JP2024065356A - 不織布、積層不織布、衛生材料、ならびに、不織布の製造方法 - Google Patents

不織布、積層不織布、衛生材料、ならびに、不織布の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024065356A
JP2024065356A JP2022174179A JP2022174179A JP2024065356A JP 2024065356 A JP2024065356 A JP 2024065356A JP 2022174179 A JP2022174179 A JP 2022174179A JP 2022174179 A JP2022174179 A JP 2022174179A JP 2024065356 A JP2024065356 A JP 2024065356A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nonwoven fabric
polypropylene
fiber
polypropylene fiber
acid amide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022174179A
Other languages
English (en)
Inventor
大士 勝田
昇平 原
匠平 土屋
大樹 島田
茂俊 前川
健太郎 梶原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2022174179A priority Critical patent/JP2024065356A/ja
Publication of JP2024065356A publication Critical patent/JP2024065356A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Absorbent Articles And Supports Therefor (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

【課題】 低目付でも高い強度を有し、かつ柔軟性や肌触りにも優れる不織布、およびそれを少なくとも一部に具備してなる衛生材料を提供する。【解決手段】 少なくとも、軟化温度が150℃以上のポリプロピレン繊維Aと、軟化温度が150℃未満のポリプロピレン繊維Bと、が含まれてなる不織布であって、前記ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度TsA(℃)と前記ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度TsB(℃)の差(TsA-TsB)が5℃以上50℃以下であり、示差走査熱量測定における結晶融解熱量ΔHm(J/g)が90J/g以上120J/g以下である、不織布。【選択図】 なし

Description

本発明は、低目付でも高い強度を有し、かつ、柔軟性や肌触りにも優れる不織布、そして、積層不織布、衛生材料に関するものである。
紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料の多くは、衛生上の問題から使用後に焼却処分や埋め立て処分がなされており、資源の消費やごみの増加による環境負荷が大きいことが問題となっている。こうした問題への対応として、製品の薄型化や軽量化が進められている。また、肌に触れる用途に使用する衛生材料に関し、優れた柔軟性や肌触りが求められている。
上記の課題に対し、衛生材料の主要な素材として使用される不織布の目付をより低くすることが求められている。しかしながら、不織布の目付を低くしていくにつれて、製品への加工中に不織布が破れる等の問題が生じやすくなる傾向にある。そのため、不織布の強度をより向上させる必要がある。
このような背景から、不織布の風合いと不織布積層間の接着強力および耐毛羽立ち性を有する複合化不織布などの提供を目的に、熱可塑性樹脂からなる不織繊維集合体を基層とし、その少なくとも片面に、該熱可塑性樹脂よりも融点が一定温度高い同種の熱可塑性樹脂からなる不織繊維集合体が積層され、それらが熱接合された複合化不織布が提案されている(特許文献1参照)。
一方、2種類以上の熱可塑性樹脂を用いて不織布の接着性を改善する技術として、高軟化点合成繊維ステープルと、該合成繊維ステープルよりも一定程度低い軟化点を有する低軟化点剛性繊維ステープルとを含んでなる繊維集合体であって、構成繊維の平均カット長と繊維集合体の平均見かけ密度が特定の範囲にある吸音材や(特許文献2参照)、相対的に低い軟化温度を有する第1成分と、相対的に高い軟化温度を有する第2成分とを含み、前記第1成分の軟化温度以上で前記第2成分の軟化温度よりも低い温度で圧縮処理されている熱プレス用クッション材が提案されている(特許文献3参照)。
特開2002-173862号公報 特開平8-188951号公報 国際公開2006/075573号
特許文献1で提案されている技術では、接着性改善により高強度化がみられるものの、その効果が限定的であり、近年要求されるようなより低い目付の不織布としようとしたときには、実用に供しうる強度を実現することが困難である。
また、特許文献2で提案されている技術では、ポリエステルが用いられているため柔軟性に劣る不織布となる。
さらに、特許文献3で提案されている技術では、異なる熱可塑性樹脂を用いているため熱可塑性樹脂同士が剥離しやすく、特許文献1の技術同様、近年要求されるようなより低い目付の不織布としようとしたときには、実用に供しうる強度を実現することが困難である。
そこで、本発明の目的は、仮に低い目付としたとしても高い強度を有し、かつ、柔軟性や肌触りにも優れる不織布、およびそれを少なくとも一部に具備してなる衛生材料を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、少なくとも、軟化温度が一定温度以上のポリプロピレン繊維Aと、軟化温度が一定温度未満のポリプロピレン繊維Bが含まれてなる不織布であって、ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Tsをポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Tsよりも高くし、かつ、示差走査熱量測定における結晶融解熱量ΔHmを一定の範囲とすることで、不織布の強度を向上できるという知見を得た。さらにこの不織布は、柔軟性や肌触りに優れることも判明した。
本発明は、これら知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 少なくとも、
軟化温度が150℃以上のポリプロピレン繊維Aと、
軟化温度が150℃未満のポリプロピレン繊維Bと、
が含まれてなる不織布であって、
前記ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Ts(℃)と前記ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Ts(℃)の差(Ts-Ts)が5℃以上50℃以下であり、
示差走査熱量測定における不織布の結晶融解熱量ΔHm(J/g)が90J/g以上120J/g以下である、不織布。
[2] 前記ポリプロピレン繊維Aおよび前記ポリプロピレン繊維Bがともにプロピレンの単独重合体からなる、前記[1]に記載の不織布。
[3] 前記ポリプロピレン繊維Aを主たる成分とする繊維層と、前記ポリプロピレン繊維Bを主たる成分とする繊維層が積層されてなる、前記[1]または[2]に記載の不織布
[4] 前記[1]~[3]のいずれかに記載の不織布が少なくとも1層積層されてなる、積層不織布。
[5] 前記[1]~[3]のいずれかに記載の不織布、または、前記[4]に記載の積層不織布を少なくとも一部に具備してなる、衛生材料。
[6] チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Aと、メタロセン触媒を用いて作られたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Bとが混繊された繊維ウェブを得た後、熱接着処理を施す、前記[1]~[3]のいずれかに記載の不織布の製造方法。
[7] チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Aで構成されてなる繊維ウェブと、メタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Bで構成されてなる繊維ウェブとを積層して積層体を得た後、熱接着処理を施す、前記[2]または[3]に記載の不織布の製造方法。
[8]前記ポリプロピレン繊維AのメルトマスフローレートMFR(g/10分)が以下の式を満たす、前記[6]または[7]に記載の不織布の製造方法。
MFR≦MFR≦MFR+200
ここで、MFRは前記ポリプロピレン繊維Bのメルトマスフローレート(g/10分)である。
[9] 前記熱接着処理の処理温度Txが以下の式を満たす、前記[6]~[8]のいずれかに記載の不織布の製造方法
Ts-10≦Tx<150
ここで、Tsは前記ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度(℃)である。
本発明によれば、仮に低い目付としたとしても高い強度を有し、かつ、柔軟性や肌触りにも優れる不織布が得られる。これらの特性から、本発明の不織布は、特に衛生材料用途として好適に用いることができる。
本発明の不織布は、少なくとも、軟化温度が150℃以上のポリプロピレン繊維Aと、軟化温度が150℃未満のポリプロピレン繊維Bと、が含まれてなる不織布であって、前記ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Ts(℃)と前記ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Ts(℃)の差(Ts-Ts)が5℃以上50℃以下であり、示差走査熱量測定における不織布の結晶融解熱量ΔHm(J/g)が90J/g以上120J/g以下である。
以下に、その構成要素について詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではなく、そして、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
