上述した各種のシステムや車を利用することによりドライバーの安全運転を支援することができる。
しかしながら、結局それらシステムや車を使うのは人間である。そして、人間が引き起こすヒューマンエラーは、そう簡単には無くならない。
例えば、接触事故等の重大事故には至らないまでも、マナーの良くない運転者等による運転に基づいてドライバーが「ヒヤリ」とするような状況となることがある。
このような他の運転者の迷惑行為を受けたことや、運転者自身が受ける時間的な制約や、渋滞といった交通状況から受けるストレス等が要因となり、ドライバーは、イライラや焦り、又は怒りといった運転中には適切でない感情を抱く。
そして、一時このような感情を抱いてしまうと、ドライバーの運転は荒くなり、事故等が発生してしまう可能性が高くなる。そのため、運転中のドライバーの感情に働きかけることが、安全運転のために不可欠となる。
この点、特許文献2には、このような運転中のユーザの精神状態等のユーザ生体特性情報を取得し、取得したユーザ生体特性情報に基づいてユーザを楽しませるためのもてなし動作を行なうシステムが記載されている。
ただし、特許文献2に記載の技術では、運転者の精神状態を推定するために、運転者の身体情報を計測するための専用のセンサ等の機器を用意する必要がある。
例えば、運転者の顔色を判別するための赤外線センサや、運転者の表情、姿勢及び瞳孔径を測定するための顔カメラ並びに運転者の心拍を測定するための脈拍センサ等の計測機器を用意する必要がある。他にも、座席に感圧センサを用意し、感圧センサによりシートにかかる体重分布を測定し、運転中の小刻みな体重移動を検出する必要がある。
しかしながら、このようなユーザの身体状態を測定する専用機器は一般的な車には搭載されていない。そのため、引用文献2に記載の技術を実現するためには専用の計測機器を追加で搭載する必要があり、コストが高くなってしまう。また、通常の車に新たに計測機器を追加することが、車の設計上困難な場合もある。
そこで、本願発明は、ユーザの身体状態等を計測するための専用の計測機器を追加することなく、運転時のユーザの心理状態に働きかけることが可能な、装置及びプログラムを
提供することを目的とする。
(1) ユーザが操作する移動体がおかれている状況を観測する観測手段と、
前記観測手段による観測結果が所定の条件を満たした場合に前記ユーザが抱くであろう心理状態を、他の心理状態へと切り替える為のメッセージを前記ユーザに対して送出するための制御を行なう制御手段と、
を備えることを特徴とする装置。
このようにすれば、移動体のおかれている状況を観測する観測手段の観測結果に基づいてメッセージを送出するための制御ができることから、メッセージを送出するために、ユーザの身体状態等を計測するための専用の計測機器を追加する必要が無くなる。更に、このようにすれば、ユーザが抱くであろう心理状態を、他の心理状態へと切り替える為のメッセージによって運転時のユーザの心理状態に働きかけることが可能となる。
より具体的に説明すると、引用文献2等を含む一般的な技術では、ユーザをもてなす際に、その前提となるユーザの心理状態を把握する為に、運転者の顔色を判別するための赤外線センサや、運転者の表情、姿勢及び瞳孔径を測定するための顔カメラ並びに運転者の心拍を測定するための脈拍センサ等の専用の計測機器が必要であった。しかしながら、上記(1)のようにすれば、このようなユーザの状態を観測するための専用の機器を要することなく、移動体がおかれている状況を観測するための観測手段があれば、ユーザの心理状態に働きかけることが可能となるのでよい。ここで、観測手段は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、及び障害物センサ等の移動体の挙動を観測するための各種センサ等により実現すると良い。
「ユーザが操作する移動体」は、ユーザが乗車して道路等を走行する装置とするとよい。例えば、一般的に広く使用されている、四輪自動車や、二輪のオートバイとすると良い。また、移動体が四輪自動車である場合と、二輪のオートバイの場合とで、ユーザに対して送出するメッセージの内容を異ならせるようにするとよい。
ユーザの「操作」は、例えば、ハンドルによる移動体の方向転換や、アクセル及びブレーキによる移動速度の調整とするよい。
「移動体がおかれている状況を観測」は、移動体の挙動についての状況を観測することとするとよい。例えば、移動体の移動速度、移動体の加速度、移動体の舵角、及び方向指示器やアクセルやブレーキペダルの操作状況等を、観測手段が観測するようにすると具体的な移動体の挙動の状況を把握することができるのでよい。
また、移動体がおかれている状況を観測は、移動体の周囲の状況を観測することとするとよい。例えば、他の移動体との車間距離や、他の移動体からの割込みを観測するようにすると具体的な移動体の周囲の状況を把握することができるのでよい。
更に、移動体がおかれている状況を観測は、移動体の現在位置を観測することとすると良い。例えば、移動体の現在位置を観測手段が観測する。そして、観測した現在位置と地図情報とを照らし合わせることにより、現在移動体が走行している道路の種別等を具体的に把握することができるので良い。
これらの観測を行なうための「観測手段」は、上記の移動体の挙動についての状況や移動体の周囲の状況を観測できる装置により実現するとよい。例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ及び障害物センサ等の各種センサにより実現するとよい。
また、制御手段が、これら各種センサが観測した情報を、例えば、移動体に組み込まれているOBD(On-board diagnostics)を介して取得するようにするとよい。また、これら観測した情報としては、OBDから得られる、方向指示器やアクセルやブレーキペダルの操作情報、舵角情報、及び車速情報を取得するようにするとよい。
これら、各種センサやOBDは、一般的な自動車や、一般的なカーナビゲーションシステム(Automotive navigation system)に搭載されているため、新たな計測機器の追加を不要とすることが可能となるからよい。
また、観測手段を移動体の周囲の映像を撮像するカメラにより実現し、制御部が、カメラが撮像した映像を解析することにより、移動体の周囲の状況を把握するようにしてもよい。また、この場合にドライブレコーダが備えているカメラを利用すると、新たにカメラを用意する必要がなくなるのでよい。
更に、観測手段をGPSセンサ(Global Positioning System)により実現し、制御部がGPSセンサから取得した位置情報と、地図情報を照らし合わせることにより、移動体が現在運行している道路の種別等を把握するようにしてもよい。また、この場合にカーナビゲーション装置が備えているGPSセンサを利用すると、新たにGPSセンサを用意する必要がなくなるのでよい。
「前記観測手段による観測結果が所定の条件を満たした場合」における、「所定の条件」は、移動体が、運転に不適切な心理状態をユーザに抱かせるような状況下におかれた場合に満たされる条件とするとよい。
例えば、観測手段による観測結果が、移動体が危険な状況に陥っている状況で観測される観測結果と同じになることを所定の条件とするとよい。例えば、観測手段による観測結果を移動体の車速とし、この車速が法定速度を超える状態となった場合とするとよい。また、例えば、他の移動体との車間距離が所定の距離以下の距離となった場合とするとよい。
そして、前記観測手段による観測結果が所定の条件を満たした場合に「前記ユーザが抱くであろう心理状態」は、移動体の運転を行なうには不適切な心理状態とするとよい。運転を継続するにあたり、このような不適切な心理状態は、他の心理状態に変えるべき対象といえるのでよい。例えば、イライラ、焦り、及び怒りといった心理状態とするとよい。
「他の心理状態」は、移動体の運転を行なうにあたり適切な心理状態とするとよい。例えば、興奮しておらず、落ち着いた心理状態とするとよい。
他の心理状態へと「切り替える為のメッセージ」は、ドライバーのイライラや怒りなどをコントロールするための、ドライバーの視点を変え冷静な状態に戻れるようなメッセージとするとよい。例えば、ユーザの考えを代弁する内容のメッセージとするとよい。例えば、「割込みするなんてひどいなぁ。自分は気をつけないと。」等のメッセージとするとよい。また、ユーザの考えに共感する内容のメッセージや、例えば、「今のは、びっくりしましたね!」等のメッセージにするとよい。また、ユーザの考えの視点を変える内容のメッセージとするとよい。例えば、「大人のあなた、後ろから来る車に道、譲っちゃいましょう!そのほうが気楽ですよ!」等のメッセージにするとよい。
「メッセージを前記ユーザに対して送出するための制御」は、メッセージをユーザが知覚可能なように送出するための制御とすると良い。例えば、ユーザが知覚できるようにメ
ッセージを送出可能なスピーカやディスプレイといったデバイスにメッセージを送出させる制御をするとよい。
制御方法としては、例えば、記憶手段にメッセージの音声データを記憶しておき、送出時に音声データを再生してスピーカから出力させることにより音声を送出させるようにしてもよいし、記憶手段にメッセージをテキストデータとして記憶しておき当該テキストデータに対応する音声を音声合成によって生成して音声をスピーカから出力させるようにしてもよい。また、例えば、記憶手段にメッセージをテキストデータとして記憶しておき当該テキストデータをディスプレイ表示させるようにするとよい。こうすることにより、ユーザがこれらメッセージの内容を知覚することができるのでよい。
更に、例えばサーバ等で少なくとも一部の制御を行い、車両内の電子機器においてサーバから通信によって取得した情報に基づいて音声の送出させる制御を行うようにしてもよい。
また、本「装置」は、移動体に搭載可能な機器により実現されるとよい。例えば、PND(Portable Navigation Device)やRD(Radar detector)やドライブレコーダの1つの機能として実現するようにするとよい。これらの機器は、観測手段を実現するための加速度センサ等の各種のセンサや、制御手段を実現するためのスピーカやディスプレイを備えており、これらのデバイスを利用して、本装置を実現することができるのでよい。
また、以上説明した本装置を、運転中の車外から受けた危険行為により、発生した感情ストレスから沸き起こったドライバーのイライラや怒りなどをコントロールするために、視点を変え冷静な状態に戻れるようなメッセージを送出することを目的とする装置とするとよい。
この点、人は通常の生活の中で、数えきれないほどのセルフトーク(独り言)をしている。かかるセルフトークは、実際に口に出すものも、口には出さないものの頭の中で想起するものも含まれる。
そして、このようなセルフトークは、運転している時にも自然と行われている。また、このセルフトークの内容がその後の運転行動に非常に関係してくると考えられる。
具体的には、危険な運転行為により反射的に浮かんだ感情的なセルフトークからは、人は攻撃的になる。例えば、車を運転していたときに、いきなり他の車に割り込まれたりすると、「いきなり割り込んできやがって、ふざけるな!」というようなセルフトークが心の中で浮かんでしまうと、攻撃的になる。
そこで、本装置が、こんな時に「なんて無茶な運転をするのだろ。世の中には変わった人がいるな!事故にならなくなくてよかった」といったメッセージを送出する。これにより、「その通りだ。確かに事故にならなくてよかった。」等のセルフトークが浮かべば、攻撃的になることはない。
なぜならば、ドライバーが、他人の行為により誘発された危険な行為により事故が発生する可能性があったにも関わらず、事故が発生していなかったことに送出されたメッセージによって気付けるからである。
このように、本装置を、ドライバーに攻撃的なセルフトークを考えさせないような、メッセージを送出して、ドライバーの視点を変えさせるようサポートを行なう装置とするとよい。
(2) 前記所定の条件を複数設け、前記観測結果が満たした所定の条件が前記複数の所定の条件の内の何れの条件であるかに応じて前記送出するメッセージを選択し、前記観測手段による観測結果が前記選択したメッセージ毎に定められている送出の為の条件を満たした場合に、前記選択したメッセージの送出を実行する装置。
