以下、図面を参照して、医用画像診断装置の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
医用画像診断装置は、被検体(例えば、患者)を撮影等することにより検査を実施する装置である。医用画像診断装置は、例えば、X線診断装置、X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置、核医学診断装置等を含む。本実施形態では、X線CT装置を一例として説明する。
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例を示す図である。X線CT装置1は、被検体のCT画像データを収集する。具体的には、X線CT装置1は、被検体を略中心にX線管及びX線検出器を旋回移動させ、被検体を透過したX線を検出して投影データを収集する。そして、X線CT装置1は、収集した投影データに基づいて、CT画像データを生成する。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とする。なお、図1は、説明のために架台装置10を複数方向から描画したものであり、X線CT装置1が架台装置10を1つ有する場合を示す。
架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS(Data Acquisition System)18とを有する。
X線管11は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することで、被検体Pに対し照射するX線を発生する。例えば、X線管11には、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工したフィルタである。
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。また、図1においては、X線管11とコリメータ17との間にウェッジ16が配置される場合を示すが、X線管11とウェッジ16との間にコリメータ17が配置される場合であってもよい。この場合、ウェッジ16は、X線管11から照射され、コリメータ17により照射範囲が制限されたX線を透過して減衰させる。
X線検出器12は、X線を検出する検出素子を複数有する。X線検出器12における各検出素子は、X線管11から照射されて被検体Pを通過したX線を検出し、検出したX線量に対応した信号をDAS18へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心とした1つの円弧に沿ってチャンネル方向(チャネル方向)に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャンネル方向に複数の検出素子が配列された検出素子列が列方向(スライス方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
例えば、X線検出器12は、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、フォトダイオード等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管11が発生するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、図示しない固定フレームに設けられても構わない。ここで、固定フレームは、回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
DAS18は、X線検出器12が有する各検出素子によって検出されるX線の信号を収集する。例えば、DAS18は、各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS18は、例えば、プロセッサにより実現される。
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。例えば、回転フレーム13は、アルミニウムを材料とした鋳物である。なお、回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やウェッジ16、コリメータ17、DAS18等を更に支持することもできる。更に、回転フレーム13は、図1において図示しない種々の構成を更に支持することもできる。
なお、DAS18が生成したデータは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)を有する送信機から、光通信によって、架台装置10の非回転部分(例えば、固定フレーム等であり、図1での図示は省略している)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分へのデータの送信方法は、光通信に限らず、非接触型の如何なるデータ伝送方式を採用してもよいし、接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、後述する入力インターフェース43からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う。例えば、制御装置15は、回転フレーム13の回転や架台装置10のチルト、寝台装置30及び天板33の動作等について制御を行う。一例を挙げると、制御装置15は、架台装置10をチルトさせる制御として、入力された傾斜角度(チルト角度)情報により、X軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させる。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられてもよい。
