JP2020186429A - レーザー光の吸収率に優れた銅粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、積層造形用などの用途として望ましい銅粉末を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の銅粉末は、銅もしくは銅合金からなる銅粉末であって、表面に形成された酸化被膜を具備し、前記酸化被膜の平均厚さが10nm以上、60nm以下であり、かつ、流動度が30sec以下であることを特徴とするレーザー光吸収率に優れた銅粉末である。【選択図】図1

Description

本発明は、積層造形用などの用途に好適なレーザー光の吸収率に優れた銅粉末に関する。
近年、金属粉末をレーザー光や電子ビームの照射によって焼結するか溶融して固化させることにより、立体的な造形物を製造する金属AM(Additive Manufactuaring)の技術開発がなされている。
この金属AMのうち、レーザーを用いたSLM(セレクティブレーザーメルティング)法では、レーザー光として、ファイバーレーザーなど、近赤外波長のレーザー光が広く用いられている。適用する金属材料としては、これまで、主にレーザー光の吸収率が良好であるマルエージング鋼、ステンレス鋼(SUS)、チタン(Ti)などが用いられている。
しかし、従来から、金属AMの粉末粒子材料として、マルエージング鋼、ステンレス鋼(SUS)、チタン(Ti)のみでなく、近赤外波長のレーザー光の吸収率が低い銅やアルミニウムなども採用したいという要望がある。
銅及び銅合金は、高熱伝導性によるエネルギー拡散が大きいこと、ファイバーレーザーあるいはYAGレーザーなど、1000nm近傍の近赤外波長領域でのレーザー光の吸収率の低さに起因し、レーザーを用いた溶融が困難、もしくは溶融できても低効率となってしまう問題がある。一例として、波長1064nmのファイバーレーザーを用いた場合、銅のレーザー光吸収率は10%程度である。
そのため、例えば、以下の特許文献1に記載のように、表面に酸化被膜や黒色被膜を形成し、これらの被膜を用いてレーザー光吸収率を向上させる手法が提案されている。
特許文献1に記載の技術では、造形用の光ビームに加えて異なる波長の支援光ビームを銅粉末に照射し、銅粉末の表面に形成した酸化皮膜や黒色被膜を利用し、加熱効率を向上させる試みがなされている。
また、以下の特許文献2に記載の如く、3Dプリンター用銅粉末として、波長1060nmの光に対する吸収率が18.9〜65.0%であり、同波長の光に対する吸収率/酸素濃度で示される指数を3.0以上とした銅粉末を利用する技術が提供されている。
また、この銅粉末中に含まれる酸素濃度を2000wtppm以下、好ましくは500wtppm以下とすることで、造形物表面に浮きやすいスラグを防止する技術が開示されている。
特開2017−141505号公報 国際公開第2018/193671号
ところで、レーザー光の吸収率の低い銅及び銅合金の粉末を用いて積層造形を実現させようとする要望は高く、銅及び銅合金の粉末について、レーザー光の吸収率を向上させる工夫が必要と考えられる。
本発明者は、積層造形に用いるレーザー光として波長1000nm近傍の遠赤外波長領域のレーザー光が多用されてきた背景に鑑み、今後の技術進展も加味し、波長400〜550nmなどの短波長領域のレーザー光を積層造形に適用する可能性を検討した。
短波長領域のレーザー光として、グリーンレーザーや青色レーザーが知られており、これらのレーザー光を用いた銅や銅合金の溶接技術あるいは溶融技術については種々研究がなされているが、積層造形用途としてこれらのレーザー光に好適な銅粉末または銅合金粉末についての検討がなされていないのが実情である。