このようにすれば、観測結果に応じたメッセージ毎に定められている送出の為の条件を満たしたタイミングでメッセージを送出できるのでよい。
例えば、ユーザの運転する移動体が走行している車線に対して、他の移動体からの突然の割り込み行為があったような場合に所定の条件が満たされるとする、この場合に、割り込みがあった段階で即座にメッセージを送出することは好ましくない。何故ならば、このような場合には車間距離の調整等の操作が早急に要求され、ユーザは、この操作を速やかに行うべきだからである。
このような緊急性が求められる危険な状態でメッセージが送出されてしまうと、運転者がこのメッセージに気を取られることが考えられ更に危険となる。そこで、このような場合にはこの危険な状態が終了してからメッセージを送出するようにするとよい。例えば、観測手段が移動体の速度を観測する。そして、観測した移動体の速度に基づいて、移動体の速度が安定し、移動体が安全な状態になったと判断できたことを条件としてメッセージを送出するようにするとよい。これにより、事故の発生を未然に防止することが可能となるのでよい。
他方、例えば、進入禁止区域に近づいたような場合には、近づいた時点で速やかにメッセージを送出するようにするとよい。これにより少しでも早く伝達すべきメッセージを即座に伝達できるという有利な効果を奏する。
つまり、所定の条件の内容に応じて、所定の条件を満たした時点で速やかにメッセージを送出したり、所定の条件を満たした後に送出の為の条件を満たした時点でメッセージを送出したりするように設定できるのでよい。
(3) 前記他の心理状態へと切り替える為のメッセージを前記ユーザに対して送出した後に、更に前記移動体の操作に関する指示を表すメッセージを前記ユーザに対して送出することを特徴とする装置。
このようにすれば、ユーザに指示に応じた操作をさせることができるのでよい。
「移動体の操作に関する指示を表すメッセージ」は、ハンドルの操作や、アクセルやブレーキの操作に関する指示とするとよい。例えば、「ゆっくり減速して下さい」や「車間距離を長くとって下さい」等の指示とするとよい。
また、このようにすれば、先にユーザの心理状態を切り替える為のメッセージを送出し、その後に、操作に関する指示を送出するのでよい。この点、このようにすることなく、先に操作に関する指示を送出しても、興奮状態にあるユーザは、この操作に関する指示を冷静に聞き入れない場合が想定される。しかし、本装置であれば、ユーザの心理状態を切り替える為のメッセージをまず送出し、これにより、まずユーザの心理状態が切り替わり、例えばユーザが落ち着いた心理状態になってから指示を送出することから、ユーザが操作に関する指示を冷静に聞くことができるのでよい。
(4) 前記観測結果に基づいて前記ユーザの操作に起因する交通規則の違反の発生を検出した場合に、どのような操作をすれば違反が発生しなかったのかを説明するメッセー
ジを前記ユーザに対して送出することを特徴とする装置。
このようにすれば、ユーザが、どのような操作を行えば交通規則の違反が発生しなかったかを知ることができるのでよい。
「ユーザの操作に起因する交通規則の違反の発生の検出」は、観測手段の観測結果が、この観測結果であれば交通規則を違反しているであろう状態になった場合に検出するようにするとよい。例えば、移動体の移動速度が法定速度を超えたことを観測した場合に、法定速度違反の発生を検出するようにするとよい。
この場合、「どのような操作をすれば違反が発生しなかったのかを説明するメッセージ」は、例えば「アクセルを踏みすぎました」や「早めにブレーキをかけるべきでした」等のメッセージとするとよい。これにより、交通規則の違反が生じてしまった場合に、単に交通規則の違反が生じたという事実のみならず、どのように操作すれば違反が発生しなかったのかをユーザが知ることになる。よって、ユーザは今後の操作において同様の操作ミスを生じさせなくなるようにするのでよい。
(5) 前記交通規則の違反の発生を検出した場合に、前記どのような操作をすれば違反が発生しなかったのかを説明するメッセージと共に又は該メッセージに代えて、前記違反した交通規則がどのような内容の交通規則であるのかを説明するメッセージを送出することを特徴とする装置。
このようにすれば、ユーザが、反した交通規則がどのような内容の交通規則であるのかを知ることができるのでよい。これにより、ユーザは、単に交通規則の違反が生じたという事実のみならず、違反してしまったその交通規則はどのような内容の規則であるのかをユーザが知ることになる。この点、交通規則は多岐に及び、ユーザが全ての交通規則を完全に把握していない場合も有り得るが、本装置によるメッセージにより、ユーザは把握しきれていなかった交通規則を把握することが可能となるのでよい。
(6) 前記観測結果に基づいて前記移動体が安全な状況にあると判定できた場合に、前記メッセージの送出を実行することを特徴とする装置。
このようにすれば、移動体が危険な状況にあるときには、メッセージは送出されず、移動体が安全な状況にあるときにメッセージが送出される。そのため、ユーザは移動体が安全な状況にあるときに、落ち着いてメッセージを知覚することができる。仮に、このようにしないのであれば、移動体が危険な状況にあり、操作に集中しなければならない状況でメッセージが送出され、ユーザはメッセージを落ち着いて聞くことができないが、このような事態を防止することができるのでよい。
また、例えば、移動体が危険な状態にあるにも関わらずメッセージが送出され、ユーザがメッセージに注目してしまうことから、ユーザの集中力が移動体の操作から逸れてしまい危険な状況になってしまうことを防止可能となるのでよい。
「前記移動体が安全な状況にある」は、例えば急ブレーキや急ハンドルの最中ではなく、安定して走行しているような場合とするとよい。また、「観測結果に基づいた判定」は、例えばOBDから取得したブレーキペダルの操作情報、舵角情報に基づいて判定を行なうようにするとよい。
(7) 前記観測手段の観測結果を数値化した値についての閾値を設定し、
前記観測手段の観測結果を数値化した値が、前記閾値以上となった場合、又は前記閾値
未満となった場合に前記移動体が安全な状況にあると判定することを特徴とする装置。
このようにすれば、観測結果と閾値との比較により移動体が安全な状況にあるか否かを判定できるのでよい。「観測手段の観測結果を数値化した値」は、例えば、加速度の値や、ハンドルの舵角の値とすればよい。
また、「前記観測手段の観測結果を数値化した値が、前記閾値以上となった場合、又は前記閾値未満となった場合に前記移動体が安全な状況にあると判定する」は、例えば、加速度や舵角と閾値を比較することにより、急発進や急ハンドルの最中であるか等を判断し、このような急発進や急ハンドルの状況にない場合に移動体が安全な状況にあると判定するようにするとよい。また、例えば、移動体が徐行すべき場所を移動している場合には、移動体の速度が、閾値以下となっている場合に、移動体が安全な状況にあると判定するようにするとよい。
(8) 前記観測手段による観測結果が所定の条件を満たした場合に前記ユーザが抱くであろう心理状態は、前記移動体の操作に悪影響を与えうる心理状態であることを特徴とする装置。
このようにすれば、移動体の操作に悪影響を与える心理状態を、他の心理状態へと切り替える為のメッセージを送出することができるのでよい。
例えば、ユーザがイライラしている心理状態や焦っている心理状態の際に、これらの心理状態を切り替え、イライラや焦りを抑えるようなメッセージを送出する。これにより、ユーザは落ち着いた心理状態にて安全に運転を行うことが可能となるのでよい。
(9) 前記ユーザの考えを代弁する内容のメッセージを、前記他の心理状態へと切り替える為のメッセージとして送出することを特徴とする装置。
このように、メッセージにより、ユーザの考えを代弁する。これにより、例えばユーザが「今の車、危ない運転をするな!」と考えるような場合に、ユーザの考えを代弁するメッセージとして「今の車、危ない運転をするな!」というメッセージを送出する。これによりメッセージがユーザの気持ちを代弁してくれることから、ユーザの気持ちが晴れ、ユーザ自身の「今の車、危ない運転をするな!」との考えやこれにまつわる感情が落ち着くのでよい。
(10) 前記ユーザの考えに共感する内容のメッセージを、前記他の心理状態へと切り替える為のメッセージとして送出することを特徴とする装置。
このように、メッセージにより、ユーザの考えに共感する。これにより、ユーザは、自身のイライラしている心理状態や焦っている心理状態に共感して理解して貰えたと感じ、ユーザの感情が落ち着くのでよい。共感する内容のメッセージは、例えば、「今のは、びっくりしましたね!」等のメッセージにするとよい。
(11) 前記ユーザの考える視点を変える内容のメッセージを、前記他の心理状態へと切り替える為のメッセージとして送出することを特徴とする装置。
このように、メッセージにより、ユーザの考える視点を変える。ユーザの心理状態が、イライラしているや焦っている状態のときは、ユーザの視点は柔軟さを失い短絡的になりがちである。しかし、本装置によれば、他の視点により考えるきっかけを与えることから、ユーザが柔軟な視点で現状を捉えることができるのでよい。視点を変える内容のメッセ
ージは、例えば、「大人のあなた、後ろから来る車に道、譲っちゃいましょう!そのほうが気楽ですよ!」等のメッセージにするとよい。
(12) 前記他の心理状態へと切り替える為のメッセージは、前記ユーザが直接又は間接的に録音したメッセージであることを特徴とする装置。
このようにすれば、送出されるメッセージユーザが直接又は間接的に録音したメッセージとなる。この点、本装置は、心理状態に働きかけるものであるので、ユーザ一人一人によって効果的なメッセージは異なる。つまり、セルフトークの効果的な内容は、人それぞれ違いがあり、その人に合ったメッセージを探す必要がある。そこで、例えば、ユーザの恋人、家族(妻や子供)の音声をユーザが録音装置を使って直接的に、或いは家族等に依頼して間接的に、予め録音したものをメッセージとして送出するようにするとよい。これにより、本装置を利用するユーザに適したメッセージを送出することができるのでよい。
(13) 前記他の心理状態へと切り替える為のメッセージは、前記ユーザが複数のメッセージの中から選択したメッセージであることを特徴とする装置。
このようにすれば、ユーザが好みのメッセージを、送出されるメッセージとして選択することができる。この点、本装置は、心理状態に働きかけるものであるので、ユーザ一人一人によって効果的なメッセージは異なる。つまり、セルフトークの効果的な内容は、人それぞれ違いがあり、その人に合ったメッセージを探す必要がある。そこで、例えば、声質やメッセージの内容を何パターンか用意しておいてユーザにユーザ自身の嗜好に合わせたパターンを選択させるようにするとよい。これにより、本装置を利用するユーザに適したメッセージを送出することができるのでよい。
(14) 前記観測手段による観測結果が、同一の所定の条件を複数回満たした場合に、各回で送出するメッセージを異ならせることを特徴とする装置。
このようにすれば、同じ所定の条件であっても、この条件が満たされる度に送出するメッセージの内容を異ならせることができるのでよい。例えば、仮に全く同じメッセージを繰り返し伝達された場合に、ユーザはそのメッセージに慣れてしまい、心理状態を切り替える効果が薄くなることも考えられる。そこで、例えば、或るときに他の移動体からの突然の割り込み行為があった際に送出するメッセージと、また異なるときに他の移動体からの突然の割り込み行為があった際に送出するメッセージとを異なるメッセージとする。これにより、ユーザは各メッセージに新鮮さを感じ、その都度メッセージに耳を傾けることから、同じメッセージを毎回送出する場合に比較して、心理状態を切り替える効果が薄くなることを防止することができるのでよい。
(15) 前記観測手段が観測する前記移動体がおかれている状況は、前記移動体が受け付けている前記ユーザからの操作状況、前記移動体の動作状況及び前記移動体の周辺状況の何れか或いは2つ以上の組み合わせであることを特徴とする装置。
