以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
(実施の形態1)
<成膜装置の全体構成について>
本実施の形態における成膜装置1の全体構成について、図1〜図9を参照して説明する。図1〜図7は、本実施の形態における成膜装置1の全体構成を模式的に示す断面図である。図8および図9は、本実施の形態における成膜装置1の一部を拡大した部分拡大断面図である。
図1〜4は、成膜装置1のステージ4の上面(サセプタ5の上面)に略垂直な断面(縦断面)であり、図5〜図7は、成膜装置1のステージ4の上面(サセプタ5の上面)に略平行な断面(横断面)であり、図5〜図7のA−A線の位置での断面が、図1および図2にほぼ対応し、図5〜図7のB−B線の位置での断面が、図3および図4にほぼ対応している。なお、ステージ4は昇降可能であり、図1および図3は、ステージ4が上昇位置にある場合の断面図に対応し、図2および図4は、ステージ4が下降位置にある場合の断面図に対応している。
図5〜図7は、ステージ4の上面(サセプタ5の上面)に略平行な断面であるが、断面の高さ位置が互いに相違しており、図2に矢印で示される高さ位置h1での断面が、図5にほぼ対応し、図2に矢印で示される高さ位置h2での断面が、図6にほぼ対応し、図2に矢印で示される高さ位置h3での断面が、図7にほぼ対応している。図5〜7においては、理解を簡単にするために、基板3とステージ4(サセプタ5およびステージ本体部6)とリング部材7とについては、断面では示しておらず、その代わりに、平面視におけるリング部材7と基板3の位置を示してある。但し、図5では、リング部材7の外周の位置および内周の位置と基板3の外周の位置とを実線で示し、図6では、リング部材7の外周の位置を点線で示し、基板3の外周の位置を二点鎖線で示し、図7では、リング部材7の外周の位置および内周の位置をそれぞれ点線で示し、基板3の外周の位置を二点鎖線で示してある。図6では、リング部材7の内周の位置は、ステージストッパ17の内周の位置に重なっている。なお、平面視とは、ステージ4の上面(サセプタ5の上面)に略平行な平面(すなわちX方向およびY方向に平行な平面)で見た場合に対応している。図8は、図3の一部を拡大した部分拡大断面図に対応している。図9は、図8と類似した位置の断面であるが、ステージストッパ17に設けられた不活性ガス導入部28や、固定用のネジ12a,12bが模式的に示されている。
また、図1〜図7にX方向、Y方向およびZ方向が示されている。X方向およびY方向は、いずれも成膜装置1のステージ4(サセプタ5)の上面に略平行な方向であり、X方向とY方向とは互いに直交している。Z方向は、成膜装置1のステージ4(サセプタ5)の上面に略垂直な方向であり、X方向およびY方向の両方に直交している。
成膜装置(原子層堆積装置)1は、ALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)法を用いて成膜を行う成膜装置であり、ALD装置(原子層堆積装置)またはALD成膜装置とみなすことができる。また、本実施の形態では、成膜装置1として、プラズマALD法を用いて成膜を行うプラズマALD装置(プラズマ原子層堆積装置)を使用する場合について説明する。プラズマALD装置においては、反応活性を高めるために、プラズマ放電を行って反応ガスをプラズマ化する。このため、プラズマALD装置では、プラズマ放電を行うため、平行平板電極などが使用される。
以下、成膜装置1の全体構成について、具体的に説明する。
図1〜図9に示されるように、成膜装置1は、ALD法による成膜(成膜処理)が行われるチャンバ(成膜室、成膜容器)2を有している。チャンバ2は、チャンバ内に配置された基板3に対する成膜処理を行うための成膜容器(チャンバ)である。チャンバ2は、天板部2aと、底板部2bと、天板部2aと底板部2bとを繋ぐ(連結する)側壁部2cと、を有している。天板部2aにより、チャンバ2の上面が形成され、底板部2bにより、チャンバ2の底面が形成され、側壁部(側壁)2cにより、チャンバ2の側面が形成される。
なお、本実施の形態において、「チャンバ2の上面」と言うときは、「チャンバ2の内側(内面)における上面」のことを指し、「チャンバ2の側面」と言うときは、「チャンバ2の内側(内面)における側面」のことを指し、「チャンバ2の底面」と言うときは、「チャンバ2の内側(内面)における底面」のことを指すものとする。
また、図5〜図7には、チャンバ2の平面形状が略矩形である場合が示されている。この場合、チャンバ2は、4つの側面10a,10b,10c,10dを有しており、側面10aと側面10bとは、互いに対向し、側面10cと側面10dとは互いに対向している。チャンバ2の側面10a,10b,10c,10dは、チャンバ2の側壁部2cにより形成されている。側面10aは、側面10c,10dのそれぞれと直交し、また、側面10bは、側面10c,10dのそれぞれと直交している。このため、側面10a,10bのそれぞれは、Z方向およびY方向に略平行であり、また、側面10c,10dのそれぞれは、Z方向およびX方向に略平行である。他の形態として、チャンバ2の平面形状が円形状の場合もあり得る。
チャンバ2内には、処理対象物である基板3を搭載(配置)するためのステージ4が配置されている。ステージ4は、基板3を保持するためのサセプタ(基板保持体)5と、サセプタ5を支持するステージ本体部6と、を有している。ステージ本体部6上にサセプタ5が配置されて支持(保持)されている。サセプタ5の上面が、ステージ4の上面を構成している。サセプタ5は、例えばネジ12aなどの固定部材によりステージ本体部6に取り付けられて固定されている。
基板3は、サセプタ5上に配置されて保持されている。サセプタ5上に配置された基板3は、サセプタ5に接しており、具体的には、基板3の下面(裏面)がサセプタ5の上面に接している。サセプタ5は、導電性を有していることが好ましい。このため、サセプタ5は、好ましくは金属材料からなる。ステージ4(より特定的にはサセプタ5)は、下部電極としての機能も有している。
また、ステージ4は、基板3を加熱するための加熱機構(例えばヒータ)を含んでいる。このため、ステージ4は、サセプタ5を所望の温度に加熱することができる。具体的には、ステージ4を構成するステージ本体部6がヒータ(加熱機構)を内蔵しているが、サセプタ5がヒータ(加熱機構)を内蔵する場合もあり得る。ステージ4が備えるヒータ(加熱機構)によってサセプタ5を加熱し、それによってサセプタ5上に配置された基板3を加熱することができ、基板3の温度を所望の温度に制御することができる。例えば、成膜処理時に、ステージ4上に保持される基板3は、50〜300℃程度に加熱される。基板3としては、種々の基板を用いることができるが、例えば、半導体基板、ガラス基板、またはフレキシブル基板などを用いることができる。サセプタ5の平面形状は、サセプタ5上に配置する基板3の平面形状に対応する平面形状とすることができる。例えば、基板3の平面形状が円形状の場合は、サセプタ5の平面形状も円形状とすることができる。また、基板3の平面形状が四角形状(より特定的には長方形状)の場合は、サセプタ5の平面形状も四角形状(より特定的には長方形状)とすることができる。
ステージ4は、サセプタ5上に配置されたリング部材7を更に有している。具体的には、サセプタ5の外周部(周縁部)上に、リング部材7が配置されている。リング部材7は、例えばネジ12bなどの固定部材によりサセプタ5に取り付けられて固定されている。リング部材7はサセプタ5に固定され、サセプタ5はステージ本体部6に固定されているため、ステージ4を昇降させる際には、ステージ本体部6とサセプタ5とリング部材7とが一緒になって昇降する。
ここでは、ステージ本体部6とサセプタ5とリング部材7とを合わせたものをステージ4とみなしている。別の見方をすると、ステージ本体部6をステージとみなし、そのステージ上にサセプタ5が配置され、そのサセプタ5上にリング部材7が配置されているとみなすこともでき、また、更に別の見方をすると、ステージ本体部6とサセプタ5とを合わせたものをステージとみなし、そのサセプタ5上にリング部材7が配置されているとみなすこともできる。
リング部材7は、サセプタ5の上面全体を覆うのではなく、サセプタ5の上面の外周部を覆っており、平面視におけるリング部材7の内側(すなわちリング部材7の開口部と平面視で重なる領域)では、サセプタ5の上面が露出され、そのサセプタ5の露出面上に基板3が配置される。このため、ステージ4上に基板3を配置する場合は、基板3はサセプタ5上に配置されてそのサセプタ5に基板3の裏面が接するが、リング部材7には基板3は接触しない。サセプタ5上に基板3を配置した状態では、平面視において、基板3はリング部材7には重なっておらず、リング部材7の内側に基板3が配置される。リング部材7の熱伝導率は、サセプタ5の熱伝導率よりも低い。すなわち、リング部材7は、サセプタ5よりも熱伝導率が低い材料により形成されている。また、リング部材7は、導電性を有していることが好ましい。このため、リング部材7は、好ましくは金属材料からなる。
リング部材7は、開口部を有するリング状(環状)の部材である。サセプタ5の上面において、リング部材7はサセプタ5の外縁(外周)に沿うように延在している。このため、リング部材7の外縁(外周)は、サセプタの外縁(外周)にほぼ整合しており、リング部材7の外縁は、サセプタ5の平面形状に対応する平面形状を有することができる。例えば、サセプタ5の平面形状が円形状の場合は、平面視において、リング部材7の外縁も円形状とすることができる。また、サセプタ5の平面形状が四角形状(より特定的には長方形状)の場合は、平面視において、リング部材7の外縁も四角形状(より特定的には長方形状)とすることができる。このため、リング部材7の平面形状は、円形状に限定されるものではない。
また、リング部材7の開口部の平面形状は、リング部材7の外縁の平面形状に対応する平面形状を有することが好ましい。例えば、リング部材7の外縁の平面形状が円形状の場合は、リング部材7の開口部の平面形状も円形状とすることができる。また、リング部材7の外縁の平面形状が四角形状(より特定的には長方形状)の場合は、リング部材7の開口部の平面形状も四角形状(より特定的には長方形状)とすることができる。また、平面視において、リング部材7の平面寸法(平面積)は、後述するステージストッパ17の平面寸法(平面積)よりも小さい。