[ポリプロピレン繊維A]
本発明のポリプロピレン繊維Aは、ポリプロピレンを主たる成分としてなる。ここで、本発明におけるポリプロピレンとは、主たる繰り返し単位としてプロピレン単位を有する樹脂を意味し、具体的には、繰り返し単位に占めるプロピレン単位のモル分率が80モル%以上100モル%以下である樹脂を意味する。このようなポリプロピレンを用いることで、柔軟性および強度に優れた不織布となる。
本発明のポリプロピレン繊維Aに用いられるポリプロピレンとしては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンの共重合体、プロピレンと各種α-オレフィンとの共重合体、およびこれら重合体の混合物などが挙げられる。ここで、α-オレフィンとは、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-ヘキサデセン、4-メチル-1-ペンテンなど、二重結合がα位にある炭化水素のことをいう。中でも、高い軟化温度を有する点から、プロピレンの単独重合体が好適に用いられる。
本発明のポリプロピレン繊維Aに用いられるポリプロピレンは、チーグラー・ナッタ触媒を用いて作られたポリプロピレンを主たる成分であることが好ましい。チーグラー・ナッタ触媒を用いて作られたポリプロピレンを用いることにより、ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度を高くすることができるため、熱接着した際に繊維形状が残りやすく、優れた強度を有する不織布となる。
本発明のポリプロピレン繊維Aは、本発明の効果をさらに高めるために、あるいは、他の特性を付与するために本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、帯電助剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、ポリエチレンワックスを含む滑剤、結晶核剤、および顔料等の添加物、あるいは他の重合体を必要に応じて添加することができる。
本発明のポリプロピレン繊維Aは、滑り性や柔軟性を向上させるために、脂肪酸アミド化合物が0.01質量%以上含有されたポリプロピレンであることが好ましい。脂肪酸アミド化合物の含有量を好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上とすることにより、脂肪酸アミド化合物が繊維表面において滑剤として作用するため、触感に優れた不織布となる。なお、本発明における脂肪酸アミド化合物の含有量の上限は特に制限されないが、コストや生産性の観点から5.0質量%以下が好ましい。
本発明のポリプロピレン繊維Aは、前記の脂肪酸アミド化合物を含有する場合において、脂肪酸アミド化合物の炭素数が15以上50以下であることが好ましい。炭素数が15以上50以下の脂肪酸アミド化合物としては、飽和脂肪酸モノアミド化合物、飽和脂肪酸ジアミド化合物、不飽和脂肪酸モノアミド化合物、および不飽和脂肪酸ジアミド化合物などが挙げられる。なお、本発明における炭素数とは、分子中に含まれる炭素数を意味し、具体的には、パルミチン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エライジン酸アミド、バクセン酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、ピノレン酸アミド、エレオステアリン酸アミド、ステアリドン酸アミド、ボセオペンタエン酸アミド、アラキジン酸アミド、ガドレイン酸アミド、エイコセン酸アミド、エイコサジエン酸アミド、ミード酸アミド、エイコサトリエン酸アミド、アラキドン酸アミド、エイコサテトラエン酸アミド、エイコサペンタエン酸アミド、ヘンイコシル酸アミド、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド、ドコサジエン酸アミド、アドレン酸アミド、オズボンド酸アミド、イワシ酸アミド、ドコサヘキサエン酸アミド、リグノセリン酸アミド、ネルボン酸アミド、テトラコサペンタエン酸アミド、ニシン酸アミド、セロチン酸アミド、モンタン酸アミド、メリシン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、ジステアリルセバシン酸アミド、およびヘキサメチレンビスオレイン酸アミドなどが挙げられ、これらを複数組み合わせて用いることができる。脂肪酸アミド化合物の炭素数を好ましくは15以上、より好ましくは23以上、さらに好ましくは30以上とすることにより、脂肪酸アミド化合物が過度に繊維表面に析出することを抑制し、紡糸性と加工安定性に優れ、高い生産性を保持することができる。また、脂肪酸アミド化合物の炭素数を好ましくは50以下、より好ましくは45以下、さらに好ましくは42以下とすることにより、脂肪酸アミド化合物が適度に繊維表面に析出するため、優れた触感を有する不織布となる。
本発明のポリプロピレン繊維Aは、単成分繊維はもとより、2種類以上の樹脂を複合した複合繊維であってもよい。ポリプロピレン繊維Aが複合繊維の場合において、その複合形態は本発明の効果を損ねない限り特に限定されるものではなく、芯鞘型や海島型、サイドバイサイド型、偏心芯鞘型、ブレンド型などから適宜選択することができる。なお、不織布の強度を高めるためには、熱接着後に繊維形状が残りやすい単成分繊維であることが好ましい。
本発明のポリプロピレン繊維Aとは、軟化温度が150℃以上であるポリプロピレン繊維のことである。ポリプロピレン繊維の軟化温度が150℃以上であるかどうかは、ナノスケール熱機械分析法(nanoscale-Thermomechanical Analysis;nano-TMA)を用いて、以下のようにして求めるものである。このnano-TMAはサブミクロン領域での熱分析が可能であり、原子間力顕微鏡(AFM)のプローブ(カンチレバー)に加熱ヒーターを備えた温度センサーを取り付けた装置(例えば、Analysis Instruments社製「Nano-TA2」など)を使用するものである。
(1)ポリプロピレン繊維を試料台に固定し、繊維直径方向の中央付近に、加熱ヒーターを備えた温度センサー付きのAFMプローブを固定する。
(3)プローブを25℃から180℃まで、昇温速度10℃/秒で昇温し、プローブの高さ変化(a.u.)を測定する。
(4)プローブの高さ変化から、試料中へプローブが針入する温度を測定し、その温度(軟化温度)が150℃以上であれば、ポリプロピレン繊維Aであるとする。
そして、そのポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Tsは、150℃以上であることが好ましい。この範囲について、その下限が150℃以上、好ましくは152℃以上であることにより、ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Tsとの差を大きくしやすいため、熱接着した際に繊維形状が残りやすく、優れた強度を有する不織布となる。また、平均軟化温度Tsの上限は特に制限されないが、後述するポリプロピレン繊維Aの融点Tmよりも低い温度となる。
なお、ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Tsは、ポリプロピレン繊維Aに用いられるポリプロピレンの触媒や共重合組成、ポリプロピレン繊維Aのメルトマスフローレートや融点、製造時の紡糸温度や紡糸速度などによって制御することができる。例えば、触媒としてチーグラー・ナッタ触媒を使用する、共重合成分の共重合量を低減する、メルトマスフローレートを低くする、融点を高くする、紡糸温度を低くする、紡糸速度を速くすることで、ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Tsを高くすることができる。
ここで言う、ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Ts(℃)とは、以下のようにして求めるものである。
(1)不織布の非接着部の上下面から、それぞれ20本ずつポリプロピレン繊維を切り出す。
(2)切り出したポリプロピレン繊維をnano-TMA(例えば、Analysis Instruments社製「Nano-TA2」など)の試料台に固定し、繊維直径方向の中央付近に、加熱ヒーターを備えた温度センサー付きのAFMプローブを固定する。
(3)プローブを25℃から180℃まで、昇温速度10℃/秒で昇温し、プローブの高さ変化(a.u.)を測定する。
(4)プローブの高さ変化から、試料中へプローブが針入する温度を測定する。
(5)40本の繊維を測定し、軟化温度が150℃以上のポリプロピレン繊維の軟化温度について単純な数平均値を求め、小数点第1位を四捨五入して得られる値をポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Ts(℃)とする。
本発明のポリプロピレン繊維Aは、融点Tmが140℃以上200℃以下であることが好ましい。融点Tmを好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上とすることにより、ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度を高くすることができるため、熱接着した際に繊維形状が残りやすく、優れた強度を有する不織布となる。また、融点Tmを好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、さらに好ましくは180℃以下とすることにより、口金から吐出された糸条を冷却しやすくなり、繊維同士の融着を抑制でき、平均単繊維径が小さい場合であっても安定した紡糸が行いやすくなる。
なお、ポリプロピレン繊維Aの融点Tmは、ポリプロピレン繊維Aに用いられるポリプロピレンの触媒や共重合組成などによって制御することができる。例えば、触媒としてチーグラー・ナッタ触媒を使用する、共重合成分の共重合量を低減することで、ポリプロピレン繊維Aの融点Tmを高くすることができる。
ここで言う、ポリプロピレン繊維Aの融点Tm(℃)とは、以下のようにして求めるものである。
(1)前記の軟化温度測定にて軟化温度が150℃以上であった繊維(ポリプロピレン繊維A)を約150ng(単繊維径が13.9μmの場合、およそ、長さ1mmの繊維1本分程度)採取する。
