JP2020200533A - 缶用鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接性に優れる缶用鋼板およびその製造方法を提供する。【解決手段】鋼板の表面に、上記鋼板側から順に、金属クロム層およびクロム水和酸化物層を有し、上記金属クロム層の付着量が、65mg/m2以上200mg/m2以下であり、上記クロム水和酸化物層のクロム換算の付着量が、7mg/m2以上30mg/m2以下であり、上記金属クロム層が、基部と、上記基部上に設けられた粒状突起と、を含み、上記粒状突起の最大粒径が、200nm超である、缶用鋼板。【選択図】図1

Description

本発明は、缶用鋼板およびその製造方法に関する。
特許文献1には、「鋼板の表面に、前記鋼板側から順に、金属クロム層およびクロム水和酸化物層を有し、前記金属クロム層の付着量が、50〜200mg/mであり、前記クロム水和酸化物層のクロム換算の付着量が、3〜30mg/mであり、前記金属クロム層が、厚さが7.0nm以上である基部と、前記基部上に設けられ、最大粒径が200nm以下であり、単位面積あたりの個数密度が30個/μm以上である粒状突起と、を含む、缶用鋼板。」が記載されている(請求項1)。
国際公開第2018/225739号
本発明者らが検討した結果、特許文献1に具体的に記載された缶用鋼板は、評価の手法によっては、溶接性が不十分である場合があった。より詳細には、特定の条件下で、缶用鋼板と電極との間の接触抵抗値を測定したところ、その値が大きく、溶接性が不十分と判断される場合があった。
そこで、本発明は、溶接性に優れる缶用鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、金属クロム層の粒状突起の最大粒径が特定の範囲である場合に、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供する。
[1]鋼板の表面に、上記鋼板側から順に、金属クロム層およびクロム水和酸化物層を有し、上記金属クロム層の付着量が、65mg/m以上200mg/m以下であり、上記クロム水和酸化物層のクロム換算の付着量が、7mg/m以上30mg/m以下であり、上記金属クロム層が、基部と、上記基部上に設けられた粒状突起と、を含み、上記粒状突起の最大粒径が、200nm超である、缶用鋼板。
[2]上記粒状突起の最大粒径が、1000nm未満である、上記[1]に記載の缶用鋼板。
[3]上記[1]または[2]に記載の缶用鋼板を製造する方法であって、六価クロム化合物およびフッ素含有化合物を含有する水溶液を用いて、鋼板に対して、陰極パルス電解処理と陽極パルス電解処理とを無通電状態を生じさせることなく交互に行なう周期的逆電解処理を施し、上記周期的逆電解処理は、n回目の上記陰極パルス電解処理をCとし、n回目の上記陽極パルス電解処理をAとしたときに、下記(1)〜(4)のいずれかで表される、缶用鋼板の製造方法。
(1)C・・・An+1
(2)C・・・C
(3)A・・・A
(4)A・・・Cn+1
ただし、上記(1)〜(4)において、nは3以上の整数である。
[4]上記水溶液は、Cr量が0.5mol/L以上であり、かつ、F量が0.2mol/L以上である、上記[3]に記載の缶用鋼板の製造方法。
[5]上記陰極パルス電解処理の電気量密度に対する、上記陽極パルス電解処理の電気量密度の比が、0.001以上1未満である、上記[3]または[4]に記載の缶用鋼板の製造方法。
[6]上記水溶液は、0.009mol/L以上のSO 2−を含有する、上記[3]〜[5]のいずれかに記載の缶用鋼板の製造方法。
[7]上記陰極パルス電解処理および上記陽極パルス電解処理の通電時間が、それぞれ、0.01秒以上1.00秒以下である、上記[3]〜[6]のいずれかに記載の缶用鋼板の製造方法。
本発明によれば、溶接性に優れる缶用鋼板およびその製造方法を提供できる。
