JP2020196434A - 電動車両のバッテリユニット取付構造 - Google Patents
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Abstract
Description
通常、バッテリユニットは、リチウムイオン等のバッテリセルの集合体からなる複数のバッテリモジュールと、これら複数のバッテリモジュールを収容するバッテリケースと、このバッテリケースの骨格フレーム等によって構成されている。
特許文献2の電池パックは、複数のバッテリモジュールを収容する第2ケース部と、この第2ケース部を覆う第1ケース部と、第1,第2ケース部を支持すると共に第1,第2ケース部の間に設けられたセンタプレートとを有し、このセンタプレートが、複数のバッテリモジュールを第2ケース部の底板から離隔した状態で支持している。
ドラミングノイズは、20〜50Hzの低周波音であり、ロードノイズは、100〜400Hzの中周波音である。ドラミングノイズを含めてロードノイズと呼ばれることもある。ドラミングノイズやロードノイズ等の走行騒音は、制振材の追加や下部車体剛性の増加によって対策されている。
そこで、バッテリユニットと走行騒音との関連性を明らかにすることを目的として、CAE(Computer Aided Engineering)によるシミュレーション解析を行った。
バッテリユニットを搭載していない車両モデルA(評価基準モデル)と、バッテリユニット以外モデルAと略同仕様とされてバッテリユニットを搭載した車両モデルBとを作成し、モデルA,Bについて各周波数帯域における車体振動を夫々算出した。尚、バッテリユニットは、総重量300kgとされ、同一形状で且つ同一姿勢に整列された16個のバッテリモジュールが強固に支持されている。また、車体振動の評価指標として、放射される音響パワーに対応する等価放射エネルギ(ERP:Equivalent Radiation Energy)を各々のモデルの各節点の変位から算出した。
図15に示すように、バッテリユニットを搭載した破線で示すモデルBは、約40Hz前後の周波数帯域で低周波の走行騒音が発生し、バッテリユニットを搭載していない実線で示すモデルAよりもドラミングノイズ性能が悪化することが知見された。
本発明者が検討した結果、バッテリユニットの重量の大半を占めるバッテリモジュールの上下挙動が、車体側フレームの上下振動と共振し、低周波の車体曲げ動作を誘発することが判明した。つまり、バッテリモジュールの取付剛性が高い程、車体側フレームの共振傾向が増すことになる。即ち、バッテリモジュールの取付剛性の確保と走行騒音低減とを両立することは容易ではない。
この構成によれば、簡単な構成でバッテリモジュールの取付剛性を確保できると共に、クロスフレームの車幅方向運動とバッテリモジュールの車幅方向運動を同期させつつクロスフレームの上下運動とバッテリモジュールの上下運動とを分離することができる。
この構成によれば、クロスフレームを異なるモジュール収容領域に配置されたバッテリモジュールの支持に共用することができ、クロスフレームの数を低減することができる。
この構成によれば、大重量が入力する第2クロスフレームをバッテリトレイ内部に影響を与えることなく補強することができる。
この構成によれば、大重量が入力する第2クロスフレームとサイドフレームとの接続部分を強固にすると共に大重量が入力しない第3クロスフレームとサイドフレームとの接続部分を簡易的にすることで、重量軽減と生産性向上を図ることができる。
この構成によれば、取付ブラケットを複数のバッテリモジュールの支持に共用することができ、取付ブラケットの数を低減することができる。
本実施例1に係る車両Vは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関(図示略)と車両駆動用の電動機(モータジェネレータ)(図示略)とを駆動源としたハイブリッド自動車である。
サイドシル1は、車幅方向外側壁部を構成する断面略ハット状のアウタパネルと、車幅方向内側壁部を構成する断面略ハット状のインナパネルとを備え、両パネルが協働して前後に延びる略矩形状の閉断面を形成している。このサイドシル1の前端側部分には、上下に延びるヒンジピラーが連結され、後端側部分には、上下に延びるリヤピラーが連結されている。尚、この車両Vは、フロントドアが前端部分に形成されたヒンジピラーのヒンジ中心に開閉され、リヤドアが後端部分に形成されたリヤピラーのヒンジ中心に開閉される、所謂観音開きタイプのドア構造であり、センターピラーが省略されている。
図1,図2,図8に示すように、このフロアパネル2は、前席乗員用シート(図示略)が搭載されるフロントパネル2aと、このフロントパネル2aの後端から後方上り傾斜状に上方に起立したキックアップパネル2cを介して後方に連なり後席乗員用シート(図示略)が搭載されるリヤパネル2bとを備えている。
図1〜図3に示すように、バッテリユニット10は、フロアパネル2の下方空間にレイアウトされている。このバッテリユニット10は、複数(例えば、16個)のバッテリモジュール11と、これら複数のバッテリモジュール11を収容するバッテリケース12によって構成されている。車両駆動用電動機に電力を供給するバッテリモジュール11は、規格電圧を有する直方体形状の複数のバッテリセル11a(図8参照)を前後に積層状に整列させた直方体形状のバッテリ集合体に形成されている。バッテリセル11aは、例えば、2次電池の一種であるリチウムイオンバッテリである。
