JP2020180283A - ボールペン用インキ組成物およびそれを用いたボールペン - Google Patents

ボールペン用インキ組成物およびそれを用いたボールペン Download PDF

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Abstract

【課題】筆記性に優れたボールペン用インキ組成物およびボールペンの提供。【解決手段】着色剤、コアシェル構造を有する微粒子ダイヤモンド、および溶媒を含んでなるボールペン用インキ組成物とそれを用いたボールペン。【選択図】なし

Description

本発明は、ボールペン用インキ組成物およびボールペンに関する。さらに詳しくは、筆記性能に優れたボールペン用インキ組成物および水性ボールペンに関する。
一般的に使用されているボールペンは、ボールおよびボール座を有するボールペン先とインキタンクとを具備している。そしてボールペンを用いて筆記する場合には、インキタンク内に収容されたインキが、回転するボールとボール座との隙間からインキ組成物が紙面に吐出されて、筆跡が形成される。しかしながら、インキ組成物には分散状態で存在する顔料が含まれていたり、経時によって組成物中に析出物が生じることがあり、そのような固形成分が筆記性に悪影響を及ぼすことがあった。また、ボールとボール座との接触部分の摩耗も筆記性の低下に影響を与えることがあった。
こうした課題に鑑みて、ボールペンの筆記性を改良する方法が求められていた。
特開2002−206066号公報
本発明は、筆記性に優れたボールペン用インキ組成物およびボールペンを提供することを目的とする。
本発明によるボールペン用インキ組成物は、
(a)着色剤、
(b)微粒子ダイヤモンド、および
(c)溶媒
を含んでなり、前記微粒子ダイヤモンドが、結晶性、結晶構造、または化学組成が異なる複数の層を含むコアシェル構造を有するボールペン用インキ組成物である。
本発明によるボールペンは、上記したインキ組成物を収容してなるものである。
本発明によれば筆記性、特になめらかな書き味に優れ、また、その優れた筆記性を長期にわたって維持できる、ボールペン用インキ組成物およびボールペンが提供される。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明において、配合を示す「部」、「%」、「比」などは特に断らない限り質量基準で有り、含有率とは、インキ組成物の質量を基準としたときの構成成分の質量%である。
<ボールペン用インキ組成物>
本発明によるボールペン用インキ組成物(以下、場合により「インキ組成物」と表す)は、(a)着色剤、(b)微粒子ダイヤモンド、および(c)溶媒を含んでなる。
(a)着色剤
本発明に用いられる着色剤としては、染料、顔料等、特に限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。
本発明において用いることができる染料としては、溶媒に溶解もしくは分散可能であれば特に制限されるものではない。例えば、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、直接染料、分散染料および食用色素など各種染料が挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。染料の含有量は、インキ組成物の全質量を基準として、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.1〜40質量%であることがより好ましい。
具体的には、酸性染料としては、C.I.アシッドレッド18、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドオレンジ10、C.I.アシッドイエロー3、C.I.アシッドイエロー7、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー42、C.I.アシッドグリーン3、C.I.アシッドグリーン16、C.I.アシッドブルー1、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー22、C.I.アシッドブルー90、C.I.アシッドブルー239、C.I.アシッドブルー248、C.I.アシッドバオレット15、C.I.アシッドバイオレット49、C.I.アシッドブラック1、C.I.アシッドブラック2、塩基性染料としては、C.I.ベーシックオレンジ2、C.I.ベーシックオレンジ14、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックブルー9、C.I.ベーシックブルー26、C.I.ベーシックバイオレット1、C.I.ベーシックバイオレット3、C.I.ベーシックバイオレット10、直接染料としては、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトイエロー44、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー87、C.I.ダイレクトバイオレット51、C.I.ダイレクトブラック19、食用色素としては、C.I.フードイエロー3、C.I.フードブラック2などが挙げられる。
本発明において用いることができる顔料としては、無機、有機、加工顔料などが挙げられるが、具体的にはカーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、キノフタロン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、アルミ顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、補色顔料等が挙げられる。その他、着色樹脂粒子体として顔料を媒体中に分散させてなる着色体を公知のマイクロカプセル化法などにより樹脂壁膜形成物質からなる殻体に内包又は固溶化させたマイクロカプセル顔料、液晶類、可逆熱変色性組成物、フォトクロミック材料などの機能性材料を内包したマイクロカプセル顔料を用いてもよい。更に、顔料を透明、半透明の樹脂等で覆った着色樹脂粒子などや、また着色樹脂粒子や無色樹脂粒子を、顔料もしくは染料で着色したもの等も用いることもできる。これらの染料および顔料は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもよい。含有量は、インキ組成物の全質量を基準として、1〜30質量%が好ましい。
顔料を用いる場合、その顔料粒子の形状や粒子径にもよるが、ボールとボール座との直接的な接触を抑制し、ボールとボール座の間の潤滑性をさらに向上出来ることがある。このため本発明において、着色剤として顔料を用いることは、特段の潤滑効果が得られやすく、さらに優れた書き味を得ることができるため、より好ましい。
また、従来、顔料はインキ組成物中で分散しているため、染料系と比較して、筆記対象への浸透性が劣りやすい傾向にあり、筆跡乾燥性を向上させにくい。しかしながら、本発明においては、後述する界面活性剤を用いることで、着色剤として顔料を用いた場合でもより筆跡乾燥性を向上することができる。さらに、顔料は、耐水性、耐光性に優れ、良好な発色が得られる。以上のことから、着色剤としては顔料を用いることが好ましい。
(b)微粒子ダイヤモンド
本発明に用いられる微粒子ダイヤモンドは、微小サイズのダイヤモンドを含む微粒子を意味する。ダイヤモンドは、よく知られているように実質的にsp3炭素のみから構成される炭素の結晶である。ここで「実質的」というのは、ダイヤモンド結晶にはわずかな格子欠陥などがあるため、わずかにsp2炭素などが含まれることを意味している。また、炭素以外の元素、例えば酸素などがわずかに含まれることがある。本発明による効果を顕著なものとするためには、このようなsp2炭素やその他の元素の含有率が低いことが好ましい。具体的には、微粒子ダイヤモンドに含まれるダイヤモンドの炭素含有率は、質量を基準として95%以上であることが好ましく、98%以上であることが好ましい。また、sp3炭素の含有率は、ダイヤモンドに含まれる炭素の原子数を基準として、95%以上であることが好ましく、98%以上であることが好ましい。また、微粒子ダイヤモンドは、ダイヤモンド以外の組成を含むこともできるが、ダイヤモンドの含有率が高いことが好ましい。具体的には、微粒子ダイヤモンド(粒子)に含まれる、ダイヤモンドの含有率は95%以上であることが好ましく、98%以上であることが好ましい。
本発明において、微粒子ダイヤモンド(粒子)は、その一部分が、ほかの部分と異なる結晶性、結晶構造、または化学組成を有している。例えば、ダイヤモンドからなるコア粒子の外郭を、結晶性、結晶構造、または化学組成が異なるシェル層が被覆した、いわゆるコアシェル構造を有するものである。
