JP2020203406A - 積層体および包装材料 - Google Patents

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和弘 多久島
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和佳子 仙頭
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峻 石川
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Abstract

【課題】十分な強度および耐熱性を有し、かつリサイクル性および内容物隠蔽性にも優れる包装材料などの作製を可能とする、積層体の提供。【解決手段】第1の態様において、本発明の積層体は、基材と、シーラント層とを備える積層体であって、基材およびシーラント層は、同一の材料により構成され、基材は、延伸処理および電子線照射処理の少なくとも一方が施されており、同一材料が、ポリエチレンまたはポリプロピレンであり、基材およびシーラント層の少なくとも一方が、白色顔料を含み、基材およびシーラント層の少なくとも一方が、バイオマス由来のポリエチレンまたはバイオマス由来のポリプロピレンを含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、包装材料などの作製に使用される積層体に関する。また、本発明は、該積層体から構成される包装材料に関する。
従来、包装材料を構成する材料として、樹脂材料から構成される樹脂フィルムが使用されている。例えば、ポリオレフィンから構成される樹脂フィルムは、適度な柔軟性、透明性を有すると共に、ヒートシール性に優れるため、包装材料に広く使用されている。
通常、ポリオレフィンから構成される樹脂フィルムは、強度や耐熱性の面で劣るため、包装材料などを構成するための基材としては使用できず、ポリエステルやポリアミドなどから構成される樹脂フィルムなどと貼り合わせて使用されており、そのため、通常の包装材料は、基材とシーラント層とが異種の樹脂材料からなる積層体から構成されている(例えば、特許文献1)。
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、包装材料などには高いリサイクル性が求められている。しかしながら、従来の包装材料は上記したように異種の樹脂材料から構成されており、樹脂材料ごとに分離するのが困難であるため、リサイクルされていないのが現状である。
また、このような包装材料には、種々の内容物が充填されるが、洗剤などその内容物
によっては、包装材料から透けてその色が確認できてしまい、基材表面に形成された画像などが不鮮明になってしまうという問題があった。
このような問題を解決すべく、基材と、シーラント層との間に白色顔料を含むインキにより背景層を形成し、内容物を隠蔽することが行われている。
しかしながら、背景層を形成した場合、基材とヒートシールとのラミネート強度が低下してしまったり、包装材料の手切れ性を低下させてしまったりという新たな問題が生じていた。
特開2009−202519号公報
本発明者らは、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムに対し、延伸処理および電子線照射処理の少なくとも一方を施すことにより、その強度および耐熱性を著しく改善することができ、包装材料などの作製に使用される積層体が備える基材としての使用が可能となるとの知見を得た。そして、基材と同様に、シーラント層をポリオレフィンから構成することにより、積層体のリサイクル性を顕著に高めることができるとの知見を得た。
さらに、本発明者らは、基材およびシーラント層の少なくとも一方、または基材とシーラント層との間に設けた中間層に白色顔料を含有させることにより、層間のラミネート強度および包装材料の手切れ性を低下させることなく、内容物を効果的に隠蔽することができるとの知見を得た。
本発明は、上記知見に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、十分な強度および耐熱性を有し、かつリサイクル性および内容物隠蔽性にも優れる包装材料などの作製を可能とする、積層体を提供することである。
また、本発明の解決しようとする課題は、該積層体から構成される包装材料を提供することである。
第1の態様において、本発明の積層体は、基材と、シーラント層とを備える積層体であって、
基材およびシーラント層は、同一の材料により構成され、
基材は、延伸処理および電子線照射処理の少なくとも一方が施されており、
同一材料が、ポリエチレンまたはポリプロピレンであり、
基材およびシーラント層の少なくとも一方が、白色顔料を含み、
基材およびシーラント層の少なくとも一方が、バイオマス由来のポリエチレンまたはバイオマス由来のポリプロピレンを含むことを特徴とする。
一実施形態において、基材は、白色顔料を含み、
基材における白色顔料の含有量が、0.5質量%以上質量20%以下である。
一実施形態において、基材の厚さは、15μm以上40μm以下である。
一実施形態において、シーラント層は白色顔料を含み、
シーラント層における白色顔料の含有量が、2質量%以上15質量%以下である。
一実施形態において、シーラント層の厚さは、40μm以上180μm以下である。
第2の態様において、本発明の積層体は、基材と、中間層と、シーラント層とを備える積層体であって、
基材、中間層およびシーラント層が同一の材料により構成され、
基材は、延伸処理および電子線照射処理の少なくとも一方が施されており、
同一材料が、ポリエチレンまたはポリプロピレンであり、
中間層が、白色顔料を含み、
基材、中間層およびシーラント層の少なくとも一層が、バイオマス由来のポリエチレンまたはバイオマス由来のポリプロピレンを含むことを特徴とする。
一実施形態において、上記積層体は、包装材料用途に用いられる。
本発明の包装材料は、上記積層体により構成されることを特徴とする。
一実施形態において、包装材料は、抽出用ノズルを備える。
一実施形態において、包装材料は、スパウトを備える。
本発明によれば、十分な強度および耐熱性を有し、かつリサイクル性および内容物隠蔽性にも優れる包装材料などの作製を可能とする、積層体を提供することができる、
本発明の積層体の一実施形態を示す断面概略図である。 本発明の積層体の一実施形態を示す断面概略図である。 本発明の積層体の一実施形態を示す断面概略図である。 本発明の積層体を用いて作製した包装材料の一実施形態を表す斜視図である。 本発明の積層体を用いて作製した包装材料の一実施形態を表す正面図である。 本発明の積層体を用いて作製した包装材料の一実施形態を表す正面図である。
(第1の態様における積層体)
第1の態様において、本発明の積層体10は、図1に示すように、基材11と、シーラント層12とを備えることを特徴とする。
本発明において、基材およびシーラント層は同一の材料、すなわち、ポリエチレンまたはポリプロピレンにより構成されており、これにより、積層体のリサイクル性を向上することができる。
また、本発明において、基材およびシーラント層の少なくとも一方が、白色顔料を含んでなる。これにより、基材上に画像を形成した場合における、該画像の視認性を向上することができると共に、内容物を隠蔽することができる。基材に白色顔料を含有させた場合、基材のシーラント層側への画像形成が困難となるが、画像の保存安定性という観点からは、基材のシーラント層側へ画像を形成することが好ましい。このような観点からは、シーラント層が白色顔料を含むことが好ましい。
さらに、本発明において、基材およびシーラント層の少なくとも一方は、ポリエチレンまたはポリプロピレンとして、バイオマス由来のポリエチレンまたはバイオマス由来のポリプロピレンを含む。これにより、本発明の積層体を用いて作製される包装材料の環境負荷を効果的に低減することができる。
また、本発明の積層体10は、図2に示すように、基材11とシーラント層12との間に、中間層13を備えることができる。
さらに、本発明の積層体10は、任意の層間、例えば、図3に示すように基材11と、シーラント層12との間に、接着剤層14を備えることができる。
(基材)
本発明の積層体を構成する基材は、ポリエチレンまたはポリプロピレンから構成されており、延伸処理および電子線照射処理の少なくとも一方が施されていることを特徴とする。
該延伸処理、電子線照射処理を施すことにより、基材の耐熱性および強度を著しく向上させることができ、包装材料などの外層として要求される物性を満足することができる。
なお、基材に電子線照射処理が施されている場合、基材の電子線照射面が積層体の最表面となるように基材は設けられる。
ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンを使用することができる。
これらの中でも、基材の強度および耐熱性という観点から、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンが好ましく、延伸適性という観点から、中密度ポリエチレンがより好ましい。
本発明において、高密度ポリエチレンとしては、密度が0.945g/cm以上のポリエチレンを使用することができ、中密度ポリエチレンとしては、密度が0.925g/cm以上0.945g/cm未満のポリエチレンを使用することができ、低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm以上0.925g/cm未満のポリエチレンを使用することができ、直鎖状低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm以上0.925g/cm未満のポリエチレンを使用することができ、超低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm未満のポリエチレンを使用することができる。
また、本発明の特性を損なわない範囲において、ポリエチレンとして、エチレンと他のモノマーとの共重合体を使用することもできる。エチレン共重合体としては、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体が挙げられ、炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3ーメチルー1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンおよび6−メチル−1−ヘプテンなどが挙げられる。また、本発明の目的を損なわない範囲であれば、酢酸ビニルまたはアクリル酸エステルなどとの共重合体であってもよい。
また、一実施形態において、該基材は、バイオマス由来のポリエチレンを含む。バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるものである。このようなバイオマス由来のポリエチレンはカーボニュートラルな材料であるため、該積層体作製の環境負荷を低減することができる。
原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリエチレンはバイオマス由来となる。なお、ポリエチレンの原料モノマーは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよい。
基材が、バイオマス由来のポリエチレンを含む場合、その含有量は、5質量%以上100質量%以下であることが好ましく、10質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
バイオマス由来のポリエチレンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンをさらに含んでもよいし、バイオマス由来のα−オレフィンをさらに含んでもよい。
基材に含まれるポリエチレン中のバイオマス由来のエチレン濃度(以下、「バイオマス度」ということがある)は、10%以上であることが好ましい。
「バイオマス度」とは、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。
大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。
したがって、ポリエチレン中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明においては、ポリエチレン中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。
bio(%)=PC14/105.5×100
