JP2020166014A - 反射スクリーン、該反射スクリーンを用いた投射システム、及び反射スクリーンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、当該実施形態の反射スクリーンに対して直線状の細線を含む画像を投影した際に、細線がゆらいでいるように視認され、投影画像の美観に欠けるという問題が生じた。
そして、本発明者らはさらに研究を重ねた結果、表面に露出しないため常識的には不要であるハードコート層を、あえて光学フィルムの構成要素として含めることにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
[1]ガラス基材A、中間膜A及び光学積層体をこの順に有し、前記光学積層体は、ハードコート層A、プラスチックフィルムA及び光学機能層Aを含む光学フィルムAを有してなり、前記ハードコート層Aは厚みが2.0μm以上であり、前記光学フィルムA内において、前記光学機能層Aは、前記プラスチックフィルムAの前記ハードコート層Aとは反対側、又は、前記プラスチックフィルムAと前記ハードコート層Aとの間に位置してなり、前記プラスチックフィルムAを基準とした前記ハードコート層A側の面が前記中間膜A側を向くようにして前記光学積層体を配置してなる、反射スクリーン。
[2]光源と、上記[1]に記載の反射スクリーンとを備えた、投射システム。
[3]下記(a1)〜(a2)の工程を順に行う反射スクリーンiの製造方法。
(a1)ガラス基材A、中間膜A及び光学積層体をこの順に重ね合わせた積層体iを得る工程。前記光学積層体は、ハードコート層A、プラスチックフィルムA及び光学機能層Aを含む光学フィルムAを有するものである。前記ハードコート層Aは厚みが2.0μm以上である。また、前記光学フィルムA内において、前記光学機能層Aは、前記プラスチックフィルムAの前記ハードコート層Aとは反対側、又は、前記プラスチックフィルムAと前記ハードコート層Aとの間に位置してなる。また、前記プラスチックフィルムAを基準とした前記ハードコート層A側の面が前記中間膜A側を向くようにして、ガラス基材A、中間膜A及び光学積層体を重ね合わせる。
(a2)前記積層体iを加熱及び加圧して、前記ガラス基材Aと前記光学積層体の前記光学フィルムA側とが前記中間膜Aを介して接着してなる反射スクリーンiを得る工程。
[4]下記(b1)〜(b2)の工程を順に行う反射スクリーンiiの製造方法。
(b1)ガラス基材A、中間膜A、光学積層体、中間膜B及びガラス基材Bをこの順に重ね合わせた積層体iiを得る工程。前記光学積層体は、ハードコート層A、プラスチックフィルムA及び光学機能層Aを含む光学フィルムAと、ハードコート層B及びプラスチックフィルムBを含む光学フィルムBとを有するものである。前記ハードコート層A及び前記ハードコート層Bは厚みが2.0μm以上である。また、前記光学フィルムA内において、前記光学機能層Aは、前記プラスチックフィルムAの前記ハードコート層Aとは反対側、又は、前記プラスチックフィルムAと前記ハードコート層Aとの間に位置してなる。また、前記光学フィルムA側の面が前記中間膜A側を向き、前記光学フィルムB側の面が前記中間膜B側を向き、前記プラスチックフィルムAを基準とした前記ハードコート層A側の面が前記中間膜A側を向き、前記プラスチックフィルムBを基準とした前記ハードコート層B側の面が前記中間膜B側を向くようにして、ガラス基材A、中間膜A、光学積層体、中間膜B及びガラス基材Bを重ね合わせる。
(b2)前記積層体iiを加熱及び加圧して、前記ガラス基材Aと前記光学積層体の前記光学フィルムA側とが前記中間膜Aを介して接着してなり、前記ガラス基材Bと前記光学積層体の前記光学フィルムB側とが前記中間膜Bを介して接着してなる反射スクリーンiiを得る工程。
[反射スクリーン]
本発明の反射スクリーンは、ガラス基材A、中間膜A及び光学積層体をこの順に有し、前記光学積層体は、ハードコート層A、プラスチックフィルムA及び半透過半反射層Aを含む光学フィルムAを有してなり、前記ハードコート層Aは厚みが2.0μm以上であり、前記光学フィルムA内において、前記光学機能層Aは、前記プラスチックフィルムAの前記ハードコート層Aとは反対側、又は、前記プラスチックフィルムAと前記ハードコート層Aとの間に位置してなり、前記プラスチックフィルムAを基準とした前記ハードコート層A側の面が前記中間膜A側を向くようにして前記光学積層体を配置してなるものである。
図1〜図2の反射スクリーン(100)は、ガラス基材A(11)、中間膜A(21)、及び光学積層体(50)をこの順に有している。また、図1〜図2の反射スクリーンの光学積層体(50)は、ハードコート層A(31b)、プラスチックフィルムA(31a)及び光学機能層A(31c)を含む光学フィルムA(31)を有している。また、図1〜図2の反射スクリーン(100)は、プラスチックフィルムA(31a)を基準としたハードコート層A(31b)側の面が中間膜A(21)側を向くようにして光学積層体(50)が配置されている。
また、図2の反射スクリーン(100)は、光学積層体(50)の中間膜A(21)とは反対側の面に、中間膜B(22)及びガラス基材B(12)をこの順に有している。また、図2の反射スクリーンの光学積層体(50)は、光学フィルムA(31)に加えて、ハードコート層B(32b)、プラスチックフィルムB(32a)及び光学機能層B(32c)を含む光学フィルムB(32)を有している。また、図2の反射スクリーン(100)は、光学フィルムA(31)側の面が中間膜A(21)側を向き、光学フィルムB(32)側の面が中間膜B(22)側を向き、かつ、プラスチックフィルムB(32a)を基準としたハードコート層B(32b)側の面が中間膜B(22)側を向くようにして光学積層体(50)が配置されている。
本発明の反射スクリーンの層構成としては、例えば、下記(x1)〜(x3)が挙げられる。下記(x1)〜(x3)において、「/」は層の界面を意味する。また、下記(x1)〜(x3)は、積層順序の例であり、本発明の効果を阻害しない範囲で、各層の間に他の層が存在することを妨げるものではない。
なお、下記(x1)〜(x3)において、基材Bは、ガラス基材B及びプラスチック基材Bの何れかを意味し、ガラス基材Bであることが好ましい。
(x2)ガラス基材A/中間膜A/光学積層体/接着剤層/基材B