ここで、図1に示すように、例えば、架台装置10の上部には、図示しない排気口を介してファン50が設けられている。なお、ファン50の設置場所は、架台装置10の上部に限定されない。ファン50の使用については後述する。
寝台装置30は、撮影対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを有する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を、天板33の長軸方向に移動する駆動機構であり、モータ及びアクチュエータ等を含む。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。なお、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影データやCT画像データを記憶する。また、例えば、メモリ41は、X線CT装置1に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。なお、メモリ41は、X線CT装置1とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された各種の画像を表示したり、操作者から各種の操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。なお、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
入力インターフェース43は、操作者から各種の入力操作を受け付けて、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、CT画像データを再構成する際の再構成条件や、CT画像データから後処理画像を生成する際の画像処理条件等の入力操作を操作者から受け付ける。例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース43は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、コンソール装置40とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
処理回路44は、X線CT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、システム制御機能440、スキャン制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、及び、表示制御機能444を実行する。
システム制御機能440は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。
スキャン制御機能441は、当該被検体Pに対してX線を利用したスキャンを実行する。例えば、スキャン制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、スキャンを制御する。具体的には、スキャン制御機能441は、入力操作に基づいて、X線高電圧装置14に制御信号を送信することで、高電圧発生装置からの出力電圧を制御する。また、スキャン制御機能441は、DAS18に制御信号を送信することで、DAS18によるデータ収集を制御する。
前処理機能442は、DAS18から送信されたX線検出データに対して前処理を行うことで、前処理を施したデータを生成する。具体的には、前処理機能442は、対数変換処理や、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の補正処理を行なうことで、前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(X線検出データ)及び前処理後のデータを総称して、投影データと称する場合もある。
再構成処理機能443は、前処理機能442により生成された投影データを種々の再構成法(例えば、FBP(Filtered Back Projection)などの逆投影法や、逐次近似法など)によって再構成することでCT画像データを生成する。また、再構成処理機能443は、生成したCT画像データをメモリ41に格納する。
表示制御機能444は、処理回路44によって生成された各種の画像をディスプレイ42に表示させる。例えば、表示制御機能444は、再構成処理機能443によって生成されたCT画像データをディスプレイ42に表示させる。
また、例えば、処理回路44は、取得機能445及び回転制御機能446を実行する。取得機能445及び回転制御機能446の処理については後述する。なお、取得機能445は、取得部の一例である。回転制御機能446は、回転制御部の一例である。
