JP2020203425A - 未加硫の環状ゴム部材の製造装置および方法 - Google Patents

Abstract

【課題】成形ドラムの外周面上で帯状ゴム部材の前端部と後端部を幅方向全体に渡り過不足なく、より確実に接合できる未加硫の環状ゴム部材の製造装置及び方法を提供する。【解決手段】搬送コンベヤ２によって搬送した帯状ゴム部材Ｒの前端部を成形ドラム１３の外周面１３ａ上に配置して、成形ドラム１３を回転させて帯状ゴム部材Ｒの所定長さを外周面１３ａ上に巻き付け、後端部Ｒｂを幅方向に並列された複数の後端部保持部８で保持して、帯状ゴム部材Ｒの幅方向での長さの分布データを用いて、制御部１２によりそれぞれの移動部９ａの前後方向Ｌの移動量を制御して、それぞれの後端部保持部８によって保持されている後端部Ｒｂの被保持部分周辺の前後方向Ｌの伸長程度を調整した後、前端部Ｒａと後端部Ｒｂとを、予め設定されている許容接合しろＳで接合して環状ゴム部材ＲＣを製造する。【選択図】図１

Description

本発明は、未加硫の環状ゴム部材の製造装置および方法に関し、さらに詳しくは、成形ドラムの外周面上で未加硫の帯状ゴム部材の長手方向端部どうしを、幅方向全体に渡って過不足なく、より確実に接合して未加硫の環状ゴム部材を製造できる製造装置および方法に関するものである。

タイヤ等のゴム製品を製造する際には、未加硫の帯状ゴム部材の長手方向端部どうしを成形ドラムの外周面上で接合して環状に成形する工程がある。この帯状ゴム部材の長手方向端部どうしを精度よく接合するための装置が種々提案されている（例えば、特許文献１参照）。

特許文献１で提案されている装置では、未加硫の帯状ゴム部材の前端部の最も大きく収縮する収縮部が、引き伸ばし装置によって引き伸ばされた後に成形ドラムの外周面に貼付けられる（段落００２２〜００２４等参照）。次いで、帯状ゴム部材の後端部の後端縁の角度を、前端部の前端縁の角度に合わせるように変位させて、後端部と前端部が接合される（段落００２８等参照）。

この提案では、帯状ゴム部材の前端部で最も収縮する収縮部が、その前端部の最も薄い部分であることが前提となっている（段落００２０等）。しかしながら、最も収縮する収縮部が最も薄い部分であるとは限らない。また、成形ドラム上に貼り付けられている前端部の前端縁の角度は一律とは限らず、幅方向で変化していることもある。そのため、帯状ゴム部材の後端部の後端縁の角度を、前端部の前端縁の角度に合わせるだけでは、帯状ゴム部材の幅方向全体に渡って前端部と後端部をすき間なく接合するには不十分である。即ち、成形ドラムの外周面上で未加硫の帯状ゴム部材の長手方向端部どうしを、幅方向全体に渡って過不足なく、確実に接合するには改善に余地がある。

特開２０１５−１３６８２６号公報

本発明の目的は、成形ドラムの外周面上で未加硫の帯状ゴム部材の長手方向端部どうしを、幅方向全体に渡って過不足なく、より確実に接合して未加硫の環状ゴム部材を製造できる製造装置および方法を提供することにある。

