JP2020196961A - スパンボンド不織布 - Google Patents

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大樹 島田
洋平 中野
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洋平 中野
羽根 亮一
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Abstract

【課題】単繊維径が細径ながら紡糸性が良好で生産性の高いポリオレフィン繊維からなり、高い柔軟性や優れた肌触りを有し、かつ耐毛羽立ち性や強度に優れたスパンボンド不織布を提供すること。【解決手段】本発明のスパンボンド不織布は、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維によって構成されてなるスパンボンド不織布であって、前記のスパンボンド不織布は、融着部と非融着部を有し、前記の繊維の平均単繊維径が6.5μm以上14.0μm以下であり、前記の非融着部の繊維は、DSCを用い測定して得られる、繊維のオリジナル結晶の融解温度(Tm1)と再結晶化物の主融解温度(Tm2)との差(Tm2−Tm1)が5℃以上20℃以下であり、かつ、前記の融着部の繊維は、ラマン分光を用い測定して得られる以下の式Aの配向パラメータが1.0以上5.6以下である。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系繊維からなり、特に衛生材料用途としての使用に適したスパンボンド不織布に関するものである。
一般に、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料用の不織布には、風合い、肌触り、柔軟性および高い生産性が求められている。特に、紙おむつのトップシートは肌に直接触れる素材であることから、肌触りや柔軟性に対する要求が高い用途の一つである。
このように、風合い、肌触りおよび柔軟性を向上させる手段としては、従来から不織布を構成する繊維の繊維径をコントロールする手法が効果的であることが知られている。例えば、繊維の繊度と吸着力を特定の範囲とすることにより、繊維自体の曲げ柔らかさを向上させたスパンボンド不織布が提案されている(特許文献1参照)。
また、比較的メルトフローレートの大きいポリプロピレン系樹脂を原料として用い、ドラフト比を1500以上とすることにより、単繊維繊度を1.5デニール以下まで細径化し、柔軟性と強度を両立させる方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開2013−159884号公報 特許第4943349号公報
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、比較的メルトフローレートの小さい、すなわち高粘度のポリプロピレン系樹脂を原料として用い、紡糸速度を5000m/分のように高速化することにより繊維を細径化しており、接着性が低下して毛羽立ちが発生しやすいという課題があることを見出した。
一方、特許文献2に開示された方法では、比較的メルトフローレートの大きいポリプロピレン系樹脂を原料として用い、ドラフト比を1500以上とすることにより細径化しているため、低粘度の原料を大きい孔径の口金で紡糸する必要がある。このことにより、口金背圧が掛かりにくく、均一な紡出ができずに糸切れや繊維径ムラが発生しやすい他、要求されるレベルに照らすと柔軟性は十分満足できるものではなかった。
そこで本発明の目的は、上記の課題に鑑み、単繊維径が細径ながら紡糸性が良好で生産性の高いポリオレフィン繊維からなり、高い柔軟性や優れた肌触りを有し、かつ耐毛羽立ち性や強度に優れたスパンボンド不織布を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、後述する繊維のオリジナル結晶の融解温度を適切に制御することが重要であることを見出し、耐毛羽立ち性や強度を向上できるという知見を得た。さらにこの不織布が、優れた柔軟性や肌触りを可能とすることも判明した。
本発明は、これら知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
本発明のスパンボンド不織布は、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維によって構成されてなるスパンボンド不織布であって、前記のスパンボンド不織布は、融着部と非融着部を有し、前記の繊維の平均単繊維径が6.5μm以上14.0μm以下であり、前記の非融着部の繊維は、DSCを用い測定して得られる、繊維のオリジナル結晶の融解温度(Tm1)と再結晶化物の主融解温度(Tm2)との差(Tm2−Tm1)が5℃以上20℃以下であり、かつ、前記の融着部の繊維は、ラマン分光を用い測定して得られる以下の式Aの配向パラメータが1.0以上5.6以下である。
・配向パラメータ=(I810/I840平行/(I810/I840垂直 (式A)
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記の繊維のオリジナル結晶の融解温度(Tm1)が145℃以上160℃以下である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記の再結晶化物の主融解温度(Tm2)が160℃以上180℃以下である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記のポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記の非融着部の繊維が、ラマン分光を用い測定して得られる前記の式Aの配向パラメータが9.0以上である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記のポリプロピレン系樹脂がプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を0.1質量%以上40質量%以下の範囲で含有する。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記のスパンボンド不織布のメルトフローレートが、155g/10分以上850g/10分以下である。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様によれば、前記の繊維の平均単繊維径が6.5μm以上11.9μm以下である。
本発明によれば、単繊維径が細径ながら紡糸性が良好で生産性の高いポリオレフィン繊維からなり、高い柔軟性や優れた肌触りを有し、かつ耐毛羽立ち性や強度に優れたスパンボンド不織布が得られる。これらの特性から、本発明のスパンボンド不織布は、特に衛生材料用途として好適に用いることができる。
本発明のスパンボンド不織布は、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維によって構成されてなるスパンボンド不織布であって、前記スパンボンド不織布は、融着部と非融着部を有し、前記繊維の平均単繊維径が6.5μm以上14.0μm以下であり、示差走査熱量測定法(以下、DSCと略することがある)を用いて非融着部の繊維を測定して得られる繊維のオリジナル結晶の融解温度(Tm1)と再結晶化物の主融解温度(Tm2)との差(Tm2−Tm1)が5℃以上20℃以下であり、かつラマン分光を用いて融着部の繊維を測定して得られる式Aの配向パラメータが5.6以下である。
