本発明は、仮設足場を構築する際に使用される足場用クランプに関する。
従来より、例えば各種建築物の建設現場や土木工事現場等では作業員用の仮設足場を構築した後、各種作業が行われている。仮設足場を構築する場合には、例えば、支柱、布材、布枠、先行手摺ブレース等の足場構成部材が使用され、支柱に対して布材等が連結される。この連結構造として、例えば布材の端部に下方へ突出するように固定されたクサビと、支柱の外周面に固定されたポケットとを使用する構造が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。ポケットは、金属製の板材を折り曲げることによって形成されており、上方に開放している。クサビをポケットに差し込むことによって複数の足場構成部材を連結していき、仮設足場を構築することができる。クサビ及びポケットによる連結構造を備えた仮設足場はクサビ緊結式足場と呼ばれている。
特許文献1、2に開示されているように、支柱には複数のポケットが上下方向に互いに間隔をあけて設けられており、1つのクサビをいずれか1つのポケットに差し込んで固定することが可能になっている。つまり、支柱に連結される布材等の高さは当該支柱に固定されているポケットの高さによって決定される。また、特許文献3に開示されているように、ポケットを構成している金属製板材は、支柱の外周面に対して溶接によって強固に固定されていて支柱から取り外すことができないようになっているのが一般的である。
また、特許文献4、5には、クサビを差し込むためのポケットが一体成形された足場用クランプが開示されている。特許文献4の足場用クランプは、板材を折曲げ成形してなるクサビ用枠部によってポケットが構成されており、このクサビ用枠部の一方端には、ピン部を介して被締結金具が設けられ、他方端には締結部材が設けられている。締結部材によって被締結金具を締め付けることで足場用クランプを支柱に固定することが可能になっている。また、特許文献5の足場用クランプは、板材を折曲げ成形してなる左部材及び右部材が連結軸によって蝶番状に開閉可能に連結されたものであり、締結部材によって左部材及び右部材を締め付けることで足場用クランプを支柱に固定することが可能になっている。
特開2013−104288号公報
特開2013−2167号公報
特開2016−79758号公報
特開2013−076315号公報
特開平09−242330号公報
ところで、特許文献4、5の足場用クランプは、締結部材によって支柱に固定されるものなので、締結位置を変更することでポケットの位置を任意に変えることができ、特許文献1〜3のような固定式のポケットに比べて自由度を高めることができるという利点がある。
しかしながら、特許文献4の足場用クランプは、クサビ用枠部を構成している板材を支柱の径方向外側へ向けて折曲げ成形することによってポケットが形成されているので、締結部材による締結力を高めていくと、クサビ用枠部のポケットが開くように変形しやすく、その結果、支柱に対する固定強度が低下するおそれがある。ポケットが開くと、クサビを差し込むことができなくなるだけでなく、ポケットが所定位置に定まらなくなり、例えば、2つのポケットを設ける場合、2つのポケットを、支柱の中心線を対称の中心とした点対称に配置することが難しくなる。
また、特許文献5の足場用クランプも左部材及び右部材が支柱の外側へ向けて折曲げ成形してなるものなので、締結部材による締結力を高めていくと、ポケットが開くように変形しやすく、その結果、支柱に対する固定強度が低下するおそれがある。
さらに、特許文献4、5のように板材を折曲げ成形した場合には、スプリングバック現象が起こるのは避けられず、このスプリングバック現象によってポケットが開くように変形してしまうおそれもあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、クサビを任意の位置に固定可能にしながら、その固定強度を高めることができるようにすることにある。
上記目的を達成するために、本発明では、支柱の径方向に延びる板材に、支柱の外周面に沿う形状の切欠部を形成し、この板材からなる第1挟持部材及び第2挟持部材によって支柱を挟持し、さらに、クサビ差込用孔部またはクサビ差込用切欠部を、板材の一部を除去することによって形成するようにした。
第1の発明は、足場構成部材に設けられたクサビを上下方向に延びる円管材からなる支柱に設けられた差し込み部に差し込んで固定することによって構築されるクサビ緊結式足場に使用される足場用クランプにおいて、前記支柱の径方向に延びる板材からなり、当該板材の一部を前記支柱の外周面に沿う形状に除去することによって形成された第1切欠部を有し、前記支柱の外周面に対して該支柱の径方向一側から当接する第1挟持部材と、前記支柱の径方向に延びる板材からなり、当該板材の一部を前記支柱の外周面に沿う形状に除去することによって形成された第2切欠部を有し、前記支柱の外周面に対して該支柱の径方向他側から当接する第2挟持部材と、前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とが互いに接離する方向に回動可能に該第1挟持部材の他端側と該第2挟持部材の他端側とを連結する連結部材と、前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とを互いに接近する方向に締結する締結部材とを備え、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の少なくとも一方を構成する板材には、前記差し込み部となるクサビ差込用孔部またはクサビ差込用切欠部が当該板材の一部を除去することによって形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側とが互いに離れる方向に第1挟持部材及び第2挟持部材を回動させると、第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側との間隔が広がるので、支柱を第1挟持部材と第2挟持部材との間に配置することが可能になる。支柱を第1挟持部材と第2挟持部材との間に配置した後、第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側とが互いに接近する方向に第1挟持部材及び第2挟持部材を回動させると、第1挟持部材の第1切欠部の縁部及び第2挟持部材の第2切欠部の縁部がそれぞれ支柱の外周面に対して該支柱の径方向一側及び他側からそれぞれ当接する。そして、締結部材により第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側とを互いに接近する方向に締結することで、第1挟持部材の第1切欠部の縁部及び第2挟持部材の第2切欠部の縁部が支柱の外周面に圧接して支柱を径方向に挟持する。これにより、足場用クランプが支柱に対して固定された状態になる。
このとき、第1挟持部材及び第2挟持部材は支柱の径方向に延びる板材であり、支柱の外周面に接触する部分が当該板材の一部を除去することによってできており、また、クサビ差込用孔部またはクサビ差込用切欠部も当該板材の一部を除去することによって形成可能であるため、締結部材による締結力が作用したときに、従来例のような板材を折曲げ成形した部材に比べて開くような変形が抑制されるとともに、スプリングバック現象も起こらない。よって、固定強度が高まる。クサビ差込用孔部またはクサビ差込用切欠部は、第1挟持部材及び第2挟持部材の両方に設けてもよいし、一方にのみ設けてもよい。
また、第1挟持部材及び第2挟持部材は支柱を径方向に挟持するものなので、例えば足場を構築する現場において第1挟持部材及び第2挟持部材を支柱の高さ方向に移動させること、支柱の周方向に移動させることが簡単に行える。よって、差し込み部の位置変更が簡単になる。
第2の発明は、前記第1挟持部材を構成する板材及び前記第2挟持部材を構成する板材にそれぞれ前記差し込み部が形成され、前記第1挟持部材に形成されている前記差し込み部の幅方向中心部と、前記第2挟持部材に形成されている前記差し込み部の幅方向中心部とは、前記支柱の径方向に延びる同一直線上に位置していることを特徴とする。
この構成によれば、第1挟持部材の差し込み部及び第2挟持部材の差し込み部にそれぞれクサビを差し込んで固定することが可能になる。そして、第1挟持部材の差し込み部と、第2挟持部材の差し込み部とを支柱の径方向に延びる同一直線上に位置付けることが可能になる。これにより、第1挟持部材の差し込み部に差し込んだ足場構成部材と、第2挟持部材の差し込み部に差し込んだ足場構成部材とが同一直線上で位置決めされる。
第3の発明は、前記第1挟持部材の他端側には、前記第2挟持部材の他端側の上面に沿う上板部と下面に沿う下板部とを備えたブラケットが設けられ、前記連結部材は、前記第2挟持部材の他端側を上下方向に貫通して取り付けられた軸からなり、前記ブラケットの前記上板部及び前記下板部には、前記軸の上端部及び下端部がそれぞれ挿通する挿通孔が形成され、前記軸と前記第2挟持部材の前記差し込み部との前記支柱周りの距離は、前記軸と前記第1挟持部材の前記差し込み部との前記支柱周りの距離よりも短く設定されていることを特徴とする。
この構成によれば、連結部材としての軸と、第2挟持部材の差し込み部との支柱周りの距離を、軸と第1挟持部材の差し込み部との支柱周りの距離よりも短くすることで、第1挟持部材と第2挟持部材とが非対称な形状になる。これにより、ブラケットの大きさを確保して軸との連結強度を高めながら、軸を支柱の外周面に近づけて配置することが可能になる。
第4の発明は、前記第1挟持部材を構成する前記板材は1枚であり、前記第2挟持部材を構成する前記板材は1枚であり、前記第1挟持部材を構成する前記板材と同一高さに配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1挟持部材を構成する板材及び第2挟持部材を構成する板材をそれぞれ1枚とすることで、足場用クランプの構造がシンプルになる。そして、第1挟持部材を構成する板材及び第2挟持部材を構成する板材を同一高さに配置したので、支柱をバランス良く挟持することが可能になる。
第5の発明は、前記第1挟持部材の前記第1切欠部の縁部には、前記支柱の外周面に沿って上下方向に延びる第1サポート部材が固定されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1挟持部材及び第2挟持部材によって支柱を挟持した状態で、第1サポート部材が支柱の外周面に当接するように配置される。これにより、第1挟持部材及び第2挟持部材が傾く方向に動こうとした際、第1サポート部材が支柱の外周面に当接することで、当該外周面によって支持される。
