JP2020164753A - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物及び電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化性樹脂とセルロースナノファイバーとを併用しつつ、エポキシ樹脂本来の低誘電特性及び低吸水性を保つのに好適な硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム及び硬化物、硬化物を用いた配線板及び電子部品を提供する。【解決手段】本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂と、セルロースナノファイバーとを含み、セルロースナノファイバーは、分子中の水酸基の少なくとも1以上が下式1の構造に置換修飾されている。下式1中のRは、炭化水素基である。(式1);【選択図】なし

Description

なかでも、プリント配線板材料では、このエポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物は、配線板の多機能化にともない、より一層優れた特性が求められている。例えば、配線板への部品実装や配線の高密度化、薄型化が進むなか、このエポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物には、高い電気絶縁性や高熱伝導性、低熱線膨張性(熱寸法安定性)、低誘電特性、低吸水性、優れた靭性、優れた難燃性などが求められている。
また、半導体パッケージ用のプリント配線板材料では、上記硬化性樹脂組成物は、膜厚制御の観点から支持フィルム上に成膜したドライフィルムの形態で用いられている。
一方、最近では、低熱線膨張性(熱寸法安定性)を向上する方法として、エポキシ樹脂などの樹脂にセルロースナノファイバー(微細セルロース繊維)を配合する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、有機溶媒や樹脂中への分散安定性に優れる微細セルロース繊維を含み、プラスチック材料との複合に好適で、高い機械的強度を有する複合材料を提供し得る微細セルロース繊維含有材料が提案されている。
特開2011−140738号公報
しかしながら、特許文献1に記載された微細セルロース繊維(セルロースナノファイバー)では、低熱線膨張性(熱寸法安定性)を改善することはできるが、例えば電子部品の絶縁材料として、エポキシ樹脂に配合した場合、その硬化物の吸水率は高く、誘電特性が悪化することから、絶縁信頼性が要求される層間絶縁材やソルダーレジスト等のプリント配線板材料への適用が難しいという課題があった。
そこで、本発明の目的は、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂とセルロースナノファイバーとを併用しつつ、優れた、低誘電特性及び低吸水性を有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム及び硬化物、硬化物を用いた電子部品を提供することにある。
本発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意検討するなかで、セルロースナノファイバーの分子中に含まれる水酸基が誘電特性及び吸水性の悪化に繋がることに着目し、さらに検討を行った。その結果、セルロースの構造中の水酸基がイソシアネート化合物によって化学修飾されたセルロースナノファイバーを使用することにより、硬化性樹脂とセルロースナノファイバーとを併用する際に懸念される誘電特性及び吸水率の悪化を抑えられることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、硬化性樹脂と、セルロースナノファイバーと、を含む、硬化性樹脂組成物であって、
前記セルロースナノファイバーは、分子中の水酸基の少なくとも1以上が下式1の構造に置換修飾されていることを特徴とする、硬化性樹脂組成物を提供する。
下式1中のRは、炭化水素基である。
(式1)
Figure 2020164753
前記式1中のRは、芳香族炭化水素基であることが好ましい。
前記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
硬化剤をさらに含み、前記硬化剤は、活性エステル樹脂を含むことが好ましい。
また、本発明は、前記硬化性樹脂組成物を、基材に塗布又は含浸、乾燥されてなる樹脂層を有することを特徴とする、ドライフィルムを提供する。
また、本発明は、前記硬化性樹脂組成物、又は前記ドライフィルムの樹脂層が硬化されてなることを特徴とする、硬化物を提供する。
また、本発明は、前記硬化物を備えることを特徴とする、配線板などの電子部品を提供する。
本発明によれば、硬化性樹脂にセルロースナノファイバーを配合しつつ、優れた、低誘電特性及び低吸水性を保つのに好適な硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、及び硬化物、硬化物を用いた配線板などの電子部品を提供することができる。
なお、説明した化合物に異性体が存在する場合、特に断らない限り、存在し得る全ての異性体が本発明において使用可能である。
<<<硬化性樹脂組成物>>>
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂と、セルロースナノファイバー(CNFと略す場合がある)と、を含む。
以下に、本発明にかかる硬化性樹脂組成物について詳述する。
<<硬化性樹脂>>
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含む。硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれであってもよい。また、硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂とを併用した光熱硬化性樹脂であってもよい。
<熱硬化性樹脂>
熱硬化性樹脂としては、熱による硬化反応が可能な官能基を有する樹脂を用いることが望ましく、特に、分子中に1個以上の環状(チオ)エーテル基を有する化合物が好ましく用いられる。そして、この熱硬化性樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノキシ基、エピスルフィド樹脂、フェノール樹脂、尿素(ユリア)樹脂、トリアジン環含有樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、ノルボルネン系樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、熱硬化性ポリイミド、シアネートエステル樹脂等が挙げられる。
