以下、本発明の詳細を説明する。
(導電性粒子粉体)
本発明に係る導電性粒子粉体は、複数の導電性粒子を含有する。上記導電性粒子は、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された第1の導電部と、上記第1の導電部の外表面上に配置された第2の導電部とを備える。上記第2の導電部は、金又はパラジウムを含む。上記第2の導電部の厚みは30nm以下であり、上記第2の導電部の厚みは薄い。本発明に係る導電性粒子粉体では、該導電性粒子粉体に含まれる上記導電性粒子の全個数100%中、上記第2の導電部が欠けたディンプルを有する導電性粒子の個数の割合が10%以下である。
本発明では、上記の構成が備えられているので、本発明に係る導電性粒子粉体を用いて電極間を電気的に接続した場合に、初期の接続抵抗を低くし、かつ高温高湿下での接続抵抗の上昇を抑えることができ、接続信頼性を高めることができる。
導電性粒子が高温高湿下に晒された後に電極間の接続に用いられたり、導電性粒子を用いた接続構造体が高温高湿下に晒されたりしても、接続抵抗の上昇を抑えることができる。さらに、接続抵抗のばらつきを低減し、接続信頼性を高めることができる。
また、金又はパラジウムを含む第2の導電部の厚みが30nmを超える場合や、第2の導電部の厚みが20nmを超える場合や、第2の導電部の厚みが15nm以上である場合や、第2の導電部の厚みが10nm以上である場合に、電極間の接続抵抗及び高温高湿下での電極間の接続信頼性がさほど問題にならなくても、第2の導電部の厚みがかなり薄い場合には、高温高湿下での電極間の接続信頼性が大きな問題となることがある。本発明では、第2の導電部の厚みが薄くても、高温高湿下での電極間の接続信頼性を高めることができる。本発明では、第2の導電部の厚みが薄いほど、本発明の効果がより効果的に得られる。特に、本発明に係る導電性粒子粉体では、上記の構成が採用されているため、上記第2の導電部の厚みが薄くかつ上記第2の導電部の内側にニッケルなどを含む第1の導電部があるにもかかわらず、接続抵抗の上昇を抑えることができる。
上記ディンプルは、例えば、第2の導電部の形成時に、複数の導電性粒子が接合した後に剥離することで、又は複数の導電性粒子が衝突して第2の導電部が剥離することで、上記第2の導電部が欠けることによって形成される。例えば、上記第1の導電部上で、上記第2の導電部が欠けた部分がディンプルである。
導電性粒子の粒子径をDとする。本明細書において、上記ディンプルは、上記第2の導電部が欠けた欠損部分であって、最大長さ方向の寸法が0.05D以上、0.5D以下の大きさを有する欠損部分を意味する。
一般に、無電解めっきなどにより導電部を形成した場合に、微小なピンホールが形成される場合がある。ピンホールの最大長さ方向寸法は一般に0.05D未満であり、このような小さなピンホールは上記ディンプルには含まれない。
上記ディンプルの個数の割合が少ないほど、初期の接続抵抗が効果的に低くなり、高温高湿下での接続抵抗の上昇が効果的に抑えられる。上記導電性粒子粉体に含まれる上記導電性粒子の全個数100%中、上記第2の導電部が欠けたディンプルを有する導電性粒子の個数は好ましくは10%以下、より好ましくは7.5%以下、更に好ましくは5%以下である。
上記第2の導電部の外表面は防錆処理されていることが好ましい。上記第2の導電部の外表面が防錆処理されている場合には、高温高湿下などに長期間保管された導電性粒子を用いて、接続構造体を作製したときに、接続抵抗の上昇をより一層抑えることができる。
上記導電性粒子粉体は、例えば、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された第1の導電部とを備える第2の導電部形成前の複数の導電性粒子を用意し、上記第2の導電部形成前の複数の導電性粒子の上記第1の導電部の外表面上に、無電解めっきによって第2の導電部を配置して、上記第1の導電部の外表面上に配置された第2の導電部を備える複数の導電性粒子を含有する導電性粒子粉体を得る工程を経て得ることができる。この製造方法では、上記第2の導電部として、金又はパラジウムを含み、かつ厚みが30nm以下である第2の導電部を形成する。上記第2の導電部の形成時に、無電解めっき液に、窒素原子を含有する官能基を有する水溶性ポリマーを含有させることで、ディンプル数をかなり少なくすることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。なお、参照した図面では、大きさ及び厚みなどは、図示の便宜上、実際の大きさ及び厚みから適宜変更している。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子粉体に含まれる導電性粒子を示す断面図である。
図1に示すように、導電性粒子1は、基材粒子2と、第1の導電部3(導電層)と、第2の導電部4(導電層)とを備える。第2の導電部4は、金又はパラジウムを含む。第2の導電部4の厚みは30nm以下である。図1では、ディンプルDが1つ図示されている。なお、ディンプルDはないことが好ましい。第2の導電部4は、導電部における最表面に位置し、最外層である。導電性粒子1では、多層の導電部が形成されている。
第1の導電部3は、基材粒子2の表面上に配置されており、基材粒子2に接している。基材粒子2と第2の導電部4との間に、第1の導電部3が配置されている。第2の導電部4は、第1の導電部3の外表面上に配置されており、第1の導電部3に接している。導電性粒子1は、基材粒子2の表面が、第1の導電部3及び第2の導電部4により被覆された被覆粒子である。
図示しないが、第2の導電部4の外表面は防錆処理されている。従って、導電性粒子1は、第2の導電部4の外表面に、防錆膜を備える。
導電性粒子1は、芯物質を有さない。導電性粒子1は、導電部の外表面に突起を有さない。導電性粒子1は球状である。第1の導電部3及び第2の導電部4は外表面に突起を有さない。このように、本発明に係る導電性粒子は導電部の表面に突起を有していなくてもよく、球状であってもよい。また、導電性粒子1は、絶縁物質を有さない。但し、導電性粒子1は、第2の導電部4の外表面上に配置された絶縁物質を有していてもよい。
