JP2020164620A - 潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
一方で、ZnDTPは、それ自体が酸化又は熱分解することで、潤滑油組成物中にチオリン酸や硫酸が生成し、潤滑油組成物の酸価や粘度の上昇を引き起こし、劣化を促進させてしまうという問題がある。また、潤滑油組成物に含まれる亜鉛原子は、燃焼ガスと共に燃焼室から排出された際に、排ガス後処理装置の触媒を劣化させてしまう要因ともなることが知られている。
そのため、近年、ZnDTPを使用しない内燃機関用潤滑油組成物の検討がされている。
[1]基油(A)、下記一般式(b−1)〜(b−3)のいずれかで表されるリン系化合物(B)、及びホウ素変性のアルケニルコハク酸イミド(C)を含み、
ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)に由来する亜鉛原子の含有量が500質量ppm未満である、内燃機関用の潤滑油組成物。
また、上記式(b−3)中、R7〜R9は、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルケニル基、アルキルフェニル基(当該アルキル基の炭素数は1〜6)、又は、−(CH2)n−COORa(Raは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、nは1〜20の数)で表される基である。X1〜X4は、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子であり、X1〜X4の少なくとも一つは硫黄原子である。]
[2]成分(B)のリン原子換算での含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、10〜1500質量ppmである、上記[1]に記載の潤滑油組成物。
[3]成分(C)のホウ素原子換算での含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、100〜1000質量ppmである、上記[1]又は[2]に記載の潤滑油組成物。
[4]成分(B)に由来するリン原子と、成分(C)に由来するホウ素原子との含有量比〔P/B〕が、質量比で、1.0〜4.0である、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[5]さらに非ホウ素変性のアルケニルコハク酸イミド(D)を含む、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[6]成分(C)及び成分(D)に由来する窒素原子の合計含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、60〜4000質量ppmである、上記[5]に記載の潤滑油組成物。
[7]さらに金属系清浄剤(E)を含む、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[8]硫酸灰分が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.10〜1.30質量%である、上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[9]上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を用いた、内燃機関。
[10]上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を内燃機関に用いる、潤滑油組成物の使用。
リン原子、ホウ素原子、亜鉛原子、カルシウム原子の含有量は、JPI−5S−38−92に準拠して測定された値を意味する。
窒素原子の含有量は、JIS K2609:1998に準拠して測定された値を意味する。
硫黄原子の含有量は、JIS K2541−6:2013に準拠して測定された値を意味する。
本発明の潤滑油組成物は、基油(A)、リン系化合物(B)、及びホウ素変性のアルケニルコハク酸イミド(C)を含み、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)に由来する亜鉛原子の含有量が500質量ppm未満に調製されたものである。
上述のとおり、ZnDTPは、それ自体が酸化又は熱分解することで、潤滑油組成物中にZnDTPに由来するチオリン酸や硫酸が生成し、潤滑油組成物の酸価や粘度の上昇を引き起こし、ロングドレイン性の低下の要因となり易い。また、ZnDTPの亜鉛原子は、燃焼ガスと共に燃焼室から排出された際に、排ガス後処理装置の触媒を劣化させてしまう要因ともなる。
そこで、本発明の潤滑油組成物は、ZnDTPに由来する亜鉛原子の含有量が500質量ppm未満となるように調製し、ZnDTPの含有量を制限している。
しかしながら、本発明の潤滑油組成物は、成分(B)として、特定の置換基及び構造を有するリン系化合物と、成分(C)として、ホウ素変性のアルケニルコハク酸イミドを共に含有することで、優れた耐摩耗性を発現させることができる。また、本発明の潤滑油組成物において、この耐摩耗性の向上効果は、ZnDTPを用いた場合に比べても、格段に向上し得ることも分かった。
また、本発明の一態様の潤滑油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記成分(B)〜(E)以外の潤滑油用添加剤をさらに含有してもよい。
本発明の一態様で用いる基油(A)としては、鉱油及び合成油から選ばれる1種以上が挙げられる。
鉱油としては、例えば、パラフィン系原油、中間基系原油、ナフテン系原油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;これらの常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、及び水素化精製等の精製処理を1つ以上施して得られる精製油;等が挙げられる。