第6の発明は、前記第2挟持部材の前記第2切欠部の縁部には、前記支柱の外周面に沿って上下方向に延びる第2サポート部材が固定されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1挟持部材及び第2挟持部材によって支柱を挟持した状態で、第2サポート部材が支柱の外周面に当接するように配置される。これにより、第1挟持部材及び第2挟持部材が傾く方向に動こうとした際、第2サポート部材が支柱の外周面に当接することで、当該外周面によって支持される。
第7の発明は、前記第1サポート部材の上側及び下側の少なくとも一方は、当該第1サポート部材の上下方向中間部よりも前記支柱の外周面に接近するように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1サポート部材の上側及び下側の少なくとも一方が支柱の外周面に接近するので、第1サポート部材が支柱の外周面に確実に当接するようになる。また、第2サポート部材の上側及び下側の少なくとも一方が当該第2サポート部材の上下方向中間部よりも支柱の外周面に接近するように形成されていてもよい。
第8の発明は、前記第1サポート部材の上側及び下側が当該第1サポート部材の上下方向中間部よりも前記支柱の外周面に接近するように形成され、前記第1サポート部材の上下方向中間部は、前記第1切欠部の縁部よりも前記支柱の径方向外方に位置付けられていることを特徴とする。
この構成によれば、第1サポート部材の上側及び下側が支柱の外周面に接近しているので、第1サポート部材の上下両側が支柱の外周面に確実に当接して第1挟持部材及び第2挟持部材の傾きが抑制される。このとき、第1サポート部材の上下方向中間部は、第1切欠部の縁部よりも支柱の径方向外方に位置しているので、第1切欠部の縁部を支柱の外周面に確実に接触させて差し込み部を所定位置に配置することが可能になる。
第1の発明によれば、第1挟持部材及び第2挟持部材が支柱の径方向に延びる板材からなり、支柱の外周面に接触する部分が当該板材の一部を除去することによってできており、また、クサビ差込用孔部またはクサビ差込用切欠部も当該板材の一部を除去することによって形成することができる。これにより、締結部材による締結力が作用したときに、従来例のような板材を折曲げ成形した部材に比べて第1挟持部材及び第2挟持部材が開くように変形し難くなるとともに、スプリングバック現象も起こらなくなる。よって、クサビを任意の位置に固定可能にしながら、その固定強度を高めることができる。
第2の発明によれば、第1挟持部材及び第2挟持部材にそれぞれ差し込み部を設け、第1挟持部材の差し込み部の幅方向中心部と、第2挟持部材の差し込み部の幅方向中心部とを支柱の径方向に延びる同一直線上に位置付けたので、第1挟持部材の差し込み部に差し込んだ足場構成部材と、第2挟持部材の差し込み部に差し込んだ足場構成部材とを同一直線上で位置決めすることができる。
第3の発明によれば、第2挟持部材の他端側を貫通する軸と、第1挟持部材の他端側に設けられたブラケットにより、第1挟持部材及び第2挟持部材を回動可能に連結することができる。この場合に、軸と第2挟持部材の差し込み部との支柱周りの距離を、軸と第1挟持部材の差し込み部との支柱周りの距離よりも短く設定したので、第1挟持部材と第2挟持部材とを非対称な形状にすることができる。そして、ブラケットの大きさを確保して軸との連結強度を高めながら、軸を支柱の外周面に近づけて配置することができ、足場用クランプをコンパクトにすることができる。
第4の発明によれば、第1挟持部材を構成する板材及び第2挟持部材を構成する板材をそれぞれ1枚とし、これら板材を同一高さに配置しているので、足場用クランプの構造をシンプルにしながら、支柱をバランス良く挟持することができる。
第5、6の発明によれば、第1挟持部材及び第2挟持部材の傾きを抑制することができる。
第7の発明によれば、第1挟持部材及び第2挟持部材の傾きを更に小さくすることができる。
第8の発明によれば、第1サポート部材の上側及び下側が支柱の外周面に接近するように形成され、第1サポート部材の上下方向中間部が第1切欠部の縁部よりも支柱の径方向外方に位置付けられているので、第1挟持部材及び第2挟持部材の傾きを抑制しながら、第1切欠部の縁部を支柱の外周面に確実に接触させて差し込み部を所定位置に配置することができる。
本発明の実施形態1に係る足場用クランプを上方から見た斜視図である。
実施形態1に係る足場用クランプを下方から見た斜視図である。
実施形態1に係る足場用クランプを使用してクサビ緊結式足場を構築する場合を説明する斜視図である。
実施形態1に係る足場用クランプの平面図である。
実施形態1に係る足場用クランプの正面図である。
実施形態1に係る足場用クランプの左側面図である。
実施形態1に係る足場用クランプを締結する前の状態を示す平面図である。
実施形態1に係る足場用クランプを展開した状態の平面図である。
図4におけるIX−IX線断面図である。
図4におけるX−X線断面図である。
実施形態1の変形例に係る図4相当図である。
本発明の実施形態2に係る図1相当図である。
実施形態2に係る図2相当図である。
実施形態2に係る図4相当図である。
実施形態2に係る図5相当図である。
実施形態2に係る図6相当図である。
図14におけるXVII−XVII線断面図である。
図14におけるXVIII−XVIII線断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るクサビ緊結式足場用クランプ1を上方から見た斜視図であり、図2は、クサビ緊結式足場用クランプ1を下方から見た斜視図である。図3に示すように、クサビ緊結式足場用クランプ1は、例えば布材100を支柱200に連結する場合に使用される部材である。例えば、布材100、支柱200、布枠(図示せず)、先行手摺ブレース(図示せず)、幅木(図示せず)、壁つなぎ(図示せず)、ジャッキ(図示せず)、階段(図示せず)及びクサビ緊結式足場用クランプ1等によってクサビ緊結式足場が構築される。クサビ緊結式足場を構成している各部材は、足場構成部材である。
クサビ緊結式足場は、図3に示す布材100の両端部にそれぞれ設けられたクサビ101を、支柱200に設けられたポケット201や差し込み部15、25に差し込んで固定することによって構築される。図示しないが、上記布枠、先行手摺ブレース等にもクサビが設けられており、これらクサビをポケット201や差し込み部15、25に差し込んで固定することもできる。布材100の端部に設けられるクサビ101の形状や構造は様々である。本発明は、どのクサビ101に対しても適用することができる。
支柱200は、金属製の円管部材で構成されており、上下方向に延びている。支柱200は、鉛直に延びるように配設されていてもよいし、傾斜するように配設されていてもよい。また、布材100も支柱200と同様な円管部材で構成されており、通常は略水平方向に延びるように配設されるが、傾斜していても構わない。
(クサビ緊結式足場用クランプ1の全体構成)
図1や図2に示すように、クサビ緊結式足場用クランプ1は、支柱200を径方向に挟持する第1挟持部材10及び第2挟持部材20と、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動可能に連結する連結部材30と、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を締結する締結部材40とを備えている。図1〜図5に示すように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20は、支柱200の外周面に対して該支柱200の径方向(水平方向)一側及び他側からそれぞれ当接することにより、支柱200を径方向に挟持(クランプ)する部材である。
尚、この実施形態の説明では、図3に示すようにクサビ緊結式足場用クランプ1を支柱200に取り付けた状態で、クサビ緊結式足場用クランプ1の下になる側を単に「下」といい、クサビ緊結式足場用クランプ1の上になる側を単に「上」というものとする。また、図4や図5に示すように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20における連結部材30によって連結される側を、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の「基端側」といい、第1挟持部材10及び第2挟持部材20における連結部材30によって連結される側とは反対側を、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の「先端側」というものとする。第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側が本発明の一端側に相当し、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の基端側が本発明の他端側に相当する。このようにクサビ緊結式足場用クランプ1の方向を定義するのは説明の便宜を図るためだけであり、クサビ緊結式足場用クランプ1の使用状態を限定するものではなく、図示した姿勢以外の姿勢でクサビ緊結式足場用クランプ1を使用することも可能である。
また、図1、2、4〜6は、クサビ緊結式足場用クランプ1が使用状態にある場合を示しており、図7は、締結部材40による締結が行われていない状態を示しており、図8は、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側同士が離れる方向に、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させた状態を示しており、支柱200に取り付けられる前の状態である。このように各部の回動が可能になっている。
(第1挟持部材10の構成)
図1〜図5に示すように、第1挟持部材10は、1枚の第1板材11と、基端側ブラケット12と、縦板部14とを有しており、第1板材11に基端側ブラケット12及び縦板部14が固定されている。第1板材11、基端側ブラケット12及び縦板部14は、例えば鋼板等で構成されている。第1挟持部材10には、第1板材11が1枚だけ設けられている。