また、第1の導電部3は、導電性粒子1では、基材粒子2の表面上に直接積層されている。基材粒子2と第1の導電部3との間に他の導電部が配置されていてもよい。基材粒子2の表面上に、他の導電部を介して、第1の導電部3が配置されていてもよい。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子粉体に含まれる導電性粒子を示す断面図である。
図2に示す導電性粒子21は、基材粒子2と、第1の導電部22と、第2の導電部23と、芯物質24と、絶縁物質25とを備える。第2の導電部23は、金又はパラジウムを含む。第2の導電部23の厚みは30nm以下である。第1の導電部22は、基材粒子2の表面上に配置されている。第2の導電部23は、第1の導電部22の外表面上に配置されている。
導電性粒子21は、導電部の外表面に突起21aを有する。突起21aは複数である。第1の導電部22及び第2の導電部23は外表面に、複数の突起22a,23aを有する。複数の芯物質24が、基材粒子2の表面上に配置されている。複数の芯物質24は第1の導電部22及び第2の導電部23内に埋め込まれている。芯物質24は、突起21a,22a,23aの内側に配置されている。第1の導電部22及び第2の導電部23は、複数の芯物質24を被覆している。複数の芯物質24により第1の導電部22及び第2の導電部23の外表面が隆起されており、突起21a,22a,23aが形成されている。このように、上記導電性粒子は導電部の外表面に突起を有していてもよい。また、本発明に係る導電性粒子は、第1の導電部の外表面に突起を有さず、かつ第2の導電部の外表面に突起を有していてもよい。上記導電性粒子は、第2の導電部の内部又は内側において、複数の突起を形成するように、第2の導電部の表面を隆起させている複数の芯物質を備えていてもよい。上記芯物質は、第1の導電部の内側に位置していてもよく、第1の導電部の内部に位置してもよく、第1の導電部の外側に位置していてもよい。
導電性粒子21は、第2の導電部23の外表面上に配置された絶縁物質25を有する。第2の導電部23の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁物質25により被覆されている。絶縁物質25は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。
このように、上記導電性粒子は、第2の導電部の外表面上に配置された絶縁物質を有していてもよい。
以下、基材粒子及び導電部の詳細を説明する。なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味する。
[基材粒子]
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、コアシェル粒子であってもよい。
上記基材粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが更に好ましく、樹脂粒子であってもよく、有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。これらの好ましい基材粒子の使用により、電極間の電気的な接続により一層適した導電性粒子が得られる。
上記導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、上記導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより上記導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であると、上記圧着の際に上記導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記有機コアを形成するための材料としては、上述した樹脂粒子を形成するための樹脂等が挙げられる。
上記無機シェルを形成するための材料としては、上述した基材粒子を形成するための無機物が挙げられる。上記無機シェルを形成するための材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼成させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは2μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。上記基材粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の間隔が小さくなり、かつ導電部の厚みを厚くしても、小さい導電性粒子が得られる。
上記基材粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
[導電部(第1の導電部及び第2の導電部)]
上記導電性粒子は、上記第1の導電部を有する。上記第1の導電部は、ニッケル又は銅を含むことが好ましく、ニッケルを含むことがより好ましい。上記ニッケルを含む導電部は、金属として、ニッケルのみを用いた場合だけでなく、ニッケルと他の金属とを用いた場合も含まれる。上記ニッケルを含む導電部は、ニッケル合金部であってもよい。上記銅を含む導電部は、金属として、銅のみを用いた場合だけでなく、銅と他の金属とを用いた場合も含まれる。上記銅を含む導電部は、銅合金部であってもよい。
上記第1の導電部に用いることができる金属としては、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、パラジウム、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン及び錫ドープ酸化インジウム(ITO)等が挙げられる。これらの金属は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
導電部及び突起が効果的に硬くなるので、上記第1の導電部はニッケルとタングステンとを含むことが好ましい。導電部及び突起が硬くなると、酸化膜が効果的に排除されやすくなる。