(x3)ガラス基材A/中間膜A/光学積層体/ 中間膜B/基材B
ガラス基材としては、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス及び石英ガラス等のガラスからなる基材が挙げられる。
ガラス基材の厚みは、0.1〜5mmであることが好ましく、0.5〜3mmであることがより好ましく、1〜2mmであることがさらに好ましい。
反射スクリーンの他方の表面(ガラス基材Aとは反対側の表面)には、基材Bを有することが好ましい。基材Bとしては、ガラス基材B及びプラスチック基材Bが挙げられ、ガラス基材Bであることが好ましい。
中間膜は、主として、基材(主としてガラス基材)と光学フィルムとを接着する役割を有する。中間膜は、透明性が良好な熱可塑性樹脂を含むことが好適であり、このような樹脂としては、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂及びポリウレタン等が挙げられる。これらの中でも、ガラス飛散防止性の観点からポリビニルアセタールが好ましく、ポリビニルアセタールの中でもポリビニルブチラールが好ましい。
なお、中間膜は、前述した樹脂以外に、可塑剤等の添加剤を含有していてもよい。
光学積層体は、ハードコート層A、プラスチックフィルムA及び光学機能層Aを含む光学フィルムAを有する。
また、光学積層体は、さらに、下記(A1)〜(A3)の構成を備えることを要する。
(A1)ハードコート層Aの厚みが2.0μm以上。
(A2)光学フィルムA内において、光学機能層Aは、プラスチックフィルムAのハードコート層Aとは反対側、又は、プラスチックフィルムAとハードコート層Aとの間に位置する。
(A3)光学積層体は、プラスチックフィルムAを基準としたハードコート層A側の面が中間膜A側を向くようにして、反射スクリーン内で配置する。
光学機能層Aは、プラスチックフィルムAのハードコート層Aとは反対側、及び、プラスチックフィルムAとハードコート層Aとの間の少なくとも一方に位置していればよく、両方に位置していてもよい。なお、中間膜Aの応力が光学機能層Aに伝わりにくくする観点からは、光学フィルムA内において、光学機能層Aは、プラスチックフィルムAのハードコート層Aとは反対側に位置することが好ましい。
光学積層体が光学フィルムBを有する場合、反射スクリーンは、光学積層体の中間膜Aとは反対側の面に、中間膜B及びガラス基材Bをこの順に有することが好ましい。
また、この場合、光学積層体は、さらに、下記(B1)〜(B2)の構成を備えることが好ましい。
(B1)ハードコート層Bの厚みが2.0μm以上。
(B2)光学フィルムA側の面が中間膜A側を向き、光学フィルムB側の面が中間膜B側を向き、かつ、プラスチックフィルムBを基準としたハードコート層B側の面が中間膜B側を向くようにして光学積層体を配置する。
光学フィルムAと光学フィルムBとは、例えば、接着剤層を介して積層することができる。
光学フィルムB内において、光学機能層Bは、プラスチックフィルムBのハードコート層Bとは反対側、又は、プラスチックフィルムBとハードコート層Bとの間に配置するものとする。当該構成とすることにより、中間膜Bの応力をハードコート層Bが緩和し、プラスチックフィルムBに低周波のうねりが生じ、該うねりが光学機能層Bに伝播することを抑制できる。
光学機能層Bは、プラスチックフィルムBのハードコート層Bとは反対側、及び、プラスチックフィルムBとハードコート層Bとの間の少なくとも一方に位置していればよく、両方に位置していてもよい。なお、中間膜Bの応力が光学機能層Bに伝わりにくくする観点から、光学フィルムB内において、光学機能層Bは、プラスチックフィルムBのハードコート層Bとは反対側に位置することが好ましい。
光学積層体の層構成としては、例えば、下記(y1)〜(y8)が挙げられる。下記(y1)〜(y8)において、「/」は層の界面を意味する。また、下記(y1)〜(y8)は、積層順序の例であり、本発明の効果を阻害しない範囲で、各層の間に他の層が存在することを妨げるものではない。
(y1)ハードコート層A/プラスチックフィルムA/光学機能層A
(y2)ハードコート層A/光学機能層A/プラスチックフィルムA
(y3)ハードコート層A/プラスチックフィルムA/光学機能層A/接着剤層/プラスチックフィルムB/ハードコート層B
(y4)ハードコート層A/光学機能層A/プラスチックフィルムA/接着剤層/プラスチックフィルムB/ハードコート層B
(y5)ハードコート層A/プラスチックフィルムA/光学機能層A/接着剤層/光学機能層B/プラスチックフィルムB/ハードコート層B
(y6)ハードコート層A/光学機能層A/プラスチックフィルムA/接着剤層/光学機能層B/プラスチックフィルムB/ハードコート層B
(y7)ハードコート層A/プラスチックフィルムA/光学機能層A/接着剤層/プラスチックフィルムB/光学機能層B/ハードコート層B
(y8)ハードコート層A/光学機能層A/プラスチックフィルムA/接着剤層/プラスチックフィルムB/光学機能層B/ハードコート層B
プラスチックフィルムとしては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等から選択される1種以上の樹脂から形成されるプラスチックフィルムが挙げられる。
プラスチックフィルムは延伸フィルムであっても、未延伸フィルムであってもよいが、未延伸フィルムが好ましい。
厚みを10μm以上とすることにより、プラスチックフィルムに低周波のうねりが生じることを抑制しやすくできる。また、厚みを150μm以下とすることにより、反射スクリーンが必要以上に厚くなることを抑制できる。
ハードコート層は、主成分として、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。硬化性樹脂組成物の硬化物は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物及び電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
主成分とは、ハードコート層の全固形分(100質量%)の50質量%以上であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
