<実施の一形態>
実施の一形態に係る債務顧客管理システムについて図面を参照して説明する。債務顧客管理システムは、例えば、弁護士事務所や司法書士事務所などの士業事務所により導入され、債務顧客である債務者(債務整理に係る各種情報)を管理するためのシステムである。
<基本構成>
図1に示すように、実施の一形態に係る債務顧客管理システム1は、クラウドサービスシステム10と、外部連携サービスシステム20と、事務所システム30とを備えている。これらのクラウドサービスシステム10、外部連携サービスシステム20及び事務所システム30は、WAN(Wide Area Network)などの通信網40を介して互いに通信可能に接続されている。通信網40としては、例えば、インターネットなどのコンピュータネットワークが用いられる。
クラウドサービスシステム10は、処理部11と、記憶部12とを有している。このクラウドサービスシステム10は、債務顧客管理に関するソフトウェア(例えば、クラウドアプリケーションソフトウェア)などを提供するシステムである。クラウドとは、クラウドコンピューティングの略であり、コンピュータネットワークを経由して、コンピュータ資源をサービスの形で提供する利用形態である。クラウドサービスシステム10としては、例えば、SaaS(Software as a Service)システムが用いられる。このクラウドサービスシステム10は、通信網40を介して外部連携サービスシステム20とのAPI(Application Programming Interface)連携が可能に構成されている。
処理部11は、債務顧客管理に関するソフトウェアに基づいて各種処理を実行する。この処理部11は、事務所システム30からの指示に応じて、債務整理に係る各種情報を管理するための債務顧客管理に係る処理(例えば、各種情報の作成や更新など)を行い、また、外部連携サービスシステム20から必要な情報を取得し、取得した情報を用いて債務顧客管理に係る処理を行う。処理部11としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)などが用いられる。
記憶部12は、債務整理に係る各種情報(例えば、債務者情報、債務者口座情報、事件情報、債権者情報、債務情報、交渉記録情報、和解情報、裁判進捗情報、裁判経費情報、送金情報、入出金情報など)、また、債務顧客管理に関するソフトウェアなどの各種ソフトウェアを記憶する。記憶部12としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などのストレージが用いられる。
外部連携サービスシステム20は、コールセンターシステム21と、インターネットバンキングシステム22とを有している。これらのコールセンターシステム21及びインターネットバンキングシステム22は外部システムであり、通信網40を介してクラウドサービスシステム10とのAPI連携が可能に構成されている。
コールセンターシステム21は、クラウド型のコールセンターであり、コンピュータ及び電話を統合したCTI(Computer Telephony Intergration:コンピュータ電話統合)サービスを提供する。このコールセンターシステム21は、クラウドサービスシステム10とのAPI連携により、例えば、電話番号(又は顧客情報)などの情報をクラウドサービスシステム10に送信する。
インターネットバンキングシステム22は、各種銀行が提供するサービスであり、残高照会や入出金明細照会、送金(振込)などの各種サービスを提供する。このインターネットバンキングシステム22は、クラウドサービスシステム10のアクセス(例えば、情報要求など)に応じて、銀行の顧客である事務所の銀行口座(代理口座)に係る取引情報(例えば、入出金情報など)をAPI連携によってクラウドサービスシステム10に送信したり、あるいは、事務所システム30のアクセスに応じて、CSV(Comma Separated Value:カンマ区切り)データとして事務所システム30に出力(送信)したりする。なお、クラウドサービスシステム10には、インターネットバンキングシステム22内の特定の銀行口座にアクセスする権利がインターネットバンキングシステム22によって予め与えられている。
事務所システム30は、受任端末31と、先生端末32と、処理端末33と、経理端末34と、管理端末35とを有している。受任端末31は受任担当者が使用する端末であり、先生端末32は士業の先生が使用する端末であり、処理端末33は処理担当者が使用する端末である。また、経理端末34は経理担当者が使用する端末であり、管理端末35は管理者が使用する端末である。これらの端末31〜35が、クラウドサービスシステム10のユーザが使用するユーザ端末として機能する。
各端末31〜35は、それぞれ、操作者の入力操作を受け付ける入力部や情報を表示する表示部、各部を制御する制御部、情報を記憶する記憶部(いずれも図示せず)などを具備している。各端末31〜35としては、例えば、デスクトップパソコンやノートパソコン、携帯情報端末などが用いられる。携帯情報端末の例としては、タブレット端末やスマートフォン端末などがある。また、例えば、入力部としてはキーボードやマウス、表示部としては液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、制御部としてはCPU、記憶部としてはハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などのストレージが用いられる。
前述の事務所システム30では、受任業務や処理業務、経理業務、管理業務などの業務ごとに端末を設けているが、これに限るものではなく、いくつかの業務を一人で処理する場合など、受任端末31と処理端末33を一台の共通端末にすることも可能である。また、処理端末33と経理端末34を一台の共通端末に、先生端末32と管理端末35を一台の共通端末にすることも可能であり、適宜台数を調整することができる。
<クラウドサービスシステム>
次に、前述のクラウドサービスシステム10について説明する。クラウドサービスシステム10は、事務所システム30に対して各種情報や各種ソフトウェア(アプリケーションソフトウェア)を提供する。このクラウドサービスシステム10の処理部11は、事務所システム30の各端末31〜35に対するユーザの入力操作に応じ、ソフトウェアに基づいて各種処理を実行して様々な機能(手段)を実現する。
図2から図4に示すように、クラウドサービスシステム10が提供するアプリケーションソフトウェアの機能メニューは、「相談者一覧/検索」、「受任前一覧/検索」、「受任後一覧/検索」、「銀行口座連携」、「口座入出金管理」、「帳票一括出力指示」及び「マスタ管理」により構成されている。なお、ログインでは、ユーザがユーザ端末を操作してユーザIDやパスワードを入力し、クラウドサービスシステム10にログインする。
(受任・処理担当者向け機能)
図2に示すように、機能メニューにおける『受任・処理担当者向け機能』としては、「相談者一覧/検索」、「受任前一覧/検索」及び「受任後一覧/検索」がある(図2中の塗り潰し無しの枠参照)。これらの各種機能は、受任・経理担当者(受任・経理班)の利用を想定したものである。
顧客管理は、相談者(債務者)ごと案件単位で行われる。受任前情報管理は、受任前の情報を管理する機能であり、例えば、対応履歴、ヒアリングシート出力(情報)、受任後引き継ぎなどの情報を管理する。受任後情報管理は、受任後の情報を管理する機能であり、例えば、依頼者口座情報、対話履歴、書類作成(情報)、入出金情報、訴訟情報、債権者一覧(情報)などの情報を管理する。債権者一覧(情報)は、債権者詳細、例えば、借り入れ状況、整理情報、交渉履歴などの情報を含んでいる。ファイル管理は、業務に関連するファイル管理を行う機能である。
通常、相談者(債務者)は、電話やメールなどで債務に関して相談してくる。この場合には、応対する受任担当者が受任端末31を操作し、相談者に関する相談者情報(例えば、相談者基本情報など)を入力する。この入力された相談者情報は、クラウドサービスシステム10の記憶部12に自動的に格納される。また、近年では、相談者がウェブページ上の広告をクリックし、LP(ランディングページ)から相談してくることが増えている。この場合には、相談者がLPに必要事項を入力すると、そのLPに入力された相談者情報は、LPとクラウドサービスシステム10との連携によって、クラウドサービスシステム10の記憶部12に自動的に格納される。これにより、受任担当者は自身で相談者情報を入力する作業が不要となるので、業務効率を向上させることができる。
