JP2020169202A - シクロペンタノンの製造方法 - Google Patents

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【課題】高い選択率でシクロペンタノンを製造することが可能なシクロペンタノンの製造方法を提供する。【解決手段】銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒を水分量が1000体積ppm以下の雰囲気中で脱水し、脱水触媒を得る工程(A)と、脱水触媒の存在下でシクロペンタノールの気相脱水素反応によりシクロペンタノンを製造する工程(B)とを含む、シクロペンタノンの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、シクロペンタノンの製造方法に関し、特にはシクロペンタノールの気相脱水素反応を用いたシクロペンタノンの製造方法に関するものである。
従来、ジャスミン系香料の製造原料などとして有用なシクロペンタノンの製造方法として、触媒の存在下でシクロペンタノールの気相脱水素反応を行うことによりシクロペンタノンを製造する技術が知られている。
ここで、シクロペンタノールの気相脱水素反応によりシクロペンタノンを製造する際には、副生成物の生成を抑制し、高い選択率でシクロペンタノンを製造することが求められている。
そこで、例えば特許文献1では、銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒を用いてシクロペンタノールの気相脱水素反応を行うことにより、シクロペンタノンを高選択率で製造する技術が提案されている。そして、特許文献1では、オーブンで190℃に加温した反応管中の触媒に対して気化させたシクロペンタノールを供給し、シクロペンタノンを製造している。
特開2012−219060号公報
しかし、銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒を用いた上記従来のシクロペンタノンの製造方法には、シクロペンタノンの選択率を更に向上させるという点において改善の余地があった。
そこで、本発明は、高い選択率でシクロペンタノンを製造することが可能なシクロペンタノンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒について、所定の雰囲気中で脱水をした後にシクロペンタノールの気相脱水素反応に使用すれば、シクロペンタノンの選択率を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のシクロペンタノンの製造方法は、銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒を水分量が1000体積ppm以下の雰囲気中で脱水し、脱水触媒を得る工程(A)と、前記脱水触媒の存在下でシクロペンタノールの気相脱水素反応によりシクロペンタノンを製造する工程(B)とを含むことを特徴とする。このように、銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒を所定の雰囲気中で脱水して得た脱水触媒を使用すれば、高い選択率でシクロペンタノンを製造することができる。
なお、本発明において、雰囲気中の水分量は、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)を用いて測定することができる。
ここで、本発明のシクロペンタノンの製造方法は、前記雰囲気の温度が130℃以上であることが好ましい。水分量が1000体積ppm以下の雰囲気の温度が130℃以上であれば、工程(B)におけるシクロペンタノンの選択率を更に高めることができるからである。
また、本発明のシクロペンタノンの製造方法は、前記雰囲気が不活性ガス雰囲気であることが好ましい。水分量が1000体積ppm以下の雰囲気が不活性ガス雰囲気であれば、工程(B)におけるシクロペンタノンの選択率を更に高めることができるからである。
更に、本発明のシクロペンタノンの製造方法は、前記雰囲気が減圧雰囲気であることが好ましい。水分量が1000体積ppm以下の雰囲気が減圧雰囲気であれば、工程(B)におけるシクロペンタノンの選択率を更に高めることができるからである。
また、本発明のシクロペンタノンの製造方法は、前記脱水触媒が、熱重量分析(TGA)による30℃から550℃までの加熱減量が3.5質量%以下であることが好ましい。脱水触媒の加熱減量が3.5質量%以下であれば、工程(B)におけるシクロペンタノンの選択率を更に高めることができるからである。