また、電離放射線硬化性化合物は、応力を緩和しやすくする観点及びハードコート層の耐擦傷性の観点のバランスから、2官能(メタ)アクリレート系モノマーと、3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとの混合物であることが好ましい。2官能(メタ)アクリレート系モノマーと3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとの混合比は、質量基準で50:50〜90:10であることが好ましく、60:40〜80:20であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
接触角は、被測定面に1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測するものとする。接触角の測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、相対湿度40〜65%とする。また、測定用サンプルを前記雰囲気に10分以上放置してから測定するものとする。
また、上記応力が光学機能層Aに伝播することを抑制しやすくする観点から、光学フィルムAは、ハードコート層A、プラスチックフィルムA及び光学機能層Aをこの順で有することが好ましい。
また、光学フィルムBが光学機能層Bを有する場合、上記応力が光学機能層Bに伝播することを抑制しやすくする観点から、光学フィルムBは、ハードコート層B、プラスチックフィルムB及び光学機能層Bをこの順で有することが好ましい。
光学機能層としては、半透過半反射層及び位相差層が挙げられる。光学機能層は少なくとも半透過半反射層を有することが好ましい。
光学機能層は単層であってもよいし、多層であってもよい。多層の例としては、半透過半反射層及び位相差層を備える構成が挙げられる。
本明細書において、光学機能層Aとしての半透過半反射層及び位相差層のことを、「半透過半反射層A」及び「位相差層A」と称する場合がある。また、光学機能層Bとしての半透過半反射層及び位相差層のことを、「半透過半反射層B」及び「位相差層B」と称する場合がある。
半透過半反射層は、特定の偏光を反射し、それ以外の光を透過するものであることが好ましく、特定の波長域の特定の偏光を反射し、それ以外の光を透過するものであることがより好ましい。かかる性質を備える半透過半反射層としては、下記(i)及び(ii)が挙げられる。
(i)特定の波長域の右円偏光又は左円偏光を反射し、それ以外の光を透過するコレステリック液晶層(本明細書において、「CLC層」と称する場合がある。)。
(ii)特定の波長域のp波又はs波を反射し、他方を透過する反射性偏光層(本明細書において、「DBEF層」と称する場合がある。)。
反射スクリーンが半透過半反射層A及び半透過半反射層Bを有する場合、半透過半反射層Aと半透過半反射層Bとで反射する波長域を変えることにより、幅広い波長域の映像光を反射することが可能となる。
本明細書においてCLC層とは、コレステリック規則性を呈する液晶性分子からなる層をいう。コレステリック規則性とは、一平面上では分子軸が一定の方向に並んでいるが、それに重なる次の平面では分子軸の方向が少し角度をなしてずれ、更に次の平面では更に角度がずれるというように、重なって配列している平面を順次透過して進むに従って当該平面中の分子軸の角度がずれて(ねじれて)いく構造である。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造はカイラルな構造となる。
λ0=nav・p (21)
ここで、pは液晶分子の螺旋構造におけるヘリカルピッチ、navはヘリカル軸に直交する平面内の平均屈折率である。
入射角が変化した場合、平均屈折率はスネルの法則の影響を受ける。
空気中(屈折率P1=1.0)から角度θ1で入射した場合、CLC層における入射角度θ2は下記式(22)となる。
sin(θ2)=sin(θ1) /nav (22)
したがって、入射角0度の時のλ0に対して入射角θ1の場合の選択反射中心波長λθは、下記式(23)で計算される。
またCLC液晶の場合、平均屈折率はピーク波長によって波長分散の影響を受けることも留意する必要がある。(正分散液晶の場合、長波長側の平均屈折率は低くなることに留意する。)
また、このときの反射光の波長バンド幅Δλは下記式(24)で示される。
Δλ=Δn・p (24)
ここで、Δnは液晶材料の複屈折値である。
まず、無偏光がCLC層に入射した場合、前記波長λ0を中心とした波長バンド幅Δλの範囲の光の右旋又は左旋の円偏光成分の一方が反射し、他方の円偏光成分及び他の波長域の光(無偏光)が透過する。なお、反射した右旋又は左旋円偏光は、通常の反射と異なり、位相が反転されることなくそのまま反射する。
また、円偏光がCLC層に入射した場合において、該円偏光の旋回方向と、CLC層の液晶分子の螺旋構造の旋回方向とが一致する場合には、波長λ0を中心とした波長バンド幅Δλの範囲の円偏光が反射し、他の波長域の円偏光は透過する。なお、反射した右旋又は左旋円偏光は、通常の反射と異なり、位相が反転されることなくそのまま反射する。
反射効率を高め、反射スクリーンの視認性を良好にする観点からは、円偏光をCLC層に入射するように設計することが好ましい。より詳しくは、円偏光の旋回方向と、CLC層の液晶分子の螺旋構造の旋回方向とが一致するように設計することが好ましい。
上記の中でも、CLC層は重合性基を有する液晶性モノマー又はオリゴマーを含む硬化性組成物の硬化物であることが好ましい。CLC層が上記硬化性組成物の硬化物であると、液晶分子をコレステリック液晶状態のままで光学的に固定化することができ、取り扱い性も向上するためである。
上記硬化性組成物は電離放射線硬化性、熱硬化性のいずれでもよいが、前述した固定化の観点からは電離放射線硬化性組成物であることが好ましい。本明細書において電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
重合性基を有する液晶性モノマー又はオリゴマーは、上記重合性基を少なくとも1つ有していればよいが、三次元架橋により液晶性分子が光学的に固定されたCLC層を得る観点からは、重合性基を2つ以上有することが好ましく、両末端に重合性基を有する、2官能の液晶性モノマー又はオリゴマーがより好ましい。
