以下、本発明による検出装置、および、制御装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態による検出装置、および、制御装置を図1〜図7に示す。図1は、電動パワーステアリング装置8を備えるステアリングシステム90の全体構成を示すものである。ステアリングシステム90は、操舵部材であるステアリングホイール91、ステアリングシャフト92、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、および、電動パワーステアリング装置8等を備える。
ステアリングホイール91は、ステアリングシャフト92と接続される。ステアリングシャフト92は、第1の軸である入力軸11および第2の軸である出力軸12を有する(図2参照)。ステアリングシャフト92には、操舵トルクを検出するセンサユニット4が設けられる。
ステアリングシャフト92の先端には、ピニオンギア96が設けられる。ピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が連結される。運転者がステアリングホイール91を回転させると、ステアリングホイール91に接続されたステアリングシャフト92が回転する。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換される。一対の車輪98は、ラック軸97の変位量に応じた角度に操舵される。
電動パワーステアリング装置8は、モータ80およびECU10を有する駆動装置400、センサユニット4、ならびに、モータ80の回転を減速してステアリングシャフト92に伝える動力伝達部としての減速ギア89等を備える。本実施形態の電動パワーステアリング装置8は、所謂「コラムアシストタイプ」であるが、モータ80の回転をラック軸97に伝える所謂「ラックアシストタイプ」等としてもよい。本実施形態では、ステアリングシャフト92が「駆動対象」に対応する。ステアリングホイール91から車輪98に至るメカ部分を「ステアリング系」とすれば、減速ギア89は、モータ80とステアリング系とを接続する部材である、といえる。
モータ80は、操舵に要するトルクの一部または全部を出力するものであって、図示しないバッテリから電力が供給されることにより駆動され、減速ギア89を正逆回転させる。駆動装置400は、モータ80の軸方向の一方側にECU10が一体的に設けられており、いわゆる「機電一体型」であるが、モータ80とECU10とは別途に設けられていてもよい。ECU10は、モータ80の出力軸とは反対側において、図示しないモータシャフトの軸線に対して同軸に配置されている。ECU10は、モータ80の出力軸側に設けられていてもよい。機電一体型とすることで、搭載スペースに制約のある車両において、ECU10とモータ80とを効率的に配置することができる。
モータ80は、3相ブラシレスモータであって、図示しないロータに巻回される巻線組である第1モータ巻線180および第2モータ巻線280を有する(図4参照)。モータ巻線180、280は、電気的特性が同等であり、共通のステータに、互いに電気角30[deg]ずらしてキャンセル巻きされる。これに応じて、モータ巻線180、280には、位相φが30[deg]ずれた相電流が通電されるように制御される。通電位相差を最適化することで、出力トルクが向上する。また、6次のトルクリプルを低減することができる。さらにまた、位相差通電により、電流が平均化されるため、騒音、振動のキャンセルメリットを最大化することができる。また、発熱についても平均化されるため、各センサの検出値やトルク等、温度依存の系統間誤差を低減可能であるとともに、通電可能な電流量を平均化できる。なお、モータ巻線180、280の電気的特性は異なっていてもよい。
図2に示すように、センサユニット4は、入力軸11、出力軸12、トーションバー13、多極磁石15、磁気ヨーク16、および、検出装置401等を備える。トーションバー13は、一端側が入力軸11に、他端側が出力軸12に、それぞれ固定ピン14で固定され、入力軸11と出力軸12とを回転軸Oの同軸上に連結する。トーションバー13は、棒状の弾性部材であり、ステアリングシャフト92に加わるトルクを捩れ変位に変換する。多極磁石15は、円筒状に形成され、入力軸11に固定される。多極磁石15は、N極とS極とが周方向に交互に着磁される。本実施形態では、N極およびS極の数は12対、計24極である。
磁気ヨーク16は、樹脂等の非磁性材により形成される図示しないヨーク保持部材に保持され、多極磁石15が発生する磁界内に磁気回路を形成する。磁気ヨーク16は、入力軸11側に設けられる第1ヨーク17、および、出力軸12側に設けられる第2ヨーク18を有する。第1ヨーク17および第2ヨーク18は、ともに軟磁性体により環状に形成され、多極磁石15の径方向外側にて、出力軸12に固定される。第1ヨーク17は、リング部171および爪172を有する。爪172は、リング部171の内縁に沿って全周に等間隔で設けられる。第2ヨーク18は、リング部181および爪182を有する。爪182は、リング部181の内縁に沿って全周に等間隔で設けられる。
爪172、182は、多極磁石15の極対数と同数(本実施形態では12)であり、爪172と爪182とは、周方向にずれて交互に配置され、第1ヨーク17と第2ヨーク18とがエアギャップを介して対向している。トーションバー13に捩れ変位が生じていない場合、すなわちステアリングシャフト92に操舵トルクが加わっていないとき、爪172、182の中心と、多極磁石15のN極とS極との境界とが一致するように配置される。
集磁リング21、22は、磁気ヨーク16の径方向外側に配置され、磁気ヨーク16からの磁束を集める。第1集磁リング21は入力軸11側に設けられ、第2集磁リング22は出力軸12側に設けられる。第1集磁リング21および第2集磁リング22は、インサート成形等により、図示しない集磁リング保持部材に保持される。
第1集磁リング21は、軟磁性体で形成され、略環状に形成されるリング部211、および、リング部211から径方向外側に突出した2つの集磁部215から構成される。第2集磁リング22は、第1集磁リング21と同様、軟磁性体で形成され、略環状に形成されるリング部221、および、リング部221から径方向外側に突出した2つの集磁部225から構成される。第1集磁リング21の集磁部215と、第2集磁リング22の集磁部225とは、対向する面が略平行となるように設けられる。集磁部215、225の間には、トルクセンサ421が配置される。
トルクセンサ421は、ホール素子等の磁気検出素子を有し、集磁部215、225間の磁束を検出する。入力軸11と出力軸12との間に操舵トルクが印加されていないとき、第1ヨーク17の爪172および第2ヨーク18の爪182の中心が、多極磁石15のN極とS極との境界に一致するように配置される。このとき、爪172、182には、多極磁石15のN極およびS極から同数の磁力線が出入りするため、第1ヨーク17と第2ヨーク18との内部で、それぞれ磁力線が閉ループを形成する。そのため、ヨーク17、18間のギャップに磁束が漏れることがなく、磁気検出素子が検出する磁束密度はゼロとなる。
入力軸11と出力軸12との間に操舵トルクが印加されてトーションバー13に捩れ変位が生じると、入力軸11に固定された多極磁石15と、出力軸12に固定されたヨーク17、18との相対位置が周方向にずれる。その結果、磁気検出素子を通過する磁束密度は、トーションバー13の捩れ変位量に略比例し、かつ、トーションバー13の捩れ方向に応じて極性が反転する。磁気検出素子は、トルクセンサ421の厚み方向の磁界の強さを検出し、検出した磁界の強さを操舵トルク検出値として、ECU10に出力する。
検出装置401は、基板411、回転角センサ31、および、トルクセンサ421を有する。回転角センサ31およびトルクセンサ421は、基板411に実装される。トルクセンサ421は、基板411の一方側に寄せて配置され、集磁部215、225の間に挿入される。集磁部215、225が配置される位置において、基板411を切り欠き、切欠部に集磁部225を挿入することで、集磁部215、225間の距離を小さくできるので、磁気回路ギャップを小さくすることができる。これにより、磁束漏れが低減し、トルク検出精度が向上する。