このようにすれば、観測結果に応じた処理を行うにあたって状況の判断とする根拠を選択する、或いは選択して組み合わせることができるのでよい。そして、これにより、高い精度で移動体の状況を判断することができるのでよい。
例えば、移動体が受け付けているユーザからの操作状況を状況判断の根拠とするとよい。急ハンドルや急ブレーキ禁止違反の発生のような状況を検出できるからよい。また、例えば移動体の動作状況を状況判断の根拠とするとよい。無灯火違反のような状況を検出できるからよい。
更に、例えば、移動体の周辺状況を状況判断の根拠とするとよい。渋滞に巻き込まれたといった状況を検出できるからよい。更に他にもこれらの条件を組み合わせるようにするとよい。1つの条件では正確に判定できないような状況であっても判定が可能となるからよい。
(16) 前記移動体の周辺状況は、前記移動体と、他の移動体との関係に基づいた状況であることを特徴とする装置。
このようにすれば、移動体と、他の移動体との関係に基づいてメッセージを送出できるのでよい。例えば、後続車が必要以上に接近してくるといった、いわゆる煽り行為を受けているという状況や、時間的な制約によるイライラに基づいて意図せずに他の先行車に近づき過ぎてしまい車間距離が近くなったという状況で、メッセージを送出できるようになるのでよい。
(17) 前記移動体の周辺状況は、前記移動体が移動している場所に基づいた状況であることを特徴とする装置。
このようにすれば、移動体が移動している場所に基づいてメッセージを送出できるのでよい。例えば、移動体の移動する場所が進入禁止区域であるの進入してしまっている状況である、という状況で、メッセージを送出できるようになるのでよい。
(18) 前記メッセージの送出は、前記ユーザが前記移動体を操作中であっても検知できるように行うことを特徴とする装置。
このようにすれば、ユーザが確実にメッセージを知覚できるのでよい。移動体操作中は、例えば、視覚により前方やバックミラーを参照したり、触覚によりハンドルを握ってハンドルを回転させたり、アクセルやブレーキを踏み込む等する。
そこで、このような操作に利用しているユーザの五感の能力以外の能力を利用してユーザが検知可能なようにメッセージを送出することが考えられる。例えば、操作には比較的使用されていないユーザの聴覚にて検知可能なように、音声によるメッセージを送出するようにするとよい。また、併せて表示装置にメッセージを表示させるようにするのもよい。
(19) 上記1乃至18の何れかに記載の装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
このようにすることで、上記(1)乃至(18)として記載の構成をコンピュータにより実現することが可能となるのでよい。
また、上記(1)乃至(18)の何れか1つに記載の構成をコンピュータにより実現するようにしてもよいが、上記(1)乃至(18)のそれぞれに記載の構成の一部又は全部を組み合わせてコンピュータにより実現するようにしてもよい。つまり、本発明の要旨を変更しない範囲で、上記(1)乃至(18)に記載の構成要素のそれぞれを任意に組み合わせた構成をコンピュータにより実現するとよい。
本発明によれば、ユーザの感情を計測するための専用の計測機器を追加することなく、運転時のユーザの心理状態に働きかけることが可能となる。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
<メッセージ送出装置の外観>
まず、メッセージ送出装置の外観について説明する。図1に示すように本発明の実施形態であるメッセージ送出装置100は、メッセージ送出装置100を保持する部材であるクレードル200に着脱自在に取り付けられる。
ここで、メッセージ送出装置100は、ユーザの感情を計測するための専用の計測機器を追加することなく、メッセージを送出することにより運転時のユーザの心理状態に働きかける装置である。以下の説明では、かかる運転時のユーザの心理状態に働きかけるためのメッセージを、単に「メッセージ」と呼ぶ。また、メッセージ送出装置100は、ナビゲーション装置(PND)としての機能も備える。
一方で、クレードル200は、メッセージ送出装置100を保持するクレードル本体210と、車室内の所定の位置(ダッシュボード等)において、クレードル本体210を任意の姿勢で支持する台座部220と、を備えている。台座部220は、底面に設けた吸盤にて、ダッシュボードなどの上に吸着して固定される。台座部220とクレードル本体210とは、ボールジョイント等の連結機構を介して所定の角度範囲内で回転可能に連結される。ボールジョイントであるため、台座部220とクレードル本体210は、相対的に三次元方向の任意の角度範囲内で回転移動し、ジョイント部分における摩擦抵抗により任意の角度位置でその位置をとどめる。よって、クレードル本体210に取り付けられたメッセージ送出装置100も、ダッシュボード上において任意の姿勢で配置することができる。
そして、ユーザは、メッセージ送出装置100を、クレードル200と共に車両のダッシュボード上に設置して車載用の装置として利用したり、クレードル200からメッセージ送出装置100を取り外して携帯型の装置として利用したりすることができる。
次に、メッセージ送出装置100が備える機器・部品について説明する。メッセージ送
出装置100は、扁平な矩形状のケース150を備える。
また、ケース150の前面には、表示機能付きのタッチパネル101が配置される。かかるタッチパネル100は、表示を行なう表示部と、表示部上のどの部分がタッチされたかを検出する検出部により実現される。
更に、ケース150の前面の両サイドには、ユーザに対する報知を行なうための、報知用LED103を設ける。
更に、ケース150の一方の側面には、SDメモリカード用スロット部105及びドライブレコーダ接続部106を設ける。
SDメモリカード用スロット部105には、地図データ等が記録されたSDメモリカード22が挿入される。
また、ドライブレコーダ接続部106には、図示省略のケーブルを介して、車両に設置されたドライブレコーダが接続される。そして、ドライブレコーダ接続部106には、ドライブレコーダが撮像した車両周辺の映像が入力される。
更に、図示省略の背面にはDCジャックと照度センサ111を設ける。
DCジャックは、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。そして、図示しないバッテリをケース150の内部に備え、DCジャックから供給された電力をバッテリに充電しておき、DCジャックからの電力が供給されなくなった場合には、バッテリに充電された電力により動作することができる。
照度センサ111は、ケース150外部の照度を測定するセンサであり、車両のフロントウインドを介して車内に入る、車外の光の照度を測定する。
SDメモリカード用スロット部105及びドライブレコーダ接続部106が設けられている側面と反対側の側面には、図示省略のOBD接続部107及び図示省略のUSB端子108を設けている。
OBD接続部107には、図示省略のケーブルを介して、車両のOBDコネクタが接続される。そして、OBD接続部107には、接続されたOBDコネクタから出力される各種の情報が入力される。かかる各種の情報とは、例えば、車両の車速、エンジン回転数、ハンドル舵角、ブレーキ操作状態及びアクセル操作状態等を表す情報である。
また、USB端子108を介してパソコンと接続し、ソフトウェアアプリケーションのバージョンアップなどを行なうことができる。
ケース150の上面には、ボタン102を備える。より詳細には、ボタン102として、左からボタン102a、ボタン102b及びボタン102cの3つのボタンを備える。
ここで、ボタン102aはメッセージ送出開始/終了ボタンであり、ボタン102bは運行案内開始/終了ボタンであり、ボタン102cは電源ボタンである。
電源オフの状態で、ボタン102cが押下されると、メッセージ送出装置100は起動処理を開始する。そして、メッセージ送出装置100が起動すると、メッセージの送出及
び運行案内が開始される。ユーザは、ボタン102aやボタン102bを押下することにより、メッセージの送出や運行案内を終了させたり、再度開始させたりすることができる。また、メッセージ送出装置100が起動して、動作している状態で、ボタン102cが押下されると、メッセージ送出装置100は電源オフの状態に遷移する。
<メッセージ送出装置内部>
次に、図2に示すケース150内部の各機器・部品について説明する。なお、図1に示した各機器・部品については重複する説明を省略する。なお、図2では、ボタン102a、ボタン102b及びボタン102cをまとめて、ボタン102として示す。
まず、ケース150の内部に、メッセージを送出したり、運行案内用の音声を送出したりするための、スピーカ104を備える。スピーカ104が送出するメッセージや音声等は、ケース150に設けられた放音孔から、ユーザが聞き取り可能に送出される。
また、ケース150の内部に、GPS信号を受信し、メッセージ送出装置100の現在位置を求めるGPSセンサ109を備える。
更に、ケース150の内部に、マイコン121と、マイコン121に接続された不揮発性メモリとを備える制御部120を備える。マイコンは、演算処理を行なうコンピュータにより実現される。また、不揮発性メモリは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)により実現される。
本実施形態のメッセージ送出装置100は、メッセージを送出する機能に加え、車両の運行案内を行なう機能も備え、これらの機能は、制御部120に有するマイコンが実行するプログラムとして制御部120の記憶部上に格納され、これを制御部120に有するマイコンが実行することで実現される。以下特段の記載がない場合には、記載した処理は制御部120が備えるマイコン121が、不揮発性メモリ122上に格納されたプログラムを実行することで実行される。
また、制御部120は、上記の各種の入力機器(タッチパネル101、ボタン102、SDメモリカード用スロット部105、ドライブレコーダ接続部106、OBD接続部107、USB端子108、GPSセンサ109及び照度センサ111等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(タッチパネル101、報知用LED103、スピーカ104、SDメモリカード用スロット部105、USB端子108等)を利用して所定の情報・警報・メッセージを出力する。更に、制御部120は、所定の処理を行なう場合に、必要に応じてデータベース112や、SDメモリカード22にアクセスする。この所定の処理が、上記の各機能を実行するためのものである。
データベース112は、制御部120が利用するデータベースであり、フラッシュメモリにより実現される。
かかるデータベース112には、図4−1乃至図4−5に示すようなメッセージ情報テーブルが出荷時に登録されている。メッセージ情報テーブルの詳細な内容については、後述する。
また、データベース112には、地図情報や、電話番号とその電話番号の住宅・会社・施設等の位置情報及び名称とを対応づけて記憶した電話番号データベースや、住所とその住所の位置情報とを対応づけて記憶した住所データベースや、追い越し禁止区間、交差点でのレーン情報、通行禁止情報及び進入禁止等の交通規則に関連した情報を記憶した交通規則データベースといった情報が出荷時に登録されている。
出荷後に、メッセージ情報テーブルに新たなメッセージを追加する場合や、新たな地図情報等を追加する場合には、所定の処理を経てデータベース112を更新することができる。この更新のための処理は、例えば、追加データが格納されたSDメモリカードをSDメモリカード用スロット部105に装着すると共に、そのSDメモリカードからデータベース112に追加データを転送することで行うことがある。また、このデータ更新は、USB端子108を介して接続されるパソコンその他の外部機器を用いたりすることで行うことができる。
<メッセージ送出時の動作>
次に、図3のフローチャート及び図4−1乃至図4−5に記載のメッセージ情報テーブルを参照してメッセージ送出時の動作について説明する。
