JP2017020124A - 紡機の繊維束供給停止装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維束を切断し易くすることができる紡機の繊維束供給停止装置を提供すること。
【解決手段】停止部材31は、バックトップローラ14bと楔部33とで粗糸S1が挟み込まれる位置よりも粗糸S1の流れ方向の上流で、粗糸S1を解撚する櫛歯32を有する。これによれば、ドラフト装置10の駆動に伴い粗糸S1が櫛歯32を通過していく際に、粗糸S1は、櫛歯32によって梳かれて解撚される。これにより、粗糸S1を形成する繊維同士の絡合が弱まって粗糸S1の強度が低下するため、ドラフト装置10の駆動によって引っ張られる粗糸S1が切断され易くなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、ドラフト装置に供給される繊維束の供給を停止する紡機の繊維束供給停止装置に関する。
粗糸あるいはスライバから糸を紡出する精紡機においては、複数の錘で同時に紡出が行われ、紡出中に糸切れが発生しても、糸切れ錘以外の錘は紡出を継続する。糸切れが発生した錘のドラフト装置に対しても繊維束の供給を継続し、ドラフト装置から送出される繊維束を吸引して回収する精紡機もあるが、精紡機によっては、糸切れが発生した錘のドラフト装置への繊維束の供給を停止する停止装置を備えたものがある。このような停止装置の一種として、特許文献1の粗糸停止装置が開示されている。
特許文献1の粗糸停止装置は、ドラフト装置のバックボトムローラの半周以上に嵌合し、通常時は、バックボトムローラと一体的に回転しない停止爪を有している。そして、糸切れが発生したことが確認されると、停止爪が揺動(回転)し、停止爪の縁部が、粗糸とバックボトムローラとの間に割り込んで、ドラフト装置のバックトップローラとバックボトムローラとの間に喰い込む。これにより、バックボトムローラからバックトップローラへの回転の伝達が遮断される。そして、停止爪は、それ以上回転することが阻止され、粗糸は、停止爪とバックトップローラとの間で保持される。このとき、ドラフト装置の駆動は継続されており、粗糸は、バックトップローラよりも粗糸の流れ方向の下流で引っ張られることで切断される。その結果、糸切れが発生した錘のドラフト装置への粗糸の供給が停止される。
特開昭57−133224号公報
ところで、例えば、レーヨンのような破断強度が高い粗糸では、特許文献1の粗糸停止装置を用いた場合に、停止爪とバックトップローラとの間で粗糸が保持された状態で、バックトップローラよりも粗糸の流れ方向の下流で粗糸が引っ張られていたとしても、粗糸が切断されない場合がある。すると、例えば、ドラフト装置において、ミドルボトムローラに巻き掛けられているボトムエプロン、及びミドルトップローラに巻き掛けられているトップエプロンが、粗糸に対して滑って空回りしてしまい、ボトムエプロン及びトップエプロンが摩耗してしまうといった不具合が生じてしまうことがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、繊維束を切断し易くすることができる紡機の繊維束供給停止装置を提供することにある。
上記課題を解決する紡機の繊維束供給停止装置は、ドラフト装置のバックトップローラとバックボトムローラとの間に喰い込んで前記バックボトムローラから前記バックトップローラへの回転の伝達を遮断し、前記ドラフト装置に供給される繊維束を前記バックトップローラと共に挟み込む楔部を有する停止部材を備えた紡機の繊維束供給停止装置であって、前記停止部材は、前記バックトップローラと前記楔部とで前記繊維束が挟み込まれる位置よりも前記繊維束の流れ方向の上流で、前記繊維束を解撚する櫛歯を有する。
これによれば、ドラフト装置の駆動に伴い繊維束が櫛歯を通過していく際に、繊維束は、櫛歯によって梳かれて解撚される。これにより、繊維束を形成する繊維同士の絡合が弱まって繊維束の強度が低下するため、ドラフト装置の駆動によって引っ張られる繊維束を切断し易くすることができる。
上記紡機の繊維束供給停止装置において、前記櫛歯が前記バックトップローラに当接可能になっていてもよい。
これによれば、櫛歯がバックトップローラに当接することにより、停止部材におけるバックトップローラに対しての位置精度を向上させることができる。よって、楔部をバックトップローラとバックボトムローラとの間に精度良く喰い込ませることができる。
上記紡機の繊維束供給停止装置において、前記停止部材は、前記バックトップローラと当接する凸部を前記櫛歯とは別に有していてもよい。
これによれば、繊維束を櫛梳くために先の尖った形状を有する櫛歯がバックトップローラと当接することにより、バックトップローラの周面を損傷させる虞が無くなる。