本発明は前記の問題に鑑み創案されたものであり、その目的は、グリーンレーザーや青色レーザーなどの短波長域のレーザー光を用いる場合の積層造形用途に好適であり、これらのレーザーの吸収率を向上させた銅粉末を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために本発明の一形態に係る銅粉末は、銅もしくは銅合金からなる銅粉末であって、表面に形成された酸化被膜を具備し、前記酸化被膜の厚さが10nm以上、60nm以下であり、かつ、流動度が30sec以下であることを特徴とする。
本発明者の研究により、グリーンレーザーや青色レーザーなどの短波長域のレーザー光を銅粉末に照射した場合、銅粉末の表面に存在する酸化被膜の膜厚によってレーザー光の吸収率が変化することを知見した。特に、酸化被膜の膜厚が10nm以上、60nm以下の範囲であれば、良好な吸収率を示すことを知見した。ここでの酸化被膜とは結晶性を示すCuOの被膜を示す。
また、酸化被膜の形成時に加湿空気を用いることで、粉末凝集による流動性の低下を抑えることが出来る。流動度が30secを超える場合、積層造形時に均一な粉末床を得ることが出来ず、均一な造形物を得ることが出来ない恐れがある。
(2)本発明に係る一形態の銅粉末は、メディアン径が10μm以上、100μm以下であり、かつ、酸素濃度が0.01質量%以上、0.2質量%以下の積層造形用であることが好ましい。
銅粉末のメディアン径が10μm未満であると、粉末の凝集により流動性が低下し、積層造形用として不適となり易い。銅粉末のメディアン径が100μmを超えるようであると、レーザー積層造形機において一般的に用いられる1層あたりの粉末層厚さに対し、銅粉末の粒径が大きくなりすぎ、均一な粉末積層ができなくなるおそれ、造形不良につながるおそれがある。
銅粉末中に含まれる酸素濃度が0.01質量%未満では、切削性が低下し、造形物の加工性が低下する恐れがある。酸素濃度が0.2質量%超では、銅中への酸素の固溶により、熱伝導性や電気伝導性の低下や造形物の水素脆性の問題が生じる恐れがある。
(3)本発明に係る一形態の銅粉末は、中心波長532nmのグリーンレーザー光の吸収率および中心波長450nmの青色レーザー光の吸収率がいずれも55%以上であることが好ましい。
中心波長が532nmのグリーンレーザー光と、中心波長が450nmの青色レーザー光のいずれを照射した場合であっても、上述の銅粉末であれば、吸収率として55%以上を得ることができ、グリーンレーザーと青色レーザーを用いて積層造形を行う場合に望ましい発熱状態を得ることができる。
本発明の一形態によれば、厚さ10nm以上、60nm以下の酸化被膜を有する銅粉末であり、流動度が30sec以下であるので、グリーンレーザーや青色レーザー等の短波長領域のレーザー光を効率良く吸収して発熱させることができ、発熱効率の良好な銅粉末を提供できる。
このため、本発明の一形態に係る銅粉末により、グリーンレーザーや青色レーザー等の短波長領域のレーザー光で発熱させて積層造形を行う場合に有効な銅粉末を提供できる。
図1は第1実施形態に係る銅粉末の一例を示す部分断面図である。 図2は粉末本体表面に形成された酸化被膜の構造を示す電子顕微鏡写真の一例を示す図面である。 図3は中心波長532nmのレーザー光に対する銅粉末の吸収率と銅粉末表面の酸化被膜厚との関係を示すグラフである。 図4は中心波長450nmのレーザー光に対する銅粉末の吸収率と銅粉末表面の酸化被膜厚との関係を示すグラフ。 図5は中心波長1064nmのファイバーレーザー光に対する銅粉末の吸収率と銅粉末表面の酸化被膜厚との関係を示すグラフ。 図6は中心波長532nmのレーザー光に対するCuCr合金の粉末の吸収率とCuCr合金粉末表面の酸化被膜厚との関係を示すグラフである。 図7は中心波長450nmのレーザー光に対するCuCr合金の粉末の吸収率とCuCr合金の粉末表面の酸化被膜厚との関係を示すグラフである。 図8は中心波長532nmのレーザー光に対するCuZr合金の粉末の吸収率とCuZr合金の粉末表面の酸化被膜厚との関係を示すグラフである。 図9は中心波長532nmのレーザー光に対するCuZr合金の粉末の吸収率とCuZr合金の粉末表面の酸化被膜厚との関係を示すグラフである。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1は本発明に係る第1実施形態の銅粉末の一部を破断して示した側面図である。
