JP2020194794A - 導電性粒子、導電材料、および接続構造体 - Google Patents

導電性粒子、導電材料、および接続構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性粒子の絶縁性の低下を防止しやすく、しかも、導電性粒子どうしが凝集することも抑制できる導電性粒子を提供する。【解決手段】本発明の導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面を覆う金属層とを有してなる。前記金属層の表面は、樹脂及び無機材料で被覆されている。前記樹脂は樹脂粒子を含むことができ、前記無機材料は無機粒子を含むことができる。上記導電性粒子は、金属層の表面は、樹脂及び無機材料で被覆されているので、導電性粒子の絶縁性の低下が防止されやすく、しかも、導電性粒子どうしの凝集も起こりにくい。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、電極間の電気的な接続に用いることができる導電性粒子に関する。
従来、異方性導電ペースト、異方性導電フィルム等の異方性導電材料は、ICチップとフレキシブルプリント回路基板との接続や、あるいは、ICチップとITO電極を有する回路基板との接続等に用いられている。より具体的には、上記異方性導電材料は、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG;Film on Glass)、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF;Chip on Film)、半導体チップとガラス基板との接続(COG;Chip on Glass)、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB;Film on Board)等に使用されている。異方性導電材料は、例えば、ICチップの電極と回路基板の電極との間に配置され、さらに、加熱及び加圧することにより、これらの電極どうしを電気的な接続を可能にする。
上記のような異方性導電材料は、一般的には、ペースト、インク又は樹脂中に導電性粒子が分散されて形成されている。近年では、異方性導電材料の性能を高めるという観点から、異方性導電材料に含まれる導電性粒子の開発が進められており、例えば、基材粒子の表面を他の材料で被覆させることで、導電性粒子の性能を向上させる試みが盛んに行われている。例えば、特許文献1には、シリカで被覆された導電性粒子が開示されている。このようなシリカ被覆導電性粒子を異方性導電材料に含ませることで、該異方性導電材料を電極間の電気的な接続に用いた場合に、導通信頼性及び絶縁信頼性の双方が高められる。
特開2014−241281号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、シリカが導電性粒子から脱落しやすいものであり、シリカが導電性粒子から脱落することにより、導電性粒子の絶縁性の低下を引き起こしていた。さらに、導電性粒子からシリカが脱落することによって、導電性粒子どうしが凝集しやすくなり、導電性粒子の単分散性が徐々に損なわれるいという問題もあった。以上のような観点から、異方性導電材料に含まれる導電性粒子に関して、絶縁性の低下、及び、凝集性を抑制する技術の開発が重要となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、導電性粒子の絶縁性の低下を防止しやすく、しかも、導電性粒子どうしが凝集することも抑制できる導電性粒子、並びに、この導電性粒子を有する導電材料及び接続構造体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、導電性粒子の基材となる粒子を樹脂と無機材料を併用して被覆させることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.基材粒子と、該基材粒子の表面を覆う金属層とを有してなる導電性粒子であって、
前記金属層の表面は、樹脂及び無機材料で被覆されている、導電性粒子。
項2.前記樹脂は樹脂粒子を含む、上記項1に記載の導電性粒子。
項3.前記無機材料は無機粒子を含む、上記項1又は2に記載の導電性粒子。
項4.前記樹脂は樹脂粒子を含み、前記無機材料は無機粒子を含み、前記樹脂粒子に対する前記無機粒子の平均粒子径の比が1/50以上、1以下である、上記項1に記載の導電性粒子。
項5.前記無機粒子の被覆率が80%以上である、上記項3又は4に記載の導電性粒子。
項6.前記金属層の表面には前記樹脂で被覆されてなる樹脂層が形成されており、この樹脂層の表面には前記無機材料で被覆されてなる無機層が形成されている、上記項1〜5のいずれか1項に記載の導電性粒子。
項7.上記項1〜6のいずれか1項に記載の導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む、導電材料。
項8.第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、
第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、
前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、
前記接続部の材料が、上記項1〜6のいずれか1項に記載の導電性粒子又は上記項7に記載の導電材料を含み、
前記第1の電極と前記第2の電極とが前記導電性粒子又は前記導電材料により電気的に接続されている、接続構造体。
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、基材粒子の表面を覆う金属層とを有してなり、金属層の表面は、樹脂及び無機材料で被覆されているので、導電性粒子の絶縁性の低下が防止されやすく、しかも、導電性粒子どうしの凝集も起こりにくい。
本発明の導電性粒子を備える接続構造体の一例を示し、その断面の概略図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、「(メタ)アクリ」の用語を含む化学物質は「アクリ」と「メタクリ」との一方又は双方を意味するものとする。例えば、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味する。
また、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
本実施形態の導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面を覆う金属層とを有してなり、金属層の表面は、樹脂及び無機材料で被覆されている。このような導電性粒子は、絶縁性の低下及び導電性粒子どうしの凝集が起こりにくい。以下、本実施形態の導電性粒子の構成について詳述する。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