この発明によれば、繊維束を切断し易くすることができる。
実施形態におけるドラフト装置を示す概略側面図。 ドラフト装置の一部を拡大して示す概略側面図。 (a)は停止部材の概略側面図、(b)は停止部材の平面図。 楔部がバックトップローラとバックボトムローラとの間に喰い込んでいる状態を示す概略側面図。 粗糸が解撚されている状態を模式的に示す平面図。 (a)は別の実施形態における停止部材の概略斜視図、(b)は楔部がバックトップローラとバックボトムローラとの間に喰い込んでいる状態を示す概略側面図。
以下、紡機の繊維束供給停止装置を具体化した一実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。繊維束供給停止装置は、ドラフト装置に供給される繊維束としての粗糸の供給を停止するものである。
図1に示すように、ドラフト装置10は3線式の構成であり、フロントローラ11と、ミドルローラ12に巻き掛けられたエプロン13と、バックローラ14とを備えている。フロントローラ11は、フロントボトムローラ11a及びフロントトップローラ11bで構成されている。ミドルローラ12は、ミドルボトムローラ12a及びミドルトップローラ12bで構成され、ミドルボトムローラ12aにボトムエプロン13aが、ミドルトップローラ12bにトップエプロン13bがそれぞれ巻き掛けられている。バックローラ14は、バックボトムローラ14a及びバックトップローラ14bで構成されている。
フロントボトムローラ11aは、ローラスタンド15に支持され、ミドルボトムローラ12a及びバックボトムローラ14aは、ローラスタンド15に対してミドルボトムローラ支持部16及びバックボトムローラ支持部17と図示しない軸受けとを介してそれぞれ支持されている。ミドルボトムローラ支持部16及びバックボトムローラ支持部17は、それぞれローラスタンド15に対して機台の前後方向(図1の左右方向)に位置調整可能に固定されている。
ウエイティングアーム18は、ローラスタンド15に支持された支軸19に対してブラケット20を介して回動可能に支持されている。フロントトップローラ11b、ミドルトップローラ12b及びバックトップローラ14bは、ウエイティングアーム18に、それぞれ図示しないトップローラ支持体を介して支持されている。
バックボトムローラ14aの後方には支持バー21がバックボトムローラ14aに沿って延設されている。支持バー21には、粗糸S1を案内するトランペット22が固定されている。粗糸S1は、図示しないクリールに吊下された粗糸巻からトランペット22を介してバックローラ14に供給される。
図2に示すように、ドラフト装置10には、繊維束供給停止装置30が設けられている。繊維束供給停止装置30は、バックボトムローラ14aの外周面の略半周に亘って係合された停止部材31を備えている。停止部材31は、円弧状に湾曲した三日月形状である。停止部材31は、バックボトムローラ14aと一体的に回転しない。
図3(a)及び(b)に示すように、停止部材31の外周面における湾曲方向の一端寄りには、粗糸S1の流れ方向に対して直交する方向に並んで配置されるとともに、粗糸S1の流れ方向にも並んで配置される複数の歯部32aにより構成される櫛歯32が突設されている。本実施形態では、櫛歯32は、粗糸S1の流れ方向に対して直交する方向に並んで配置された複数の歯部32aの列が、粗糸S1の流れ方向に4列並んでおり、粗糸S1の流れ方向において隣り合う歯列の間で歯部32aが相対的に半ピッチずれて配列されている。また、停止部材31における櫛歯32よりも湾曲方向の一端部は、バックトップローラ14bとバックボトムローラ14aとの間に喰い込む楔部33になっている。
図4に示すように、停止部材31は、二点鎖線で示す繊維束開放位置と、実線で示す繊維束挟持位置との間で揺動可能になっている。停止部材31には、ブラケット35を介して柱状の駆動力伝達部材36が連結されている。
図1に示すように、駆動力伝達部材36におけるブラケット35とは反対側には、切換装置37が連結されている。この切換装置37は、図示しない糸切れセンサの検知信号に基づいて図示しない制御装置によって制御されるようになっている。すなわち、切換装置37の構成は特に限定されるものではなく、糸切れセンサの検知信号に基づいて制御装置によって制御されることにより、停止部材31の位置を、駆動力伝達部材36及びブラケット35を介して繊維束開放位置と繊維束挟持位置とに切り換え可能である構成であればよい。
