JP2020171201A - 低糖質パスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】喫食時(茹で後)の糖質が、一般的な茹でスパゲッティよりも低減され、独特の粉っぽさが低減された食感を有し、かつ、乾パスタの標準的な茹で時間で調理できる低糖質パスタを提供することを課題とする。【解決手段】穀粉、難消化性澱粉、普通小麦由来のバイタルグルテン及びアルギン酸エステルからなる粉原料を使用した乾パスタであって、粉原料100質量部に対し、難消化性澱粉の配合量(A)が5〜60質量部、普通小麦由来のバイタルグルテンの配合量(B)が6〜23質量部及びアルギン酸エステルの配合量(C)が0.1〜1質量部であり、残部が穀粉であり、穀粉はデュラムセモリナ、デュラム小麦粉及び強力小麦粉からなる群から選択される1種以上を少なくとも含み、難消化性澱粉の配合量(A)と普通小麦由来のバイタルグルテンの配合量(B)が下記の式(I) (B)≧(A)×0.2(II) (B)≧(A)×(−0.67)+26の両方を満たす乾パスタによって上記課題は解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、低糖質パスタに関する。
近年、生活習慣病(肥満・脂肪肝・糖尿病)などの予防のため、低糖質食品が市場に多く見られるようになっている。低糖質の度合い(以下、糖質オフ率%)としては、食品の種類により少ないもので糖質20%オフ程度〜最大100%オフ(糖質ゼロ)まで幅広くみられるが、糖質オフ率が高いほど商品価値としては望ましいと考えられる。
従来、乾パスタを含む麺類の低糖質化は、(1)乾麺中の糖質源を減らす(原料の小麦粉を糖質の少ない資材に置き換える)、(2)茹で歩留まり(麺生地の質量に対する茹で上げた後の麺の質量(%))を上げて水分を多く含ませる(茹で太りにする)、(3)それらの組み合わせによって行われることが多かった。また、同時に生地性や食感の改善のため植物性蛋白や加工澱粉、増粘剤を配合することが一般的に知られている。なお、難消化性澱粉とは、高度にリン酸架橋処理され、α化できない状態(それにより人体で消化できない状態)にした加工澱粉であり、食物繊維とも表現される場合がある。
難消化性澱粉を配合することにより低糖質化した乾パスタは茹でてもα化しづらいことから、食感・調理時間の面で通常の乾パスタ(デュラムセモリナ100%)の品質とは、(1)粉っぽさが強い、(2)茹で時間が長くかかるという面で異なっている。茹で歩留まりを上げて水分を多く含ませる場合は、さらに茹で時間を長くする必要があることが問題となる。
なお、ここでいう粉っぽさとは、低糖質の麺類の特徴である茹で足りないような、噛み込んだ際にボソボソともろく、口の中に粉が広がっていくような好ましくない食感である。
難消化性澱粉を配合することにより低糖質化した麺類について、特許文献1では難消化性澱粉、加工澱粉、小麦蛋白、ポリグルタミン酸及び水を含む生地原料による生地を製麺することにより糖質の含有量を抑えつつも粘弾性と製麺性を向上させ、麺として良好な食感が得られることが開示されている。特許文献2には、難消化性澱粉と増粘多糖類を含む粉原料を生地とし、製麺した後にα化処理を施し、さらにカルシウムイオンを付与する製麺方法により得られた低糖質麺は、粘弾性のある良好な食感を有し、麺線の解れが良好で茹で溶けが非常に少ないことが開示されている。特許文献3には、難消化性澱粉、小麦蛋白及び増粘多糖類を10〜100重量%の割合で含有する低糖質麺用ミックス粉により、所望の食感(硬さ、粘弾性)を有するカロリーをコントロールした低糖質麺類(生麺、茹で麺、蒸麺及び冷凍麺)が得られることが開示されている。
しかしながら、低糖質乾パスタに特有な、粉っぽい食感についての改善効果や、茹で時間の短縮効果については報告がない。
特開2018−038316号公報 特開2017−012114号公報 特開2016−002000号公報 特開平10−313804号公報
本発明は、喫食時(茹で後)の糖質が、一般的な茹でパスタよりも低減され、独特の粉っぽさが低減された食感を有し、かつ、乾パスタの標準的な茹で時間で調理できる乾パスタを提供することを課題とする。なおここでいう粉っぽさとは、低糖質の麺類の特徴である茹で足りないような、噛み込んだ際にボソボソともろく、口の中に粉が広がっていくような好ましくない食感である。乾パスタは生パスタに比べ茹で麺に芯が残るためこのような好ましくない食感を感じやすい。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、穀粉、難消化性澱粉、普通小麦由来のバイタルグルテン及びアルギン酸エステルからなる粉原料を使用した乾パスタであって、粉原料100質量部に対し、難消化性澱粉の配合量(A)が5〜60質量部、普通小麦由来のバイタルグルテンの配合量(B)が6〜23質量部及びアルギン酸エステルの配合量(C)が0.1〜1質量部であり、残部が穀粉であり、穀粉はデュラムセモリナ、デュラム小麦粉及び強力小麦粉からなる群から選択される1種以上であり、