なお、相談者が新規の顧客でない場合(相談者情報が記憶部12に格納されている場合)には、相談者からの電話に応じて、クラウドサービスシステム10がコールセンターシステム21とのAPI連携により、コールセンターシステム21から相談者の電話番号(又は顧客情報)を取得する。そして、クラウドサービスシステム10は、取得した電話番号(又は顧客情報)に一致する相談者情報を検索し、一致した相談者情報を受任端末31の表示部により自動的に表示する。これにより、電話をかけてきた相談者に関する相談者情報が自動的に表示され、受任担当者は相談者に氏名や住所などを確認して相談者情報を読み出す必要が無くなるので、業務効率を向上させることができる。
(経理担当者向け機能)
図3に示すように、機能メニューにおける『経理担当者向け機能』としては、事務所の銀行口座(代理口座)に関する「銀行口座連携」及び「口座入出金管理」がある(図3中の塗り潰し無しの枠参照)。「銀行口座連携」としては、「入金取り込み」及び「出金反映」がある。また、「口座入出金管理」としては、「口座一覧/検索」、「入金一覧/検索」及び「出金一覧/検索」がある。これらの各種機能は、経理担当者(経理班)の利用を想定したものであり、例えば、API連携機能やCSV出力機能も含む。
(管理者向け機能)
図4に示すように、機能メニューにおける『管理者向け機能』としては、「帳票一括出力指示」及び「マスタ管理」がある(図4中の塗り潰し無しの枠参照)。「帳票一括出力指示」としては、「受任前件数集計CSV」、「受任後件数集計CSV」及び「代振り実績集計CSV」がある(CSV出力機能)。また、「マスタ管理」としては、「各種マスタ管理」、「アカウント管理」及び「テンプレート登録」がある。これらの各種機能は、管理者(例えば、事務所長又はコンサルタントなど)の利用を想定したものである。
なお、前述のように、クラウドサービスシステム10に各種機能を設けているが、これに限るものではなく、例えば、クラウドサービスシステム10に『依頼者向け機能』や『遠隔弁護機能』などを設けることも可能である。『依頼者向け機能』としては、「進捗状況の確認」や「簡易メッセージ送信」などがある。依頼者は元相談者であり、相談者は事務所に債務整理を依頼した時点で依頼者として扱われる。
依頼者向け機能では、一例として、クラウドサービスシステム10のソフトウェアを通してSMS(ショートメッセージサービス)的なやり取りを行う。全体のシステムとしては、例えば、クラウドサービスシステム10とは別に依頼者用システムを構築し、依頼者が有する依頼者端末(例えば、デスクトップパソコンやノートパソコン、携帯情報端末など)とクラウドサービスシステム10とのデータ連携(例えば、データの送受信)を行う。また、遠隔弁護機能では、例えば、依頼者端末とクラウドサービスシステム10との連携によって、士業の先生が遠隔地にいる依頼者の相談に応答する。
<債務顧客管理情報>
次に、債務顧客管理情報の一例について説明する。
図5及び図6に示すように、債務顧客管理情報は、例えば、事件情報、依頼者情報、対話記録(情報)、依頼者口座情報、借入先債権者詳細(情報)、交渉記録(情報)、和解情報、入金情報、出金情報などの情報を含んでいる。これらの情報は互いに関連付けられて依頼者(債務者)ごとに案件単位で管理される。債務顧客管理情報は、クラウドサービスシステム10の記憶部12に記憶され、クラウドサービスシステム10によって許可されたユーザ端末(例えば、各端末31〜35)がアクセスすることが可能な情報である。なお、図5及び図6に示す各種情報は、あくまでも一例であり、これに限られるものではない。
図5に示すように、事件情報は、債務整理事件に関する情報であり、例えば、事件名、事件受任日、受託状況、受託者、担当弁護士、担当事務員、完了日、備考などの情報を含んでいる。
依頼者情報(債務者情報)は、依頼者に関する情報であり、例えば、姓(カナも含む)、名(カナも含む)、旧氏名、固定電話、携帯電話、FAX、Email、生年月日、性別、職業、収入、住居、郵便番号、住所、本籍郵便番号、本籍、旧郵便番号、旧住所、家族に秘密、連絡手段、連絡手段補足、郵送手段、郵送手段補足、備考などの情報を含んでいる。
対話記録(情報)は、依頼者との対話記録に関する情報であり、例えば、対話日時、担当者、対話手段、連絡方向、対話内容などの情報を含んでいる。
依頼者口座情報(債務者口座情報)は、依頼者口座に関する情報であり、例えば、金融機関名、店舗名、口座種別、口座番号、口座名義、バーチャル口座番号、毎月入金額、初回入金日、入金日などの情報を含んでいる。
図6に示すように、借入先債権者詳細(情報)は、債権者及び債務に関する情報であり、例えば、債権者、進捗状況、借入開始日、初回借入額、毎月返済額、約定債務残高、引直債務残高、会員番号、契約番号、受任通知発送日、計算書受領日、和解案発送日、備考などの情報を含んでいる。
交渉記録(情報)は、債権者との交渉記録に関する情報であり、例えば、対話日時、担当者、交渉概要、対話者、対話手段、連絡方向、交渉内容などの情報を含んでいる。
和解情報は、債権者との和解に関する情報であり、例えば、和解状態、和解成立日、和解金額、弁済/過払い方法、返済代行、支払回数、初回返済日、初回返済額、二回目返済日、二回目〜返済額などの情報を含んでいる。
入金情報(入金履歴情報)は、入金に関する情報であり、例えば、入金元種別、入金タイプ、入金元名、入金予定日、入金予定金額、入金実日、入金金額(入金額)、備考などの情報を含んでいる。
出金情報(出金履歴情報)は、出金に関する情報であり、例えば、出金元種別、出金タイプ、出金先名、出金予定日、出金予定金額、出金実日、出金金額(出金額)、備考などの情報を含んでいる。
<業務フロー>
次に、前述の債務顧客管理システム1における債務整理の業務フローの一例について説明する。この債務整理の業務フローは、「1.受任(図7参照)」、「2.和解準備(図8参照)」、「3.和解交渉(図9参照)」、「4.代理送金(図10参照)」、「5.精算処理(図11参照)」という流れである。
(1.受任)
図7に示すように、受任担当者は、電話やメールによる相談者(債務者)からの新規相談を受け付け(ステップS1)、事務所システム30における受任端末31の入力部を操作して電話や名前などの情報を入力し(ステップS2)、ヒアリング・カウンセリングを行い(ステップS3)、受任端末31の入力部を操作して相談者情報を入力又は更新する(ステップS4)。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、受任端末31に対する受任担当者の入力操作に応じ、相談者情報の入力又は更新に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を受任端末31に提供し、受任端末31により入力又は更新された相談者情報を記憶部12に保存する。この相談者情報の入力(又は更新)では、例えば、「相談者一覧:相談者基本」、「相談者一覧:詳細」、「相談者一覧:収入と支出」、「相談者一覧:借入状況」、「相談者一覧:対応方針・重要事項」、「相談者一覧:必須聞取項目」、「相談者一覧:対応・エスカレーション履歴」などに関連する情報や機能が受任端末31に提供され、それらに対応する情報が受任担当者によって入力される。
受任担当者は、仮受任の有無を判断し(ステップS5)、仮受任をしないと判断した場合(ステップS5のNO)、再フォローをしたり、あるいは、受任業務を中止したりする(終了)。一方、仮受任をすると判断した場合には(ステップS5のYES)、受任担当者が面談確認を行い(ステップS6)、相談者が希望する面談が電話面談であれば、事務所システム30における受任端末31の入力部を操作して相談者情報を入力又は更新する(ステップS7)。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、前述と同様、受任端末31に対する受任担当者の入力操作に応じ、相談者情報の入力又は更新に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を受任端末31に提供し、例えば、受任端末31により入力又は更新された相談者情報を記憶部12に保存する。この相談者情報の入力(又は更新)でも、前述と同様、情報が受任担当者によって入力される。
その後、受任担当者は、書類(例えば、委任契約書など)を発送し(ステップS8)、書説連絡(例えば、書類記入方法説明連絡など)を取り(ステップS9)、書類の戻りを確認する(ステップS10)。受任担当者は、返送が未到着であれば、再び書説連絡を取る。一方、返送が到着済であれば、書類をチェックし(ステップS11)、送付済や未送付などの書類送付リストを作成する(ステップS12)。書類に不備があれば、相談者に連絡し、不備が無ければ、先生が電話面談による本人確認(面談)を行う(ステップS13)。
