本発明は、踏桟が横架される一対の支柱間の間隔が例えば上側から下側にかけて徐々に広がった下広がりの構成のように同間隔が徐々に変化する構成において、支柱における踏桟が固定される部分、および踏桟における支柱に固定される両端部分の形状等を工夫することにより、構造の簡略化および生産性の向上を図ろうとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
以下では、本発明に係る踏桟の固定構造およびその製造方法の実施の形態を、梯子兼用脚立を例にとって説明する。ただし、本発明に係る踏桟の固定構造およびその製造方法は、梯子兼用脚立に限定されることなく、例えば、脚立(専用脚立)、梯子、作業台等のように、左右一対の支柱とこれらの支柱間に架設される踏桟とを含む梯子体を備える種々の踏桟付昇降用器具に適用することができる。
[脚立の構成]
まず、本実施形態に係る脚立1の構成について、図1から図3を用いて説明する。図1から図3に示すように、本実施形態に係る脚立1は、梯子としても用いられる梯子兼用脚立であり、互いに共通の構成を有する一対の梯子体2を備える。梯子体2は、縦部材である左右一対の支柱3と、所定の間隔を隔てて配設される一対の支柱3間に横架された複数の踏桟4とを有する。なお、梯子体2においては、一対の支柱3が対向する方向、つまり踏桟4が横架される方向(図2における左右方向)を左右方向とする。
梯子体2において、一対の支柱3は、左右方向に対称に構成されている。各支柱3は、相手方の支柱3との関係で互いに平行となる垂直部3aと、垂直部3aの下側に設けられ、踏桟4の軸方向に垂直な方向、つまり垂直部3aの延設方向に対して傾斜した部分である傾斜部3bとからなる。傾斜部3bは、梯子体2における相手方の支柱3との関係で一対の支柱3間の間隔を梯子体2の上下方向の位置によって徐々に変化させる。脚立1においては、一対の支柱3の傾斜部3bは、脚立1が脚立として使用される場合において、一対の支柱3間の間隔を上側から下側にかけて徐々に広げる下広がりの形状をなす。
本実施形態では、支柱3において、梯子体2の上部を構成する上側の1/3〜1/4の部分が垂直部3aとなっており、残りの下側の部分が傾斜部3bとなっている(図2参照)。傾斜部3bは、垂直部3aの延設方向(図2における上下方向)を鉛直方向(図2、直線L1参照)とした場合、鉛直方向に対して外側に広がるように所定の角度αをもって傾斜状に配された態様をなす。このような構成の一対の支柱3間においては、上部の垂直部3a同士は互いに平行となり、その下側の傾斜部3b同士は、正面視で下広がりとなるように略「ハ」の字状をなす(図2参照)。なお、本実施形態の説明では、支柱3の垂直部3aの延設方向(図2における上下方向)を梯子体2の上下方向とし、垂直部3aに対する傾斜部3b側(図2における下側)を下側、その反対側(図2における上側)を上側とする。
支柱3は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属製の部材であり、強度の確保等を目的とした「コ」の字状の横断面形状を有する長手状部材である。支柱3は、「コ」の字状の横断面形状をなす部分として、一対の支柱3において互いに対向させる壁面部となる側壁部11と、側壁部11の両端から連続して側壁部11に対して直角状をなす部分であって互いに対向する一対の端壁部12とを有する。
一対の支柱3は、側壁部11側を内側として、つまり「コ」の字状の横断面形状の開放側を左右外側に向けた状態で設けられている。支柱3は、例えば、「コ」の字状の横断面をなす直線状の押出し成形品が所定の長さに切断された後に所定の位置で屈曲されることにより、垂直部3aと傾斜部3bとを有する部材として構成される。また、支柱3の下端部には、横ずれ防止機能等を有するキャップ状の端具5が嵌め被された状態で取り付けられている。
踏桟4は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属製の部材であり、一対の支柱3に対する架設方向を軸方向とする直線状の部材である。踏桟4は、例えば、所定の横断面形状をなす直線状の押出し成形品が所定の長さに切断されて所定の加工を受けた部材が一対の支柱3間に架設されることにより構成される。踏桟4は、一対の支柱3間において、垂直部3a間および傾斜部3b間のそれぞれにおいて架設されている。
本実施形態では、梯子体2を構成する一対の支柱3間において、垂直部3a間に2本、傾斜部3b間に4本の計6本の踏桟4が、梯子体2の上下方向に略等間隔を隔てて設けられている。垂直部3a間に架設されている2本の踏桟4は、互いに同じ長さ(軸方向の寸法)を有する。垂直部3a間に架設されている2本の踏桟4のうちの一方の(上側の)踏桟4は、垂直部3aの上端部、つまり支柱3の上端部間に架設されている。また、傾斜部3b間に架設されている4本の踏桟4については、一対の傾斜部3b間の間隔に応じて、下側に配置される踏桟4ほど長さが長くなっている。梯子体2において一対の支柱3間に架設された6本の踏桟4は、長さ以外の構成、具体的には後述する横断面形状や長手方向の端部形状等については共通の構成を有する。
以上のような支柱3および踏桟4により構成された梯子体2が、対をなし、下側の部分に対して幅狭となる上端部同士を、連結部材である継手金具6を介して、左右方向を回動軸方向として、回動可能に連結させている。継手金具6は、各支柱3の上端部に設けられており、一対の梯子体2が互いに向かい合う構成において、左右方向について共通の側にある支柱3同士が、それぞれの上端部に設けられた継手金具6を介して回動自在に連結される。すなわち、継手金具6は、互いに連結させる支柱3間においてヒンジ部を構成する部材であり、脚立1の左右両側のそれぞれで対応する支柱3同士が、各支柱3の上端に設けられた継手金具6同士が左右方向を回動軸方向として回動自在に連結されることで、一対の継手金具6を介して回動自在に連結される。これにより、梯子体2同士が左右方向を回動軸方向として回動可能に連結される。
継手金具6は、全体として板状の部材であり、支柱3に固定される部分であって略矩形状の外形を有する固定部6aと、固定部6aから突出して相手方の継手金具6と連結される部分であるヒンジ部6bとを有する。継手金具6は、固定部6aを、支柱3の側壁部11の内側(左右方向の内側)の面、つまり支柱3の横断面形状の「コ」の字状における開放側と反対側の面に沿わせた状態で、複数のリベット等の固定部材により支柱3に固定される。継手金具6は、支柱3に固定された状態において、ヒンジ部6bを、連結される相手方の支柱3側に突出させる。継手金具6により互いに連結される支柱3間においては、各継手金具6のヒンジ部6bの重なり合った部分が枢支ピン等の軸支部材により相対回動自在に連結されることで、各支柱3に固定された継手金具6を介して、支柱3同士が回動自在に連結される。
このように一対の梯子体2が左右方向を回動軸方向として互いに連結された構成を備える脚立1においては、左右両側のそれぞれで継手金具6を介して互いに連結された支柱3間に、開き止め金具8が設けられている。開き止め金具8は、梯子兼用の脚立1が脚立として用いられる場合において、支柱3の上端部間に架け渡された状態となることで、梯子体2同士が開く方向の回動を規制する。すなわち、脚立1が脚立として用いられる場合、一対の梯子体2が支柱3により側面視において軸支部材による回動中心側を頂点側とする二等辺三角形の斜辺に沿うように略逆「V」の字状をなして所定量開いた状態となり、かかる状態において、支柱3の上端部間に開き止め金具8が略水平方向に架け渡されることで、梯子体2同士の所定量以上の開きが規制される。
開き止め金具8は、相対回動可能に端部同士が連結された2つの細長い矩形状(短冊状)の板状部材からなる中折れ式のものである。止め金具8は、その一側の端部、つまり一方の板状部材における他方の板状部材に対する連結側と反対側の端部が支柱3の上端部における所定の位置に回動可能に軸支された状態で設けられている。そして、脚立1が脚立として用いられる状態において、開き止め金具8の他方の端部が、例えば支柱3側に設けられた止めピン等の係止突部に係止凹部を嵌合させることにより、支柱3の上端部における所定の位置に係止される。これにより、開き止め金具8は、脚立1の左右両側において、略水平方向に沿う直線状の態様で支柱3間に架け渡された状態となり、梯子体2同士の開きを止める。
以上のような構成を備える本実施形態の脚立1は、継手金具6を介して回動可能に互いに連結された一対の梯子体2が側面視において互いに略平行となるように折畳み可能に構成されている。なお、脚立1の折畳み状態においては、中折れ式の開き止め金具8は、互いに略平行な梯子体2間において2つの板状部材の回動により略逆「V」の字状に折れ曲がった状態となる。
そして、脚立1は、脚立として使用される場合は、上述のとおり一対の梯子体2が側面視で略逆「V」の字状をなして所定量開いた状態となる(図1参照)。この脚立1の脚立状態においては、開き止め金具8によって梯子体2同士の所定量以上の開きが規制される。
一方、脚立1は、梯子として使用される場合は、開き止め金具8による回動の規制が解除され、一対の梯子体2が側面視で一直線状となるまで開かれた状態となる(図3参照)。この脚立1の梯子状態においては、継手金具6を介して互いに連結された状態の支柱3同士は、上端同士を互いに接触させた状態で、側面視で一直線状となるように互いに連続した状態となる。つまり、梯子状態の脚立1は、梯子体2の2倍の長さ(高さ)を有する。そして、梯子状態の脚立1では、開き止め金具8は、直線状に互いに連続する支柱3間においてその直線方向に沿って支柱3間に架設された状態とされ、支柱3同士による直線状の形態を固定させ保持する機能を果たす。
以上のような本実施形態に係る脚立1は、支柱3および踏桟4の形状等を含み、互いに結合される支柱3と踏桟4との固定構造およびその製造方法について特徴的な構成を備える。以下、これらについて詳細に説明する。