・配向パラメータ=(I810/I840平行/(I810/I840垂直 (式A)。
このようにすることにより、高い柔軟性や優れた肌触りを有し、かつ耐毛羽立ち性や強度に優れたスパンボンド不織布とすることができる。以下に、これらの詳細について説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではない。
[ポリオレフィン系樹脂]
本発明のスパンボンド不織布で用いられるポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、あるいは、これらが混合された樹脂が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体もしくはエチレンと各種α−オレフィンとの共重合体、さらには、エチレンの単独重合体と前記の共重合体とが混合されてなる樹脂などが挙げられる。また、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体もしくはプロピレンと各種α−オレフィンとの共重合体、さらには、プロピレンの単独重合体と前記の共重合体とが混合されてなる樹脂などが挙げられる。中でも、ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であることによって、スパンボンド不織布を製造する際の紡糸性、あるいは、得られるスパンボンド不織布の強度など機械的特性を向上させることができるため、より好ましい。なお、本発明のポリオレフィン系樹脂は、前記の樹脂のほか、後述する炭素数23以上50以下の脂肪酸アミド化合物、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられている酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、および顔料などの添加物、あるいは熱可塑性エラストマーや他の重合体を必要に応じて添加することができる。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂について、少なくともプロピレンの単独重合体を含むことが好ましく、ポリオレフィン系樹脂におけるプロピレンの単独重合体の混合割合が60質量%以上であることがより好ましい。このポリオレフィン系樹脂におけるプロピレンの単独重合体の混合割合が60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、最も好ましくは80質量%以上とすることによってスパンボンド不織布を製造する際の紡糸性を向上させ、かつスパンボンド不織布の強度を向上させることができる。
また、本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂について、ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、スパンボンド不織布を製造する際の紡糸性を向上させ、かつ、スパンボンド不織布をより柔軟なものとするため、プロピレンと各種α−オレフィンとの共重合体を0.1質量%以上40質量%以下の範囲で含有することが好ましい。0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上含有することで、スパンボンド不織布の柔軟性を向上させることができる。一方、40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下含有することで、スパンボンド不織布を製造する際の紡糸性を向上することができる。
さらに、本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂には、滑り性や柔軟性を向上させるため、炭素数23以上50以下の脂肪酸アミド化合物が含有されていることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂に含有される前記の脂肪酸アミド化合物の炭素数を好ましくは23以上とし、より好ましくは30以上とすることにより、脂肪酸アミド化合物が過度に繊維表面に露出することを抑制し、紡糸性と加工安定性に優れたものとし、高い生産性を保持することができる。一方、脂肪酸アミド化合物の炭素数を好ましくは50以下とし、より好ましくは42以下とすることにより、脂肪酸アミド化合物が繊維表面に移動しやすくなり、スパンボンド不織布に滑り性と柔軟性を付与することができる。
本発明で使用される炭素数23以上50以下の脂肪酸アミド化合物としては、飽和脂肪酸モノアミド化合物、飽和脂肪酸ジアミド化合物、不飽和脂肪酸モノアミド化合物、および不飽和脂肪酸ジアミド化合物などが挙げられる。
具体的には、炭素数23以上50以下の脂肪酸アミド化合物として、テトラドコサン酸アミド、ヘキサドコサン酸アミド、オクタドコサン酸アミド、ネルボン酸アミド、テトラコサエンタペン酸アミド、ニシン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、ジステアリルセバシン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、およびヘキサメチレンビスオレイン酸アミドなどが挙げられ、これらは複数組み合わせて用いることもできる。
本発明では、これらの脂肪酸アミド化合物の中でも、特に飽和脂肪酸ジアミド化合物であるエチレンビスステアリン酸アミドが好ましく用いられる。エチレンビスステアリン酸アミドは、熱安定性に優れているため溶融紡糸が可能であり、このエチレンビスステアリン酸アミドが配合されたポリオレフィン系樹脂を用いることにより、高い生産性を保持しながら、滑り性や柔軟性に優れたスパンボンド不織布を得ることができる。
本発明では、このポリオレフィン系樹脂に対する脂肪酸アミド化合物の添加量は、0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。脂肪酸アミド化合物の添加量を好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上とすることによって、スパンボンド不織布が優れた滑り性と柔軟性とを有するものとすることができる。一方、5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下とすることによって、スパンボンド不織布を製造する際の紡糸性を向上することができる。
なお、ここでいう添加量とは、本発明のスパンボンド不織布を構成するポリオレフィン系樹脂全体に対して添加した脂肪酸アミド化合物の質量パーセントを言う。例えば、芯鞘型複合繊維を構成する鞘部成分のみに脂肪酸アミド化合物を添加する場合でも、芯鞘成分全体量に対する添加割合を算出している。
