JP2020189254A - 燃焼灰の洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固液分離の際に、燃焼灰の効率的に洗浄する洗浄方法を提供する。【解決手段】燃焼灰とアルカリ性水溶液とを混合して燃焼灰の母液スラリーを調製し、前記母液スラリーを濾過により固液分離し、燃焼灰のケーキ層が露出する前に、水洗浄工程を行うことを特徴とする燃焼灰の洗浄方法。【選択図】図1

Description

燃焼灰から有用物質を抽出分離する際の固液分離工程において、燃焼灰を効率的に洗浄する洗浄方法に関する。
近年レドックスフローバッテリーの電解液用途などにより安価なバナジウムが求められている。特に、安価なバナジウム源として、石油コークスの燃焼によって発生する燃焼灰が注目されており、様々な報告がなされている。
例えば、特許文献1は、石油コークスの燃焼灰に水を加えたスラリーに硫酸でpH調整しバナジウムを抽出濾過したのち、バナジウムを精製後、アンモニアにて回収を行う高純度バナジウムを得る焼成灰の処理方法が記されている。
このように安価なバナジウムを得るためには、火力発電所などから排出される石油コークス由来の燃焼灰を用いることが有用であるが、燃焼灰中のバナジウム濃度は、一般的に1〜2質量%程度と低濃度であるため、ある程度の量を生産するためには燃焼灰を大量に処理を行う必要がある。また、バナジウムを抽出・濾過分離後の燃焼灰は水分を含むためできるだけ水分を低減し減容化することもポイントとなってくる。したがって、濾過分離工程は非常に重要な工程であるが、大型の分離機を必要とし設備投資増大の要因となりやすい。
そこで、特許文献2は、化石燃料の燃焼時に得られる集塵機灰を410℃以上、520℃未満の温度で焼成し、次いで該焼成物を水で洗浄し、水に可溶の成分を除去し、固形分中に五酸化バナジウムを得ることを特徴とする五酸化バナジウムの製造方法が開示されている。しかし、焼成による減容化には燃焼灰を更に燃焼させるための助燃剤が必要であり、キルンなどの大型の焼成炉も必要であるため設備投資の増大は免れないという問題点があった。
また、特許文献3は、集塵機灰を水中に懸濁し、懸濁液を濾過し、得られる不溶性残渣及び/又は濾液からそれぞれ有価金属を回収する集塵機灰の処理方法において、懸濁液のpHが2.8〜5の条件下で該懸濁液をノニオン性高分子凝集剤で処理した後、懸濁液を濾過することを特徴とする集塵機灰の処理方法が開示されている。しかし、高分子凝集剤等の凝集剤の添加は、凝集剤の添加装置や予め凝集剤を水に溶解させる溶解槽の設置が必要な上、凝集剤濃度を管理する仕組みが必要となるなど新たな課題を生じる。
特開2004−352521号公報 特開2000−247644号公報 特開平8−112585号公報
このような従来より提案されていた濾過速度の改善方法では、課題が多く、必ずしも処理方法として十分なものでなかった。
そこで、本発明者は、濾過方法として、遠心分離濾過に着目した。通常、遠心分離濾過は、起動-スラリー母液給液-脱液-水洗浄-脱水-制動-掻取の各工程となる。スラリー母液給液後に脱液を行う理由としては、ケーキ内の母液をできるだけ追い出すことで水洗浄工程の効率を上げることが目的である。しかしながら、本発明者が検討した結果、スラリー母液給液後に脱液工程を行い、燃焼灰ケーキが露出してから水洗浄工程を行うと水洗浄時の濾過速度が急激に低下するこという課題を見出した。
このような課題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討した結果、石油コークス等の燃焼灰からアルカリ性水溶液にてバナジウムを抽出した母液スラリーを吸引や遠心分離等で濾過する際に、母液濾過後に脱液工程(遠心分離操作)を行わずに、直ちに水洗浄工程を行うことで洗浄液の濾過速度を低下させることなく濾過ができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成は以下の通りである。