一方、前述のステップS6において、相談者が希望する面談が来所面談であれば、先生が来所面談による本人確認(面談)を行う(ステップS13)。面談後(電話面談又は来所面談後)、先生は受任の可否を判断する(ステップS14)。なお、先生は、電話面談において先生端末32を操作して、クラウドサービスシステム10の記憶部12から、面談に来た相談者に該当する相談者情報を取り出して先生端末32の表示部に表示し、その表示した相談者情報を見て確認することができる。これにより、先生は必要な情報を容易に得ることが可能となるので、業務効率を向上させることができる。
その後、先生が受任をしないと判断した場合には(ステップS14のNG)、受任担当者が受任の可能性を判断し(ステップS15)、受任の可能性がない場合には、受任業務を中止する(終了)。一方、先生が受任をすると判断した場合には(ステップS14のOK)、処理担当者が事務所システム30における処理端末33の入力部を操作して受任情報を入力又は更新する(ステップS16)。なお、先生が受任を決定すると、必要書類の未受理など必要に応じて書類(例えば、委任契約書など)の発送を事務員などに指示する(ステップS17)。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、処理端末33に対する処理担当者の入力操作に応じ、受任情報の入力又は更新に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を処理端末33に提供し、処理端末33により入力又は更新された受任情報を記憶部12に保存する。この受任情報の入力(又は更新)では、例えば、「相談者一覧:相談者基本」、「相談者一覧:対応・エスカレーション履歴」、「事件情報:基本情報」、「事件情報:依頼者情報」、「事件情報:債権者情報」などに関連する情報や機能が処理端末33に提供され、それらに対応する情報が処理担当者によって入力される。なお、受任情報の一部(例えば、依頼者情報など)は、相談者情報から引き継がれる。
経理担当者は、経理に係る情報を入力又は更新する場合など必要に応じて、事務所システム30における経理端末34の入力部を操作して受任情報を入力又は更新する(ステップS18)。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、経理端末34に対する経理担当者の入力操作に応じ、受任情報の入力又は更新に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を経理端末34に提供し、経理端末34により入力又は更新された受任情報を記憶部12に保存する。この受任情報の入力(又は更新)では、例えば、「事件情報:入出金情報」などに関連する情報や機能が経理端末34に提供され、それらに対応する情報が経理担当者によって入力される。
管理者は、例えば、仮受任に至らなかった原因を探る場合など必要に応じて、事務所システム30における管理端末35の入力部を操作して、債務顧客管理に係る各種情報を把握する(ステップS19)。この各種情報は、クラウドサービスシステム10から管理端末35に提供され、管理端末35の表示部により表示される。管理者は、その情報を見て確認する。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、管理端末35に対する管理者の入力操作に応じ、債務顧客管理に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を管理端末35に提供し、例えば、記憶部12から進捗確認・日別/累計の相談件数、仮受任件数/率、本受任件数/率などの各種情報を読み出して管理端末35に送信する。これにより、管理者が、債務顧客管理に係る各種情報を容易に把握することが可能となるので、業務効率を向上させることができる。なお、読み出した情報を、別で管理しているシステムへ転記することも可能である。
(2.和解準備)
図8に示すように、受任担当者は、受任前情報を更新する場合など必要に応じて、事務所システム30における受任端末31の入力部を操作して受任前情報の補足更新を行う(ステップS21)。
処理担当者は、交渉開始として、事務所システム30における処理端末33の入力部を操作して介入通知(書類)を作成して処理端末33の記憶部に保存し(ステップS22)、その後、業者に対してFAXなどで介入通知送付及び取引履歴請求を行う(ステップS23)。業者は、事務所からの要求に応じ、FAXやメール、郵送などで事務所に取引履歴を送付する(ステップS24)。処理担当者は、業者から取引履歴(情報)を受領し、受領した取引履歴に基づいて処理端末33の入力部を操作し、引き直し計算を行い(ステップS25)、さらに、債務状況の入力又は更新を行う(ステップS26)。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、処理端末33に対する処理担当者の入力操作に応じ、債務状況の入力や更新に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を処理端末33に提供し、処理端末33により入力又は更新された債務状況(情報)を記憶部12に保存する。この債務状況登録では、例えば、「債権者情報:借入先債権者の追加」、「債権者情報:借入先債権者詳細」、「債権者情報:交渉記録」などに関連する情報や機能が処理端末33に提供され、それらに対応する情報が処理担当者によって入力される。
経理担当者は、入金管理開始として(報酬金が貯まるまで月次ループ)、事務所システム30における経理端末34の入力部を操作して、インターネットバンキングシステム22から入金CSV(入金情報の一例)を取得し、クラウドサービスシステム10に取り込み(ステップS27)、さらに、入金CSVに基づいて経理端末34の表示部により表示された入金情報を見て、入金の有無を確認する(ステップS28)。
経理担当者は、入金が有ると判断した場合(ステップS28のYES)、経理端末34の入力部を操作して入金情報を管理し(ステップS29)、予定含む報酬金満額充当が完了すると、和解交渉を許可する(ステップS30)。なお、予定含む報酬金満額充当の手順としては、例えば、まず預り金を貯め込み、支払金額がある人なのか否かを見極める。着手金+事務手数料=受任時点でもらえる額、報酬=和解をとったらもらえる額、これらの分を取った後、経理担当者は、預り金口座から各費用にうつしていく。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、経理端末34に対する経理担当者の入力操作に応じ、入金情報の管理に係る情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を経理端末34に提供する。入金確認では、例えば、「銀行入金処理」、「事件情報:口座情報」、「事件情報:入出金情報」、「入金管理:入金情報検索」などに関連する情報や機能が経理端末34に提供される。
一方、経理担当者は、入金が無いと判断した場合(ステップS28のNO)、依頼者に対する入金督促業務を行う(ステップS31)。この入金督促業務において、経理担当者は、「1.1回未入金」の場合、依頼者へ電話で督促を行い、「2.2回未入金」の場合、依頼者への警告の書面を送付し、「3.書面送付から2週間経過しても未入金」の場合、辞任予告通知を送付し、「4.辞任予告通知から1〜2週間経過しても入金なし」の場合、弁護士の許可のもと辞任をし、依頼者や業者へ辞任通知を送付する。
処理担当者は、前述の辞任決定に応じて、事務所システム30における処理端末33の入力部を操作して辞任情報を反映し(ステップS32)、依頼者に関するブック解体を行う(ステップS33)。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、処理端末33に対する処理担当者の入力操作に応じ、辞任処理に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を処理端末33に提供し、処理端末33により入力された辞任情報を記憶部12に保存する。辞任処理では、例えば、「事件情報:受託状況」、「債権者情報:進捗情報」、「事件情報:書類作成」、「事件情報:口座情報」、「事件情報:入出金情報」、「事件情報:精算書作成」などに関連する情報や機能が処理端末33に提供され、それらに対応する情報が処理担当者によって入力される。