なお、本発明において、脱水触媒の加熱減量は、熱分析装置を使用し、計装用空気(水分量:21体積ppm)雰囲気下、脱水触媒を、昇温速度10℃/分で30℃から550℃まで加熱し、更に550℃で5分間保持する操作を行った際の脱水触媒の質量変化を測定することにより、求めることができる。
更に、本発明のシクロペンタノンの製造方法は、前記工程(A)の前に、銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒の存在下でシクロペンタノールの気相脱水素反応によりシクロペンタノンを製造する工程(C)を更に含み、前記工程(A)において、前記工程(C)で使用した使用済み触媒を脱水することが好ましい。使用済み触媒を脱水して再利用すれば、シクロペンタノンを高い選択率で効率的に製造することができるからである。
そして、本発明のシクロペンタノンの製造方法は、前記工程(C)においてシクロペンタノンの選択率を測定し、前記選択率が所定値以下の場合に前記工程(A)を実施することが好ましい。シクロペンタノンの選択率に基づいて工程(A)を実施すれば、シクロペンタノンを高い選択率で効率的に製造することができるからである。
本発明のシクロペンタノンの製造方法によれば、高い選択率でシクロペンタノンを製造することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明のシクロペンタノンの製造方法は、シクロペンタノールからシクロペンタノンを製造する際に用いることができる。そして、本発明のシクロペンタノンの製造方法を用いて製造したシクロペンタノンは、特に限定されることなく、例えば香料の製造原料などとして用いることができる。
(シクロペンタノンの製造方法)
本発明のシクロペンタノンの製造方法は、銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒を水分量が1000体積ppm以下の雰囲気中で脱水し、脱水触媒を得る工程(A)と、工程(A)で得た脱水触媒の存在下でシクロペンタノールの気相脱水素反応によりシクロペンタノンを製造する工程(B)とを含む。そして、本発明のシクロペンタノンの製造方法では、所定の触媒を所定の雰囲気中で脱水して得た脱水触媒を使用してシクロペンタノールの気相脱水素反応を行っているので、副反応の発生を抑制し、シクロペンタノールからシクロペンタノンを高い選択率で製造することができる。
なお、脱水触媒を使用することでシクロペンタノンの選択率を向上させることができる理由は、明らかではないが、脱水触媒を使用することで、親水性の高いシクロペンタノンが触媒の表面に吸着してアルドール縮合が進行するのを防止することができるためであると推察される。
<工程(A)>
ここで、工程(A)では、銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒を水分量が1000体積ppm以下の雰囲気中で脱水し、脱水触媒を得る。なお、工程(A)における触媒の脱水は、工程(B)において気相脱水素反応を行う反応器内で行ってもよいし、反応器の外側(例えば、反応器とは別に設けた脱水チャンバー内など)で行ってもよいが、作業効率の観点からは反応器内で行うことが好ましい。
[触媒]
工程(A)で脱水される、銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒としては、銅の酸化物(以下、「銅酸化物」と称することがある。)とケイ素の酸化物(以下、「ケイ素酸化物」と称することがある。)とを含有し、任意にアルミニウムの酸化物や亜鉛の酸化物などのその他の成分を更に含有する触媒を用いることができる。
中でも、銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒としては、銅酸化物の含有量とケイ素酸化物の含有量との合計が、触媒全体に対して45質量%以上100質量%以下である触媒が好ましく、銅酸化物の含有量とケイ素酸化物の含有量との合計は、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以下であることが好ましい。銅酸化物の含有量とケイ素酸化物の含有量との合計が上記範囲内であれば、シクロペンタノールの気相脱水素反応を行った際のシクロペンタノンの選択率および収率を向上させることができるからである。
なお、本発明において、銅酸化物の含有量は、触媒中の銅酸化物の全量をCuOに換算して表した値であり、ケイ素酸化物の含有量は、触媒中のケイ素酸化物の全量をSiOに換算して表した値である。そして、本発明において、触媒の組成は、蛍光X線分析を用いて測定することができる。