[1]燃焼灰とアルカリ性水溶液とを混合して燃焼灰の母液スラリーを調製し、前記母液スラリーを濾過により固液分離し、燃焼灰のケーキ層が露出する前に、水洗浄工程を行う、燃焼灰の洗浄方法。
[2]前記固液分離が遠心分離濾過または吸引濾過である、[1]に記載の燃焼灰の洗浄方法。
[3]前記燃焼灰が石油コークス由来の燃焼灰である[1]または[2]に記載の燃焼灰の洗浄方法。
[4]ケーキ層が露出するタイミングを、目視あるいはセンサーによる検出、予め定められた設定時間、または母液の排出液量に基づいて定め、水洗浄工程に移行する[1]〜[3]に記載の燃焼灰の洗浄方法。
本発明によれば、汎用の固液分離装置を用い、特に設備を追加することなく、濾過速度の低下がなく短時間で濾過できる。設備費の低減にもつながる。
本発明にかかる燃焼灰の洗浄方法の一例の概略フロー図を示す。 実施例1および比較例1(濾過テスト)における濾過時間に対する濾過液量のプロット図を示す。 実施例2における濾過時間に対する濾過液量のプロット図を示す。 比較例2における濾過時間に対する濾過液量のプロット図を示す。
以下、本発明の実施するための形態について説明する。
燃焼灰とは、燃料を燃焼させた後に残る煤塵である。前記燃焼灰には、燃焼飛灰も含まれる。燃料としては、重油や石油コークス燃料を挙げることができる。この燃料は、火力発電所などにおいて燃焼され、発電など種々の目的のために使用される。燃料の燃焼に用いられる装置としては、たとえばボイラー燃焼炉、電気炉、キルン、溶鉱炉、高炉等が挙げられる。
火力発電所などでは、排ガスから煤塵を除去するのに、電気集塵機やバグフィルターが使用される。その時に回収される煤塵が「燃焼飛灰」とよばれる。
石油系燃焼飛灰は、重油や石油コークス等の石油系燃料を燃やした時に発生する排ガスから回収した灰である。石油系燃焼飛灰を更に燃やし金属酸化物や硫黄分になった燃焼飛灰なども本発明で使用される石油系燃焼灰に含まれる。また、ボイラー燃焼炉の底部から排出される燃え残り物であるクリンカも、燃焼灰に含まれる。
燃焼灰中には、バナジウム成分が、酸化バナジウム、バナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウム、硫酸バナジウムなどとして存在している。石油コークスの燃焼灰中に含まれるバナジウム成分量は、使用される燃料によって変動はあるものの、通常、バナジウム金属換算で0.5〜2.5質量%の範囲で含まれている。本発明の一実施態様においては、燃焼灰中からバナジウムを回収するものであるが、モリブデン、アルミニウム、ケイ素をも回収することができる。
燃焼灰の平均粒子径は特に限定されないが、固液分離には、体積基準の平均粒子径が影響するため、通常10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜70μmである。また燃焼灰粒子径の体積基準による粒度分布は変動係数(CV)が0.2〜0.4の範囲にあるものが好ましい。なお、塊状や粗粒の燃焼灰は必要に応じて、分級したり、粉砕したりしてもよい。
図1に本発明のかかる洗浄方法の一例を示すフロー図を示す。
本発明は、燃焼灰にアルカリ性水溶液を混合して、母液スラリーを調製する。母液スラリー中の固形分濃度は限定されないが、好ましくは固形分濃度が10〜40質量%であり、より好ましくは20〜30質量%である。母液スラリーの液相中に、燃焼灰中のバナジウム成分が抽出される。
母液スラリー調製は、前記固形分濃度になるように、アルカリ性水溶液を加えてもよいが、予め燃焼灰を固体として扱える量で、燃焼灰とアルカリ性水溶液とを混合または混練した後の混合物を前記の固形分濃度となるように水を添加して調整してもよい。
また、十分にバナジウム成分を抽出するためには、たとえばアルカリ金属水酸化物を使用した場合、下記反応式で五酸化バナジウムに対してモル当量以上のアルカリ金属水酸化物が含まれることが必要である。
25+2MOH→2MVO3+H2
(ここで、Mはアルカリ金属である)