図1に示すX線CT装置1においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41へ記憶されている。処理回路44は、メモリ41からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路44は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable GateArray:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
以上、本実施形態に係るX線CT装置1の全体構成について説明した。ところで、X線CT装置1では、架台装置10内の温度が上昇するため、架台装置10内を冷却する冷却機構として、例えば、架台装置10にはファン50が用いられる。しかし、ファン50は、架台装置10内の温度の上昇を抑制する一方、ファン50の回転により騒音が発生するため、検査時において患者(被検体P)と検査技師との会話に支障が出る場合がある。例えば、検査時における会話としては、検査技師が患者に対して患者名を確認する場合や、「頭をつけてください」、「腕を頭のほうに上げてください」、「息を止めてください」などの指示を与える場合などが挙げられる。
そこで、本実施形態に係るX線CT装置1は、検査時におけるファン50による騒音を抑制するために、以下の処理を実行する。本実施形態に係るX線CT装置1では、架台装置10と、ファン50と、取得機能445と、回転制御機能446とを備える。架台装置10は、検査室に設けられている。ファン50は、架台装置10内を冷却する。取得機能445は、検査室への入退室を表す第1情報を取得する。回転制御機能446は、第1情報を用いて、検査室に患者が入室したか否かを判定し、判定の結果に基づいて、ファン50の回転を制御する。
次に、第1の実施形態において、処理回路44が実行する取得機能445、及び、回転制御機能446の各機能について説明する。
まず、第1の実施形態において、X線CT装置1の設置例について説明する。
図2は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の設置例を示す図である。図3は、第1の実施形態に係るX線CT装置1を説明するための図である。例えば、図2に示すように、病院内において、検査室63には、架台装置10及び寝台装置30が設けられている。検査室63の隣の操作室65には、コンソール装置40が設けられ、コンソール装置40は、検査技師等の操作者により操作される。操作室65には、操作者が検査室63と操作室65とを出入りするためのドア64と、操作者が操作室65から検査室63を一望するための窓66とが設けられている。検査室63には、例えば患者が検査室63への入退室を行うためのドア62が設けられている。また、図2及び図3に示すように、ドア62には、ドア62の開閉を検出するドア開閉検出スイッチ60が設けられている。
ドア開閉検出スイッチ60は、ドア62の開閉を検出し、検出した信号をドア開閉検出信号としてコンソール装置40に出力する。コンソール装置40において、取得機能445は、ドア開閉検出スイッチ60から出力されたドア開閉検出信号を取得する。ドア開閉検出信号は、第1情報の一例である。
回転制御機能446は、取得機能445がドア開閉検出信号を取得した回数を用いて、検査室63に患者が入室したか否かを判定し、判定の結果に基づいて、ファン50の回転を制御する。当該回数は、例えば、病院内のルールに基づいて決定される。例えば、病院内のルールとして、当該回数が1回目及び4回目であるときに、回転制御機能446は、ファン50の回転を制御する。
まず、前の検査が終了したときに、ドア62の開閉により、ファン50の回転が、低速回転から高速回転に切り替えられているものとする。すなわち、ファン50の回転速度は、検査室63に患者が居ないときの回転速度であり、ファン50の回転により騒音が発生する。
次に、検査を受ける患者、検査技師等の操作者、及び、付添人(例えば、看護師や、患者の配偶者、親など)が、ドア62を開閉して、検査室63に入室したものとする。このとき、ドア開閉検出スイッチ60は、ドア62の開閉を検出してドア開閉検出信号を出力し、取得機能445は、1回目のドア開閉検出信号をドア開閉検出スイッチ60から取得する。この場合、ファン50の回転速度が高速回転中であるときに、取得機能445が1回目のドア開閉検出信号を取得したため、回転制御機能446は、検査室63に患者が入室したと判定し、ファン50の回転を、高速回転から低速回転に切り替える。すなわち、回転制御機能446は、ファン50の回転速度を、検査室63に患者が居ないときの回転速度よりも低くする。
次に、検査を開始する前に、付添人が、ドア62を開閉して、検査室63から退室したものとする。このとき、ドア開閉検出スイッチ60は、ドア62の開閉を検出してドア開閉検出信号を出力し、取得機能445は、2回目のドア開閉検出信号をドア開閉検出スイッチ60から取得する。この場合、ファン50の回転速度が低速回転中であるときに、取得機能445が2回目のドア開閉検出信号を取得したため、回転制御機能446は、検査室63に患者が居ると判定し、ファン50の回転を低速回転の状態で維持する。