例えば、導電性粒子を有する異方性導電材料を用いてCOG等に使用する場合、電極間を接続する際には、一般的に、導電性粒子を電極間に配置した後、導電性粒子を圧縮させる。そのため、導電性粒子が前記圧縮により変形しやすい材料で形成されていることによって、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるので、電極間の導通信頼性が高くなる。このような観点から、上記基材粒子は、前記圧縮により変形しやすい材料である樹脂粒子であることが好ましい。
基材粒子が樹脂粒子である場合、樹脂粒子を形成するための材料として、種々の有機物が好適に用いられる。そのような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、及び、ポリエーテルスルホン、尿素樹脂等が挙げられる。
また、樹脂粒子は、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させることにより得ることもできる。この場合、異方性導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計すること及び合成することが可能である。また、この場合、基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できる。このような観点から、上記樹脂粒子の材料は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体及び/又は架橋性の単量体が挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
架橋性及び非架橋性単量体は、上記例示列挙した単量体に限定されず、その他の重合性単量体、例えば、公知の重合性単量体であってもよい。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子が得られる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、及び非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法(いわゆる、シード重合法)等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子の材料である無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。この無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合には、該金属粒子の材料である金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。ただし、基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の平均粒子径は、特に限定されない。例えば、上記基材粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、より一層好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、更に一層好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下とすることができる。基材粒子の平均粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるため、電極間の導通信頼性がより一層高くなり、導電性粒子を介して接続された電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、基材粒子の表面に金属層を無電解めっきにより形成する際に凝集し難くなり、凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。基材粒子の平均粒子径が上記上限以下であると、導電性粒子が充分に圧縮されやすく、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができ、更に電極間の間隔を狭くすることもできる。
上記基材粒子の平均粒子径は、0.1μm以上、5μm以下であることが特に好ましい。上記基材粒子の平均粒子径が0.1以上、5μm以下の範囲内であると、電極間の間隔が小さくなり、かつ金属層の厚みを厚くしても、小さい導電性粒子が得られる。電極間の間隔をより一層小さくすることができ、あるいは、金属層の厚みを厚くしても、より一層小さい導電性粒子を得ることができる観点からは、上記基材粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは2μm以上、好ましくは3μm以下である。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記基材粒子の平均粒子径は2.5μm以上である。
上記基材粒子の上記平均粒子径は数平均粒子径を示す。該平均粒子径は、例えばコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて測定可能である。
なお、上述した基材粒子の形態は、本実施形態の導電性粒子に使用するための一例であり、その他、導電性粒子として用いられている公知の基材粒子を本実施形態の導電性粒子に適用することもできる。
金属層は、上記基材粒子の表面を覆うように形成されている層である。
上記金属層の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上、好ましくは1000nm以下、より好ましくは800nm以下、更に好ましくは500nm以下、特に好ましくは400nm以下、最も好ましくは300nm以下である。上記金属層の厚みが上記下限以上であると、導電性粒子の導電性がより一層良好になる。上記金属層の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と金属層との熱膨張率の差が小さくなり、基材粒子から金属層が剥離し難くなる。なお、金属層が多層に形成されていてもよく、この場合の金属層の厚みとは、多層に形成されている金属層全体の厚みをいう。
上記基材粒子の表面上に上記金属層を形成する方法としては、無電解めっきにより上記金属層を形成する方法、並びに電気めっきにより上記金属層を形成する方法等が挙げられる。その他、上記基材粒子の表面上に上記金属層を形成する方法として、公知の方法を採用してもよい。
上記金属層は、金属を含む材料で形成され、該金属の種類は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。金属層は、1種の金属のみで形成されていてもよいし、あるいは、2種以上の金属で形成されていてもよい。
なお、上述した金属層の形態は、本実施形態の導電性粒子に使用するための一例であり、その他、導電性粒子として用いられている公知の金属層を本実施形態の導電性粒子に適用することもできる。
