JP7223337B2 - 電動車両のバッテリユニット取付構造 - Google Patents
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Description
特許文献2の電気自動車のバッテリ支持構造は、バッテリを車体に対して複数の弾性体を介して支持すると共に、車体に発生する振動の方向及び周波数とバッテリに発生する振動の方向及び周波数とを略同一に設定している。これにより、車体とバッテリの振動の位相を逆位相にすることにより、車体振動を抑制している。
そこで、バッテリユニットと走行騒音との関連性を明らかにすることを目的として、CAE(Computer Aided Engineering)によるシミュレーション解析を行った。
バッテリユニットを搭載していない車両モデルA(評価基準モデル)と、バッテリユニット以外モデルAと略同仕様とされた車両モデルBとを作成し、モデルA,Bについて各周波数帯域における車体振動を夫々算出した。尚、バッテリユニットは、総重量300kgとされ、同一形状で且つ同一姿勢に整列された16個のバッテリモジュールが強固に支持されている。また、車体振動の評価指標として、放射される音響パワーに対応する等価放射エネルギ(ERP:Equivalent Radiation Energy)を各々のモデルの各節点の変位から算出した。
図15に示すように、バッテリユニットを搭載した破線で示すモデルBは、約40Hz前後の周波数帯域で低周波の走行騒音が発生し、バッテリユニットを搭載していない実線で示すモデルAよりもドラミングノイズ性能が悪化することが知見された。
本発明者が検討した結果、バッテリユニットの重量の大半を占めるバッテリモジュールの上下挙動が、車体側フレームの上下振動と共振し、低周波の車体曲げ動作を誘発することが判明した。つまり、バッテリモジュールの取付剛性が高い程、車体側フレームの共振傾向が増すことになる。即ち、バッテリモジュールの取付剛性の確保と走行騒音低減とを両立することは容易ではない。
この構成によれば、重量軽減と振動特性改善とを両立することができる。
この構成によれば、クロスフレームの剛性を低下させることなく、モジュール支持機構の上下方向の曲げ剛性をサイドフレームの上下方向の曲げ剛性よりも低く設定することができる。
この構成によれば、簡単な構成でクロスフレームの車幅方向運動とバッテリモジュールの車幅方向運動を同期させつつクロスフレームの上下運動とバッテリモジュールの上下運動とを分離することができる。
この構成によれば、バッテリモジュールをバッテリトレイに対して上下方向変位可能にクロスフレームに取り付けることができる。
本実施例1に係る車両Vは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関(図示略)と車両駆動用の電動機(モータジェネレータ)(図示略)とを駆動源としたハイブリッド自動車である。
サイドシル1は、車幅方向外側壁部を構成する断面略ハット状のアウタパネルと、車幅方向内側壁部を構成する断面略ハット状のインナパネルとを備え、両パネルが協働して前後に延びる略矩形状の閉断面を形成している。このサイドシル1の前端側部分には、上下に延びるヒンジピラーが連結され、後端側部分には、上下に延びるリヤピラーが連結されている。尚、この車両Vは、フロントドアが前端部分に形成されたヒンジピラーのヒンジ中心に開閉され、リヤドアが後端部分に形成されたリヤピラーのヒンジ中心に開閉される、所謂観音開きタイプのドア構造であり、センターピラーが省略されている。
図1,図2,図8に示すように、このフロアパネル2は、前席乗員用シート(図示略)が搭載されるフロントパネル2aと、このフロントパネル2aの後端から後方上り傾斜状に上方に起立したキックアップパネル2cを介して後方に連なり後席乗員用シート(図示略)が搭載されるリヤパネル2bとを備えている。