本発明においては、理論上、ポリエチレンの原料として、全てバイオマス由来のエチレンを用いれば、バイオマス由来のエチレン濃度は100%であり、バイオマス由来のポリエチレンのバイオマス度は100%となる。
また、化石燃料由来の原料のみで製造された化石燃料由来のポリエチレン中のバイオマス由来のエチレン濃度は0%であり、化石燃料由来のポリエチレンのバイオマス度は0%となる。
バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、およびマニオクを挙げることができる。
本発明において、バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、および抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、または膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。
エタノールの脱水反応によりエチレンを得る際には通常触媒が用いられるが、この触媒は、特に限定されず、従来公知の触媒を用いることができる。プロセス上有利なのは、触媒と生成物の分離が容易な固定床流通反応であり、例えば、γ―アルミナ等が好ましい。
この脱水反応は吸熱反応であるため、通常加熱条件で行う。商業的に有用な反応速度で反応が進行すれば、加熱温度は限定されないが、好ましくは100℃以上、より好ましくは250℃以上、さらに好ましくは300℃以上の温度が適当である。上限も特に限定されないが、エネルギー収支および設備の観点から、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下である。
反応圧力も特に限定されないが、後続の気液分離を容易にするため常圧以上の圧力が好ましい。工業的には触媒の分離の容易な固定床流通反応が好適であるが、液相懸濁床、流動床等でもよい。
エタノールの脱水反応においては、原料として供給するエタノール中に含まれる水分量によって反応の収率が左右される。一般的に、脱水反応を行う場合には、水の除去効率を考えると水が無いほうが好ましい。しかしながら、固体触媒を用いたエタノールの脱水反応の場合、水が存在しないと他のオレフィン、特にブテンの生成量が増加する傾向にあることが判明した。恐らく、少量の水が存在しないと脱水後のエチレン二量化を押さえることができないためと推察している。許容される水の含有量の下限は、0.1%以上、好ましくは0.5%以上必要である。上限は特に限定されないが、物質収支上および熱収支の観点から、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。
このようにしてエタノールの脱水反応を行うことによりエチレン、水および少量の未反応エタノールの混合部が得られるが、常温において約5MPa以下ではエチレンは気体であるため、これら混合部から気液分離により水やエタノールを除きエチレンを得ることができる。この方法は公知の方法で行えばよい。
気液分離により得られたエチレンはさらに蒸留され、このときの操作圧力が常圧以上であること以外は、蒸留方法、操作温度、および滞留時間等は特に制約されない。
原料がバイオマス由来のエタノールの場合、得られたエチレンには、エタノール発酵工程で混入した不純物であるケトン、アルデヒド、およびエステル等のカルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガスや、酵素の分解物・夾雑物であるアミンおよびアミノ酸等の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニア等が極微量含まれる。エチレンの用途によっては、これら極微量の不純物が問題となるおそれがあるので、精製により除去しても良い。精製方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。好適な精製操作としては、例えば、吸着精製法をあげることができる。用いる吸着剤は特に限定されず、従来公知の吸着剤を用いることができる。例えば、高表面積の材料が好ましく、吸着剤の種類としては、バイオマス由来のエタノールの脱水反応により得られるエチレン中の不純物の種類・量に応じて選択される。
なお、エチレン中の不純物の精製方法として苛性水処理を併用してもよい。苛性水処理をする場合は、吸着精製前に行うことが望ましい。その場合、苛性処理後、吸着精製前に水分除去処理を施す必要がある。
また、基材にメカニカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンを含有させることもできる。ここで、メカニカルリサイクルとは、一般に、回収されたポリエチレンフィルムなどを粉砕、アルカリ洗浄してフィルム表面の汚れ、異物を除去した後、高温・減圧下で一定時間乾燥してフィルム内部に留まっている汚染物質を拡散させ除染を行い、ポリエチレンからなるフィルムの汚れを取り除き、再びポリエチレンに戻す方法である。
ポリプロピレンは、ホモポリマー、ランダムコポリマーおよびブロックコポリマーのいずれであってもよい。
ポリプロピレンホモポリマーとは、プロピレンのみの重合体であり、ポリプロピレンランダムコポリマーとは、プロピレンとプロピレン以外の他のα−オレフィン(例えばエチレン、ブテン−1、4−メチル−1−ペンテンなど)などとのランダム共重合体であり、ポリプロピレンブロックコポリマーとは、プロピレンからなる重合体ブロックと、上記したプロピレン以外の他のα−オレフィンからなる重合体ブロックを有する共重合体である。
これらポリプロプロピレンの中でも、基材の透明性を向上することができ、基材の接着層側表面に画像を形成した場合において、その視認性を向上させることができる観点からは、ホモポリマーまたはランダムコポリマーを使用することが好ましい。包装材料の剛性や耐熱性を重視する場合には、ホモポリマーを使用し、耐衝撃性などを重視する場合にはランダムコポリマーを使用することができる。
また、一実施形態において、基材は、バイオマス由来のポリプロピレンを含む。
基材が、バイオマス由来のポリプロピレンを含む場合、その含有量は、5質量%以上95質量%以下であることが好ましく、10質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
また、バイオマス由来のポリプロピレンのバイオマス度は、10%以上であることが好ましい。
また、基材は、メカニカルリサイクルによりリサイクルされたポリプロピレンを含むこともできる。
一実施形態において、基材は、白色顔料を含む。これにより、基材上に画像を形成した場合における、該画像の視認性を向上することができる。また、本発明の積層体を用いて作製される包装材料に充填される内容物を隠蔽することができる。また、積層体の遮光性を向上することができる。
さらに、このような構成の積層体は、白色顔料を含むインキにより背景層を形成する必要がない。そのため、積層体の層間のラミネート強度の低下や、包装材料の手切れ性の低下をもたらすことがないため、好ましい。
白色顔料としては、例えば、チタン白(酸化チタン(IV))、亜鉛華(酸化亜鉛)、リトポン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、可視領域に特定の吸収を持たず、屈折率が高いため、酸化チタンが好ましい。基材は、これら白色顔料を2種以上含んでいてもよい。
基材における白色顔料の含有量は、2質量%以上20質量%以下であることが好ましく、4質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
基材における白色顔料の含有量を4質量%以上とすることにより、基材上に画像を形成した場合における、該画像の視認性をより向上することができる。また、積層体の遮光性をより向上することができる。また、本発明の積層体を用いて作製される包装材料に充填される内容物をより隠蔽することができる。
また、基材における白色顔料の含有量を20質量%以下とすることにより、製膜時に安定した膜厚のフィルムを製膜することができ、印刷やラミネート加工時に透明フィルムと遜色ない加工適性を維持でき、加工後の製品状態での物性を維持でき、フィルム価格の不必要な高騰を抑制することができる。
基材は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含むことができ、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料および改質用樹脂などが挙げられる。
一実施形態において、基材は多層構造を有する。
また、多層構造を有する基材において、バイオマス由来のポリエチレンまたはポリプロピレン、白色顔料は、少なくとも一層に含有されていればよい。
基材上への印画適性という観点から、白色顔料は、中間層に含まれることが好ましい。
一実施形態において、基材は、高密度ポリエチレンから構成される層(以下、高密度ポリエチレン層という)と、中密度ポリエチレンから構成される層(以下、中密度ポリエチレン層という)と、高密度ポリエチレンから構成される層(以下、高密度ポリエチレン層という)とを備える。
このような構成とすることにより、基材の強度および耐熱性をより向上することができる。また、基材におけるカールの発生を防止することができる。また、基材の延伸適性を向上することもできる。
このとき、高密度ポリエチレン層の厚さは、中密度ポリエチレン層の厚さよりも薄いことが好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比は、1/10以上1/1以下であることが好ましく、1/5以上1/2以下であることがより好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/10以上とすることにより、基材の強度および耐熱性をより向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/1以下とすることにより、基材の延伸適性をより向上することができる。
一実施形態において、基材は、高密度ポリエチレンから構成される層(以下、高密度ポリエチレン層という)と、中密度ポリエチレンから構成される層(以下、中密度ポリエチレン層という)と、高密度ポリエチレンから構成される層(以下、高密度ポリエチレン層という)とを備える多層構造を有する。
このような構成とすることにより、基材の強度および耐熱性をより向上することができる。また、基材におけるカールの発生を防止することができる。また、基材の延伸適性を向上することもできる。
このとき、高密度ポリエチレン層の厚さは、中密度ポリエチレン層の厚さよりも薄いことが好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比は、1/10以上1/1以下であることが好ましく、1/5以上1/2以下であることがより好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/10以上とすることにより、基材の強度および耐熱性をより向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/1以下とすることにより、基材の延伸適性をより向上することができる。
一実施形態において、基材は、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層(該段落においては、記載簡略化のため、まとめて低密度ポリエチレン層と記載する。)と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層とを備える。
このような構成とすることにより、基材の延伸適性を向上することができる。また、基材の強度および耐熱性を向上することができる。また、基材におけるカールの発生を防止することができる。さらに、基材の生産効率を向上することができる。
このとき、高密度ポリエチレン層の厚さは、中密度ポリエチレン層の厚さよりも薄いことが好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比は、1/10以上1/1以下であることが好ましく、1/5以上1/2以下であることがより好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/10以上とすることにより、基材の強度および耐熱性を向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/1以下とすることにより、基材の延伸適性を向上することができる。
