JP2020203982A - 加硫ゴム、タイヤ及びゴムクローラ - Google Patents
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Abstract
Description
かかる問題を解決するために、特許文献1では、複数のラグを備えたラグ付き走行体においてトレッドの表面が低硬度の二層以上の弾性体よりなる泥付着防止層によって被覆することで、泥の付着を防止することを開示している。また、特許文献2では、ゴムクローラにおいて良好な泥付着防止効果を得るために、ゴムクローラ用ゴム組成物に脂肪酸アミドを2〜20質量部配合することが開示されている。
Z=100−A/0.35 (I)
<4> 前記親水性化合物は、融点が200〜400℃であるか、又は融点をもたない<3>に記載の加硫ゴムである。
<6> 前記撥水性化合物が、脂肪酸アミドである<2>〜<5>のいずれか1つに記載の加硫ゴムである。
<8> 前記ゴム組成物中の前記撥水性化合物の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、2〜20質量部である<2>〜<7>のいずれか1つに記載の加硫ゴムである。
<10> <1>〜<8>のいずれか1つに記載の加硫ゴムを用いたゴムクローラである。
本発明の加硫ゴムは、ゴム成分と、セルロース及びセルロース誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の親水性化合物とを含有するゴム組成物の加硫ゴムの断面を、ASTM D7723に準拠したディスパグレーダーで測定したとき、前記断面の単位面積中に占める非分散領域の割合A%から下記式(I)により求められるZ値が60以下である。
Z=100−A/0.35 (I)
本発明の加硫ゴムは、泥離れ性に優れるため、本発明の加硫ゴムを用いて得られるタイヤ及びゴムクローラは、泥離れ性に優れる。
一方、タイヤ等への泥の付着しにくさを、本発明では「泥はけ性」と称する。従って、「泥はけ性に優れる」とは、タイヤ等に泥が付着しにくく、泥が捌け易いこと、換言すれば、タイヤ等の表面に、泥がとどこおらずに流れ易いことを意味する。泥はけ性は、例えば、タイヤ等で泥上を走行し、タイヤ等に付着した泥の質量を測定することで評価することができる。
また、親水性化合物とゴム成分とは相溶しない関係にあるため、ゴム組成物中では、親水性化合物が偏在し、凝集塊になっていると考えられる。従って、加硫ゴム中においても、親水性化合物は、凝集していると考えられ、塊で加硫ゴム表面に染み出ることで、加硫ゴム表面の親水性をより顕著なものとすることができると考えられる。
一方で、セルロース及びセルロース誘導体は水に溶けにくいため、加硫ゴム表面に染み出した親水性化合物が泥の水と接触しても、溶解しにくく、加硫ゴム表面の親水性を維持することができると考えられる。従って、本発明のゴム組成物から得られた加硫ゴムの加工品であるタイヤ及びゴムクローラは、表面が親水性であり、かつ親水性を維持することができ、表面に泥が付着しても、付着した泥が、タイヤ等から取れ易いと考えられる。すなわち、タイヤ及びゴムクローラは、泥離れ性に優れる。
以下、本発明の詳細について説明する。
なお、本発明において、ゴム組成物とは、本発明の加硫ゴムの原料となる未加硫のゴム組成物をいい、ゴム成分は当該ゴム組成物に含まれる。本発明の加硫ゴムの原料となるゴム組成物を、「本発明のゴム組成物」と称することがある。
既述のように、親水性化合物とゴム成分とは相溶しない関係にあるため、加硫中の親水性化合物は凝集塊になっていると考えられる。このような親水性化合物の加硫ゴム中の凝集状態は、ASTM D7723に準拠したディスパグレーダーで確認することができる。
本発明の加硫ゴムは、加硫ゴムの断面を、ASTM D7723に準拠したディスパグレーダーで測定したとき、前記断面の単位面積中に占める非分散領域の割合A%から下記式(I)により求められるZ値が60以下である。
Z=100−A/0.35 (I)
Z値が大きいほど、加硫ゴム断面の単位面積中に占める非分散領域の割合が小さく、Z値が小さいほど、加硫ゴム断面の単位面積中に占める非分散領域の割合が大きい。非分散領域とは、いわば、加硫ゴム中の凝集塊の領域であり、加硫ゴム中に凝集塊がないと、Z値は0又は0に近い数値となり、凝集塊が多いほどZ値は大きくなる傾向にある。
「Z値が60以下である」とは、親水性化合物が凝集して存在していることを意味する。
タイヤ及びゴムクローラ泥離れ性を向上する観点から、Z値は40以下であることが好ましく、また、20以上であることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分を含有する。