上記目的を達成するため本発明の未加硫の環状ゴム部材の製造装置は、未加硫の帯状ゴム部材を成形ドラムに向かって搬送する搬送コンベヤと、前記帯状ゴム部材の前端部を保持して前記成形ドラムの外周面上に配置する前端部配置機構と、前記帯状ゴム部材の後端部を保持して前記外周面上の前記前端部に接合する後端部接合機構と、前記搬送コンベヤ、前記前端部配置機構および前記後端部接合機構の動きを制御する制御部とを備えて、前記外周面上に巻き付けられた前記帯状ゴム部材の前記前端部と前記後端部とが、予め設定されている許容接合しろで接合される未加硫の環状ゴム部材の製造装置において、前記後端部接合機構が、前記帯状ゴム部材の幅方向に並列された複数の保持部と、それぞれの前記保持部を個別に前記帯状ゴム部材の前後方向に移動させる移動部とを有し、前記後端部を前記前端部に接合する前に、前記帯状ゴム部材の幅方向での長さの分布データを用いて、前記制御部によりそれぞれの前記移動部の前後方向の移動量が制御されることにより、それぞれの前記保持部によって保持されている前記後端部の被保持部分周辺の前後方向の伸長程度が調整される構成にしたことを特徴とする。

本発明の未加硫の環状ゴム部材の製造方法は、未加硫の帯状ゴム部材を搬送コンベヤによって成形ドラムに向かって搬送し、前記帯状ゴム部材の前端部を前記成形ドラムの外周面上に配置して、前記成形ドラムを回転させることにより前記帯状ゴム部材の所定長さを前記成形ドラムの外周面上に巻き付け、前記外周面上の前記前端部と前記帯状ゴム部材の後端部とを、予め設定されている許容接合しろで接合する未加硫の環状ゴム部材の製造方法において、前記後端部を、前記帯状ゴム部材の幅方向に並列された複数の保持部により保持して、それぞれの前記保持部をそれぞれの移動部により個別に前後方向に移動できる状態にして、前記後端部を前記前端部に接合する前に、前記帯状ゴム部材の幅方向での長さの分布データを用いて、制御部によりそれぞれの前記移動部の前後方向の移動量を制御して、それぞれの前記保持部によって保持されている前記後端部の被保持部分周辺の前後方向の伸長程度を調整することを特徴とする。

本発明によれば、帯状ゴム部材の後端部を成形ドラムの外周面上の帯状ゴム部材の前端部に接合する前に、帯状ゴム部材の幅方向での長さの分布データを用いて、制御部によりそれぞれの移動部の前後方向の移動量を制御して、それぞれの保持部によって保持されている後端部の被保持部分周辺の前後方向の伸長程度を調整する。これにより、帯状ゴム部材の長さを、前端部と後端部とを許容接合しろで接合できる長さに調整することができる。そのため、この調整操作の後に前端部と後端部とを接合することで、互いを幅方向全体に渡って過不足なく、より確実に接合した未加硫の環状ゴム部材を製造することができる。

本発明の未加硫の環状ゴム部材の製造装置および製造された環状ゴム部材を側面視で例示する説明図である。 図１の製造装置を平面視で例示する説明図である。 図２の一部拡大図である。 後端部接合機構を拡大して側面視で例示する説明図である。 帯状ゴム部材の前端部、後端部をそれぞれ、前端部保持部、後端部保持部により保持する工程を側面視で例示する説明図である。 図５の後端部保持部の周辺を拡大した説明図である。 帯状ゴム部材の前端部を成形ドラムの外周面上まで移動させる工程を側面視で例示する説明図である。 帯状ゴム部材の前端部を成形ドラムの外周面上に配置する工程を側面視で例示する説明図である。 帯状ゴム部材を成形ドラムの外周面上に巻き付けている工程を側面視で例示する説明図である。 図９の帯状ゴム部材の後端部の周辺を平面視で例示する説明図である。 図１０の帯状ゴム部材の後端部を引き伸ばしている工程を平面視で例示する説明図である。 帯状ゴム部材の後端部を前端部に近接させる工程を側面視で例示する説明図である。 帯状ゴム部材の後端部の保持を解除して、前端部に圧着する工程を側面視で例示する説明図である。 前端部と後端部とをさらに圧着させる工程を側面視で例示する説明図である。 前端部と後端部との接合部分を平面視で例示する説明図である。 後端部保持部の変形例を正面視で示す説明図である。 後端部接合機構の変形例を側面視で示す説明図である。