本実施形態の導電性粒子では、例えば、基材粒子がその表面に複数の突起を有していてもよい。例えば、COG等において、導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。そのため、突起を有する導電性粒子を用いると、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜が効果的に排除されやすくなる。その結果として、電極と導電性粒子とがより一層確実に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁層が効果的に排除されるので、電極間の導通信頼性が高くなる。なお、ここでいう絶縁層とは、後述するように、導電性粒子に形成されている樹脂及び無機材料で形成されている層のことを示す。また、特許文献1のような従来のシリカで被覆された導電粒子が突起を有する場合は、シリカの脱落の課題がより一層深刻となり得る。基材粒子が突起を有している場合は、上記課題を解決しうるものであり、この観点からも、突起を有することが好ましい。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより金属層を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより金属層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより金属層を形成する方法等が挙げられる。さらに、上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に、第1の金属層を形成した後、該第1の金属層上に芯物質を配置し、次に第2の金属層を形成する方法、並びに基材粒子の表面上に金属層を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法等が挙げられる。
上記基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいという観点から、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記芯物質の材料としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができ、更に接続抵抗を効果的に低くすることができる点で、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記芯物質の材料である金属は、上記金属層の材料である金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。上記芯物質の材料は、ニッケルを含むことが好ましい。また、上記金属の酸化物としては、アルミナ、シリカ及びジルコニア等が挙げられる。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。導電性粒子において芯物質の平均径を測定する場合には、例えば、以下のようにして、芯物質の平均径を測定することができる。導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。その検査用埋め込み樹脂中の分散した導電性樹脂の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、20個の導電性粒子を無作為に選択し、それぞれの導電性粒子の突起50個を観察する。得られた導電性粒子における芯物質の径を計測し、それを算術平均して芯物質の平均径とする。
上記導電性粒子における上記突起の平均高さは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記突起の平均高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
導電性粒子において上記突起の平均高さを測定する場合には、例えば、以下のようにして、上記突起の平均高さを測定することができる。導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。その検査用埋め込み樹脂中の分散した導電性樹脂の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、20個の導電性粒子を無作為に選択し、それぞれの導電性粒子の突起50個を観察する。突起の底面から突起の頂部までの高さを突起の高さとし、算術平均して上記突起の平均高さとする。
上記のように、芯物質が金属層中に埋め込まれていれば、金属層の外表面に突起を容易に形成することが可能である。
上記の金属層は、その表面がさらに樹脂及び無機材料で被覆されている。すなわち、金属層の表面は、樹脂及び無機材料で被覆されて形成された層を備える。なお、以下では、樹脂及び/又は無機材料で被覆されて形成された層を「絶縁層」と表記することがある。
上記樹脂は、絶縁性の樹脂材料が例示され、具体的には、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。その他、基材粒子を形成する樹脂と同様の樹脂であってもよい。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては、上記例示列挙した樹脂の他、それ以外のビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。
上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコールがより好ましい。
上記樹脂の形状は特に限定されない。例えば、上記樹脂の形状を粒子状とすることができる。すなわち、上記樹脂は、樹脂粒子を含むことが好ましい。以下、この樹脂粒子を特に、絶縁性樹脂粒子ということがある。上記樹脂が絶縁性樹脂粒子を含む場合は、該絶縁性粒子の平均粒子径は、導電性粒子の平均粒子径よりも小さくすることができる。具体的には、絶縁性樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。絶縁性樹脂粒子の平均粒子径を上記範囲に調整することにより、バインダー分散時に絶縁粒子が外れにくく、粒子接触を防げる。また、電極間接続の際には効果的に排除されるので低抵抗が確保できる。なお、ここでいう絶縁性樹脂粒子の平均粒子径は、上述した基材粒子の平均粒子径と同じ定義である。
上記絶縁性粒子は、例えば、不飽和二重結合を有する単量体の一種又は二種以上を(共)重合することで調製することができる。上記不飽和二重結合を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルエーテル類;塩化ビニル;スチレン、ジビニルベゼン等のスチレン系化合物、アクリロニトリル等が挙げられる。その他、上記単量体は、公知の重合性単量体であってもよい。中でも(メタ)アクリル酸エステル類が好適に用いられる。