図1~図3に示すように、バッテリユニット10は、フロアパネル2の下方空間にレイアウトされている。このバッテリユニット10は、複数(例えば、16個)のバッテリモジュール11と、これら複数のバッテリモジュール11を収容するバッテリケース12によって構成されている。車両駆動用電動機に電力を供給するバッテリモジュール11は、規格電圧を有する直方体形状の複数のバッテリセル11a(図8参照)を前後に積層状に整列させた直方体形状のバッテリ集合体に形成されている。バッテリセル11aは、例えば、2次電池の一種であるリチウムイオンバッテリである。
複数のバッテリモジュール11は、縦、横及び高さ寸法を含めて同一仕様に設定され、長手方向が前後方向と平行になる姿勢でバッテリケース12に夫々収容されている。
このバッテリモジュール11の重量は、例えば、約14kgであり、バッテリユニット10の総重量は、例えば、約300kgである。
図3に示すように、バッテリケース12は、左右1対のサイドフレーム21と、左右に延びて1対のサイドフレーム21の前端部を連結するフロントフレーム22と、左右に延びて1対のサイドフレーム21の後端部を連結するリヤフレーム23と、各フレーム21~23に支持されると共にバッテリケース12の底部を形成する桶状のバッテリトレイ24と、このバッテリトレイ24と協働して複数のバッテリモジュール11を収容可能な密閉空間を形成する合成樹脂製のカバー部材25等を備えている。サイドフレーム21の上下方向の曲げ剛性は、フロアフレーム3の上下方向の曲げ剛性よりも低くなるように設定されている。
各フレーム21~23は、取付部26~29により車体に対して取り付けられている。
左右4対の取付部26及び左右1対の取付部27は、1対のサイドフレーム21のロアパネルから車幅方向外側に夫々延びている。これらの取付部26,27は、フロアフレーム3の下壁部にボルトbを介して夫々締結固定されている。左右1対の取付部28は、フロントフレーム22のロアパネルから前側に夫々延びている。これら取付部28は、フロントパネル2aの前側部分下面にボルトbを介して締結固定されている。取付部29は、リヤフレーム23のロアパネル中央部から上方に延び、上端部が、リヤパネル2bと協働して左右に延びる閉断面を形成するクロスメンバ(図示略)にボルトbを介して締結固定されている。
図4~図6に示すように、2段支持機構40は、略π状の前支持部41と、略π状の後支持部42と、前支持部41の左右端部と後支持部42の左右端部とを夫々連結する左右1対の略T字状の側支持部43と、各支持部41~43に掛け渡された底板部材44等を備え、上段の4個のバッテリモジュール11を支持している。前支持部41の左右1対の脚部は、第2クロスフレーム32の上壁部に締結固定され、後支持部42の左右1対の脚部は、リヤフレーム23の上壁部に締結固定されている。1対の側支持部43の脚部は、バッテリトレイ24上に締結固定されている。
取付ブラケット51~53の上下方向の曲げ剛性は、バッテリトレイ24の上下方向の曲げ剛性よりも高く且つ第1~第3クロスフレーム31~33の上下方向の曲げ剛性よりも低くなるように設定されている。
第1~第3取付ブラケット51~53は、板厚、締結部位置、及び位置決め部位置を除いて略同様の仕様に設定されている。
図12に示すように、この解析結果から、モジュール支持剛性が略1000N/mmよりも低い領域において、騒音性能が良い領域(基準騒音レベルよりも騒音レベルが低い領域)と騒音性能が悪い領域(基準騒音レベルよりも騒音レベルが高い領域)の境界線が1次関数特性を示すこと、略4000N/mmの境界線よりも高いフレーム剛性領域において、騒音性能が悪くなることが知見された。即ち、フレーム剛性が高い程、騒音レベルは改善されるが、サイドフレーム21の板厚が増加し、車体重量増加の点において問題があるため、フレーム剛性が略4000N/mm以下且つモジュール支持剛性が略1000N/mm以下の領域、換言すれば、フレーム剛性が略4000N/mm以下で且つモジュール支持剛性(取付ブラケット51の上下方向の曲げ剛性)がフレーム剛性(サイドフレーム21の上下方向の曲げ剛性)に対して25%以下の領域に各々の剛性を調整することで、車体重量を増加することなく走行騒音を良好にできることが確認された。