以下、本発明の未加硫の環状ゴム部材の製造装置および方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。

図１〜図４に例示する本発明の未加硫の環状ゴム部材の製造装置１（以下、製造装置１という）は、未加硫の帯状ゴム部材Ｒの長手方向前端部Ｒａと後端部Ｒｂとを成形ドラム１３の外周面１３ａ上で接合する。これにより、帯状ゴム部材Ｒが環状（筒状）に成形されて未加硫の環状ゴム部材ＲＣが製造される。尚、環状ゴム部材ＲＣには、筒状ゴム部材も含まれる。帯状ゴム部材Ｒとしては、未加硫ゴムによって形成されているタイヤのトレッドゴムやサイドゴム等のタイヤ構成部材を例示できる。

製造装置１は、搬送コンベヤ２と、帯状ゴム部材Ｒの前端部Ｒａを保持して成形ドラム１３の外周面１３ａ上に配置する前端部配置機構４と、帯状ゴム部材Ｒの後端部Ｒｂを保持して外周面１３ａ上に巻き付けられた帯状ゴム部材Ｒの前端部Ｒａに接合する後端部接合機構７と、制御部１２とを備えている。搬送コンベヤ２、前端部配置機構４および後端部接合機構７の動きは制御部１２により制御される。

搬送コンベヤ２は、載置された帯状ゴム部材Ｒを、前方に配置されている成形ドラム１３に向かって搬送する。搬送コンベヤ２は、前後のプーリの間に張設されたコンベヤベルト２ａを有していて、コンベヤベルト２ａはサーボモータ等の駆動源によって回転駆動される。

図面中の矢印Ｌの方向は、搬送コンベヤ２、搬送コンベヤ２に載置された帯状ゴム部材Ｒの前後方向を示している。また、矢印Ｗの方向は、搬送コンベヤ２、搬送コンベヤ２に載置された帯状ゴム部材Ｒ、成形ドラム１３の幅方向を示している。図２中の一点鎖線ＣＬは、成形ドラム１３の幅方向中心位置を示している。

この実施形態では、ドラム幅方向中心線ＣＬを挟んで対称位置に搬送コンベア２が1台ずつ配置されている。それぞれの搬送コンベヤ２の間には、前後方向Ｌに延在するフレーム３が設置されている。このフレーム３に対して、それぞれのコンベヤベルト２ａの上方に配置される前端部配置機構４および後端部接合機構７が移動可能に取付けられている。また、フレーム３に対して、それぞれのコンベヤベルト２ａの後端部の上方に配置される位置センサ１２ａが取り付けられている。

ドラム幅方向中心線ＣＬを挟んで対称位置に配置されているそれぞれの機器（搬送コンベヤ２、前端部配置機構４、後端部接合機構７、位置センサ１２ａなど）は同様の構成、動きをするので、以下では、ドラム幅方向中心線ＣＬを挟んで一方側に配置された機器について説明する。尚、搬送コンベヤ２、前端部配置機構４、後端部接合機構７、位置センサ１２ａなどの機器は、この実施形態のようにドラム幅方向中心線ＣＬを挟んで２列に並列して設置される構成に限定されず、１列に設置される構成にすることもできる。

前端部配置機構４は、前端部保持部５と前端部押圧部６とを有している。この実施形態では前端部保持部５として吸着パッドが採用されている。前端部保持部５はシリンダ等によって上下移動されて、コンベヤベルト２ａの載置面に対して近接および離反移動する。複数の前端部保持部５が幅方向Ｗに並列されている。

前端部押圧部６としては、幅方向Ｗに延在する１本の棒状体が採用されている。前端部押圧部６は、幅方向Ｗに分割して複数並列された構成にすることもできる。前端部押圧部６はシリンダ等によって上下移動されて、コンベヤベルト２ａの載置面に近接離反移動する。前端部配置機構４（前端部保持部５および前端部押圧部６）は、フレーム３に設置された前後進シリンダ３ａによって前後方向Ｌに移動して、成形ドラム１３に対して近接および離反移動する。