本発明の缶用鋼板の一例を模式的に示す断面図である。 周期的逆電解処理の一例を示すグラフである。
[缶用鋼板]
図1は、本発明の缶用鋼板の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、鋼板2を有する。缶用鋼板1は、更に、鋼板2の表面に、鋼板2側から順に、金属クロム層3およびクロム水和酸化物層4を有する。
金属クロム層3は、鋼板2を覆う平板状の基部3aと、基部3a上に設けられた粒状突起3bとを含む。クロム水和酸化物層4は、粒状突起3bの形状に追従するように、金属クロム層3上に配置される。
以下、本発明の缶用鋼板の各構成について、より詳細に説明する。
〈鋼板〉
鋼板の種類は特に限定されない。通常、容器材料として使用される鋼板(例えば、低炭素鋼板、極低炭素鋼板)を用いることができる。この鋼板の製造方法、材質なども特に限定されない。通常の鋼片製造工程から熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質圧延等の工程を経て製造される。
〈金属クロム層〉
本発明の缶用鋼板は、上述した鋼板の表面に、金属クロム層を有する。
金属クロムは、鋼板の表面露出を抑えて耐食性を向上させる。
缶用鋼板の耐食性が優れるという理由から、金属クロム層の付着量は、65mg/m以上であり、70mg/m以上が好ましく、80mg/m以上がより好ましい。付着量は鋼板片面当たりの付着量である(以下、同様)。
一方、金属クロム量が多すぎると、高融点の金属クロムが鋼板全面を覆うことになり、溶接時に溶接強度の低下やチリの発生が著しくなり、溶接性が劣化する場合がある。
缶用鋼板の溶接性が優れるという理由から、金属クロム層の付着量は、200mg/m以下であり、180mg/m以下が好ましく、160mg/m以下がより好ましい。
《付着量の測定方法》
金属クロム層の付着量、および、後述するクロム水和酸化物層のクロム換算の付着量は、次のようにして測定する。
まず、金属クロム層およびクロム水和酸化物層を形成させた缶用鋼板について、蛍光X線装置を用いて、クロム量(全クロム量)を測定する。次いで、缶用鋼板を、90℃の7.5N−NaOH中に10分間浸漬させるアルカリ処理を行なってから、再び、蛍光X線装置を用いて、クロム量(アルカリ処理後クロム量)を測定する。アルカリ処理後クロム量を、金属クロム層の付着量とする。
次に、(アルカリ可溶性クロム量)=(全クロム量)−(アルカリ処理後クロム量)を計算し、アルカリ可溶性クロム量を、クロム水和酸化物層のクロム換算の付着量とする。
このような金属クロム層は、基部と、基部上に設けられた粒状突起と、を含む。次に、金属クロム層が含むこれらの各部について、詳細に説明する。
《金属クロム層の基部》
金属クロム層の基部は、主に、鋼板表面を被覆し、耐食性を向上させる。
金属クロム層の基部は、ハンドリング時に不可避的に缶用鋼板どうしが接触した際に、表層に設けられた粒状突起が基部を破壊して鋼板が露出しないように、均一な厚みを十分に確保していることが好ましい。
このような観点から、金属クロム層の基部の厚さは、7nm以上が好ましく、9nm以上がより好ましく、10nm以上が更に好ましい。
一方、上限は特に限定されないが、金属クロム層の基部の厚さは、例えば、20nm以下であり、15nm以下が好ましい。
(厚さの測定方法)
金属クロム層の基部の厚さは、次のようにして測定する。
まず、金属クロム層およびクロム水和酸化物層を形成させた缶用鋼板の断面サンプルを、集束イオンビーム(FIB)法で作製し、走査透過電子顕微鏡(TEM)で20,000倍にて観察する。次いで、明視野像での断面形状観察で、粒状突起がなく基部のみが存在する部分に注目し、エネルギー分散型X線分光法(EDX)によるライン分析で、クロムおよび鉄の強度曲線(横軸:距離、縦軸:強度)から基部の厚さを求める。このとき、より詳細には、クロムの強度曲線において、強度が最大値の20%である点を最表層として、鉄の強度曲線とのクロス点を鉄との境界点として、2点間の距離を基部の厚さとする。