重合性基を有するカイラル剤としては、三次元架橋により液晶性分子が光学的に固定されたCLC層を得る観点から、重合性基を2つ以上有するカイラル剤であることが好ましく、両末端に重合性基を有する、2官能のカイラル剤であることがより好ましい。重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。重合性の観点からは(メタ)アクリロイル基又はビニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
カイラル剤の市販品としては、両末端に重合性基としてアクリロイル基を有するカイラル剤「Paliocolor(登録商標)LC756」(BASF社製)等が挙げられる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、通常波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯等が用いられる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーズケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
上記光重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記硬化性組成物中の光重合開始剤の量は、液晶性モノマー、液晶性オリゴマー、及びカイラル剤の合計量を100質量部とした時の光重合開始剤の配合量として、1〜10質量部であることが好ましく、2〜8質量部であることがより好ましい。
液晶性ポリマーとしては、液晶性ポリマーそれ自体にカイラル能を有しているコレステリック液晶性ポリマーそのものを用いてもよいし、ネマチック液晶性ポリマーとコレステリック液晶性ポリマーの混合物を用いてもよい。このような液晶性ポリマーは、温度によって状態が変わり、例えばガラス転移温度が90℃、アイソトロピック転移温度が200℃である場合は、90〜200℃の間でコレステリック液晶状態を呈し、これを室温まで冷却すれば、コレステリック構造を有したままガラス状態で固化させることができる。
また、反射スクリーンの薄型化の観点からは、CLC層の厚さは、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは50μm以下、より更に好ましくは30μm以下、より更に好ましくは20μm以下、より更に好ましくは10μm以下である。なお、上記CLC層の厚さは、個々のCLC層の厚さである。
まず、ガラス基板等の基材上に配向膜を形成し、その上に、液晶性モノマー又はオリゴマー、カイラル剤、並びに光重合開始剤、溶剤等のその他成分を含むCLC層形成用の電離放射線硬化性組成物を塗布し、配向膜の配向規制力によって液晶性分子(液晶性モノマー及びオリゴマー)を配向させる。次に、この配向状態のままで電離放射線を照射して液晶性モノマー又はオリゴマーを三次元架橋させ、前記硬化性組成物の硬化物であるCLC層を得ることができる。
前記硬化性組成物を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビードコーター法等の公知の各種方法を挙げることができる。
前記硬化性組成物が溶剤を含有する場合、該硬化性組成物を塗布した後に、例えば30〜120℃で10〜120秒間乾燥を行うことが好ましい。
「正分散性」とは、波長が長くなるに従って透過光に与える面内位相差が減少する特性であり、具体的には、波長450nmにおける面内位相差(Re450)と、波長550nmにおける面内位相差(Re550)との関係が、Re450>Re550となる特性である。これに対して、「逆分散性」は、Re450<Re550となる特性である。
本明細書において、面内位相差(Re)は、面内における遅相軸方向の屈折率をnx、面内においてnxに直交する方向の屈折率をny、膜厚をd(nm)とした際に、下記式で表すことができる。
面内位相差(Re)=(nx−ny)×d
CLC層のうち、逆分散性を示すものは、逆分散波長特性を示す液晶材料や、シクロヘキサン構造を有する液晶材料を適用することで得られる。
逆分散性を示す液晶材料としては、例えば、特表2010−522892号公報、特開2006−243470号公報、特開2007−243470号公報、特開2009−75494号公報、特開2009−62508号公報、特開2009−179563号公報、特開2009−242717号公報、特開2009−242718号公報、特許第4222360号公報、特許第4186981号公報、などに記載されている液晶化合物が例示できる。
また、シクロヘキサン構造を有する液晶材料としては、例えば特開2001−163833、特開2007−91612、特開2007−91796、特開2006−241403、特開2006−70080、特開2006−37005、特開2006−8928に記載された液晶材料の分子末端にアクリレート基などの重合性基を付与することにより作製したものもしくは特開2008−274204に記載された材料を適用することができる。
DBEF層としては、多層光学フィルム反射性偏光子が例示され、例えば、米国特許第5,882,774号公報に記載されている反射性偏光子や、3M Companyから入手可能なDBEF−D2−400、DBEF−D4−400等が例示される。
具体的には、DBEF層は、複屈折性を有する層Aと複屈折性を実質的に有さない層Bとが交互に積層された多層積層体であることが好ましい。例えば、このような多層積層体の層の総数は、50〜1,000であり得る。A層のx軸方向の屈折率nxAがy軸方向の屈折率nyAより大きく(nxA>nyA)、B層のx軸方向の屈折率nxBとy軸方向の屈折率nyBとは実質的に同一である(nxB≒nyB)。従って、A層とB層との屈折率差は、x軸方向において大きく、y軸方向においては実質的にゼロである。その結果、x軸方向が反射軸となり、y軸方向が透過軸となる。A層とB層とのx軸方向における屈折率差は、好ましくは0.1〜0.4、より好ましくは0.2〜0.3である。なお、x軸方向は、DBEF層の製造方法におけるDBEF層の延伸方向に対応する。A層とB層とのx軸方向における屈折率差が大きいと、反射率が上がるため、層数を減らすことが可能である。一方、屈折率差を高くするためには、より強い延伸が必要となるため、材料選定やプロセスの適正化が必要であり、更に、ボーイング現象が発生しやすく、生産性が低下しやすいと考えられる。