他のゴム成分は、特に制限はなく、所望に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム、及び天然ゴム(NR)が挙げられる。これらのゴム成分は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
また、ゴム組成物からゴムクローラを製造する場合のゴム組成物(クローラ用ゴム組成物)は、天然ゴム(NR)を含むことが好ましく、ゴム成分中の天然ゴム(NR)の含有量が50質量%を超えることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、セルロース及びセルロース誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の親水性化合物を含有する。
セルロース及びセルロース誘導体は、分子内に水酸基(−OH)を有するため、水に対して親和性を有する一方で、水への溶解度は低いため、加硫ゴム表面に染み出した親水性化合物が泥の水と接触しても、溶解しにくく、加硫ゴム表面の親水性を維持することができると考えられる。セルロース及びセルロース誘導体は、各々独立に、25℃における水100gに対する溶解度が10g以下であることが好ましく、0gであってもよい。
既述のように、親水性化合物は、加硫ゴムの表面に染み出しつつも、表面に留まることで、泥離れ性を維持し易くなる。親水性化合物の重量平均分子量(Mw)が150g/mol以上であることで、親水性化合物が加硫ゴムの表面に留まり易くなり、泥離れ性を維持し易い。また、親水性化合物の重量平均分子量(Mw)が400000g/mol以下であることで、親水性化合物が加硫ゴムの表面に染み出し易くなり、泥離れ性を向上し易い。
親水性化合物の重量平均分子量(Mw)は、300〜80000g/molであることが好ましい。
親水性化合物の融点が200〜400℃であるか、又は融点をもたないことで、ゴム組成物を加硫した後も、親水性化合物が溶融しにくく、泥離れ性を発現し易い。
親水性化合物の含有量が、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上であることで、タイヤ及びゴムクローラの泥離れ性を向上し易く、ゴム成分100質量部に対して、30質量部以下であることで、耐久性を維持することができる。
親水性化合物のゴム組成物中の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5〜25質量部であることがより好ましく、10〜20質量部であることが更に好ましい。
また、ゴム組成物からゴムクローラを製造する場合のゴム組成物(クローラ用ゴム組成物)は、親水性化合物を、ゴム成分100質量部に対して、5〜10質量部含有することがより好ましく、5〜7質量部含有することが更に好ましい。
本発明のゴム組成物は、撥水性化合物を含有することが好ましい。
ゴム組成物が撥水性化合物を含有することで、加硫ゴムの表面に撥水性をもたらすことができるため、タイヤ及びゴムクローラの表面に泥が付着しにくく、泥はけ性に優れる。
ここで、撥水性化合物とは、ゴム組成物から得られる加硫ゴムの表面に撥水性をもたらし得る化合物であり、当該化合物を用いて下記手法により試料板を製造したとき、試料板の水滴に対する動的接触角(滑落角)が20度以下である化合物をいう。
動的接触角の測定に用いる試料板は、試料10質量部、天然ゴム100質量部、及び硫黄1.5質量部を混練し、加硫して、板状に切削して製造する。
試料板の動的接触角は、試料板上に、1滴の水滴を滴下し、試料板を徐々に傾斜させ、水滴が滑落し始めた角度を、動的接触角(滑落角)として測定する。
脂肪族基は、飽和脂肪族基であってもよいし、不飽和脂肪族基であってもよく、また、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。
タイヤ及びゴムクローラの泥はけ性を向上する観点から、脂肪族基は、直鎖状又は分岐状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。また、脂肪族基の炭素数は12〜27であることがより好ましく、15〜23であることが更に好ましい。
撥水性化合物は、具体的には、脂肪酸アミド、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が好ましく、中でも、タイヤ及びゴムクローラの泥はけ性を向上する観点から、脂肪酸アミドであることがより好ましく、炭素数12〜22の脂肪酸アミドであることが更に好ましい。
ゴム組成物は、撥水性化合物を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上を含んでもよい。
撥水性化合物の含有量が、ゴム成分100質量部に対して、2〜20質量部であることで、タイヤ及びゴムクローラの泥はけ性を向上し易い。