典型的なコアシェル構造は、コア粒子と、それを被覆するシェル層とを含んでいる。このようなコアシェル構造を構成するシェル層は、コア粒子を完全に被覆していても、コア粒子の表面に、不連続に散在していてもよい。具体的には、コア粒子が高い結晶性を有し、その外郭を相対的に結晶性の低いシェル層などで被覆した構造を有していてもよい。特に、実質的にsp3炭素からなるコア粒子と、そのコアの表面に積層された、sp2炭素を含むアモルファスシェル層とを含むものであることが好ましい。
また、3層以上の積層構造を有するコアシェル粒子を用いることもできる。すなわち、粒子の中心部分を構成するコア粒子と、粒子の最外郭にあるシェル層との間に、コア粒子とも、シェル層とも異なる結晶性などを有する中間層を有していてもよい。このような中間層は2以上あってもよい。これらのコアシェル粒子は、コア粒子、シェル層、および中間層の相互界面において、微少な空隙を有していてもよい。さらには、コア粒子とシェル層との界面が不明確になっており、粒子の中心から表面に方向に、連続的に結晶性などが変化する構造を有していてもよい。
また、実質的に均一なダイヤモンド粒子や、結晶性などの異なるコア粒子およびシェル層を含むコアシェル構造を有するダイヤモンド粒子の表面が化学修飾されていてもよい。このような化学修飾は、無機粒子であるダイヤモンド粒子の表面に、有機化合物または有機官能基を吸着または結合させることにより実現できる。このとき、有機化合物または有機官能基は、ダイヤモンド粒子とは異なる化学組成を有するシェル層を形成する。したがって、実質的に均一なダイヤモンド粒子の表面に化学修飾を施した粒子は、ダイヤモンドからなるコア粒子と、有機化合物または有機官能基からなるシェル層を有するコアシェル粒子である。また、実質的にsp3炭素からなるコア粒子と、そのコアの表面に積層された、sp2炭素を含むアモルファス層を有する粒子の表面に化学修飾を施した粒子は、sp3炭素からからなるコア粒子と、sp2炭素を含む中間層と、有機官能基などからなるシェル層とを有する、3層構造を有するコアシェル粒子である。
有機化合物および有機官能基のうち、とくにヒドロキシ基やカルボキシ基などの極性基によって表面修飾された粒子の表面は、インキ組成物の溶媒との間で高い親和性を示し、その結果、分散性や経時安定性が改良されるので好ましい。このとき、粒子表面にsp2炭素を含む中間層があると化学修飾が容易となる傾向にあるので、ダイヤモンド粒子が前記したような、表面にsp2炭素を含むアモルファスシェル層を有するコアシェル構造を有していることが好ましい。なお、このときアモルファスシェル層は表面の大部分を被覆する程度の厚さがあれば十分である。具体的には、ダイヤモンド粒子全体を基準としてsp3炭素数/sp2炭素数の比が、95/5以上であることが好ましく、98/2以上であることが好ましい。
ダイヤモンドには天然物と人工物とがあるが、本発明においてはいずれを用いてもよい。しかしながら、昨今の技術により安価に人工ダイヤモンドを形成させることが可能であることから、人工ダイヤモンドを用いることが便利である。
人工ダイヤモンドの製造方法としては、高温高圧合成法、化学気相蒸着法、爆轟法、キャビテーション法などが知られており、いずれの方法で形成させたものであってもよい。しかしながら、本発明においては、微粒子形状のダイヤモンド粒子を用いるため、直接的に微粒子を形成できる爆轟法が好ましく採用される。爆轟法は、炭素を含み酸素含有率が低い爆薬を密閉空間で爆発させて粗製物を製造し、粗製物に含まれるグラファイトなどの不純物を酸などにより除去し、さらに機械的または化学的解砕をして、微粒子ダイヤモンドを形成する方法である。
爆轟法においては、特に原料の配合、爆発条件、解砕条件などによって異なるサイズの微粒子を形成させることができるが、本発明においては一次粒子径がナノサイズの微粒子を用いる。本発明において用いられる微粒子ダイヤモンドの平均一次粒子径は、具体的には、200nm未満であることが好ましく、さらには、0.5〜50nmであることが好ましく、0.8〜40nmであることがより好ましく、1.0〜10nmであることが特に好ましい。特に、平均一次粒子径が1.0〜10nmである微粒子ダイヤモンド(ナノダイヤモンド)は、本発明の効果が強く発現するので好ましい。また、本発明に用いられる微粒子ダイヤモンドは単分散性が高いものが好ましい。具体的には変動係数(平均粒子径の分布の標準偏差/平均粒子径)が0.5以下であることが好ましい。
ここで、平均粒子径は、画像解析や動的光散乱法などによって測定することができるが、本発明においては動的散乱法によって測定された平均粒子径を採用する。具体的には、下記の条件により測定した個数基準によるメジアン径を、本発明における平均粒子径とする。
測定器: 動的光散乱式粒径分布測定装置(例えば、ナノ粒子測定装置nanoPartica SZ−100V2(商品名、堀場製作所株式会社製)、解析ソフトウェアSZ−100 for Windows [Z type] ver 2.22)
[水系]
測定温度: 25℃
分散媒: 水
分散媒屈折率: 1.333
分散媒粘度: 0.900mPa・s
[溶剤系]
測定温度: 25℃
分散媒: イソプロピルアルコール
分散媒屈折率: 1.378
分散媒粘度: 2.044mPa・s
なお、、測定に際して試料の濃度は、例えば1%や5%などの希薄な溶液で行われる。
なお、微粒子ダイヤモンドの平均粒子径は、上記以外の条件による測定方法や、動的光散乱法以外の測定方法(例えば、電子顕微鏡など)によっても測定することが可能である。ただし、測定条件や測定方法によって、得られる測定値が異なる可能性がある。本発明において、平均粒子径は上記した条件によって測定されるものである。もし、上記以外の測定方法や条件を採用する場合には、あらかじめ複数の試料について、本発明において採用される動的光散乱法方法によって測定される平均粒子径と、採用する測定方法または条件によって測定される平均粒子径とを測定して適切な検量線を作成しておき、採用された測定方法または条件によって測定された平均粒子径から、検量線に基づいて、外挿または内挿によって本発明における平均粒子径を決定すべきである。
また、微粒子ダイヤモンドは、平均粒子径が小さいために、比表面積も大きい。具体的には、好ましくは200m/g以上、より好ましくは250m/g以上、さらに好ましくは280m/g以上の比表面積を有する。前記比表面積の上限は、例えば、500m/gであり、400m/gであってもよい。
また、本発明において用いられる微粒子ダイヤモンド粒子の形状は、球形に近いことが好ましい。具体的には、ダイヤモンド粒子の平均アスペクト比が1〜2.0であることが好ましく、1〜1.5であることがより好ましく、1〜1.2であることが特に好ましい。ここで、単一粒子のアスペクト比は、粒子を3次元的に観察して、最大径と最小径を測定し最大径/最小径によって求められる。そして、最低100個程度の粒子についてアスペクト比を求め、その平均値を平均アスペクト比とする。
本発明において、インキ組成物の全質量に対する微粒子ダイヤモンドの含有率は、0.0001〜1質量%であることが好ましく、0.001〜0.5質量%であることがより好ましい。このような範囲である場合に、優れた筆記性を有するインキ組成物を実現できる。
本発明において、微粒子ダイヤモンドを用いることによって、ボールペンの筆記性が改良される理由は明確になっていないが、(i)ボールまたはボール受け座に存在するナノサイズの微少な傷等を充填して、表面を平滑にする効果、および/または(ii)ボールとボール受け座との間でコロのような作用を奏して、ボールの回転を円滑にする効果、によるものと考えられる。加工後のボールペンチップの受け座はボールとの馴染みが悪いことがあり、いわゆる「あたり」が認められることがある。このために、筆記時に抵抗が生ずることがあり、筆記抵抗が高く安定しない傾向がある。本発明においては、微粒子ダイヤモンドを用いることでボールペン受け座とボールとを効果的に馴染ませ、安定化後のなめらかさ、潤滑性、筆記抵抗の低減を実現できる。これは前述の(i)の効果と推定される。さらに、(ii)の効果も奏効すると考えられる。事実、本発明の範囲外である、硬度の低く、アスペクト比が大きなグラフェンを用いた場合や、ほぼ球形の粒子形状を有するシリカを用いた場合には、本発明による効果を得ることができない。すなわち本発明の特定の微粒子ダイヤモンドを用いることで優れた効果を得ることができる。