中でも、分子中に1個以上の環状(チオ)エーテル基を有する、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂を含むことにより、接着性、機械特性、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気絶縁性等の諸特性に優れた硬化物が得ることができる。また、エポキシ樹脂と、硬化性樹脂と、本発明にかかるセルロースナノファイバーとを併用した場合においても、前記エポキシ樹脂の優れた特性を保持しつつ、誘電特性及び吸水性の上昇を抑えることができる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、水添(ビスフェノール)型樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル−1,3−ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコール又はプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどのエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、誘電特性及び吸水性の悪化を抑えつつ、硬化物がより高い靭性を有することから、特に、エポキシ基を2個有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
また、市販のエポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC株式会社製のEPICLON840、EPICLON850、EPICLON1050、EPICLON2055、新日鉄住金化学株式会社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウ・ケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業株式会社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、DIC株式会社製のEPICLON152、EPICLON165、新日鉄住金化学株式会社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウ・ケミカル社製のD.E.R.542、住友化学工業株式会社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、三菱ケミカル株式会社製のjER152、jER154、ダウ・ケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC株式会社製のEPICLONN−730、EPICLONN−770、EPICLONN−865、新日鉄住金化学株式会社社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬株式会社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業株式会社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、DIC株式会社製のEPICLON830、三菱ケミカル株式会社製jER807、新日鉄住金化学株式会社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004等(いずれも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;新日鉄住金化学株式会社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjER604、新日鉄住金化学株式会社製のエポトートYH−434、住友化学工業株式会社製のスミ−エポキシELM−120等(いずれも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;株式会社ダイセル製のセロキサイド2021P等(商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のYL−933、ダウ・ケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(いずれも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(いずれも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬株式会社製EBPS−200、旭電化工業株式会社製EPX−30、DIC株式会社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjERYL−931等(いずれも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業株式会社製のTEPIC等(商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂株式会社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;新日鉄住金化学株式会社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鉄化学株式会社製ESN−190、ESN−360、DIC株式会社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC株式会社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂株式会社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成株式会社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の含有量としては、硬化性樹脂の全量(固形分基準)に対して、例えば、50質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上等としてもよい。あるいは、1質量%以上90質量%以下、10質量%以上85質量%以下、20質量%以上80質量%以下等としてもよい。
<光硬化性樹脂>
光硬化性樹脂としては、活性エネルギー線照射による硬化反応が可能な官能基を有する樹脂を用いることが望ましく、ラジカル重合性でもカチオン重合性でもよい。そして、この光硬化性樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合性の樹脂としては、(メタ)アクリレート化合物(好ましくは2官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物);多官能ビニルエーテル化合物;ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート化合物;多官能アリルエーテル化合物;アリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート類;多官能アリル基含有イソシアヌレート類;多官能ウレタン(メタ)アクリレート類;多官能芳香族ビニル類;不飽和多価カルボン酸類や不飽和酸無水物類;等が挙げられる。カチオン重合性の樹脂としては、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂等が挙げられる。