また、上記樹脂は粒子状ではなく、例えば、膜状であってもよい。上記樹脂が膜状である場合、その厚みは、好ましくは、10nm以上、より好ましくは100nm以上であり、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下である。絶縁性樹脂の厚みを上記範囲に調整することにより、バインダー分散時に絶縁粒子が外れにくく、粒子接触を防げる。また、電極間接続の際には効果的に排除されるので低抵抗が確保できる。
上記樹脂の厚みは、以下のようにして測定することができる。例えば、導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。検査用埋め込み樹脂中に分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、20個の導電性粒子を無作為に選択し、それぞれの導電性粒子の絶縁性樹脂膜を観察する。得られた導電性粒子における絶縁性樹脂膜の厚みを計測し、それを算術平均して絶縁性樹脂膜の厚みが求められる。
上記樹脂は絶縁性樹脂粒子の他、高分子電解質等であってもよい。高分子電解質としては、水溶液中で電離し、荷電を有する官能基を主鎖又は側鎖に持つ高分子(ポリアニオン又はポリカチオン)を用いることができる。ポリアニオンとしては、一般的に、スルホン酸、硫酸、カルボン酸等負の電荷を帯びることのできる官能基を有するものが挙げられ、導電性粒子や絶縁層の表面電位に応じて、適宜選択することができる。ポリカチオンとしては、一般に、ポリアミン類等のように正荷電を帯びることのできる官能基を有するもの、例えば、PEI、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、PDDA、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン、ポリアクリルアミド及びそれらを少なくとも1種以上を含む共重合体等を用いることができる。
上記無機材料としては、無機物質で形成されている材料であれば特に限定されない。本実施形態では、無機材料は無機粒子を含むことが好ましい。
上記無機粒子としては、シラス粒子、ハイドロキシアパタイト粒子、マグネシア粒子、酸化ジルコニウム粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子等が挙げられる。その他、上記無機粒子としては、公知の無機元素又は無機化合物で形成される粒子であってもよい。
上記シリカ粒子としては、粉砕シリカ、球状シリカが挙げられる。また、シリカ粒子は表面に、例えばカルボキシル基、水酸基等の化学結合可能な官能基を有していてもよい。
上記無機粒子の平均粒子径は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.005μm以上であり、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.2μm以下である。上記無機粒子の平均粒子径を上記範囲に調整することにより、バインダー分散時に絶縁粒子が外れにくく、粒子接触を防げる。また、電極間接続の際には効果的に排除されるので低抵抗が確保でき、適切な絶縁性を発揮できる。なお、ここでいう無機粒子の平均粒子径は、上述した基材粒子の平均粒子径と同じ定義である。
無機材料は無機粒子に限定されず、例えば、無機化合物で形成される膜状の形態であってもよい。このような無機化合物で形成される膜は、例えば、公知の方法で形成することが可能であるが、その形成方法は特に限定されない。
上記絶縁層(すなわち、樹脂及び無機材料を含む層)の構造は特に限定されない。
例えば、絶縁層は、樹脂で形成される樹脂層と、無機材料で形成される無機層とが、金属層側からこの順に積層されて形成されていてもよい。つまり、この場合、前記金属層の表面には前記樹脂で被覆されてなる樹脂層が形成されており、この樹脂層の表面には前記無機材料で被覆されてなる無機層が形成されている構成となる。なお、上記樹脂層には、上記樹脂以外の材料が含まれていてもよく、あるいは、上記樹脂のみで構成されていてもよい。また、上記無機層には、上記無機材料以外の材料が含まれていてもよく、あるいは、上記無機材料のみで構成されていてもよい。
絶縁層の他の形態として、絶縁層は、無機材料で形成される無機層と、樹脂で形成される樹脂層とが、金属層側からこの順に積層されて形成されていてもよい。つまり、この場合、前記金属層の表面には前記無機材料で被覆されてなる無機層が形成されており、この無機層の表面には前記樹脂で被覆されてなる樹脂層が形成されている構成となる。
上記例示した絶縁層は、樹脂層及び無機層を含む少なくとも2層構造に形成されているが、これに限定されない。例えば、絶縁層は、前記樹脂及び前記無機材料からなる混合物を含む材料で形成されて、1層構造となっていてもよい。
上記の中でも特に、前記金属層の表面は前記樹脂で被覆されてなる樹脂層が形成されており、この樹脂層の表面は前記無機材料で被覆されてなる無機層が形成されている、2層構造であることが好ましい。この場合、仮に、最外層の無機層が脱落したとしても、樹脂層が表面に存在するので、導電性粒子の絶縁性の低下が起こりにくい。また、最外層に無機層が存在することで、導電性粒子どうしの反発作用が高まるので、導電性粒子どうしの凝集が起こりにくく、導電性粒子の単分散性が向上する。特に、無機層がシリカ粒子を含んで構成される場合には、導電性粒子の単分散性を向上させやすい。
絶縁層を形成する樹脂が樹脂粒子であり、無機材料が無機粒子である場合、前記樹脂粒子に対する前記無機粒子の平均粒子径の比は、好ましくは1/50以上、より好ましくは1/30以上、更に好ましくは1/10以上であり、好ましくは1以下、より好ましくは1/2以下である。前記樹脂粒子に対する前記無機粒子の平均粒子径の比が1/50以上では、絶縁粒子同士は凝集し易く、被覆性が向上する。前記樹脂粒子に対する前記無機粒子の平均粒子径の比が1以下では、めっき表面(金属層)と樹脂粒子及び無機粒子との密着性が高くなる。
例えば、樹脂粒子の平均粒子径は0.2μm以上、1μm以下とすることができ、無機粒子の平均粒子径は0.01μm以上0.2μm以下とすることができる。この場合には、絶縁層の厚みが厚くなり過ぎないので、金属層による電気的接続がより一層確実に果たされ、また、樹脂粒子及び無機粒子の付着性も高まる。
樹脂粒子及び無機粒子の平均粒子径は、数平均粒子径を示し、市販の粒度分布測定装置等を用いて計測することができる。例えば日機装社製マイクロトラック「UPA−EX−150」等の粒度分布測定装置を用いて求められる。導電性粒子において樹脂粒子及び無機粒子の平均粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして、樹脂粒子及び無機粒子の平均粒子径を測定することができる。導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。その検査用埋め込み樹脂中の分散した導電性樹脂の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、20個の導電性粒子を無作為に選択し、それぞれの樹脂粒子及び無機粒子の平均粒子径50個を観察する。得られた導電性粒子における樹脂粒子及び無機粒子の平均粒子径を計測し、それを算術平均して樹脂粒子及び無機粒子の平均粒子径とする。