なお、本発明の一態様において、基油(A)として、2種以上の基油を組み合わせた混合油を用いる場合、当該混合油の動粘度及び粘度指数が上記範囲であることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、下記一般式(b−1)〜(b−3)のいずれかで表されるリン系化合物(B)を含有する。
成分(B)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記式(b−3)中、R7〜R9は、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルケニル基、アルキルフェニル基(当該アルキル基の炭素数は1〜6)、又は、−(CH2)n−COORa(Raは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、nは1〜20の数)で表される基である。X1〜X4は、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子であり、X1〜X4の少なくとも一つは硫黄原子である。
当該アルキル基としては、例えば、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基(ステアリル基)、イコシル基、テトラコシル基等が挙げられる。
なお、当該アルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
当該アルケニル基としては、例えば、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基、テトラコセニル基等が挙げられる。
なお、当該アルケニル基は、直鎖アルケニル基であってもよく、分岐鎖アルケニル基であってもよい。
当該アルキルフェニル基が有するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基)、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
なお、当該アルキルフェニル基が有するアルキル基の数は、少なくとも1つであるが、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2、更に好ましくは1である。
また、上記式中のnは、1〜20の数であるが、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜3である。
なお、前記「中性リン酸エステル」とは、前記一般式(b−1)中のR1〜R3がいずれも水素原子ではない化合物を指し、前記「中性亜リン酸エステル」とは、前記一般式(b−2)中のR4〜R6がいずれも水素原子ではない化合物を指す。
なお、前記「酸性リン酸エステル」とは、前記一般式(b−1)中のR1〜R3の1つ又は2つが水素原子である化合物を指し、前記「中性亜リン酸エステル」とは、前記一般式(b−2)中のR4〜R6の1つ又は2つが水素原子である化合物を指す。
本発明の潤滑油組成物は、成分(B)と共に、ホウ素変性のアルケニルコハク酸イミド(C)を含有する。
成分(C)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
RB、RB1及びRB2は、それぞれ独立に、炭素数2〜5のアルキレン基である。
x1は1〜10の整数であり、好ましくは2〜5の整数、より好ましくは3又は4である。
x2は0〜10の整数であり、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。
前記ポリオレフィンは、例えば、炭素数2〜8のα−オレフィンから選ばれる1種又は2種以上を重合して得られる重合体が挙げられるが、イソブテンと1−ブテンとの共重合体が好ましい。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン等の単一ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジ(メチルエチレン)トリアミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、及びペンタペンチレンヘキサミン等のポリアルキレンポリアミン;アミノエチルピペラジン等のピペラジン誘導体;等が挙げられる。
前記ホウ素化合物としては、例えば、酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸無水物、ホウ酸エステル、ホウ酸のアンモニウム塩等が挙げられる。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、さらに、非ホウ素変性のアルケニルコハク酸イミド(D)を含有することが好ましい。
成分(C)と共に、成分(D)を含有することで、成分(B)の分散性をより向上させ、耐摩耗性及びロングドレイン性により優れた潤滑油組成物とすることができる。
なお、成分(D)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ただし、成分(B)の分散性をより向上させ、耐摩耗性及びロングドレイン性により優れた潤滑油組成物とする観点から、成分(D)は、非変性のアルケニルコハク酸イミドであることが好ましい。
本発明の一態様の潤滑油組成物は、ロングドレイン性に優れた潤滑油組成物とする観点から、さらに金属系清浄剤(E)を含有することが好ましい。
成分(E)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、前記金属原子としては、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、又はバリウムが好ましく、カルシウムがより好ましい。つまり、金属系清浄剤(E)は、カルシウム系清浄剤であることが好ましい。
上記一般式(e−3)中、M’は、アルカリ土類金属であり、カルシウム、マグネシウム、又はバリウムが好ましく、カルシウムがより好ましい。yは、0以上の整数であり、好ましくは0〜3の整数である。
