JP4779108B2 - マイクロフロー電気化学リアクター、及びそれを用いた有機化合物の合成方法 - Google Patents
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即ち、本発明は、反応溶液中に支持電解質を添加不要で、かつ、イオン交換膜を使用することなく、室温下で効率良く電気化学反応により有機化合物を合成可能なマイクロフロー電気化学リアクター及びそれを用いた有機化合物の合成方法を提供することを目的とする。
<1> 陽極と陰極とを有し、該陽極における陰極対向面と、該陰極における陽極対向面との間隔が500μm以下であり、
(i)R1H及び(R2)nXHを含有する原料溶液が前記陽極に供給され、R1X(R2)n及びH2を含有する反応生成物溶液が前記陰極から排出される、
(ii)2R1Hを含有する原料溶液が前記陽極に供給され、R1−R1及びH2を含有する反応生成物溶液が前記陰極から排出される、及び
(iii)2R1XHを含有する原料溶液が前記陽極に供給され、R1XXR1及びH2を含有する反応生成物溶液が前記陰極から排出される、のいずれかであることを特徴とするマイクロフロー電気化学リアクターである。
ただし、R1はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基の
いずれかを表し、R2は水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基の
いずれかを表し、Xは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表し、nは0または1以上の整数を表す。
該<1>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記原料溶液が陽極に供給され、前記陽極と前記陰極との間を通過し、前記陰極から排出される間に反応が行われ、反応生成物溶液が陰極セルから排出される。ここで、前記陽極セルと前記陰極セルとの間が500μm以下であるため、前記反応により生じた水素イオンが、前記陽極と前記陰極との間において支持電解質の役割をはたすため、前記マイクロフロー電気化学リアクターは支持電解質やイオン交換膜が不要である。
<2> 陽極における陰極対向面と、陰極における陽極対向面との間が、空間である前記<1>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。
<3> 陽極における陰極対向面と、陰極における陽極対向面との間隔が、0μmを超え、300μm以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
<4> 陽極と陰極とが、スペーサーで離設された前記<1>から<3>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<4>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記陽極と前記陰極との間にスペーサーを設けることにより、前記陽極と前記陰極とが所定の間隔で離設される。
<5> スペーサーが、絶縁体である前記<1>から<4>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<5>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記スペーサーが絶縁体であるため、前記反応により生じた水素イオンが、前記陽極と前記陰極との間において支持電解質として作用する。
<6> スペーサーが、多孔質体であり、該多孔質体における多数の孔部が、陽極と当接する側から、陰極と当接する側にかけて流体流通可能に形成された前記<1>から<5>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<6>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記スペーサーが陽極と当接する側から、陰極と当接する側にかけて流体流通可能であるため、前記スペーサーが前記陽極と前記陰極との間に挟持された状態であっても、陽極から流出した反応生成物を含む溶液の流通が阻害されることなく陰極に流入し、反応が完結する。
<7> 多孔質体の多孔度が70%以上、孔径が0.1μm以上である前記<6>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<7>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記多孔質体の多孔度が70%以上、孔径が0.1μm以上であるため、反応生成物を含む溶液の流量及び流速が維持されるため、反応効率に優れる。
<8> 多孔質体が、フッ素系樹脂製のフィルターである前記<6>から<7>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<8>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記多孔質体がフッ素系樹脂製のフィルターであるため、前記多孔質体が非粘着性であり、剥離性に優れるため、交換が容易であるとともに、残存溶液の除去が容易である。
