JP2020168607A - 気泡の製造方法及び物質の製造方法 - Google Patents

気泡の製造方法及び物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】気泡を製造することができる新規な方法を提供することを目的とする。【解決手段】気体を液体媒体(A)中に静電噴霧することにより、前記液体媒体(A)中に前記気体から構成される1μm以下の気泡を製造する静電噴霧工程、を含むことを特徴とする気泡の製造方法。【選択図】図1

Description

本開示は、気泡の製造方法及び物質の製造方法に関する。
従来、物質同士を反応させることにより得られる物質の製造方法として種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、モノマーを含有する第1液体試料が静電噴霧された正又は負に帯電した第1液滴と、ラジカル開始剤を含有する第2液体試料が静電噴霧された、前記第1液滴とは逆に帯電した第2液滴とを、媒体液体中で衝突させて重合反応させ、ポリマーを得るステップを少なくとも含む、液中エレクトロスプレー法によるポリマーの製造方法が記載されている。
特許文献2には、所定の化合物を含有する第1液体試料を電場中に静電噴霧するための第1エレクトロスプレーノズル及び第1エレクトロスプレーノズルとの間に電場を形成するための対向電極(CE)を媒体液体中に設置し、該第1エレクトロスプレーノズルとCEとの間に電位差を与えて第1液体試料を媒体液体中で帯電した液滴状に断片化し、該第1エレクトロスプレーノズルから該CEに向かって静電噴霧する液中エレクトロスプレー法も記載されている。また、特許文献3には、第一溶液を霧状にして噴霧するための第一噴射ノズルを備えたエレクトロスプレーを構成する第一噴霧手段と、第二溶液を霧状にして噴霧するための第二噴射ノズルとを備えたエレクトロスプレーを構成する第二噴霧手段と、前記第一噴霧手段及び第二噴霧手段に電位差を与えるための電圧印加手段とを備えるマイクロ反応場形成装置も記載されている。
特許文献4には、アクリル酸系単量体に対して、界面活性剤不存在下または0.003重量%以下の界面活性剤の存在下で、単量体水溶液と不活性ガスとをマイクロバブル発生装置で混合し、不活性ガスの気泡を単量体水溶液に懸濁させて単量体を重合させる製造方法が記載されている。
国際公開第2018/043696号 特開2015−213905号公報 国際公開第2012/173262号 特開2014−237846号公報
本開示は、気泡を製造することができる新規な方法を提供することを目的とする。また、物質を製造することができる新規な方法を提供することを目的とする。
本開示は、気体を液体媒体(A)中に静電噴霧することにより、上記液体媒体(A)中に上記気体から構成される1μm以下の気泡を製造する静電噴霧工程、を含むことを特徴とする気泡の製造方法を提供する。
本開示はまた、気体を液体媒体(A)中に静電噴霧することにより、上記液体媒体(A)中に上記気体から構成される1μm以下の気泡を製造する静電噴霧工程、及び、上記液体媒体(A)中に存在する化学物質と、上記気泡を構成する気体とを反応させる反応工程を含むことを特徴とする物質の製造方法を提供する。
本開示は更に、気体を液体媒体(A)中に静電噴霧することにより、上記液体媒体(A)中に上記気体から構成される1μm以下の気泡を製造する静電噴霧工程、及び、
上記液体媒体(A)に2層分離するように配置された液体媒体(B)中に存在する化学物質と、上記気泡を構成する気体とを反応させる反応工程を含む
ことを特徴とする物質の製造方法を提供する。
本開示は更に、液体媒体(A)中に、気体を静電噴霧するための第1ノズル及び上記気体と反応する化学物質を含む上記液体媒体(B)を静電噴霧するための第2ノズルを対向するように設置し、上記第1ノズルと上記第2ノズル間に電位差を設けることにより上記気体及び上記液体媒体(B)を静電噴霧して上記気体から構成される1μm以下の気泡と上記液体媒体(B)から構成させる液滴を製造する静電噴霧工程、及び、
上記液体媒体(B)中に存在する化学物質と、上記気泡を構成する気体とを反応させる反応工程を含む
ことを特徴とする物質の製造方法を提供する。
上記気体はオレフィンであり、上記化学物質はラジカル重合開始剤であり、上記反応工程は、オレフィンを重合してポリマーを製造する工程であることが好ましい。上記オレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン及びブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
上記ラジカル重合開始剤は、水溶性ラジカル重合開始剤又は油溶性ラジカル開始剤であることが好ましい。
本開示の製造方法は、気泡を新規な方法で製造することができる。本開示の製造方法はまた、物質を新規な方法で製造することができる。
本開示の物質の製造方法を模式的に示す図であり、化学物質を含む液体媒体(A)中にエレクトロスプレーノズルと電極とを設置して、エレクトロスプレーノズルにより静電噴霧する第1態様を示す。 本開示の物質の製造方法を模式的に示す図であり、液体媒体(A)からなる第1層にエレクトロスプレーノズルを設置し、他の液体媒体(B)からなる第2層に電極を設置して、エレクトロスプレーノズルにより静電噴霧する第2態様を示す。 本開示の物質の製造方法を模式的に示す図であり、液体媒体(A)からなる第1層にエレクトロスプレーノズルを設置し、化学物質を含む他の液体媒体(B)からなる第2層上の第3層に電極を設置して、エレクトロスプレーノズルにより静電噴霧する第3態様を示す。 本開示の物質の製造方法を模式的に示す図であり、2台のエレクトロスプレーノズルから気体と、化学物質を含む液体とをそれぞれ静電噴霧する第4態様を示す。