また、図1〜図4の場合は、サセプタ5において、外周部の厚さを、外周部よりも内側の領域(すなわち外周部以外の領域)の厚さよりも薄くしておき、その厚さが薄い外周部上にリング部材7を配置している。この場合、リング部材7が配置されている部分のサセプタ5の厚さは、基板3が配置されている部分のサセプタ5の厚さよりも薄くなる。これにより、リング部材7の上面の高さ位置を低くすることができ、図8のように、リング部材7の上面の高さ位置を、基板3が搭載される部分のサセプタ5の上面の高さ位置よりも低くすることができる。こうすることで、サセプタ5上に配置されている基板3に対して所望の膜を形成する際に、リング部材7やステージストッパ17が邪魔になるのを防止することができる。例えば、ステージ4が上昇位置にあるときに、基板3が搭載される部分のサセプタ5の上面の高さ位置を、ステージストッパ17の上面の高さ位置と同じか、それよりも高くすることができる。
チャンバ2内には、ステージ4(サセプタ5)の上方に上部電極(平板電極)8が配置されている。チャンバ2内において、上部電極8は、ステージ4(サセプタ5)の上方に配置され、従って、ステージ4(サセプタ5)上に配置された基板3の上方に配置されている。このため、チャンバ2内において、上部電極8は、ステージ4(サセプタ5)と対向するように、配置されている。上部電極8とサセプタ5とは、互いに対向し、サセプタ5の上部電極8に対向する側の主面(上面)上に、基板3が配置される。上部電極8と、下部電極(ここではサセプタ5)とにより、平行平板電極が構成される。上部電極8は、チャンバ2の天板部2aに支持(保持)されている。
上部電極8には、高周波電源9が電気的に接続されている。高周波電源9によって上部電極8に、従って上部電極8とステージ4(より特定的にはサセプタ5)との間に、高周波電力を印加することができ、それによって、上部電極8とステージ4(より特定的にはサセプタ5)との間に、高周波電界を発生させることができる。サセプタ5は、好ましくは、接地電位(グランド電位)に接続されている。高周波電源9は、チャンバ2の外に配置することができる。ステージ4が上昇位置にある場合には、上部電極8とステージ4(サセプタ5)との間の空間が、プラズマ(プラズマ放電)が生成される空間(放電空間、プラズマ放電空間、プラズマ生成空間)となる。
また、チャンバ2内において、上部電極8の下面および側面を覆う防着部材(防着板)11を設けることもできる。防着部材は、上部電極8に取り付けられて固定されている。なお、上部電極8の下面は、上部電極8において、ステージ4(サセプタ5)に対向する側の主面である。防着部材11は、基板3上に所望の膜を形成する際に、上部電極8の下面や側面に不要な膜が形成される(付着する)のを抑制または防止するために、設けられている。
また、チャンバ2には、チャンバ2内にガスを導入(供給)するためのガス導入部(ガス供給部、ガス導入用開口部、開口部)13と、チャンバ2内からガスを排気(排出)するためのガス排気部(ガス排出部、排気用開口部、開口部)14,15と、基板3を出し入れするための開口部(基板搬送用開口部)16と、ステージストッパ17とが設けられている。ガス導入部13とガス排気部14と開口部16とステージストッパ17とは、いずれもチャンバ2の側壁部2cに設けられている。但し、チャンバ2の側壁部2cにおいて、ガス導入部13およびガス排気部14は、ステージストッパ17よりも高い位置に設けられており、開口部16は、ステージストッパ17よりも低い位置に設けられている。また、チャンバ2において、ガス排気部15は、ステージストッパ17よりも低い位置に設けられており、例えば、チャンバ2の底板部2bに設けられている。
開口部16は、基板3の搬送用の開口部であり、開口部16からチャンバ2内に基板3が搬入され、また、開口部16からチャンバ2外へ基板3が搬出される。図1、図2および図5の場合、開口部16は、ステージストッパ17よりも低い位置において、側面10cを形成する側壁部2cを貫通する開口部として設けられている。
ガス導入部13およびガス排気部14のそれぞれは、チャンバ2の側壁部2cに設けられた開口部である。ガス導入部13からチャンバ2内に導入されるガスは、原料ガスやパージガスや反応ガスである。チャンバ2の側壁部2cにおいて、ガス導入部13とガス排気部14とは、互いに対向する位置(ここではY方向に対向する位置)に設けられている。図3、図4および図7の場合は、チャンバ2の側面10cを形成する側壁部2cに、ガス導入部13を構成する開口部が設けられ、チャンバ2の側面10dを形成する側壁部2cに、ガス排気部14を構成する開口部が設けられている。
チャンバ2のガス排気部14,15は、それぞれ、配管を通じて真空ポンプ(図示せず)などに接続されており、ガス排気部14,15を介してチャンバ2からガスを排気(排出)するとともに、チャンバ2内を所定の圧力に制御できるようになっている。すなわち、チャンバ2内は、真空に維持することもでき、また、所望の圧力に制御することもできる。ガス排気部14からのガスの排気と、ガス排気部15からのガスの排気とは、独立に制御することができる。ガス排気部14を介して後述する空間20aからガスを排気し、ガス排気部15を介して後述する空間20bからガスを排気することができる。
ステージ4が上昇位置にある場合には、ガス導入部13およびガス排気部14のそれぞれの少なくとも一部は、上部電極8とステージ4(サセプタ5)との間の空間と同じ高さ位置にあることが好ましい。ガス導入部13からチャンバ2内に導入されたガス(原料ガス、パージガス、反応ガス)は、ガス導入部13からガス排気部14に向けて流れるため、上部電極8とステージ4(サセプタ5)との間の空間を通過して、ガス排気部14から排気される。このため、成膜処理(後述のステップS3)の際には、上部電極8とステージ4(サセプタ5)との間の空間に、原料ガス、パージガス、および反応ガスを供給する(流す)ことができる。
チャンバ2の開口部16には、ゲートバルブなどの開閉部(開閉機構)18が接続されており、開閉部18を介して、開口部16に基板搬送経路(搬送室)19が接続(連結)されている。開閉部18および基板搬送経路19は、チャンバ2の外に配置されており、チャンバ2と基板搬送経路19とは、開閉部18によって区画されている。開閉部18は、開閉部18の開状態(開閉部18を開けた状態)と閉状態(開閉部18を閉じた状態)とを切り換えることができ、それによって、開口部16の実質的な開閉を制御することができる。
基板搬送経路19は、基板3の搬入および搬出に用いられる経路(空間)である。基板搬送経路19は、開閉部18と搬送室とを繋ぐ搬送経路(搬送空間)であってもよいが、基板搬送経路19自身が搬送室であってもよい。基板搬送経路19から、開状態の開閉部18および開口部16を介して、チャンバ2内に基板3を搬入することができ、また、チャンバ2から開口部16および開状態の開閉部18を介して、基板搬送経路19に基板3を搬出することができる。
ステージ4は、チャンバ2内において、昇降可能である(上下移動が可能である)。このため、成膜装置1は、ステージ4を昇降(上下移動、昇降移動)させるための駆動機構(昇降機構、動作機構、駆動部)21も有している。ステージ4にシャフト22が連結され、そのシャフト22が駆動機構21に接続されている。シャフト22は、ステージ4を構成するステージ本体部6の下部に連結することができる。駆動機構21は、チャンバ2の外側に設けられている。駆動機構21によってシャフト22を上下移動(昇降)させることにより、シャフト22に連結されたステージ4を上下移動(昇降)させることができる。なお、チャンバ2外に位置する部分のシャフト22は、ベローズチューブ(図示せず)を通すことができる。
成膜装置1は、駆動機構21を制御する制御部23を有している。制御部23は、チャンバ2の外部に設けることができる。制御部23によって駆動機構21が制御され、それによって、ステージ4の上下移動が制御される。駆動機構21としては、例えばエアシリンダなどを用いることができる。
ステージ4は、下降位置(ステージ4が下降した位置)と上昇位置(ステージ4が上昇した位置)との間を上下に移動することができる。下降位置は、基板搬送用の位置とみなすこともでき、上昇位置は、成膜用の位置とみなすこともできる。
ステージ4が下降位置にあるときは、ステージ4の上面(すなわちサセプタ5の上面)は、ステージストッパ17よりも低い位置にあり、リング部材7はステージストッパ17から所定の距離だけ離間しており、開口部16の少なくとも一部は、ステージ4の上面(すなわちサセプタ5の上面)よりも高い位置にある。開口部16からチャンバ2内への基板3の搬入や開口部16からチャンバ2外への基板3の搬出を行う際には、ステージ4は下降位置にある。
ステージストッパ17は、チャンバ2の側壁部2cに接続されている。具体的には、ステージストッパ17は、チャンバ2の側壁部2cに取り付けられて固定されている。ステージストッパ17の外周は、チャンバ2の側面10a,10b,10c,10dに接している。ステージストッパ17は、ステージの上昇を止める機能を有している。サセプタ5の外周部上にリング部材7が設けられており、ステージ4が下降位置にあるときは、リング部材7はステージストッパから離間しているが、ステージ4が上昇すると、ステージ4の上昇とともにリング部材7がステージストッパ17に近づいて接触し、リング部材7がステージストッパ17に接触した状態で、ステージ4の上昇が停止する。
ステージストッパ17は、例えば板状の部材とすることができる。ステージストッパ17の平面形状は、チャンバ2の側面10a,10b,10c,10dに沿う外形を有している。すなわち、ステージストッパ17は、平面視において、側面10aに沿う辺と、側面10bに沿う辺と、側面10cに沿う辺と、側面10dに沿う辺とを有する四角形状の外形を有しているが、中央付近に開口部(貫通孔)24を有している。ステージ4が上昇位置にあるとき、リング部材7は、ステージストッパ17における開口部24の周縁部と接触するが、平面視においてリング部材7の内側に位置する部分のサセプタ5と、そのサセプタ5上に配置された基板3とは、ステージストッパ17に接触しない。ステージ4が上昇位置にあるとき、開口部24は、平面視において、リング部材7の内側に位置する部分のサセプタ5と重なっており、従って、サセプタ5上に配置された基板3は、平面視において、開口部24に内包されている。ステージストッパ17は、チャンバ2の側壁部2cにネジ(固定部材)などで固定することができるが、他の形態として、ステージストッパ17をチャンバ2の側壁部2cと一体的に形成することもできる。また、ステージストッパ17は、導電性を有していることが好ましい。このため、ステージストッパ17は、好ましくは金属材料からなる。