<9> 陽極が、陽極セル中の陽極基体からなり、陰極が、陰極セル中の陰極基体からなる前記<1>から<8>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。
<10> 陽極セル中の陽極基体が導電性を有する多孔質体であり、該多孔質体における多数の孔部が、陰極セル側と反対側の表面から陰極セル側の表面へ流体流通可能であり、陰極セル中の陰極基体が導電性を有する多孔質体であり、該多孔質体における多数の孔部が、陽極セル側の表面から陽極セル側と反対側の表面へ流体流通可能である前記<9>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<8>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記陽極セル内及び前記陰極セル内が多孔質体の多数の孔部により流体流通可能に貫通しているため、前記原料溶液が前記陽極セル内及び前記陰極セル内を流動しながら効率良く反応が行われる。
<11> 陽極基体及び陰極基体が、炭素繊維からなる多孔質体シートである前記<9>から<10>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<11>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記陽極基体及び前記陰極基体が炭素繊維からなる多孔質体シートであるため、導電性に優れ、電極特性が十分な電極基体であるとともに、前記原料溶液及び前記反応生成物溶液の流動が阻害されない。
<12> 原料溶液を供給する原料溶液供給室と、反応生成物溶液を排出する反応生成物排出室とを備え、前記原料供給室の壁面の一部が陽極セルの表面で画成され、端部に前記原料溶液を供給可能な供給口を有し、前記反応生成物排出室の壁面の一部が陰極セルの表面で画成され、端部に前記反応生成物溶液を排出可能な排出口を有する前記<1>から<11>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<12>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記供給口から前記原料溶液が前記原料供給室へ供給され、該原料供給室は供給された前記原料溶液により加圧状態となり、前記陽極セル内に前記原料溶液が押し出されて排出される。前記原料溶液は、反応しながら前記陽極セルと前記陰極セルとの間を押し出されて通過し、前記反応生成物を含む溶液として前記陰極セル内に排出される。前記陰極セル内から押し出されて排出された前記反応生成物溶液は、前記陰極セルから前記反応生成物排出室へ押し出され、前記排出口から吐出される。このため、連続的に反応が行われ、前記供給口に前記原料溶液を供給するポンプ等からの吐出量を調節することにより、反応速度が所望に制御される。
前記<1>から<12>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターに対し、原料溶液を陽極に供給し、反応生成物溶液を陰極から回収することを特徴とする有機化合物の合成方法である。
R1H+(R2)nXH → R1X(R2)n+H2 式(I)
2R1H → R1−R1+H2 式(II)
2R1XH → R1XXR1+H2 式(III)
ただし、式(I)〜(III)中、R1はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基のいずれかを表し、R2は水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基のいずれかを表し、Xは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表し、nは0又は1以上の整数を表す。
<14> 電気化学的反応が、アルコキシ化、アシルオキシ化、アミド化、及びハロゲン化のいずれかである前記<13>に記載の有機化合物の合成方法である。
<15> 原料溶液の溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、酢酸、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、水、及びこれらの混合物のいずれかである前記<13>から<14>のいずれかに記載の有機化合物の合成方法である。
<16> 原料溶液に含まれる原料がp−メチルアニソール(p−メトキシトルエン)であり、反応生成物溶液に含まれる反応生成物がアニスアルデヒドアセタール(p−メトキシベンズアルデヒドアセタール)である前記<13>から<15>のいずれかに記載の有機化合物の合成方法である。該<16>に記載の有機化合物の合成方法においては、工業材料として有用なp−メトキシベンズアルデヒドを効率よく合成することができる。
<17> 0〜60℃の温度下で行われる請求項13から16のいずれかに記載の有機化合物の合成方法である。
<18> 反応生成物が、医薬品中間体、及び工業材料として用いられる前記<13>から<17>のいずれかに記載の有機化合物の合成方法である。
前記マイクロフロー電気化学リアクターは、陽極と陰極とを有し、該陽極における陰極対向面と、該陰極における陽極対向面との間隔が500μm以下であり、
(i)R1H及び(R2)nXHを含有する原料溶液が前記陽極に供給され、R1X(R2)n及びH2を含有する反応生成物溶液が前記陰極から排出される、