第1板材11は、支柱200への取り付け状態で、当該支柱200の径方向に延びるように形成されており、例えば厚みは8mm〜10mm程度に設定され、後述する締結部材40による締結力によって殆ど変形しないように高剛性に構成されている。第1板材11における支柱200の外周面に当接する側には、当該第1板材11の一部を支柱200の外周面に沿う形状に除去することによって形成された第1切欠部11aが設けられている。第1切欠部11aは円弧状に延びており、第1切欠部11aの周方向の略全体が支柱200の外周面に対して径方向一側から当接可能となっている。締結部材40による締結力が作用した際には、第1板材11における第1切欠部11aの周縁部が支柱200の外周面に強く押しつけられることになる。このとき、第1板材11が1枚だけ設けられているので、第1板材11の支柱200に対する接触面圧を十分に高めることができる。また、第1板材11における支柱200の外周面に当接する側とは反対側の縁部も円弧状に延びている。第1板材11に第1切欠部11aを設ける際には、当該第1板材11の一部を従来から周知の切断装置によって切断、または切除することによって形成されている。切断装置としては、例えばレーザーカッター等を挙げることができる。
第1板材11における周方向中間部には、布材100のクサビ101が差し込まれるクサビ差込用孔部11bが形成されている。クサビ差込用孔部11bは、第1板材11を厚み方向(上下方向)に貫通する貫通孔で構成されており、従って、第1板材11の一部を除去することによって形成されたものである。クサビ差込用孔部11bを形成する際には、上記レーザーカッター等を用いることができるが、これ以外の穴開け装置を用いることもできる。これにより、第1板材11の一部を除去することによってクサビ差込用孔部11bを設けることができる。
クサビ101を第1板材11の上方からクサビ差込用孔部11bに差し込むことで、クサビ101を第1挟持部材10に連結することが可能になる。クサビ差込用孔部11bの形状は、差し込まれるクサビ101の形状や構造に応じて設定することができる。また、クサビ差込用孔部11bの位置についても、図示した位置から径方向にずれていてもよいし、周方向にずれていてもよい。クサビ差込用孔部11bの数も任意に設定することができる。
第1板材11の基端側の縁部は直線状に延びており、この第1板材11の基端側の縁部に、基端側ブラケット12が固定されている。基端側ブラケット12は、第1板材11よりも薄い板材を屈曲成形してなるものである。基端側ブラケット12は、第2挟持部材20を構成している第2板材21の基端側の上面に沿うように延びる上板部12aと、第2板材21の基端側の下面に沿うように延びる下板部12bと、上板部12aの縁部から下板部12bの縁部まで延び、上板部12a及び下板部12bを連結する連結板部12cとを有している。連結板部12cが第1板材11の基端側の縁部に対して溶接等により固定されている。この状態で上板部12aは、第1板材11の上面よりも上に位置し、また、下板部12bは、第1板材11の下面よりも下に位置している。上板部12a及び下板部12bは、第1板材11の基端側の縁部から周方向へ向けて突出するように設けられおり、上板部12a及び下板部12bの間に、第2板材21の基端側が差し込まれて後述する連結部材30によって連結される。
一方、第1板材11の先端部には、第1板材11よりも薄く形成された縦板材14が設けられている。縦板材14は、第1板材11の先端部に対して溶接等により固定され、第1板材11の先端部から上下方向に延びている。縦板材14の上側部分は、第1板材11の上面よりも上方へ延びており、また、縦板材14の下側部分は、第1板材11の下面よりも下方へ延びている。さらに、縦板材14は、第1板材11の先端部から径方向外方へ向けて突出している。
縦板材14には、後述する締結軸部41を挿入するための軸部挿入用切欠部14aが形成されている。軸部挿入用切欠部14aは、縦板材14の先端側に向けて開放している。縦板材14の先端部には、軸部挿入用切欠部14aの上方及び下方にそれぞれ上側屈曲部14b及び下側屈曲部14cが形成されている。上側屈曲部14b及び下側屈曲部14cは、使用状態にある第2挟持部材20から離れる方向に屈曲している。この上側屈曲部14b及び下側屈曲部14cの形成により、後述する締結状態にあるナット42が上側屈曲部14b及び下側屈曲部14cに係合して締結軸部41が軸部挿入用切欠部14aから抜け難くなる。
(第2挟持部材20の構成)
図1〜図5に示すように、第2挟持部材20は、1枚の第2板材21と、先端側ブラケット22とを有しており、第2板材21に先端側ブラケット22が固定されている。第2板材11及び先端側ブラケット12は、例えば鋼板等で構成されている。第2挟持部材20には、第2板材21が1枚だけ設けられている。第1板材11と第2板材21とは同一高さに配置されている。
第2板材21は、支柱200への取り付け状態で、当該支柱200の径方向に延びるように形成されており、第1板材11と同様な厚みを有している。第2板材21における支柱200の外周面に当接する側には、当該第2板材21の一部を支柱200の外周面に沿う形状に除去することによって形成された第2切欠部21aが設けられている。第2切欠部21aは円弧状に延びており、第2切欠部21aの周方向の略全体が支柱200の外周面に対して径方向他側から当接可能となっている。第2板材21における支柱200の外周面に当接する側とは反対側の縁部も円弧状に延びている。
第2板材21における周方向中間部には、布材100のクサビ101が差し込まれるクサビ差込用孔部21bが形成されている。クサビ差込用孔部21bは、第2板材21を厚み方向(上下方向)に貫通する貫通孔で構成されており、従って、第2板材21の一部を除去することによって形成されたものである。クサビ101を第2板材21の上方からクサビ差込用孔部21bに差し込むことで、クサビ101を第2挟持部材20に連結することが可能になる。クサビ差込用孔部21bの形状は、差し込まれるクサビ101の形状や構造に応じて設定することができる。また、クサビ差込用孔部21bの位置についても、図示した位置から径方向にずれていてもよいし、周方向にずれていてもよい。第2挟持部材20のクサビ差込用孔部21bと、第1挟持部材10のクサビ差込用孔部11bとは同じ形状である。
図4に示すように、第1挟持部材10のクサビ差込用孔部11bと、第2挟持部材20のクサビ差込用孔部21bとは、支柱200の軸心Cを対称の中心とした点対称となるように配置されている。また、第1挟持部材10のクサビ差込用孔部11bの幅方向W1の中心部と、第2挟持部材20のクサビ差込用孔部21bの幅方向W2の中心部とは、支柱200の径方向に延びる同一直線D上に位置している。この直線Dは、支柱200の軸心Cを通って径方向に延びる仮想の線である。
第2板材21の先端側の縁部は直線状に延びており、この第2板材21の先端側の縁部に、先端側ブラケット22が固定されている。先端側ブラケット22は、第2板材21よりも薄い板材を屈曲成形してなるものである。先端側ブラケット22は、上板部22aと、下板部22bと、上板部22aの縁部から下板部22bの縁部まで延び、上板部22a及び下板部22bを連結する連結板部22cとを有している。連結板部22cが第2板材21の先端側の縁部に対して溶接等により固定されている。この状態で上板部22aは、第2板材21の上面よりも上に位置し、また、下板部22bは、第2板材21の下面よりも下に位置している。上板部22a及び下板部22bは、第2板材21の先端部から支柱200の径方向外方へ向けて突出するように設けられている。
(連結部材30の構成)
図9に示すように、連結部材30は、例えば金属製の丸棒材等からなる軸で構成することができ、第2挟持部材20の第2板材21の基端側を上下方向に貫通して取り付けられている。第2板材21の基端側には、連結部材30の上下方向中間部が挿通する中間挿通孔21cが形成されている。また、連結部材30の上端部は基端側ブラケット12の上板部12aを貫通し、連結部材30の下端部は基端側ブラケット12の下板部12bを貫通している。すなわち、基端側ブラケット12の上板部12aには、連結部材30の上端部が挿通する上側挿通孔12dが形成され、基端側ブラケット12の下板部12bには、連結部材30の下端部が挿通する下側挿通孔12eが形成されている。基端側ブラケット12の上側挿通孔12d及び下側挿通孔12eと、第2板材21の中間挿通孔21cとは、同一軸線上に位置している。また、基端側ブラケット12の上側挿通孔12d及び下側挿通孔12eと、第2板材21の中間挿通孔21cとは、同一径に設定されている。
連結部材30は、上側挿通孔12d、下側挿通孔12e及び中間挿通孔21cへの挿通状態で回動可能となっている。したがって、図8に示すように、例えば、第1挟持部材10を固定しておき、第2挟持部材20を連結部材30周りに回動させることや、第2挟持部材20を固定しておき、第1挟持部材10を連結部材30周りに回動させることが可能になる。つまり、連結部材30によって第1挟持部材10の基端側と第2挟持部材20の基端側とが連結され、この連結された状態で、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とが互いに接離する方向に回動可能になる。
図9に示すように、連結部材30の上端部は、基端側ブラケット12の上板部12aの上面から上方へ突出している。連結部材30の上端部には上側止め輪31が嵌められている。また、連結部材30の下端部は、基端側ブラケット12の下板部12bの下面から下方へ突出している。連結部材30の下端部には下側止め輪32が嵌められている。これにより、連結部材30は第1挟持部材10及び第2挟持部材20から脱落しなくなる。
(締結部材40の構成)
締結部材40は、締結軸部41、ナット42、支軸43、上側止め輪44及び下側止め輪45(図2に示す)を少なくとも備えている。図1等に示すように、締結軸部41の基端部には大径部41aが形成されている。締結軸部41における大径部41a以外の部分は、外周面にネジ溝が連続して形成されたネジ棒で構成されており、例えばボルトの軸部等で構成することができる。ナット42は、締結軸部41に螺合する部材である。ナット42のフランジ部42aが縦板部14における軸部挿入用切欠部14aの周縁部に当接するようになっている。
支軸43は、締結軸部41の大径部41aを第2挟持部材20の先端側に対して回動可能に支持するための部材である。支軸43は、上記連結部材30と同様に上下方向に延びる丸棒材で構成されている。支軸43の上下方向中間部は、締結軸部41の大径部41aを上下方向に貫通しており、支軸43と締結軸部41の大径部41aとは相対的に回動可能になっている。支軸43の上端部は、先端側ブラケット22の上板部22aを貫通して当該上板部22aの上面から上方へ突出しており、支軸43の上端部には上側止め輪44が嵌められている。一方、支軸43の下端部は、先端側ブラケット22の下板部22bを貫通して当該下板部22bの下面から下方へ突出しており、支軸43の下端部には下側止め輪45が嵌められている。支軸43と先端側ブラケット22とは相対的に回動可能になっている。