次に、ファン50の回転速度が低速回転中であるときに、操作者は、検査室63内の検査として、撮影処理を行う。具体的には、スキャン制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、寝台装置30の寝台駆動装置32を制御して被検体Pを架台装置10内に送り込み、架台装置10に対してスキャン制御を行う。
検査が終了した場合、付添人が、ドア62を開閉して、検査室63に入室したものとする。このとき、ドア開閉検出スイッチ60は、ドア62の開閉を検出してドア開閉検出信号を出力し、取得機能445は、3回目のドア開閉検出信号をドア開閉検出スイッチ60から取得する。この場合でも、ファン50の回転速度が低速回転中であるときに、取得機能445が3回目のドア開閉検出信号を取得したため、回転制御機能446は、検査室63に患者が居ると判定し、ファン50の回転を低速回転の状態で維持する。
その後、検査を終えた患者、操作者、及び、付添人が、ドア62を開閉して、検査室63から退室したものとする。このとき、ドア開閉検出スイッチ60は、ドア62の開閉を検出してドア開閉検出信号を出力し、取得機能445は、4回目のドア開閉検出信号をドア開閉検出スイッチ60から取得する。この場合、ファン50の回転速度が低速回転中であるときに、取得機能445が4回目のドア開閉検出信号を取得したため、回転制御機能446は、検査室63から患者が退室したと判定し、ファン50の回転を、低速回転から高速回転に切り替える。すなわち、回転制御機能446は、ファン50の回転速度を、検査室63に患者が居ないときの回転速度にする。
図4は、第1の実施形態に係るX線CT装置1による処理の手順を示すフローチャートである。
回転制御機能446は、取得機能445がドア開閉検出信号を取得したか否かを判定する(ステップS101)。取得機能445がドア開閉検出信号を取得していない場合(ステップS101;No)、再度、ステップS101の判定処理を行う。
回転制御機能446は、取得機能445がドア開閉検出信号を取得した場合(ステップS101;Yes)、ファン50の回転速度が高速回転中であるか否かを判定する(ステップS102)。
ここで、ファン50の回転速度が高速回転中である場合(ステップS102;Yes)、回転制御機能446は、検査室63に患者が入室したと判定する(ステップS103)。すなわち、取得機能445が1回目のドア開閉検出信号を取得していて、ファン50の回転速度が高速回転中である。この場合、回転制御機能446は、ファン50の回転を、高速回転から低速回転に切り替える(ステップS104)。
一方、ファン50の回転速度が低速回転中である場合(ステップS102;No)、回転制御機能446は、取得機能445がドア開閉検出信号を取得した回数が設定回数であるか否かを判定する(ステップS105)。設定回数は、例えば、上述した病院内のルールにより、4回とする。
ここで、取得機能445がドア開閉検出信号を取得した回数が、設定回数に達していないものとする(ステップS105;No)。すなわち、当該回数が2回目や3回目であるものとする。この場合、回転制御機能446は、ファン50の回転速度を低速回転に維持したまま、再度、ステップS101の判定処理を行う。
一方、取得機能445がドア開閉検出信号を取得した回数が、設定回数に達したものとする(ステップS105;Yes)。すなわち、当該回数4回目であるものとする。この場合、回転制御機能446は、検査室63から患者が退室したと判定し(ステップS106)、ファン50の回転を、低速回転から高速回転に切り替える(ステップS107)。
以上、説明したとおり、第1の実施形態に係るX線CT装置1では、取得機能445は、検査室63への入退室を表す第1情報(ドア開閉検出信号)を取得する。回転制御機能446は、ドア開閉検出信号を用いて、検査室に患者が入室したか否かを判定する。このとき、回転制御機能446は、取得機能445がドア開閉検出信号を取得した回数を用いて、検査室63に患者が入室したか否かを判定する。そして、回転制御機能446は、判定の結果に基づいて、ファン50の回転を制御する。例えば、回転制御機能446は、検査室63に患者が入室したと判定した場合、ファン50の回転速度を、検査室63に患者が居ないときの回転速度よりも低くする。このように、第1の実施形態に係るX線CT装置1では、ドア開閉検出信号を取得した回数を用いて、検査室63に患者が入室したか否かを判定することにより、検査時におけるファン50による騒音を抑制することができる。
なお、本実施形態の変形例として、取得機能445がドア開閉検出信号を取得した回数が1回目及び2回目であるときに、回転制御機能446は、ファン50の回転を制御してもよい。例えば、病院内のルールとして、検査を受ける患者、及び、操作者が、ドア62を開閉して、検査室63に入室したとき、ドア開閉検出スイッチ60は、ドア62の開閉を検出してドア開閉検出信号を出力し、取得機能445は、1回目のドア開閉検出信号をドア開閉検出スイッチ60から取得する。この場合、取得機能445が1回目のドア開閉検出信号を取得したため、回転制御機能446は、検査室63に患者が入室したと判定し、ファン50の回転を、高速回転から低速回転に切り替える。その後、検査を終えた患者、及び、操作者が、ドア62を開閉して、検査室63から退室したとき、ドア開閉検出スイッチ60は、ドア62の開閉を検出してドア開閉検出信号を出力し、取得機能445は、2回目のドア開閉検出信号をドア開閉検出スイッチ60から取得する。この場合、取得機能445が2回目のドア開閉検出信号を取得したため、回転制御機能446は、検査室63から患者が退室したと判定し、ファン50の回転を、低速回転から高速回転に切り替える。