光硬化性樹脂の含有量としては、硬化性樹脂の全量(固形分基準)に対して、例えば、50質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上等としてもよい。あるいは、1質量%以上90質量%以下、10質量%以上85質量%以下、20質量%以上80質量%以下等としてもよい。
<<セルロースナノファイバー(CNF)>>
本発明にかかるCNFは、下式2の構造を有する。
(式2)
Figure 2020164753
からRの少なくとも1以上は、下式3の構造を有する。Rは、基本的に水酸基又は下式3の構造であるが、水酸基がアミン化合物等によって修飾されていてもよい。Rもまた、基本的に水酸基又は下式3の構造であるが、水酸基がアミン化合物等によって修飾されていてもよい。Rは、メチロール基、カルボキシル基、−CONHR(Rは、炭化水素基である。)、−COONR (Rは、水素又は炭化水素基である。)又は下式3の構造である。
(式3)
Figure 2020164753
(式3中のRは、炭化水素基である。)
式2から分かるように、本発明にかかるCNFは、分子中の2位及び3位の水酸基と6位のメチロール基の水酸基の少なくとも1以上が上式3の構造に置換修飾されている。
このような水酸基の化学修飾は、イソシアネート化合物との反応によって行われる。この化学修飾によれば、CNFが疎水化され、硬化性樹脂とセルロースナノファイバーとを併用する際に懸念される誘電特性及び吸水性の悪化を抑えることができる。
ここで、Rは、脂肪族炭化水素基、分岐脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基のいずれであってもよいが、硬化性樹脂との親和性及び硬化性樹脂組成物中における分散性が向上し、硬化物がより高い靭性を有することから、芳香族炭化水素基を含むことが好ましい。
に示す炭化水素基の炭素数は、硬化性樹脂との組み合わせによって任意に選択されるが、1以上、特に3以上、とりわけ5以上であることが好ましく、また30以下、特に20以下、であることが好ましい。例えば、1以上30以下であることが好ましく、3以上20以下であることが好ましく、4以上18以下であることが特に好ましく、6以上18以下であることが一層好ましい。炭素数が上述の範囲にあることで、硬化性樹脂とセルロースナノファイバーとを併用する際に懸念される誘電特性及び吸水性の悪化を抑えることができる。
本発明にかかる硬化性樹脂組成物におけるCNFの配合量は、硬化性樹脂の全量(固形分基準)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは2質量部以上15質量部以下である。配合量を0.1質量部以上とすると、硬化性樹脂とセルロースナノファイバーとを併用する際に懸念される誘電特性及び吸水性の悪化を抑えることができる。また、配合量を30質量部以下とすると、硬化性樹脂の本来の機能である基材との接着性を損なうのを防ぐことができる。
なお、本発明において固形分とは、溶媒(特に有機溶媒)以外の組成物を構成する成分、またはその質量や体積を意味する。
(CNFの水酸基の修飾方法)
分子中の水酸基を式1の構造に化学修飾してなるセルロースナノファイバーは、原材料である天然セルロース繊維の水酸基を化学修飾した後に解繊処理するか、天然セルロース繊維を解繊処理して得られるCNFの水酸基を化学修飾することで得られる。
天然セルロース繊維としては、例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等の木材パルプ;コットンリンター、コットンリントのような綿系パルプ;麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプ;バクテリアセルロース等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記天然セルロース繊維をナノサイズまで解繊処理して得られるCNFとしては、例えば、機械解繊されたCNF;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPOとも称す)や、リン酸基を有する化合物または/およびその塩による酸化処理で解繊したCNF(上式2において、Rのメチロール基がカルボキシル基に酸化されたCNF);酸化処理で解繊したCNFにアミノ化合物により共有結合修飾され解繊されたCNF(上式2において、Rのカルボキシル基がアミノ化合物により共有結合修飾され、Rが−CONHR(Rは、炭化水素基である。)の構造を有することになったCNF)、又は、前記酸化処理後に第4級アンモニウム化合物によりイオン結合修飾され解繊されたCNF(上式2において、Rのカルボキシル基が第4級アンモニウム化合物によりイオン結合修飾され、Rが−COONR (Rは、炭化水素基である。)の構造を有することになったCNF)等の疎水性化処理されたCNF;が挙げられる。
なかでも、TEMPOを用いた酸化処理を行う解繊方法は、セルロース繊維を比較的弱いせん断力で、ナノサイズまで解きほぐすことができる。
本発明におけるCNFの水酸基の修飾方法としては、天然セルロース繊維又は天然セルロース繊維を解繊処理して得られるCNFの水酸基と、修飾基(式3におけるR)を有するイソシアネート化合物(R−NCO)とを溶媒中でウレタン化反応させる方法が挙げられる。
前記化学修飾は、効率よく反応をさせるため、解繊されているCNFに施すことが好ましい。また、天然セルロース繊維の水酸基を化学修飾した後に解繊処理をしてもよく、上記した機械解繊や、酸化処理による解繊処理、酸化処理による解繊処理後に第4級アンモニウム化合物によるイオン結合修飾を施すことができる。
この化学修飾に用いるイソシアネート化合物の使用量は、CNFにおける所望の結合量により決めることができるが、反応性の観点から、CNFの水酸基1molに対して、イソシアネート化合物のイソシアネート基が、好ましくは0.1mol以上、より好ましくは0.5mol以上、さらに好ましくは0.7mol以上、よりさらに好ましくは1mol以上であり、製品純度の観点から、好ましくは20mol以下、さらに好ましくは10mol以下となる量を用いる。なお、上記範囲に含まれる量のイソシアネートを一度に反応に供しても、分割して反応に供してもよい。
CNFの水酸基の化学修飾に用いるイソシアネート化合物は、芳香族モノイソシアネート、脂肪族モノイソシアネートといった単官能のイソシアネート化合物である。芳香族ジイソシアネートや脂肪族ジイソシアネート、芳香族トリイソシアネート、脂肪族トリイソシアネート等の多官能のポリイソシアネート化合物では、反応過程でCNF同士を結合させてしまうため、これらの化合物を使用しないことが好ましい。