本開示の気泡及び物質の製造方法は、気体を液体媒体中に静電噴霧することによって1μm以下の気泡を形成できることを見いだし完成したものである。
以下、本発明を具体的に説明する。
本開示の気泡の製造方法は、気体を液体媒体(A)中に静電噴霧(エレクトロスプレー)することにより、上記液体媒体(A)中に上記気体から構成される1μm以下の気泡を製造する静電噴霧工程を含む。
液体媒体(A)中に気体を静電噴霧すれば自ずと直径が1μm以下の気泡が製造される。気泡の大きさは、動的光散乱法やレーザー回折法により確認することもできる。
また、気泡径が1μm以下の所謂ウルトラファインバブルになると気泡の液体媒体中での浮上が抑制され、気泡が液体媒体中に留まる現象がみられることからおおよその気泡径を確認することができる。
上記静電噴霧は、電場が形成された液体媒体(A)中に気体を噴霧することにより行うことができる。
上記電場の電界強度は特に限定されないが、より微小な気泡を製造する観点から、2.5×10V/m以上が好ましい。より好ましくは5×10V/m以上であり、更に好ましくは7.5×10V/m以上であり、特に好ましくは1.0×10V/m以上である。また、電界強度の上限は特に限定されないが、電界強度が高すぎると放電破壊が発生するおそれがあるため、3.0×10V/m以下が好ましく、2.0×10V/m以下がより好ましく、1.0×10V/m以下が更に好ましい。
上記静電噴霧のより具体的な方法としては、液体媒体(A)中に設置された第1エレクトロスプレーノズル(以下「第1ESN」とも記載する)と、液体媒体(A)中又は他の液体媒体(B)中に設置された電極又は第2エレクトロスプレーノズル(以下「第2ESN」とも記載する)とに電位差を与えることで液体媒体(A)に電場を形成し、第1ESNから気体を放出することによって行うことができる。
上記電位差を与える方法は限定されず、例えば、1つの電源を第1ESNと、第2ESN又は電極とに接続し、第1ESNと、第2ESN又は電極とに電圧を印加してもよい。また、2つの電源を使用して第1ESNと、第2ESN又は電極との電位を制御する方法を用いてもよい。
また、第1ESNと、第2ESN又は電極との間に電位差が生じればよく、例えば、第1ESNを+の電位、第2ESN又は電極を−の電位としてもよいし、第1ESNを−の電位、第2ESN又は電極を+の電位としてもよい。
更に、第1ESNの電位が0、第2ESN又は電極の電位が−であってもよいし、第1ESNの電位が0、第2ESN又は電極の電位が+であってもよいし、第1ESNの電位が−、第2ESN又は電極の電位が0であってもよいし、第1ESNの電位が+、第2ESN又は電極の電位が0であってもよい。第1ESN、第2ESN又は電極の電位が0である場合、第1ESN、第2ESN又は電極をアースと接続してもよい。
上記第1ESNと、電極又は第2ESNとの間に与える電位差の下限は特に限定されず、例えば、0.1kV以上、好ましくは2.0kV以上の範囲内で適宜設定することが好ましい。上記電位差の上限は特に限定されず、例えば、20.0kV以下、好ましくは15.0kV以下の範囲内で適宜設定することが好ましい。
上記第1ESNと、電極又は第2ESNとは一対でもよいし、複数対でもよい。第1ESNと、電極又は第2ESNとの数は異なっていてもよい。
上記第1ESN又は第2ESNとしては、電場を形成させるために、ステンレスチューブ、表面を金等の金属でメッキしたキャピラリーチューブ、炭素キャピラリーチューブ等が挙げられる。かかるキャピラリーチューブは、さらに、その先端が露出するような状態でステンレス等の金属チューブあるいは炭素チューブでその一部が覆われていてもよい。
液体媒体中における気体の静電噴霧では、エレクトロスプレーノズル先端に円錐形の気体が形成され、その先端から帯電泡が噴霧される。エレクトロスプレーでは、最も強い電場がかかっているノズル先端部から気体が流出し、ノズル先端に集まっていた過剰電荷が気体に移動し、気体中の過剰電荷が増大すると電荷同士のクーロン反発により静電反発力が生じる。一方、液体媒体と気泡の界面には界面張力が働き、表面積を小さくしようとして内部に向かう力として働く。静電反発力が界面張力を超えると帯電した気泡が噴霧される。そのため、より微小な気泡を発生するためには、強電場を形成することが好ましい。
上記第1ESN又は第2ESNのノズル内径は特に限定されないが、例えば、ノズル外径260μm、ノズル内径130μmのステンレス製注射針を使用することが多い。さらに細い針で強い電場を形成すれば気泡は小さくなる。
上記電極の材質は液体媒体(A)に電場を形成することができるものであれば限定されないが、電極が設置される液体により腐食しないものが好ましい。例えば、ステンレス、白金、金等の金属を用いることができる。
上記液体媒体(A)は、電場を形成することができ、また、上記気泡を形成できるものであれば特に限定されない。例えば、上記気体を溶解しない液体を適宜選択することが好ましい。電場を形成する観点からは、上記液体媒体(A)は、比誘電率が1.0〜30の有機溶媒を使用することが好ましい。
上記液体媒体(A)としては、比誘電率が低い液体(以下「低誘電率液体」とも記載する。)が好ましい。低誘電率液体は、比誘電率が、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下、さらにより好ましくは10以下、特に好ましくは5以下である液体が挙げられる。
上記液体媒体(A)は静電噴霧する温度で液体であれば限定されない。後述するように物質を製造する場合、気体と化学物質との反応の温度において液体である化合物が好ましい。