(ii)2R1Hを含有する原料溶液が前記陽極に供給され、R1−R1及びH2を含有する反応生成物溶液が前記陰極から排出される、及び
(iii)2R1XHを含有する原料溶液が前記陽極に供給され、R1XXR1及びH2を含有する反応生成物溶液が前記陰極から排出される、のいずれかである。
ただし、R1はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基の
いずれかを表し、R2は水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基の
いずれかを表し、Xは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表し、nは0又は1以上の整数を表す。
前記陽極における陰極対向面と、前記陰極における陽極対向面との間としては、空間であることが好ましい。
前記空間の状態としては、少なくとも前記反応生成物溶液の流路となる貫通孔が形成されていれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記間隔が500μmを超えると、反応により生成し、支持電解質として機能するプロトン、及び反応生成物を含む溶液の陰極への移行が妨げられることがある。また、前記間隔が1μm未満であると、前記陽極と前記陰極とが短絡することがある。
前記スペーサーは、単層であってもよく、2種以上の材質からなる積層体であってもよい。
前記多孔質体としては、多孔度が70%以上であることが好ましい。
また、前記多孔質体の孔径が0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることが特に好ましい。
前記マイクロフロー電気化学リアクターは、原料溶液を供給する原料溶液供給室16と、反応生成物溶液を排出する反応生成物排出室17とを備え、前記原料供給室16の壁面の一部が陽極セル12の表面で画成され、端部に前記原料溶液を供給可能な供給口18を有し、前記反応生成物排出室17の壁面の一部が陰極セル14の表面で画成され、端部に前記反応生成物溶液を排出可能な排出口19を有することが好ましい。
前記供給口18と前記排出口19とは、前記マイクロフロー電気化学リアクターの断面において対角線上に1対設けられていることが好ましい。
前記供給口に連接される前記管の材質としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素樹脂製、シリコン製、ガラス製、及びステンレス製などが挙げられる。
前記供給口と前記管とは、液漏れが生じることがないように、フッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標))やフッ素ゴム(例えば、バイトン(登録商標))等により密着されていることが好ましい。
前記ポンプとしては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリンジポンプ、チューブポンプ、及びプランジャーポンプなどが挙げられる。
前記排出口に連接される前記管の材質としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素樹脂製、シリコン製、ガラス製、及びステンレス製などが挙げられる。前記排出口と前記管とは、液漏れが生じることがないように、フッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標))やフッ素ゴム(例えば、バイトン(登録商標))等により密着されていることが好ましい。
前記回収手段としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カラムクロマトグラフィー装置、液体クロマトグラフィー装置、及び蒸留装置などが挙げられる。
前記有機化合物の合成方法は、前記陽極と前記陰極とを有し、該陽極における陰極対向面と、該陰極における陽極対向面との間隔が500μm以下であるマイクロフロー電気化学リアクターに対し、原料溶液を前記陽極に供給し、反応生成物溶液を前記陰極から回収する方法であり、上述した本発明のマイクロフロー電気化学リアクターを用いて行われることが好ましい。
R1H+(R2)nXH → R1X(R2)n+H2 式(I)
2R1H → R1−R1+H2 式(II)
2R1XH → R1XXR1+H2 式(III)
前記式(I)の電気化学的反応は、前記マイクロフロー電気化学リアクターに対し、R1H及び(R2)nXHを含有する原料溶液を前記陽極セルに供給しながら通電し、R1X(R2)n及びH2を含有する反応生成物溶液を前記陰極セルから回収することにより行われる。
前記式(II)の電気化学的反応は、前記マイクロフロー電気化学リアクターに対し、2R1Hを含有する原料溶液を前記陽極セルに供給しながら通電し、R1−R1及びH2を含有する反応生成物溶液を前記陰極セルから回収することにより行われる。
前記式(III)の電気化学的反応は、前記マイクロフロー電気化学リアクターに対し、2R1XHを含有する原料溶液を前記陽極セルに供給しながら通電し、R1XXR1及びH2を含有する反応生成物溶液を前記陰極セルから回収することにより行われる。