管理者は、預り金・入出金売上情報を管理する場合など必要に応じて、事務所システム30における管理端末35の入力部を操作して、債務顧客管理に係る各種情報の一つである預り金・入出金売上情報を管理する(ステップS34)。この預り金・入出金売上情報は、クラウドサービスシステム10から管理端末35に提供され、管理端末35の表示部により表示される。管理者は、その各種情報を見て確認する。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、管理端末35に対する管理者の入力操作に応じ、預り金・入出金売上管理に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を管理端末35に提供し、一例として、預り金・入出金売上情報を管理端末35に送信する。預り金・入出金売上管理では、例えば、「口座管理:口座情報検索」などに関連する情報や機能が管理端末35に提供される。
(3.和解交渉)
図9に示すように、処理担当者は、和解交渉開始として(全社和解まで同作業の繰り返し)、依頼者に和解提案内容を確認し(ステップS41)、業者(債権者)に和解案を提示する(ステップS42)。業者も、事務所からの和解案に応じて和解案を提示する(ステップS43)。処理担当者は、和解案に基づく交渉が決裂したか否かを判断し(ステップS44)、交渉が決裂したと判断した場合(ステップS44のYES)、裁判所対応へ移行する(ステップS45)。
先生は、裁判所対応に移行すると(ステップS45)、裁判所対応を開始し、事務所システム30における先生端末32の入力部を操作して裁判進捗管理を行う(ステップS46)。なお、裁判自体になる頻度が少なく、破産再生を視野にいれた裁判管理も行われる。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、先生端末32に対する先生の入力操作に応じ、裁判進捗管理に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を先生端末32に提供し、先生端末32により入力又は更新された裁判進捗情報を記憶部12に保存する。裁判進捗管理では、例えば、「債権者情報:訴訟等情報」などに関連する情報や機能が先生端末32に提供され、それらに対応する情報が先生によって入力される。
経理担当者は、前述の先生による裁判所対応に応じ、事務所システム30における経理端末34の入力部を操作して裁判経費管理を行う(ステップS47)。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、経理端末34に対する経理担当者の入力操作に応じ、裁判経理管理に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を経理端末34に提供し、経理端末34により入力又は更新された裁判経理情報を記憶部12に保存する。裁判経理管理では、例えば、「口座情報:実費登録」などに関連する情報や機能が経理端末34に提供され、それらに対応する情報が経理担当者によって入力される。
一方、前述のステップS44において、処理担当者は、交渉が決裂していないと判断した場合(ステップS44のNO)、依頼者に対して最終確認を行う(ステップS48)。最終確認では、依頼者に対して和解内容の確認、例えば、過払請求における返還金額・返還日・一括/分割、また、任意整理における返済金額・返済回数・利息・懈怠約款などの確認が行われる。
処理担当者は、最終確認で依頼者が和解案に納得しない場合(ステップS48のNG)、業者に対して再交渉を行う(ステップS49)。一方、最終確認で依頼者が和解案に納得した場合には(ステップS48のOK)、事務所システム30における処理端末33の入力部を操作して和解締結による和解情報の入力又は更新を行う(ステップS50)。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、処理端末33に対する処理担当者の入力操作に応じ、和解締結に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を処理端末33に提供し、処理端末33により入力又は更新された和解情報を記憶部12に保存する。和解締結では、例えば、「債権者情報:進捗状況」、「債権者情報:整理情報」、「事件情報:書類作成」、「事件情報:口座情報」、「事件情報:入出金情報」などに関連する情報や機能が処理端末33に提供され、それらに対応する情報が処理担当者によって入力される。
その後、処理担当者は、和解書作成・送付を行い(ステップS51)、全社和解が完了すると(ステップS52)、代理送金の有無を判断する(ステップS53)。なお、和解書控などは、メール又は郵便などで依頼者に送付される。また、全社和解では、報酬金が全社分集まるまで、すなわち全社和解できるまで次に行かない。ただし、先行和解の場合(介入通知を送ると脅迫してくる場合)には、報酬金が貯まる前に和解することもあり、全社分集まる前に代理送金を始めるケースもある。
処理担当者は、代理送金が有ると判断した場合(ステップS53の有り)、依頼者に対して代理送金を案内する(ステップS54)。この代理送金案内などは、メール又は郵便などで依頼者に送付される。一方、代理送金が無いと判断した場合には(ステップS53の無し)、処理を経理担当者による精算準備に進める。
経理担当者は、事務所システム30における経理端末34の入力部を操作して代振情報の登録又は更新を行い(ステップS55)、全社返済が完了すると、精算準備を行う(ステップS56)。代振情報に基づいて業者(債権者)に送金される(代理送金)。なお、この代理送金については、後述の(4.代理送金)で詳しく説明する。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、経理端末34に対する経理担当者の入力操作に応じ、代振管理に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を処理端末33に提供し、経理端末34により入力又は更新された代振情報を記憶部12に保存する。代振管理では、例えば、「債権者情報:整理情報」、「事件情報:口座情報」、「事件情報:入出金情報」、「銀行出金処理:全銀データ作成・取込」などに関連する情報や機能が経理端末34に提供され、それらに対応する情報が経理担当者によって入力される。
管理者は、代振実績を管理する場合など必要に応じて、事務所システム30における管理端末35の入力部を操作して、債務顧客管理に係る各種情報の一つである代振実績情報を管理する(ステップS57)。この代振実績情報は、クラウドサービスシステム10から管理端末35に提供され、管理端末35の表示部により表示される。管理者は、その情報を見て確認する。例えば、管理者は、売上の軸をどこにとるか(精算あるいは受任)などを判断する。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、管理端末35に対する管理者の入力操作に応じ、代振管理に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を管理端末35に提供する。代振管理では、例えば、「送金件数管理」、「代振転化率管理」などに関連する情報や機能が管理端末35に提供される。
(4.代理送金)
図10に示すように、依頼者(債務者)は、事務所の代理口座に入金する(ステップS61)。経理担当者は、代理送金開始として(弁済金を払いきるまで月次ループ)、経理端末34の入力部を操作して、インターネットバンキングシステム22から入金CSV(入金情報の一例)を取得し、クラウドサービスシステム10に取り込み(ステップS62)、さらに、入金CSVに基づいて経理端末34の表示部により表示された入金情報を見て、入金の有無を確認する(ステップS63)。
経理担当者は、入金が無いと判断した場合(ステップS63のNG)、依頼者に対する入金督促業務を行う(ステップS64)。この入金督促業務において、経理担当者は、「1.1回未入金」の場合、依頼者へ電話で督促を行い、「2.2回未入金」の場合、依頼者への警告の書面を送付し、「3.書面送付から2週間経過しても未入金」の場合、辞任予告通知を送付し、「4.辞任予告通知から1〜2週間経過しても入金なし」の場合、弁護士の許可のもと辞任をし、依頼者や業者へ辞任通知を送付する。
処理担当者は、前述の辞任決定に応じて、事務所システム30における処理端末33の入力部を操作して辞任情報を反映し(ステップS65)、依頼者に関するブック解体を行う(ステップS66)。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、処理端末33に対する処理担当者の入力操作に応じ、辞任処理に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を処理端末33に提供し、処理端末33により入力された辞任情報を記憶部12に保存する。辞任処理では、例えば、「事件情報:受託状況」、「債権者情報:進捗情報」、「事件情報:書類作成」、「事件情報:口座情報」、「事件情報:入出金情報」、「事件情報:精算書作成」などに関連する情報や機能が処理端末33に提供され、それらに対応する情報が処理担当者によって入力される。