また、室温(25℃)で液体である化合物を採用することができ、具体的には、n−ヘキサン、ペンタン、デカン等のアルカン;シクロヘキサン等のシクロアルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン等の環式の不飽和炭化水素;シクロペンチルメチルエーテル(比誘電率4.76)、ジイソプロピルエーテル(比誘電率3.81)、メチル−t−ブチルエーテル(比誘電率2.6)等のエーテル;塩化ベンジル(比誘電率7.0)、クロロホルム(比誘電率6.15)、1−クロロオクタン(比誘電率5.05)、四塩化炭素(比誘電率2.238)、パーフルオロヘキサン等のハロゲン化炭化水素;エタノール(比誘電率24.55)、1−ブタノール(比誘電率17.51)、1−ペンタノール(比誘電率13.9)、1−オクタノール(比誘電率10.3)等のアルコール、炭酸ジメチル(比誘電率2.8)等のカーボネート等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素に含まれるハロゲンとしては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。これらの媒体は1種単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
上記液体媒体(A)としては、カーボネート、アルカン及びアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記アルカンとしては、炭素数5以上18以下である直鎖状又は分岐鎖状の鎖状アルカン、及び、炭素数5以上18以下である環式アルカンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、パラフィン、及び、流動パラフィンからなる群より選択される少なくとも1種である。
上記静電噴霧により得られる気泡を正又は負に帯電させることができる。気泡の帯電は第1ESNと、電極又は第2ESNとに印加される電圧に従い、正又は負のいずれにもなり得る。
上記気体を静電噴霧する速度(噴霧速度)は、例えば、1〜100mL/分が好ましい。より好ましくは10μL/分以上であり、更に好ましくは、100μL/分以上である。また、より好ましくは、50mL/分以下であり、更に好ましくは、10mL/分以下である。
本開示の気泡の製造方法では、後述する物質の製造方法で記載する種々の態様(例えば、第1〜4態様)を適宜採用できる。
以下、本開示の物質の製造方法について詳細に説明する。
本開示の物質の製造方法は、気体を液体媒体(A)中に静電噴霧することにより、上記液体媒体(A)中に上記気体から構成される1μm以下の気泡を製造する静電噴霧工程、及び、上記液体媒体(A)中に存在する化学物質と、上記気泡を構成する気体とを反応させる反応工程を含む(以下、本開示の第1態様ともいう)。
上記静電噴霧工程は、上述した気泡の製造方法と同様に適宜好適な態様を採用できる。
上記反応の温度は、反応する気体、化学物質、液体媒体(A)等に依存し、限定されるものではないが、上記液体媒体(A)の沸点以下であることが好ましい。
上記反応の時間は特に限定されない。静電噴霧が継続している場合には反応が進行し、静電噴霧の終了とともに、反応を終了させることができる。静電噴霧を行ないながら、生成した物質を分液により連続的に系外に取り出す方法を用いることにより、連続的に物質を製造することもできる。
また、上記反応は、通常、第1ESNが設置され、液体媒体(A)を内包する反応容器中で行われる。上記反応容器は密閉できるものでも、密閉できないものでもよいが、密閉できる反応容器を用いることによって内部の圧力を調整することもできる。
上記反応工程は、上記液体媒体(A)中に存在する化学物質と、上記気泡を構成する気体とを反応させる工程である。
本開示の第1態様では、液体媒体(A)中に第1ESNと電極を設置し、第1ESNと電極とに電圧を印加することで液体媒体(A)中に電場を発生させ、第1ESNから気体を噴霧することによって気泡を製造することが好ましい。
上記第1態様では、液体媒体(A)中に化学物質が存在してもよい。化学物質が存在する場合、化学物質は液体媒体(A)に溶解していてもよいし、分散していてもよい。
上記第1態様において、第1ESNの噴霧口と電極との間の距離は、特に限定されず、例えば、1cm以上、好ましくは2cm以上の範囲内で適宜設定することができる。第1ESNの噴霧口と電極との間の距離の上限は電場強度と装置の寸法に合わせて適宜設定し得る。
図1を用いて上記第1態様をより具体的に説明するが、該第1態様は図1の態様に限定されるものではない。
まず、反応容器19中に、液体媒体11を充填し、液体媒体11中に第1ESN17aと電極18を設置する。次に、電源13を用いて、液体媒体11中に設置された第1ESN17aと電極18とに電圧を印加することによって液体媒体11に電場を形成し、第1ESN17aから気体が静電噴霧され、気泡A1が形成される。さらに反応を伴う場合には発生した気泡A1を構成する気体と液体媒体中の化学物質B1とが接触することによって反応が進行する。なお、図1中の化学物質B1は球状に図示されているが、形状は限定されず、液体媒体11に溶解していてもよい。
上記気泡の製造方法において、上記気体は上記液体媒体等の沸点以下で気体状態であることが好ましく、例えば、オレフィン類、メタン、エタン、アンモニア、H、SO2、NO2、CO、CO2、Clなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本開示の物質の製造方法はまた、上記化学物質が、液体媒体(A)とは異なる他の液体媒体(B)中に存在するものであってもよい。