まず、スイッチ24cが押下されると、かかる押下を検知した制御部120内のマイコン121が、不揮発性メモリ122に格納されているプログラムに基づいた演算処理を行い、メッセージ送出装置100内の各ハードウェアを制御することにより、運行案内機能を起動する。そして、以下の各ステップにおける各処理と平行して運行案内を継続する(ステップS11)。
次に、制御部120は、運行案内機能と同様にしてメッセージ送出機能を起動させると、まずデータベース112に格納されているテーブルを参照する。
ここで図4−1乃至図4−5に示すように、メッセージ情報テーブルには、メッセージを送出する「シチュエーション」、各シチュエーションを識別するために割り当てられている「番号」、各シチュエーションが発生したか否かを検出するための検出条件及び該検出条件が満たされたか否かを判定する具体的な方法である「検出条件及び送出方法」、検出条件が満たされた場合に送出するメッセージである「送出メッセージ」、メッセージを送出するタイミングを表す「メッセージ送出タイミング」及びメッセージの種類を表す「メッセージ種類」が含まれる。
本実施形態では、このようなテーブル内に含まれる情報に基づいて、メッセージの送出を行なう。具体的には、テーブル内に含まれる検出方法に基づいて検出条件が満たされたと判断できた場合に、かかる検出条件に対応するシチュエーションが発生したと想定し、かかる発生したシチュエーションが発生した状況下において適切なメッセージを、かかる発生したシチュエーションに対応したタイミングで送出する。
このような処理を行なうために、制御部120は、まず、ドライブレコーダ接続部106、OBD接続部107、GPSセンサ109及び照度センサ111等から入力される情報や地図情報等と、メッセージ情報テーブル内の「検出条件及び検出方法」とに基づいて、何れかの検出条件が満たされているか否かを所定の周期で判定する(ステップS12、ステップS12においてNo)。
この点、本実施形態では、図4−1乃至図4−5に示すようにメッセージを送出すべきシチュエーションが複数想定されている。そして、メッセージ情報テーブルには、これら複数のシチュエーションに対応した複数の検出条件及び検出方法が含まれる。ただし、ここでの説明はもっぱら制御部120が行なう一連の処理の流れについて説明することを目的としているので、ここでは番号1のシチュエーションが発生した場合を例に取って説明し、他のシチュエーションついては、次の<メッセージ情報テーブル>という項目において詳細に説明する。
ここで、番号1のシチュエーションについての検出条件について説明する。まず、番号1のシチュエーションについての検出条件及び検出方法は、図4−1に示すように「丸1→ドライブレコーダの映像から先行車両を追従しておく。」である。そこで、制御部120は、ドライブレコーダ接続部106を介して入力されるドライブレコーダの映像を解析し、映像内から先行車両を検出する。そして、検出した先行車両を追従する。
次に、「丸2→追従している先行車両との間に新たな車両を検出した直近で、定期的に監視しているOBD情報からフットブレーキが踏まれたことを検知したことを条件として、突然の強引な割込み行為を検出する。」である。そこで、制御部120は、ドライブレコーダの映像の解析を継続し、追従している先行車両との間に、新たな車両が検出されるか否かの判定を行なう。そして、追従している先行車両との間に、新たな車両が検出されたのならば、検出の直近においてフットブレーキが踏み込まれたか否かを、OBD接続部107を介して入力されるフットブレーキの挙動に関する情報に基づいて判定をする。
ここで、新たな車両の検出の直近においてフットブレーキが踏み込まれた否かを判定する理由について説明する。新たな車両の割り込みがあったとしても、これがウインカー等により予告されていたものであれば、ユーザは割り込みがされる前に予め車間距離等を調整しているので、割り込み時の直近にフットブレーキを踏む必要はない。しかしながら、このような予告のない突然の強引な割り込みである場合には、ユーザは割り込み時の直近に慌ててフットブレーキを踏むこととなる。
つまり、新たな車両の検出の直近においてフットブレーキが踏み込まれた場合には、突然の強引な割り込みが発生し、それに伴い、ユーザは運転には不適切なイライラしている心理状態や焦っている心理状態を抱くと考えられる。
そこで、このように、新たな車両の検出の直近においてフットブレーキが踏み込まれたことを検出条件として、ユーザの心理に働きかけ、ユーザの心理状態を運転に適切な落ち着いた心理状態に切り替えるためのメッセージを送出する。
このように、新たな車両の検出の直近においてフットブレーキが踏み込まれたのならば、検出条件は満たされたこととなる(ステップS12においてYes)。この場合、制御部120は次のステップS13の処理に進む。
ステップS13において、制御部120は、送出するメッセージを選択する。送出するメッセージは、今回満たされた検出条件に対応する送出メッセージのなかから選択される。ここで、今回満たされた検出条件に対応する送出メッセージには、図4−1に示すように「びっくりしましたね!落ち着いて!落ち着いて」や、「危ない運転をするね!何か急いでいたのかな!」といった複数のメッセージが存在する。この場合には、この複数のメッセージのなかから何れか1つをランダムに選択する。このように複数の中からメッセージを選択すると、同じ検出条件が満たされた場合でも、毎回異なるメッセージが送出されることとなり、ユーザがメッセージに対して飽きにくいのでよい。
次に、選択したメッセージを送出するが、検出条件が満たされた場合に、即メッセージを送出すると、ユーザの運転に悪影響を及ぼす場合がある。例えば、突然の強引な割り込みがあった場合には、まず、ユーザは速やかに車速を調整し、十分な車間距離を確保することにより、危険な状態を脱するための操縦を行なう必要がある。それにも関わらず、突然の強引な割り込みがあった場合に即メッセージを送出してしまうと、ユーザがメッセージに気を取られてしまい、操縦に集中できないことが考えられる。
このように、ユーザが危険を対処している間や、対処する瞬間などに知らせると、返っ
て危険な場合もあるので、本実施形態では危険の対処後に(運転者が落ち着いた頃に)メッセージの送出を行なう。
ただし、シチュエーションによっては、検出条件が満たされた場合に、即メッセージを送出しても問題がない、もしくは好ましい場合がある。例えば、図4−2に示す番号6の「時間的な制約での、イライラから車間距離を詰めてしまった」というシチュエーションの場合には、即メッセージを送出して、速やかに車間距離を確保すべきことを促すことが好ましい。
つまり、シチュエーションが異なれば、メッセージを送出すべきタイミングも異なる。そこで、メッセージ情報テーブルには、メッセージ送出タイミングの項目を設け、かかるメッセージ送出タイミングとなった場合に、メッセージを送出する。
この点、メッセージ送出タイミングは、大きく分けると、ユーザの気持ちが「落ち着いた頃」に送出するというものと、ユーザの気持ちが「落ち着いた頃」であるか否かを考慮することなく、他の条件に基づいて送出するというものの2つに分けられる。そこで、ステップS14では、満たされた検出条件に対応するメッセージ送出タイミングが、上記2つの何れにあたるのかを判定する。
ここで、満たされた検出条件に対応するメッセージ送出タイミングが、「落ち着いた頃」でない場合(ステップS14においてNo)には、ステップS15に進む。例えば、図4−2に示す番号6の「時間的な制約での、イライラから車間距離を詰めてしまった」というシチュエーションの検出条件が満たされた場合には、メッセージ送出タイミングは「検出したときに即通知」である。このような場合には、ステップS15に進む。
そして、ステップS15では、メッセージ送出タイミングとなったか否かを判定する(ステップS15)。ここで、例えばメッセージ送出タイミングが「検出したときに即通知」であれば、検出した時点でメッセージ送出タイミングとなっているのでステップS19に進む(ステップS15においてYes)。一方で、例えばメッセージ送出タイミングが「交差点を通過後送出」であれば、データベース112に格納されている地図情報と、GPSセンサ109が測定した位置情報とに基づいて、車両が交差点を通過できたと判断できるのを待ち(ステップS15においてNo)、車両が交差点を通過できたと判断した場合に(ステップS15においてYes)、ステップS19に進む(ステップS15においてYes)。
ステップS19では、制御部120がステップS13において選択したメッセージを送出するための制御を行い、かかる制御に基づいてスピーカ104やタッチパネル101からメッセージを送出する(ステップS19)。
例えば、データベース112にメッセージの音声データを記憶しておき、送出時に音声データを再生してスピーカ104から出力させることにより音声を送出させる。または、データベース112にメッセージをテキストデータとして記憶しておき当該テキストデータに対応する音声を音声合成によって生成して音声をスピーカ104から出力させる。また、例えば、データベース112内のメッセージ情報テーブルにはメッセージがテキストデータとして記憶されているので、当該テキストデータをタッチパネル101表示させる。こうすることにより、ユーザがこれらメッセージの内容を知覚することができるのでよい。
ここで、テキストデータをタッチパネル101に表示させる場合の、タッチパネル101上の表示例を図5に示す。通常の運行案内時は図5の上段に「(a)通常時」として示
すように、運行案内用の地図や各種情報が画面に表示される。ユーザはかかる表示を参照しながら運転を行なう。ここで、何らかの検出条件が満たされ、メッセージ送出タイミングとなった場合には、図5の下段に「(b)通常時」として示すようにメッセージに対応するテキストが表示される。ユーザは、かかるメッセージを参照することにより、メッセージの内容を知覚することができる。
一方で、ステップS12において満たされた検出条件に対応するメッセージ送出タイミングが、「落ち着いた頃」だった場合には(ステップS14においてYes)、ステップS16に進む。例えば、番号1のシチュエーションに対応するメッセージ送出タイミングは、図4−1に示すように「落ち着いた頃送出」である。そこで、この場合にはステップS16に進む。
そして、ステップS16乃至ステップS18において、車両を操縦しているユーザが危険を脱して落ち着いた状態にあるか否かを、ユーザが操縦する車両の挙動に基づいて判定する。
具体的には、制御部120は、まずOBD接続部107に入力される、車両の減速加速度の値が、所定の閾値以下であるか否かを確認する(ステップS16)。ここで、所定の閾値は、車両が安全な状態な場合に測定される閾値とする。つまり、急ブレーキ中に測定される減速加速度ではない値を所定の閾値とする。
OBD接続部107に入力される、車両の減速加速度の値が、所定の閾値以下であれば、ステップS17に進む(ステップS16においてYes)。一方で、OBD接続部107に入力される、車両の減速加速度の値が、所定の閾値を超えていれば、車両が急ブレーキ中の危険な状況にあると考えられるためステップS16の判定を繰り返す(ステップS16においてNo)。
次に、制御部120は、OBD接続部107から入力されるハンドルの舵角を表す情報に基づいて、ハンドルの舵角が所定の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS17)。ここで、所定の範囲は、車両が安全な状態な場合に測定される範囲を表す値とする。つまり、急ハンドルを切っている場合に測定される舵角ではない舵角の範囲を所定の範囲とする。
OBD接続部107から入力されるハンドルの舵角を表す情報に基づいて、ハンドルの舵角が所定の範囲内にある場合には、ステップS18に進む(ステップS17においてYes)。一方で、ハンドルの舵角が所定の範囲内にない場合には、ステップS16に戻る(ステップS17においてNo)。
次に、制御部120は、OBD接続部107から入力されるブレーキ及びアクセル操作に関する情報に基づいて、ブレーキ及びアクセル操作が落ち着いているか否かを判定する(ステップS18)。制御部120は、OBD接続部107から入力されるアクセル開度が所定の範囲にある場合に、アクセル操作が落ち着いていると判定する。また、ブレーキペダルが所定時間連続して押下されていない場合に、ブレーキ操作が落ち着いていると判定する。