図3および図4に示すように、回転角センサ31は、位置検出部40、マルチターン検出部45、角度演算部50、カウント演算部55、および、通信部58を有し、図示しない車両のイグニッションスイッチ等である始動スイッチがオンされているときに、電源391から電力が供給される。電源391は、例えばレギュレータ等の定電圧電源である。以下適宜、始動スイッチを「IG」と記載する。
位置検出部40は、出力軸12と一体に回転する出力軸ギア26と噛み合う検出用ギア27の回転を検出する(図2参照)。検出用ギア27にはマグネット28が設けられ、位置検出部40は、検出用ギア27の回転に応じたマグネット28の磁界の変化を検出する。位置検出部40は、例えば、AMRセンサ、TMRセンサ、GMRセンサ等の磁気抵抗効果素子や、ホール素子等である。また、インダクティブセンサやレゾルバ等を用いてもよい。
出力軸ギア26と検出用ギア27とのギア比は任意に設定可能であって、ギア比に応じて分解能が決まる。例えば出力軸ギア26と検出用ギア27のギア比を2:1とすると、ステアリングシャフト92の1回転で、検出用ギア27が2回転するため、高精度の検出が可能となる。また、検出用ギア27を出力軸ギア26より大きくすると、回転回数の検出が不要となる。
マルチターン検出部45は、電力供給がなくてもマグネット28の回転に伴う磁束変化を捉えることが可能に構成される。換言すると、マルチターン検出部45は、電気以外の記憶方式(本実施形態では磁気記憶方式)を用いている。具体的には、マルチターン検出部45は、磁気検出素子が螺旋状に配列され、初期は特定の磁気方向を向いている。マグネット28が回転すると、磁気検出素子は、端部から順に磁気方向が変えられ、検出用ギア27の一周ごとに回転方向に応じて外側または内側に磁束が変化する箇所が変わる。磁気検出素子は、磁気方向に応じて抵抗値が変化する。磁気検出素子の磁気方向の変化には、電力は不要である。また、磁気検出素子に電流を流し、出力を検出することで、検出用ギア27の回転位置を測定可能である。すなわち、マルチターン検出部45は、検出時には電力が不要であって、検出値を読み出す際には電力が必要である。
マルチターン検出部45は、始端から終端までの所定数の回転位置を検出可能なものであってもよいし、始端と終端とを接続することで実用上、無限に回転位置を検出可能に構成してもよい。
角度演算部50は、図示しないAD変換部によりAD変換された位置検出部40の検出値に基づき、検出用ギア27の回転角であるギア回転角θgを演算する。ギア回転角θgは、検出用ギア27の回転角度に応じた値であって、回転角度に換算可能などのような値であってもよい。
カウント演算部55は、マルチターン検出部45に通電したときの出力に応じ、カウント値TCを演算する。カウント値TCは、検出用ギア27の1回転中にn回(nは1以上の整数)、回転方向に応じてカウントアップまたはカウントダウンされる。
ギア回転角θgが、カウント値TC=kにおけるギア回転角θg=359°から、カウント値TC=k+1におけるギア回転角θg=0°への切り替わりでの検出間違いを防止すべく、n=2以上とし、検出用ギア27の1回転で2カウント以上とすることが望ましい。また、ギア回転角θgについて、359°と0°との切り替えに伴うカウント値TCとの検出ズレは、適宜補正される。なお、ここでは簡略化のため、ギア回転角θgの小数点以下は省いて説明した。
nを3以上とすると、回転方向を検出できる。本実施形態では、n=4とし、検出用ギア27が90[deg]回転するごとにカウントアップまたはカウントダウンされる。本実施形態では、カウント値TCは、ステアリングホイール91の正回転時にカウントアップ、逆回転時にカウントダウンされるものとする。また、検出用ギア27の回転速度に対して十分な速度でのサンプリングを行うものとする。図4中、二点鎖線にて囲まれたブロックは電力不要であり、破線で囲まれたブロックは、IGがオンされているときに給電される。
通信部58は、ギア回転角θgおよびカウント値TCを含む出力信号を生成し、例えばSPI通信等のデジタル通信にて出力信号を制御部70に出力する。通信方式は、SENT通信等、SPI通信以外の方式であってもよい。また、ギア回転角θgおよびカウント値TCを別々に制御部70に出力するようにしてもよい。さらにまた、ギア回転角θgおよびカウント値TCに基づいて絶対角θaを演算し、絶対角θaを制御部70に出力してもよい。
ECU10は、駆動回路120、220、制御部70、および、モータ回転角センサ85等を備える。図4中、駆動回路を「INV」と記載する。第1駆動回路120は、6つのスイッチング素子を有する3相インバータであって、第1モータ巻線180へ供給される電力を変換する。第2駆動回路220は、6つのスイッチング素子を有する3相インバータであって、第2モータ巻線280へ供給される電力を変換する。駆動回路120、220を構成するスイッチング素子は、制御部70から出力される制御信号に基づいてオンオフ作動が制御される。
モータ回転角センサ85は、モータ80の回転に応じ、図示しないロータと一体に回転するマグネットの磁界を検出するものであって、例えば、AMRセンサ、TMRセンサ、GMRセンサ等の磁気抵抗効果素子や、ホール素子等である。また、インダクティブセンサやレゾルバ等を用いてもよい。
制御部70は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部70における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。後述の実施形態に係る制御部170、270も同様である。
制御部70は、絶対角演算部75、制御演算部76、および、異常監視部77等を有する。絶対角演算部75は、カウント値TCおよびギア回転角θgを用いて絶対角θaを演算する。絶対角θaは、検出ギア27における基準位置からの回転角度であって、複数回転情報を含む。絶対角θaをギア26、27のギア比で換算することで、ステアリング角θsを演算可能である。以下、「絶対角」とは、検出対象の基準位置からの回転角であって、複数回転情報を含む値とする。
制御演算部76は、回転角センサ31およびモータ回転角センサ85等から取得した情報等を用いて、各種制御演算を行う。本実施形態では、検出装置401およびモータ回転角センサ85から取得した情報を用い、モータ80の駆動制御に係る制御演算を行う。異常監視部77は、検出装置401およびモータ回転角センサ85の異常を監視する。
ステアリング角θsの演算を式(1)に示す。式中のINT(TC/n)は、カウント値TCを1回転あたりのカウント数nで除した商の整数部分を意味しており、検出用ギア27の回転回数を示している。尚、カウント値TCとギア回転角θgの0点が違うと、INT(TC/n)にて間違った回転回数を算出するため、必要に応じカウント値TCに、カウント値TCとギア回転角θgの0点を一致させるためのTC補正値TC_cを加算した後に演算してもよい。その場合は、回転回数は、INT{(TC+TC_c)/n}となる。TC補正値TC_cはカウント値TCがリセットされる毎に演算が必要であり、TC補正値TC_cは不揮発領域に記憶される。図4の例では、絶対角演算部75が制御部70に設けられているが、回転角センサ31にて絶対角θaを演算し、絶対角θaを制御部70に出力するようにしてもよい。また、ギア比換算後のステアリング角θsとしてもよい。後述の実施形態においても同様である。また、式中のRgはギア26、27のギア比である。
θs={INT(TC/n)×360+θg}/Rg ・・・(1)