ステージストッパ17の開口部24の平面形状は、サセプタ5の平面形状に対応する平面形状とすることができる。例えば、サセプタ5の平面形状が円形状の場合は、ステージストッパ17の開口部24の平面形状も円形状とすることができる。また、サセプタ5の平面形状が四角形状(より特定的には長方形状)の場合は、ステージストッパ17の開口部24の平面形状も四角形状(より特定的には長方形状)とすることができる。
ステージ4が上昇位置にあるときは、リング部材7が、ステージストッパ17と接触しており、サセプタ5の上面は、開口部16よりも高い位置にある。ステージ4(サセプタ5)上に配置された基板3に対する成膜処理を行う際には、ステージ4は上昇位置にある。
ステージ4が上昇位置にあるときは、ステージストッパ17と、サセプタ5と、リング部材7と、ステージストッパ17よりも上(高い位置)に位置する部分のチャンバ2の内面(側面および上面)とにより囲まれた空間(成膜空間)20aが規定(形成)される。基板3に対して成膜処理を行う際には、この空間20aに基板3が配置され、この空間20aにガス導入部13から成膜用のガスが導入される。このため、この空間20aは、基板3に対する成膜処理が行われる成膜空間(成膜用の空間、成膜室)として機能する。
また、ステージ4が上昇位置にあるときは、ステージストッパ17と、ステージ4と、ステージストッパ17よりも下(低い位置)に位置する部分のチャンバ2の内面(側面および下面)とにより囲まれた空間20bも規定(形成)される。基板3に対して成膜処理を行う際には、この空間20bに基板3は配置されないため、この空間20bは、成膜空間(成膜室)としては機能せず、基板3への成膜処理自体には寄与しない空間である。空間20aは、チャンバ2内の上部に対応し、空間20bは、チャンバ2内の下部に対応している。チャンバ2内の上部は成膜に用い、チャンバ2内の下部は基板3の搬送(チャンバ2内への搬入およびチャンバ2外への搬出)に用いるため、空間20bは、基板搬送用の空間とみなすこともできる。ステージ4を上昇させることで、ステージ4上の基板3を基板搬送用の空間から成膜用の空間に移動させることができ、また、ステージ4を下降させることで、ステージ4上の基板3を成膜用の空間から基板搬送用の空間に移動させることができる。
ステージ4が上昇位置にあるときは、ステージストッパ17とリング部材7とが接触しているため、空間20aと空間20bとはつながっておらず、遮断されている。ステージストッパ17とリング部材7とが、成膜用の空間(成膜空間)20aと基板搬送用の空間20bとを遮断(区画)する仕切り部材(仕切り板)として機能することができる。このため、基板3上に所望の膜を形成する際には、空間20bから成膜用の空間20aへのガスの流入を防止することができるので、成膜用の空間20aへの不要なガスの流入を防止することができ、従って、基板上に所望の膜を的確に形成することができる。また、基板3上に所望の膜を形成する際には、成膜用の空間20aから空間20bへのガスの流入を防止することができるため、空間20b内に配置された部材や空間20bを囲むチャンバ2の内面などに不要な膜が形成されてしまうのを防止することができる。
また、チャンバ2内におけるステージストッパ17よりも高い位置において、チャンバ2の側壁部2cに防着部材(防着板)25a,25b,25c,25dを取り付けることもできる。防着部材25a,25b,25c,25dは、基板3上に所望の膜を形成する際に、チャンバ2の側壁部2c(側面10a,10b,10c,10d)に不要な膜が形成される(付着する)のを抑制または防止するために、設けられる。ガス導入部13、ガス排気部14,15および開口部16は、防着部材25a,25b,25c,25dで塞がれてはいない。
防着部材11,25a,25b,25c,25dは、着脱可能である。メンテナンス時などに、防着部材11,25a,25b,25c,25dを取り外し、防着部材11,25a,25b,25c,25dをクリーニング処理してから、防着部材11,25a,25b,25c,25dを再度取り付けることができる。
また、チャンバ2の側壁部2cには、チャンバ2内に不活性ガスを導入(供給)する不活性ガス導入部(不活性ガス供給部、不活性ガス供給口、開口部)26,27が必要に応じて設けられている。不活性ガス導入部27は、成膜用の空間20aに不活性ガスを導入するために設けられているため、ステージストッパ17よりも高い位置に設けられている。不活性ガス導入部26は、空間20bに不活性ガスを導入するために設けられているため、ステージストッパ17よりも低い位置に設けられている。
例えば、チャンバ2の各側面10a,10b,10c,10dにおいて、ステージストッパ17よりも高い位置に、不活性ガス導入部27を1箇所以上設けることができる。不活性ガス導入部27からチャンバ2内に導入する不活性ガスとして、窒素ガスを用いる場合もあり得る。不活性ガス導入部27からチャンバ2(空間20a)内に導入される不活性ガスは、主として防着部材25a,25b,25c,25dの表面に供給される。これにより、基板3上に所望の膜を形成する際に、防着部材25a,25b,25c,25dの表面に不要な膜が形成される(付着する)のを抑制することができる。不活性ガス導入部27は、シャワーヘッド構造を有することもできる。
また、ステージストッパ17には、チャンバ2(空間20a)内に不活性ガスを導入(供給)する不活性ガス導入部(不活性ガス供給部、不活性ガス供給口、開口部)28が設けられている。不活性ガス導入部28は、チャンバ2(空間20a)内に不活性ガスを導入(供給)するための流路(ガス流路)とみなすこともできる。不活性ガス導入部28からチャンバ2内に導入する不活性ガスとして、窒素ガスを用いる場合もあり得る。不活性ガス導入部28からチャンバ2(空間20a)内に導入される不活性ガスは、主としてステージストッパ17とサセプタ5との隙間に供給される。これにより、基板3上に所望の膜を形成する際に、ステージストッパ17とサセプタ5との隙間に不要な膜が形成される(付着する)のを抑制することができる。
具体的に説明すると、サセプタ5の外周部の厚さは、外周部よりも内側におけるサセプタ5の厚さよりも薄くなっており、厚さが薄い外周部上にリング部材7が配置されている。このため、サセプタ5の上面においては、厚さが薄い外周部と、外周部よりも内側の厚い部分との境界に、段差29が存在する。そして、リング部材7の内周側の側面30とサセプタ5の段差29との間に、隙間が発生する。なお、リング部材7の内周側の側面30は、リング部材7の開口部24の内壁を構成する側面に対応している。不活性ガス導入部28から導入される不活性ガスが、リング部材7の内周側の側面30とサセプタ5の段差29との間の隙間に供給されることにより、成膜処理時にこの隙間に不要な膜が形成される(付着する)のを抑制または防止することができる。
<成膜工程について>
成膜装置1を用いた成膜工程(ALD法による成膜工程)について、図10〜図20を参照して説明する。図10は、成膜装置1を用いた成膜工程を示す工程フロー図である。図11〜図17、図19および図20は、成膜装置1を用いた成膜工程を示す説明図(断面図)であり、このうち、図11〜図13、図19および図20には、上記図1および図2に対応する断面位置(すなわち上記図5〜図7のA−A線の位置での断面)が示され、図14〜図17には、上記図3および図4に対応する断面位置(すなわち上記図5〜図7のB−B線の位置での断面)が示されている。図18は、成膜工程における成膜処理ステップ(ステップS2)の説明図である。
成膜装置1を用いた成膜工程は、次のようにして行うことができる。
まず、成膜処理を行う処理対象物である基板3を、成膜装置1のチャンバ2内に搬入する(図10のステップS1)。このステップS1(基板搬入ステップ)は、具体的には、次のようにして行うことができる。
ステージ4は、昇降可能であり、下降位置と上昇位置との間を上下に移動することが可能であるが、ステップS1の段階では、ステージ4は下降位置にある。
まず、図11に示されるように、基板搬送用のロボットアーム(基板搬送用ハンド)31に基板3を配置または保持し、搬送室などから基板搬送経路19に基板3を搬送する。これにより、ロボットアーム31に配置(保持)された基板3が、基板搬送経路19内で待機した状態になる。
次に、開閉部18を開く。これにより、チャンバ2内の空間と、基板搬送経路19の空間とが、開口部16および開状態の開閉部18を介して、連続的に(空間的に)繋がった状態になる。
次に、ロボットアーム31を動かすことにより、ロボットアーム31に配置された基板3を、開口部16からチャンバ2内に搬入し、その基板3をステージ4(サセプタ5)上に配置する。ステージ4に基板3を渡したロボットアーム31は、基板搬送経路19に戻る。
ロボットアーム31からステージ4への基板3の受け渡しには、例えばステージ4に設けたリフトピン(図示せず)などを用いることができる。リフトピンはサセプタ5を貫通し、リフトピンが上昇すると、サセプタ5の上面からそのリフトピンが突出した状態になり、リフトピンが下降すると、サセプタ5の上面からリフトピンが突出していない状態になり、リフトピンによって基板3を上下移動(昇降移動)させることができる。例えば、基板3がステージ4の上方に位置するまでロボットアーム31を水平方向に移動させてから、ステージ4が備えるリフトピンを上昇させてそのリフトピンで基板3を持ち上げて支持し、その後、ロボットアーム31が基板搬送経路19に戻り、リフトピンは下降して、基板3がステージ4(サセプタ5)上に配置されて支持された状態になる。