芳香族モノイソシアネートとしては、ベンジルイソシアネート、p−トリルイソシアネート、m−トリルイソシアネート、o−トリルイソシアネート、3,5−ジメチルフェニルイソシアネート、2,6−ジメチルフェニルイソシアネート、4−エチルフェニルイソシアネート、4−メトキシフェニルイソシアネート、4−アセトフェニルイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、2−ビフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族モノイソシアネートとしては、プロピルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、イソホロンイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、tert−ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、へプチルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、シクロペンチルイソシアネート、1−アダマンチルイソシアネート、等が挙げられる。
CNFの水酸基の化学修飾に用いる溶媒としては、特に限定されず、例えば、エタノール、イソプロパノール(IPA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン(THF)、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、CNFの水酸基とイソシアネート化合物とのウレタン化反応における反応温度及び反応時間は、用いるイソシアネート化合物及び溶媒の種類等に応じて適宜選択することができるが、反応性、反応率及び生産性の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは10℃以上の反応温度で、反応時間を、好ましくは1〜24時間、より好ましくは10〜20時間とする。また、CNFの着色の観点から、反応温度は、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。
また、反応後においては、未反応のイソシアネート化合物等を除去するために、後処理を適宜行ってもよい。この後処理の方法としては、例えば、ろ過、遠心分離、透析等を用いることができる。
このようにして得られた本発明にかかるCNFは、その形態としては、必要に応じ、固形分濃度を調整した懸濁液状(目視的に無色透明又は不透明な液)、あるいは乾燥処理した粉末状(但し、CNFが凝集した粉末状であり、セルロース粒子を意味するものではない)とすることもできる。なお、懸濁液状にする場合、分散媒として水のみを使用してもよく、水と他の有機溶媒(例えば、エタノール等のアルコール類)や界面活性剤、酸、塩基等との混合溶媒を使用してもよい。
〔CNFの平均繊維径、平均繊維長及び平均アスペクト比〕
CNFの平均繊維径、平均繊維長及び平均アスペクト比は、以下のようにして測定することができる。
CNFに水を加えて、その濃度が0.0001質量%の分散液を調製し、この分散液をマイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(AFM、Nanoscope III Tapping mode AFM、Digital instrument社製、プローブはナノセンサーズ社製Point Probe(NCH)を使用)を用いて、観察試料中のCNFの繊維高さを測定する。その際、CNFが確認できる顕微鏡画像において、CNFを5本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出する。また、繊維方向の距離より、平均繊維長を算出する。平均アスペクト比は平均繊維長/平均繊維径より算出される。
本発明におけるCNFの平均繊維径は、例えば、0.1nm以上200nm以下であり、好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは2nm以上50nm以下、さらに好ましくは2.5nm以上20nm以下である。平均繊維径0.1nm未満のものは製造が困難であり、また、平均繊維径が200nm以下とすることで、プリント配線板の導体と密着性が良好な硬化物を得ることができる。
CNFの平均繊維長は、例えば、600nm以下であり、好ましくは50nm以上600nm以下、より好ましくは100nm以上500nm以下、さらに好ましくは100nm以上400nm以下である。平均繊維長がかかる範囲にある場合には、組成物にしたときの分散が容易になる。
CNFの平均アスペクト比は、例えば、1以上200以下であり、好ましくは5以上180以下、より好ましくは9以上170以下、特に好ましくは9以上100未満である。平均アスペクト比が1未満のものは製造が困難であり、平均アスペクト比が200以下であると、金属導体と硬化物との密着性が良好となり、平均アスペクト比が小さくなるほど金属導体と硬化物との密着性に優れ、組成物の粘度を下げることができる。
<その他の成分>
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、用途に応じて、上述した必須成分以外のその他の成分、例えば、慣用の添加物を添加することができる。その他の慣用の添加物としては、特に限定されないが、例えば、樹脂及びエラストマー、硬化剤、光重合開始剤、無機フィラー、硬化触媒、着色剤、分散剤、消泡剤・レベリング剤、揺変剤、カップリング剤、難燃剤などが挙げられる。また、本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤などを含んでいてもよい。
(樹脂及びエラストマー)
樹脂及びエラストマーとしては上述の硬化性樹脂以外の樹脂成分であり、不飽和ポリエステル樹脂、アクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ノルボルネン系樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ブロック共重合体、天然ゴム、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
(硬化剤)
必須の構成ではないが、本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含むことが好ましい。本実施形態において、硬化剤とは、硬化反応において、硬化性樹脂と反応し、自らも硬化物の骨格を形成するものをいう。