ステアリングシャフト92は、中立位置から左右2回転、すなわち左回転端部から右回転端部まで4回転する。また、出力軸ギア26と検出用ギア27のギア比を2:1とし、ステアリングシャフト92を一端から他端まで回転させると、検出用ギア27は8回転する。また、本実施形態では検出用ギア27の1回転中のカウント数n=4であるので、マルチターン検出部45は、8×4=32カウント以上の検出を可能に構成される。
マルチターン検出部45にて検出可能なカウント数を必要以上に大きくすると、回路規模が大きくなり、ICの体格やコストが大きくなる。また、マルチターン検出部45のカウント値TCが最小値Cminまたは最大値Cmaxになるとカウントできない張り付きモードが存在する場合、ステアリングホイール91の中立位置とマルチターン検出部45における中央値Cmidとがずれていると、絶対角θaおよびステアリング角θsが適切に演算されない虞がある(図6参照)。
本実施形態では、図5に示すように、センサユニット4には、出力軸ギア26と検出用ギア27とを固定可能なギア固定機構29が設けられている。マルチターン検出部45が磁気記憶方式であるので、ギア固定機構29は磁場を有さないもので形成される。本実施形態では、カウント値TCが特定値(例えば中央値Cmid)となるように、検出装置401と、検出用ギア27および出力軸ギア26とを位置決めする。図5(a)に示すように、ギア固定機構29にて出力軸ギア26および検出用ギア27が回転しないように固定した状態にて、カウント値TCの特定値と対応するようにステアリングシャフト92に組み付ける。例えばカウント値TCが中央値Cmidでギア26、27が固定された状態にて、ステアリングホイール91の中立位置となるように組み付ける。
図5(b)に示すように、製品組み付けが完了すると、ギア固定機構29がギア26、27から離間することで、ギア26、27の固定が解除される。図5の例では、ギア固定機構29は、ギア26、27の少なくとも一部を収容する収容部材であるが、ギア固定機構29はギア26、27が回転しないように固定できればよく、例えばピン等での固定でもよい。
また、マルチターン検出部45が初期化機能を有している場合、初期化後のカウント値TCに応じてステアリングシャフト92の回転位置を合わせて組み付けるようにしてもよい。この場合、ギア固定機構29を省略可能である。初期化されたカウント値TCである初期値x0は、中央値Cmidであることが望ましいが、中央値Cmidでなくてもよいし、例えば組み付け誤差等に応じて適宜オフセットさせるようにしてもよい。本実施形態では、マルチターン検出部45に強磁場や高電圧、高電流を印加することで、マルチターン検出部45を物理的に初期化する。また、物理的な初期化処理に限らず、例えば現在位置を初期位置とみなすよう、カウント演算部55の内部にてソフトウェア的に初期化するようにしてもよい。
ところで、図6に一点鎖線で示すように、マルチターン検出部45の本来の検出範囲外での回転を検出すると、検出範囲外にて値が固着する。また、検出対象を反対方向に回転させることで、カウント値TCが最小値Cminまたは最大値Cmaxから変化可能な場合、実線で示すように、ステアリングシャフト92を右回転端部および左回転端部まで動作させれば、マルチターン検出部45の検出範囲とステアリングシャフト92の動作範囲とを整合させることができる。この場合、ステアリングの中点学習を行う。なお、マルチターン検出部45が上下限に固着しないものであっても適用可能である。
本実施形態の中点学習処理を図7のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、例えば組み付け完了時等、中央値Cmidの学習が必要な際に制御部70にて実行される。また、検出装置401側でこの処理を行うようにしてもよい。以下、ステップS101の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。
S101では、制御部70は、ステアリングホイール91を右回転端部まで回転させたときのカウント値である右端カウント値TC_Rを用い、右端ステアリング角θRを演算、記憶する。
S102では、制御部70は、ステアリングホイール91を左回転端部まで回転させたときのカウント値である左端カウント値TC_Lを用い、左端ステアリング角θLを演算、記憶する。
S103では、制御部70は右端ステアリング角θRと左端ステアリング角θLとの差の絶対値が動作範囲判定値αより大きいか否か判断する。動作範囲判定値αは、ステアリングホイール91の右端と左端との間の動作範囲に応じて設定される。例えば、右端から左端までの間でカウント値TCが固着した場合や、端部を誤判定した場合に否定判断される。右端ステアリング角θRと左端ステアリング角θLとの差の絶対値が動作範囲判定値α以下であると判断された場合(S103:NO)、S101へ戻り、右端ステアリング角θRおよび左端ステアリング角θLを再演算する。なお再演算を繰り返しても肯定判断されない場合、異常確定して本処理を終了するようにしてもよい。右端ステアリング角θRと左端ステアリング角θLとの差の絶対値が動作範囲判定値αより大きいと判断された場合(S103:YES)、S104へ移行し、ステアリング中点θmidを演算、記憶する(式(2)参照。)。
θmid=(θR+θL)/2 ・・・(2)
本実施形態では、マルチターン検出部45を、電力供給がなくても磁気変化を検出可能に構成し、電力供給がない間もカウント値TCに係る磁気変化の検出を継続している。そして、IGがオンされ、回転角センサ31に電力が供給されたときに、マルチターン検出部45に電流し、出力を検出することで、IGオフ中にステアリングホイール91が回転した場合であっても、ステアリング角θsを適切に演算可能である。なお、ギア回転角θgは、始動スイッチがオンされたときの値を用いればよいので、IGがオフされている間の検出を継続する必要はない。
以上説明したように、検出装置401は、マルチターン検出部45と、位置検出部40と、カウント演算部55と、角度演算部50と、を備える。マルチターン検出部45は、モータ80によって駆動されるステアリングシャフト92の複数回転の回転位置の検出を、外部からの電力供給なしで継続可能である。本実施形態のマルチターン検出部45は、複数回転位置の検出を、電力を用いずに継続可能である。位置検出部40は、ロータ860の1回転中の回転位置を検出する。なお、位置検出部40は、マルチターン検出部45よりも分解能が高い。
カウント演算部55は、マルチターン検出部45の検出値に基づき、複数回転位置に係る複数回転位置情報を演算する。本実施形態の複数回転位置情報は、検出用ギア27の回転回数に係る値であって、検出用ギア27の1回転中にn回(nは1以上の整数)、回転方向に応じてカウントアップまたはカウントダウンされるカウント値TCである。
角度演算部50は、位置検出部40の検出値に基づき、1回転中の回転位置に係る回転角θgを演算する。マルチターン検出部45は、モータ80とは異なる箇所に設けられる。具体的には、マルチターン検出部45は、ステアリングシャフト92に入力されるトルクを検出するトルクセンサ421を有するセンサユニット4に設けられる。より詳細にはは、マルチターン検出部45は、トルクセンサ421と同一の基板411に実装される。
マルチターン検出部45は、電力を用いずに複数回転位置の検出を継続可能であるので、例えばバッテリの脱着や交換後等で電力供給が途絶えた場合も、カウント値TCの検出を継続することができる。また、トルクセンサ421と共通の基板411にマルチターン検出部45を実装することで、マルチターン検出部45を別途に設ける場合と比較し、構成を簡素化することができる。
本実施形態のマルチターン検出部45は、複数回転の回転位置を磁気的に保持し、通電により保持された回転位置を読み出し可能である。これにより、電力を用いることなく、複数回転の回転位置の検出を適切に継続することができる。
マルチターン検出部45は、ステアリングシャフト92と一体に回転する出力軸ギア26と噛み合う検出用ギア27の回転位置を検出する。これにより、ステアリングシャフト92の複数回転位置を適切に検出することができる。また、ギア比を適切に設定することで、検出精度を高めることができる。