[踏桟の固定構造の構成]
本実施形態に係る脚立1が備える踏桟4の固定構造(以下「踏桟固定構造」という。)について説明する。本実施形態に係る踏桟固定構造は、一対の支柱3と、この一対の支柱3間に横架される踏桟4とを備え、踏桟4の端部を支柱3に固定させるものである。脚立1を構成する各梯子体2において、左右の支柱3間に架設される踏桟4は、その軸方向の両側の端部が支柱3に固定されることで、一対の支柱3に結合された状態となる。本実施形態では、踏桟4の端部は、横断面「コ」の字状の支柱3において左右方向に直交する面部となる側壁部11に固定される。
上述のとおり、踏桟4は、一対の支柱3間において、垂直部3a間および傾斜部3b間のそれぞれに架設されている。したがって、梯子体2において、踏桟固定構造としては、支柱3の垂直部3aに対する固定構造と、支柱3の傾斜部3bに対する固定構造とが存在する。本実施形態の踏桟固定構造によれば、垂直部3aに対する踏桟4の固定と、傾斜部3bに対する踏桟4の固定とで、共通の固定構造および製造方法が適用される。
まず、支柱3の垂直部3aにおける踏桟固定構造について、図4から図10を用いて説明する。なお、図5は図4におけるA−A位置の一部断面拡大斜視図であり、図6は図4におけるB矢視図であり、図7は図6におけるC−C矢視断面図であり、図8は図7におけるD−D矢視断面図であり、図10(a)は図9におけるE矢視図であり、同図(b)は踏桟(踏桟部材)の横断面図である。
図4から図7に示すように、支柱3の垂直部3aにおける踏桟固定構造において、踏桟4は、支柱3を構成する側壁部11のうち垂直部3aを構成する部分である上部側壁部11aに固定される。上部側壁部11aは、左右方向に沿う踏桟4の軸方向(長手方向)に対して垂直な板状部分であり、左右方向の両側の板面を踏桟4の支持面とする。つまり、上部側壁部11aは、踏桟4の軸方向に対して垂直な支持面として、一対の支柱3間において内側(左右内側)の支持面となる内側支持面11xと、外側(左右外側)の支持面となる外側支持面11yとを有する。
一方、踏桟4は、左右の支柱3の側壁部11間に位置する本体部14と、本体部14の左右両外側に設けられた挟持部としての鍔部15とを有する。踏桟4は、本体部14の長手方向の端部において、上部側壁部11aの内側支持面11xに接触する第1挟持面21を形成し、鍔部15において、上部側壁部11aの外側支持面11yに接触する第2挟持面22を形成する。つまり、踏桟4は、支柱3に固定された状態において、本体部14の長手方向の端面である第1挟持面21と、第1挟持面21に対向する鍔部15の第2挟持面22とによって上部側壁部11aを左右両側から挟んだ状態となる。
本体部14は、踏桟4の左右両端部以外の大部分を構成する部分であり、踏桟4の軸方向の両側の端面として、上部側壁部11aが有する支持面のうちの内側支持面11xに接触する第1挟持面21を形成する。すなわち、本体部14は、踏桟4が左右の支柱3間に架設された状態において、左右の側壁部11の間、つまり左右の内側支持面11x間に位置する部分であり、左右の内側支持面11xに対して第1挟持面21を接触させる。
鍔部15は、踏桟4において本体部14の長手方向の両外側の部分、つまり踏桟4の左右両端部を構成する部分であり、本体部14の第1挟持面21に対向するとともに上部側壁部11aが有する支持面のうちの外側支持面11yに接触する第2挟持面22を形成する。すなわち、鍔部15は、踏桟4が左右の支柱3間に架設された状態において、大部分が左右の側壁部11の外側、つまり外側支持面11yよりも左右方向の外側に位置する部分であり、外側支持面11yに対して第2挟持面22を接触させる。そして、鍔部15は、本体部14とともに側壁部11(上部側壁部11a)を圧接挟持する部分となる。
鍔部15は、本体部14の左右両側の端面である第1挟持面21から突出した部分であり、側壁部11に形成された挿通孔16(図8参照)を貫通し、側壁部11の外側(外側支持面11y側)において挿通孔16の孔径に対する拡径部分を構成し、第2挟持面22により、外側支持面11yにおける挿通孔16の周縁部分に接触する。鍔部15は、側壁部11の外側に位置する拡径部分となる鍔状本体部15aと、本体部14の第1挟持面21から側壁部11の壁厚の寸法分突出した筒状(環状)の部分であって本体部14と鍔状本体部15aとを繋ぐ筒状部15bとを有する。
筒状部15bは、側壁部11の挿通孔16内に位置する部分であり、その筒状部15bの左右両側(筒軸方向の両側)に、互いに対向する第1挟持面21および第2挟持面22が形成される。そして、側壁部11において挿通孔16を形成する部分(挿通孔16の周縁部分)が、第1挟持面21と第2挟持面22とにより挟持された状態となる。つまり、本体部14および鍔状本体部15aは、筒状部15bを介して側壁部11の両壁面側にそれぞれ位置し、踏桟4の軸方向視において、筒状部15bの径方向の外側に、側壁部11を左右から挟む第1挟持面21および第2挟持面22が形成されている。
詳細には、鍔部15を構成する鍔状本体部15aは、互いに折り重なった円環板状の部分である内側環状部15cと外側環状部15dとを有する。内側環状部15cは、筒状部15bの本体部14側と反対側の端部から踏桟4の軸方向に対して略垂直な面に沿って拡開した円環板状の部分であり、その内側(本体部14側)の面を第2挟持面22とする。外側環状部15dは、内側環状部15cと同様に円環板状の部分であり、内側環状部15cに対して左右方向の外側に重なる。すなわち、内側環状部15cおよび外側環状部15dは、いずれも板面を側壁部11の内側支持面11x等と同様に左右方向に対して垂直な面とする板状の環状部分であるとともに、筒状部15bに対する拡径部分であって、同心状に重なり合った状態で鍔状本体部15aを構成する。
本実施形態では、鍔状本体部15aは、後述のとおり筒状の部分が所定の加工を受けることにより折り曲げ形成された部分であるため、鍔状本体部15aを構成する内側環状部15cおよび外側環状部15dは、鍔状本体部15aの周縁端部分にて互いに繋がっている。また、本実施形態では、外側環状部15dは、その円環状の外形における内径を、内側環状部15cの内径となる筒状部15bの内径よりもわずかに大きくする。つまり、図7に示すように、外側環状部15dの内径寸法D1は、内側環状部15cの(筒状部15bの)内径寸法D2よりもわずかに大きい。したがって、踏桟4の軸方向視において、内側環状部15cの内周縁部には、外側環状部15dの内周に沿って円環状に露出した露出部分15eが存在する(図6参照)。ただし、鍔状本体部15aの構造としては、外側環状部15dの内径が内側環状部15cの内径と同程度の寸法あるいはそれよりも大きい寸法を有する構造であったり、外側環状部15dの内側の縁端が内側環状部15c側に(筒状部15b内に)折り込まれた構造であったりしてもよい。
本実施形態では、踏桟4を構成する鍔部15は、図9に示すように、本体部14の両端部に設けられた筒状突出部23が所定の加工方法によって変形させられることにより形成された部分である。筒状突出部23は、踏桟4の長手方向を筒軸方向とする略円筒状の形状を有し、本体部14の第1挟持面21から突出した態様で設けられる。筒状突出部23は、その筒軸方向の全体について略同一の形状・寸法の横断面形状をなす。左右両端の筒状突出部23は、同心軸上に設けられている。
このように設けられた筒状突出部23が、その筒軸方向の略中央の位置から径方向の外側に拡径するように屈曲変形させられることにより、鍔部15が形成される。筒状突出部23は、側壁部11に形成された挿通孔16を貫通した状態、つまり挿通孔16を介して側壁部11の内側から外側に突出した状態で、鍔部15となるための加工を受ける。したがって、筒状突出部23の挿通孔16から側壁部11の外側に突出した部分により、鍔部15の鍔状本体部15aが形成され、挿通孔16内に位置する筒状突出部23の基端部分が、筒状部15bとなる。
このように、本体部14とともに側壁部11を挟持する挟持部としての鍔部15は、本体部14の第1挟持面21から筒状に突出した部分である筒状突出部23が側壁部11に形成された挿通孔16を貫通した状態で変形させられることで形成された鍔状の部分である。具体的には、詳細は後述するが、所定の押圧型が用いられ、筒状突出部23がその第1挟持面21からの突出方向(左右方向の両外側方向)に対向する方向の押圧力を受けることにより、屈曲成形されることで、鍔部15が形成される。このような鍔部15を形成するための筒状突出部23の成形加工にともない、上部側壁部11aが本体部14と鍔部15とにより圧接挟持されかしめられた状態となる。
踏桟4についてより詳細に説明する。本実施形態の踏桟4は、その軸芯部分を構成する中空状の筒状芯部24と、筒状芯部24の外周側に設けられた一対の中空状の踏面形成部25とを有する。踏桟4が押出し成形品により構成される場合等、筒状芯部24と踏面形成部25は所定の横断面形状をなす一体の部分である。
筒状芯部24は、横断面形状で環状をなし軸方向の両端部により筒状突出部23を形成する。筒状芯部24は、筒状突出部23により鍔部15を形成するための加工を受ける前の状態の踏桟4である踏桟部材4Aにおいて、全体として円筒状の部分であり、その筒軸方向の両端部を、筒状突出部23とする。筒状芯部24は、踏桟部材4Aにおいて、本体部14の長手方向の全範囲にわたって設けられて本体部14を構成するとともに、本体部14を構成する部分から直線的に延出し、本体部14の左右両側の端面である第1挟持面21から突出した態様で、両側の端部により、互いに同心軸上に位置する左右両側の筒状突出部23を形成する。つまり、筒状芯部24は、横断面形状を筒状突出部23と同じくする部分であり、筒状突出部23が挿入される挿通孔16の孔形状に対応した挿嵌形状となる。
本実施形態では、筒状突出部23は、後述のとおり、踏桟4(踏桟部材4A)の両端部における踏面形成部25の部分を除去して筒状芯部24を露出させることで形成されたものである。また、踏桟部材4Aにおいては、その軸方向視で、筒状芯部24は、一対の踏面形成部25の外形の範囲に収まるように設けられている。