一方、経理担当者は、入金が有ると判断した場合(ステップS63のOK)、経理端末34の入力部を操作して、入金情報を管理し(ステップS67)、送金データ作成を行い(ステップS68)、送金手配を行い(ステップS69)、送金済みデータ反映を行い(ステップS70)、全社支払いが完了すると(ステップS71)、処理を精算処理に移行する(ステップS72)。送金手配では、送金データに基づき、インターネットバンキングシステム22に対して総合振込が指示され、業者(債権者)に送金される。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、経理端末34に対する経理担当者の入力操作に応じ、送金管理に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を経理端末34に提供し、経理端末34により入力された送金情報を記憶部12に保存する。送金管理では、例えば、「事件情報:口座情報」、「事件情報:入出金情報」、「銀行出金処理:送金データ作成」、「銀行出金処理:送金済データ取込」などに関連する情報や機能が経理端末34に提供され、それらに対応する情報が経理担当者によって入力される。
管理者は、代振実績を管理する場合など必要に応じて、事務所システム30における管理端末35の入力部を操作して、債務顧客管理に係る各種情報の一つである代振実績情報を管理する(ステップS73)。この代振実績情報は、クラウドサービスシステム10から管理端末35に提供され、管理端末35の表示部により表示される。管理者は、その情報を見て確認する。例えば、管理者は、売上の軸をどこにとるか(精算あるいは受任)などを判断する。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、管理端末35に対する管理者の入力操作に応じ、代振管理に係る情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を管理端末35に提供する。代振管理では、例えば、「送金件数管理」、「代振転化率管理」などに関連する情報や機能が管理端末35に提供される。
(5.精算処理)
図11に示すように、経理担当者は、精算手続開始として、事務所システム30における経理端末34の入力部を操作して、業務報告書を作成し(ステップS81)、精算書を作成し(ステップS82)、依頼者に対して書類一式を送付し(ステップS83)、預り金を精算する(ステップS84)。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、経理端末34に対する経理担当者の入力操作に応じ、預り金精算に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を経理端末34に提供し、経理端末34により入力された預り金情報を記憶部12に保存する。預り金精算では、例えば、「依頼者情報:口座情報」、「依頼者情報:入出金情報」などに関連する情報や機能が経理端末34に提供され、それらに対応する情報が経理担当者によって入力される。
その後、経理担当者は、ファイル破棄などのファイリング作業を行い(ステップS85)、事務所システム30における経理端末34の入力部を操作して業務終了処理を行う(ステップS86)。
クラウドサービスシステム10の処理部11は、経理端末34に対する経理担当者の入力操作に応じ、業務終了処理に関する情報や機能(例えば、各種画面や機能メニューなど)を経理端末34に提供し、経理端末34により入力された業務終了情報を記憶部12に保存する。業務終了処理では、例えば、「事件情報:受任状況」、「債権者情報:進捗状況」などに関連する情報や機能が経理端末34に提供され、それらに対応する情報が経理担当者によって入力される。
(クラウドサービスシステムへの入出金情報の取り込み)
次に、インターネットバンキングシステム22から入出金情報をクラウドサービスシステム10に取り込むフローについて図12及び図13を参照して説明する。
図12に示すように、インターネットバンキングシステム22とクラウドサービスシステム10とのAPI連携により、インターネットバンキングシステム22から入出金情報(例えば、CSVデータ)をクラウドサービスシステム10に直接取り込むことが可能である。
入金処理に関して、依頼者(債務者)は、毎月、事務所指定の口座(代理口座)に取り決めの金額を振り込む。事務所の経理担当者は、入金を確認後、事務所システム30における経理端末34の入力部を操作して、API連携によってインターネットバンキングシステム22から入金情報(例えば、CSVデータ)を直接クラウドサービスシステム10に取り込む。
入金情報は、債務者ごとに代理口座に入金した債務者ごとの入金額を示す入金済データである。この入金情報は、インターネットバンキングシステム22からクラウドサービスシステム10に送信され、記憶部12により記憶された債務者ごとの情報に処理部11によって反映される。すなわち、入金情報に基づいて債務者ごとの情報が更新されたり、債務者ごとの情報に入金情報が加えられたりする。なお、反映とは、情報の更新(又は入力)や情報の追加(例えば、債務者ごとの情報に関連付けて情報を保存すること)などを含む。
出金処理に関して、事務所の経理担当者は、事務所システム30における経理端末34の入力部を操作して、クラウドサービスシステム10から全銀フォーマット形式の送金情報(例えば、CSVデータ)をインターネットバンキングシステム22に送信する。なお、送信完了後、送金情報に基づく債権者への送金(振込)が直ぐに行われるため、処理はそのまま確定処理に移行する。確定処理では、クラウドサービスシステム10は、送金完了に応じて、インターネットバンキングシステム22から出金情報(例えば、CSVデータ)を受信する。
送金情報は、債権者ごとに代理口座から送金する債権者ごとの送金額を示す送金データである。この送金情報は、クラウドサービスシステム10からインターネットバンキングシステム22に送信される。インターネットバンキングシステム22は、送金情報に基づいて債権者ごとに所定の口座に取り決めの金額を入金する。
出金情報は、債権者ごとに代理口座から出金した債権者ごとの出金額を示す送金済データである。この出金情報は、インターネットバンキングシステム22からクラウドサービスシステム10に送信され、記憶部12により記憶された債務者ごとの情報に処理部11によって反映される。すなわち、債務者ごとの情報が出金情報に基づいて更新される。すなわち、債務者ごとの情報が出金情報に基づいて更新されたり、債務者ごとの情報に出金情報が加えられたりする。
図13に示すように、前述のAPI連携以外の手法でも、インターネットバンキングシステム22から入出金情報をクラウドサービスシステム10に取り込むことが可能である。
入金処理に関して、依頼者(債務者)は、毎月、事務所指定の口座(代理口座)に取り決めの金額を振り込む。事務所の経理担当者は、入金を確認後、事務所システム30における経理端末34の入力部を操作して、インターネットバンキングシステム22から経理端末34に入金情報(例えば、CSVデータ)を出力し、その入金情報を経理端末34からクラウドサービスシステム10にインポートして取り込む。入金情報は、前述と同様、入金済データである。
出金処理に関して、事務所の経理担当者は、事務所システム30における経理端末34の入力部を操作して、クラウドサービスシステム10から全銀フォーマット形式の送金情報(例えば、CSVデータ)を経理端末34に出力し、その送金情報を経理端末34からインターネットバンキングシステム22にインポートする。そして、債権者への送金完了後、経理担当者は、インターネットバンキングシステム22から経理端末34に出金情報(例えば、CSVデータ)を出力し、その出金情報を経理端末34からインターネットバンキングシステム22にインポートして取り込み、出金確定とする。前述と同様、送金情報は送金データであり、出金情報は送金済データである。
前述のように、図12に示すAPI連携による直接取込手法と、図13に示すAPI連携以外の間接取込手法がある。直接取込手法では、入出金情報がクラウドサービスシステム10とインターネットバンキングシステム22との間で直接送受信されるが、間接取込手法では、経理端末34を介して送受信される。つまり、間接取込手法では、入出金情報をインターネットバンキングシステム22から経理端末34に一旦取り込む必要がある。このため、間接取込手法は、直接取込手法に比べて業務効率が低下する手法である。したがって、債務整理に係る業務効率を向上させるためには、API連携による直接取込手法を用いることが好ましい。