(2)超高速示差走査熱量計(例えば、メトラー・トレド社製「Flash DSC 1」など)に約150ngのポリプロピレン繊維Aをセットし、窒素下、昇温速度16℃/分、測定温度範囲50~230℃の条件で示差走査熱量測定を実施する。
(3)得られた測定結果(DSC曲線)における吸熱ピークの内、最も高い温度に出現するピークのピークトップ温度を求める。
(4)1水準につき測定位置を変更して3回測定を行って単純な数平均値を求め、小数点第1位を四捨五入して得られる値をポリプロピレン繊維Aの融点Tm(℃)とする。
本発明のポリプロピレン繊維Aは、結晶融解熱量ΔHmが90J/g以上120J/g以下であることが好ましい。結晶融解熱量ΔHmを好ましくは90J/g以上、より好ましくは92J/g以上、さらに好ましくは95J/g以上とすることにより、不織布の結晶融解熱量を高くすることができるため、優れた強度を有する不織布となる。また、結晶融解熱量ΔHmを好ましくは120J/g以下、より好ましくは110J/g以下とすることにより、優れた柔軟性を有する不織布となる。
なお、ポリプロピレン繊維Aの結晶融解熱量ΔHmは、ポリプロピレン繊維Aに用いられるポリプロピレンの共重合組成などによって制御することができる。例えば、触媒としてチーグラー・ナッタ触媒を使用する、共重合成分の共重合量を低減することで、ポリプロピレン繊維Aの結晶融解熱量ΔHmを高くすることができる。
ここで言う、ポリプロピレン繊維Aの結晶融解熱量ΔHm(J/g)とは、以下のようにして求めるものである。
(1)前記の軟化温度測定にて軟化温度が150℃以上であった繊維(ポリプロピレン繊維A)を約150ng(単繊維径が13.9μmの場合、およそ、長さ1mmの繊維1本分程度)採取する。
(2)超高速示差走査熱量計(例えば、メトラー・トレド社製「Flash DSC 1」など)に約150ngのポリプロピレン繊維Aをセットし、窒素下、昇温速度16℃/分、測定温度範囲50~230℃の条件で示差走査熱量測定を実施する。
(3)得られた測定結果(DSC曲線)における吸熱ピークの面積より結晶融解熱量を算出する。なお、吸熱ピークが複数見られた場合、すべての吸熱ピークの面積を合算した値より、結晶融解熱量(J/g)を算出する。
(4)1水準につき測定位置を変更して3回測定を行って単純な数平均値を求め、小数点第1位を四捨五入して得られる値をポリプロピレン繊維Aの結晶融解熱量ΔHm(J/g)とする。
本発明のポリプロピレン繊維Aは、断面形状として、丸断面、扁平断面、およびY型やC型などの異形断面を用いることができる。中でも、扁平断面や異形断面のような構造由来の曲げにくさがなく、柔軟性に優れた不織布とすることができることから、丸断面が好ましい態様である。また断面形状として中空断面を適用することもできるが、紡糸性に優れ、平均単繊維径が小さい場合であっても安定して紡糸できることから、中実断面が好ましい態様である。
本発明のポリプロピレン繊維Aは、平均単繊維径が8.0μm以上20.0μm以下であることが好ましい。平均単繊維径を好ましくは8.0μm以上、より好ましくは9.0μm以上、さらに好ましくは10.0μm以上とすることにより、紡糸性の低下を防ぎ、欠点の少ない不織布とすることができる。また、平均単繊維径を好ましくは20.0μm以下、より好ましくは17.0μm以下、さらに好ましくは14.0μm以下とすることにより、肌触りに優れ、地合が均一であり、優れた強度を有する不織布とすることができる。
なお、ポリプロピレン繊維Aの平均単繊維径は、製造時の紡糸温度や単孔吐出量、紡糸速度などによって制御することができる。例えば、紡糸温度を高くする、単孔吐出量を低減する、紡糸速度を速くすることで、ポリプロピレン繊維Aの平均単繊維径を小さくすることができる。
ここで言う、ポリプロピレン繊維Aの平均単繊維径(μm)とは、以下のようにして求めるものである。
(1)前記の軟化温度測定にて軟化温度が150℃以上であった繊維(ポリプロピレン繊維A)を10本採取する。
(2)採取したポリプロピレン繊維Aを繊維軸垂直方向に切断し、その切断面(繊維横断面)を走査型電子顕微鏡(例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製「S-5500」など)で1本の繊維が観察できる倍率として画像を撮影する。
(3)撮影した画像を用い、画像解析ソフト(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF2015」など)を用いて、単繊維の断面輪郭が形成する面積Afを計測し、この面積Afと同一の面積となる真円の直径を算出する。
(4)1水準につき計10本のポリプロピレン繊維Aの直径を測定して単純な数平均値を求め、小数点第2位を四捨五入して得られる値をポリプロピレン繊維Aの平均単繊維径(μm)とする。
[ポリプロピレン繊維B]
本発明のポリプロピレン繊維Bは、ポリプロピレンを主たる成分としてなる。ここで、本発明におけるポリプロピレンとは、主たる繰り返し単位としてプロピレン単位を有する樹脂を意味する。このようなポリプロピレンを用いることで、柔軟性および強度に優れた不織布となる。
本発明のポリプロピレン繊維Bに用いられるポリプロピレンとしては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンの共重合体、プロピレンと各種α-オレフィンとの共重合体、およびこれら重合体の混合物などが挙げられる。ここで、α-オレフィンとは、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-ヘキサデセン、4-メチル-1-ペンテンなど、二重結合がα位にある炭化水素のことをいう。中でも、結晶化度が高く強度に優れた不織布が得られる点から、プロピレン単独重合体が好適に用いられる。
本発明のポリプロピレン繊維Bに用いられるポリプロピレンは、メタロセン触媒を用いて作られたポリプロピレンを主たる成分であることが好ましい。メタロセン触媒を用いて作られたポリプロピレンを用いることにより、ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度を低くすることができるため、熱接着した際に繊維形状が接着成分として作用するため、優れた強度を有する不織布となる。
本発明のポリプロピレン繊維Bは、本発明の効果をさらに高めるために、あるいは、他の特性を付与するために本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、帯電助剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、ポリエチレンワックスを含む滑剤、結晶核剤、および顔料等の添加物、あるいは他の重合体を必要に応じて添加することができる。
本発明のポリプロピレン繊維Bは、滑り性や柔軟性を向上させるために、脂肪酸アミド化合物が0.01質量%以上含有されたポリプロピレンであることが好ましい。脂肪酸アミド化合物の含有量を好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上とすることにより、脂肪酸アミド化合物が繊維表面において滑剤として作用するため、触感に優れた不織布となる。なお、本発明における脂肪酸アミド化合物の含有量の上限は特に制限されないが、コストや生産性の観点から5.0質量%以下が好ましい。
本発明のポリプロピレン繊維Bは、前記の脂肪酸アミド化合物を含有する場合において、脂肪酸アミド化合物の炭素数が15以上50以下であることが好ましい。炭素数が15以上50以下の脂肪酸アミド化合物としては、飽和脂肪酸モノアミド化合物、飽和脂肪酸ジアミド化合物、不飽和脂肪酸モノアミド化合物、および不飽和脂肪酸ジアミド化合物などが挙げられる。なお、本発明における炭素数とは、分子中に含まれる炭素数を意味し、具体的には、パルミチン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エライジン酸アミド、バクセン酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、ピノレン酸アミド、エレオステアリン酸アミド、ステアリドン酸アミド、ボセオペンタエン酸アミド、アラキジン酸アミド、ガドレイン酸アミド、エイコセン酸アミド、エイコサジエン酸アミド、ミード酸アミド、エイコサトリエン酸アミド、アラキドン酸アミド、エイコサテトラエン酸アミド、エイコサペンタエン酸アミド、ヘンイコシル酸アミド、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド、ドコサジエン酸アミド、アドレン酸アミド、オズボンド酸アミド、イワシ酸アミド、ドコサヘキサエン酸アミド、リグノセリン酸アミド、ネルボン酸アミド、テトラコサペンタエン酸アミド、ニシン酸アミド、セロチン酸アミド、モンタン酸アミド、メリシン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、ジステアリルセバシン酸アミド、およびヘキサメチレンビスオレイン酸アミドなどが挙げられ、これらを複数組み合わせて用いることができる。脂肪酸アミド化合物の炭素数を好ましくは15以上、より好ましくは23以上、さらに好ましくは30以上とすることにより、脂肪酸アミド化合物が過度に繊維表面に析出することを抑制し、紡糸性と加工安定性に優れ、高い生産性を保持することができる。また、脂肪酸アミド化合物の炭素数を好ましくは50以下、より好ましくは45以下、さらに好ましくは42以下とすることにより、脂肪酸アミド化合物が適度に繊維表面に析出するため、優れた触感を有する不織布となる。
本発明のポリプロピレン繊維Bは、単成分繊維はもとより、2種類以上の樹脂を複合した複合繊維であってもよい。ポリプロピレン繊維Bが複合繊維の場合において、その複合形態は本発明の効果を損ねない限り特に限定されるものではなく、芯鞘型や海島型、サイドバイサイド型、偏心芯鞘型、ブレンド型などから適宜選択することができる。なお、不織布の強度を高めるためには、繊維全体が接着成分として働くよう単成分繊維であることが好ましい。
本発明のポリプロピレン繊維Bとは、軟化温度が150℃未満であるポリプロピレン繊維のことである。ポリプロピレン繊維の軟化温度が150℃未満であるかどうかは、ナノスケール熱機械分析法(nanoscale-Thermomechanical Analysis;nano-TMA)を用いて、以下のようにして求めるものである。このnano-TMAはサブミクロン領域での熱分析が可能であり、原子間力顕微鏡(AFM)のプローブ(カンチレバー)に加熱ヒーターを備えた温度センサーを取り付けた装置(例えば、Analysis Instruments社製「Nano-TA2」など)を使用するものである。