上記ニッケルを含む導電部はニッケルを主金属として含むことが好ましい。上記銅を含む導電部は銅を主金属として含むことが好ましい。上記ニッケルを含む導電部全体100重量%中、及び上記銅を含む導電部全体100重量%中、ニッケル又は銅の含有量は50重量%以上であることが好ましい。上記ニッケルを含む導電部全体100重量%中、及び上記銅を含む導電部全体100重量%中、ニッケル又は銅の含有量は好ましくは65重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。ニッケル又は銅の含有量が上記下限以上であると、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記ニッケルを含む導電部は、ニッケルとリン又はボロンとを含むことが好ましい。上記ニッケルを含む導電部全体100重量%中、リンとボロンとの合計の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは3重量%以上であり、好ましくは10重量%以下である。リンとボロンとの合計の含有量が上記上限以下であると、導電部の抵抗がより一層低くなり、またニッケルなどの金属の含有量が相対的に多くなるので、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記第1の導電部の厚みは、好ましくは30nm以上、より好ましくは60nm以上であり、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。上記第1の導電部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極の表面の酸化膜がより一層効果的に除去され、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。上記第1の導電部の厚みは、導電性粒子における第1の導電部の平均厚みを示す。
上記導電性粒子は、上記第2の導電部を備える。上記第2の導電部は、金又はパラジウムを含む。金を含む導電部には、金属として、金のみを用いた場合だけでなく、金と他の金属とを用いた場合も含まれる。金を含む導電部は、金合金部であってもよい。パラジウムを含む導電部には、金属として、パラジウムのみを用いた場合だけでなく、パラジウムと他の金属とを用いた場合も含まれる。パラジウムを含む導電部は、パラジウム合金部であってもよい。
上記第2の導電部に用いることができる金属としては、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、パラジウム、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン及び錫ドープ酸化インジウム(ITO)等が挙げられる。これらの金属は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記金を含む導電部は金を主金属として含むことが好ましい。上記パラジウムを含む導電部はパラジウムを主金属として含むことが好ましい。上記金を含む導電部全体100重量%中、及び上記パラジウムを含む導電部全体100重量%中、金又はパラジウムの含有量は50重量%以上であることが好ましい。上記金を含む導電部全体100重量%中、及び上記パラジウムを含む導電部全体100重量%中、金又はパラジウムの含有量は好ましくは65重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。金又はパラジウムの含有量が上記下限以上であると、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記第2の導電部の厚みは、30nm以下である。上記第2の導電部の厚みは、好ましくは25nm以下、より好ましくは20nm以下、更に好ましくは15nm以下、特に好ましくは10nm未満、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上である。上記第2の導電部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、接続抵抗の上昇が効果的に抑えられる。本発明に係る導電性粒子粉体では、上記第2の導電部の厚みが薄くても、電極間の接続抵抗を低くすることができ、電極間の接続抵抗のばらつきを抑えることができる。また、上記第2の導電部の厚みが10nm未満であって上記第2の導電部の厚みがかなり薄くても、上記第2の導電部の外表面が防錆処理されている場合には、上記第2の導電部の厚みが薄くかつ上記第2の導電部の内側に第1の導電部があるにもかかわらず、接続抵抗の上昇を抑えることができる。上記第2の導電部の厚みは、導電性粒子における第2の導電部の平均厚みを示す。
上記導電部を形成する方法は特に限定されない。上記導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、上記導電部の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
上記導電部におけるニッケル、ボロン及びリンの含有量を制御する方法としては、例えば、無電解ニッケルめっきにより導電部を形成する際に、ニッケルめっき液のpHを制御する方法、無電解ニッケルめっきにより導電部を形成する際に、ボロン含有還元剤の濃度を調整する方法、無電解ニッケルめっきにより導電部を形成する際に、リン含有還元剤の濃度を調整する方法、並びにニッケルめっき液中のニッケル濃度を調整する方法等が挙げられる。
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは5μm以下である。上記導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。上記導電性粒子の粒子径は、3μm以下であることも好ましい。
上記導電性粒子の粒子径は、導電性粒子が真球状である場合には、直径を示し、導電性粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
上記導電性粒子は、導電部の外表面に突起を有することが好ましい。上記第1の導電部は、外表面に突起を有することが好ましい。上記第2の導電部は、外表面に突起を有することが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化膜が形成されていることが多い。導電性を有する突起を有する導電性粒子の使用により、電極間に導電性粒子を配置した後、圧着させることにより、突起により酸化膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁物質を有する場合、又は導電性粒子が樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁物質又は樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