樹脂粒子及び無機粒子のCV値は、20%以下であることが好ましい。CV値が20%以下であると、絶縁層の厚さが均一になるため、例えば、導電性粒子をCOG等の用途に適用する場合に、電極間で熱圧着する際に均一に圧力をかけやすくなり、導通不良が生じ難くなる。なお、上記粒子径のCV値は、下記式により算出される。
粒子径のCV値(%)=粒子径の標準偏差/平均粒子径×100
粒子径分布は、導電性粒子における導電部を被覆する前は粒度分布計等で測定可能であり、被覆した後はSEM写真の画像解析等で測定可能である。
絶縁層の平均厚みは、限定的ではなく、任意の厚みにすることができる。特に、絶縁層の平均厚みは、上述した突起の厚みよりも厚ければ、絶縁層の効果を十分に発揮することができ、絶縁性の低下が起こりにくく、また、導電性粒子の凝集も防止されやすくなる。
絶縁層の平均厚みは、導電性粒子をCOG等の用途に適用する場合に、リークが起こりにくく、かつ、熱圧着する際に必要な圧力及び熱量を小さくできるという観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下である。
本実施形態の導電性粒子において、上記絶縁層を形成する無機材料が無機粒子である場合、導電性粒子に対する無機粒子の被覆率が80%以上であることが好ましい。この場合、導電性粒子の絶縁性の低下を防止しやすく、しかも、導電性粒子がより真球状に近い形状となるので、導電性粒子どうしが凝集することも抑制しやすくなり、導電性粒子の単分散性を向上させることができる。無機粒子の被覆率の上限は100%である。また、上記絶縁層を形成する樹脂が樹脂粒子である場合、導電性粒子に対する樹脂粒子の被覆率が40%以上であることが好ましい。樹脂粒子の被覆率の上限は100%である。
なお、ここでいう被覆率は、導電性粒子(又は無機層の内側の層(例えば樹脂層))の表面積全体のうち、無機粒子により被覆されている部分の総面積が占める割合を示す。上記の無機層内側の層の表面積については、無機層を排除した導電性粒子を球形とみなして、この球の表面積を算出することで求めることができる。
例えば、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、20個の導電性粒子を無作為に選択し、それぞれの導電性粒子の表面を観察する。得られた導電性粒子における無機粒子が被覆されている部分の表面積の粒子全体の投影面積に対する百分率を計測し、それを算術平均して被覆率とする。
また、無機層および樹脂層の被覆率はSEMに付随するEDX等のマッピング分析によっても測定が可能である。
上記被覆率は、例えば、無機粒子の基材粒子に対する添加量、混合時間等によって、調節することができるので、被覆率を調節する方法は特に限定されない。
上記の樹脂(例えば、樹脂粒子)及び無機材料(例えば、無機粒子)には、共有結合等の化学結合が可能な反応性官能基を有していることが好ましい。この場合、樹脂(例えば、樹脂粒子)と無機材料(例えば、無機粒子)との密着性がより強くなり、導電性粒子からのこれらの脱落が防止されやすくなる。
上記反応性官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、シラン基、シラノール基、カルボキシル基、アミノ基、アンモニウム基、ニトロ基、水酸基、カルボニル基、チオール基、スルホン酸基、スルホニウム基、ホウ酸基、オキサゾリン基、ピロリドン基、リン酸基及びニトリル基等が挙げられる。中でも、ビニル基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
上記反応性官能基は、樹脂(例えば、樹脂粒子)及び無機材料(例えば、無機粒子)に反応性官能基を導入するための化合物で表面処理することにより導入できる。例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物及びビニル基を有する化合物等が挙げられる。
ビニル基を導入するための化合物(表面処理物質)としては、ビニル基を有するシラン化合物、ビニル基を有するチタン化合物、及びビニル基を有するリン酸化合物等が挙げられる。上記表面処理物質は、ビニル基を有するシラン化合物であることが好ましい。上記ビニル基を有するシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン及びビニルトリイソプロポキシシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を導入するための化合物(表面処理物質)としては、(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物、及び(メタ)アクリロイル基を有するチタン化合物、及び(メタ)アクリロイル基を有するリン酸化合物等が挙げられる。表面処理物質は、(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物であることも好ましい。上記(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物としては、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び(メタ)アクリロキシプロピルトリジメトキシシラン等が挙げられる。
金属層の表面に、絶縁層を形成させる方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。そのような方法としては、例えば、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、ファンデルワールス力又は静電気力によるヘテロ凝集法により、金属層の表面上に樹脂(例えば、樹脂粒子)及び無機材料を付着させ、さらに必要に応じて化学結合させる方法が挙げられる。また、上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁物質が脱離し難いことから、上記導電層の表面に、化学結合を介して樹脂(例えば、樹脂粒子)及び無機材料を付着させる方法が好ましい。
金属層の表面に、絶縁層を形成させるにあたっては、最初に樹脂を金属層に付着させてから次に無機材料を金属層に付着させることが好ましい。この場合、金属表面と絶縁層との密着性が高くなりやすいので絶縁層の剥離を抑制することができる。例えば、最初に樹脂粒子を金属層に付着させてから次に無機粒子を金属層に付着させると、平均粒子径の大きな樹脂粒子の間に平均粒子径の小さい無機粒子が入り込んだ状態となり得るので、無機粒子が樹脂層に含まれる状態で絶縁層が形成され得る。このように形成される絶縁層の表面にさらに無機粒子の層が形成されていてもよく、この場合、絶縁層は無機粒子を含む樹脂層と、無機粒子で形成される無機層とで形成される。一方、無機粒子が樹脂層の空隙に入らないサイズである場合は、無機粒子は樹脂層の空隙には入り込まずに、樹脂層の表面に無機層が形成された絶縁層となる。