[[銅の酸化物]]
ここで、触媒に含まれている銅原子の酸化状態は、銅酸化物を構成する限り、特に限定されない。触媒中の銅原子の酸化状態は、通常1価または2価であり、2価が好ましい。
[[ケイ素の酸化物]]
また、触媒に含まれているケイ素原子の酸化状態は、ケイ素酸化物を構成する限り、特に限定されない。触媒中のケイ素原子の酸化状態は、通常4価である。
そして、触媒中の銅酸化物の含有量とケイ素酸化物の含有量との質量比(銅酸化物:ケイ素酸化物)は、30:70〜90:10の範囲であることが好ましく、40:60〜80:20の範囲であることがより好ましい。銅酸化物とケイ素酸化物との含有量比が上記範囲内であれば、シクロペンタノールの気相脱水素反応を行った際のシクロペンタノンの選択率および収率を更に向上させることができるからである。
[[その他の成分]]
触媒が含有し得るその他の成分としては、金属元素の単体やその酸化物等が挙げられる。
上記金属元素としては、例えば、ナトリウム等の周期律表第1族の金属元素、カルシウム等の周期律表第2族の金属元素、亜鉛、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、鉛、錫、モリブデン、チタン、ジルコニウム等の周期律表第3〜12族の金属元素、アルミニウム等の周期律表第13族の金属元素などが挙げられる。
中でも、その他の成分としては、アルミニウムの酸化物、亜鉛の酸化物およびカルシウムの酸化物が好ましく、アルミニウムの酸化物がより好ましい。その他の成分としてアルミニウムの酸化物、亜鉛の酸化物およびカルシウムの酸化物からなる群より選択される少なくとも一つを含有する触媒を使用すれば、シクロペンタノンの選択率を十分に向上させることができるからである。
なお、アルミニウムの酸化物の含有量は、触媒全体に対して0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。ここで、本発明において、アルミニウムの酸化物の含有量は、触媒中のアルミニウムの酸化物の全量をAlに換算して表した値である。
また、亜鉛の酸化物の含有量は、触媒全体に対して40質量%以上50質量%以下であることが好ましく、42質量%以上48質量%以下であることがより好ましい。ここで、本発明において、亜鉛の酸化物の含有量は、触媒中の亜鉛の酸化物の全量をZnOに換算して表した値である。
更に、カルシウムの酸化物の含有量は、触媒全体に対して10質量%以上20質量%以下であることが好ましく、12質量%以上16質量%以下であることがより好ましい。ここで、本発明において、カルシウムの酸化物の含有量は、触媒中のカルシウムの酸化物の全量をCaOに換算して表した値である。
[[触媒の準備]]
ここで、銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する上記触媒は、特に限定されることなく、例えば、共沈法、混練法等の公知の調製方法を用いて調製することができる。具体的には、例えば特開2012−219060号公報に記載の方法を用いて調製することができる。中でも、触媒は、乾燥および/または焼成を施したものであることが好ましい。また、触媒は、還元処理を施されていないものであることが好ましい。
そして、工程(A)で脱水される触媒は、シクロペンタノールの気相脱水素反応に一度も使用されていない未使用の触媒であってもよいし、シクロペンタノールの気相脱水素反応に使用した後の使用済み触媒であってもよい。即ち、本発明のシクロペンタノンの製造方法では、上述したようにして調製した触媒を工程(A)で脱水してもよいし、銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒の存在下でシクロペンタノールの気相脱水素反応によりシクロペンタノンを製造する工程(C)を工程(A)の前に実施し、工程(C)で使用した使用済み触媒を工程(A)で脱水してもよい。未使用の触媒を工程(A)で脱水してからシクロペンタノンの製造に使用すれば、触媒の使用開始初期からシクロペンタノンを高い選択率で製造することができる。また、使用済み触媒を工程(A)で脱水してからシクロペンタノンの製造に使用すれば、使用済み触媒を再利用して、シクロペンタノンを高選択率で効率的に製造することができる。
