JP2020187685A - 温度調節計および異常判断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】センサが適切な測定箇所から外れていることによるヒータの破損が、より確実に防げるようにする。【解決手段】測定部102は、ヒータ101の温度を測定する。算出部103は、測定部102が測定した測定温度と予め設定されている設定温度とに基づいてヒータ101を制御するための制御値を算出する。制御部104は、算出部103が算出した算出値が、予め設定されている制御値上限を超えると、制御値上限を制御値として出力する。検出部105は、算出部103が算出した算出値が、制御部104から出力される制御値上限を超えたことを検出する。計測部106は、検出部105が、算出値が制御部104から出力される制御値上限を超えたことを検出している状態が継続する時間を計測する。【選択図】 図1

Description

本発明は、制御対象の温度を制御する温度調節計および異常判断方法に関する。
各種温度環境などの温度を調節する温度調節計は、熱電対や測温抵抗体などの温度センサを用いて検出された監視対象の温度を数値表示し、また、検出した温度と設定温度とに従ってヒータに対する制御値を求め、監視対象の温度を制御する。
ところで、ヒータは取り扱いを間違えると破損するため、温度調節計などのヒータを制御する機器には、一般的に下記のような警報設定や制御値の設定が可能とされている(特許文献1,特許文献2参照)。ヒータの利用者は、これらの機能を使用して、警報を出力し、また、ヒータに流れる電流を制限している。
・ヒータの製造元が規定した温度以上に加熱しないようにする温度の監視(温度上限警報)。
・ヒータの製造元が規定した昇温速度以上にならないようにする温度変化率の監視(温度変化率警報)。
・温度調節計の制御値(MV値)の上限を監視して、警報上限値を超えたら警報を発報する(MV値上限警報)。
・温度調節計が必要以上の出力を出さないように制御値(MV値)の上限(制御値上限)を設定する(制御値上限設定)。
・ヒータに流れる電流を測定し、設定値以上の電流が流れたら警報を発報する(過電流警報)。
特開平09−243098号公報 特開平01−298385号公報
ところで、上述したように制御値(MV値)の上限(制御値上限)が、例えば80%に設定されると、検出した温度および設定温度からPID制御などの演算により求められるMV値が100%であっても、実際に出力されるMV値は、制御値上限として設定された80%となる。
定常的な制御の場合、PID演算の結果が制御値上限を超える期間は、ほぼ一定であることが多い。一方、異常状態の状況によっては、MV値は、発生した異常状態が改善されるまで制御値上限を超えるMV値を算出する。例えば、センサが適切な測定箇所から外れ、ヒータの温度ではなく周囲の温度を測定しているような場合、センサが出力する測定値は、設定値より大幅に低い値となり、温度調節計は設定値の温度まで昇温するようにMV値を大きくする。算出されるMV値が制御値上限に達すると、これ以上に大きなMV値は出力されないが、この状態が長く続くと、ヒータは、使用の範囲を超える高い温度になり、破損を招く場合がある。
なお、センサが接続している回路に断線などが発生した場合、温度調節計においては、上述同様の制御状態となる。しかしながら、断線に関しては、この状態が一般的な温度調節計では検出され、断線が検出されるとMV値を0%にするため、ヒータの破損を招くことがない。
上述したセンサが適切な箇所から外れた場合のヒータ破損の問題は、例えば、警報上限値を用いた警報の発令で対応可能である。算出されるMV値が、設定されている警報上限値を超えている時間が一定時間継続すると、警報を発令することで、上述した問題に対応できる。例えば、設定されている警報上限値であれば、破損が発生しない時間を、上述した警報を発令するための制限時間として設定する。この制御によれば、センサが適切な測定箇所から外れ、MV値が制御値上限となっても、一定時間の後に警報が発令されるので、異常な状態が管理者(利用者)に認知される。管理者に認知されれば、例えば、温度調節計の動作を停止し、異常な状態を確認し、異常な状態を解消するなどの管理者による対処が実施可能となり、ヒータの破損が防げるようになる。
ところで、この種の制御では、制御環境の変化に対応させ、上述した制御値上限を、初期の設定から変更する場合が多くある。例えば、初期には80%としていた制御値上限を、70%変更する場合がある。このような変更時に、警報上限値も80%から70%に変更する必要がある。しかしながら、制御値上限は変更しても、MV値上限警報の警報上限値の変更を忘れる場合がある。例えば、制御値上限は70%に変更しても、警報上限値の変更を忘れ、警報上限値が80%のままとなる場合がある。