また、DBEF層は、各層の屈折率及び積層数を調整することにより、反射される偏光成分の分光反射率のピーク値を示す波長及びバンド幅を調整することができる。
まず、無偏光がDBEF層に入射した場合、p波又はs波の一方の偏光成分であって、かつ、上記の手段によって選択した波長の光が反射され、その他の光が透過する。
また、直線偏光がDBEF層に入射した場合において、直線偏光の振動方向と、上記x軸(反射軸)の方向とが一致する場合には、上記の手段によって選択した波長の光が反射され、残りの波長の光が透過する。
反射効率を高め、反射スクリーンの視認性を良好にする観点からは、直線偏光をDBEF層に入射するように設計することが好ましい。より詳しくは、直線偏光の振動方向と、DBEF層のx軸(反射軸)の方向とが一致するように設計することが好ましい。
位相差層は、例えば、視野角特性を調整する役割、光源から射出される光を変換する役割などを有する。光源から射出される光を変換する例としては、光源から射出される直線偏光を、位相差層(λ/4位相差層の単層、又は、λ/2位相差層及びλ/4位相差層)で円偏光に変換することが挙げられる。
下記(f1)〜(f3)において、「/」は層の界面を意味する。また、下記(f1)〜(f3)は、積層順序の例であり、本発明の効果を阻害しない範囲で、各層の間に他の層が存在することを妨げるものではない。例えば、(f1)及び(f2)の場合、プラスチックフィルムAと位相差層Aとの間に配向膜を有することが好ましい。また、(f3)の場合、半透過半反射層Aと位相差層Aとの間に配向膜を有することが好ましい。
(f2)ハードコート層A/位相差層A/プラスチックフィルムA/半透過半反射層A
(f3)ハードコート層A/位相差層A/半透過半反射層A/プラスチックフィルムA
下記(g1)〜(g4)において、「/」は層の界面を意味する。また、下記(g1)〜(g4)は、積層順序の例であり、本発明の効果を阻害しない範囲で、各層の間に他の層が存在することを妨げるものではない。例えば、(g1)〜(g3)の場合、プラスチックフィルムBと位相差層Bとの間に配向膜を有することが好ましい。また、(g4)の場合、半透過半反射層Bと位相差層Bとの間に配向膜を有することが好ましい。
(g2)ハードコート層B/プラスチックフィルムB/位相差層B/半透過半反射層B
(g3)ハードコート層B/位相差層B/プラスチックフィルムB
(g4)ハードコート層B/位相差層B/半透過半反射層B/プラスチックフィルムB
光源から射出した直線偏光を、前述した好適な実施形態の位相差層(λ/4位相差層の単層構造、あるいは、λ/4位相差層とλ/2位相差層との積層構造)を有する側から反射スクリーンに入射させることにより、光源の直線偏光が円偏光に変換され、特定波長の反射率を高め、視認性を良好にすることができる。この場合、位相差層の遅相軸と、光源から射出される直線偏光の振動方向とが成す角度は、下記(A)〜(D)の何れかとすることが好ましい。
なお、本明細書において、位相差層の遅相軸と、直線偏光の振動方向とが成す角度は、両者がなす鋭角を指し、さらに、直線偏光の振動方向を基準として時計回りの方向に該鋭角が存在する場合には該鋭角をプラスと定義し(図3の場合)、直線偏光の振動方向を基準として反時計回りの方向に該鋭角が存在する場合には該鋭角をマイナスと定義している。
この場合、λ/4位相差層の遅相軸と、光源から射出される直線偏光の振動方向との成す角度は、45±10度又は−45±10度であることが好ましく、45±5度又は−45±5度であることがより好ましく、45±3度又は−45±3度であることがさらに好ましく、45±1度又は−45±1度であることがよりさらに好ましい。なお、前述した角度がプラス側の場合は直線偏光が左回りの円偏光に変換され、マイナス側の場合は直線偏光が右回りの円偏光に変換される(下記(B)〜(D)も同様)。
この場合、λ/4位相差層の遅相軸と、光源から射出される直線偏光の振動方向との成す角度は、75±10度又は−75±10度であることが好ましく、75±5度又は−75±5度であることがより好ましく、75±3度又は−75±3度であることがさらに好ましく、75±1度又は−75±1度であることがよりさらに好ましい。また、λ/2位相差層の遅相軸と、光源から射出される直線偏光の振動方向との成す角度は、15±10度又は−15±10度であることが好ましく、15±5度又は−15±5度であることがより好ましく、15±3度又は−15±3度であることがさらに好ましく、15±1度又は−15±1度であることがよりさらに好ましい。なお、λ/4位相差層の遅相軸が成す角度と、λ/2位相差層の遅相軸が成す角度とは、プラスマイナスを揃えるものとする(例えば、λ/4位相差層の遅相軸が成す角度が75±10度の場合、λ/2位相差層の遅相軸が成す角度は15±10度)。
この場合、λ/4位相差層Aの遅相軸と、光源から射出される直線偏光の振動方向との成す角度は、45±10度又は−45±10度であることが好ましく、45±5度又は−45±5度であることがより好ましく、45±3度又は−45±3度であることがさらに好ましく、45±1度又は−45±1度であることがよりさらに好ましい。また、λ/4位相差層Bの遅相軸は、λ/4位相差層Aの遅相軸と略直交するように配置することが好ましい。略直交の範囲は後述する。
この場合、λ/4位相差層Aの遅相軸と、光源から射出される直線偏光の振動方向との成す角度は、75±10度又は−75±10度であることが好ましく、75±5度又は−75±5度であることがより好ましく、75±3度又は−75±3度であることがさらに好ましく、75±1度又は−75±1度であることがよりさらに好ましい。また、λ/2位相差層Aの遅相軸と、光源から射出される直線偏光の振動方向との成す角度は、15±10度又は−15±10度であることが好ましく、15±5度又は−15±5度であることがより好ましく、15±3度又は−15±3度であることがさらに好ましく、15±1度又は−15±1度であることがよりさらに好ましい。なお、λ/4位相差層Aの遅相軸が成す角度と、λ/2位相差層Aの遅相軸が成す角度とは、プラスマイナスを揃えるものとする。また、λ/4位相差層Bの遅相軸は、λ/4位相差層Aの遅相軸と略直交するように配置し、λ/2位相差層Bの遅相軸は、λ/2位相差層Aの遅相軸と略直交するように配置することが好ましい。略直交の範囲は後述する。