ここで、工程(C)を実施し、使用済み触媒を工程(A)で脱水してからシクロペンタノンの製造に使用する場合、工程(C)におけるシクロペンタノンの製造を停止して工程(A)を実施するタイミングは、特に限定されることなく、例えばシクロペンタノンの製造設備の定期点検時などの任意のタイミングとすることができる。中でも、シクロペンタノンを高選択率で連続的に製造する観点からは、工程(A)は、工程(C)の実施中にシクロペンタノンの選択率を連続的または断続的に測定し、測定した選択率が所定値以下の場合に実施することが好ましい。なお、工程(A)を開始する選択率の「所定値」は、所望の選択率に応じて適宜設定することができる。
[水分量が1000体積ppm以下の雰囲気]
工程(A)において上述した触媒の脱水を行う雰囲気は、水分量が1000体積ppm以下であることが必要であり、雰囲気中の水分量は、50体積ppm以下であることが好ましく、25体積ppm以下であることがより好ましい。例えば大気中などの水分量が1000体積ppm超の雰囲気では、得られる脱水触媒をシクロペンタノールの気相脱水素反応に使用した際にシクロペンタノンの選択率を十分に向上させることができない。一方、水分量が上記上限値以下の雰囲気であれば、得られる脱水触媒をシクロペンタノールの気相脱水素反応に使用した際にシクロペンタノンの選択率を十分に向上させることができる。
なお、水分の除去に要するコストを削減する観点からは、上記雰囲気中の水分量は、特に限定されることなく、1体積ppm以上とすることができる。
ここで、上記水分量が1000体積ppm以下の雰囲気としては、特に限定されることなく、乾燥空気雰囲気、不活性ガス雰囲気および減圧雰囲気が挙げられる。中でも、触媒が酸化または還元するのを抑制し、得られる脱水触媒をシクロペンタノールの気相脱水素反応に使用した際にシクロペンタノンの選択率を十分に向上させる観点からは、水分量が1000体積ppm以下の雰囲気は、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、ヘリウム雰囲気、二酸化炭素雰囲気などの不活性ガス雰囲気、或いは、減圧雰囲気であることが好ましい。
[触媒の脱水]
そして、乾燥空気雰囲気または不活性ガス雰囲気中で触媒の脱水を行う場合には、触媒の脱水は、触媒と乾燥空気または不活性ガスとを、バッチ(回分)操作で、或いは、連続的または断続的に接触させることにより行うことができる。
中でも、得られる脱水触媒をシクロペンタノールの気相脱水素反応に使用した際にシクロペンタノンの選択率を更に向上させる観点からは、触媒と接触させる雰囲気の温度は、130℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。なお、熱により触媒中の銅の酸化物が凝集するのを防止する観点からは、触媒と接触させる雰囲気の温度は、450℃以下であることが好ましい。
ここで、シクロペンタノンの選択率を向上させる観点からは、乾燥空気雰囲気または不活性ガス雰囲気と触媒とを接触させる時間は、例えば、1時間以上とすることができる。
更に、シクロペンタノンの選択率を向上させる観点からは、触媒を充填した空間内に乾燥空気または不活性ガスを流通させる際のガス空間速度(GHSV)は、例えば、毎時10以上とすることができる。
また、減圧雰囲気中で触媒の脱水を行う場合には、触媒の脱水は、真空ポンプなどの減圧装置を用いて触媒を充填した空間内を減圧することにより行うことができる。中でも、得られる脱水触媒をシクロペンタノールの気相脱水素反応に使用した際にシクロペンタノンの選択率を更に向上させる観点からは、減圧雰囲気の圧力(ゲージ圧)は、0kPa未満であることが好ましく、−90kPa以下であることがより好ましい。
ここで、シクロペンタノンの選択率を向上させる観点からは、触媒を減圧雰囲気に曝す時間は、例えば、1時間以上とすることができる。
また、減圧雰囲気の温度は、特に限定されることなく、0℃以上450℃以下とすることができる。
[脱水触媒]
そして、上述した工程(A)では、触媒に付着していた水分および/または触媒に存在していた水酸基の脱離が起こり、脱水触媒が得られる。
そして、脱水触媒は、熱重量分析(TGA)による30℃から550℃までの加熱減量が3.5質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましい。加熱減量が上記上限値以下であれば、脱水触媒をシクロペンタノールの気相脱水素反応に使用した際にシクロペンタノンの選択率を更に向上させることができるからである。なお、脱水触媒の加熱減量は、1質量%以上であることが好ましく、1.5質量%以上であることがより好ましい。加熱減量が少な過ぎる場合、原因は明らかではないが、脱水触媒をシクロペンタノールの気相脱水素反応に使用した際にシクロペンタノールの転化率が一時的に低下することがあるからである。
<工程(B)>