上記の反応式の場合には、生成するバナジン酸塩はメタバナジン酸塩であるが、本発明におけるバナジン酸塩は、次のようなバナジン酸イオンを生成するような塩を含む。すなわち、このようなバナジン酸イオンとしては、VO4 3-、V27 4-、V39 3-、V412 4-、V514 3-、V1028 6-、V1232 4-、V1334 3-、V1842 12-、[VO3n n-(nが1のときは、VO3 -)、[V38n n-(nが2のときは、V616 2-)を挙げることができる(なお、nは自然数を示す)。
バナジン酸塩として、使用されるアルカリ成分によるが、メタバナジン酸ナトリウム等のバナジン酸ナトリウムの他に、硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩由来によるバナジン酸アンモニウムが少量含まれる場合もある。
アルカリ性水溶液としては、上記反応を生じ、しかも母液スラリーを所定pHに調整できる限り特に制限はない。たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液の他に、これらアルキル金属の炭酸塩、炭酸水素塩の水溶液、アンモニア、テトラアルキルアンモニウム水酸化物の水溶液なども使用できる。母液スラリーの所定pHは、12〜14であることが好ましい。
このうち、アルカリ金属水酸化物水溶液が好ましく、さらに、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液が好ましい。
アルカリ性水溶液の添加量としては、燃焼灰中のバナジウム成分の当量以上のアルカリ成分が含まれていれば特に制限ない。
母液スラリー調製時には、加温してもよい。加熱温度は、好ましくは70〜380℃であり、更に好ましくは70〜180℃あり、より好ましくは80〜160℃であり、最も好ましくは90〜150℃の範囲にある。加温時間は、母液スラリーが均一になれば特に制限されないが、1〜60分間が好ましい。
調製した母液スラリーに、必要に応じてアニオン系、ノニオン系などの各種凝集剤を添加してもよいが、本発明では凝集剤の添加は必ずしも必要とせず、入らない方が好ましい場合もある。
調製した母液スラリーに、濾過による固液分離を行う。固液分離の方法は限定されないが、自然濾過や遠心分離濾過、吸引濾過、圧搾濾過等が挙げられる。好ましくは、吸引濾過または遠心分離濾過である。
遠心分離濾過で固液分離する場合、その一態様を以下に説明する。
まず、調製した母液スラリーを遠心分離機に給液する。遠心分離機は、縦型、横型など汎用のものを特に制限なく使用できる。本発明では、好ましくはスクレーパーやらせん状剥離装置など、連続的掻取手段が設けられた遠心分離機を使用すると、生産効率が高くでき好ましい。
本発明では、母液スラリーを遠心分離機に給液後、遠心分離濾過を行い、母液の排出を行う。ただし、母液の排出が完全に終了する前、即ちケーキ層が露出する直前で水洗浄工程を開始する。なお本明細書では、遠心分離濾過によりケーキ層が露出、その後母液がほぼ絞り切られるまでを脱液工程と呼ぶ。本発明では、この脱液工程を行わない。
遠心分離濾過の際の濾過洗浄速度の低下は、スラリー母液から母液を排出する操作、即ち遠心分離機を回転させ液相を濾別する操作を行うことで燃焼灰のケーキ層内に空気が入り込むため、その後に行う、水等によるケーキの洗浄時に空気部分の抵抗が高くなり(ベーパーロック現象)、洗浄液が通ることが可能な流路が少なくなることに起因していると本発明者らは考えている。
そこで、脱液工程を行うことなく、ケーキ層が露出する寸前から水洗浄工程を行うことでベーパーロック現象を抑制させ、より簡潔な濾過洗浄操作で、濾過速度が低下することなく、濾過洗浄が可能となり、バナジウムの生産効率を著しく向上できる。
ケーキ層の露出を検知し、水洗浄工程へ移行するタイミングは、目視、液面高さのセンサーによる検知、タイムサイクル、母液排出液量による判断等で行うことができる。タイムサイクルを組む際は、回収される母液排出液量から水洗浄工程への切り替えを判断する。たとえば、濾過試験などによって、回収母液量を評価しておき、ケーキ層の露出を生じない母液排出液量で、水洗浄工程に切り替えてもよい。