上記一般式(e−1)〜(e−3)中、pはMの価数であり、1又は2である。Rは、水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基である。
Rとして選択し得る炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルケニル基、環形成炭素数3〜18のシクロアルキル基、環形成炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等が挙げられる。
ただし、本発明の一態様の潤滑油組成物において、成分(E)が、塩基価が100mgKOH/g以上の過塩基性金属系清浄剤(E1)を含むことが好ましい。
過塩基性金属系清浄剤(E1)の塩基価としては、100mgKOH/g以上であるが、好ましくは150〜500mgKOH/g、より好ましくは200〜400mgKOH/gである。
なお、本明細書において、成分(E)の「塩基価」は、JIS K2501「石油製品および潤滑油−中和価試験方法」の7.に準拠して測定される「過塩素酸法」による塩基価を意味する。
なお、本明細書において、金属原子の含有量は、JPI−5S−38−92に準拠して測定された値を意味する。
本発明の一態様の潤滑油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、更に成分(B)〜(E)以外の潤滑油用添加剤を含有してもよい。
このような潤滑油用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、抗乳化剤、摩擦調整剤、腐食防止剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、消泡剤等が挙げられる。
これらの潤滑油用添加剤は、それぞれ、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様の潤滑油組成物の製造方法としては、特に制限はないが、生産性の観点から、基油(A)に、上述の成分(B)及び(C)、並びに、必要に応じて、成分(D)、成分(E)及び他の潤滑油用添加剤を配合する工程を有する、方法であることが好ましい。
ここで、成分(B)、(C)、(D)及び(E)、並びに潤滑油用添加剤の配合量は、上述のとおりである。
本発明の一態様の潤滑油組成物の40℃における動粘度としては、好ましくは10〜130mm2/s、より好ましくは20〜115mm2/s、更に好ましくは30〜100mm2/s、より更に好ましくは40〜90mm2/sである。
なお、本明細書において、酸価は、JIS K2501:2003(指示薬法)に準拠して測定された値を意味する。
なお、本明細書において、潤滑油組成物の塩基価は、JIS K2501:2003(塩酸法)に準拠して測定された値を意味する。
ただし、本発明の一態様の潤滑油組成物において、成分(B)として、前記一般式(b−3)で表されるリン系化合物を含有する場合、硫黄原子の含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは500〜3500質量ppm、より好ましくは1000〜3000質量ppm、更に好ましくは1500〜2500質量ppmである。
なお、本明細書において、硫酸灰分は、JIS K2272:1998に準拠して測定された値を意味する。
また、上述の潤滑油組成物の塩基価が1mgKOH/gとなった際の潤滑油組成物(劣化油)の酸価は、好ましくは4.0mgKOH/g以下、より好ましくは3.7mgKOH/g以下、更に好ましくは3.5mgKOH/g以下、より更に好ましくは3.0mgKOH/g以下である。
さらに、上述の潤滑油組成物の塩基価が1mgKOH/gとなった際の潤滑油組成物(劣化油)と、ISOT試験を行う前の潤滑油組成物(新油)との100℃動粘度の比〔劣化油/新油〕は、好ましくは1.00〜1.05、より好ましくは1.00〜1.04、更に好ましくは1.00〜1.03である。
なお、本明細書において、上述の各物性値は、実施例に記載の方法に準拠して測定された値を意味する。
本発明の好適な一態様の潤滑油組成物は、耐摩耗性及びロングドレイン性に優れている。
そのため、本発明の一態様の潤滑油組成物は、上記特性を発揮し得る各種装置に適用することができ、内燃機関の潤滑に用いられることが好ましく、ガスエンジンの潤滑に用いられることがより好ましい。
[1]上述の本発明の一態様の潤滑油組成物を用いた、内燃機関。
[2]上述の本発明の一態様の潤滑油組成物を内燃機関に用いる、潤滑油組成物の使用。
なお、上記[1]及び[2]に記載の内燃機関は、ガスエンジンであることが好ましい。
JIS K2283:2000に準拠して測定及び算出した。
(2)リン原子、ホウ素原子、亜鉛原子、カルシウム原子の含有量
JPI−5S−38−92に準拠して測定した。
(3)窒素原子の含有量
JIS K2609:1998に準拠して測定した。
(4)硫黄原子の含有量
JIS K2541−6:2013に準拠して測定した。
(5)硫酸灰分
JIS K2272:1998に準拠して測定した。
(6)酸価
JIS K2501:2003(指示薬法)に準拠して測定した。
(7)塩基価(塩酸法/過塩素酸法)
金属系清浄剤の塩基価は、JIS K2501:2003(過塩素酸法)に準拠して測定し、潤滑油組成物の塩基価は、JIS K2501:2003(塩酸法)に準拠して測定した。
表1に示す種類の基油及び各種添加剤を、表1に示す配合量にて添加して混合し、潤滑油組成物をそれぞれ調製した。
当該潤滑油組成物の調製に使用した、各成分の詳細は以下のとおりである。
・「100N鉱油」:グループ3に分類されるパラフィン系鉱油、100℃動粘度=4.1mm2/s。
・「220N鉱油」:グループ3に分類されるパラフィン系鉱油、100℃動粘度=7.6mm2/s。
・「ジラウリルハイドロゲンホスファイト」:前記一般式(b−2)中のR4及びR5=ラウリル基(−C12H25)、R6=水素原子である化合物。リン原子含有量=6.8質量%。