本実施形態の銅粉末1は銅あるいは銅合金からなる粉末本体2の外周面に酸化被膜3が形成されてなる。本実施形態の銅粉末1は一例として球形状あるいはそれに類似する形状の粉末本体2とその外周面全体を薄く覆っている酸化被膜3を有する。
粉末本体2を構成する銅または銅合金の組成は特に制限されるものではないが、純銅、あるいは銅にCr、Zr、Be、Mg、Tiなどの添加元素を数質量%以下程度、例えば、0.1〜3.0質量%程度添加した合金を選択することができるがこれらに制限されるものではない。例えば、丹銅、コルソン系合金、Cu−Fe系合金、Cu−Co−P−Sn−Ni系合金、Cu−Co−Sn−Ni−Zn−P系合金、Cu−Ni−Si−Sn−Zn系合金などとして広く知られている各種銅合金を用いても良い。
いずれにしても、積層造形により目的の造形物を構成するために望ましい銅あるいは銅合金を用いればよい。
従って、本明細書の記載において銅粉末と記載する粉末は、純銅からなる粉末本体2あるいは銅合金からなる粉末本体2を備えたいずれのものも包含する概念とする。
図2は一例として、純銅粉末を加湿空気下において150℃で30分間加熱して酸化処理し、これにより得られた平均厚さ約38nmの酸化被膜を透過型電子顕微鏡により観察した結果を示す。
図2において、図中左側の暗い領域が純銅粉末の内部側を示し、その右側に厚さ35.18nm〜45.15nmの酸化皮膜が形成されている状態を示す。なお、酸化皮膜の右側の均一な灰色の領域は試料作成時に樹脂埋めした領域を示している。
本発明者の研究により、酸化被膜3を有する銅粉末は、中心波長532nmのグリーンレーザー光の吸収率が高く、中心波長450nmの青色レーザー光の吸収率が高く、これらレーザー光の吸収率がいずれも55%以上あることがわかった。
中心周波数1064nmのファイバーレーザー等では酸化被膜3を有する銅粉末に対し、レーザー光の吸収率が10%程度でしかない。
前述の吸収率を得るために、酸化被膜3の膜厚は、10nm以上、60nm以下の範囲であることが好ましい。この酸化被膜3の膜厚について、前述の範囲内であっても、より良好な吸収率を得るために、20nm以上、57nm以下がより好ましく、30nm以上、45nm以下が更に好ましい。
酸化被膜3の膜厚が10nm未満では、酸化被膜3によるレーザー光の吸収率向上効果が十分に得られず、酸化被膜3の膜厚が60nmを超える場合も酸化被膜3によるレーザー光の吸収率向上効果が十分に得られない。
本形態の銅粉末1に形成されている膜厚10〜60nmの酸化被膜3は、グリーンレーザーや青色レーザーで吸収率向上効果がみられるのに対し、中心波長域が1064nmなどのファイバーレーザーではレーザー光吸収率の向上効果が見られない。
これは、酸化被膜によって銅板表面色が変化することと同様、酸化被膜3によってレーザー光吸収率が全波長領域で一律に向上する訳ではなく、酸化被膜3の膜厚によって各波長で増減が生じるためと考えられる。各波長帯で増減が生じるとして、グリーンレーザーや青色レーザーの波長域では、膜厚10〜60nmの酸化被膜3の存在が有効になると考えられる。
「銅粉末のメディアン径」
銅粉末1のメディアン径(体積基準の50%平均粒子径))は10μm以上、100μm以下であることが好ましい。銅粉末1のメディアン径が10μm未満では、粉末の凝集により流動性が低下し、積層造形用原料として不適である。銅粉末1のメディアン径が100μmを超える範囲では、レーザー積層造形機にて一般的に用いられる1層あたりの粉末積層厚さに対して、銅粉末1の径が大き過ぎるため、均一な粉末積層が出来なくなり、造形不良等の原因となる恐れがある。
「銅粉末の酸素濃度」