なお、本実施形態では、ドア開閉検出スイッチ60を挙げているが、ドア62の開閉を検出することができれば、上述のドア開閉検出スイッチ60に限定されず、例えば、カメラでもよい。例えば、コンソール装置40において、メモリ41には、患者の顔画像が登録されていて、取得機能445は、カメラにより撮影された患者の顔画像を取得し、回転制御機能446は、取得機能445が取得した顔画像とメモリ41に登録された患者の顔画像とを照合することにより、患者による検査室63への入退室を判定してもよい。すなわち、カメラにより撮影された患者の顔画像に合致する顔画像がメモリ41に登録されている場合、患者が入退室したと判定する。なお、メモリ41に登録される画像は、患者の顔画像でなく、施設関係者(医師、技師、看護師)の顔画像でも良い。この場合、取得機能445は、カメラにより撮影された患者の顔画像を取得し、回転制御機能446は、取得機能445が取得した顔画像とメモリ41に登録された施設関係者の顔画像とを照合することにより、患者による検査室63への入退室を判定してもよい。すなわち、カメラにより撮影された患者の顔画像に合致する顔画像がメモリ41に登録されていない場合、患者が入退室したと判定する。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、回転制御機能446が、第1情報(ドア開閉検出信号)の他に、スキャン計画に関して受け付けた第2情報を用いて、検査室63に患者が入室したか否かを判定する。例えば、取得機能445が、第2情報として、検査を開始することを表す検査開始情報を取得した後に、ドア開閉検出信号を取得した場合、回転制御機能446は、検査室63に患者が入室したと判定する。取得機能445が、第2情報として、検査を終了することを表す検査終了情報を取得した場合、回転制御機能446は、検査室63から患者が退室する予定と判定する。又は、取得機能445が検査終了情報を取得した後に、ドア開閉検出信号を取得した場合、回転制御機能446は、検査室63から患者が退室したと判定する。以下では、第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なる処理を中心に説明する。
図5は、第2の実施形態に係るX線CT装置1による処理を説明するための図である。
まず、前の検査が終了したときに、ドア62の開閉により、ファン50の回転が、低速回転から高速回転に切り替えられているものとする(図5の時間t1)。
次に、取得機能445は、検査開始の操作情報を受け付ける。具体的には、検査技師等の操作者は、コンソール装置40を用いて、検査開始の契機となる入力操作を行う。例えば、操作者は、コンソール装置40を用いて、次の検査の患者情報を取得するためのボタンを操作する。このとき、取得機能445は、当該ボタン操作に応じて、検査開始の操作情報として、次の検査を受ける患者の患者情報を取得する(図5の時間t10)。取得機能445は、取得した患者情報をディスプレイ42に表示させ、操作者は、取得した患者情報を基に、被検体P(患者)を撮影するスキャン計画を作成する(図5の時間t11)。検査開始の操作情報、すなわち、次の検査の患者情報を取得するためのボタン操作を受け付けたという情報は、第2情報としての検査開始情報の一例である。
次に、検査を受ける患者が、ドア62を開閉して、検査室63に入室したものとする(図5の時間t12)。このとき、ドア開閉検出スイッチ60は、ドア62の開閉を検出してドア開閉検出信号を出力し、取得機能445は、ドア開閉検出信号をドア開閉検出スイッチ60から取得する。すなわち、取得機能445が検査開始の操作の受け付けとして、次の検査の患者情報を取得した後に、取得機能445がドア開閉検出信号を取得している。この場合、回転制御機能446は、検査室63に患者が入室したと判定し、ファン50の回転を、高速回転から低速回転に切り替える。すなわち、回転制御機能446は、ファン50の回転速度を、検査室63に患者が居ないときの回転速度よりも低くする。
次に、ファン50の回転速度が低速回転中であるときに、操作者は、検査室63内の検査として、撮影処理を行う(図5の時間t13)。具体的には、スキャン制御機能441は、寝台装置30により被検体Pが送り込まれた架台装置10に対して、スキャン制御を行う。例えば、取得機能445は、操作者のボタン操作により、撮影処理開始の指示を取得し、スキャン制御機能441は、取得機能445が受け付けた撮影処理開始の指示に基づいて、架台装置10の回転フレーム13を回転させて、撮影処理を行う。