《金属クロム層の粒状突起》
金属クロム層の粒状突起は、上述した基部の表面に形成されており、缶用鋼板どうしの接触抵抗を低下させて溶接性を向上させる。接触抵抗が低下する推定のメカニズムを以下に記述する。
金属クロム層の上に被覆されるクロム水和酸化物層は、不導体皮膜であるため、金属クロムよりも電気抵抗が大きく、溶接の阻害因子になる。金属クロム層の基部の表面に粒状突起を形成させると、溶接する際の缶用鋼板どうしの接触時の面圧により、粒状突起がクロム水和酸化物層を破壊して、溶接電流の通電点になり、接触抵抗が大幅に低下する。
金属クロム層の粒状突起の最大粒径は200nm超である。これにより、缶用鋼板の溶接性が優れる。その理由は、粒状突起がある程度の大きさを有することにより、クロム水和酸化物層を破壊する効果が増したり、より通電点として機能しやすくなったりするためと推測される。
缶用鋼板の溶接性がより優れるという理由から、金属クロム層の粒状突起の最大粒径は、210nm以上が好ましく、230nm以上がより好ましく、260nm以上が更に好ましく、320nm以上が特に好ましく、340nm以上が最も好ましい。
一方、金属クロム層の粒状突起が大きすぎると、缶用鋼板の表面外観が不十分となる場合がある。このため、缶用鋼板の表面外観が優れるという理由から、金属クロム層の粒状突起の最大粒径は、1,000nm未満が好ましく、800nm以下がより好ましく、600nm以下が更に好ましい。
金属クロム層の粒状突起が多い場合は、通電点が増加することにより、溶接性がより優れる。このため、金属クロム層の粒状突起の単位面積あたりの個数密度は、例えば、10個/μm以上であり、15個/μm以上が好ましく、20個/μm以上がより好ましく、30個/μm以上が更に好ましく、50個/μm以上が特に好ましく、100個/μm以上が最も好ましい。
一方、缶用鋼板の表面外観が優れるという理由から、金属クロム層の粒状突起の単位面積あたりの個数密度は、10,000個/μm以下が好ましく、5,000個/μm以下がより好ましく、1,000個/μm以下が更に好ましく、800個/μm以下が特に好ましい。
(粒状突起の粒径および単位面積あたりの個数密度の測定方法)
金属クロム層の粒状突起の粒径および単位面積あたりの個数密度は、次のようにして測定する。
まず、金属クロム層およびクロム水和酸化物層を形成させた缶用鋼板の表面に、カーボン蒸着を行ない、抽出レプリカ法によって観察用サンプルを作製する。その後、走査透過電子顕微鏡(TEM)で20,000倍にて写真を撮影する。撮影した写真をソフトウェア(商品名:ImageJ)を用いて二値化して画像解析を行なうことで、粒状突起の占める面積から逆算し、真円換算として粒径および単位面積あたりの個数密度を求める。最大粒径は、20,000倍で5視野撮影した観察視野での最大の粒径とする。単位面積あたりの個数密度は、5視野の平均とする。
〈クロム水和酸化物層〉
クロム水和酸化物は、鋼板の表面に、金属クロムと同時に析出し、耐食性および塗料密着性を向上させる。
《付着量》
缶用鋼板の耐食性および塗料密着性を確保する理由から、クロム水和酸化物層のクロム換算の付着量は、7mg/m以上であり、16mg/m以上が好ましい。
一方、クロム水和酸化物は、金属クロムと比較して導電率が劣り、量が多すぎると溶接時に過大な抵抗となり、チリやスプラッシュの発生および過融接に伴うブローホールなどの各種溶接欠陥を引き起こし、缶用鋼板の溶接性が劣る場合がある。
このため、クロム水和酸化物層のクロム換算の付着量は、缶用鋼板の溶接性が優れるという理由から、30mg/m以下であり、缶用鋼板の溶接性がより優れるという理由から、25mg/m以下が好ましく、20mg/m以下がより好ましい。
クロム水和酸化物層のクロム換算の付着量の測定方法は、上述したとおりである。
[缶用鋼板の製造方法]