締結軸部41を回動させることにより、図1等に示すように、締結軸部41を縦板材14の軸部挿入用切欠部14aに挿入した状態と、図7に示すように、締結軸部41を縦板材14の軸部挿入用切欠部14aから抜いた状態とに切り替えることができる。
(足場用クランプ1の使用方法)
足場用クランプ1を支柱200に取り付ける際には、まず、図8に示すように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側が互いに離れるように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させる。その後、支柱200を径方向に挟むように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させていき、図7に示すように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側を互いに接近させる。すると、第1板材11の第1切欠部11aの周縁部が支柱200の外周面に当接するとともに、第2板材21の第2切欠部21aの周縁部が支柱200の外周面に当接する。
次いで、締結部材40の締結軸部41を回動させ、図1等に示すように、締結軸部41を縦板材14の軸部挿入用切欠部14aに挿入する。締結軸部41を縦板材14の軸部挿入用切欠部14aに挿入した状態でナット42を締め込むと、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とが接近する方向に締結される。これにより、第1板材11の第1切欠部11aの周縁部が支柱200の外周面に強く当接するとともに、第2板材21の第2切欠部21aの周縁部が支柱200の外周面に強く当接し、足場用クランプ1が上下方向へ移動しなくなるとともに、支柱200の周方向に回動しなくなる。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とが互いに離れる方向に第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させると、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側との間隔が広がるので、支柱200を第1挟持部材10と第2挟持部材20との間に容易に配置することができる。支柱200を第1挟持部材10と第2挟持部材20との間に配置した後、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とが互いに接近する方向に第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させると、第1挟持部材10の第1切欠部11aの縁部及び第2挟持部材20の第2切欠部21aの縁部がそれぞれ支柱200の外周面に対して該支柱200の径方向一側及び他側からそれぞれ当接する。そして、締結部材40により第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とを互いに接近する方向に締結することで、第1挟持部材10の第1切欠部11aの縁部及び第2挟持部材20の第2切欠部21aの縁部が支柱200の外周面に圧接して支柱200を径方向に挟持する。これにより、足場用クランプ1が支柱200に対して固定された状態になる。
このとき、第1挟持部材10及び第2挟持部材20をそれぞれ構成している第1板材11及び第2板材21は支柱200の径方向に延びる板材であり、支柱200の外周面に接触する部分が当該板材11、21の一部を除去することによってできており、また、クサビ差込用孔部11b、21bも当該板材11、21の一部を除去することによって形成したものであるため、締結部材40による締結力が作用したときに、従来例のような板材を折曲げ成形した部材に比べて開くような変形が抑制されるとともに、スプリングバック現象も起こらない。よって、足場用クランプ1の固定強度を高めることができる。
また、第1挟持部材10及び第2挟持部材20は支柱200を径方向に挟持するものなので、例えば足場を構築する現場において第1挟持部材10及び第2挟持部材20を支柱200の高さ方向に移動させること、支柱200の周方向に移動させることが簡単に行える。よって、クサビ差込用孔部11b、21bの位置変更を簡単に行うことができる。
上記実施形態1では、クサビ101が差し込まれる差し込み部をクサビ差込用孔部11b、21bで構成しているが、これに限られるものではなく、図11に示すように、板材11、21の一部を除去することによってクサビ差込用切欠部11g、21gを形成してもよい。クサビ差込用切欠部11g、21gは、それぞれ支柱200の外周面側に開放されている。
(実施形態2)
図12〜図18は、本発明の実施形態2に係るクサビ緊結式足場用クランプ1を示すものである。実施形態2のクサビ緊結式足場用クランプ1は、サポート部材51〜53を備えている点で実施形態1とは異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
第1挟持部材10の第1板材11の第1切欠部11aの縁部には、支柱200の外周面に沿って上下方向に延びる第1サポート部材51、52が固定されている。第1サポート部材51、52は、例えば鋼板等で構成されており、上下方向に長い板状をなしている。
第1切欠部11aの縁部には、第1サポート部材51、52が嵌合する凹部11d、11eが形成されている。第1サポート部材51、52の上下方向中間部は、凹部11d、11eに嵌合した状態で第1板材11に対して溶接等によって固定されている。図17に示すように、第1サポート部材51、52の上側部分51a、52a及び下側部分51b、52bは、当該第1サポート部材51、52の上下方向中間部分51c、52cよりも支柱200の外周面に接近するように形成されている。すなわち、第1サポート部材51、52の上側部分51a、52aは、支柱200の外周面に接近する方向に屈曲成形され、また、第1サポート部材51、52の下側部分51b、52bも、支柱200の外周面に接近する方向に屈曲成形されている。第1サポート部材51、52の上下方向中間部分51c、52cは、第1切欠部11aの縁部よりも支柱200の径方向外方に位置付けられている。これにより、足場用クランプ1を支柱200に取り付けた状態で、第1サポート部材51、52の上下方向中間部分51c、52cが支柱200の外周面から離れた状態になる。尚、第1サポート部材51、52の上側部分51a、52aと、下側部分51b、52bのいずれか一方のみが支柱200の外周面に接近する方向に屈曲していてもよい。第1サポート部材51、52を設けることで、第1挟持部材10及び第2挟持部材20によって支柱200を挟持した状態で、第1サポート部材51、52が支柱200の外周面に当接するように配置される。これにより、第1挟持部材10及び第2挟持部材20が傾く方向に動こうとした際、第1サポート部材51、52が支柱200の外周面に当接することで、当該外周面によって支持される。第1サポート部材の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、第1サポート部材51、52は屈曲させなくてもよい。
また、第2挟持部材20の第2板材21の第2切欠部21aの縁部には、支柱200の外周面に沿って上下方向に延びる第2サポート部材53が固定されている。第2サポート部材53は、第1サポート部材51、52と同様に構成されている。第2切欠部12aの縁部には、第2サポート部材53が嵌合する凹部21dが形成されている。第2サポート部材53の上下方向中間部は、凹部21dに嵌合した状態で第2板材21に対して溶接等によって固定されている。第2サポート部材53は、第1サポート部材51、52と同様に、上側部分と下側部分とが支柱200の外周面に接近する方向に屈曲成形されている。第2サポート部材の数は2つ以上であってもよい。また、第1サポート部材51、52と、第2サポート部材53のいずれか一方のみ設けてもよい。
また、図14に示すように、連結部材30と第2挟持部材20のクサビ差込用孔部21bの幅方向中心部との支柱200周りの距離は、連結部材30と第1挟持部材10のクサビ差込用孔部11bとの支柱200周りの距離よりも短く設定されている。これにより、第1挟持部材10の第1板材11と第2挟持部材20の第2板材21とが非対称な形状になるので、基端側ブラケット12の大きさを確保して連結部材30との連結強度を高めながら、連結部材30を支柱200の外周面に近づけて配置することができ、その結果、足場用クランプ1をコンパクトにすることができる。
この実施形態2によれば、実施形態1と同様に、クサビを任意の位置に固定可能にしながら、その固定強度を高めることができる。
上記実施形態では、締結部材40がネジ及びナット42によって締結力を得ることができるように構成されているが、これに限らず、図示しないが、クサビを利用して締結力を得ることができるように構成してもよい。例えば、締結軸部41にクサビを差し込むことができる開口部を形成しておき、この開口部にクサビを差し込んで縦板材14に圧接させることによって第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とを互いに接近する方向に締結することができる。本発明の締結部材は、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を締結することができる構造であればよく、上述した構造に限られるものではない。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係る例えば各種建築物の建設現場や土木工事現場で作業員用の仮設足場を構築する場合に使用することができる。
1 クサビ緊結式足場用クランプ
10 第1挟持部材
11 第1板材
11a 第1切欠部
11b クサビ差込用孔部
20 第2挟持部材
21 第2板材
21a 第2切欠部
21b クサビ差込用孔部
30 連結部材
40 締結部材
100 布材(足場構成部材)
101 クサビ
本発明は、仮設足場を構築する際に使用される足場用クランプに関する。
従来より、例えば各種建築物の建設現場や土木工事現場等では作業員用の仮設足場を構築した後、各種作業が行われている。仮設足場を構築する場合には、例えば、支柱、布材、布枠、先行手摺ブレース等の足場構成部材が使用され、支柱に対して布材等が連結される。この連結構造として、例えば布材の端部に下方へ突出するように固定されたクサビと、支柱の外周面に固定されたポケットとを使用する構造が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。ポケットは、金属製の板材を折り曲げることによって形成されており、上方に開放している。クサビをポケットに差し込むことによって複数の足場構成部材を連結していき、仮設足場を構築することができる。クサビ及びポケットによる連結構造を備えた仮設足場はクサビ緊結式足場と呼ばれている。