また、高密度ポリエチレン層の厚さは、低密度ポリエチレン層の厚さと同じまたは低密度ポリエチレンの厚さよりも厚いことが好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、低密度ポリエチレン層の厚さとの比は、1/0.25以上1/2以下であることが好ましく、1/0.5以上1/1以下であることがより好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、低密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/0.25以上とすることにより、基材の耐熱性を向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さと、低密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/1以下とすることにより、中密度ポリエチレン層間の密着性を向上することができる。
各高密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、20μm以下であることが好ましく、2μm以上、10μm以下であることがより好ましい。高密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性をより向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さを、20μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
中密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、30μm以下であることが好ましく、5μm以上、20μm以下であることがより好ましい。中密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、フィルムの延伸適性をより向上することができる。また、中密度ポリエチレン層の厚さを、30μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
低密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、10μm以下であることが好ましく、2μm以上、5μm以下であることがより好ましい。低密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、高密度ポリエチレン層と中密度ポリエチレン層との密着性をより向上することができる。また低密度ポリエチレン層の厚さを、5μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
一実施形態において、このような構成の基材は、例えば、インフレーション法により作製することができる。
具体的には、外側から、高密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレン層と、および低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層とをチューブ状に共押出し、次いで、対向する低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層同士を、これをゴムロールなどにより、圧着することによって作製することができる。
このような方法により作製することにより、製造における欠陥品数を顕著に低減することができ、最終的には、生産効率を向上することができる。
また、インフレーション製膜機において、延伸も合わせて行うことができ、これにより、生産効率をより向上することができる。
一実施形態において、外側から、高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層(該段落においては、記載簡略化のため、まとめて低密度ポリエチレン層と記載する。)と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層と、高密度ポリエチレン層からなる七層共押フィルムの構成とすることもできる。
このような構成とすることにより、高密度ポリエチレン層と中密度ポリエチレン層との密着性を向上することができる。また、本発明の積層体の加工適性を向上することができる。
各高密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、20μm以下であることが好ましく、2μm以上、10μm以下であることがより好ましい。高密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性をより向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さを、20μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
各高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンのブレンド樹脂層の厚さは、1μm以上、20μm以下であることが好ましく、2μm以上、10μm以下であることがより好ましい。これにより、高密度ポリエチレン層と中密度ポリエチレン層との密着が向上することができる。また、本発明の積層体の加工適性を向上することができる。
中密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、30μm以下であることが好ましく、5μm以上、20μm以下であることがより好ましい。中密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、フィルムの延伸適性をより向上することができる。また、中密度ポリエチレン層の厚さを、30μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
低密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、10μm以下であることが好ましく、2μm以上、5μm以下であることがより好ましい。
低密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、高密度ポリエチレン層と中密度ポリエチレン層との密着性をより向上することができる。また低密度ポリエチレン層の厚さを、5μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
一実施形態において、このような構成の延伸ポリエチレンフィルムは、上記したインフレーション法により作製することができる。
このような方法により作製することにより、製造における欠陥品数を顕著に低減することができ、最終的には、生産効率を向上することができる。
また、インフレーション製膜機において、延伸も合わせて行うことができ、これにより、生産効率をより向上することができる。
基材が延伸処理を施されたものである場合、該延伸は、一軸延伸であっても、二軸延伸であってもよい。
基材の長手方向(MD)の延伸倍率は、2倍以上10倍以下であることが好ましく、3倍以上7倍以下であることが好ましい。
基材の長手方向(MD)の延伸倍率を2倍以上とすることにより、基材の強度および耐熱性を向上することができる。さらに、基材への印刷適性を向上することができる。また、基材の透明性を向上することができる。一方、基材の長手方向(MD)の延伸倍率の上限値は、特に制限されるものではないが、基材の破断限界の観点からは10倍以下とすることが好ましい。
また、基材の横手方向(TD)の延伸倍率は、2倍以上10倍以下であることが好ましく、3倍以上7倍以下であることが好ましい。
基材の横手方向(TD)の延伸倍率を2倍以上とすることにより、基材の強度および耐熱性を向上することができる。さらに、基材への印刷適性を向上することができる。また、基材の透明性を向上することができる。一方、基材の横手方向(TD)の延伸倍率の上限値は、特に制限されるものではないが、基材の破断限界の観点からは10倍以下とすることが好ましい。
基材に対し電子線照射が施されている場合、該基材に含まれるポリエチレンまたはポリプロピレンの架橋密度が、電子線照射により、向上し、基材の耐熱性および強度を著しく改善することができる。なお、本態様は、基材がポリエチレンから構成されている場合に特に適したものである。
基材は、一方の面におけるポリエチレンが、電子線照射により、架橋密度が向上されたものであってもよく、その全体におけるポリオレフィンの架橋密度が向上されたものあってもよい。
また、基材が多層構造を有する場合、最表面の層におけるポリエチレンが少なくとも電子線照射により架橋密度が向上されていればよい。
強度および耐熱性という観点からは、全体におけるポリエチレンの架橋密度が電子線照射により向上されていることが好ましい。
基材への電子線照射に使用することのできる装置としては、従来公知のものを使用でき、例えば、カーテン型電子照射装置(LB1023、株式会社アイ・エレクトロンビーム製)、ライン照射型低エネルギー電子線照射装置(EB−ENGINE、浜松ホトニクス株式会社製)およびドラムロール型電子線照射装置(EZ−CURE、株式会社アイ・エレクトロンビーム製)などを好適に使用することができる。
基材に対し照射する電子線の線量は、10kGy以上2000kGy以下の範囲が好ましく、20kGy以上1000kGy以下の範囲がより好ましく、150kGy以上500kGy以下の範囲がより好ましい。
また、電子線の加速電圧は、30kV以上300kV以下の範囲が好ましく、50kV以上300kV以下の範囲がより好ましく、50kV以上250kV以下の範囲がさらに好ましい。
また、電子線の照射エネルギーは、20keV以上750keV以下の範囲であることが好ましく、25keV以上500keV以下の範囲であることがより好ましく、30keV以上400keV以下の範囲であることがさらに好ましく、20keV以上200keV以下の範囲であることが特に好ましい。
電子線照射装置内の酸素濃度は、500ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましい。このような条件下で電子線照射を行うことにより、オゾンの発生を抑制することができるとともに、電子線照射によって生じたラジカルが、雰囲気中の酸素によって失活してしまうのを抑制することができる。このような条件は、例えば、装置内を不活性ガス(窒素、アルゴンなど)雰囲気とすることにより達成することができる。
一実施形態において、電子線の照射は、冷却ドラムなどを用いて、冷却と同時に行うことができる。
また、基材は、表面処理が施されていてもよい。これにより、隣接する層との密着性を向上することができる。
表面処理の方法は特に限定されず、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスおよび/または窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理、並びに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
また、基材表面に従来公知のアンカーコート剤を用いて、アンカーコート層を形成してもよい。
基材は、その表面に印刷層を有していてもよく、印刷層に形成される画像は、特に限定されず、文字、柄、記号およびこれらの組み合わせなどが表される。
環境負荷の観点から、基材への印刷層形成は、バイオマス由来の原料(ポリオレフィンやポリエステル等の樹脂材料等)を使用したインキを用いて行われることが好ましい。
バイオマス由来のインキとしては、例えば、DICグラフィックス(株)製のフィナートBMやサカタインクス(株)製のXA−55等が挙げられる。
印刷層の形成方法は、特に限定されるものではなく、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などの従来公知の印刷法を挙げることができる。これらの中でも、環境負荷の観点から、フレキソ印刷法が好ましい。
基材の厚さは、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上30μm以下であることがより好ましい。基材の厚さを10μm以上とすることにより、その強度および耐熱性をより向上することができる。また、基材の厚さを50μm以下とすることにより、該基材を備える積層体の加工適性を向上することができる。