撥水性化合物のゴム組成物中の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、2〜10質量部であることがより好ましく、2〜7質量部であることが更に好ましい。
本発明のゴム組成物は、充填剤を含有することが好ましい。
ゴム組成物は、充填剤を含有することで、タイヤ及びゴムクローラの剛性を高めることができ、耐摩耗性、耐亀裂性等に優れる。
充填剤は、特に制限されないが、シリカ、カーボンブラック等の補強性充填剤を用いることが好ましい。
シリカの種類は、特に制限はなく、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、コロイダルシリカ等が挙げられる。
低発熱性の観点から、シリカの窒素吸着比表面積(BET)は、180m2/g以下であることが好ましい。また、耐亀裂性の観点から、シリカの窒素吸着比表面積(BET)は、90m2/g以上であることが好ましい。
窒素吸着比表面積は、ISO5794/1に準拠した方法によって規定されるBET法の一点値により測定されるものである。
特に、低発熱性及び耐亀裂性の観点から、窒素吸着比表面積は、タイヤ用ゴム組成物に含まれるシリカの場合、150m2/g以下であることが好ましく;また、クローラ用ゴム組成物に含まれるシリカの場合、180m2/g以下であることが好ましく、160m2/g以下であることがより好ましい。
特に、低発熱性の観点から、タイヤ用ゴム組成物及びクローラ用ゴム組成物に含まれるシリカの含有量は、それぞれ、ゴム成分100質量部に対して、0〜60質量部であることが好ましく、0〜15質量部であることがより好ましい。
カーボンブラックの種類は、特に制限されず、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等が挙げられる。
なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001(比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法)のA法によって求められる。
カーボンブラックのCTAB比表面積は、JIS K 6217−3:2001(比表面積の求め方−CTAB 吸着法)に準拠した方法で測定することができる。
特に、耐摩耗の観点から、タイヤ用ゴム組成物及びクローラ用ゴム組成物に含まれるカーボンブラックのCTAB比表面積は、それぞれ、30〜130m2/gであることが好ましく、70〜130m2/gであることがより好ましい。
なお、カーボンブラックのDBP吸油量は、JIS K 6217−4:2001(オイル吸収量の求め方)によって求められる。
また、ゴムの剛性の観点から、クローラ用ゴム組成物に含まれるカーボンブラックのDBP吸油量は、90〜130ml/100gであることが好ましく、100〜120ml/100gであることがより好ましい。
特に、耐摩耗の観点から、タイヤ用ゴム組成物に含まれるカーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、30〜80質量部であることが好ましく、40〜80質量部であることがより好ましい。
また、耐摩耗の観点から、クローラ用ゴム組成物に含まれるカーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜80質量部であることが好ましく、50〜65質量部であることがより好ましい。
本発明のゴム組成物がシリカを含有する場合、シリカの分散性を向上させるために、ゴム組成物は、更に、シランカップリング剤を用いてもよい。
本発明のゴム組成物中のシランカップリング剤の含有量は、シリカの含有量に対して5〜15質量%以下であることが好ましい。シランカップリング剤の含有量がシリカの含有量に対して15質量%以下であることで、ゴム成分の補強性及びシリカの分散性を改良する効果が得られ、経済性も損ないにくい。また、シランカップリング剤の含有量が、シリカの含有量に対して5質量%以上であることで、ゴム組成物中のシリカの分散性を高めることができる。
本発明のゴム組成物は、軟化剤を含んでいてもよい。
ゴム組成物が軟化剤を含有することで、ゴム組成物の加工性を向上し、加硫ゴムに柔軟性をもたらす。
軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、ナフテンオイル、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリンなどのワックス類等が挙げられる。これら軟化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、軟化剤は含まなくてもよく、含む場合は、引っ張り強度、耐摩耗性の観点から、クローラ用ゴム組成物に含まれる軟化剤は、アロマ系 またはパラフィン系であることが好ましい。