特許文献1、2に開示されているように、支柱には複数のポケットが上下方向に互いに間隔をあけて設けられており、1つのクサビをいずれか1つのポケットに差し込んで固定することが可能になっている。つまり、支柱に連結される布材等の高さは当該支柱に固定されているポケットの高さによって決定される。また、特許文献3に開示されているように、ポケットを構成している金属製板材は、支柱の外周面に対して溶接によって強固に固定されていて支柱から取り外すことができないようになっているのが一般的である。
また、特許文献4、5には、クサビを差し込むためのポケットが一体成形された足場用クランプが開示されている。特許文献4の足場用クランプは、板材を折曲げ成形してなるクサビ用枠部によってポケットが構成されており、このクサビ用枠部の一方端には、ピン部を介して被締結金具が設けられ、他方端には締結部材が設けられている。締結部材によって被締結金具を締め付けることで足場用クランプを支柱に固定することが可能になっている。また、特許文献5の足場用クランプは、板材を折曲げ成形してなる左部材及び右部材が連結軸によって蝶番状に開閉可能に連結されたものであり、締結部材によって左部材及び右部材を締め付けることで足場用クランプを支柱に固定することが可能になっている。
特開2013−104288号公報
特開2013−2167号公報
特開2016−79758号公報
特開2013−076315号公報
特開平09−242330号公報
ところで、特許文献4、5の足場用クランプは、締結部材によって支柱に固定されるものなので、締結位置を変更することでポケットの位置を任意に変えることができ、特許文献1〜3のような固定式のポケットに比べて自由度を高めることができるという利点がある。
しかしながら、特許文献4の足場用クランプは、クサビ用枠部を構成している板材を支柱の径方向外側へ向けて折曲げ成形することによってポケットが形成されているので、締結部材による締結力を高めていくと、クサビ用枠部のポケットが開くように変形しやすく、その結果、支柱に対する固定強度が低下するおそれがある。ポケットが開くと、クサビを差し込むことができなくなるだけでなく、ポケットが所定位置に定まらなくなり、例えば、2つのポケットを設ける場合、2つのポケットを、支柱の中心線を対称の中心とした点対称に配置することが難しくなる。
また、特許文献5の足場用クランプも左部材及び右部材が支柱の外側へ向けて折曲げ成形してなるものなので、締結部材による締結力を高めていくと、ポケットが開くように変形しやすく、その結果、支柱に対する固定強度が低下するおそれがある。
さらに、特許文献4、5のように板材を折曲げ成形した場合には、スプリングバック現象が起こるのは避けられず、このスプリングバック現象によってポケットが開くように変形してしまうおそれもあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、クサビを任意の位置に固定可能にしながら、その固定強度を高めることができるようにすることにある。
上記目的を達成するために、本発明では、支柱の径方向に延びる板材に、支柱の外周面に沿う形状の切欠部を形成し、この板材からなる第1挟持部材及び第2挟持部材によって支柱を挟持し、さらに、クサビ差込用孔部またはクサビ差込用切欠部を、板材の一部を除去することによって形成するようにした。
第1の発明は、足場構成部材に設けられたクサビを上下方向に延びる円管材からなる支柱に設けられた差し込み部に差し込んで固定することによって構築されるクサビ緊結式足場に使用される足場用クランプにおいて、前記支柱の径方向に延びる板材からなり、当該板材の一部を前記支柱の外周面に沿う形状に除去することによって形成された第1切欠部を有し、前記支柱の外周面に対して該支柱の径方向一側から当接する第1挟持部材と、前記支柱の径方向に延びる板材からなり、当該板材の一部を前記支柱の外周面に沿う形状に除去することによって形成された第2切欠部を有し、前記支柱の外周面に対して該支柱の径方向他側から当接する第2挟持部材と、前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とが互いに接離する方向に回動可能に該第1挟持部材の他端側と該第2挟持部材の他端側とを連結する連結部材と、前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とを互いに接近する方向に締結する締結部材とを備え、前記第1挟持部材を構成する板材及び前記第2挟持部材を構成する板材にそれぞれ前記差し込み部となるクサビ差込用孔部またはクサビ差込用切欠部が当該板材の一部を除去することによって形成され、前記第1挟持部材に形成されている前記差し込み部の幅方向中心部と、前記第2挟持部材に形成されている前記差し込み部の幅方向中心部とは、前記支柱の径方向に延びる同一直線上に位置しており、前記第1挟持部材の他端側には、前記第2挟持部材の他端側の上面に沿う上板部と下面に沿う下板部とを備えたブラケットが設けられ、前記連結部材は、前記第2挟持部材の他端側を上下方向に貫通して取り付けられた軸からなり、前記ブラケットの前記上板部及び前記下板部には、前記軸の上端部及び下端部がそれぞれ挿通する挿通孔が形成され、前記軸と前記第2挟持部材の前記差し込み部との前記支柱周りの距離は、前記軸と前記第1挟持部材の前記差し込み部との前記支柱周りの距離よりも短く設定されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側とが互いに離れる方向に第1挟持部材及び第2挟持部材を回動させると、第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側との間隔が広がるので、支柱を第1挟持部材と第2挟持部材との間に配置することが可能になる。支柱を第1挟持部材と第2挟持部材との間に配置した後、第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側とが互いに接近する方向に第1挟持部材及び第2挟持部材を回動させると、第1挟持部材の第1切欠部の縁部及び第2挟持部材の第2切欠部の縁部がそれぞれ支柱の外周面に対して該支柱の径方向一側及び他側からそれぞれ当接する。そして、締結部材により第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側とを互いに接近する方向に締結することで、第1挟持部材の第1切欠部の縁部及び第2挟持部材の第2切欠部の縁部が支柱の外周面に圧接して支柱を径方向に挟持する。これにより、足場用クランプが支柱に対して固定された状態になる。
このとき、第1挟持部材及び第2挟持部材は支柱の径方向に延びる板材であり、支柱の外周面に接触する部分が当該板材の一部を除去することによってできており、また、クサビ差込用孔部またはクサビ差込用切欠部も当該板材の一部を除去することによって形成可能であるため、締結部材による締結力が作用したときに、従来例のような板材を折曲げ成形した部材に比べて開くような変形が抑制されるとともに、スプリングバック現象も起こらない。よって、固定強度が高まる。クサビ差込用孔部またはクサビ差込用切欠部は、第1挟持部材及び第2挟持部材の両方に設けてもよいし、一方にのみ設けてもよい。
また、第1挟持部材及び第2挟持部材は支柱を径方向に挟持するものなので、例えば足場を構築する現場において第1挟持部材及び第2挟持部材を支柱の高さ方向に移動させること、支柱の周方向に移動させることが簡単に行える。よって、差し込み部の位置変更が簡単になる。
また、第1挟持部材の差し込み部及び第2挟持部材の差し込み部にそれぞれクサビを差し込んで固定することが可能になる。そして、第1挟持部材の差し込み部と、第2挟持部材の差し込み部とを支柱の径方向に延びる同一直線上に位置付けることが可能になる。これにより、第1挟持部材の差し込み部に差し込んだ足場構成部材と、第2挟持部材の差し込み部に差し込んだ足場構成部材とが同一直線上で位置決めされる。
また、連結部材としての軸と、第2挟持部材の差し込み部との支柱周りの距離を、軸と第1挟持部材の差し込み部との支柱周りの距離よりも短くすることで、第1挟持部材と第2挟持部材とが非対称な形状になる。これにより、ブラケットの大きさを確保して軸との連結強度を高めながら、軸を支柱の外周面に近づけて配置することが可能になる。
第2の発明は、前記第1挟持部材を構成する前記板材は1枚であり、前記第2挟持部材を構成する前記板材は1枚であり、前記第1挟持部材を構成する前記板材と同一高さに配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1挟持部材を構成する板材及び第2挟持部材を構成する板材をそれぞれ1枚とすることで、足場用クランプの構造がシンプルになる。そして、第1挟持部材を構成する板材及び第2挟持部材を構成する板材を同一高さに配置したので、支柱をバランス良く挟持することが可能になる。
第3の発明は、足場構成部材に設けられたクサビを上下方向に延びる円管材からなる支柱に設けられた差し込み部に差し込んで固定することによって構築されるクサビ緊結式足場に使用される足場用クランプにおいて、前記支柱の径方向に延びる板材からなり、当該板材の一部を前記支柱の外周面に沿う形状に除去することによって形成された第1切欠部を有し、前記支柱の外周面に対して該支柱の径方向一側から当接する第1挟持部材と、前記支柱の径方向に延びる板材からなり、当該板材の一部を前記支柱の外周面に沿う形状に除去することによって形成された第2切欠部を有し、前記支柱の外周面に対して該支柱の径方向他側から当接する第2挟持部材と、前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とが互いに接離する方向に回動可能に該第1挟持部材の他端側と該第2挟持部材の他端側とを連結する連結部材と、前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とを互いに接近する方向に締結する締結部材とを備え、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の少なくとも一方を構成する板材には、前記差し込み部となるクサビ差込用孔部またはクサビ差込用切欠部が当該板材の一部を除去することによって形成され、前記第1挟持部材の前記第1切欠部の縁部には、前記支柱の外周面に沿って上下方向に延びる第1サポート部材が固定されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1挟持部材及び第2挟持部材によって支柱を挟持した状態で、第1サポート部材が支柱の外周面に当接するように配置される。これにより、第1挟持部材及び第2挟持部材が傾く方向に動こうとした際、第1サポート部材が支柱の外周面に当接することで、当該外周面によって支持される。