踏面形成部25は、筒状芯部24の外側に設けられ、平面状の踏面25sを形成する部分である。踏面形成部25は、踏桟4(踏桟部材4A)において、筒状芯部24の両端部(筒状突出部23)以外の中間部とともに本体部14を構成する。
踏面形成部25は、一対の支柱3間に架設された状態(以下「架設状態」という。)の踏桟4において、踏桟4の軸方向視(側面視)で筒状芯部24の中心位置を通る左右方向(図10(a)、(b)における左右方向)の直線を中心線として上下に略対称となるように2箇所に設けられている。つまり、筒状芯部24の上下において一対の踏面形成部25が上下対称な形状となるように設けられている。架設状態の踏桟4において、2箇所の踏面形成部25のうちの一方の踏面形成部25は、筒状芯部24の上部の外側(外周側)に設けられており、他方の踏面形成部25は、筒状芯部24の下部の外側(外周側)に設けられている。
本実施形態では、踏面形成部25は、横断面形状で略三角形状に沿う外形をなす中空状の部分であり、横断面形状における一側の辺部により踏面25sを形成する。具体的には、図10(a)、(b)に示すように、踏面形成部25は、踏桟4の横断面形状において踏面25sを形成する辺部となる主面部25aと、横断面形状において主面部25aとともに略三角形状に沿う形状をなす部分である2箇所の接続面部25b,25cとを有する。主面部25aは、横断面形状において、略円環状の筒状芯部24に対して筒状芯部24の外径よりも長い寸法で接線状となるように設けられた部分である。接続面部25b,25cは、それぞれ、横断面形状において、主面部25aとともに鋭角をなす直線状の部分であり、一端側が主面部25aの端部に繋がるとともに、他端側が筒状芯部24の外周面に当接した態様で筒状芯部24に繋がる部分である。横断面形状において主面部25aと接続面部25b,25cとにより形成される鋭角部分は、R状に湾曲した丸め角となっている。
踏面形成部25を構成する主面部25aおよび接続面部25b,25cは、踏桟4の本体部14において共通の横断面形状をなすように、踏桟4の長手方向に沿う帯板状の部分として設けられている。したがって、踏面形成部25は、筒状芯部24のうち主面部25aが接触する部分を含む円弧面部分を2箇所の接続面部25b,25cによって抱え込んだ態様で、横断面形状で略三角形状に沿う主面部25aおよび2箇所の接続面部25b,25cにより形成される略三角柱状に沿う外形をなし、筒状芯部24の外周面とともに中空部分を構成する。
上下2箇所のうちの上側の踏面形成部25は、架設状態の踏桟4において、踏面25sが、梯子体2の側面視において上下方向に垂直な方向(図10(a)、(b)における左右方向)に対して、梯子体2の登り面側(同図において右側)に下り傾斜するように設けられている。かかる踏面25sの傾斜度合いは、脚立1が脚立として使用される状態において梯子体2が鉛直方向に対して傾斜した状態で、踏面25sが略水平面に沿うように調整されている。つまり、平面状の踏面25sを形成する板状の主面部25aが、踏面25sを所定の向きに傾斜させるように形成されている。なお、踏面25sには、例えば踏桟4の長手方向に沿う突条部分(溝状部分)等の滑り止め形状部分が適宜形成される。
このように踏面25sを形成する主面部25aが傾斜していることから、上述したように一対の踏面形成部25が上下対称に設けられた構成において、上下の踏面形成部25の主面部25a間の間隔は、梯子体2の登り面側(図10(a)、(b)において右側)が狭く、反登り面側(同図において左側)が広くなっている。言い換えると、上下の踏面形成部25に関し、主面部25aと登り面側の接続面部25bとによる稜線部間の間隔は、主面部25aと反登り面側の接続面部25cとによる稜線部間の間隔よりも狭くなっている。このような構成において、踏面形成部25は、筒状芯部24とともに、横断面形状において、登り面側では略「M」の字状をなし、反登り面側では略「W」の字状をなす。
また、本実施形態では、踏面25sを形成する主面部25aは、横断面視において略円環状の筒状芯部24に対して接線状となるように筒状芯部24に繋がっている。このため、筒状芯部24と各踏面形成部25との間においては、登り面側と反登り面側との2箇所に中空部分が形成されている。具体的には、登り面側においては、登り面側の接続面部25bと、接続面部25bとともに角部分を形成する主面部25aの登り面側の部分と、筒状芯部24の周壁部分とにより、略三角柱状の中空部26aが形成されている。また、反登り面側においては、反登り面側の接続面部25cと、接続面部25cとともに角部分を形成する主面部25aの反登り面側の部分と、筒状芯部24の周壁部分とにより、略三角柱状の中空部26bが形成されている。
筒状芯部24に対して上下に位置する各踏面形成部25により形成される両側の踏面25sのうち、一方の踏面25sは、脚立1が脚立として使用される場合に上側に位置して踏面25sとして機能する。また、他方の踏面25sは、脚立1が梯子として使用される場合に梯子の向きによって逆さ状態(一対の支柱3間の間隔が相対的に広い側を上側とした状態)となった梯子体2において上側に位置して踏面25sとして機能する。
以上のように、筒状芯部24と踏面形成部25とを備える構成において、踏面形成部25は、筒状芯部24の外周側において踏面25sを形成する部分であって、筒軸方向視で、筒状芯部24に対して外側に張り出す張出部を構成する。すなわち、踏面形成部25は、筒状芯部24に対して外側に張り出すことで、踏桟4の両端部において筒状突出部23に対する段差部を形成し、その段差面を、踏桟4の軸方向に垂直な第1挟持面21とする。なお、踏面形成部25の形状は、本実施形態に限定されるものではなく、筒状芯部24の外周側において踏面25sを形成する所定の形状部分であればよい。したがって、踏面形成部25は、例えば、本実施形態のように中空部を形成する部分ではなく、踏面を形成する板状の部分等であってもよい。
また、支柱3の挿通孔16を貫通した状態で踏桟4が架設される構成において、挿通孔16および踏桟4は、踏桟4の支柱3に対する相対的な回転が規制される形状を有する。上述したように、踏桟4は、支柱3に固定された状態において、踏桟部材4Aの筒状突出部23の基端部により形成される筒状部15bを、側壁部11の挿通孔16内に位置させる。筒状突出部23は、上記のとおり全体として同一の形状・寸法の横断面形状をなし、この筒状突出部23の基端部である筒状部15bは、挿通孔16に挿嵌された状態となる。すなわち、挿通孔16の孔形状と、筒状部15bの横断面形状、つまり踏桟部材4Aでの筒状突出部23の横断面形状の外形とは、略同一の形状・寸法となっている。
そこで、互いに略同一の形状・寸法である挿通孔16の孔形状と筒状突出部23の横断面形状、つまり筒状突出部23の挿通孔16に対する挿嵌形状が、踏桟4の支柱3に対する相対回転を規制する形状となっている。本実施形態では、このような挿嵌形状として、円周形状において互いに対向する位置に互いに平行な一対の直線部が形成された形状が採用されている(図8参照)。
したがって、挿通孔16は、略円形状の孔形をなす内周部において、互いに対向する位置に互いに平行な一対の直線部16mを有する。また、鍔部15の筒状部15bは、その略円環状の外形において、互いに対向する位置に互いに平行な一対の直線部15mを有する。また、基端部を筒状部15bとする筒状突出部23は、略円筒状の外形をなす周壁部において、互いに対向する位置に互いに平行な一対の平面部23mを有する。平面部23mは、略円筒状の筒状突出部23において所定の二面幅を形成するフラットな面部である。本実施形態では、一対の直線部16m、一対の直線部15m、および一対の平面部23mは、互いの対向方向が側面視において上下方向に対して略直交する方向(図8における左右方向)となるように形成されている。
このように、本実施形態の踏桟固定構造において、筒状突出部23および挿通孔16は、踏桟4の支柱3に対する軸方向回りの相対回転が規制される挿嵌形状を有する。なお、筒状突出部23と挿通孔16の挿嵌形状としては、本実施形態に限定されることなく、踏桟4の支柱3に対する相対回転が規制される形状であればよい。かかる挿嵌形状としては、例えば、楕円形状、多角形形状、星型形状、歯車形状等、種々の形状を採用することができる。つまり、筒状突出部23と挿通孔16の挿嵌形状は、踏桟4の支柱3に対する相対回転を可能とする円周形状に対する異形形状であればよい。
次に、支柱3の傾斜部3bにおける踏桟固定構造について、図11から図15を加えて説明する。なお、図12は図11におけるF−F位置の一部断面拡大斜視図であり、図13は図11におけるG矢視図であり、図14は図13におけるH−H矢視断面図であり、図15は図14におけるJ−J矢視部分断面図である。また、支柱3の垂直部3aにおける踏桟固定構造と共通の内容については適宜説明を省略する。
傾斜部3bにおける踏桟固定構造において、踏桟4の形状は、垂直部3aにおける踏桟固定構造の場合と同じである。一方で、支柱3の傾斜部3bは、一対の支柱3間において下広がりの形状をなすように傾斜していることから、支柱3を構成する側壁部11のうち傾斜部3bを構成する部分である下部側壁部11bは、傾斜部3bの傾斜に沿って傾斜している。そこで、支柱3の傾斜部3bにおいては、垂直部3aにおける踏桟固定構造において上部側壁部11aに対応した形状の踏桟4に対応するため、上部側壁部11aと同様に踏桟4の軸方向(左右方向)に対して垂直な板状部分である垂直面部31が設けられている。