このような場合、センサが適切な測定箇所から外れ、MV値が制御値上限となっても、警報上限値に達していないので、結果として、警報が発令されることはない。警報が発令されないと、前述したような管理者による対処がなされることがなく、結果としてヒータの破損を招くことになる。警報上限値を用いた警報の発令は、制御値上限とは別に警報上限値が設定できるという警報発令の自由度があるが、前述したように、センサが適切な測定箇所から外れているなどの異常な状態におけるヒータの破損が、警報上限値の設定忘れなどにより防げない場合があるなどの問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、センサが適切な測定箇所から外れていることによるヒータの破損が、より確実に防げるようにすることを目的とする。
本発明に係る温度調節計は、ヒータの加熱能力を制御して、制御対象の温度を予め設定された設定温度に制御する温度調節計であって、ヒータの温度を測定するように構成された測定部と、測定部が測定した測定温度と予め設定されている設定温度とに基づいてヒータを制御するための制御値を算出するように構成された算出部と、算出部が算出した算出値が予め設定されている制御値上限を超えると、制御値上限を制御値として出力する制御部と、算出部が算出した算出値が、制御部から出力される制御値上限を超えたことを検出するように構成された検出部と、検出部が、算出値が制御部から出力される制御値上限を超えたことを検出している状態が継続する時間を計測するように構成された計測部と、計測部が計測する時間が、予め設定されている判断時間を超えると異常と判断するように構成された判断部と、判断部が異常と判断すると警報を出力する出力部とを備える。
上記温度調節計の一構成例において、算出部は、制御値の算出に用いる制御内容を複数有する。
上記温度調節計の一構成例において、算出部が制御値の算出に用いる制御内容毎に判断時間が設定されている。
また、本発明に係る異常判断方法は、測定されたヒータの測定温度と予め設定されている設定温度とに基づいてヒータを制御するための制御値を算出する第1ステップと、第1ステップで算出された算出値が、予め設定されている制御値上限を超えたことを検出する第2ステップと、第2ステップで、算出値が制御値上限を超えたことを検出している状態が継続する時間を計測する第3ステップと、第3ステップで計測された時間が、予め設定されている判断時間を超えると異常と判断する第4ステップとを備える。
上記異常判断方法の一構成例において制御値の算出に用いる制御内容を複数有する。
上記異常判断方法の一構成例において、制御値の算出に用いる制御内容毎に判断時間が設定されている。
以上説明したように、本発明によれば、検出部が、算出値が制御部から出力される制御値上限を超えたことを検出している状態が継続する時間を計測し、計測する時間が、予め設定されている判断時間を超えると異常と判断するので、センサが適切な測定箇所から外れていることによるヒータの破損が、より確実に防げる。
図1は、本発明の実施の形態に係る温度調節計の構成を示す構成図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る異常判断方法を説明するためのフローチャートである。 図3は、本発明の実施の形態に係る温度調節計の算出部,検出部,計測部,判断部のハードウエア構成を示す構成図である。
以下、本発明の実施の形態に係る温度調節計について図1を参照して説明する。この温度調節計は、ヒータ101の加熱能力を制御して、制御対象の温度を予め設定された設定温度に制御する。この温度調節計は、測定部102、算出部103、制御部104、検出部105、計測部106、判断部107、出力部108、および記憶部109を備える。
測定部102は、ヒータ101の温度を測定する。算出部103は、測定部102が測定した測定温度と予め設定されている設定温度とに基づいてヒータ101を制御するための制御値を算出する。算出部103は、例えば、記憶部109に記憶(設定)されている制御内容に基づいて、制御値を算出する。
制御部104は、算出部103が算出した算出値を制御値として出力する。また、制御部104は、算出部103が算出した算出値が、予め設定されている制御値上限を超えると、制御値上限を制御値として出力する。制御部104は、例えば、記憶部109に記憶(設定)されている制御値上限を用いる。例えば、制御値上限として80%が、設定されている。この場合、制御部104は、算出部103が算出した算出値が、80%を超えて例えば90%となると、ヒータ101の側に制御値として制御値上限の80%を出力する。