次に、取得機能445は、検査終了の操作情報を受け付ける。具体的には、操作者は、コンソール装置40を用いて、検査終了の契機となる入力操作を行う。例えば、操作者は、コンソール装置40を用いて、撮影処理終了の指示を取得するためのボタンを操作する。このとき、取得機能445は、当該ボタン操作に応じて、検査終了の操作情報として、撮影処理終了の指示を取得する(図5の時間t14)。スキャン制御機能441は、取得機能445が取得した撮影処理終了の指示に基づいて、架台装置10の回転フレーム13の回転を停止させて、撮影処理を終了する。そして、スキャン制御機能441は、寝台装置30の寝台駆動装置32を制御することにより、天板33を元の位置に移動させる。検査終了の操作情報、すなわち、撮影処理終了の指示を行うためのボタン操作を受け付けたという情報は、第2情報としての検査終了情報の一例である。
次に、検査を終えた患者が、ドア62を開閉して、検査室63から退室したものとする(図5の時間t15)。このとき、ドア開閉検出スイッチ60は、ドア62の開閉を検出してドア開閉検出信号を出力し、取得機能445は、ドア開閉検出信号をドア開閉検出スイッチ60から取得する。すなわち、回転制御機能446は、取得機能445が検査終了の操作の受け付けとして、撮影終了の操作情報を取得した後に、取得機能445がドア開閉検出信号を取得した場合、検査室63から患者が退室したと判定する。回転制御機能446は、検査室63から患者が退室したと判定し、ファン50の回転を、低速回転から高速回転に切り替える。すなわち、回転制御機能446は、ファン50の回転速度を、検査室63に患者が居ないときの回転速度にする。
図6は、第2の実施形態に係るX線CT装置1による処理の手順を示すフローチャートである。
次に、回転制御機能446は、取得機能445が検査開始の操作情報を取得したか否かを判定する(ステップS201)。取得機能445が検査開始の操作情報を取得していない場合(ステップS201;No)、再度、ステップS201の判定処理を行う。
ここで、取得機能445が検査開始の操作情報を取得した場合(ステップS201;Yes)、回転制御機能446は、取得機能445がドア開閉検出信号を取得したか否かを判定する(ステップS202)。取得機能445がドア開閉検出信号を取得していない場合(ステップS202;No)、再度、ステップS202の判定処理を行う。
回転制御機能446は、取得機能445がドア開閉検出信号を取得した場合(ステップS202;Yes)、検査室63に患者が入室したと判定する(ステップS203)。すなわち、回転制御機能446は、取得機能445が検査開始の操作の受け付けとして、次の検査の患者情報を取得した後に、取得機能445がドア開閉検出信号を取得した場合、検査室63に患者が入室したと判定する。
次に、回転制御機能446は、検査室63に患者が入室したと判定した場合、ファン50の回転を、高速回転から低速回転に切り替える(ステップS204)。
次に、スキャン制御機能441は、上述した撮影処理を行う(ステップS205)。
ここで、回転制御機能446は、取得機能445が検査終了の操作情報を取得したか否かを判定する(ステップS206)。取得機能445が検査終了の操作情報を取得していない場合(ステップS206;No)、再度、ステップS205の撮影処理を行う。
ここで、取得機能445が検査終了の操作情報を取得した場合(ステップS206;Yes)、回転制御機能446は、取得機能445がドア開閉検出信号を取得したか否かを判定する(ステップS207)。取得機能445がドア開閉検出信号を取得していない場合(ステップS207;No)、再度、ステップS207の判定処理を行う。
回転制御機能446は、取得機能445がドア開閉検出信号を取得した場合(ステップS207;Yes)、検査室63から患者が退室したと判定する(ステップS208)。すなわち、回転制御機能446は、取得機能445が検査終了の操作の受け付けとして、撮影終了の操作情報を取得した後に、取得機能445がドア開閉検出信号を取得した場合、検査室63から患者が退室したと判定する。
次に、回転制御機能446は、検査室63から患者が退室したと判定した場合、ファン50の回転を、低速回転から高速回転に切り替える(ステップS209)。
なお、本実施形態の変形例として、図5の時間t14において、取得機能445が検査終了の操作情報を取得した場合、回転制御機能446は、検査室63から患者が退室する予定と判定してもよい。すなわち、図5の時間t14において、回転制御機能446は、取得機能445が検査終了の操作の受け付けとして、撮影終了の操作情報を取得した場合、検査室63から患者が退室する予定と判定し、ファン50の回転を、低速回転から高速回転に切り替える。