金属層の表面に、絶縁層を形成させるにあたり、樹脂粒子と無機粒子は同様の方法で金属層に付着させることができるが、必ずしも同じ方法で金属層に付着させる必要はない。例えば、樹脂粒子は例えばヘテロ凝集で絶縁層に付着させて金属層表面と化学結合させ、無機粒子はハイブリダイゼーション等の方法で樹脂層表面に物理被覆させる方法を採用してもよい。
なお、金属層の表面と上記絶縁層とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。例えば、金属層の表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミンなどの高分子電解質を介して絶縁層の表面の官能基と化学結合していても構わない。ここで使用できる高分子電解質としては、上述した高分子電解質と同様とすることができる。
本実施形態の導電性粒子は、基材粒子と、基材粒子の表面を覆う金属層とを有してなり、金属層の表面が樹脂及び無機材料で被覆されているので、従来の導電性粒子に比べて、絶縁層の被覆量が大きい材料となり得る。これにより、導電性粒子の絶縁性が向上するので、絶縁性の低下を防止しやすい。また、導電性粒子における絶縁層の被覆量が大きいことで、導電性粒子どうしの凝集が抑制されやすく、その結果として、導電性粒子の単分散性も向上する。特に、導電性粒子の最外層がシリカ粒子であれば、導電性粒子どうしの凝集がより抑制されやすくなる。
そして、上記導電性粒子を例えばCOG等に適用して電極間を接続すると、隣接する電極間の短絡を抑制できる。具体的には、電極間で複数の導電性粒子どうしが互いに接触したとしても、複数の電極間に絶縁物質(絶縁層)が存在することで、横方向に隣り合う電極間の短絡を抑制することもできる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部(金属層)と電極との間に存在する絶縁物質(絶縁層)は容易に排除される。そして、導電性粒子が金属層の表面に突起を有する場合には、絶縁物質(絶縁層)がより一層容易に排除される。
本実施形態の導電性粒子は、樹脂及び無機材料を含む絶縁層を有していることで、適度の硬さと、圧縮後の適度な回復性とを兼ね備えている。そのため、本実施形態の導電性粒子は、硬さと回復性が求められるCOGに特に好適に使用することができる。
具体的に本実施形態の導電性粒子では、10%圧縮時の応力(10%K値)が3000以上、15000N/mm以下が好ましく、回復率が30%以上、80%以下が好ましい。このように、本実施形態の導電性粒子は、上述の絶縁層を有していることで、硬さ及び回復性にも優れる材料である。特に、本実施形態の導電性粒子がCOGに適用される場合、10%圧縮時の応力(10%K値)が5000以上、12000N/mm以下であることが好ましく、また、回復率が40%以上、70%以下であることが好ましい。
上記導電性粒子の上記10%K値は、以下のようにして測定できる。微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、最大試験荷重90mNを30秒かけて負荷する条件下で導電性粒子1個を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
K値(N/mm)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:導電性粒子が10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:導電性粒子が10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:導電性粒子の半径(mm)
回復率は、上記と同様の装置において、粒子1個に対して最大試験荷重10mNを付加した後、荷重を除荷する。この時の圧縮変位L1(mm)と回復変位L2(mm)を測定する。得られた測定値から下記の計算式で求めることができる。
回復率(%)=(L2/L1)×100
上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料をとして用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。
上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。
上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。
上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。
上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。
上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(接続構造体)
上述した導電性粒子を用いて、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
図1に一例として示すように、上記接続構造体81は、第1の接続対象部材82と、第2の接続対象部材83と、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とを接続している接続部84とを備え、上記接続部を形成する材料が、上述した導電性粒子1であるか、又は上述した導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む導電材料であることが好ましい。上記接続部が、上述した導電性粒子により形成されているか、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。導電性粒子が単独で用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子により接続される。上記接続構造体を得るために用いられる上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
上記第1の接続対象部材は、第1の電極82aを表面に有することが好ましい。上記第2の接続対象部材は、第2の電極83aを表面に有することが好ましい。上記第1の電極82aと上記第2の電極83aとが、上記導電性粒子1により電気的に接続されていることが好ましい。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×10以上、4.9×10Pa以下程度である。上記加熱の温度は、120以上、220℃以下程度である。フレキシブルプリント基板の電極、樹脂フィルム上に配置された電極及びタッチパネルの電極を接続するための上記加圧の圧力は9.8×10以上、1.0×10Pa以下程度である。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記導電材料は、電子部品を接続するための導電材料であることが好ましい。上記導電ペーストはペースト状の導電材料であり、ペースト状の状態で接続対象部材上に塗工されることが好ましい。