次に、開閉部18を閉じる。これにより、開閉部18が開状態から閉状態に切り換えられ、それによって、チャンバ2内の空間と、基板搬送経路19の空間とが、閉状態の開閉部18によって遮られた状態になる。図12には、この段階が示されている。
このようにして、ステップS1を行うことができる。ステップS1を行うことにより、チャンバ2内に基板3が搬入され、チャンバ2内のステージ4(サセプタ5)上にその基板3が配置される。
次に、図13に示されるように、制御部23により駆動機構21を制御し、駆動機構21によってシャフト22を上昇させることで、シャフト22に連結されたステージ4を上昇させる(図10のステップS2)。すなわち、ステージ4を下降位置から上昇位置に移動させる。ステージ4が上昇位置まで上昇すると、サセプタ5上に設けたリング部材7が、ステージストッパ17と接触する。言い換えると、サセプタ5上に設けたリング部材7がステージストッパ17と接触するまで、ステージ4を上昇させる。ステージ4が上昇してリング部材7がステージストッパ17に接触することにより、基板3に対する成膜処理が行われる空間(成膜空間)20aが規定される。図13には、この段階が示されている。基板3は、この空間20aに配置されている。
次に、チャンバ2内のステージ4(サセプタ5)上に配置された基板3に対して、すなわち空間20a内の基板3に対して、成膜処理を行う(図10のステップS3)。ステップS3を行っている間、ステージ4は上昇位置を維持している。ステップS3(成膜処理ステップ)は、具体的には、次のようにして行うことができる。
まず、不活性ガス導入部27,28からチャンバ2(空間20a)内に、不活性ガスを導入(供給)する。不活性ガス導入部27,28からチャンバ2(空間20a)内に導入する不活性ガスとして、窒素ガスを用いる場合もあり得る。不活性ガス導入部27,28からチャンバ2(空間20a)内への不活性ガスの導入は、後述の第1ステップ、第2ステップ、第3ステップおよび第4ステップでも継続される。
次に、以下に説明する第1ステップ、第2ステップ、第3ステップおよび第4ステップを、複数サイクル繰り返すことで、基板3の表面上に、所望の膜(例えば酸化アルミニウム膜)を所望の厚さに形成することができる。以下、具体的に説明する。
まず、第1ステップ(原料ガス供給ステップ)として、図14に示されるように、原料ガスをガス導入部13からチャンバ2(空間20a)内に導入(供給)する。酸化アルミニウム膜を成膜する場合は、原料ガスとしては、例えばTMA(Trimethylaluminium:トリメチルアルミニウム)ガスを用いることができる。ガス導入部13からチャンバ2(空間20a)内に導入された原料ガスは、主として、上部電極8とサセプタ5との間の空間を通って、ガス排気部14から排気される。第1ステップを行うと、サセプタ5上に配置された基板3の表面上に、原料ガスの分子が吸着する。すなわち、基板3の表面に、原料ガスの吸着層が形成される(図18の(b)参照)。
なお、図18の(a)には、ステップS1でチャンバ2内に搬入されてステージ4上に配置された基板3が示されている。また、図18の(b)には、第1ステップを行うことにより、基板3上の空間に原料ガス61(ガス導入部13から供給された原料ガス)と不活性ガス62(不活性ガス導入部27,28から供給された不活性ガス)とが供給され、基板3の表面に原料ガスの吸着層63が形成された状態が示されている。
次に、第2ステップ(パージステップ)として、チャンバ2(空間20a)内への原料ガスの導入を停止し、図15に示されるように、パージガスをガス導入部13からチャンバ2(空間20a)内に導入(供給)する。パージガスとしては、不活性ガスを好適に用いることができ、窒素ガス(N2ガス)を用いる場合もあり得る。パージガスを導入することで、基板3の表面に吸着していた原料ガス分子(原料ガスの吸着層)は残存するが、それ以外の原料ガス(基板3に吸着していない原料ガス)は、パージガスと一緒にガス排気部14からチャンバ2外に排気される(パージされる)。
なお、図18の(c)には、第2ステップを行うことにより、基板3上の空間にパージガス64(ガス導入部13から供給されたパージガス)と不活性ガス62(不活性ガス導入部27,28から供給された不活性ガス)とが供給され、基板3の表面の吸着層63は残存している状態が示されている。
次に、第3ステップ(反応ガス供給ステップ)として、図16に示されるように、反応ガスをガス導入部13からチャンバ2(空間20a)内に導入(供給)する。酸化アルミニウム膜を成膜する場合は、反応ガスとしては、例えばO2ガス(酸素ガス)を用いることができる。ガス導入部13からチャンバ2(空間20a)内に導入された反応ガスは、主として、上部電極8とサセプタ5との間の空間を通って、ガス排気部14から排気される。そして、高周波電源9により、上部電極8に、従って上部電極8とサセプタ5との間に、高周波電力を印加する。これにより、上部電極8とサセプタ5との間の空間にプラズマ放電が発生し、その空間の反応ガス(ここではO2ガス)はプラズマ化して、反応ガスにラジカル(活性種)が生成され、基板3の表面に吸着していた原料ガス分子(原料ガスの吸着層)が反応ガスと反応する。これにより、基板3の表面に、原料ガスの吸着層と反応ガス(反応ガスのプラズマ)との反応層である酸化アルミニウムの原子層(一層)が形成される。
なお、図18の(d)には、第3ステップを行うことにより、基板3上の空間に反応ガス65(ガス導入部13から供給された反応ガス)と不活性ガス62(不活性ガス導入部27,28から供給された不活性ガス)とが供給され、基板3の表面に、吸着層63と反応ガスとの反応層である原子層66が形成された状態が示されている。
次に、第4ステップ(パージステップ)として、チャンバ2(空間20a)内への反応ガスの導入と上部電極8への高周波電力の印加を停止し、図17に示されるように、パージガスをガス導入部13からチャンバ2(空間20a)内に導入(供給)する。パージガスとしては、不活性ガスを好適に用いることができ、窒素ガス(N2ガス)を用いる場合もあり得る。パージガスを導入することで、反応ガスは、パージガスと一緒にガス排気部14からチャンバ2外に排気される(パージされる)。
なお、図18の(e)には、第4ステップを行うことにより、基板3上の空間にパージガス67(ガス導入部13から供給されたパージガス)と不活性ガス62(不活性ガス導入部27,28から供給された不活性ガス)とが供給され、基板3の表面の原子層66は残存している状態が示されている。
このような第1ステップ、第2ステップ、第3ステップおよび第4ステップを、複数サイクル繰り返すことで、基板3の表面上に、所望の膜(例えば酸化アルミニウム膜)を所望の厚さに形成することができる。例えば、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップおよび第4ステップを、30サイクル繰り返せば、30層の原子層からなる膜が形成され、また、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップおよび第4ステップを、60サイクル繰り返せば、60層の原子層からなる膜が形成されることになる。
第1ステップ、第2ステップ、第3ステップおよび第4ステップを、複数サイクル繰り返すことで、基板3の表面上に所望の膜を形成した後、不活性ガス導入部27,28からチャンバ2内への不活性ガスの導入を停止する。
また、ステップS3を行っている間、ステージ4が備えるヒータ(加熱機構)によってサセプタ5を加熱し、それによってサセプタ5上に配置された基板3を加熱することができ、基板3の温度を所望の温度に制御することができる。ステップS3におけるサセプタ5の温度(加熱温度)は、例えば50〜400℃程度である。
また、ステップS3を行っている間、不活性ガス導入部26からチャンバ2(空間20b)内への不活性ガスの供給と、ガス排気部15からの排気(空間20bのガスの排気)とを行うこともでき、それによって、空間20bの圧力を制御することもできる。例えば、空間20bの圧力を、成膜用の空間20aの圧力よりも若干低くすることができる。これにより、空間20bから成膜用の空間20aへ不要なガスが流入してしまうのを、より的確に防止することができる。
このようにして、ステップS3の成膜処理ステップを行うことで、基板3に所望の膜を成膜した後、図19に示されるように、制御部23により駆動機構21を制御し、駆動機構21によってシャフト22を下降させることで、シャフト22に連結されたステージ4を下降させる(図10のステップS4)。すなわち、ステージ4を上昇位置から下降位置に移動させる。ステージ4が下降すると、サセプタ5上に設けたリング部材7は、ステージストッパ17から離間する。
次に、基板3を、成膜装置1のチャンバ2内からチャンバ2外に搬出する(図10のステップS5)。ステップS5の段階では、ステージ4は下降位置にある。このステップS5(基板搬出ステップ)は、具体的には、次のようにして行うことができる。
すなわち、開閉部18を開いてから、ロボットアーム31を開口部16からチャンバ2内に移動させ、ステージ4からロボットアーム31に基板3を受け渡してから、基板3が配置されたロボットアーム31を基板搬送経路19に戻す。その後、開閉部18を閉じる。図20には、この段階が示されている。
ステージ4からロボットアーム31への基板3の受け渡しには、例えばステージ4に設けたリフトピン(図示せず)などを用いることができる。例えば、まず、ステージ4上に基板3が配置されている状態で、ステージ4が備えるリフトピンを上昇させることで、そのリフトピンで基板3を持ち上げて支持する。それから、リフトピンで持ち上げられている基板3の下までロボットアーム31を移動させてから、リフトピンを下降させることで、基板3はロボットアーム31上に配置された状態になる。その後、基板3が配置されたロボットアーム31を基板搬送経路19に戻す。
このようにして、ステップS5(基板搬出ステップ)を行うことができる。ステップS5を行うことにより、成膜処理が行われた基板3をチャンバ2外に搬出することができる。チャンバ2から基板搬送経路19へ搬出された基板3は、基板3に対する次の処理を行うために、次の製造装置に搬送される。
<検討の経緯について>