OBD接続部107から入力されるブレーキ及びアクセル操作に関する情報に基づいて、ブレーキ及びアクセル操作が落ち着いていると判定できた場合には、ステップS19に進む(ステップS18においてYes)。一方で、OBD接続部107から入力されるブレーキ及びアクセル操作に関する情報に基づいて、ブレーキ及びアクセル操作が落ち着いていると判定できない場合には、ステップS16に戻る(ステップS18においてNo)
。
ここで、このようにしてステップS19に進んだ場合とは、すなわち、減速加速度が所定値以下であることから急ブレーキ中ではなく(ステップS16においてYes)、ハンドルの舵角も所定の範囲内であることから急ハンドルを切っている状態でもなく(ステップS17においてYes)、且つ、ブレーキ操作及びアクセル操作の双方が落ち着いている状態である(ステップS18においてYes)。
そのため、ユーザが操縦する車両の挙動は安定しており、ユーザの気持ちも落ち着いていると考えられる。つまり、メッセージ送出タイミングである「落ち着いた頃」というタイミングとなっている。
そこで、制御部120は、ステップS13において選択したメッセージを送出するための制御を行い、かかる制御に応じてスピーカ104等がメッセージの送出を実行する。なお、ステップS19における処理のより具体的な内容については、上述したステップS15においてYesの場合に行なうステップS19における処理の内容と同じであるので、ここでは再度の説明を省略する。
以上図3を参照して説明したように、本実施形態では、メッセージ情報テーブル内に含まれる検出方法に基づいて検出条件が満たされたと判断できた場合に、かかる検出条件に対応するシチュエーションが発生したと想定し、かかる発生したシチュエーションが発生した状況下において適切なメッセージを、かかる発生したシチュエーションに対応したタイミングで送出する。
これにより、送出したメッセージにより、運転時のユーザの心理状態に働きかけることができるという効果を奏する。また、本実施形態では、OBD接続部107を介して入力される情報や、GPSセンサ109や照度センサ111により測定した情報を用いて上述の処理を実現することができる。よって、メッセージの送出のために、ユーザの感情を計測するための専用の計測機器を追加する必要はないという効果を奏する。
<メッセージ情報テーブル>
次に、メッセージ情報テーブルに含まれる、各シチュエーションについてより詳細に説明する。
まず、番号1のシチュエーションは、「突然の強引な割り込み行為」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→ドライブレコーダの映像から先行車両を追従しておく。」なので、制御部120は、ドライブレコーダ接続部106から入力される映像を解析することにより、映像内から先行車両を検出し、検出した先行車両を追従する。そして、「丸2→追従している先行車両との間に新たな車両を検出した直近で、定期的に監視しているOBD情報から、フットブレーキが踏まれたこと及び急な減速加速度を検知したことを条件として、突然の強引な割込み行為を検出する。」なので、制御部120は、ドライブレコーダの映像の解析を継続し、追従している先行車両との間に、新たな車両が検出されるか否かの判定を行なう。そして、追従している先行車両との間に、新たな車両が検出されたのならば、OBD接続部107に入力されるフットブレーキの挙動に関する情報に基づいて、検出の直近においてフットブレーキが踏み込まれたと判定でき、且つ、急な減速加速度を検知した場合に、検出条件が満たされたと判定し、突然の強引な割り込み行為を検出する。
この場合に送出するメッセージは、「びっくりしましたね!落ち着いて!落ち着いて」
である。このように、ユーザに共感すると共に、ユーザに落ち着くように促すメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、運転に適切な心理状態へと切り替える。
また、送出する他のメッセージは、「危ない運転をするね!何か急いでいたのかな!」や、「何か急用で慌てていたのでしょうか?いろいろな人がいるものです。車間距離に注意して落ち着いて運転しましょう!」である。このように、割り込み行為をしてきた相手側の事情を考えることにより、ユーザの考える視点を変えさせるようなメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、運転に適切な心理状態へと切り替える。
また、送出する他のメッセージは、「怖いね!世の中には変わっている人がいるね!危ないから近寄らないで車間距離を取って離れましょう!」である。このように、ユーザの考えを代弁するようなメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、運転に適切な心理状態へと切り替える。
突然の強引な割り込み行為を受けた直後は危険な状態であるので、メッセージ送出タイミングは「落ち着いた頃送出」である。
次に、番号2のシチュエーションは、「後続車からのあおり」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→常時ドライブレコーダのバックモニタなどの映像から後方の車の接近を監視する。」なので、制御部120は、ドライブレコーダ接続部106から入力される映像を解析することにより、後方の車両が接近していないかを監視する。そして、「丸2→監視により後続車の接近を検知したことを条件として、後続車からのあおりを検出する。」なので、制御部120は、監視している後方の車両との車間距離が所定距離以下となった場合に、検出条件が満たされたと判定し、後続車からのあおりを検出する。
この場合に送出するメッセージは、「何か急いでいる様子の車が近づいてきます。大人のあなた、後ろから来る非常識な車に道、ゆずっちゃいましょう!」である。このように、車両を運転するユーザを立てるメッセージを送出することにより、ユーザの心理を切り替えることができる。
あおりを受けている状態は危険な状態であるので、メッセージ送出タイミングは「落ち着いた頃送出」である。
次に、番号3のシチュエーションは、「時間に追われているときに、高速道路などで渋滞につかまった」というシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→ドライブレコーダからの映像で前方の車の接近を検知」なので、制御部120は、ドライブレコーダ接続部106から入力される映像を解析することにより、前方の車両が接近していないかを監視する。そして、「丸2→OBD情報から自車両の車速を監視し、徐行を検知したことを条件として渋滞につかまったこと検出する。」なので、制御部120は、OBD接続部107から入力される車速を監視し、車速が所定の速度以下となった場合に、検出条件が満たされたと判定し、後続車からのあおりを検出する。
この場合に送出するメッセージは、「渋滞のようですね!仕方ないですよ!焦らず行きましょう!」このように、車両を運転するユーザに冷静に状況を説明するメッセージを送出することにより、ユーザの心理を切り替えることができる。
この場合に送出する他のメッセージは、「みんな行く方向が同じみたい!まいったね!」である。このように、車両を運転するユーザの「まいった」という気持ちに共感するメッセージを送出することにより、ユーザの心理を切り替えることができる。
渋滞につかまっており、既に徐行済みであり危険な状態ではないので、メッセージ送出タイミングは「検出したときに即送出」である。
次に、番号4のシチュエーションは、「交通量の多い道路に入れない」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→地図情報と測定した位置情報から、交差点など合流点に停止していることをチェックする。ドライブレコーダから映像で、前方の車の流れを検知する。」なので、制御部120は、データベース112に格納されている地図情報と、GPSセンサ109が測定した位置情報から、車両が交差点など合流点に停止していることを確認する。また、併せてドライブレコーダ接続部106から入力される映像を解析することにより、前方の車の流れを検知する。そして、車両が交差点など合流点に停止しており、前方に車の流れが存在する状態で、「丸2→OBD情報からウインカーが点滅状態にあること検知し、AT車であればシフト位置が「P」や「R」や「N」でないことをOBD情報から確認。フットブレーキをドライバーが踏み込んでいることも確認し、この状態で数十秒間車両が動かないことを条件として、車が道路への進入待ちをしており道路に入れないことを検出する。」なので、制御部120は、OBD接続部107から入力される情報に基づき、ウインカーが点滅状態にあり、且つ、シフト位置が「D」等であり、フットブレーキが踏み込まれている、という状態で数十秒間車両が動かない
場合に、検出条件が満たされたと判定し、後続車からのあおりを検出する。
この場合に送出するメッセージは、「落ち着いて、車の流れに入りましょう!」や「焦らない!焦らない!」である。このように、車両を運転するユーザを落ち着かせるためのメッセージを送出することにより、ユーザの心理を切り替えることができる。
この場合に送出する他のメッセージは、「一度、深呼吸して、気持ちを切替えましょう!」である。このように、車両を運転するユーザに深呼吸を促すメッセージを送出することにより、ユーザの心理を切り替えることができる。
流れに入れず停止しており、危険な状態ではないので、メッセージ送出タイミングは「検出したときに即送出」である。
次に、番号5のシチュエーションは、「細い道で前を歩く歩行者や自転車が後ろから近づくこちらの車に気付かずなかなか通過できない」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→地図情報と測定した位置情報から高速道路や国道などではない道幅の狭い道であることをチェック」なので、制御部120は、データベース112に格納されている地図情報と、GPSセンサ109が測定した位置情報から、車両が高速道路や国道などではない道幅の狭い道であることを確認する。すると、「丸2→ドライブレコーダの映像から前方にいる人を検知。」なので、制御部120は、ドライブレコーダ接続部106から入力される映像を解析することにより、前方に人がいることを検知する。すると、「丸3→OBD情報から車速を監視。徐行スピードでの走行が数十秒間続いたことを条件として、なかなか通過できないことを検出。」な
ので、制御部120は、OBD接続部107から入力される車速に基づき、徐行スピードでの走行が数十秒間続いた場合に、検出条件が満たされたと判定し、なかなか通過できないことを検出する。
この場合に送出するメッセージは、「困りましたね!脅かしたくもないし、早く気付いてくれないかな!」、「人より車の方が強いから、人をびっくりさせたくないよね!」及び「びっくりしないで、はやく気付いてくれるといいね!後ろ振り返って、振り返って!」等である。このように、車両を運転するユーザに共感するメッセージを送出することにより、ユーザの心理を切り替えることができる。
この場合に送出する他のメッセージは、「あなたは優しいドライバー!優しく気付かせてあげましょう!」である。このように、車両を運転するユーザを褒めるメッセージを送出することにより、ユーザの心理を切り替えることができる。
通過ができずに徐行しており、危険な状態ではないので、メッセージ送出タイミングは「検出したときに即送出」である。
次に、番号6のシチュエーションは、「時間的な制約での、イライラや焦りから車間距離を詰めてしまった」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→ドライブレコーダの映像から前方車両との間の車間距離を監視。」なので、制御部120は、ドライブレコーダ接続部106から入力される映像を解析することにより、前方車両との間の車間距離を監視する。そして、「丸2→OBD情報より車速を監視。」なので、制御部120は、制御部120は、OBD接続部107から入力される車速を監視する。また、「丸3→現時点の車速に対して必要な車間距離が確保できていないことを条件として、車間距離を詰めてしまったことを検出」制御部120は、丸1及び丸2の監視結果に基づいて、現時点の車速に対して必要な車間距離が確保できていないと判定できた場合に、検出条件が満たされたと判定し、車間距離を詰めてしまったことを検出する。