難消化性澱粉の配合量(A)と普通小麦由来のバイタルグルテンの配合量(B)が下記の式
(I) (B)≧(A)×0.2
(II) (B)≧(A)×(−0.67)+26
の両方を満たす乾パスタによって、喫食時(茹で後)の糖質が、一般的な茹でパスタよりも低減され、独特の粉っぽさが低減された食感を有し、かつ、乾パスタの標準的な茹で時間で調理できる低糖質パスタを提供することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]穀粉、難消化性澱粉、普通小麦由来のバイタルグルテン及びアルギン酸エステルからなる粉原料を使用した乾パスタであって、
粉原料100質量部に対し、難消化性澱粉の配合量(A)が5〜60質量部、普通小麦由来のバイタルグルテンの配合量(B)が6〜23質量部及びアルギン酸エステルの配合量(C)が0.1〜1質量部であり、残部が穀粉であり、穀粉はデュラムセモリナ、デュラム小麦粉及び強力小麦粉からなる群から選択される1種以上を少なくとも含み、
難消化性澱粉の配合量(A)と普通小麦由来のバイタルグルテンの配合量(B)が下記の式
(I) (B)≧(A)×0.2
(II) (B)≧(A)×(−0.67)+26
の両方を満たす、前記乾パスタ。
[2]ロングパスタである、前記[1]に記載の乾パスタ。
[3]ショートパスタである、前記[1]に記載の乾パスタ
[4]麺線の横断面がほぼ正円であり、かつその円の直径が1.2mm以下である、もしくは
麺線の横断面が直径1.5〜2.1mmのほぼ正円の主外形を有し、麺線方向に沿って等間隔に形成された3本の溝を有し、前記溝は前記麺線の横断面においてそれぞれ前記麺線の外周から中心に向かって垂直に形成されており、前記溝の深さは前記麺線の主外形を正円とした場合の半径の50〜70%であり、前記溝により、前記溝の前記麺線の主外形と接する部分の幅が前記麺線の主外形を正円とした場合の外周の15〜30%を占める、
前記[2]に記載の乾パスタ。
[5]麺の肉厚が0.5〜0.8mmである、前記[3]に記載の乾パスタ。
[6]前記[1]〜[5]に記載の乾パスタを、茹で歩留まり270〜350%になるまで茹でてなる低糖質パスタ。
本発明によれば低糖質パスタ独特の粉っぽさが低減された食感を有し、かつ、乾パスタの標準的な茹で時間で調理できる、喫食時(茹で後)の糖質が、一般的な茹でパスタよりも低減された低糖質パスタを提供することができる。ここでいう低糖質パスタとはデュラムセモリナ100%の原料で常法により製造した通常の茹でパスタに対して糖質を50質量%以上低減させた茹でパスタを言い、目安としては一般的な茹でスパゲティの糖質は日本食品成分表7訂によると100gあたり糖質30.3gであるので、茹でパスタ100g当り糖質15.15g以下とすることをいう。
本発明の低糖質パスタは、茹で調理後の老化が遅いため、特に、チルド保管後に冷たいまま喫食するパスタサラダや冷製パスタに有用である。
製造例3(8)、(9)、(10)の乾燥ロングパスタの麺線の横断面図である。 製造例3(11)の乾燥ショートパスタの横断面図である。 製造例3(12)、(16)の乾燥ショートパスタの横断面図である。
本発明の乾パスタは、穀粉、難消化性澱粉、普通小麦由来のバイタルグルテン及びアルギン酸エステルからなる粉原料を使用した乾パスタであって、粉原料100質量部に対し、難消化性澱粉の配合量(A)が5〜60質量部、普通小麦由来のバイタルグルテンの配合量(B)が6〜23質量部及びアルギン酸エステルの配合量(C)が0.1〜1質量部であり、残部が穀粉であり、
穀粉はデュラムセモリナ、デュラム小麦粉及び強力小麦粉からなる群から選択される1種以上であり、
難消化性澱粉の配合量(A)と普通小麦由来のバイタルグルテンの配合量(B)が下記の式
(I) (B)≧(A)×0.2
(II) (B)≧(A)×(−0.67)+26
の両方を満たす乾パスタである。
本発明において、「粉原料」とは乾パスタを製造するための粉状の原料をいい、穀粉、難消化性澱粉、普通小麦由来のバイタルグルテン及びアルギン酸エステルからなる。
本願発明において「穀粉」はデュラムセモリナ、デュラム小麦粉及び強力小麦粉からなる群から選択される1種以上を少なくとも含む。デュラムセモリナ、デュラム小麦粉または強力小麦粉の1種類を含んでも良く、2種又は3種の混合物を含んでいても良い。穀粉中のデュラムセモリナ、デュラム小麦粉及び強力小麦粉の合計量は好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、なお好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%である。好ましくは穀粉はデュラムセモリナからなる。