(1)ポリプロピレン繊維を試料台に固定し、繊維直径方向の中央付近に、加熱ヒーターを備えた温度センサー付きのAFMプローブを固定する。
(3)プローブを25℃から180℃まで、昇温速度10℃/秒で昇温し、プローブの高さ変化(a.u.)を測定する。
(4)プローブの高さ変化から、試料中へプローブが針入する温度を測定し、その温度(軟化温度)が150℃未満であれば、ポリプロピレン繊維Bであるとする。
そして、そのポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Tsは、100℃以上150℃未満であることが好ましい。この範囲について、その上限が150℃未満、好ましくは145℃以下、より好ましくは140℃以下であることにより、ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Tsとの差を大きくしやすいため、熱接着した際に接着成分として作用しやすくなり、優れた強度を有する不織布となる。一方、その下限は100℃以上であることが好ましい。平均軟化温度Tsを好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上とすることにより、不織布とした際に実用に耐えうる耐熱性を得ることが容易となる。
なお、ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Tsは、ポリプロピレン繊維Bに用いられるポリプロピレンの触媒や共重合組成、ポリプロピレン繊維Bのメルトマスフローレートや融点、製造時の紡糸温度や紡糸速度などによって制御することができる。例えば、触媒としてメタロセン触媒を使用する、共重合成分の共重合量を増加する、メルトマスフローレートを低くする、融点を低くする、紡糸温度を高くする、紡糸速度を低くすることで、ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Tsを低くすることができる。
ここで言う、ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Ts(℃)とは、ナノスケール熱機械分析法(nanoscale-Thermomechanical Analysis;nano-TMA)を用いて、以下のようにして求めるものである。
(1)不織布の非接着部の上下面から、それぞれ20本ずつ繊維を切り出す。
(2)切り出したポリプロピレン繊維をnano-TMA(例えば、Analysis Instruments社製「Nano-TA2」など)の試料台に固定し、繊維直径方向の中央付近に、加熱ヒーターを備えた温度センサー付きのAFMプローブを固定する。
(3)プローブを25℃から180℃まで、昇温速度10℃/秒で昇温し、プローブの高さ変化(a.u.)を測定する。
(4)プローブの高さ変化から、試料中へプローブが針入する温度を測定する。
(5)1水準につき40本の繊維を測定し、軟化温度が150℃未満の繊維の軟化温度について単純な数平均値を求め、小数点第1位を四捨五入して得られる値をポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Ts(℃)とする。
本発明のポリプロピレン繊維Bは、融点Tmが120℃以上180℃以下であることが好ましい。融点Tmを好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上とすることにより、不織布とした際に実用に耐えうる耐熱性を得ることが容易となる。また、融点Tmを好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下、さらに好ましくは160℃以下とすることにより、ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度を低くすることができるため、熱接着した際に接着成分として作用しやすくなり、優れた強度を有する不織布となる。
なお、ポリプロピレン繊維Bの融点Tmは、ポリプロピレン繊維Bに用いられるポリプロピレンの触媒や共重合組成によって制御することができる。例えば、触媒としてメタロセン触媒を使用する、共重合成分の共重合量を増加することで、ポリプロピレン繊維Bの融点TmBを低くすることができる。
ここで言う、ポリプロピレン繊維Bの融点Tm(℃)とは、以下のようにして求めるものである。
(1)前記の軟化温度測定にて軟化温度が150℃未満であった繊維(ポリプロピレン繊維B)を約150ng(単繊維径が13.9μmの場合、およそ、長さ1mmの繊維1本分程度)採取する。
(2)超高速示差走査熱量計(例えば、メトラー・トレド社製「Flash DSC 1」など)に約150ngのポリプロピレン繊維Bをセットし、窒素下、昇温速度16℃/分、測定温度範囲50℃~230℃の条件で示差走査熱量測定を実施する。
(3)得られた測定結果(DSC曲線)における吸熱ピークの内、最も高い温度に出現するピークのピークトップ温度を求める。
(4)1水準につき測定位置を変更して3回測定を行って単純な数平均値を求め、小数点第1位を四捨五入して得られる値をポリプロピレン繊維Bの融点Tm(℃)とする。
本発明のポリプロピレン繊維Bは、結晶融解熱量ΔHmが90J/g以上120J/g以下であることが好ましい。結晶融解熱量ΔHmを好ましくは90J/g以上、より好ましくは92J/g以上、さらに好ましくは95J/g以上とすることにより、不織布の結晶融解熱量を高くすることができるため、優れた強度を有する不織布となる。また、結晶融解熱量ΔHmを好ましくは120J/g以下、より好ましくは110J/g以下とすることにより、優れた柔軟性を有する不織布となる。
なお、ポリプロピレン繊維Bの結晶融解熱量ΔHmは、ポリプロピレン繊維Bに用いられるポリプロピレンの共重合組成などによって制御することができる。例えば、共重合成分の共重合量を低減することで、ポリプロピレン繊維Bの結晶融解熱量ΔHmを高くすることができる。
ここで言う、ポリプロピレン繊維Bの結晶融解熱量ΔHm(J/g)とは、以下のようにして求めるものである。
(1)前記の軟化温度測定にて軟化温度が150℃未満であった繊維(ポリプロピレン繊維B)を約150ng(単繊維径が13.9μmの場合、およそ、長さ1mmの繊維1本分程度)採取する。
(2)超高速示差走査熱量計(例えば、メトラー・トレド社製「Flash DSC 1」など)に約150ngのポリプロピレン繊維Bをセットし、窒素下、昇温速度16℃/分、測定温度範囲50~230℃の条件で示差走査熱量測定を実施する。
(3)得られた測定結果(DSC曲線)における吸熱ピークの面積より結晶融解熱量を算出する。なお、吸熱ピークが複数見られた場合、すべての吸熱ピークの面積を合算した値より、結晶融解熱量(J/g)を算出する。
(4)1水準につき測定位置を変更して3回測定を行って単純な数平均値を求め、小数点第1位を四捨五入して得られる値をポリプロピレン繊維Bの結晶融解熱量ΔHm(J/g)とする。
本発明のポリプロピレン繊維Bは、断面形状として、丸断面、扁平断面、およびY型やC型などの異形断面を用いることができる。中でも、扁平断面や異形断面のような構造由来の曲げにくさがなく、柔軟性に優れた不織布とすることができることから、丸断面が好ましい態様である。また断面形状として中空断面を適用することもできるが、紡糸性に優れ、平均単繊維径が小さい場合であっても安定して紡糸できることから、中実断面が好ましい態様である。
本発明のポリプロピレン繊維Bは、平均単繊維径が8.0μm以上20.0μm以下であることが好ましい。平均単繊維径を好ましくは8.0μm以上、より好ましくは9.0μm以上、さらに好ましくは10.0μm以上とすることにより、紡糸性の低下を防ぎ、欠点の少ない不織布とすることができる。また、平均単繊維径を好ましくは20.0μm以下、より好ましくは17.0μm以下、さらに好ましくは14.0μm以下とすることにより、肌触りに優れ、地合が均一であり、優れた強度を有する不織布とすることができる。ポリプロピレン繊維Bの平均単繊維径は、後述する紡糸温度、単孔吐出量、紡糸速度などによって制御することができる。例えば、紡糸温度を高くする、単孔吐出量を低減する、紡糸速度を速くすることで、ポリプロピレン繊維Bの平均単繊維径を小さくすることができる。
ここで言う、ポリプロピレン繊維Bの平均単繊維径(μm)とは、以下のようにして求めるものである。
(1)前記の軟化温度測定にて軟化温度が150℃未満であった繊維(ポリプロピレン繊維B)を10本採取する。
(2)採取したポリプロピレン繊維Bを繊維軸垂直方向に切断し、その切断面(繊維横断面)を走査型電子顕微鏡(例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製「S-5500」など)で1本の繊維が観察できる倍率として画像を撮影する。
(3)撮影した画像を用い、画像解析ソフト(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF2015」など)を用いて、単繊維の断面輪郭が形成する面積Afを計測し、この面積Afと同一の面積となる真円の直径を算出する。
(4)1水準につき計10本のポリプロピレン繊維Bの直径を測定して単純な数平均値を求め、小数点第2位を四捨五入して得られる値をポリプロピレン繊維Bの平均単繊維径(μm)とする。
[不織布、積層不織布]
本発明の不織布は、示差走査熱量測定における結晶融解熱量ΔHmが90J/g以上120J/g以下であることが重要である。不織布の結晶融解熱量ΔHmを90J/g以上、好ましくは92J/g以上、より好ましくは95J/g以上とすることにより、不織布の結晶化度を高くすることができるため、優れた強度を有する不織布となる。また、不織布の結晶融解熱量ΔHmを120J/g以下、好ましくは110J/g以下とすることにより、優れた柔軟性を有する不織布となる。
なお、不織布の結晶融解熱量ΔHmは、ポリプロピレン繊維Aの結晶融解熱量ΔHmやポリプロピレン繊維Bの結晶融解熱量ΔHmによって制御することができる。例えば、ポリプロピレン繊維Aの結晶融解熱量ΔHm、および/または、ポリプロピレン繊維Bの結晶融解熱量ΔHmを高くすることによって、不織布の結晶融解熱量ΔHmを高くすることができる。
ここで言う、不織布の結晶融解熱量ΔHm(J/g)とは、以下のようにして求めるものである。