成膜装置においては、チャンバ内のステージ上に基板を配置し、その基板上に所望の膜を形成する。このため、成膜処理を行うためには、処理対象物である基板をチャンバ内に搬入し、また、成膜処理が終了したら、基板をチャンバ外に搬出する必要がある。
本発明者は、チャンバ内のステージを昇降可能とし、ステージを下降させた位置で、チャンバ内に基板を搬入してステージ上にその基板を配置してから、ステージを上昇させ、ステージが上昇した位置でステージ上の基板に成膜処理を施すことを検討している。この場合、チャンバの側壁部にステージストッパを設けることが有効である。
チャンバの側壁部において、ステージストッパよりも低い位置に基板搬送用の開口部を設けておき、その開口部からチャンバ内に基板を搬入してステージ上にその基板を配置する。それから、基板を配置したステージを上昇させ、そのステージがステージストッパに接触することにより、基板に対する成膜処理が行われる成膜空間が規定され、ステージ上の基板は、その成膜空間に配置された状態になる。そして、その成膜空間で、ステージ上の基板に対する成膜処理を行うことができる。
しかしながら、この場合、図21および図22を参照して説明する以下のような課題が発生することが、本発明者の検討により分かった。図21および図22は、本発明者が検討した検討例の成膜装置101の断面図であり、図21は、本実施の形態の上記図1に対応するものであり、図22は、本実施の形態の上記図3に対応するものである。
図21および図22に示される検討例の成膜装置101は、上記チャンバ2に対応するチャンバ102と、上記ステージ4に対応するステージ104と、上記上部電極8に対応する上部電極108と、上記高周波電源9に対応する高周波電源109とを有している。検討例の成膜装置101は、更に、上記防着部材11,25a,25bに対応する防着部材111,125a,125bと、上記ステージストッパ17に対応するステージストッパ117とを有している。チャンバ102には、上記ガス導入部13に対応するガス導入部113と、上記ガス排気部14,15に対応するガス排気部114,115と、上記開口部16に対応する開口部116とが設けられている。
比較例の成膜装置101の場合は、ステージ104は、上記基板3に対応する基板103を保持するためのサセプタ105と、サセプタ105を支持するステージ本体部106とを有しているが、上記リング部材7に相当するものは有していない。すなわち、サセプタ105上には、上記リング部材7に相当するものは、配置されていない。
上記ステージ4と同様に、ステージ104も、チャンバ102内において、昇降可能である。すなわち、上記ステージ4と同様に、ステージ104も、下降位置と上昇位置との間を移動可能である。ステージ104が下降位置にあり、かつ、サセプタ105がステージストッパ117から離間した状態で、開口部116からチャンバ102内への基板103の搬入が行われ、サセプタ105上に基板103が配置される。それから、ステージ104を上昇させ、サセプタ105がステージストッパ117に接触することにより、基板103に対する成膜処理が行われる成膜空間が規定され、サセプタ105上の基板103は、その成膜空間に配置された状態になる。図21および図22はこの状態に対応している。そして、その成膜空間で、サセプタ105上の基板103に対する成膜処理を行うことができる。
ところで、サセプタ105は、基板103を保持する機能を有しているが、サセプタ105に保持された基板103に温度ムラ(温度分布の不均一性)が生じないようにし、基板103の温度を的確に制御するためには、サセプタ105の熱伝導率は、ある程度高いことが望ましい。すなわち、基板103は、サセプタ105上に配置されているため、サセプタ105と基板103との間で、熱の移動(熱伝導)が行われ得るが、サセプタ105の熱伝導率が低いと、サセプタ105自身に温度ムラが生じやすくなることから、サセプタ105上に配置されている基板103にも温度ムラが生じやすくなる。なぜなら、サセプタ105の熱伝導率が高いと、サセプタ105内で熱の移動が速やかに行われるが、サセプタ105の熱伝導率が低いと、サセプタ105内での熱の移動が遅くなるため、サセプタ105に温度ムラが生じやすくなるからである。
また、ステージ104には加熱機構(ヒータ)が設けられており、基板103に対する成膜処理を行う際には、その加熱機構によってサセプタ105を加熱し、それによってサセプタ105上に配置された基板103を加熱することで、基板103の温度を所定の温度に制御する。しかしながら、サセプタ105の熱伝導率が低いと、サセプタ105上の基板103に熱が伝わりにくくなるため、サセプタ105上の基板103の温度を制御しにくくなる。
このため、サセプタ5上に配置された基板103に温度ムラが発生せず、基板103の温度を所定の温度に的確に制御するためには、サセプタ105の熱伝導率は、ある程度高いことが望ましいことになる。しかしながら、サセプタ105がステージストッパ117に接触して成膜空間を規定する比較例の成膜装置101の場合は、サセプタ105の熱伝導率が高いと、サセプタ105からステージストッパ117に熱が伝わりやすくなるため、サセプタ105からステージストッパ117に熱が逃げやすくなってしまう。サセプタ105からステージストッパ117に熱が逃げてしまうと、サセプタ105の温度は、中央側では高く、外周部側では相対的に低くなるため、サセプタ105に温度ムラが発生し、その結果、サセプタ105上に配置された基板103に温度ムラが発生してしまう。また、サセプタ105からステージストッパ117に熱が逃げてしまうと、サセプタ105上の基板103の温度を制御しにくくなる。
従って、比較例の成膜装置101の場合は、サセプタ105の熱伝導率が高い場合と低い場合のいずれにおいても、サセプタ105上に配置された基板103に温度ムラが発生する懸念があり、また、サセプタ105上の基板103の温度を制御しにくくなる懸念がある。成膜処理の際に、サセプタ105上に配置された基板103に温度ムラが生じることは、基板103上に形成した膜の膜質の低下を招く虞がある。また、サセプタ105上の基板103の温度を制御しにくいことも、基板103上に形成した膜の膜質の低下を招く虞がある。
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の成膜装置1は、基板3に対する成膜処理を行うためのチャンバ2と、チャンバ2内に配置された昇降可能なステージ4と、チャンバ2の側壁部(側壁)2cに接続されたステージストッパ17とを含んでいる。ステージ4は、基板3を保持するためのサセプタ5を含んでいる。
本実施の形態の主要な特徴のうちの一つは、ステージ4が、サセプタ5上に配置されたリング部材7を更に含み、リング部材7の熱伝導率が、サセプタ5の熱伝導率よりも低いことである。基板3は、リング部材7が配置されていない部分のサセプタ5上に配置される。
本実施の形態の成膜装置1においては、ステージ4が上昇してリング部材7がステージストッパ17に接触することにより、基板3に対する成膜処理が行われる成膜空間(空間20a)が規定される。成膜処理の際には、サセプタ5上に配置されたリング部材7がステージストッパ17に接触しているため、サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17に熱が逃げる可能性がある。しかしながら、本実施の形態では、リング部材7の熱伝導率は、サセプタ5の熱伝導率よりも低いため、リング部材7の熱伝導率を低くし、サセプタ5の熱伝導率を高くすることができる。リング部材7の熱伝導率を低くすることで、サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17に熱が伝わる(逃げる)のを抑制することができる。
サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17に熱が逃げると、サセプタ5の温度は、中央側では高く、外周部側では相対的に低くなるため、サセプタ5に温度ムラが発生し、その結果、サセプタ5上に配置された基板3に温度ムラ(温度分布の不均一性)が発生してしまう懸念があるが、リング部材7の熱伝導率を低くすることで、そのような懸念を改善または解消できる。また、サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17に熱が逃げてしまうと、サセプタ5上の基板3の温度を制御しにくくなる懸念があるが、リング部材7の熱伝導率を低くすることで、そのような懸念を改善または解消できる。
一方、サセプタ5については、熱伝導率を高くすることにより、サセプタ5内で熱の移動が速やかに行われるようになるため、サセプタ5に温度ムラが生じにくくなり、サセプタ5上に配置されている基板3に温度ムラが生じにくくすることができる。また、ステージ4に設けられた加熱機構(ヒータ)によってサセプタ5を加熱し、それによってサセプタ5上に配置された基板3を加熱することで、基板3の温度を所定の温度に制御することができるが、サセプタ5の熱伝導率が高いことで、サセプタ5上の基板3に熱が伝わりやすくなるため、サセプタ5上の基板3の温度を制御しやすくなる。
このように、本実施の形態の成膜装置1においては、サセプタ5上にリング部材7を配置しておき、ステージ4が上昇してリング部材7がステージストッパ17に接触することにより、基板3に対する成膜処理が行われる成膜空間(空間20a)が規定される。そして、リング部材7の熱伝導率を、サセプタ5の熱伝導率よりも低くしている。これにより、サセプタ5上に配置された基板3に温度ムラが発生するのを抑制または防止することができる。また、サセプタ5上の基板3の温度を制御しやすくなる。サセプタ5上に配置された基板3に温度ムラが生じるのを抑制または防止できることで、基板3上に良好な膜質の膜を形成できるようになる。また、サセプタ5上の基板3の温度を制御しやすくなることで、基板3上に良好な膜質の膜を形成できるようになる。従って、基板3上に形成される膜の膜質を向上することができる。