ただし、式(I)〜(III)中、R1はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基のいずれかを表し、R2は水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基のいずれかを表し、Xは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表し、nは0又は1以上の整数を表す。
前記式(I)中、前記原料溶液中(R2)nXHで表される化合物としては、プロトンを遊離することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記原料溶液の溶媒であってもよく、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、及び酢酸などが挙げられる。
前記原料溶液の送液手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、シリンジポンプ、チューブポンプ、及びプランジャーポンプ等のポンプ類を用いて行うことができる。
‐マイクロフロー電気化学リアクター‐
ステンレス表面にダイフロン(登録商標)を塗布した基材を使用し、図2(A)に示すマイクロフロー電気化学リアクターを製造した。直径30mm、高さ30mmの前記基材に直径7mm、高さ5mmのセルを形成し、ノズルを接続し、外枠を得た。前記外枠内のセルに直径7mm、厚み5mmのカーボンフェルト電極(JF−20−P7、日本カーボン(株)製)を充填したものを2個製造し、陽極及び陰極とした。前記カーボンフェルト電極は、250℃/mmHgで2時間乾燥させて使用した。
前記陽極と前記陰極とは略平行に対向させ、その間にスペーサーとして直径20mm、厚み75μm、多孔度83%、孔径3μmの四フッ化エチレン樹脂(PTFE)製のメンブレンフィルター(ADVANTEC T300A、東洋濾紙(株)製)を設け、前記陽極と前記陰極とを離設し、マイクロフロー電気化学リアクターを構成した。前記陽極の陰極対向面と前記陰極の陽極対向面との間隔は75μmであった。
原料溶液としてp−メトキシトルエンの0.05Mメタノール溶液を調製した。メタノールは、モレキュラーシーブ3A(ナカライテスク社製)を用いて乾燥し、水含有量を110ppmとしたものを用いた。調製した前記原料溶液を、2mL/hの流速で前記供給ノズルから前記陽極セル内へ供給し、前記原料溶液が前記陰極セルの排出ノズルから排出され、セル内に充填されたことを確認した後、電極に通電した。
常温、常圧下において、電流22mA(p−メトキシトルエンに関して8.0F/モル)の定電流により、2時間反応を行った。電圧は6〜7Vであった。
実施例1の反応は、以下の式で示される。
この結果、反応開始から原料変換率及び収率は安定しており、原料のp−メトキシトルエンからp−メトキシベンズアルデヒドアセタールの変換率は70%以上であり、収率は90%であることがわかった。
図3中、例えば0.5h上にプロットされた原料変換率(%)及び収率(%)は、反応開始後から0.5hまでの反応生成物溶液1mLをサンプリングした結果を示し、1h上にプロットされた含有率は、0.5h以降1hまでの反応生成物1mLをサンプリングした結果を示す。
実施例1において、11mAの定電流により通電を行った以外は、実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応生成物溶液から、原料変換率、及び収率を測定した。結果を図4に示す。なお、電圧は6〜6.5Vであった。
実施例2において、反応開始前に前記マイクロフロー電気化学リアクター内にトリフルオロメタンスルホン酸のメタノール溶液(0.125M)を還流させなかった以外は、実施例2と同様にして反応を行い、得られた反応生成物溶液から、原料変換率、及び収率を測定した。結果を図5に示す。なお、電流は21〜25Vであった。
実施例1において、前記陽極セルと前記陰極セルとの間を525μmとし、スペーサーを7枚重ねて使用した以外は、実施例1と同様にして反応を行った。
この結果、陽極と陰極との間の通電が起こらず、反応を進めることができなかった。
本発明のマイクロフロー電気化学反応方法は、反応溶液中に支持電解質を添加不要で、かつ、イオン交換膜を使用することなく、室温下で効率良く電気化学反応により有機化合物を合成可能であるため、医薬品、医薬品中間体、香料、染料、及び各種工業材料等の合成などに好適に使用することができる。
11 スペーサー
12 陽極セル
13a 陽極給電体
13b 陰極給電体
14 陰極セル
15a 陽極基体
15b 陰極基体
16 原料供給室
17 反応生成物排出室
18 供給口
19 排出口
Claims (18)
- 陽極と陰極とを有し、該陽極における陰極対向面と、該陰極における陽極対向面との間隔が500μm以下であり、
(i)R1H及び(R2)nXHを含有する原料溶液が陽極に供給され、R1X(R2)n及びH2を含有する反応生成物溶液が陰極から排出される、
(ii)2R1Hを含有する原料溶液が陽極に供給され、R1−R1及びH2を含有する反応生成物溶液が陰極から排出される、及び
(iii)2R1XHを含有する原料溶液が陽極に供給され、R1XXR1及びH2を含有する反応生成物溶液が陰極から排出される、のいずれかであることを特徴とするマイクロフロー電気化学リアクター。
ただし、R1はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基の