次に、上述した本発明の缶用鋼板を製造する方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう)を説明する。
〈周期的逆電解処理〉
本発明の製造方法においては、後述する水溶液を用いて、鋼板に対して、周期的逆電解処理を施す。図2は、周期的逆電解処理の一例を示すグラフである。図2に示すように、周期的逆電解処理では、陰極パルス電解処理(通電時間が極短い陰極電解処理)と陽極パルス電解処理(通電時間が極短い陽極電解処理)とを無通電状態を生じさせることなく交互に行なう。各パルス電解処理の通電時間は、1.00秒以下が好ましく、0.60秒以下がより好ましい。
一方、粒状突起が形成しやすくなり、溶接性がより優れるという理由から、各パルス電解処理の通電時間は、0.01秒以上が好ましく、0.10秒以上がより好ましく、0.20秒以上が更に好ましい。
すなわち、周期的逆電解処理は、n回目の陰極パルス電解処理をCとし、n回目の陽極パルス電解処理をAとしたときに、下記(1)〜(4)のいずれかで表される。
(1)C・・・An+1
(2)C・・・C
(3)A・・・A
(4)A・・・Cn+1
最初の陰極パルス電解処理によって、金属クロムおよびクロム水和酸化物が析出する。続く陽極パルス電解処理によって、鋼板全面かつ多発的に金属クロムが溶解し、粒状突起の起点(析出サイト)が形成される。更に続く陰極パルス電解処理によって、金属クロムの粒状突起が析出する。
最初に陽極パルス電解処理を行なう場合においても、続けて、陰極パルス電解処理と陽極パルス電解処理とを繰り返し行なうことにより、同様に、粒状突起が形成される。
このため、陰極パルス電解処理と陽極パルス電解処理とを複数回繰り返す。具体的には、上記(1)〜(4)において、n(以下、「繰り返し数n」ともいう)は、3以上の整数であり、5以上が好ましく、10以上がより好ましい。
上限は特に限定されないが、繰り返し数nは、例えば、800以下であり、500以下が好ましく、300以下がより好ましく、100以下が更に好ましく、50以下が特に好ましい。
従来の方法(特に、工業的な連続ラインを用いる方法)では、水溶液中を搬送される鋼板に対して、離れた複数の電極ごとに、陰極電解処理または陽極電解処理を行なう。このため、陰極電解処理と陽極電解処理との間に、不可避的に無通電状態(鋼板が水溶液中に無通電で浸漬された状態)が生じる。
電解処理に用いる水溶液に含まれるフッ素含有化合物から解離するイオン(例えば、F、SiF 2−)や任意で含まれる硫酸イオン(SO 2−)は、無通電状態であっても、鋼板の表層に形成されたクロム水和酸化物を不均一に溶解する。この溶解サイトは、後の陰極電解処理において金属クロムの粒状突起が析出するサイトとなる。
すなわち、従来の方法では、粒状突起の析出サイトが、陽極電解処理だけでなく、無通電状態の浸漬によっても不均一に形成される。このため、粒状突起は分散し、粒径が微細化すると考えられる。
これに対して、無通電状態を生じさせることなく、陰極パルス電解処理と陽極パルス電解処理とを交互に繰り返す。これにより、限られたサイトで集中的に粒状突起を成長させることができ、粗大化できると考えられる。
また、周期的逆電解処理では、短時間に極性を逆転させて電解処理を繰り返す。このため、電解処理に用いる水溶液中の反応物質が電気的に移動する前に、電解処理が切り替わっていることが予想され、拡散律速状態にあると推定される。拡散律速である(物質移動が律速である)と、特に電流が集中しやすい粒状突起上で溶解と析出とを繰り返すことになるから、従来の方法よりも、粒状突起が粗大化しやすいと考えられる。一方で、各パルス電解処理の通電時間が短すぎると、粒状突起を形成しにくい場合があると考えられる。
陰極パルス電解処理は、金属クロムおよびクロム水和酸化物を析出させ、かつ、粒状突起の起点から粒状突起を形成する。このとき、陰極パルス電解処理が強すぎたり弱すぎたりすると、粒状突起の個数密度が減少する場合がある。