複数のバッテリモジュール11は、縦、横及び高さ寸法を含めて同一仕様に設定され、長手方向が前後方向と平行になる姿勢でバッテリケース12に夫々収容されている。
このバッテリモジュール11の重量は、例えば、約14kgであり、バッテリユニット10の総重量は、例えば、約300kgである。
図3に示すように、バッテリケース12は、左右1対のサイドフレーム21と、左右に延びて1対のサイドフレーム21の前端部を連結するフロントフレーム22と、左右に延びて1対のサイドフレーム21の後端部を連結するリヤフレーム23と、各フレーム21〜23に支持されると共にバッテリケース12の底部を形成する桶状のバッテリトレイ24と、このバッテリトレイ24と協働して複数のバッテリモジュール11を収容可能な密閉空間を形成する合成樹脂製のカバー部材25等を備えている。サイドフレーム21の上下方向の曲げ剛性は、フロアフレーム3の上下方向の曲げ剛性よりも低くなるように設定されている。
各フレーム21〜23は、取付部26〜29により車体に対して取り付けられている。
左右4対の取付部26及び左右1対の取付部27は、1対のサイドフレーム21のロアパネルから車幅方向外側に夫々延びている。これらの取付部26,27は、フロアフレーム3の下壁部にボルトbを介して夫々締結固定されている。左右1対の取付部28は、フロントフレーム22のロアパネルから前側に夫々延びている。これら取付部28は、フロントパネル2aの前側部分下面にボルトbを介して締結固定されている。取付部29は、リヤフレーム23のロアパネル中央部から上方に延び、上端部が、リヤパネル2bと協働して左右に延びる閉断面を形成するクロスメンバ(図示略)にボルトbを介して締結固定されている。
図4〜図6に示すように、2段支持機構40は、略π状の前支持部41と、略π状の後支持部42と、前支持部41の左右端部と後支持部42の左右端部とを夫々連結する左右1対の略T字状の側支持部43と、各支持部41〜43に掛け渡された底板部材44等を備え、上段の4個のバッテリモジュール11を支持している。前支持部41の左右1対の脚部は、第2クロスフレーム32の上壁部に締結固定され、後支持部42の左右1対の脚部は、左右に延びる後側支持部35の上壁部に締結固定されている。
取付ブラケット51〜53の上下方向の曲げ剛性は、バッテリトレイ24の上下方向の曲げ剛性よりも高く且つ第1〜第3クロスフレーム31〜33及び後側支持部35の上下方向の曲げ剛性よりも低くなるように設定されている。
また、図8に示すように、第1〜第3クロスフレーム31〜33及び後側支持部35の上壁部は、側面視にて延長線L2上に位置するように形成されている。延長線L1と延長線L2は、側面視にて略同じ高さ位置になるように構成されている。
図12に示すように、この解析結果から、モジュール支持剛性が略1000N/mmよりも低い領域において、騒音性能が良い領域(基準騒音レベルよりも騒音レベルが低い領域)と騒音性能が悪い領域(基準騒音レベルよりも騒音レベルが高い領域)の境界線が1次関数特性を示すこと、略4000N/mmの境界線よりも高いフレーム剛性領域において、騒音性能が悪くなることが知見された。即ち、フレーム剛性が高い程、騒音レベルは改善されるが、サイドフレーム21の板厚が増加し、車体重量増加の点において問題があるため、フレーム剛性が略4000N/mm以下且つモジュール支持剛性が略1000N/mm以下の領域、換言すれば、フレーム剛性が略4000N/mm以下で且つ上下方向のモジュール支持剛性(取付ブラケット51の上下方向の曲げ剛性)がサイドフレーム21の上下方向の曲げ剛性に対して25%以下の領域に各々の剛性を調整することで、車体重量を増加することなく走行騒音を良好にできることが確認された。
これにより、バッテリモジュール11の上下運動と第3クロスフレーム33の上下運動との共振を回避することができる。サイドフレーム21に連なる第3クロスフレーム33(バッテリトレイ24)の上下運動とバッテリモジュール11の上下運動とを分離して、バッテリモジュール11の運動に指向性(上下移動を許容し且つ左右移動を規制する)をもたせることにより車体とバッテリユニット10との上下方向の共振を抑制している。
作用、効果の説明に当り、CAE(Computer Aided Engineering)によるシミュレーション解析を行った。バッテリユニットを搭載していない車両モデルA(評価基準モデル)と、本実施例の車両モデルCとを作成し、モデルA,Cについて各周波数帯域における車体振動を夫々算出した。尚、車両モデルAと車両モデルCは、バッテリユニットを除いて略同一仕様である。また、車体振動の評価指標として、放射される音響パワーに対応する等価放射エネルギ(ERP:Equivalent Radiation Energy)を各々のモデルの各節点の変位から算出している。
図14に示すように、一点鎖線で示すモデルCは、低周波領域において、実線で示すモデルAよりも車体振動が低いことが確認された。特に、モデルCは、ドラミングノイズの原因となる約40Hz前後の周波数帯域において、車体振動を抑えることができ、ドラミングノイズ性能を格段に向上している。