このように、本実施形態の踏桟固定構造においては、支柱3の傾斜部3bは、踏桟4の端部が固定される部分として、一対の支柱3間に横架された状態(架設状態)の踏桟4の軸方向に対して垂直な支持面を支柱3の内外両側に形成する垂直部としての垂直面部31を含む。すなわち、傾斜部3bにおける踏桟固定構造においては、垂直面部31が、垂直部3aにおける上部側壁部11aと同様に、踏桟4において本体部14により形成される第1挟持面21と、鍔部15により形成される第2挟持面22とによって圧接挟持される部分となる。したがって、垂直面部31は、踏桟4の左右両側の端部が貫通する挿通孔16が形成される部分となり、また、一対の支柱3間において、各支柱3の垂直面部31は、互いに平行な面部となる。
図11から図14に示すように、支柱3の傾斜部3bにおける踏桟固定構造において、踏桟4は、下部側壁部11bに固定される。下部側壁部11bは、左右方向に沿う踏桟4の軸方向(長手方向)に対して垂直な板状部分である垂直面部31を有し、この垂直面部31の左右方向の両側の板面を踏桟4の支持面とする。つまり、垂直面部31は、踏桟4の軸方向に対して垂直な支持面として、一対の支柱3間において内側(左右内側)の支持面となる内側支持面31xと、外側(左右外側)の支持面となる外側支持面31yとを有する。
垂直面部31は、下部側壁部11bにおいて、挿通孔16が形成される部分として、少なくとも第1挟持面21と第2挟持面22とにより挟持される部分を含む大きさを有するように設けられる。本実施形態では、垂直面部31は、踏桟4の軸方向視(側面視)で、鍔部15の鍔状本体部15aの全部を含む大きさを有し、支柱3の延設方向を長手方向とする略長方形状を有する。
垂直面部31は、下部側壁部11bにおいて、斜面部32を介して設けられている。つまり、斜面部32は、略長方形状の垂直面部31の外形に沿って周囲を囲む部分であり、下部側壁部11bの全体的な斜面形状部分に対して垂直面部31の段差を形成する部分である。斜面部32は、垂直面部31の上辺側においては、下部側壁部11bを左右方向の外側に膨出させるように上側から下側にかけて徐々に左右方向の内側から外側に傾く斜面部32aとなる。また、斜面部32は、垂直面部31の下辺側においては、下部側壁部11bを左右方向の内側に膨出させるように上側から下側にかけて徐々に左右方向の内側から外側に傾く斜面部32bとなる。
垂直面部31は、下部側壁部11bを構成する全体的な斜面形状部分において、踏桟4を支持する位置に対応する部分が、エンボス加工等の所定の加工によって、踏桟4の軸方向に対して垂直な面部となるように折り曲げられることにより、斜面部32とともに形成される。なお、垂直面部31および斜面部32を形成するための加工としては、踏桟部材4Aの筒状突出部23が貫通する挿通孔16を形成するための孔開け加工を同時に行うものであってもよい。
以上のように、支柱3の傾斜部3bにおいては、下部側壁部11bが垂直面部31を有することにより、踏桟固定構造において垂直面部31が支柱3の垂直部3aにおける上部側壁部11aと同様に踏桟4の本体部14と鍔部15とによって圧接挟持される部分となり、踏桟4の軸方向の端部が支柱3に固定支持される。すなわち、支柱3の傾斜部3bにおける踏桟固定構造においては、踏桟4の本体部14により形成される第1挟持面21は、垂直面部31の内側支持面31xに接触し、鍔部15により形成される第2挟持面22は、垂直面部31の外側支持面31yに接触し、垂直面部31が、互いに対向する第1挟持面21および第2挟持面22によって左右両側から挟まれた状態となる。
したがって、支柱3の傾斜部3bにおける踏桟固定構造においては、本体部14は、踏桟4の軸方向の両側の端面として、垂直面部31が有する支持面のうちの内側支持面31xに接触する第1挟持面21を形成する。また、鍔部15は、本体部14の第1挟持面21に対向するとともに垂直面部31が有する支持面のうちの外側支持面31yに接触する第2挟持面22を形成する。すなわち、鍔部15は、架設状態の踏桟4において、大部分を左右の側壁部11の外側、つまり垂直面部31の外側支持面31yよりも左右方向の外側に位置させる部分であり、外側支持面31yに対して第2挟持面22を接触させる。そして、鍔部15は、本体部14とともに側壁部11、具体的には下部側壁部11bの垂直面部31を圧接挟持する部分となる。
[踏桟の固定構造の製造方法]
続いて、本実施形態に係る踏桟固定構造の製造方法について、図16から図20を加えて説明する。本実施形態に係る踏桟固定構造の製造方法は、支柱3の垂直部3aおよび傾斜部3bのそれぞれで同様に行われるため、以下では、主に傾斜部3bの場合を例に説明する。
本実施形態に係る製造方法は、上述した踏桟固定構造、即ち縦部材である一対の支柱3と、一対の支柱3間に横架される踏桟4とを備え、踏桟4の端部を支柱3に固定させる構造の製造方法である。したがって、本実施形態に係る製造方法においては、まず、支柱3および踏桟部材4Aのそれぞれを準備する工程が行われる。
支柱3を準備する工程では、上述のとおり、垂直部3aおよび傾斜部3bを有し、踏桟4の端部が固定される部分として、内側支持面31xおよび外側支持面31yを有するとともに挿通孔16が形成された垂直面部31が設けられた支柱3が準備される。このような支柱3は、具体的には例えば次のようにして製造される。
まず、アルミニウムやアルミニウム合金を材料とする押出し成形により、側壁部11および一対の端壁部12からなる「コ」の字状の横断面形状をなす直線状の成形部品が製造される。次に、この断面「コ」の字状の押出し成形部品が、梯子体2を構成する部材として適当な所定の長さに切断される。
次に、所定の長さを有する押出し成形部品に対して、エンボス加工等の所定の押圧型を用いた加工を行うことにより、傾斜部3bの下部側壁部11bにおける踏桟4の固定部分が、部分的に屈曲成形され、斜面部32とともに垂直面部31が形成される。この垂直面部31を形成する工程では、挿通孔16を形成するための孔開け加工が同時に行われる。つまり、所定の押圧型を用いた加工において、垂直面部31を形成するための下部側壁部11bの屈曲成形と、下部側壁部11bの垂直面部31に対応する部分に挿通孔16を形成する孔開け加工とが同時に行われる。ただし、垂直面部31を形成する工程と、挿通孔16を形成する工程とは、別工程として行われてもよい。また、挿通孔16としては、上述したように、孔径方向に互いに対向する2箇所に直線部16mを有する孔部が形成される(図8、図15参照)。
そして、垂直面部31および挿通孔16が形成された直線状の押出し成形品が、曲げ加工により屈曲させられ、垂直部3aに対する傾斜部3bが形成される。なお、傾斜部3bを形成するための曲げ加工を行った後、垂直面部31および挿通孔16を形成する工程を行ってもよい。
このようにして、断面「コ」の字状であって、傾斜部3bを有するとともにこの傾斜部3bに挿通孔16が形成された垂直面部31が設けられた支柱3が製造され準備される。なお、支柱3の材料としては、アルミニウムやアルミニウム合金に限られるものではなく、他の金属材料や樹脂材料等であってもよいが、加工の容易さや軽量化等の観点からアルミニウムやアルミニウム合金が好適に用いられる。
踏桟部材4Aを準備する工程では、上述のとおり、軸方向の両側の端面として垂直面部31の内側支持面31xに接触する第1挟持面21を形成する本体部14と、第1挟持面21から筒状に突出した部分である筒状突出部23とを有し、一対の支柱3間に固定されることで踏桟4を構成する踏桟部材4Aが準備される。このような踏桟部材4Aは、具体的には例えば次のようにして製造される。
まず、アルミニウムやアルミニウム合金を材料とする押出し成形により、踏桟4の芯部分を構成する筒状の筒状芯部24と、筒状芯部24の周囲に対称的に形成される2つの踏面形成部25とを有する直線状の成形部品が製造される。すなわち、かかる押出し成形部品は、横断面形状で環状をなす中空状の筒状芯部24と、筒状芯部24の外側に設けられ、平面状の踏面25sを形成する踏面形成部25とを有する直線状の成形部品となる。また、踏面形成部25は、横断面形状で略三角形状に沿う形状をなす中空状の部分であり、横断面形状における一側の辺部を踏面25sを形成する主面部25aとする。このような押出し成形部品の横断面形状は、踏桟4の本体部14の横断面形状(図10(b)参照)と同じとなる。
次に、この押出し成形部品が、梯子体2を構成する部材として適当な所定の長さに切断される。ここで、押出し成形部品は、垂直部3aおよび傾斜部3bを有し傾斜部3bにおいて下広がりとなる一対の支柱3間の間隔に応じた長さに切断される。このようにして、まず、図16に示すように、筒状芯部24と、一対の踏面形成部25とを有する直線状の成形部品(以下「踏桟用成形部品」という。)4Bを準備する工程が行われる。踏桟用成形部品4Bは、長手方向(押出し方向)の全体について共通の横断面形状(図10(b)参照)をなす形状のものとなる。
続いて、踏桟用成形部品4Bの両端部における踏面形成部25の部分を除去することで筒状芯部24を露出させて筒状突出部23を形成する工程が行われる。すなわち、踏桟用成形部品4Bの長手方向の両端部において、筒状芯部24の周囲の踏面形成部25の部分が所定の切削加工等により切除され、筒状突出部23を形成する筒状芯部24の両端部が切り出される。具体的には、例えば、切削用の刃物が用いられ、刃物および踏桟用成形部品4Bのうちの一方が所定の型等により固定支持され、他方が回転させられることで、刃物および踏桟用成形部品4Bが相対的に回転しながらの回転切削により、踏桟用成形部品4Bの両端部における筒状芯部24の切り出しが行われる。
このような加工により、踏桟用成形部品4Bの両端部において、筒状突出部23が形成され、これとともに、踏面形成部25の切出しの端面として、本体部14の端面となる第1挟持面21が形成される。これにより、図9に示すような踏桟部材4Aが形成される。なお、最終的な踏桟固定構造の筒状部15bにおいて互いに対向する2箇所の直線部15mを形成する筒状突出部23の平面部23mについては、押出し成形における成形形状として筒状芯部24において平面部23mに対応する平面部24mを形成してもよく、また、踏桟用成形部品4Bの両端部にて切り出された後の筒状芯部24に所定の加工を施すことで、押出し成形とは別工程で平面部23mを形成してもよい。