このような微粒子ダイヤモンドの効果を強く発現させるためには、微粒子ダイヤモンドが前記インキ組成物中に均一に分散されていることが好ましい。したがって、インキ組成物に含まれる溶媒と親和性の高い官能基によって表面が修飾されていることが好ましい。具体的にはカルボキシ基(−COOH)、ホスフェート基(−O−P(=O)(OH))、スルホ基(−SOH)、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキル基などが挙げられる。例えば、インキ組成物に含まれる溶媒が水性である場合、極性の高い官能基、例えばカルボキシ基、ホスフェート基、スルホ基、ヒドロキシ基、またはアミノ基など、特にカルボキシ基、によって修飾されていることが好ましく、溶媒が有機溶媒である場合には、親油性の高いアルキル基などによって修飾されていることが好ましい。また、溶媒が水性である場合、粒子表面を前記官能基によって化学修飾された微粒子ダイヤモンド粒子はアニオン性またはカチオン性にイオン帯電させることによって、溶媒との親和性を高くすることやイオン反発による微粒子ダイヤモンド粒子の凝集を抑制して、分散性等を改良することができる。このため上述した微粒子ダイヤモンドの効果を最大化することで潤滑性の向上と経時安定性に優れたインキ組成物を得ることができる。また、ダイヤモンド粒子を化学修飾していない場合にも、表面にはヒドロキシ基などが存在する場合があり、イオン帯電しているものがある。さらに化学修飾された粒子も化学修飾されていない粒子も、インキ組成物中で溶媒和やpHなどの効果によってイオン帯電させることができる。
(c)溶媒
本発明によるインキ組成物を水性インキ組成物とする場合、溶媒には水が用いられる。本発明に用いられる水としては、特に制限はなく、例えば、イオン交換水、限外ろ過水または蒸留水などを用いることができる。本発明におけるインキ組成物は、主たる溶媒として水を含む。
本発明によるインキ組成物を油性インキ組成物とする場合、溶媒には、アルコール類、ケトン類、エステル類などの有機溶媒から任意に選択することができる。具体的には、 エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール等のグリコールエーテル溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール等のグリコール溶剤、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコール等のアルコール溶剤など、筆記具用油性インキ組成物として一般的に用いられる有機溶剤などを用いることができる。
溶媒の含有量は、インキ組成物の全質量を基準として、50〜95質量%、好ましくは、60〜90質量%である。
なお、本発明によるインキ組成物は、溶媒が水である水性インキ組成物と、溶媒が有機溶媒である油性インキ組成物とに大別できる。ここで、溶媒を水とした水性インキ組成物では、微粒子ダイヤモンドの表面物性によって本発明の効果が強く発現する傾向があるので、水性ボールペン用インキ組成物であることが好ましい。
本発明によるインキ組成物は、上記の必須成分に加えて、その他の成分を組み合わせることができる。以下にそのよう追加成分について説明する。
(d)アクリル酸共重合体
本発明によるインキ組成物は、特定のアクリル酸共重合体を含むことができる。そのアクリル酸共重合体は、以下の式(i):
Figure 2020180283
(式中、Rは、水素またはメチル基である)
で示される繰り返し単位と、
以下の式(ii):
Figure 2020180283
(式中、
は、水素またはメチル基であり、かつ
は、炭素数1〜5の、直鎖または側鎖を有するアルキル基である)
で示される繰り返し単位と
を含んでなる。
本発明に用いることができる成分(d)は、特定の構造を有するアクリル酸共重合体である。この成分は、インキ組成物が水性組成物である場合に好ましく適用される。このアクリル酸共重合体は、剪断減粘性付与剤として機能する。本発明に成分(d)として用いられる共重合体は、カルボン酸基とカルボン酸エステル基とを有している。成分(d)のカルボン酸エステル基を構成する炭素数1〜5のアルキル基は、疎水性基である。このため、インキ組成物中で疎水基間の分子間力によるアルキル基の凝集により、可逆性の物理的な結合をしてネットワークを形成し、その部分が結合点のように働く。この結果、インキ組成物の静止時の粘度が高くなる。そして筆記時にインキ組成物が流動して、剪断応力がかかったとき、結合点のように働いている部分の物理的な結合が解離することで、インキ粘度が低下する。本発明によるインキ組成物は、前記の通り、成分(d)のアルキル基の凝集と解離の可逆的作用により、静止時と流動時の粘度勾配が従来と比較して大きくなるため、良好な安定性と筆記性が両立できる。すなわち、インキ組成物をボールペンに用いた際に、従来よりも筆記時の粘度が低下するため、掠れ、線割れなどをおこさずに、良好な筆記が可能となる。また、筆記時の粘度に対して静止時のインキ粘度が従来よりも高くなることから、筆記後のインキは静置粘度に回復したときに筆跡の滲みが抑えられる。さらにインキ組成物に顔料等の固形物を用いた際には、分散状態が安定的に保たれるため、顔料等の沈降を防ぐことができる。この結果、インキの保存安定性が向上する。一方、成分(d)とは異なる架橋型アクリル酸は、架橋部が不可逆的な化学結合をしているため、静止時のインキ粘度は高いが、剪断応力がかかった際にも架橋部の結合が切れることがないので、成分(d)を用いた場合と比較して、剪断応力がかかった際のインキ粘度が低くなりにくい。従って、インキ組成物をボールペンに用いた際に、その筆跡がカスレたり、線割れするなど、筆跡に影響を及ぼすことがある。
この成分(d)は、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体である。本発明において(メタ)アクリルは、アクリルとメタクリル両者を包含することを意味する。具体的には、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル−メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。成分(d)は、ランダム、ブロック、などの共重合体を用いることができる。これらの非架橋型アクリル差共重合体は、単独でまたは2種以上用いることができる。
また、式(ii)中のRは、炭素数1〜5の直鎖または側鎖を有するアルキル基であるが、炭素数が5より大きくなるとアルキル基の立体障害が大きくなり、アルキル基同士の凝集力が低下する。また、炭素数が5より大きくなるとアルキル基の疎水性が増大するため、一部で分離や沈殿などを生じやすくなり、不均一化する場合がある。このためインキ組成物中での安定性が劣る傾向にある。炭素数が1〜5の範囲にあると、アルキル基同士の凝集力が高く働き、物理的な結合をして分子間でのネットワークを形成するため、好ましい。さらにアルキル基が直鎖であると、側鎖を有するアルキル基と比較して立体障害が小さくなるため、好ましい。特にRが、炭素数1のメチル基、炭素数2のエチル基の場合、疎水力が大きくないため、分子中へのアルキル基の導入量を比較的多く設計することが可能となる。アルキル基の導入量を多くすることでアルキル基同士の物理的な結合点を多く配置することが可能となり、より静置時粘度を高く、剪断時粘度を低くするなどの効果が得られるので、特に好ましい。
式(i)の繰り返し単位と式(ii)の繰り返し単位の数の比は、個数比で、1:0.05〜1:10、より好ましくは、1:0.1〜1:5、さらに好ましくは、1:0.3〜1:3である。式(ii)の繰り返し単位の比が小さ過ぎるとアルキル基の物理結合効果が不十分となり、増粘性や静置時と剪断時の粘度勾配が小さくなる傾向があり、カルボン酸エステルの比が大きすぎると、共重合体の疎水性が増大するため、一部の分離や沈殿を生じる恐れがある。この範囲にあると、高い静置粘度と低いせん断時粘度とを両立することができるので、特に好ましい。
成分(d)は、式(i)および(ii)以外の繰り返し単位を含んでいてもよいが、式(i)および(ii)以外の繰り返し単位の比率は、少ないほど好ましい。具体的には、その割合は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは式(i)および(ii)以外の繰り返し単位を実質的に含まない。理想的にはその割合はゼロである。
成分(d)の質量平均分子量は、好ましくは1,000以上であり、より好ましくは、5,000以上であり、さらに好ましくは、20,000以上である。前記より小さいと十分な粘度を発現しにくくなる恐れがある。また、好ましくは1,000,000以下であり、より好ましくは700,000以下でありさらに好ましくは600,000以下である。前記より大きいと、高剪断時の粘度が高くなりすぎる恐れがある。ここで質量平均分子量とは、ポリスチレン換算質量平均分子量であり、ポリスチレンを基準としてゲル浸透クロマトグラフィにより測定することができる。