ポリオレフィン系樹脂からなる繊維に対する脂肪酸アミド化合物の添加量を測定する方法としては、例えば、前記の繊維から添加剤を溶媒抽出し、液体クロマトグラフ質量分析(LS/MS)などを用いて定量分析する方法が挙げられる。このとき抽出溶媒は脂肪酸アミド化合物の種類に応じて適宜選択されるものであるが、例えばエチレンビスステアリン酸アミドの場合には、クロロホルム−メタノール混液などを用いる方法が一例として挙げられる。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂の融点は、100℃以上200℃以下であることが好ましい。融点を好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは160℃以上とすることにより、実用に耐え得る耐熱性を付与することができる。また、融点を好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは170℃以下とすることにより、口金から吐出された糸条を冷却し易くなり、繊維同士の融着を抑制し安定した紡糸が行いやすくなる。ここでポリオレフィン系樹脂の融点とは、示差走査熱量測定法(DSC)により得られる主融解ピーク温度を指す。
本発明のポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFRと略記することもある)は、155g/10分以上850g/10分以下であることが好ましい。155g/10分以上とすることによって、繊維が延伸される際の細化挙動が安定し、生産性を高くするために速い紡糸速度で延伸したとしても、安定して紡糸することができる。また細化挙動を安定させることにより糸揺れを抑制し、シート状に捕集する際のムラが発生しにくくなる。さらに、安定して速い紡糸速度で延伸することが可能となるため、繊維の配向結晶化を進め、高い機械強度を有する繊維とすることができる。一方、850g/10分以下、より好ましくは600g/10分以下、さらに好ましくは400g/10分以下とすることによって、繊維が延伸される際に張力がかかりにくくなって糸揺れが増加したり、機械強度が低下したりすることを抑制することができる。
このポリオレフィン系樹脂のMFRは、ASTM D1238(A法)によって測定される値を採用する。なお、この規格によれば、例えば、ポリプロピレンは荷重:2.16kg、温度:230℃にて、ポリエチレンは荷重:2.16kg、温度:190℃にて測定することが規定されている。
もちろん、MFRの異なる2種類以上の樹脂を任意の割合でブレンドして、ポリオレフィン系樹脂のMFRを調整することもできる。この場合、主となるポリオレフィン系樹脂に対してブレンドする樹脂のMFRは、10g/10分以上1000g/10分以下であることが好ましい。ブレンドする樹脂のMFRを10g/10分以上、より好ましくは20g/10分以上、さらに好ましくは30g/10分とすることによって、ブレンドしたポリオレフィン系樹脂に部分的に粘度斑が生じ、繊度が不均一化したり、紡糸性が悪化したりすることを防ぐことができる。一方、800g/10分以下、より好ましくは600g/10分以下とすることによって、ブレンドしたポリオレフィン系樹脂に部分的に粘度斑が生じ、繊度が不均一化したり、部分的に機械強度が低下したり、紡糸性が悪化したりすることを防ぐことができる。
また、後述する繊維を紡出する際、部分的な粘度斑の発生を防ぎ、繊維の繊度を均一化し、さらに繊維径を後述するように細くするため、用いる樹脂に対して、この樹脂を分解してMFRを調整することも考えられる。しかしながら、例えば、過酸化物、特に、ジアルキル過酸化物等の遊離ラジカル剤などを添加しないことが好ましい。この手法を用いた場合、部分的に粘度斑が発生して繊度が不均一化し、十分に繊維径を細くすることが困難となる他、粘度斑や分解ガスによる気泡で紡糸性が悪化する場合もある。
[ポリオレフィン系樹脂からなる繊維]
本発明のスパンボンド不織布は、前記のポリオレフィン系樹脂からなる繊維によって構成される。この繊維の平均単繊維径が6.5μm以上14.0μm以下であることが重要である。平均単繊維径を6.5μm以上、好ましくは7.5μm以上、より好ましくは8.4μm以上とすることにより、スパンボンド不織布を製造する際の紡糸性の低下を防ぎ、安定して品質の良いスパンボンド不織布を生産することができる。一方、平均単繊維径を14.0μm以下とし、好ましくは11.9μm以下とし、より好ましくは10.6μm以下とすることにより、柔軟性を向上させ、かつ均一性の高いスパンボンド不織布とすることができる。
なお、本発明においては、前記のスパンボンド不織布を構成する繊維の平均単繊維径(μm)は、以下の手順によって算出される値を採用するものとする。
(1) ポリオレフィン系樹脂を溶融紡糸し、エジェクターで牽引・延伸した後、ネット上に不織繊維ウェブを捕集する。
(2) ランダムに小片サンプル(100×100mm)10個を採取する。
(3) マイクロスコープで500〜1000倍の表面写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本のポリオレフィン繊維の幅を測定する。
(4) 測定した100本の値の平均値から平均単繊維直径(μm)を算出し、小数点以下第2位を四捨五入する。
また、本発明のスパンボンド不織布を構成する前記の繊維のうち、前記の非融着部の繊維は、DSCを用い測定して得られる、繊維のオリジナル結晶の融解温度(Tm1)と再結晶化物の主融解温度(Tm2)の差(Tm2−Tm1)が5℃以上20℃以下であることが重要である。繊維のオリジナル結晶の融解温度(Tm1)と再結晶化物の主融解温度(Tm2)の差(Tm2−Tm1)を5℃以上20℃以下、好ましくは8℃以上20℃以下、より好ましくは10℃以上20℃以下とすることにより、衛生材料用途として十分な強度を有し、かつ柔軟性に優れたスパンボンド不織布とすることができる。
本発明においては、前記の繊維のオリジナル結晶の融解温度(Tm1)と再結晶化物の主融解温度(Tm2)は、以下の手順によって算出される値を採用するものとする。
(1) スパンボンド不織布の非融着部の繊維片をサンプリングする。
(2) 示差走査型熱量測定法(DSC)を用い、昇温速度5℃/分、20℃/分、50℃/分、100℃/分の4通りについてDSC曲線を得る。
(3) DSC曲線から融解ピーク温度を小さいものまですべて読み取り、横軸を昇温速度の平方根((℃/分)0.5)、縦軸を融解ピーク温度(℃)としてプロットする。
(4) 昇温速度が増すごとに融解ピーク温度が上昇しているものを繊維のオリジナル結晶由来の融解ピーク、昇温速度が増すごとに融解ピーク温度が減少または横ばいとなっているものを再結晶化物由来の融解ピークとして分類する。なお再結晶化物由来の融解ピークは複数存在する場合があるが、この場合は、ピーク面積が最も大きいものを主融解ピークとする。また繊維のオリジナル結晶由来の融解ピークが複数存在する場合には、ピーク面積が最も大きいものを代表ピークとし、以降の分析に用いる。
(5)繊維のオリジナル結晶由来の融解ピークに対応する温度を直線でフィッティングし、Y切片(昇温速度の平方根=0)を「繊維のオリジナル結晶の融解温度(Tm1)(℃)」とする。
(6)再結晶化物由来の主融解ピークに対応する温度を直線でフィッティングし、Y切片(昇温速度の平方根=0)を「再結晶化物の主融解温度(Tm2)(℃)」とする。
なお、昇温速度によっては、繊維のオリジナル結晶由来の融解ピークが、再結晶化物由来の主融解ピークと重なることによって、その昇温速度における繊維のオリジナル結晶の融解温度を読み取ることができないことがある。そのような場合には、読み取り可能な昇温速度での結果のみを用いて繊維のオリジナル結晶の融解温度を算出する。また読み取り可能な昇温速度が1つだけ、あるいは存在しない場合は、上記以外の昇温速度で測定を行い、繊維のオリジナル結晶の融解温度を算出しても良い。
さらに、前記の繊維のオリジナル結晶の融解温度(Tm1)が145℃以上160℃以下であることが好ましい。より好ましくは145℃以上155℃以下である。このようにすることにより、衛生材料用途として十分な強度を有し、かつ柔軟性に優れた不織布とすることができる。