検出装置401は、センサユニット4に適用される。センサユニット4には、出力軸ギア26、検出用ギア27およびマルチターン検出部45をステアリングシャフト92に組み付けるときに出力軸ギア26と検出用ギア27とを固定可能なギア固定機構29が設けられている。これにより、マルチターン検出部45にてステアリングシャフト92の複数回転位置を検出可能な状態にて、適切に組み付けることができる。
マルチターン検出部45は、初期化処理により検出値を初期化可能である。本実施形態の初期化処理は、強磁場、高電圧または高電流を印加する処理である。これにより、検出値を適切に初期化することができる。また、初期化後の検出値に応じてステアリングシャフト92への組み付けを行うことで、ステアリングシャフト92の複数回転位置を適切に検出することができる。
カウント演算部55は、ステアリングシャフト92の動作範囲の一方の端部から他方の端部まで動作させた後、基準値を学習する。本実施形態では、基準値として中央値Cmidを学習する。これにより、ステアリングシャフト92の複数回転位置を適切に検出することができる。
制御装置1は、検出装置401と、カウント値TCおよびギア回転角θgに基づき、基準位置からの変位量である絶対角θaを演算する絶対角演算部75を有する制御部70と、を備える。カウント値TCを電源不要のマルチターン検出部45の検出値に基づいて演算するため、電源の着脱や交換時も、絶対角θaの演算を適切に行うことができる。
(第2実施形態)
第2実施形態を図8に示す。本実施形態では、検出用ギア27が省略されており、回転角センサ31は、多極磁石15の回転を検出する。すなわち、本実施形態では、トルクの検出とステアリングシャフト92の回転位置の検出とに、多極磁石15を共用している。
図8に示すように、集磁リング21、22は、リング部211、221が磁気ヨーク16よりも径が大きく形成されている。磁気ヨーク16は、集磁リング21、22の径方向内側であって、集磁部215、215とは反対側に寄せて配置される。
検出装置402では、基板411は、集磁リング21、22の間に配置される。基板411の一方の端部は、磁気ヨーク16付近まで延びて形成される。トルクセンサ421は、基板411の集磁部215、225の間となる箇所に実装される。回転角センサ31は、基板411の磁気ヨーク16側に配置される。トルクセンサ421および回転角センサ31の検出値は、通信線408を経由して、例えばSENT通信等によりECU10に送信される。また、基板411の集磁リング21、22の外側には、コネクタ409が設けられる。なお、検出装置402とECU10とは、コネクタ409に接続される図示しないハーネスを経由して通信するようにしてもよい。
角度演算部50は、位置検出部40の検出値に基づき、電気角θeを演算する。本実施形態では、多極磁石15の1つの磁極対が電気角360°に対応する。カウント演算部55は、マルチターン検出部45の検出値に基づき、カウント値TCを演算する。本実施形態のカウント値TCは、多極磁石15の磁極の通過回数に対応する。したがって、カウント値TCを磁極数で換算した値、および、電気角θeに基づき、絶対角θaを演算可能である。本実施形態では、ステアリングシャフト92と一体に回転する多極磁石15の検出値を用いているので、磁極数で換算して得られた絶対角θaは、ステアリング角θsと一致する。
本実施形態では、多極磁石15を共用することで、部品点数を低減することができる。また、矢印A1で示すように、トルクセンサ421はステアリングシャフト92の軸方向の磁界を検出し、矢印A2、A3で示すように、回転角センサ31は多極磁石の周方向の磁束を検出するので、双方に外乱とならず精度よく検出することができる。
トルクセンサ421は、ステアリングシャフト92と一体に回転する多極磁石15の磁束の変化を検出することでトルクを検出する。マルチターン検出部45は、多極磁石15の回転位置を検出する。これにより、複数回転位置を検出するための磁石を別途に設ける場合と比較し、部品点数を低減することができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第3実施形態、第4実施形態)
第3実施形態を図9、第4実施形態を図10に示す。上記実施形態では、基板411がステアリングシャフト92に対して垂直に設けられている。図9に示すように、第3実施形態の検出装置403では、基板411は、ステアリングシャフト92に対して平行に設けられている。ここで、「垂直」、「平行」とは、集磁部間にトルクセンサ421を配置可能な程度のズレは許容される。
トルクセンサ421は、集磁部215、225の間となるように配置され、矢印A1方向の磁界の強さを検出する。また、基板411には、集磁部215、225との干渉を防ぐための切り欠きが形成されていてもよい。回転角センサ31は、集磁リング21、22の軸方向外側であって、基板411の多極磁石15に対向する側の面に実装される。コネクタ409は、ステアリングシャフト92と反対側の面に設けられる。
図9に示す第3実施形態では、トルクセンサ421および回転角センサ31として表面実装タイプの素子を用いている。図10に示す第4実施形態の検出装置404では、トルクセンサ422および回転角センサ32としてスルーホールタイプの素子を用いている。スルーホールタイプの素子を用いることで、より集磁しやすくなる。トルクセンサ422および回転角センサ32は、実装形態が異なる点を除き、機能等はトルクセンサ421および回転角センサ31と同様である。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第5実施形態)
第5実施形態を図11に示す。本実施形態の検出装置405では、センサ部425は、集磁部215、225の間に配置され、上記実施形態のトルクセンサおよび回転角センサの機能が一体化されている。センサ部425のセンサ素子は、例えば3Dセンサであって、多極磁石15の径方向をXY方向、軸方向をZ方向とすると、XY方向の磁束を検出することでステアリングシャフト92の回転角および回転回数を検出し、Z方向の磁束を検出することでトルクを検出する。これにより、検出装置405の構成を簡素化することができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第6実施形態)
第6実施形態を図12に示す。本実施形態では、絶対角演算部75は、回転角センサ33から取得されるカウント値TC、および、モータ回転角センサ85のから取得されるモータ回転角θmに基づいて絶対角θaを演算する。すなわち本実施形態では、カウント値TCとモータ回転角θmとは、同一の回転ではなく、異なる回転に係る値であるので、カウント値TCおよびモータ回転角θmは、適宜、磁極数やギア比で換算して演算に用いる。これにより、すなわち回転角センサ33では、回転角センサ31における位置検出部40および角度演算部50に係る構成が省略されている。なお、回転角センサ33において、回転角検出に係る位置検出部40および角度演算部50の機能が省略されているが、本明細書では、「回転角センサ」と呼ぶ。
この場合、カウント値TCの1カウントがモータ80の1回転以内となるように、ステアリングシャフト92とモータ80のギア比を設定する。また例えば第1実施形態のように、検出用ギア27の回転を検出する場合、ギア比を大きくできるため、検出用ギア27を小型化することができる。また、第5実施形態のようにセンサを一体化する場合、センサ部425には、Z方向の磁束を検出するセンサ素子に加え、回転回数を検出可能なセンサを設ければよい。
制御装置1は、モータ80の回転角を検出するモータ回転角センサ85を備える。絶対角演算部75は、マルチターン検出部45の検出値に基づくカウント値TC、および、モータ回転角センサ85の検出値に基づくモータ回転角θmに基づき、絶対角θaを演算する。これにより、検出装置401におけるギア回転角θgの検出および演算を省略できるので、構成を簡素化することができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第7実施形態)