・「ジオレイルハイドロゲンホスファイト」:前記一般式(b−2)中のR4及びR5=オレイル基(−C18H35)、R6=水素原子である化合物。リン原子含有量=5.1量%。
・「トリクレジルホスフェート」:前記一般式(b−1)中のR1〜R3=メチルフェニル基である化合物。リン原子含有量=8.4質量%。
・「DTP」:ジチオリン酸O,O−ジイソプロピルS−(2−エトキシカルボニルエチル)、リン原子含有量=9.5質量%、硫黄原子含有量=21.2質量%。
・「ZnDTP」:ジアルキルジチオリン酸亜鉛、リン原子含有量=8.1質量%、亜鉛原子含有量=8.8質量%。
・「2−エチルヘキシルアシッドホスフェート」:前記一般式(b−1)中のR1及びR2=2−エチルヘキシル基、R3=水素原子である化合物と、R1=2−エチルヘキシル基、R2及びR3=水素原子である化合物との混合物。
・「ホウ素変性コハク酸モノイミド」:ポリブテニル基を有するポリブテニルコハク酸モノイミドのホウ素化物、ホウ素原子(B)の含有量=1.8質量%、窒素原子(N)の含有量=1.8質量%、B/N=1.0。
・「非変性コハク酸モノイミド」::ポリブテニル基を有するポリブテニルコハク酸モノイミド、窒素原子の含有量=2.1質量%。
・「Ca系清浄剤(1)」:過塩基性Caスルホネート、前記一般式(e−1)で表される化合物(式中、Mはカルシウム原子)、塩基価(過塩素酸法)=350mgKOH/g、Ca原子含有量=12.1質量%。
・「Ca系清浄剤(2)」:Caスルホネート:前記一般式(e−1)で表される化合物(式中、Mはカルシウム原子)、塩基価(過塩素酸法)=225mgKOH/g、Ca原子含有量=7.9質量%
・添加剤混合物:アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、金属不活性化剤及び粘度指数向上剤からなる添加剤混合物。
ASTM D2174に記載された密閉式のLFW−1試験機を用いて、下記測定条件にて、摩耗幅(単位:μm)を測定した。なお、当該摩耗幅の値が小さいほど、耐摩耗性に優れた潤滑油組成物であるといえる。
(試験治具)
・ブロック:Falex H−60 Test Block(SAE 01 Steel)
・リング:Falex S−10 Test Ring(SAE 4620 Steel)
(試験条件)
・荷重:45N
・温度:100℃
・回転数:750rpm
・試験時間:30分間
空気流量100mL/分と、一酸化窒素(NO)を窒素で希釈したNOガス(NO濃度:8,000体積ppm)流量100mL/分とを混合した混合ガスを、油温140℃の試料油250g中に導入し、NOx劣化油を調製した。なお、当該NOx劣化油は、調製過程で、JIS K2501:2003(塩酸法)に準拠して測定した塩基価が1.0mgKOH/gとなるまでの時間(ISOT寿命)を測定した。また、塩基価が1.0mgKOH/gとなったNOx劣化油の酸価を測定すると共に、100℃動粘度も測定し、劣化油と試験前の新油との100℃動粘度との比〔劣化油/新油〕も算出した。
Claims (10)
- 基油(A)、下記一般式(b−1)〜(b−3)のいずれかで表されるリン系化合物(B)、及びホウ素変性のアルケニルコハク酸イミド(C)を含み、
ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)に由来する亜鉛原子の含有量が500質量ppm未満である、内燃機関用の潤滑油組成物。
また、上記式(b−3)中、R7〜R9は、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルケニル基、アルキルフェニル基(当該アルキル基の炭素数は1〜6)、又は、−(CH2)n−COORa(Raは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、nは1〜20の数)で表される基である。X1〜X4は、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子であり、X1〜X4の少なくとも一つは硫黄原子である。] - 成分(B)のリン原子換算での含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、10〜1500質量ppmである、請求項1に記載の潤滑油組成物。
- 成分(C)のホウ素原子換算での含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、100〜1000質量ppmである、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
- 成分(B)に由来するリン原子と、成分(C)に由来するホウ素原子との含有量比〔P/B〕が、質量比で、1.0〜4.0である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
- さらに非ホウ素変性のアルケニルコハク酸イミド(D)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
- 成分(C)及び成分(D)に由来する窒素原子の合計含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、60〜4000質量ppmである、請求項5に記載の潤滑油組成物。
- さらに金属系清浄剤(E)を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
- 硫酸灰分が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.10〜1.30質量%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を用いた、内燃機関。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を内燃機関に用いる、潤滑油組成物の使用。
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