硬化剤の種類は、特に限定されない。硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、レゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂;脂肪族ポリアミン、ポリアミノアミド(ポリアミド樹脂)、ケティミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン、メラミン樹脂、ジシアンジアミド、その他のアミン系(イミダゾール、3級アミン)等のアミン系化合物;酸無水物;メルカプタン系化合物;シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂(活性エステル化合物);ベンゾオキサジン環を有する樹脂;ルイス酸錯化合物等や、これらの変性物が挙げられる。
中でも、硬化剤は、フェノール樹脂、活性エステル樹脂を含むことが好ましく、活性エステル樹脂を含むことがより好ましい。フェノール樹脂、活性エステル樹脂を含むことで、硬化物の低誘電特性及び低吸水性といった特性をより向上することができる。
活性エステル樹脂は、一分子中に2個以上の活性エステル基を有する樹脂である。活性エステル樹脂は、一般に、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物との縮合反応によって得ることができる。活性エステル樹脂は、中でも、ヒドロキシ化合物としてフェノール化合物またはナフトール化合物を用いて得られる活性エステル化合物が好ましい。フェノール化合物またはナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。また、活性エステル樹脂としては、ナフタレンジオールアルキル/安息香酸型でもよい。活性エステル樹脂は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化剤の含有量としては、反応基当量/硬化性基当量(例えば、エポキシ当量)が、0.7〜1.4であることが好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。かかる範囲にあることで、硬化物が低い誘電特性及び吸水性を有することができる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、硬化性樹脂のうち、光硬化性樹脂の重合を開始させるためのものであり、光照射によりラジカル又はカチオンを発生して、光重合性不飽和基を有する光硬化性樹脂を硬化させる。光重合開始剤の種類は、特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、ベンゾイン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等を用いることができる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール(別名、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−フェノキシ−2,2−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−2−ヒドロキシ−1−プロパノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4’−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、全硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上20質量部以下、好ましくは0.05質量部以上15質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上15質量部以下である。
(無機フィラー)
無機フィラーとしては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。これらの無機フィラーは、単独又は混合して用いることができる。これらの無機フィラーの中でも、比重が小さく、組成物中に高い割合で配合可能であり、低熱膨張性に優れる点から、シリカ、中でも、球状シリカが好ましい。無機フィラーの平均粒径は3μm以下であることが好ましく、1μm以下がさらに好ましい。なお、無機フィラーの平均粒径は、レーザ回折式粒子径分布測定装置により求めることができる。
無機フィラーの配合量は、組成物の固形分に対して、例えば、25〜90質量%、好ましくは30〜90質量%、より好ましくは35〜85質量%である。無機フィラーの配合量を上記範囲内とすることで、硬化後の硬化物の塗膜性能を良好に確保することができる。
(硬化触媒)
硬化性樹脂のうち、他の硬化性樹脂と併用することで、硬化反応を促進させるものであり、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物、ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。また、市販品としては、例えば、2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(四国化成工業(株)製)、U−CAT3503N、U−CAT3502T、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(サンアプロ(株)製)などが挙げられ、単独で、又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また同様に、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもできる。これらの硬化触媒は、単独又は混合して用いることができる。
なお、イミダゾールは、硬化反応において、硬化性樹脂と反応し、自らも硬化物の骨格を形成する機能も有するため、本実施形態において硬化剤としても作用する
また、光硬化性樹脂を硬化させるための硬化触媒として、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジステアレート、ジブチル錫ラウレートオキサイド、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジオレイルマレート、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド、ジオクチル錫ジラウレート等の錫化合物;金属錯体としてはテトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物;オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、亜鉛系化合物、鉄系化合物、ビスマス等のカルボン酸金属塩;アルミニウムアセチルアセトナート錯体、バナジウムアセチルアセトナート錯体等の金属アセチルアセトナート錯体が挙げられる。またジブチルアミン−2−エチルヘキソエート等のアミン塩や、モノメチル燐酸、ジ−n−ブチル燐酸などの有機燐酸化合物や他の酸性触媒及び塩基性触媒等も使用することができる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