また、前記の再結晶化物の主融解温度(Tm2)が160℃以上180℃以下であることが好ましく、より好ましくは160℃以上170℃以下である。再結晶化物の主融解温度を好ましくは160℃以上とすることにより、実用に耐え得る耐熱性を付与することができる。また、再結晶化物の主融解温度を好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下とすることにより、口金から吐出された糸条を冷却し易くなり、繊維同士の融着を抑制し安定した紡糸が行いやすくなる。
本発明のスパンボンド不織布において、前記の融着部の繊維は、ラマン分光を用い測定して得られる以下の式Aの配向パラメータが1.0以上5.6以下であることが重要である。
・配向パラメータ=(I810/I840平行/(I810/I840垂直 (式A)
この配向パラメータは、数値が大きい程、特定の方向に繊維が配向していることを示し、数値が小さい程、繊維の配向がなく、各繊維がランダムに配向していることを示す。なお、この配向パラメータの最小値は、完全にランダムに配向している状態の時の値、1.0である。配向パラメータを5.6以下とし、好ましくは5.5以下とし、より好ましくは5.4以下とすることにより、衛生材料用途として十分な強度を有し、かつ耐毛羽立ち性に優れた不織布とすることができる。圧着部の繊維の配向パラメータは、繊維の紡糸条件や延伸条件、不織ウェブの融着条件(融着率、温度、線圧および速度)等により制御することができる。
前記の配向パラメータは、以下の手順によって算出される値を採用するものとする。
(1) 融着部の中央付近で、15°ごとに全方位のラマンスペクトル測定を行う。
(2) 各方位における810cm−1付近および840cm−1付近のラマンバンド強度I810およびI840を算出し、その強度比I810/I840を算出する。
(3) I810/I840を小数点以下第2位まで比較し、最も大きい値となる方向を繊維軸方向(平行方向)とし、繊維軸方向と、繊維軸方向に直行する方向(垂直方向)のラマンバンド強度比I810/I840から、式Aに基づいて配向パラメータを算出する。ただしI810/I840が最も大きい値となる方向が複数存在する場合には、位置を変えて同様の測定を行うこととする。なお、式Aの(I810/I840平行は平行方向のラマンバンド強度比、(I810/I840垂直は垂直方向のラマンバンド強度比を示す。
・配向パラメータ=(I810/I840平行/(I810/I840垂直 (式A)
(4) 同様の測定を20箇所で行い、その平均値を小数点以下第2位で四捨五入し、配向パラメータとする。
一方、本発明のスパンボンド不織布において、前記の非融着部の繊維は、ラマン分光を用い測定して得られる前記の式Aの配向パラメータが9.0以上であることが好ましく、より好ましくは9.5以上、さらに好ましくは10.0以上である。このようにすることにより、柔軟性に優れた不織布とすることができる。非圧着部の繊維の配向パラメータは、ポリオレフィン系樹脂の原料組成や繊維の紡糸条件、延伸条件等により制御することができる。
本発明においては、前記のスパンボンド不織布を構成する非圧着部の繊維の配向パラメータは、以下の手順によって算出される値を採用するものとする。
(1) 非圧着部の中央付近(周囲の圧着部から概ね等距離となる箇所)で、繊維軸方向(平行方向)および繊維軸方向に直行する方向(垂直方向)のラマンスペクトル測定を行う。
(2) 平行方向、垂直方向のそれぞれについて、810cm−1付近および840cm−1付近のラマンバンド強度I810およびI840を算出し、その強度比I810/I840を算出する。
(3) 式Aに基づいて配向パラメータを算出する。
(4) 同様の測定を20箇所で行い、その平均値を小数点以下第2位で四捨五入し、非圧着部の繊維の配向パラメータとする。
[スパンボンド不織布]
本発明のスパンボンド不織布は、前記のポリオレフィン系樹脂からなる繊維によって構成されてなり、融着部と非融着部を有するものである。本発明において、融着部とは後述する融着手段によってスパンボンド不織布を構成する繊維が軟化、変形し、一定の繊維状の形態を観察できない部分のことを指す。一方、非融着部とは、融着部以外の、繊維が変形しておらず、繊維状の形態である部分のことを指す。
本発明のスパンボンド不織布は、少なくとも片面のKES法(Kawabata Evaluation System)による表面粗さSMDが1.0μm以上2.6μm以下であることが好ましい。KES法による表面粗さSMDを1.0μm以上、好ましくは1.3μm以上、より好ましくは1.6μm以上、さらに好ましくは2.0μm以上とすることにより、スパンボンド不織布が過度に緻密化して風合いが悪化したり、柔軟性が損なわれたりすることを防ぐことができる。一方、KES法による表面粗さSMDを2.6μm以下、好ましくは2.5μm以下、より好ましくは2.4μm以下、さらに好ましくは2.3μm以下とすることにより、表面が滑らかでざらつき感が小さく、肌触りに優れたスパンボンド不織布とすることができる。KES法による表面粗さSMDは、平均単繊維径や単繊維径のCV値、繊維分散度などを適切に調整することにより制御することができる。
なお、本発明においてKES法による表面粗さSMDは、以下のように測定される値を採用するものとする。
(1)スパンボンド不織布から幅200mm×200mmの試験片を、スパンボンド不織布の幅方向等間隔に3枚採取する。
(2)試験片を試料台にセットする。
(3)10gfの荷重をかけた表面粗さ測定用接触子(素材:φ0.5mmピアノ線、接触長さ:5mm)で試験片の表面を走査して、表面の凹凸形状の平均偏差を測定する。
(4)上記の測定を、すべての試験片の縦方向(不織布の長手方向)と横方向(不織布の幅方向)で行い、これらの計6点の平均偏差を平均して小数点以下第二位を四捨五入し、表面粗さSMD(μm)とする。
また、本発明においては、スパンボンド不織布の肌触りに関して、官能試験によって評価される。
本発明のスパンボンド不織布のメルトフローレート(以下、MFRと記載する場合がある。)は、155g/10分以上850g/10分以下であることが好ましい。MFRを好ましくは155g/10分以上850g/10分以下とし、より好ましくは155g/10分以上600g/10分以下、さらに好ましくは155g/10分以上400g/10分以下とすることにより、繊維が延伸される際の細化挙動が安定し、生産性を高くするために速い紡糸速度で延伸したとしても、安定した紡糸が可能となる。また細化挙動を安定させることにより糸揺れを抑制し、シート状に捕集する際のムラが発生しにくくなる。さらに、安定して速い紡糸速度で延伸することが可能となるため、繊維の配向結晶化を進め、高い機械強度を有する繊維とすることができる。
本発明に係るスパンボンド不織布のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238 (A法)によって測定される値を採用する。
なお、この規格によれば、例えば、ポリプロピレンは荷重:2.16kg、温度:230℃にて、ポリエチレンは荷重:2.16kg、温度190℃にて測定することが規定されている。