第7実施形態を図13および図14に示す。本実施形態では、第1実施形態の検出装置401を例に説明するが、第1実施形態以外の検出装置を用いてもよい。モータ回転角センサ86は、モータ回転角θmに加え、モータ80のロータの回転回数に換算可能なカウント値TCmを演算する。モータ回転角θmを検出するセンサには、イグニッションスイッチ等である車両の始動スイッチがオンされているときに給電され、カウント値TCmを検出するセンサには、常時給電される。
絶対角演算部75は、シャフト側絶対角θat、および、モータ側絶対角θamを演算する。シャフト側絶対角θatは、回転角センサ31にて検出される検出用ギア27の回転回数に応じたカウント値TCおよびギア回転角θgに基づいて演算される値であって、検出用ギア27における基準位置からの複数回転情報を含む回転角度である。モータ側絶対角θamは、モータ回転角センサ85にて検出されるモータ80の回転回数に応じたカウント値TCmおよびモータ回転角θmに基づいて演算される値であって、モータ80における基準位置からの複数回転情報を含む回転角度である。
異常監視部77は、絶対角θat、θamに基づき、異常監視を行う。ギア比で換算すれば、シャフト側絶対角θatとモータ側絶対角θamとは、正常であれば一致する。以下、、絶対角θat、θamは、ギア比換算後の値として説明する。
例えば、車輪98が外部要因で高速で回されると、ステアリングシャフト92とモータ80との接続部分がずれる虞がある。ステアリングシャフト92とモータ80とがベルトで接続されていれば、ベルト飛びであり、ギアで接続されていれば、歯飛びとなるが、以下、「ベルト飛び」として説明する。
また、バッテリ交換等による電源失陥により、カウント値TCmがリセットされることで、モータ側絶対角θamがシャフト側絶対角θatと異なる値になる虞がある。このようなベルト飛びや電源失陥は、センサ等の電子部品の異常ではないため、他の異常と切り分けて正常復帰させることが望まれる。
本実施形態の異常検出処理を図14のフローチャートに基づいて説明する。この処理は制御部70にて、例えばIGがオンされたときに実行される。S201では、絶対角演算部75は、回転角センサ31のカウント値TCおよびギア回転角θgに基づいてシャフト側絶対角θatを演算し、モータ回転角センサ86のカウント値TCmおよびモータ回転角θmに基づいてモータ側絶対角θamを演算する。
S202では、異常監視部77は、シャフト側絶対角θatとモータ側絶対角θamとの差の絶対値が異常判定値βより小さいか否か判断する。異常判定値βは、シャフト側絶対角θatとモータ側絶対角θamの差として許容される値に応じて設定される。絶対角θat、θamの差の絶対値が異常判定値βより小さいと判断された場合(S202:YES)、S203へ移行し、絶対角θat、θamが正常であると判定する。絶対角θat、θamの差の絶対値が異常判定値β以上であると判断された場合(S202:NO)、S204へ移行する。
S204では、異常監視部77は、検出装置401およびECU10の少なくとも一方に異常履歴があるか否か判断する。検出装置401およびECU10に異常履歴がないと判断された場合(S204:NO)、S205へ移行し、ベルト飛びと判定する。検出装置401またはECU10に異常履歴があると判断された場合(S204:YES)、S206へ移行する。
S206では、異常監視部77は、電源失陥履歴があるか否か判断する。例えば、バッテリを交換したときに、モータ回転角センサ85への電力供給が途絶えるため、電源失陥異常を記憶する。また、電源投入を伴う起動時に特定のフラグを立てることで電源失陥異常を検出するようにしてもよい。電源失陥履歴があると判断された場合(S206:YES)、S207へ移行し、電源失陥と判定する。電源失陥履歴がないと判断された場合(S206:NO)、S209へ移行する。
ベルト飛びと判定された場合(S205)、または、電源失陥と判定された場合(S207)に続いて移行するS208では、制御部70は、シャフト側絶対角θatとモータ側絶対角θamとが一致するように、モータ側絶対角θamを補正する。S209では、絶対角θat、θamが異常であると判定し、バックアップ動作へ移行する。
本実施形態では、絶対角θat、θamを、異なる構成を用いて演算しているので、異常を適切に検出することができる。また、同一故障モードを回避することができる。また、シャフト側絶対角θatとモータ側絶対角θam用いることで、ベルト飛びを適切に検出することができる。
絶対角演算部75は、マルチターン検出部45の検出値およびステアリングシャフト92の1回転中の回転位置を検出する位置検出部40の検出値に基づいて演算されるシャフト側絶対角θat、および、モータ回転角センサ85の検出値に基づいて演算されるモータ側絶対角θamを演算する。制御部70は、シャフト側絶対角θatおよびモータ側絶対角θamに基づいて異常監視を行う異常監視部77を有する。これにより、電源失陥やベルト飛び等を適切に検出することができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第8実施形態)
第8実施形態を図15および図16に示す。図15に示すように、回転角センサ34は、メイン検出部41、サブ検出部42、マルチターン検出部45、角度演算部51、52、カウント演算部55、56、トルクセンサ421、および、通信部58、59を有し、電源391、392から電力が供給される。以下の実施形態では、モータ回転角センサ85およびトルクセンサ421の図示を適宜省略した。電源391は、IGがオンされているときにIG経由で回転角センサ34に給電可能であり、電源392は、例えばレギュレータ等の定電圧電源であって、IGのオンオフ状態によらず、図示しないバッテリから回転角センサ34に給電可能である。図中、一点鎖線で囲まれたブロックは、常時給電される。
メイン検出部41およびサブ検出部42は、位置検出部40と同様、出力軸12と一体に回転する出力軸ギア26と噛み合う検出用ギア27の回転を検出する。また、メイン検出部41およびサブ検出部42は、第2実施形態等のように、多極磁石15の回転を検出するものとしてもよい。後述の実施形態についても同様である。
メイン検出部41とサブ検出部42とは、異なるセンサ特性を有するものを用いることが望ましく、例えば、メイン検出部41をAMR素子とし、サブ検出部42をTMR素子とする。ここで、素子の種類が同じでも、レイアウトや材料の割合、製造ロットやロット内のウェハ番号、ウェハ内のチップ位置の違いについても、「検出素子に関わる構成が異なる」とみなしてもよい。また、素子に限らず、素子に接続される検出回路、演算回路、供給される電源の種類や電圧が異なる場合についても、「検出素子に関わる構成が異なる」とみなしてもよい。センサ特性が異なるものを用いることで、例えば磁束密度異常等の共通原因の故障しにくくなり、機能安全面から好ましい。サブ検出部42は、低消費電力を重視する場合、TMR素子が好適に用いられ、磁場耐性を重視する場合、AMR素子が好適に用いられる。
ここで、検出部41、42について、「メイン」、「サブ」と付しているのは、2つを区別するためであって、機能的に同等のものであってもよい。また例えば、メイン検出部41を制御用に用い、サブ検出部42を異常監視用に用いる、といった具合に機能を分けてもよい。後述の実施形態についても同様である。以下適宜、メイン検出部41に係る構成や値に「A」、サブ検出部42に係る構成や値に「B」を付す。
角度演算部51は、図示しないAD変換部によりAD変換されたメイン検出部41の検出値に基づき、ギア回転角θg_Aを演算する。角度演算部52は、図示しないAD変換部によりAD変換されたサブ検出部42の検出値に基づき、ギア回転角θg_Bを演算する。以下適宜、角度演算部51、52で演算された値を区別する場合、ギア回転角θg_A、θg_Bとし、区別不要の場合は単にギア回転角θgとする。ギア回転角θg_A、θg_Bを比較することで、異常発生の有無を検出することができる。