成分(d)の含有量としては、インキ組成物の全質量を基準として、0.01〜10質量%の範囲で用いることができる。好ましくは、0.05〜5質量%の範囲であり、さらに好ましくは、0.1〜2質量%の範囲である。この範囲より大きいと、静置時の粘度が高くなり、インキ組成物の分散安定性が向上し、さらに筆跡が滲まないが、剪断時のインキ粘度が若干高くなる傾向があり、筆記性能が若干低下する傾向が見られる。この範囲より小さいと、剪断時のインキ粘度は低下し、筆跡が掠れたり、線割れをすることがないが、筆跡が滲む傾向が見られる。前記範囲にあると、インキ組成物の分散安定性を保ちつつ、筆記した際にかすれや線割れをおこすことが無く、筆跡が滲むことがなく、優れたインキ安定性と筆記性能が得られるため、好ましい。
なお、成分(d)として用いられるアクリル酸共重合体は、組成物中で、膨潤し、構造粘性を有するものである。
(e)水溶性有機溶剤
本発明によるインキ組成物は、主たる溶媒として水を含むものであるが、各成分の溶解性や分散性などを良好に保つために、水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。水溶性有機溶剤としては、
(i)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、またはグリセリンなどのグリコール類、
(ii)メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコールなどのアルコール類、および
(iii)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシブタノール、または3−メトキシ−3−メチルブタノールなどのグリコールエーテル類
などが挙げられる。これらは、単独または2種以上混合して使用してもよい。
水溶性有機溶剤の添加量は、インキ組成物に対して、0.1〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
(f)界面活性剤
本発明によるインキ組成物は、各種界面活性剤を含んでもいてもよく、ノニオン系、アニオン系、カチオン系界面活性剤などが挙げられる。また、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤、シリコーン系界面活性剤なども挙げられる。
アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤、またはシリコーン系界面活性剤は、筆跡乾燥性をさらに向上させるために含むことができる。
成分(d)を用いた場合、筆記時にインキ組成物の剪断時粘度が従来の架橋型アクリル酸重合体を用いたときよりも低粘度化する傾向があるため、従来よりもインキ組成物を紙繊維などで構成された筆記対象(例えば紙支持体)に対して速やかに浸透させることができる。インキ組成物が、さらにアセチレン結合を有する界面活性剤、またはシリコーン系界面活性剤を含むことにより、浸透促進効果により、成分(d)の効果と相乗効果を呈し、筆記対象への浸透性がさらに向上すると考えられる。この結果、インキ組成物中の前記した成分が、インキ組成物の粘度を低下させることと、浸透性を向上する働きをして、筆跡乾燥性が高いものとなる。
本発明によるインキ組成物に用いられるアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤は、エチレンオキシド付加モル数が10以下であることが好ましい。
エチレンオキシド付加モル数が10以下であるアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤とは、エチレンオキシドが付加されたアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤であって、界面活性剤のエチレンオキシド付加モル数が10以下であるものである。例えば、エチレンオキシド付加モル数が10以下であるアセチレングリコール系界面活性剤やエチレンオキシド付加モル数が10以下であるアセチレンアルコール系界面活性剤などが挙げられる。
このエチレンオキシド付加モル数が10以下であるアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤は、筆記対象に対する浸透性を顕著に向上させることができる。このため、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤を含んでなるインキ組成物は、紙に素早く浸透することができるようになり、よって、筆記対象の表面に形成された筆跡が完全に乾燥するまでの時間が短縮され、筆跡部分をこすった場合に、筆跡のなかった部分に組成物が付着したり、筆跡部分の組成物が除去されることを防止できる、筆跡乾燥性に優れたものとなる。
この理由は定かではないが、エチレンオキシド付加モル数が10以下であるアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤は、浸透効果を発揮するための好適な疎水性と親水性のバランスを示すためであると考えられる。アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤による効果向上を考慮すると、エチレンオキシド付加モル数は、8以下であることが好ましい。さらには、エチレンオキシド付加モル数は、4以上であることが好ましい。エチレンオキシド付加モル数が4以上であれば、溶解性が低下し、インキ組成物中で安定して存在しにくい状態となって界面活性剤の効果の経時安定性が低下することを防止できる。
筆記後、インキ組成物が筆記対象に速やかに浸透するためには、筆記後のインキ組成物の表面張力を好適に制御する必要がある。筆記動作に伴う表面張力、いわゆる動的表面張力を瞬時に制御し、筆記対象への速やかな浸透性を得るためには界面活性剤分子のインキ中での挙動が重要である。動的条件において界面活性剤分子が気液界面に速やかに配列し、瞬時に、しかも効果的に表面張力を制御するためには、特定構造の界面活性剤を用いることで可能となることから、筆跡乾燥性に優れたインキ組成物を得ることができる。
また、エチレンオキシド付加モル数が10以下であるアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤は、筆跡乾燥性を向上させると同時に、滑らかな書き味をもたらすなど、書き味を向上させる効果を併せもつ。これは、インキ組成物が、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤を含んでなることで、ボールペンが有するボールとボールペンチップの間の潤滑性が向上し、かつ、ボール座の摩耗を抑制することができるためである。
なお、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤を含んでなる本発明によるインキ組成物は、その他の潤滑剤を含ませることが可能であるが、特には、潤滑剤の中でも、後述するリン酸エステル系界面活性剤と併用することが好ましい。
また、本発明に用いられるアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤は、さらにプロピレンオキシドが付加されていてもよい。更なる筆跡乾燥性の向上やインキ組成物の経時安定性を考慮すると、本発明においては、エチレンレンオキシドとさらにプロピレンオキシドが付加されたアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤を選択して用いることが好ましい。これは、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤が、エチレンレンオキシドとプロピレンオキシドの二つが付加された場合、疎水性と親水性のバランスがさらに好適に保たれるためである。
エチレンオキシド付加モル数とプロピレンオキシド付加モル数の比は、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤の疎水性と親水性のバランスを好適に保ち、筆跡乾燥性の更なる向上を考慮すると、エチレンオキシド付加モル数:プロピレンオキシド付加モル数=1:1〜5:1であることが好ましい。
また、気液界面への配列性を考慮すれば、エチレンオキシド付加モル数とプロピレンオキシド付加モル数の合計が10以下であることが好ましい。付加モル数が多くなりすぎると、界面活性剤分子が長くなりすぎ、気液界面へ配列時に立体障害を生じやすくなる傾向があるが、付加モル数の合計が10以下であると界面活性剤の疎水性と親水性のバランスを好適に保ち、かつ気液界面への配列時の立体障害の影響も考慮された効果を得られるため特に好ましい。