本発明において、「デュラムセモリナ」は、デュラム品種の硬質小麦を製粉して得られる、パスタ類の製造に使用する標準的な粉原料である。「セモリナ」とはデュラム小麦などの硬質小麦の製粉工程において得られる比較的粒度の粗い状態の胚乳の粉砕物を指し、一般に目開き約300μmの篩を抜けない程度の粗さのものをいう。
本発明において、「デュラム小麦粉」は、デュラム品種の硬質小麦を製粉して得られる、比較的粒度の細かい状態の胚乳の粉砕物を指し、一般に目開き約300μmの篩を抜ける程度の細かさのものをいう。
本発明において「強力小麦粉」は、硬質小麦を製粉して得られる小麦粉であって比較的高いタンパク質含有量のものを言う。強力小麦粉のタンパク質含有量は、目安として11.5〜13.0質量%程度であるがこれに限定されない。
本発明において「穀粉」はさらに全粒粉や小麦ふすまを含んでいても良い。
ここで全粒粉は小麦の表皮、胚芽、胚乳をすべて製粉したもの、小麦ふすまは小麦粒の表皮部分であり、全粒粉と小麦ふすまの原料とする小麦はデュラム品種であっても普通品種であっても良い。全粒粉は、粉原料の全量に対して20質量%以下の量で含むことができ、小麦ふすまは、粉原料の全量に対して5質量%以下の量で含むことができる。
「難消化性澱粉」とは、ヒトの胃及び小腸では消化されにくく、大腸に届く澱粉、および、澱粉分解物の総称である。
難消化性澱粉は以下に示すようにRS1〜RS4に分類されている。
RS1:雑穀のように、澱粉が物理的に硬い組織に囲まれていることで消化酵素が澱粉まで届かないタイプ(物理的に閉じ込められた澱粉)
RS2:十分に加熱されていない未糊化の澱粉、アミロースの極めて多い澱粉など、澱粉の粒子自体が消化されにくいタイプ(抵抗性澱粉粒)
RS3:澱粉を一度糊化(α化)した後、澱粉が再結晶して安定な構造(β化)をとるようになったタイプ(老化澱粉)
RS4:澱粉を高程度に化学修飾することで消化酵素が作用しにくくなったタイプ(変性澱粉)
本発明に用いる難消化性澱粉は、小麦澱粉、コーンスターチ、米澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉等の生澱粉類を物理的及び/又は化学的に加工して得られる上記RS3及び/又はRS4に分類される難消化性澱粉であって、消化酵素により消化されない難消化性成分(食物繊維)の含量が少なくとも70質量%以上含まれるものをいう。
RS3に分類される難消化性澱粉としては、例えば湿熱処理、パーボイル加工、プルラナーゼ処理により得られるものが挙げられ、このような加工処理は、RS2に分類されるハイアミロース澱粉に対して好適に適用される。また、RS4に分類される難消化性澱粉としては、化学修飾により、エステル化やエーテル化による架橋を施したものなどが挙げられる。好ましくは澱粉類をリン酸架橋して得られる難消化性澱粉であり、これは上記RS4に区分される難消化性澱粉であって、澱粉類を高度にリン酸架橋処理して消化酵素が極めて作用し難くなっているものをいう。
リン酸架橋処理された澱粉は、難消化性澱粉と易消化性である品質改良用加工澱粉に大別される。難消化性澱粉を評価するパラメーターには膨潤度、架橋度及び食物繊維含量(プロスキー法による)が使われる。架橋度が高くても食物繊維含量が極めて低いリン酸架橋澱粉もあるため、本願発明においては難消化性澱粉であるか否かは実質的に食物繊維含量で評価し、食物繊維含量が70質量%以上であるものを難消化性澱粉に分類する。なお、RS3及びRS4の難消化性澱粉の食物繊維含量は、プロスキー法、プロスキー変法、衛新第13号の酵素−HPLC法の何れによっても測定可能である。
難消化性澱粉は公知の方法で製造することができるが、市販されているものを使用することもできる。原料とする澱粉には特に限定がない。市販されているものの好適な例として小麦澱粉を原料としたファイバージムRW(松谷化学社製)、タピオカ澱粉を原料としたパインスターチRT(松谷化学社製)、甘藷澱粉を原料とした松谷さつま(松谷化学社製)等が挙げられ、これらの食物繊維含量は70質量%以上である。
本発明において、「普通小麦由来のバイタルグルテン」は、普通小麦由来の生のグルテンの活性を損なわないように乾燥し粉末状にしたグルテンであって、活性グルテンともいう。
一般にバイタルグルテンはいわゆる小麦蛋白濃縮物であり、小麦粉と水とを混捏し、グルテンが発達した粘弾性を有する生地を形成した後、生地中の澱粉等の可溶性成分を洗浄して除去し、小麦蛋白質の含有量を高めて粉末状にしたものである。
本発明において、普通小麦由来のバイタルグルテンは、常法により製造したものを用いても善く、また市販されるものを使用しても良い。
本発明の乾パスタにおいて、粉原料100質量部に対し、難消化性澱粉の配合量(A)が5〜60質量部、普通小麦由来のバイタルグルテンの配合量(B)が6〜23質量部及びアルギン酸エステルの配合量(C)が0.1〜1質量部であり、残部が穀粉であり、穀粉はデュラムセモリナ、デュラム小麦粉及び強力小麦粉からなる群から選択される1種以上であり、穀粉はさらに全粒粉及び/又はふすまを含んでいても良く