また、上記検討例の成膜装置101の場合は、サセプタ105からステージストッパ117への熱伝導が生じやすいため、熱伝導に起因したステージストッパ117の温度上昇が大きくなる。その結果、ステージストッパ117の熱膨張が発生してしまい、ステージストッパ117に付着していた膜が剥離し、基板103に異物(パーティクル)として付着してしまうことが懸念される。それに対して、本実施の形態の成膜装置1の場合は、リング部材7を設けたことにより、サセプタ5からステージストッパ17への熱伝導を抑制することができるため、熱伝導に起因したステージストッパ17の温度上昇を抑制することができる。これにより、ステージストッパ17の熱膨張を抑制できるため、ステージストッパ117に付着していた膜が剥離して基板3に異物として付着してしまう現象が生じるのを抑制または防止することができる。従って、基板3上に形成される膜の膜質を向上することができる。
また、リング部材7は、ステージストッパ17よりも小さい。具体的には、リング部材7は、ステージストッパ17よりも平面寸法(平面積)が小さく、また、リング部材7は、ステージストッパ17よりも体積が小さい。また、リング部材7は、ステージストッパ17に比べて単純な構造を有している。このため、ステージストッパ17を改良する場合に比べて、リング部材7を追加する場合の方が、要する費用(コスト)は少なくて済む。本実施の形態では、リング部材7を設けることで、上記図21および図22の比較例の成膜装置101を参照して説明した課題を改善または解決でき、ステージストッパ17は改良せずに済むため、成膜装置の製造コストを抑制することができる。
本実施の形態の他の特徴について、更に説明する。
ステージ4は、基板3を加熱するための加熱機構を含んでいる。そして、その加熱機構によりサセプタ5上の基板3を加熱しながら、サセプタ5上の基板3に対する成膜処理が行われる。これにより、基板3の温度を、成膜処理に適した温度に制御しながら、基板3に対する成膜処理を行うことができるため、基板3に対する成膜処理を的確に行うことができる。また、基板3上に良好な膜質の膜を形成することができる。また、サセプタ5上の基板3を加熱しながら、サセプタ5上の基板3に対する成膜処理が行われる場合には、サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17に熱が逃げてしまうことが懸念されるが、本実施の形態では、リング部材7の熱伝導率を低くすることができるため、サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17に熱が逃げてしまうのを抑制することができる。
また、サセプタ5上の基板3に対する成膜処理が行われる際に、リング部材7はステージストッパ17に接触するが、サセプタ5はステージストッパ17に接触しない。サセプタ5はステージストッパ17に接触していないため、サセプタ5からリング部材7を経由せずに直接的にステージストッパ17に熱が伝わるのを防止することができる。そして、リング部材7の熱伝導率を低くすることで、サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17に熱が逃げてしまうのを抑制することができる。これにより、サセプタ5からステージストッパ17に熱が逃げてしまうのを抑制することができるため、サセプタ5上に配置された基板3に温度ムラが発生するのを的確に抑制または防止することができる。また、サセプタ5上の基板3の温度を的確に制御しやすくなる。
また、プラズマを用いた成膜法を適用する場合など、サセプタ5に接地電位(グランド電位)を供給することが望まれる場合がある。そのような場合には、サセプタ5、リング部材7およびステージストッパ17は、導電性を有していることが好ましい。これにより、リング部材7がステージストッパ17に接触した状態で、サセプタ5を、リング部材7およびステージストッパ17を介して、チャンバ2に電気的に接続することができる。このため、サセプタ5を、リング部材7およびステージストッパ17を介して、チャンバ2に電気的に接続した経路で、サセプタ5を接地することができる。これにより、上部電極8とサセプタ5との間に高周波電界を発生させる際に、サセプタ5の接地電位(グランド電位)を安定化させることができるため、高周波電界を用いた成膜処理を的確に行うことができる。
サセプタ5の接地電位を安定化させる観点では、リング部材7の電気抵抗率は低いことが好ましい。具体的には、リング部材7の電気抵抗率は、10−7Ωm以下であることが好ましい。これにより、サセプタ5の接地電位を安定化させることができるため、高周波電界を用いた成膜処理を的確に行うことができるようになる。例えば、サセプタ5と上部電極8との間に高周波電界によりプラズマを発生させやすくなり、発生させたプラズマを利用した成膜を的確に行うことができる。
また、上述のように、リング部材7の熱伝導率は、低いことが好ましいが、具体的には、リング部材7の熱伝導率は、100W/(m・K)以下であることが好ましく、30W/(m・K)以下であれば更に好ましい。なお、ここで示す数値は、室温での熱伝導率に対応している。これにより、サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17に熱が逃げてしまうのを的確に抑制することができる。リング部材7は、低い熱伝導率と高い電気抵抗率とを確保する観点から、ステンレス鋼からなることが好ましい。ステンレス鋼は、略してステンレスと称する場合もある。なお、熱伝導率の単位であるW/(m・K)は、W/m/Kと表記することもでき、また、W・m−1・K−1と表記することもできる。ステンレス鋼の熱伝導率は、16W/(m・K)程度である。
また、金属伝導を示す材料は、熱伝導率が低いと電気抵抗率が高くなる傾向にあるが、ステンレス鋼は、熱伝導率が低い一方で、電気抵抗率もある程度低くすることができる。例えば、ニクロムは、熱伝導率が15W/(m・K)程度であり、かつ、電気抵抗率が2×10−6Ωm程度であるが、ステンレス鋼は、熱伝導率が16W/(m・K)程度であり、かつ、電気抵抗率が7×10−7Ωm程度である。つまり、ステンレス鋼とニクロムは、熱伝導率は互いにほぼ同じであるが、ステンレス鋼の電気抵抗率は、ニクロムの電気抵抗率の約1/3である。このため、リング部材7を構成する材料としてステンレス鋼を用いれば、リング部材7の熱伝導率を低くして、サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17に熱が逃げてしまうのを抑制しながら、サセプタ5からリング部材7およびステージストッパ17を経由してチャンバ2に至る経路の電気抵抗を抑制して、サセプタ5の接地電位を安定化させることができる。
また、上述のように、サセプタ5の熱伝導率は高いことが好ましいが、サセプタ5の熱伝導率は、100W/(m・K)よりも大きいことが好ましく、200W/(m・K)以上であれば更に好ましい。なお、ここで示す数値は、室温での熱伝導率に対応している。サセプタ5は、高い熱伝導率の観点で、好ましくは、アルミニウム(Al)を主成分とする材料(アルミニウムまたはアルミニウム合金)により形成することができる。例えば、サセプタ5は、アルミニウム(アルミニウム単体金属)により好適に形成することができる。アルミニウム(アルミニウム単体金属)の熱伝導率は、236W/(m・K)程度である。また、サセプタ5を下部電極として機能させて、上部電極8とサセプタ5(下部電極)との間に高周波電界を発生させる(その結果プラズマを発生させる)ためには、サセプタ5は、導電性を有し、サセプタ5の電気抵抗率は低いことが好ましいが、その観点でも、サセプタ5の材料としてアルミニウム(Al)は好適である。また、アルミニウム(Al)は、軽くて加工性に優れた材料であるが、この観点でも、サセプタ5の材料としてアルミニウム(Al)は適している。
また、リング部材7は、サセプタ5の外周部上に配置されている。これにより、サセプタ5の上面において、基板3を配置可能な領域の面積を確保しながら、サセプタ5の平面寸法(平面積)を抑制することができる。このため、大きな平面寸法(平面積)の基板3をサセプタ5上に配置することができるようになり、また、成膜装置1の小型化を図ることができる。
また、サセプタ5の外周部の厚さは、外周部よりも内側におけるサセプタ5の厚さよりも薄いことが好ましい。これにより、サセプタ5上に配置されている基板3に対して所望の膜を形成する際に、リング部材7やステージストッパ17が邪魔になるのを抑制または防止することができる。
また、チャンバ2の側壁部(側壁)2cには、チャンバ2内に成膜用ガスを供給するためのガス導入部13と、排気のためのガス排気部14と、基板3の搬送用の開口部16とが形成されており、ガス導入部13およびガス排気部14は、ステージストッパ17よりも高い位置にあり、開口部16は、ステージストッパ17よりも低い位置にある。これにより、ステージ4が上昇してリング部材7がステージストッパ17に接触することにより規定された成膜空間(空間20a)に対して、ガス導入部13から成膜用ガスを導入することができ、また、その成膜空間(空間20a)からガス排気部14を介して排気することができる。開口部16は、ステージストッパ17よりも低い位置にあるため、成膜空間(空間20a)には、基板3の搬送用の開口部16はつながっていない。このため、基板搬送用の開口部16に成膜処理が悪影響を及ぼすのを防止することができる。例えば、基板3に対する成膜処理を行う際に、開口部16やそれに接続された開閉部18に、不要な膜が付着(堆積)してしまうのを防止することができ、従って、その不要な膜が剥離して、搬送時の基板3に異物として付着してしまうのを防止することができる。
また、ステージ4は、下降位置と上昇位置との間を移動可能である。ステージ4が下降位置にあり、かつ、リング部材7がステージストッパ17から離間した状態で、開口部16からチャンバ2内への基板3の搬入が行われる。そして、ステージ4が上昇位置にあり、かつ、リング部材7がステージストッパ17に接触した状態で、サセプタ5上の基板3に対する成膜処理が行われる。これにより、チャンバ2内への基板3の搬入と、チャンバ2内の基板3に対する成膜処理とを的確に行うことができる。
また、本実施の形態では、リング部材7を設けることにより、サセプタ5からステージストッパ17への熱伝導を抑制している。このため、本実施の形態は、基板3に対する成膜処理時のサセプタ5の温度(加熱温度)が高い場合に適用すれば効果が大きい。この観点で、基板3に対する成膜処理時のサセプタ5の加熱温度が200℃以上の場合に本実施の形態を適用することが好ましく、基板3に対する成膜処理時のサセプタ5の加熱温度が300℃以上の場合に本実施の形態を適用すれば、特に効果が大きい。