<債務顧客管理に関する画面>
次に、債務顧客管理に関する画面、すなわち、受任担当者、先生、処理担当者、経理担当者、管理者などのユーザが使用するユーザ端末(各端末31〜35)に表示される画面について説明する。図14から図34までの画面は、あくまでも例示であり、限定されるものでない。これらの画像は、クラウドサービスシステム10からユーザ端末に提供される。また、自動計算や情報の引継などの各種機能は、クラウドサービスシステム10の処理部11により実現される。
(受任前検索画面)
図14に示すように、受任前メニューの「相談者一覧」がクリックされると、受任前検索画面がユーザ端末の表示部に表示される。ユーザ(例えば、受任担当者)は、その画面を見ながらユーザ端末の入力部を操作し、必要な項目に情報を入力する。なお、画面はクラウドサービスシステム10に対するユーザのログイン後に表示される(他の画面でも同様)。
相談者検索に関しては、相談者No、相談者名、電話番号のいずれかを入力して検索することが可能である。相談者名については、姓名・カナどちらを入力しても検索可能である。電話番号検索でのみ、対象の中に該当番号が無い場合には、新規登録画面が開く。なお、テストの問合せを除外したり(テストメール除外)、受任済み(本受任日入力済案件除外)や書類戻り(書類戻り日入力済案件除外)を除いたり、一時保存のみ(一時保存中案件)を検索対象としたりすることができる。また、受任状況、対応状況、NA情報、その他情報で検索することも可能である。ステータス・担当者・NA(次のアクション)情報では、複数の検索項目を指定して選択することができる。各検索項目を掛け合わせて使用することが可能であり、担当者やステータスなどの複数の条件で絞り込みを行うことができる。
(新規登録・編集画面)
図15に示すように、受任前メニューの「相談者新規登録」がクリックされると、図15及び図16に示すように、新規登録・編集画面がユーザ端末の表示部に表示される。ユーザ(例えば、受任担当者)は、その画面を見ながらユーザ端末の入力部を操作し、必要な項目に情報を入力する。新規登録・編集画面は、図15に示すように、相談者新規登録、受任状況、収入と支出、図16に示すように、借入状況、対応方針・重要事項、対応・エスカレーション登録、対応・エスカレーション履歴などの各種項目を有している。この新規登録・編集画面は、表示部の一画面で表示しきれないため、全体を見るためにユーザによってスクロールされる。
相談者新規登録では(図15参照)、氏名(姓)/氏名(名)、担当者などの項目があるが、氏名(姓)/氏名(名)、種別、広告、検索ワード(不図示)が入力必須項目である。なお、一時保存に関しては、前述の入力必須項目が未入力の場合でも保存が可能である。ただし、氏名のみ必須である。
受任状況では(図15参照)、仮受任日、書類戻り日、受任日、終了日などの項目がある。
収入と支出では(図15参照)、収入、支出、上記以外の収入、上記以外の支出などの項目があり、さらに、それぞれに各項目がある。支出及び上記以外の支出では、項目ごとにコメント記載欄がある。収入合計、支出合計及び差し引き余剰額(いずれも不図示)の項目もあり、前述の各項目が入力されると、自動計算により金額が入力される(収入合計=本人月収+上記以外の収入、支出合計=各支出項目+上記以外の支出、差し引き余剰額=収入合計−支出合計)。
借入状況では(図16参照)、完済/残債、業者名(支店名)などの項目がある。分割の欄に分割回数が入力されると、原資の欄に原資額が自動計算により表示される(原資額=残債/分割回数)。なお、この原資額を手入力で上書きすることも可能である。原資合計は、和解後の予想返済額であり、依頼対象(□)にチェックが入っている借入先の原資合計である。補足の欄には、保証人、担保、高額商品、裁判関連の補足事項が入力される。全体債務合計、総額及び現在の返済額(上段)は借入先全体の合計件数、合計残債額及び合計月返済額であり、依頼債務合計、総額及び現在の返済額(下段)は依頼対象(□)にチェックが入っている借入先の合計件数、合計残債額及び合計月返済額であり、「(未介入)の返済額」は、全体返済額−依頼分返済額である。
対応方針・重要事項では(図16参照)、対応方針、費用概算、振込代行サービス、必須取引などの項目があり、さらに、必須取引項目に各項目がある。対応方針が任意整理である場合のみ、費用概算の欄に自動計算により金額が表示される。計算式は、(着手金+解決報酬金)×依頼対象件数+事務手数料であり、着手金・解決報酬金の設定があらかじめ完了している必要がある。この費用概算を手入力で上書きすることも可能である。また、振込代行サービスを使うと選択されると、代行手数料合計欄に、依頼対象件数×代行手数料という計算式の額が自動計算により表示される。この額を手入力で上書きすることも可能である。また、毎回費用積立額の欄に自動計算により金額が表示される。計算式は、値引き後額/分割回数(100円単位四捨五入)である。手数料+原資合計額の欄に自動計算により金額が表示される。計算式は、代行手数料合計額+依頼対象の月原資額である。なお、面談予定、面談予定日、面談方法、面談担当弁護士(いずれも不図示)などの項目もある。
対応・エスカレーション登録では(図16参照)、対応日時、対応者などの項目がある。対応者の欄には、ログインしているユーザが初期表示される。別の対応者で登録する場合には、プルダウンで対応者を選択する。
対応・エスカレーション履歴では(図16参照)、対応日時の新しい順に履歴が表示される(古い対応が下になる)。
(受任後の事件情報作成画面)
図17に示すように、相談者基本バーの「事件情報の新規作成」がクリックされると、図17及び図18に示すように、受任後の事件情報作成画面(引継画面)がユーザ端末の表示部に表示される。ユーザ(例えば、処理担当者や経理担当者など)は、その画面を見ながらユーザ端末の入力部を操作し、必要な項目に情報を入力する。事件情報作成画面は、図17に示すように、相談者基本情報、図18に示すように、収入と支出、借入状況、対応方針、受任状況などの各種項目を有している。この事件情報作成画面は、表示部の一画面で表示しきれないため、全体を見るためにユーザによってスクロールされる。
事件情報作成画面は、受任前と受任後データの紐付けを行うための画面である。この画面では、受任後の事件情報/債権者のデータが新規に作成される(当処理は一回のみ可能である)。相談者情報は、事件情報(受任後情報)に引き継がれる。「事件情報の新規作成」をクリックする操作は一回のみとなる。一度事件情報を作成した後は、受任後の事件情報への遷移ボタンである「事件情報詳細」が表示される。なお、相談者情報と事件情報とで項目名や表示形式が異なる部分がある。
借入先の債権者に関しては(図18参照)、受任前の登録はフリーテキストであり、受任後の登録はマスタからの選択である。引き継ぎ画面では、受任前の登録内容から債権者マスタに登録されている債権者が処理部11により推定されて表示される。例1として、受任前:aaa→受任後:aaa株式会社と表示されたり、例2として、受任前:bbb→受任後:不明(空白表示)と表示されたりする。なお、該当の債権者が表示されない場合には、既存の債権者プルダウンから選択するか、債権者マスタに登録を行う。
(トップ画面)
図19に示すように、受任後メニューの「TOP」がクリックされると、トップ画面がユーザ端末の表示部に表示される。ユーザ(例えば、処理担当者や経理担当者など)は、その画面を見て必要な情報を確認したり、ユーザ端末の入力部を操作して情報を入力したりする。
トップ画面は、入出金予定情報や入出金実績情報を提供するための画面である。この画面では、本日を境に過去3日間及び先1週間の入金予定と実績、出金予定と実績が、件数及び金額で一覧表示される。一覧内の件数又は金額の任意の箇所がクリックされると、画面は詳細画面に遷移する。一例として、トップ画面の予定件数の「93件」がクリックされると、図19中の上側の画面は、図19中の下側の画面である詳細画面に遷移する。
(事件情報画面)
図20に示すように、受任後メニューの「事件情報」がクリックされると、事件情報画面がユーザ端末の表示部に表示される。ユーザ(例えば、処理担当者や経理担当者など)は、その画面を見て必要な情報を確認したり、ユーザ端末の入力部を操作して情報を入力したりする。
事件情報画面は、事件情報を提供するための画面である。この画面では、事件情報検索の欄や検索結果が表示される。検索結果では、事件情報が一覧表示される。一覧内の「確認」ボタンがクリックされると、画面は顧客詳細画面(図21参照)に遷移する。
図21に示すように、顧客詳細画面では、事件情報に加え、「進捗状況タブ」、「依頼者情報タブ」、「債権者情報タブ」、「書類作成タブ」、「分割弁済計画タブ」、「口座情報タブ」、「入出金情報タブ」が表示されている。