第4の発明は、前記第2挟持部材の前記第2切欠部の縁部には、前記支柱の外周面に沿って上下方向に延びる第2サポート部材が固定されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1挟持部材及び第2挟持部材によって支柱を挟持した状態で、第2サポート部材が支柱の外周面に当接するように配置される。これにより、第1挟持部材及び第2挟持部材が傾く方向に動こうとした際、第2サポート部材が支柱の外周面に当接することで、当該外周面によって支持される。
第5の発明は、前記第1サポート部材の上側及び下側の少なくとも一方は、当該第1サポート部材の上下方向中間部よりも前記支柱の外周面に接近するように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1サポート部材の上側及び下側の少なくとも一方が支柱の外周面に接近するので、第1サポート部材が支柱の外周面に確実に当接するようになる。また、第2サポート部材の上側及び下側の少なくとも一方が当該第2サポート部材の上下方向中間部よりも支柱の外周面に接近するように形成されていてもよい。
第6の発明は、前記第1サポート部材の上側及び下側が当該第1サポート部材の上下方向中間部よりも前記支柱の外周面に接近するように形成され、前記第1サポート部材の上下方向中間部は、前記第1切欠部の縁部よりも前記支柱の径方向外方に位置付けられていることを特徴とする。
この構成によれば、第1サポート部材の上側及び下側が支柱の外周面に接近しているので、第1サポート部材の上下両側が支柱の外周面に確実に当接して第1挟持部材及び第2挟持部材の傾きが抑制される。このとき、第1サポート部材の上下方向中間部は、第1切欠部の縁部よりも支柱の径方向外方に位置しているので、第1切欠部の縁部を支柱の外周面に確実に接触させて差し込み部を所定位置に配置することが可能になる。
第1の発明によれば、第1挟持部材及び第2挟持部材が支柱の径方向に延びる板材からなり、支柱の外周面に接触する部分が当該板材の一部を除去することによってできており、また、クサビ差込用孔部またはクサビ差込用切欠部も当該板材の一部を除去することによって形成することができる。これにより、締結部材による締結力が作用したときに、従来例のような板材を折曲げ成形した部材に比べて第1挟持部材及び第2挟持部材が開くように変形し難くなるとともに、スプリングバック現象も起こらなくなる。よって、クサビを任意の位置に固定可能にしながら、その固定強度を高めることができる。
また、第1挟持部材及び第2挟持部材にそれぞれ差し込み部を設け、第1挟持部材の差し込み部の幅方向中心部と、第2挟持部材の差し込み部の幅方向中心部とを支柱の径方向に延びる同一直線上に位置付けたので、第1挟持部材の差し込み部に差し込んだ足場構成部材と、第2挟持部材の差し込み部に差し込んだ足場構成部材とを同一直線上で位置決めすることができる。
また、第2挟持部材の他端側を貫通する軸と、第1挟持部材の他端側に設けられたブラケットにより、第1挟持部材及び第2挟持部材を回動可能に連結することができる。この場合に、軸と第2挟持部材の差し込み部との支柱周りの距離を、軸と第1挟持部材の差し込み部との支柱周りの距離よりも短く設定したので、第1挟持部材と第2挟持部材とを非対称な形状にすることができる。そして、ブラケットの大きさを確保して軸との連結強度を高めながら、軸を支柱の外周面に近づけて配置することができ、足場用クランプをコンパクトにすることができる。
第2の発明によれば、第1挟持部材を構成する板材及び第2挟持部材を構成する板材をそれぞれ1枚とし、これら板材を同一高さに配置しているので、足場用クランプの構造をシンプルにしながら、支柱をバランス良く挟持することができる。
第3、4の発明によれば、第1挟持部材及び第2挟持部材の傾きを抑制することができる。
第5の発明によれば、第1挟持部材及び第2挟持部材の傾きを更に小さくすることができる。
第6の発明によれば、第1サポート部材の上側及び下側が支柱の外周面に接近するように形成され、第1サポート部材の上下方向中間部が第1切欠部の縁部よりも支柱の径方向外方に位置付けられているので、第1挟持部材及び第2挟持部材の傾きを抑制しながら、第1切欠部の縁部を支柱の外周面に確実に接触させて差し込み部を所定位置に配置することができる。
本発明の実施形態1に係る足場用クランプを上方から見た斜視図である。
実施形態1に係る足場用クランプを下方から見た斜視図である。
実施形態1に係る足場用クランプを使用してクサビ緊結式足場を構築する場合を説明する斜視図である。
実施形態1に係る足場用クランプの平面図である。
実施形態1に係る足場用クランプの正面図である。
実施形態1に係る足場用クランプの左側面図である。
実施形態1に係る足場用クランプを締結する前の状態を示す平面図である。
実施形態1に係る足場用クランプを展開した状態の平面図である。
図4におけるIX−IX線断面図である。
図4におけるX−X線断面図である。
実施形態1の変形例に係る図4相当図である。
本発明の実施形態2に係る図1相当図である。
実施形態2に係る図2相当図である。
実施形態2に係る図4相当図である。
実施形態2に係る図5相当図である。
実施形態2に係る図6相当図である。
図14におけるXVII−XVII線断面図である。
図14におけるXVIII−XVIII線断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るクサビ緊結式足場用クランプ1を上方から見た斜視図であり、図2は、クサビ緊結式足場用クランプ1を下方から見た斜視図である。図3に示すように、クサビ緊結式足場用クランプ1は、例えば布材100を支柱200に連結する場合に使用される部材である。例えば、布材100、支柱200、布枠(図示せず)、先行手摺ブレース(図示せず)、幅木(図示せず)、壁つなぎ(図示せず)、ジャッキ(図示せず)、階段(図示せず)及びクサビ緊結式足場用クランプ1等によってクサビ緊結式足場が構築される。クサビ緊結式足場を構成している各部材は、足場構成部材である。
クサビ緊結式足場は、図3に示す布材100の両端部にそれぞれ設けられたクサビ101を、支柱200に設けられたポケット201や差し込み部15、25に差し込んで固定することによって構築される。図示しないが、上記布枠、先行手摺ブレース等にもクサビが設けられており、これらクサビをポケット201や差し込み部15、25に差し込んで固定することもできる。布材100の端部に設けられるクサビ101の形状や構造は様々である。本発明は、どのクサビ101に対しても適用することができる。
支柱200は、金属製の円管部材で構成されており、上下方向に延びている。支柱200は、鉛直に延びるように配設されていてもよいし、傾斜するように配設されていてもよい。また、布材100も支柱200と同様な円管部材で構成されており、通常は略水平方向に延びるように配設されるが、傾斜していても構わない。
(クサビ緊結式足場用クランプ1の全体構成)
図1や図2に示すように、クサビ緊結式足場用クランプ1は、支柱200を径方向に挟持する第1挟持部材10及び第2挟持部材20と、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動可能に連結する連結部材30と、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を締結する締結部材40とを備えている。図1〜図5に示すように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20は、支柱200の外周面に対して該支柱200の径方向(水平方向)一側及び他側からそれぞれ当接することにより、支柱200を径方向に挟持(クランプ)する部材である。
尚、この実施形態の説明では、図3に示すようにクサビ緊結式足場用クランプ1を支柱200に取り付けた状態で、クサビ緊結式足場用クランプ1の下になる側を単に「下」といい、クサビ緊結式足場用クランプ1の上になる側を単に「上」というものとする。また、図4や図5に示すように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20における連結部材30によって連結される側を、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の「基端側」といい、第1挟持部材10及び第2挟持部材20における連結部材30によって連結される側とは反対側を、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の「先端側」というものとする。第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側が本発明の一端側に相当し、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の基端側が本発明の他端側に相当する。このようにクサビ緊結式足場用クランプ1の方向を定義するのは説明の便宜を図るためだけであり、クサビ緊結式足場用クランプ1の使用状態を限定するものではなく、図示した姿勢以外の姿勢でクサビ緊結式足場用クランプ1を使用することも可能である。
また、図1、2、4〜6は、クサビ緊結式足場用クランプ1が使用状態にある場合を示しており、図7は、締結部材40による締結が行われていない状態を示しており、図8は、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側同士が離れる方向に、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させた状態を示しており、支柱200に取り付けられる前の状態である。このように各部の回動が可能になっている。
(第1挟持部材10の構成)
図1〜図5に示すように、第1挟持部材10は、1枚の第1板材11と、基端側ブラケット12と、縦板部14とを有しており、第1板材11に基端側ブラケット12及び縦板部14が固定されている。第1板材11、基端側ブラケット12及び縦板部14は、例えば鋼板等で構成されている。第1挟持部材10には、第1板材11が1枚だけ設けられている。