図23は、リング部材7の材料を変えた場合の特性を示す表である。図23の表において、「材料」の欄は、リング部材7として用いる材料の例を示してある。また、図23の表は、サセプタ5およびステージストッパ17がアルミニウム(Al)からなる場合を前提としている。ステージ4が下降位置にあり、かつ、リング部材7がステージストッパ17と接触していない状態でのサセプタ5の平均温度が、図23の表の「接触前温度」に対応しており、図23の場合は、300℃に設定している。ステージ4が上昇位置にあり、かつ、リング部材7がステージストッパ17と接触している状態でのサセプタ5の平均温度が、図23の表の「接触後温度」に対応している。また、図23の表の熱伝導率と電気抵抗率は、室温での値に対応している。
図23の表において、リング部材7がアルミニウム(Al)からなる場合は、リング部材7がステージストッパ17と接触すると、サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17に熱が伝わり、サセプタ5の平均温度が300℃から265℃に低下する(35℃低下する)。図23の表において、リング部材7がニッケル(Ni)からなる場合は、リング部材7がステージストッパ17と接触すると、サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17に熱が伝わり、サセプタ5の平均温度が300℃から286℃に低下する(14℃低下する)。図23の表において、リング部材7がステンレス鋼からなる場合は、リング部材7がステージストッパ17と接触すると、サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17に熱が伝わり、サセプタ5の平均温度が300℃から293℃に低下する(7℃低下する)。
つまり、リング部材7がアルミニウムからなる場合よりも、リング部材7がニッケルからなる場合の方が、リング部材7を経由したサセプタ5からステージストッパ17への熱伝導が少なくなり、その結果、サセプタ5の温度低下が抑制される。そして、リング部材7がニッケルからなる場合よりも、リング部材7がステンレス鋼からなる場合の方が、リング部材7を経由したサセプタ5からステージストッパ17への熱伝導が更に少なくなり、その結果、サセプタ5の温度低下が更に抑制される。これは、アルミニウム、ニッケルおよびステンレス鋼の順で、熱伝導率が低くなり、リング部材7によりサセプタ5からステージストッパ17への熱伝導を抑制する効果が大きくなるからである。このため、リング部材7の材料としては、熱伝導率が低い材料が好ましく、ステンレス鋼は特に好適である。
また、ニクロムは、ステンレス鋼の熱伝導率とほぼ同等の熱伝導率を有している。このため、リング部材7の材料としてニクロムを用いた場合は、図23の表には記載していないが、「接触後温度」は、リング部材7の材料としてステンレス鋼を用いた場合とほぼ同等の値になると想定される。しかしながら、図23の表の「プラズマ点灯」の欄に、サセプタ5と上部電極8との間に高周波電界によりプラズマを発生させたときのプラズマの安定性の評価結果を示してある。図23の表の「プラズマ点灯」の欄に記載された「○」は、プラズマが安定して生成される場合に対応しており、図23の表の「プラズマ点灯」の欄に記載された「△」は、「○」の場合よりもプラズマの安定性が劣っていたことを示している。リング部材7がアルミニウムからなる場合、ニッケルからなる場合、およびステンレス鋼からなる場合に比べて、リング部材7がニクロムからなる場合は、プラズマの安定性が劣っているが、これは、アルミニウム、ニッケルおよびステンレス鋼に比べて、ニクロムの電気抵抗率が低いことが原因と考えられる。プラズマの安定性を高めるためには、サセプタ5からリング部材7およびステージストッパ17を経由してチャンバ2に至る経路の電気抵抗を抑制して、サセプタ5の接地電位を安定化させることが有効である。この観点で、リング部材7の材料としては、ニクロムよりも電気抵抗率が低いステンレス鋼の方が好ましい。従って、リング部材7の材料としては、ステンレス鋼は特に好適である。
(実施の形態2)
本実施の形態2の成膜装置1は、上記実施の形態1の成膜装置1の変形例に対応している。本実施の形態2の成膜装置1が、上記実施の形態1の成膜装置1と相違しているのは、ステージストッパ17である。ステージストッパ17以外については、本実施の形態2も上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。また、本実施の形態2における成膜装置1の図面は、上記実施の形態1における成膜装置1の図面(図1〜図9)と同様であるので、ここでの図示は省略する。
本実施の形態2におけるステージストッパ17が、上記実施の形態1におけるステージストッパ17と相違しているのは、ステージストッパ17を構成する材料である。すなわち、上記実施の形態1のステージストッパ17は、アルミニウム(Al)からなり、一方、本実施の形態2のステージストッパ17は、ステンレス鋼からなる。
上記実施の形態1および本実施の形態2において、リング部材7は、サセプタ5からステージストッパ17に熱が伝わる(逃げる)のを抑制するように機能することができるが、サセプタ5からステージストッパ17に完全に熱が伝わらないようにできる訳ではない。このため、成膜処理時にサセプタ5が加熱されると、サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17に熱がある程度、伝わることになる。そして、ステージストッパ17はチャンバ2の側壁部2cに接続されていることから、サセプタ5からステージストッパ17に伝わった熱は、ステージストッパ17を通ってチャンバ2に伝わり得る。
上記実施の形態1でも説明したが、サセプタ5上の基板3の温度ムラを抑制するためには、また、サセプタ5上の基板3の温度を制御しやすくするためには、サセプタ5からステージストッパ17に熱が伝わるのを抑制することが有効である。このため、上記実施の形態1および本実施の形態2では、リング部材7を設けている。しかしながら、サセプタ5とステージストッパ17との温度差が大きくなるほど、サセプタ5からリング部材7を介してステージストッパ17に熱が伝わりやすくなる。このため、サセプタ5からステージストッパ17に熱が伝わるのを抑制するには、サセプタ5とステージストッパ17との温度差を小さくすることも有効であり、そのためには、サセプタ5からリング部材7を介してステージストッパ17に伝わった熱が、チャンバ2にできるだけ伝わらないようにすることが有効である。なぜなら、チャンバ2は、かなり大きな体積を有しており、熱浴として機能することができるため、ステージストッパ17にからチャンバ2に熱が伝わると、その分、ステージストッパ17の温度上昇が抑制されるからである。
ステージストッパ17からチャンバ2への熱伝導が全く無い場合を仮定すると、サセプタ5を加熱した際に、サセプタ5からリング部材7を介してステージストッパ17に熱が伝わると、ステージストッパ17の温度も徐々に上昇し、サセプタ5とステージストッパ17との温度差が徐々に小さくなるため、サセプタ5からステージストッパ17への熱伝導も徐々に小さくなっていく。しかしながら、実際には、ステージストッパ17からチャンバ2への熱伝導が発生し得る。このため、サセプタ5を加熱した際に、サセプタ5からリング部材7を介してステージストッパ17に熱が伝わると、ステージストッパ17の温度も徐々に上昇し得るが、ステージストッパ17からチャンバ2への熱伝導が大きいほど、ステージストッパ17の温度上昇は抑制され、サセプタ5とステージストッパ17との温度差が縮まりにくくなる。従って、サセプタ5からリング部材7を介したステージストッパ17への熱伝導は、ステージストッパ17からチャンバ2への熱伝導が生じやすいほど、生じやすくなる。このため、サセプタを加熱したときに、サセプタ5からステージストッパ17に熱が伝わる(逃げる)のを抑制するためには、サセプタ5からリング部材7を介してステージストッパ17に伝わった熱が、チャンバ2にできるだけ伝わらないようにすることも有効である。
そこで、本実施の形態2では、サセプタ5からリング部材7を介してステージストッパ17に伝わった熱が、チャンバ2に伝わるのを抑制するための工夫として、ステージストッパ17を、熱伝導率が低い材料により形成している。具体的には、リング部材7の熱伝導率を、好ましくは100W/(m・K)以下、更に好ましくは30W/(m・K)以下としている。この観点で、ステージストッパ17は、ステンレス鋼からなることが好ましい。ステンレス鋼の熱伝導率は比較的低く、16W/(m・K)程度である。別の見方をすると、本実施の形態2では、リング部材7の熱伝導率だけでなく、ステージストッパ17の熱伝導率についても、サセプタ5の熱伝導率より低くしている。
本実施の形態2では、ステージストッパ17の熱伝導率を低くしたことで、サセプタ5を加熱した際にサセプタ5からリング部材7を介してステージストッパ17に熱が伝わったとしても、その熱がステージストッパ17を通ってチャンバ2に伝わるのを抑制することができる。このため、本実施の形態2では、低熱伝導率のリング部材7を設けたことによって、サセプタ5からステージストッパ17への熱伝導を抑制できることに加えて、ステージストッパ17の熱伝導率を低くしてステージストッパ17からチャンバ2への熱伝導を生じにくくしたことによっても、サセプタ5からステージストッパ17への熱伝導を抑制することができる。従って、サセプタ5を加熱した際にサセプタ5からステージストッパ17に熱が伝わる(逃げる)のをより的確に抑制することできるため、サセプタ5上の基板3の温度ムラが生じるのをより的確に抑制することができる、また、サセプタ5上の基板3の温度を更に制御しやすくなる。従って、基板3上に良好な膜質の膜を的確に形成することができる。
(実施の形態3)
図24および図25は、本実施の形態3における成膜装置1の一部を拡大した部分拡大断面図であり、図24は、上記図8に対応するものであり、図25は上記図9に対応するものである。なお、本実施の形態3の成膜装置1は、上記実施の形態1の成膜装置1の変形例に対応している。