さらに、筆跡乾燥性の向上や、インキ組成物の経時安定性を考慮すると、エチレンオキシド付加モル数が5であり、プロピレンオキシド付加モル数が2であるアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤を用いることが、より好ましい。
アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤については、例えば、アセチレンアルコール系界面活性剤、およびアセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられるが、筆記対象への浸透性を向上し、筆跡乾燥性を向上しやすいことを考慮すれば、アセチレングリコール系界面活性剤を用いることが好ましい。
アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤の具体例としては、オルフィンシリーズ(日信化学工業株式会社製)、サーフィノールシリーズ、ダイノールシリーズ等(いずれもエアープロダクツジャパン株式会社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤は、構造内のSi骨格、プロピレンオキシドなどの疎水基や、エチレンオキシドなどの親水基とのバランスをとり、好適とすることで、インキ組成物中で安定でありながら、活性剤分子が気液界面に速やかに配列し易くなるため、筆記時にインキ組成物の表面張力を速やかにコントロールして浸透性が向上し、筆跡乾燥性とインキ組成物の経時安定性を両立することができる。シリコーン系界面活性剤の中でも、質量平均分子量が500〜3,000であることが好ましい。これは前述の界面活性剤が気液界面への配列性に関して、質量平均分子量が3,000を越えると、シリコーン系界面活性剤の分子が大きくなりすぎ、気液界面への配列が遅くなる傾向にあるため、筆跡乾燥性が十分でない場合がある。一方、質量平均分子量が3,000以下であると、シリコーン系界面活性剤の分子が比較的小さくなることで、活性剤分子の気液界面への配列が速やかに成される傾向があり、筆跡乾燥性を向上しやすい。また、質量平均分子量が500未満であると、所望の筆跡乾燥性が得られにくいためである。上記効果をより考慮すれば、質量平均分子量が500〜3,000であることが好ましく、より好ましくは、質量平均分子量が500〜2,000であり、さらに考慮すれば、質量平均分子量が1,000〜2,000であることが好ましい。
また、シリコーン系界面活性剤は、筆跡乾燥性を向上させると同時に、滑らかな書き味をもたらすなど、書き味を向上させる効果を併せもつ。これは、インキ組成物が、シリコーン系界面活性剤を含んでなることで、ボールペンが有するボールとボールペンチップの間の潤滑性が向上し、かつ、ボール座の摩耗を抑制することができるためである。
なお、シリコーン系界面活性剤を含んでなる本発明によるインキ組成物は、その他の潤滑剤を含ませることが可能であるが、特には、潤滑剤の中でも、後述するリン酸エステル系界面活性剤と併用することが好ましい。
シリコーン系界面活性剤については、具体的には、シルフェイスシリーズ(日信化学工業株式会社製)、BYKシリーズ(ビックケミー株式会社製)、Silsoft Spreadシリーズ、Coatosilシリーズ(いずれもモメンティブパフォマンスマテリアルズ社製)などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
また、アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤、またはシリコーン系界面活性剤の総含有量について、インキ組成物の全質量を基準として、0.01〜3.0質量%がより好ましい。これは、アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤、またはシリコーン系界面活性剤の総含有量が、0.01質量%未満だと、所望の筆跡乾燥性が得られづらく、3.0質量%を越えると、インキ組成物の経時安定性に影響が出やすいためである。さらに、より考慮すれば、0.05〜2.0質量%が好ましく、0.1〜1.5質量%が特に好ましい。
また、本発明によるインキ組成物は、さらにリン酸エステル系界面活性剤を含むことができる。リン酸エステル系界面活性剤は、インキ組成物の分散性などを改良する効果の他、インキ組成物をボールペンに用いる場合、潤滑剤としても作用する。潤滑剤は、ボールペンが有するボールとボールペンチップの間の潤滑性を向上して、ボールの回転をスムーズにすることで、ボール座の摩耗を抑制し、書き味を向上するものである。本発明において用いられる、ホスフェート基を有するリン酸エステル系界面活性剤は、ホスフェート基が金属に吸着しやすい性質にあることから、潤滑性を向上させ、ボール座の摩耗抑制や書き味を向上させやすい。このため、微粒子ダイヤモンドを用いた本発明において、リン酸エステル系界面活性剤を用いることは、特に優れた書き味を実現できる。また、この界面活性剤は、潤滑性だけでは無く、分散性の改良にも寄与しており、この点からも、本発明にリン酸エステル系界面活性を用いることは、インキの経時安定性などにおいても有効に作用する。
さらには、リン酸エステル系界面活性剤は表面張力を調整する効果も併せ持つ。このため、特に後述するくし溝状のインキ流量調節部材を備え、これを介在させ、インキ組成物をペン先に供給するような供給機構を有する筆記具において、インキ流量調節部材に対して優れた濡れ性を呈するので好ましい。したがって、本発明によるインキ組成物は、くし溝状のインキ流量調節部材を有するボールペンに好適用いることができる。
リン酸エステル系界面活性剤としては、直鎖アルコール系、スチレン化フェノール系、ノニルフェノール系、オクチルフェノール系等のリン酸エステル系界面活性剤が挙げられるが、中でも、直鎖アルコール系、スチレン化フェノール系のリン酸エステル系界面活性剤を用いることが好ましい。
なお、リン酸エステル系界面活性剤の具体例としては、プライサーフシリーズ(第一工業製薬株式会社)などが挙げられ、直鎖アルコール系のリン酸エステル系界面活性剤としては、プライサーフA212C、同A208B、同A213B、同A208F、同A215C、同A219B、同A208Nが挙げられ、スチレン化フェノール系のリン酸エステル系界面活性剤としては、プライサーフALが挙げられ、ノニルフェノール系としては、プライサーフ207H、同A212E、同A217Eが挙げられ、オクチルフェノール系としては、プライサーフA210Gが挙げられる。
本発明によるインキ組成物がリン酸エステル系界面活性剤を含む場合、その含有量はインキ組成物の全質量を基準として0.1〜2.0質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%であることがより好ましい。
ボールペンは、ペン先において、ボールとボール座との間にインキ組成物が適切な被膜を形成することで優れた筆記性を実現できる。リン酸エステル系界面活性剤は、そのような被膜を形成するのに有効に作用するので、ボールペンに用いられるインキ組成物にリン酸エステル系界面活性剤を用いることが好ましい。
本発明によるインキ組成物がリン酸エステル系界面活性剤を用いると、リン酸エステル系界面活性剤が極圧剤として作用する。一般的に、極圧剤は、摩擦熱で温度が上昇すると金属表面に反応しやすく、固体状の柔らかい膜を形成し、潤滑性を高める作用を有する物質であり、高筆圧下での良好な筆感を得るために添加されるものである。リン酸エステル系界面活性剤であるリン酸エステルのホスフェート基が金属表面に吸着し、極圧作用が働くので、高筆圧下でも良好な筆感が得られるのである。
すなわち、リン酸エステル系界面活性剤の潤滑効果は、ホスフェート基がチップのボール受け座およびボールのそれぞれの金属面に吸着し、疎水基がインキ中に伸び、ボールとボール座との物理的な接触を阻害することにより発生する為発現すると思われる。このため、チップ/ボール間で伸びた疎水基同士のクッション作用によりボールペンとして好ましい潤滑効果、すなわち滑らかで柔らかい筆感が得られるものと考えられる。
なお、上記のリン酸エステル系界面活性剤はアミン類やアルカリ金属類などのアルカリ性物質にて適宜中和して使用することもできる。
(g)多糖類
本発明によるインキ組成物は、多糖類を含むことができる。多糖類は、種々の効果をもたらすが、主に、インキ粘度の調整、剪断減粘性の付与、耐ドライアップ性能向上などの効果をもたらす。具体的には、デキストリン、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、グアーガム、ローカストビーンガム、λ−カラギーナン、セルロース誘導体、ダイユータンガム等が挙げられる。これらのうち、デキストリンが好ましく用いられる。