(1)示差走査熱量計(例えば、TA Instruments社製「DSC Q2000」)に約2mgの不織布をセットし、窒素下、昇温速度16℃/分、測定温度範囲50~230℃の条件で示差走査熱量測定を実施する。
(2)得られた測定結果(DSC曲線)における吸熱ピークの面積より結晶融解熱量を算出する。なお、吸熱ピークが複数見られた場合、すべての吸熱ピークの面積を合算した値より、結晶融解熱量(J/g)を算出する。
(3)1水準につき測定位置を変更して3回測定を行って単純な数平均値を求め、小数点第1位を四捨五入して得られる値を不織布の結晶融解熱量ΔHm(J/g)とする。
本発明の不織布は、ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Tsとポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Tsの差(Ts-Ts)が5℃以上50℃以下であることが重要である。本発明者らは、不織布の柔軟性を維持したまま高強度化させることを目的に検討を進め、不織布を構成する繊維の強度を上げるだけでなく、接着部の強度を高めて破壊されにくくすることが有効であることを確認した。そこで、本発明者らはさらに鋭意検討を進めた結果、ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Tsをポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Tsの差(Ts-Ts)を5℃以上50℃以下とすることで、熱接着する際にポリプロピレン繊維Aの繊維形状を残したままポリプロピレン繊維Bが軟化して接着成分として作用するため、接着部の強度が高くなり、優れた強度を有する不織布となることを見出した。Ts-Tsを5℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上とすることにより、熱接着時にポリプロピレン繊維Aの繊維形態を残したままポリプロピレン繊維Bのみを軟化させることができ、優れた強度を有する不織布となる。また、Ts-Tsを50℃以下、好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下とすることにより、ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Tsを高くすることがきるため、不織布とした際に実用に耐えうる耐熱性を得ることが容易となる。
なお、Ts-Tsは、ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Tsやポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Tsによって制御することができる。例えば、ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Tsを高くする、ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Tsを低くすることによって、Ts-Tsを大きくすることができる。
本発明の不織布は、長繊維、短繊維、もしくは長繊維と短繊維の両方で構成された不織布であるが、中でも長繊維で構成された不織布であることが好ましい。長繊維から構成されることにより、優れた強度を有する不織布となる。
本発明の不織布は、少なくともポリプロピレン繊維Aとポリプロピレン繊維Bが含まれてなるが、ポリプロピレン繊維Aを主たる成分とする繊維層と、ポリプロピレン繊維Bを主たる成分とする繊維層が積層されていることが好ましい。各繊維層が積層されていることにより、紡糸性や工程通過性が良好となるため、欠点の少ない不織布となる。
本発明の不織布は、接着部と非接着部とを有することが好ましい。このようにすることにより、柔軟性や肌触りを保持しつつ、優れた強度を有する不織布とすることができる。接着部とは繊維の少なくとも一部が溶融して繊維同士が一体化している箇所を指し、非接着部とは繊維同士が一体化しておらず断面形状を保持している箇所を指す。
本発明の不織布は、目付が5g/m以上100g/m以下であることが好ましい。目付を好ましくは5g/m以上、より好ましくは8g/m以上、さらに好ましくは10g/m以上とすることにより、実用に供しうる十分な強度を有する不織布となる。また、目付を好ましくは100g/m以下、より好ましくは50g/m以下、さらに好ましくは30g/m以下とすることにより、衛生材料用の不織布としての使用に適した柔軟性を有する不織布となる。
ここで言う、不織布の目付(g/m)は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量」に準じ、以下のようにして求めるものである。
(1)不織布から200mm×250mmの小片サンプルを、試料の幅1m当たり3枚採取する。
(2)採取した小片サンプルについて、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を測定する。
(3)1水準につき3枚測定して単純な数平均値を求め、小数点第1位を四捨五入して得られる値を不織布の目付(g/m)とする。
本発明の不織布は、剛軟度が10mm以上65mm以下であることが好ましい。剛軟度を好ましくは10mm以上、より好ましくは20mm以上とすることにより、優れた取り扱い性を有する不織布となる。また、剛軟度を好ましくは65mm以下、より好ましくは60mm以下とすることにより、衛生材料用の不織布としての使用に適した柔軟性を有する不織布となる。
なお、不織布の剛軟度は、ポリプロピレン繊維Aおよびポリプロピレン繊維Bのメルトマスフローレートや平均単繊維径、製造時の熱接着の条件(圧着率、温度、および線圧など)などを適切に調整することにより制御することができる。例えば、メルトマスフローレートを高くする、平均単繊維径を小さくする、圧着率を小さくする、温度を低くする、線圧を低くすることで、不織布の剛軟度を低くすることができる。
ここで言う、剛軟度(mm)は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.7 剛軟度(JIS法及びISO法)」の「6.7.3 41.5°カンチレバー法」に準じて求めたものである。
本発明の不織布は、目付あたりの横方向の引張強力が0.80(N/25mm)/(g/m)以上2.00(N/25mm)/(g/m)以下であることが好ましい。目付あたりの横方向の引張強力を好ましくは0.80(N/25mm)/(g/m)以上、より好ましくは0.90(N/25mm)/(g/m)以上とすることにより、低目付化した場合であっても、実用に供しうる十分な強度を有する不織布となる。また、目付あたりの横方向の引張強力を好ましくは2.00(N/25mm)/(g/m)以下とすることにより、優れた風合いや柔軟性を有する不織布となる。ここで、本発明において、不織布の「横方向」とは、不織布ロールにおける巻取り方向(縦方向、不織布の長手方向であり、製造過程においては不織布の搬送方向)に対して垂直に交差する方向(不織布の幅方向)を指すものである。不織布が切断された場合などでロール状態にない場合は、以下の手順によって横方向を決定することとする。
(1)不織布の任意の一方向を0°とし、長辺が上記の方向と一致するよう300mm×25mmの試験片を切り出し、場所を変更して試験片を3枚採取する。
(2)試験片を、つかみ間隔200mmとした引張試験機に、長辺が引張方向となるようにセットする。
(3)引張速度100m/分で引張試験を実施し、採取した3枚の試験片について破断時の強力〔N〕を求め、その算術平均値を破断強力σとする。
(4)0°とした任意の一方向に対して不織布の面内で時計回りに22.5°回転させた方向を軸とし、長辺が上記の軸方向と一致するように300mm×25mmの試験片を切り出し、場所を変更して試験片を3枚採取する。その後、上記(2)~(3)の操作を行い、破断強力σを算出する。
(5)不織布の面内での回転角度が180°になるまで上記(4)の操作を繰り返し行い、それぞれの角度における破断強力を算出する。
(6)上記の方法で算出された破断強力の内、最も低い破断強度を示した引張方向を不織布の横方向とする。
不織布の引張強力は縦方向と横方向があるが、一般的には横方向の引張強力の方が縦方向の引張強力よりも小さくなることから、目付あたりの横方向の引張強力を上記の範囲とすることで、縦方向においても柔軟性と強度を兼ね備えた不織布となる。
なお、目付あたりの横方向の引張強力は、ポリプロピレン繊維Aおよびポリプロピレン繊維Bのメルトマスフローレートや平均単繊維径、不織布におけるポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Tsとポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Tsの差(Ts-Ts)、製造時の熱接着の条件(圧着率、温度、および線圧など)などを適切に調整することにより制御することができる。例えば、メルトマスフローレートを低くする、平均単繊維径を小さくする、Ts-Tsを大きくする、圧着率を大きくする、温度を高くする、線圧を高くすることで、目付あたりの横方向の引張強力を高くすることができる。
ここで言う、不織布の目付あたりの横方向の引張強力とは、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.3 引張強さ及び伸び率(ISO法)」に準じ、以下のようにして求めるものである。
(1)不織布から25mm×200mmの小片サンプルを、長辺が不織布の横方向(幅方向)となるように、試料の幅1m当たり3枚採取する。
(2)採取した小片サンプルを、つかみ間隔100mmで引張試験機(例えば、株式会社エー・アンド・デイ(A&D)製テンシロン万能材料試験機「RTG-1250」など)にセットする。
(3)引張速度100mm/分で引張試験を実施し、最大強力(N/25mm)を測定する。
(4)1水準につき3枚測定して単純な数平均値を求め、次の式に基づいて計算し、小数点第3位を四捨五入して得られる値を不織布の目付あたりの横方向の引張強力((N/25mm)/(g/m))とする。
目付あたりの横方向の引張強力((N/25mm)/(g/m))=[最大強力の数平均値(N/25mm)]/目付(g/m)。
[不織布の製造方法]