光源から直線偏光を射出して、当該構成xの反射スクリーンに入射させることにより、光入射側の位相差層で円偏光に変換された光が、光出射側の位相差層で直線偏光に再変換することができる。このため、下記(i)又は(ii)の構成とすることにより、反射スクリーンの界面反射(特に空気界面の反射)を抑制し、視認性を向上することができる。なお、偏光サングラスをかけた際の視認性を考慮すると、下記(i)の構成が好ましい(偏光サングラスは、通常、s偏光を吸収するように設計されているため)。
(i)再変換される直線偏光をp偏光とする。(光源から射出する直線偏光をp偏光とすれば、再変換される直線偏光はp偏光となる。)
(ii)光出射側の位相差層よりも光出射側に、再変換される直線偏光を吸収する偏光子を配置する。
λ/2位相差層は、Re550が、好ましくは200〜300nm、より好ましくは220〜280nm、更に好ましくは220〜270nmである。
なお、位相差層に液晶性化合物が用いられる場合であっても、層となった後は、もはや液晶性を示す必要はない。重合性液晶性化合物は、多官能性重合性液晶性化合物でもよいし、単官能重合性液晶性化合物でもよい。また、液晶性化合物は、ディスコティック液晶性化合物でもよく、棒状液晶性化合物であってもよい。
本発明の反射スクリーンの一実施形態は、その他の層を有していてもよい。
その他の層としては、位相差層を配向させやすくするための配向膜、紫外線吸収層及び接着剤層等が挙げられる。
本発明の反射スクリーンの一実施形態は、JIS K7361−1:1997に準拠して測定される全光線透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
また、本発明の反射スクリーンの一実施形態は、JIS K7136:2000に準拠して測定されるヘイズが2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。
本発明の反射スクリーンは、透明パーティション、ショウウインドウ、ウェアラブルディスプレイ及びヘッドアップディスプレイ等に好適に用いることができる。
本発明の反射スクリーンの製造方法iは、下記(a1)〜(a2)の工程を順に行うものである。
(a1)ガラス基材A、中間膜A及び光学積層体をこの順に重ね合わせた積層体iを得る工程。前記光学積層体は、ハードコート層A、プラスチックフィルムA及び半透過半反射層Aを含む光学フィルムAを有するものである。前記ハードコート層Aは厚みが2.0μm以上である。また、前記光学フィルムA内において、前記光学機能層Aは、前記プラスチックフィルムAの前記ハードコート層Aとは反対側、又は、前記プラスチックフィルムAと前記ハードコート層Aとの間に位置してなる。また、前記プラスチックフィルムAを基準とした前記ハードコート層A側の面が前記中間膜A側を向くようにして、ガラス基材A、中間膜A及び光学積層体を重ね合わせる。
(a2)前記積層体iを加熱及び加圧して、前記ガラス基材Aと前記光学積層体の前記光学フィルムA側とが前記中間膜Aを介して接着してなる反射スクリーンiを得る工程。
本発明の反射スクリーンの製造方法iiは、下記(b1)〜(b2)の工程を順に行うものである。
(b1)ガラス基材A、中間膜A、光学積層体、中間膜B及びガラス基材Bをこの順に重ね合わせた積層体iiを得る工程。前記光学積層体は、ハードコート層A、プラスチックフィルムA及び半透過半反射層Aを含む光学フィルムAと、ハードコート層B及びプラスチックフィルムBを含む光学フィルムBとを有するものである。前記ハードコート層A及び前記ハードコート層Bは厚みが2.0μm以上である。また、前記光学フィルムA内において、前記光学機能層Aは、前記プラスチックフィルムAの前記ハードコート層Aとは反対側、又は、前記プラスチックフィルムAと前記ハードコート層Aとの間に位置してなる。また、前記光学フィルムA側の面が前記中間膜A側を向き、前記光学フィルムB側の面が前記中間膜B側を向き、前記プラスチックフィルムAを基準とした前記ハードコート層A側の面が前記中間膜A側を向き、前記プラスチックフィルムBを基準とした前記ハードコート層B側の面が前記中間膜B側を向くようにして、ガラス基材A、中間膜A、光学積層体、中間膜B及びガラス基材Bを重ね合わせる。
(b2)前記積層体iiを加熱及び加圧して、前記ガラス基材Aと前記光学積層体の前記光学フィルムA側とが前記中間膜Aを介して接着してなり、前記ガラス基材Bと前記光学積層体の前記光学フィルムB側とが前記中間膜Bを介して接着してなる反射スクリーンiiを得る工程。
工程(a2)及び(b2)は、予備圧着工程及び本接着工程を有することが好ましい。
予備接着工程は、例えば、80〜140℃に加熱した後、一対の圧着ロールを通過させることで行うことができる。本接着工程は、例えば、オートクレーブ中、1.0〜1.5MPaの加圧下で80〜150℃の温度で行うことができる。
なお、加熱温度及び圧力等の条件は上記の範囲に限定されず、中間膜の物性(軟化点等)及び光学積層体の耐熱温度等を考慮して、適宜調整することができる。
本発明の投射システムは、光源と、上述した本発明の反射スクリーンとを備えてなるものである。
直線偏光を投射可能な光源としては、有機EL等の表示素子上に偏光子を配置したもの、及び、液晶プロジェクタが挙げられる。円偏光を投射可能な光源としては、直線偏光を投射可能な光源に位相差層を付加したものが挙げられる。
1.材料の準備及び作製
1−1.ハードコート層、フィルム配向膜及びλ/4位相差層の形成
未延伸のプラスチックフィルム(厚み60μmのトリアセチルセルロースフィルム)上に、下記処方のハードコート層形成用塗布液1を塗布、乾燥、紫外線照射して、厚み6.0μmのハードコート層を形成した。
次いで、プラスチックフィルムのハードコート層を形成した面とは反対側の面に光配向膜を塗布、乾燥して、厚み0.2μmの配向膜を形成した。
次いで、配向膜上に、Re450/Re550=1.09の液晶材料を溶剤(MEK/MIBK=5/5)で固形分25質量%に希釈した塗布液を塗布、乾燥してλ/4位相差層を形成し、透明基材、配向膜及びλ/4位相差層をこの順に有する積層体1を得た。なお、λ/4位相差層の厚みは、Re(550)が142nmとなるように調整した。また、積層体1は2つ作製した。
なお、ハードコート層A及びBの表面の鉛筆硬度はHであり、純水の接触角は71度であった。
・紫外線硬化性樹脂 100質量部