さらに、基材が白色顔料を含む場合に、基材上に画像を形成した場合における、該画像の視認性をより向上することができる。また、本発明の積層体を用いて作製される包装材料に充填される内容物をより隠蔽することができる。また、積層体の遮光性をより向上することができる。
一実施形態において、基材は、その表面であって、ドライラミネート層側に蒸着膜を備えていてもよい。これにより、積層体のガスバリア性、具体的には、酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。
本発明の積層体を用いて作製される包装材料に充填される内容物が、洗剤やシャンプーなどである場合、該バリア性は要求されず、積層体の加工適性の観点からは、積層体は蒸着膜を備えないことが好ましい。
蒸着膜としては、アルミニウムなどの金属、並びに酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウムなどの無機酸化物から構成される、蒸着膜を挙げることができる。
また、蒸着膜の厚さは、1nm以上150nm以下であることが好ましく、5nm以上60nm以下であることがより好ましく、10nm以上40nm以下であることがさらに好ましい。
蒸着膜の厚さを1nm以上とすることにより、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。また、蒸着膜の厚さを150nm以下とすることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を防止することができる。また、積層体のリサイクル性を維持することができる。
一実施形態において、基材は、ドライラミネート層側表面に、バリアコート層を備え、これにより、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。
基材が、蒸着膜を備える場合、該バリアコート層は、上記蒸着膜上に設けられていても、蒸着膜下に設けられていてもよい。
一実施形態において、バリアコート層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、並びに(メタ)アクリル樹脂などのガスバリア性樹脂を含む。これらの中でも、酸素バリア性および水蒸気バリア性という観点から、ポリビニルアルコールが好ましい。
また、上記蒸着膜が、無機酸化物から構成される場合、バリアコート層にポリビニルアルコールを含有させることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に防止することができる。
バリアコート層におけるガスバリア性樹脂の含有量は、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、75質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。バリアコート層におけるガスバリア性樹脂の含有量を50質量%以上とすることにより、基材の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。
バリアコート層は、本発明の特性を損なわない範囲において、上記添加剤を含むことができる。
バリアコート層の厚さは、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
バリアコート層の厚さを0.01μm以上とすることにより、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。バリアコート層の厚さを10μm以下とすることにより、積層体のリサイクル性を維持することができる。
バリアコート層は、上記材料を水または適当な溶剤に、溶解または分散させ、塗布、乾燥することにより形成することができる。また、市販されるバリアコート剤を塗布、乾燥することによってもバリアコート層を形成することができる。
また、他の実施形態において、バリアコート層は、金属アルコキシドと水溶性高分子との混合物を、ゾルゲル法触媒、水および有機溶剤などの存在下で、ゾルゲル法によって重縮合して得られる金属アルコキシドの加水分解物または金属アルコキシドの加水分解縮合物などの樹脂組成物を少なくとも1種含むガスバリア性塗布膜である。
基材が、無機酸化物から構成される蒸着膜を備える場合、該形態のバリアコート層を、蒸着膜と隣接するように設けることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に防止することができる。
一実施形態において、金属アルコキシドは、下記一般式で表される。
M(OR
(ただし、式中、R、Rは、それぞれ、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。)
金属原子Mとしては、例えば、珪素、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムなどを使用することができる。
また、RおよびRで表される有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基およびi−ブチル基などのアルキル基を挙げることができる。
上記一般式を満たす金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン(Si(OCH)、テトラエトキシシラン(質量%)Si(OC)、テトラプロポキシシラン(Si(OC)、テトラブトキシシラン(Si(OC)などが挙げられる。
また、上記金属アルコキシドと共に、シランカップリング剤が使用されることが好ましい。
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができるが、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好ましい。エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランとしては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランおよびβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
上記のようなシランカップリング剤は、2種以上を使用してもよく、シランカップリング剤は、上記アルコキシドの合計量100質量部に対して、1〜20質量部程度の範囲内で使用することが好ましい。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールおよびエチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましく、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐水性および耐候性という観点からは、これらを併用することが好ましい。
ガスバリア性塗布膜における水溶性高分子の含有量は、金属アルコキシド100質量部に対して5質量部以上500質量部以下であることが好ましい。
ガスバリア性塗布膜における水溶性高分子の含有量を、金属アルコキシド100質量部に対して5質量部以上とすることにより、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。また、ガスバリア性塗布膜における水溶性高分子の含有量を、金属アルコキシド100質量部に対して500質量部以下とすることにより、ガスバリア性塗布膜の製膜性を向上することができる。
ガスバリア性塗布膜の厚さは、0.01μm以上100μm以下であることが好ましく、0.1μm以上50μm以下であることがより好ましい。これにより、リサイクル性を維持しつつ、酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。
ガスバリア性塗布膜の厚さを0.01μm以上とすることにより、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。また、無機酸化物から構成される蒸着膜と隣接するように設けた場合に、蒸着膜におけるクラックの発生を防止することができる。
ガスバリア性塗布膜は、上記材料を含む組成物を、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータなどの従来公知の手段により、塗布し、その組成物をゾルゲル法により重縮合することにより形成させることができる。
ゾルゲル法触媒としては、酸またはアミン系化合物が好適である。アミン系化合物としては、水に実質的に不溶であり、且つ有機溶媒に可溶な第3級アミンが好適であり、例えば、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミンなどが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルべンジルアミンが好ましい。
ゾルゲル法触媒は、金属アルコキシド100質量部当り、0.01質量部以上1.0質量部以下の範囲で使用することが好ましく、0.03質量部以上0.3質量部以下の範囲で使用することがより好ましい。
ゾルゲル法触媒の使用量を金属アルコキシド100質量部当り、0.01質量部以上とすることにより、その触媒効果を向上することができる。また、ゾルゲル法触媒の使用量を金属アルコキシド100質量部当り、1.0質量部以下とすることにより、形成されるガスバリア性塗布膜の厚さを均一にすることができる。
上記組成物は、さらに酸を含んでいてもよい。酸は、ゾル−ゲル法の触媒、主としてアルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として用いられる。
酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに酢酸、酒石酸などの有機酸が用いられる。酸の使用量は、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対して、0.001モル以上0.05モル以下であることが好ましい。
酸の使用量をアルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対して、0.001モル以上とすることにより、触媒効果を向上することができる。また、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対して、0.05モル以下とすることにより、形成されるガスバリア性塗布膜の厚さを均一にすることができる。
また、上記組成物は、アルコキシドの合計モル量1モルに対して、好ましくは0.1モル以上100モル以下、より好ましくは0.8モル以上2モル以下の割合の水を含んでなることが好ましい。
水の含有量をアルコキシドの合計モル量1モルに対して、0.1モル以上とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。また、水の含有量をアルコキシドの合計モル量1モルに対して、100モル以上とすることにより、加水分解反応を速やかに行うことができる。
また、上記組成物は、有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどを用いることができる。
以下、ガスバリア性塗布膜の形成方法の一実施形態について以下に説明する。
まず、金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶媒および必要に応じてシランカップリング剤などを混合し、組成物を調製する。該組成物中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、基材上に、上記従来公知の方法により、該組成物を塗布、乾燥する。この乾燥により、アルコキシドおよび水溶性高分子(組成物が、シランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤も)の重縮合反応がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。
最後に、該組成物を20〜250℃、好ましくは50〜220℃の温度で、1秒〜10分間加熱することにより、ガスバリア性塗布膜を形成することができる。
バリアコート層は、その印刷層が形成されていてもよい。印刷層の形成方法などについては上記した通りである。
基材は、ポリエチレンを少なくとも含む樹脂組成物を、Tダイ法またはインフレーション法などを利用して製膜し、樹脂フィルムとした後、延伸および/または電子線照射することにより作製することができる。