カウント演算部56には、電源392から常時給電され、サブ検出部42の検出値に基づき、検出用ギア27のカウント値TCを演算する。以下適宜、カウント演算部55で演算された値とカウント演算部56で演算された値とを区別する場合、カウント演算部55で演算された値をカウント値NPTC(No Power Turn Count)、カウント演算部56で演算された値をLPTC(Low Power Turn Count)とする。カウント値NPTC、LPTCは、検出方式の異なる検出値を用いて演算されており、異種冗長構成になっている。なお、カウント値NPTCが検出用ギア27の1回転で1カウントされ、カウント値LPTCが検出用ギア27の1回転で4カウントされる、といった具合に、カウント値NPTCとカウント値LPTCとで、1回転あたりのカウント数が異なっていてもよい。例えばカウント値NPTC、LPTCを比較する場合、適宜換算すればよい。以下、検出部の区別が不要の場合は、単にカウント値TCとする。
カウント値NPTC、LPTCを比較することで、異常発生の有無を検出することができる。また、カウント値の比較は、回転角センサ34内で行ってもよいし、制御部70にて行ってもよい。ギア回転角θg_A、θg_Bについても同様である。また、絶対角θa_A、θa_Bに演算した後に比較しても同じ効果が得られる。通信部58はギア回転角θg_Aおよびカウント値NPTCを制御部70に出力し、通信部59は、ギア回転角θg_Bおよびカウント値LPTCを制御部70に出力する。
マルチターン検出部45は、電源供給不要のメリットがあるものの、対応回転数のずれや、外乱磁場や長期データ保持によるデータ失陥等の虞がある。そこで本実施形態では、マルチターン検出部45の検出値を用いたカウント値NPTCの演算に加え、サブ検出部42およびカウント演算部56に常時給電し、カウント値LPTCを演算している。これにより、カウント値TCの演算が冗長化され、異常を検出することができる。また、マルチターン検出部45とサブ検出部42とを異なる構成とすることで、共通原因故障が生じにくく、異常を容易に検出することができる。
絶対角演算部75は、ギア回転角θg_Aおよびカウント値NPTCに基づいて絶対角θa_Aを演算し、ギア回転角θg_Bおよびカウント値LPTCに基づいて絶対角θa_Bを演算する。異常監視部77は、絶対角θa_A、θa_Bに基づく異常監視を行う。
本実施形態の異常監視処理を図16のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、制御部70にて実行される。ここで、カウント値TCを起動時初回演算で用い、動作中にカウント値TCを用いない場合は、IGがオフからオンに切り替わったとき、または、制御部70がリセットされた場合に実行される。カウント値TCを起動時初回演算だけでなく、動作中も継続して用いる場合は、動作中にも所定の周期で実行される。以下、ステップS101の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。
S301では、制御部70は、ギア回転角θg_A、θg_B、カウント値NPTC、LPTCを取得する。S302では、制御部70は、カウント値NPTCおよびギア回転角θg_Aを用いて絶対角θa_Aを演算し、カウント値LPTCおよびギア回転角θg_Bを用いて絶対角θa_Bを演算する(式(1)参照)。
S303では、制御部70は、絶対角θa_A、θa_Bの比較により、異常判定を行う。S302で演算された値が2つの場合、差が正常範囲内であれば正常判定し、正常範囲外であれば2つとの異常判定する。また、例えば検出部が3つ以上あり、絶対角θaが3つ以上演算可能である場合、多数決により正常な値を特定する。正常な絶対角θaの演算に用いられたギア回転角θgおよびカウント値TCを「正常信号」とする。
S304では、制御部70は、正常な絶対角θaがあるか否か判断する。正常な絶対角θaがあると判断された場合(S304:YES)、S305へ移行し、任意の正常信号、もしくは、複数の正常信号の集計値を用い、ステアリング角θsの演算等、各種制御演算を行う。正常な絶対角θaがないと判断された場合(S304:NO)、S306へ移行し、絶対角θaをリセットする。この場合、絶対角θaとステアリング角θsとの対応関係が不定となるため、例えばステアリングホイール91が中立位置となる車両直進時における絶対角θaの検出等により、絶対角θaとステアリング角θsとの対応関係を学習する。また、システムによっては、絶対角θaの検出を中止してもよい。
回転角センサ34は、サブ検出部42の検出値に基づき、カウント値TCを演算するカウント演算部56を備える。カウント値TCの演算に検出値が用いられるサブ検出部42、および、カウント演算部56には、常時給電される。これにより、マルチターン検出部45に外乱磁場異常等が生じた場合であっても、カウント値TCの検出を継続可能である。また、カウント値NPTC、LPTCを比較することで、異常検出を行うことができる。さらにまた、カウント値NPTC、LPTCの演算に用いられる検出値の検出原理が異なっているので、共通原因での故障の発生確率を低減することができる。
本実施形態では、位置検出部として、メイン検出部41およびサブ検出部42を備えている。換言すると、本実施形態の位置検出部は複数である。少なくとも1つの位置検出部であるサブ検出部42の検出値は、角度演算部52およびカウント演算部56に共用される。これにより、比較的簡素な構成にて、ギア回転角θgおよびカウント値TCの演算を冗長化可能である。
メイン検出部41とサブ検出部42とは、検出素子に関わる構成が異なっている。これにより、同一原因での異常発生を抑制することができるので、機能安全性を向上することができる。「素子に関わる構成」とは、素子の種類が異なっている(例えば、TMR素子、AMR素子、ホール素子等)、素子の内部構成が異なっている(例えば、ウェハが異なる、レイアウトが異なる、材料が異なる、製造条件が異なる、製造ロットが異なる等)、素子に接続される回路構成が異なっている、または、素子に供給される電源の種類や電圧が異なっている、ということである。
絶対角θa_A、θa_Bは、異なるカウント値NPTC、LPTC、および、モータ回転角θm_A、θm_Bを用いて、少なくとも2つ演算される。制御部70は、異なる検出値を用いて演算された複数の絶対角θa_A、θa_Bに基づいて異常監視を行う異常監視部77を有する。これにより、回転角センサ34の異常監視を適切に行うことができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第9実施形態、第10実施形態)
第9実施形態を図17および図18、第10実施形態を図19に示す。図17および図19に示すように、本実施形態の制御部70は、絶対角θaに換算可能な外部検出値を外部センサ500から取得可能である。回転角センサとして、第9実施形態の図17では第8実施形態の回転角センサ34を示し、第10実施形態の図19では第1実施形態の回転角センサ31を示した。外部センサ500と制御部70との通信は、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、Flexray等、どのような通信方式であってもよい。外部センサ500は、例えばステアリングセンサ、ストロークセンサ等である。外部センサ500の検出値から、モータ80とステアリング系とを接続するギアのギア比等を用いて、絶対角θa_A、θa_Bと比較可能に換算した値を、絶対角θa_Cとする。