銅粉末1に含まれる酸素の濃度は、酸化被膜に含まれる酸素量と粉末中の金属組織に固溶している酸素量を合わせて0.20質量%以下であることが好ましい。
銅粉末中の酸素濃度が0.20質量%を超える場合、銅粉末中に酸素が過剰に固溶することとなり、造形物の導電率の低下や熱伝導率が低下するおそれがある。
なお、金属組織に固溶している酸素の濃度を必要以上に減少させることは、製造時に酸素混入を防止するための設備負担、工程負担が高くなるので、酸素濃度の下限は0.01質量%程度とすることが好ましい。酸素の濃度を低減するためには、無酸素銅やリン脱酸銅、タフピッチ銅などを銅原料として後述のガスアトマイズ法に用いることが好ましい。
「銅粉末の製造方法」
本実施形態の銅粉末1の製造方法は、一例として、銅の溶湯あるいは銅合金の溶湯を、高圧ガス噴霧により球状または球状に類似する形状の銅粉末を得る手法として知られているガスアトマイズ法によって製造することができる。
なお、本明細書では、純銅からなる粉末と銅合金からなる粉末の両方を便宜的に銅粉末と称する。
本実施形態においては、ガスアトマイズ法を用いた例を説明したが、粉末製造方法については、この他、水アトマイズ法や遠心力アトマイズ法、誘導結合プラズマ法やプラズマアトマイズ法などによって、粉末を製造してもよい。
上述の方法により得られた粉末本体を、雰囲気加熱炉を用い、100℃以上、190℃以下の温度条件、より好ましくは120℃以上、180℃以下の温度条件で30分程度加熱する。
この時、加熱炉内の雰囲気は、加湿空気を用い、露点を0℃以上、80℃以下、より好ましくは10℃以上、50℃以下で行った。加湿空気を用いることで、より低温化での安定した酸化被膜形成が可能となる。これによって、粉末同士の結合を最小限に抑えることが可能となり、粉末粒子のサイズや形状への影響を抑え、粉末粒子流動性の低下を防ぐことが出来る。
この加熱処理によって、粉末本体2の表面に酸化被膜3を形成し銅粉末1を得ることができる。
また、得られた銅粉末の流動調整及び凝集分離を行うために、銅粉末1のメディアン径が、10μm以上、100μm以下となるように、分級工程を行うことが望ましい。
分級工程には、篩分法や重力分級、遠心分級などを利用することが出来る。
「レーザー光吸収率の測定」
銅粉末1のレーザー光吸収率の測定には、一例として、株式会社日立ハイテクサイエンス社製の「紫外可視近赤外分光光度計U−4100」を用いることができる。
グリーンレーザーの中心波長である532nmにおける全反射率と、青色レーザーの中心波長である450nmにおける全反射率を用いて、レーザー光吸収率(1−全反射率)にてレーザー光吸収率を算出することができる。
また、レーザー光吸収率の測定に際しては、レーザー光の吸収率に及ぼす粉末粒度の影響を抑え、酸化被膜の効果を見積もるため、得られた銅粉末を330メッシュ以上、500メッシュ以下の粒度となるように分級して用いることが好ましい。
「粒子径の測定」
銅粉末1のメディアン径(体積基準の50%平均粒子径)の測定には、一例として、マイクロトラック・ベル株式会社製の「MT3300EXII」を用いることができ、レーザー回折・散乱法にてメディアン径の測定を行うことができる。
「流動度の測定」
銅粉末1の流動度の測定は、JIS Z−2502に準拠し、銅合金粉末50gがオリフィスから落下するまでの時間を測定し、評価した。
「酸素濃度の測定」
銅粉末1に含まれるの酸素濃度の測定は、非分散型赤外線吸収法を用いて行った。
「酸化被膜の平均厚さ測定」
銅粉末の表面に形成されている酸化被膜の膜厚は、透過型電子顕微鏡を用いた直接観察により測定した、3視野×4点の計12点の平均値をナノメートル単位小数点以下を四捨五入した値を用いた。
これらの測定方法により、測定した結果として、本実施形態の銅粉末1は、膜厚10〜60nmの純銅の粉末本体と酸化被膜を有する銅粉末であれば、グリーンレーザー光の吸収率として59〜67%を得ることができ、青色レーザー光の吸収率として69〜76%を得ることができる。