いずれかを表し、R2は水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基の
いずれかを表し、Xは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表し、nは0又は1以上の整数を表す。 - 陽極における陰極対向面と、陰極における陽極対向面との間が、空間である請求項1に記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
- 陽極における陰極対向面と、陰極における陽極対向面との間隔が、0μmを超え、300μm以下である請求項1から2のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
- 陽極と陰極とが、スペーサーで離設された請求項1から3のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
- スペーサーが、絶縁体である請求項1から4のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
- スペーサーが、多孔質体であり、該多孔質体における多数の孔部が、陽極と当接する側から、陰極と当接する側にかけて流体流通可能に形成された請求項1から5のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
- 多孔質体の多孔度が70%以上、孔径が0.1μm以上である請求項6に記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
- 多孔質体が、フッ素系樹脂製のフィルターである請求項6から7のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
- 陽極が、陽極セル中の陽極基体からなり、陰極が、陰極セル中の陰極基体からなる請求項1から8に記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
- 陽極セル中の陽極基体が導電性を有する多孔質体であり、該多孔質体における多数の孔部が、陰極セル側と反対側の表面から陰極セル側の表面へ流体流通可能であり、
陰極セル中の陰極基体が導電性を有する多孔質体であり、該多孔質体における多数の孔部が、陽極セル側の表面から陽極セル側と反対側の表面へ流体流通可能である請求項9に記載のマイクロフロー電気化学リアクター。 - 陽極基体及び陰極基体が、炭素繊維からなる多孔質体シートである請求項9から10のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
- 原料溶液を供給する原料溶液供給室と、反応生成物溶液を排出する反応生成物排出室とを備え、
前記原料供給室の壁面の一部が陽極セルの表面で画成され、端部に前記原料溶液を供給可能な供給口を有し、
前記反応生成物排出室の壁面の一部が陰極セルの表面で画成され、端部に前記反応生成物溶液を排出可能な排出口を有する請求項1から11のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。 - 下記式(I)〜(III)で表される電気化学的反応であって、
請求項1から12のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターに対し、原料溶液を陽極に供給し、反応生成物溶液を陰極から回収することを特徴とする有機化合物の合成方法。
R1H+(R2)nXH → R1X(R2)n+H2 式(I)
2R1H → R1−R1+H2 式(II)
2R1XH → R1XXR1+H2 式(III)
ただし、式(I)〜(III)中、R1はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基のいずれかを表し、R2は水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基のいずれかを表し、Xは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表し、nは0又は1以上の整数を表す。 - 電気化学的反応が、アルコキシ化反応、アシルオキシ化反応、アミド化反応、及びハロゲン化反応のいずれかである請求項13に記載の有機化合物の合成方法。
- 原料溶液の溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、酢酸、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、水、及びこれらの混合物のいずれかである請求項13から14のいずれかに記載の有機化合物の合成方法。
- 原料溶液に含まれる原料がp−メチルアニソール(p−メトキシトルエン)であり、反応生成物溶液に含まれる反応生成物がアニスアルデヒドアセタール(p−メトキシベンズアルデヒドアセタール)である請求項13から15のいずれかに記載の有機化合物の合成方法。
- 0〜60℃の温度下で行われる請求項13から16のいずれかに記載の有機化合物の合成方法。
- 反応生成物が、医薬品中間体、及び工業材料として用いられる請求項13から17のいずれかに記載の有機化合物の合成方法。
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