特に、引っ張り強度、耐摩耗性の観点から、タイヤ用ゴム組成物に含まれる軟化剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜50質量部であることが好ましい。
また、引っ張り強度、耐摩耗性の観点から、クローラ用ゴム組成物に含まれる軟化剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜30質量部であることが好ましく、0〜15質量部であることがより好ましい。
本発明のゴム組成物は、樹脂を含んでいてもよい。
ゴム組成物が樹脂を含むことで、加硫ゴムを柔軟にし、タイヤ及びゴムクローラのグリップ性を向上することができる。
樹脂としては、例えば、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性石油樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂等を挙げることができる。使用する樹脂は1種類であっても2種類以上であってもよい。
ロジン変性石油樹脂としては、大社松精油社のハイロジンS;
脂肪族炭化水素樹脂(C5樹脂)としては、トーネックス社のESCOREZ1102、三井化学社のハイレッツT500X;
脂環族系炭化水素樹脂としては、日本ゼオン社のクイントン1500、クイントン1700、クイントン1525L;
芳香族炭化水素樹脂(C9樹脂)としては、新日本石油化学社のネオポリマーL90、ネオポリマー120、ネオポリマーE130、ネオポリマー140、ネオポリマー170S、日石ネオレジンD−145等を用いることができる。
また、脂肪族−芳香族炭化水素樹脂(C5C9樹脂)として、東燃化学社のT−REZのRシリーズ、例えばRD104等を用いることもできる。
また、耐カット性、加工性等の観点から、クローラ用ゴム組成物に含まれる樹脂は、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン変性石油樹脂、及び脂肪族炭化水素であることが好ましい。
特に、耐カット性、加工性等の観点から、タイヤ用ゴム組成物及びクローラ用ゴム組成物に含まれる樹脂の含有量は、それぞれ、ゴム成分100質量部に対して、0〜20質量部であることが好ましい。
加硫剤は、特に制限はなく、通常、硫黄を用い、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等を挙げることができる。
本発明のゴム組成物においては、当該加硫剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。この含有量が0.1質量部以上であることで加硫を充分に進行させることができ、10質量部以下であることで、加硫ゴムの耐老化性を抑制することができる。
ゴム組成物中の加硫剤の含有量はゴム成分100質量部に対して、0.5〜5質量部であることがより好ましい。
特に、加工性、疲労性の観点から、タイヤ用ゴム組成物及びクローラ用ゴム組成物に含まれる加硫剤の含有量は、それぞれ、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜5質量部であることが好ましく、1.0〜4.0質量部であることがより好ましい。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分の加硫を促進するために、加硫促進剤を含んでいてもよい。
加硫促進剤としては、例えば、グアジニン系、スルフェンアミド系、チウラム系、チアゾール系、アルデヒドアミン系、チオカルバミン酸塩系等の加硫促進剤が挙げられる。
所望の加硫トルク、加硫速度を得るために、ゴム組成物は、加硫遅延剤を更に含んでもよい。
特に、加硫速度の観点から、タイヤ用ゴム組成物に含まれる加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜5.0質量部であることが好ましく、1.0〜3.5質量部であることがより好ましい。
また、加硫速度の観点から、クローラ用ゴム組成物に含まれる加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜5.0質量部であることが好ましく、1.0〜3.0 質量部であることがより好ましい。