硬化触媒の含有量は、全熱硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上20質量部以下、好ましくは0.05質量部以上15質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上15質量部以下である。
(着色剤)
着色剤としては、着色顔料や染料等としてカラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる。例えば、赤色着色剤としては、モノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがある。青色着色剤としては、フタロシアニン系、アントラキノン系などがあり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物を使用することができる。これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系がある。これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等がある。白色着色剤としては、ルチル型又はアナターゼ型酸化チタンなどが挙げられる。黒色着色剤としては、カーボンブラック系、黒鉛系、酸化鉄系、チタンブラック、酸化鉄、アンスラキノン系、酸化コバルト系、酸化銅系、マンガン系、酸化アンチモン系、酸化ニッケル系、ペリレン系、アニリン系、硫化モリブデン、硫化ビスマスなどがある。その他、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色などの着色剤を加えてもよい。
着色剤の含有量は、硬化性樹脂組成物の全量(固形分基準)に対して、例えば、0.01質量%以上3質量%以下、好ましくは0.05質量%以上1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。また、酸化チタン等を用いて白色の硬化膜を得る場合は、硬化性樹脂組成物の全量(固形分基準)に対して、例えば、1質量%以上65質量%以下、好ましくは3質量%以上60質量%以下、より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。
(分散剤)
分散剤としては、ポリカルボン酸系、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合系、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸部分アルキルエステル系、ポリエーテル系、ポリアルキレンポリアミン系等の高分子型分散剤、アルキルスルホン酸系、四級アンモニウム系、高級アルコールアルキレンオキサイド系、多価アルコールエステル系、アルキルポリアミン系等の低分子型分散剤等が使用でき、十分な分散効果が得られ、さらに硬化物の良好な塗膜特性を得ることができる。
(消泡剤・レベリング剤)
消泡剤・レベリング剤としては、シリコーン、変性シリコーン、鉱物油、植物油、脂肪族アルコール、脂肪酸、金属石鹸、脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等の化合物等が使用でき、ボイドの発生を防止することができ、また、被着体との密着性がより良好となる。
(揺変剤)
揺変剤としては、微粒子シリカ、シリカゲル、不定形無機粒子、ポリアミド系添加剤、変性ウレア系添加剤、ワックス系添加剤などが使用でき、硬化性樹脂組成物の成膜性が良好となり、塗膜の被着体への密着性が優れたものとなる。
(カップリング剤)
カップリング剤としては、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、アセチル等であり、反応性官能基としてビニル、メタクリル、アクリル、エポキシ、環状エポキシ、メルカプト、アミノ、ジアミノ、酸無水物、ウレイド、スルフィド、イソシアネート等である、例えば、ビニルエトキシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシラン等のビニル系シラン化合物、γ−アミノプロピルトリメトキシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ系シラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シラン化合物、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のフェニルアミノ系シラン化合物等のシランカップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイル化チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラ(1,1−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス−(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等のチタネート系カップリング剤、エチレン性不飽和ジルコネート含有化合物、ネオアルコキシジルコネート含有化合物、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデシル)ベンゼンスルホニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ジオクチル)ホスフェートジルコネート、ネオアルコキシトリス(ジオクチル)ピロホスフェートジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノ)エチルジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノ)フェニルジルコネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ブチル,ジ(ジトリデシル)ホスフィトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリネオデカノイルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ドデシル)ベンゼン−スルホニルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ホスファトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ピロ−ホスファトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(N−エチレンジアミノ)エチルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(m−アミノ)フェニルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリメタクリルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリアクリルジルコネート、ジネオペンチル(ジアリル)オキシ,ジパラアミノベンゾイルジルコネート、ジネオペンチル(ジアリル)オキシ,ジ(3−メルカプト)プロピオニックジルコネート、ジルコニウム(IV)2,2−ビス(2−プロペノラトメチル)ブタノラト,シクロジ[2,2−(ビス2−プロペノラトメチル)ブタノラト]ピロホスファト−O,O等のジルコネート系カップリング剤、ジイソブチル(オレイル)アセトアセチルアルミネート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミネート系カップリング剤等が使用でき、基材との密着性の向上や、硬化物の硬度の向上が見込める。