難消化性澱粉の配合量(A)と普通小麦由来のバイタルグルテンの配合量(B)が下記の式
(I) (B)≧(A)×0.2
(II) (B)≧(A)×(−0.67)+26
の両方を満たす。
本発明の乾パスタにおいて、難消化性澱粉の配合量(A)は粉原料100質量部に対し、好ましくは10〜60質量部、より好ましくは20〜55質量部である。60質量部を超えると生地の押し出し成型が困難であった。
本発明の乾パスタにおいて、普通小麦由来のバイタルグルテンの配合量(B)は粉原料100質量部に対し、好ましくは6〜20質量部、より好ましくは10〜17質量部である。23質量部を超えると生地の水和が不均一になり、通常の麺用ミキサーでは作製が困難となる。
本発明の乾パスタにおいて、アルギン酸エステルの配合量(C)は粉原料100質量部に対し、好ましくは0.1〜0.75質量部、より好ましくは0.1〜0.5質量部である。アルギン酸エステルは法律上の使用基準により、配合率を1.0質量部より多くすることはできない。
本発明の乾パスタは好ましくはロングパスタ又はショートパスタである。一般的な「ロングパスタ」は80〜300mmの長さのパスタであり、スパゲッティ、スパゲッティーニ、フェデリーニ、カペッリーニ、リングイーネ、ブカティーニなどが知られている。また「ショートパスタは」1〜79mmの長さのパスタであり、マカロニ、ペンネ、コンキリエ、ファルファッレ、フジッリなどが知られている。
本発明の乾パスタの形状は、好ましくは乾燥後の直径が1.2mm以下、さらに好ましくは直径が1.0mm以下になる形状であり、あるいは茹で時間を短縮するために公知技術である切り込み入り形状や肉薄な形状(デュラムセモリナ100%配合品において4分以内で茹で上げられる形状、望ましくは3分以内で茹で上げられる形状)である。
本発明において「ロングパスタ」の好ましい形状の1態様としては、麺線の横断面がほぼ正円であり、かつその円の直径が1.2mm以下である。
本発明において「ロングパスタ」の好ましい形状の他の態様としては、麺線の横断面が直径1.5〜2.1mmのほぼ正円の主外形を有し、麺線方向に沿って等間隔に形成された3本の溝を有し、前記溝は前記麺線の横断面においてそれぞれ前記麺線の外周から中心に向かって垂直に形成されており、前記溝の深さは前記麺線の主外形を正円とした場合の半径の50〜70%であり、前記溝により、前記溝の前記麺線の主外形と接する部分の幅が前記麺線の主外形を正円とした場合の外周の15〜30%を占める。
本発明において「ショートパスタ」は好ましくは麺の肉厚が0.5〜0.8mm、より好ましくは麺の肉厚が0.6〜0.7mmである。ショートパスタの形状はマカロニやペンネのような横断面がほぼ円形の管状のもの、コンキリエのような貝殻形、フジリのようならせん形、ファルファッレのような蝶形等が例として挙げられるが、特に限定されず、たとえば管状のショートパスタの場合、横断面が三角形や四角形等の非円形であっても良いし、管が直線的であっても曲がっていても良い。
ここで「ショートパスタ」として好ましい形状の1態様としては、麺線方向に沿って中空部が形成されると共に麺線の横断面がほぼ円形の外周壁部と外周壁部の内側に位置するほぼ円形の中空壁部とを有し、外周壁部と中空壁部に挟まれた径方向における肉厚が0.5〜0.8mm、より好ましくは外周壁部と中空壁部に挟まれた径方向における肉厚が0.6〜0.7mmであるものである。ここで「ほぼ円形」は全体として円形であれば良く、円周が波打ったような形状、例えば均等に6〜10回波打ったような形状であってもよい。
本発明の乾パスタは、上記所定量の穀粉、難消化性澱粉、普通小麦由来のバイタルグルテン及びアルギン酸エステルからなる粉原料を使用する以外は常法に従って製造することが出来る。例えば、粉原料に加水し混練して作製した生地を、真空ミキサーで脱気しつつ、成形機から高圧で押し出した後、切断し、調湿乾燥することにより製造することができる。
本発明の乾パスタの製造において、パスタの麺帯の調製、麺線の切り出しや麺線の押出しはパスタの種類に応じた常法により行うことができる。例えば、押出し式機械製麺などにより行うことができる。パスタの乾燥についても常法により行うことが出来、例えば湿度60〜80%、温度60〜75℃で水分量13%まで乾燥させることができる。
本発明の乾パスタの製造においては、パスタの種類などに応じて、上記粉原料の他に食塩、澱粉、鶏卵粉、酒精、乳化油脂、乳粉末、水等、通常パスタの製造に用いる副原料を使用することができる。
本発明は上記本発明乾パスタを、茹で歩留まり270〜350%になるまで茹でてなる低糖質パスタにも関する。なお本明細書において、茹で歩留まりとは麺生地の質量に対する茹で上げた後の麺の質量(%)を意味する。本発明の低糖質パスタは、茹で調理後の老化が遅いため、特に、チルド保管後に冷たいまま喫食するパスタサラダや冷製パスタに有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<製造例1 乾パスタ(直径1.7mmロングパスタ)の製造>