本実施の形態3の成膜装置1が、上記実施の形態1の成膜装置1や上記実施の形態2の成膜装置1と相違しているのは、ステージストッパ17である。ステージストッパ17以外については、本実施の形態3も上記実施の形態1,2とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。ここで、本実施の形態3の成膜装置1におけるステージストッパ17を、符号17aを付してステージストッパ17aと称することとする。
本実施の形態3におけるステージストッパ17aが、上記実施の形態1におけるステージストッパ17と相違しているのは、ステージストッパ17aが、部材41と、部材41上に配置され、かつ部材41とは熱伝導率が異なる部材42とを有しており、部材41の熱伝導率は、部材42の熱伝導率よりも低いことである。すなわち、本実施の形態3のステージストッパ17aは、部材41と部材41上の部材42とを含む積層構造を有しており、部材41の熱伝導率は、部材42の熱伝導率よりも低い。ステージ4が上昇位置にあるときは、リング部材7は、ステージストッパ17の部材41に接触する。このため、ステージ4が上昇位置にあるときは、リング部材7はステージストッパ17aに接触するが、リング部材7が接触するのは部材41であり、部材42には、リング部材7が接触しないことが好ましい。別の見方をすると、リング部材7の熱伝導率だけでなく、ステージストッパ17aを構成する部材41(ステージストッパ17aにおけるリング部材7が接触する部分)の熱伝導率についても、サセプタ5の熱伝導率より低くすることが好ましい。
上記実施の形態1でも説明したが、サセプタ5上の基板3の温度ムラを抑制するためには、また、サセプタ5上の基板3の温度を制御しやすくするためには、サセプタ5からステージストッパ17aに熱が伝わる(逃げる)のを抑制することが有効である。このため、上記実施の形態1,2および本実施の形態3では、リング部材7を設けている。そして、本実施の形態3では、ステージストッパ17aに、熱伝導率が低い部材41を設け、その熱伝導率が低い部材41にリング部材7が接触するようにしている。
本実施の形態3では、リング部材7が接触する部材41の熱伝導率が低いことで、サセプタ5を加熱した際にサセプタ5からリング部材7を介して部材41に熱が伝わったとしても、その熱がステージストッパ17aを通ってチャンバ2に伝わるのを抑制することができる。部材41の熱伝導率が高い場合には、サセプタ5からリング部材7を介して部材41に伝わった熱は、部材42やチャンバ2に伝わりやすくなるが、部材41の熱伝導率が低い場合には、サセプタ5からリング部材7を介して部材41に伝わった熱は、部材42やチャンバ2に伝わりにくくなる。サセプタ5と部材41との温度差が大きくなるほど、サセプタ5からリング部材7を介して部材41に熱が伝わりやすくなるが、部材41の熱伝導率が低い場合には、部材41に伝わった熱は部材42やチャンバ2に伝わりにくくなることから、サセプタ5からリング部材7を介して部材41に熱が伝わると、部材41の温度もある程度上昇する。これは、サセプタ5と部材41との温度差を縮小するように作用する。すなわち、サセプタ5の加熱温度を変えない場合には、部材41の熱伝導率を小さくするほど、サセプタ5と部材41との温度差が縮小し、その結果、サセプタ5からリング部材7を介して部材41に熱が伝わりにくくなる。
このため、本実施の形態3では、低熱伝導率のリング部材7を設けたことによって、サセプタ5からステージストッパ17aへの熱伝導を抑制できることに加えて、ステージストッパ17aを構成する低熱伝導率の部材41にリング部材7が接触するようにしたことによっても、サセプタ5からステージストッパ17aへの熱伝導を抑制することができる。従って、サセプタ5を加熱した際にサセプタ5からステージストッパ17aに熱が伝わる(逃げる)のをより的確に抑制することできるため、サセプタ5上の基板3の温度ムラが生じるのをより的確に抑制することができる、また、サセプタ5上の基板3の温度を更に制御しやすくなる。このため、基板3上に良好な膜質の膜を的確に形成することができる。
上述のように、部材41の熱伝導率は、低いことが好ましいが、具体的には、部材41の熱伝導率は、100W/(m・K)以下であることが好ましく、30W/(m・K)以下であれば更に好ましい。なお、ここで示す数値は、室温での熱伝導率に対応している。これにより、サセプタ5からリング部材7を経由してステージストッパ17aに熱が逃げてしまうのを的確に抑制することができる。
部材41は、ステンレス鋼からなることが好ましい。ステンレス鋼の熱伝導率は、比較的低く、16W/(m・K)程度であるため、部材41の材料としてステンレス鋼は適している。また、ステンレス鋼は、熱伝導率が低い一方で、電気抵抗率もある程度低くすることができる。このため、部材41を構成する材料としてステンレス鋼を用いれば、部材41の熱伝導率を低くして、サセプタ5からステージストッパ17aへの熱伝導を抑制しながら、サセプタ5からリング部材7およびステージストッパ17aを経由してチャンバ2に至る経路の電気抵抗を抑制でき、サセプタ5の接地電位を安定化させることができる。
部材42は、アルミニウム(Al)を主成分とする材料(アルミニウムまたはアルミニウム合金)からなることが好ましく、特にアルミニウム(アルミニウム単体金属)からなることが、より好ましい。アルミニウム(Al)を主成分とする材料、特にアルミニウム(アルミニウム単体金属)は、熱伝導率が高い材料であるが、軽くて加工性に優れた材料でもあるため、部材42の材料として適している。また、サセプタ5からリング部材7およびステージストッパ17aを経由してチャンバ2に至る経路の電気抵抗を抑制するためには、部材42の電気抵抗率は低いことが好ましいが、この観点でも、アルミニウム(Al)を主成分とする材料、特にアルミニウム(アルミニウム単体金属)は、部材42の材料として適している。
また、ステージストッパ17aに不活性ガス導入部28を設ける場合には、リング部材7に接触する部材41ではなく、部材42に不活性ガス導入部(不活性ガス供給口)28を設けることが好ましい。すなわち、チャンバ2(空間20a)内にガス(不活性ガス)を導入(供給)するための流路(ガス流路)は、部材41には設けずに、部材42に設けることが好ましい。このため、部材42は、不活性ガス導入部28を有している。部材42が、軽くて加工性に優れた材料(好ましくはアルミニウム)により形成されている場合には、部材42に不活性ガス導入部28を容易かつ的確に設けることができる。一方、ステンレス鋼は、材質上、不活性ガス導入部28を形成することが容易ではない。このため、リング部材7に接触する部材41については、サセプタ5からステージストッパ17aへの熱伝導を抑制する観点で、ステンレス鋼により構成し、一方、不活性ガス導入部28を設ける部材42については、加工性に優れた材料(好ましくはアルミニウム)により形成することが好ましい。
(実施の形態4)
図26は、本実施の形態4における成膜装置1の一部を拡大した部分拡大断面図であり、上記図8の下半分を拡大したものをベースにしている。図27は、本実施の形態4における成膜装置1の断面図であり、上記図5に対応するものである。
本実施の形態4の成膜装置1が、上記実施の形態1の成膜装置1と相違しているのは、本実施の形態4では、導通リング(リング部材)43を用いていることであり、それ以外については、本実施の形態4も上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
本実施の形態4の成膜装置1においては、リング部材7上に導通リング43が配置されており、ステージ4が上昇して上昇位置にあるときは、リング部材7がステージストッパ17に接触するとともに、リング部材7とステージストッパ17との間に、部分的に導通リング43が介在した状態になる。導通リング43は、導電性を有するリング状の部材であり、例えば金属材料により形成することができる。例えば、ステンレス鋼により導通リング43を形成することができる。
導通リング43は、リング部材7よりも小さい。具体的には、導通リング43の幅(幅寸法)W2は、リング部材7の幅(幅寸法)W1よりも小さい(すなわちW2<W1)。また、導通リング43の平面寸法(平面積)は、リング部材7の平面寸法(平面積)よりも小さく、導通リング43の体積は、リング部材7の体積よりも小さい。ここで、リング部材7の幅W1は、平面視において、リング部材7の延在方向に略垂直な方向の幅に対応しており、図26および図27に示されている。また、導通リング43の幅W2は、平面視において、導通リング43の延在方向に略垂直な方向の幅に対応しており、図26に示されている。
リング部材7とステージストッパ17との間に導通リング43が配置されている場合には、導通リング43はリング部材7とステージストッパ17との両方に確実に接触するため、導通リング43を介したリング部材7とステージストッパ17との電気的接続を確実に確保することができる。リング部材7とステージストッパ17とが接触して電気的に接続されるとともに、リング部材7とステージストッパ17とが導通リング43を介して電気的に接続されることで、リング部材7とステージストッパ17とを低抵抗で的確に接続することができる。これにより、サセプタ5からリング部材7およびステージストッパ17を経由してチャンバ2に至る経路の電気抵抗を抑制して、サセプタ5の接地電位を安定化させることができる。
本実施の形態4の成膜装置1は、上記実施の形態1の成膜装置1の変形例に対応しているが、上記実施の形態1のステージストッパ17、上記実施の形態2のステージストッパ17および上記実施の形態3のステージストッパ17aのいずれも、本実施の形態4で用いることができる。
また、上記実施の形態1〜4では、成膜装置1の好適な例として、プラズマALD装置を適用した場合について説明した。他の形態として、プラズマを使用しないALD装置に上記実施の形態1〜4を適用することもできる。また、更に他の形態として、ALD法以外の成膜法を用いた成膜装置に上記実施の形態1〜4を適用することもできる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。