本発明の不織布の製造方法としては、好ましくは、チーグラー・ナッタ触媒を用いて作られたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Aと、メタロセン触媒を用いて作られたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Bとが混繊された繊維ウェブを得た後、熱接着処理を施す方法(第1の製造方法)や、チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Aで構成されてなる繊維ウェブと、メタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Bで構成されてなる繊維ウェブとを積層して積層体を得た後、熱接着処理を施す方法(第2の製造方法)が挙げられる。
なお、本発明の不織布の製造方法において、繊維ウェブを形成する方法は、スパンボンド法、メルトブロー法、短繊維カード法などの公知の製造方法から選ぶことができる。中でも、生産性に優れるスパンボンド法を用いることが、好ましい態様である。なお、スパンボンド法とは、原料である熱可塑性樹脂を溶融し、紡糸口金から紡糸した後、冷却固化して得られた糸条に対し、エジェクターで牽引し延伸して、移動するネット上に捕集して繊維ウェブ化した後、熱接着する工程を要する長繊維不織布の製造方法である。
以下に、これら本発明の不織布の製造方法の好ましい態様について詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
(第1の製造方法)
この第1の製造方法では、まず、チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Aと、メタロセン触媒を用いて作られたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Bとが混繊された繊維ウェブを得る。
本発明に係る不織布の製造方法において、ポリプロピレン繊維Aは、チーグラー・ナッタ触媒を用いて作られたポリプロピレンを主たる成分とすることが好ましい。チーグラー・ナッタ触媒を用いて作られたポリプロピレンを用いることにより、ポリプロピレン繊維Aの軟化温度を高くすることができるため、熱接着した際に繊維形状が残りやすく、優れた強度を有する不織布となる。
一方、本発明に係る不織布の製造方法において、ポリプロピレン繊維Bは、メタロセン触媒を用いて作られたポリプロピレンを主たる成分とすることが好ましい。メタロセン触媒を用いて作られたポリプロピレンを用いることにより、ポリプロピレン繊維Bの軟化温度を低くすることができるため、熱接着した際に繊維形状が接着成分として作用するため、優れた強度を有する不織布となる。
この第1の製造方法において、ポリプロピレン繊維A、ポリプロピレン繊維Bを得る方法としては、プレッシャーメルタ型、単軸や2軸エクストルーダー型などの押出機を用いた溶融紡糸法を適用することができる。押し出されたポリプロピレンは、配管を経由し、ギアーポンプなどの計量装置により計量され、異物除去のフィルターを通過した後、紡糸口金へと導かれる。このとき、ポリマー配管から紡糸口金までの温度(紡糸温度)は、原料であるポリプロピレンの融解温度+10℃以上、かつ、原料であるポリプロピレンの融解温度+120℃以下とすることが好ましい。紡糸温度を上記範囲内とすることにより、安定した溶融状態とし、優れた紡糸安定性を得ることができる。
紡出された糸条は、次に冷却される。紡出された糸条を冷却する方法としては、例えば、冷風を強制的に糸条に吹き付ける方法、糸条周りの雰囲気温度で自然冷却する方法、および紡糸口金とエジェクター間の距離を調整する方法等が挙げられ、またはこれらの方法を組み合わせる方法を採用することができる。また、冷却条件は、紡糸口金の単孔あたりの吐出量、紡糸する温度および雰囲気温度等を考慮して適宜調整することができる。
続いて、冷却固化された糸条は延伸される。ここで、スパンボンド法を採用した場合、冷却固化された糸状は巻き取られることなく、紡糸口金下部に設置されたエジェクターから噴射される圧縮エアによって牽引され、延伸される。
スパンボンド法において、用いられる紡糸口金やエジェクターの形状としては、丸形や矩形等種々のものを採用することができる。中でも、圧縮エアの使用量が比較的少なく、糸条同士の融着や擦過が起こりにくいという観点から、矩形口金と矩形エジェクターの組み合わせを用いることが好ましい。
ポリプロピレン繊維の平均単繊維直径は、紡糸口金の吐出孔当たりの吐出量と牽引速度、すなわち紡糸速度によって決定される。このため、所望の平均単繊維径に応じて、単孔吐出量と紡糸速度を決定することが好ましい。
紡糸速度は2000m/分以上6000m/分以下であることが好ましい。紡糸速度を好ましくは2000m/分以上、より好ましくは3000m/分以上とすることにより、高い生産性を有することになり、また繊維の配向結晶化が進み高い強度の長繊維を得ることができる。また、紡糸速度を好ましくは6000m/分以下とすることにより、紡糸時の糸切れを抑制でき、紡糸安定性を高めることが可能となる。
ここで、前記のポリプロピレン繊維AのメルトマスフローレートMFR(g/10分)は、10g/10分以上1000g/10分以下であることが好ましい。MFRを好ましくは10g/10分以上、より好ましくは20g/10分以上、さらに好ましくは30g/10分以上とすることにより、平均単繊維径が小さい場合であっても安定して紡糸することができ、地合が均一な不織布となる。また、MFRを好ましくは1000g/10分以下、より好ましくは500g/10分以上、さらに好ましくは300g/10分以上とすることにより、紡糸時に繊維の配向が進むため、優れた強度を有する不織布となる。
また、前記のポリプロピレン繊維BのメルトマスフローレートMFRB(g/10分)は、10g/10分以上500g/10分以下であることが好ましい。MFRBを好ましくは10g/10分以上、より好ましくは15g/10分以上、さらに好ましくは20g/10分以上とすることにより、平均単繊維径が小さい場合であっても安定して紡糸することができ、肌触りに優れ、地合が均一な不織布となる。また、MFRBを好ましくは500g/10分以下、より好ましくは300g/10分以上、さらに好ましくは250g/10分以上とすることにより、熱接着工程において繊維形状が維持されるため接着部が破壊されにくくなり、優れた強度を有する不織布となる。
ここで言う、ポリプロピレン繊維Aおよびポリプロピレン繊維Bのメルトマスフローレート(g/10分)とは、ASTM D1238(A法)に順じ、以下のようにして求めるものである。この規格によれば、ポリプロピレンは荷重:2.16kg、温度:230℃にて測定することが規定されている。
(1)上記の製造方法により得られたポリプロピレン繊維Aまたはポリプロピレン繊維Bを、ネット上に捕集される直前に20gずつ無作為に5カ所採取する。
(2)採取したポリプロピレン繊維Aまたはポリプロピレン繊維Bを約10mmの長さにカットし、230℃に熱したメルトマスフローレート測定装置(例えば、株式会社東洋精機製作所製「MELT INDEXER F-F01」など)に投入する。
(3)荷重2.16kg、温度230℃の条件で、1水準につき5回測定して単純な数平均値を求め、小数点第1位を四捨五入して得られる値をポリプロピレン繊維Aまたはポリプロピレン繊維Bのメルトマスフローレート(g/10分)とする。
本発明の不織布に用いられるポリプロピレン繊維AのメルトマスフローレートMFRAは、以下の式を満たすことが好ましい。
MFR≦MFR≦MFR+200
MFRを好ましくはポリプロピレン繊維BのメルトマスフローレートMFRB以上、より好ましくはMFR+2以上、さらに好ましくはMFR+10以上とすることにより熱接着工程にてポリプロピレン繊維Aが変形しやすくなるため、優れた強度を有する不織布となる。また、MFRを好ましくはMFR+200以下、より好ましくはMFR+150以下、さらに好ましくはMFR+120以下とすることにより、ポリプロピレン繊維Aの繊維強度が過度に低下することを抑制できるため、優れた強度を有する不織布となる。
そして、この第1の製造方法において、前記のポリプロピレン繊維Aと、前記のポリプロピレン繊維Bとが混繊された繊維ウェブを得る方法としては、それぞれのポリプロピレン繊維を得た後にオフラインにて混ぜ合わせる方法や、ポリプロピレン繊維Aとポリプロピレン繊維Bとを、ポリプロピレン繊維A用の吐出孔とポリプロピレン繊維B用の吐出孔とを有する口金からそれぞれ吐出して、これらを同時にネット上に捕集する方法などが挙げられるが、生産性や均一性の観点から、後者の方法によって混繊された繊維ウェブを得る方法がより好ましい。
本発明では、前記の繊維ウェブに対して、ネット上でその片面から熱フラットロールを当接して仮接着させることも好ましい態様である。このようにすることにより、ネット上を搬送中に繊維ウェブの表層がめくれたり吹き流れたりして地合が悪化することを防いだり、糸条を捕集してから熱接着するまでの搬送性を改善することができる。
さらに、この第1の製造方法において、前記の繊維ウェブに熱接着処理を施す。
熱接着処理の方法は特に制限されないが、例えば、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール、および上下一対のフラット(平滑)ロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールなど、各種ロールにより熱融着させる方法、ホーンの超音波振動により熱融着させる方法、および不織繊維ウェブに熱風を貫通させて芯鞘型複合繊維の表面を軟化または融解させ、繊維交点同士を熱融着させるなどの方法が挙げられる。
なかでも、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、または片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロールを用いることが好ましい。このようにすることで、生産性良く、不織布の強度を向上させる融着部と、風合いや肌触りを向上させる非融着部と、を設けることができる。
熱エンボスロールの表面材質としては、十分な熱圧着効果を得て、かつ片方のエンボスロールの彫刻(凹凸部)が他方のロール表面に転写することを防ぐため、金属製ロールと金属製ロールを対にすることが好ましい態様である。
このような熱エンボスロールによるエンボス接着面積率は、5%以上30%以下であることが好ましい。接着面積を好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上、さらに好ましくは10%以上とすることにより、実用に供し得る強度を有した不織布を得ることができる。一方、接着面積を好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下とすることにより、衛生材料用の不織布として、特に紙おむつ用途での使用に適した適度な柔軟性を得ることができる。超音波接着を用いる場合でも、接着面積率は同様の範囲であることが好ましい。