上記化学物質が液体媒体(B)中に存在する態様としては、液体媒体(B)が、液体媒体(A)と2層分離したものである態様(以下で示す本開示の第2態様及び第3態様)、第1ノズルと第2ノズル間に電位差を設けることにより上記気体及び上記液体媒体(B)を静電噴霧して上記気体から構成される1μm以下の気泡と上記液体媒体(B)から構成される液滴を製造する静電噴霧工程を含む態様(以下で示す本開示の第4態様)、が好ましく例示される。
本開示の物質の製造方法は、気体を液体媒体(A)中に静電噴霧することにより、上記液体媒体(A)中に上記気体から構成される1μm以下の気泡を製造する静電噴霧工程、及び、上記液体媒体(A)に2層分離するように配置された液体媒体(B)中に存在する化学物質と、上記気泡を構成する気体とを反応させる反応工程を含むものでもある。
上記製造方法では、上記液体媒体(A)からなる第1層と、上記化学物質を含む他の液体媒体(B)からなる第2層とが2層分離して積層構造が形成されており、第1層に気体を静電噴霧することによって上記気泡を形成し、該気泡と化学物質を含む液体媒体(B)からなる第2層とが接触することで反応が進行する。
上記液体媒体(B)が液体媒体(A)に2層分離するように配置された態様では、具体的には、上記液体媒体(A)からなる第1層に第1ESNを設置し、上記化学物質を含む液体媒体(B)からなる第2層に電極を設置し、第1ESNと電極との間に電圧を印加し、上記液体媒体(A)からなる第1層に第1ESNから気体を静電噴霧して正又は負に帯電した気泡を形成し、該気泡を第2層に接触させることで実施することができる(以下「本開示の第2態様」ともいう)。
この場合、第2層を構成する液体媒体(B)は非導電性液体であってもよいし、導電性液体であってもよいが、導電性液体であることが好ましい。電極を設置する第2層を構成する液体が導電性液体であることによって、上記液体媒体(A)(第1層)に効率的に電場を形成することができ、静電噴霧により形成された上記気泡が化学物質を含む液体媒体(B)(第2層)と接触し、微小な物質を製造することができる。
上記導電性液体としては、例えば、導電率が1.0×10S/m以上の液体を用いることができ、具体的には、イオンなどを含む水、メタノール等が挙げられる。
上記非導電性液体としては、例えば、導電率が1.0×10S/m以下の液体を用いることができ、具体的には、トルエン、アセトン等の有機溶媒が挙げられる。
上記のように第2層に電極を設置する場合、第1層及び第2層の一方が上層であり、他方が下層であり、第1層及び第2層のどちらが上層でも下層でもよい。通常、気泡は液体中を上昇するため、上記液体媒体(A)からなる第1層が下層であり、化学物質を含む液体媒体(B)からなる第2層が上層であることが好ましい。
上記のように第2層に電極を設置する場合、第1層と第2層との体積比は特に限定されず、例えば、第1層のみにエレクトロスプレーノズルが浸されるものであれば、任意に設定できる。
上記のように第2層に電極を設置する場合、第1ESNの噴霧口と電極との間の距離は、特に限定されず、例えば、1cm以上、好ましくは2cm以上の範囲内で適宜設定することができる。第1ESNの噴霧口と電極との間の距離の上限は特に限定されず、装置の寸法に合わせて適宜設定し得る。
図2を用いて、上述した第2層に電極を設置する態様をより具体的に説明する。反応容器29中に、液体媒体(A)からなる第1層21と、化学物質を含む液体からなる第2層22とを充填し、第1層21に第1ESN27を設置し、第2層22に電極28を設置する。第2層に導電性液体を使用する場合、電極28の電位は0となるため、電極はアースと接続してもよい。
第1層に設置された第1ESN27に電圧を印加することによって、液体媒体(A)からなる第1層に電場を形成し、第1ESN27から気体が静電噴霧され、発生した気泡と第2層とが接触することによって反応を進行させることができる。
上記液体媒体(B)が液体媒体(A)に2層分離するように配置された態様ではまた、上記液体媒体(A)からなる第1層と、上記化学物質を含む液体媒体(B)からなる第2層と、第3層とがこの順に積層し、第1層に第1ESNを設置し、第3層に電極を設置して行うこともできる(以下「本開示の第3態様」ともいう)。
この場合、第2層を構成する液体媒体(B)は、導電性液体であってもよいし、非導電性液体であってもよい。また、第3層を構成する液体も導電性液体であってもよいし、非導電性液体であってもよい。好ましくは、液体媒体(B)は導電性液体であり、第3層では非導電性液体を採用することが好ましい。このような態様にすることによって、第1層及び第2層に電場が形成され、静電噴霧により形成された上記気泡と、化学物質を含む液体媒体(B)(第2層)とが接触し、微小な物質を形成することができる。
第3層に電極を設置する場合、第1層を構成する液体媒体(A)には、上述したものと同じもの(低誘電率液体、含フッ素溶媒等)を用いることができる。
また、第2層を構成する化学物質を含む液体媒体(B)には、水、アルコールを用いることができる。
第3層にも上述した液体媒体(A)で採用できるものとして例示したもの(低誘電率液体、含フッ素溶媒等)を用いることができる。但し、3層構造を形成するためには、比重が低い媒体を採用することが好ましい。
上記のように第3層に電極を設置する場合、第3層に設置する電極の材質は第1層及び第2層に電場を形成することができるものであれば特に限定されないが、第3層を構成する液体によって腐食しないものが好ましい。例えば、ステンレス、白金、金等の金属を用いることができる。