検出部105は、算出部103が算出した算出値が、制御値上限を超えたことを検出する。計測部106は、検出部105が、算出値が制御部104から出力される制御値上限を超えたことを検出している状態が継続する時間を計測する。判断部107は、計測部106が計測する時間が、予め設定されている判断時間を超えると異常と判断する。判断時間は、例えば、50秒とすることができる。出力部108は、判断部107が異常と判断すると異常処理(異常時操作量への移行、警報発令など)を行う。例えば、図示しない表示部に、異常が発生した旨を表示する。また、ホーン、スピーカーなどを用い、音声などにより警報として通知する。
上述した実施の形態によれば、検出部105で、算出部103が算出している算出値が制御値上限を超えたことを検出し、これが継続する時間を計測部106で計測し、計測する時間が判断時間を超えると異常と判断する。このように、検出部105の検出は、警報上限値を参照するのではなく、制御値上限を参照し、算出値がこの値を超えたことを検出している。実施の形態1によれば、制御値における上限が変更されれば、検出部105の検出における参照対象に自動的に反映されるものとなる。
この結果、実施の形態によれば、管理者などによる警報上限値の設定忘れや設定間違えなどにより、センサの位置ずれが発生しても警報が発令されないことが無く、センサの位置ずれによる発生するヒータの破損が、より確実に防げるようになる。
ところで、この種のPID制御では、各々異なるPID定数を用いた複数の制御内容で制御が実施できるように、以下の表1に示すように、PID定数とこれに関する設定値(制御値上限なども含む)を制御内容のセット(PID組)として、温度調節計に設定する。複数のPID組を設定しておくと、制御に用いるPID組を変更することで制御性を簡単に変えることができる。例えば、複数のPID組は、記憶部109に記憶しておくことができる。
Figure 2020187685
このようにPID組を複数設定している場合、以下の表2に示すように、算出部103が制御値の算出に用いるPID組(制御内容)毎に判断時間が設定されている用にすることもできる。このようにすることで、制御内容に合わせた適切な判断時間が自動的に設定できるようになる。
Figure 2020187685
次に、実施の形態に係る温度調節計の動作例(異常判断方法)について、図2のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS101で、算出部103が、測定されたヒータ101の測定温度と予め設定されている設定温度とに基づいてヒータ101を制御するための制御値を算出する(第1ステップ)。次に、ステップS102で、検出部105が、算出部103で算出された算出値が、制御値上限を超えたことを検出する(第2ステップ)。検出部105で、算出値が、制御値上限を超えたことが検出されると(ステップS102のyes)、ステップS103で、計測部106が、算出値が制御部104から出力される制御値上限を超えたことが検出されている状態が継続する時間の計測が開始されているか否かを判断する。時間の計測が開始されていない場合(ステップS103のno)、ステップS104で、計測部106は、算出値が制御部104から出力される制御値上限を超えたことが検出されている状態が継続する時間の計測を開始し、ステップS105に進む。また、時間の計測が開始されている場合(ステップS103のyes)、ステップS105に進む(第3ステップ)。
次に、ステップS105で、計測された時間が、予め設定されている判断時間を超えるか否かを判断する。計測されている時間が、判断時間を超えると(ステップS105のyes)、ステップS106で、計測部106は、時間の計測を停止(終了)し、ステップS107で、判断部107が、異常と判断する(第4ステップ)。なお、時間の計測は、算出値が制御値上限を超えたことが検出されている間は、継続される(ステップS101〜ステップS105)。判断部107が異常と判断すると、ステップS108で、異常処理(異常時操作量への移行、警報発令など)を行う。警報発令後は、ステップS109で、解除操作を行うまでその状態を維持する。
なお、上述した実施の形態に係る温度調節計の算出部,制御部,検出部,計測部,判断部は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)301と主記憶装置302と外部記憶装置303とネットワーク接続装置304となどを備えたコンピュータ機器とし、主記憶装置に展開されたプログラムによりCPU301が動作する(プログラムを実行する)ことで、上述した各機能(異常判断方法)が実現されるようにすることもできる。上記プログラムは、上述した実施の形態で示した異常判断方法をコンピュータが実行するためのプログラムである。ネットワーク接続装置304は、ネットワーク305に接続する。また、各機能は、複数のコンピュータ機器に分散させることもできる。