ここでいう接着面積とは、接着部が不織布全体に占める割合のことを言う。具体的には、一対の凹凸を有するロールにより熱接着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって不織繊維ウェブに当接する部分(接着部)の不織布全体に占める割合のことを言う。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱接着する場合は、凹凸を有するロールの凸部が不織繊維ウェブに当接する部分(接着部)の不織布全体に占める割合のことを言う。また、超音波接着する場合は、超音波加工により熱溶着させる部分(接着部)の不織布全体に占める割合のことを言う。熱接着時に接着部に十分な熱が加わり、接着部の芯鞘型複合繊維全体が融着している場合、接着部と融着部の面積は等しいと見なすことができる。
熱エンボスロールや超音波接着による接着部の形状は特に制限されないが、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形などを用いることができる。また接着部は、不織布の長手方向(搬送方向)と幅方向にそれぞれ一定の間隔で均一に存在していることが好ましい。このようにすることにより、不織布の強度のばらつきを低減することができる。
前記熱接着処理の処理温度Tx(℃)は以下の式を満たすことが好ましい。
Ts-10≦Tx<150
Txを、好ましくはTs-10以上、より好ましくはTs-5以上、さらに好ましくはTs-0以上とすることにより、熱接着する際にポリプロピレン繊維Aの繊維形状を残したままポリプロピレン繊維Bが軟化して接着成分として作用するため、優れた強度を有する不織布を得ることができる。また、Txを、好ましくは150未満、より好ましくは145以下とすることにより、過度な熱接着を抑制し、衛生材料用の不織布として、特に紙おむつ用途での使用に適した適度な柔軟性を得ることができる。
熱接着処理に熱エンボスロールを用いる場合、熱エンボスロールの線圧は、50N/cm以上500N/cm以下とすることが好ましい。ロールの線圧を好ましくは50N/cm以上、より好ましくは100N/cm以上、さらに好ましくは150N/cm以上とすることにより、強固に熱接着させ実用に供しうる強度の不織布を得ることができる。また、熱エンボスロールの線圧を好ましくは500N/cm以下、より好ましくは400N/cm以下、さらに好ましくは300N/cm以下とすることにより、衛生材料用の不織布として、特に紙おむつ用途での使用に適した適度な柔軟性を得ることができる。
また、本発明では、不織布の厚みを調整することを目的に、上記の熱エンボスロールによる熱接着の後に、さらに上下一対のフラットロールからなる熱カレンダーロールにより熱圧着を施すことができる。上下一対のフラットロールとは、ロールの表面に凹凸のない金属製ロールや弾性ロールのことであり、金属製ロールと金属製ロールを対にしたり、金属製ロールと弾性ロールを対にしたりして用いることができる。
そして、ここで弾性ロールとは、金属製ロールと比較して弾性を有する材質からなるロールのことである。弾性ロールとしては、例えば、ペーパー、コットンおよびアラミドペーパー等のいわゆるペーパーロールや、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂および硬質ゴム、およびこれらの混合物からなる樹脂製のロールなどが挙げられる。
(第2の製造方法)
この第2の製造方法では、まず、チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Aで構成されてなる繊維ウェブと、メタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Bで構成されてなる繊維ウェブとを積層して積層体を得る。
この第2の製造方法においても、ポリプロピレン繊維Aとポリプロピレン繊維Bとは、(第1の製造方法)において記載したものであることが同様に好ましい。
そして、この第2の製造方法において、前記のポリプロピレン繊維Aで構成されてなる繊維ウェブ、そして、前記のポリプロピレン繊維Bで構成されてなる繊維ウェブを得る方法としては、ポリプロピレン繊維Aとポリプロピレン繊維Bを別々の口金から吐出し、ポリプロピレン繊維Aで構成されてなる繊維ウェブと、ポリプロピレン繊維Bで構成されてなる繊維ウェブを、別々に得る方法が挙げられる。
さらに、前記のポリプロピレン繊維Aで構成されてなる繊維ウェブと、前記のポリプロピレン繊維Bで構成されてなる繊維ウェブとを積層して積層体を得る。
この積層体を得る方法としては、それぞれの繊維ウェブを得た後にオフラインにて積層する方法や、ポリプロピレン繊維Aで構成されてなる繊維ウェブをネット上に捕集した後、ポリプロピレン繊維Aで構成されてなる繊維ウェブ上にポリプロピレン繊維Bで構成されてなる繊維ウェブをオンラインにて積層する方法などが挙げられるが、生産性の観点からオンラインにて積層する方法が好ましい。
続いて、この第2の製造方法において、前記の積層体に熱接着処理を施す。この第2の製造方法においても、熱接着処理は、(第1の製造方法)において記載したものであることが同様に好ましい。
[積層不織布]
本発明の積層不織布は、本発明の不織布が少なくとも1層積層されてなる。本発明の不織布を少なくとも1層積層することにより、本発明の不織布が補強材として作用するため、優れた強度を有する積層不織布となる。
また、不織布の積層方法は特に制限されないものの、本発明の不織布と、本発明以外の不織布やフィルムなどの構造体とを接着せずに重ねる方法や、層間の一部、もしくは全体を、接着剤や熱圧着加工により一体化する方法が挙げられる。
なお、本発明の不織布に積層される、本発明の不織布以外の構造体として不織布を用いる場合、スパンボンド法、メルトブロー法、短繊維カード法などの公知の製造方法によって得られた不織布が挙げられる。また、本発明の不織布以外の構造体を構成する樹脂は特に制限されないが、接着が容易であることから、ポリプロピレンで構成されていることが好ましい。
[衛生材料]
本発明の衛生材料は、前記の不織布、または、前記の積層不織布を少なくとも一部に具備してなる。前記の不織布、または、前記の積層不織布は、柔軟性や肌触りに優れ、地合が均一であり、実用に供しうる十分な強度を有していることから、着用時の快適性に優れた衛生材料が得られる。なお、ここで言う衛生材料とは、例えば、医療・介護など健康に関わる目的で使用される、主に使い捨ての物品である。本発明の衛生材料は、紙おむつ、生理用ナプキン、ガーゼ、包帯、マスク、手袋、絆創膏等が挙げられ、その構成部材、例えば、紙おむつにおいては、そのトップシート、バックシート、サイドギャザー等も含まれる。中でも、高い強度と柔軟性を必要とする紙おむつのバックシートに好適に用いられる。
次に、実施例に基づき、本発明の不織布について具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
(1)ポリプロピレン繊維のメルトマスフローレート(MFR、MFRB
メルトマスフローレート測定装置として、株式会社東洋精機製作所製のメルトインデクサー「MELT INDEXER F-F01」を用い、前述の通り測定を行った。
(2)ポリプロピレン繊維の融点(Tm、Tm)および結晶融解熱量(ΔHm、ΔHm
超高速示差走査熱量計として、メトラー・トレド社製「Flash DSC 1」を用い、前述の通り測定を行った。
(3)不織布の結晶融解熱量(ΔHm)
示差走査熱量計として、TA Instruments社製「DSC Q2000」を用い、前述の通り測定を行った。
(4)ポリプロピレン繊維の軟化温度、平均軟化温度(Ts、Ts
測定装置にはAnalysis Instruments社製Nano-TA装置「Nano-TA2」を、AFM装置にはPACIFIC NANOTECHNOLOGY社製「Nano-R」を、プローブにはAnalysis Instruments社製「PNI-AN2-300」を用い、以下の条件にて前述の通り測定を行った。
・測定手法:nano-TMA(ナノ熱機械分析)
・測定温度:25~180℃
・昇温速度:10℃/秒(600℃/分)
・測定環境:大気中。
(5)ポリプロピレン繊維の平均単繊維径
走査型電子顕微鏡として株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡「S-5500」、画像解析ソフトとして三谷商事株式会社製「WinROOF2015」を用い、前述の通り測定を行った。
(6)不織布の目付
JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量」に準じ、前述の通り測定を行った。
(7)不織布の剛軟度
JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.7 剛軟度(JIS法及びISO法)」の「6.7.3 41.5°カンチレバー法」に記載の方法に準じ、前述の通り測定を行った。
(8)不織布の目付あたりの横方向の引張強力
引張試験機として、株式会社エー・アンド・デイ(A&D)製テンシロン万能材料試験機「RTG-1250」を用い、前述の通り測定を行った。
(9)肌触り
不織布を健康な一般成人(男女15名ずつ計30名)が手で触り、表面の肌触りを次の3段階で評価した。各不織布について評価結果の平均点を算出し、小数点第2位を四捨五入して得られる値をその不織布の肌触り(級)とした。
5:非常に肌触りが良好(表面を撫でたときの触り心地がスムーズで、かつ不織布を曲げた際に柔らかい)
3:やや肌触りが良好に感じる
1:肌触りが良好ではない(表面を撫でたときにひっかかりを感じ、不織布を曲げた際に硬く感じる)。
[実施例1]
チーグラー・ナッタ触媒(表1、2では、「ZN」と表記した)を用いてプロピレンを単独重合したポリプロピレンを押出機で溶融し、孔径が0.40mmφ、孔深度が0.8mmの紡糸口金から、紡糸温度が235℃、単孔吐出量が0.40g/分の条件で吐出した。その後、吐出された糸条を冷却固化し、これをエジェクターにおいて圧縮エアによって牽引、延伸し、移動するネット上にポリプロピレン繊維Aで構成されてなる繊維ウェブを捕集した。なお、ポリプロピレン繊維Aの平均単繊維径から換算した紡糸速度は2900m/分であり、該繊維ウェブ層の目付は8g/mであった。また、ポリプロピレン繊維AのメルトマスフローレートMFRは34g/10分であった。