この場合に送出するメッセージは、「車間距離が少し近いようです!もう少し安全な間隔を確保した方がいいかも知れません。焦らずにいきましょう!」及び・「近い!近い!危ないよ。気を付けて車間距離とろうよ!」である。このように、車両を運転するユーザの安全を気遣うメッセージを送出することにより、ユーザの心理を切り替えることができる。
速やかに車間距離を取るように促す必要があるので、メッセージ送出タイミングは「検出したときに即送出」である。
以上説明した各シチュエーションにおける、メッセージ種類は「メンタル」であり、ユーザの考えを代弁する内容のメッセージや、ユーザの考えに共感する内容のメッセージや、ユーザの考える視点を変える内容のメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、運転に不適切な状態から、運転に適切な状態へと切り替える。
一方で、以下で説明する、メッセージ種類は「違反」であり、ユーザの運転が法令等で定められる交通規則に違反した場合に、その旨をユーザに対するメッセージとして送出する。これにより、気の緩みが有る等の運転に不適切な心理状態にて違反行為を行ったユーザの心理状態を切り替えさせ、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な心理状態へと切り替える。また、ユーザが、交通規則自体を知らなかったり、忘れたりしていた場合には、交通規則が存在することをユーザに認識させることが可能となる。
次に、番号7のシチュエーションは、「通行区分違反(右折レーンから直進したり左折したりすれば、通行区分違反)」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→地図情報と測定した位置情報から走行レーンを検知して、交差点を指定された進行方向へ走らなかったことを条件として違反を検出。」なので、制御部120は、制御部120は、データベース112に格納されている地図情報及び交通規則データベースと、GPSセンサ109が測定した位置情報から、走行レーンを検知して、交差点を指定された進行方向へ走らなかった場合に、検出条件が満たされたと判定し、通行区分違反を検出する。
この場合に送出するメッセージは、「通行レーンを間違っています。」というメッセージや、「あっ通行レーン間違ったみたい。事故にならなくてよかったね。今度は気を付けましょう!」というメッセージである。このように、車両を運転するユーザに交通規則に違反した旨を通知するメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な心理状態へと切り替える。また、後者のメッセージであれば、ユーザを気遣うメッセージであることから、ユーザの心理状態を落ち着かせることが可能となる。
交差点を通過中は、特に運転に集中すべき状態であるので、メッセージ送出タイミングは「交差点を通過後送出」である。
次に、番号8のシチュエーションは、「通行止め/進入違反」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→地図情報に通行止めや進入禁止情報をデータベース化して持っておき、測定した位置情報で、進入禁止の道に入ったことを条件として違反を検出。」なので、制御部120は、データベース112に格納されている地図情報及び交通規則データベースと、GPSセンサ109が測定した位置情報に基づいて、車両が進入禁止の道に入ったことが検知できた場合に、検出条件が満たされたと判定し、通行止め/進入違反を検出する。
この場合に送出するメッセージは、「この道は進入禁止です。」や「ここ進入禁止なので、ルートを変えましょう!」である。このように、車両を運転するユーザに交通規則に違反した旨を通知するメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な心理状態へと切り替える。また、後者のメッセージであれば、ユーザに違反を回避するための具体的手段を通知するメッセージであることから、ユーザを安心させると共に、どのようにすれば違反を回避することができるかをユーザに通知することが可能となる。
通行止め/進入違反の場合には、速やかにルートを変更する必要があるので、メッセージ送出タイミングは「検出したときに即通知」である。
次に、番号9のシチュエーションは、「追越し違反」が発生したというシチュエーションである。本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→地図情報に追い越し禁止道路区間情報をデータベース化して持っておく。」であるが、図2を参照して上述したようにデータベース112には、このような情報を含む交通規則データベースが格納されている。そして、「丸2→測定した位置情報とOBD情報の車の舵角情報やドライブレコーダからの映像で、車線を認識して追い越し禁止されている車線への変更を検知したことを条件として違反を検出。」なので、制御部120は、交通規則データベースに含まれ
る情報、GPSセンサ109が測定した位置情報、OBD接続部107から入力される舵角情報及びドライブレコーダ接続部106から入力される映像、に基づいて追い越し禁止されている車線への変更を検知した場合に、検出条件が満たされたと判定し、追越し違反を検出する。
この場合に送出するメッセージは、「先ほどのところは、追い越しは禁止です」である。このように、車両を運転するユーザに交通規則に違反した旨を通知するメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な心理状態へと切り替える。
追い越しをした直後は、車速等を調整する必要があるので、メッセージ送出タイミングは「落ち着いた頃送出」である。
次に、番号10のシチュエーションは、「踏切不停止等違反」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→地図情報と測定した位置情報から踏切を通過することを検知。」なので、制御部120は、データベース112に格納されている地図情報及び交通規則データベースと、GPSセンサ109が測定した位置情報に基づいて、車両が踏切を通過することを検知する。そして、「丸2→OBD情報で車速やフットブレーキを踏んだことを検知して、一時停止を監視する。一時停止していないことが確認できたことを条件として違反を検出。」なので、制御部120は、OBD接続部107から入力される車速やフットブレーキの操作状況を監視し、一時停止していないことが確認できた場合に、検出条件が満たされたと判定し、踏切不停止等違反を検出する。
この場合に送出するメッセージは、「踏み切りの前では、一時停止しましょう!」である。このように、車両を運転するユーザに交通規則に違反した旨を通知するメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な心理状態へと切り替える。
踏切を通過中は特に運転に集中すべき状態であるので、メッセージ送出タイミングは「踏切通過土送出」である。
次に、番号11のシチュエーションは、「一時停止違反」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→地図情報と交通規則データベースの情報と測定した位置情報から一時停止ポイントを通過することを確認。」なので、制御部120は、データベース112に格納されている地図情報及び交通規則データベースの情報と、GPSセンサ109が測定した位置情報に基づいて、車両が一時停止ポイントを通過することを確認する。そして、「丸2→OBD情報で車速やフットブレーキを踏んだことを検知して、一時停止を監視する。一時停止していないことが確認できたことを条件として違反を検出。」なので、制御部120は、制御部120は、OBD接続部107から入力される車速やフットブレーキの操作状況を監視し、一時停止していないことが確認できた場合に、検出条件が満たされたと判定し、踏切不停止等違反を検出する。
この場合に送出するメッセージは、「一時停止をしていませんでした。」である。このように、車両を運転するユーザに交通規則に違反した旨を通知するメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な
心理状態へと切り替える。
一時停止が要求されるポイントの付近は特に運転に集中する必要があるので、メッセージ送出タイミングは「落ち着いた頃送出」である。
次に、番号12のシチュエーションは、「交差点安全進行義務違反(交差点に進入、又は通過するときに車や歩行者に注意し、できる限り安全なスピードと方法で進行しなければならない義務)」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→地図情報と位置情報から交差点に車両が進入しようとしていることを検知する。」なので、制御部120は、データベース112に格納されている地図情報と、GPSセンサ109が測定した位置情報に基づいて、車両が交差点に進入しようとしていることを検知する。そして、「丸2→交差点に進入した時のハンドル操作、ブレーキ、アクセル、方向指示、速度をOBD情報より監視し、注意を怠ったことを検出したことを条件として、違反を検出」なので、制御部120は、OBD接続部107から入力される各種の情報によりユーザが操縦に関する注意を怠ったことを検出した場合に、検出条件が満たされたと判定し、交差点安全進行義務違反を検出する。例えば、急ハンドルを切ったことや、急ブレーキが踏まれたことや、アクセルを緩めること無く所定の車速以上の車速で交差点に進入したことや、方向指示を怠ったことを検出した場合に、検出条件が満たされたと判定する。
この場合に送出するメッセージは、検出条件を満たした原因により異ならせる。例えば、アクセルを緩めること無く所定の車速以上の車速で交差点に進入したことから検出条件を満たしたのであれば「交差点の前後では、もう少しスピードを落として走行しましょう」というメッセージを送出する。また、方向指示を怠ったことから検出条件を満たしたのであれば「交差点を曲がるときに、方向指示が出ていませんでした」というメッセージを送出する。
このように、車両を運転するユーザに交通規則に違反した旨を通知するメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な心理状態へと切り替える。
交差点を通過中は、特に運転に集中すべき状態であるので、メッセージ送出タイミングは「交差点を通過後送出」である。
次に、番号13のシチュエーションは、「急ブレーキ禁止違反(理由もなく急な停止や速度を急激に落とすことは、危険を防止するため以外は禁止されているにもかかわらず、急ブレーキを実施した場合)」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→OBDのブレーキ操作情報を監視し、ブレーキが踏まれたときに、その時の減速加速度の強さを測定。」なので、制御部120は、OBD接続部107から入力されるブレーキの操作情報及び減速加速度に基づいて、ブレーキが踏まれたときに、その時の減速加速度の強さを測定する。そして、「丸2→減速加速度が閾値を超えた場合に、前方に何も障害物がないことが、ドライブレコーダの映像から検出できたことを条件として、違反を検出。」なので、制御部120は、減速加速度が閾値を超えた場合、すなわち、急ブレーキが実施された場合にも関わらず、ドライブレコーダ接続部106から入力される映像を解析し、前方に障害物が存在しなかった場合に、検出条件が満たされたと判定し、急ブレーキ禁止違反を検出する。
この場合に送出するメッセージは、「急ブレーキに注意しましょう!」や「前方には障
害物がないようです。」である。このように、車両を運転するユーザに交通規則に違反するような運転をした旨を通知するメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な心理状態へと切り替える。