母液排出液量による判断では、ケーキ層の含水率(水質量/ケーキ層質量×100)が50%以上となるよう、洗浄液排出液量を制御する。これは、ケーキ層の露出とは、ケーキ層の表層に、スラリー液が存在していない状態であり、この状態のまま脱液を継続すると、ケーキ層の含水率が50質量%程度を切った場合に濾過性が著しく低下する。
水洗浄工程では、ケーキ層に洗浄液である水などを給液して、ケーキ層を洗浄する。洗浄液の量は、ケーキ層の体積に対して0.5〜3.0倍体積が好ましい。次いで遠心分離機を回転させて、ケーキ層から洗浄液を排出する。
脱水はケーキ層を露出させた状態で引き続き遠心分離濾過を行えばよい。また、圧搾手段を用いてケーキ層を圧迫させて、洗浄液濾過液を搾りだしてもよい。洗浄工程はくりかえし行ってもよいが、遠心分離濾過によりケーキ層が露出する前に次の洗浄液を供給することが好ましい。
濾液である母液濾過液および洗浄液濾過液中に、バナジン酸塩、例えばメタバナジン酸ナトリウムなどのバナジウム成分が回収される。回収した母液濾過液および洗浄液濾過液とを混ぜて次工程のバナジウム析出工程に用いても良いし、また母液スラリー調製用の水に用いてもよい。
濾液として回収した母液濾過液および洗浄液濾過液をpH2〜4に調整して、バナジウム成分を酸化バナジウムとして析出させれば固形分として回収することができる。
さらに回収された酸化バナジウムを水に分散させ、炭酸ナトリウムや塩素酸ナトリウムを加え、液性を弱酸性に調整して酸化バナジウムを溶解し、液中の未溶解物を濾別した後に、この濾液にアンモニアないしアンモニア塩を加え、この濾液を75〜85℃程度に加熱してバナジン酸アンモニウムを再び沈殿させることにより、不純物の少ないバナジウム化合物を回収することができる。
固液分離後のケーキ、即ち燃焼灰中のバナジウム成分が除去された固形分(残灰)中のバナジウム濃度を測定して、バナジウム抽出率を算出する。本発明によれば、抽出率90%以上の高い水準を達成することができる。
本発明では、遠心分離機にスラリー母液給液後から母液を排出し、水洗浄工程に移行する間は、母液スラリーの上面に空気を触れさせないことが、燃焼灰のケーキ層内に空気が入り込み水洗浄時に空気部分の抵抗が高くなる(ベーパーロック現象)ことを防止すると考えられるため、遠心分離機の運転方法として好ましい。
以下、実施例により、本実施の形態に係る発明を更に具体的に説明するが、本実施の形態に係る発明は、以下の実施例にのみ制限されるものではない。
なお、本実施例で用いた分析装置、分析方法は下記の通り。
pHメーター:横河電機株式会社製 pH71−11JAA(温度20℃)
固形分濃度:母液スラリー10gをφ95mm桐山ロート(登録商標)(桐山製作所製)で濾紙目開き1μmB濾紙にて、吸入びん中の減圧62kPa(絶対圧)で吸引濾過、その後、水20gでケーキを洗浄し、ケーキを乾燥機(ヤマト科学株式会社製 FP410)で110℃にて2時間乾燥し重量を測定し、次式により計算した。
固形分濃度(%)=乾燥後ケーキ質量(g)÷母液スラリー質量(g)×100
バナジウム濃度: バナジウムの定量は以下の方法で行った。
酸分解:サンプル0.1g+リン酸(純正化学株式会社製、特級)6mL+塩酸(純正化学株式会社製、特級)4mL+フッ酸(純正化学株式会社製、特級46%〜48%)2.5mL+硝酸(関東化学株式会社製、電子工業用硝酸1.42EL)2mLをマイクロウエーブ分解容器(株式会社アクタック製、MWS3+)に入れる。
マイクロウエーブ加熱分解を以下の条件にした。
5分間で190℃まで上昇させ、5分間190℃維持。
2分間で210℃まで上昇させ、5分間210℃維持。
2分間で230℃まで上昇させ、25分間230℃維持。
1分間で100℃まで下げ終了。
上記一連の分解操作を2回繰り返す。
酸分解液を250mLのメスフラスコに全量移し、超純水(メルク社製、Direct−Q UV)にて250mLまでメスアップし、メスアップしたものから10mL取り、さらに100mLにメスアップしたものを分析サンプルとした。JIS K0116−2014に則り、ICP−AES(株式会社島津製作所製、ICPS−8100)により分析サンプルを測定し、バナジウムを定量した。