このようにして、筒状芯部24および踏面形成部25を有するとともに筒状芯部24の軸方向の両端部によって形成された筒状突出部23を有し、筒状突出部23が突出する基端面となる第1挟持面21を有する踏桟部材4Aが製造され準備される。なお、踏桟用成形部品4Bの両端部において踏面形成部25を除去して筒状芯部24を露出させるための加工法は特に限定されない。また、踏桟部材4Aの材料としては、支柱3と同様に、他の金属材料や樹脂材料等であってもよいが、加工の容易さや軽量化等の観点からアルミニウムやアルミニウム合金が好適に用いられる。
以上のようにして支柱3および踏桟部材4Aが準備された後、筒状突出部23を挿通孔16に貫通させ、筒状突出部23を垂直面部31から軸方向(左右方向)の外側に突出させる工程が行われる。この工程では、図18(a)に示すように、左右の支柱3間に踏桟部材4Aを位置させ、踏桟部材4Aの両端側の筒状突出部23を支柱3の内側から垂直面部31に形成された挿通孔16に挿通させ、一対の支柱3および踏桟部材4Aを所定の支持状態にセットすることが行われる。このように一対の支柱3および踏桟部材4Aがセットされた状態においては、筒状突出部23の大部分が左右の支柱3の垂直面部31から外側に突出した状態となり、踏桟部材4Aの第1挟持面21は、垂直面部31の内側支持面31xに接触ないし略接触した状態となる。また、支柱3および踏桟部材4Aは、セットされた状態において、所定の型等により固定支持された状態となる。
そして、上述のとおりセットされた状態の一対の支柱3および踏桟部材4Aに対して、筒状突出部23の突出した部分を圧縮変形させて挟持部としての鍔部15を形成するとともに、踏桟部材4Aを支柱3に対してかしめ固定する工程が行われる。この工程では、図17および図18に示すように、踏桟部材4Aの両端側において支柱3の挿通孔16から突出した筒状突出部23を筒軸方向に沿って押圧する押圧型としての一対のポンチ40が用いられる。
ここで、本実施形態の踏桟固定構造の製造方法で用いられるポンチ40について、図17を用いて説明する。ポンチ40は、全体として略筒状の外形を有し、ポンチ40の押圧方向の先端側の部分を構成する挿入部41と、挿入部41に対する拡径部分である押圧部42と、ポンチ40の押圧部42よりも後端側の部分を構成する基端部43とを有する。挿入部41、押圧部42、および基端部43は、互いに同心軸状に設けられている。
挿入部41は、円筒状の外形を有する部分であり、支柱3および踏桟部材4Aに対する押圧成形の加工の過程で、踏桟部材4Aの筒状芯部24内(筒状突出部23内)に挿入される部分となる。つまり、ポンチ40は、その挿入部41を踏桟部材4Aの筒状芯部24内に挿入させる雄型として機能する。したがって、挿入部41は、筒状芯部24に対して挿嵌した状態となるように、筒状芯部24の内径の寸法と略同じ寸法の外径を有する。また、挿入部41は、押圧方向の先端部に、先端側にかけて徐々に縮径するテーパ部41aを有する。テーパ部41aにより、挿入部41の筒状芯部24に対する挿入がガイドされる。なお、筒状突出部23には、一対の平面部23mが形成されていることから、筒状突出部23内に挿入される挿入部41は、例えば、平面部23mを有する筒状突出部23の内周形状に対応する横断面形状を有してもよい。
押圧部42は、ポンチ40において、鍔状の部分を形成するように、径方向の外側に突出した円環状の板状部分である。つまり、押圧部42の一方の板面側から挿入部41が突出した態様となる。押圧部42の挿入部41が突出する側の円環状の板面が、筒状突出部23の開口端に接触して筒状突出部23に対して押圧作用する押圧面42aとなる。押圧面42aは、ポンチ40の筒軸方向(中心軸方向)に対して垂直な面である。
基端部43は、円筒状の外形を有する部分であり、押圧部42の押圧面42aと反対側の面から突出した態様をなす。本実施形態では、基端部43は、挿入部41の外径よりも小さい外径を有する。基端部43は、ポンチ40を、所定の成形機における可動部に対して取付板等を介して固定させる部分となる。つまり、ポンチ40は、所定の成形機において、基端部43の部分により可動部に支持固定され、筒軸方向(中心軸方向)に沿って往復移動するように設けられる。
以上のようなポンチ40が用いられ、筒状突出部23の圧縮変形による鍔部15の形成と、これにともなう踏桟部材4Aと支柱3とのかしめ固定を行う加工工程が行われる。かかる加工工程は、次のような工程といえる。すなわち、踏桟部材4Aの第1挟持面21を支柱3の垂直面部31の内側支持面31xに接触させた状態で、筒状突出部23の端面23aに接触する押圧面42aを有するポンチ40により、筒状突出部23をその第1挟持面21からの突出方向に対向する方向に押圧することで、第1挟持面21に対向するとともに垂直面部31の外側支持面31yに接触する第2挟持面22を形成する鍔部15を屈曲形成するとともに、鍔部15と本体部14とにより垂直面部31を圧接挟持する工程である。このようなポンチ40による加工工程について、詳細に説明する。
図17および図18(a)に示すように、ポンチ40は、上述のとおりセットされた状態の一対の支柱3および踏桟部材4Aに対して、左右両外側、つまり左右の支柱3から左右方向の外側に突出した筒状突出部23よりも左右外側に配置される。各ポンチ40は、テーパ部41a側を筒状突出部23の開口端に対向させる向きで、中心軸を踏桟部材4Aの(筒状芯部24の)中心軸の位置に一致させるように配置される。
このような配置状態から、図18(a)に示すように、各ポンチ40が筒状突出部23に近付くように、つまり両側のポンチ40が互いに近付くように、中心軸方向に沿って直線的に移動する(矢印F1参照)。なお、ポンチ40の中心軸方向に沿う移動の向きについては、筒状突出部23に近付く向き(矢印F1参照)、つまり筒状突出部23を中心軸方向に沿って押圧する向きを前向きとし、その反対を後向きとする。
ポンチ40の前向きの移動にともない、ポンチ40は、その挿入部41を先端側(テーパ部41a側)から筒状突出部23内に挿入させ、押圧部42の押圧面42aを筒状突出部23の端面23aに接触させる。かかる状態から、さらにポンチ40が前進することで(矢印F2参照)、筒状突出部23が屈曲変形させられる。
具体的には、図18(b)に示すように、筒状突出部23は、ポンチ40により押圧されることで、中心軸方向の略中央位置を屈曲位置として、中心軸方向に圧縮されるとともに、拡径するように、つまり径方向外側に折れ曲がるように変形する(矢印G1参照)。すなわち、筒状突出部23は、縦断面視において、中心軸方向の略中央位置を稜線部として、径方向の外側を頂部側とする山形状となるように屈曲変形する。したがって、図18(b)および図19(a)に示すように、ポンチ40による押圧変形の過程の筒状突出部23においては、上述のとおり縦断面視で径方向の外側を頂部側とする山形状をなす基端側斜面部23cと先端側斜面部23dが一時的に形成されることになる。
そして、さらなるポンチ40の前進にともなう押圧作用により、筒状突出部23が中心軸方向に圧縮されてかしめられ、基端側斜面部23cと先端側斜面部23dとが互いに折り重なった状態で支柱3の垂直面部31に圧接した状態となる。かかる状態では、左右内側の面である内側支持面31xを踏桟4の本体部14の第1挟持面21に圧接させた垂直面部31に対して、左右外側から基端側斜面部23cが圧接した状態となる。
すなわち、図18(c)および図19(b)に示すように、筒状突出部23の変形過程における基端側斜面部23cが、最終的に鍔部15において垂直面部31を挟持する第2挟持面22を形成する内側環状部15cとなり、基端側斜面部23cの左右外側に位置する先端側斜面部23dが、鍔部15の外側環状部15dとなる。このようにして、踏桟4の鍔部15が形成され、支柱3の垂直面部31が本体部14と鍔部15とにより圧接挟持された状態、つまり、本体部14および鍔部15を有する踏桟4が形成され、支柱3と踏桟4とが互いに固定された状態となる。
以上のような本実施形態の踏桟固定構造の製造方法は、支柱3の垂直部3aにおいても、傾斜部3bの場合と同様に行われる。具体的には、傾斜部3bの場合は、支柱3において踏桟4が固定される部分が垂直面部31である点が、垂直部3aの場合は、支柱3の上部側壁部11aにおける挿通孔16が形成された部分となる。支柱3の垂直部3aにおける踏桟固定構造の製造方法について、図19および図20を用いて、傾斜部3bの場合と共通する部分については適宜省略して説明する。
上述のとおり支柱3および踏桟部材4Aが準備された後、筒状突出部23を挿通孔16に貫通させ、筒状突出部23を上部側壁部11aから軸方向(左右方向)の外側に突出させる工程が行われる。この工程では、図20(a)に示すように、左右の支柱3間に踏桟部材4Aを位置させ、踏桟部材4Aの両端側の筒状突出部23を支柱3の内側から上部側壁部11aに形成された挿通孔16に挿通させ、一対の支柱3および踏桟部材4Aを所定の支持状態にセットすることが行われる。このように一対の支柱3および踏桟部材4Aがセットされた状態においては、筒状突出部23の大部分が左右の支柱3の上部側壁部11aから外側に突出した状態となり、踏桟部材4Aの第1挟持面21は、上部側壁部11aの内側支持面11xに接触ないし略接触した状態となる。
そして、ポンチ40が用いられ、筒状突出部23の圧縮変形による鍔部15の形成と、これにともなう踏桟部材4Aと支柱3とのかしめ固定を行う加工工程が行われる。すなわち、垂直部3aの場合、踏桟部材4Aの第1挟持面21を支柱3の上部側壁部11aの内側支持面11xに接触させた状態で、筒状突出部23の端面23aに接触する押圧面42aを有するポンチ40により、筒状突出部23をその第1挟持面21からの突出方向に対向する方向に押圧することで、第1挟持面21に対向するとともに上部側壁部11aの外側支持面11yに接触する第2挟持面22を形成する鍔部15を屈曲形成するとともに、鍔部15と本体部14とにより上部側壁部11a(の挿通孔16が形成された部分)を圧接挟持する工程が行われる。