後端部接合機構７は、幅方向Ｗに並列された複数の後端部保持部８と、それぞれの後端部保持部８を個別に前後方向Ｌに移動させる移動部９ａとを有している。この実施形態では後端部保持部８として吸着パッド８ａに加えて針状体８ｂが採用されている。吸着パッド８ａが取り付けられているブロックベース９ｂの下面から吸着パッド８ａは下方に１ｍｍ〜２ｍｍ程度突出している。吸着パッド８ａは幅方向Ｗおよび前後方向Ｌに首振り可能になっている。

針状体８ｂは、ブロックベース９ｂから後方斜め方向に突設されている。針状体８ｂは任意で設けることができる。移動部９ａとしては電動シリンダが採用されているが流体シリンダを用いることもできる。移動部９ａがブロックベース９ｂを前後方向Ｌに移動させることで、後端部保持部８が前後方向Ｌに移動する。

この実施形態では、幅方向Ｗに並列されたすべての後端部保持部８が、前後方向Ｌに移動できる構成になっているが、一部の後端部保持部８だけを、前後方向Ｌに移動できる構成にすることもできる。例えば、幅方向Ｗに隣り合う２個または３個の後端部保持部８だけを、前後方向Ｌに移動できる構成にしてもよい。並列する後端部保持部８の数は３個以上にすることが好ましく、例えば３個以上８個以下にする。この実施形態では、それぞれの後端部保持部８の幅方向Ｗの大きさが同じになっているが、幅方向Ｗの大きさが異なる後端部保持部８を混在させることもできる。

この実施形態では後端部接合機構７はさらに、後端部保持部８の後方に配置されて幅方向Ｗに延在する１本の押圧バー１０と、後端部保持部８の前方に配置された１本の押圧ローラ１１を有している。ブロックベース９ｂに設置された押圧バー１０は、独自に上下移動することができる。押圧バー１０は幅方向Ｗに適宜の長さで延在させることができ、この実施形態では、並列されている６個の後端部保持部８の幅方向Ｗ一方端側から中途の位置まで延在している。押圧ローラ１１は、幅方向Ｗに分割して複数並列された構成にすることもできる。

後端部保持部８、移動部９ａ、ブロックベース９ｂおよび押圧バー１０は、シリンダ等によって一体的に上下移動され、コンベヤベルト２ａの載置面に対して近接および離反移動する。押圧ローラ１１も、シリンダ等によって上下移動され、コンベヤベルト２ａの載置面に対して近接および離反移動する。後端部接合機構７（後端部保持部８、移動部９ａ、ブロックベース９ｂ、押圧バー１０および押圧ローラ１１）は、サーボモータ等によってフレーム３に沿って前後方向Ｌに移動して、成形ドラム１３に対して近接および離反移動する。

位置センサ１２ａは、搬送コンベヤ２に載置されて搬送される帯状ゴム部材Ｒの前端および後端を幅方向Ｗの全長に渡って検知する。即ち、帯状ゴム部材Ｒの幅方向Ｗでの長さの分布データが検知される。位置センサ１２ａによる検知データは制御部１２に逐次、入力される。位置センサ１２ａとしては、非接触型センサ（光センサ、レーザセンサ、超音波センサ等）を用いるとよい。成形ドラム１３の動きも制御部１２により制御され、成形ドラム１３の回転速度、周方向位置データ等も制御部１２に逐次入力される。

制御部１２には、その他に、外周面１３ａ上における円周長さＬｃのデータ、許容接合しろＳのデータ等が入力される。円周長さＬｃとは、帯状ゴム部材Ｒを巻き付ける外周面の円周長さであり、帯状ゴム部材Ｒを成形ドラム１３に直接巻き付ける場合は、成形ドラム１３の外周面１３ａの円周長さになる。成形ドラム１３に既に巻き付けられている部材の外周面に帯状ゴム部材Ｒを巻き付ける場合は、既に巻き付けられている部材の外周面の円周長さが、この円周長さＬｃになる。許容接合しろＳは予め設定されていて、前端部Ｒａと後端部Ｒｂとを接合する際の前後方向Ｌの適切なオーバラップ量である。前端部Ｒａと後端部Ｒｂとの接合しろが過小であると両者を強固に接合することができず、過大であるとタイヤのユニフォミティ等に悪影響が生じる。