(1)表1に記載の組成の粉原料100質量部に対し水28質量部を加え、麺用ミキサーで10分間ミキシングして水和生地を得た。
(2)(1)で得た水和生地を真空ミキサーで約80kPaの真空度で脱気しつつ、マカロニ類成形機にてダイスから100bar前後で押出し、生パスタ麺線を得た。これを竿にかけ、乾燥機で水分13%以下まで調湿乾燥させ、直径1.7mmの乾パスタを得た。
<試験例1>
製造例1で得られた乾パスタを、茹で時間を変えて茹で歩留まりが270〜350質量%になるよう調理した。また、下記式1により製造例1の乾パスタの加水前の原料の糖質含量を求め、これを茹で歩留まりで除して茹で麺の糖質含有量を算出し、茹で麺100gあたりの糖質が15.15gより多い(糖質オフ率50%未満)の場合を「NG」とした(表1(A))。「NG」とならなかった試験区において食感(粉っぽさ、硬さ)を評価基準表Aに従い熟練パネラー10名で評価し(表1(B)、(C))、いずれかの食感に2点未満が付いたものは「NG」とし、それ以外の区域を「OK」とした(表1(D))。
(加水前の原料の糖質含量率及び糖質オフ率の計算)
加水前の原料の糖質含量率の理論式は下記式1で求め、茹で麺の糖質含量率の理論値は、それを茹で歩留まりで除して求めた。糖質オフ率の理論値は、下記式2で求めた(乾パスタは原料に加水・押し出し後に乾燥させて製造するため、乾パスタの糖質含量は原料の糖質と同等として設計を行った)。なお、糖質含量率及び糖質オフ率の理論値とは、各原料の規格書に記載の分析値に基づいて算出した。また、食物繊維総量の分析値が記載されていない場合には、全ての炭水化物を糖質とみなした。
式1:(「各原料の糖質含有率」×「各原料の配合質量部」)/「生地合計質量部」×100
式2:(「評価基準の糖質含量率」−「各比較例又は実施例の糖質含量率」)/「評価基準の糖質含量率」×100)
注:「評価基準の糖質含量率」は、日本食品成分表(7訂)の「マカロニ・スパゲッティ/ゆで」を参照し、「100gあたり30.3g」とした。
注:難消化性澱粉のうち、難消化性小麦澱粉はファイバージムRW(松谷化学社製)、難消化性タピオカ澱粉はパインスターチRT(松谷化学社製)を使用した。規格書に記載の栄養成分値(分析値)によると、難消化性小麦澱粉の100gあたりの炭水化物は87.7g、食物繊維総量は86.7g、糖質は1.0gであった。また、難消化性タピオカ澱粉の100gあたりの炭水化物は86.5g、食物繊維総量は83.5g、糖質は3.0gであった。
また、小麦粉はデュラムセモリナ(日本製粉社製、ジョーカーA)、バイタルグルテンはバイタルウィートグルテン(日本製粉社製)、アルギン酸エステルはネオソフトAL−31(太陽化学社製)を使用した。規格書に記載の栄養成分値によると、それぞれの100gあたりの糖質含有量(分析値において炭水化物量から食物繊維総量を差し引いた値を使用し、食物繊維総量の分析値が無い場合は炭水加物量をそのまま使用した)は、小麦粉は69.3g、バイタルグルテンは12.0g、アルギン酸エステルは17.1gであった。
評価基準表A

対照例1の通常のデュラムセモリナ100%パスタおよび、特開平10−313804の実施例6を参考にした対照例2(ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉に「ゆり(松谷化学工業)」を使用して製造し、「ゆり」の糖質量は規格書の栄養成分に従い100g中85.3gとした)については、食感を維持しつつ糖質オフ率を50%以上にするのは困難であった。
実施例1、2及び3と比較例1の結果から、バイタルグルテンの配合率を上げるほど高い茹で歩留まりでも良好な食感を維持できることが示された。なお粉原料100質量部に対するバイタルグルテンが23質量部より多くなると生地の水和が不均一になり、通常の麺用ミキサーでは作製が困難であった。
実施例2、10及び11と比較例8の結果から、アルギン酸エステルを配合することで粉っぽさと硬さの両方が良化する傾向がみられた(なおアルギン酸エステルは法律上の使用基準により、配合率を1.0質量%より多くすることはできない)。
実施例2及び9の結果から、難消化性澱粉は起源原料が異なっても同様の効果が得られることを確認した。
実施例1と比較例1、実施例4と比較例2、実施例5と比較例3の結果、またバイタルグルテンの配合率を上げるほど食感が良好となる結果から、本発明の設計における難消化性澱粉に対する小麦澱粉の比率に相関性が確認でき、原料小麦粉(デュラム小麦のセモリナ)100質量部のうち、難消化性澱粉の配合質量部(A)とバイタルグルテンの配合質量部(B)の比率は(B)≧(A)×0.2であった。
実施例1と比較例1、実施例6と比較例4、5、実施例7と比較例6、7の結果からも、本発明の設計における難消化性澱粉に対する小麦澱粉の比率に相関性が確認でき、最小二乗法で一次関数に近似することができた。バイタルグルテンの配合率を上げるほど食感が良好となる結果も含め、具体的には原料小麦粉(デュラム小麦のセモリナ)100質量部のうち、難消化性澱粉の配合質量部(A)とバイタルグルテンの配合質量部(B)の比率は(B)≧(A)×(−0.67)+26となった。