インキ組成物が顔料などの主溶媒である水に不溶な状態で存在し得る成分を含む場合、そのインキを収容する筆記具のペン先などで水が蒸発し、インキが乾燥固化してインキ流路などが詰まってしまうことがある。このような現象が起きると、インキ吐出性に影響が出て、その筆記具はインキの残量はあるものの、再び筆記できなくなることがある。このため、耐ドライアップ性能を向上させることが好ましい。よって、例えばボールペンのチップ先端における耐ドライアップ性能の向上も考慮する必要がある。デキストリンは、ペン先に被膜を形成してその被膜によってインキ中の溶媒の蒸発を防ぐ効果を持つ。このため、デキストリンを用いることは、耐ドライアップ性能に優れたインキ組成物を得ることができるため効果的である。
デキストリンの質量平均分子量については、5,000〜120,000であることが好ましい。120,000以上であると、ペン先に形成される被膜が硬く、ドライアップ時の書き出しにおいて、筆跡がカスレやすくなる傾向がある。一方、5,000未満だと、経時的な分散安定性を向上させる程度の粘度変化を与えにくく、さらにデキストリンの吸湿性が高くなりやすく、ペン先に生ずる被膜が柔らかく、ペン先で安定して維持しにくく、インキ中の溶媒の蒸発が抑制しにくい傾向にある。上記効果の向上をさらに考慮すると、質量平均分子量が、20,000〜100,000であるデキストリンを用いることが好ましい。
デキストリンの含有量は、インキ組成物の全質量を基準として、0.1〜5質量%が好ましい。これは、0.1質量%より少ないと、耐ドライアップ性能の向上効果が十分得られない傾向にあり、5質量%を越えると、インキ中で溶解しづらい傾向があるためである。よりインキ中の溶解安定性を考慮すれば、0.1〜3質量%が好ましく、より耐ドライアップ性能の向上を考慮すれば、1〜3質量%が最も好ましい。
本発明によるインキ組成物は、2種類以上の多糖類を含んでいてもよい。
(h)その他の添加剤
本発明によるインキ組成物は、本発明の性能を損なわない範囲で、インキ物性や機能を向上させる目的で、保湿剤、潤滑剤、剪断減粘性付与剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、有機樹脂粒子、水溶性樹脂などの各種添加剤を含んでもよい。
本発明によるインキ組成物は、水分蒸発防止を目的として、上記した水溶性有機溶剤の他に、尿素、ソルビット等の保湿剤を含むことができる。なお、本明細書において、上記した水溶性有機溶剤は保湿剤に含めないこととする。保湿剤の含有量は、インキ組成物の全質量を基準として、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
本発明において、前記した界面活性剤は潤滑剤としての機能を奏することがあるが、それ以外に、潤滑剤として用いることができるものとして、アルキルベンゼンスルホン酸、アミノ酸、N−アシルアミノ酸、脂肪族アミドアルキレンオキサイド付加物、テルペノイド酸誘導体、およびそれらの塩などが挙げられる。より具体的には、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、アラニン、グリシン、リジン、スレオニン、セリン、プロリン、サルコシン、N-アシルサルコシン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドおよびそれらの塩などが挙げられる。
pH調整剤としては、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの無機塩類、トリエタノールアミンやジエタノールアミンなどの水溶性のアミン化合物などの有機塩基性化合物、乳酸およびクエン酸などが挙げられる。pH調整剤の含有量は、インキ組成物に対して、0.1〜25質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。
防錆剤としては、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、チオ硫酸ナトリウム、サポニン、またはジアルキルチオ尿素などが挙げられる。
防腐剤としては、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、MITということがある)、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、OITということがある)、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3オン、N−(n−ブチル)−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバマート安息香酸ナトリウム、ベンゾトリアゾール及びフェノールなどが挙げられる。これらの防腐剤の含有量は、インキ組成物の全質量を基準として20〜200ppmであることが好ましい。また、これらのうちMITとOITとのを組み合わせて用いると抗菌性が向上するので好ましい。この場合、OITの含有量は、インキ組成物の全質量を基準として1〜50ppmであることが好ましく、OITとMITとの配合比が、質量基準で1:1〜10:1であることが好ましい。
本発明のインキ組成物には、有機樹脂粒子を用いることができる。有機樹脂粒子を用いるとインキの垂れさがりを抑制することができる。本発明で用いることができる有機樹脂粒子としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのオレフィン系樹脂粒子や、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ナイロン樹脂などの化学構造中に窒素原子を含む含窒素樹脂粒子や、アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、セルロース樹脂粒子などが挙げられる。これらの有機樹脂粒子は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
有機樹脂粒子の中でも、オレフィン系樹脂粒子、含窒素樹脂粒子を用いることが好ましい。これは、オレフィン系樹脂粒子が炭化水素化合物であり、無極性であるために水中で凝集が起こりやすく、この凝集構造と前記共重合体とが、相互に絡み合うことで、よりインキ漏れを抑制しつつ、インキ吐出量の不足などの不具合を起こさないような最適化された凝集構造を形成しやすいためと推定される。さらに、オレフィン系樹脂粒子は溶融温度が高いため、高温環境下であっても安定して存在しやすく、高圧環境にあった場合では、変形はしやすく変性はしにくいという特徴を持っており、インキ添加剤として好適に用いることが可能である。
オレフィン系樹脂粒子の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、インキ漏れ抑制や書き味を向上することを考慮すれば、ポリエチレンを用いることが好ましく、具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低分子ポリエチレン、変性ポリエチレン、変性高密度ポリエチレンなどが挙げられる。その中でもインキ漏れ抑制効果を考慮すれば、低密度ポリエチレン、低分子ポリエチレン、変性ポリエチレンが好ましく、特に低密度ポリエチレンは、他種のポリエチレンよりも融点が低く、柔らかい性質があるため、ポリエチレン粒子が密着しやすく、粒子間の隙間を生じづらく、インキ漏れしづらいため、低密度ポリエチレンが好ましく、さらに、低密度ポリエチレンは、柔らかいため、書き味を向上するなど、好適に用いることが可能である。オレフィン系樹脂粒子は、必要に応じてポリオレフィン以外の材料を含んでいてもよい。
含窒素樹脂粒子の中でも、アミノ基またはイミノ基を有することが好ましい、これは、アミノ基及またはイミノ基を有すると、安定な凝集構造を長期間とりやすく、インキ漏れを抑制しやすいためである。なお、アミノ基、イミノ基の官能基を有する含窒素樹脂粒子としては、3級アミン、4級アミンなども含むものとする。
さらに、アミノ基またはイミノ基を有する窒素樹脂粒子の中でも、化学的に結合した三次元架橋構造を有する含窒素樹脂粒子を用いることが好ましい。これは、化学的に結合した三次元架橋構造を有すると、強度、耐熱性、耐溶剤性などに特に優れるためインキ組成物中での吸湿などもせずに安定しているため、経時安定性に優れるため好ましい。さらに含窒素樹脂粒子自体の安定性と、含窒素樹脂粒子間の相互的な水素結合性により、長期間凝集構造をとりやすく、インキ漏れを安定して抑制しやすいためある。特に、架橋構造を有する含窒素樹脂粒子中でも、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド樹脂などの複素環構造を有する樹脂粒子は、より吸湿しづらく、安定しているため、好ましい。