陽極パルス電解処理は、粒状突起の起点を形成する。このとき、陽極パルス電解処理での溶解が強すぎたり弱すぎると、粒状突起の起点が減少したり、不均一に溶解が進行して粒状突起の分布にばらつきが生じたり、金属クロム層の基部の厚さが減少したりする場合がある。
そこで、陰極パルス電解処理の電気量密度に対する、陽極パルス電解処理の電気量密度の比(陽極パルス電解処理/陰極パルス電解処理)は、0.001以上1未満が好ましく、0.003以上0.090以下がより好ましく、0.005以上0.075以下が更に好ましい。
電気量密度の比(陽極パルス電解処理/陰極パルス電解処理)が上記範囲内であれば、金属クロム層における粒状突起の個数密度や基部の厚さを適切な範囲にしやすい。
電気量密度(単位:C/dm)は、電流密度(単位:A/dm)と通電時間(単位:sec.)との積である。
〈水溶液〉
周期的逆電解処理に用いる水溶液は、少なくとも、六価クロム化合物およびフッ素含有化合物を含有する。
六価クロム化合物としては、例えば、三酸化クロム(CrO);二クロム酸カリウム(KCr7)などの二クロム酸塩;クロム酸カリウム(KCrO)などのクロム酸塩;等が挙げられる。
水溶液におけるCr量は、0.5mol/L以上が好ましく、0.7mol/L以上がより好ましく、1.0mol/L以上が更に好ましい。
一方、水溶液におけるCr量は、5.0mol/L以下が好ましく、3.0mol/L以下がより好ましい。
フッ素含有化合物としては、例えば、フッ化水素酸(HF)、フッ化カリウム(KF)、フッ化ナトリウム(NaF)、ケイフッ化水素酸(HSiF)および/またはその塩などが挙げられる。ケイフッ化水素酸の塩としては、例えば、ケイフッ化ナトリウム(NaSiF)、ケイフッ化カリウム(KSiF)、ケイフッ化アンモニウム((NHSiF)などが挙げられる。
水溶液におけるF量は、0.2mol/L以上が好ましく、0.25mol/L以上がより好ましい。
一方、水溶液におけるF量は、5.0mol/L以下が好ましく、4.0mol/L以下がより好ましく、3.0mol/L以下がより好ましい。
水溶液は、更に、SO 2−を含有してもよい。
SO 2−は、例えば、硫酸(HSO);硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カルシウム(CaSO)などの硫酸塩;等の態様で水溶液に含有される。硫酸の態様で水溶液に含有されることが好ましい。
水溶液におけるSO 2−量は、0.009mol/L以上が好ましい。
一方、水溶液におけるSO 2−量は、0.090mol/L以下が好ましく、0.080mol/L以下がより好ましく、0.070mol/L以下が更に好ましい。
周期的逆電解処理における水溶液の液温は、20℃以上80℃以下が好ましく、40℃以上60℃以下がより好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
〈缶用鋼板の作製〉
0.22mmの板厚で製造した調質度T4CAの鋼板に対して、通常の脱脂および酸洗を施した。次いで、CrO、NaF、および、HSOを含有する水溶液を、静止セルに入れ、鉛電極を使用し、鋼板に対して、周期的逆電解処理を施して、缶用鋼板を作製した。作製後の缶用鋼板は、水洗し、ブロアを用いて室温で乾燥した。
水溶液のCr量、F量、および、SO 2−量を、下記表1に示す。
周期的逆電解処理の種類(上述した(1)〜(4)のいずれか)、繰り返し数n、および、電気量密度の比(陽極パルス電解処理/陰極パルス電解処理)を、下記表1に示す。
ただし、比較例1では、特許文献1(国際公開第2018/225739号)の実施例43と同様にして、缶用鋼板を作製した。
〈付着量および粒状突起の最大粒径〉
作製した缶用鋼板について、金属クロム層の付着量、および、クロム水和酸化物層のクロム換算の付着量(下記表1では単に「付着量」と表記)を測定した。測定方法は、上述したとおりである。