インフレーション法により製膜することにより、樹脂フィルムの延伸を同時に行うことができる。
樹脂フィルムの延伸および電子線照射を共に行う場合は、いずれを先に行ってもよいが、延伸加工適性という理由からは、延伸を先に行うことが好ましい。
Tダイ法により、基材を作製する場合、樹脂組成物のMFRは、3g/10分以上20g/10分以下であることが好ましい。
樹脂組成物のMFRを3g/10分以上とすることにより、基材の加工適性を向上することができる。また、樹脂組成物のMFRを20g/10分以下とすることにより、基材が延伸時に破断してしまうことを防止することができる。
インフレーション法により、基材を作製する場合、樹脂組成物のMFRは、0.5g/10分以上5g/10分以下であることが好ましい。
樹脂組成物のMFRを0.5g/10分以上とすることにより、基材の加工適性を向上することができる。また、樹脂組成物のMFRを5g/10分以下とすることにより、製膜性を向上することができる。
基材上への蒸着膜の形成は、従来公知の方法を用いて行うことができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法およびイオンプレーティング法などの物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、並びにプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法および光化学気相成長法などの化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)などを挙げることができる。
また、例えば、物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできる。蒸着チャンバーの真空度としては、酸素導入前においては、10−2〜10−8mbar程度が好ましく、酸素導入後においては、10−1〜10−6mbar程度が好ましい。なお、酸素導入量などは、蒸着機の大きさなどによって異なる。導入する酸素には、キャリヤーガスとしてアルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガスなどの不活性ガスを支障のない範囲で使用してもよい。フィルムの搬送速度は、10〜800m/min程度とすることができる。
蒸着膜の表面は、上記表面処理が施されていることが好ましい。これにより、隣接する層との密着性を向上することができる。
(シーラント層)
一実施形態において、シーラント層は、基材と同一材料、すなわち、ポリエチレンまたはポリプロピレンから構成されることを特徴とする。これにより、該積層体のリサイクル性を向上することができる。
低温におけるヒートシール性及び耐落下強度という観点からは、シーラント層は、ポリエチレンを含むことが好ましく、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンを含むことがより好ましい。
耐熱性の観点からは、シーラント層は、ポリプロピレンを含むことが好ましい。
また、本発明の積層体を用いて作製した包装材料の手切れ性向上のため、シーラント層は、低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。
さらに、本発明の積層体を用いて作製した包装材料の落下強度向上のため、シーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンとしては、C−4LLDPEおよびC−6LLDPEが挙げられる。引き裂き性と耐衝撃強度のバランスという観点からは、C−4LLDPEが好ましく、耐落下強度向上という観点からは、C−6LLDPEが好ましい。
シーラント層は、C−4LLDPEおよびC−6LLDPEを共に含むことが好ましい。
シーラント層が、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンを含む場合、低密度ポリエチレンの含有量は5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、9質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。低密度ポリエチレンの含有量を5質量%以上とすることにより、本発明の積層体を用いて作製した包装材料の手切れ性をより向上できる。低密度ポリエチレンの含有量を20質量%以下とすることにより、本発明の積層体を用いて作製した包装材料の落下強度を維持することができる。
また、直鎖状低密度ポリエチレンの含有量は、65質量%以上90質量%以下であることが好ましく、70質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンの含有量を65質量%以上とすることにより、本発明の積層体を用いて作製した包装材料の落下強度をより向上することができる。直鎖状低密度ポリエチレンの含有量を90質量%以下とすることにより、スリップ剤やブロッキング防止剤などの添加剤を加えることができ、加工性に優れた品質のフィルムを得ることができる。
一実施形態において、シーラント層は、上記バイオマス由来のポリエチレンまたはポリプロピレンを含む。
シーラント層が、バイオマス由来のポリエチレンまたはポリプロピレンを含む場合、その含有量は、5質量%以上100質量%以下であることが好ましく、10質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
また、シーラント層は、メカニカルリサイクルされたポリエチレン、ポリプロピレンなどを含むこともできる。
一実施形態において、シーラント層は、上記白色顔料を含む。
シーラント層における白色顔料の含有量は、2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、4質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
シーラント層における白色顔料の含有量を2質量%以上とすることにより、基材上に画像を形成した場合における、該画像の視認性をより向上することができる。また、本発明の積層体を用いて作製される包装材料に充填される内容物をより隠蔽することができる。また、積層体の遮光性をより向上することができる。
また、シーラント層における白色顔料の含有量を15質量%以下とすることにより、フィルムの機械的性質を損なわず、コストの上昇を抑制したフィルムを得ることができる。
本発明の特性を損なわない範囲において、シーラント層は、上記添加材を含むことができる。
一実施形態において、シーラント層は、多層構造を有する。
また、多層構造を有するシーラント層において、バイオマス由来のポリエチレンまたはポリプロピレン、白色顔料は、少なくとも一層に含有されていればよい。
隣接する層との密着性およびヒートシール性という観点からは、中間層が、白色顔料を含むことが好ましい。
例えば、基材とラミネートされるラミネート層と、白色顔料を含む中間層と、ヒートシール層とから構成される。
一実施形態において、多層構造のシーラント層が備える中間シーラント層は、中密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンの少なくとも一方を含む。これにより、本発明の積層体の強度をより向上することができる。
中間層として、中密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンの少なくとも一方を含む層の具体例としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、および超低密度ポリエチレンの少なくともいずれかを含む層と、中密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンの少なくともいずれかを含む層と、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、および超低密度ポリエチレンの少なくともいずれかを含む層とを備える構成が挙げられる。
上記のような構成とすることにより、ヒートシール性を維持しつつ、本発明の積層体の製袋適性および強度をより向上することができる。
シーラント層の厚さは、40μm以上180μm以下であることが好ましく、80μm以上150μm以下であることがより好ましい。これにより、本発明の積層体のヒートシール性をより向上できる。また、シーラント層が白色顔料を含む場合に、基材上に画像を形成した場合における、該画像の視認性をより向上することができる。また、本発明の積層体を用いて作製される包装材料に充填される内容物をより隠蔽することができる。また、積層体の遮光性をより向上することができる。
(接着剤層)
接着剤層は、従来公知の接着剤により形成してもよい。該接着剤は、1液硬化型若しくは2液硬化型、または非硬化型のいずれも接着剤であってもよい。
また、接着剤は、無溶剤型の接着剤であっても、溶剤型の接着剤であってもよいが、環境負荷の観点からは、無溶剤型の接着剤が好ましく使用できる。
無溶剤型接着剤としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤およびウレタン系接着剤などが挙げられ、これらのなかでも2液硬化型のウレタン系接着剤を好ましく使用することができる。
溶剤型接着剤としては、例えば、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤およびオレフィン系接着剤などが挙げられる。
また、好ましくは、接着剤層は、バイオマス由来の原料が使用された接着剤により構成されることが好ましい。これにより、本発明の積層体を用いて作製される包装材料の環境負荷をより効果的に低減することができる。
このような接着剤としては、例えば、ロックペイント製のアドロックRU−80、東洋インキ(株)製のECOAD、DICグラフィックス(株)製のHA−233B−EM等が挙げられる。
また、本発明の積層体が、アルミニウム蒸着膜を備える場合、該アルミニウム蒸着膜に隣接して設けられる接着剤層は、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物とを含む樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。
蒸着膜を備えた積層体を包装材料に成形する際には、成形機などにより積層体に屈曲負荷がかかるため、アルミニウム蒸着膜に亀裂などが生じる恐れがある。接着剤層を上記した構成とすることにより、アルミニウム蒸着膜に亀裂の発生を防止できると共に、亀裂が生じた場合であっても、酸素バリア性および水蒸気バリア性の低下を抑制することができる(耐屈曲負荷性)。
ポリエステルポリオールは、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する。また、イソシアネート化合物は、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有する。ポリエステルポリオールは、主骨格として、例えばポリエステル構造、またはポリエステルポリウレタン構造を有する。
ポリエステルポリオールおよびイソシアネート化合物を含有する樹脂組成物(接着剤)の具体例としては、DIC株式会社から販売されている、パスリム(PASLIM)のシリーズが使用できる。
該樹脂組成物は、板状無機化合物、カップリング剤、シクロデキストリンおよび/またはその誘導体などをさらに含んでいてもよい。
官能基として1分子中に水酸基を2個以上有するポリエステルポリオールとしては、例えば下記の〔第1例〕〜〔第3例〕を用いることができる。
〔第1例〕オルト配向多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステルポリオール
〔第2例〕グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール
〔第3例〕イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール
以下、各ポリエステルポリオールについて説明する。
第1例に係るポリエステルポリオールは、オルトフタル酸およびその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分とを重縮合して得られる重縮合体である。
特に、オルトフタル酸およびその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する含有率が70〜100質量%であるポリエステルポリオールが好ましい。