図4に示すように、本実施形態では、切換装置37が駆動されることに伴って、駆動力伝達部材36が往復直線運動する。そして、駆動力伝達部材36の往復直線運動に伴って、停止部材31がブラケット35を介して揺動するようになっている。櫛歯32はバックトップローラ14bに当接可能になっており、櫛歯32がバックトップローラ14bに当接すると、停止部材31がそれ以上揺動することが規制され、停止部材31が繊維束挟持位置に位置決めされる。
停止部材31が繊維束挟持位置に位置決めされた状態において、楔部33は、バックトップローラ14bとバックボトムローラ14aとの間に喰い込んで、バックトップローラ14bと共に粗糸S1を挟み込んでいる。さらに、バックトップローラ14bと楔部33とで粗糸S1が挟み込まれる位置よりも粗糸S1の流れ方向の上流では、櫛歯32が粗糸S1に刺し込まれるようになっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
非糸切れ状態においては、停止部材31は、繊維束開放位置に保持されている。なお、非糸切れ状態とは、粗糸S1がトランペット22を介してドラフト装置10に供給されて紡出されている状態の他に、紡出開始前で粗糸S1がまだドラフト装置10に供給されていない状態をも意味する。紡出開始前の状態では、糸切れセンサが糸を検出しない状態でも制御装置は糸切れと判断せず、切換装置37による停止部材31の繊維束挟持位置への駆動は行われない。
精紡機の運転が開始されると、クリールに吊下された粗糸巻から供給される粗糸S1がトランペット22にガイドされてバックローラ14に供給される。バックローラ14に供給された粗糸S1は、バックローラ14とエプロン13との間、及びエプロン13とフロントローラ11との間でドラフトされてフリースとなり、そのフリースが糸となって図示しないスネルワイヤ及びトラベラを経てボビンに巻き取られる。
糸切れが発生すると、糸切れセンサの検知信号により糸切れ錘が特定され、糸切れ錘と対応する切換装置37が制御装置によって駆動される。この切換装置37の駆動によって、停止部材31が繊維束開放位置から繊維束挟持位置に向かって揺動されて、楔部33がバックトップローラ14bとバックボトムローラ14aとの間に喰い込んでバックボトムローラ14aからバックトップローラ14bへの回転の伝達が遮断される。そして、楔部33が、バックトップローラ14bと共に粗糸S1を挟み込むとともに、櫛歯32がバックトップローラ14bに当接し、停止部材31がそれ以上揺動することが規制される。これにより、停止部材31が繊維束挟持位置に位置決めされる。そして、バックトップローラ14bと楔部33とで粗糸S1が挟み込まれる位置よりも粗糸S1の流れ方向の上流では、櫛歯32が粗糸S1に刺し込まれている。粗糸S1は、ドラフト装置10の駆動に伴って櫛歯32を通過していく際に、櫛歯32によって梳かれて解撚される。
図5に示すように、複数の歯部32aが、粗糸S1の流れ方向において隣り合う歯部32aの列の間で相対的に半ピッチずれて配列されているため、複数の歯部32aによって粗糸S1を形成する繊維S2が枝分かれし易くなっている。これにより、粗糸S1が効率良く解撚される。そして、繊維S2同士の絡合が弱まって粗糸S1の強度が低下し、粗糸S1の強度が大きい場合であっても、ドラフト装置10の駆動によって引っ張られる粗糸S1がバックローラ14とエプロン13との間で確実に切断される。ドラフト装置10の駆動が継続されていても、バックボトムローラ14aからバックトップローラ14bへの回転の伝達は楔部33によって遮断されているため、糸切れが発生した錘のドラフト装置10への粗糸S1の供給が停止される。
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)停止部材31は、バックトップローラ14bと楔部33とで粗糸S1が挟み込まれる位置よりも粗糸S1の流れ方向の上流で、粗糸S1を解撚する櫛歯32を有する。これによれば、ドラフト装置10の駆動に伴い粗糸S1が櫛歯32を通過していく際に、粗糸S1は、櫛歯32によって梳かれて解撚される。これにより、粗糸S1を形成する繊維S2同士の絡合が弱まって粗糸S1の強度が低下するため、ドラフト装置10の駆動によって引っ張られる粗糸S1を切断し易くすることができる。
(2)櫛歯32がバックトップローラ14bに当接可能になっている。これによれば、櫛歯32がバックトップローラ14bに当接することにより、停止部材31におけるバックトップローラ14bに対しての位置精度を向上させることができる。よって、楔部33をバックトップローラ14bとバックボトムローラ14aとの間に精度良く喰い込ませることができる。