第3層を構成する非導電性液体としては、アルカン、流動パラフィン等が挙げられる。第3層に電極を設置する場合、第1層と第2層と第3層との体積比は特に限定されず、例えば、第1層のみにESNが浸されるものであれば、任意に設定できる。
上記のように第3層に電極を設置する場合、第1ESNの噴霧口と電極との間の距離は、特に限定されず、例えば、1cm以上、好ましくは2cm以上の範囲内で適宜設定することができる。第1ESNの噴霧口と電極との間の距離の上限は、電場強度と装置の寸法に合わせて適宜設定し得る。
図3を用いて、第3層に電極を設置する場合をより具体的に説明する。反応容器39中に、媒体液体(A)からなる第1層31と、化学物質を含む液体媒体(B)からなる第2層32aと、非導電性液体からなる第3層32bとを充填し、第1層31にESN37を設置し、第3層32bに電極38を設置する。
第1層に設置されたESN37に電圧を印加することによって、第1層31及び第2層32aに電場を形成し、ESN37により気体が静電噴霧され、発生した正又は負に帯電した気泡と第2層とが接触することによって重合反応を行うことができる。
本開示の製造方法はまた、液体媒体(A)中に、気体を静電噴霧するための第1ノズル及び上記気体と反応する化学物質を含む上記液体媒体(B)を静電噴霧するための第2ノズルを対向するように設置し、上記第1ノズルと上記第2ノズル間に電位差を設けることにより上記気体及び上記液体媒体(B)を静電噴霧して上記気体から構成される1μm以下の気泡と上記液体媒体(B)から構成させる液滴を製造する静電噴霧工程、及び、上記液体媒体(B)中に存在する化学物質と、上記気泡を構成する気体とを反応させる反応工程を含むものである(以下、本開示の第4態様ともいう)。
上記第4態様における静電噴霧工程は、例えば、エレクトロスプレー法により実施できる。例えば、2台のエレクトロスプレーノズルを液体媒体(A)中で対向させ、両者に電位差を設けることによって、液体媒体(A)中で一方のエレクトロスプレーノズル(以下「第1エレクトロスプレーノズル(第1ESN)」ともいう)から気体を静電噴霧し、他方のエレクトロスプレーノズル(以下「第2エレクトロスプレーノズル(第2ESN)」ともいう)から化学物質を含む液体媒体(B)を静電噴霧することによって、正又は負に帯電した気泡と、上記気泡とは逆に帯電した液滴とが形成される。上記気泡と液滴とは静電引力によって接触して重合が行われる。このような方法により、特別な撹拌を行うことなく効率よく微小な物質を形成することができる。
第1ESNの噴霧口と第2ESNの噴霧口との間の距離は特に限定されず、例えば、1cm以上、好ましくは2cm以上の範囲内で適宜設定することができる。第1ESNの噴霧口と第2ESNの噴霧口との間の距離の上限は、電場強度と装置の寸法に合わせて適宜設定し得る。
液体媒体(A)中に間隔を開けて設ける第1ESNと第2ESNとは一対や複数対のように対となっていることが好ましいが、第1ESNと第2ESNとの数が異なっていてもよい。第1ESNと第2ESNは、それぞれが噴霧する気泡と液滴が多くの交点を形成できるように配置することが好ましく、より好ましくは対向する位置に配置する。
2台のエレクトロスプレーノズルを用いる装置の具体例を図4に示す。気体を静電噴霧するための第1エレクトロスプレーノズル(第1ESN)47aと、化学物質を含む液体媒体(B)を静電噴霧するための第2エレクトロスプレーノズル(第2ESN)47bを対向させて液体媒体(A)41中に設置し、第1ESN47aと第2ESN47bとの間に電位差を与える電源43を設置する。これにより、第1ESN47aから正又は負に帯電した気泡A4が静電噴霧され、第2ESN47bから気泡A4とは逆に帯電した液滴B4が静電噴霧され、静電引力によって衝突・融合し、反応を行うことができる。
図4に示すように第1ESN47aは、気体が充填されたボンベ46に接続され、バルブ44等により気体の供給量を調整することができる。また、第2ESN47bは、化学物質を含む液体媒体(B)が充填されたポンプ42に接続され、化学物質を含む液体媒体(B)の供給量を調整することができる。
本開示の物質の製造方法では、上記第1ESNと電極又は第2ESNとの間の電位差、上記化学物質の濃度、静電噴霧される気体と液体媒体(A)との間の化学的相互作用などを調整して、得られる物質の形状を、繊維状、球状、中空(ボーラス)状などとするように制御し、得られる物質を複合化するように制御し、又は得られる物質の大きさを制御することが可能である。
そのため、気体、化学物質、液体媒体(A)及び液体媒体(B)の種類、気体の噴霧量及び噴霧速度、第1ESNの噴霧口と電極又は第2ESNの噴霧口との距離、第1ESNの噴霧口と液体媒体(A)/液体媒体(B)界面の距離、並びに、第1ESNと電極又は第2ESNとの間の電位差などを調整し、気泡の大きさを制御して、得られる物質、特に、ポリマーや金属ナノ粒子の大きさを制御することができる。
なお、第1ESNと電極又は第2ESNとの間の電位差を増加させることによって、気泡の大きさを小さくすることができる。
また、気泡、液体媒体(A)、液体媒体(B)等の界面の張力や溶媒粘度を低減するために、液体媒体(A)及び液体媒体(B)のいずれか又は両方に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1〜3の低級アルコール類、そのグリコールエーテル系の溶媒、又はこれらのうち2種類以上の混合物のいずれかを混合させてもよい。
本開示の製造方法により得られる物質としては、単体金属、合金等の金属であってもよいし、無機化合物、有機化合物等の化合物であってもよい。有機化合物としては、オリゴマーでも、ポリマーでもよいし、非重合物であってもよい。