(2官能アクリレート(日本化薬社製の商品名「KAYARAD R-115」)と、6官能アクリレート(日本化薬社製の商品名「KAYARAD UX-5000」)との、100:30混合物
・光重合開始剤 5質量部
(IGM Resin社製の商品名「Irgacure907」)
・希釈溶剤 200質量部
(メチルエチルケトン)
上記1−1で得た一方の積層体1のλ/4位相差層上に、重合性液晶性モノマー93.25部、両末端にアクリロイルを有するカイラル剤(Paliocolor(登録商標)LC756、BASF社製)6.85質量部、光重合開始剤(IRGACURE(登録商標)907;2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)4質量部、アクリル系レベリング剤(BYK−361N、ビックケミー・ジャパン(株)製)0.1質量部をシクロペンタノンで固形分20%に希釈したものを塗工し、厚み1.0μmのCLC層(半透過半反射層A)を形成した。これにより、ハードコート層A、プラスチックフィルムA、配向膜、λ/4位相差層A、及び半透過半反射層Aをこの順に有する光学フィルムAを得た。
上記1−1で得た他方の積層体1のλ/4位相差層上に、重合性液晶性モノマー93.25部、両末端にアクリロイルを有するカイラル剤(Paliocolor(登録商標)LC756、BASF社製)6.85質量部、光重合開始剤(IRGACURE(登録商標)907;2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)4質量部、アクリル系レベリング剤(BYK−361N、ビックケミー・ジャパン(株)製)0.1質量部をシクロペンタノンで固形分20%に希釈したものを塗工し、厚み1.2μmのCLC層(半透過半反射層B)を形成した。これにより、ハードコート層B、プラスチックフィルムB、配向膜、λ/4位相差層B、及び半透過半反射層Bをこの順に有する光学フィルムBを得た。
上記1−2で得た光学フィルムAの半透過半反射層A側の面と、上記1−2で得た光学フィルムBの半透過半反射層B側の面とを、厚み50μmの光学的等方性の透明粘着剤層を介して貼り合わせ、実施例1で用いる光学積層体を得た。なお、λ/4位相差層Aの遅相軸とλ/4位相差層Bの遅相軸とは直交させた。
実施例1で用いる光学積層体は、ハードコート層A、プラスチックフィルムA、配向膜、λ/4位相差層A、半透過半反射層A、接着剤層、半透過半反射層B、λ/4位相差層B、配向膜、プラスチックフィルムB及びハードコート層Bをこの順で有している。
ガラス基材A、中間膜A、光学積層体(上記1−3で得た光学積層体)、中間膜及びガラス基材Bをこの順で重ね合わせた積層体iiを得た。この際、光学積層体のハードコート層A側の面が中間膜A側を向き、光学積層体のハードコート層B側の面が中間膜B側を向くようにした。ガラス基材A及びBは、セントラル硝子社製の厚み2mmのフロートガラス板を用い、中間膜A及びBは、積水化学工業社製の厚み380μmのポリビニルブチラールフィルム(商品名:S−LEC PVB)を用いた。
次いで、積層体iiを約90℃に加熱した後、一対の圧着ロールを通過させることによって、積層体iiを仮圧着した。
次いで、仮圧着した積層体iiをオートクレーブ中に収納し、約1MPaに加圧し、約130℃で30分間加熱することによって、仮圧着後に残った気泡を取り除き、ガラス基材A及びBと、光学積層体とが、中間膜A及びBを介して接着されてなる反射スクリーンを得た。
プラスチックフィルムA及びBを厚み100μmの二軸延伸PETフィルム(東洋紡社製、商品名:コスモシャインA4100)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の反射スクリーンを得た。
実施例1のハードコート層形成用塗布液1を下記のハードコート層形成用塗布液2に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の反射スクリーンを得た。
<ハードコート層形成用塗布液2>
・紫外線硬化性樹脂 100質量部
(6官能アクリレート、日本化薬社製の商品名「KAYARAD UX-5000」)
・光重合開始剤 5質量部
(IGM Resin社製の商品名「Irgacure907」)
・希釈溶剤 200質量部
(メチルエチルケトン)
実施例1のハードコート層の厚みを3.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の反射スクリーンを得た。
ハードコート層を形成しない以外は、実施例1と同様にして、比較例1の光学積層体を得た。比較例1で用いる光学積層体は、プラスチックフィルムA、配向膜、λ/4位相差層A、半透過半反射層A、接着剤層、半透過半反射層B、λ/4位相差層B、配向膜、プラスチックフィルムBをこの順で有している。
次いで、ガラス基材A、中間膜A、比較例1の光学積層体、中間膜及びガラス基材Bをこの順で重ね合わせた積層体を得た後、実施例1と同様の加熱圧着工程を行い、比較例1の反射スクリーンを得た。
プラスチックフィルムA及びBを厚み100μmのCOPフィルム(日本ゼオン社製、商品名:ZF16−100、未延伸)に変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例2の反射スクリーンを得た。
プラスチックフィルムA及びBを厚み100μmのポリカーボネートフィルム(帝人社製、商品名:D−100、未延伸)に変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例2の反射スクリーンを得た。
実施例1のハードコート層の厚みを1.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の反射スクリーンを得た。
2−1.全光線透過率
ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、実施例及び比較例の反射スクリーンの全光線透過率(JISK7361−1:1997)を測定した。全光線透過率が70%以上のものを「A」、70%未満のものを「C」とした。