次に、製造装置１を用いて環状ゴム部材ＲＣを製造する手順の一例を説明する。

図１に例示するように、帯状ゴム部材Ｒが載置されたコンベヤベルト２ａを回転駆動することにより、帯状ゴム部材Ｒが成形ドラム１３に向かって搬送される。帯状ゴム部材Ｒは、拘束されていない状態では経時的に収縮する。位置センサ１２ａは、下方を通過する帯状ゴム部材Ｒの前端および後端を幅方向Ｗに渡って検知し、検知データは逐次、制御部１２に入力される。この検知データと搬送コンベヤ２による搬送速度とに基づいて、制御部１２は、帯状ゴム部材Ｒの幅方向Ｗでの長さの分布データを算出、取得する。

前端部Ｒａがコンベヤベルト２ａの前方に位置するまで帯状ゴム部材Ｒを搬送した後、コンベヤベルト２ａを停止させる。次いで、図５に例示するように、前端部保持部５を下方移動させて前端部Ｒａの上面に当接させて空気を吸引することで吸着させる。この工程では、前端部押圧部６は前端部Ｒａに接触しない上方位置にある。

また、図５、図６に例示するように、後端部保持部８を下方移動させて吸着パッド８ａを後端部Ｒｂの上面に当接させて空気を吸引することで吸着させる。この吸着パッド８ａの下方移動に伴って、針状体８ｂが帯状ゴム部材Ｒの厚さ方向中途の位置まで突き刺さる。この工程では、押圧ローラ１１は後端部Ｒｂに接触しない上方位置にある。尚、コンベヤベルト２ａに帯状ゴム部材Ｒが載置されていない状態で、吸着パッド８ａをコンベヤベルト２ａの位置まで下方移動させても、針状体８ｂはコンベヤベルト２ａに接触しない設定になっている。

帯状ゴム部材Ｒの厚みは幅方向Ｗで一定ではなく、変化している場合が多い。即ち、帯状ゴム部材Ｒは、単純な断面四角形ではなく特有の横断面形状（プロファイル）を有していることが多いので、それぞれの吸着パッド８ａが吸着する位置での帯状ゴム部材Ｒの厚み（重さ）は同一ではない。そこで、それぞれの吸着パッド８ａによる吸着力は同一に設定することに限らず、それぞれの吸着パッド８ａが吸着する位置での帯状ゴム部材Ｒの厚みに応じて、異なる設定にすることもできる。例えば、帯状ゴム部材Ｒの厚みがより大きい位置で吸着する吸着パッド８ａは、吸引力をより強くする。前端部保持部５の吸着パッドについても同様に、幅方向Ｗの位置によって吸引力が異なる設定にすることもできる。

次いで、図７に例示するように、コンベヤベルト２ａを回転駆動させて帯状ゴム部材Ｒを成形ドラム１３に向かって搬送する。この時、前後進シリンダ３ａによって前端部配置機構４を、搬送される帯状ゴム部材Ｒに同期させて同速度で前進移動させる。また、後端部接合機構７を、搬送される帯状ゴム部材Ｒに同期させて同速度でフレーム３に沿って前進移動させる。