架橋構造を有する含窒素樹脂粒子については、具体的には、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などのアミノ樹脂粒子が挙げられる。また、アミド結合を有する含窒素樹脂粒子については、ナイロン6、ナイロン12などのナイロン樹脂やポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ウレタンウレア樹脂などのウレタン樹脂粒子などが挙げられる。
有機樹脂粒子の形状については、球状、もしくは異形の形状のものなどが使用できるが、摩擦抵抗を低減することを考慮すれば、球状樹脂粒子が好ましい。ここでいう球状樹脂粒子とは、真球状に限定されるものではなく、略球状の樹脂粒子や、略楕円球状の樹脂粒子などでも良い。
また、有機樹脂粒子の含有量について、インキ組成物全量に対し、0.01〜10.0質量%がより好ましい。これは、有機樹脂粒子の含有量が、0.01質量%未満だとインキ漏れを抑制しづらく、10.0質量%を越えると、凝集構造が強くなりやすく、書き味やドライアップ性能に影響が出やすいためである。さらに、より考慮すれば、0.02〜5.0質量%が好ましく、0.03〜1.0が特に好ましく、最も好ましくは、0.05〜0.5質量%が好ましい。
また、本発明によりインキ組成物は、筆跡の耐擦性改善などを目的として、水溶性樹脂を含むことができる。水溶性樹脂として、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどを用いることができる。さらに、樹脂エマルジョンとして、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂など含むエマルジョンを添加することができる。
本発明によるインキ組成物の粘度勾配は、20℃における粘性指数nで表すことができる。ここで、粘性指数nは、S=αDnで示される粘性式中のnを指す。なお、Sは剪断応力(dyn/cm=0.1Pa)、Dは剪断速度(s−1)、αは粘性係数を示す。粘性指数nは、E型回転粘度計(DV−II+Pro、コーン型ローターCPE−42、ブルックフィールド社製)を用いてインキ粘度を測定して、算出することができる。
<ボールペン>
本発明によるボールペンは、上記したインキ組成物を収容してなるものである。
ボールペンとしては、ノック式、回転式およびスライド式などの軸筒内にペン先を収容可能な出没式筆記具ボールペンが挙げられる。
本発明による筆記具用インキ組成物をボールペンに充填した場合のボールペンの仕様について検討したところ、ボールペンの100mあたりのインキ消費量をA(mg)、前記ボール径をB(mm)とした場合、150≦A/B≦500の関係とすることが好ましく、250≦A/B≦450の関係とすることが好ましい。これは、上記範囲とすることで、ボール径に対して、適正なインキ消費量とすることで、インキ流動性を良好とし、筆跡カスレなどを抑制することで、良好な筆跡が得られやすいためである。
なお、インキ消費量については、20℃、筆記用紙JIS P3201筆記用紙上に筆記角度65°、筆記荷重100gの条件にて、筆記速度4m/分の速度で、試験サンプル5本を用いて、らせん筆記試験を行い、その100mあたりのインキ消費量の平均値を、100mあたりのインキ消費量と定義する。また、ボール径については、特に限定されないが、一般に0.1〜2.0(mm)程度のボールを用いる。
また、ボールペンチップの仕様については、ボールペンチップ中のボールの縦軸方向の移動可能量(クリアランス)を、ボールペンの製造時または使用開始時に、20〜50μmとするのが好ましく、30〜45μmとすることが好ましい。これは、上記範囲であれば、インキ吐出量を適切に調整し、線とびやカスレなどを抑制することで、良好な筆跡が得られやすいためであり、さらにクリアランスが上記範囲内であれば、前記の比A/Bも調整しやすい。
ボールペンチップのボールの縦軸方向への移動可能量(クリアランス)とは、ボールがボールペンチップ本体の縦軸方向への移動可能な距離を示す。ここで、移動可能量は、ボールおよびボール座が使用によって摩耗するため、使用に応じて一般的に増大していく。そして、移動可能量はインク吐出量と関係する。したがって、一般的に、ボールペンの製造時または使用開始時における移動可能量は、上記の範囲に設定されるので、安定した筆記特性を達成するために、ボールペンの使用終了時まで、上記範囲内であることが好ましい。
クリアランスが大きいボールペンチップが用いられると、インキ吐出量が多くなり、筆跡濃度を高くできるが、筆跡乾燥性が優れていることが好ましい。よって、本発明によるインキ組成物は、クリアランスが大きいボールペンチップが用いられる場合にも、好適に用いられる。
また、本発明によるボールペンにおいて、ペン先にボールおよびボール座を具備してなり、前記ボール表面または前記ボール座のボールとの接触部分の少なくとも一部がダイヤモンド様膜によって被覆されていることが好ましい。
本発明による筆記具においては、ボールの表面、または前記ボール受け座のボールとの接触部分の少なくとも一部に、ダイヤモンド様膜が形成されていることが好ましい。ボールの表面と接触部分の両方にダイヤモンド様膜が形成されていてもよい。このようなダイヤモンド様膜が存在すると、微粒子ダイヤモンド粒子による潤滑効果が長期間にわたって維持される傾向があるので好ましい。
<インキ組成物の製造方法>
本発明によるインキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例101>
下記の配合組成および方法により、インキ組成物を得た。
・着色剤(成分(a)):カーボンブラック 6.0質量%
・微粒子ダイヤモンドD1(成分(b):平均粒子径3.6nm、コアが実質的にsp3炭素からなり、その表面にsp2を含むアモルファスシェル層を含むダイヤモンド粒子の表面がカルボキシ基で修飾されたコアシェル粒子、0.01質量%
・水溶性有機溶媒:ジエチレングリコール 10.0質量%
・pH調整剤:トリエタノールアミン 3.0質量%
・防錆剤:ベンゾトリアゾール 0.5質量%
・防腐剤:1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 0.2質量%
・リン酸エステル系界面活性剤:「プライサーフA215C」(第一工業製薬株式会社、HLB値11.5) 1.0質量%
アセチレングリコール系界面活性剤:「サーフィノール2502」(日信化学工業株式会社製) 0.5質量%・
・多糖類:デキストリン(質量平均分子量30,000、サンデックシリーズ、三和デンプン工業株式会社) 1.5質量%
・アクリル酸共重合体:(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル共重合体(カルボン酸とメチルエステルのモル比1:2.1、アクリル酸由来の繰り返し単位とメタクリル酸由来の繰り返し単位のモル比1:0.36 質量平均分子量49,000) 0.21質量%
・水(成分(c)):イオン交換水 残部
なお、微粒子ダイヤモンドおよび後述するシリカについては、前記した条件下、動的光散乱法を用いて平均粒子径を測定した。
アクリル酸共重合体を除く各成分を混合し、ディスパーで撹拌等してベースインキを作製した。その後、上記作製したベースインキを加温しながら、アクリル酸共重合体を投入してホモジナイザー攪拌機を用いて均一な状態となるまで充分に混合攪拌して、実施例101のインキ組成物を得た。
<実施例102〜108、比較例101〜108>
インキ組成物を表1に表される組成に変更した以外は実施例101と同様にして実施例102〜108および比較例101〜108のインキ組成物を得た。なお、表中の組成の数値は、質量%を示す。
上記で得られたインキ組成物(1.0g)を、直径0.7mmまたは0.5mmの超硬合金製ボールを回転自在に抱持したボールペンチップ(ボールの縦軸方向の移動量(クリアランス)30μm)を先端に有するインキ収容体の内部に充填させたレフィルを作製し、このレフィルを株式会社パイロットコーポレーション製のゲルインキボールペン(商品名:Juice)に装着し、ボールペンを得た。得られたボールペンを試験用ボールペンとし、以下の筆記抵抗値を測定した。
<筆記抵抗測定>