次いで、メタロセン触媒(表1、2では、「M」と表記した)を用いてプロピレンを単独重合したポリプロピレンを押出機で溶融し、孔径が0.40mmφ、孔深度が0.8mmの紡糸口金から、紡糸温度が235℃、単孔吐出量が0.40g/分の条件で吐出した。その後、吐出された糸条を冷却固化し、これをエジェクターにおいて圧縮エアによって牽引、延伸し、ポリプロピレン繊維Aで構成されてなる繊維ウェブ上にポリプロピレン繊維Bで構成されてなる繊維ウェブを捕集してオンラインにて積層した。なお、ポリプロピレン繊維Bの平均短単繊維径から換算した紡糸速度は2900m/分であった。また、ポリプロピレン繊維BのメルトマスフローレートMFRは30g/10分であった。
続いて、積層した繊維ウェブを、上ロール、下ロールから構成される上下一対の熱エンボスロールを用いて、線圧:500N/cm、熱接着温度:130℃の条件で熱接着し、融着部と非融着部を有する目付15g/mの不織布を得た。なお、上ロールは金属製で水玉柄の彫刻がなされた、接着面積率11%のエンボスロール、下ロールは金属製フラットロールを使用した。得られた不織布の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
MFRが60g/10分のポリプロピレン繊維Aを用いた以外は、実施例1と同じ方法で不織布を得た。得られた不織布の評価結果を表1に示す。
[実施例3]
MFRが60g/10分のポリプロピレン繊維Bを用いた以外は、実施例1と同じ方法で不織布を得た。得られた不織布の評価結果を表1に示す。
[実施例4]
繊維ウェブ捕集部のネット速度を調整し、ポリプロピレン繊維Aからなる繊維ウェブ層の目付を16g/m、積層後の不織布の目付を30g/mとした以外は、実施例1と同じ方法で不織布を得た。得られた不織布の評価結果を表1に示す。
[実施例5]
チーグラー・ナッタ触媒を用いてプロピレンを単独重合したポリプロピレンを原料とし、単孔吐出量0.60g/分の条件で吐出して紡糸した、MFRが60g/10分のポリプロピレン繊維Bを用いた以外は、実施例1と同じ方法で不織布を得た。得られた不織布の評価結果を表2に示す。
[比較例1]
チーグラー・ナッタ触媒を用いてプロピレンを単独重合したポリプロピレンを原料とした、MFRが34g/10分のポリプロピレン繊維Bを用いた以外は、実施例1と同じ方法で不織布を得た。得られた不織布の評価結果を表2に示す。
[比較例2]
チーグラー・ナッタ触媒を用いてエチレンを3モル%共重合したポリプロピレンを原料とした、MFRが33g/10分のポリプロピレン繊維Bを用いた以外は、実施例1と同じ方法で不織布を得た。得られた不織布の評価結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例1と同じ2種類のポリプロピレンを別々に同一の口金内部に導き、それぞれのポリプロピレンを交互に配置された異なる吐出孔から吐出して牽引し、ポリプロピレン繊維Aとポリプロピレン繊維Bとが混繊された繊維ウェブを2層重ねた以外は、実施例1と同じ方法で不織布を得た。得られた不織布の評価結果を表2に示す。
Figure 2024065356000001
Figure 2024065356000002
実施例1~6の不織布は、ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Tsとポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Tsの差(Ts-Ts)が5℃以上50℃以下であり、示差走査熱量測定における結晶融解熱量ΔHmが90J/g以上120J/g以下であることから、柔軟性や肌触り、強度に優れた不織布であることが分かる。
一方、比較例1の不織布は、ポリプロピレン繊維Aとポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度に差がなく接着性に劣り、比較例2の不織布は結晶化度が低く接着部の強度が低いため、ともに目付あたりの横方向の引張強度に劣るものであった。

Claims (9)

  1. 少なくとも、
    軟化温度が150℃以上のポリプロピレン繊維Aと、
    軟化温度が150℃未満のポリプロピレン繊維Bと、
    が含まれてなる不織布であって、
    前記ポリプロピレン繊維Aの平均軟化温度Ts(℃)と前記ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度Ts(℃)の差(Ts-Ts)が5℃以上50℃以下であり、
    示差走査熱量測定における不織布の結晶融解熱量ΔHm(J/g)が90J/g以上120J/g以下である、不織布。
  2. 前記ポリプロピレン繊維Aおよび前記ポリプロピレン繊維Bがともにプロピレンの単独重合体からなる、請求項1に記載の不織布。
  3. 前記ポリプロピレン繊維Aを主たる成分とする繊維層と、前記ポリプロピレン繊維Bを主たる成分とする繊維層が積層されてなる、請求項1または2に記載の不織布
  4. 請求項1に記載の不織布が少なくとも1層積層されてなる、積層不織布。
  5. 請求項1に記載の不織布、または、請求項5に記載の積層不織布を少なくとも一部に具備してなる、衛生材料。
  6. チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Aと、メタロセン触媒を用いて作られたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Bとが混繊された繊維ウェブを得た後、熱接着処理を施す、請求項1に記載の不織布の製造方法。
  7. チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Aで構成されてなる繊維ウェブと、メタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレンを主たる成分とするポリプロピレン繊維Bで構成されてなる繊維ウェブとを積層して積層体を得た後、熱接着処理を施す、請求項3に記載の不織布の製造方法。
  8. 前記ポリプロピレン繊維AのメルトマスフローレートMFR(g/10分)が以下の式を満たす、請求項6または7に記載の不織布の製造方法。
    MFR≦MFR≦MFR+200
    ここで、MFRは前記ポリプロピレン繊維Bのメルトマスフローレート(g/10分)である。
  9. 前記熱接着処理の処理温度Tx(℃)が以下の式を満たす、請求項6または7に記載の不織布の製造方法。
    Ts-10≦Tx<150
    ここで、Tsは前記ポリプロピレン繊維Bの平均軟化温度(℃)である。
JP2022174179A 2022-10-31 2022-10-31 不織布、積層不織布、衛生材料、ならびに、不織布の製造方法 Pending JP2024065356A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022174179A JP2024065356A (ja) 2022-10-31 2022-10-31 不織布、積層不織布、衛生材料、ならびに、不織布の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022174179A JP2024065356A (ja) 2022-10-31 2022-10-31 不織布、積層不織布、衛生材料、ならびに、不織布の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024065356A true JP2024065356A (ja) 2024-05-15

Family

ID=91064489

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022174179A Pending JP2024065356A (ja) 2022-10-31 2022-10-31 不織布、積層不織布、衛生材料、ならびに、不織布の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024065356A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4599366B2 (ja) メルトフローレートの高い繊維を含有する柔軟で伸張性のある不織布ウェブ
JP2001226865A (ja) 不織布、その製造方法および衛生材料
WO2018139523A1 (ja) スパンボンド不織布
JP6715056B2 (ja) スパンボンド不織布および衛生材料
WO2019167851A1 (ja) スパンボンド不織布
WO2018092444A1 (ja) スパンボンド不織布およびその製造方法
JP7247884B2 (ja) スパンボンド不織布
JP6935805B2 (ja) スパンボンド不織布
JP7110795B2 (ja) スパンボンド不織布
JP2022132044A (ja) スパンボンド不織布および芯鞘型複合繊維
WO2021010357A1 (ja) スパンボンド不織布及び積層不織布
JP7108044B2 (ja) 不織布積層体、伸縮性不織布積層体、繊維製品、吸収性物品及び衛生マスク
JP2019026955A (ja) スパンボンド不織布
WO2020085502A1 (ja) 不織布積層体、並びに、伸縮性不織布積層体、繊維製品、吸収性物品及び衛生マスク
JP7168125B1 (ja) スパンボンド不織布および積層不織布、これらの製造方法ならびに衛生材料
JP2024065356A (ja) 不織布、積層不織布、衛生材料、ならびに、不織布の製造方法
JP7172250B2 (ja) スパンボンド不織布
JP2019183293A (ja) 積層不織布
JP7040122B2 (ja) スパンボンド不織布
JP7409524B2 (ja) スパンボンド不織布
WO2022113711A1 (ja) スパンボンド不織布およびこれを具備してなる衛生材料
WO2023090200A1 (ja) スパンボンド不織布
JP7211070B2 (ja) スパンボンド不織布
JP2021161564A (ja) スパンボンド不織布、衛生材料、及びスパンボンド不織布の延伸方法
WO2022181590A1 (ja) スパンボンド不織布および複合繊維