図20(a)に示すように、上述のとおりセットされた状態の一対の支柱3および踏桟部材4Aに対して左右両外側にポンチ40が配置された状態から、ポンチ40が前向きに移動する(矢印H1参照)。ポンチ40は、その前進動作により、挿入部41を先端側(テーパ部41a側)から筒状突出部23内に挿入させ、押圧面42aを筒状突出部23の端面23aに接触させた後、筒状突出部23を押圧して屈曲変形させる(矢印H2、矢印J1参照)。
そして、図19(a)、図20(b)に示すように、ポンチ40による押圧変形の過程で筒状突出部23において基端側斜面部23cおよび先端側斜面部23dが一時的に形成され、最終的に、図19(b)、図20(c)に示すように、筒状突出部23が中心軸方向に圧縮されてかしめられ、基端側斜面部23cと先端側斜面部23dとが互いに折り重なった状態で支柱3の上部側壁部11aに圧接した状態となる。かかる状態では、左右内側の面である内側支持面11xを踏桟4の本体部14の第1挟持面21に圧接させた上部側壁部11aに対して、左右外側から基端側斜面部23cが圧接した状態となる。
すなわち、基端側斜面部23cが、最終的に鍔部15において上部側壁部11aを挟持する第2挟持面22を形成する内側環状部15cとなり、基端側斜面部23cの左右外側に位置する先端側斜面部23dが、鍔部15の外側環状部15dとなる。このようにして、踏桟4の鍔部15が形成され、支柱3の内側支持面11xが本体部14と鍔部15とにより圧接挟持された状態、つまり、本体部14および鍔部15を有する踏桟4が形成され、支柱3と踏桟4とが互いに固定された状態となる。
以上のようにして、支柱3の垂直部3aおよび傾斜部3bそれぞれにおいて本実施形態の踏桟固定構造が製造される。なお、本実施形態では、ポンチ40によるかしめ工程において、一対の支柱3および踏桟部材4Aに対して左右両側に位置する2つのポンチ40により左右同時に(左右対称的に)かしめ加工(押圧成形)が行われているが、左右が互いに異なるタイミングで、つまり左右片側ずつポンチ40によるかしめ加工が行われてもよい。
以上説明した本実施形態に係る踏桟固定構造およびその製造方法によれば、支柱3が踏桟4の軸方向に垂直な方向に対して傾斜した部分である傾斜部3bを備える構成において、簡単な構造により、踏桟4を支柱3に対して確実に固定することができ、生産性を向上させることができる。
本実施形態の脚立1において梯子体2を構成する一対の支柱3のように、下広がりとなるように傾斜部3bを有する構成においては、踏桟4の軸方向に対して垂直ではなく傾斜した面部となる下部側壁部11b自体を踏桟4の端部に形成される鍔状部分による挟持対象とする固定構造を実現することは困難となる。そこで、本実施形態に係る踏桟固定構造は、支柱3の傾斜部3bに、踏桟4の端部が固定される部分として、踏桟4の軸方向(長手方向)に対して垂直な支持面(内側支持面31xおよび外側支持面31y)を支柱3の内外両側に形成する垂直面部31を設ける一方、踏桟4を、内側支持面31xに接触する第1挟持面21を左右の端面として有する本体部14と、垂直面部31を介して本体部14の外側に設けられ第2挟持面22を形成する鍔部15とを含む構成とし、本体部14と鍔部15とにより垂直面部31を圧接挟持する構成を採用する。
このような構成により、踏桟の支柱に対する固定に関し、リベットやネジ等の固定部材や溶接・接着を用いた従来構造に対して、部品点数および製造過程における工数を少なくすることができ、簡単な構成を実現できるとともに、生産性を向上させることができる。また、支柱3側において踏桟4により挟持される板部分が踏桟4の軸方向に対して垂直な面部となることから、支柱3側の支持面と踏桟4側の挟持面とを全面的に均一に接触させることができ、踏桟4の第1挟持面21および第2挟持面22による支柱3の圧接挟持状態として、確実で安定した固定状態を得ることができる。結果として、脚立1を構成する梯子体2において高い安全性を得ることができる。
また、本実施形態に係る踏桟固定構造およびその製造方法は、支柱3において架設状態の踏桟4の軸方向に対して垂直な支持面を形成する部分である垂直部を踏桟4の挟持面による挟持の対象とするものであるため、支柱3において上記の垂直部に相当する部分を有する構成であれば、踏桟4側の構成に関して共通の構成を採用することができ、共通の製法を採用することができる。本実施形態においては、支柱3は、垂直部3aにおいては、垂直部に相当する上部側壁部11aを有し、傾斜部3bにおいては、垂直部である垂直面部31を有することから、梯子体2を構成する全ての踏桟4に対して同様の固定構造およびその製法を適用することができる。このように、本実施形態に係る踏桟固定構造およびその製造方法によれば、例えば本実施形態に係る梯子体2のように一対の支柱3が垂直部3aおよび傾斜部3bを有する構成において、ストレートな梯子部分であっても支柱3間の幅が変化する梯子部分であっても、踏桟の固定構造およびその製法について一つのパターンで対応することができるので、高い汎用性を得ることができる。
また、本実施形態に係る踏桟固定構造およびその製造方法によれば、踏桟4の支柱3に対する固定部分において、支柱3の左右外側に位置する鍔部15とともに支柱3の側壁部を挟持する部分として、従来技術のように支柱3の左右内側に位置する鍔状部分をあらかじめ形成する必要がない。このため、踏桟固定構造を構成するための踏桟部材4Aの成形工程を簡略化することができ、生産性の向上を図ることができる。
また、本実施形態の踏桟固定構造は、踏桟4の本体部14とともに垂直面部31あるいは上部側壁部11aを挟持する挟持部として、第1挟持面21から突出する筒状突出部23が挿通孔16を貫通した状態で圧縮変形させられることで形成された鍔部15を採用した構成を有する。このような構成によれば、本体部14とともに支柱3における垂直な面部を挟持する挟持部を、例えば上述したようなポンチ40による圧縮成形によって容易に形成することができるとともに、挟持部の形成にともなって本体部14と鍔部15とにより踏桟4を支柱3にかしめて固定することができるので、確実な固定状態を得ることができる。これにより、生産性の向上を図ることができながら、支柱3に対して踏桟4を確実に固定することができる。
また、本実施形態に係る踏桟固定構造の製造方法によれば、上記のとおり本体部14とともに支柱3における垂直な面部を挟持する挟持部をポンチ40による圧縮成形によって容易に形成することができることから、踏桟固定構造の製造工程の自動化を容易に実現することができる。
また、本実施形態の踏桟固定構造は、踏桟4について、横断面形状で環状をなし軸方向の両端部により筒状突出部23を形成する中空状の筒状芯部24と、筒状芯部24の外側に設けられ、平面状の踏面25sを形成する踏面形成部25とを有する構成を採用する。このような構成によれば、踏桟4において、支柱3の挿通孔16に挿入される部分の形状にとらわれることなく、高い自由度で踏面25sを設けることができる。
例えば、踏桟4が、挿通孔16に挿入される部分の横断面形状を全体で共通の横断面形状とする直線状の成形部品によって構成される場合、つまり本実施形態では筒状芯部24のみを有する構成である場合、踏面を大きくするためには、挿通孔16に挿入される部分を含めた踏桟部材の全体を大きくする必要があるため、挿通孔16の孔径を大きくする必要が生じる。しかし、挿通孔16の孔径を大きくすることは、支柱3の成形部品としての強度を低下させる原因となる。
そこで、上述したように踏桟4において筒状芯部24と踏面形成部25とを備える構成によれば、踏桟4において、支柱3の挿通孔16への挿入部分は、筒状芯部24の両端部により形成される筒状突出部23となるので、左右の筒状突出部23間に位置する部分であって筒状芯部24に対する張出し部分である踏面形成部25については、挿通孔16の形状にとらわれることなく、比較的高い自由度で設計することが可能となる。これにより、挿通孔16としては、筒状突出部23の大きさに対応した孔径のもので対応することができるので、挿通孔16を必要以上に大きくすることなく、十分に広い踏面25sを設けることができる。すなわち、挿通孔16の孔径の寸法に対して、踏面25sをある程度自由に広くすることが可能となるので、支柱3の強度を確保することができるとともに、脚立1の使用時における安定性・安全性を容易に向上することができる。
また、本実施形態の踏桟固定構造は、踏桟4について、筒状突出部23が、踏桟4(踏桟部材4A)の両端部における踏面形成部25の部分を除去して筒状芯部24を露出させることで形成されたものであるという構成を備える。この点、踏桟固定構造の製造方法において、踏桟部材4Aを準備する工程が、筒状芯部24と踏面形成部25とを有する直線状の成形部品を準備する工程と、この成形部品の両端部における踏面形成部25の部分を除去することで筒状芯部24を露出させて筒状突出部23を形成する工程とを有するという構成を備える。
このような構成によれば、踏桟部材4Aの両端部の踏面形成部25を切削加工等により切除することで、踏面形成部25を切除した端面、つまり筒状突出部23が突出する段差面となる第1挟持面21を、確実に踏桟4の軸方向に対して垂直な面とすることが可能となる。
この点、例えば、筒状突出部23を形成する手法として、押出し成形品の両端部に絞り加工による小径部を筒状突出部23として形成することも考えられるが、絞り加工の場合、加工部分である小径部と非加工部分である大径部との段差部分がテーパ状となりやすく、段差面を軸方向に対して垂直にすることが困難となる。挟持面となる段差面が垂直でない場合、垂直面部31等の支柱3の板状部分を圧接挟持することで踏桟4を支柱3に固定する構成において、十分な挟持作用が得られず、固定が不十分になることが考えられる。