工程(B)では、工程(A)で得た上記脱水触媒の存在下でシクロペンタノールの気相脱水素反応によりシクロペンタノンを製造する。
なお、工程(B)は、通常、工程(A)に続けて(即ち、工程(A)の直後に)実施する。換言すれば、本発明のシクロペンタノンの製造方法では、工程(A)の後に脱水触媒を水分量が1000体積ppm超の雰囲気に曝すことなく、工程(B)を実施することが好ましい。但し、本発明のシクロペンタノンの製造方法では、所期の効果が得られる範囲内であれば、工程(A)と工程(B)との間に任意のその他の工程を含んでいてもよい。具体的には、例えば工程(A)を反応器の外側で実施した場合には、所期の効果が得られる範囲内であれば、工程(A)と工程(B)との間に脱水触媒を反応器に充填する工程などを含んでいてもよい。
ここで、工程(B)では、上記脱水触媒を使用すること以外は特に制限されることなく、公知の方法を用いてシクロペンタノールの気相脱水素反応を行うことができる。具体的には、工程(B)では、特に限定されることなく、例えば特開2012−219060号公報に記載されている方法および反応条件と同様の方法および反応条件を用いてシクロペンタノールの気相脱水素反応を行うことができる。より具体的には、シクロペンタノール単体またはシクロペンタノールと不活性ガス若しくは不活性溶媒との混合物を、公知の気化装置を使用して気体状態とした後、脱水触媒が充填された反応器内に導入して気体状態のシクロペンタノールと脱水触媒とを接触させることで、シクロペンタノールの脱水素反応を行い、シクロペンタノンを製造することができる。そして、シクロペンタノールの気相脱水素反応の反応温度は、例えば140℃以上450℃以下とすることができ、反応圧力(ゲージ圧)は、例えば0Pa以上0.3MPa以下とすることができる。また、反応器に供給するシクロペンタノールの液空間速度(LHSV)は、例えば毎時0.5以上200以下とすることができる。
なお、工程(B)で得られた反応生成物からのシクロペンタノンの回収は、特に限定されることなく、例えば反応生成物を冷却して液化した後、蒸留などの既知の精製方法を用いて得られた液体を精製することにより行うことができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
そして、実施例および比較例において、雰囲気中の水分量、触媒の組成および加熱減量、シクロペンタノールの転化率、並びに、シクロペンタノンの選択率は、下記の方法で測定した。
<水分量>
雰囲気中の水分量は、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)を用いて測定した。
具体的には、フーリエ変換赤外分光光度計(大塚電子社製、IG−1000)を使用し、測定対象の雰囲気のFT−IRスペクトルを測定した。そして、波数が3400〜4000cm−1の領域に観察されるピークの面積と、予め作成しておいた、ピークの面積と水分量との関係を示す検量線とを用いて、雰囲気中の水分量を求めた。
<組成>
触媒の組成は、蛍光X線分析装置(Bruker AXS社製、S2 RANGER)を用いて測定した。
<加熱減量>
示差熱・熱重量(TG/DTA)同時測定が可能な熱分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA 6200)に測定試料をセットし、計装用空気(水分量:21体積ppm)雰囲気下、昇温速度10℃/分で30℃から550℃まで加熱し、更に550℃で5分間保持した。そして、測定試料の質量変化から加熱減量(={(加熱前の測定試料の質量−550℃で5分間保持した後の測定試料の質量)/加熱前の測定試料の質量}×100%)を算出した。
<転化率および選択率>
得られた凝縮液(粗生成物)をガスクロマトグラフィー(Agilent Technologies社製、Agilent 6850)で分析し、凝縮液の組成を求めた。そして、下記の式を用いて転化率および選択率を算出した。
シクロペンタールの転化率=[1−(反応器出口におけるシクロペンタノールの流量(モル/分))÷(導入したシクロペンタノールの流量(モル/分))]×100%
シクロペンタノンの選択率=(反応器出口のシクロペンタノンの流量(モル/分))÷[(導入したシクロペンタノールの流量(モル/分))−(反応器出口におけるシクロペンタノールの流量(モル/分))]×100%
(実施例1)
<脱水触媒の調製>