図21に示すように、「進捗状況タブ」がクリックされると、選択中の事件情報に関する進捗状況を示す進捗状況ページが表示される。進捗状況ページは、伝言掲示板のように他部署間にて連携を取ることができるように進捗具合を提供するためのタブページである。この進捗状況ページでは、業務別進捗状況(最新情報)が表示される。
図22に示すように、「依頼者情報タブ」がクリックされると、選択中の事件情報に関する依頼者情報を示す依頼者情報ページが表示される。依頼者情報ページは、依頼者(債務者)に関する情報や依頼者とのやり取りなどを管理するタブページである。この依頼者情報ページでは、依頼者情報、対話記録、依頼者口座情報、勤務先情報が表示される。依頼者情報の欄には、氏名や連絡先、住所など、依頼者の基本的な情報が記録されている。対話記録の欄には、依頼者とユーザ(事務所)とのやり取りなどの履歴が残されている。依頼者口座情報の欄には、依頼者の基礎報酬や口座情報、入金に関する情報が登録されている。ここに登録された情報を基に、口座情報の管理や入手金情報の自動作成などが行われる。これにより、業務効率を向上させることができる。勤務先情報の欄には、依頼者の勤務先や元勤務先などの情報が記録されている。
図23に示すように、「債権者情報タブ」がクリックされると、選択中の事件情報に関する債権者情報を示す債権者情報ページが表示される。債権者情報ページは、依頼者(債務者)の借入先である債権者に関する借入先債権者情報を一覧で提供するタブページである。この債権者情報ページでは、借入先債権者情報が、具体的には借入先債権者情報ごとに債務状況・進捗状況が表示される。これにより、ユーザは各債権者における債務状況・進捗状況を把握することができる。一覧内の「参照」ボタンがクリックされると、画面は借入先債権者詳細ページ(図24参照)に遷移する。
図24に示すように、借入先債権者詳細ページでは、事件情報に加え、借入先債権者詳細、交渉記録、整理情報、訴訟等情報が表示されている。この借入先債権者詳細ページは、一債権者ごとまで階層を下げて債権者を管理するページである。事件情報の欄には、債権者名、一債権者ごとの進捗状況の表示が追加される。借入先債権者詳細の欄には、債務状況、処理業務の進行管理、交渉時の特記事項や和解時報酬が記録される。交渉記録の欄には、債権者とユーザ(事務所)とのやり取りが記録される。整理情報の欄には、債権者との和解の情報が記録される。ここに登録された和解情報を基に、口座情報(報酬管理)や入出金情報が自動で生成される。これにより、業務効率を向上させることができる。訴訟等情報の欄は、債務整理事件に係わる訴訟を管理する箇所であり、訴訟等情報が記録される。
図25に示すように、「書類作成タブ」がクリックされると、選択中の事件情報に関する書類作成情報を示す書類作成ページが表示される。書類作成ページは、業務に使用する書面(テンプレート)を生成するためのタブページである。この借入先債権者詳細ページでは、書類作成対象の借入先債権者情報、書類作成の欄が表示される。書類作成の欄に指定の書面を登録しておくと、システムにあるデータ(依頼者名や住所、債務状況など)を利用し、業務で使用する書面をボタン一つで作成することができる。
図26に示すように、「分割弁済計画タブ」がクリックされると、選択中の事件情報に関する分割弁済情報を示す分割弁済ページが表示される。分割弁済ページは、返済計画のシミュレーションを行ったり、依頼者に対する返済計画予定表を作成・印刷したりするためのタブページである。この分割弁済情報ページでは、分割弁済計画が表示される。具体的には、図26中の上側画面中の「借入先の整理情報取込」がクリックされると、下側画面のように予定表又は実績表が作成される。
図27に示すように、「口座情報タブ」がクリックされると、選択中の事件情報に関する依頼者の口座情報を示す口座情報ページが表示される。口座情報ページは、依頼者の口座情報を管理するためのタブページである。この口座情報ページでは、口座情報が表示されるが、報酬の充当具合や代理送金の管理を行うことができる。依頼者(債務者)から入金があると、自動で報酬や代理送金に原資を振り分ける。
図28に示すように、「入出金情報タブ」がクリックされると、選択中の事件情報に関する依頼者の入出金情報を示す入出金情報ページが表示される。入出金情報ページは、依頼者の入金予定、入金実績、出金予定、出金実績を管理するためのタブページである。この入出金情報ページでは、報酬・経費の予定管理情報、入出金一覧が表示される。
(債権者情報画面)
図29に示すように、受任後メニューの「債権者情報」がクリックされると、債権者情報画面がユーザ端末の表示部に表示される。ユーザ(例えば、処理担当者や経理担当者など)は、その画面を見て必要な情報を確認する。
債権者情報画面は、債権者情報を提供するための画面である。この画面では、債権者情報検索の欄や検索結果が表示される。検索結果では、事件情報が一覧表示される。一覧内の「確認」ボタンがクリックされると、画面は顧客詳細画面(図21参照)に遷移する。
(口座管理画面)
図30に示すように、受任後メニューの「口座管理」がクリックされると、口座管理画面がユーザ端末の表示部に表示される。ユーザ(例えば、経理担当者など)は、その画面を見て必要な情報を確認する。
口座管理画面は、口座管理情報を提供し、事務所全体として口座情報科目にどのような動きがあったかを確認するための画面である。この画面では、口座情報検索の欄や検索結果が表示される。検索結果では、事件情報が一覧表示される。なお、検索結果の口座一覧をCSV出力することが可能である。
(入金管理画面)
図31に示すように、受任後メニューの「入金管理」がクリックされると、入金管理画面がユーザ端末の表示部に表示される。ユーザ(例えば、経理担当者など)は、その画面を見て必要な情報を確認する。
入金管理画面は、入金情報を提供し、入金(依頼者入金や過払い金返還など)の状況を管理するための画面である。この画面には、入金情報検索の欄や検索結果が表示される。検索結果では、事件ごとの入金予定情報や入金実行情報などが一覧表示される。この入金管理画面により、未入金追いなどの業務効率を向上させることができる。なお、検索結果の入金一覧をCSV出力することが可能である。
(出金管理画面)
図32に示すように、受任後メニューの「出金管理」がクリックされると、出金管理画面がユーザ端末の表示部に表示される。ユーザ(例えば、経理担当者など)は、その画面を見て必要な情報を確認する。
出金管理画面は、出金情報を提供し、出金(依頼者返金や代理送金など)の状況を管理するための画面である。この画面には、出金情報検索の欄や検索結果が表示される。検索結果では、事件ごとの出金予定情報や出金実行情報などが一覧表示される。この出金管理画面により、未出金追いなどの業務効率を向上させることができる。なお、検索結果の出金一覧をCSV出力することが可能である。
(銀行入金処理画面)
図33に示すように、受任後メニューの「銀行入金処理」がクリックされると、銀行入金処理画面がユーザ端末の表示部に表示される。ユーザ(例えば、経理担当者など)は、その画面を見てユーザ端末の入力部を操作し、情報を入力する(例えば、ファイルの選択など)。
銀行入金処理画面は、入金情報(入金済情報)の取り込みを行うための画面である。この画面には、銀行入金確定処理の欄や銀行入金処理確定履歴が表示される。銀行入金処理確定履歴では、銀行入金処理の実行情報(銀行入金処理実行日時や処理結果など)が一覧表示される。
なお、図33では、入金情報の取込処理に関して、前述のAPI連携以外の間接取込手法(図13参照)により、インターネットバンキングシステム22からユーザ端末に一旦取り出した入金情報をクラウドサービスシステム10に取り込むアップロードを例示しているが、前述のAPI連携による直接取込手法(図12参照)を採用する場合には、ボタンをクリックすることで、インターネットバンキングシステム22からクラウドサービスシステム10に直接入金情報を取り込むことができる。
(銀行出金処理画面)
図34に示すように、受任後メニューの「銀行出金処理」がクリックされると、銀行出金処理画面がユーザ端末の表示部に表示される。ユーザ(例えば、経理担当者など)は、その画面を見て必要な情報を確認したり、ユーザ端末の入力部を操作して情報を入力したりする(例えば、処理対象の選択など)。
銀行出金処理画面は、出金情報の作成及び取り込みを行うための画面である。この画面には、銀行出金処理の欄や出金検索結果が表示される。出金検索結果では、銀行に出金を指示する出金指示情報としての送金情報(例えば、事件名や出金予定日、依頼者名、債権者名、出金科目、出金金額、処理対象など)が一覧表示される。この送金情報(出金指示情報)は、事務所の代理口座から複数の債権者の個々の口座に、取り決めの金額を送金(出金)するための情報であり、インターネットバンキングシステム22に送信される。
なお、送金情報(出金指示情報)の取り込み処理に関して、前述の入金情報の場合と同様、API連携以外の間接取込手法により、ユーザ端末からインターネットバンキングシステム22に送金情報を取り込むアップロードを行っても良いし、API連携による直接取込手法により、クラウドサービスシステム10からインターネットバンキングシステム22に直接送金情報を取り込むようにしても良い。
ここで、債務整理事件は、依頼から約6ヶ月後に、依頼者(債務者)と業者(債権者)との間で和解が成立して終了するものである。通常、士業が債務者の代理人として債権者との窓口になるのはそこまでである。その後は代理人である士業と債権者との間で取り決めした支払計画にしたがって債務者は月々の支払を行っていく。ところが、債務者としては、その後も士業が窓口になってくれることを切望している。この理由としては、債務者と債権者との間に弁護士や司法書士が入ると、債務者は債権者と直接やり取りを行うことがなくなり、債務者の精神的負担が軽減される点がある。また、債務者が複数の債権者から借入している場合、通常、それぞれの債権者に対して振込を行うが、代行弁済(代理送金)では債務者は全ての返済分を毎月1回、士業事務所の口座に振り込むことで、後は士業が代行して債権者に振り込んでくれるため、手間がかからない点がある。また、債権者ごとに返済日が異なる等で、返済日に追われて生活する必要がなくなる点もある。さらに、和解後の返済について遅れが生じた場合でも、代行弁済を行っていると債権者の取り立てなども最初に士業に連絡がくるようになっているため、債権者からの連絡が基本的にくることがなくなるので、債務者の精神的負担が軽減される点がある。
このような理由から、士業事務所では、債務整理事件に関する依頼が増加しているが、士業事務所としては、毎月の代行弁済(代理送金)を依頼する債務者が増えることで、人手不足になり業務が回らないため、債務者の依頼希望に添えずにいる。通常、債務整理事件では、債務顧客を管理して特殊な業務を遂行するという業務の性格上、業務処理は複雑であり、代行弁済などの特殊な支払代行業務には専門知識が必要であり、仕事量をこなす物理的な人員確保が困難であるため、債務整理に係る業務効率化が求められている。
そこで、本実施形態では、クラウドサービスシステム10において、債務整理事件に関する債務者ごとの情報が一元管理される。債務者ごとの情報には、ユーザ端末(各端末31〜35のいずれか)に対するユーザの入力操作によって入力された各種情報(例えば、債務者情報、債務者口座情報、事件情報、債権者情報、債務情報、交渉記録情報、裁判進捗情報、裁判経費情報、送金情報など)が反映され、さらに、外部連携サービスシステム20から得られる各種情報(例えば、入出金情報など)も反映される。これにより、ユーザは、各種情報が反映された債務者ごとの情報をクラウドサービスシステム10から容易に取得することが可能になるので、債務整理に係る業務効率を向上させることができる。その結果、士業事務所としては、毎月の代行弁済を依頼する債務者が増加しても、人手不足になり業務が回らないことを抑えることが可能であり、多数の依頼を受けて収益を上げることができる。
以上説明したように、実施の一形態によれば、クラウドサービスシステム10により債務整理に係る情報や機能がユーザ(事務所)に対して提供される。例えば、債務者ごとの各種情報(例えば、債務者情報、債務者口座情報、事件情報、債権者情報、債務情報、交渉記録情報、和解情報、裁判進捗情報、裁判経費情報、送金情報、入出金情報など)は関連付けられて一元管理され、クラウドサービスシステム10の記憶部12に格納されており、ユーザの要求に応じて適切にユーザに提供される。これにより、ユーザはクラウドサービスシステム10から債務者ごとの各種情報を容易に取得することが可能になるので、債務整理に係る業務効率を向上させることができる。
また、クラウドサービスシステム10は、インターネットバンキングシステム22から入金情報を直接受信し、受信した入金情報をクラウドサービスシステム10の記憶部12に記憶された債務者ごとの情報に反映する。これにより、入金情報は債務者ごとの情報に自動的に反映されるので、ユーザは入金情報に係るデータ入力作業や取込作業などを行う必要が無く、クラウドサービスシステム10から容易に入金情報(入金済データ)を取得することが可能になるので、債務整理に係る業務効率を向上させることができる。さらに、クラウドサービスシステム10はインターネットバンキングシステム22に送金情報を送信することが可能であるため、ユーザは入金確認後にクラウドサービスシステム10に対して送金指示を行うだけで、インターネットバンキングシステム22に送金情報を容易に送信することが可能になるので、債務整理に係る業務効率を向上させることができる。
また、クラウドサービスシステム10は、インターネットバンキングシステム22から出金情報を直接受信し、受信した出金情報をクラウドサービスシステム10の記憶部12に記憶された債務者ごとの情報に反映する。これにより、出金情報は債務者ごとの情報に自動的に反映されるので、ユーザは出金情報に係るデータ入力作業や取込作業などを行う必要が無く、クラウドサービスシステム10から容易に出金情報(出金済データ)を取得することが可能になるので、債務整理に係る業務効率を向上させることができる。
<他の実施形態>
前述の説明においては、債務顧客管理システム1を金融機関からの債務者に対するシステムに適用することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、交通事故や他の理由などを原因とする債務者に対するシステムに適用することも可能である。
また、前述の説明においては、クラウドサービスシステム10に各種機能を設けているが、その機能として、例えば、FAX(ファックス)送信機能を設けることが可能である。通常、ユーザは、ユーザ端末を操作してクラウドサービスシステム10から通知書面などを印刷し、関係各社へのFAX送信を手動により行う。ところが、クラウドサービスシステム10がFAX送信機能を実装することで、クラウドサービスシステム10から直接関係各社へ通知書面などをFAX送信することが可能になる。これにより、手動による手間や誤送信の軽減、また、経費削減などを実現することができ、結果として、債務整理に係る業務効率を向上させることができる。例えば、介入通知(図8のステップS22やS23など参照)、辞任通知(図8や図10の未入金による辞任など参照)、和解案提示(図9のステップS42参照)などにクラウドサービスシステム10のFAX送信機能を用いることが可能である。
また、前述の説明においては、士業事務所から相談者や依頼者などへの連絡手段として、電話だけでなくメールによる連絡も頻繁に行っている。その際、メールアドレスの指定ミスなどによる誤送信あるいは書類の誤添付などが発生するリスクがある。このようなリスクを払拭する一つの手段として、クラウドサービスシステム10上で、個別のメーラーソフトを介さずにメールあるいはメッセージのやり取りを上記の懸念なく安全にできるように、業務フローごとに送信先を限定する機能(送信先限定機能)などを提供することが可能である。債務者への連絡方法の一つとしてメールを用いるため、前述の送信先限定機能を有するメール送信機能は全般で使用される機能となる。フェーズとしては、例えば、書類発送(図7のステップS8参照)、和解書送付(図9のステップS51参照)、代理送金案内(図9のステップS54参照)などがある。
なお、前述の実施形態としては、ハードウェアの実施形態、ソフトウェアの実施形態、また、ハードウェアとソフトウェアの両方を含む実施形態の形式を取ることができる。ソフトウェアは、ファームウェア、マイクロコード、レジデントソフトウェアなどを含むが、これらに限定されるものではない。また、前述の実施形態に係るプログラムは、コンピュータ利用可能(例えば、コンピュータ読取可能)な記憶媒体に記憶されるコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。コンピュータ利用可能な記憶媒体とは、例えば、システムや装置、機器などにより使用されるプログラムを包含、格納、伝達、伝送、搬送することが可能な任意の装置である。この記憶媒体としては、電子的媒体、磁気的媒体、光媒体、光磁気媒体、赤外線媒体、半導体システム(または装置や機器)、伝達媒体などがある。記憶媒体の例としては、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、リムーバブルディスク、光ディスク、固定磁気ディスク、磁気テープなどがある。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。