本開示の製造方法により得られる物質は、粒子であることが好ましく、例えば、金属粒子、繊維粒子、樹脂粒子、有機結晶粒子、半導体粒子、オリゴマー粒子、ポリマー粒子などが挙げられ、特に、金属ナノ粒子、繊維ナノ粒子、樹脂ナノ粒子、有機ナノ結晶粒子、半導体ナノ粒子、オリゴマーナノ粒子、ポリマーナノ粒子などが好適なものとして例示される。
本開示の物質の製造方法において、上記気体はオレフィンであり、上記化学物質は重合開始剤であり、上記反応工程は、オレフィンを重合してポリマーを製造する工程であることが好ましい。
ポリマーを製造する場合、上記気泡は、体積平均気泡径が0.1〜200nmであることが好ましい。静電噴霧により上記体積平均気泡径を有する気泡を形成することができる。体積平均気泡径は、150nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましく、20nm以下が特に好ましい。体積平均気泡径は小さい方がよいが、例えば、0.5nm以上であってよく、1nm以上であってもよい。
上記体積平均気泡径は、定量レーザー回折・散乱法、動的光散乱法やレーザー回折法により測定される。
上記オレフィンは、炭素原子間に二重結合を有し、反応温度(例えば、室温)で気体である化合物であればよい。
オレフィンとしては、例えば、下記一般式(a):
C=CR (a)
(上式中、R、R、R及びRは、同じでも異なってもよく、独立して、好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、ホルミル基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトリル基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ボロン基、ホスフィン基、スルホ基及びシリル基からなる群から選ばれ、それらはさらに置換基としてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、ホルミル基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトリル基、アミノ基、ニトロ基、ヨウ素基、ブロモ基、ボロン基、ホスフィン基、スルホ基及びシリル基からなる群から選ばれる1つ以上を有していてもよい。また、R、R、R及びRのうちの2以上が環を形成していてもよい。 )で表されるものを用いることができる。
上記オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等の炭素数2〜4の炭化水素;塩化ビニル;ブタジエン等のジエン;等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。上記オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、及び、ブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
得られるポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、及び、ポリブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、ポリエチレン、及び、ポリブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
上記重合開始剤としては、上記反応が進行し、ポリマーを製造することができるものであれば限定されない。例えば、ラジカル重合開始剤であってもよいし、イオン重合開始剤であってもよいが、好ましくはラジカル重合開始剤である。
ラジカル重合開始剤としては、上記重合温度でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性のラジカル重合開始剤を使用することができる。更に、還元剤等と組み合わせてレドックスとして重合を開始することもできる。上記ラジカル重合開始剤の濃度は、モノマーの種類、目的とする非フッ素ポリマーの分子量、反応速度によって適宜決定される。
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、油溶性ラジカル重合開始剤または水溶性ラジカル重合開始剤を使用できる。静電噴霧を効率的に行う観点から、上記ラジカル重合開始剤は水溶性ラジカル重合開始剤が好ましい。
油溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性の過酸化物であってよく、たとえばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジsec−ブチルパーオキシジカーボネートなどのジアルキルパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレートなどのパーオキシエステル類、ジt−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類などが、また、ジ(ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−テトラデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロバレリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル−ω−ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル−パーオキサイド、ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル−ω−クロ−デカフルオロヘキサノイル−パーオキサイド、ω−ハイドロドデカフルオロヘプタノイル−パーフルオロブチリル−パーオキサイド、ジ(ジクロロペンタフルオロブタノイル)パーオキサイド、ジ(トリクロロオクタフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(テトラクロロウンデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ペンタクロロテトラデカフルオロデカノイル)パーオキサイド、ジ(ウンデカクロロドトリアコンタフルオロドコサノイル)パーオキサイドのジ[パーフロロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類などが代表的なものとしてあげられる。
油溶性ラジカル重合開始剤としてはまた、アゾ系開始剤を用いることができる。アゾ系開始剤としては、アゾニトリル、アゾカルボン酸、アゾアミド、アゾアミジン、アゾイミダゾリン等を挙げることができ、これらの1種類または2種類以上を使用することができる。
水溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の水溶性過酸化物であってよく、たとえば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸などのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、t−ブチルパーマレエート、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどがあげられる。サルファイト類、亜硫酸塩類のような還元剤も併せて含んでもよく、その使用量は過酸化物に対して0.1〜20倍であってよい。
例えば、30℃以下の低温で重合を実施する場合等では、水溶性ラジカル重合開始剤として、酸化剤と還元剤を組み合わせるレドックス開始剤を用いることも好ましい。酸化剤としては、過硫酸塩、有機過酸化物、過マンガン酸カリウム、三酢酸マンガン、セリウム硝酸アンモニウム、臭素酸塩等が挙げられる。還元剤としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、臭素酸塩、ジイミン、シュウ酸等が挙げられる。過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが挙げられる。亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウムが挙げられる。開始剤の分解速度を上げるため、レドックス開始剤の組み合わせには、銅塩、鉄塩を加えることも好ましい。銅塩としては、硫酸銅(II)、鉄塩としては硫酸鉄(II)が挙げられる。
上記レドックス開始剤としては、例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸、過硫酸アンモニウム/重亜硫酸塩/硫酸鉄(II)、過硫酸アンモニウム/亜硫酸塩/硫酸鉄(II)、過硫酸アンモニウム/亜硫酸塩、過硫酸アンモニウム/硫酸鉄(II)、三酢酸マンガン/シュウ酸、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸、臭素酸塩/亜硫酸塩、臭素酸塩/重亜硫酸塩等が挙げられ、過マンガン酸カリウム/シュウ酸、過硫酸アンモニウム/亜硫酸塩/硫酸鉄(II)が好ましい。
上記ラジカル重合開始剤の量は、オレフィンの合計量に対して、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下である。また、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。
上記ラジカル重合開始剤は、水やその他の溶媒に溶解して用いてもよい。ラジカル重合開始剤の溶解に使用する溶媒としては、ラジカル重合開始剤を溶解できるものであれば特に限定されず、例えば、水、アルコール(エタノール等)等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。かかる溶媒としては、媒体液体に対し相溶性の高いものであっても相溶性の低いものであってもよい。
ラジカル重合開始剤溶液の濃度は、特に限定されないが、例えば、0.01〜90質量%、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%の範囲内で適宜設定することができる。
ポリマーを製造する場合、上記反応温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、また、150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。
重合圧力は、0(大気圧)〜10MPaが好ましく、より好ましくは、0.05〜5.0MPaである。
上記重合工程では、ポリマーを含む分散液が得られる。通常、得られたポリマーは、上記液体媒体(A)又は液体媒体(B)中に存在することとなり、該製造されたポリマーを含む液体媒体を抽出することでポリマーを含む分散液が得られる。
本開示の製造方法は、得られた分散液から、フィルターろ過、遠心分離又はデカンテーション等の通常の方法によりポリマーを分離する工程を含んでもよい。また、必要に応じて、得られたポリマーを洗浄してもよい。