これにより、帯状ゴム部材Ｒは、前端部Ｒａ、後端部Ｒｂをそれぞれ、前端部保持部５、後端部保持部８により保持されながら、成形ドラム１３に向かって搬送される。前端部保持部５と後端部保持部８とは、搬送される帯状ゴム部材Ｒに同期して前進移動するので、互いの前後方向Ｌの間隔は一定に維持される。そのため、帯状ゴム部材Ｒは、伸びも収縮も抑制された拘束状態で搬送される。前端部Ｒａを、前端部保持部５によって保持された状態で、成形ドラム１３の外周面１３ａ上まで移動させた後、搬送コンベヤ２の搬送および前端部配置機構４、後端部接合機構７の前進移動を停止する。

次いで、図８に例示するように、前端部保持部５を下方移動させ、保持を解除した前端部Ｒａを成形ドラム１３の外周面１３ａ上に配置する。ここで、前端部押圧部６を下方移動して、前端部Ｒａを外周面１３ａにしっかりと付着させる。前端部Ｒａを、成形ドラム１３の外周面１３ａ上に配置する位置は、ドラム周方向で言えば、成形ドラム１３の頂部にするよい。これにより、前端部Ｒａをより安定して外周面１３ａに位置決めして付着させ易くなる。

次いで、図９に例示するように、成形ドラム１３を回転させるとともに、この回転に同期させてコンベヤベルト２ａを回転駆動させて帯状ゴム部材Ｒを成形ドラム１３に向かって搬送し、かつ、後端部接合機構７を、搬送される帯状ゴム部材Ｒに同期させてフレーム３に沿って前進移動させる。外周面１３ａ上での周速度と、搬送コンベヤ２による搬送速度と、後端部接合機構７の移動速度とは同じ速度にするとよい。この時、前端部配置機構４は、前後進シリンダ３ａによってさらに前方に移動されていて帯状ゴム部材Ｒに接触しない位置にある。

このようにして、帯状ゴム部材Ｒの所定長さを成形ドラム１３の外周面１３ａ上に巻き付けた後、成形ドラム１３の回転および後端部接合機構７の前進移動を停止する。即ち、後端部Ｒｂおよびその周辺部分を除いて、帯状ゴム部材Ｒを外周面１３ａ上に巻き付けた状態にする。この時、後端部Ｒｂは図１０に例示するように、幅方向Ｗに並列された複数の後端部保持部８により保持されていて、それぞれの後端部保持部８は、それぞれの後端部保持部８に対応する移動部９ａによって、個別に前後方向Ｌに移動できる状態になっている。

次いで、図１１に例示するように、後端部Ｒｂを前端部Ｒａに接合する前に、帯状ゴム部材Ｒの幅方向Ｗでの長さの分布データを用いて、制御部１２によりそれぞれの移動部９ａの前後方向Ｌの移動量が制御される。例えば、帯状ゴム部材Ｒの幅方向Ｗでの長さの分布データと、外周面１３ａ上における円周長さＬｃのデータと、許容接合しろＳのデータとに基づいて、制御部１２によりそれぞれの移動部９ａの前後方向Ｌの移動量が制御される。

それぞれの移動部９ａの移動量の制御によって、それぞれの後端部保持部８によって保持されている後端部Ｒｂの被保持部分周辺の前後方向Ｌの伸長具合が調整される。例えば、帯状ゴム部材Ｒの前後方向Ｌの収縮がより大きい幅方向位置にある後端部保持部８では、前後方向Ｌの移動量がより大きくされる。この実施形態では、図中の上側３個の移動部９ａが上側に位置する程、移動量がより大きくなっていて、図中の下側３個の移動部９ａの移動量はゼロになっている。このような移動量の制御の結果、帯状ゴム部材Ｒの長さは、前端部Ｒａと後端部Ｒｂとを許容接合しろＳで接合できる長さに調整される。

それぞれの移動部９ａの前後方向Ｌの移動速度は異ならせることもできるが、同じ速度に設定することが好ましい。それぞれの移動速度を同じ速度に設定することで、それぞれ後端部保持部８の前後方向Ｌの移動量が異なる場合でも、伸長させる未加硫ゴム（後端部Ｒｂ）に対して、無理な外力を作用させずに損傷する等の不具合の発生を防止するには有利になる。