偏光出力可能なノートPC(パナソニック社製、商品名:let’s note)に、線幅0.5mmの細線からなる格子状の白色画像(一つの格子の面積:225mm2)を表示し、該画像を検証用の光源とした。光源の照度は150cd/m2で調整した。光源の光出射面側に、実施例及び比較例の反射スクリーンを図5の位置関係(光源の光出射面に対する法線と、反射スクリーンの光入射面とが成す角が45度。光源と反射スクリーンとの距離は50cm)で配置し、図5に示す方向(正反射方向)の近距離(50cm)及び遠距離(100cm)からゆらぎの状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。観察環境は外光を遮った室内として、室内照明はOFFとした。評価B以上が合格レベルである。なお、反射スクリーンはガラス基材A側が光源側を向くように配置した。図4は細線がゆらいだ状態のイメージ図であり、破線で囲んだ箇所の細線がゆらいでいる。
A:近距離からの観察でも細線のゆらぎが確認できない。
B:近距離からの観察で僅かな細線のゆらぎが確認できるが、遠距離では細線のゆらぎが確認できない。
C:近距離からの観察ではっきりと細線のゆらぎが確認できる。
D:遠距離からの観察でもはっきりと細線のゆらぎが確認できる。
蛍光灯の照明下で、実施例及び比較例の反射スクリーンに局部的な皺が生じているか否かを目視で確認した。
A:近距離からの観察でも局部的な皺が確認できない。
B:近距離からの観察で局部的に微細な皺が確認できるが、実用上問題なし。
C:近距離からの観察ではっきりと皺が確認でき、実用上問題あり。
12:ガラス基材B
21:中間膜A
22:中間膜B
31:光学フィルムA
31a:プラスチックフィルムA
31b:ハードコート層A
31c:光学機能層A
32:光学フィルムB
32a:プラスチックフィルムB
32b:ハードコート層B
32c:光学機能層B
40:接着剤層
50:光学積層体
100:反射スクリーン
200:光源
Claims (7)
- ガラス基材A、中間膜A及び光学積層体をこの順に有し、前記光学積層体は、ハードコート層A、プラスチックフィルムA及び光学機能層Aを含む光学フィルムAを有してなり、
前記ハードコート層Aは厚みが2.0μm以上であり、
前記光学フィルムA内において、前記光学機能層Aは、前記プラスチックフィルムAの前記ハードコート層Aとは反対側、又は、前記プラスチックフィルムAと前記ハードコート層Aとの間に位置してなり、
前記プラスチックフィルムAを基準とした前記ハードコート層A側の面が前記中間膜A側を向くようにして前記光学積層体を配置してなる、反射スクリーン。 - 前記反射スクリーンは、前記光学積層体の前記中間膜Aとは反対側の面に、中間膜B及びガラス基材Bをこの順に有し、前記光学積層体は、さらに、ハードコート層B及びプラスチックフィルムBを含む光学フィルムBを有してなり、
前記ハードコート層Bは厚みが2.0μm以上であり、
前記光学フィルムA側の面が前記中間膜A側を向き、前記光学フィルムB側の面が前記中間膜B側を向き、かつ、前記プラスチックフィルムBを基準とした前記ハードコート層B側の面が前記中間膜B側を向くようにして前記光学積層体を配置してなる、請求項1に記載の反射スクリーン。 - 前記光学機能層Aが半透過半反射層Aである、請求項1又は2に記載の反射スクリーン。
- 前記光学フィルムBが、さらに光学機能層Bを含み、
前記光学フィルムB内において、前記光学機能層Bは、前記プラスチックフィルムBの前記ハードコート層Bとは反対側、又は、前記プラスチックフィルムBと前記ハードコート層Bとの間に位置してなる、請求項2に記載の反射スクリーン。 - 光源と、請求項1〜4の何れか1項に記載の反射スクリーンとを備えた、投射システム。
- 下記(a1)〜(a2)の工程を順に行う反射スクリーンiの製造方法。
(a1)ガラス基材A、中間膜A及び光学積層体をこの順に重ね合わせた積層体iを得る工程。前記光学積層体は、ハードコート層A、プラスチックフィルムA及び光学機能層Aを含む光学フィルムAを有するものである。前記ハードコート層Aは厚みが2.0μm以上である。また、前記光学フィルムA内において、前記光学機能層Aは、前記プラスチックフィルムAの前記ハードコート層Aとは反対側、又は、前記プラスチックフィルムAと前記ハードコート層Aとの間に位置してなる。また、前記プラスチックフィルムAを基準とした前記ハードコート層A側の面が前記中間膜A側を向くようにして、ガラス基材A、中間膜A及び光学積層体を重ね合わせる。
(a2)前記積層体iを加熱及び加圧して、前記ガラス基材Aと前記光学積層体の前記光学フィルムA側とが前記中間膜Aを介して接着してなる反射スクリーンiを得る工程。 - 下記(b1)〜(b2)の工程を順に行う反射スクリーンiiの製造方法。
(b1)ガラス基材A、中間膜A、光学積層体、中間膜B及びガラス基材Bをこの順に重ね合わせた積層体iiを得る工程。前記光学積層体は、ハードコート層A、プラスチックフィルムA及び光学機能層Aを含む光学フィルムAと、ハードコート層B及びプラスチックフィルムBを含む光学フィルムBとを有するものである。前記ハードコート層A及び前記ハードコート層Bは厚みが2.0μm以上である。また、前記光学フィルムA内において、前記光学機能層Aは、前記プラスチックフィルムAの前記ハードコート層Aとは反対側、又は、前記プラスチックフィルムAと前記ハードコート層Aとの間に位置してなる。また、前記光学フィルムA側の面が前記中間膜A側を向き、前記光学フィルムB側の面が前記中間膜B側を向き、前記プラスチックフィルムAを基準とした前記ハードコート層A側の面が前記中間膜A側を向き、前記プラスチックフィルムBを基準とした前記ハードコート層B側の面が前記中間膜B側を向くようにして、ガラス基材A、中間膜A、光学積層体、中間膜B及びガラス基材Bを重ね合わせる。
(b2)前記積層体iiを加熱及び加圧して、前記ガラス基材Aと前記光学積層体の前記光学フィルムA側とが前記中間膜Aを介して接着してなり、前記ガラス基材Bと前記光学積層体の前記光学フィルムB側とが前記中間膜Bを介して接着してなる反射スクリーンiiを得る工程。
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JP2019063427A JP7331412B2 (ja) | 2019-03-28 | 2019-03-28 | 反射スクリーン、該反射スクリーンを用いた投射システム、及び反射スクリーンの製造方法 |
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