第1例に係るポリエステルポリオールは、多価カルボン酸成分としてオルトフタル酸およびその無水物を必須とするが、本実施の形態の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。
具体的には、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸など脂肪族多価カルボン酸、無水マレイン酸、マレイン酸およびフマル酸などの不飽和結合含有多価カルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族多価カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、これらジカルボン酸の無水物およびこれらジカルボン酸のエステル形成性誘導体などの芳香族多価カルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸およびこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体などの多塩基酸などが挙げられる。これらの中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸が好ましい。
なお、上記その他の多価カルボン酸を2種以上使用してもよい。
第2例に係るポリエステルポリオールとして、一般式(1)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステルポリオールを挙げることができる。
一般式(1)において、R、R、Rは、各々独立に、H(水素原子)または下記の一般式(2)で表される基である。
式(2)において、nは1〜5の整数を表し、Xは、置換基を有してもよい1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、および2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれるアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す)で表される基を表す。
但し、R、R、Rのうち少なくとも一つは、一般式(2)で表される基を表す。
一般式(1)において、R、R、Rの少なくとも1つは一般式(2)で表される基である必要がある。中でも、R、R、R全てが一般式(2)で表される基であることが好ましい。
また、R、R、Rのいずれか1つが一般式(2)で表される基である化合物と、R、R、Rのいずれか2つが一般式(2)で表される基である化合物と、R、R、Rの全てが一般式(2)で表される基である化合物の、いずれか2つ以上の化合物が混合物となっていてもよい。
Xは、1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基および2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
Xが置換基によって置換されている場合、1または複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基およびナフチル基などが挙げられる。
一般式(2)において、Yは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、1,5−ペンチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、メチルペンチレン基およびジメチルブチレン基などの炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。Yは、中でも、プロピレン基およびエチレン基が好ましくエチレン基が最も好ましい。
一般式(1)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステル樹脂化合物は、グリセロールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分とを必須成分として反応させることにより合成することができる。
カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としては、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸またはその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、および2,3−アントラセンカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基およびナフチル基などが挙げられる。
また、多価アルコール成分としては炭素原子数2〜6のアルキレンジオールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオールおよびジメチルブタンジオールなどのジオールを例示することができる。
第3例に係るポリエステルポリオールは、下記一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオールである。
一般式(3)において、R、R、Rは、各々独立に、「−(CH)n1−OH(但しn1は2〜4の整数を表す)」、または、一般式(4)の構造を表す。
一般式(4)中、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表し、Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基および2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す)で表される基を表す。但しR、R、Rの少なくとも1つは一般式(4)で表される基である。
一般式(3)において、−(CH)n1−で表されるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状でもよい。n1は、中でも2または3が好ましく、2が最も好ましい。
一般式(4)において、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表す。
Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、および2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
Xが置換基によって置換されている場合、1または複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基およびナフチル基などが挙げられる。
Xの置換基は、中でもヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基およびフェニル基が好ましくヒドロキシル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、フタルイミド基およびフェニル基が最も好ましい。
一般式(4)において、Yは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、1,5−ペンチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、メチルペンチレン基およびジメチルブチレン基などの炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。Yは、中でも、プロピレン基およびエチレン基が好ましくエチレン基が最も好ましい。
一般式(3)において、R、R、Rの少なくとも1つは一般式(4)で表される基である。中でも、R、R、R全てが一般式(4)で表される基であることが好ましい。
また、R、R、Rのいずれか1つが一般式(4)で表される基である化合物と、R、R、Rのいずれか2つが一般式(4)で表される基である化合物と、R、R、Rの全てが一般式(4)で表される基である化合物の、いずれか2つ以上の化合物が混合物となっていてもよい。
一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオールは、イソシアヌル環を有するトリオールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分とを必須成分として反応させることにより合成することができる
イソシアヌル環を有するトリオールとしては、例えば、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸および1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸などのイソシアヌル酸のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
また、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としては、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸またはその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、および2,3−アントラセンカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。
該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基およびナフチル基などが挙げられる。
また、多価アルコール成分としては炭素原子数2〜6のアルキレンジオールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオールおよびジメチルブタンジオールなどのジオールが挙げられる。
中でも、イソシアヌル環を有するトリオール化合物として1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、または1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸を使用し、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としてオルトフタル酸無水物を使用し、多価アルコールとしてエチレングリコールを使用したイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール化合物が、酸素バリア性や接着性に特に優れ好ましい。
イソシアヌル環は高極性であり且つ3官能であり、系全体の極性を高めることができ、且つ、架橋密度を高めることができる。このような観点からイソシアヌル環を接着剤樹脂全固形分に対し5質量%以上含有することが好ましい。
イソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有する。
また、イソシアネート化合物は、芳香族であっても、脂肪族であってもよく、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。
さらに、イソシアネート化合物は、公知のイソシアネートブロック化剤を用いて公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られたブロック化イソシアネート化合物であってもよい。
中でも、接着性や耐レトルト性の観点から、イソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネート化合物が好ましく、酸素バリア性および水蒸気バリア性の観点からは、芳香族であることが好ましい。
イソシアネート化合物の具体的な化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびこれらのイソシアネート化合物の3量体、並びにこれらのイソシアネート化合物と、低分子活性水素化合物若しくはそのアルキレンオキシド付加物、または高分子活性水素化合物とを反応させて得られるアダクト体、ビュレット体およびアロファネート体などが挙げられる。
低分子活性水素化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびメタキシリレンジアミンなどが挙げられ、分子活性水素化合物としては、各種ポリエステル樹脂、ポリエーテルポリオールおよびポリアミドの高分子活性水素化合物などが挙げられる。