実施例7、3、8のように、難消化性澱粉の配合率を上げるほど糖質を下げる効果が出るものの、粉原料100質量部から置き換える難消化性澱粉が60質量部より多くなると(バイタルグルテンの配合率によらず)生地の押し出し成型が困難であった。
実施例2と比較例9、10より、アルギン酸エステル以外の増粘剤では食感改良効果は得られなかった。
「粉っぽさ」については基本的に茹で歩留まりの上昇とともに低減したものの、茹で歩留まりが高すぎると麺の構造が崩れやすくなるためか、逆に粉っぽさを感じる(噛んだ際にホロホロと崩れ粉のようになる)場合があった。
一方、糖質および食感の面で「OK」とした区域について、茹で上げるための茹で時間は最低でも20分を要し、難消化性澱粉及びバイタルグルテンの配合率が多いほど茹で時間がかかる傾向がみられた。
<製造例2 乾パスタ(直径0.9〜1.3mmロングパスタ)の製造>
(1)粉原料100質量部(小麦粉29.5量部、難消化性タピオカ澱粉50質量部、バイタルグルテン20質量部、アルギン酸エステル0.5質量部)に水28質量部を加え、麺用ミキサーで10分間ミキシングして水和生地を得た。
(2)(1)の水和生地を真空ミキサーで約80kPaの真空度で脱気しつつ、マカロニ類成形機にてダイスから100bar前後で押出し、生パスタ麺線を得た。これを竿にかけ、乾燥機で水分13%以下まで調湿乾燥させ、乾パスタを得た。なお、ダイスの穴径を替えることで直径が0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mmおよび1.3mmの乾パスタになるように調整した。
<試験例2>
製造例2で得られた乾パスタを、一般的な太さのパスタの茹で時間内である11分、あるいは極太麺に相当する16分での茹で歩留まりを確認するとともに、食感を評価基準表Aに従い熟練パネラー10名で評価し、いずれかの食感に2点未満が付いたものは「NG」とし、それ以外の区域を「OK」とした。結果を表2に示す。
表2
乾パスタの直径を1.2mm以下にすることで16分以内に、望ましくは直径を1.0mm以下にすることで標準的なデュラムセモリナ100%のパスタと同程度である11分以内に茹で上げられることを確認した。直径1.2mm以下のパスタ、特に直径1.0mm以下のパスタは一部の細径品としての用途に限定される(参考:内閣府令(食品表示基準)においても、棒状に成型されたマカロニ類について、太さが1.2mm以上の場合は「スパゲッティ」と表示できるが、1.2mm未満の場合は「バーミセリー」とするなど、別物として区別される)。そのため本技術をより一般的なパスタに応用できるよう、次項で茹で時間短縮の公知技術である切り込み入り形状を検討した。
<製造例3 断面が切り込み入り形状の乾燥ロングパスタおよび肉薄の乾燥ショートパスタの製造>
(1)原料粉100質量部(小麦粉64.9量部、難消化性タピオカ澱粉25質量部、バイタルグルテン10質量部、アルギン酸エステル0.1質量部)に水28質量部を加え、麺用ミキサーで10分間ミキシングして水和生地を得た。
(2)原料粉100質量部(小麦粉49.9量部、難消化性タピオカ澱粉35質量部、バイタルグルテン15質量部、アルギン酸エステル0.1質量部)に水28質量部を加え、麺用ミキサーで10分間ミキシングして水和生地を得た。
(3)原料粉100質量部(小麦粉49.9量部、難消化性小麦澱粉35質量部、バイタルグルテン15質量部、アルギン酸エステル0.1質量部)に水28質量部を加え、麺用ミキサーで10分間ミキシングして水和生地を得た。
(4)原料粉100質量部(小麦粉16.5量部、難消化性タピオカ澱粉60質量部、バイタルグルテン23質量部、アルギン酸エステル0.5質量部)に水28質量部を加え、麺用ミキサーで10分間ミキシングして水和生地を得た。
(5)原料粉100質量部(小麦粉59.7量部、難消化性タピオカ澱粉30質量部、バイタルグルテン10質量部、アルギン酸エステル0.3質量部)に水28質量部を加え、麺用ミキサーで10分間ミキシングして水和生地を得た。
(6)原料粉100質量部(小麦粉65量部、難消化性タピオカ澱粉25質量部、バイタルグルテン10質量部)に水28質量部を加え、麺用ミキサーで10分間ミキシングして水和生地を得た。
(7)原料粉100質量部(小麦粉16.5量部、難消化性タピオカ澱粉60質量部、バイタルグルテン23質量部、アルギン酸エステル0.5質量部)に水28質量部を加え、麺用ミキサーで10分間ミキシングして水和生地を得た。