以上、説明したとおり、第2の実施形態に係るX線CT装置1では、取得機能445は、検査室63への入退室を表す第1情報(ドア開閉検出信号)を取得する。更に、取得機能445は、スキャン計画に関して受け付けた第2情報を取得する。回転制御機能446は、取得機能445が取得した第1情報と第2情報とを用いて、検査室63に患者が入室したか否かを判定し、判定の結果に基づいて、ファン50の回転を制御する。例えば、取得機能445が、第2情報として、検査を開始することを表す検査開始情報を取得し、その後に、第1情報を取得した場合、回転制御機能446は、検査室63に患者が入室したと判定する。この場合、回転制御機能446は、ファン50の回転速度を、検査室63に患者が居ないときの回転速度よりも低くする。取得機能445が、第2情報として、検査を終了することを表す検査終了情報を取得した場合、回転制御機能446は、検査室63から患者が退室する予定と判定する。又は、取得機能445が、第2情報として、検査終了情報を取得し、その後に、第1情報を取得した場合、回転制御機能446は、検査室63から患者が退室したと判定する。この場合、回転制御機能446は、ファン50の回転速度を、検査室63に患者が居ないときの回転速度にする。このように、第2の実施形態に係るX線CT装置1では、検査室63への入退室を表す第1情報と、スキャン計画に関して受け付けた第2情報とを用いて、検査室63に患者が入室したか否かを判定することにより、検査時におけるファン50による騒音を抑制することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、回転制御機能446が、寝台装置30に加わる重量を表す情報を更に用いて、検査室63に患者が入室したか否かを判定する場合について説明する。以下では、第3の実施形態では、第1、第2の実施形態とは異なる処理を中心に説明する。
図8は、第3の実施形態に係るX線CT装置1を説明するための図である。例えば、寝台装置30の天板33には、寝台装置30に加わる重量を検出する重量センサ70が設けられている。
例えば、患者が検査室63に入室し、寝台装置30の天板33に載置される。重量センサ70は、ド寝台装置30に加わる重量を検出し、検出した重量を重量情報としてコンソール装置40に出力する。コンソール装置40において、取得機能445は、重量センサ70から出力された重量情報を取得する。
例えば、第1の実施形態において、図4のステップS103では、回転制御機能446は、取得機能445が1回目のドア開閉検出信号を取得していて、ファン50の回転速度が高速回転中である場合であって、取得機能445が取得した重量情報が表す重量が設定値以上である場合、検査室63に患者が入室したと判定する。
例えば、第2の実施形態において、図5のステップS203では、回転制御機能446は、取得機能445が検査開始の操作情報の受け付けとして、次の検査の患者情報を取得するためのボタン操作を受け付けた後に、取得機能445がドア開閉検出信号を取得した場合であって、取得機能445が取得した重量情報が表す重量が設定値以上である場合、検査室63に患者が入室したと判定する。
以上、説明したとおり、第3の実施形態に係るX線CT装置1では、取得機能445は、寝台装置30に加わる重量を表す重量情報を更に取得する。そして、回転制御機能446は、取得機能445が取得した重量情報を更に用いて、検査室63に患者が入室したか否かを判定する。このように、第3の実施形態に係るX線CT装置1では、寝台装置30に加わる重量を表す重量情報を更に用いることにより、検査室63に患者が入室したか否かを判定するときの判定精度を高めることができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、架台装置10内の温度に基づいて、ファン50の回転を多段階に切り替える場合について説明する。以下では、第4の実施形態では、第1〜第3の実施形態とは異なる処理を中心に説明する。
図8は、第4の実施形態に係るX線CT装置1を説明するための図である。例えば、架台装置10には温度センサ80が設けられている。温度センサ80は、架台装置10内の温度を検出する。ここで、X線管11の近傍、X線高電圧装置14の近傍、及び、DAS18の近傍についても温度が上昇することがある。このため、例えば、温度センサ80は、X線管11の近傍、X線高電圧装置14の近傍、及び、DAS18の近傍のそれぞれに設けられ、X線管11の近傍の温度、X線高電圧装置14の近傍の温度、及び、DAS18の近傍の温度をそれぞれ検出し、それらの温度の平均値を架台装置10内の温度として検出してもよい。
図9は、第4の実施形態に係るX線CT装置1による処理の手順を示すフローチャートである。図9に示す処理は、例えば、第1の実施形態において、図4のステップS104の処理で実行される。また、図9に示す処理は、例えば、第2の実施形態において、図5のステップS204の処理で実行される。
例えば、温度センサ80は、対象とする温度として、架台装置10内の温度を検出する(ステップS401)。
例えば、回転制御機能446は、検査室63に患者が入室したと判定した場合、ファン50の回転を、高速回転から低速回転に切り替える前に、対象の温度(架台装置10内の温度)が設定温度まで下がっているか否かを判定する(ステップS402)。
ここで、判定の結果、対象の温度が設定温度まで下がっている場合(ステップS402;Yes)、回転制御機能446は、ファン50の回転を、高速回転から低速回転に切り替える(ステップS403)。
一方、判定の結果、対象の温度が設定温度まで下がっていない場合(ステップS402;No)、回転制御機能446は、ファン50の回転を、高速回転から、高速回転と低速回転との間の中速回転に切り替える(ステップS404)。