そこで、本実施形態のように筒状芯部24と踏面形成部25とを有する構成において踏桟部材4Aの両端部における踏面形成部25を切除することで筒状突出部23を形成する手法によれば、筒状芯部24を切り出す切削加工によって段差面としての第1挟持面21を容易かつ確実に垂直な面とすることが可能となる。これにより、支柱3における支持面と踏桟4における挟持面とを確実に全面的に面接触させることができ、十分な挟持作用が得られ、確実な固定状態を得ることができる。
また、本実施形態の踏桟固定構造は、踏面形成部25について、横断面形状で略三角形状に沿う外形をなす中空状の部分であり、横断面形状における一側の辺部である主面部25aにより踏面25sを形成する構成を採用する。このような構成によれば、踏面25sについて、容易に広い面積を確保することができるとともに、筒状芯部24との関係で、踏桟4について高い強度を得ることが可能となり、しかも中空部によって軽量化を達成することができる。ただし、上述のとおり、踏面形成部25の形状は、特に限定されず、筒状芯部24の外周側において踏面25sを形成する所定の形状部分であればよい。
ここで、踏面形成部25の形状等に関し、踏桟4(踏桟部材4A)の他の構成例について、図21および図22を用いて説明する。図21および図22に示すように、この構成例において、上下略対称に設けられて平面状の踏面25sを形成する踏面形成部25Xは、筒状芯部24から延出する一対の延出板部25d,25eにより構成されている。
一対の延出板部25d,25eは、横断面形状において、略円環状の筒状芯部24に対して、筒状芯部24の外径よりも長い寸法の範囲で、筒状芯部24の端部から互いに反対方向に接線に沿うように直線状に延出されている。一対の延出板部25d,25eは、筒状芯部24の端部において互いに所定の間隔を隔てた位置から延出している。一対の延出板部25d,25eは、踏桟4の本体部14において共通の横断面形状をなすように、踏桟4の長手方向に沿う帯板状の部分として設けられている。
上下の踏面形成部25Xそれぞれにおいて一対の延出板部25d,25eにより形成される踏面25sは、上述した踏面形成部25(図10(a)、(b)参照)の場合と同様に、所定の向きに傾斜している。すなわち、一対の踏面形成部25Xが上下対称に設けられた構成において、上下の踏面形成部25Xにおいて一対の延出板部25d,25eにより形成される一体的な板状部分間の間隔は、梯子体2の登り面側(図21(a)、(b)において右側)が狭く、反登り面側(同図において左側)が広くなっている。
また、踏面形成部25Xを構成する延出板部25d,25eのそれぞれにおいて、筒状芯部24からの突出側の端部には、横断面形状で直線状となる各延出板部25d,25eの本体部分に対して略円形状に膨らんだ形態をなす滑り止め部25fが設けられている。滑り止め部25fは、延出板部25d,25eのそれぞれにおいて、筒状芯部24からの突出側の縁部に、踏桟4の長手方向に沿う直線状の部分として設けられている。
さらに、この構成例においては、筒状芯部24の外周側に、補強用の突条部24aが設けられている。突条部24aは、横断面形状で筒状芯部24の外周面から略半円状に突出する部分であって、踏桟4の長手方向に沿う直線状の部分として設けられている。図21(a)、(b)に示す例では、互いの間の間隔が比較的広い方の上下の延出板部25d間には、延出板部25dの筒状芯部24に対する基部25gとの関係において、筒状芯部24の周方向に略等間隔を隔てて4箇所の突条部24aが設けられている。また、互いの間の間隔が比較的狭い方の上下の延出板部25e間には、延出板部25eの筒状芯部24に対する基部25gとの関係において、筒状芯部24の周方向に略等間隔を隔てて2箇所の突条部24aが設けられている。なお、各延出板部25d,25eの基部25gは、横断面形状で直線状となる各延出板部25d,25eの本体部分に対して幅広の土台状の形態をなす部分である。
このような構成例において、踏面形成部25Xは、筒軸方向視で、筒状芯部24に対して外側に張り出す張出部を構成する部分であり、踏桟4の両端部において筒状突出部23に対する段差部を形成し、その段差面を、踏桟4の軸方向に垂直な第1挟持面21とする。この構成例によれば、踏面形成部25が横断面形状で略三角形状に沿う外形をなす中空状の部分として設けられる構成(図10(a)、(b)参照)との比較において、踏面形成部25Xの形状がシンプルになることから、軽量化を図ることができるとともに、突条部24aによって踏桟4の強度を確保することができる。
また、本実施形態の踏桟固定構造は、筒状突出部23および挿通孔16の挿嵌形状として、相対的な回転が規制される形状を有する構成を採用する。このような構成によれば、一対の支柱3間における踏桟4の固定状態において、踏桟4が回転することを簡単な構造により確実に防止することが可能となる。これにより、踏面形成部25により形成される踏面25sの位置を確実に所定の位置に保持することができるので、脚立1の製造時における踏面25sの位置決め性を向上することができるとともに、脚立1の使用時における安定性・安全性を向上することができる。ただし、上述のとおり、筒状突出部23および挿通孔16の挿嵌形状は特に限定されない。
ここで、筒状突出部23および挿通孔16の挿嵌形状の他の構成例について、図23を用いて説明する。図23(a)に示す例では、横断面視で円周形状において直線状となる部分が、登り面側(図における右側)のみに設けられている。つまり、図23(a)に示す例では、挿通孔16は、略円形状の孔形をなす内周部において、登り面側の位置に直線部16mを有し、筒状部15bは、その略円環状の外形において、登り面側となる所定の位置に直線部15mを有する。なお、この構成の場合も、筒状突出部23において、直線部15mに対応する位置に平面部23mが形成される。また、図23では、踏面25sを形成する部分として、上述したように延出板部25d,25eからなる踏面形成部25Xを有する構成を例示している。
図23(b)に示す例では、登り面側(図における右側)のみに設けられている直線部、つまり挿通孔16の直線部16mおよび筒状部15bの直線部15mが、横断面形状において直線に沿う踏面25sに対して垂直な方向に沿うように設けられている。なお、図23(a)、(b)においては、挿嵌形状における直線部を登り面側のみに設けた構成を示しているが、同様の直線部を反登り面側(図における左側)のみに設けた構成であってもよい。
また、図23(c)に示す例では、筒状突出部23および挿通孔16の挿嵌形状として、円周形状において互いに対向する位置に互いに平行な一対の直線部が形成された形状であって、その直線部が、横断面形状において直線に沿う踏面25sに対して垂直な方向に沿うように設けられた形状を有する。すなわち、図23(c)に示す例では、挿通孔16の一対の直線部16mおよび筒状部15bの一対の直線部15mが、いずれも横断面形状において直線に沿う踏面25sに対して垂直な方向に沿うように設けられている。なお、これらの構成の場合も、筒状突出部23において、直線部15mに対応する位置に平面部23mが形成される。
以上のような筒状突出部23および挿通孔16の挿嵌形状によっても、一対の支柱3間における踏桟4の固定状態において、踏桟4が回転することを簡単な構造により確実に防止することが可能となり、踏面形成部25の踏面25sの位置を確実に所定の位置に保持することができるので、脚立1の製造時における踏面25sの位置決め性の向上、および脚立1の使用時における安定性・安全性の向上を図ることができる。
以上説明した本実施形態の踏桟固定構造およびその製造方法においては、脚立1の梯子体2を構成する支柱3が、垂直部3aおよび傾斜部3bを有し、部分的に傾斜部3bを有する構成のものであるが、踏桟4を架設させる支柱3としては、全体的に踏桟4の軸方向に垂直な方向に対して傾斜したもの、つまり梯子体2の全体的に下広がりの構成とするものであってもよい。すなわち、支柱3としては、踏桟4の軸方向に垂直な方向に対して傾斜した傾斜部を少なくとも一部に有する構成のものであればよい。
また、本実施形態に係る支柱3は、側壁部11および端壁部12により「コ」の字状の横断面形状を有し、その「コ」の字状の開放側を左右外側に向けた構成のものであるが、支柱3としては、「コ」の字状の横断面形状の開放側を左右内側に向けた構成のものであってもよい。この場合、継手金具6は、例えば、固定部6aを、支柱3の側壁部11の外側(左右方向の外側)の面、つまり支柱3の横断面形状の「コ」の字状における開放側と反対側の面に沿わせた状態で、複数のリベット等の固定部材により支柱3に固定される。
また、本実施形態に係る脚立1は、梯子体2において複数の(6本の)踏桟4を有する構成であるが、踏桟4は単数であってもよい。また、本実施形態では、支柱3において、第1挟持面21および第2挟持面22に接触する支持面を形成する部分(上部側壁部11aおよび垂直面部31)は、板状の部分であるが、踏桟4の軸方向に対して垂直な支持面を形成する部分であれば、その形状は特に限定されるものではない。
また、本実施形態に係る支柱3は、その傾斜部3bにおいて第1挟持面21および第2挟持面22による挟持部分となる垂直部を、成形部品の一部である垂直面部31として有するが、この挟持部分となる垂直部は、支柱3を構成する成形部品とは別部品により構成されてもよい。つまり、例えば、垂直面部31に相当するような垂直な板状部分を有する部品を、成形部品としての支柱3の本体とは別体の部品として用意し、この部品を支柱3の本体に固定することで、傾斜部3bにおける垂直部を構成してもよい。このような構成の一例について、本発明に係る踏桟固定構造の別実施形態として、図24および図25を用いて説明する。なお、上述した実施形態と共通する部分については同一の符号を用いる。