本発明のスパンボンド不織布の目付は、10g/m以上100g/m以下であることが好ましい。目付を好ましくは10g/m以上とし、より好ましくは13g/m以上とし、さらに好ましくは15g/m以上とすることにより、実用に供し得る機械的強度のスパンボンド不織布を得ることができる。一方、目付を好ましくは100g/m以下、より好ましくは50g/m以下、さらに好ましくは30g/m以下とすることにより、衛生材料用の不織布としての使用に適した適度な柔軟性を有するスパンボンド不織布とすることができる。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の目付は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量」に準じ、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(1)20cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取する。
(2)標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量る。
(3)その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表する。
本発明のスパンボンド不織布の厚みは、0.05mm以上1.50mm以下であることが好ましい。厚みを好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.08mm以上、さらに好ましくは、0.10mm以上とすることにより、衛生材料用として、特に紙おむつ用途での使用に適した適度なクッション性を備えたスパンボンド不織布とすることができる。一方、厚みを好ましくは1.50mm以下、より好ましくは1.00mm以下、さらに好ましくは0.80mm以下とすることにより、適度な柔軟性を有する不織布とすることができる。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の厚さ(mm)は、JIS L1906:2000「一般長繊維不織布試験方法」の「5.1」に準じ、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(1)直径10mmの加圧子を使用し、荷重10kPaで不織布の幅方向等間隔に1mあたり10点の厚さを0.01mm単位で測定する。
(2)上記10点の平均値の小数点以下第三位を四捨五入する。
また、本発明のスパンボンド不織布の見掛密度は、0.05g/cm以上0.30g/cm以下であることが好ましい。見掛密度を好ましくは0.30g/cm以下、より好ましくは0.25g/cm以下、さらに好ましくは0.20g/cm以下とすることにより、繊維が密にパッキングしてスパンボンド不織布の柔軟性が損なわれることを防ぐことができる。一方、見掛密度を好ましくは0.05g/cm以上、より好ましくは0.08g/cm以上、さらに好ましくは0.10g/cm以上とすることにより、毛羽立ちや層間剥離の発生を抑え、実用に耐え得る強力や取り扱い性を備えたスパンボンド不織布とすることができる。
なお、本発明において、見掛密度(g/cm)は、上記の四捨五入前の目付と厚みから、次の式に基づいて算出し、小数点以下第三位を四捨五入したものとする。
・見掛密度(g/cm)=[目付(g/m)]/[厚さ(mm)]×10−3
本発明のスパンボンド不織布の縦方向と横方向の剛軟度の和は、0.45mN・cm以下であることが好ましい。縦方向と横方向の剛軟度の和を好ましくは0.45mN・cm以下、より好ましくは0.35mN・cm以下、さらに好ましくは0.25mN・cm以下とすることにより、衛生材料用のスパンボンド不織布として、特に紙おむつ用途での使用に適した適度な柔軟性を得ることができる。また、剛軟度が極端に低い場合には取り扱い性に劣る場合があるため、縦方向と横方向の剛軟度の和は0.01mN・cm以上であることが好ましい。剛軟度は、ポリオレフィン系樹脂の原料組成や目付、単繊維径および熱圧着条件(圧着率、温度、線圧および速度)によって調整することができる。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の縦方向と横方向の剛軟度は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.7.3 41.5°カンチレバー法」に準じ、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(1) 25mm×250mmの試験片を、不織布の縦方向(不織布の長手方向)と横方向(不織布の幅方向)それぞれについて幅1m当たり3枚採取する。
(2) 試験片を41.5°カンチレバー形試験機にセットし、鋼製定規と試験片とを一緒に斜面の方向に緩やかに一定速度で押し出す。
(3) 試験片が斜面に接触するまで鋼製定規を移動し、試験片の突き出た長さを1mmまで鋼製定規から読み取る。1つの試験片について表裏及び両端の4回測定を行い、それらの平均値の半分を曲げ長さ(cm)とする。
(4) さらに縦方向、横方向それぞれについて、すべての試験片の曲げ長さの平均値を求め、小数点以下第二位を四捨五入して全平均の曲げ長さとする。
(5) 上記の方法で測定した目付、全平均の曲げ長さから、縦方向、横方向それぞれについて下記式に従って剛軟度を算出し、小数点以下第三位を四捨五入する。
・剛軟度(mN・cm)=目付(g/m)×[全平均の曲げ長さ(cm)]×10−3
本発明のスパンボンド不織布の目付あたりの5%伸長時応力(以下、目付あたりの5%モジュラスと記載することがある。)は、0.06(N/25mm)/(g/m)以上0.33(N/25mm)/(g/m)以下であることが好ましい。目付あたりの5%モジュラスを好ましくは0.06(N/25mm)/(g/m)以上とし、より好ましくは0.13(N/25mm)/(g/m)以上とし、さらに好ましくは0.20(N/25mm)/(g/m)以上とすることにより、柔軟で触感に優れたスパンボンド不織布とすることができる。また目付あたりの5%モジュラスを好ましくは0.33(N/25mm)/(g/m)以下とし、より好ましくは0.30(N/25mm)/(g/m)以下とし、さらに好ましくは0.27(N/25mm)/(g/m)以下とすることにより、使用時の搬送張力に耐えうる強度を保持することができる。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の目付あたりの5%伸長時応力は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.3 引張強さ及び伸び率(ISO法)」に準じ、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(1)25mm×300mmの試験片を、不織布の縦方向(不織布の長手方向)と横方向(不織布の幅方向)それぞれについて幅1m当たり3枚採取する。
(2)試験片をつかみ間隔200mmで引張試験機にセットする。
(3)引張速度100mm/分で引張試験を実施し、5%伸長時の応力(5%モジュラス)を測定する。
(4)各試験片で測定した縦方向と横方向の5%モジュラスの平均値を求め、次の式に基づいて目付あたりの5%モジュラスを算出し、小数点以下第三位を四捨五入する。
・目付あたりの5%モジュラス((N/25mm)/(g/m))=[5%モジュラスの平均値(N/25mm)]/目付(g/m)。
本発明のスパンボンド不織布は、生産性が高く、高い柔軟性や優れた肌触りを有し、かつ耐毛羽立ち性や強度に優れることから、使い捨て紙おむつやナプキンなどの衛生材料用途に好適に利用することができる。衛生材料のなかでも、特に紙おむつのバックシートに好適に利用することができる。