上記突起は複数であることが好ましい。上記導電性粒子1個当たりの上記導電部(上記第2の導電部)の外表面の突起は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上である。上記突起の数の上限は特に限定されない。突起の数の上限は導電性粒子の粒子径等を考慮して適宜選択できる。
複数の上記突起の平均高さは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記突起の平均高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
接続抵抗を効果的に低くし、高温高湿下での電極間の接続信頼性を効果的に高める観点からは、上記第2の導電部の外表面の全表面積100%中、上記突起がある部分の表面積は好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上である。上記第2の導電部の外表面の全表面積100%中、上記突起がある部分の表面積の占める割合の上限は特に限定されない。上記第2の導電部の外表面の全表面積100%中、上記突起がある部分の表面積は好ましくは99%以下、より好ましくは95%以下である。
[芯物質]
上記芯物質が上記導電部中に埋め込まれていることによって、上記導電部(上記第2の導電部)が外表面に複数の突起を有するようにすることが容易である。但し、導電性粒子及び導電部の外表面に突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよく、芯物質を用いないことが好ましい。上記導電性粒子は、上記導電部の外表面を隆起させるための芯物質を有さないことが好ましく、上記導電部の外表面を隆起させるための芯物質を有さないことが好ましい。但し、上記導電性粒子は、上記第2の導電部の外表面を隆起させている芯物質を有していてもよく、上記第1の導電部の外表面を隆起させている芯物質を有していてもよい。上記芯物質が用いられる場合に、上記芯物質は、上記第2の導電部の内側又は内部に配置されることが好ましい。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に、第1の導電部を形成した後、該第1の導電部上に芯物質を配置し、次に第2の導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面上に導電部を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法等が挙げられる。
上記基材粒子の表面上に芯物質を配置する方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記芯物質を構成する物質としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができ、更に接続抵抗を効果的に低くすることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記芯物質を形成するための金属は、上記導電部を形成するための金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。上記芯物質を形成するための金属は、上記導電部を形成するための金属を含むことが好ましい。上記芯物質を形成するための金属は、ニッケルを含むことが好ましい。上記芯物質を形成するための金属は、ニッケルを含むことが好ましい。
上記芯物質の材料の具体例としては、チタン酸バリウム(モース硬度4.5)、ニッケル(モース硬度5)、シリカ(二酸化珪素、モース硬度6〜7)、酸化チタン(モース硬度7)、ジルコニア(モース硬度8〜9)、アルミナ(モース硬度9)、炭化タングステン(モース硬度9)及びダイヤモンド(モース硬度10)等が挙げられる。上記芯物質の材料は、ニッケル、シリカ、酸化チタン、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが好ましく、シリカ、酸化チタン、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることがより好ましく、酸化チタン、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが更に好ましく、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが特に好ましい。上記芯物質の材料のモース硬度は好ましくは5以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは7以上、特に好ましくは7.5以上である。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記芯物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
[絶縁物質]
上記導電性粒子は、上記第2の導電部の外表面上に配置された絶縁物質を備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁物質を容易に排除できる。導電性粒子が導電部の外表面に複数の突起を有する場合には、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁物質を容易に排除できる。
電極間の圧着時に上記絶縁物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
上記絶縁物質の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
上記絶縁物質を配置する方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁物質が脱離し難いことから、上記導電部の表面に、化学結合を介して上記絶縁物質を配置する方法が好ましい。
上記導電部(上記第2の導電部)の外表面、及び絶縁物質の表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。導電部の外表面と絶縁性粒子の表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。導電部の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミンなどの高分子電解質を介して絶縁物質の表面の官能基と化学結合していても構わない。