また、膜厚10〜60nmのCuCr合金の粉末本体と酸化被膜を有する銅粉末であれば、グリーンレーザー光の吸収率として57〜70%を得ることができ、青色レーザー光の吸収率として64〜77%を得ることができる。
また、膜厚10〜60nmのCuZr合金の粉末本体と酸化被膜を有する銅粉末であれば、グリーンレーザー光の吸収率として55〜64%を得ることができ、青色レーザー光の吸収率として67〜77%を得ることができる。
このため、本実施形態の銅粉末1を用いて積層造形するならば、グリーンレーザーあるいは青色レーザーを用いて、55%以上のレーザー光吸収率を利用し、効率良く加熱ができるので、グリーンレーザーあるいは青色レーザーを用いて効率良く積層造形ができる。 なお、上限を加味すると、55%以上77%以下の範囲のレーザー光吸収率を得ることができる。
銅粉末1は加湿空気下で100℃以上190℃で加熱し、酸化被膜を形成しているため、流動度が30sec以下であり、一般的なレーザー積層造型機において良好な流動性を有しており、造形不良を引き起こすことなく積層造形が出来る。また、銅粉末1はメディアン径10μm以上、100μm以下であり、一般的なレーザー積層造型機において一般的に用いられる1層あたりの粉末積層厚さに対し十分に小さい径としているので、均一な粉末積層が可能であり、造形不良を引き起こすことなく積層造形ができる。
また、銅粉末1において酸素濃度を0.20質量%以下に抑制しているので、導電率に優れ、熱伝導率も高いため、積層造形の際に熱を伝えやすく、造形不良を引き起こすことがなく、積層造形品の電気伝導性も良好にすることができる。
以下の表1に示す各種組成の銅または銅合金の溶湯を用い、ガスアトマイズ法により銅粉末を製造し、得られた銅粉末を330メッシュ以上、500メッシュ以下の粒度となるように分級した。
分級後の銅粉末を加熱炉に収容し、表1に示す処理温度(加熱温度:℃)、処理時間(加熱時間:min)、処理雰囲気にてそれぞれの銅粉末を加熱処理し、表面に酸化被膜を有するそれぞれの銅粉末を得た。
実施例1〜5は粉末本体が純銅からなる例、実施例6〜10は粉末本体がCu−0.5質量%Cr合金からなる例、実施例11〜15は粉末本体がCu−0.1質量%Zr合金からなる例である。
得られたそれぞれの銅粉末表面の酸化被膜に対し、透過型電子顕微鏡により組織観察を行うとともに、制限視野回折装置により酸化被膜と思われる部分について、制限視野電子回折パターンを得、各酸化被膜が結晶質のCuOからなることを確認した。
表面に酸化被膜を有する各銅粉末試料に対し、株式会社日立ハイテクサイエンス社製の「紫外可視近赤外分光光度計U−4100」を用いてレーザー光吸収率を測定した。
グリーンレーザーの中心波長である532nmにおける全反射率と、青色レーザーの中心波長である400〜460nmにおける全反射率を測定し、レーザー光吸収率=(1−全反射率)の関係式から、レーザー光吸収率(%)を算出した。
以上の測定結果をまとめて以下の表1に示す。
表1に結果を示すように、実施例1〜5の銅粉末は、純銅の粉末本体を用い、露点20℃の加湿空気中において100〜190℃の各温度に30分間加熱して表1に示す各膜厚の酸化被膜を形成した例である。
実施例1〜5に示す通り、純銅の粉末本体と膜厚12.7〜58.8nmの酸化被膜を有する銅粉末であれば、グリーンレーザー光の吸収率として59.0〜66.7%を得ることができ、青色レーザー光の吸収率として69〜76%を得ることができた。
比較例1に示す通り加熱処理を行っていない自然酸化被膜を有する試料と、75℃で加熱処理を行った試料は、いずれにおいても酸化被膜の膜厚が10nm未満であるため、レーザー光の吸収率が実施例1〜5よりも劣っていた。
次に、参考のために、実施例1〜5と比較例1〜3について、中心波長1064nmのファイバーレーザー光を用いた場合のレーザー光吸収率について測定した。実施例1〜5について、ファイバーレーザー光の吸収率は10.3〜17.3%となり、グリーンレーザー光と青色レーザー光の吸収率に対し劣る結果となった。比較例1〜3についても同様にファイバーレーザー光の吸収率を測定したが、10.6〜31.5%の吸収率となり、実施例1〜5の吸収率に対し劣る結果となった。