第1板材11は、支柱200への取り付け状態で、当該支柱200の径方向に延びるように形成されており、例えば厚みは8mm〜10mm程度に設定され、後述する締結部材40による締結力によって殆ど変形しないように高剛性に構成されている。第1板材11における支柱200の外周面に当接する側には、当該第1板材11の一部を支柱200の外周面に沿う形状に除去することによって形成された第1切欠部11aが設けられている。第1切欠部11aは円弧状に延びており、第1切欠部11aの周方向の略全体が支柱200の外周面に対して径方向一側から当接可能となっている。締結部材40による締結力が作用した際には、第1板材11における第1切欠部11aの周縁部が支柱200の外周面に強く押しつけられることになる。このとき、第1板材11が1枚だけ設けられているので、第1板材11の支柱200に対する接触面圧を十分に高めることができる。また、第1板材11における支柱200の外周面に当接する側とは反対側の縁部も円弧状に延びている。第1板材11に第1切欠部11aを設ける際には、当該第1板材11の一部を従来から周知の切断装置によって切断、または切除することによって形成されている。切断装置としては、例えばレーザーカッター等を挙げることができる。
第1板材11における周方向中間部には、布材100のクサビ101が差し込まれるクサビ差込用孔部11bが形成されている。クサビ差込用孔部11bは、第1板材11を厚み方向(上下方向)に貫通する貫通孔で構成されており、従って、第1板材11の一部を除去することによって形成されたものである。クサビ差込用孔部11bを形成する際には、上記レーザーカッター等を用いることができるが、これ以外の穴開け装置を用いることもできる。これにより、第1板材11の一部を除去することによってクサビ差込用孔部11bを設けることができる。
クサビ101を第1板材11の上方からクサビ差込用孔部11bに差し込むことで、クサビ101を第1挟持部材10に連結することが可能になる。クサビ差込用孔部11bの形状は、差し込まれるクサビ101の形状や構造に応じて設定することができる。また、クサビ差込用孔部11bの位置についても、図示した位置から径方向にずれていてもよいし、周方向にずれていてもよい。クサビ差込用孔部11bの数も任意に設定することができる。
第1板材11の基端側の縁部は直線状に延びており、この第1板材11の基端側の縁部に、基端側ブラケット12が固定されている。基端側ブラケット12は、第1板材11よりも薄い板材を屈曲成形してなるものである。基端側ブラケット12は、第2挟持部材20を構成している第2板材21の基端側の上面に沿うように延びる上板部12aと、第2板材21の基端側の下面に沿うように延びる下板部12bと、上板部12aの縁部から下板部12bの縁部まで延び、上板部12a及び下板部12bを連結する連結板部12cとを有している。連結板部12cが第1板材11の基端側の縁部に対して溶接等により固定されている。この状態で上板部12aは、第1板材11の上面よりも上に位置し、また、下板部12bは、第1板材11の下面よりも下に位置している。上板部12a及び下板部12bは、第1板材11の基端側の縁部から周方向へ向けて突出するように設けられおり、上板部12a及び下板部12bの間に、第2板材21の基端側が差し込まれて後述する連結部材30によって連結される。
一方、第1板材11の先端部には、第1板材11よりも薄く形成された縦板材14が設けられている。縦板材14は、第1板材11の先端部に対して溶接等により固定され、第1板材11の先端部から上下方向に延びている。縦板材14の上側部分は、第1板材11の上面よりも上方へ延びており、また、縦板材14の下側部分は、第1板材11の下面よりも下方へ延びている。さらに、縦板材14は、第1板材11の先端部から径方向外方へ向けて突出している。
縦板材14には、後述する締結軸部41を挿入するための軸部挿入用切欠部14aが形成されている。軸部挿入用切欠部14aは、縦板材14の先端側に向けて開放している。縦板材14の先端部には、軸部挿入用切欠部14aの上方及び下方にそれぞれ上側屈曲部14b及び下側屈曲部14cが形成されている。上側屈曲部14b及び下側屈曲部14cは、使用状態にある第2挟持部材20から離れる方向に屈曲している。この上側屈曲部14b及び下側屈曲部14cの形成により、後述する締結状態にあるナット42が上側屈曲部14b及び下側屈曲部14cに係合して締結軸部41が軸部挿入用切欠部14aから抜け難くなる。
(第2挟持部材20の構成)
図1〜図5に示すように、第2挟持部材20は、1枚の第2板材21と、先端側ブラケット22とを有しており、第2板材21に先端側ブラケット22が固定されている。第2板材11及び先端側ブラケット12は、例えば鋼板等で構成されている。第2挟持部材20には、第2板材21が1枚だけ設けられている。第1板材11と第2板材21とは同一高さに配置されている。
第2板材21は、支柱200への取り付け状態で、当該支柱200の径方向に延びるように形成されており、第1板材11と同様な厚みを有している。第2板材21における支柱200の外周面に当接する側には、当該第2板材21の一部を支柱200の外周面に沿う形状に除去することによって形成された第2切欠部21aが設けられている。第2切欠部21aは円弧状に延びており、第2切欠部21aの周方向の略全体が支柱200の外周面に対して径方向他側から当接可能となっている。第2板材21における支柱200の外周面に当接する側とは反対側の縁部も円弧状に延びている。
第2板材21における周方向中間部には、布材100のクサビ101が差し込まれるクサビ差込用孔部21bが形成されている。クサビ差込用孔部21bは、第2板材21を厚み方向(上下方向)に貫通する貫通孔で構成されており、従って、第2板材21の一部を除去することによって形成されたものである。クサビ101を第2板材21の上方からクサビ差込用孔部21bに差し込むことで、クサビ101を第2挟持部材20に連結することが可能になる。クサビ差込用孔部21bの形状は、差し込まれるクサビ101の形状や構造に応じて設定することができる。また、クサビ差込用孔部21bの位置についても、図示した位置から径方向にずれていてもよいし、周方向にずれていてもよい。第2挟持部材20のクサビ差込用孔部21bと、第1挟持部材10のクサビ差込用孔部11bとは同じ形状である。
図4に示すように、第1挟持部材10のクサビ差込用孔部11bと、第2挟持部材20のクサビ差込用孔部21bとは、支柱200の軸心Cを対称の中心とした点対称となるように配置されている。また、第1挟持部材10のクサビ差込用孔部11bの幅方向W1の中心部と、第2挟持部材20のクサビ差込用孔部21bの幅方向W2の中心部とは、支柱200の径方向に延びる同一直線D上に位置している。この直線Dは、支柱200の軸心Cを通って径方向に延びる仮想の線である。
第2板材21の先端側の縁部は直線状に延びており、この第2板材21の先端側の縁部に、先端側ブラケット22が固定されている。先端側ブラケット22は、第2板材21よりも薄い板材を屈曲成形してなるものである。先端側ブラケット22は、上板部22aと、下板部22bと、上板部22aの縁部から下板部22bの縁部まで延び、上板部22a及び下板部22bを連結する連結板部22cとを有している。連結板部22cが第2板材21の先端側の縁部に対して溶接等により固定されている。この状態で上板部22aは、第2板材21の上面よりも上に位置し、また、下板部22bは、第2板材21の下面よりも下に位置している。上板部22a及び下板部22bは、第2板材21の先端部から支柱200の径方向外方へ向けて突出するように設けられている。
(連結部材30の構成)
図9に示すように、連結部材30は、例えば金属製の丸棒材等からなる軸で構成することができ、第2挟持部材20の第2板材21の基端側を上下方向に貫通して取り付けられている。第2板材21の基端側には、連結部材30の上下方向中間部が挿通する中間挿通孔21cが形成されている。また、連結部材30の上端部は基端側ブラケット12の上板部12aを貫通し、連結部材30の下端部は基端側ブラケット12の下板部12bを貫通している。すなわち、基端側ブラケット12の上板部12aには、連結部材30の上端部が挿通する上側挿通孔12dが形成され、基端側ブラケット12の下板部12bには、連結部材30の下端部が挿通する下側挿通孔12eが形成されている。基端側ブラケット12の上側挿通孔12d及び下側挿通孔12eと、第2板材21の中間挿通孔21cとは、同一軸線上に位置している。また、基端側ブラケット12の上側挿通孔12d及び下側挿通孔12eと、第2板材21の中間挿通孔21cとは、同一径に設定されている。
連結部材30は、上側挿通孔12d、下側挿通孔12e及び中間挿通孔21cへの挿通状態で回動可能となっている。したがって、図8に示すように、例えば、第1挟持部材10を固定しておき、第2挟持部材20を連結部材30周りに回動させることや、第2挟持部材20を固定しておき、第1挟持部材10を連結部材30周りに回動させることが可能になる。つまり、連結部材30によって第1挟持部材10の基端側と第2挟持部材20の基端側とが連結され、この連結された状態で、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とが互いに接離する方向に回動可能になる。
図9に示すように、連結部材30の上端部は、基端側ブラケット12の上板部12aの上面から上方へ突出している。連結部材30の上端部には上側止め輪31が嵌められている。また、連結部材30の下端部は、基端側ブラケット12の下板部12bの下面から下方へ突出している。連結部材30の下端部には下側止め輪32が嵌められている。これにより、連結部材30は第1挟持部材10及び第2挟持部材20から脱落しなくなる。
(締結部材40の構成)
締結部材40は、締結軸部41、ナット42、支軸43、上側止め輪44及び下側止め輪45(図2に示す)を少なくとも備えている。図1等に示すように、締結軸部41の基端部には大径部41aが形成されている。締結軸部41における大径部41a以外の部分は、外周面にネジ溝が連続して形成されたネジ棒で構成されており、例えばボルトの軸部等で構成することができる。ナット42は、締結軸部41に螺合する部材である。ナット42のフランジ部42aが縦板部14における軸部挿入用切欠部14aの周縁部に当接するようになっている。