以下、異常監視について、第9実施形態を中心に説明する。第9実施形態では、絶対角θaとして3つの値を利用可能であるので、図16中のS303にて、他の2つの値と差異が生じたものを異常と特定する。図18では、比較(1)が絶対角θa_A、θa_Bの比較、比較(2)が絶対角θa_A、θa_Cの比較、比較(3)が絶対角θa_B、θa_Cの比較とする。比較(1)、(2)、(3)がいずれも正常である場合、絶対角θa_A、θa_B、θa_Cが全て正常であると特定し、比較(1)、(2)、(3)が異常である場合、正常値および異常値の特定ができない。また、比較(1)、(2)、(3)のうち、2つが正常、1つが異常の場合も、特定不可である。
比較(1)、(2)が異常、比較(3)が正常の場合、絶対角θa_Aが異常と特定する。絶対角θa_Aが異常となる場合には、検出継続不能な故障が生じている場合、および、外乱磁場によるマルチターン検出部45のデータ飛びの場合が含まれる。
比較(1)、(3)が異常、比較(2)が正常の場合、絶対角θa_Bが異常と特定する。絶対角θa_Bが異常となる場合には、サブ検出部42に検出継続不能な故障が生じている場合、および、バッテリ交換等の電源失陥による場合が含まれる。
比較(2)、(3)が異常、比較(1)が正常の場合、絶対角θa_Cが異常と特定する。絶対角θa_Cが異常となる場合には、外部センサ500に検出継続不能な故障が生じている場合が含まれる。
すなわち、絶対角θa_A、θa_B、θa_Cが異常である場合であっても、故障ではなくデータ異常の場合が含まれる。そこで、各センサの内部監視機能や、外部からの監視機能で、故障か否かを別途判定し、故障ではないと判定された場合、正常判定されたセンサとの差分に応じた補正処理を行ってもよい。
また、絶対角θa_A、θa_B、θa_Cのそれぞれを複数演算可能なセンサ構成とし、例えば絶対角θa_Aに対応する絶対角θa_Ax、θa_Ayが共に異常と特定された場合、故障ではなく、補正により検出継続可能なデータ異常と判定し、絶対角θa_Ax、θa_Ayの一方が異常の場合は故障と判定するようにしてもよい。
制御部70は、外部センサ500から絶対角θaに換算可能な外部検出値を取得し、外部センサ500の検出値から演算される絶対角θa_Cと、回転角センサ34の検出値に基づく絶対角θa_A、θa_Bとの比較による異常監視を行う異常監視部77を有する。すなわち、絶対角θa_A、θa_B、θa_Cは、「異なる検出値を用いて演算された複数の絶対位置」ということである。これにより、外部センサ500の検出値を用いて、適切に異常監視を行うことができる。また、回転角センサ34の検出値に基づく絶対角、および、外部センサ500の検出値の少なくとも一方が複数であって、計3つ以上の絶対角を利用可能であれば、多数決により異常箇所を特定可能である。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第11実施形態)
第11実施形態を図20に示す。本実施形態のECU79は、駆動回路120、220、制御部170、270、および、モータ回転角センサ185、285等を備える。本実施形態では、2つの制御部170、270を備えているので、一方の制御部が故障した場合にもモータ80の駆動制御を継続できる。
第1制御部170は、絶対角演算部175、制御演算部176および異常監視部177を有する。第2制御部270は、絶対角演算部275、制御演算部276および異常監視部277を有する。絶対角演算部175、275は、絶対角θaに加え、ステアリング角θsを演算する。
制御演算部176は、第1駆動回路120を構成する第1スイッチング素子のオンオフ作動を制御することで、モータ巻線180の通電を制御する。制御演算部276は、第2駆動回路220を構成する第2スイッチング素子のオンオフ作動を制御することで、モータ巻線280の通電を制御する。異常監視部177、277は、絶対角の相互監視により、異常監視を行う。制御部170、270は、通信にて情報を送受信可能である。以下適宜、制御部170、270の通信をマイコン間通信という。
第1回転角センサ133は、メイン検出部141、サブ検出部142、マルチターン検出部145、角度演算部151、152、カウント演算部155、および、通信部158を有する。第2回転角センサ233は、メイン検出部241、サブ検出部242、マルチターン検出部245、角度演算部251、252、カウント演算部255、および、通信部258を有する。第1回転角センサ133には、IGがオンされているときに電源191から電力が供給され、第2回転角センサ233には、IGがオンされているときに電源291から電力が供給される。電源191、291は、上記実施形態の電源391と同様、レギュレータ等の定電圧電源である。
メイン検出部141、241は第8実施形態のメイン検出部41と同様であり、サブ検出部142、242は第8実施形態のサブ検出部42と同様であり、角度演算部151、251は角度演算部51と同様であり、角度演算部152、252は角度演算部52と同様である。以下適宜、メイン検出部141に係る構成や値に「A1」、サブ検出部142に係る構成や値に「B1」、メイン検出部241に係る構成や値に「A2」、サブ検出部242に係る構成や値に「B2」を付す。また、マルチターン検出部145、245はマルチターン検出部45と同様であり、カウント演算部155、255はカウント演算部55と同様である。
ここで、角度演算部151にて演算される値をギア回転角θg_A1、角度演算部152にて演算される値をギア回転角θg_B1、角度演算部251にて演算される値をギア回転角θg_A2、角度演算部252にて演算される値をギア回転角θg_B2とする。また、カウント演算部155で演算される値をカウント値NPTC1、カウント演算部255で演算される値をカウント値NPTC2とする。
通信部158は、ギア回転角θg_A1、θg_B1およびカウント値NPTC1を第1制御部170に送信する。通信部258は、ギア回転角θg_A2、θg_B2およびカウント値NPTC2を第2制御部270に送信する。
本実施形態では、第1回転角センサ133および第1制御部170が第1系統に含まれ、第2回転角センサ233および第2制御部270が第2系統に含まれる。また、それぞれの系統では、1つのカウント値NPTCが演算され、2つのギア回転角θgが演算される。本実施形態では、第1系統と第2系統とで、回転角センサ133、233および制御部170、270が同様に構成されているので、第1制御部170での処理を中心に説明し、第2制御部270での処理は、演算に用いる値を自系統の値に読み替えればよいので、説明を適宜省略する。
第1制御部170は、IGがオフからオンに切り替わった初回演算にて、カウント値NPTC1を用いてステアリング角θsを演算し、初回演算後、初回演算値にギア回転角θgの変化量を積算することでステアリング角θsを演算する。これにより、カウント値NPTCの常時監視が不要となる。カウント値NPTC1は、IGオン後の初回演算前に、第3実施形態にて説明した系統内での自己監視、または、マイコン間通信にて取得されたカウント値NPTC2との比較による異常監視を行う。
また、ギア回転角θgは、各系統に2つの値を演算可能に構成されており、系統内での比較により、IGオン中は、所定周期にて常時監視を行う。これにより、他系統からマイコン間通信にてギア回転角を取得して異常監視を行う場合と比較して、マイコン間通信の負荷を低減することができる。また、系統内での異常監視が可能であるので、正常判定された値を用いて絶対角θaを高速に演算可能である。このように構成することで、常時給電不要であり、かつ、適切に異常監視を行うことができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第12実施形態)
第12実施形態を図21に示す。第2回転角センサ234は、メイン検出部241、サブ検出部242、角度演算部251、252、カウント演算部256、および、通信部258を有し、電源291、292から電力が供給される。電源291は、電源391と同様、IGがオンされているときにIG経由で給電可能であり、電源292は、電源392と同様、IGのオンオフ状態によらず、バッテリから常時給電可能である。