比較例4に示す通り乾燥空気下で加熱した試料では、酸化膜厚は十分に形成されている一方、流動度が35secと大きく悪化しており、実施例1〜5に対して劣る結果となった。
実施例1〜5と比較例1〜3の結果について、グリーンレーザー光の吸収率と酸化被膜の膜厚との関係を図3に示し、青色レーザー光の吸収率と酸化被膜の膜厚との関係を図4に示し、ファイバーレーザー光の吸収率と酸化被膜の膜厚との関係を図5に示す。
表1および図3、図4に示すように、グリーンレーザー光の吸収率と青色レーザー光の吸収率の良好な範囲を得るためには、酸化被膜の膜厚を10nm以上、60nm以下に設定することが有効であることがわかった。
次に、表1において、実施例6〜10に示す通り、Cu−0.5質量%Cr合金からなる粉末本体と膜厚11.2〜56.7nmの酸化被膜を有する銅粉末であれば、グリーンレーザー光の吸収率として57.0〜69.1%を得ることができ、青色レーザー光の吸収率として64.1〜76.7%を得ることができた。
これらに対し、比較例5のように酸化被膜の膜厚が10nmより小さい例と比較例6のように酸化被膜の膜厚が厚すぎる例では、いずれの例もレーザー光の吸収率が実施例6〜10に比べて低下した。
表1の実施例6〜10が示すグリーンレーザー光の吸収率と酸化被膜の膜厚の関係について図6に示し、青色レーザー光の吸収率と酸化被膜の膜厚の関係について図7に示す。
表1および図6、図7に示すように、グリーンレーザー光の吸収率と青色レーザー光の吸収率の良好な範囲を得るためには、CuCr合金の粉末本体であっても、粉末本体表面に形成する酸化被膜の膜厚を10nm以上、60nm以下に設定することが有効であることがわかった。
次に、表1において、実施例11〜15に示す通り、Cu−0.1質量%Zr合金からなる粉末本体と膜厚18.0〜59.8nmの酸化被膜を有する銅粉末であれば、グリーンレーザー光の吸収率として55.2〜64.0%を得ることができ、青色レーザー光の吸収率として67.2〜77.0%を得ることができた。
これらに対し、比較例7のように酸化被膜の膜厚が10nmより小さい例と比較例8のように酸化被膜の膜厚が厚すぎる例では、いずれの例もレーザー光の吸収率が実施例11〜15に比べて劣っていた。
表1の実施例11〜15と比較例4、5が示すグリーンレーザー光の吸収率と酸化被膜の膜厚の関係について図8に示し、青色レーザー光の吸収率と酸化被膜の膜厚の関係について図9に示す。
表1および図8、図9に示すように、グリーンレーザー光の吸収率と青色レーザー光の吸収率において良好な範囲を得るためには、CuZr合金の粉末本体であっても、酸化被膜の膜厚を10nm以上、60nm以下に設定することが有効であることがわかった。
表1に示すように、実施例1〜15では流動度が30sec以下を満たす為、積層造形時に均一な粉末床が得られ、より均一な造形物を得ることができる。
1…銅粉末、2…粉末本体、3…酸化被膜。

Claims (3)

  1. 銅もしくは銅合金からなる銅粉末であって、表面に形成された酸化被膜を具備し、前記酸化被膜の平均厚さが10nm以上、60nm以下であり、かつ、流動度が30sec以下ことを特徴とする銅粉末。
  2. メディアン径が10μm以上、100μm以下であり、かつ、酸素濃度が0.01質量%以上、0.20質量%以下である積層造形用であることを特徴とする請求項1に記載の銅粉末。
  3. 中心波長532nmのグリーンレーザー光の吸収率および中心波長450nmの青色レーザー光の吸収率がいずれも55%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の銅粉末。
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