ステンレス製の反応器(内径9.3mm、長さ100mm)に、銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒として酸化銅−シリカ(二酸化ケイ素)系触媒(円柱状押し出し成型品、組成[酸化銅:67質量%、シリカ:27質量%、酸化ナトリウム:2質量%、その他の金属酸化物および水分:4質量%]、日揮触媒化成社製、E35S)を5.5mL充填した。
その後、温度190℃の窒素ガス(水分量:6体積ppm)を、反応器内に連続的に4時間流通させ、温度190℃の窒素雰囲気下で触媒の脱水を行って脱水触媒を得た。そして、得られた脱水触媒の加熱減量を測定した。結果を表1に示す。
<シクロペンタノールの気相脱水素反応>
脱水触媒の調製後、反応器の入口から気化させたシクロペンタノール(純度:99.2%)を液空間速度(LHSV)4.8hr−1の速度で供給し、反応器の出口圧力を常圧に保ちながら190℃で連続的に脱水素反応を行った。そして、反応器の出口から気体として流出した反応生成物を冷却捕集し、凝縮液(粗生成物)を得た。
反応開始から2時間経過後に採取した凝縮液および反応開始から24時間経過後に採取した凝縮液をガスクロマトグラフィーで分析し、シクロペンタノールの転化率およびシクロペンタノンの選択率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例2)
脱水触媒の調製時に、反応器に流通させる窒素ガスの温度を150℃に変更した以外は実施例1と同様にして、脱水触媒の調製およびシクロペンタノールの気相脱水素反応を行った。そして、実施例1と同様にして各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
脱水触媒を調製することなく、反応器に充填した酸化銅−シリカ系触媒(日揮触媒化成社製、E35S)をそのまま用いた以外は実施例1と同様にして、シクロペンタノールの気相脱水素反応を行った。そして、実施例1と同様にして各種測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例2および3)
<湿潤触媒の調製>
超純水を貯留した大型バットを2つ準備し、酸化銅−シリカ系触媒(日揮触媒化成社製、E35S)を敷き詰めた小型バットを各大型バット内にそれぞれ収容し、各大型バットにアルミホイルで蓋をした。なお、大型バット内の超純水の水位は、小型バットの高さよりも低くし、超純水が酸化銅−シリカ系触媒に直接接触しないようにした。そして、小型バットを収容した大型バットをそれぞれ温度23℃の室内に2週間放置し、湿潤触媒1(比較例2)および湿潤触媒2(比較例3)を調製した。そして、得られた湿潤触媒の加熱減量を測定した。結果を表1に示す。
<シクロペンタノールの気相脱水素反応>
ステンレス製の反応器(内径9.3mm、長さ100mm)に、調製した湿潤触媒を5.5mL充填した。そして、反応器の入口から気化させたシクロペンタノール(純度:99.2%)を液空間速度(LHSV)4.8hr−1の速度で供給し、反応器の出口圧力を常圧に保ちながら190℃で連続的に脱水素反応を行った。そして、反応器の出口から気体として流出した反応生成物を冷却捕集し、凝縮液(粗生成物)を得た。
反応開始から2時間経過後に採取した凝縮液および反応開始から24時間経過後に採取した凝縮液をガスクロマトグラフィーで分析し、シクロペンタノールの転化率およびシクロペンタノンの選択率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2020169202
表1より、脱水触媒を使用した実施例1および2では、比較例1〜3よりも高い選択率でシクロペンタノンを製造し得ることが分かる。
本発明によれば、高い選択率でシクロペンタノンを製造することができる。

Claims (5)

  1. 銅の酸化物およびケイ素の酸化物を含有する触媒を水分量が1000体積ppm以下の雰囲気中で脱水し、脱水触媒を得る工程(A)と、
    前記脱水触媒の存在下でシクロペンタノールの気相脱水素反応によりシクロペンタノンを製造する工程(B)と、
    を含む、シクロペンタノンの製造方法。
  2. 前記雰囲気の温度が130℃以上である、請求項1に記載のシクロペンタノンの製造方法。
  3. 前記雰囲気が不活性ガス雰囲気である、請求項1または2に記載のシクロペンタノンの製造方法。
  4. 前記雰囲気が減圧雰囲気である、請求項1に記載のシクロペンタノンの製造方法。
  5. 前記脱水触媒は、熱重量分析(TGA)による30℃から550℃までの加熱減量が3.5質量%以下である、請求項1〜4の何れかに記載のシクロペンタノンの製造方法。
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