また、作製した缶用鋼板の金属クロム層について、粒状突起の最大粒径を測定した。測定方法は、上述したとおりである。
いずれも結果を下記表1に示す。
〈評価〉
作製した缶用鋼板について、以下の評価を行なった。評価結果は下記表1に示す。
《溶接性》
作製した缶用鋼板について、塗装焼付時の熱処理をシミュレートした熱処理を行なった後、接触抵抗を測定した。
より詳細には、まず、各例ごとに、缶用鋼板を2枚ずつ、210℃に設定したガス炉内に入れ、205℃に到達した後、10分間熱処理した。このとき、熱電対を溶接した測温用サンプルを、缶用鋼板とともにガス炉内に入れて、温度をモニターした。
熱処理後、2枚の缶用鋼板を重ね合わせた。重ね合わせた2枚の缶用鋼板を、電極(先端径6mm、曲率R40mmとして加工した、DR型1質量%Cr−Cu電極)で挟み込んで、加圧力1kgf/cmとして15秒保持した。その後、10Aの通電を行ない、缶用鋼板と電極との間の接触抵抗値(R)を測定した。10点測定し、平均値を接触抵抗値とし、下記基準で評価した。実用上、「◎◎」、「◎」または「○」であれば、溶接性に優れると評価できる。
◎◎:Rが500μΩ以下
◎:Rが500μΩ超、1000μΩ以下
○:Rが1000μΩ超、1500μΩ以下
△:Rが1500μΩ超、2000μΩ以下
×:Rが2000μΩ超
〈評価結果のまとめ〉
上記表1に示すように、発明例1〜18の缶用鋼板は、比較例1よりも、溶接性に優れていた。
1:缶用鋼板
2:鋼板
3:金属クロム層
3a:基部
3b:粒状突起
4:クロム水和酸化物層

Claims (7)

  1. 鋼板の表面に、前記鋼板側から順に、金属クロム層およびクロム水和酸化物層を有し、
    前記金属クロム層の付着量が、65mg/m以上200mg/m以下であり、
    前記クロム水和酸化物層のクロム換算の付着量が、7mg/m以上30mg/m以下であり、
    前記金属クロム層が、基部と、前記基部上に設けられた粒状突起と、を含み、
    前記粒状突起の最大粒径が、200nm超である、缶用鋼板。
  2. 前記粒状突起の最大粒径が、1000nm未満である、請求項1に記載の缶用鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の缶用鋼板を製造する方法であって、
    六価クロム化合物およびフッ素含有化合物を含有する水溶液を用いて、鋼板に対して、陰極パルス電解処理と陽極パルス電解処理とを無通電状態を生じさせることなく交互に行なう周期的逆電解処理を施し、
    前記周期的逆電解処理は、n回目の前記陰極パルス電解処理をCとし、n回目の前記陽極パルス電解処理をAとしたときに、下記(1)〜(4)のいずれかで表される、缶用鋼板の製造方法。
    (1)C・・・An+1
    (2)C・・・C
    (3)A・・・A
    (4)A・・・Cn+1
    ただし、前記(1)〜(4)において、nは3以上の整数である。
  4. 前記水溶液は、Cr量が0.5mol/L以上であり、かつ、F量が0.2mol/L以上である、請求項3に記載の缶用鋼板の製造方法。
  5. 前記陰極パルス電解処理の電気量密度に対する、前記陽極パルス電解処理の電気量密度の比が、0.001以上1未満である、請求項3または4に記載の缶用鋼板の製造方法。
  6. 前記水溶液は、0.009mol/L以上のSO 2−を含有する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の缶用鋼板の製造方法。
  7. 前記陰極パルス電解処理および前記陽極パルス電解処理の通電時間が、それぞれ、0.01秒以上1.00秒以下である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の缶用鋼板の製造方法。
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