[スパンボンド不織布の製造方法]
次に、本発明のスパンボンド不織布を製造する方法の好ましい態様について、具体的に説明する。
本発明のスパンボンド不織布は、スパンボンド法により製造される長繊維不織布である。不織布の製造方法として、スパンボンド法、フラッシュ紡糸法、湿式法、カード法およびエアレイド法等を挙げることができるが、スパンボンド法は、生産性や機械的強度に優れている他、短繊維不織布で起こりやすい毛羽立ちや繊維の脱落を抑制することができる。また、捕集したスパンボンド不織繊維ウェブあるいは熱圧着したスパンボンド不織布(どちらもSと表記する)を、SS、SSSおよびSSSSと複数層積層することにより、生産性や地合均一性が向上するため好ましい態様である。
スパンボンド法では、まず溶融した熱可塑性樹脂を紡糸口金から長繊維として紡出し、これをエジェクターにより圧縮エアで吸引延伸した後、移動するネット上に繊維を捕集して不織繊維ウェブを得る。さらに得られた不織繊維ウェブに熱接着処理を施し、スパンボンド不織布が得られる。
紡糸口金やエジェクターの形状としては、丸形や矩形等、種々の形状のものを採用することができる。なかでも、圧縮エアの使用量が比較的少なくエネルギーコストに優れること、糸条同士の融着や擦過が起こりにくく、糸条の開繊も容易であることから、矩形口金と矩形エジェクターの組み合わせが好ましく用いられる。
本発明では、ポリオレフィン系樹脂を押出機において溶融し、計量して紡糸口金へと供給し、長繊維として紡出する。ポリオレフィン系樹脂を溶融し紡糸する際の紡糸温度は、200℃以上270℃以下であることが好ましい。紡糸温度を好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上、さらに好ましくは220℃以上とすることにより、安定した溶融状態とし、優れた紡糸安定性を得ることができる。また紡糸温度を好ましくは270℃以下、より好ましくは260℃以下とし、さらに好ましくは250℃以下とすることにより、ポリオレフィン樹脂の熱劣化を抑制し、優れた紡糸安定性を得ることができる。
紡糸口金の背圧は、0.1MPa以上10.0MPa以下とすることが好ましい。背圧を好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上、さらに好ましくは0.5MPa以上とすることにより、吐出均一性が悪化して繊維径ばらつきが生じることを防ぐことができる。また背圧を好ましくは10.0MPa以下、より好ましくは8.0MPa以下、さらに好ましくは6.0MPa以下とすることにより、耐圧性を上げるために口金が大型化することを防ぐことができる。紡糸口金の背圧は口金の吐出孔径や吐出孔深度、紡糸温度などにより調整することができ、なかでも吐出孔径の寄与が大きい。
紡出された長繊維の糸条は、次に冷却される。紡出された糸条を冷却する方法としては、例えば、冷風を強制的に糸条に吹き付ける方法、糸条周りの雰囲気温度で自然冷却する方法、および紡糸口金とエジェクター間の距離を調整する方法等が挙げられ、またはこれらの方法を組み合わせる方法を採用することができる。また、冷却条件は、紡糸口金の単孔あたりの吐出量、紡糸温度および雰囲気温度等を考慮して適宜調整して採用することができる。
次に、冷却固化された糸条は、エジェクターから噴射される圧縮エアによって牽引され、延伸される。
紡糸速度は、3500m/分以上7000m/分以下であることが好ましい。紡糸速度を好ましくは3500m/分以上、より好ましくは4000m/分以上とし、さらに好ましくは4500m/分以上とすることにより、単に高い生産性を有することになるだけでなく、繊維の配向結晶化が進み、高強度の長繊維を得ることができる。通常では紡糸速度を上げていくと、紡糸性は悪化して糸状を安定して生産することができないが、前述したとおり特定の範囲のMFRを有するポリオレフィン系樹脂を用いることにより、意図するポリオレフィン繊維を安定して紡糸することができる。一方、紡糸速度を好ましくは7000m/分以下、より好ましくは6500m/分以下、さらに好ましくは6000m/分以下とすることにより、優れた紡糸安定性を得ることができる。
続いて、得られた長繊維を、移動するネット上に捕集して不織繊維ウェブを得る。
本発明では、不織繊維ウェブに対して、ネット上でその片面から熱フラットロールを当接して仮接着させることも好ましい態様である。このようにすることにより、ネット上を搬送中に不織繊維ウェブの表層がめくれたり吹き流れたりして地合が悪化することを防いだり、糸条を捕集してから熱圧着するまでの搬送性を改善することができる。
続いて、得られた不織繊維ウェブを、熱接着することにより、意図するスパンボンド不織布を得ることができる。
不織繊維ウェブを熱接着する方法としては、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール、および上下一対のフラット(平滑)ロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールなど、各種ロールにより熱接着する方法や、ホーンの超音波振動により熱溶着させる超音波接着などの方法が挙げられる。なかでも、生産性に優れ、部分的な熱接着部で強度を付与し、かつ非接着部で不織布ならではの風合いや肌触りを保持することができることから、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、または片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロールを用いることが好ましい態様である。
熱エンボスロールの表面材質としては、十分な熱圧着効果を得て、かつ片方のエンボスロールの彫刻(凹凸部)が他方のロール表面に転写することを防ぐため、金属製ロールと金属製ロールを対にすることが好ましい態様である。
このような熱エンボスロールによるエンボス接着面積率は、5%以上30%以下であることが好ましい。接着面積を好ましくは5%以上とし、より好ましくは8%以上とし、さらに好ましくは10%以上することにより、スパンボンド不織布として実用に供し得る強度を得ることができる。一方、接着面積を好ましくは30%以下とし、より好ましくは25%以下とし、さらに好ましくは20%以下とすることにより、衛生材料用のスパンボンド不織布として、特に紙おむつ用途での使用に適した適度な柔軟性を得ることができる。超音波接着を用いる場合でも、接着面積率は同様の範囲であることが好ましい。
ここでいう接着面積とは、接着部がスパンボンド不織布全体に占める割合のことを言う。具体的には、一対の凹凸を有するロールにより熱接着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって不織繊維ウェブに当接する部分(接着部)のスパンボンド不織布全体に占める割合のことを言う。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱接着する場合は、凹凸を有するロールの凸部が不織繊維ウェブに当接する部分(接着部)のスパンボンド不織布全体に占める割合のことを言う。また、超音波接着する場合は、超音波加工により熱溶着させる部分(接着部)のスパンボンド不織布全体に占める割合のことを言う。