また、本件検討で用いたアルカリ性の燃焼灰は次の様にして調製した。
(製造例1)
火力発電所から発生した石油コークス由来の燃焼灰45kgに48質量%水酸化ナトリウム水溶液6kg(関東化学株式会社製)をレーディゲミキサーにて95℃で10分加熱混合しアルカリ性の燃焼灰50kgを準備しアルカリ性の燃焼灰湿粉とした。
濾過速度の評価
濾過速度を評価するために、以下の実施例1、2および比較例1、2を行った。
吸引濾過での濾過性の評価
(実施例1、比較例1)
<ケーキ層の作製>
製造例1にて作製したアルカリ性の燃焼灰湿粉50gと水150gを混ぜ5分撹拌し、濾過速度試験用の母液スラリーを調製した。撹拌後、φ95mmの桐山ロート(登録商標)(濾紙目開き4μm)で減圧62kPaA(絶対圧)で濾過し、目視でケーキ層が露出する直前で、減圧を解除して濾過を止めた。この時は、ケーキ層表面に母液スラリーが残っている状態で、ケーキ層が露出する直前であった。
なお、比較例1では、ケーキ層の作製時に、ケーキ層表面が露出したのちも減圧濾過を続けた脱液工程を行い、母液が濾過されなくなった時点で、減圧を解除して濾過を止めた。濾過を行っている際の濾過時間と母液濾過液量を測定し、母液の濾過速度を算出した。
<洗浄水の濾過速度の測定>
実施例1ではケーキ層が露出する直前で、同じく洗浄用の水を100g桐山ロートに注ぎ62kPaA(絶対圧)で濾過を開始し、水洗浄工程を行った。洗浄水を濾過している際の、濾過時間と洗浄液濾過液量を測定し、濾過速度を算出した。比較例1では、完全に露出したケーキに対して水洗浄工程を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。また、母液及び洗浄水の濾過時間と濾過液量との関係を図2に示す。
遠心分離式濾過機での濾過性の評価
(実施例2、比較例2)
製造例1にて作製したアルカリ性の燃焼灰湿粉4kgに、水12kgを加え撹拌して、母液スラリーを調製した。
約5分撹拌した母液スラリーを600G(5884m/s2)のφ300mm上排式遠心分離式濾過機(株式会社コクサン株式会社製、H−122(BS−030))に給液し、濾過速度を測定した。
なお、水洗浄工程への切り替えは、実施例2では目視でケーキ層が露出していないことを確認した。比較例2では、ケーキ層が露出後、5分間遠心分離を継続して、脱液工程を実施した。
水洗浄工程は、実施例2および比較例2ともに、約8kgの水を遠心分離機に加え、洗浄液濾過液の排出速度を測定した。濾過後も遠心分離機の運転を3分間継続したのち、装置を停止させケーキを取出した。
結果を表2に示す。また、洗浄液濾過液の濾過時間と濾過液量との関係を図3および図4に示す。
実施例2と比較例2の対比により、ケーキ層が露出する前に水洗浄工程を行った実施例2では、水洗浄工程での濾過速度の低下が無いことが確認できた。また、ケーキ中の含水率は大差ないが、ケーキ中の残存バナジウム濃度は実施例2の方が低く、洗浄効率が高いことが示された。

Claims (4)

  1. 燃焼灰とアルカリ性水溶液とを混合して燃焼灰の母液スラリーを調製し、前記母液スラリーを濾過により固液分離し、燃焼灰のケーキ層が露出する前に、水洗浄工程を行うことを特徴とする燃焼灰の洗浄方法。
  2. 前記固液分離が遠心分離濾過または吸引濾過である、請求項1に記載の燃焼灰の洗浄方法。
  3. 前記燃焼灰が石油コークス由来の燃焼灰であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼灰の洗浄方法。
  4. ケーキ層が露出するタイミングを、目視あるいはセンサーによる検出、予め定められた設定時間、または母液の排出液量に基づいて定め、水洗浄工程に移行することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の燃焼灰の洗浄方法。
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