急ブレーキを実施した直後は危険な状態であるので、メッセージ送出タイミングは「落ち着いた頃送出」である。
次に、番号14のシチュエーションは、「徐行場所違反(道路標識などで定められた徐行すべき道路、左右の見とおしがきかない交差点など徐行すべき場所を通過する際に徐行せずに進行した場合)」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→地図情報と交通規則データベースの情報と測定した位置情報より、徐行すべき道路を通過するときに、OBDの車速の情報を監視して、徐行速度で走行していないことを条件として、違反を検出。」なので、制御部120は、データベース112に格納されている地図情報及び交通規則データベースと、GPSセンサ109が測定した位置情報に基づいて徐行すべき道路を通過していることを検知し、それにも関わらず、OBD接続部107から入力される車速が徐行速度ではない場合に、検出条件が満たされたと判定し、徐行場所違反を検出する。
この場合に送出するメッセージは、「見とおしがきかない交差点や徐行の標識があるところでは、徐行しましょう!」である。このように、車両を運転するユーザに交通規則に違反するような運転をした旨を通知するメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な心理状態へと切り替える。
徐行すべき道路は、特に運転に集中すべき場所であるので、メッセージ送出タイミングは「落ち着いた頃送出」である。
次に、番号15のシチュエーションは、「無灯火違反」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→日照センサの明るさのレベルから照明をONすることが必要であることを検知」なので、制御部120は、日射センサ111の測定する明るさレベルが、所定の閾値ならば、ヘッドライト、スモールライト及びテールライトといった照明をONすることが必要であることを検知する。そして、「丸2→OBD情報から照明のON/OFFを検知し、照明をONすることが必要である明るさにも関わらず、照明がOFFのまましばらく走行していたことを条件として、違反を検出。」なので、制御部120は、OBD接続部107から入力される照明の状態に基づき、照明をONすることが必要である明るさにも関わらず、照明がOFFのまましばらく走行していた場合に、検出条件が満たされたと判定し、無灯火違反を検出する。
この場合に送出するメッセージは、「暗くなってきました。ライトをつけましょう!」や「前方が見えていますか 今?」である。このように、車両を運転するユーザに交通規則に違反した行為をしている旨を通知するメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な心理状態へと切り替える。また、前者のメッセージであれば、ユーザに具体的な対応方法を通知することができる。更に、後者のメッセージであれば、ユーザを気遣うことができる。
走行状態が落ち着いていないときに照明のスイッチを操作させることは適切ではないので、メッセージ送出タイミングは「落ち着いたとき送出」である。なお、現在落ち着いている場合も考えられるので、落ち着いた頃、ではなく落ち着いたとき、送出との表現を用
いている。本メッセージのように、落ち着いたとき送出という送出タイミングの場合、ステップS14においてYes、と判定するものとする。
次に、番号16のシチュエーションは、「合図不履行違反(右折・左折時の方向指示器を出すタイミングが遅い又は、方向指示を出さずに進路変更を行った場合)」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→地図情報と測定した位置情報から、交差点を通過することを確認。」なので、制御部120は、データベース112に格納されている地図情報と、GPSセンサ109が測定した位置情報に基づいて、車両が交差点を通過することを検知する。そして、「丸2→OBD情報からの舵角、左右のウインカーの情報を定期的に監視して、適切に方向指示器の操作が行われなかったことを条件として違反を検出。」なので、制御部120は、OBD接続部107から入力される舵角と、左右のウインカーの情報に基づいて、適切に方向指示器の操作が行われなかった場合に、検出条件が満たされたと判定し、後続車からのあおりを検出する。
具体的には、右のウインカーを点滅させたが、ハンドルの舵角から左折したことが判明した場合に適切に方向指示器の操作が行われなかったため検出条件が満たされたと判定する。この場合に送出するメッセージは、「方向指示器と逆の方向に曲がりました。」である。
また、右のウインカーを点滅させていないが、ハンドルの舵角から右折したことが判明した場合にも適切に方向指示器の操作が行われなかったと判定する。
この場合に送出するメッセージは、「方向指示が出ていませんでした。」である。
また、右のウインカーを点滅させたが、それは右折が終了した後であった場合にも適切に方向指示器の操作が行われなかったと判定する。
この場合に送出するメッセージは、「方向指示を出すタイミングが遅かったようです。」である。
何れの場合であっても、車両を運転するユーザに交通規則に違反するよう行為をした旨を通知するメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な心理状態へと切り替える。
右折又は左折をした直後は、特に運転に集中すべきであるので、メッセージ送出タイミングは「落ち着いた頃送出」である。
次に、番号17のシチュエーションは、「合図制限違反(政令で定められた合図を行なう時期及び合図の方法を守らなかったり、左折、右折、転回などの合図が必要な行為が終わった場合には、当該合図をやめなければならないにもかかわらず、継続したりするなど)」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、上述した番号16のシチュエーションと同様である。つまり、番号16の検出条件が満たされる場合には、同時に本シチュエーションの検出条件も満たされることとなる。つまり、1つの検出条件が満たされた場合に、2つの違反が同時に発生することとなる。しかしながら、ユーザは右折及び左折の方向指示を適切に行なう必要があったという一点だけを把握すれば良い。そのため、このような場合には、1つのメッセージを送出する。そのために、送出するメッセージと、メッセージ送出タイミングを番号17のシチュエーションと同様とする。このようにして、同じようなメッセージを連続して2回送出するのではなく、併せて1回送出するようにすれば
、ユーザに同じ内容を複数回連続聞かせるようなことがないのでよい。
次に、番号18のシチュエーションは、「最低速度違反(高速道路等で、低速走行を行った場合)」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→地図情報と交通規則データベースと測定した位置情報から車両が走行している道路が高速道路等であることを判定する。」なので、制御部120は、データベース112に格納されている地図情報及び交通規則データベースと、GPSセンサ109が測定した位置情報に基づいて車両が現在走行しているが高速道路であることを判定する。判定できた場合には、「丸2→OBDから一定周期に取得している車速から、最低速度が法廷速度(2車線以上の高速道路の場合、50km)を下回ったことを条件として違反を検出。」なので、制御部120は、OBD接続部107から入力される車速を監視し、車速が法定速度所定の速度以下となった場合に、検出条件が満たされたと判定し、後続車からのあおりを検出する。
この場合に送出するメッセージは、「速度が落ちてきています。後ろから来る車に注意して下さい」である。このように、車両を運転するユーザに交通規則に違反する行為をした旨を通知するメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な心理状態へと切り替える。また、「後ろから来る車に注意して下さい」というメッセージにより具体的な留意点をユーザに教えると共に、ユーザを気遣うことが可能となる。
速やかに速度を上げる必要があるので、メッセージ送出タイミングは「検出したときに即送出」である。
次に、番号19のシチュエーションは、「スピード超過」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「丸1→地図情報と交通規則データベースと測定した位置情報から車両が走行している道路の制限速度を判断する。」なので、制御部120は、データベース112に格納されている地図情報及び交通規則データベースと、GPSセンサ109が測定した位置情報に基づいて車両が現在走行している道路の制限速度を判断する。そして、「丸2→OBDから一定周期に取得している車速を監視し、制限速度をオーバーしたことを条件として違反検出。」なので、制御部120は、OBD接続部107から入力される車速を監視し、車速が制限速度を超過した場合に、検出条件が満たされたと判定し、後続車からのあおりを検出する。
この場合に送出するメッセージは、「スピードが出すぎています。注意してください。」である。このように、車両を運転するユーザに交通規則に違反する行為をした旨を通知するメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な心理状態へと切り替える。また、「注意して下さい。」というメッセージによりユーザを気遣うことが可能となる。
速やかに速度を上げる必要があるので、メッセージ送出タイミングは「検出したときに即送出」である。
次に、番号20のシチュエーションは、「急ハンドル」が発生したというシチュエーションである。
本シチュエーションの検出条件及び検出方法は、「OBDから一定周期で取得しているハンドルの舵角情報と加速度情報を監視し、ハンドル舵角が舵角閾値角度を超え、且つ加速度が急ハンドル閾値を超えたことを条件として違反を検出。」なので、制御部120は、OBD接続部107から入力されるハンドルの舵角情報と加速度情報を監視し、ハンド
ル舵角が舵角閾値角度を超え、且つ加速度が急ハンドル閾値を超えた場合に、検出条件が満たされたと判定し、急ハンドルを検出する。
この場合に送出するメッセージは、「急にハンドルを切るのは危険です。減速してからハンドル操作をしましょう!」である。このように、車両を運転するユーザに交通規則に違反するような行為をした旨を通知するメッセージを送出することにより、ユーザの心理状態を、交通規則を念頭に入れて運転するという運転に適切な心理状態へと切り替える。また、「急にハンドルを切るのは危険です。」というメッセージによりユーザを気遣うことが可能となる。
急ハンドル後は、危険な状態であるので、メッセージ送出タイミングは「落ち着いた頃送出」である。
<メッセージの追加>
上述したメッセージ情報テーブルに含まれる送出メッセージは、メッセージ送出装置100出荷時に、データベース112又は不揮発性メモリ122に格納されているものである。この点、メッセージ送出装置100は、ユーザの嗜好等に併せて、メッセージ送出装置100出荷後にメッセージを新たに追加できる。
メッセージの追加は、メッセージに対応する音声データ又はテキストデータを格納したSDメモリカードを、SDメモリカード用スロット部105に挿入し、制御部120がかかるSDメモリカードからデータを読み取って、データベース112にコピーするようにする。または、USB端子108にパーソナルコンピュータ等を接続し、メッセージに対応する音声データ又はテキストデータをパーソナルコンピュータからデータベース112にコピーするようにする。
また、これらの音声データやテキストデータには対応するシチュエーションの番号も含ませる。そして、制御部120は、検出条件が満たされた場合に、検出条件が満たされたシチュエーションの番号に対応する音声データやテキストデータを利用してメッセージを送出する。
これらデータベース112にコピーした音声データやテキストデータを利用したメッセージの送出方法は、ステップS19の説明として上述した送出方法と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