本開示の製造方法で得られるポリマーの分子量分布は、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnで表される。Mw/Mnは、好ましくは1.0以上2.0以下であり、より好ましくは1.0以上1.8以下である。重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリエチレングリコール換算で求めることができる。
以下、本開示の物質の製造方法について実施例を用いて詳述するが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されない。
分子量及び分子量分布は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(カラム:東ソー製TSKgel SuperH−2000)を用い、THFを移動相として測定した。
[実施例1]
内容積100mLのメスシリンダー(内径30mm×高さ240mm)を加工した反応容器を用いた。反応容器には、底面から上方6mmの位置に穴が開いており、そこに対電極が取り付けられている。反応容器には反応溶媒としてトルエン50mLを充填した。トルエンには、ラジカル重合開始剤としてV−70(油溶性アゾ重合開始剤、富士フィルム和光純薬株式会社製)を90mg溶解させた。反応ガスとして50mLのブタジエンをシリンジ(内容積100mL)に充填し、テフロン(登録商標)製チューブを経て、先端に金属製のシリンジ針を取り付けた。反応容器全体をリボンヒーターで50℃に加温し、シリンジ針側に−10kV、対電極には+10kVを与え、シリンジより1mL/minの流速でブタジエンガスを反応溶媒中に導入した。導入したガスは、与えた電圧により反応溶媒中でスプレーとなって拡散した。ブタジエンガスを40mL導入した後、反応溶媒を回収し、エバポレーターでトルエンを留去した後、残渣中の高分子成分をゲルパーミッションクロマトグラフィーを用いてその分子量を測定した。生成した高分子成分の分子量はMw=1047、分子量分布はMw/Mn=1.21だった。生成した高分子はポリブタジエンであった。
[実施例2]
反応溶媒として炭酸ジメチルを用いた他は実施例1と同様に反応を行なった。生成した高分子成分の分子量はMw=972、分子量分布はMw/Mn=1.26だった。
[実施例3]
反応ガスとして1−ブテンを用いた他は実施例1と同様に反応を行なった。生成した高分子成分の分子量はMw=799、分子量分布はMw/Mn=1.92だった。生成した高分子はポリブテンであった。
[比較例1]
シリンジ側および対電極の両方とも電圧を与えない他は実施例1と同様に反応を行なったところ、重合体の生成は認められなかった。
[比較例2]
シリンジ側および対電極の両方とも電圧を与えない他は実施例3と同様に反応を行なったところ、重合体の生成は認められなかった。
11、21、31、41:液体媒体(A)
22、32a、42:化学物質を含む液体媒体(B)
32b:導電性液体
13、23、33、43:電源
14、24、34、44:バルブ
15、25、35、45:圧力計
16、26、36、46:ボンベ
17a、27、37、47a、47b:エレクトスプレーノズル
18、28、38:電極
19、29、39、49:反応容器
42:ポンプ
A1、A2、A3、A4:気泡
B4:化学物質を含む液体媒体から形成された液滴

Claims (7)

  1. 気体を液体媒体(A)中に静電噴霧することにより、前記液体媒体(A)中に前記気体から構成される1μm以下の気泡を製造する静電噴霧工程、を含むことを特徴とする気泡の製造方法。
  2. 気体を液体媒体(A)中に静電噴霧することにより、前記液体媒体(A)中に前記気体から構成される1μm以下の気泡を製造する静電噴霧工程、及び、
    前記液体媒体(A)中に存在する化学物質と、前記気泡を構成する気体とを反応させる反応工程を含む
    ことを特徴とする物質の製造方法。
  3. 気体を液体媒体(A)中に静電噴霧することにより、前記液体媒体(A)中に前記気体から構成される1μm以下の気泡を製造する静電噴霧工程、及び、
    前記液体媒体(A)に2層分離するように配置された液体媒体(B)中に存在する化学物質と、前記気泡を構成する気体とを反応させる反応工程を含む
    ことを特徴とする物質の製造方法。
  4. 液体媒体(A)中に、気体を静電噴霧するための第1ノズル及び前記気体と反応する化学物質を含む前記液体媒体(B)を静電噴霧するための第2ノズルを対向するように設置し、前記第1ノズルと前記第2ノズル間に電位差を設けることにより前記気体及び前記液体媒体(B)を静電噴霧して前記気体から構成される1μm以下の気泡と前記液体媒体(B)から構成させる液滴を製造する静電噴霧工程、及び、
    前記液体媒体(B)中に存在する化学物質と、前記気泡を構成する気体とを反応させる反応工程を含む
    ことを特徴とする物質の製造方法。
  5. 前記気体はオレフィンであり、
    前記化学物質はラジカル重合開始剤であり、
    前記反応工程は、オレフィンを重合してポリマーを製造する工程である請求項2〜4のいずれかに記載の物質の製造方法。
  6. 前記オレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン及びブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項5記載の物質の製造方法。
  7. 前記ラジカル重合開始剤は、水溶性ラジカル重合開始剤又は油溶性ラジカル開始剤である請求項5又は6記載の物質の製造方法。

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