本実施形態では、第2回転角センサ234において、マルチターン検出部が省略されており、カウント演算部256にて、サブ検出部242の検出値を用いてカウント値LPTC2を演算している。カウント演算部256は、カウント演算部56と同様である。通信部258は、ギア回転角θg_A2、θg_B2およびカウント値LPTC2を第2制御部270に送信する。また、第1制御部170は、外部センサ500の検出値を取得可能である。
本実施形態では、第1系統L1にてカウント値NPTCを用いて演算される絶対角θa_A1、第2系統L2にてカウント値LPTCを用いて演算される絶対角θa_B2、および、外部センサ500の検出値に基づく絶対角θa_Cの3つの値を用いる。絶対角θa_A1、θa_B2、θa_Cは、マイコン間通信にて、制御部170、270にて共有される。
異常監視の詳細は、第9実施形態と略同様であって、通常時は絶対角θa_A1、θa_B2、θa_Cの3つの値での比較を行う。バッテリ上がりやバッテリ交換等により電源失陥が生じた場合、絶対角θa_A1、θa_Cでの比較による異常監視を行い、強磁場等の外乱によりカウント値NPTCが異常になった場合、絶対角θa_B2、θa_Cでの比較による異常監視を行う。
本実施形態では、絶対角θa_A1、θa_B2、θa_Cの3つの値を利用可能であるので、電源失陥や外乱による異常を、適切に検出することができる。また、外部センサ500の検出値に基づく絶対角θa_Cとの比較により、駆動装置400がステアリング系から取り外された場合の処置として、ギアとの連結部よりもステアリング系側との比較による異常検出を行うことができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第13実施形態)
第7実施形態を図22に示す。第1回転角センサ135は、第4実施形態の第1回転角センサ133の構成に加え、カウント演算部156を有し、IGがオンされているときに電源191から給電され、IGのオンオフ状態によらず電源192から常時給電される。カウント演算部156は、サブ検出部142の検出値を用いてカウント値LPTC1を演算する。通信部158は、ギア回転角θg_A1、θg_B1およびカウント値NPTC1、LPTC1を第1制御部170に送信する。
第2回転角センサ235は、第10実施形態の第2回転角センサ233の構成に加え、カウント演算部256を有し、IGがオンされているときに電源291から給電され、IGのオンオフ状態によらず電源292から常時給電される。通信部258は、ギア回転角θg_A2、θg_B2およびカウント値NPTC2、LPTC2を第2制御部270に送信する。第2回転角センサ235には、マルチターン検出部245が1つであるが、これを複数として冗長化することで、さらに堅牢なシステムを構築可能である。第1回転角センサ135も同様である。
制御部170、270は、2つの外部センサ500、501から、絶対角に換算可能な外部検出値を取得可能である。外部センサ500、501は、例えばステアリングセンサ、ストロークセンサ等であって、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。第9実施形態および第10実施形態においても、複数の外部センサから外部検出値を取得するようにしてもよい。
本実施形態では、それぞれの系統において、2つのギア回転角θg、カウント値NPTC、LPTC、および、2つの外部センサ500、501からの外部検出値を利用可能であり、1つの系統にて多数決による異常特定が可能である。また、正常な検出値を用いた制御を継続可能である。また、回転角センサ135、235の一方が故障した場合であっても、正常である回転角センサの検出値をマイコン間通信にて制御部170、270にて共有することで、2系統でのモータ制御を継続することができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
実施形態では、ステアリングシャフト92が「検出対象」、出力軸ギア26が「検出対象ギア」、多極磁石15が「磁石」、カウント演算部55、155、255が「複数回転位置演算部」、絶対角演算部75、175、275が「絶対位置演算部」に対応する。また、カウント値TCが「複数回転位置情報」、ギア回転角θgおよびモータ回転角θmが「回転角情報」、シャフト側絶対角θatが「検出対象側絶対位置」、モータ側絶対角θamが「モータ側絶対位置」に対応する。
(他の実施形態)
上記実施形態では、マルチターン検出部では、複数回転の回転位置を磁気的に保持する。他の実施形態では、マルチターン検出部では、電力を用いずに複数回転位置の検出が継続できれば磁気以外の手段を用いてもよく、例えば検出用ギア27を出力軸ギア26より大きくしてもよい。このように構成しても、電力を用いることなく複数回転の回転位置を検出可能である。また、通常のステアリングセンサよりも部品点数を低減することができる。
また、「検出対象の複数回転の回転位置の検出を、外部からの電力供給なしで継続可能」とは、上記実施形態のように磁気等での無電力での検出に限らず、広義ではセンサ内部に内部電池を設けることで、外部からの電力供給なしで複数回転の回転位置の検出を継続してもよい。他の実施形態では、カウント値TCが最大値Cmaxに到達したら次のカウントアップにて最小値Cminとし、最小値Cminに到達したら次のカウントダウンにて最大値Cmaxにする、といった具合に、カウント値TCをループさせてもよい。
上記実施形態では、制御装置は、電動パワーステアリング装置に用いられる。他の実施形態では、制御装置をステアバイワイヤシステムに用いてもよい。また上記実施形態では、マルチターン検出部がトルクセンサユニットに設けられる。他の実施形態では、マルチターン検出部をトルクセンサユニット以外の箇所に設けてもよい。例えば、ステアバイワイヤシステム等、トルク検出が不要である場合、ラックギアや、ステアリングシャフトのステアリングホイール側等、検出用ギアを配置可能ないずれの箇所に配置してもよい。
また、制御装置は、ステアバイワイヤシステム以外の回転回数および回転角を必要するアプリケーションにも好適に適用可能である。さらにまた、ギアを用いてストローク位置を回転系に変換すれば、ストロークセンサにも適用可能である。
第3実施形態では、外部センサとして、ステアリングセンサ、ストロークセンサ、を例示した。他の実施形態では、外部センサとして、レーザ変位計やカメラによる画像の分析値を用いてもよい。
上記実施形態では、マイコン間通信にて制御部間の通信を行う。他の実施形態では、マイコン間通信に替えて、例えばCAN等の車両通信網を経由して制御部間の通信を行ってもよい。
上記実施形態では、1つのセンサ部には、1つのマルチターン検出部、および、1または2の位置検出部が設けられる。他の実施形態では、1つのセンサ部に、2以上のマルチターンセンサを設けてもよいし、3以上の位置検出部を設けてもよい。
上記実施形態では、1つのセンサ部に対して1つの制御部が設けられており、系統数が1または2である。他の実施形態では、系統数は3以上であってもよい。また、複数のセンサ部に対して1つの制御部が設けられていてもよいし、複数の制御部に対して1つのセンサ部が設けられていてもよい。
上記実施形態では、モータは三相ブラシレスモータである。他の実施形態では、モータは、三相ブラシレスモータに限らず、どのようなモータであってもよい。また、モータは、電動機に限らず、発電機であってもよいし、電動機および発電機の機能を併せ持つ所謂モータジェネレータであってもよい。上記実施形態では、インバータおよびモータ巻線は2系統である。他の実施形態では、インバータおよびモータ巻線の系統数は1系統または3系統以上であってもよい。また、インバータおよびモータ巻線の数が異なっていてもよい。上記実施形態では、制御装置は、電動パワーステアリング装置に適用される。他の実施形態では、制御装置を電動パワーステアリング装置以外の装置に適用してもよい。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。