(8)実施例16〜19として(1)〜(4)の水和生地を、比較例14として(6)の水和生地を、真空ミキサーで約80kPaの真空度で脱気しつつ、乾燥後の麺の断面形状が、次の形状になるようダイスから押し出し成型した。その形状とは、直径(a)が1.9mmのほぼ正円に対し、その中心(b)から放射状に等間隔の位置に、湾曲部の直径が0.3mmのアール(c)を成すU字型の同形状の切込みを3箇所入れ、その切り込みは湾曲部に向かって先細りした形状を有しており、最も太い部分(乾麺外周の円と接する部分)の幅(d)が乾麺の外周の1/15を占めるとともに、各切り込みの頂点3箇所を通る正円の直径(e)が0.7mmであり、切り込みにより残った槌型部分の鋭角部にそれぞれ直径0.1mmのアール(f)をつけたものである(図1)。それにより得られた生パスタ麺線を竿にかけ、乾燥機で水分13%以下まで調湿乾燥させ、乾燥ロングパスタを得た。なお、通常のデュラムセモリナ100%の生地をこの形状にすると、茹で時間3分の早茹でスパゲッティとなる。
(9)実施例20として、(4)の水和生地を、真空ミキサーで約80kPaの真空度で脱気しつつ、乾燥後の麺の断面形状が、次の形状になるようダイスから押し出し成型した。その形状とは、直径(a)が2.1mmのほぼ正円に対し、その中心(b)から放射状に等間隔の位置に、湾曲部の直径が0.4mmのアール(c)を成すU字型の同形状の切込みを3箇所入れ、その切り込みは湾曲部に向かって先細りした形状を有しており、最も太い部分(乾麺外周の円と接する部分)の幅(d)が乾麺の外周の1/13を占めるとともに、各切り込みの頂点3箇所を通る正円の直径(e)が0.8mmであり、切り込みにより残った槌型部分の鋭角部にそれぞれ直径0.1mmのアール(f)をつけたものである。それにより得られた生パスタ麺線を竿にかけ、乾燥機で水分13%以下まで調湿乾燥させ、乾燥ロングパスタを得た。なお、通常のデュラムセモリナ100%の生地をこの形状にすると、茹で時間4分の早茹でスパゲッティとなる。
(10)実施例22として、(5)の水和生地を、真空ミキサーで約80kPaの真空度で脱気しつつ、乾燥後の麺の断面形状が、次の形状になるようダイスから押し出し成型した。その形状とは、直径(a)が1.5mmのほぼ正円に対し、その中心(b)から放射状に等間隔の位置に、湾曲部の直径が0.3mmのアール(c)を成すU字型の同形状の切込みを3箇所入れ、その切り込みは湾曲部に向かって先細りした形状を有しており、最も太い部分(乾麺外周の円と接する部分)の幅(d)が乾麺の外周の1/12を占めるとともに、各切り込みの頂点3箇所を通る正円の直径(e)が0.6mmであり、切り込みにより残った槌型部分の鋭角部にそれぞれ直径0.1mmのアール(f)をつけたものである。それにより得られた生パスタ麺線を竿にかけ、乾燥機で水分13%以下まで調湿乾燥させ、乾燥ロングパスタを得た。なお、通常のデュラムセモリナ100%の生地をこの形状にすると、茹で時間2分の早茹でスパゲッティとなる。
(11)実施例21として、(5)の水和生地を、真空ミキサーで約80kPaの真空度で脱気しつつ、乾燥後の断面形状が、外径が4mmで、肉厚が0.7mmの筒状となるダイスから押し出し成型した(断面を図2に示す)。これを30mm程度の長さにカットし、乾燥機で水分13%以下まで調湿乾燥させ、乾燥ショートパスタを得た。なお、通常のデュラムセモリナ100%の生地をこの形状にすると、茹で時間4分の早茹でマカロニとなる。
(12)実施例23として、(5)の水和生地を、真空ミキサーで約80kPaの真空度で脱気しつつ、乾燥後の断面形状が、外径が6mm、肉厚が0.7mmで、均等な間隔で滑らかに8度波打った筒状となるダイスから押し出し成型した(断面を図3に示す)。これを30mm程度の長さにカットし、乾燥機で水分13%以下まで調湿乾燥させ、乾燥ショートパスタを得た。なお、通常のデュラムセモリナ100%の生地をこの形状にすると、茹で時間4分の早茹でマカロニとなる。
(13)比較例15として、(7)の水和生地を真空ミキサーで約80kPaの真空度で脱気しつつ、マカロニ類成形機にてダイスから100bar前後で押出し、生パスタ麺線を得た。これを竿にかけ、乾燥機で水分13%以下まで調湿乾燥させ、直径1.4mmの乾燥ロングパスタを得た。
(14)比較例16として、(5)の水和生地を、真空ミキサーで約80kPaの真空度で脱気しつつ、乾燥後の断面形状が、外径が4mmで、肉厚が1.1mmの筒状となるダイスから押し出し成型した。これを短くカットし、乾燥機で水分13%以下まで調湿乾燥させ、乾燥ショートパスタを得た。
(15)対照例3として、小麦粉100質量部に対し水28質量部を加え、麺用ミキサーで10分間ミキシングして得た水和生地を、真空ミキサーで約80kPaの真空度で脱気しつつ、マカロニ類成形機にてダイスから100bar前後で押出し、生パスタ麺線を得た。これを竿にかけ、乾燥機で水分13%以下まで調湿乾燥させ、直径1.4mmの乾燥ロングパスタを得た。
(16)対照例4として、小麦粉100質量部に対し水28質量部を加え、麺用ミキサーで10分間ミキシングして得た水和生地を、真空ミキサーで約80kPaの真空度で脱気しつつ、乾燥後の断面形状が、外径が6mm、肉厚が0.7mmで、均等な間隔で滑らかに8度波打った筒状(図3)となるダイスから押し出し成型した。これを短くカットし、乾燥機で水分13%以下まで調湿乾燥させ、乾燥ショートパスタを得た。