上記絶縁物質の平均径(平均粒子径)は、導電性粒子の粒子径及び導電性粒子の用途等によって適宜選択できる。上記絶縁物質の平均径(平均粒子径)は好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。絶縁物質の平均径が上記下限以上であると、導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の導電性粒子における導電部同士が接触し難くなる。絶縁性粒子の平均径が上記上限以下であると、電極間の接続の際に、電極と導電性粒子との間の絶縁物質を排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。
上記絶縁物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。絶縁物質の平均径は、粒度分布測定装置等を用いて求められる。
[防錆処理]
導電性粒子の腐食を抑え、電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記第2の導電部の外表面は防錆処理されていることが好ましい。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の導電部の外表面は、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物により、防錆処理されていることが好ましい。上記第2の導電部の表面は、リンを含まない化合物により防錆処理されていてもよく、炭素数6〜22のアルキル基を有しかつリンを含まない化合物により防錆処理されていてもよい。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の導電部の外表面は、アルキルリン酸化合物、アルキルシランカンプリング化合物又はアルキルチオールにより、防錆処理されていることが好ましい。防錆処理により、上記第2の導電部の外表面に、防錆膜を形成できる。
(窒素原子を含有する官能基を有するポリマー)
上記導電性粒子は、上記第2の導電部の外表面上に、窒素原子を含有する官能基を有する水溶性ポリマーを備えることが好ましい。上記導電性粒子は、上記第2の導電部の外表面上に、窒素原子を含有する有機基を有する水溶性ポリマーを備えることがより好ましい。例えば、無電解めっき時に、窒素原子を含有する官能基を有する水溶性ポリマーを含有させることで、ディンプル数を少なくすることができる。窒素原子を含有する官能基は、アミノ基であることが好ましい。上記ポリマーは、末端に窒素原子を含有する官能基を有することが好ましく、窒素原子を含有する有機基を有することがより好ましい。上記ポリマーは、末端にアミノ基を有することが好ましい。
上記水溶性ポリマーとしては、ゼラチン、及びコラーゲンペプチド等が挙げられる。上記ゼラチンは、アミノ基とカルボキシル基とを有することが好ましい。
無電解めっき後に、上記第2の導電部の外表面上の上記水溶性ポリマーの量は、洗浄又は分解により少なくすることができる。但し、上記水溶性ポリマーの量は、一般的な洗浄のみによっては、大幅に少なくすることは困難である。上記水溶性ポリマーの量を少なくするために、上記水溶性ポリマーを酸又は酵素により分解させることが好ましく、酵素により分解させることがより好ましい。上記水溶性ポリマーを酸又は酵素により除去することが好ましく、酵素により除去することがより好ましい。但し、この場合に、水溶性ポリマーの全部を除去せずに、一部のみを除去してもよい。水溶性ポリマーの量が少ないほど、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
ディンプル数を効果的に少なくする観点からは、上記水溶性ポリマーの重量平均分子量は好ましくは500以上であり、好ましくは5000000以下、より好ましくは500000以下である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算での重量平均分子量である。
上記第2の導電部の外表面上の上記水溶性ポリマーの存在は、上記導電性粒子の導電部の外表面において、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)により窒素原子を含有する官能基のスペクトルが検出されるか否かで確認することができる。
上記第2の導電部の外表面上の上記水溶性ポリマーの量は、以下のようにして、測定することができる。上記導電性粒子粉体1gを水10gに入れて、粉体含有水を得る。得られた粉体含有水を、内容積が20mLの容器中に入れ、密閉する。粉体含有水を120℃で24時間熱処理する。熱処理後の粉体含有水の水中に含まれる上記水溶性ポリマーの含有量を測定する。
熱処理後の粉体含有水の水中に含まれる上記水溶性ポリマーの含有量は好ましくは0ppm(未含有)以上であり、好ましくは10000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは100ppm以下である。上記水溶性ポリマーを完全に除去することは困難であることから、上記水溶性ポリマーの含有量は1ppm以上であってもよい。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、上述した導電性粒子粉体と、バインダー樹脂とを含む。上述した導電性粒子粉体と、バインダー樹脂とを配合することで、上記導電材料が得られる。上記導電性粒子粉体は、バインダー樹脂中に分散されて用いられることが好ましく、バインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。
上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記導電性粒子粉体及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(接続構造体)