本発明のゴム組成物には、既述のゴム成分、親水性化合物、充填剤、軟化剤、樹脂、加硫剤、加硫促進剤、及び撥水性化合物以外に、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤等のゴム業界で通常使用される各種成分を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら各種成分としては、市販品を好適に使用することができる。また、上記ゴム組成物(タイヤ用ゴム組成物及びクローラ用ゴム組成物を含む)は、ゴム成分、親水性化合物、及び適宜選択した各種成分を配合して、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、インテンシブミキサーなどの密閉型混練り装置、ロールなどの非密閉型混練り装置等を用いて混練り後、熱入れ、押出等することにより調製することができる。
本発明のタイヤは、本発明の加硫ゴムを用いてなる。
従って、本発明のタイヤは泥離れ性に優れる。かかる観点から、本発明のタイヤは、特に、加硫ゴムをトレッドに用いたタイヤであることが好ましい。
本発明のゴム組成物又はタイヤ用ゴム組成物を成形加工した後、加硫を行うことで、タイヤトレッドを製造することができる。タイヤトレッドは、特にトレッド接地部として好適に用いられる。
また、本発明のゴム組成物又はタイヤ用ゴム組成物をトレッドに用いて通常のタイヤの製造方法によってタイヤが製造される。すなわち、前記のように各種成分を含有させた本発明のゴム組成物が未加硫の段階でタイヤトレッドに加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
本発明のゴムクローラは、本発明の加硫ゴムを用いてなる。
従って、本発明のゴムクローラは泥離れ性に優れる。
本発明の加硫ゴムは、ゴムクローラのガイドゴム、内周ゴム、ラグ等に用いることができる。
本発明のゴム組成物又はクローラ用ゴム組成物を、ガイドゴム、内周ゴム、ラグ等の所望の形状の加熱金型によって成形することにより、泥離れ性に優れるゴムクローラを得ることができる。
より詳細には、例えば、ゴム組成物を調製し、未加硫の状態で、ガイドゴム、内周ゴム、ラグゴムの形状にそれぞれ成形する。その後、内周ゴム形状のゴム組成物上に、ガイドゴム形状のゴム組成物を配置し、ガイドゴム形状のゴム組成物上の所定の位置に、更にラグゴム形状のゴム組成物を配置して、金型内で、ゴム組成物を一括加硫すればよい。当該製造方法では、内周ゴムと、ガイドゴムと、ラグゴムは、加硫接着される。
実施例T1、T2、及び比較例T1のタイヤ用ゴム組成物は、表1に示す成分及び配合処方にて、常法に従って調製した。また、実施例C1及び比較例C1のクローラ用ゴム組成物は、表2に示す成分及び配合処方にて、常法に従って調製した。
比較例T2のタイヤ用ゴム組成物は、表1に示す成分及び配合処方にて、常法に従って調製する。
表1〜2中の各成分の詳細は次のとおりである。
SBR(油展SBR):油展SBR、JSR社製、商品名「1723」
(スチレンブタジエンゴム100質量部に対してオイル7.5質量部を含む)
BR:JSR社製、商品名「BR01」
NR:TSR20
非油展SBR:JSR社製、商品名「SBR1502」
(CTAB比表面積=83m2/g、DBP吸油量=77ml/100g、N2SA=101m2/g)
(3)セルロース:日本製紙社製、商品名「KCフロック」
(4)ソルビトール:関東化学社製、商品名「D−Sorbitol」
(5)オレイン酸アミド:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「アーモスリップCPビーズ」
プロセスオイル1:JXTGエネルギー社製、商品名「A/O MIX」
プロセスオイル2:JXTGエネルギー社製、商品名「スーパーオイルY22」
加硫促進剤1:大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ−G」
加硫促進剤2:SHANDONG SUNSHINE CHEMICAL社製、商品名「SUNSINE DPG」
加硫促進剤3:SHANDONG SUNSHINE CHEMICAL社製、商品名「TBBS」
硫黄1:細井化学工業社製、商品名「HK200−5」
硫黄2:鶴見化学工業製、商品名「サルファックス5」
ステアリン酸1:新日本理化社製、商品名「ステアリン酸50S」
ステアリン酸2:ACIDCHEM社製、商品名「PALMAC1600」
酸化亜鉛1:ハクスイテック社製、商品名「酸化亜鉛」
酸化亜鉛2:東邦亜鉛社製、商品名「銀嶺SR」
老化防止剤1:住友化学社製、商品名「アンチゲン6C」
老化防止剤2:錦湖石油化学社製、商品名「KUMANOX13」
(13)樹脂:日本ゼオン製、商品名「クイントン1105」
オレイン酸アミド3質量部、合成ゴム100質量部、及び硫黄1.5質量部を混練し、板状に加硫して、試料板を製造した。
製造した試料板上に、1滴の水滴を滴下し、試料板を徐々に傾斜させたところ、20度で水滴が滑落し始めた。