<試験例3−1>
製造例3(8)、(9)、(11)、(13)及び(14)によって得られた乾パスタを、茹で時間を変えて茹で歩留まりが270〜320質量%になるよう調理した。また、式1により乾パスタの加水前の原料の糖質含量を求め、これを茹で歩留まりで除して茹で麺の糖質含有量を算出し、茹で麺100gあたりの糖質が15.15gより多い(糖質オフ率50%未満の)場合を「NG」とした(表3(A))。それぞれ茹で時間を測定し、16分よりも茹で時間を要したものを「NG」とし、16分以内で茹で調理可能だが11分よりも長く要するものは「△」とし、11分以内に茹で調理できたものは「○」とした(表3(B))。これらで「NG」とならなかった試験区において食感を評価基準表Aに従い熟練パネラー10名で評価し(表3(C)、(D))、いずれかの食感に2点未満が付いたものは「NG」とし、それ以外の区域を「OK」とした(表3(E))。

実施例17及び18の結果から、難消化性澱粉は起源原料が異なっても同様の効果が得られることを確認した。
実施例16と比較例14の結果から、アルギン酸エステルは最低0.1質量%を配合するのが望ましいことを確認した。
「粉っぽさ」については茹で歩留まりの上昇とともに低減したものの、茹で歩留まりが高すぎると麺の構造が崩れやすくなるためか、逆に粉っぽさを感じる(噛んだ際にホロホロと崩れ粉のようになる)場合があった。
実施例16〜20と比較例15の結果から、一般的に流通している麺線径の製品は16分以内に好ましい食感に茹で上げることはできないが、目安として、通常のデュラムセモリナ100%の生地で茹で時間3分以内となる切り込み入り形状に成型すれば11分以内に、通常のデュラムセモリナ100%の生地で茹で時間4分以内となる切り込み入り形状に成型すれば16分以内に目標の糖質量と食感を両立できる状態まで茹で上げできることが確認された。さらに、実施例21と比較例16の結果から、ショートパスタにおいても肉薄の早茹でマカロニ用のダイスを使用することで、糖質量・茹で時間・食感を両立したものを得られることを確認した。
<試験例3−2>
製造例3(10)、(12)、(15)、(16)によって得られた乾パスタを、それぞれ沸騰した湯で6分間、11分間、9.5分間、9.5分間茹で上げた。これを冷水で冷やし、茹で麺100質量部に対し麺さばき用の油2質量部を和えたものを、樹脂製容器に入れて密封包装し、冷却した直後、および冷却し4℃で24時間又は72時間保存後に再加熱せず冷たいままの状態で、麺のしなやかさ及び食感を熟練パネラー10名により評価基準表Bに従い評価した。結果を表4に示す。
評価基準表B
表4の結果より、本発明で得られる低糖質パスタを用いて製造した茹で麺は、経時変化が少ないことが示された。そのためチルド流通品への適正が高いと考えられ、特に、チルド保管後に再加熱せず冷たいまま喫食するパスタサラダや冷製パスタに有用と考えられる。

Claims (6)

  1. 穀粉、難消化性澱粉、普通小麦由来のバイタルグルテン及びアルギン酸エステルからなる粉原料を使用した乾パスタであって、
    粉原料100質量部に対し、難消化性澱粉の配合量(A)が5〜60質量部、普通小麦由来のバイタルグルテンの配合量(B)が6〜23質量部及びアルギン酸エステルの配合量(C)が0.1〜1質量部であり、残部が穀粉であり、穀粉はデュラムセモリナ、デュラム小麦粉及び強力小麦粉からなる群から選択される1種以上を少なくとも含み、
    難消化性澱粉の配合量(A)と普通小麦由来のバイタルグルテンの配合量(B)が下記の式
    (I) (B)≧(A)×0.2
    (II) (B)≧(A)×(−0.67)+26
    の両方を満たす、前記乾パスタ。
  2. ロングパスタである、請求項1に記載の乾パスタ。
  3. ショートパスタである、請求項1に記載の乾パスタ
  4. 麺線の横断面がほぼ正円であり、かつその円の直径が1.2mm以下である、もしくは
    麺線の横断面が直径1.5〜2.1mmのほぼ正円の主外形を有し、麺線方向に沿って等間隔に形成された3本の溝を有し、前記溝は前記麺線の横断面においてそれぞれ前記麺線の外周から中心に向かって垂直に形成されており、前記溝の深さは前記麺線の主外形を正円とした場合の半径の50〜70%であり、前記溝により、前記溝の前記麺線の主外形と接する部分の幅が前記麺線の主外形を正円とした場合の外周の15〜30%を占める、
    請求項2に記載の乾パスタ。
  5. 麺の肉厚が0.5〜0.8mmである、請求項3に記載の乾パスタ。
  6. 請求項1〜5に記載の乾パスタを、茹で歩留まり270〜350%になるまで茹でてなる低糖質パスタ。
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