上記で得られたボールペン用レフィルを外装に装填し、JIS S6039(ISO12757−1)に記載の筆記試験機により、筆記角度65°、筆記荷重100g(0.98N)、筆記速度4m/minにて100m筆記した後、表面性測定機(商品名:HEIDON−14D、新東科学株式会社製、)を用いて、筆記角度70°、4m/min、筆記荷重200g(1.96N)の条件下で、上質紙(旧JIS P3201に規定される筆記用紙Aに相当するもの。化学パルプ100%を原料に抄造され、秤量範囲40〜157g/m 、白色度75.0%以上)上で、直線筆記した際の筆記抵抗を測定した。さらに実施例101〜103および比較例102〜104については比較例101を基準とした改善率、実施例104については比較例105を基準とした改善率、実施例105については比較例106を基準とした改善率を計算した。
Figure 2020180283
Figure 2020180283
表中、
ウォーターブラック191L: 黒色染料、オリエント化学工業株式会社製
微粒子ダイヤモンドD1: 平均粒子径3.6nm(1%水分散液で測定)、コアが実質的にsp3炭素からなり、その表面にsp2を含むアモルファスシェル層を含むダイヤモンド粒子の表面がカルボキシ基で修飾されたコアシェル粒子(イオン性)、変動係数0.306株式会社ダイセル製
微粒子ダイヤモンドD2: 平均粒子径7.1nm(1%水分散液で測定)、コアが実質的にsp3炭素からなり、その表面にsp2を含むアモルファスシェル層を含むダイヤモンド粒子の表面がヒドロキシ基で修飾されたコアシェル粒子(イオン性)、変動係数0.0845、株式会社ダイセル製
微粒子ダイヤモンドD3: 平均粒子径6.1nm(5%水分散液で測定)、コアが実質的にsp3炭素からなり、その表面にsp2を含むアモルファスシェル層を含むコアシェルダイヤモンド粒子(表面未修飾)、変動係数0.180、東京化成工業株式会社製、
シリカS1: コロイダルシリカ、平均粒子径2.6nm(20%水分散液で測定)、スノーテックスST−XS(商品名)、変動係数0.0385、日産化学株式会社製
シリカS2: コロイダルシリカ、平均粒子径149.2nm(4%水分散液で測定)、スノーテックスMP−2040(商品名)、変動係数0.200日産化学株式会社製
<実施例201〜205、比較例201〜205>
インキ組成物を表2に表される組成に変更した以外は実施例101と同様にして実施例201〜205および比較例201〜205のインキ組成物を得た。得られたインキ組成物を用いて、実施例101と同様にしてボールペンレフィルを作製し、評価を行った。 さらに実施例201〜203および比較例202〜103については比較例201を基準とした改善率、実施例204については比較例204を基準とした改善率、実施例205については比較例205を基準とした改善率を計算した。
Figure 2020180283
なお、いずれの実施例および比較例も十分な発色性を示した。
表中、
ピグメントレッド: ピグメントレッド170
ピグメントブルー: ピグメントブルー15
ピグメントグリー: ピグメントグリーン7
<実施例301〜304、比較例301>
下記の配合により、実施例301のインキ組成物を得た。
着色剤(成分(a)): 染料 Spilon Ywllow C-GNH 10.0質量%
着色剤(成分(a)): 染料Valifast Violet 1705 20.0質量%
微粒子ダイヤモンドD4(成分(b): 平均粒子径6.2nm(1%イソプロパノール分散液で測定)、変動係数0.371、コアが実質的にsp3炭素からなり、その表面にsp2を含むアモルファスシェル層を含むダイヤモンド粒子の表面がアルキル基で修飾されたコアシェル粒子、0.007質量%
ポリビニルブチラール樹脂: 「エスレックBL−1」(積水化学工業株式会社製) 12.0質量%
リン酸エステル系界面活性剤: 「フォスファノールRB410」(東邦化学工業株式会社製) 1.0質量%
有機アミン: 「ナイミーンL−201」(日油株式会社製) 1.0質量%
曳糸性付与剤: 「ポリビニルピロリドンK90」(アイエスピー・ジャパン株式会社製)0.5質量%
有機溶剤(成分(c)): フェニルグリコール 15.0質量%
有機溶剤(成分(c)): ベンジルアルコール 残部
また、微粒子ダイヤモンドの添加量を変更して、比較例302〜304および比較例301のインキ組成物を調製した。
なお、微粒子ダイヤモンドについては、前記した条件下、動的光散乱法を用いて平均粒子径を測定した。
また、インキ組成物を表3に表される組成に変更した以外は、実施例301と同様にして実施例302〜304および比較例301のインキ組成物を得た。
上記で得られたインキ組成物(0.2g)を、直径0.7mmの超硬合金製ボールを回転自在に抱持したボールペンチップ(ボールの縦軸方向の移動量(クリアランス)12μm)を先端に有するインキ収容体の内部に充填させたレフィルを作製し、このレフィルを株式会社パイロットコーポレーション製の油性インキボールペン(商品名:アクロボール)に装着し、ボールペンを得た。得られたボールペンを試験用ボールペンとし、以下の条件で、筆記抵抗値を測定した。
<筆記抵抗測定>
上記で得られたボールペン用レフィルを外装に装填し、JIS S6039(ISO12757−1)に記載の筆記試験機により、筆記角度70°、筆記荷重200g(1.96N)、筆記速度4m/minにて100m筆記した後、表面性測定機(商品名:HEIDON−14D、新東科学株式会社製、)を用いて、筆記角度70°、4m/min、筆記荷重200g(1.96N)の条件下で、上質紙(旧JIS P3201に規定される筆記用紙Aに相当するもの。化学パルプ100%を原料に抄造され、秤量範囲40〜157g/m 、白色度75.0%以上)上で、直線筆記した際の筆記抵抗を測定した。さらに実施例301〜304については比較例301を基準とした改善率を計算した。
Figure 2020180283
微粒子ダイヤモンドの種類を変えても、筆記抵抗低減の効果が得られることがわかった。さらに、微粒子ダイヤモンドに変えてsp2炭素が主体の酸化グラフェンを用いた場合、あるいはシリカ粒子を用いた場合には筆記抵抗の変化が無いことがわかった。また、水性インキ組成物において、成分(a)〜(c)に対して、キサンタンガムを加えたときの筆記抵抗改善率より、成分(d)を加えたときの改善率のほうが高い。すなわち、成分(a)〜(c)に加えて、成分(d)の共重合体を組み合わせることで、特に優れた効果が得られた。

Claims (10)

  1. (a)着色剤、
    (b)微粒子ダイヤモンド、および
    (c)溶媒
    を含んでなり、前記微粒子ダイヤモンドが、結晶性、結晶構造、または化学組成が異なる複数の層を含むコアシェル構造を有するボールペン用インキ組成物。
  2. 前記微粒子ダイヤモンドが、高い結晶性を有するコア粒子と、相対的に結晶性の低い結晶性を有するシェル層とを有する、請求項1に記載のボールペン用インキ組成物。
  3. 前記微粒子ダイヤモンドが、ダイヤモンドからなるコア粒子と、有機化合物または有機官能基からなるシェル層とを有する、請求項1に記載のインキ組成物。
  4. 前記官能基が、カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキル基からなる群から選択される、請求項3に記載のインキ組成物。
  5. 前記インキ組成物中で、前記微粒子ダイヤモンドの表面がイオン帯電している、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  6. 前記微粒子ダイヤモンドの比表面積が、200m/g以上、500m/g以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインキ組成物。
  7. 前記微粒子ダイヤモンドの含有率が、前記インキ組成物の総質量を基準として、0.001〜1質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  8. (d)以下の式(i):
    Figure 2020180283
    (式中、Rは、水素またはメチル基である)
    で示される繰り返し単位と、
    以下の式(ii):
    Figure 2020180283
    (式中、
    は、水素またはメチル基であり、かつ
    は、炭素数1〜5の、直鎖または側鎖を有するアルキル基である)
    で示される繰り返し単位と
    を含んでなるアクリル酸共重合体をさらに含んでなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  9. 前記インキ組成物が、水性ボールペン用インキ組成物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインキ組成物。
  10. 請求項1〜9に記載の組成物を収容してなる、ボールペン。
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