上記導電性粒子及び上記導電材料は、タッチパネルにも好適に用いられる。従って、上記接続対象部材は、フレキシブル基板であるか、又は樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることも好ましい。上記接続対象部材は、フレキシブル基板であることが好ましく、樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることが好ましい。上記フレキシブル基板がフレキシブルプリント基板等である場合に、フレキシブル基板は一般に電極を表面に有する。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブル基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
金属層の形成
基材粒子として、粒子径が3.0μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−203」)を用意した。パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、上記樹脂粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、樹脂粒子を取り出した。次いで、樹脂粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、樹脂粒子の表面を活性化させた。表面が活性化された樹脂粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。次に、金属ニッケル粒子スラリー(平均粒子径100nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された基材粒子を得た。芯物質が付着された基材粒子を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。
また、前期工程用ニッケルめっき液として、硫酸ニッケル500g/L、次亜リン酸ナトリウム150g/L、クエン酸ナトリウム150g/L、及びめっき安定剤6ml/Lの混合液をアンモニアにてpH8に調整しためっき液を用意した。このめっき液150mlを、20ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、懸濁液Aに滴下した。反応温度は、50℃に設定した。その後、pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認し、無電解めっき前期工程を行った。
次に、後期工程用ニッケルめっき液として、硫酸ニッケル500g/L、ジメチルアミンボラン80g/L、及びタングステン酸ナトリウム10g/Lの混合液を水酸化ナトリウムにてpH11.0に調整しためっき液を用意した。このめっき液350mlを、10ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、懸濁液に滴下した。反応温度は、30℃に設定した。その後、pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認し、無電解めっき後期工程を行った。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面に突起を有するニッケル導電層(金属層)が配置された基材粒子を得た。
樹脂粒子の作製
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、ジメタクリル酸エチレングリコール13mmol、N,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、平均粒子径250nm及びCV値10%の絶縁性樹脂粒子を得た。絶縁性樹脂粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性樹脂粒子の10重量%水分散液を得た。
無機粒子
日本アエロジル社製 アエロジル50(平均粒径30nm)を使用した。
導電性粒子の作製
上記のように得られた金属層が配置された基材粒子10gをイオン交換水500mLに分散させ、絶縁性樹脂粒子の水分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。0.3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、絶縁性樹脂粒子が付着した導電性粒子を得た。絶縁性樹脂粒子は粒子表面の40%に被覆されていた。
得られた絶縁性樹脂粒子付き導電性粒子10g、無機粒子1.5g、平均粒径5mmのジルコニア球100gを容積1Lのボールミル容器に投入し、500rpmの回転速度で5時間撹拌した後、ジルコニア球を分離して絶縁層被覆導電性粒子(単に導電性粒子ともいう)を得た。得られた導電性粒子は、導電性粒子の表面に絶縁性樹脂粒子が被覆され、更にその上部から無機粒子が覆うように被覆されていた。無機粒子は粒子表面の98%に被覆されていた。
(実施例2〜7)
基材粒子の平均粒子径、絶縁性樹脂粒子及び絶縁性無機粒子の平均粒子径、並びに、被覆量を後掲の表1のように変更した事以外は実施例1と同様にして導電性粒子を作製した。
(実施例8)
樹脂粒子の作製時にメタクリル酸メチル100mmolをイソブチルメタクリレート150mmolに変更した事以外は実施例1と同様にして導電性粒子を作製した。
(実施例9)
無機粒子を日本アエロジル社製酸化アルミニウムC(平均粒径13nm)に変更した事以外は実施例1と同様にして導電性粒子を作製した。
(実施例10)
実施例1で得られた導電性粒子および絶縁性樹脂粒子、無機粒子を準備した。導電性粒子10重量部と絶縁性樹脂粒子10重量部を混合してからハイブリタイザー(奈良機械社製)に投入し1時間処理を行うことで導電性粒子表面に約100nmの厚みの樹脂層が被覆された導電性粒子を得た。次いで無機粒子15重量部を混合してからハイブリタイザーに投入し30分間処理を行うことで、無機粒子が樹脂層上に均一に被覆した、導電性粒子を得た。
(実施例11)
実施例1の金属層の形成時に金属ニッケル粒子スラリーを添加せず、芯物質が付着されていない基材粒子を使用することで、樹脂粒子の表面に突起を有さないニッケル導電層(金属層)が配置された基材粒子を得たこと以外は、実施例1と同様にして導電性粒子を得た。
(比較例1)
無機粒子を被覆しなかったこと以外は実施例1と同様に導電性粒子を得た。
(比較例2)
樹脂粒子を被覆しなかったこと以外は実施例1と同様に導電性粒子を得た。
(比較例3)