以上説明した各シチュエーションでの検出条件が満たされたか否かの判定においては、OBDから取得される情報、GPSセンサ109の測定した情報及び照度センサ111の測定した情報を利用している。この点、OBDは車両が一般的に備えるシステムであり、GPSセンサ109は、運行案内のためにカーナビゲーション装置が一般的に備えるセンサであり、照度センサ111は、タッチパネル101の自動調光等のためにカーナビゲーション装置が一般的に備えるセンサである。つまり、カーナビゲーション装置や車両が一般的に備える機器の測定した情報を、本実施形態のために流用することにより本実施形態を実現することが可能となる。
<運行案内機能>
次に、制御部120が行なう運行案内機能について説明をする。
制御部120は、運行案内機能を実現するために、以下のような処理をする。
制御部120は、データベース112に登録されている地図情報に基づいて、タッチパネル101に現在位置周辺の地図を随時表示し、目的地設定ボタンを表示する。また、制御部120は、タッチパネル101によって、目的地設定ボタンの表示位置に対応する位
置の押下を検出した場合に、目的地設定処理を行う。目的地設定処理では、目的地設定メニューをタッチパネル101に表示し、目的地の設定方法の選択をユーザに促す。目的地設定メニューは、目的地の設定方法の選択をユーザに促す電話番号検索ボタンと住所検索ボタンとを有する。電話番号検索ボタンが押下されたことを検出した場合には、電話番号の入力画面を表示し、入力された電話番号に対応する位置情報をデータベース112から取得する。住所検索ボタンが押下されたことを検出した場合には、住所の選択入力画面を表示し、入力された住所に対応する位置情報をデータベース112から取得する。そして、取得した位置情報を目的地の位置情報として設定し、現在位置から目的地までの推奨経路を、データベース112に記憶している道路ネットワーク情報に基づいて求める。この推奨経路の算出方法としては例えばダイクストラ法など公知の手法を用いることができる。
そして、制御部120は、算出した推奨経路を、周辺の地図とともに表示する。例えば、現在位置から目的地にいたるルートを推奨経路として、所定の色(例えば赤色)で表示する。これらの処理は、一般的なナビゲーションシステムと同様である。
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。例えば、以下に記載するように上記実施形態を変形することが可能である。
まず、上述の<メッセージの追加>の項目において、メッセージに対応する音声データ又はテキストデータを追加することができる旨を説明した。
この追加するデータは、ユーザが直接又は間接的に録音した音声データとするとよい。例えば、ユーザ自身の音声を録音した音声データや、ユーザの家族の音声を録音した音声データをメッセージ送出装置100で利用できるフォーマットに変換して追加するとよい。
その理由について説明する。メッセージ送出装置100は、心理状態に働きかけるものであるので、ユーザ一人一人によって、効果的なメッセージの音声や効果的なメッセージの内容は異なる。つまり、セルフトークについて効果的に働きかけるためのメッセージの内容は、人それぞれ違いがあり、その人に合ったメッセージを探す必要がある。そこで、例えば、ユーザの恋人、家族(妻や子供)の音声をユーザが録音装置を使って直接的に、或いは家族等に依頼して間接的に、予め録音したものをメッセージとして送出するようにするとよい。これにより、メッセージ送出装置100を利用するユーザに適したメッセージを送出することができるのでよい。
また、ユーザが作成したテキストデータを追加するようにするとよい。
更に、追加するデータは、メッセージ送出装置100のメーカが有償又は無償で提供するようにするとよい。
例えば、メーカと提携しているキャラクターの声優の音声を音声データとして提供するようにするとよい。この場合に、キャラクターの口癖等をメッセージに付加した音声データを提供するとよい。また、キャラクターの口癖等をメッセージに付加したテキストデータを提供するようにするとよい。このようにすれば、ユーザの嗜好に応じたキャラクターのメッセージが送出され、ユーザがメッセージに、より興味を抱くことから、メッセージを集中して聞いたり、見たりするのでよい。また、メッセージ送出装置100はユーザの心理に働きかけるものなので、ユーザがメッセージの内容を受け入れやすくなるのでよい
。
また、追加するデータをメーカ独自で作成するのではなく、メッセージ送出装置100を購入した各ユーザにより追加するデータを作成するようにするとよい。このようにすれば、メーカが想定していないような意外性のあるメッセージのデータを追加することができるのでよい。
例えば、ユーザ各々が作成した追加データをメッセージ送出装置100で利用できるフォーマットに変換して、インターネット上で、ユーザ間で交換できるようにするとよい。交換を容易にするために、例えば、メーカが、各ユーザが閲覧できる掲示板のようなサイトを作成し、このサイト上で交換をできるようにするとよい。
また、ユーザ同士が一対一で交換するのではなく、メーカが追加データをアップロードするためのサイトとアップロードするためのサーバとを用意し、各ユーザがかかるサイトにアクセスして自身が作成した追加データをサーバ上にアップロードできるようにするとよい。そして、他のユーザがアップロードした追加データをダウンロードして利用できるようにするとよい。このようにすれば、或るユーザの作成した追加データを、複数の他のユーザが利用することができるのでよい。また、例えば、各追加データがダウンロードされた回数をサイト上に表示したり、ダウンロード数が多い追加データが上位になるようなランキングを表示するようにしてもよい。こうすることにより、人気のある追加データがどの追加データであるのかが分かるのでよい。
また、追加データのアップロードを促進するために、アップロードの回数や、アップロードした追加データが他のユーザにダウンロードされた数に応じて、アップロードしたユーザに何らかのインセンティブを与えるようにするとよい。例えば、ダウンロードのためには所定のポイントが必要な設定とし、アップロードしたユーザに対しては、かかる所定のポイントを付与するようにするとよい。この場合、アップロードした追加データが他のユーザにダウンロードされた数に応じて、付与するポイントを増加させるようにすると、沢山ダウンロードされるような、より良い追加データを作成するインセンティブとなるのでよい。また、所定のポイントではなく現金としてもよい。つまり、メーカがダウンロードするユーザから現金を集収し、集取した現金をアップロードしたユーザに支払うようにするとよい。更に、上述したようにランキング形式にすると、ランキング上位を目指すユーザにとってインセンティブとなるという観点もあるのでよい。
また、他の変形例として、上述の説明では、1つのシチュエーションについて、送出するメッセージが複数個存在する場合には、どのメッセージを送出するのかをランダムに決定すると説明した。このようにするのではなく、複数のメッセージを順番に選択するようにしてもよい。また、メッセージをユーザが予め選択するようにしてもよい。更に、検出条件に関連する測定値に基づいてメッセージを選択するようにしてもよい。例えば番号1のシチュエーションを例に取ると、フットブレーキが踏まれたその時の減速加速度の値に応じてドライバーの感情ストレスの度合いを推察し、推察された感情ストレスの度合いに応じて送出するメッセージを選択しても良い。更に、メッセージを送出した後に、検出条件により、どのシチュエーションが発生したのかもユーザに通知するようにするとよい。
また、他の変形例として、上述の説明では、メッセージ送出タイミングとなったときに一連のメッセージを送出していたが、メッセージを分割し、例えば2回に分けて送出するようにするとよい。例えば、ユーザの心理状態を他の心理状態へと切り替える為のメッセージを前記ユーザに対して送出した後に、更に前記移動体の操作に関する指示を表すメッセージを前記ユーザに対して送出するようにするとよい。例えば、メッセージ送出タイミングとなったならば、「びっくりしましたね!落ち着いて!落ち着いて」のようなユーザ
の心理状態を落ち着かせるようなメッセージをまず送出する。その後に、ハンドルの操作や、アクセルやブレーキの操作に関する指示とする。例えば、「ゆっくり減速して下さい」や「車間距離を長くとって下さい」等のメッセージを送出する。
このようにすれば、先にユーザの心理状態を切り替える為のメッセージを送出し、ユーザの心理状態が切り替わってから、その後に、操作に関する指示を送出するのでよい。この点、このようにすることなく、先に操作に関する指示を送出しても、興奮状態にあるユーザは、この操作に関する指示を冷静に聞き入れない場合が想定される。しかし、本装置であれば、ユーザの心理状態を切り替える為のメッセージをまず送出し、これにより、まずユーザの心理状態が切り替わり、例えばユーザが落ち着いた心理状態になってから指示を送出することから、ユーザが操作に関する指示を冷静に聞くことができるのでよい。
また、他の変形例として、検出条件が満たされたことにより、交通規則の違反に対応するシチュエーションが発生したことを検出した場合に、どのような操作をすれば違反が発生しなかったのかを説明するメッセージをユーザに対して送出するようにするとよい。このようにすれば、ユーザが、どのような操作を行えば交通規則の違反が発生しなかったかを知ることがきるのでよい。
この場合、「どのような操作をすれば違反が発生しなかったのかを説明するメッセージ」は、例えば「アクセルを踏みすぎました」や「早めにブレーキをかけるべきでした」等のメッセージとするとよい。これにより、交通規則の違反が生じてしまった場合に、単に交通規則の違反が生じたという事実のみならず、どのように操作すれば違反が発生しなかったのかをユーザが知ることになる。よって、ユーザは今後の操作において同様の操作ミスを生じさせなくなるようにするのでよい。
また、違反した交通規則がどのような内容の交通規則であるのかを説明するメッセージを送出するようにしてもよい。このようにすれば、ユーザが、反した交通規則がどのような内容の交通規則であるのかを知ることができるのでよい。これにより、ユーザは、単に交通規則の違反が生じたという事実のみならず、違反してしまったその交通規則はどのような内容の規則であるのかをユーザが知ることになる。この点、交通規則は多岐に及び、ユーザが全ての交通規則を完全に把握していない場合も有り得るが、本装置によるメッセージにより、ユーザは把握しきれていなかった交通規則を把握することが可能となるのでよい。
また、上述した各メッセージの送出は、ユーザが車両を操縦中であっても検知できるように行うとよい。このようにすれば、ユーザが確実にメッセージを知覚できるのでよい。移動体操作中は、例えば、視覚により前方やバックミラーを参照したり、触覚によりハンドルを握ってハンドルを回転させたり、アクセルやブレーキを踏み込む等する。そこで、このような操作に利用しているユーザの五感の能力以外の能力を利用してユーザが検知可能なようにメッセージを送出することが考えられる。例えば、操作には比較的使用されていないユーザの聴覚にて検知可能なように、音声によるメッセージを送出するようにするとよい。また、併せて表示装置にメッセージを表示させるようにするのもよい。
また、他の変形例として、メッセージ送出装置100は、ドライブレコーダの機能を備えた装置やレーダ探知機の機能を備えた装置により実現したりしてもよい。また、メッセージ送出装置100を実現するカーナビゲーション装置が、ドライブレコーダの機能やレーダ探知機の機能等を兼ね備えていてもよい。
なお、上記のメッセージ送出装置は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記のメッセージ送出装置により行なわれるメ
ッセージ送出方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
かかるプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。