また、上述した実施の形態における温度調節計の算出部,制御部,検出部,計測部,判断部は、FPGA(field-programmable gate array)などのプログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)により構成することも可能である。例えば、FPGAのロジックエレメントに、算出部,制御部,検出部,計測部,判断部の各々を回路として備えることで上述した機能を実行させることができる。算出回路,制御回路,検出回路,計測回路,判断回路の各々は、所定の書き込み装置を接続してFPGAに書き込むことができる。また、FPGAに書き込まれた上記の各回路は、FPGAに接続した書き込み装置により確認することができる。
以上に説明したように、本発明によれば、検出部が、算出値が制御値上限を超えたことを検出している状態が継続する時間を計測し、計測する時間が、予め設定されている判断時間を超えると異常と判断するので、センサが適切な測定箇所から外れていることによるヒータの破損が、より確実に防げるようになる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。前述した実施の形態に、警報上限値を用いた警報の発令を組み合わせることもできる。また、例えば、前述した実施の形態に示した警報以外に、測定されている温度が設定値以上となったら警報を発令することもできる。また、ヒータに流れる電流が、設定されている値を超えたら警報を発令することもできる。また、ヒータに印加される電圧が、設定されている値を超えたら警報を発令することもできる。監視項目を増やすことでより強固な負荷保護機能として機能させることができる。
101…ヒータ、102…測定部、103…算出部、104…制御部、105…検出部、106…計測部、107…判断部、108…出力部、109…記憶部。

Claims (6)

  1. ヒータの加熱能力を制御して、制御対象の温度を予め設定された設定温度に制御する温度調節計であって、
    前記ヒータの温度を測定するように構成された測定部と、
    前記測定部が測定した測定温度と予め設定されている設定温度とに基づいて前記ヒータを制御するための制御値を算出するように構成された算出部と、
    前記算出部が算出した算出値が予め設定されている制御値上限を超えると、前記制御値上限を制御値として出力する制御部と、
    前記算出部が算出した算出値が、前記制御部から出力される制御値上限を超えたことを検出するように構成された検出部と、
    前記検出部が、前記算出値が前記制御部から出力される制御値上限を超えたことを検出している状態が継続する時間を計測するように構成された計測部と、
    前記計測部が計測する時間が、予め設定されている判断時間を超えると異常と判断するように構成された判断部と、
    前記判断部が異常と判断すると警報を出力する出力部と
    を備える温度調節計。
  2. 請求項1記載の温度調節計において、
    前記算出部は、前記制御値の算出に用いる制御内容を複数有することを特徴とする温度調節計。
  3. 請求項2記載の温度調節計において、
    前記算出部が前記制御値の算出に用いる制御内容毎に前記判断時間が設定されていることを特徴とする温度調節計。
  4. 測定されたヒータの測定温度と予め設定されている設定温度とに基づいて前記ヒータを制御するための制御値を算出する第1ステップと、
    前記第1ステップで算出された算出値が、予め設定されている制御値上限を超えたことを検出する第2ステップと、
    前記第2ステップで、前記算出値が前記制御値上限を超えたことを検出している状態が継続する時間を計測する第3ステップと、
    前記第3ステップで計測された時間が、予め設定されている判断時間を超えると異常と判断する第4ステップと
    を備える異常判断方法。
  5. 請求項4記載の異常判断方法において、
    前記制御値の算出に用いる制御内容を複数有することを特徴とする異常判断方法。
  6. 請求項5記載の異常判断方法において、
    前記制御値の算出に用いる制御内容毎に前記判断時間が設定されていることを特徴とする異常判断方法。
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