作用、効果の説明に当り、CAE(Computer Aided Engineering)によるシミュレーション解析を行った。バッテリユニットを搭載していない車両モデルA(評価基準モデル)と、本実施例の車両モデルCとを作成し、モデルA,Cについて各周波数帯域における車体振動を夫々算出した。尚、車両モデルAと車両モデルCは、バッテリユニットを除いて略同一仕様である。また、車体振動の評価指標として、放射される音響パワーに対応する等価放射エネルギ(ERP:Equivalent Radiation Energy)を各々のモデルの各節点の変位から算出している。
図14に示すように、一点鎖線で示すモデルCは、低周波領域において、実線で示すモデルAよりも車体振動が低いことが確認された。特に、モデルCは、ドラミングノイズの原因となる約40Hz前後の周波数帯域において、車体振動を抑えることができ、ドラミングノイズ性能を格段に向上している。
1〕前記実施形態においては、第1~第3収容領域S1~S3と第1~第3クロスフレーム31~33とを設けたバッテリケース12の例を説明したが、少なくともバッテリモジュール11に上下方向運動を許容し、左右方向の運動を制限する指向性を与えることができれば良く、単一の収容領域と単一のクロスフレームとを備えたバッテリケース12であっても良い。
3 フロアフレーム
10 バッテリユニット
11 バッテリモジュール
21 サイドフレーム
24 バッテリトレイ
31 第1クロスフレーム
32 第2クロスフレーム
33 第3クロスフレーム
51 第1取付ブラケット
51a 連結壁部
51b 固定壁部
52 第2取付ブラケット
52a 連結壁部
52b 固定壁部
53 第3取付ブラケット
53a 連結壁部
53b 固定壁部
V 車両
Claims (5)
- フロアパネルと、このフロアパネルの下側にフロアパネルと協働して前後に延びる閉断面を形成する左右1対のフロアフレームと、バッテリモジュールを支持すると共に前記1対のフロアフレームに取り付けられたバッテリユニットとを備えた電動車両のバッテリユニット取付構造において、
前記バッテリユニットが、前記バッテリモジュールと、前記1対のフロアフレームに取り付けられる左右1対のサイドフレームと、車幅方向に延びて前記1対のサイドフレームを連結する前後1対のクロスフレームを含むと共に前記バッテリモジュールの前端部及び後端部を支持する前後1対のモジュール支持機構とを有し、
前記モジュール支持機構の上下方向の曲げ剛性を前記サイドフレームの上下方向の曲げ剛性よりも低く設定したことを特徴とする電動車両のバッテリユニット取付構造。 - 前記クロスフレームの上下方向の曲げ剛性が、前記フロアフレームの上下方向の曲げ剛性よりも低く設定され、
前記モジュール支持機構の上下方向の曲げ剛性が、前記サイドフレームの上下方向の曲げ剛性の25%以下に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の電動車両のバッテリユニット取付構造。 - 前記モジュール支持機構は、前記バッテリモジュールを上下方向変位可能に前記クロスフレームに取り付ける取付ブラケットを有し、
前記取付ブラケットの上下方向の曲げ剛性が、前記クロスフレームの上下方向の曲げ剛性よりも低く設定されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動車両のバッテリユニット取付構造。 - 前記取付ブラケットが、上下方向に延びて前記バッテリモジュールに連結される連結壁部と、前記連結壁部の下端部から前記バッテリモジュールと反対方向に延びると共に前記クロスフレームの上壁部に固定される固定壁部とを有し、
前記固定壁部が、前記クロスフレームの上壁部から前記バッテリモジュール方向に張り出すように形成されたことを特徴とする請求項3に記載の電動車両のバッテリユニット取付構造。 - 前記バッテリユニットが、前記サイドフレームに支持されると共にバッテリユニットの底部を形成するバッテリトレイを有することを特徴とする請求項3又は4に記載の電動車両のバッテリユニット取付構造。
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