(3)例えば、粗糸S1が、レーヨンのような破断強度が高い粗糸S1の場合であっても、粗糸S1は、櫛歯32によって梳かれて解撚されることで、粗糸S1を形成する繊維S2同士の絡合が弱まって粗糸S1の強度を低下させることができるため、破断強度が高い粗糸S1であっても切断することが可能となる。よって、粗糸S1が切断されないことで、ボトムエプロン13a及びトップエプロン13bが、粗糸S1に対して滑って空回りしてしまい、ボトムエプロン13a及びトップエプロン13bが摩耗してしまうといった不具合が生じてしまうことを防止することができる。
(4)複数の歯部32aは、粗糸S1の流れ方向において隣り合う歯列の間で相対的に半ピッチずれて配列されている。これによれば、ドラフト装置10の駆動に伴い粗糸S1が櫛歯32を通過していく際に、複数の歯列によって繊維S2が枝分かれし易くなるため、粗糸S1をさらに効率良く解撚することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、楔部33がバックトップローラ14bとバックボトムローラ14aとの間に喰い込んで、バックトップローラ14bと共に粗糸S1を挟み込むと、停止部材31がそれ以上揺動することが規制されるように、切換装置37の駆動が精度良く制御されることができれば、櫛歯32がバックトップローラ14bに当接しなくてもよい。また、図6(a)及び(b)に示すように、停止部材31において、粗糸S1の流れ方向に対して直交する方向に位置する両縁部に、バックトップローラ14bと当接する一対の凸部34を櫛歯32とは別に形成してもよい。凸部34は、停止部材31が繊維束開放位置から繊維束挟持位置に向かって揺動したときに、櫛歯32よりも先にバックトップローラ14bに当接するようになっている。これによれば、粗糸S1を櫛梳くために先の尖った形状を有する櫛歯32(歯部32a)がバックトップローラ14bに当接することにより、バックトップローラ14bの周面が損傷してしまうといった虞が無く、停止部材31の位置決めを行うことができる。
○ 実施形態において、複数の歯部32aは、粗糸S1の流れ方向において隣り合う歯列の間で相対的に半ピッチずれて配列されていなくてもよく、同じピッチで配列されていてもよい。
○ 実施形態において、複数の歯部32aが、粗糸S1の流れ方向に2列だけ並んでいてもよいし、3列だけ並んでいてもよい。また、複数の歯部32aが粗糸S1の流れ方向に5列以上並んでいてもよい。
○ 実施形態において、粗糸S1の流れ方向に対して直交する方向に並んで配置された複数の歯部32aが一列だけ配置されていてもよい。
○ 実施形態において、複数の歯部32aは、少なくとも、粗糸S1の流れ方向に対して交差する方向に並んで配置されていればよく、粗糸S1の流れ方向に対して直交していなくてもよい。
○ 実施形態において、繊維束は粗糸S1に限らず、スライバであってもよい。例えば、リング精紡機であっても、ドラフト装置として通常の3線式のドラフト装置よりもはるかに大きいドラフト比で繊維束をドラフトするドラフト装置を使用してスライバから糸を紡出するリング精紡機に繊維束供給停止装置30を使用してもよい。
○ 実施形態において、紡機はリング精紡機に限らず、例えば、結束紡績装置やフリクション紡績装置であってもよい。
○ 実施形態において、紡機は粗紡機であってもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記櫛歯の歯部が前記繊維束の流れ方向に複数並んで配置されており、前記複数の歯部は、前記繊維束の流れ方向において隣り合う歯列の間で相対的に半ピッチずれて配列されている。
S1…繊維束としての粗糸、10…ドラフト装置、14a…バックボトムローラ、14b…バックトップローラ、30…繊維束供給停止装置、31…停止部材、32…櫛歯、33…楔部、34…凸部。

Claims (3)

  1. ドラフト装置のバックトップローラとバックボトムローラとの間に喰い込んで前記バックボトムローラから前記バックトップローラへの回転の伝達を遮断し、前記ドラフト装置に供給される繊維束を前記バックトップローラと共に挟み込む楔部を有する停止部材を備えた紡機の繊維束供給停止装置であって、
    前記停止部材は、前記バックトップローラと前記楔部とで前記繊維束が挟み込まれる位置よりも前記繊維束の流れ方向の上流で、前記繊維束を解撚する櫛歯を有することを特徴とする紡機の繊維束供給停止装置。
  2. 前記櫛歯が前記バックトップローラに当接可能になっていることを特徴とする請求項1に記載の紡機の繊維束供給停止装置。
  3. 前記停止部材は、前記バックトップローラと当接する凸部を前記櫛歯とは別に有することを特徴とする請求項1に記載の紡機の繊維束供給停止装置。
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