次いで、図１２に例示するように、後端部保持部８を下方移動させて、保持している後端部Ｒｂを、外周面１３ａ上に巻き付けられている前端部Ｒａに当接させる。その後、図１３に例示するように、吸着パッド８ａによる吸引を停止して後端部Ｒｂに対する保持を解除する。

この工程の直後に、押圧バー１０を下方移動させて、後端部Ｒｂの上面を押圧することで、後端部Ｒｂと前端部Ｒａとを圧着して環状ゴム部材ＲＣを成形する。このように、後端部Ｒｂの上面側に配置されて幅方向Ｗに延在する押圧バー１０を、後端部Ｒｂの上面に向かって移動させて後端部Ｒｂを押圧すると、後端部Ｒｂと前端部Ｒａとを強固に接合できる。後端部保持部８による保持が解除されると、帯状ゴム部材Ｒには収縮しようとするが、押圧バー１０によって後端部Ｒｂを押圧することで、後端部Ｒｂと前端部Ｒａとの接合部分の口開きを防止でき、帯状ゴム部材Ｒの収縮を抑えるにも有利になる。

後端部保持部８として、後端部Ｒｂの上面を吸着して保持する吸着パッド８ａを採用すると、後端部Ｒｂに不要な変形を与えずに保持するには有利になる。この実施形態のように、針状体８ｂを採用することで、後端部Ｒｂを確実に保持するには有利になるので、後端部Ｒｂを前後方向Ｌに必要量、伸長させ易くなる。

次いで、図１４に例示するように、押圧ローラ１１を下方移動させて環状ゴム部材ＲＣの外周面に当接させ、成形ドラム１３を回転させる。これにより、後端部Ｒｂと前端部Ｒａとの接合部分を押圧ローラ１１によってさらに圧着して、口開きを確実に防止する。この工程では、後端部保持部８は環状ゴム部材ＲＣに接触しない位置に移動している。

上記のように、それぞれの後端部保持部８によって保持されている後端部Ｒｂの被保持部分周辺を必要量だけ前後方向Ｌに伸長させて、帯状ゴム部材Ｒを許容接合しろＳを確保した長さに調整操作した後で、前端部Ｒａと後端部Ｒｂとを接合する。これにより、図１５に例示するように、前端部Ｒａと後端部Ｒｂを幅方向Ｗ全体に渡って過不足ない許容接合しろＳで、確実に接合した環状ゴム部材ＲＣを製造することができる。経時的な収縮が大きい帯状ゴム部材Ｒであっても、前端部Ｒａと後端部Ｒｂとを許容接合しろＳで確実に接合することが可能になる。

図１６に例示するように、特有の横断面形状（プロファイル）を有している帯状ゴム部材Ｒに対しては、ブロックベース９ｂに対して、シムなどの高さ調整部８ｃを介在させて吸着パッド８ａを取り付けた構造にするとよい。即ち、帯状ゴム部材Ｒの横断面形状（プロファイル）に応じて、高さ調整部８ｃを介在させることで、並列されているそれぞれの吸着パッド８ａの上下位置を適切に設定する。これにより、それぞれの吸着パッド８ａによって後端部Ｒｂの変形を抑えつつ、強固に吸着保持するには有利になる。針状体８ｂによる保持力も高めることができる。

図１７に例示するように、後端部接合機構７には、引き寄せ部１１ａを追加して設けることもできる。この引き寄せ部１１ａは前後方向Ｌに対向する一対の把持可動部を有していて、シリンダ等によって上下移動可能になっている。図１３に例示した工程と図１４に例示した工程の間で、圧着された後端部Ｒｂと前端部Ｒａを、引き寄せ部１１ａによって把持して互いを近接させる。この引き寄せ部１１ａによる工程によって後端部Ｒｂと前端部Ｒａとを一段と強固に接合するには有利になる。