支軸43は、締結軸部41の大径部41aを第2挟持部材20の先端側に対して回動可能に支持するための部材である。支軸43は、上記連結部材30と同様に上下方向に延びる丸棒材で構成されている。支軸43の上下方向中間部は、締結軸部41の大径部41aを上下方向に貫通しており、支軸43と締結軸部41の大径部41aとは相対的に回動可能になっている。支軸43の上端部は、先端側ブラケット22の上板部22aを貫通して当該上板部22aの上面から上方へ突出しており、支軸43の上端部には上側止め輪44が嵌められている。一方、支軸43の下端部は、先端側ブラケット22の下板部22bを貫通して当該下板部22bの下面から下方へ突出しており、支軸43の下端部には下側止め輪45が嵌められている。支軸43と先端側ブラケット22とは相対的に回動可能になっている。
締結軸部41を回動させることにより、図1等に示すように、締結軸部41を縦板材14の軸部挿入用切欠部14aに挿入した状態と、図7に示すように、締結軸部41を縦板材14の軸部挿入用切欠部14aから抜いた状態とに切り替えることができる。
(足場用クランプ1の使用方法)
足場用クランプ1を支柱200に取り付ける際には、まず、図8に示すように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側が互いに離れるように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させる。その後、支柱200を径方向に挟むように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させていき、図7に示すように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側を互いに接近させる。すると、第1板材11の第1切欠部11aの周縁部が支柱200の外周面に当接するとともに、第2板材21の第2切欠部21aの周縁部が支柱200の外周面に当接する。
次いで、締結部材40の締結軸部41を回動させ、図1等に示すように、締結軸部41を縦板材14の軸部挿入用切欠部14aに挿入する。締結軸部41を縦板材14の軸部挿入用切欠部14aに挿入した状態でナット42を締め込むと、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とが接近する方向に締結される。これにより、第1板材11の第1切欠部11aの周縁部が支柱200の外周面に強く当接するとともに、第2板材21の第2切欠部21aの周縁部が支柱200の外周面に強く当接し、足場用クランプ1が上下方向へ移動しなくなるとともに、支柱200の周方向に回動しなくなる。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とが互いに離れる方向に第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させると、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側との間隔が広がるので、支柱200を第1挟持部材10と第2挟持部材20との間に容易に配置することができる。支柱200を第1挟持部材10と第2挟持部材20との間に配置した後、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とが互いに接近する方向に第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させると、第1挟持部材10の第1切欠部11aの縁部及び第2挟持部材20の第2切欠部21aの縁部がそれぞれ支柱200の外周面に対して該支柱200の径方向一側及び他側からそれぞれ当接する。そして、締結部材40により第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とを互いに接近する方向に締結することで、第1挟持部材10の第1切欠部11aの縁部及び第2挟持部材20の第2切欠部21aの縁部が支柱200の外周面に圧接して支柱200を径方向に挟持する。これにより、足場用クランプ1が支柱200に対して固定された状態になる。
このとき、第1挟持部材10及び第2挟持部材20をそれぞれ構成している第1板材11及び第2板材21は支柱200の径方向に延びる板材であり、支柱200の外周面に接触する部分が当該板材11、21の一部を除去することによってできており、また、クサビ差込用孔部11b、21bも当該板材11、21の一部を除去することによって形成したものであるため、締結部材40による締結力が作用したときに、従来例のような板材を折曲げ成形した部材に比べて開くような変形が抑制されるとともに、スプリングバック現象も起こらない。よって、足場用クランプ1の固定強度を高めることができる。
また、第1挟持部材10及び第2挟持部材20は支柱200を径方向に挟持するものなので、例えば足場を構築する現場において第1挟持部材10及び第2挟持部材20を支柱200の高さ方向に移動させること、支柱200の周方向に移動させることが簡単に行える。よって、クサビ差込用孔部11b、21bの位置変更を簡単に行うことができる。
上記実施形態1では、クサビ101が差し込まれる差し込み部をクサビ差込用孔部11b、21bで構成しているが、これに限られるものではなく、図11に示すように、板材11、21の一部を除去することによってクサビ差込用切欠部11g、21gを形成してもよい。クサビ差込用切欠部11g、21gは、それぞれ支柱200の外周面側に開放されている。
(実施形態2)
図12〜図18は、本発明の実施形態2に係るクサビ緊結式足場用クランプ1を示すものである。実施形態2のクサビ緊結式足場用クランプ1は、サポート部材51〜53を備えている点で実施形態1とは異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
第1挟持部材10の第1板材11の第1切欠部11aの縁部には、支柱200の外周面に沿って上下方向に延びる第1サポート部材51、52が固定されている。第1サポート部材51、52は、例えば鋼板等で構成されており、上下方向に長い板状をなしている。
第1切欠部11aの縁部には、第1サポート部材51、52が嵌合する凹部11d、11eが形成されている。第1サポート部材51、52の上下方向中間部は、凹部11d、11eに嵌合した状態で第1板材11に対して溶接等によって固定されている。図17に示すように、第1サポート部材51、52の上側部分51a、52a及び下側部分51b、52bは、当該第1サポート部材51、52の上下方向中間部分51c、52cよりも支柱200の外周面に接近するように形成されている。すなわち、第1サポート部材51、52の上側部分51a、52aは、支柱200の外周面に接近する方向に屈曲成形され、また、第1サポート部材51、52の下側部分51b、52bも、支柱200の外周面に接近する方向に屈曲成形されている。第1サポート部材51、52の上下方向中間部分51c、52cは、第1切欠部11aの縁部よりも支柱200の径方向外方に位置付けられている。これにより、足場用クランプ1を支柱200に取り付けた状態で、第1サポート部材51、52の上下方向中間部分51c、52cが支柱200の外周面から離れた状態になる。尚、第1サポート部材51、52の上側部分51a、52aと、下側部分51b、52bのいずれか一方のみが支柱200の外周面に接近する方向に屈曲していてもよい。第1サポート部材51、52を設けることで、第1挟持部材10及び第2挟持部材20によって支柱200を挟持した状態で、第1サポート部材51、52が支柱200の外周面に当接するように配置される。これにより、第1挟持部材10及び第2挟持部材20が傾く方向に動こうとした際、第1サポート部材51、52が支柱200の外周面に当接することで、当該外周面によって支持される。第1サポート部材の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、第1サポート部材51、52は屈曲させなくてもよい。
また、第2挟持部材20の第2板材21の第2切欠部21aの縁部には、支柱200の外周面に沿って上下方向に延びる第2サポート部材53が固定されている。第2サポート部材53は、第1サポート部材51、52と同様に構成されている。第2切欠部12aの縁部には、第2サポート部材53が嵌合する凹部21dが形成されている。第2サポート部材53の上下方向中間部は、凹部21dに嵌合した状態で第2板材21に対して溶接等によって固定されている。第2サポート部材53は、第1サポート部材51、52と同様に、上側部分と下側部分とが支柱200の外周面に接近する方向に屈曲成形されている。第2サポート部材の数は2つ以上であってもよい。また、第1サポート部材51、52と、第2サポート部材53のいずれか一方のみ設けてもよい。
また、図14に示すように、連結部材30と第2挟持部材20のクサビ差込用孔部21bの幅方向中心部との支柱200周りの距離は、連結部材30と第1挟持部材10のクサビ差込用孔部11bとの支柱200周りの距離よりも短く設定されている。これにより、第1挟持部材10の第1板材11と第2挟持部材20の第2板材21とが非対称な形状になるので、基端側ブラケット12の大きさを確保して連結部材30との連結強度を高めながら、連結部材30を支柱200の外周面に近づけて配置することができ、その結果、足場用クランプ1をコンパクトにすることができる。
この実施形態2によれば、実施形態1と同様に、クサビを任意の位置に固定可能にしながら、その固定強度を高めることができる。
上記実施形態では、締結部材40がネジ及びナット42によって締結力を得ることができるように構成されているが、これに限らず、図示しないが、クサビを利用して締結力を得ることができるように構成してもよい。例えば、締結軸部41にクサビを差し込むことができる開口部を形成しておき、この開口部にクサビを差し込んで縦板材14に圧接させることによって第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とを互いに接近する方向に締結することができる。本発明の締結部材は、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を締結することができる構造であればよく、上述した構造に限られるものではない。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係る例えば各種建築物の建設現場や土木工事現場で作業員用の仮設足場を構築する場合に使用することができる。
1 クサビ緊結式足場用クランプ
10 第1挟持部材
11 第1板材
11a 第1切欠部
11b クサビ差込用孔部
20 第2挟持部材
21 第2板材
21a 第2切欠部
21b クサビ差込用孔部
30 連結部材
40 締結部材
100 布材(足場構成部材)
101 クサビ