バッテリモジュール10をバッテリトレイ24に対して上下方向変位可能に第1〜第3クロスフレーム31〜33に取り付けたため、サイドフレーム21に支持されたバッテリトレイ24の上下運動とバッテリモジュール11の上下運動とを分離する、所謂バッテリモジュール10の運動に指向性をもたせることができ、車体とバッテリユニット10との上下方向の共振を抑制することができる。
これにより、大重量が入力する第2クロスフレーム32とサイドフレーム21との接続部分を強固にすると共に大重量が入力しない第3クロスフレーム33とサイドフレーム21との接続部分を簡易的にすることで、重量軽減と生産性向上を図ることができる。
1〕前記実施形態においては、第1〜第3収容領域S1〜S3と第1〜第3クロスフレーム31〜33とを設けたバッテリケース12の例を説明したが、少なくともバッテリモジュール11に上下方向運動を許容し、左右方向の運動を制限する指向性を与えることができれば良く、単一の収容領域と単一のクロスフレームとを備えたバッテリケース12であっても良い。
3 フロアフレーム
10 バッテリユニット
11 バッテリモジュール
21 サイドフレーム
24 バッテリトレイ
31 第1クロスフレーム
32 第2クロスフレーム
32a 上壁連結部
32b 側壁連結部
33 第3クロスフレーム
33a 上壁連結部
33b 側壁連結部
51 第1取付ブラケット
52 第2取付ブラケット
53 第3取付ブラケット
V 車両
S1 第1収容領域
S2 第2収容領域
S3 第3収容領域
Claims (6)
- フロアパネルと、このフロアパネルの下側にフロアパネルと協働して前後に延びる閉断面を形成する左右1対のフロアフレームと、バッテリモジュールを支持すると共に前記1対のフロアフレームに取り付けられたバッテリユニットとを備えた電動車両のバッテリユニット取付構造において、
前記バッテリユニットが、前記バッテリモジュールと、前記1対のフロアフレームに対する取付部を有すると共に前後に延びる左右1対のサイドフレームと、少なくとも前記1対のサイドフレームに支持されると共にバッテリユニットの底部を形成するバッテリトレイと、前記1対のサイドフレームの間を連結する複数のクロスフレームとを備え、
前記バッテリモジュールを前記バッテリトレイに対して上下方向変位可能に前記クロスフレームに取り付けたことを特徴とする電動車両のバッテリユニット取付構造。 - 前記クロスフレームが、前記バッテリトレイの上側にバッテリトレイと協働して閉断面を形成するように構成され、
上下方向に延びて前記バッテリモジュールに連結される連結壁部と、前記連結壁部の下端部から前記バッテリモジュールと反対方向に延びると共に前記クロスフレームの上壁部に固定される固定壁部とを有する取付ブラケットを設け、
前記取付ブラケットが、前記バッテリモジュールの重心の高さ位置と前記クロスフレームの上壁部の高さ位置が略同じ高さ位置になるように前記バッテリモジュールに連結されたことを特徴とする請求項1に記載の電動車両のバッテリユニット取付構造。 - 前記バッテリユニットが、前記バッテリモジュールの長軸が前記サイドフレームに沿うように前記バッテリモジュールを収容すると共に前記クロスフレームによって区切られた複数のモジュール収容領域を有し、
前記クロスフレームが、このクロスフレームを間に挟むモジュール収容領域に配置されたバッテリモジュールが取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の電動車両のバッテリユニット取付構造。 - 前記クロスフレームが、前記バッテリモジュールを単層状態で収容する単層モジュール収容領域の間に挟まれた第1クロスフレームと、前記単層モジュール収容領域と前記バッテリモジュールを上下2段配置した2層状態で収容する2層モジュール収容領域との間に挟まれた第2クロスフレームとを含み、
前記第2クロスフレームと前記バッテリトレイとが協働して形成する閉断面と前記バッテリトレイを挟んで上下方向に隣接する閉断面をバッテリトレイと協働して形成する下側クロスフレームを設けたことを特徴とする請求項3に記載の電動車両のバッテリユニット取付構造。 - 前記クロスフレームが、前記第1クロスフレームに対して前記第2クロスフレームと反対側に形成され且つ前記第1クロスフレームとの間のみに単層モジュール収容領域を形成する第3クロスフレームを含み、
前記第2クロスフレームの上壁部を前記サイドフレームの上壁部に連結する第1上壁連結部と第2クロスフレームの側壁部を前記サイドフレームの側壁部に連結する第1側壁連結部とが一体的に連続形成され、前記第3クロスフレームの上壁部を前記サイドフレームの上壁部に連結する第2上壁連結部と第3クロスフレームの側壁部を前記サイドフレームの側壁部に連結する第2側壁連結部とが独立に分離形成されたことを特徴とする請求項3又は4に記載の電動車両のバッテリユニット取付構造。 - 前記モジュール収容領域は、前記バッテリモジュールを複数収容するように構成され、
前記取付ブラケットは、複数のバッテリモジュールを前記クロスフレームに対して取り付けることを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の電動車両のバッテリユニット取付構造。
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