このように、第4の実施形態に係るX線CT装置1では、架台装置10内の温度に基づいて、ファン50の回転を多段階に切り替えることにより、架台装置10内の温度を考慮しながら、検査時におけるファン50による騒音を抑制することができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、架台装置10を構成する複数の構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素毎にファンの回転を制御する場合について説明する。以下では、第5の実施形態では、第4の実施形態とは異なる処理を中心に説明する。
図10は、第5の実施形態に係るX線CT装置1を説明するための図である。例えば、X線管11の近傍には、X線管11を冷却する冷却機構としてファン51が設けられている。また、X線高電圧装置14の近傍には、X線高電圧装置14を冷却する冷却機構としてファン52が設けられている。また、X線検出器12及びDAS18の近傍(例えば、図10ではDAS18)には、X線検出器12及びDAS18を冷却する冷却機構としてファン53が設けられている。第5の実施形態では、回転制御機能446は、ファンの回転を個別に制御する。
ここで、X線管11、X線高電圧装置14、X線検出器12のうち、例えば、X線検出器12の冷却を最優先させる場合を例にして説明する。
例えば、回転制御機能446は、検査室63に患者が入室したと判定した場合、ファン50の回転を、高速回転から低速回転に切り替える前に、対象の温度(架台装置10内の温度)が設定温度まで下がっているか否かを判定する。
ここで、判定の結果、対象の温度が設定温度まで下がっている場合、回転制御機能446は、X線検出器12に設けられたファン53の回転を、高速回転から中速回転に切り替えて、他のファン50〜52の回転を、高速回転から低速回転に切り替える。
一方、判定の結果、対象の温度が設定温度まで下がっていない場合、回転制御機能446は、X線検出器12に設けられたファン53の回転を高速回転に維持したまま、他のファン50〜52の回転を、高速回転から中速回転に切り替える。
このように、第5の実施形態に係るX線CT装置1では、架台装置10を構成する複数の構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素(X線管11、X線高電圧装置14、DAS18)にそれぞれファン51〜53を設けておき、回転制御機能446は、少なくとも1つの構成要素(X線管11、X線高電圧装置14、DAS18)毎にファン(ファン51〜53)の回転を制御することにより、検査時において、ファン毎の騒音を抑制することができる。
(その他の実施形態)
これまで第1〜第5の実施形態について説明したが、上述した第1〜第5の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態では、モダリティ装置としてX線CT装置1を例にして説明したが、X線CT装置1だけでなく、X線診断装置、MRI装置、核医学診断装置(例えば、PET(Positron Emission Tomography)装置)等のモダリティ装置にも適用することができる。
また、処理回路44は、ネットワークを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路44は、メモリ41から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、X線CT装置1とネットワークを介して接続された外部のワークステーションやクラウドを計算資源として利用することにより、図1に示す各機能を実現する。
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
また、上述した実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
また、上述した実施形態によるX線CT装置1は、例えば、高精細のX線CT装置(以下、高精細CT装置と記載する)に適用される。高精細CT装置では、X線検出器12として、0.25mm×160列の検出素子を体軸方向に配列することにより、従来型のX線CT装置(例えば、0.5mm×80列の検出素子)に比べてスライス幅が1/2となり、体軸方向において、従来よりも2倍の空間分解能が得られる。また、高精細CT装置では、X線検出器12として、従来型のX線CT装置の2倍のチャンネル数である1792チャンネルの検出素子を面内方向に配列することにより、面内方向において、従来よりも2倍の空間分解能が得られる。ここで、高精細CT装置は、従来型のX線CT装置より高い空間分解能を有するX線検出器12を搭載することにより、X線検出器12により収集される信号が増加する。このため、X線検出器12が信号処理を行う処理量が増加し、X線検出器12の温度が上昇する。高精細CT装置では、X線検出器12の温度上昇に伴い、架台装置10内の温度が上昇するため、架台装置10内を冷却する必要がある。したがって、上述した実施形態によるX線CT装置1は、高精細CT装置である場合において、特に有効である。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、検査時におけるファンによる騒音を抑制することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。