熱エンボスロールや超音波接着による接着部の形状としては、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形などを用いることができる。また接着部は、スパンボンド不織布の長手方向(搬送方向)と幅方向にそれぞれ一定の間隔で均一に存在していることが好ましい。このようにすることにより、スパンボンド不織布の強度のばらつきを低減することができる。
熱接着時の熱エンボスロールの表面温度は、使用しているポリオレフィン系樹脂の融点に対し−50℃以上−15℃以下とすることが好ましい態様である。熱ロールの表面温度をポリオレフィン系樹脂の融点に対し好ましくは−50℃以上、より好ましくは−45℃以上とすることにより、適度に熱接着させ実用に供しうる強度のスパンボンド不織布を得ることができる。また、熱エンボスロールの表面温度をポリオレフィン系樹脂の融点に対し好ましくは−15℃以下、より好ましくは−20℃以下とすることにより、過度な熱接着を抑制し、衛生材料用のスパンボンド不織布として、特に紙おむつ用途での使用に適した適度な柔軟性を得ることができる。
熱接着時の熱エンボスロールの線圧は、50N/cm以上500N/cm以下とすることが好ましい。ロールの線圧を好ましくは50N/cm以上、より好ましくは100N/cm以上とし、さらに好ましくは150N/cm以上とすることにより、適度に熱接着させ実用に供しうる強度のスパンボンド不織布を得ることができる。一方、熱エンボスロールの線圧を好ましくは500N/cm以下、より好ましくは400N/cm以下、さらに好ましくは300N/cm以下とすることにより、衛生材料用のスパンボンド不織布として、特に紙おむつ用途での使用に適した適度な柔軟性を得ることができる。
また本発明では、スパンボンド不織布の厚みを調整することを目的に、上記の熱エンボスロールによる熱接着の前および/あるいは後に、上下一対のフラットロールからなる熱カレンダーロールにより熱圧着を施すことができる。上下一対のフラットロールとは、ロールの表面に凹凸のない金属製ロールや弾性ロールのことであり、金属製ロールと金属製ロールを対にしたり、金属製ロールと弾性ロールを対にしたりして用いることができる。また、ここで弾性ロールとは、金属製ロールと比較して弾性を有する材質からなるロールのことである。弾性ロールとしては、ペーパー、コットンおよびアラミドペーパー等のいわゆるペーパーロールや、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂および硬質ゴム、およびこれらの混合物からなる樹脂製のロールなどが挙げられる。
次に、実施例に基づき、本発明のスパンボンド不織布について具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
(1) ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR):
ポリオレフィン系樹脂のMFRは、荷重が2.16kgで、温度が230℃の条件で測定した。
(2) 紡糸速度(m/分):
上記の平均単繊維径と使用するポリオレフィン系樹脂の固体密度から、長さ10000m当たりの質量(g)を平均単繊維繊度(dtex)として、小数点以下第二位を四捨五入して算出した。次に、平均単繊維繊度と、各条件で設定した紡糸口金単孔から吐出される樹脂の吐出量(以下、単孔吐出量と略記する。)(g/分)とから、次の式に基づいて紡糸速度を算出し、十の位を四捨五入した。
・紡糸速度(m/分)=(10000×[単孔吐出量(g/分)])/[平均単繊維繊度(dtex)]。
(3) 繊維の配向パラメータ:
測定装置には、愛宕物産製トリプルラマン分光装置「T−64000」を用いた。測定条件は、次のとおりで実施した。
・測定モード:顕微ラマン(偏光測定)
・対物レンズ:×100
・ビーム径:1μm
・光源:Arレーザー/514.5nm
・レーザーパワー:60mW
・回折格子:Single1800gr/mm
・クロススリット:100μm
・検出器:CCD/Jobin Yvon 1024×256。
(4) 非圧着部繊維のオリジナル結晶の融解温度(Tm1)および再結晶化物の主融解温度(Tm2)(℃):
測定装置には、Perkin−Elmer社製「DSC8500」を用いた。測定条件は、次のとおりで実施した。
・装置内雰囲気:窒素(20mL/分)
・温度・熱量校正:高純度インジウム(Tm=156.61℃、ΔHm=28.70J/g)
・温度範囲:約−50〜250℃
・昇温速度:5℃/分、20℃/分、50℃/分、100℃/分
・試料量:約0.5〜4mg
・試料容器:アルミニウム製標準容器
(5) スパンボンド不織布のメルトフローレート(MFR):
スパンボンド不織布のメルトフローレートは、ASTM D1238により、荷重が2160gで、温度が230℃の条件で測定した。
(6) 縦方向と横方向の剛軟度の和(mN・cm):
前記の方法に基づいて縦方向、横方向それぞれの剛軟度を求め、それらの和を算出した。
(7) スパンボンド不織布の毛羽等級(級):
25mm×300mmの試験片を、不織布の縦方向(不織布の長手方向)と横方向(不織布の幅方向)それぞれについて幅1m当たり3枚採取する。学振型摩擦堅牢度試験機(有限会社折原製作所製「G−2(学振型)」)を用いて、摩擦子の荷重200g(測定ヘッドのみの重量(追加荷重なし))とし、摩擦子表面にはリンレイテープ株式会社製布粘着テープ「No.314」を貼り、50回往復させた。試験後のシート表面について以下の基準で毛羽の等級づけを行い、縦方向、横方向のすべての試験片の毛羽等級の平均値を算出し、小数点以下第二位を四捨五入した。同様の手順で表裏両面の毛羽等級を測定し、低い方の値を代表値として採用した。また毛羽等級は3.0級以上を合格とした。
1.0級:試験片が破損している。
1.5級:試験片が薄くなるほど繊維が剥ぎ取られている。
2.0級:大きな毛玉が複数見られる。
3.0級:小さな毛玉が複数見られる。
3.5級:小さな毛羽立ちが見られる、または小さな毛玉ができはじめている。
4.0級:毛羽立ちがない。
(実施例1)
メルトフローレート(MFR)が200g/10分、融点が163℃のホモポリマーからなるポリプロピレン樹脂を押出機で溶融し、孔径φが0.30mmで、孔深度が2mmの矩形口金から、紡糸温度が235℃、単孔吐出量が0.32g/分で紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、これを矩形エジェクターにおいて、エジェクター圧力を0.35MPaとした圧縮エアによって牽引、延伸し、移動するネット上に捕集した。これによって、ポリプロピレン長繊維からなる不織繊維ウェブを形成した。なお、形成したスパンボンド不織繊維ウェブを構成する繊維の特性は、平均単繊維径は10.1μmであり、これから換算した紡糸速度は4400m/分であった。紡糸性については、1時間の紡糸において糸切れは見られず良好であった。
引き続き、形成したスパンボンド不織繊維ウェブを、以下の上ロール、下ロールから構成される上下一対の熱エンボスロールを用いて、線圧:300N/cm、熱接着温度:150℃の条件で熱接着し、18g/mのスパンボンド不織布を得た。
(上ロール):金属製で水玉柄の彫刻がなされた、接着面積率16%のエンボスロール
(下ロール):金属製フラットロール
得られたスパンボンド不織布について評価した結果を表1に示す。
(実施例2)
ホモポリマーからなるポリプロピレン樹脂をMFRが800g/10分、融点が163℃のものとしたこと以外は、実施例1と同じ方法により、スパンボンド不織布を得た。なお、形成したスパンボンド不織繊維ウェブを構成する繊維の特性は、平均単繊維径は8.4μmであり、これから換算した紡糸速度は6400m/分であった。紡糸性については、1時間の紡糸において糸切れは見られず良好であった。得られたスパンボンド不織布について評価した結果を表1に示す。