実施例T1、T2、及び比較例T1において、調製したタイヤ用ゴム組成物を加硫し、30mm×60mm、厚さ2mmの加硫ゴムシートを作成した。
比較例T2においては、タイヤ用ゴム組成物を加硫し、30mm×60mm、厚さ2mmの加硫ゴムシートを作成する。
また、実施例C1及び比較例C1において、得られたクローラ用ゴム組成物を加硫し、30mm×60mm、厚さ2mmの加硫ゴムシートを作成した。
1.泥密着力(泥離れ性)の評価
実施例T1、T2、及び比較例T1、T2において、作成した加硫ゴムシートを、25℃で10秒間タイヤ荷重と同荷重で泥に押しつけて、加硫ゴムシートに泥を密着させた。バネばかりを使用し、泥に密着させた加硫ゴムシートを泥から引き抜く時の応力を測定した。
また、実施例C1及び比較例C1において、作成した加硫ゴムシートを、25℃で10秒間タイヤ荷重と同荷重で泥に押しつけて、加硫ゴムシートに泥を密着させる。バネばかりを使用し、泥に密着させた加硫ゴムシートを泥から引き抜く時の応力を測定する。
表1においては、比較例T1の測定値を100として指数化し、各指数を表1に示す。また、表2においては、比較例C1の測定値を100として指数化し、各指数を表2に示す。
指数値が小さい程、泥の密着力は小さく、泥離れ性が良好である。
実施例T1及び比較例T1において、作成した加硫ゴムシートをタイヤサイズ320/60−26のタイヤのトレッドゴムに貼り付けて試作タイヤとした。試作タイヤを乗用車に装着し、泥状の非舗装路面上を時速5〜10km/hで、直進距離80mにて1時間楕円走行した。
また、実施例C1及び比較例C1のクローラ用ゴム組成物をラグゴムとして用い、幅450mmのゴムクローラを試作した。試作ゴムクローラを、クボタ社製トラクタ、商品名「SMZ85−PC」に装着し、泥状の非舗装路面上を時速4km/hで、約20m走行した。
走行後のタイヤの各加硫ゴムシート部分及びゴムクローラのラグゴムについた泥を、それぞれ掻きとり、掻きとった泥の質量を測定した。
表1においては、比較例T1の測定値を100として指数化し、各指数を表1に示す。また、表2においては、比較例C1の測定値を100として指数化し、各指数を表2に示す。
指数値が小さい程、泥の付着量が少なく、泥はけ性が良好である。
実施例T1、T2、及びC1、並びに比較例T1、T2及びC1において、作成した加硫ゴムシートの断面について、ASTM D7723に準拠したディスパグレーダー〔OPTIGRADER社製、商品名「DISPERGRADER 1000NT」〕で測定した。断面の単位面積中に占める非分散領域の割合A%から式(I)〔Z=100−A/0.35〕によりZ値を求め、表1及び2に示した。
また、本発明の加硫ゴムを用いたゴムクローラは、泥離れ性に優れることができるため、農業機械用、建設機械用、土木作業機械用、運搬用等の各種ゴムクローラに好適に用いることができる。
Claims (10)
- ゴム成分と、セルロース及びセルロース誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の親水性化合物とを含有するゴム組成物の加硫ゴムの断面を、ASTM D7723に準拠したディスパグレーダーで測定したとき、
前記断面の単位面積中に占める非分散領域の割合A%から下記式(I)により求められるZ値が60以下である加硫ゴム。
Z=100−A/0.35 (I) - 前記ゴム組成物が、更に撥水性化合物を含有する請求項1に記載の加硫ゴム。
- 前記親水性化合物は、重量平均分子量が150g/mol〜400000g/molである請求項1又は2に記載の加硫ゴム。
- 前記親水性化合物は、融点が200〜400℃であるか、又は融点をもたない請求項3に記載の加硫ゴム。
- 前記撥水性化合物は、重量平均分子量が150g/mol〜400g/molである請求項2〜4のいずれか1項に記載の加硫ゴム。
- 前記撥水性化合物が、脂肪酸アミドである請求項2〜5のいずれか1項に記載の加硫ゴム。
- 前記ゴム組成物中の前記親水性化合物の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、5〜30質量部である請求項1〜6のいずれか1項に記載の加硫ゴム。
- 前記ゴム組成物中の前記撥水性化合物の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、2〜20質量部である請求項2〜7のいずれか1項に記載の加硫ゴム。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の加硫ゴムを用いたタイヤ。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の加硫ゴムを用いたゴムクローラ。
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