樹脂粒子及び無機粒子のいずれも被覆しなかったこと以外は実施例1と同様に導電性粒子を得た。
(評価)
(1)被覆率
ここでいう被覆率は、導電性粒子の表面積全体に対して、絶縁層により被覆されている部分の合計面積が占める割合を示す。具体的には、上述のようにSEMでの観察により、20個の絶縁層被覆導電性粒子を観察し、各々の導電性粒子の表面積全体に占める絶縁層により被覆されている部分の合計投影面積の割合を被覆率として算出した。そして、20個の被覆率の平均値を絶縁層被覆導電性粒子の被覆率とした。
(2)導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)
得られた導電性粒子の上記圧縮弾性率(10%K値)を、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。
(3)導電性粒子の回復率
得られた導電性粒子の回復率を、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。
(4)単分散性
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製「PKHC」)50重量部とPGMEA30重量部とトルエン20重量部を24時間撹拌混合し、フェノキシ樹脂を完全に溶解した。得られた溶解樹脂10重量部に、導電性粒子を0.05重量部投入して遊星式攪拌機で撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を剥離処理されたポリエチレンテレフタレート上に塗布し、溶媒を乾燥させて、厚みが10μmである異方性導電フィルムを得た。得られたフィルムを光学顕微鏡で観察し、導電性粒子100万個相当分を観察した時に、単分散ではない、すなわち、凝集している粒子の個数をカウントした。
[単分散性の判定基準]
○○○:凝集粒子が3個未満である。
○○:凝集粒子が3個以上、10個未満である。
○:凝集粒子が10個以上、20個未満である。
△:凝集粒子が20個以上、30個未満である。
×:凝集粒子が30個以上である。
(5)導通性(上下の電極間)
得られた絶縁性粒子付き導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」に添加し、遊星式攪拌機を使って分散させ、異方性導電ペーストを得た。
L/Sが15μm/15μmであるAl−Nd合金配線にIZO電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが15μm/15μmである金電極パターンが下面に形成された半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、得られた異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、バンプ面積あたり70MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。
得られた20個の接続構造体の上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通性を下記の基準で判定した。
[導通性の判定基準]
○○○:抵抗値が3Ω以下の接続構造体の個数の割合が90%以上である。
○○:抵抗値が3Ω以下の接続構造体の個数の割合が80%以上、90%未満である。
○:抵抗値が3Ω以下の接続構造体の個数の割合が70%以上、80%未満である。
△:抵抗値が3Ω以下の接続構造体の個数の割合が60%以上、70%未満である。
×:抵抗値が3Ω以下の接続構造体の個数の割合が60%未満である。
(6)絶縁性(横方向に隣り合う電極間)
上記(5)導通性の評価で得られた20個の接続構造体において、隣接する電極間のリークの有無を、テスターで抵抗を測定することにより評価した。絶縁性を下記の基準で判定した。
[絶縁性の判定基準]
○○○:抵抗値が10Ω以上の接続構造体の個数の割合が90%以上である。
○○:抵抗値が10Ω以上の接続構造体の個数の割合が80%以上、90%未満である。
○:抵抗値が10Ω以上の接続構造体の個数の割合が70%以上、80%未満である。
△:抵抗値が10Ω以上の接続構造体の個数の割合が60%以上、70%未満である。
×:抵抗値が10Ω以上の接続構造体の個数の割合が60%未満である。
Figure 2020194794
表1には、各実施例及び比較例にて作製した導電性粒子について、絶縁性樹脂粒子(又は樹脂層)及び無機粒子の被覆率、並びに、導電性粒子の10%K値(N/mm)、回復率(%)、単分散性、接続抵抗値(導通性)及び絶縁性の評価結果を示している。
表1からわかるように、各実施例で得られた導電性粒子は、10%K値(N/mm)、回復率(%)、単分散性、接続抵抗値及び絶縁性のいずれの性能も優れることが示されている。一方、比較例で得られたサンプルでは、基材粒子が樹脂及び無機材料で被覆されていないため、凝集が生じやすく、単分散性が悪いものであり、さらに、絶縁性についても実施例の導電性粒子を使用した場合よりも劣る結果であった。

Claims (8)

  1. 基材粒子と、該基材粒子の表面を覆う金属層とを有してなる導電性粒子であって、
    前記金属層の表面は、樹脂及び無機材料で被覆されている、導電性粒子。
  2. 前記樹脂は樹脂粒子を含む、請求項1に記載の導電性粒子。
  3. 前記無機材料は無機粒子を含む、請求項1又は2に記載の導電性粒子。
  4. 前記樹脂は樹脂粒子を含み、前記無機材料は無機粒子を含み、前記樹脂粒子に対する前記無機粒子の平均粒子径の比が1/50以上、1以下である、請求項1に記載の導電性粒子。
  5. 前記無機粒子の被覆率が80%以上である、請求項3又は4に記載の導電性粒子。
  6. 前記金属層の表面には前記樹脂で被覆されてなる樹脂層が形成されており、この樹脂層の表面には前記無機材料で被覆されてなる無機層が形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性粒子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む、導電材料。
  8. 第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、
    第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、
    前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、
    前記接続部の材料が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性粒子又は請求項7に記載の導電材料を含み、
    前記第1の電極と前記第2の電極とが前記導電性粒子又は前記導電材料により電気的に接続されている、接続構造体。
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