(実施例3)
単孔吐出量を0.43g/分とし、エジェクター圧力を0.30MPaとしたこと以外は、実施例1と同じ方法により、スパンボンド不織布を得た。なお、形成したスパンボンド不織繊維ウェブを構成する繊維の特性は、平均単繊維径は12.9μmであり、これから換算した紡糸速度は3600m/分であった。紡糸性については、1時間の紡糸において糸切れは見られず良好であった。得られたスパンボンド不織布について評価した結果を表1に示す。
(実施例4)
熱エンボスロールによる熱接着温度を140℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法により、スパンボンド不織布を得た。形成したスパンボンド不織繊維ウェブを構成する繊維の特性は、平均単繊維径は10.1μmであり、これから換算した紡糸速度は4400m/分であった。紡糸性については、1時間の紡糸において糸切れは見られず良好であった。得られたスパンボンド不織布について評価した結果を表1に示す。
(実施例5)
原料としてMFRが200g/10分、融点が163℃のホモポリマーからなるポリプロピレン樹脂を90重量%、MFRが20g/10分のエチレン−プロピレンランダム共重合樹脂(エチレン共重合比率15%)を10重量%の割合でブレンドした樹脂組成物を使用したこと以外は、実施例1と同じ方法により、スパンボンド不織布を得た。なお、形成したスパンボンド不織繊維ウェブを構成する繊維の特性は、平均単繊維径は10.1μmであり、これから換算した紡糸速度は4400m/分であった。紡糸性については、1時間の紡糸において糸切れは見られず良好であった。得られたスパンボンド不織布について評価した結果を表1に示す。
(比較例1)
熱エンボスロールによる熱接着温度を130℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法により、スパンボンド不織布を得た。形成したスパンボンド不織繊維ウェブを構成する繊維の特性は、平均単繊維径は10.1μmであり、これから換算した紡糸速度は4400m/分であった。紡糸性については、1時間の紡糸において糸切れは見られず良好であった。得られたスパンボンド不織布について評価した結果を表1に示す。
得られたスパンボンド不織布は、圧着部の繊維の配向パラメータが大きく、このことにより耐毛羽立ち性に劣るものであった。
(比較例2)
熱エンボスロールによる熱接着温度を130℃としたこと以外は、実施例5と同じ方法により、スパンボンド不織布を得た。形成したスパンボンド不織繊維ウェブを構成する繊維の特性は、平均単繊維径は10.1μmであり、これから換算した紡糸速度は4400m/分であった。紡糸性については、1時間の紡糸において糸切れは見られず良好であった。得られたスパンボンド不織布について評価した結果を表1に示す。
得られたスパンボンド不織布は、圧着部の繊維の配向パラメータが大きく、このことにより耐毛羽立ち性に劣るものであった。
(比較例3)
ホモポリマーからなるポリプロピレン樹脂をMFRが60g/10分、融点が163℃のものとし、単孔吐出量を0.43g/分とし、エジェクターの圧力を0.15MPaとし、熱エンボスロールによる熱接着温度を130℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法により、スパンボンド不織布を得た。形成したスパンボンド不織繊維ウェブを構成する繊維の特性は、平均単繊維径は14.2μmであり、これから換算した紡糸速度は3000m/分であった。紡糸性については、1時間の紡糸において糸切れは見られず良好であった。なお、同じ条件でエジェクター圧力を0.35MPaとした場合、糸切れが多発し、紡糸不可であった。
得られたスパンボンド不織布について評価した結果を表1に示す。得られたスパンボンド不織布は、平均単繊維径が大きく、非圧着部の繊維のオリジナル結晶の融解温度と再結晶化物の融解温度の差が大きく、このことにより、剛軟度が大きく、また耐毛羽立ち性にも劣るものであった。
Figure 2020196961
平均単繊維径が6.5〜14.0μmであり、かつ、DSCを用いて非圧着部の繊維を測定して得られる繊維のオリジナル結晶の融解温度と再結晶化物の主融解温度の差が5〜20℃であり、さらに、ラマン分光を用いて圧着部の繊維を測定して得られる式Aの配向パラメータが5.6以下である実施例1〜5のスパンボンド不織布は、高い柔軟性を有し耐毛羽立ち性に優れるものであった。またいずれも肌触りに優れており、衛生材料用途として特に好適なものであった。
一方、比較例1〜2に示す圧着部の繊維の配向パラメータの大きいスパンボンド不織布は、本発明の不織布と比較して、耐毛羽立ち性が劣位なものであった。また比較例3に示す平均単繊維径が大きく、非圧着部の繊維のオリジナル結晶の融解温度と再結晶化物の融解温度の差が大きいスパンボンド不織布は、本発明の不織布と比較して、柔軟性に劣り、耐毛羽立ち性も劣位なものであった。さらに、比較例3に示す比較的MFRの小さいポリプロピレン樹脂を用いたスパンボンド不織布は、高い紡糸速度での紡糸性が悪く、安定して生産できるものではなかった。

Claims (8)

  1. ポリオレフィン系樹脂からなる繊維によって構成されてなるスパンボンド不織布であって、前記スパンボンド不織布は、融着部と非融着部を有し、前記繊維の平均単繊維径が6.5μm以上14.0μm以下であり、前記非融着部の繊維は、DSCを用い測定して得られる、繊維のオリジナル結晶の融解温度(Tm1)と再結晶化物の主融解温度(Tm2)との差(Tm2−Tm1)が5℃以上20℃以下であり、かつ、前記融着部の繊維は、ラマン分光を用い測定して得られる以下の式Aの配向パラメータが1.0以上5.6以下である、スパンボンド不織布。
    ・配向パラメータ=(I810/I840平行/(I810/I840垂直 (式A)
  2. 前記繊維のオリジナル結晶の融解温度(Tm1)が145℃以上160℃以下である、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
  3. 前記再結晶化物の主融解温度(Tm2)が160℃以上180℃以下である、請求項1または2に記載のスパンボンド不織布。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載のスパンボンド不織布。
  5. 前記非融着部の繊維が、ラマン分光を用い測定して得られる前記式Aの配向パラメータが9.0以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のスパンボンド不織布。
  6. 前記ポリプロピレン系樹脂がプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を0.1質量%以上40質量%以下の範囲で含有する、請求項4または5に記載のスパンボンド不織布。
  7. 前記スパンボンド不織布のメルトフローレートが、155g/10分以上850g/10分以下である、請求項1〜6のいずれかに記載のスパンボンド不織布。
  8. 前記繊維の平均単繊維径が6.5μm以上11.9μm以下である、請求項1〜7のいずれかに記載のスパンボンド不織布。
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