樹脂組成物は、ポリエステルポリオールおよびイソシアネート化合物以外に、リン酸変性化合物を含んでいてもよく、例えば下記の一般式(5)または(6)で表される化合物である。
一般式(5)において、R、R、Rは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、(メタ)アクリロイル基、置換基を有してもよいフェニル基および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる基であるが、少なくとも一つは水素原子であり、nは、1〜4の整数を表す。
式中、R、Rは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、(メタ)アクリロイル基、置換基を有してもよいフェニル基および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる基であり、nは1〜4の整数、xは0〜30の整数、yは0〜30の整数を表すが、xとyが共に0である場合を除く。
より具体的には、リン酸、ピロリン酸、トリリン酸、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、イソドデシルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェートおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
樹脂組成物におけるリン酸変性化合物の含有量は、0.005質量%以上10質量%以下が好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。
リン酸変性化合物の含有量を0.005質量%以上とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。また、リン酸変性化合物の含有量を10質量%以下とすることにより、接着剤層の接着性を向上することができる。
ポリエステルポリオールおよびイソシアネート化合物を含有する樹脂組成物は、板状無機化合物を含んでいてもよく、これにより、接着剤層の接着性を向上することができる。また、本発明の積層体の耐屈曲負荷性を向上させることができる。
板状無機化合物としては、例えば、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト、アンチゴライト、クリソタイルなど)およびパイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライなど)などが挙げられる。
カップリング剤としては、例えば、下記一般式(7)であらわされるシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤およびアルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。なお、これらのカップリング剤は、単独でも、2種類以上組み合わせてもよい。
シラン系カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランおよび3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)などが挙げられる。
また、チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトラオクチルビス(ジドデシルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタイノルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネートおよびジクミルフェニルオキシアセテートチタネートなどが挙げられる。
また、アルミニウム系カップリング剤の具体例としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノメタクリレート、イソプロポキシアルミニウムアルキルアセトアセテートモノ(ジオクチルホスフェート)、アルミニウム−2−エチルヘキサノエートオキサイドトリマー、アルミニウムステアレートオキサイドトリマーおよびアルキルアセトアセテートアルミニウムオキサイドトリマーなどが挙げられる。
樹脂組成物は、シクロデキストリンおよび/またはその誘導体を含むことができ、これにより、接着剤層の接着性を向上することができる。また、本発明の積層体の耐屈曲負荷性をより向上できる。
具体的には、例えば、シクロデキストリン、アルキル化シクロデキストリン、アセチル化シクロデキストリンおよびヒドロキシアルキル化シクロデキストリンなどのシクロデキストリンのグルコース単位の水酸基の水素原子を他の官能基で置換したものなどを用いることができる。また、分岐環状デキストリンも用いることができる。
また、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体におけるシクロデキストリン骨格は、6個のグルコース単位からなるα−シクロデキストリン、7個のグルコース単位からなるβ−シクロデキストリン、8個のグルコース単位からなるγ−シクロデキストリンのいずれであってもよい。
これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、これらシクロデキストリンおよび/またはその誘導体を以降、デキストリン化合物と総称する場合がある。
樹脂組成物への相溶性および分散性の観点から、シクロデキストリン化合物としては、シクロデキストリン誘導体を用いることが好ましい。
アルキル化シクロデキストリンとしては、例えば、メチル−α−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリンおよびメチル−γ−シクロデキストリンなどが挙げられる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アセチル化シクロデキストリンとしては、例えば、モノアセチル−α−シクロデキストリン、モノアセチル−β−シクロデキストリンおよびモノアセチル−γ−シクロデキストリンなどが挙げられる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンとしては、例えば、ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンなどが挙げられる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の特性を損なわない範囲において、接着剤層は、酸化チタン、亜鉛華およびカーボンブラックなどの顔料、分散染料、酸性染料およびカチオン染料などの染料、酸化防止剤、滑剤、着色剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、軟化剤、硬化剤、可塑剤、レベリング剤、紫外線吸収剤並びに難燃剤などの添加材を含むことができる。
接着剤層の厚さは、特に限定されるものではなく、例えば、1μm以上、5μm以下とすることができる。
(中間層)
一実施形態において、本発明の積層体は、中間層として、ポリエチレンまたはポリプロピレンから構成される層を備える。
また、一実施形態において、中間層は、上記白色顔料を含んでいてもよい。
ポリエチレン層における白色顔料の含有量は、0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
中間層における白色顔料の含有量を2質量%以上とすることにより、基材上に画像を形成した場合における、該画像の視認性をより向上することができる。また、本発明の積層体を用いて作製される包装材料に充填される内容物をより隠蔽することができる。また、積層体の遮光性をより向上することができる。
また、中間層における白色顔料の含有量を15質量%以下とすることにより、フィルムの機械的性質を損なわず、コストの上昇を抑制したフィルムを得ることができる。
中間層は、延伸フィルムにより構成されていてもよく、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもよく、好ましい延伸倍率については上記した通りである。
また、中間層は、ポリエチレンまたはポリプロピレンを溶融押出することにより形成した押出樹脂層であってもよい。
ポリエチレンまたはポリプロピレンにより構成される中間層の厚さは、10μm以上70μm以下であることが好ましく、15μm以上50μm以下であることがより好ましい。
中間層が白色顔料を含む場合に、基材上に画像を形成した場合における、該画像の視認性をより向上することができる。また、本発明の積層体を用いて作製される包装材料に充填される内容物をより隠蔽することができる。また、積層体の遮光性をより向上することができる。
一実施形態において、本発明の積層体は、中間層として、ガスバリア性樹脂から構成されるガスバリア層を備える。
本発明の積層体がこのような中間層を備えることにより、酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。
ガスバリア性樹脂としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、並びに(メタ)アクリル樹脂などが挙げられる。
また、一実施形態において、ガスバリア層は、上記白色顔料を含んでいてもよい。
ガスバリア層における白色顔料の含有量は、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、2質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。
ガスバリア層における白色顔料の含有量を1質量%以上とすることにより、基材上に画像を形成した場合における、該画像の視認性をより向上することができる。また、本発明の積層体を用いて作製される包装材料に充填される内容物をより隠蔽することができる。また、積層体の遮光性をより向上することができる。
また、ガスバリア層における白色顔料の含有量を10質量%以下とすることにより、ガスバリア性を維持しつつ、ガスバリア層の白色度を向上できる。
ガスバリア層の厚さは、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
ガスバリア層の厚さを0.01μm以上とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。ガスバリア層の厚さを10μm以下とすることにより、本発明の積層体のリサイクル性を維持することができる。
また、中間層が白色顔料を含む場合に、基材上に画像を形成した場合における、該画像の視認性をより向上することができる。また、本発明の積層体を用いて作製される包装材料に充填される内容物をより隠蔽することができる。また、積層体の遮光性をより向上することができる。
一実施形態において、中間層は、蒸着膜を備える。使用することができる蒸着膜の態様、好ましい厚さ、形成方法などについては上記した通りである。
一実施形態において、中間層は、バリアコート層を備える。バリアコート層の構成、好ましい厚さ、形成方法などについては上記した通りである。
(第2の態様における積層体)
第2の態様において、本発明の積層体は、基材と、中間層と、シーラント層とを備え、これらが同一の材料、すなわち、ポリエチレンまたはポリプロピレンから構成されることを特徴とする。
本発明においては、少なくとも中間層が、白色顔料を含んでなる。このような態様によれば、基材への印刷適性およびシーラント層のヒートシール性を維持しつつ、基材上に画像を形成した場合における、該画像の視認性を向上することができる。また、本発明の積層体を用いて作製される包装材料に充填される内容物を隠蔽することができる。また、積層体の遮光性を向上することができる。
さらに、本発明においては、基材、中間層およびシーラント層の少なくとも一層が、バイオマス由来のポリエチレンまたはバイオマス由来のポリプロピレンを含む。これにより、本発明の積層体を用いて作製される包装材料の環境負荷を低減することができる。
また、本発明の積層体は、任意の層間に、接着剤層を備えることができる。
第2の態様の積層体における基材、中間層、シーラント層及び接着剤層の構成については、第1の態様の積層体と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
(包装材料)
本発明の包装材料は、上記積層体から構成されていることを特徴とする。