上記導電性粒子粉体を用いて、又は上記導電性粒子粉体とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、該接続部の材料が上述した導電性粒子粉体であるか、又は、上述した導電性粒子粉体とバインダー樹脂とを含む導電材料である接続構造体であることが好ましい。上記接続部が上述した導電性粒子粉体により形成されているか、又は上述した導電性粒子粉体とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。導電性粒子が用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子粉体である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子粉体により接続される。上述した導電性粒子粉体を用いるか、又は上述した導電性粒子粉体とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、上記接続部を形成することで、上記接続構造体が得られる。
図3に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子粉体を用いた接続構造体を模式的に断面図で示す。
図3に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、複数の導電性粒子1(導電性粒子粉体)を含む導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図3では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子21等を用いてもよい。
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記導電性粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、SUS電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
導電性粒子を得るために、下記の基材粒子を用意した。
基材粒子A:樹脂粒子;粒子径が3.0μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−203」)
基材粒子B:樹脂粒子;粒子径が3.0μmである樹脂粒子、ジビニルベンゼンとPTMGA(共栄社化学社製)とを重量比率3:7で重合して作製
基材粒子C:有機無機ハイブリッド粒子;架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された粒子径が3.0μmの有機無機ハイブリッド粒子
基材粒子D:樹脂粒子;粒子径が2.5μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−2025」)
基材粒子E:樹脂粒子;粒子径が10μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−210」)
(実施例1)
(1)ニッケル層の形成
パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、上記基材粒子A10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、基材粒子Aを取り出した。次いで、基材粒子Aをジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、基材粒子Aの表面を活性化させた。表面が活性化された基材粒子Aを十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。
また、硫酸ニッケル0.25mol/L、次亜リン酸ナトリウム0.25mol/L、及びクエン酸ナトリウム0.15mol/Lを含むニッケルめっき液(pH9.0)を用意した。
得られた懸濁液を70℃にて攪拌しながら、上記ニッケルめっき液を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面にニッケル−リン層(厚み0.1μm)が配置された粒子を得た。導電層100重量%中のニッケルの含有量は97.6重量%、リンの含有量は2.4重量%であった。
(2)金層の形成
添加剤であるペプチドコラーゲン(Mw10,000)を1g/L含む無電解金めっきを用いて、上記粒子を処理し、水で洗浄することにより、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、ディンプルを有する導電性粒子の個数の割合R(以下、割合Rと記載することがある)は5%であった。
(実施例2)
添加剤であるペプチドコラーゲン(Mw10,000)を、アミノエチル化アクリルポリマー(Mw20,000)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは8%であった。
(実施例3)
添加剤であるペプチドコラーゲン(Mw10,000)を、タンパク質(Mw4,000,000)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは3%であった。
(実施例4)
添加剤であるペプチドコラーゲン(Mw10,000)をタンパク質変性体(Mw300,000)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは2%であった。
(実施例5)
添加剤であるペプチドコラーゲン(Mw10,000)をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(Mw5,000)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは9%であった。
(実施例6)
ペプチドコラーゲン(Mw10,000)の添加量1g/Lを10g/Lに変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは4%であった。
(参考例1)
ペプチドコラーゲン(Mw10,000)の添加量1g/Lを20g/Lに変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは15%であった。
(比較例1)
ペプチドコラーゲン(Mw10,000)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは34%であった。