１ 製造装置
２ 搬送コンベヤ
２ａ コンベヤベルト
３ フレーム
３ａ 前後進シリンダ
４ 前端部配置機構
５ 前端部保持部
６ 前端部押圧部
７ 後端部接合機構
８ 後端部保持部
８ａ 吸着パッド
８ｂ 針状体
８ｃ 高さ調整部
９ａ 移動部
９ｂ ブロックベース
１０ 押圧バー
１１ 押圧ローラ
１１ａ 引き寄せ部
１２ 制御部
１２ａ 位置センサ
１３ 成形ドラム
１３ａ 外周面
Ｒ 帯状ゴム部材
Ｒａ 前端部
Ｒｂ 後端部
ＲＣ 環状ゴム部材

Claims (6)

1. 未加硫の帯状ゴム部材を成形ドラムに向かって搬送する搬送コンベヤと、前記帯状ゴム部材の前端部を保持して前記成形ドラムの外周面上に配置する前端部配置機構と、前記帯状ゴム部材の後端部を保持して前記外周面上の前記前端部に接合する後端部接合機構と、前記搬送コンベヤ、前記前端部配置機構および前記後端部接合機構の動きを制御する制御部とを備えて、前記外周面上に巻き付けられた前記帯状ゴム部材の前記前端部と前記後端部とが、予め設定されている許容接合しろで接合される未加硫の環状ゴム部材の製造装置において、
   前記後端部接合機構が、前記帯状ゴム部材の幅方向に並列された複数の保持部と、それぞれの前記保持部を個別に前記帯状ゴム部材の前後方向に移動させる移動部とを有し、前記後端部を前記前端部に接合する前に、前記帯状ゴム部材の幅方向での長さの分布データを用いて、前記制御部によりそれぞれの前記移動部の前後方向の移動量が制御されることにより、それぞれの前記保持部によって保持されている前記後端部の被保持部分周辺の前後方向の伸長程度が調整される構成にしたことを特徴とする未加硫の環状ゴム部材の製造装置。
2. それぞれの前記保持部が、前記後端部の上面を吸着して前記後端部を保持する吸着パッドである請求項１に記載の未加硫の環状ゴム部材の製造装置。
3. それぞれの前記保持部が、前記後端部の上面側の位置から前記帯状ゴム部材の厚さ方向中途の位置まで突き刺さることが可能な針状体である請求項２に記載の未加硫の環状ゴム部材の製造装置。
4. 前記後端部接合機構が、前記後端部の上面側に配置されて幅方向に延在する押圧バーを有し、この押圧バーを前記後端部の上面に向かって移動させることにより前記後端部が押圧されて、前記後端部が前記外周面上の前記前端部に接合される構成にした請求項１〜３のいずれかに記載の未加硫の環状ゴム部材の製造装置。
5. それぞれの前記移動部の前後方向の移動速度が同じ速度に設定さている請求項１〜４のいずれかに記載の未加硫の環状ゴム部材の製造装置。
6. 未加硫の帯状ゴム部材を搬送コンベヤによって成形ドラムに向かって搬送し、前記帯状ゴム部材の前端部を前記成形ドラムの外周面上に配置して、前記成形ドラムを回転させることにより前記帯状ゴム部材の所定長さを前記成形ドラムの外周面上に巻き付け、前記外周面上の前記前端部と前記帯状ゴム部材の後端部とを、予め設定されている許容接合しろで接合する未加硫の環状ゴム部材の製造方法において、
   前記後端部を、前記帯状ゴム部材の幅方向に並列された複数の保持部により保持して、それぞれの前記保持部をそれぞれの移動部により個別に前後方向に移動できる状態にして、前記後端部を前記前端部に接合する前に、前記帯状ゴム部材の幅方向での長さの分布データを用いて、制御部によりそれぞれの前記移動部の前後方向の移動量を制御して、それぞれの前記保持部によって保持されている前記後端部の被保持部分周辺の前後方向の伸長程度を調整することを特徴とする未加硫の環状ゴム部材の製造方法。

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