図24および図25に示すように、本実施形態の踏桟固定構造においては、支柱3の傾斜部3bの左右内側に、上部側壁部11aや垂直面部31と同様に踏桟4の軸方向に対して垂直な板状部分(垂直部)を構成する取付金50が取り付けられている。つまり、取付金50は、成形部品としての支柱3の本体とは別体の部品であり、支柱3の本体に固定されることで、垂直部を構成する。このように、本実施形態の踏桟固定構造においては、踏桟4は、左右の支柱3に対して取付金50を介して固定されている。
取付金50は、支柱3の傾斜部3bの下部側壁部11bにおいて、一対の支柱3間における内側(左右内側)の面を取付面11cとして、支柱3の本体に取り付けられる。取付金50は、踏桟4の端部が固定される部分として、架設状態の踏桟4の軸方向に対して垂直な支持面を形成する垂直部としての垂直面部51を含む。すなわち、本実施形態の踏桟固定構造においては、垂直面部51が、上述した実施形態における上部側壁部11aや垂直面部31と同様に、踏桟4において本体部14により形成される第1挟持面21と、鍔部15により形成される第2挟持面22とによって圧接挟持される部分となる。したがって、垂直面部51は、踏桟4の左右両側の端部が貫通する挿通孔56が形成される部分となり、また、一対の支柱3間において、各支柱3に取り付けられた取付金50の垂直面部51は、互いに平行な面部となる。
具体的には、取付金50は、箱状ないし碗状に形成された本体部52と、本体部52の開口縁部の周囲に形成された鍔状のフランジ部53とを有する。かかる取付金50においては、本体部52の底板部に相当する部分により、垂直面部51が形成される。
取付金50は、例えば板状の金属部材をエンボス加工等のプレス加工によって成形した部品である。取付金50を形成するための加工については、取付金50が有する本体部52およびフランジ部53等の各部を形成するためのプレス加工等において、踏桟部材4Aの筒状突出部23が貫通する挿通孔56を形成するための孔開け加工を同時に行うものであってもよい。
取付金50は、支柱3の下部側壁部11bの取付面11cに固定されることで、下部側壁部11bの左右内側において、垂直面部51を形成する。図24に示すように、取付金50は、正面断面視において、垂直面部51を形成する本体部52により、支柱3側の下部側壁部11bとともに、下部側壁部11bを斜辺部とする略直角三角形状をなす。すなわち、取付金50は、本体部52の深さに関し、下部側壁部11bに固定された状態において、上側の方が浅く下側の方が深くなるような形状を有し、垂直面部51と垂直面部51の下端部から略垂直状に形成された本体部52の下側の側面部52aとにより、下部側壁部11bとともに略直角三角形状をなす。このため、本体部52の上側の側面部52bは、本体部52の深さ方向(図24において左右方向)の寸法を下側の側面部52aよりも短くする。
フランジ部53は、取付金50が踏桟4の軸方向に垂直な方向に対して傾斜している下部側壁部11bに固定された状態で本体部52の底部によって踏桟4の軸方向に垂直な垂直面部51が形成されるように、下部側壁部11bの傾斜に沿うように形成されている。つまり、フランジ部53は、垂直面部51と下部側壁部11bとの関係にならって、下部側壁部11bの傾斜に沿うように形成された鍔状の板状部分であり、取付金50は、フランジ部53の本体部52が突出する側と反対側の板面53aを、下部側壁部11bの取付面11cに対して全面的に接触させた状態で、下部側壁部11bに取り付けられる。
取付金50は、下部側壁部11bに重なるフランジ部53の部分により、下部側壁部11bに固定される。具体的には、例えば、図24および図25に示すように、下部側壁部11bとフランジ部53とが互いに重なる部分において、下部側壁部11bおよびフランジ部53のそれぞれに形成された固定用孔11d、53dが用いられ、リベット55により取付金50が下部側壁部11bに固定される。リベット55による固定部は、適宜複数箇所に設けられる。なお、取付金50を下部側壁部11bに固定するための固定部材としては、リベット55に限らず、ビス、ボルト・ナット等が適宜採用される。また、取付金50の下部側壁部11bに対する固定については、溶接・接着等が用いられてもよい。
このような構成において、取付金50により形成される垂直面部51の左右方向の両側の板面が、踏桟4の支持面となる。つまり、垂直面部51は、踏桟4の軸方向に対して垂直な支持面として、一対の支柱3間において内側の支持面となる内側支持面51xと、外側の支持面となる外側支持面51yとを有する。
垂直面部51は、挿通孔56が形成される部分として、垂直面部31と同様に、少なくとも第1挟持面21と第2挟持面22とにより挟持される部分を含む大きさを有するように設けられる。なお、挿通孔56は、上述した実施形態において垂直面部31に形成された挿通孔16と同様に、筒状突出部23との関係において、踏桟4の支柱3に対する軸方向回りの相対回転が規制される挿嵌形状を有する。
以上のように、本実施形態の踏桟固定構造は、支柱3の傾斜部3bにおいて下部側壁部11bに取り付けられる取付金50により形成される垂直面部51を有し、垂直面部51が上述した実施形態における垂直面部31と同様に踏桟4の本体部14と鍔部15とによって圧接挟持される部分となり、踏桟4の軸方向の端部が取付金50を介して支柱3に固定支持される。すなわち、本実施形態の踏桟固定構造においては、踏桟4の本体部14により形成される第1挟持面21は、垂直面部51の内側支持面51xに接触し、鍔部15により形成される第2挟持面22は、垂直面部51の外側支持面51yに接触し、垂直面部51が、互いに対向する第1挟持面21および第2挟持面22によって左右両側から挟まれた状態となる。
したがって、本実施形態の踏桟固定構造においては、本体部14は、踏桟4の軸方向の両側の端面として、垂直面部51が有する支持面のうちの内側支持面51xに接触する第1挟持面21を形成する。また、鍔部15は、本体部14の第1挟持面21に対向するとともに垂直面部51が有する支持面のうちの外側支持面51yに接触する第2挟持面22を形成する。すなわち、本実施形態において、鍔部15は、架設状態の踏桟4において、大部分を垂直面部51の左右外側、つまり垂直面部51の外側支持面51yよりも左右方向の外側に位置させる部分であり、外側支持面51yに対して第2挟持面22を接触させる。
本実施形態では、鍔部15の大部分は、取付金50の本体部52内に位置することになる。つまり、取付金50を介して踏桟4が支柱3に固定された状態において、鍔部15の大部分は、取付金50と下部側壁部11bとにより形成された閉空間50a内に位置することになる。
本実施形態の踏桟固定構造の製造方法としては、上述したような支柱3および踏桟部材4Aを準備する工程に加え、取付金50を準備する工程が行われる。そして、上述した実施形態と同様の工程により、踏桟部材4Aの両端部に取付金50が固定された後、左右の取付金50がそれぞれ支柱3の下部側壁部11bに固定されることで、踏桟4が構成される。
すなわち、まず、踏桟部材4Aの筒状突出部23を取付金50の挿通孔56に貫通させ、筒状突出部23を垂直面部51から軸方向(左右方向)の外側に突出させる工程が行われる。
次に、上述したようなポンチ40が用いられ、筒状突出部23の圧縮変形による鍔部15の形成と、これにともなう踏桟部材4Aと支柱3とのかしめ固定を行う加工工程が行われる。かかる加工工程は、踏桟部材4Aの第1挟持面21を取付金50の垂直面部51の内側支持面51xに接触させた状態で、筒状突出部23の端面23aに接触する押圧面42aを有するポンチ40により、筒状突出部23をその第1挟持面21からの突出方向に対向する方向に押圧することで、第1挟持面21に対向するとともに垂直面部51の外側支持面51yに接触する第2挟持面22を形成する鍔部15を屈曲形成するとともに、鍔部15と本体部14とにより垂直面部51を圧接挟持する工程である。
そして、踏桟4の軸方向の両端に固定された取付金50が、リベット55によって支柱3の下部側壁部11bに固定される。以上のようにして、踏桟4の端部が取付金50を介して支柱3に固定される。
以上のように、踏桟固定構造としては、支柱3の本体とは別体の部品である取付金50のような取付部材により、第1挟持面21と第2挟持面22により圧接挟持される垂直部を構成するものであってもよい。本実施形態の踏桟固定構造によれば、上述した実施形態の場合と同様の作用・効果が得られることに加えて、次のような作用・効果が得られる。
本実施形態の踏桟固定構造によれば、一対の支柱3間に複数の踏桟4が架設された構成において、一対の支柱3間における他の踏桟4の固定状態を維持したまま、各踏桟4の支柱3に対する取付け・取外しを独立して行うことが可能となる。すなわち、本実施形態の踏桟固定構造においては、各踏桟4は、取付金50を介して支柱3に固定されていることから、取付金50を支柱3から取り外すことで、踏桟4を支柱3から取り外すことができ、また、取付けについても同様に行うことができる。したがって、例えば、1本の踏桟4が変形したり破損したりした場合に、その踏桟4のみを簡単に交換することが可能となる。このように、本実施形態の踏桟固定構造によれば、各踏桟4の独立した交換が可能となるので、脚立1としての耐久性を向上させることができ、また、脚立1の使用現場における用途や顧客ニーズに対して幅広く対応することが可能となる。
なお、踏桟4と支柱3の本体との間に介在して第1挟持面21と第2挟持面22により圧接挟持される垂直部を構成する取付部材については、上述したような取付金50に限定されることなく、種々の形状や材料を採用することができる。取付部材としては、取付金50のように下部側壁部11bとともに閉空間50aを形成するような形状の部品ではなく、例えば、図24に示すような正面断面視であらわれる垂直面部51およびフランジ部53に相当する形状部分を有するように単に板状の部材が屈曲形成された部品であってもよい。また、取付部材としては、例えば、取付金50のような金属製の部品に限らず、樹脂製の部品であってもよい。また、取付金50を製造するための加工法についても、プレス加工に限らず、射出成形等であってもよい。