(実施例7)
ニッケル−リン層の外表面上の金層(厚み28nm)を金層(厚み8m)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み8nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは6%であった。
(実施例8)
金層の形成後、防錆剤2−エチルヘキシルアジッドホスフェイトを用いて、粒子を分散させたこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置されており、かつ防錆処理されている導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは6%であった。
(実施例9)
ニッケル−リン層の外表面上の金層(厚み28nm)をパラジウム層(厚み28m)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上にパラジウム層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは5%であった。
(実施例10)
基材粒子Aを基材粒子Bに変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは5%であった。
(実施例11)
基材粒子Aを基材粒子Cに変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは6%であった。
(実施例12)
基材粒子Aを基材粒子Dに変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは5%であった。
(実施例13)
基材粒子の種類Aを基材粒子Eに変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記ニッケル−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは5%であった。
(実施例14)
(1)ニッケル層の形成
パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、上記基材粒子A10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、基材粒子Aを取り出した。次いで、基材粒子Aをジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、基材粒子Aの表面を活性化させた。表面が活性化された基材粒子Aを十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。
また、硫酸ニッケル0.25mol/L、次亜リン酸ナトリウム0.25mol/L、クエン酸ナトリウム0.15mol/L及びタングステン酸ナトリウム0.12mol/Lを含むニッケルめっき液(pH7.0)を用意した。
得られた懸濁液を60℃にて攪拌しながら、上記ニッケルめっき液を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。続いて、硫酸ニッケル0.25mol/L、次亜リン酸ナトリウム0.25mol/L、クエン酸ナトリウム0.15mol/L及びタングステン酸ナトリウム0.12mol/Lを含むニッケルめっき液(pH10.0)を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面にニッケル−タングステン−リン層(厚み0.1μm)が配置された粒子を得た。導電層100重量%中のニッケルの含有量は82.1重量%、リンの含有量は2.3重量%、タングステンの含有量は15.6重量%であった。
(2)金層の形成
実施例1と同様に無電解金めっき処理することにより、上記ニッケル−タングステン−リン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは6%であった。
(実施例15)
上記基材粒子Aをエッチングし、水洗した。次に、パラジウム触媒を8重量%含むパラジウム触媒化液100mL中に上記基材粒子Aを添加し、攪拌した。その後、ろ過し、洗浄した。pH6の0.5重量%ジメチルアミンボラン液に上記基材粒子Aを添加し、パラジウムが付着された基材粒子Aを得た。
パラジウムが付着された基材粒子Aをイオン交換水300mL中で3分間攪拌し、分散させ、分散液を得た。次に、金属ニッケル粒子スラリー(平均粒子径100nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された基材粒子Aを得た。
芯物質が付着された基材粒子Aを用いて、ニッケル層及び金層を形成したこと、並びに導電層100重量%中のニッケルの含有量を97.8重量%、リンの含有量を2.2重量%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは6%であった。
(実施例16)
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒子径220nm及びCV値10%の絶縁性粒子を得た。
絶縁性粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%粉体含有水を得た。
実施例1で得られた導電性粒子10gをイオン交換水500mLに分散させ、絶縁性粒子の粉体含有水4gを添加し、室温で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、絶縁性粒子が付着した導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、導電性粒子の表面に絶縁性粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁性粒子の粒子径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
絶縁性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは5%であった。
(実施例17)
(1)ニッケル層の形成
パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、上記基材粒子A10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、基材粒子Aを取り出した。次いで、基材粒子Aをジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、基材粒子Aの表面を活性化させた。表面が活性化された基材粒子Aを十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。
また、硫酸ニッケル0.2mol/L、ジメチルアミンボラン0.1mol/L、クエン酸ナトリウム0.15mol/L及びタングステン酸ナトリウム0.12mol/Lを含むニッケルめっき液(pH8.5)を用意した。
得られた懸濁液を60℃にて攪拌しながら、上記ニッケルめっき液を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面にニッケル−タングステン−ボロン層(厚み0.1μm)が配置された粒子を得た。導電層100重量%中のニッケルの含有量は83.3重量%、ボロンの含有量は1.5重量%、タングステンの含有量は15.2重量%であった。
(2)金層の形成
実施例1と同様に無電解金めっき処理することにより、上記ニッケル−タングステン−ボロン層の外表面上に金層(厚み28nm)が配置された導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは6%であった。
(実施例18)
次亜リン酸ナトリウム0.25mol/Lを含む前期無電解ニッケルめっき液を用意した。また、次亜リン酸ナトリウム0.25mol/Lを含む後期無電解ニッケルめっき液を用意した。
また、次亜リン酸ナトリウム0.25mol/L及び水酸化ナトリウム0.05mol/Lを含む突起形成用めっき液を用意した。
上記基材粒子Aと、上記前期無電解ニッケルめっき液とを用いて、無電解めっき処理した。次に、その後、導電層に突起を形成するために、上記突起形成用めっき液を徐々に滴下し、突起を形成した。めっき液中に発生したNi突起核を超音波撹拌により分散しながらニッケルめっきを行った。上記後期無電解ニッケルめっき液を用いて、無電解めっき処理することにより、樹脂粒子の表面上にニッケル層(ニッケル−リン合金層、厚み80nm)と析出突起とが形成された粒子を得た。導電層100重量%中のニッケルの含有量は97.9重量%、リンの含有量は2.1重量%であった。
その後、実施例1と同様にして金層を形成して、導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子の表面のディンプル数を測定すると、割合Rは5%であった。
(評価)
(1)ディンプルを有する導電性粒子の個数の割合R
走査型電子顕微鏡にて導電性粒子表面を観察することで、導電性粒子粉体に含まれる導電性粒子の全個数100%中、第2の導電部が欠けたディンプルを有する導電性粒子の個数の割合Rを求めた。
(2)水溶性ポリマーの存在の確認及び含有量
得られた導電性粒子粉体1gを水10gに入れて、粉体含有水を得た。得られた粉体含有水を、内容積が20mLの容器中に入れ、密閉した。粉体含有水を120℃で24時間熱処理した。熱処理後の粉体含有水の水中に含まれる上記水溶性ポリマーの含有量を、液体クロマトグラフィーで測定した。
なお、得られた導電性粒子において、窒素原子を含有する官能基を有する水溶性ポリマーの存在を確認する場合は、上記方法の他、上記導電性粒子の導電部の外表面において、飛行時間型二次イオン質量分析装置(ION−TOF社製TOF−SIMS 5型)により窒素原子を含有する官能基のスペクトルが検出されるか否かによっても確認することができた。
(3)初期の接続抵抗
得られた導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」に添加し、分散させて、異方性導電ペーストを作製した。
L/Sが20μm/20μmであるITO電極パターンを上面に有する透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが20μm/20μmである金電極パターンを下面に有する半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、1MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。
得られた接続構造体の上下の電極間の接続抵抗を、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。初期の接続抵抗を下記の基準で判定した。
[初期の接続抵抗の判定基準]
○○:接続抵抗が2.0Ω以下
○:接続抵抗が2.0Ωを超え、3.0Ω以下
△:接続抵抗が3.0Ωを超え、5.0Ω以下
×:接続抵抗が5.0Ωを超える
(4)信頼性試験後の接続抵抗(導通信頼性)
上記(3)初期の接続抵抗の評価で得られた接続構造体を、85℃及び相対湿度85%の条件で放置した。放置開始から150時間後に、上記(3)初期の接続抵抗の評価と同様に電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。信頼性試験後の接続抵抗を下記の基準で判定した。
[信頼性試験後の接続抵抗の判定基準]
○○:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が125%未満
○:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が125%以上、150%未満
△:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が150%以上、200%未満
×:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が200%以上
結果を下記の表1に示す。
なお、上記(4)信頼性試験後の接続抵抗の評価では、得られた接続構造体を85℃及び相対湿度85%の条件で放置した。接続構造体を得る前の導電性粒子を85℃及び相対湿度85%の条件で放置した後に、接続構造体を得た場合にも、接続抵抗の上昇傾向について、上記(4)信頼性試験後の接続抵抗の評価結果と同様の傾向が見られた。また、実施例15,18において、金層の外表面の全表面積100%中、突起がある部分の表面積が30%以上であった。