業台車は、前記開口ごとに停止しながら負圧の検出を行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の糸処理機。
  10. 前記作業台車が複数設けられている場合、前記制御部は、前記複数の作業台車のうち負圧が前記閾値未満であることを検出した作業台車に前記探索モードを実行させることを特徴とする請求項5ないし9の何れか1項に記載の糸処理機。
  11. 前記複数の作業台車のうち2台以上の作業台車で負圧が前記閾値未満であることが検出された場合、前記制御部は、前記2台以上の作業台車のうち前記吸引装置に最も近い位置にある作業台車に前記探索モードを実行させることを特徴とする請求項10に記載の糸処理機。
  12. 前記作業台車が複数設けられている場合、前記制御部は、2台以上の前記作業台車に前記探索モードを実行させることを特徴とする請求項5ないし11の何れか1項に記載の糸処理機。
  13. 前記検出手段で検出された負圧が前記閾値未満であることを報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項5ないし12の何れか1項に記載の糸処理機。
  14. 前記報知手段は、前記探索モードによって検出された前記負圧急変箇所を報知することを特徴とする請求項13に記載の糸処理機。
  15. 前記糸処理ユニットは、糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取部を備え、
    前記作業部材は、前記パッケージから糸端を吸引して捕捉するサクションマウスであり、
    前記作業台車は、前記サクションマウスを用いて糸継作業を実行することを特徴とする請求項2ないし14の何れか1項に記載の糸処理機。
  16. 前記糸処理ユニットは、
    繊維束を延伸するドラフト部と、
    前記ドラフト部で延伸された繊維束から糸を生成する紡績部と、
    をさらに備え、
    前記巻取部は、前記紡績部によって生成された糸を巻き取って前記パッケージを形成することを特徴とする請求項15に記載の糸処理機。
  17. 前記紡績部は、
    紡績室と、
    前記紡績室に旋回空気流を生成可能な紡績ノズルと、
    先端部が前記紡績室に位置する中空ガイド軸体と、
    を備えることを特徴とする請求項16に記載の糸処理機。
  18. 前記作業台車は、前記パッケージに対して接触又は離間可能であり、前記パッケージに接触することで前記パッケージの回転を停止させる制動部材をさらに備え、
    前記制御部は、前記検出手段で検出された負圧の値に基づいて前記制動部材の位置を調整することで、前記パッケージから糸端を吸引するときの前記サクションマウスの吸引口と前記パッケージの外周面との間隔を変更可能であることを特徴とする請求項15ないし17の何れか1項に記載の糸処理機。
  19. 前記糸処理ユニットは、
    前記パッケージを回転可能に支持した状態で回動可能なクレードルと、
    前記クレードルの位置を制御するユニット制御部と、
    をさらに備え、
    前記ユニット制御部は、前記検出手段で検出された負圧の値に基づいて前記クレードルの位置を調整することで、前記パッケージから糸端を吸引するときの前記サクションマウスの吸引口と前記パッケージの外周面との間隔を変更可能であることを特徴とする請求項15ないし18の何れか1項に記載の糸処理機。
  20. 前記サクションマウスは、前記作業台車に固定的に取り付けられた吸引管に接続されるとともに、前記吸引管に対して回動可能であり、
    前記検出手段は、前記吸引管に配置されていることを特徴とする請求項15ないし19の何れか1項に記載の糸処理機。
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