包装材料の形状は、特に限定されるものではなく、図4に示すように、袋状の形状を有するスタンドパウチとしてもよい。
一実施形態において、本発明の包装材料20は、内容物が、洗剤やシャンプーなどといった、液体や粘調体や粉末である場合、図5に示されるような注出用ノズル部21を備えるスタンドパウチであってもよい。
また、開封容易性の観点から、図5に示されるような、包装材料20が内側に湾曲した湾曲部22を備えていてもよい。
さらに、レーザー光線などにより形成される切り取り部23を備えていてもよい。
一実施形態において、本発明の包装材料30は、図6に示すように、上縁シール部31により介装されたスパウト32を備えるスタンドパウチであってもよい。また、スパウト32の上端には、蓋栓33が螺着されている。
なお、図4〜6において、斜線部分はヒートシール部分を表す。また、図4〜6においては、包装材料として、スタンドパウチを例示したが、これに限定されるものではない。
一実施形態において、包装材料は、シーラント層が内側となるように、本発明の積層体を二つ折にして重ね合わせて、その端部をヒートシールすることにより製造することができる。
また、他の実施形態において、包装材料は、2枚の積層体を、シーラント層が向かい合うように重ね合わせ、その端部をヒートシールすることによっても製造することができる。
また、一実施形態において、包装材料は、上記積層体を2枚、シーラント層が向かい合うように、重ね合わせ、2辺をヒートシールすることで、胴部を形成し、次いで、さらにもう1枚の積層体を、シーラント層が外側となるように、V字状に折り、胴部の一端から挟み込み、ヒートシールすることにより底部を形成し、製造することができる。
また、一実施形態において、包装材料は、上記積層体を2枚、シーラント層が向かい合うように、重ね合わせ、1辺をヒートシールすることで、底部を形成し、次いで、さらにもう2枚の積層体を、シーラント層が外側となるように、V字状に折り、向かい合わせとなった積層体の両端から挟み込み、ヒートシールすることにより胴部を形成し、製造することができる。
ヒートシールの方法は、特に限定されるものではなく、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シールなどの公知の方法で行うことができる。
包装材料に充填される内容物は、特に限定されるものではなく、内容物は、液体、粉体およびゲル体であってもよい。また、食品であっても、非食品であってもよい。
本発明による包装材料によれば、内容物が、洗剤などの着色されたものであっても、基材に形成された画像に影響を与えることがないため、好適に充填することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
バイオマス由来のポリエチレン(バイオマス度16%)をインフレーション押出機を用いて製膜し、厚さ125μmのポリエチレンフィルムを作製し、これを縦一軸延伸し、厚さ25μmの基材用フィルムを得た。
この一方の面に、バイオマス由来の材料を使用したインキ(バイオマス度10%)を用いて、グラビア印刷機により画像を形成した。
上記バイオマス由来のポリエチレン及び酸化チタンを含む樹脂組成物をインフレーション押出機を用いて製膜し、厚さ140μmのシーラント層用未延伸フィルムを作製した。酸化チタンの含有量は、5質量%となるよう調整した。
基材用フィルムの画像形成面と、シーラント層用未延伸フィルムとを、主剤の一部にバイオマス由来のセパシン酸を使用している芳香族ポリエステルポリウレタン接着剤(ロックペイント(株)製、主剤RU−80、硬化剤H−5、配合比15:1)を用いて積層し、本発明の積層体を得た。
実施例2
実施例1と同様にして、厚さ25μmの基材用フィルムを準備した。この一方の面に、バイオマス由来の材料を使用したインキ(バイオマス度10%)を用いて、グラビア印刷機により画像を形成した。
上記バイオマス由来のポリエチレン及び酸化チタンを含む樹脂組成物を、インフレーション押出機を用いて製膜し、厚さ40μmの中間層用未延伸フィルムを作製した。酸化チタンの含有量は、5質量%となるよう調整した。
基材用フィルムの画像形成面と、中間層用フィルムとを、上記芳香族ポリエステルポリウレタン接着剤により積層した。
C6LLDPE(密度:0.919g/m、MFR:2.3g/10分)60.5質量部と、
バイオマス由来のポリエチレン(密度:0.916g/m、MFR:1.0g/10分)18.5質量部と、
LDPE(密度:0.919g/m、MFR:2.0g/10分)20.0質量部と、
LDPEベースの添加剤(密度:0.921g/m、MFR:5.4g/10分)1.0質量部とを混合し、樹脂組成物とし、これを、インフレーション押出機を用い、厚さ80μm、密度:0.918g/m、バイオマス度16%のシーラント層用未延伸フィルムを作製した。
中間層用未延伸フィルムの他方の面に、上記シーラント層用未延伸フィルムを、上記芳香族ポリエステルポリウレタン接着剤により積層し、本発明の積層体を得た。
実施例3
実施例1と同様にして、厚さ25μmの基材用フィルムを準備した。この一方の面に、バイオマス由来の材料を使用したインキ(バイオマス度10%)を用いて、グラビア印刷機により画像を形成した。
上記バイオマス由来のポリエチレン及び酸化チタンを含む樹脂組成物を、インフレーション押出機を用いて製膜し、厚さ40μmの中間層用未延伸フィルムを作製した。酸化チタンの含有量は、5質量%となるよう調整した。この中間層未延伸フィルムの両面にコロナ処理を施した。
基材用フィルムの画像形成面と、中間層用フィルムとを、上記芳香族ポリエステルポリウレタン接着剤により積層した。
実施例2と同様にして、厚さ40μmのシーラント層用フィルムを作製すると共に、これを中間層未延伸フィルムの他方の面に、上記芳香族ポリエステルポリウレタン接着剤により積層し、本発明の積層体を得た。
実施例4
実施例1と同様にして、厚さ25μmの基材用フィルムを準備した。この一方の面に、バイオマス由来の材料を使用したインキ(バイオマス度10%)を用いて、グラビア印刷機により画像を形成した。
上記バイオマス由来のポリエチレン及び酸化チタンを含む樹脂組成物を、インフレーション押出機を用いて製膜し、厚さ40μmの中間層用未延伸フィルムを作製した。酸化チタンの含有量は、5質量%となるよう調整した。この中間層未延伸フィルムの両面にコロナ処理を施した。
基材用フィルムの画像形成面と、中間層用フィルムとを、上記芳香族ポリエステルポリウレタン接着剤により積層した。
実施例2と同様にして、厚さ80μmのシーラント層用フィルムを作製すると共に、これを中間層未延伸フィルムの他方の面に、上記芳香族ポリエステルポリウレタン接着剤により積層し、本発明の積層体を得た。
比較例1
シーラント層用未延伸フィルムの作製において、酸化チタンを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。
比較例2
基材用フィルムの画像形成面に内容物を隠蔽するための厚さ1μmの白インキ層を設けた以外は、比較例1と同様にして、積層体を作製した。
比較例3
基材用フィルムを、厚さ25μmの未延伸ポリエチレンフィルムに変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。
<<内容物隠蔽性試験>>
上記実施例および比較例において作製した積層体を、縦220mm×横130mmのサイズにカットした。
上記のようにカットした積層体を2枚シーラント層が向かい合うようにして重ね合わせると共に、胴部の一端から上記実施例および比較例において作製した積層体を、シーラント層が外側となるように、V字状に折ったものを挟み込んだ。
次いで、縦2辺およびV字状の積層体を挟み込んだ辺をヒートシールした。
なお、ヒートシール温度は、155℃とした。
また、比較例3の積層体は、基材用フィルムの耐熱性が十分ではなく、ヒートシールすることができなかった。
次いで、炭酸ガスレーザー(キーエンス製、3Axis−CO2レーザーマーカML−Z9520A、出力70%、印字スピード1000mm/分)を照射して切り取り部を形成し、打ち抜き加工により図5に示す、注出用ノズル部及び湾曲部を形成し、開口部を有するスタンドパウチ状の包装材料を作製した。
この包装材料に青色の液体洗剤300mLを充填し、残り一辺をヒートシールし、包装体とした。
上記のようにして作製した包装体を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:内容物の色は確認されず、高い内容物隠蔽性が確認された。
NG:内容物の色が確認され、基材上に形成した画像の色味に影響を与えてしまっていた。
<<ラミネート強度試験>>
上記のようにして作製した包装体を、フィルムの流れ方向に15mm幅にカットし、試験片を得た。この試験辺の基材層とシーラント層又は基材層と中間層との界面で剥離させ、この剥離を途中で止め、途中まで剥離した試験片の両端部を試験速度300mm/分で上下に引っ張り、その際の応力を測定することで、ラミネート強度を評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:白インキ層の凝集破壊がなく、一定強度で剥離した。
NG:白インキ層の凝集破壊による剥離が確認された。
<<手切れ性試験>>
上記内容物隠蔽性試験において得られた包装体を、手で開封し、その容易性を以下の評価基準に基づいて、評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:力をほとんど加えることなく、開封することができた。
NG:力を強く加える必要があり、伸びや千切れが発生する等、実用上問題があった
<<落下強度試験>>
上記内容物隠蔽性試験において得られた包装体を100cmの高さから、包装体の胴部を地面と水平にした状態で、硬い床に10回自由落下させた。該試験を10袋ずつ行い、破損の有無を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて、強度を評価した。評価結果を表1にまとめた。
A:10袋全てにおいて破損が確認できなかった
NG:10袋中1袋以上において破損が確認され、実用上問題があった。
10:積層体、11:基材、12:シーラント層、13:中間層、14:接着剤層、20:包装材料、21:注出用ノズル部、22:湾曲部、23:切り取り部、30:包装材料、31:上縁シール部、32:スパウト、33:蓋栓

Claims (10)

  1. 基材と、シーラント層とを備える積層体であって、
    前記基材および前記シーラント層は、同一の材料により構成され、
    前記基材は、延伸処理および電子線照射処理の少なくとも一方が施されており、
    前記同一材料が、ポリエチレンまたはポリプロピレンであり、
    前記基材および前記シーラント層の少なくとも一方が、白色顔料を含み、
    前記基材および前記シーラント層の少なくとも一方が、バイオマス由来のポリエチレンまたはバイオマス由来のポリプロピレンを含むことを特徴とする、積層体。
  2. 前記基材は、前記白色顔料を含み、
    前記基材における前記白色顔料の含有量が、0.5質量%以上20質量%以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材の厚さが、15μm以上40μm以下である、請求項2に記載の積層体。
  4. 前記シーラント層は前記白色顔料を含み、
    前記シーラント層における前記白色顔料の含有量が、2質量%以上15質量%以下である、請求項1に記載の積層体。
  5. 前記シーラント層の厚さが、40μm以上180μm以下である、請求項4に記載の積層体。
  6. 基材と、中間層と、シーラント層とを備える積層体であって、
    前記基材、前記中間層および前記シーラント層が同一の材料により構成され、
    前記基材は、延伸処理および電子線照射処理の少なくとも一方が施されており、
    前記同一材料が、ポリエチレンまたはポリプロピレンであり、
    前記中間層が、白色顔料を含み、
    前記基材、前記中間層および前記シーラント層の少なくとも一層が、バイオマス由来のポリエチレンまたはバイオマス由来のポリプロピレンを含むことを特徴とする、積層体。
  7. 包装材料用途に用いられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体により構成されることを特徴とする、包装材料。
  9. 抽出用ノズル部を備える、請求項8に記載の包装材料。
  10. スパウトを備える、請求項8に記載の包装材料。
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