(難燃剤)
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属系、赤燐、燐酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、モリブデン化合物系、臭素化合物系、塩素化合物系、燐酸エステル、含燐ポリオール、含燐アミン、メラミンシアヌレート、メラミン化合物、トリアジン化合物、グアニジン化合物、シリコンポリマー等が使用でき、硬化物の自己消火性、耐熱性を高いレベルでバランスよく達成できる。
(有機溶剤)
有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及び上記グリコールエーテル類のエステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等を挙げることができる。
有機溶剤の含有量は特に限定されず、硬化性樹脂組成物の用途に応じて適宜調整可能である。
なお、このような硬化性樹脂組成物は、各原料を混合及び分散することにより得られる。
<<<ドライフィルム>>>
本発明のドライフィルムは、上述した硬化性樹脂組成物を基材に塗布又は含浸し、乾燥して得られる樹脂層を有するものである。
ここで基材としては、銅箔等の金属箔、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のフィルム、ガラスクロス、アラミド繊維等の繊維が挙げられる。
具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなる支持フィルム上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布乾燥させ、必要に応じてポリプロピレンからなる保護フィルムを積層することにより得られる。
<<<硬化物>>>
硬化物は、上述した硬化性樹脂組成物(ドライフィルムに含まれる樹脂層を含む)を硬化することで得られる。
硬化性樹脂組成物から硬化物を得るための方法は、特に限定されるものではなく、硬化性樹脂組成物の組成に応じて適宜変更可能である。一例として、上述したような基材上に硬化性樹脂組成物の塗布(例えば、アプリケーター等による塗工)する工程を実施した後、必要に応じて硬化性樹脂組成物を乾燥させる乾燥工程を実施し、加熱(例えば、イナートガスオーブン、ホットプレート、真空オーブン、真空プレス機等による加熱)により硬化性樹脂を熱硬化させる熱硬化工程を実施すればよい。なお、各工程における実施の条件(例えば、塗布膜厚、乾燥温度及び時間、加熱温度及び時間等)は、硬化性樹脂組成物の組成や用途等に応じて適宜変更すればよい。
<<<配線板>>>
本発明においては、上述の硬化性樹脂組成物、又はドライフィルムを用いた配線板を作製することができる。
<<<電子部品>>>
このような硬化物は、優れた機械特性、耐熱性、透明性を有するため、電子部品用等に使用可能である。特に、層間絶縁材等としてプリント配線板に用いたり、発光ダイオードの封止剤等として、光学電子部品に用いられる。
<酸化パルプ1の調製>
ユーカリ由来の広葉樹漂白クラフトパルプ(CENIBRA社製)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPOとしては、市販品(ALDRICH社製、Free radical、98質量%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。臭化ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。
まず、広葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、このパルプ質量100gに対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。反応を120分(20℃)行った後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて得られた酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行い固形分30.4質量%の酸化パルプ1を得た。
<セルロースナノファイバーの水分散液の調製>
(調製例1)
105.3gの酸化パルプ1を、1000gのイオン交換水で希釈し、濃塩酸を346g加えて、酸化パルプ固形分濃度2.34wt%、塩酸濃度2.5Mの分散液に調製し、10分間還流させた。得られた酸化パルプを十分に洗浄し、固形分41質量%の酸加水分解TEMPO酸化パルプを得た。その後、酸化パルプ0.88gとイオン交換水35.12gを高圧ホモジナイザーを用いて150MPaで微細化処理を10回行い、カルボキシル基含有セルロースナノファイバーの分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。このセルロースナノファイバーの平均繊維径は11.0nm、平均繊維長は187nm、平均アスペクト比は17、カルボキシル基含有量は1.1mmol/gであった。
<修飾基を有するセルロースナノファイバーの分散液の作製>
(CNF1)
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、調製例1で得られたセルロースナノファイバー分散液35g(固形分濃度5.0質量%)を仕込んだ。続いて、フェニルイソシアネートを、CNFの水酸基1molに対してイソシアネート基1.2molに相当する量を仕込み、DMF300gで溶解させた。反応液を60℃で6時間反応させた。反応終了後ろ過し、DMFで洗浄することで、フェニルイソシアネートで化学修飾したCNFを得た。得られた、CNF・DMF分散液の固形分濃度は7.3質量%であった。
(CNF2)
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、調製例1で得られたセルロースナノファイバー分散液35g(固形分濃度5.0質量%)を仕込んだ。続いて、ブチルイソシアネートを、CNFの水酸基1molに対してイソシアネート基1.2molに相当する量を仕込み、DMF300gで溶解させた。反応液を60℃で6時間反応させた。反応終了後ろ過し、DMFで洗浄することで、ブチルイソシアネートで化学修飾したCNFを得た。得られた、CNF・DMF分散液の固形分濃度は7.3質量%であった。
(CNF3)
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、調製例1で得られたセルロースナノファイバー分散液40g(固形分濃度5.0質量%)を仕込んだ。続いて、ドデシルアミンを、CNFのカルボキシル基1molに対してアミノ基1.2molに相当する量、4−メチルモルホリン0.34g、縮合剤であるDMT−MMを1.98g仕込み、DMF300g中に溶解させた。反応液を室温(25℃)で14時間反応させた。反応終了後ろ過し、エタノールにて洗浄、DMT−MM塩を除去し、DMFで洗浄及び溶媒置換することで、CNFに、脂肪族炭化水素基がアミド結合を介して連結したCNF・DMF分散液を得た。得られたCNF・DMF分散液の固形分濃度は2.2質量%であった。
(CNF4)
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、調製例1で得られたセルロースナノファイバー分散液35g(固形分濃度5.0質量%)を仕込んだ。続いて、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを、CNFのカルボキシル基1molに対してアミノ基1molに相当する量を仕込み、DMF300gで溶解させた。反応液を室温(25℃)で1時間反応させた。反応終了後ろ過し、DMFで洗浄することで、CNFに、アミン塩が結合したCNFを得た。得られた、CNF・DMF分散液の固形分濃度は4.0質量%であった。
<硬化性樹脂組成物の調製>
下記の表1中の記載に従って、各成分を配合撹拌後、吉田機械興業製高圧ホモジナイザーNanovater NVL−ES008を使用し、6回繰り返して分散させて各組成物を調製した。なお、表1中の数値は、固形分(揮発成分を除く)の質量部を示す。
<硬化塗膜の作製>
厚さ38μmのPETフィルムに、アプリケーターを用いて硬化後の膜厚が55μmとなるように各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの銅箔に真空ラミネータにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がした。次いで、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させ、銅箔から剥がして、各組成物の硬化塗膜を得た。
<靭性の評価>
上記硬化塗膜を5mm×10cmに裁断して評価用試験片を作製した。この試験片について、島津製作所製小型卓上試験機EZ−SXを用い、引張速度10mm/分にて試験を行い、破断点歪みを測定した。評価基準を下記に示す。また結果を表1に示した。
◎:8%以上
○:4%以上8%未満
×:4%未満
<誘電率の評価>
上記硬化塗膜を試験片としてSPDR(Split Post Dielectric Resonator)共振器法により測定した。測定器には、キーサイトテクノロジー合同会社製のベクトル型ネットワークアナライザE5071C、SPDR共振器、計算プログラムはQWED社製のものを用いた。条件は、周波数10GHz、測定温度25℃とした。
誘電正接(tanδ)の値は、同一サンプルの3回測定平均値を用いた。評価基準を下記に示す。また結果を表1に示した。
◎:0.014未満
○:0.014以上0.018未満
×:0.018以上
<吸水率の評価>
硬化塗膜を20mm×20mmに裁断して評価用試験片を作製した。この試験片について、50℃で24時間乾燥後、デシケーターで室温まで冷却し、重量を測定した。次いで、23℃に保たれた水に24時間浸漬後、試験片を取り出して表面の水分を除去し、1分間以内に重量を測定した。水に浸漬する前後の重量変化より吸水率を算出した。評価基準を下記に示す。また結果を表1に示した。
◎:1.0%未満
○:1.0%以上1.5%未満
×:1.5%以上
Figure 2020164753
※1 エポキシ樹脂1:JER828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂) 三菱化学(株)製
※2 エポキシ樹脂2:XD1000(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂) 日本化薬(株)製
※3 活性エステル化合物:HPC8000−65T(活性エステル化合物、固形分65質量%、表1中の数値は固形分) DIC(株)製
※4 フェノール化合物:HF4M(フェノールノボラック樹脂) 明和化成(株)製
※5 硬化触媒:2E4MZ(2−エチル−4−メチルイミダゾール) 四国化成工業(株)製
※6 CNF:上記のCNF1(フェニルイソシアネート修飾CNF)
※7 CNF:上記のCNF2(ブチルイソシアネート修飾CNF)
※8 CNF:上記のCNF3(アミン塩修飾CNF)
※9 CNF:上記のCNF4(アミド修飾CNF)
※10 CNF:上記の調製例1で得られたセルロースナノファイバー分散液(未修飾CNF)
以上詳述した通り、エポキシ樹脂と、水酸基がイソシアネート化合物によって化学修飾されたCNFとを含む硬化性樹脂組成物を用いることにより、硬化性樹脂とセルロースナノファイバーとを併用する際に懸念される、誘電特性及び吸水性の悪化を抑えられることが確認された。

Claims (7)

  1. 硬化性樹脂と、セルロースナノファイバーと、を含む、硬化性樹脂組成物であって、
    前記セルロースナノファイバーは、分子中の水酸基の少なくとも1以上が下式1の構造に置換修飾されていることを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
    (式1)
    Figure 2020164753
    (式1中のRは、炭化水素基である。)
  2. 前記式1中のRが芳香族炭化水素基であることを特徴とする、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 硬化剤をさらに含み、前記硬化剤は、活性エステル樹脂を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を、基材に塗布又は含浸、乾燥させてなる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
  6. 請求項1から4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物、又は、請求項5に記載のドライフィルムの樹脂層が、硬化されてなることを特徴とする、硬化物。
  7. 請求項6に記載の硬化物を備えることを特徴とする、電子部品。

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